説明

ガス反応装置及びガス反応処理方法

【課題】ガスと被処理物とを反応部内で反応させるにあたり、ガス反応部へのガスの入れ替え時間を短縮し、効率よく処理行うことができるガス反応装置を提供する。
【解決手段】供給部1からオゾンガスを貯留部3に供給し、貯留部3内に所定圧のオゾンガスを貯留させる。反応部5内に被処理物を挿入した後、排気ポンプ12を作動させ、反応部5内を所定圧以下まで排気する。その後、貯留部3からオゾンガスを反応部5内に供給する。反応部5内のガス圧が規定値まで上昇した後、供給部1からオゾンガスを反応部5に直接に供給し、反応した排ガスをガス処理装置10で処理して排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス反応槽を用いたガス反応装置及びガス反応処理方法に係り、特にガスとしてオゾン又はオゾン含有ガスを用いる場合に好適なガス反応装置及びガス反応処理方法に関する。なお、以下、本明細書において、純オゾンガスとオゾン含有ガスとを併せてオゾンガスと称する。
【背景技術】
【0002】
オゾンガスは、無電解メッキの前処理として、樹脂表面を親水化したり、ステンレス鋼表面の強化のために不動態を形成したりする目的で広く使用されている(例えば特開昭63−250468、特開2000−31637)。
【0003】
従来のオゾンガスによる被処理物の反応処理方法では、反応槽を開け、被処理物をオゾン反応槽内に設置し、オゾン反応槽を密閉した後、オゾン反応槽内の通気入口からオゾンガスを通気して反応を開始する。
【0004】
また、オゾンガス反応処理後の操作としては、オゾン反応槽への供給ガスをオゾンガスから不活性ガス(窒素など)へ変更し、オゾンガスをパージしてから、オゾン反応槽を開けて中の被処理物を取り出す。オゾンガスを不活性ガスでパージするのは、オゾン反応槽を開けた際にオゾンガスが外部へ漏れ、周囲に甚大な影響を及ぼすことを防止するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−250468
【特許文献2】特開2000−31637
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、オゾン反応槽を開けて被処理物を取り出し、次の被処理物と交換するに際し、オゾン反応槽内のオゾンガスを一度全て不活性ガスで置換する時間や、新たにオゾンガスを再充填するための充填時間が余計にかかる。ガス反応槽内のオゾン濃度が低い場合には、反応が遅いので、その分だけ処理時間を長くしないと、被処理物を所定程度まで処理することができない。そのため、多量の被処理物を次々と処理する場合には時間がかかり効率が良くない。
【0007】
本発明は、ガスと被処理物とを反応槽内で反応させるにあたり、ガス反応槽へのガスの入れ替え時間を短縮し、効率よく処理行うことができるガス反応装置及びガス反応処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のガス反応装置は、被処理物とガスとを接触させるガス反応部と、該ガス反応部内にガスを供給するガス供給手段とを有するガス反応装置において、該ガス供給手段は、加圧されたガスを該ガス反応部に供給可能であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のガス反応装置は、請求項1において、前記ガス供給手段とガス反応部との間に、加圧されたガスを貯留するガス貯留部を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のガス反応装置は、請求項2において、前記ガス貯留部は、容積が可変であり、容積を減少させる手段を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のガス反応装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ガス反応部内からガスを排気してガス反応部内を負圧にする排気手段を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5のガス反応処理方法は、請求項1ないし4のいずれか1項のガス反応装置を用いたものである。
【0013】
請求項6のガス反応処理方法は、請求項5において、前記ガス反応部内からガスを排気してガス反応部内を負圧にした後、前記ガス供給手段から加圧されたガスを該ガス反応部に供給することを特徴とするものである。
【0014】
請求項7のガス反応処理方法は、請求項5又は6において、該ガスはオゾン又はオゾン含有ガスであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のガス反応装置及びガス反応処理方法によれば、ガス反応部内にガスを加圧供給することによりガス反応部内の雰囲気を短時間で所定のものとすることができることから、効率よく被処理物をガス反応処理することができる。
【0016】
なお、請求項2のガス反応装置によれば、加圧されたガスをガス貯留部からガス反応部に供給することができ、ガス反応部内の雰囲気を極めて短時間で所定のものとすることができる。
【0017】
請求項3のガス反応装置によれば、ガス貯留部の容積を減少させることにより、該ガス貯留部から加圧されたガスをガス反応部内に供給することができる。
【0018】
請求項4及び6のガス反応装置及びガス反応処理方法によれば、ガス反応部のガスを排気してガス反応部内を負圧にすることにより、ガス反応部の雰囲気を急速に所定のものとすることができる。
【0019】
本発明は、特にガスとしてオゾンガスを用いる場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係るガス反応装置の系統図である。
【図2】実施の形態に係るガス反応装置の系統図である。
【図3】実施の形態に係るガス反応装置の系統図である。
【図4】比較例に係るガス反応装置の系統図である。
【図5】反応部内のオゾン濃度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0022】
本発明のガス反応装置は、ガス反応部内にて被処理物とガスとを接触させて被処理物の処理を行うようにしたものにおいて、ガス反応部内に加圧ガスを供給するようにしたものである。
【0023】
加圧供給手段としては、加圧ガスを貯留すると共に、容積を減少させてガスをガス反応槽に供給するものが好適である。
【0024】
本発明では、オゾン反応部から流出するガスを無害化処理する排ガス処理装置が設けられていることが好ましい。オゾンガス無害化処理手段としては、オゾンガスを外部へ放出しても問題ない濃度まで低減できる装置であれば特に限定はなく、触媒担持活性炭や熱分解装置、紫外線分解装置などを用いることができる。
【0025】
本発明のガス反応処理方法は、このガス反応装置を用いて被処理物を処理する。被処理物としては、金属、合成樹脂、セラミック、植物系材料、動物系材料、それらの複合材など各種のものが挙げられる。ガスとしてはオゾンガスが好適である。
【0026】
オゾンガス等の反応ガスの供給量、オゾン濃度等は被処理物をどこまで処理したいかに応じて設定すればよい。
【0027】
被処理物を反応部内に滞留させる時間も、被処理物と反応部の大きさ、被処理物の特性等に応じて選定すればよい。
【0028】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0029】
第1図〜第3図はそれぞれ実施の形態に係るガス反応装置の系統図である。
【0030】
まず、第1図のガス反応装置について説明する。
【0031】
このガス反応装置は、オゾンガス供給部1と、該オゾンガス供給部1から供給されるオゾンガスを圧縮して貯留するオゾンガス貯留部3と、該オゾンガス貯留部3から供給されるオゾンガスにより被処理物を処理するオゾン反応部(以下、単に反応部ということがある。)5と、オゾンを無害化処理するガス処理装置8,10と、吸引排気用のポンプ12等を有する。
【0032】
オゾンガス供給部1は、弁Vを備えた配管2を介してオゾンガス貯留部3に接続され、このオゾンガス貯留部3は弁Vを備えた配管4を介して反応部5と接続されている。なお、オゾンガス供給部1は、弁Vを備えた配管6を介して反応部5と直接に接続されている。また、オゾンガス貯留部3には、リリーフ弁Vを有した配管7を介してガス処理装置8が接続されている。貯留部3内のオゾンガス圧がリリーフ弁Vの設定圧力以上になると、オゾンガスが貯留部3からガス処理装置8へリークし、貯留部3内のオゾンガス圧が常にこの設定圧を超えないものとなる。
【0033】
反応部5は、被処理物の出入口(図示略)を有している。当然ながら、この出入口の蓋は密閉可能な構成となっている。反応部5には大気開放弁(図示略)が設けられている。この大気開放弁は、反応部5内に空気を流入させるときだけ開とされ、その他の時には閉とされている。
【0034】
反応部5は、弁Vを有する配管9を介してガス処理装置10に接続されている。このガス処理装置10は、配管11を介して排気ポンプ12に接続されており、該排気ポンプ12によってガス処理装置10を介して反応部5内のガスを排気しうるよう構成されている。
【0035】
オゾンガス供給部1は、酸素供給源とオゾン発生器から構成されるオゾン製造部を持つことが好ましい。また、オゾンガスをオゾンガス貯留部3へ加圧供給するためにコンプレッサーなどの動力源を有するかあるいはオゾンの原料の酸素ガスが高い圧力を保持していることが好ましい。
【0036】
オゾンガス貯留部3の材質はステンレス鋼など反応ガスと極力反応性が低い材質であることが好ましい。また、オゾンガスに対する反応性を低くするため、オゾンガス貯留部3の内面を予めコーティングや不動態膜処理のような表面処理をしておくのもよい。
【0037】
オゾンガス貯留部3の容積は、オゾン反応部5より大きい方が好ましく、反応部5の容積1.5〜10倍程度であることが好ましい。またオゾンガス貯留部3の内圧がオゾン反応部5より大きくなるよう設定される。これは、オゾン反応部5に流入させるオゾンガスのオゾン濃度やオゾン反応部内の圧力を高くするためである。
【0038】
オゾンガス貯留部3の形状に特に制限はないが、圧縮ガスを貯留するため、安全面から円筒形が好ましい。
【0039】
また、オゾンガス貯留部3は、容積可変に構成されていて、オゾンガス貯留部の容積を変化させることによりオゾンガスの貯蓄と排出を交互に繰り返すものが好適であり、具体的には、貯留部が蛇腹構造(ちょうちん形)やシリンジ構造のものが例示される。この貯留部にあっては、オゾンガスを流入させて徐々に膨らませ、規定量の反応ガスが入った後に、反応部へ通じる弁Vを開けると同時に貯留部を動力で縮ませることにより、オゾンガス貯留部内のオゾンガスを反応部へ流出させることができる。容積可変型でない場合は、加圧されたオゾンガスをオゾン反応部に供給する時、オゾンガス貯留部とオゾン反応部の内圧が等しくなるとオゾンガスの供給は止まる。なお、加圧型と容積可変型はどちらを用いても、また両者を併用しても構わない。例えば容積可変型のオゾンガス貯留部を用いたとき、初めはオゾンガス流入に伴って容積が増加するが、容積上限値を超えてなおオゾンガスを流入させた場合はオゾンガス貯留部内でガスが圧縮される。
【0040】
オゾン反応部5の材質は、オゾンガスと極力反応性が低い材質であることが好ましい。
【0041】
オゾン反応部5の形状は、内部に被処理物を設置できる構造になっていればよく、特に限定されないが、無駄なスペースのないものが好ましい。
【0042】
また、オゾン反応部5はオゾンガス貯留部3からオゾンガスを供給する前の時点で減圧されて負圧になっていることが好ましい。このためには、例えばオゾン反応部3内を排気ポンプ12で排気しておくのが良い。このため、オゾン反応部は排気による負圧に耐える強度を持つことが望ましい。
【0043】
次に、この第1図のガス反応装置を用いて被処理物をオゾン処理する方法の好適例について説明する。
【0044】
弁Vを開、弁V、Vを閉とし、オゾンガス供給部1からオゾンガスをオゾンガス貯留部3に供給し、オゾンガス貯留部3内に所定圧のオゾンガスを貯留させる。
【0045】
また、反応部5内に被処理物を挿入した後、弁Vを開とし、排気ポンプ12を作動させ、反応部5内を所定圧以下まで排気する。
【0046】
その後、弁Vを閉、弁Vを開とし、オゾンガス貯留部3からオゾンガスを反応部5内に供給する。反応部5内のガス圧は急速に上昇する。反応部5内のガス圧が規定値まで上昇した後、弁Vを閉、弁V、Vを開とし、オゾンガス供給部1からオゾンガスを反応部5に直接に供給し、反応した後の排ガスをガス処理装置10に供給して処理し、配管11から排出させる。なお、この際、排気ポンプ12は停止していてもよく、低速で作動させてもよい。反応部5の内圧は反応部へのガス供給条件と弁Vの調節により所望の値に整える。
【0047】
反応部5内で被処理物とオゾンガスとを所定時間接触させた後、排気ポンプ12を作動させると共に、反応部5に設けられた大気開放弁を開とし、反応部5内のオゾンガスを排気する。その後、反応部5から被処理物を取り出し、次ロットの被処理物を反応部5内に挿入し、次いで大気開放弁を閉とし、次回のオゾン処理工程を開始する。
【0048】
なお、この被処理物の取り出し、挿入を行っている間に、オゾンガス貯留部3にオゾンガス供給部1からオゾンガスを供給しておくのが好ましい。
【0049】
第2図は別の実施の形態に係るガス反応装置の系統図である。この実施の形態では、オゾンガス貯留部3と配管11とを直に接続するように、弁Vを有したバイパス配管13が設けられている。第2図のその他の構成は第1図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0050】
この第2図のガス反応装置を用いて被処理物を処理する場合、第1回目のオゾン処理工程の開始に先立って、弁Vを開、弁V,Vを閉とし、排気ポンプ12を作動させ、オゾンガス貯留部3内を−0.1MPa程度まで排気し、該貯留部3内のガスを排出しておく。その後、弁Vを閉、弁Vを開とし、オゾンガス供給部1からオゾンガスをオゾンガス貯留部3に供給し、オゾンガス貯留部3内に所定圧のオゾンガスを貯留させる。その後は、第1図のガス反応装置と同じ手順で第1回目のオゾン処理を行う。第2回目以降のオゾン処理手順は、第1図の場合と同一である。
【0051】
この第2図のガス反応装置によると、第1回目のオゾン処理工程に先立ってオゾンガス貯留部3内のガスを排出しておくので、オゾンガス貯留部3内にガスがほとんどない状態からオゾンガスを貯留することができ、純度の高いオゾンガスを短時間でオゾンガス貯留部3内に貯留させることができる。
【0052】
第3図は本発明のさらに別の実施の形態に係るガス反応装置の系統図である。
【0053】
この実施の形態では、オゾンガス供給部1は、オゾン発生器1aに対し、窒素ボンベ等の窒素源1bから窒素ガスを供給し、酸素ボンベ等の酸素源1cから酸素ガスを供給するよう構成されている。この窒素源1bは、弁Vを有した配管14を介して反応部5へ窒素ガスを供給可能としている。反応部5にオゾン濃度計5aが設けられている。
【0054】
第3図のその他の構成は第1図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0055】
第3図のガス反応装置によって被処理物を処理する工程が第1図の場合と異なるのは、反応部5での処理が終了した後、ポンプ12で反応部5内のガスを吸引排出するに際し、弁Vを開とし、反応部5内に窒素源1bから窒素ガスを供給してオゾンガスをパージするようにした点であり、その他の手順は第1図の場合と同様である。
【0056】
なお、図示はしないが、第2図のガス反応装置においても、反応部5に窒素源から窒素を供給可能とし、反応部5内のオゾンガスを窒素ガスでパージ可能としてもよい。
【0057】
反応部5内から被処理物を取り出すときの反応部5内を空気ではなく窒素雰囲気とした場合には、反応部5内を低湿度かつ高い清浄度に保持することができる。水分や汚れはオゾンと反応し、被処理物の処理性にムラを生じさせる原因となる。これらをクリーンな窒素によるパージで排除することで処理の安定性を増すことができるという長所がある。
【実施例】
【0058】
以下、実施例及び比較例について説明する。
<実施例1>
第3図のガス反応装置において、オゾン発生器1aとして住友精密工業(株)製のものを用いた。ガス源1c,1bとしては工業用酸素ボンベと工業用窒素ボンベを用い、酸素と窒素を、窒素が全体の0.5%volとなるように混合してオゾン発生器1aを供給した。オゾンガス貯留部3の槽は容積50L(直径36cm、高さ50cmの円筒形)のSUS304製であり、内表面を電解研磨の表面処理を施したものである。オゾン反応部5の槽は15L(直径20cm、高さ48cmの円筒形)のSUS304製であり、内表面を電解研磨の表面処理を施したものである。排オゾンガスを処理するためのガス処理装置8,10は、オゾン分解用触媒として品川化成(株)製「セカード MR−4」を10L充填したSUS304製の円筒形カラムとした。
【0059】
処理手順は次の通りである。
【0060】
被処理物としてABS樹脂片(50mm×100mm×3mm)を3枚オゾン反応槽5内に設置した。
【0061】
次に、弁V、Vを閉とし、弁Vを開とし、オゾン反応槽5内を排気ポンプ12により排気し、−0.10MPa程度の負圧とした。
【0062】
また、弁Vを開とし、オゾン発生器1aからオゾン濃度300g/Nmのオゾンガスを12NL/minの割合にてオゾンガス貯留部3に供給し、オゾンガス貯留槽内の圧力が0.20MPaになるまでオゾンガス貯留槽に通気し続けた(30分間)。
【0063】
次いで、排気ポンプ12を停止し、弁Vを閉、Vを開とし、オゾンガス貯留槽に加圧貯留されていたオゾンガスを瞬時にオゾン反応槽へ供給し、オゾン反応部5の槽内の圧力を約0.15MPaとした。次いで、弁Vを閉、Vを開とし、オゾン発生器1aからのオゾンガスを配管6によってオゾン反応部5へ直接に12NL/minにて供給した。
【0064】
所定の処理時間(ここでは3分間とした)が経過した後、弁Vを閉とし、弁Vを開とし、窒素ガスを約12NL/minの割合にて反応部5に通気することにより、オゾン反応槽内に残留しているオゾンガスをパージした。
【0065】
オゾン反応槽内のオゾン濃度が0.1g/Nm以下になったことを確認した後、被処理物をオゾン反応槽から取り出し、被処理物の接触角を測定した。結果を表1に示す。
<比較例1>
第4図のガス反応装置を用いて実施例1と同一の被処理物をオゾン処理した。
【0066】
第4図のガス反応装置は、第3図のガス反応装置において、オゾンガス貯留部3、ガス処理装置8、排気ポンプ12及び配管2,4を省略し、オゾン発生器1aからのオゾンガスを配管6のみを介して直接に反応部5へ供給するようにしたものである。用いた各機器は実施例1と同一である。なお、オゾン発生機1aとガス処理装置10とを直結するように、弁Vを有した配管15が設けられている。通常時は弁Vは閉とされている。
【0067】
オゾン発生器1aから実施例1と同一オゾン濃度のオゾンガスを同一供給速度で配管6に送り出し、反応部5に供給した。このオゾンガスの供給開始後、3分経過後、弁Vを閉、弁Vを開とし、窒素源1bから反応部5へ窒素ガスを供給してオゾンガスをパージした後、被処理物を取り出し、この被処理物の接触角を測定した。結果を表1に示す。
<比較例2>
処理時間を4分間としたこと以外は比較例1と同一条件にて被処理物を処理し、その接触角を測定した。結果を表1に示す。なお、実施例1、比較例1,2における反応部5内のオゾン濃度の経時変化を第5図に示す。
【0068】
【表1】

<考察>
同じ処理時間の実施例1と比較例1では、実施例1の方が十分にオゾン処理されていることが認められる。比較例1のフローで実施例と同等の処理性能を得るには、比較例2の結果から、処理時間を1分半程増やす必要があることが認められた。
【0069】
第5図からも明らかなように、実施例1では比較例1,2に比べオゾン反応槽内のオゾン濃度を短時間で所望の濃度にすることができるため、オゾンガスの貯留を前のオゾンガス処理工程中に行っておけば、1回あたりの合計の処理時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0070】
1 オゾンガス供給部
3 オゾンガス貯留部
5 オゾン反応部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物とガスとを接触させるガス反応部と、該ガス反応部内にガスを供給するガス供給手段とを有するガス反応装置において、
該ガス供給手段は、加圧されたガスを該ガス反応部に供給可能であることを特徴とするガス反応装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ガス供給手段とガス反応部との間に、加圧されたガスを貯留するガス貯留部を備えていることを特徴とするガス反応装置。
【請求項3】
請求項2において、前記ガス貯留部は、容積が可変であり、容積を減少させる手段を備えていることを特徴とするガス反応装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ガス反応部内からガスを排気してガス反応部内を負圧にする排気手段を備えたことを特徴とするガス反応装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項のガス反応装置を用いたガス反応処理方法。
【請求項6】
請求項5において、前記ガス反応部内からガスを排気してガス反応部内を負圧にした後、前記ガス供給手段から加圧されたガスを該ガス反応部に供給することを特徴とするガス反応処理方法。
【請求項7】
請求項5又は6において、該ガスはオゾン又はオゾン含有ガスであることを特徴とするガス反応処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−221071(P2010−221071A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68108(P2009−68108)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】