説明

ガス検査用回転式接続アダプター

【課題】 異なる種類のガスを供給する複数のガス供給口の周囲に定位置の基準孔と種類別に位置の異なる個別孔を設けて接続アダプターの誤接続を防止したガスアウトレットに対して、ガス供給口から供給されたガスを検査するガス検査器のチューブと各ガス供給口とを接続する際に用いるガス検査用回転式接続アダプターにおいて、複数のガス供給口から供給される医療ガスを検査する時に接続アダプターを差し替えることなく効率的に検査作業できるガス検査用回転式接続アダプターを提供する。
【解決手段】 ガス供給口の基準孔へ挿入する固定ピン5とアダプターの一部の回転により位置を変えて個別孔へ挿入する移動ピン3をアダプターに設け、同移動ピン3と固定ピン5との相対位置を変えてガス別の個別孔を選択することで、アダプターを差し替えることなく複数種のガス供給口に接続してガスの検査ができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として医療施設の治療室に設けられたガスアウトレットのガス供給口にガス検査器のガス取込チューブを接続して医療ガスのガス圧・ガス流量・ガス種類の検査をする際に用いられるガス検査用回転式接続アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設の治療室の壁面には、治療する際に用いる酸素ガスや笑気ガス,治療用空気等の医療ガスを供給するガス供給口を個別に備えたガスアウトレットが設けられている。各ガス供給口にはホースに備えた接続アダプターと係合するための専用のピン孔が位置を異ならせて形成されており、ホースの誤接続を防止できるようにしている。
【0003】
ところで、治療室においては治療に必要な圧力及び流量の各医療ガスが常時供給されているかをガス検査器を用いて定期的に検査している。この検査はガス検査器のガス取込チューブを接続アダプターを介してガス供給口と接続して行うが、前述の通り各ガス供給口は専用のピン孔が形成されているから医療ガスの種類毎の接続アダプターを複数準備して差し替える必要があり、検査に時間を要して効率が悪いものであった。
【特許文献1】実用新案登録第3013926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、複数のガス供給口から供給される医療ガスを検査する際に接続アダプターを差し替えることなく1つの接続アダプターでもって効率的に検査作業できるガス検査用回転式接続アダプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 異なる種類のガスを供給する複数のガス供給口の周囲に定位置の基準孔と種類別に位置の異なる個別孔を設けて接続アダプターの誤接続を防止したガスアウトレットに対して、ガス供給口から供給されたガスを検査するガス検査器のガス取込チューブと各ガス供給口とを接続する際に用いるガス検査用回転式接続アダプターであって、ガス取込チューブに接続されるベース部材の流路の他端にガス供給口へ挿入するノズルを取り付け、同ノズル周囲のベース部材位置に個別孔へ挿入する移動ピンを突設し、ノズルとベース部材との間にノズル中心まわりに円弧状の長孔を備えたキャップを回転自在に取り付け、前記移動ピンを長孔から突出させ、同キャップに基準孔へ挿入する固定ピンを突設し、キャップ又はベース部材を回転させることにより移動ピンと固定ピンの相対位置を変えて個別孔への挿入位置が選択できるようにしたことを特徴とする、ガス検査用回転式接続アダプター
2) ベース部材の上面にボールを配設し、キャップの裏面にボールと嵌合する保持凹所を移動ピンがガス別の個別孔に挿入できるようにする位置に複数形成し、ボールと保持凹所とを嵌合させて移動ピンの長孔内の位置を位置決めして保持できるようにした、前記1)記載のガス検査用回転式接続アダプター
3) 異なる種類のガスを供給する複数のガス供給口の周囲に定位置の基準孔と種類別に位置の異なる個別孔を設けて接続アダプターの誤接続を防止したガスアウトレットに対して、ガス供給口から供給されたガスを検査するガス検査器のガス取込チューブと各ガス供給口とを接続する際に用いるガス検査用回転式接続アダプターであって、ガス取込チューブに接続されるベース部材の流路の他端にガス供給口へ挿入するノズルを取り付け、同ノズル周囲のベース部材位置に個別孔へ挿入する移動ピンを突設し、ベース部材の外周にリング部材を回転自在に取り付け、同リング部材の上端一部をベース部材上方に折曲し、同折曲部分に基準孔へ挿入する固定ピンを突設し、リング部材又はベース部材を回転させることにより移動ピンと固定ピンの相対位置を変えて個別孔への挿入位置が選択できるようにしたことを特徴とする、ガス検査用回転式接続アダプター
4) ガスが医療施設で治療に用いる酸素・笑気・空気の3種類の医療ガスである、前記1)〜3)いずれか記載のガス検査用回転式接続アダプター
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、キャップ又はベース部材を回転させてキャップの固定ピンとベース部材の移動ピンの相対位置を変更してガス別の個別孔の位置を選択することで、ガス検査器のガス取込チューブを1つのアダプターで複数種のガス供給口に接続してガスの検査ができ、個別にアダプターを準備したり差し替えたりする必要がなく検査の作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、キャップとベース部材との間にノッチ手段等を設けて移動ピンの個別孔への挿入位置を位置決めし易いようにするのが望ましい。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜5に示す実施例は、病院の手術室の壁面に有するガスアウトレットのガス供給口にガス検査器のガス取込チューブを接続してガスの検査を行う際に用いる医療ガス検査用回転式接続アダプターの例である。図1は実施例のガス検査用回転式接続アダプターの説明図、図2は実施例のガス検査用回転式接続アダプターの分解斜視図、図3は実施例のガス検査用回転式接続アダプターの縦断面図、図4は実施例のキャップの裏図面、図5は実施例のガス検査用回転式接続アダプターの使用状態を示す説明図である。
【0009】
図中、1はガス検査用回転式接続アダプター、2はベース部材、2aは接続部、2bは流路、2cはボール受け凹所、2dはネジ孔、2eはピン取付孔、2fはピン孔、3は移動ピン、4はキャップ、4aは長孔、4bは差込孔、4cはピン取付孔、4d1〜4d3は保持凹所、5は固定ピン、6はボール、6aはボール受け、7はシールパッキン、8はノズル、8aは掛止凹所、9は固定ネジ、10は抜止ピン、11はガス取込チューブ、12はガス検査器、13はガスアウトレット、14はガス供給口、14aは基準孔、14bは個別孔である。
【0010】
本実施例のガス検査用回転式接続アダプター1は、図1〜4に示すようにベース部材2のボール受け凹所2cにボール6を挿入したボール受け6aを取り付け、ピン取付孔2eに下端がネジ切られた移動ピン3を螺着し、ベース部材2の上面にキャップ4をその長孔4aに移動ピン3を挿通して突出させて被覆し、キャップ4のピン取付孔4cに下端がネジ切られた固定ピン5を螺着し、キャップ4の差込孔4bにガス供給口14に接続するノズル8をシールパッキン7を介してベース部材2の流路2bまで挿入してキャップ4を回転自在に取り付け、ベース部材2のネジ孔2dに固定ネジ9を螺挿してノズル8の掛止凹所8aに掛止し、ベース部材2のピン孔2fに抜止ピン10を挿入して固定ネジ9を押し付けている。
【0011】
このガス検査用回転式接続アダプター1をガス検査器12のガス取込チューブ11にベース部材2の接続部2aを接続して用いられる。このガス検査用回転式接続アダプター1の使用方法を図5に基づいて説明する。手術室の壁面には酸素ガス,笑気ガス,治療用空気を供給するガス供給口14を有するガスアウトレット13が備えられており、各ガス供給口14の周囲には基準孔14aがそれぞれ同一の位置に形成され、医療ガスの種類を示す個別孔14bがそれぞれ異なる本数で且つ異なる位置に形成されている。
【0012】
ガス検査用回転式接続アダプター1は、例えば酸素ガスを検査する場合は個別孔14bはガス供給口14の直下にあるから、移動ピン3が長孔4aの中央に来るようにキャップ4又はベース部材2を回す。このときキャップ4の保持凹所4d2がボール6と嵌合して決めた位置が保持される。この状態でガス検査用回転式接続アダプター1のノズル8をガス供給口14に挿入して固定ピン5を基準孔14aへ、移動ピン3を個別孔14bへ嵌合させて接続し、医療ガスの検査が行なわれる。
【0013】
笑気ガスを検査する場合は、移動ピン3が長孔4aの右側に来るようにキャップ4又はベース部材2を回して保持凹所4d1とボール6を嵌合して位置を保持し、ガス供給口14に接続して検査する。治療用空気を検査する場合は、2箇所の個別孔14bのうち1箇所が笑気ガスと同じ位置で且つ他方の個別孔14bが対向する位置に形成されており、移動ピン3は位置を変更することなくそのまま接続して検査できる。このように、個別孔14bの位置がガス検査用回転式接続アダプター1の長孔4aの範囲内である限り、ガス別にアダプターを差し替える手間を省略でき、効率良く検査作業が行えるようになる。
【0014】
図6,7に示すのは実施例の他の例である。図6は実施例の他の例のガス検査用回転式接続アダプターの説明図、図7は実施例の他の例のガス検査用回転式接続アダプターの縦断面図である。図中、15はリング部材、15aはピン取付孔、15bは補助部材である。図6に示す実施例の他の例は、キャップ4に代えてリング部材15を用いている。リング部材15をベース部材2の外周に配置して下方から補助部材15bで回転自在に固定している。同リング部材15の上端一部はベース部材2上方に折曲してピン取付孔15aを形成し、同ピン取付孔15aに固定ピン5を突設している。リング部材15又はベース部材2を回転させると、移動ピン3はリング部材15の開放された部分で移動し、移動ピン3の個別孔14bへの挿入位置が選択される。その他、符号、構成、使用方法は実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明のガス検査用回転式接続アダプターは、主として医療施設の治療室に供給される医療ガスの検査時に利用されるが、その他ガスの種類を特定するためのピン孔を有するガス供給口に接続して様々なガスの検査を行う作業に幅広く応用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例のガス検査用回転式接続アダプターの説明図である。
【図2】実施例のガス検査用回転式接続アダプターの分解斜視図である。
【図3】実施例のガス検査用回転式接続アダプターの縦断面図である。
【図4】実施例のキャップの裏面図である。
【図5】実施例のガス検査用回転式接続アダプターの使用状態を示す説明図である。
【図6】実施例の他の例のガス検査用回転式接続アダプターの説明図である。
【図7】実施例の他の例のガス検査用回転式接続アダプターの縦断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ガス検査用回転式接続アダプター
2 ベース部材
2a 接続部
2b 流路
2c ボール受け凹所
2d ネジ孔
2e ピン取付孔
2f ピン孔
3 移動ピン
4 キャップ
4a 長孔
4b 差込孔
4c ピン取付孔
4d1〜4d3 保持凹所
5 固定ピン
6 ボール
6a ボール受け
7 シールパッキン
8 ノズル
8a 掛止凹所
9 固定ネジ
10 抜止ピン
11 チューブ
12 ガス検査器
13 ガスアウトレット
14 ガス供給口
14a 基準孔
14b 個別孔
15 リング部材
15a ピン取付孔
15b 補助部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる種類のガスを供給する複数のガス供給口の周囲に定位置の基準孔と種類別に位置の異なる個別孔を設けて接続アダプターの誤接続を防止したガスアウトレットに対して、ガス供給口から供給されたガスを検査するガス検査器のガス取込チューブと各ガス供給口とを接続する際に用いるガス検査用回転式接続アダプターであって、ガス取込チューブに接続されるベース部材の流路の他端にガス供給口へ挿入するノズルを取り付け、同ノズル周囲のベース部材位置に個別孔へ挿入する移動ピンを突設し、ノズルとベース部材との間にノズル中心まわりに円弧状の長孔を備えたキャップを回転自在に取り付け、前記移動ピンを長孔から突出させ、同キャップに基準孔へ挿入する固定ピンを突設し、キャップ又はベース部材を回転させることにより移動ピンと固定ピンの相対位置を変えて個別孔への挿入位置が選択できるようにしたことを特徴とする、ガス検査用回転式接続アダプター。
【請求項2】
ベース部材の上面にボールを配設し、キャップの裏面にボールと嵌合する保持凹所を移動ピンがガス別の個別孔に挿入できるようにする位置に複数形成し、ボールと保持凹所とを嵌合させて移動ピンの長孔内の位置を位置決めして保持できるようにした、請求項1記載のガス検査用回転式接続アダプター。
【請求項3】
異なる種類のガスを供給する複数のガス供給口の周囲に定位置の基準孔と種類別に位置の異なる個別孔を設けて接続アダプターの誤接続を防止したガスアウトレットに対して、ガス供給口から供給されたガスを検査するガス検査器のガス取込チューブと各ガス供給口とを接続する際に用いるガス検査用回転式接続アダプターであって、ガス取込チューブに接続されるベース部材の流路の他端にガス供給口へ挿入するノズルを取り付け、同ノズル周囲のベース部材位置に個別孔へ挿入する移動ピンを突設し、ベース部材の外周にリング部材を回転自在に取り付け、同リング部材の上端一部をベース部材上方に折曲し、同折曲部分に基準孔へ挿入する固定ピンを突設し、リング部材又はベース部材を回転させることにより移動ピンと固定ピンの相対位置を変えて個別孔への挿入位置が選択できるようにしたことを特徴とする、ガス検査用回転式接続アダプター。
【請求項4】
ガスが医療施設で治療に用いる酸素・笑気・空気の3種類の医療ガスである、請求項1〜3いずれか記載のガス検査用回転式接続アダプター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−284438(P2006−284438A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106414(P2005−106414)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(504413768)株式会社エフエスユニ西日本 (2)
【Fターム(参考)】