説明

ガス流から粒子を分離するための方法及び装置

【課題】非常に小さい軽い粒子及び大きい重い粒子の両方をガス流から分離するための装置を提供する。
【解決手段】中間ガス流隙間48を伴う複数の隣り合う表面要素16を有し且つ周囲のケーシング12内に回転可能に取り付けられるロータ14を備え、汚れたガス用の入口18とクリーンガス用の出口22と分離された粒子用の出口24とを上記ケーシングが有するタイプの遠心分離機10の遠心力と静電気引力との複合作用によって大きい重い粒子及び小さい軽い粒子の両方をガスから分離することができる。帯電ユニット44はロータ14の上流側で粒子を電離する。電離された軽い粒子を静電気力によって表面要素の面へ向けて引き付けるために、ロータの隣り合う表面要素16間に電界が形成される。ロータによって形成される遠心力により、表面要素上に蓄積された粒子は、ケーシングの内面へ向けて投げ出され、出口を通じて導出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流から粒子を分離するための方法に関する。より具体的には、本発明は、非常に小さい軽い粒子及び大きい重い粒子の両方をガス流から分離するための方法に関する。また、本発明は、そのような方法を実行するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多量のガス流から粒子を分離するため、現在、様々なタイプの遠心分離機が使用されている。例えば、国際公開公報第01/36103号及び米国特許第3 234 716号は、油粒子や塵埃などの粒子を含むガスを清浄するための遠心分離機について記載している。この場合、分離機は、固定ケーシング内に回転可能に取り付けられ且つ例えば円錐堆積プレート(挿入プレート)の形態を成す表面要素の積層体を有するロータを備える。このタイプの分離機は、幅広い粒径範囲内の粒子の分離に有効である。これは、プレート要素と高い遠心力との間の短い堆積距離に起因している。このタイプの分離機は、多量の粒子を扱うのに適している。しかしながら、これらは、例えばガス流中のあまりにも小さく軽すぎる粒子、例えば約1μmよりも小さい粒子の分離などの特定の用途においてあまり有効ではない。したがって、これらの極めて小さい軽い粒子は、多くの場合、表面要素上及び周囲のケーシングの内面上に堆積することなく、ロータのプレート積層体を通過することができ、その結果、これらの粒子は、分離されることなく、ガスと共に分離機を通過して出てしまう。
【0003】
極めて小さい軽い粒子をガス流中から分離するため、静電フィルタ又は静電クリーナを使用することができるが、このフィルタ又はクリーナは、大きな粒子を分離して多量の粒子を処理する場合には限界がある。
【0004】
非常に小さい軽い粒子及び大きい重い粒子の両方をガス流から分離できるようにするため、様々なタイプの静電フィルタ又は静電クリーナが既に提案されてきており、これを使用することにより、静電気力と遠心力との組み合わせによって細かい粒子をガスから分離することができる。例えば、英国特許第729 612号、米国特許第2 853 151号及び米国特許第4 718 923号は、遠心力によって小さい粒子及び大きい粒子を分離するためにガス流中の粒子が帯電されると同時にガス流がサイクロン作用に晒される様々なタイプのそのような静電分離機について記載している。これらの分離機に伴う欠点は、粒子が堆積される帯電面が固定されており、静電気力が役に立たない程度まで上記帯電面が急速にコーティングされるようになるという点である。したがって、そのような分離機は、粒子含有量が高いガス流を扱うことができない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、大きい重い粒子及び非常に小さい軽い粒子の両方を個別に或いは一緒に分離する際の効率及び能力を高める方法を提案することである。基本的に、これは、ガス流中の粒子が電離ステップで帯電され、帯電された粒子を伴うガス流が、遠心分離機のロータ上のプレート状堆積表面要素間の複数の隙間を通じて流され、これらの隙間には、隣り合う堆積表面要素間に粒子の電位と異なる電位を印加することにより電界が形成され、粒子が隙間を通過する間、少なくとも静電気引力によって堆積表面要素の面上に粒子が堆積され、堆積表面要素上に堆積された粒子が、ロータの回転によって堆積表面要素の外周に向かって流出されるとともに、そこから、ロータを取り囲むケーシングの内面に向けて投げ出され、ケーシングの内面上に捕捉された粒子、及び、粒子が取り除かれたガスが、ケーシングの別個の出口を通じてケーシングから導出される、ことにより本発明にしたがって達成できる。そのような方法により、遠心力のみを使用して分離(“重力分離”)できない極めて小さい軽い粒子(約1μmよりも小さい)が最初に静電気引力によって表面要素上に堆積され、その後、表面要素上の粒子の蓄積物をロータの回転によってケーシングの周壁に向けて投げ出した後、ケーシングの粒子用出口を通じて導出される。
【0006】
非常に小さい軽い粒子及び重い粒子の両方を分離するため、ロータの回転によって形成される遠心力と静電気引力との同時複合作用により粒子が隙間を通過する間に堆積表面要素の面上に粒子を堆積させれば、特に有益である。
【0007】
本発明によれば、独立請求項4及び独立請求項5により、並流分離及び向流分離の両方においてこの方法を実行するための他の装置も提案される。
【0008】
本発明の更なる内容及び利点は、以下の請求項及び添付図面に関連する詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】円錐堆積プレートを有する本発明に係る静電遠心分離機の第1の実施形態を側面図で概略的に示している。
【図2】平坦な径方向堆積プレートを有する本発明に係る静電遠心分離機におけるロータの第2の実施形態を側面図で概略的に示している。
【図3】同じ方向で回転する電離空間を伴う平坦な軸方向堆積プレートを有する本発明に係る静電遠心分離機におけるロータの第3の実施形態を平面図で概略的に示している。
【図4】図3の実施形態に類似するが各電離空間に関連付けられた複数の堆積隙間を有する第4の実施形態を平面図で概略的に示している。
【図5】半径に対して所定の角度を成す平坦な軸方向堆積プレートを有する本発明に係る静電遠心分離機におけるロータの第5の実施形態を平面図で概略的に示している。
【図6】図5の実施形態に類似するが静止電離空間を有する第6の実施形態を平面図で概略的に示している。
【図7】図6の実施形態に類似するが堆積チャンネルの平行な対向する表面を有する第7の実施形態を平面図で概略的に示している。
【図8】湾曲する軸方向堆積プレートを有する本発明に係る静電遠心分離機におけるロータの第8の実施形態を平面図で概略的に示している。
【図9】向流分離のための本発明に係る静電遠心分離機におけるロータの第9の実施形態を平面図で概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1には、本発明に係る遠心分離機の第1の実施形態が全体的に参照符号10で示されており、この遠心分離機は、静電気引力と遠心力との同時複合作用によって、ガス流中の静電的に帯電された固体粒子及び/又は液体粒子を分離するようになっている。分離機10は固定ケーシング12を備えており、固定ケーシング12内にはロータ14が回転可能に取り付けられている。このロータ上には、同心的な円錐状のプレート状要素、いわゆる挿入プレート16の積層体の形態で複数の堆積表面要素が取り付けられており、以下では、その構造について更に詳しく説明する。ケーシング12は、清浄されるべきガスのための入口18を有する。入口18は、ロータ14内の中央入口シャフト20内へと同心的に開放している。また、ケーシング12は、遠心分離機10内で清浄されたガスのための出口22と、ガスから分離された粒子のための出口24とを有する。
【0011】
ロータ14は下端部26を有し、下端部26上には円錐挿入プレート16が積み重ねられており、これらの挿入プレートは、スペーサ(図示せず)によって、僅かな軸方向距離だけ離間された状態に保たれている。図面には、明確にするのため4つのプレート16だけが示されており、これらのプレートは、誇張された厚さをもって且つ誇張された離間距離で示されている。ロータ14は、ここでは電気モータ28によって例示される駆動ユニットによりシャフト30を介して駆動される。
【0012】
円錐挿入プレート16は、3つの層、すなわち、外側に面する導電表面層32と、非導電材料から成る内部の絶縁中間層34と、内側に面する導電表面層36とから構成することができる。少なくとも内側に面する表面層36は、概略的に示される別個のリード線40により電源38に対して電気的に接続されており、あるいは、アースに対して接続されている。電源38は、プレート要素の内側に面する表面層36に対して印加するのに適した高電圧をモータ28及びロータ14の回転によって発生する発電機を備えることができる。一方、外側に面する表面層32は、リード線42を介してアースに接続することができ、あるいは、粒子と同じタイプの電位を有することができ、それにより、隣り合うプレート要素16の対向面同士の間に電界が形成される。円錐挿入プレート16の上流であって、入口18内の何らかの場所(図2参照)又は図1に示されるようにロータ14の中央入口シャフト20の内側には、ガス流中の粒子が円錐挿入プレート16間に導かれる前に当該粒子を帯電させるために電離ユニット44が配置されている。電離ユニット44は、例えば、入口18内又は入口シャフト20内に配置することができ或いは電源38内の電子ユニット(図示せず)又は完全に別個の電子ユニット(図示せず)と一体化できるコロナワイヤ46などの様々な装置を備えることができる。コロナワイヤ46は、例えば、軸に沿って配置することができ、あるいは、シャフト20内でリングの形態を成すことができる。あるいは、コロナワイヤ46は、隣り合う挿入プレート16間の入口隙間と同心のリング(図示せず)として配置できるとともに、ロータ14と共に回転するように配置することができる。コロナワイヤ46を用いることにより、ガス流中の粒子がガス流と共に挿入プレート16間の隙間48内へ導かれる前に、当該粒子に対して例えばマイナス電位を与えることができる。コロナワイヤ46は例えば−10kV〜−20kV程度の電圧で動作できる。このとき、表面層36の電位は、例えば数キロボルト、例えば約+5kVとなり得る。
【0013】
図1に係る実施形態の遠心分離機10は原理的に以下のように動作する。
【0014】
ガスから分離されるべき小さい軽い粒子及び大きい重い粒子の両方を含むガス流が、入口18を介して、分離機のロータ14の中央入口シャフト20内へと導かれる。この上流側でシャフト20へと導かれる途中、あるいは、図示のように入口シャフト20それ自体の中で、ガス流中の粒子は、電離ユニット44のコロナワイヤ46によって、粒子の電離により帯電される。また、挿入プレート16間の隙間48を通じてガス流が通過する間、遠心力により分離することが困難な小さい軽い粒子は、それらの帯電電位に起因して、反対の或いは異なる帯電電位を有する挿入プレート16の表面層36上に直ちに堆積して捕捉される。ここで説明する実施形態では、利用される方法が並流分離であり、この並流分離においては、ガス流がロータの内側から外側へ通過するとともに、粒子は、隙間48を通過する間、遠心力と静電気力との複合作用によって挿入プレート16の内側に面する表面36上に蓄積し、その後、挿入プレートの外周へ向かって滑り出し、結果として、ケーシングの周壁50の内面に向かって投げ出される。その後、壁上に捕捉された粒子を、ケーシングの底部にある粒子用出口24を介して、ケーシング12から流出させることができる。粒子が取り除かれたガスは、ガス用出口22を介してケーシング12から流出する。
【0015】
このように、本発明にしたがって提案された分離方法及び装置によれば、1つの同じ遠心分離機で、1つの同じ時間に、大きい重い粒子及び極めて小さい軽い粒子の両方をガス流から分離することができる。さもなければ、特にそのような軽い粒子は、挿入プレート16間の隙間48を素通りし、その後、ガス流と共にガス用出口22を通過して出てしまう。このようにすれば、ガス流出時にガスが十分に清浄されることを確保できる。また、装置は、多量の粒子を処理することができる。
【0016】
図1に係る本発明の実施形態は、図示しない向流ガス清浄方法で使用する場合にも実施可能である点を強調しなければならない。これにおいて、ガス流は、反対方向に流れ、すなわち、図面に示されるケーシング12の出口22(この場合には入口)から挿入プレート16間の隙間48へと、ロータ14の中央シャフト20に向かって径方向内側に流れ、その後、この場合にはクリーンなガスのための出口を形成する図面に示される入口18を通じて流出する。ガス流中のガス粒子の電離及び帯電は、これらの粒子が入口22を介してケーシング12内へ導かれる直前に実行することができ、又は、プレート要素16の外周の外側に直接に配置された固定状態の或いは同じ方向に回転するコロナワイヤ(図示せず)によって実行することができる。ガスが隙間48を通過する最中に、粒子は、遠心力と静電気力との複合作用により、内側に面する帯電面36上に捕捉されるとともに、遠心力によりプレート16の外周へ向けて流出してケーシングの壁50の内面に向かって投げ出される塊又は蓄積物を形成し、その後、分離された粒子は、粒子用出口24を通じて流出される。
【0017】
極めて小さい軽い粒子だけ、例えば約1μm未満の粒子だけをガス流から分離するため、図2に概略的に示されるように、平坦なディスクの形態を成すプレート状要素16aを有するロータ14aを伴う静電遠心クリーナを使用することができる。プレート16aは、図1における円錐プレート要素16の場合のように遠心力に対して所定の角度を成す表面を有する必要はない。これは、関与する重力が、極めて小さい粒子に対して所要の影響を与えないからである。したがって、これらは、並流分離の場合にファン効果を形成する好ましくは回転プレート要素16aの対向面32a、36aのうちの一方32aに対して付着されるようになるべく、静電気引力のみによって引き起こすことができる。もう1つの方法として、ロータ14は、静止させておくことができるとともに、粒子の大きな蓄積物がプレート要素16a上に形成されたときに粒子の蓄積物を周囲のケーシング(図示せず)の内面に向けて投げ出すために断続的に始動できる。この粒子の蓄積物は、その後、粒子用出口を通じて導出される。図2の実施形態において、ロータ14aの上流側のガス中の粒子の電離は、入口18内に配置された1つ以上のコロナワイヤ46によって行なわれる。
【0018】
図3は、本発明に係る装置のためのロータ14bの他の実施形態を平面図で概略的に示している。この場合、挿入プレートは、ロータのシャフトの軸に沿って配置される平坦な径方向に向けられたプレート要素52a、52bとして構成されている。1つおきのプレート要素52aは内側部54を有しており、これにより、これらの内側部間に電離空間56が形成され、電離空間内では、ロータへと流れている清浄されるべきガス流中の粒子を、同じ方向に回転し且つそれぞれの空間56内に位置されるコロナワイヤ58によって帯電させることができる。プレート要素52aはアースに対して接続することができ、一方、プレート要素52a間に位置するプレート要素52bは例えば約+5kVの電位を有することができる。コロナワイヤ58は、例えば、約−10kV〜−20kVの電位を有することができる。この実施形態は、重力の適用が殆ど影響しない非常に小さい軽い粒子の分離に適している。したがって、粒子の実際の堆積中にロータを静止させておくことができ、その間、静電気引力の結果として、静止したプレート要素52a、52bの対向面のうちの一方に対して粒子が付着させられるようになる。図2の実施形態の場合と同様の方法で、その後にロータ14bを始動させて、粒子の蓄積物を周囲のケーシング(図示せず)の内面へ向けて投げ出すことができ、その後、その内面から蓄積物が粒子用出口を通じて導出される。
【0019】
図4は、図3のロータ実施形態に類似するロータ実施形態を示しているが、この場合、電離空間56cを形成する径方向内側端部を有するロータ14cのプレート要素60aがそれらの間に3つのプレート要素60b〜dを有し、それらのうちの真ん中のプレート要素60cがプレート要素60aと同様にアースに接続され、一方、プレート要素60b、60dは例えば約+5kVの電位を有することができる。
【0020】
図5に示されるように、ロータ14dは、もう1つの方法として、ロータのシャフトに沿って軸方向に配置されたプレート要素64a、64bとして構成される堆積プレートを有することができ、これらのプレート要素は平面視で半径に対して所定の角度を成している。1つおきのプレート要素64aは径方向に向けられた内側部66を有することができ、それにより、これらの間に電離空間68が形成され、この電離空間内では、ロータ14dへと流れている清浄されるべきガス流中の粒子を、同じ方向に回転し且つそれぞれの空間68内に位置されるコロナワイヤ70によって帯電させることができる。プレート要素64a、66はアースに対して接続することができ、一方、これらの間に位置され且つ接線部分のみを有するプレート要素64bは例えば約+5kVの電位を有することができる。コロナワイヤ70は、例えば、約−10〜−20kVの電位を有することができる。遠心力に対して所定の角度を成す部分をプレート要素64a、64bが有するこの実施形態では、静電気引力と遠心力との複合作用によって、重い粒子及び軽い粒子の両方をプレート要素部分上に捕捉することができる。
【0021】
図6は、図5のロータに類似するロータの一実施形態を概略的に示しているが、この場合、電離空間72は、ロータ14eの中心部で静止された状態となり、回転する接線方向プレート要素74から分離されるように構成されている。このようにして、流れに混乱を殆ど生じさせない電離空間が形成される。1つおきのプレート要素74がアースに接続され、一方、これらの間に位置する要素がプラス電位に対して接続される。コロナワイヤ76は例えばマイナス電位に対して接続することができる。
【0022】
図7はロータ14fの一実施形態を概略的に示しており、この実施形態は、角度を成したプレート要素80間の流れ隙間78が平行な対向面82、84を有し、面84がプラス電位を有する一方、対向する面82がアースに接続されるという点において、図6に示される実施形態と異なっている。このようにして、より均一な電界強度を有する電場がプレート要素80間に形成される。プレート要素80は、面82、84を形成する導電表面層を有する絶縁コア85から構成することができる。
【0023】
図8は、プレート要素86が代わりに湾曲されているという点で図6に示されるロータと異なるロータ14gの一実施形態を示している。このようにしても、ほぼ均一な電界強度を持つ電場を有する流れ隙間87をプレート要素86間で得ることができる。
【0024】
図1〜8に示される本発明の実施形態は、粒子を伴うガス流がロータのプレート状堆積表面要素を通じて内側から外側へと流れる、すなわち、遠心力とほぼ同じ方向で流れる、いわゆる並流分離を対象としている。しかしながら、前述したように、本発明の枠組みの範囲内で、ガス流が反対方向に流れる、すなわち、ロータの中心に向かって外側から内側へと遠心力の方向とほぼ逆の方向に流れる、いわゆる向流分離を達成するように実施形態の全てを変更することができる。図9はこの一例を示している。これにおいて、軸方向に配置されるコロナワイヤ88は、ここではアースと所定の電位、例えばプラス電位とに対して交互に接続される径方向に向けられた平坦なプレート要素90として例示される堆積表面要素の外周の径方向外側に配置されており、また、先と同様の態様で、コロナワイヤ88は、上流側に位置される電離空間92を貫通して延びており、電離空間は周囲のケーシング(図示せず)に固定状態とすることができる。無論、電離空間92は同じ方向に回転することもできる。図9に係るロータ14hの実施形態は、非常に小さい軽い粒子の純粋に静電的な分離に主に適する完全径方向の平坦プレート要素90を有する。この場合、ロータ14hの回転の結果として、プレート要素90上に堆積された粒子の蓄積物を、これらのプレート要素から周囲のケーシングに向けて放出することができる。前述した他の実施形態において、対応する向流分離概念を適用することもできる。
【0025】
前述の実施形態では、コロナワイヤがマイナス電位に接続され、一方、堆積表面要素がプラス電位に接続されていると言うことができるが、極性を逆にできることに留意すべきである。また、プレート要素又は粒子を捕捉するようになっていないプレートの面を接地する代わりに、堆積表面に対して印加されるタイプと同じタイプの電圧であるが電位の強さが異なる電圧を印加することができる。また、粒子が帯電されるタイプと同じタイプの電圧であるが電位の強さが異なる電圧をもって堆積表面を帯電させることもできる。
【0026】
また、図1及び図5〜8の実施形態に係る装置によれば、ガス流中に見出されるべき特定の材料の様々な断片の分類を行なうことができることに留意すべきである。分離機を通過するガスの流量を調整することにより及び/又は粒子の帯電電位及び遠心力に対して所定の角度を成すプレート要素の内側に面する表面の帯電電位を調整することにより、また、必要であれば、分離されるべき粒子の比重に応じて適切な方法でロータの速度を調整することにより、例えば、特定の最大密度の一部だけが分離される一方で要求に従って低密度の他の粒子をガスと共にケーシング12から排出させることができるように分離を制御することができる。また、ケーシングの内壁とロータ14との間の空間内での乱流を減らすため、ケーシング12をロータ14と共に回転するように配置することができることに留意すべきである。
【0027】
また、一定の間隔で液体をプレート要素に流し掛ける(フラッシングする)ためのフラッシング装置(図示せず)を前述した実施形態に設けると都合良い。例えば、この目的のため、スウェーデン特許第526 815 C2号(国際公開公報第2005087384号)で示されて説明されているタイプのフラッシング装置を使用することができる。
【0028】
なお、電離空間を画定する図6〜9に示されるプレート要素と壁要素との間の隙間は、これらの要素間の電気的分離をも象徴することができ、そのため、これらのケースにおいて、電離空間は、プレート要素と共に回転できると考えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流から粒子を分離するための装置であって、
ガス流中の粒子を電離相状態に帯電させるための帯電ユニットと、
導電性の表面要素(52a,52b;60a〜d;64a,64b;74;80;86)を有する遠心分離機のロータ(14a〜h)を備える堆積ユニットであって、ガス流中の電離した粒子が前記表面要素間のガス流隙間(78;87)を通過する間に当該粒子を前記表面要素上に堆積させることができ、前記ロータ(14a〜h)が、周囲のケーシング(12)内に回転可能に取り付けられ、前記表面要素が、前記ケーシングの第1のガス流開口に接続され且つ前記表面要素間の前記ガス流隙間(78;87)と前記ロータ(14a〜h)を取り囲む前記ケーシング(12)内の空間とに連通するガス流シャフトを前記ロータ内に画定する、堆積ユニットと、
隣り合う前記表面要素の対向面同士の間に電界を形成するための電子ユニット(38)と、
分離された粒子のための出口(24)と、
前記ケーシング内の前記空間に関連し、前記第1のガス流開口とは流れ方向が反対である前記ケーシングの第2のガス流開口と、を備え、
前記表面要素(52a,52b;60a〜d;90)が軸方向に向けられた部分を有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記表面要素(86)が軸方向に向けられた平坦な部分を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記表面要素(86)が軸方向に向けられた湾曲する部分を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
軸方向に向けられた前記表面要素(64a,64b;74;80)が、半径に対して所定の角度を成す部分を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
周方向から見て1つおきの軸方向に向けられた表面要素(52a;60a,60c;64a;74;82;86)が、アースに接続されるとともに、隣り合う接地された表面要素の内側部分と共に対応するコロナワイヤ(58;70)のための空間(56;56c;68;72)を画定する径方向内側部分(54;66)を有し、所定の電位に対して接続される表面要素(52b;60b,60d;64b;74;82;86)が前記接地された部分同士の間に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
接地された前記表面要素(52a;60a,60c;64a;74;82;86)の前記径方向内側部分が略放射状であることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
接地された前記表面要素(64a;74;80)の径方向外側部分が、所定の電位に接続される中間表面要素(60b,60d;64b)と同様、半径に対して所定の角度を成していることを特徴とする、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
周方向から見て1つおきの軸方向に向けられた表面要素(90)が、アースに接続されるとともに、隣り合う接地された表面要素の外側部分と共に対応するコロナワイヤ(88)のための空間(92)を画定する径方向外側部分を有し、所定の電位に対して接続される表面要素が前記接地された部分同士の間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記各表面要素が2つの導電性の表面層(82,84)と1つの中間絶縁層(85)とを有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
互いに対向する隣り合う表面要素の前記表面層(82,84)が、それらの間に電界を形成するために異なる電位に接続されていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−255372(P2011−255372A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−147354(P2011−147354)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【分割の表示】特願2008−518093(P2008−518093)の分割
【原出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(504466270)3ナイン アーベー (4)
【Fターム(参考)】