ガス減圧貯蔵装置、噴気システム及び動力駆動車両
圧縮ガスを受取るための吸気口とガスを排出するための排気口とを備えるガス貯蔵容器と、ガス貯蔵容器にインプットされたガスを加熱するための第一熱交換装置(40)と、を含むガス減圧貯蔵装置を提供する。この熱交換装置を設け、ガス貯蔵容器にインプットされたガスを加熱することにより、結氷現象を回避することができるため、ガス貯蔵装置が持続的に安定して動作することができる。また、このガス減圧貯蔵装置が使用された噴気システム及び動力駆動車両を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス減圧貯蔵装置、噴気システム及び動力駆動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願の出願人は、厳重な環境汚染を防止し、動力駆動車両の走行中に発生した風抵抗気流(wind resistance airflow)を直接に利用するために、アメリカで特許出願(特許番号:US 7641005 B2)を提出した。この発明は、インペラチャンバーと該インペラチャンバー内に設置されるインペラ及びベーンとを含む左右対称に配置される左側風エアエンジン(風力空気圧エンジン:wind-powered pneumatic engine)及び右側風エアエンジンを備えるエンジンを開示した。この発明では、圧縮ガスを主動力に、走行中に生じた風抵抗を補助動力にし、この主動力と補助動力によってインペラ及びベーンを駆動して回転させて駆動力が出力される。この出力した動力を中央主動力出力用ギアボックスにおいて変換することにより得られる動力で動力駆動車両を駆動して走行させる。
【0003】
上記発明は、初めて、高圧ガスを主動力にするとともに風抵抗気流を直接に補助動力として利用する風エアエンジン及び動力駆動車両を開示した。この動力駆動車両では、風抵抗気流を電力に変換する必要がないため、複雑な機械−電気エネルギー変換システムが不要となる。したがって、動力駆動車両の構成を簡素化することができ、エネルギー節約や燃油代替品の研究には全く新しい手段を提供することができる。
【0004】
また、本願の出願人は、風エアエンジンの性能をより最適化させ、風エアエンジン及び動力駆動車両の作動効率を向上させるために、前述特許出願を基にして、アメリカで特許出願(出願番号:12/377513(WO 2008/022556)を提出した。この特許出願には、それぞれ独立して作動し、第二インペラを備える左側風抵抗エンジン(wind resistance engine)及び右側風抵抗エンジンと、当該左側風抵抗エンジン及び右側風抵抗エンジンの周囲に装着され、第一インペラを備える複数の第一圧縮ガスエンジンとを含む複合式風エアエンジンが開示されている。左側風抵抗エンジン及びその周囲に装着される第一圧縮ガスエンジンと、右側風抵抗エンジン及びその周囲に装着される第一圧縮ガスエンジンとから出力された動力は、左側動力出力軸、右側動力出力軸、転向ホイール及び歯車により伝達された後、主動力として出力される。
【0005】
しかしながら、上記圧縮ガスを主動力源とする風エアエンジン及び動力駆動車両は全く斬新な技術であるため、このような風エアエンジン及び当該風エアエンジンを使用した動力駆動車両の構成は更に改善する余地がある。特に動力性能には、更なる改善をする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、持続的に安定して作動できるガス減圧貯蔵装置、噴気システム及び動力駆動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、この目的を達成するために、圧縮ガスを受取るための吸気口とガスを排出するための排気口とを備えるガス貯蔵容器と、ガス貯蔵容器に吸入されたガスを加熱するための熱交換装置と、を含むガス減圧貯蔵装置を提供する。
【0008】
上記ガス減圧貯蔵装置は更に減圧弁を含み、圧縮ガスは減圧弁で減圧された後ガス貯蔵容器に入る。上記熱交換装置は、ガス貯蔵容器内のガスと熱交換することでこのガスを加熱させるための第一媒体を格納する第一熱交換ユニットを含む。上記ガス減圧貯蔵装置は更にクーラーと第一循環ポンプとを含み、上記第一熱交換ユニットと、クーラーと第一循環ポンプとにより内循環冷却システムが構成されており、第一媒体が第一熱交換ユニットとクーラーとの間において循環し、クーラーが外気と熱交換する。上記第一熱交換ユニットは、ガス貯蔵容器の周囲を取り囲んだ第一温度調節室を備える。第一媒体がこの第一温度調節室とガス貯蔵容器との間に格納されている。クーラーの両端がいずれも前記第一温度調節室に接続される。
【0009】
上記熱交換装置は更に第二熱交換ユニットを含み、吸気口、第一熱交換ユニット、第二熱交換ユニット及び排気口が順次に配置されている。第二熱交換ユニットは、ガス貯蔵容器の周囲を取り囲んだ第二温度調節室と、ガス貯蔵容器と第二温度調節室との間に格納される第二媒体と、第二温度調節室に装着され、ガス貯蔵容器内のガスと熱交換する第二媒体を加熱するヒーターとを備えている。上記第二温度調節室が放熱器に接続され、第二媒体が第二温度調節室と放熱器との間において循環し、放熱器が外気と熱交換する。
【0010】
また、本発明は、ガス貯蔵容器と、減圧弁と、熱交換装置と、クーラーと第一循環ポンプとを含む動力駆動車両冷却システムを提供する。上記ガス貯蔵容器は減圧弁で減圧された後の圧縮ガスを貯蔵する。上記第一熱交換ユニット、クーラー及び第一循環ポンプは内循環冷却システムを構成する。第一媒体が第一熱交換ユニットとクーラーとの間で循環し、クーラーは外気と熱交換する。
【0011】
また、本発明は、ハウジングと、当該ハウジング内に設置されるインペラ本体と、噴気システムとを含む圧縮ガスエンジンを提供する。ここで、上記噴気ノズルの出力が、上記ハウジング内のインペラ本体に圧縮ガスを噴入するためである。
【0012】
上記減圧弁は、ハウジングと、バルブコアと、調節ブロックと、弾性体とを備え、バルブコアはハウジング内部に位置し、当該ハウジングとの間に摺動自在に密閉され、ハウジングは、軸方向にこのハウジングを貫通するハウジングチャンバーと、径方向にこのハウジングを貫通するガス流路とを備え、このハウジングチャンバーに吸気パイプラインが接続され、このガス流路がハウジングチャンバー及びガス貯蔵容器に接続され、バルブコアは、密封端及び調節端を備え、弾性体は調節ブロックとバルブコアの調節端との間に配置され、調節ブロックはハウジングに固定され、バルブコアは第一位置及び第二位置を備え、第一位置の場合、ガスインプットパイプラインが密封端により塞がれてガスインプットパイプラインとガス貯蔵容器とが遮断され、第二位置の場合、密封端がガスインプットパイプラインから離れ、ガスインプットパイプラインとガス貯蔵容器とが導通するようになる。
【0013】
上記減圧弁は第一制御弁と第二制御弁とを含み、上記第一制御弁は、キャビティーを備える第一弁座と、当該キャビティー内に位置するとともに当該キャビティーを第一チャンバーと第二チャンバーに仕切る第一バルブプラグと、第二弾性体と、第一ガスパイプラインと、第二ガスパイプラインと、第三ガスパイプラインと、第四ガスパイプラインとを含み、上記第一バルブプラグは、上記第一弁座に摺動自在に密着し、上記第二弾性体は上記第二チャンバー内に設置され、上記第一バルブプラグを支持するものであり、上記第二ガスパイプラインは上記第一ガスパイプラインと上記第二チャンバーとを接続させ、上記第三ガスパイプラインは上記第一チャンバーと上記第二チャンバーとを接続させ、上記第四ガスパイプラインと上記第一ガスパイプラインとの両方はいずれも上記第一チャンバーに接続され、上記第二ガスパイプラインの断面積が第三ガスパイプラインの断面積より小さく、上記第二制御弁は上記第三ガスパイプラインに接続され、当該第三ガスパイプラインにおけるガスの流量を制御し、上記第一バルブプラグは、摺動方向において第一位置と第二位置を有し、上記第一位置の場合、上記第一ガスパイプラインを塞ぐことで当該第一ガスパイプラインと第一チャンバーとが互いに連通しなくなり、第二位置の場合、上記第一ガスパイプラインから離れることで、上記第一ガスパイプラインと第一チャンバーとが連通するようになる
【0014】
また、本発明は、圧縮ガスを貯蔵するための圧縮ガス容器と、圧縮ガスエンジンに圧縮ガスを輸送するための分配器と、ガス減圧貯蔵装置を備える噴気システムであって、上記圧縮ガス容器からの出力がパイプラインを介してガス減圧貯蔵装置の吸気口に接続され、上記ガス減圧貯蔵装置の排気口に分配器が接続される。
【0015】
また、本発明は、車輪と、伝動系と、圧縮ガスエンジンと、噴気システムとを含む動力駆動車両であって、上記噴気システムと、圧縮ガスエンジンと、伝動系と、車輪とが順次に接続される。
【0016】
本発明の出願人が圧縮ガスエンジンを使用した動力駆動車両について運行テストを行う時、運行時間が長くなると、動力不足の現象が現れることを発見した。このような状況が現れると、出願人はテストを停止し、動力駆動車両の各部分に対して検査しなければならない。繰り返して検査の結果、噴気ノズルに水蒸気が凝結し結氷するため正常にガスを噴出できないのがその要因となっていると分かった。そして、それに対して分析を行い、作動している減圧弁にも結氷しやすくなる場合があることをさらに発見した。そこで、本発明は、熱交換装置を設け、ガス貯蔵容器にインプットされたガスを加熱することにより、結氷現象を回避することができ、また、クーラーを設けることで外気の気温を低くさせてエネルギーを節約することもでき、また、ヒーターを設けることで、圧縮ガスがより安定して作動することができるとともに動力駆動車両の加熱問題を解決できる効果をそうする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】動力駆動車両において圧縮ガス容器と噴気システムと圧縮ガスエンジンが接続されている態様を示す構成模式図である。
【図2】動力駆動車両において気圧調節器がオフにされている態様を示す構成模式図である。
【図3】動力駆動車両において気圧調節器がオンにされている態様を示す構成模式図である。
【図4】図3のA−A線での断面図である。
【図5】動力駆動車両の構成の概要を示す模式図であり、ここで、車輪が二つだけ図示されている。
【図6】動力駆動車両の構成を示す平面模式図である。
【図7】風抵抗エンジンと圧縮ガスエンジンが一体に組立されている態様を示す平面模式図である。
【図8】風抵抗エンジンと圧縮ガスエンジンが一体に組立されている態様を示す正面模式図である。
【図9】動力駆動車両の圧縮ガスエンジンの正面模式図である。
【図10】動力駆動車両の圧縮ガスエンジンの平面模式図である。
【図11】並列連結されている風抵抗エンジンと圧縮ガスエンジンとの原理図である。
【図12】直列連結されている風抵抗エンジンと圧縮ガスエンジンとの原理図である。
【図13】噴気ノズルの構成図である。
【図14】第二の実施形態の動力駆動車両の平面図である。
【図15】第三の実施形態の動力駆動車両の平面図である。
【図16】第四の実施形態の動力駆動車両の平面図である。
【図17】第五の実施形態の動力駆動車両において流量調節弁がオフにされている態様を示す構成図である。
【図18】第五の実施形態の動力駆動車において流量調節弁がオンにされている態様を示す構成図である。
【図19】第五の実施形態の動力駆動車両において流量調節弁、圧縮ガス容器、分配器と伝動機構の連結関係を示す構成模式図である。
【図20】他の風抵抗エンジンを使用した動力駆動車両の平面図である。
【図21】図20の風抵抗エンジンを模式的に示す正面断面図である。
【図22】図20の風抵抗エンジンを模式的に示す側面断面図である。
【図23】図20の風抵抗エンジンを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図8に示すように、本実施形態の動力駆動車両は、噴気システム、圧縮ガスエンジン4、風抵抗エンジン3、3′、伝動系11及び車輪123を含む。噴気システムが噴気ノズル60を備え、圧縮ガスエンジン4が主動力出力軸120を備え、噴気システムの噴気ノズル60が圧縮ガスエンジン4にガスを噴き出し、圧縮ガスエンジン4がガスを圧縮して膨張させ、その主動力出力軸120を駆動して回転させ、主動力出力軸120が伝動系11を介して車輪123を回転させる。伝動系11は順次に連結された変速器112、カルダン式動力伝達装置113及びドライブアクスル114を含んでもよい。圧縮ガスエンジン4の主動力出力軸120と伝動系11との間に第一クラッチ装置56を設けており、ドライブアクスル114が車輪123に連結される。
【0019】
図1〜図4に示すように、噴気システムは圧縮ガスを貯蔵する圧縮ガス容器20、ガス減圧貯蔵装置、分配器30及び噴気ノズル60を含み、上記圧縮ガス容器20の出力がパイプライン3を介してガス減圧貯蔵装置の吸気口に接続され、上記ガス減圧貯蔵装置の排気口が分配器30を介して噴気ノズル60に接続され、分配器30がガス減圧貯蔵装置からアウトプットされたガスを複数の経路に分岐してそれぞれ対応する噴気ノズル60を介して噴き出す。ガス減圧貯蔵装置がガス貯蔵容器及び熱交換装置を含む。ガス貯蔵容器が第一気室2を備え、第一気室2が第一吸気口21及び第一排気口22を備え、第一吸気口21がガスをインプットするためのものであり、第一排気口22はガスをアウトプットするためのものである。パイプライン3の両端がそれぞれ圧縮ガス容器20と第一気室2の第一吸気口21に接続され、パイプライン3が一本又は複数本であってもよく、パイプライン3の断面積が圧縮ガス容器20の断面積と第一気室2の断面積よりも小さくなる。熱交換装置が第一熱交換ユニット40を含み、第一熱交換ユニット40が第一気室2に設けられ、第一熱交換ユニット40が第一温度調節室41及び第一媒体42を含み、この第一温度調節室41が第一気室2の周囲を取り囲み、第一媒体42が第一温度調節室41と第一気室2との間に収容される。この第一媒体42が液体(例えば水)、空気、または、熱交換作用を持つ他の媒体であれば良い。第一媒体42の温度が第一気室2内のガスの温度を上回り、圧縮ガス容器20内の圧縮ガスがパイプライン3を介して第一気室2に釈放されると、第一媒体42と熱交換を行い、加熱された後に第一気室2の第一排気口22からアウトプットされる。第一気室2は良い熱伝導性能を有する材料により製作してもよく、これにより第一気室2内のガスが第一媒体42と熱交換することができる。第一温度調節室41は、熱量が外気に釈放されないように、熱伝導ができない又は熱伝導性能の悪い材料により製作されればいい。
【0020】
第一熱交換ユニット40がクーラー5に連結され、クーラー5の両端がそれぞれ第一温度調節室41に連結されることにより、冷却循環ループを形成している。クーラー5に、第一循環ポンプ51と、この第一循環ポンプ51の開閉を制御するための第一循環ポンプスイッチ52とが設けられている。第一気室内2のガスと熱交換した後、第一温度調節室41内の第一媒体42の温度が低下し、この第一媒体42がクーラー5と第一温度調節室41との間で循環し、冷凍空調器が外気を循環させてクーラー5と熱交換し、即ち、外気の気温を下げることで、冷却の目的を達成することができる。
【0021】
圧縮ガス容器20からアウトプットしたガスが、ガス減圧貯蔵装置の第一熱交換ユニット40で加熱された後、噴気ノズル60により噴き出されることで、低温で噴気ノズル60に水蒸気が凝結し結氷することを回避することができる。また、第一熱交換ユニット40を冷凍空調器に接続することにより、冷却後の第一媒体42を循環媒体とし、外気の気温を下げる目的を達成することができるため、エネルギーを節約することができる。
【0022】
図2〜図4に示すように、噴気システムは第一気室2内の気圧を設定の気圧に維持するための気圧調節器6を更に含んでもよい。気圧調節器6がハウジング610、バルブコア620、弾性体630、ロッキングブロック640及び調節ブロック650を含む。ハウジング610がファスナー14により第一気室2の第一吸気口21に装着され、ハウジング610の一部が第一気室2内部に位置し、ハウジング610のほかの部分が第一気室2の外部に出ている。ハウジング610は、軸方向にこのハウジングを貫通するハウジングチャンバー611と、径方向にこのハウジングを貫通するガスパイプライン612とを備え、このハウジングチャンバー611が吸気パイプライン613と連通し、この吸気パイプライン613がパイプライン3と連通し、このガスパイプライン612が第一気室2と連通する。バルブコア620がハウジングチャンバー611の内部に設置され、且つこのハウジングに摺動可能に密着する。バルブコア620のハウジング610の軸方向における両端がそれぞれ密封端621及び調節端622であり、この密封端621がガスパイプライン612及び吸気パイプライン613を密封できる。弾性体630がハウジング610の軸方向に伸縮変形でき、弾性体630の両端がそれぞれバルブコア620の調節端620及び調節ブロック650に当接し、調節ブロック650がハウジング610に螺合し、ロッキングブロック640がハウジング610に螺合し、且つ調節ブロック650を弾性体630にしっかり押し付け、調節ブロック650及びロッキングブロック640がそれぞれ、軸方向に貫通する第一、第二ガスガイド口651、641を備え、第一、第二ガスガイド口651、641が互いに連通し、ガスをハウジングチャンバー611内に導き込み、且つバルブコア620の調節端622に働きかける。第一ガスガイド口651の孔径が第二ガスガイド口641の孔径より小さくなる。バルブコアの密封端621が円台形で、外周面に弾力のある密封リング623が固定される。バルブコアの調節端の外周面にも弾性の密封リング623が固定される。ハウジング610の軸線に直交する断面において、バルブコアの密封端621の断面積が調節端622の断面積より小さくなる。密封端621に作用する圧力がパイプライン3からインプットされたガスの気圧を含み、調節端622に作用する圧力が第一気室2内のガスの気圧及び弾性体630の弾力力を含む。弾性体は、例えば、ばね又はハウジング610の軸方向に伸縮変形できる他の部品であればいい。
【0023】
気圧調節器の作動原理が次の通りである。パイプライン3でインプットされたガスの気圧が安定する時、バルブコア620とハウジング610との間に減圧チャンネル614が形成され、パイプライン3内のガスが減圧チャンネル614、ガスパイプライン612を介して第一気室2に入る。パイプラインでインプットされたガスの気圧が設定気圧を上回る時、このインプットガスの気圧によりバルブコア620が調節端622側に押されて移動し、減圧チャンネル614の体積が増大し、第一気室2内の気圧が低下する。パイプラインでインプットされたガスの気圧が設定気圧より小さくなると、調節端622に作用する力が密封端621に作用する力を上回り、バルブコアが密封端621側に移動し、減圧チャンネル614の体積を減少させ、第一気圧室2内の気圧が増大する。パイプライン3でインプットされたガスの気圧が変化すると、バルブコアが密封端621及び調節端622に作用する力の変化に応じて直線移動して第一気室2内の気圧が設定気圧に維持させる。気圧調節器がオフにされると、ガスパイプライン612及び吸気パイプライン613が密封端621により密閉され、パイプライン3内のガスが第一気室2に入ることができない。この気圧調節器を設けることにより、ガス減圧貯蔵装置がアウトプットしたガスの気圧を設定気圧に維持することができる。
【0024】
調節ブロック640を締め付けたり緩めたりすることにより、弾性体630のプレストレス力を調節でき、気圧調節器の初期設定気圧を変更できる。
【0025】
ガス減圧貯蔵装置は第二気室7及び第二熱交換ユニット8を更にを含んでもいい。気流方向において、第一気室2が第二気室7の前に位置する。第二気室7が第二吸気口71及び第二排気口72を備え、第二吸気口71が第一気室2の第一排気口22に接続される。第二熱交換ユニット8が第二温度調節室81、第二媒体82及びヒーター83を含み、第二温度調節室81が第二気室7の周囲を取り囲み、第二媒体82が第二温度調節室81と第二気室7との間に収容され、第二媒体82が例えば液体又は空気である。ヒーター83が第二媒体82を加熱し、このヒーター83が例えば太陽熱ヒーター、電気ヒーター若しくはマイクロ波ヒーター、又は媒体を加熱するための他のものである。ヒーターの数が一つでもいいし複数でもいい。ヒーターの種類も1種類でもいいし複数の種類でもいい。第二温度調節室81が加熱空調器の放熱器9に接続されることで、加熱循環ループを形成する。放熱器9に、第二循環ポンプ901及び第二循環ポンプ901の開閉を制御するための第二循環ポンプスイッチ902を設けられている。加熱後の第二媒体82が第二温度調節室81と放熱器9の間で循環し、加熱空調器が外気を循環して放熱器9と熱交換を行い、即ち、外気の気温を上昇させ、加熱の目的を達成する。この第二熱交換ユニット8により、第一熱交換ユニット40による加熱に加えて、更にガスを加熱する。それにより、噴気システムの噴気ノズルに水蒸気が凝結し結氷することを確実に回避することができる。第二気室7の第二吸気口71にも減圧弁6を設けてもよい。
【0026】
なお、第一温度調節室41及び第二温度調節室81がパイプラインで接続されて循環ループを形成し、この循環ループに、第三循環ポンプ903及び第三循環ポンプ903の開閉を制御するための第三循環ポンプスイッチ904が設けられている。
【0027】
熱交換装置は、熱交換によりガス貯蔵容器内のガスへの加熱を実現できる第一熱交換ユニットのみを含んでもよく、この第一熱交換ユニットの数が一つでも良いし複数でもよい。また、熱交換装置は、ヒーターを備える第二熱交換ユニットのみを含んでもよく、この第二熱交換ユニットの数が一つでも良いし複数でもよい。また、熱交換装置は第一熱交換ユニットと第二熱交換ユニットの両方を含んでよい。第一熱交換ユニットが採用される場合、ガスを加熱できるだけでなく、冷却後の第一媒体を媒体として動力駆動車両内の温度を下げる目的を達成できる。第二熱交換ユニットが採用される場合は、加熱後の第二媒体を媒体として動力駆動車両内の温度を上昇させる目的を達成できる。
【0028】
図6〜図8に示すように、二つの風抵抗エンジン、即ち、第一風抵抗エンジン3と第二風抵抗エンジン3′が対称的に配置されている。第一風抵抗エンジンは、第一ハウジング117、第一インペラチャンバー43、複数の第一インペラ44及び第一インペラ軸45を含み、第一インペラチャンバー43が第一ハウジング117により取り囲まれて形成される。複数の第一インペラ44がそれぞれ第一インペラ軸45に固定され、第一インペラチャンバー43内に位置する。第一ハウジング117に、動力駆動車両が走行する時に前方からの抵抗流体を取り入れるための第一吸気口1が設けられており、この第一吸気口1が外側開口部及び内側開口部を備え、外側開口部のサイズが内側開口部よりも大きくなる。第一吸気口1が第一インペラチャンバー43と連通し、第一吸気口1を介して抵抗流体を第一インペラチャンバー43内に導入し、第一インペラ44及び第一インペラ軸45を回転させ、第一インペラ軸45により補助動力を出力する。第二風抵抗エンジン3′は、第二ハウジング117′、第二インペラチャンバー43′、第二インペラ44′、第二インペラ軸45′、抵抗流体を取り入れるための第二吸気口1′を備える。
【0029】
第一インペラチャンバー43と第二インペラチャンバー43′が連通せずに独立して設けられている。第一インペラ軸45と第二インペラ軸45′が平行して互いに逆方向で回転する。第一インペラ軸45に第一伝動歯車46が固定され、第二インペラ軸45′に第二伝動歯車118が固定される。動力駆動車両が更に第一転向装置(逆動装置:reversing device)、第二転向装置及び補助動力出力軸を含む。第一転向装置が転向歯車119及びコンベヤベルト47を含み、第二転向装置が、軸線が直交して噛み合う第一伝動かさ歯車49と第二伝動かさ歯車50とを含み、転向歯車119と第一伝動歯車46とが噛合して軸線が平行し、コンベヤベルト47が、三角形状に配置される第一伝動かさ歯車49、第二伝動歯車118及び転向歯車119に張設されている。第一伝動かさ歯車49が補助動力出力軸130に固定される。第一転向装置による方向変換の後、第一インペラ軸45及び第二インペラ軸45′の出力した動力が補助動力出力軸130に伝達され、また、第二転向装置による方向変換の後、この補助動力出力軸130の出力した動力が動力駆動車両の伝動系11に伝達される。風抵抗エンジンの数は二つとされているが、一つでもいいし、二つ以上でもよい。風抵抗エンジンのインペラチャンバー内に、インペラ軸上に固定さた複数のインペラが配置されており、抵抗流体によりインペラ及びインペラ軸が駆動されて回転する。
【0030】
図11が示すように、転向装置による方向変換の後、風抵抗エンジンのインペラ軸から出力された動力は直接に動力駆動車両の伝動系に対する駆動に用いられてもよいが、また、図12が示すように、転向装置による方向変換の後、圧縮ガスエンジンの主動力出力軸と直列連結して動力駆動車両の伝動系に対する駆動に用いられても良い。
【0031】
図6〜図8に示すように、圧縮ガスエンジン4は第一、第二風抵抗エンジン3、3′と独立して設けられ、第一、第二風抵抗エンジン3、3′の後方に位置する。圧縮ガスエンジン4が主動力出力軸120を備え、第二伝動かさ歯車50がこの主動力出力軸120の端部に固定される。互いに直交して噛み合う第一、第二伝動かさ歯車49、50による垂直方向変換の後、第一、第二風抵抗エンジン3、3′の出力した動力が圧縮ガスエンジンの主動力出力軸120に伝達される。
【0032】
図8が示すように、動力駆動車両は更に第一クラッチ装置160を備えており、第一、第二風抵抗エンジン3、3′の出力した動力がこの第一クラッチ装置160を介して補助動力出力軸130に出力される。動力駆動車両の起動時には、風抵抗エンジンからの動力出力がなく、また、第一クラッチ装置160が切られているため補助動力出力軸130が主動力出力軸120に従って回転することがない。従って、動力駆動車両の起動負荷を低減することができる。動力駆動車両の正常な走行時には、第一クラッチ装置160が入れられているため、補助動力出力軸130の出力した動力が主動力出力軸120の出力した動力ととともに動力駆動車両の伝動系11に対する駆動に用いられる。この第一クラッチ装置160は、例えば、従来のワンウェイクラッチ、オーバーランニングクラッチ等であるが、切ったり入れたりすることができる他のクラッチ装置であってもよい。
【0033】
図6〜図10に示すように、圧縮ガスエンジン4が、更にハウジング及びこのハウジング70内部に位置する円形のインペラ本体74を備える。ハウジングが環状のサイドケーシング72、上蓋板73及び下蓋板73′を含み、上蓋板73と下蓋板73′がそれぞれ環状のサイドケーシング72の上端開口と下端開口に固定されることで、このサイドケーシング72、上蓋板73及び下蓋板73′によって密封したインペラ本体室68が形成される。インペラ本体74がこのインペラ本体室68内部に位置し、且つこのインペラ本体74の中部が主動力出力軸120に外嵌固定している。インペラ本体74の、サイドケーシング72の内表面に密着する円周面(外周面:circumference surface)に溝を形成することにより、主動力出力軸120の軸線回りに同一の円周上に均一(等間隔)に分布するチャンバー69を形成する。主動力出力軸120軸線に直交する断面においては、作動チャンバー69が環状となるように端部同士が接続(首尾接続)された三本の曲線からなる三角状を形成している。作動チャンバー69は同一の円周上に形成されているが、もちろん、複数の円周上に形成されていてもよい。作動チャンバーはインペラ本体の軸方向に貫通する貫通溝として構成されてもよい。上蓋板の内表面、下蓋板の内表面及びサイドケーシングの内表面によりこの作動チャンバーが密封されている。作動チャンバーはインペラ本体の円周面の中央に設られた貫通しない溝として構成されてもいい。この場合は、この作動チャンバーがサイドケーシングの内表面により密封される。勿論、このような構成の作動チャンバーは、上蓋板の内表面及びサイドケーシングの内表面により密封されてもいいし下蓋板の内表面及びサイドケーシングの内表面により密封されてもいい。即ち、作動チャンバーはハウジングの内表面により密封される。
【0034】
サイドケーシング72の内表面には、更に、複数の噴気インレット67と複数の噴気アウトレット64が設けられ、噴気インレット67と噴気アウトレット64が交替に分布している。サイドケーシング72の内部には、更に、環状の一次サイレンサーチャンバー63が設けられ、サイドケーシング72の外表面には複数の一次排気口65が設けられている。一つの噴気アウトレット64が一つの一次排気口65に対応する。噴気アウトレット64が一次サイレンサーチャンバー63を介して一次排気口65と連通する。噴気インレット67は、噴気アウトレット64、一次排気口65及び一次サイレンサーチャンバー63と連通していない。主動力出力軸120の軸線を中心とする円周上において、噴気アウトレット64がそれに対応する一次排気口65とある角度でずらされている。サイドケーシング72には、噴気インレット67のそれぞれに対応する位置に噴気ノズル座71が固定されている。噴気ノズル座71毎に、上記噴気インレット67に入っている二つの噴気ノズル60が固定されている。一つの噴気ノズル60に一本の噴気管54が接続され、且つ噴気インレット67毎に入っている二つの噴気ノズル60の軸線が鋭角を為している。圧縮ガス容器20の圧縮ガスが噴気管54、噴気ノズル60を介して作動チャンバー69に輸送される。各作動チャンバー69では、噴気ノズル60から噴入されたガスがインペラ本体74を駆動して回転させ、且つ作動チャンバー69内に圧縮されて一時的に収容される。噴気アウトレット64に移動すると、作動チャンバー69内に一時的に収容されている圧縮ガスが膨張して噴気アウトレット64から高速に噴出され、噴出による反作用力で再度にインペラ本体74が駆動されて回転するようになる。インペラ本体74が回転すると、主動力出力軸120も回転して動力駆動車両の伝動系11を駆動する。
【0035】
各作動チャンバー69では、噴気ノズル60が噴入したガスが取り入れられてから噴気アウトレット64がガスを排気するまでの期間に、取り入れられたガスが作動チャンバー69内に圧縮されて一時的に収容される。噴出時の反作用力を増大させて動力駆動車両に対してより大きな動力を提供することができるからである。作動チャンバー69がハウジングの内表面により密封されるため、圧縮ガスが作動チャンバー69内に圧縮されて一時的に収容されやすくなる。なお、圧縮ガスエンジンにインプットされた圧縮ガスが凝結することを防止するために、噴気ノズル座71に噴気ノズル60を加熱するための第一ヒーター77を設けることができる。第一ヒーター77が噴気ノズル座71内に嵌入した電熱線であってもいい。図13に示すように、噴気ノズル60が噴気ノズル本体617を含む。噴気ノズル本体617が軸方向に貫通するキャビティー618を備える。噴気ノズル本体617に第二ヒーター615が設けられ、第二ヒーター615が上記噴気ノズル本体617に巻き付けられた電熱線である。噴気ノズル本体には、更に断熱層616が設けられる。この断熱層616と噴気ノズル本体617との間に上記第二ヒーター615が位置する。第一、第二ヒーターは電気ヒーター、マイクロ波ヒーター及び太陽熱ヒーターから選択される。
【0036】
動力駆動車両が更に第一モータ53を含む。第一モータ53がベルト伝動機構5を介して圧縮ガスエンジン4の主動力出力軸120と動力的に接続される。ベルト伝動機構51がプーリ511及びそのプーリ511に巻き付けるベルト512を含む。
【0037】
図6〜図8に示すように、動力駆動車両が更に圧縮ガス再利用システムを含む。この圧縮ガス再利用システムが、圧縮ガスエンジンの一次排気口65と風抵抗エンジンのインペラチャンバー43、43′とを連通するためのものである。圧縮ガス再利用システムが、一次排気管57、二次サイレンサーチャンバー59及び二次排気管58を含む。一次排気管57のインレットが対応する一次排気口65と連通する。一次排気管57のアウトレットが二次サイレンサーチャンバー59に集合される。二次サイレンサーチャンバー59が二次排気管58のインレットと連通する。二次排気管58のアウトレットが第一インペラチャンバー43及び第二インペラチャンバー43′の両方と連通する。圧縮ガスエンジンの噴出口64から高速で噴出されたガスが、順次に一次サイレンサーチャンバー63、一次排気口65を介して一次排気管57に入り、二次サイレンサーチャンバー59で消音処理されてから二次排気管58に入り、最後、第一、第二インペラチャンバー43、43′に入り、これにより第一、第二インペラを駆動して回転させる。このようにして圧縮ガスを再利用することにより、エネルギーを有効に節約でき、動力駆動車両の駆動力をさらに向上させることができる。
【0038】
図14に、本発明の動力駆動車両の第二の実施形態が示される。本実施形態は、第一の実施形態との違いとして主に、第一、第二風抵抗エンジン3、3′が横置きエンジンであり、第一、第二インペラ軸45、45′が水平的に取付けられ、主動力出力軸120に垂直する。第一の実施形態では、図8に示すように、第一、第二風抵抗エンジン3、3′が縦置きエンジンであり、第一、第二インペラ軸45、45′が垂直に取付けられる。第二の実施形態では、第一、第二風抵抗エンジンの第一、第二インペラ軸から出力された動力が第一回の方向変換で同軸出力に変換されたが、同軸出力された回転方向が伝動系に必要な回転方向に互いに垂直であるため、直接に伝動系に出力することができない。第一、第二風抵抗エンジンの出力した動力は、第二転向装置において伝動系と一致する回転方向に変換されなければならない。
【0039】
図15に、本発明の動力駆動車両の第三の実施形態が示される。本実施形態は第一の実施形態との違いとして主に、第一、第二風抵抗エンジン3、3′の両方に共通の補助動力出力軸130と、圧縮ガスエンジン4の主動力出力軸120との間に第二クラッチ装置111が設けられており、この第二クラッチ装置111により、風抵抗エンジンと圧縮ガスエンジンとの動力接続/遮断を実現することができる。本実施形態でも、風抵抗エンジンは横置きエンジンである。
【0040】
図16〜図19に示すように、動力駆動車両の分配器30と圧縮ガス容器20との間に、第一制御弁300及び第二制御弁400を含む減圧弁40が設けられている。第一制御弁300が第一弁座301、第一バルブプラグ302及び弾力装置303を含む。第一弁座301がキャビティー304を備え、第一バルブプラグ302がこのキャビティー304内に位置するとともに、この第一弁座301に摺動自在に密着し、第一バルブプラグ302がこのキャビティー304内に位置するとともに、このキャビティー304を第一チャンバー305及び第二チャンバー306に仕切る。第一制御弁300は、更に、第一ガスパイプライン307、第二ガスパイプライン308、第三ガスパイプライン309及び第四ガスパイプライン310を含む。第一ガスパイプライン307が圧縮ガス容器20からインプットした圧縮ガスを取り入れ、第二ガスパイプライン308の一端が第一ガスパイプライン307と連通し、第二ガスパイプライン308のもう一端が第二チャンバー306と連通し、第三ガスパイプライン309の一端が第二チャンバー306と連通し、第三ガスパイプライン309のもう一端が第一チャンバー305と連通し、第一チャンバー305が第四ガスパイプライン310を介して分配器30に接続される。第一ガスパイプライン307の直径が第二ガスパイプライン308の直径と第三ガスパイプライン309の直径より大きくなる。第二ガスパイプライン308の直径が第三ガスパイプライン309の直径より小さくなる。第一バルブプラグ302が第一弁座301に対して密封位置及び開放位置を有する。密封位置にある時、第一バルブプラグ302が第一ガスパイプライン307と第一チャンバー305との接続部を塞ぐことで、第一ガスパイプライン307と第一チャンバー305とが互いに連通しなくなる。開放位置にある時、第一バルブプラグ302が第一ガスパイプライン307と第一チャンバー305との接続部から離れることで、第一ガスパイプライン307と第一チャンバー305とが連通するようになる。
【0041】
第一バルブプラグ302は、柱状の本体部311と、針状の頭部が形成され、柱状本体部311よりも直径が小さくなる密封部312とを含む。この本体部311は、その外周面に装着された弾性の第一密封リング316を介して第一弁座301に摺動自在に嵌め合いされている。この本体部311が軸方向に貫通するインナーキャビティー317を備え、この密封部312がこのインナーキャビティー317に位置しこの本体部311に対して直線的移動が可能であり、且つこの密封部312が第一チャンバー305に入っている。弾力装置303は、第一弾性体313及び第二弾性体314を含み、第一弾性体313がこのインナーキャビティー317内に位置し、第一弾性体313の両端がそれぞれ密封部312及び位置決めブロック315に当接し、第二弾性体314が第二チャンバー306内に位置し、第二弾性体314の両端がそれぞれ第一弁座301の底部301A及び位置決めブロック315に固定され、この位置決めブロック315がこのインナーキャビティー317の底部に螺合固定される。本体部311の頂部の端面に弾性の第二密封リング318を固定している。
【0042】
第二制御弁400は、第三ガスパイプライン309に設けられ、第三ガスパイプライン309における流量を制御するためのものである。ここで、流量を制御するのは、流量有り状態と流量無し状態との間の変化を制御し、あるいは、大流量と小流量との間の変化を制御することを意味する。第二制御弁400は、第二本体部404とこの第二本体部404の先端に位置する錐状体405とが含まれる第二バルブプラグ402と、ガス流路406が含まれる第二弁座401とを備える。このガス流路406の吸気口407及び排気口408が第三ガスパイプライン309に接続される。また、このガス流路406には、上記錐状体に合致する錐状の制御チャンバー410が設けられる。第二本体部404がこの制御チャンバー410に螺合される。ねじにより錐状体と制御チャンバーとの間の第二間隙403の大きさを調整することで、第三ガスパイプラインにおけるガスの流量を制御することができる。勿論、第二制御弁は他の従来のガス流量制御装置であってもよい。第二バルブプラグ402が伝動機構の出力端に接続され、伝動機構の入力端に動力駆動車両の制御スイッチが接続される。伝動機構500は動力的に接続される第一伝動機構501と第二伝動機構502とを含む。第一伝動機構501は上記制御スイッチと第二伝動機構502と接続させる。第二伝動機構502は例えばベルト伝動機構であり、駆動プーリ503と、この駆動プーリ503よりも直径が小さくなる従動プーリ504とを含む。ベルト505が駆動プーリ503と従動プーリ504に張設される。制御スイッチが操作されると、第一伝動機構501が作動し、駆動プーリ503がそれにより回転するようになり、さらに、ベルト505により従動プーリ504を回転させる。従動プーリ504の回転に応じて、第二バルブプラグ402が回転するため、第二バルブプラグ402が第二弁座401に対して締めたり緩めたりされるようになる。即ち、第一バルブプラグと第一弁座との間の第二間隙403の大きさを変更することにより、第三ガスパイプラインにおける流量を調整することができる。第二間隙403が0になると、第二制御弁400がオフされ、第三ガスパイプライン309が遮断される。
【0043】
圧縮ガスが減圧弁に入っていない状態において、第一弾性体313及び第二弾性体314の弾力により、密封部312の頭部が第一ガスパイプライン307と第一チャンバー305との接続部を塞ぎ、この時に、第二密封リング318と第一弁座301の頂部301Bとの間に間隙がある(又は、第二密封リング318がこの頂部301Bに接触している)。圧縮ガスがこの減圧弁に入ると、圧縮ガスが第一ガスパイプライン307及び第二ガスパイプライン308を経由して第二チャンバー306内に充気される。充気の過程において、制御スイッチ7がオフされている場合に、第二チャンバー306内の気圧により第一バルブプラグ302が引き続き頂部301Bへ移動し、第二密封リング318がこの頂部301Bに当接する(又は、第二密封リング318が弾性変形後に頂部301Bに押し付けられる)まで、密封部の頭部が安定的に上記接続部を塞ぐ(密封部312の外周面320が第一ガスパイプライン307の内壁321に密着する)ようにする。制御スイッチ7がオンされると、第二バルブプラグ402が緩められ、第三ガスパイプライン309が導通し、第二チャンバー306内のガスが第三ガスパイプライン309を経由して第一チャンバー305へアウトプットされるため、第二チャンバー306内の気圧が低下する。すると、第一バルブプラグの密封部が圧縮ガスの気圧により上記接続部から離れ、圧縮ガスが第一チャンバー305及び第四ガスパイプライン310を経由して分配器30に入る。圧縮ガスが第一チャンバーを介して第四ガスパイプラインに入る際に、第一バルブプラグ302が全体として第一弁座の底部301Aへ移動する。第一バルブプラグ302に作用する力が平衡すると、本体部311と密封部312が互いに平衡状態の位置にあり、密封部の外周面320と第一ガスパイプラインの内壁321との間に圧縮ガスが通過するための第一間隙319が形成される。圧縮ガス容器からの給気が停止されると、第一バルブプラグの密封部が第一弾性体及び第二弾性体により第一ガスパイプラインと第一チャンバーとの接続部を塞ぎ、密封部が第一ガスパイプラインの内壁に密着するようになる。
【0044】
第二制御弁の操作により、第三ガスパイプラインにおけるガスの流量や気圧を変更することができ、密封部が上又は下へ移動し、第一ガスパイプライン内壁と密封部の外周面との間の第一間隙が変更され、そして、第四ガスパイプラインにおけるガスの流量や気圧への調節が実現できるため、操作が容易になる。
【0045】
第一弾性体及び第二弾性体は、例えば伸縮可能なばねとされているが、弾性スリーブ、弾性板又は他の第一バルブプラグの摺動方向に伸縮変形又は弾性変形可能な部品であってもよい。
【0046】
減圧弁を設けることにより、圧縮ガス容器における圧縮ガスを調圧して分配器にアウトプットすることができる。第二弾性体313は、減圧弁がオフされている状態で第一バルブプラグ302と第一弁座301間の剛性衝撃力を効果的に低減する緩衝の役割を果たすとともに、密封部の第一ガスパイプラインへの密封性を向上することができる。第二ガスパイプライン308の断面積が第三ガスパイプライン309の断面積よりも小さくなるため、流量制御弁の全てのガス流路への制御を行うことができるとともに、流量を増幅する役割を果たし、制御の精度を向上することができる。
【0047】
分配器が二つの場合は、当該二つの分配器に対応する二つの上記減圧弁が同一の制御スイッチにより制御される。ここで、図19に示すように、第二伝動機構は、二つの減圧弁の第二バルブプラグをそれぞれ駆動する二つの従動プーリを備える。勿論、ガス分配器にインプットされた圧縮ガスの流量や気圧に対して多段制御を行う二つ以上の直列連結した減圧弁を備えてもよい。
【0048】
なお、図16に示すように、上記減圧弁が全体として熱交換媒体600に設置されていてもよい。この場合は、この熱交換媒体が減圧弁内のガスと熱交換を行うことで、このガスが加熱されてから分配器によりアウトプットされる。熱交換媒体600は、冷却空調器のクーラー700の循環媒体として、減圧弁内のガスと熱交換して冷却され、冷却された熱交換媒体がクーラー内で循環し、外気温度を下げる役割を果たす。この熱交換媒体は、例えば、揮発されにくい、冷却効果のよい防腐性の冷却液である。
【0049】
図20〜図23は、動力駆動車両の風抵抗エンジンの他の実施形態を示す。風抵抗エンジン3は、ハウジング801と、このハウジング801に囲まれるインペラチャンバー802と、補助動力出力軸130と、複数組のインペラ804とを備える。各組のインペラ804は複数のインペラを含む。各インペラは上記補助動力出力軸130に固定されるとともに互いにずらして設置されている。上記インペラチャンバー802には、動力駆動車両の走行時に生じた前方からの抵抗流体を取り入れるための吸気口805が形成されている。この吸気口805が外側から内側へ小さくなるラッパ口のような形状とされている。各組のインペラ804はこの吸気口805内に位置し、且つ、外側から内側へ直径が順次に小さくなる。補助動力出力軸130が圧縮ガスエンジン4の主動力出力軸120と同一の軸線を持ち、且つ、主動力出力軸120と補助動力出力軸130との間に第二クラッチ装置111が設けられている。なお、上記インペラチャンバーは一つの第一排気口806と、対称的に設置される二つの第二排気口807とを備える。第一排気口806が、インペラ804の後側でハウジング801の側部に開口される。吸気口805が補助動力出力軸130と同一の軸線を持つ。第一排気口806の軸線と補助動力出力軸130の軸線とが角度をなす。第二排気口807が、インペラ804の後側でハウジング801の端部に開口される。第二排気口807の軸線と補助動力出力軸130の軸線とが角度をなす。圧縮ガスエンジンの構成は前記の通りである。
【0050】
起動時に、第二クラッチ装置111が切られ、主動力出力軸120が補助動力出力軸130から分離される。圧縮ガスエンジン4は、風抵抗エンジン3のインペラを駆動する必要がなく、直接に動力駆動車両の伝動系を駆動するため、有効に起動時の負荷を低減することができる。走行時に、第三クラッチ装置が入れられ、主動力出力軸120が補助動力出力軸130と動力的に接続される。各組のインペラが抵抗流体により駆動されて回転し、それに応じて補助動力出力軸130が回転するようになる。補助動力出力軸130の動力が主動力出力軸120を介して動力駆動車両の伝動系に伝達される。
【0051】
補助動力出力軸120が主動力出力軸130と同一の軸線であるため、補助動力出力軸の動力は方向変換して出力する必要がなくなる。したがって、構成を簡素化し、動力伝達の経路を短縮し、エネルギーの消耗を低減することが出来る。複数組のインペラ804を採用しているため、動力駆動車両の前方からの抵抗流体をより有効に利用できる。
【0052】
圧縮ガス容器と、減圧弁と、熱交換装置とアウトプットパイプラインとを備える圧縮ガス供給システムにおいて、上記圧縮ガス容器の出力がパイプラインを介して減圧弁に接続され、減圧弁で減圧されてアウトプットされた作動ガスがアウトプットパイプラインにインプットされ、上記熱交換装置が減圧弁を加熱するために用いられる。熱交換装置は冷却液が収容されている容器を備え、上記減圧弁が上記冷却液内に浸されている。圧縮ガス供給システムは更にクーラーと第一循環ポンプとを備え、上記の容器とクーラーと第一循環ポンプが互いに連通し、冷却液を媒体として循環冷却システムを構成し、クーラーにより外気と熱交換する。上記熱交換装置は加熱装置を含み、上記加熱装置が上記アウトプットパイプラインを加熱するために用いられる。更に、上記圧縮ガス供給システムは放熱器と第二循環ポンプとを含み、上記ヒーターとクーラーと第二循環ポンプとが互いに連通しており、循環放熱システムを構成し、放熱器により外気と熱交換する。
【0053】
また、圧縮ガス容器と、減圧弁と、冷却液が収容されている容器とを備える圧縮ガス動力駆動車両冷却システムにおいて、上記圧縮ガス容器の出力がパイプラインを介して減圧弁に接続され、減圧弁で減圧されてアウトプットされた作動ガスがアウトプットパイプラインにインプットされ、上記減圧弁が上記冷却液内に浸されており、上記容器とクーラーと第一循環ポンプが互いに連通し、冷却液を媒体として循環冷却システムを構成しており、クーラーにより外気と熱交換する。上記減圧弁が図2〜図4、図17、図18に示すような減圧弁である。
【0054】
以上は、具体的な実施形態を使って本発明を詳しく説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【技術分野】
【0001】
本発明はガス減圧貯蔵装置、噴気システム及び動力駆動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願の出願人は、厳重な環境汚染を防止し、動力駆動車両の走行中に発生した風抵抗気流(wind resistance airflow)を直接に利用するために、アメリカで特許出願(特許番号:US 7641005 B2)を提出した。この発明は、インペラチャンバーと該インペラチャンバー内に設置されるインペラ及びベーンとを含む左右対称に配置される左側風エアエンジン(風力空気圧エンジン:wind-powered pneumatic engine)及び右側風エアエンジンを備えるエンジンを開示した。この発明では、圧縮ガスを主動力に、走行中に生じた風抵抗を補助動力にし、この主動力と補助動力によってインペラ及びベーンを駆動して回転させて駆動力が出力される。この出力した動力を中央主動力出力用ギアボックスにおいて変換することにより得られる動力で動力駆動車両を駆動して走行させる。
【0003】
上記発明は、初めて、高圧ガスを主動力にするとともに風抵抗気流を直接に補助動力として利用する風エアエンジン及び動力駆動車両を開示した。この動力駆動車両では、風抵抗気流を電力に変換する必要がないため、複雑な機械−電気エネルギー変換システムが不要となる。したがって、動力駆動車両の構成を簡素化することができ、エネルギー節約や燃油代替品の研究には全く新しい手段を提供することができる。
【0004】
また、本願の出願人は、風エアエンジンの性能をより最適化させ、風エアエンジン及び動力駆動車両の作動効率を向上させるために、前述特許出願を基にして、アメリカで特許出願(出願番号:12/377513(WO 2008/022556)を提出した。この特許出願には、それぞれ独立して作動し、第二インペラを備える左側風抵抗エンジン(wind resistance engine)及び右側風抵抗エンジンと、当該左側風抵抗エンジン及び右側風抵抗エンジンの周囲に装着され、第一インペラを備える複数の第一圧縮ガスエンジンとを含む複合式風エアエンジンが開示されている。左側風抵抗エンジン及びその周囲に装着される第一圧縮ガスエンジンと、右側風抵抗エンジン及びその周囲に装着される第一圧縮ガスエンジンとから出力された動力は、左側動力出力軸、右側動力出力軸、転向ホイール及び歯車により伝達された後、主動力として出力される。
【0005】
しかしながら、上記圧縮ガスを主動力源とする風エアエンジン及び動力駆動車両は全く斬新な技術であるため、このような風エアエンジン及び当該風エアエンジンを使用した動力駆動車両の構成は更に改善する余地がある。特に動力性能には、更なる改善をする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、持続的に安定して作動できるガス減圧貯蔵装置、噴気システム及び動力駆動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、この目的を達成するために、圧縮ガスを受取るための吸気口とガスを排出するための排気口とを備えるガス貯蔵容器と、ガス貯蔵容器に吸入されたガスを加熱するための熱交換装置と、を含むガス減圧貯蔵装置を提供する。
【0008】
上記ガス減圧貯蔵装置は更に減圧弁を含み、圧縮ガスは減圧弁で減圧された後ガス貯蔵容器に入る。上記熱交換装置は、ガス貯蔵容器内のガスと熱交換することでこのガスを加熱させるための第一媒体を格納する第一熱交換ユニットを含む。上記ガス減圧貯蔵装置は更にクーラーと第一循環ポンプとを含み、上記第一熱交換ユニットと、クーラーと第一循環ポンプとにより内循環冷却システムが構成されており、第一媒体が第一熱交換ユニットとクーラーとの間において循環し、クーラーが外気と熱交換する。上記第一熱交換ユニットは、ガス貯蔵容器の周囲を取り囲んだ第一温度調節室を備える。第一媒体がこの第一温度調節室とガス貯蔵容器との間に格納されている。クーラーの両端がいずれも前記第一温度調節室に接続される。
【0009】
上記熱交換装置は更に第二熱交換ユニットを含み、吸気口、第一熱交換ユニット、第二熱交換ユニット及び排気口が順次に配置されている。第二熱交換ユニットは、ガス貯蔵容器の周囲を取り囲んだ第二温度調節室と、ガス貯蔵容器と第二温度調節室との間に格納される第二媒体と、第二温度調節室に装着され、ガス貯蔵容器内のガスと熱交換する第二媒体を加熱するヒーターとを備えている。上記第二温度調節室が放熱器に接続され、第二媒体が第二温度調節室と放熱器との間において循環し、放熱器が外気と熱交換する。
【0010】
また、本発明は、ガス貯蔵容器と、減圧弁と、熱交換装置と、クーラーと第一循環ポンプとを含む動力駆動車両冷却システムを提供する。上記ガス貯蔵容器は減圧弁で減圧された後の圧縮ガスを貯蔵する。上記第一熱交換ユニット、クーラー及び第一循環ポンプは内循環冷却システムを構成する。第一媒体が第一熱交換ユニットとクーラーとの間で循環し、クーラーは外気と熱交換する。
【0011】
また、本発明は、ハウジングと、当該ハウジング内に設置されるインペラ本体と、噴気システムとを含む圧縮ガスエンジンを提供する。ここで、上記噴気ノズルの出力が、上記ハウジング内のインペラ本体に圧縮ガスを噴入するためである。
【0012】
上記減圧弁は、ハウジングと、バルブコアと、調節ブロックと、弾性体とを備え、バルブコアはハウジング内部に位置し、当該ハウジングとの間に摺動自在に密閉され、ハウジングは、軸方向にこのハウジングを貫通するハウジングチャンバーと、径方向にこのハウジングを貫通するガス流路とを備え、このハウジングチャンバーに吸気パイプラインが接続され、このガス流路がハウジングチャンバー及びガス貯蔵容器に接続され、バルブコアは、密封端及び調節端を備え、弾性体は調節ブロックとバルブコアの調節端との間に配置され、調節ブロックはハウジングに固定され、バルブコアは第一位置及び第二位置を備え、第一位置の場合、ガスインプットパイプラインが密封端により塞がれてガスインプットパイプラインとガス貯蔵容器とが遮断され、第二位置の場合、密封端がガスインプットパイプラインから離れ、ガスインプットパイプラインとガス貯蔵容器とが導通するようになる。
【0013】
上記減圧弁は第一制御弁と第二制御弁とを含み、上記第一制御弁は、キャビティーを備える第一弁座と、当該キャビティー内に位置するとともに当該キャビティーを第一チャンバーと第二チャンバーに仕切る第一バルブプラグと、第二弾性体と、第一ガスパイプラインと、第二ガスパイプラインと、第三ガスパイプラインと、第四ガスパイプラインとを含み、上記第一バルブプラグは、上記第一弁座に摺動自在に密着し、上記第二弾性体は上記第二チャンバー内に設置され、上記第一バルブプラグを支持するものであり、上記第二ガスパイプラインは上記第一ガスパイプラインと上記第二チャンバーとを接続させ、上記第三ガスパイプラインは上記第一チャンバーと上記第二チャンバーとを接続させ、上記第四ガスパイプラインと上記第一ガスパイプラインとの両方はいずれも上記第一チャンバーに接続され、上記第二ガスパイプラインの断面積が第三ガスパイプラインの断面積より小さく、上記第二制御弁は上記第三ガスパイプラインに接続され、当該第三ガスパイプラインにおけるガスの流量を制御し、上記第一バルブプラグは、摺動方向において第一位置と第二位置を有し、上記第一位置の場合、上記第一ガスパイプラインを塞ぐことで当該第一ガスパイプラインと第一チャンバーとが互いに連通しなくなり、第二位置の場合、上記第一ガスパイプラインから離れることで、上記第一ガスパイプラインと第一チャンバーとが連通するようになる
【0014】
また、本発明は、圧縮ガスを貯蔵するための圧縮ガス容器と、圧縮ガスエンジンに圧縮ガスを輸送するための分配器と、ガス減圧貯蔵装置を備える噴気システムであって、上記圧縮ガス容器からの出力がパイプラインを介してガス減圧貯蔵装置の吸気口に接続され、上記ガス減圧貯蔵装置の排気口に分配器が接続される。
【0015】
また、本発明は、車輪と、伝動系と、圧縮ガスエンジンと、噴気システムとを含む動力駆動車両であって、上記噴気システムと、圧縮ガスエンジンと、伝動系と、車輪とが順次に接続される。
【0016】
本発明の出願人が圧縮ガスエンジンを使用した動力駆動車両について運行テストを行う時、運行時間が長くなると、動力不足の現象が現れることを発見した。このような状況が現れると、出願人はテストを停止し、動力駆動車両の各部分に対して検査しなければならない。繰り返して検査の結果、噴気ノズルに水蒸気が凝結し結氷するため正常にガスを噴出できないのがその要因となっていると分かった。そして、それに対して分析を行い、作動している減圧弁にも結氷しやすくなる場合があることをさらに発見した。そこで、本発明は、熱交換装置を設け、ガス貯蔵容器にインプットされたガスを加熱することにより、結氷現象を回避することができ、また、クーラーを設けることで外気の気温を低くさせてエネルギーを節約することもでき、また、ヒーターを設けることで、圧縮ガスがより安定して作動することができるとともに動力駆動車両の加熱問題を解決できる効果をそうする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】動力駆動車両において圧縮ガス容器と噴気システムと圧縮ガスエンジンが接続されている態様を示す構成模式図である。
【図2】動力駆動車両において気圧調節器がオフにされている態様を示す構成模式図である。
【図3】動力駆動車両において気圧調節器がオンにされている態様を示す構成模式図である。
【図4】図3のA−A線での断面図である。
【図5】動力駆動車両の構成の概要を示す模式図であり、ここで、車輪が二つだけ図示されている。
【図6】動力駆動車両の構成を示す平面模式図である。
【図7】風抵抗エンジンと圧縮ガスエンジンが一体に組立されている態様を示す平面模式図である。
【図8】風抵抗エンジンと圧縮ガスエンジンが一体に組立されている態様を示す正面模式図である。
【図9】動力駆動車両の圧縮ガスエンジンの正面模式図である。
【図10】動力駆動車両の圧縮ガスエンジンの平面模式図である。
【図11】並列連結されている風抵抗エンジンと圧縮ガスエンジンとの原理図である。
【図12】直列連結されている風抵抗エンジンと圧縮ガスエンジンとの原理図である。
【図13】噴気ノズルの構成図である。
【図14】第二の実施形態の動力駆動車両の平面図である。
【図15】第三の実施形態の動力駆動車両の平面図である。
【図16】第四の実施形態の動力駆動車両の平面図である。
【図17】第五の実施形態の動力駆動車両において流量調節弁がオフにされている態様を示す構成図である。
【図18】第五の実施形態の動力駆動車において流量調節弁がオンにされている態様を示す構成図である。
【図19】第五の実施形態の動力駆動車両において流量調節弁、圧縮ガス容器、分配器と伝動機構の連結関係を示す構成模式図である。
【図20】他の風抵抗エンジンを使用した動力駆動車両の平面図である。
【図21】図20の風抵抗エンジンを模式的に示す正面断面図である。
【図22】図20の風抵抗エンジンを模式的に示す側面断面図である。
【図23】図20の風抵抗エンジンを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図8に示すように、本実施形態の動力駆動車両は、噴気システム、圧縮ガスエンジン4、風抵抗エンジン3、3′、伝動系11及び車輪123を含む。噴気システムが噴気ノズル60を備え、圧縮ガスエンジン4が主動力出力軸120を備え、噴気システムの噴気ノズル60が圧縮ガスエンジン4にガスを噴き出し、圧縮ガスエンジン4がガスを圧縮して膨張させ、その主動力出力軸120を駆動して回転させ、主動力出力軸120が伝動系11を介して車輪123を回転させる。伝動系11は順次に連結された変速器112、カルダン式動力伝達装置113及びドライブアクスル114を含んでもよい。圧縮ガスエンジン4の主動力出力軸120と伝動系11との間に第一クラッチ装置56を設けており、ドライブアクスル114が車輪123に連結される。
【0019】
図1〜図4に示すように、噴気システムは圧縮ガスを貯蔵する圧縮ガス容器20、ガス減圧貯蔵装置、分配器30及び噴気ノズル60を含み、上記圧縮ガス容器20の出力がパイプライン3を介してガス減圧貯蔵装置の吸気口に接続され、上記ガス減圧貯蔵装置の排気口が分配器30を介して噴気ノズル60に接続され、分配器30がガス減圧貯蔵装置からアウトプットされたガスを複数の経路に分岐してそれぞれ対応する噴気ノズル60を介して噴き出す。ガス減圧貯蔵装置がガス貯蔵容器及び熱交換装置を含む。ガス貯蔵容器が第一気室2を備え、第一気室2が第一吸気口21及び第一排気口22を備え、第一吸気口21がガスをインプットするためのものであり、第一排気口22はガスをアウトプットするためのものである。パイプライン3の両端がそれぞれ圧縮ガス容器20と第一気室2の第一吸気口21に接続され、パイプライン3が一本又は複数本であってもよく、パイプライン3の断面積が圧縮ガス容器20の断面積と第一気室2の断面積よりも小さくなる。熱交換装置が第一熱交換ユニット40を含み、第一熱交換ユニット40が第一気室2に設けられ、第一熱交換ユニット40が第一温度調節室41及び第一媒体42を含み、この第一温度調節室41が第一気室2の周囲を取り囲み、第一媒体42が第一温度調節室41と第一気室2との間に収容される。この第一媒体42が液体(例えば水)、空気、または、熱交換作用を持つ他の媒体であれば良い。第一媒体42の温度が第一気室2内のガスの温度を上回り、圧縮ガス容器20内の圧縮ガスがパイプライン3を介して第一気室2に釈放されると、第一媒体42と熱交換を行い、加熱された後に第一気室2の第一排気口22からアウトプットされる。第一気室2は良い熱伝導性能を有する材料により製作してもよく、これにより第一気室2内のガスが第一媒体42と熱交換することができる。第一温度調節室41は、熱量が外気に釈放されないように、熱伝導ができない又は熱伝導性能の悪い材料により製作されればいい。
【0020】
第一熱交換ユニット40がクーラー5に連結され、クーラー5の両端がそれぞれ第一温度調節室41に連結されることにより、冷却循環ループを形成している。クーラー5に、第一循環ポンプ51と、この第一循環ポンプ51の開閉を制御するための第一循環ポンプスイッチ52とが設けられている。第一気室内2のガスと熱交換した後、第一温度調節室41内の第一媒体42の温度が低下し、この第一媒体42がクーラー5と第一温度調節室41との間で循環し、冷凍空調器が外気を循環させてクーラー5と熱交換し、即ち、外気の気温を下げることで、冷却の目的を達成することができる。
【0021】
圧縮ガス容器20からアウトプットしたガスが、ガス減圧貯蔵装置の第一熱交換ユニット40で加熱された後、噴気ノズル60により噴き出されることで、低温で噴気ノズル60に水蒸気が凝結し結氷することを回避することができる。また、第一熱交換ユニット40を冷凍空調器に接続することにより、冷却後の第一媒体42を循環媒体とし、外気の気温を下げる目的を達成することができるため、エネルギーを節約することができる。
【0022】
図2〜図4に示すように、噴気システムは第一気室2内の気圧を設定の気圧に維持するための気圧調節器6を更に含んでもよい。気圧調節器6がハウジング610、バルブコア620、弾性体630、ロッキングブロック640及び調節ブロック650を含む。ハウジング610がファスナー14により第一気室2の第一吸気口21に装着され、ハウジング610の一部が第一気室2内部に位置し、ハウジング610のほかの部分が第一気室2の外部に出ている。ハウジング610は、軸方向にこのハウジングを貫通するハウジングチャンバー611と、径方向にこのハウジングを貫通するガスパイプライン612とを備え、このハウジングチャンバー611が吸気パイプライン613と連通し、この吸気パイプライン613がパイプライン3と連通し、このガスパイプライン612が第一気室2と連通する。バルブコア620がハウジングチャンバー611の内部に設置され、且つこのハウジングに摺動可能に密着する。バルブコア620のハウジング610の軸方向における両端がそれぞれ密封端621及び調節端622であり、この密封端621がガスパイプライン612及び吸気パイプライン613を密封できる。弾性体630がハウジング610の軸方向に伸縮変形でき、弾性体630の両端がそれぞれバルブコア620の調節端620及び調節ブロック650に当接し、調節ブロック650がハウジング610に螺合し、ロッキングブロック640がハウジング610に螺合し、且つ調節ブロック650を弾性体630にしっかり押し付け、調節ブロック650及びロッキングブロック640がそれぞれ、軸方向に貫通する第一、第二ガスガイド口651、641を備え、第一、第二ガスガイド口651、641が互いに連通し、ガスをハウジングチャンバー611内に導き込み、且つバルブコア620の調節端622に働きかける。第一ガスガイド口651の孔径が第二ガスガイド口641の孔径より小さくなる。バルブコアの密封端621が円台形で、外周面に弾力のある密封リング623が固定される。バルブコアの調節端の外周面にも弾性の密封リング623が固定される。ハウジング610の軸線に直交する断面において、バルブコアの密封端621の断面積が調節端622の断面積より小さくなる。密封端621に作用する圧力がパイプライン3からインプットされたガスの気圧を含み、調節端622に作用する圧力が第一気室2内のガスの気圧及び弾性体630の弾力力を含む。弾性体は、例えば、ばね又はハウジング610の軸方向に伸縮変形できる他の部品であればいい。
【0023】
気圧調節器の作動原理が次の通りである。パイプライン3でインプットされたガスの気圧が安定する時、バルブコア620とハウジング610との間に減圧チャンネル614が形成され、パイプライン3内のガスが減圧チャンネル614、ガスパイプライン612を介して第一気室2に入る。パイプラインでインプットされたガスの気圧が設定気圧を上回る時、このインプットガスの気圧によりバルブコア620が調節端622側に押されて移動し、減圧チャンネル614の体積が増大し、第一気室2内の気圧が低下する。パイプラインでインプットされたガスの気圧が設定気圧より小さくなると、調節端622に作用する力が密封端621に作用する力を上回り、バルブコアが密封端621側に移動し、減圧チャンネル614の体積を減少させ、第一気圧室2内の気圧が増大する。パイプライン3でインプットされたガスの気圧が変化すると、バルブコアが密封端621及び調節端622に作用する力の変化に応じて直線移動して第一気室2内の気圧が設定気圧に維持させる。気圧調節器がオフにされると、ガスパイプライン612及び吸気パイプライン613が密封端621により密閉され、パイプライン3内のガスが第一気室2に入ることができない。この気圧調節器を設けることにより、ガス減圧貯蔵装置がアウトプットしたガスの気圧を設定気圧に維持することができる。
【0024】
調節ブロック640を締め付けたり緩めたりすることにより、弾性体630のプレストレス力を調節でき、気圧調節器の初期設定気圧を変更できる。
【0025】
ガス減圧貯蔵装置は第二気室7及び第二熱交換ユニット8を更にを含んでもいい。気流方向において、第一気室2が第二気室7の前に位置する。第二気室7が第二吸気口71及び第二排気口72を備え、第二吸気口71が第一気室2の第一排気口22に接続される。第二熱交換ユニット8が第二温度調節室81、第二媒体82及びヒーター83を含み、第二温度調節室81が第二気室7の周囲を取り囲み、第二媒体82が第二温度調節室81と第二気室7との間に収容され、第二媒体82が例えば液体又は空気である。ヒーター83が第二媒体82を加熱し、このヒーター83が例えば太陽熱ヒーター、電気ヒーター若しくはマイクロ波ヒーター、又は媒体を加熱するための他のものである。ヒーターの数が一つでもいいし複数でもいい。ヒーターの種類も1種類でもいいし複数の種類でもいい。第二温度調節室81が加熱空調器の放熱器9に接続されることで、加熱循環ループを形成する。放熱器9に、第二循環ポンプ901及び第二循環ポンプ901の開閉を制御するための第二循環ポンプスイッチ902を設けられている。加熱後の第二媒体82が第二温度調節室81と放熱器9の間で循環し、加熱空調器が外気を循環して放熱器9と熱交換を行い、即ち、外気の気温を上昇させ、加熱の目的を達成する。この第二熱交換ユニット8により、第一熱交換ユニット40による加熱に加えて、更にガスを加熱する。それにより、噴気システムの噴気ノズルに水蒸気が凝結し結氷することを確実に回避することができる。第二気室7の第二吸気口71にも減圧弁6を設けてもよい。
【0026】
なお、第一温度調節室41及び第二温度調節室81がパイプラインで接続されて循環ループを形成し、この循環ループに、第三循環ポンプ903及び第三循環ポンプ903の開閉を制御するための第三循環ポンプスイッチ904が設けられている。
【0027】
熱交換装置は、熱交換によりガス貯蔵容器内のガスへの加熱を実現できる第一熱交換ユニットのみを含んでもよく、この第一熱交換ユニットの数が一つでも良いし複数でもよい。また、熱交換装置は、ヒーターを備える第二熱交換ユニットのみを含んでもよく、この第二熱交換ユニットの数が一つでも良いし複数でもよい。また、熱交換装置は第一熱交換ユニットと第二熱交換ユニットの両方を含んでよい。第一熱交換ユニットが採用される場合、ガスを加熱できるだけでなく、冷却後の第一媒体を媒体として動力駆動車両内の温度を下げる目的を達成できる。第二熱交換ユニットが採用される場合は、加熱後の第二媒体を媒体として動力駆動車両内の温度を上昇させる目的を達成できる。
【0028】
図6〜図8に示すように、二つの風抵抗エンジン、即ち、第一風抵抗エンジン3と第二風抵抗エンジン3′が対称的に配置されている。第一風抵抗エンジンは、第一ハウジング117、第一インペラチャンバー43、複数の第一インペラ44及び第一インペラ軸45を含み、第一インペラチャンバー43が第一ハウジング117により取り囲まれて形成される。複数の第一インペラ44がそれぞれ第一インペラ軸45に固定され、第一インペラチャンバー43内に位置する。第一ハウジング117に、動力駆動車両が走行する時に前方からの抵抗流体を取り入れるための第一吸気口1が設けられており、この第一吸気口1が外側開口部及び内側開口部を備え、外側開口部のサイズが内側開口部よりも大きくなる。第一吸気口1が第一インペラチャンバー43と連通し、第一吸気口1を介して抵抗流体を第一インペラチャンバー43内に導入し、第一インペラ44及び第一インペラ軸45を回転させ、第一インペラ軸45により補助動力を出力する。第二風抵抗エンジン3′は、第二ハウジング117′、第二インペラチャンバー43′、第二インペラ44′、第二インペラ軸45′、抵抗流体を取り入れるための第二吸気口1′を備える。
【0029】
第一インペラチャンバー43と第二インペラチャンバー43′が連通せずに独立して設けられている。第一インペラ軸45と第二インペラ軸45′が平行して互いに逆方向で回転する。第一インペラ軸45に第一伝動歯車46が固定され、第二インペラ軸45′に第二伝動歯車118が固定される。動力駆動車両が更に第一転向装置(逆動装置:reversing device)、第二転向装置及び補助動力出力軸を含む。第一転向装置が転向歯車119及びコンベヤベルト47を含み、第二転向装置が、軸線が直交して噛み合う第一伝動かさ歯車49と第二伝動かさ歯車50とを含み、転向歯車119と第一伝動歯車46とが噛合して軸線が平行し、コンベヤベルト47が、三角形状に配置される第一伝動かさ歯車49、第二伝動歯車118及び転向歯車119に張設されている。第一伝動かさ歯車49が補助動力出力軸130に固定される。第一転向装置による方向変換の後、第一インペラ軸45及び第二インペラ軸45′の出力した動力が補助動力出力軸130に伝達され、また、第二転向装置による方向変換の後、この補助動力出力軸130の出力した動力が動力駆動車両の伝動系11に伝達される。風抵抗エンジンの数は二つとされているが、一つでもいいし、二つ以上でもよい。風抵抗エンジンのインペラチャンバー内に、インペラ軸上に固定さた複数のインペラが配置されており、抵抗流体によりインペラ及びインペラ軸が駆動されて回転する。
【0030】
図11が示すように、転向装置による方向変換の後、風抵抗エンジンのインペラ軸から出力された動力は直接に動力駆動車両の伝動系に対する駆動に用いられてもよいが、また、図12が示すように、転向装置による方向変換の後、圧縮ガスエンジンの主動力出力軸と直列連結して動力駆動車両の伝動系に対する駆動に用いられても良い。
【0031】
図6〜図8に示すように、圧縮ガスエンジン4は第一、第二風抵抗エンジン3、3′と独立して設けられ、第一、第二風抵抗エンジン3、3′の後方に位置する。圧縮ガスエンジン4が主動力出力軸120を備え、第二伝動かさ歯車50がこの主動力出力軸120の端部に固定される。互いに直交して噛み合う第一、第二伝動かさ歯車49、50による垂直方向変換の後、第一、第二風抵抗エンジン3、3′の出力した動力が圧縮ガスエンジンの主動力出力軸120に伝達される。
【0032】
図8が示すように、動力駆動車両は更に第一クラッチ装置160を備えており、第一、第二風抵抗エンジン3、3′の出力した動力がこの第一クラッチ装置160を介して補助動力出力軸130に出力される。動力駆動車両の起動時には、風抵抗エンジンからの動力出力がなく、また、第一クラッチ装置160が切られているため補助動力出力軸130が主動力出力軸120に従って回転することがない。従って、動力駆動車両の起動負荷を低減することができる。動力駆動車両の正常な走行時には、第一クラッチ装置160が入れられているため、補助動力出力軸130の出力した動力が主動力出力軸120の出力した動力ととともに動力駆動車両の伝動系11に対する駆動に用いられる。この第一クラッチ装置160は、例えば、従来のワンウェイクラッチ、オーバーランニングクラッチ等であるが、切ったり入れたりすることができる他のクラッチ装置であってもよい。
【0033】
図6〜図10に示すように、圧縮ガスエンジン4が、更にハウジング及びこのハウジング70内部に位置する円形のインペラ本体74を備える。ハウジングが環状のサイドケーシング72、上蓋板73及び下蓋板73′を含み、上蓋板73と下蓋板73′がそれぞれ環状のサイドケーシング72の上端開口と下端開口に固定されることで、このサイドケーシング72、上蓋板73及び下蓋板73′によって密封したインペラ本体室68が形成される。インペラ本体74がこのインペラ本体室68内部に位置し、且つこのインペラ本体74の中部が主動力出力軸120に外嵌固定している。インペラ本体74の、サイドケーシング72の内表面に密着する円周面(外周面:circumference surface)に溝を形成することにより、主動力出力軸120の軸線回りに同一の円周上に均一(等間隔)に分布するチャンバー69を形成する。主動力出力軸120軸線に直交する断面においては、作動チャンバー69が環状となるように端部同士が接続(首尾接続)された三本の曲線からなる三角状を形成している。作動チャンバー69は同一の円周上に形成されているが、もちろん、複数の円周上に形成されていてもよい。作動チャンバーはインペラ本体の軸方向に貫通する貫通溝として構成されてもよい。上蓋板の内表面、下蓋板の内表面及びサイドケーシングの内表面によりこの作動チャンバーが密封されている。作動チャンバーはインペラ本体の円周面の中央に設られた貫通しない溝として構成されてもいい。この場合は、この作動チャンバーがサイドケーシングの内表面により密封される。勿論、このような構成の作動チャンバーは、上蓋板の内表面及びサイドケーシングの内表面により密封されてもいいし下蓋板の内表面及びサイドケーシングの内表面により密封されてもいい。即ち、作動チャンバーはハウジングの内表面により密封される。
【0034】
サイドケーシング72の内表面には、更に、複数の噴気インレット67と複数の噴気アウトレット64が設けられ、噴気インレット67と噴気アウトレット64が交替に分布している。サイドケーシング72の内部には、更に、環状の一次サイレンサーチャンバー63が設けられ、サイドケーシング72の外表面には複数の一次排気口65が設けられている。一つの噴気アウトレット64が一つの一次排気口65に対応する。噴気アウトレット64が一次サイレンサーチャンバー63を介して一次排気口65と連通する。噴気インレット67は、噴気アウトレット64、一次排気口65及び一次サイレンサーチャンバー63と連通していない。主動力出力軸120の軸線を中心とする円周上において、噴気アウトレット64がそれに対応する一次排気口65とある角度でずらされている。サイドケーシング72には、噴気インレット67のそれぞれに対応する位置に噴気ノズル座71が固定されている。噴気ノズル座71毎に、上記噴気インレット67に入っている二つの噴気ノズル60が固定されている。一つの噴気ノズル60に一本の噴気管54が接続され、且つ噴気インレット67毎に入っている二つの噴気ノズル60の軸線が鋭角を為している。圧縮ガス容器20の圧縮ガスが噴気管54、噴気ノズル60を介して作動チャンバー69に輸送される。各作動チャンバー69では、噴気ノズル60から噴入されたガスがインペラ本体74を駆動して回転させ、且つ作動チャンバー69内に圧縮されて一時的に収容される。噴気アウトレット64に移動すると、作動チャンバー69内に一時的に収容されている圧縮ガスが膨張して噴気アウトレット64から高速に噴出され、噴出による反作用力で再度にインペラ本体74が駆動されて回転するようになる。インペラ本体74が回転すると、主動力出力軸120も回転して動力駆動車両の伝動系11を駆動する。
【0035】
各作動チャンバー69では、噴気ノズル60が噴入したガスが取り入れられてから噴気アウトレット64がガスを排気するまでの期間に、取り入れられたガスが作動チャンバー69内に圧縮されて一時的に収容される。噴出時の反作用力を増大させて動力駆動車両に対してより大きな動力を提供することができるからである。作動チャンバー69がハウジングの内表面により密封されるため、圧縮ガスが作動チャンバー69内に圧縮されて一時的に収容されやすくなる。なお、圧縮ガスエンジンにインプットされた圧縮ガスが凝結することを防止するために、噴気ノズル座71に噴気ノズル60を加熱するための第一ヒーター77を設けることができる。第一ヒーター77が噴気ノズル座71内に嵌入した電熱線であってもいい。図13に示すように、噴気ノズル60が噴気ノズル本体617を含む。噴気ノズル本体617が軸方向に貫通するキャビティー618を備える。噴気ノズル本体617に第二ヒーター615が設けられ、第二ヒーター615が上記噴気ノズル本体617に巻き付けられた電熱線である。噴気ノズル本体には、更に断熱層616が設けられる。この断熱層616と噴気ノズル本体617との間に上記第二ヒーター615が位置する。第一、第二ヒーターは電気ヒーター、マイクロ波ヒーター及び太陽熱ヒーターから選択される。
【0036】
動力駆動車両が更に第一モータ53を含む。第一モータ53がベルト伝動機構5を介して圧縮ガスエンジン4の主動力出力軸120と動力的に接続される。ベルト伝動機構51がプーリ511及びそのプーリ511に巻き付けるベルト512を含む。
【0037】
図6〜図8に示すように、動力駆動車両が更に圧縮ガス再利用システムを含む。この圧縮ガス再利用システムが、圧縮ガスエンジンの一次排気口65と風抵抗エンジンのインペラチャンバー43、43′とを連通するためのものである。圧縮ガス再利用システムが、一次排気管57、二次サイレンサーチャンバー59及び二次排気管58を含む。一次排気管57のインレットが対応する一次排気口65と連通する。一次排気管57のアウトレットが二次サイレンサーチャンバー59に集合される。二次サイレンサーチャンバー59が二次排気管58のインレットと連通する。二次排気管58のアウトレットが第一インペラチャンバー43及び第二インペラチャンバー43′の両方と連通する。圧縮ガスエンジンの噴出口64から高速で噴出されたガスが、順次に一次サイレンサーチャンバー63、一次排気口65を介して一次排気管57に入り、二次サイレンサーチャンバー59で消音処理されてから二次排気管58に入り、最後、第一、第二インペラチャンバー43、43′に入り、これにより第一、第二インペラを駆動して回転させる。このようにして圧縮ガスを再利用することにより、エネルギーを有効に節約でき、動力駆動車両の駆動力をさらに向上させることができる。
【0038】
図14に、本発明の動力駆動車両の第二の実施形態が示される。本実施形態は、第一の実施形態との違いとして主に、第一、第二風抵抗エンジン3、3′が横置きエンジンであり、第一、第二インペラ軸45、45′が水平的に取付けられ、主動力出力軸120に垂直する。第一の実施形態では、図8に示すように、第一、第二風抵抗エンジン3、3′が縦置きエンジンであり、第一、第二インペラ軸45、45′が垂直に取付けられる。第二の実施形態では、第一、第二風抵抗エンジンの第一、第二インペラ軸から出力された動力が第一回の方向変換で同軸出力に変換されたが、同軸出力された回転方向が伝動系に必要な回転方向に互いに垂直であるため、直接に伝動系に出力することができない。第一、第二風抵抗エンジンの出力した動力は、第二転向装置において伝動系と一致する回転方向に変換されなければならない。
【0039】
図15に、本発明の動力駆動車両の第三の実施形態が示される。本実施形態は第一の実施形態との違いとして主に、第一、第二風抵抗エンジン3、3′の両方に共通の補助動力出力軸130と、圧縮ガスエンジン4の主動力出力軸120との間に第二クラッチ装置111が設けられており、この第二クラッチ装置111により、風抵抗エンジンと圧縮ガスエンジンとの動力接続/遮断を実現することができる。本実施形態でも、風抵抗エンジンは横置きエンジンである。
【0040】
図16〜図19に示すように、動力駆動車両の分配器30と圧縮ガス容器20との間に、第一制御弁300及び第二制御弁400を含む減圧弁40が設けられている。第一制御弁300が第一弁座301、第一バルブプラグ302及び弾力装置303を含む。第一弁座301がキャビティー304を備え、第一バルブプラグ302がこのキャビティー304内に位置するとともに、この第一弁座301に摺動自在に密着し、第一バルブプラグ302がこのキャビティー304内に位置するとともに、このキャビティー304を第一チャンバー305及び第二チャンバー306に仕切る。第一制御弁300は、更に、第一ガスパイプライン307、第二ガスパイプライン308、第三ガスパイプライン309及び第四ガスパイプライン310を含む。第一ガスパイプライン307が圧縮ガス容器20からインプットした圧縮ガスを取り入れ、第二ガスパイプライン308の一端が第一ガスパイプライン307と連通し、第二ガスパイプライン308のもう一端が第二チャンバー306と連通し、第三ガスパイプライン309の一端が第二チャンバー306と連通し、第三ガスパイプライン309のもう一端が第一チャンバー305と連通し、第一チャンバー305が第四ガスパイプライン310を介して分配器30に接続される。第一ガスパイプライン307の直径が第二ガスパイプライン308の直径と第三ガスパイプライン309の直径より大きくなる。第二ガスパイプライン308の直径が第三ガスパイプライン309の直径より小さくなる。第一バルブプラグ302が第一弁座301に対して密封位置及び開放位置を有する。密封位置にある時、第一バルブプラグ302が第一ガスパイプライン307と第一チャンバー305との接続部を塞ぐことで、第一ガスパイプライン307と第一チャンバー305とが互いに連通しなくなる。開放位置にある時、第一バルブプラグ302が第一ガスパイプライン307と第一チャンバー305との接続部から離れることで、第一ガスパイプライン307と第一チャンバー305とが連通するようになる。
【0041】
第一バルブプラグ302は、柱状の本体部311と、針状の頭部が形成され、柱状本体部311よりも直径が小さくなる密封部312とを含む。この本体部311は、その外周面に装着された弾性の第一密封リング316を介して第一弁座301に摺動自在に嵌め合いされている。この本体部311が軸方向に貫通するインナーキャビティー317を備え、この密封部312がこのインナーキャビティー317に位置しこの本体部311に対して直線的移動が可能であり、且つこの密封部312が第一チャンバー305に入っている。弾力装置303は、第一弾性体313及び第二弾性体314を含み、第一弾性体313がこのインナーキャビティー317内に位置し、第一弾性体313の両端がそれぞれ密封部312及び位置決めブロック315に当接し、第二弾性体314が第二チャンバー306内に位置し、第二弾性体314の両端がそれぞれ第一弁座301の底部301A及び位置決めブロック315に固定され、この位置決めブロック315がこのインナーキャビティー317の底部に螺合固定される。本体部311の頂部の端面に弾性の第二密封リング318を固定している。
【0042】
第二制御弁400は、第三ガスパイプライン309に設けられ、第三ガスパイプライン309における流量を制御するためのものである。ここで、流量を制御するのは、流量有り状態と流量無し状態との間の変化を制御し、あるいは、大流量と小流量との間の変化を制御することを意味する。第二制御弁400は、第二本体部404とこの第二本体部404の先端に位置する錐状体405とが含まれる第二バルブプラグ402と、ガス流路406が含まれる第二弁座401とを備える。このガス流路406の吸気口407及び排気口408が第三ガスパイプライン309に接続される。また、このガス流路406には、上記錐状体に合致する錐状の制御チャンバー410が設けられる。第二本体部404がこの制御チャンバー410に螺合される。ねじにより錐状体と制御チャンバーとの間の第二間隙403の大きさを調整することで、第三ガスパイプラインにおけるガスの流量を制御することができる。勿論、第二制御弁は他の従来のガス流量制御装置であってもよい。第二バルブプラグ402が伝動機構の出力端に接続され、伝動機構の入力端に動力駆動車両の制御スイッチが接続される。伝動機構500は動力的に接続される第一伝動機構501と第二伝動機構502とを含む。第一伝動機構501は上記制御スイッチと第二伝動機構502と接続させる。第二伝動機構502は例えばベルト伝動機構であり、駆動プーリ503と、この駆動プーリ503よりも直径が小さくなる従動プーリ504とを含む。ベルト505が駆動プーリ503と従動プーリ504に張設される。制御スイッチが操作されると、第一伝動機構501が作動し、駆動プーリ503がそれにより回転するようになり、さらに、ベルト505により従動プーリ504を回転させる。従動プーリ504の回転に応じて、第二バルブプラグ402が回転するため、第二バルブプラグ402が第二弁座401に対して締めたり緩めたりされるようになる。即ち、第一バルブプラグと第一弁座との間の第二間隙403の大きさを変更することにより、第三ガスパイプラインにおける流量を調整することができる。第二間隙403が0になると、第二制御弁400がオフされ、第三ガスパイプライン309が遮断される。
【0043】
圧縮ガスが減圧弁に入っていない状態において、第一弾性体313及び第二弾性体314の弾力により、密封部312の頭部が第一ガスパイプライン307と第一チャンバー305との接続部を塞ぎ、この時に、第二密封リング318と第一弁座301の頂部301Bとの間に間隙がある(又は、第二密封リング318がこの頂部301Bに接触している)。圧縮ガスがこの減圧弁に入ると、圧縮ガスが第一ガスパイプライン307及び第二ガスパイプライン308を経由して第二チャンバー306内に充気される。充気の過程において、制御スイッチ7がオフされている場合に、第二チャンバー306内の気圧により第一バルブプラグ302が引き続き頂部301Bへ移動し、第二密封リング318がこの頂部301Bに当接する(又は、第二密封リング318が弾性変形後に頂部301Bに押し付けられる)まで、密封部の頭部が安定的に上記接続部を塞ぐ(密封部312の外周面320が第一ガスパイプライン307の内壁321に密着する)ようにする。制御スイッチ7がオンされると、第二バルブプラグ402が緩められ、第三ガスパイプライン309が導通し、第二チャンバー306内のガスが第三ガスパイプライン309を経由して第一チャンバー305へアウトプットされるため、第二チャンバー306内の気圧が低下する。すると、第一バルブプラグの密封部が圧縮ガスの気圧により上記接続部から離れ、圧縮ガスが第一チャンバー305及び第四ガスパイプライン310を経由して分配器30に入る。圧縮ガスが第一チャンバーを介して第四ガスパイプラインに入る際に、第一バルブプラグ302が全体として第一弁座の底部301Aへ移動する。第一バルブプラグ302に作用する力が平衡すると、本体部311と密封部312が互いに平衡状態の位置にあり、密封部の外周面320と第一ガスパイプラインの内壁321との間に圧縮ガスが通過するための第一間隙319が形成される。圧縮ガス容器からの給気が停止されると、第一バルブプラグの密封部が第一弾性体及び第二弾性体により第一ガスパイプラインと第一チャンバーとの接続部を塞ぎ、密封部が第一ガスパイプラインの内壁に密着するようになる。
【0044】
第二制御弁の操作により、第三ガスパイプラインにおけるガスの流量や気圧を変更することができ、密封部が上又は下へ移動し、第一ガスパイプライン内壁と密封部の外周面との間の第一間隙が変更され、そして、第四ガスパイプラインにおけるガスの流量や気圧への調節が実現できるため、操作が容易になる。
【0045】
第一弾性体及び第二弾性体は、例えば伸縮可能なばねとされているが、弾性スリーブ、弾性板又は他の第一バルブプラグの摺動方向に伸縮変形又は弾性変形可能な部品であってもよい。
【0046】
減圧弁を設けることにより、圧縮ガス容器における圧縮ガスを調圧して分配器にアウトプットすることができる。第二弾性体313は、減圧弁がオフされている状態で第一バルブプラグ302と第一弁座301間の剛性衝撃力を効果的に低減する緩衝の役割を果たすとともに、密封部の第一ガスパイプラインへの密封性を向上することができる。第二ガスパイプライン308の断面積が第三ガスパイプライン309の断面積よりも小さくなるため、流量制御弁の全てのガス流路への制御を行うことができるとともに、流量を増幅する役割を果たし、制御の精度を向上することができる。
【0047】
分配器が二つの場合は、当該二つの分配器に対応する二つの上記減圧弁が同一の制御スイッチにより制御される。ここで、図19に示すように、第二伝動機構は、二つの減圧弁の第二バルブプラグをそれぞれ駆動する二つの従動プーリを備える。勿論、ガス分配器にインプットされた圧縮ガスの流量や気圧に対して多段制御を行う二つ以上の直列連結した減圧弁を備えてもよい。
【0048】
なお、図16に示すように、上記減圧弁が全体として熱交換媒体600に設置されていてもよい。この場合は、この熱交換媒体が減圧弁内のガスと熱交換を行うことで、このガスが加熱されてから分配器によりアウトプットされる。熱交換媒体600は、冷却空調器のクーラー700の循環媒体として、減圧弁内のガスと熱交換して冷却され、冷却された熱交換媒体がクーラー内で循環し、外気温度を下げる役割を果たす。この熱交換媒体は、例えば、揮発されにくい、冷却効果のよい防腐性の冷却液である。
【0049】
図20〜図23は、動力駆動車両の風抵抗エンジンの他の実施形態を示す。風抵抗エンジン3は、ハウジング801と、このハウジング801に囲まれるインペラチャンバー802と、補助動力出力軸130と、複数組のインペラ804とを備える。各組のインペラ804は複数のインペラを含む。各インペラは上記補助動力出力軸130に固定されるとともに互いにずらして設置されている。上記インペラチャンバー802には、動力駆動車両の走行時に生じた前方からの抵抗流体を取り入れるための吸気口805が形成されている。この吸気口805が外側から内側へ小さくなるラッパ口のような形状とされている。各組のインペラ804はこの吸気口805内に位置し、且つ、外側から内側へ直径が順次に小さくなる。補助動力出力軸130が圧縮ガスエンジン4の主動力出力軸120と同一の軸線を持ち、且つ、主動力出力軸120と補助動力出力軸130との間に第二クラッチ装置111が設けられている。なお、上記インペラチャンバーは一つの第一排気口806と、対称的に設置される二つの第二排気口807とを備える。第一排気口806が、インペラ804の後側でハウジング801の側部に開口される。吸気口805が補助動力出力軸130と同一の軸線を持つ。第一排気口806の軸線と補助動力出力軸130の軸線とが角度をなす。第二排気口807が、インペラ804の後側でハウジング801の端部に開口される。第二排気口807の軸線と補助動力出力軸130の軸線とが角度をなす。圧縮ガスエンジンの構成は前記の通りである。
【0050】
起動時に、第二クラッチ装置111が切られ、主動力出力軸120が補助動力出力軸130から分離される。圧縮ガスエンジン4は、風抵抗エンジン3のインペラを駆動する必要がなく、直接に動力駆動車両の伝動系を駆動するため、有効に起動時の負荷を低減することができる。走行時に、第三クラッチ装置が入れられ、主動力出力軸120が補助動力出力軸130と動力的に接続される。各組のインペラが抵抗流体により駆動されて回転し、それに応じて補助動力出力軸130が回転するようになる。補助動力出力軸130の動力が主動力出力軸120を介して動力駆動車両の伝動系に伝達される。
【0051】
補助動力出力軸120が主動力出力軸130と同一の軸線であるため、補助動力出力軸の動力は方向変換して出力する必要がなくなる。したがって、構成を簡素化し、動力伝達の経路を短縮し、エネルギーの消耗を低減することが出来る。複数組のインペラ804を採用しているため、動力駆動車両の前方からの抵抗流体をより有効に利用できる。
【0052】
圧縮ガス容器と、減圧弁と、熱交換装置とアウトプットパイプラインとを備える圧縮ガス供給システムにおいて、上記圧縮ガス容器の出力がパイプラインを介して減圧弁に接続され、減圧弁で減圧されてアウトプットされた作動ガスがアウトプットパイプラインにインプットされ、上記熱交換装置が減圧弁を加熱するために用いられる。熱交換装置は冷却液が収容されている容器を備え、上記減圧弁が上記冷却液内に浸されている。圧縮ガス供給システムは更にクーラーと第一循環ポンプとを備え、上記の容器とクーラーと第一循環ポンプが互いに連通し、冷却液を媒体として循環冷却システムを構成し、クーラーにより外気と熱交換する。上記熱交換装置は加熱装置を含み、上記加熱装置が上記アウトプットパイプラインを加熱するために用いられる。更に、上記圧縮ガス供給システムは放熱器と第二循環ポンプとを含み、上記ヒーターとクーラーと第二循環ポンプとが互いに連通しており、循環放熱システムを構成し、放熱器により外気と熱交換する。
【0053】
また、圧縮ガス容器と、減圧弁と、冷却液が収容されている容器とを備える圧縮ガス動力駆動車両冷却システムにおいて、上記圧縮ガス容器の出力がパイプラインを介して減圧弁に接続され、減圧弁で減圧されてアウトプットされた作動ガスがアウトプットパイプラインにインプットされ、上記減圧弁が上記冷却液内に浸されており、上記容器とクーラーと第一循環ポンプが互いに連通し、冷却液を媒体として循環冷却システムを構成しており、クーラーにより外気と熱交換する。上記減圧弁が図2〜図4、図17、図18に示すような減圧弁である。
【0054】
以上は、具体的な実施形態を使って本発明を詳しく説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮ガスを受取るための吸気口とガスを排出するための排気口とを備えるガス貯蔵容器と、
ガス貯蔵容器にインプットされたガスを加熱するための第一熱交換装置と、
を含むことを特徴とするガス減圧貯蔵装置。
【請求項2】
上記第一熱交換装置は第一熱交換ユニットを含み、上記第一熱交換ユニット内に第一媒体が収容され、上記第一媒体がガス貯蔵容器内のガスと熱交換することにより、このガスが加熱されることを特徴とする請求項1に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項3】
更に、第一クーラーと第一循環ポンプとを備え、
上記第一熱交換ユニットと、第一クーラーと第一循環ポンプとにより内循環冷却システムが構成されており、
第一媒体が第一熱交換ユニットと第一クーラーとの間において循環し、第一クーラーが外気と熱交換することを特徴とする請求項2に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項4】
上記第一熱交換ユニットは、ガス貯蔵容器の周囲を取り囲んだ第一温度調節室を備え、
第一媒体が上記第一温度調節室とガス貯蔵容器との間に格納され、
第一クーラーの両端がいずれも上記第一温度調節室に接続されていることを特徴とする請求項3に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項5】
上記第一熱交換装置は更に第二熱交換ユニットを備え、
吸気口、第一熱交換ユニット、第二熱交換ユニット及び排気口が順次に配置され、
第二熱交換ユニットは、ガス貯蔵容器の周囲を取り囲んだ第二温度調節室と、ガス貯蔵容器と第二温度調節室との間に格納される第二媒体と、第二温度調節室に装着されて第二媒体を加熱する第一加熱器とを備え、
第二媒体がガス貯蔵容器内のガスと熱交換することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項6】
上記第二温度調節室が第一放熱器に接続され、第二媒体が第二温度調節室と第一放熱器との間において循環し、第一放熱器が外気と熱交換することを特徴とする請求項5に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項7】
更に減圧弁を備え、
圧縮ガスが減圧弁で減圧された後ガス貯蔵容器に入ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項8】
更に、減圧弁を加熱するための第二熱交換装置を備えていることを特徴とする請求項7に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項9】
上記第二熱交換装置は、冷却液が収容される容器を備え、
上記減圧弁が上記冷却液内に浸されることを特徴とする請求項8に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項10】
更に、第二クーラーと第二循環ポンプとを備え、
上記容器と第二クーラーと第二循環ポンプとが互いに連通し、冷却液を媒体として循環冷却システムが構成され、第二クーラーにより外気と熱交換することを特徴とする請求項9に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項11】
上記減圧弁は、ハウジングと、バルブコアと、調節ブロックと、弾性体とを備え、
バルブコアはハウジング内部に位置し、当該ハウジングに摺動自在に密着しており、
ハウジングは、軸方向にこのハウジングを貫通するハウジングチャンバーと、径方向にこのハウジングを貫通するガス流路とを備え、このハウジングチャンバーに吸気パイプラインが接続され、このガス流路がハウジングチャンバー及びガス貯蔵容器に接続され、
バルブコアは、密封端及び調節端を備え、弾性体は調節ブロックとバルブコアの調節端との間に配置され、
調節ブロックはハウジングに固定され、
バルブコアは第一位置及び第二位置を備え、第一位置の場合、ガスインプットパイプラインが密封端により塞がれてガスインプットパイプラインとガス貯蔵容器とが遮断され、第二位置の場合、密封端がガスインプットパイプラインから離れ、ガスインプットパイプラインとガス貯蔵容器とが導通するようになることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項12】
上記減圧弁は第一制御弁と第二制御弁とを含み、
上記第一制御弁は、キャビティーを備える第一弁座と、当該キャビティー内に位置するとともに当該キャビティーを第一チャンバーと第二チャンバーに仕切る第一バルブプラグと、第二弾性体と、第一ガスパイプラインと、第二ガスパイプラインと、第三ガスパイプラインと、第四ガスパイプラインとを含み、
上記第一バルブプラグは、上記第一弁座に摺動自在に密着し、
上記第二弾性体は上記第二チャンバー内に設置され、上記第一バルブプラグを支持するものであり、
上記第二ガスパイプラインは上記第一ガスパイプラインと上記第二チャンバーとを接続させ、
上記第三ガスパイプラインは上記第一チャンバーと上記第二チャンバーとを接続させ、
上記第四ガスパイプラインと上記第一ガスパイプラインとの両方はいずれも上記第一チャンバーに接続され、
上記第二ガスパイプラインの断面積が第三ガスパイプラインの断面積より小さく、
上記第二制御弁は上記第三ガスパイプラインに接続され、当該第三ガスパイプラインにおけるガスの流量を制御し、
上記第一バルブプラグは、摺動方向において第一位置と第二位置を有し、上記第一位置の場合、上記第一ガスパイプラインを塞ぐことで当該第一ガスパイプラインと第一チャンバーとが互いに連通しなくなり、第二位置の場合、上記第一ガスパイプラインから離れることで、上記第一ガスパイプラインと第一チャンバーとが連通するようになることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項13】
圧縮ガスを貯蔵するための圧縮ガス容器と、圧縮ガスエンジンに圧縮ガスを輸送するための分配器とを備える噴気システムであって、
さらに、請求項1〜12のいずれか1項に記載のガス減圧貯蔵装置を備え、
上記圧縮ガス容器からの出力がパイプラインを介してガス減圧貯蔵装置の吸気口に接続され、
上記ガス減圧貯蔵装置の排気口に分配器が接続されていることを特徴とする噴気システム。
【請求項14】
車輪と、伝動系と、圧縮ガスエンジンとを含む動力駆動車両であって、
さらに、請求項13に記載の噴気システムを備え、
上記噴気システムと、圧縮ガスエンジンと、伝動系と、車輪とが順次に接続されることを特徴とする動力駆動車両。
【請求項1】
圧縮ガスを受取るための吸気口とガスを排出するための排気口とを備えるガス貯蔵容器と、
ガス貯蔵容器にインプットされたガスを加熱するための第一熱交換装置と、
を含むことを特徴とするガス減圧貯蔵装置。
【請求項2】
上記第一熱交換装置は第一熱交換ユニットを含み、上記第一熱交換ユニット内に第一媒体が収容され、上記第一媒体がガス貯蔵容器内のガスと熱交換することにより、このガスが加熱されることを特徴とする請求項1に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項3】
更に、第一クーラーと第一循環ポンプとを備え、
上記第一熱交換ユニットと、第一クーラーと第一循環ポンプとにより内循環冷却システムが構成されており、
第一媒体が第一熱交換ユニットと第一クーラーとの間において循環し、第一クーラーが外気と熱交換することを特徴とする請求項2に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項4】
上記第一熱交換ユニットは、ガス貯蔵容器の周囲を取り囲んだ第一温度調節室を備え、
第一媒体が上記第一温度調節室とガス貯蔵容器との間に格納され、
第一クーラーの両端がいずれも上記第一温度調節室に接続されていることを特徴とする請求項3に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項5】
上記第一熱交換装置は更に第二熱交換ユニットを備え、
吸気口、第一熱交換ユニット、第二熱交換ユニット及び排気口が順次に配置され、
第二熱交換ユニットは、ガス貯蔵容器の周囲を取り囲んだ第二温度調節室と、ガス貯蔵容器と第二温度調節室との間に格納される第二媒体と、第二温度調節室に装着されて第二媒体を加熱する第一加熱器とを備え、
第二媒体がガス貯蔵容器内のガスと熱交換することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項6】
上記第二温度調節室が第一放熱器に接続され、第二媒体が第二温度調節室と第一放熱器との間において循環し、第一放熱器が外気と熱交換することを特徴とする請求項5に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項7】
更に減圧弁を備え、
圧縮ガスが減圧弁で減圧された後ガス貯蔵容器に入ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項8】
更に、減圧弁を加熱するための第二熱交換装置を備えていることを特徴とする請求項7に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項9】
上記第二熱交換装置は、冷却液が収容される容器を備え、
上記減圧弁が上記冷却液内に浸されることを特徴とする請求項8に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項10】
更に、第二クーラーと第二循環ポンプとを備え、
上記容器と第二クーラーと第二循環ポンプとが互いに連通し、冷却液を媒体として循環冷却システムが構成され、第二クーラーにより外気と熱交換することを特徴とする請求項9に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項11】
上記減圧弁は、ハウジングと、バルブコアと、調節ブロックと、弾性体とを備え、
バルブコアはハウジング内部に位置し、当該ハウジングに摺動自在に密着しており、
ハウジングは、軸方向にこのハウジングを貫通するハウジングチャンバーと、径方向にこのハウジングを貫通するガス流路とを備え、このハウジングチャンバーに吸気パイプラインが接続され、このガス流路がハウジングチャンバー及びガス貯蔵容器に接続され、
バルブコアは、密封端及び調節端を備え、弾性体は調節ブロックとバルブコアの調節端との間に配置され、
調節ブロックはハウジングに固定され、
バルブコアは第一位置及び第二位置を備え、第一位置の場合、ガスインプットパイプラインが密封端により塞がれてガスインプットパイプラインとガス貯蔵容器とが遮断され、第二位置の場合、密封端がガスインプットパイプラインから離れ、ガスインプットパイプラインとガス貯蔵容器とが導通するようになることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項12】
上記減圧弁は第一制御弁と第二制御弁とを含み、
上記第一制御弁は、キャビティーを備える第一弁座と、当該キャビティー内に位置するとともに当該キャビティーを第一チャンバーと第二チャンバーに仕切る第一バルブプラグと、第二弾性体と、第一ガスパイプラインと、第二ガスパイプラインと、第三ガスパイプラインと、第四ガスパイプラインとを含み、
上記第一バルブプラグは、上記第一弁座に摺動自在に密着し、
上記第二弾性体は上記第二チャンバー内に設置され、上記第一バルブプラグを支持するものであり、
上記第二ガスパイプラインは上記第一ガスパイプラインと上記第二チャンバーとを接続させ、
上記第三ガスパイプラインは上記第一チャンバーと上記第二チャンバーとを接続させ、
上記第四ガスパイプラインと上記第一ガスパイプラインとの両方はいずれも上記第一チャンバーに接続され、
上記第二ガスパイプラインの断面積が第三ガスパイプラインの断面積より小さく、
上記第二制御弁は上記第三ガスパイプラインに接続され、当該第三ガスパイプラインにおけるガスの流量を制御し、
上記第一バルブプラグは、摺動方向において第一位置と第二位置を有し、上記第一位置の場合、上記第一ガスパイプラインを塞ぐことで当該第一ガスパイプラインと第一チャンバーとが互いに連通しなくなり、第二位置の場合、上記第一ガスパイプラインから離れることで、上記第一ガスパイプラインと第一チャンバーとが連通するようになることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のガス減圧貯蔵装置。
【請求項13】
圧縮ガスを貯蔵するための圧縮ガス容器と、圧縮ガスエンジンに圧縮ガスを輸送するための分配器とを備える噴気システムであって、
さらに、請求項1〜12のいずれか1項に記載のガス減圧貯蔵装置を備え、
上記圧縮ガス容器からの出力がパイプラインを介してガス減圧貯蔵装置の吸気口に接続され、
上記ガス減圧貯蔵装置の排気口に分配器が接続されていることを特徴とする噴気システム。
【請求項14】
車輪と、伝動系と、圧縮ガスエンジンとを含む動力駆動車両であって、
さらに、請求項13に記載の噴気システムを備え、
上記噴気システムと、圧縮ガスエンジンと、伝動系と、車輪とが順次に接続されることを特徴とする動力駆動車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2012−525545(P2012−525545A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507597(P2012−507597)
【出願日】平成22年5月3日(2010.5.3)
【国際出願番号】PCT/CN2010/072399
【国際公開番号】WO2010/124658
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511262843)
【氏名又は名称原語表記】CONG,Yang
【住所又は居所原語表記】Flat 30C,Block B,Qing Tian Hua Ting,Shang Bao Lu,Fu Tian District,Shenzhen,Guangdong 518034,China
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月3日(2010.5.3)
【国際出願番号】PCT/CN2010/072399
【国際公開番号】WO2010/124658
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511262843)
【氏名又は名称原語表記】CONG,Yang
【住所又は居所原語表記】Flat 30C,Block B,Qing Tian Hua Ting,Shang Bao Lu,Fu Tian District,Shenzhen,Guangdong 518034,China
【Fターム(参考)】
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