ガス漏洩検知システム
【課題】ガス漏洩の可能性があることを的確に判定でき、また、安全性も向上し得るガス漏洩検知システムを提供する。
【解決手段】システムは、単数又は複数のガス機器が下流側に接続されたガス供給路において、そのガス供給路を流れる流量定常状態のガス流に圧力変化を付与し、生じるガス流量の変化を調べることにより、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量以外の無制御流量の存在を判別するとともに、ガス機器から発生される通信情報であって、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていない無制御ガス機器から、当該無制御ガス機器がガスを使用している状態で発生される使用通信情報を検出し、無制御流量の存在判別結果と、使用通信情報の検出結果に基づいて、漏洩を検知する。
【解決手段】システムは、単数又は複数のガス機器が下流側に接続されたガス供給路において、そのガス供給路を流れる流量定常状態のガス流に圧力変化を付与し、生じるガス流量の変化を調べることにより、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量以外の無制御流量の存在を判別するとともに、ガス機器から発生される通信情報であって、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていない無制御ガス機器から、当該無制御ガス機器がガスを使用している状態で発生される使用通信情報を検出し、無制御流量の存在判別結果と、使用通信情報の検出結果に基づいて、漏洩を検知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のガス燃焼機器に対する燃料ガス供給系などでのガス漏洩検知に適したガス漏洩検知システムに関し、特にガス消費量を計測するガスメータの機能向上に適したガス漏洩検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス漏洩検知に使用可能なガス器具判別装置として、ガス流量に変化が生じたとき、その変化流量に基づいて個別ガス器具単位の流量を求め、また、ガス圧力を能動的に変化させたときのガス流量変化に基づき、全ガス流量のうちガスガバナ(制御手段の一例)が装備されているガス器具に供給されているガス流量の割合を求めて、その割合と全ガス流量とに基づいてガスガバナが装備されているガス器具に供給されているガス流量とガスガバナが装備されていないガス器具に供給されているガス流量とを求め、これらガスガバナ装備・非装備別のガス流量と前記個別ガス器具単位の流量とを比較することで、使用されているガス器具のガスガバナ装備の有無を判別して、その判別結果に基づき使用されているガス器具の種類を判別するものが提案されている(特許文献1の段落〔0009〕参照)。
【0003】
そして、このガス器具判別装置を用いたガス安全遮断装置として、使用されているガス器具が全てガスガバナを有するガス器具の場合には明らかにガス漏れの危険性はないものと判別し、同じような微小流量が長時間検出されても、ガスガバナを有するガス器具(例えばファンヒータ)のみが使用されている場合にはガスを遮断せず、ガスガバナを有しない器具が使用されている場合にはガス漏れと判断してガス遮断を行うものが提案されている(特許文献1の段落〔0049〕参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−151580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記構成においては、ガスガバナを有しない器具が使用されている場合と、真にガス漏れが発生している場合との両方をガス漏れと判断してガス遮断を行うため、真にガス遮断の必要のない場合にも、ガス遮断を行うこととなるため問題がある。
このような問題が発生する原因は、圧力変化の付与により発生する流量変化が、ガスガバナを有しない器具が使用されている場合と、真にガス漏れが発生している場合とで変わらないため、両方の識別ができないということに起因している。
【0006】
本発明の主たる目的は、真にガス漏れが発生している状況において、ガス遮断を的確に実行することが可能となるガス漏洩検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための、本願第1特徴構成を備えたガス漏洩検知システムは、
単数又は複数のガス機器が下流側に接続されたガス供給路において、そのガス供給路を流れる流量定常状態のガス流に圧力変化を付与する圧力変化付与手段と、
前記圧力変化付与手段により付与される圧力変化により生じるガス流量の変化を検出する流量変化検出手段と、
前記流量変化検出手段により検出されるガス流量の変化により、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量以外の無制御流量の存在を判別する無制御流量判別手段と、
ガス機器から発生される通信情報であって、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていない無制御ガス機器から、当該無制御ガス機器のガスの使用に伴って発生される使用通信情報を検出する使用通信情報検出手段とを備え、
前記無制御流量判別手段による無制御流量の存在判別結果と、前記使用通信情報検出手段による使用通信情報の検出結果に基づいて、下流側における漏洩を検知するシステムとする。
このガス漏洩検知システムでは、
単数又は複数のガス機器が下流側に接続されたガス供給路において、そのガス供給路を流れる流量定常状態のガス流に圧力変化を付与し、
この圧力変化の付与により生じるガス流量の変化を調べることにより、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量以外の無制御流量の存在を判別するとともに、
ガス機器から発生される通信情報であって、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていない無制御ガス機器から、当該無制御ガス機器のガスの使用に伴って発生される使用通信情報を検出し、
前記無制御流量の存在判別結果と、前記使用通信情報の検出結果に基づいて、下流側における漏洩を検知することとなる。
ここで、使用通信情報は、ガス機器がガスを使用している状態で継続的に発信するガス使用通信情報、あるいは使用開始時と使用停止時とに限って発信するガス使用通信情報である。
【0008】
圧力変化を減殺する制御手段(例えば、ガスガバナやPID制御式等の自動流量調整手段など)が組み込まれたガス機器への供給流量(以下、制御流量と略称することがある)がガス供給路の全ガス流量を占める状態では、その供給ガスの全部に対して上記制御手段が作用することから、上記制御手段としてのガスガバナ等圧力制御機器の制御範囲内では、上記圧力変化の付与によりガス流量を変化させても、ガス流量は僅かなオフセットが残る場合もあるが圧力変化付与直後の一時的な過渡変化を経てほぼ圧力変化付与前の流量に戻るようになる(図9参照)。
【0009】
一方、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器へのガス供給(制御流量)が無く、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていないガス機器への供給流量か、ガス漏洩による発生流量かのいずれか、あるいは、それらの合計のガス流量(以下、無制御流量と略称することがある)がガス供給路の全ガス流量を占めている状態では、制御手段の作用が全くないことから圧力変化の付与後もガス流量は圧力変化付与前の流量に戻ることがなく、上記圧力変化の付与によりガス流量を変化させると、その付与圧力変化に応じた流量変化が圧力を元に戻さない限り継続的に残存する状態になる(図10参照)。
【0010】
そして、この場合の圧力変化付与前における全ガス流量Q0及び圧力P0と、圧力変化付与後における全ガス流量Q1及び圧力P1との関係は、次の(式1)で表される関係になることが知られている。
Q1/Q0=√(P1/P0) ………(式1)
【0011】
また、上記制御流量と無制御流量とが混在して、それらの合計流量がガス供給路の全ガス流量となっている状態では、上記圧力変化の付与によりガス流量を変化させると(この変化は上記制御手段により変化を吸収できる制御範囲内とする)、その流量変化のうち制御流量について生じた変化部分は制御手段の作用により圧力変化付与直後の過渡変化を経て消失し、他方の無制御流量について生じた変化部分が圧力を元に戻さない限り継続的に残存する状態になる(図11参照)。
【0012】
この場合の圧力変化付与前における全ガス流量Q0,制御流量Q0′,無制御流量Q0″,圧力P0と、圧力変化付与後における全ガス流量Q1,制御流量Q1´,無制御流量Q1″,圧力P1の関係は次の(式2)〜(式5)で表される関係になる。
【0013】
Q1″/Q0″=√(P1/P0) ………(式2)
Q0=Q0′+Q0″ ………(式3)
Q1=Q1′+Q1″ ………(式4)
Q0′=Q1′ ………(式5)
【0014】
なお、(式2)は圧力変化付与前後における無制御流量と圧力との関係を示し、(式3)及び(式4)は圧力変化付与前及び圧力変化付与後の夫々における全ガス流量と制御流量と無制御流量との関係を示し、(式5)は圧力変化付与後における過渡変化の後の制御流量が圧力変化付与前の制御流量に戻ることを示している。
【0015】
ここで、例えば(式3)〜(式5)によりQ0′,Q1′を消去して次の(式6)が得られ、
Q0−Q0″=Q1−Q1″ ………(式6)
【0016】
この(式6)と(式2)とによりQ1″を消去するように次の如く式を順次変形すれば無制御流量Q0″を未知数とする(式7)が得られる。
Q0″=(Q1−Q0+Q0″)/√(P1/P0)
Q0″=(Q1−Q0)/√(P1/P0)+Q0″/√(P1/P0)
Q0″=(Q1−Q0)/(√(P1/P0)−1)…(式7)
【0017】
以上のことから明らかなように、圧力変化付与前後の圧力の関係が既知の状態で、圧力変化の付与により生じる全ガス流量の変化を調べれば、無制御流量Q0″の有無を正確に判定し得るとともに、その無制御流量Q0″(又はQ1″)の流量値を求めることができる。
【0018】
このように本発明に係るガス漏洩検知システムでは、圧力変化付与で生じるガス流量の変化を調べることにより、無制御流量(圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていないガス機器への供給流量又はガス漏洩による発生流量)を求める。この無制御流量はガス漏洩による発生流量の可能性がある流量との意味で漏洩流量とも考えることができる。
【0019】
一方、最近のガス機器は、そのガス機器がガスを使用(消費)する運転状態にあって、所定の使用通信情報を発生するものがある。このようなガス機器としては、所謂、コンロを挙げることができ、コンロの場合は、その使用に連動してレンジフードに備えられる換気扇が運転されるように、使用通信情報を発信する。そこで、本願に係るガス漏洩検知技術では、この使用通信情報を検出する。先に説明した無制御流量が、当該使用通信情報を発信しているガス機器から発信されている場合があるからである。
そして、無制御流量の存否と、使用通信情報が検出されるか否かに従って、下流側で漏洩が発生しているかどうかを判断し、検知する。従って、本願に係る検知システムでは、制御手段を備えていないガス機器が正常に使用されている場合を、使用通信情報側から確認して、二つの要件(無制御流量の存否及び制御手段が備えられていないガス機器の運転状態)から漏洩を検知でき、下流側における漏洩を、従来よりも高い信頼精度をもって検知することができる。
【0020】
これらのことから、本発明に係るガス漏洩検知システムの第1特徴構成によれば、先述した特許文献1のガス安全遮断装置などに比べ、ガス漏洩の可能性があることを一層的確に判定することができて、ガス漏洩の可能性があるにもかかわらずガス漏洩の可能性があることの判定が長時間にわたって行われなかったり、また逆に、ガス漏洩の危険性がないにもかかわらずガス漏洩の可能性があると判定されるといったことを効果的に防止することができる。また、無制御流量に含まれる漏洩流量の大きさに従って、例えばガス遮断までの時間である制限時間を適切に選定するようにすることで特に安全性の面において一層優れたガス漏洩検知を行える。
【0021】
そして、ガス漏洩を検知するシステムにおいては、無制御流量が存在すると判別されるとともに、使用通信情報が検出された場合は、当該無制御流量が当該使用通信情報を発信しているガス機器からの情報として、不要に遮断を行うことを避けることができる。
一方、無制御流量が存在すると判別される状況で、使用通信情報が検出されない場合は、当該無制御流量がこれまで説明してきた漏洩流量である可能性が高いものとして、真の漏洩検知を従来よりも高い精度で行うことができる。
【0022】
上記のガス漏洩検知システムは、前記無制御ガス機器がガス燃焼機器であり、前記使用通信情報が、換気設備を運転するために前記ガス燃焼機器から発信される発信情報である場合に好適に適応できる。
即ち、ガス機器がガス燃焼機器であり、この機器から換気設備を運転するために使用通信情報が発信されている場合に、このガス燃焼機器の運転状況に対応して、当該ガス燃焼機器の使用により無制御流量が発生しているか、無制御流量が真の漏洩流量かを的確に検知できる。
【0023】
さて、これまで説明してきたガス漏洩検知システムにおいて、
前記無制御ガス機器から発生される使用通信情報が、赤外線で通信される赤外線通信情報であるとともに、
前記使用通信情報が、当該赤外線通信情報を傍受し、有線もしくは無線の電気通信情報に変換されて中継器を経由して得られる情報であることが好ましい。
無制御ガス機器と他の設備機器との間の通信を行う場合、通信のコスト等のメリットから赤外線を使用した通信システムが採用される場合が多い。そして、この構成のガス漏洩検知システムでは、その赤外線通信情報(使用通信情報)の通信可能範囲が、比較的狭い範囲に限られる。そこで、この構成のガス漏洩検知システムでは、中継器を設け、その中継器を介して、有線もしくは無線の電気通信情報に変換して使用通信情報検出手段へ送る。このようにすることで、使用通信情報が取得される位置と、使用通信情報検出手段が備えられている位置とが異なる場合も、良好にシステムを構築できる。
例えば、使用通信情報検出手段を、屋外に設置されるガスメータ(マイコンガスメータ)の一機能部位とする場合、一室内通信に限られる赤外線では通信できない。そこで、何らかの方法で赤外線通信を傍受して、ガスメータ用の通信プロトコルに変換し、さらに無線・有線の電気通信情報に変換して送信することで、使用通信情報を確実に伝達、検出できる。
【0024】
中継器を構成する場合の具体的な構成として、前記使用通信情報が、警報器に備えられる有線もしくは無線の電気通信機能を経由して得られる情報であることが好ましい。
近来、ガスを使用する場所には、火災警報器の設置が義務付けられている。また、このようなガスを使用する場所には、一般にガス警報器が設置される。火災警報及びガス警報との両機能を備えたガス・火災警報器が設置される場合もある。そこで、この構成では、先に説明した中継器としての役割をも、当該警報器に担わせることにより、実質的な設備の増加を伴うことなく、ガス漏洩検知システムを構築できる。
このような中継機能を、コンロと同室に設置される警報器に持たせる構成を採用することができるが、この構成において、最近のガス警報器には、「警報器連動遮断」として既に遮断弁を駆動するものが実用化されている。そこで、使用通信情報検出機能を、このガス警報器に持たせ、無制御流量の存在を判別する機能をガスメータ側に備え、それら両機能部位で得られる情報に基づいて、ガス供給路を遮断する構成とすることも可能である。この場合、ガス警報器の機能を拡張することとなる。この構成を採用する場合は、使用通信情報の通信は、弁遮断に至らない電圧での通信、遮断弁が作動するよりも高速での通信等の既存の手法を用いて送信することができる。
【0025】
さらに、中継器を構成する場合の具体的な構成として、前記使用通信情報が、前記警報器よりの通信を受信したホームセキュリティーシステムとの通信によって得られる情報であることも好ましい。この構成では、先に説明した中継器としての役割の一部をも、ホームセキュリティーシステムに担わせることにより、ホームセキュリティーシステムを備えた家庭等に、本願に係るガス漏洩検知システムを構築できる。
この場合、ホームセキュリティーシステムにプロトコル変換や通信機能を持たせることができる。先に説明したガス警報器が電池式となれば消費電力を低減する必要があり、更に警報器普及のためにコストを抑える必要があるため、ガス警報器に機能付加を行うことは必ずしも好ましいとは言えないが、商用電源から電力供給を常時受けられるホームセキュリティーシステムでは、このような問題なく、機能付加を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本願に係るガス漏洩検知システムSに関して説明する。図1は、本願に係るガス漏洩検知システムSを、台所に備えられるガス機器であるコンロ付きレンジs1(以下、単にレンジと呼び、これはガス燃焼機器の一例である)、台所に備えられるガス・火災警報器s2(ガス警報器の一例)及び、当該家庭のガス消費量を計測するための設けられているガスメータs3との間で構築した例の構成を示している。
図1,図3には、これら3者s1、s2、s3の関係を示し、図3には、本願にいうガス漏洩検知を行うことができる漏洩検知機能付きガスメータs3の構成を示している。
【0027】
先ず、図1、図2に示すように、家庭の台所に備えられるレンジs1周りに関して説明すると、ガス燃焼機器としてのレンジs1にはガス供給路2を介して都市ガスが供給されるように構成されている。さらに、台所の天井にはガス・火災警報器s2が備えられるとともに、家庭の入り口には、家庭内で消費される都市ガスの量を計測するためのガスメータs3が備えられている。このガスメータs3には独自の遮断弁5が備えられている。以上が、本願のガス漏洩検知システムSが備えられる家庭の概略の状況である。
【0028】
レンジ・レンジフード
ガス燃焼機器であるレンジs1は、図2に図示するように複数のコンロ11をその天面に備えるとともに、グリル12をその内部に備えている。従って、ガス供給路2からガスの供給を受けて、煮炊きを行えるほか、魚等を焼くことも可能とされている。
このレンジs1の上部には、レンジフード13が備えられている。レンジフード13は排気ダクト15の下端に来るように配置されており、この排気ダクト15の所定部位に排気用の換気扇16(換気設備の一例)が備えられる。
前記レンジs1には、そのガス使用状態において使用通信情報を発信する使用通信情報発信部17が設けられている。一方、換気扇16には、レンジs1から発信される使用通信情報を受信する受信部18が設けられており、受信部18が使用通信情報を受信する(検知する)と自動的に換気扇16が作動するように構成されている。この通信は赤外線により行われるように構成されており、ガスの使用により発生する排気を自動的に戸外に排出できるように構成されている。
【0029】
ガス・火災警報器s2
警報器の一例としてのガス・火災警報器s2は、ガスをガス検知センサ21によって検知するガス検知機能と、火災の発生を温度センサ22によって検知する火災検知機能とを備えている。そして、それらのセンサ21,22に対する電源23と、前記センサ21,22からの出力に応じて警報を出力する警報出力部26cとを共用して備えている。また、ガス・火災警報器s2は、前記ガス検知センサ21、前記電源23および前記警報出力部26cを備えた警報器本体25を備えると共に、この警報器本体25とは別体で、この警報器本体25に対して近接・離間自在な位置に配設可能に、温度センサ22を備えている。この例では、温度センサと警報器本体とを別体としているが、警報器本体の設置場所によっては、一体のものでもよい。即ち、温度センサ22の設置位置は、警報器本体25に対して自由に選択可能に構成されており、この温度センサ22からの温度出力を警報器本体25側に伝送する伝送手段22aを備えている。そして、警報器本体25は、台所の天井に設置されており、温度センサ22は所謂サーミスターから構成されており、これはレンジフード13の下端部位に配置されている。前記伝送手段22aは、このサーミスターに発生する抵抗値の変化を検出できるようにサーミスター両端子間の電圧出力等を警報器本体側に伝送できるようなケーブル線として構成されている。
【0030】
警報器本体25には、可燃性ガス(例えばメタン)を検知するための可燃性ガス検知センサ21aが備えられると共に、警報器全体の電源を賄うための電源23、さらには、温度センサ22、可燃性ガス検知センサ21aからの出力(前者の出力を温度出力と、後者の出力をガス関連出力と図1において記載している)を処理するための演算処理装置26を備えて構成されている。この演算処理装置26内では、各センサ21、22からのアナログ出力がA/D変換されて、デジタル信号での処理とされる。
【0031】
前記可燃性ガスセンサ21aは、図1に示すように、可燃性ガスに感応する材料からなる可燃性ガス検出素子21b(酸化スズ半導体よりなる可燃性ガス検知素子等)と、温度補償素子21cとを、所定の抵抗R1,R2とともにブリッジに組んで、所定端子21d間に電圧を付加すると共に、出力端子21e間の出力(電圧出力)を得ることで、可燃性ガス検出素子21bが可燃性ガスと接触することにより、その抵抗値の変化を、ガス関連出力として電圧出力の形態で取り出すことができる。
【0032】
演算処理装置26は、上記の各センサ21、22からの出力に関して所定の閾値処理を実行し、ガス警報信号、火災警報信号を、夫々出力するように構成されている。即ち、図1に示すように、演算処理装置26には、ガス検知信号処理部26aと火災検知信号処理部26bと警報出力部26cが設けられている。
【0033】
ガス検知信号処理部26aには、ガス警報信号を出力するための閾値が格納されると共に、この部位において、当該閾値と、ガス関連出力とが比較され、この出力が閾値に対して警報発令側によっている場合に、ガス警報信号を警報出力部26cに出すように、ガス検知信号処理部26aが構成されている。
【0034】
火災検知信号処理部26bには、火災警報信号を出力するための閾値が格納されると共に、この部位において、当該閾値と、温度出力とが比較され、この出力が閾値に対して警報発令側によっている場合に、火災警報信号を警報出力部26cに出すように、火災検知信号処理部26bが構成されている。
警報出力部26cは、警報の出力処理を行う部位である。以下、それぞれの警報信号に対応した出力形態を説明する。
【0035】
ガス警報信号
この警報信号を受け取った場合は、ガス漏れが発生していることが予想されるため、スピーカ27を介して「ガスが漏れていませんか」といった音声警報を発すると共に、点燈ランプ28を点燈して、ガス漏れの発生の可能性を出力する。
【0036】
火災警報信号
これらのいずれかの警報信号、あるいはその両方を受け取った場合は、レンジフード箇所において、温度の上昇が確認されている状態に対応するため、火災の発生が予想され、スピーカ27を介して「火災が発生しています」といった音声警報を発すると共に、点燈ランプ28を点燈して、火災の発生の可能性を出力する。このような警報発令状態にあっては、その警報発令状態を維持するための警報発令維持機能が備えられていると共に、所定のリセットスイッチ29により警報発令状態の維持解除を行えるように構成されている。以上が、それぞれの警報信号を受け取った場合の警報器本体内における警報の基本的な出力形態である。
【0037】
さらに、この警報器本体25には、上記の使用通信情報を傍受する使用通信情報傍受部30が設けられている。そして、この使用通信情報傍受部30において使用通信情報が傍受されると、この警報機本体25からガスメータs3に、電気通信形態で、上記の使用通信情報が伝達される構成が採用されている。従って、ガスメータs3では、この使用通信情報を受信することで、レンジs1においてガスが使用されていることが検知される。
【0038】
ガスメータ(漏洩検知機能付きガスメータ)
図3は、本発明に係るガス漏洩検知方法を主に実行するガスメータs3の概略構成を示している。このガスメータs3は、ガス供給路2における燃料ガス流Gの瞬時流量Qを計測できる流量計3、燃料ガス流Gに圧力変化を付与する調整弁4、燃料ガス流Gを遮断する遮断弁5、燃料ガス流Gの圧力Pを計測する圧力計6、ガス流量の積算等を行う記憶演算制御部7を備えるとともに、外部機器と通信する通信部8及び積算ガス流量の表示等を行う表示部9を備えている。本願にあっては、先に説明したガス・火災警報器s2が外部機器に相当する。
【0039】
記憶演算制御部7は、ガス流量Qの積算を行う流量積算部7aの他、ガス漏洩検知を行う漏洩監視部7b、計測結果や演算結果等を記憶する記憶部7c、信号の入出力を行う入出力部7dを備えており、流量積算部7aで積算した積算ガス流量及び漏洩監視部7bによるガス漏洩監視の監視結果は入出力部7dを介して出力され、表示部9に表示されるとともに通信部8から外部機器に送信される。
【0040】
漏洩監視部7bは、流量計3により計測されるガス流量Qが定常状態にあるときに調整弁4を操作することでガス供給路2のガス流Gに圧力変化を付与する圧力変化付与手段X1を備えており、本例では、この圧力変化付与手段X1は、その1作動として、図4〜図6において一点鎖線で示す如く、ガス流Gの圧力Pを圧力変化付与前の圧力P0から第1設定変化量ΔPaだけ変化させた圧力P1(=P0+ΔPa)にする1回目の圧力変化付与と、その後、所定時間を経て1回目の圧力変化付与後の圧力P1から第2設定変化量ΔPbだけ変化させた圧力P2(=P1+ΔPb)にする2回目の圧力変化付与との2回の圧力変化付与を行い、さらにその後、所定時間を経てガス流Gの圧力Pを2回目の圧力変化付与後の圧力P2から圧力変化付与前の圧力P0(=P2−ΔPa−ΔPb)に戻す構成にしてある。この圧力変化の付与及び圧力変化を元に戻す処理は、逐次、発生される起動指令に基づいて実行される。
【0041】
なお、上記の各所定時間は、各回の圧力変化付与に対しガス流量Qが過渡変化を経て流量定常状態に安定するのに要する時間にしてある。
【0042】
また、漏洩監視部7bは、圧力変化付与手段X1による2回の圧力変化付与の夫々について、各回の圧力変化付与により生じるガス流量Qの変化を流量計3による流量計測により検出する流量変化検出手段X2を備えるとともに、この流量変化検出手段X2の検出結果及び圧力計6の計測結果に基づき全ガス流量Q0のうち、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量Q0′(制御流量)以外の流量Q0″(無制御流量)を演算する演算手段X3を備えている。
【0043】
さらに、漏洩監視部7bには、前述の外部機器としてのレンジs1から発信された使用通信情報を、ガス・火災警報器s2を介して受信する使用通信情報検出手段X4が設けられている。この使用通信情報検出手段X4は、この使用通信情報を受信する(検出する)ことにより、使用通信情報が発信され、発信元(レンジs1)がガスを使用している状態にあることを検出するように構成されている。このようにして、使用通信情報を検出すると、使用通信情報検出手段X4は、出力手段X5に、この使用通信情報を出力するように構成されている。
【0044】
そして、漏洩監視部7bは、演算手段X3による演算で求めた無制御流量Q0″(漏洩流量である可能性がある)の存在が判別・確認され、使用通信情報が検出されない状況で、その状態が設定制限時間Tsにわたって継続したとき、ガス漏洩の可能性があると判定してガス漏洩の可能性があることを示す漏洩情報の出力、及び、遮断弁5によるガス供給路2の遮断を行う出力手段X5を備えている。
【0045】
更に詳説すると、圧力変化を減殺する制御手段(例えば、ガスガバナやPID制御式等の自動流量調整手段など)が組み込まれたガス機器への供給流量(制御流量Q0′)がガス供給路2の全ガス流量Q0を占める状態では、圧力変化付与手段X1による2回の圧力変化付与によりガス流量Qを変化(この変化は、制御手段による制御可能範囲内の変化とする)させても、図4に示す如く、1回目及び2回目の圧力変化付与の夫々について、ガス流量Qは圧力変化付与直後の一時的な過渡変化を経て圧力変化付与前の流量Q0に戻るようになる。
【0046】
一方、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器へのガス供給(制御流量Q0′)が無く、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていないガス機器への供給流量か、ガス漏洩による発生流量かのいずれか、あるいは、それらの合計のガス流量(無制御流量Q0″)がガス供給路2の全ガス流量Q0を占めている状態では、圧力変化付与手段X1による2回の圧力変化付与によりガス流量Qを変化させると、図5に示す如く、1回目及び2回目の圧力変化付与の夫々ついて、その付与圧力変化ΔPa,ΔPbに応じた流量変化が圧力を元に戻さない限り継続的に残存する状態になる。
【0047】
そして、この場合における各回の圧力変化付与前後の流量及び圧力の関係は次の(式8)及び(式9)で表される。
Q1/Q0=√(P1/P0) ………(式8)
Q2/Q1=√(P2/P1) ………(式9)
【0048】
また、上記制御流量Q0′と無制御流量Q0″とが混在して、それらの合計流量(Q0′+Q0″)がガス供給路2の全ガス流量Q0となっている状態では、圧力変化付与手段X1による2回の圧力変化付与によりガス流量Qを変化させると、図6に示す如く、1回目及び2回目の圧力変化付与の夫々ついて、流量変化のうち制御流量Q0′について生じた変化部分は圧力変化付与直後の過渡変化を経て消失し、他方の無制御流量Q0″について生じた変化部分が圧力を元に戻さない限り継続的に残存する状態になる。
【0049】
そして、この場合における各回の圧力変化付与前後の流量及び圧力の関係は次の(式10)〜(式13)及び(式14)〜(式17)で表される。
【0050】
Q1″/Q0″=√(P1/P0) ………(式10)
Q0=Q0′+Q0″ ………(式11)
Q1=Q1′+Q1″ ………(式12)
Q0′=Q1′ ………(式13)
【0051】
Q2″/Q1″=√(P2/P1) ………(式14)
Q1=Q1′+Q1″ ………(式15)
Q2=Q2′+Q2″ ………(式16)
Q1′=Q2′ ………(式17)
【0052】
すなわち、(式10)〜(式13)は1回目の圧力変化付与前後の全ガス流量Q0,Q1、制御流量Q0′,Q1′、無制御流量Q0″,Q1″、圧力P0,P1の関係を示し、(式14)〜(式17)は2回目の圧力変化付与前後の全ガス流量Q1,Q2、制御流量Q1′,Q2′、無制御流量Q1″,Q2″、圧力P1,P2の関係を示す。
【0053】
ここで、前記(式9)はQ1=Q1″,Q2=Q2″の条件があることにおいて(式14)と同等の式であるから、両式を代表して(式14)を各式に基づき次の如く変形すれば下記の(式18)が得られる。
【0054】
(Q2−Q2′)/(Q1−Q1′)=√(P2/P1)
(Q2−Q1′)/(Q1−Q1′)=√(P2/P1)
(Q2−Q0′)/(Q1−Q0′)=√(P2/P1)
(Q2−Q0+Q0″)/(Q1−Q0+Q0″)=√(P2/P1)……(式18)
【0055】
また、基準圧力を大気圧とし、各段の圧力P1,P2を大気圧との差圧とすれば、大気圧においては無制御流量Q0″(代表的にはガス漏洩による流量)が0となることから、上記(式18)は次の(式19)で表され、
【0056】
(Q2−Q0)/(Q1−Q0)=√(P2/P1) ………(式19)
【0057】
つまり、演算手段X3は、流量変化検出手段X2の検出結果及び圧力計6の計測結果に基づき、上記の各式に示される関係から無制御流量Q0″(圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていないガス機器への供給流量又はガス漏洩による発生流量)をガス漏洩による発生流量の可能性がある流量との意味合いで漏洩流量として求める。従って、この演算手段X3は、流量変化検出手段X2により検出されるガス流量の変化により、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量以外の無制御流量の存在を判別する無制御流量判別手段として機能する。
一方、漏洩監視部7bに設けられている使用通信情報検出手段X4は、常時、使用通信情報の検出があるか否かを監視している。即ち、ガス・火災警報器s2において、レンジs1から発信されている使用通信情報が傍受されているかどうかを監視しており、傍受された状態にあっては、使用通信情報検出手段X4において使用通信情報が検出される。
【0058】
そして、出力手段X5は、図8に示す如く、前記の使用通信情報が検出されない状態で、この漏洩流量Q0″の存在が所定の制限時間Tsにわたって継続したときガス漏洩の可能性があると判定するが、漏洩流量Q0″がガス漏洩による発生流量であった場合、その漏洩流量Q0″が大きいほど危険度が高くなることから、記憶部7cに記憶している図7に示す如き漏洩流量Q0″と制限時間Tsとの設定関係Lに従って、漏洩流量Q0″が大きいほど短い制限時間Tsを選定し、その漏洩流量Q0″の存在が設定制限時間Tsにわたって継続したとき、ガス漏洩の可能性があると判定して漏洩情報の出力、及び、ガス供給路2の遮断を行う構成にしてある。ここで、漏洩流量Q0″と制限時間Tsとの関係は、例えば、所定容積の部屋において、先の漏洩流量Q0″に対応する所定速度でガス漏れが発生した場合に、例えばその部屋の空気が2時間に一回入れ替わる場合に、その部屋のガス濃度が限界濃度以下に抑えられる限界時間として求められている。
【0059】
さらに、圧力変化付与手段X1は、図8に示す如く、設定制限時間Tsの計時中において圧力変化付与によるものではない所定変化量以上の他のガス流量変化があったとき、その流量変化後における至近の流量定常状態において再度の2回の圧力変化付与を行う構成し、これに対し、出力手段X5は、この再度の2回の圧力変化付与により漏洩流量Q0″(無制御流量)に変化があり、使用通信情報の検出が行われなかったとき、それまでの設定制限時間Tsの計時を途中終了して、変化後の漏洩流量Q0″について新たに選定した設定制限時間Tsの計時を開始する構成にしてある。
【0060】
つまり(図8参照)、上記再度の圧力変化付与によるガス流量Qの変化を調べ、漏洩流量Q0″に変化が無かったときには、その漏洩流量Q0″に対する設定制限時間Ts(先に計時を開始している設定制限時間)の計時を継続し、その設定制限時間Tsにわたり漏洩流量Q0″が変化なく継続して存在すると、ガス漏洩の可能性があると判定して漏洩情報の出力及びガス供給路2の遮断を行うようにしてある。
【0061】
一方、上記再度の圧力変化付与によるガス流量Qの変化を調べ、漏洩流量Q0″に変化があり、且つ使用通信情報の検出がなかったときには、それまでの漏洩流量Q0″(無制御流量)の存在に対し圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていないガス機器の新たな使用開始があった可能性が高いとして、それまでの設定制限時間Tsの計時を途中終了し、変化後の漏洩流量Q0″について新たに選定した設定制限時間Tsの継続を開始する。
【0062】
そして、その後、その新たな設定制限時間Tsにわたり変化後の漏洩流量Q0″が再び変化することなく継続して存在したとき、ガス漏洩の可能性があると判定して漏洩情報の出力及びガス供給路2の遮断を行うようにしてある。
以上構成により、無制御流量が発生している状態を良好に管理できる。
【0063】
なお、本発明においてこれまで説明してきた各式は、厳密にはガス供給路におけるガス機器直前箇所でのガス流量とガス圧力とについて成立する式である。従って、ガス機器との距離が大きくてガス機器までのガス供給路における圧力損失が大きい箇所でのガス流量とガス圧力とについては、前述の各式による演算において誤差が生じるが、一般のガス供給設備では実用上、ガスメータとガス機器までの距離が限定されているため、その誤差は特に問題とならない程度のものである。
〔別実施形態〕
前述の実施形態では、ガス機器がコンロ付きレンジである場合を示したが、このような無制御ガス機器としては、従来型の単純な一口コンロ、テーブルコンロ、ビルトインコンロ等もある。
【0064】
前述の実施形態では、無制御ガス機器から発信される使用通信情報をガス・火災警報器で傍受する構成を示したが、使用通信情報を受信するための専用受信機器を備えてもよいし、このような使用通信情報の受信機能を、本願が対象とするガス機器との関係で、当該ガス機器が発信する使用通信情報を受信できれば、当該受信機能を如何なる機器に備えておいてもよい。
前述の実施形態では、ガス警報器として、メタンガス等の漏洩を検知する漏洩ガス検知、一酸化炭素ガス等の検知により不完全燃焼を検知する不完全燃焼検知(メタンガス検知及び一酸化炭素ガス検知は、共に先に説明した酸化スズ半導体を使用して行える)、さらに火災の検知をすることができる警報器に関して説明したが、中継器として使用できるガス警報器は、これら全てを検知できる必要はなく、これら一種以上を検知できれば良い。
【0065】
本願に係るガス漏洩検知システムが構築される家庭が、ホームセキュリティーシステム(家庭の安全を、ガス、火災、家人以外の第3者の家庭内への侵入、家人が長期間に渡って動かない等の視点から監視し、異常が発生している可能性がある場合は、警備員等を当該家庭に向かわせ、警察、消防署等に報知するシステム)を備える場合は、このホームセキュリティーシステムが、先に説明して使用通信情報を吸い上げるように構成しておき、このホームセキュリティーシステムを介して、使用通信情報検出手段側へ送るものとしてもよい。
【0066】
使用通信情報の通信にあたっては、先の実施形態で示したように赤外線を採用することが好ましいが、通信媒体としては任意の通信媒体を使用できる。
【0067】
前述の実施形態では、各回の圧力変化量ΔPa,ΔPbを異ならせて圧力変化付与を複数回行い、これら複数回の圧力変化付与の夫々において生じるガス流量Qの変化を調べることにより漏洩流量Q0″(無制御流量)を求める例を示したが、圧力変化付与手段X1の1作動として1回の圧力変化付与のみを行い、この1回の圧力変化付与で生じるガス流量Qの変化を調べることで漏洩流量Q0″(無制御流量)を求めるようにしてもよい。
【0068】
また、前述の実施形態では、圧力変化付与手段X1による調整弁4の操作により圧力変化を付与する例を示したが、このような調整弁操作による圧力変化付与に代えて、タービンや風車等の膨張機により減圧側の圧力変化を付与するようにしたり、ポンプやファンなどの加圧手段により増圧側の圧力変化を付与するようにしてもよい。
【0069】
さらにまた、流量定常状態のガス流Gに圧力変化を付与するのに、流量定常状態のガス流量Qに応じて、付与する圧力変化の程度を異ならせたり、圧力変化させる機器を使い分けたり、圧力変化させる機器の使用数を異ならせたり、増圧側の圧力変化付与と減圧側の圧力変化付与とを使い分けるなどしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
下流側でガス漏洩が発生している可能性が高い場合に的確にガス漏洩の可能性を判定することができ、また、安全性も効果的に高め得るガス漏洩検知システムを得ることができ、殊にガスメータの機能向上に適している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本願に係るガス漏洩検知システムの概略構成図
【図2】本願に係るガス漏洩検知システムを採用した台所の概観を示す図
【図3】ガスメータの概略構成図
【図4】2回の圧力変化付与で全ガス流量が制御流量である場合の流量変化を示すグラフ
【図5】2回の圧力変化付与で全ガス流量が無制御流量である場合の流量変化を示すグラフ
【図6】2回の圧力変化付与で制御流量と無制御流量とが混在する場合の流量変化を示すグラフ
【図7】漏洩流量(無制御流量)と制限時間との設定関係を示すグラフ
【図8】ガス漏洩検知の制御フローチャート
【図9】1回の圧力変化付与で全ガス流量が制御流量である場合の流量変化を示すグラフ
【図10】1回の圧力変化付与で全ガス流量が無制御流量である場合の流量変化を示すグラフ
【図11】1回の圧力変化付与で制御流量と無制御流量とが混在する場合の流量変化を示すグラフ
【符号の説明】
【0072】
2 ガス供給路
G ガス流
P 圧力
Q ガス流量
Q0″ 漏洩流量
S ガス漏洩検知システム
s1 コンロ付きレンジ(ガス機器・ガス燃焼機器)
s2 ガス・火災警報器(ガス警報器)
s3 ガスメータ
Ts 制限時間
X1 圧力変化付与手段
X2 流量変化検出手段
X3 演算手段(無制御流量判別手段)
X4 使用通信情報検出手段
X5 出力手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のガス燃焼機器に対する燃料ガス供給系などでのガス漏洩検知に適したガス漏洩検知システムに関し、特にガス消費量を計測するガスメータの機能向上に適したガス漏洩検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス漏洩検知に使用可能なガス器具判別装置として、ガス流量に変化が生じたとき、その変化流量に基づいて個別ガス器具単位の流量を求め、また、ガス圧力を能動的に変化させたときのガス流量変化に基づき、全ガス流量のうちガスガバナ(制御手段の一例)が装備されているガス器具に供給されているガス流量の割合を求めて、その割合と全ガス流量とに基づいてガスガバナが装備されているガス器具に供給されているガス流量とガスガバナが装備されていないガス器具に供給されているガス流量とを求め、これらガスガバナ装備・非装備別のガス流量と前記個別ガス器具単位の流量とを比較することで、使用されているガス器具のガスガバナ装備の有無を判別して、その判別結果に基づき使用されているガス器具の種類を判別するものが提案されている(特許文献1の段落〔0009〕参照)。
【0003】
そして、このガス器具判別装置を用いたガス安全遮断装置として、使用されているガス器具が全てガスガバナを有するガス器具の場合には明らかにガス漏れの危険性はないものと判別し、同じような微小流量が長時間検出されても、ガスガバナを有するガス器具(例えばファンヒータ)のみが使用されている場合にはガスを遮断せず、ガスガバナを有しない器具が使用されている場合にはガス漏れと判断してガス遮断を行うものが提案されている(特許文献1の段落〔0049〕参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−151580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記構成においては、ガスガバナを有しない器具が使用されている場合と、真にガス漏れが発生している場合との両方をガス漏れと判断してガス遮断を行うため、真にガス遮断の必要のない場合にも、ガス遮断を行うこととなるため問題がある。
このような問題が発生する原因は、圧力変化の付与により発生する流量変化が、ガスガバナを有しない器具が使用されている場合と、真にガス漏れが発生している場合とで変わらないため、両方の識別ができないということに起因している。
【0006】
本発明の主たる目的は、真にガス漏れが発生している状況において、ガス遮断を的確に実行することが可能となるガス漏洩検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための、本願第1特徴構成を備えたガス漏洩検知システムは、
単数又は複数のガス機器が下流側に接続されたガス供給路において、そのガス供給路を流れる流量定常状態のガス流に圧力変化を付与する圧力変化付与手段と、
前記圧力変化付与手段により付与される圧力変化により生じるガス流量の変化を検出する流量変化検出手段と、
前記流量変化検出手段により検出されるガス流量の変化により、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量以外の無制御流量の存在を判別する無制御流量判別手段と、
ガス機器から発生される通信情報であって、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていない無制御ガス機器から、当該無制御ガス機器のガスの使用に伴って発生される使用通信情報を検出する使用通信情報検出手段とを備え、
前記無制御流量判別手段による無制御流量の存在判別結果と、前記使用通信情報検出手段による使用通信情報の検出結果に基づいて、下流側における漏洩を検知するシステムとする。
このガス漏洩検知システムでは、
単数又は複数のガス機器が下流側に接続されたガス供給路において、そのガス供給路を流れる流量定常状態のガス流に圧力変化を付与し、
この圧力変化の付与により生じるガス流量の変化を調べることにより、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量以外の無制御流量の存在を判別するとともに、
ガス機器から発生される通信情報であって、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていない無制御ガス機器から、当該無制御ガス機器のガスの使用に伴って発生される使用通信情報を検出し、
前記無制御流量の存在判別結果と、前記使用通信情報の検出結果に基づいて、下流側における漏洩を検知することとなる。
ここで、使用通信情報は、ガス機器がガスを使用している状態で継続的に発信するガス使用通信情報、あるいは使用開始時と使用停止時とに限って発信するガス使用通信情報である。
【0008】
圧力変化を減殺する制御手段(例えば、ガスガバナやPID制御式等の自動流量調整手段など)が組み込まれたガス機器への供給流量(以下、制御流量と略称することがある)がガス供給路の全ガス流量を占める状態では、その供給ガスの全部に対して上記制御手段が作用することから、上記制御手段としてのガスガバナ等圧力制御機器の制御範囲内では、上記圧力変化の付与によりガス流量を変化させても、ガス流量は僅かなオフセットが残る場合もあるが圧力変化付与直後の一時的な過渡変化を経てほぼ圧力変化付与前の流量に戻るようになる(図9参照)。
【0009】
一方、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器へのガス供給(制御流量)が無く、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていないガス機器への供給流量か、ガス漏洩による発生流量かのいずれか、あるいは、それらの合計のガス流量(以下、無制御流量と略称することがある)がガス供給路の全ガス流量を占めている状態では、制御手段の作用が全くないことから圧力変化の付与後もガス流量は圧力変化付与前の流量に戻ることがなく、上記圧力変化の付与によりガス流量を変化させると、その付与圧力変化に応じた流量変化が圧力を元に戻さない限り継続的に残存する状態になる(図10参照)。
【0010】
そして、この場合の圧力変化付与前における全ガス流量Q0及び圧力P0と、圧力変化付与後における全ガス流量Q1及び圧力P1との関係は、次の(式1)で表される関係になることが知られている。
Q1/Q0=√(P1/P0) ………(式1)
【0011】
また、上記制御流量と無制御流量とが混在して、それらの合計流量がガス供給路の全ガス流量となっている状態では、上記圧力変化の付与によりガス流量を変化させると(この変化は上記制御手段により変化を吸収できる制御範囲内とする)、その流量変化のうち制御流量について生じた変化部分は制御手段の作用により圧力変化付与直後の過渡変化を経て消失し、他方の無制御流量について生じた変化部分が圧力を元に戻さない限り継続的に残存する状態になる(図11参照)。
【0012】
この場合の圧力変化付与前における全ガス流量Q0,制御流量Q0′,無制御流量Q0″,圧力P0と、圧力変化付与後における全ガス流量Q1,制御流量Q1´,無制御流量Q1″,圧力P1の関係は次の(式2)〜(式5)で表される関係になる。
【0013】
Q1″/Q0″=√(P1/P0) ………(式2)
Q0=Q0′+Q0″ ………(式3)
Q1=Q1′+Q1″ ………(式4)
Q0′=Q1′ ………(式5)
【0014】
なお、(式2)は圧力変化付与前後における無制御流量と圧力との関係を示し、(式3)及び(式4)は圧力変化付与前及び圧力変化付与後の夫々における全ガス流量と制御流量と無制御流量との関係を示し、(式5)は圧力変化付与後における過渡変化の後の制御流量が圧力変化付与前の制御流量に戻ることを示している。
【0015】
ここで、例えば(式3)〜(式5)によりQ0′,Q1′を消去して次の(式6)が得られ、
Q0−Q0″=Q1−Q1″ ………(式6)
【0016】
この(式6)と(式2)とによりQ1″を消去するように次の如く式を順次変形すれば無制御流量Q0″を未知数とする(式7)が得られる。
Q0″=(Q1−Q0+Q0″)/√(P1/P0)
Q0″=(Q1−Q0)/√(P1/P0)+Q0″/√(P1/P0)
Q0″=(Q1−Q0)/(√(P1/P0)−1)…(式7)
【0017】
以上のことから明らかなように、圧力変化付与前後の圧力の関係が既知の状態で、圧力変化の付与により生じる全ガス流量の変化を調べれば、無制御流量Q0″の有無を正確に判定し得るとともに、その無制御流量Q0″(又はQ1″)の流量値を求めることができる。
【0018】
このように本発明に係るガス漏洩検知システムでは、圧力変化付与で生じるガス流量の変化を調べることにより、無制御流量(圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていないガス機器への供給流量又はガス漏洩による発生流量)を求める。この無制御流量はガス漏洩による発生流量の可能性がある流量との意味で漏洩流量とも考えることができる。
【0019】
一方、最近のガス機器は、そのガス機器がガスを使用(消費)する運転状態にあって、所定の使用通信情報を発生するものがある。このようなガス機器としては、所謂、コンロを挙げることができ、コンロの場合は、その使用に連動してレンジフードに備えられる換気扇が運転されるように、使用通信情報を発信する。そこで、本願に係るガス漏洩検知技術では、この使用通信情報を検出する。先に説明した無制御流量が、当該使用通信情報を発信しているガス機器から発信されている場合があるからである。
そして、無制御流量の存否と、使用通信情報が検出されるか否かに従って、下流側で漏洩が発生しているかどうかを判断し、検知する。従って、本願に係る検知システムでは、制御手段を備えていないガス機器が正常に使用されている場合を、使用通信情報側から確認して、二つの要件(無制御流量の存否及び制御手段が備えられていないガス機器の運転状態)から漏洩を検知でき、下流側における漏洩を、従来よりも高い信頼精度をもって検知することができる。
【0020】
これらのことから、本発明に係るガス漏洩検知システムの第1特徴構成によれば、先述した特許文献1のガス安全遮断装置などに比べ、ガス漏洩の可能性があることを一層的確に判定することができて、ガス漏洩の可能性があるにもかかわらずガス漏洩の可能性があることの判定が長時間にわたって行われなかったり、また逆に、ガス漏洩の危険性がないにもかかわらずガス漏洩の可能性があると判定されるといったことを効果的に防止することができる。また、無制御流量に含まれる漏洩流量の大きさに従って、例えばガス遮断までの時間である制限時間を適切に選定するようにすることで特に安全性の面において一層優れたガス漏洩検知を行える。
【0021】
そして、ガス漏洩を検知するシステムにおいては、無制御流量が存在すると判別されるとともに、使用通信情報が検出された場合は、当該無制御流量が当該使用通信情報を発信しているガス機器からの情報として、不要に遮断を行うことを避けることができる。
一方、無制御流量が存在すると判別される状況で、使用通信情報が検出されない場合は、当該無制御流量がこれまで説明してきた漏洩流量である可能性が高いものとして、真の漏洩検知を従来よりも高い精度で行うことができる。
【0022】
上記のガス漏洩検知システムは、前記無制御ガス機器がガス燃焼機器であり、前記使用通信情報が、換気設備を運転するために前記ガス燃焼機器から発信される発信情報である場合に好適に適応できる。
即ち、ガス機器がガス燃焼機器であり、この機器から換気設備を運転するために使用通信情報が発信されている場合に、このガス燃焼機器の運転状況に対応して、当該ガス燃焼機器の使用により無制御流量が発生しているか、無制御流量が真の漏洩流量かを的確に検知できる。
【0023】
さて、これまで説明してきたガス漏洩検知システムにおいて、
前記無制御ガス機器から発生される使用通信情報が、赤外線で通信される赤外線通信情報であるとともに、
前記使用通信情報が、当該赤外線通信情報を傍受し、有線もしくは無線の電気通信情報に変換されて中継器を経由して得られる情報であることが好ましい。
無制御ガス機器と他の設備機器との間の通信を行う場合、通信のコスト等のメリットから赤外線を使用した通信システムが採用される場合が多い。そして、この構成のガス漏洩検知システムでは、その赤外線通信情報(使用通信情報)の通信可能範囲が、比較的狭い範囲に限られる。そこで、この構成のガス漏洩検知システムでは、中継器を設け、その中継器を介して、有線もしくは無線の電気通信情報に変換して使用通信情報検出手段へ送る。このようにすることで、使用通信情報が取得される位置と、使用通信情報検出手段が備えられている位置とが異なる場合も、良好にシステムを構築できる。
例えば、使用通信情報検出手段を、屋外に設置されるガスメータ(マイコンガスメータ)の一機能部位とする場合、一室内通信に限られる赤外線では通信できない。そこで、何らかの方法で赤外線通信を傍受して、ガスメータ用の通信プロトコルに変換し、さらに無線・有線の電気通信情報に変換して送信することで、使用通信情報を確実に伝達、検出できる。
【0024】
中継器を構成する場合の具体的な構成として、前記使用通信情報が、警報器に備えられる有線もしくは無線の電気通信機能を経由して得られる情報であることが好ましい。
近来、ガスを使用する場所には、火災警報器の設置が義務付けられている。また、このようなガスを使用する場所には、一般にガス警報器が設置される。火災警報及びガス警報との両機能を備えたガス・火災警報器が設置される場合もある。そこで、この構成では、先に説明した中継器としての役割をも、当該警報器に担わせることにより、実質的な設備の増加を伴うことなく、ガス漏洩検知システムを構築できる。
このような中継機能を、コンロと同室に設置される警報器に持たせる構成を採用することができるが、この構成において、最近のガス警報器には、「警報器連動遮断」として既に遮断弁を駆動するものが実用化されている。そこで、使用通信情報検出機能を、このガス警報器に持たせ、無制御流量の存在を判別する機能をガスメータ側に備え、それら両機能部位で得られる情報に基づいて、ガス供給路を遮断する構成とすることも可能である。この場合、ガス警報器の機能を拡張することとなる。この構成を採用する場合は、使用通信情報の通信は、弁遮断に至らない電圧での通信、遮断弁が作動するよりも高速での通信等の既存の手法を用いて送信することができる。
【0025】
さらに、中継器を構成する場合の具体的な構成として、前記使用通信情報が、前記警報器よりの通信を受信したホームセキュリティーシステムとの通信によって得られる情報であることも好ましい。この構成では、先に説明した中継器としての役割の一部をも、ホームセキュリティーシステムに担わせることにより、ホームセキュリティーシステムを備えた家庭等に、本願に係るガス漏洩検知システムを構築できる。
この場合、ホームセキュリティーシステムにプロトコル変換や通信機能を持たせることができる。先に説明したガス警報器が電池式となれば消費電力を低減する必要があり、更に警報器普及のためにコストを抑える必要があるため、ガス警報器に機能付加を行うことは必ずしも好ましいとは言えないが、商用電源から電力供給を常時受けられるホームセキュリティーシステムでは、このような問題なく、機能付加を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本願に係るガス漏洩検知システムSに関して説明する。図1は、本願に係るガス漏洩検知システムSを、台所に備えられるガス機器であるコンロ付きレンジs1(以下、単にレンジと呼び、これはガス燃焼機器の一例である)、台所に備えられるガス・火災警報器s2(ガス警報器の一例)及び、当該家庭のガス消費量を計測するための設けられているガスメータs3との間で構築した例の構成を示している。
図1,図3には、これら3者s1、s2、s3の関係を示し、図3には、本願にいうガス漏洩検知を行うことができる漏洩検知機能付きガスメータs3の構成を示している。
【0027】
先ず、図1、図2に示すように、家庭の台所に備えられるレンジs1周りに関して説明すると、ガス燃焼機器としてのレンジs1にはガス供給路2を介して都市ガスが供給されるように構成されている。さらに、台所の天井にはガス・火災警報器s2が備えられるとともに、家庭の入り口には、家庭内で消費される都市ガスの量を計測するためのガスメータs3が備えられている。このガスメータs3には独自の遮断弁5が備えられている。以上が、本願のガス漏洩検知システムSが備えられる家庭の概略の状況である。
【0028】
レンジ・レンジフード
ガス燃焼機器であるレンジs1は、図2に図示するように複数のコンロ11をその天面に備えるとともに、グリル12をその内部に備えている。従って、ガス供給路2からガスの供給を受けて、煮炊きを行えるほか、魚等を焼くことも可能とされている。
このレンジs1の上部には、レンジフード13が備えられている。レンジフード13は排気ダクト15の下端に来るように配置されており、この排気ダクト15の所定部位に排気用の換気扇16(換気設備の一例)が備えられる。
前記レンジs1には、そのガス使用状態において使用通信情報を発信する使用通信情報発信部17が設けられている。一方、換気扇16には、レンジs1から発信される使用通信情報を受信する受信部18が設けられており、受信部18が使用通信情報を受信する(検知する)と自動的に換気扇16が作動するように構成されている。この通信は赤外線により行われるように構成されており、ガスの使用により発生する排気を自動的に戸外に排出できるように構成されている。
【0029】
ガス・火災警報器s2
警報器の一例としてのガス・火災警報器s2は、ガスをガス検知センサ21によって検知するガス検知機能と、火災の発生を温度センサ22によって検知する火災検知機能とを備えている。そして、それらのセンサ21,22に対する電源23と、前記センサ21,22からの出力に応じて警報を出力する警報出力部26cとを共用して備えている。また、ガス・火災警報器s2は、前記ガス検知センサ21、前記電源23および前記警報出力部26cを備えた警報器本体25を備えると共に、この警報器本体25とは別体で、この警報器本体25に対して近接・離間自在な位置に配設可能に、温度センサ22を備えている。この例では、温度センサと警報器本体とを別体としているが、警報器本体の設置場所によっては、一体のものでもよい。即ち、温度センサ22の設置位置は、警報器本体25に対して自由に選択可能に構成されており、この温度センサ22からの温度出力を警報器本体25側に伝送する伝送手段22aを備えている。そして、警報器本体25は、台所の天井に設置されており、温度センサ22は所謂サーミスターから構成されており、これはレンジフード13の下端部位に配置されている。前記伝送手段22aは、このサーミスターに発生する抵抗値の変化を検出できるようにサーミスター両端子間の電圧出力等を警報器本体側に伝送できるようなケーブル線として構成されている。
【0030】
警報器本体25には、可燃性ガス(例えばメタン)を検知するための可燃性ガス検知センサ21aが備えられると共に、警報器全体の電源を賄うための電源23、さらには、温度センサ22、可燃性ガス検知センサ21aからの出力(前者の出力を温度出力と、後者の出力をガス関連出力と図1において記載している)を処理するための演算処理装置26を備えて構成されている。この演算処理装置26内では、各センサ21、22からのアナログ出力がA/D変換されて、デジタル信号での処理とされる。
【0031】
前記可燃性ガスセンサ21aは、図1に示すように、可燃性ガスに感応する材料からなる可燃性ガス検出素子21b(酸化スズ半導体よりなる可燃性ガス検知素子等)と、温度補償素子21cとを、所定の抵抗R1,R2とともにブリッジに組んで、所定端子21d間に電圧を付加すると共に、出力端子21e間の出力(電圧出力)を得ることで、可燃性ガス検出素子21bが可燃性ガスと接触することにより、その抵抗値の変化を、ガス関連出力として電圧出力の形態で取り出すことができる。
【0032】
演算処理装置26は、上記の各センサ21、22からの出力に関して所定の閾値処理を実行し、ガス警報信号、火災警報信号を、夫々出力するように構成されている。即ち、図1に示すように、演算処理装置26には、ガス検知信号処理部26aと火災検知信号処理部26bと警報出力部26cが設けられている。
【0033】
ガス検知信号処理部26aには、ガス警報信号を出力するための閾値が格納されると共に、この部位において、当該閾値と、ガス関連出力とが比較され、この出力が閾値に対して警報発令側によっている場合に、ガス警報信号を警報出力部26cに出すように、ガス検知信号処理部26aが構成されている。
【0034】
火災検知信号処理部26bには、火災警報信号を出力するための閾値が格納されると共に、この部位において、当該閾値と、温度出力とが比較され、この出力が閾値に対して警報発令側によっている場合に、火災警報信号を警報出力部26cに出すように、火災検知信号処理部26bが構成されている。
警報出力部26cは、警報の出力処理を行う部位である。以下、それぞれの警報信号に対応した出力形態を説明する。
【0035】
ガス警報信号
この警報信号を受け取った場合は、ガス漏れが発生していることが予想されるため、スピーカ27を介して「ガスが漏れていませんか」といった音声警報を発すると共に、点燈ランプ28を点燈して、ガス漏れの発生の可能性を出力する。
【0036】
火災警報信号
これらのいずれかの警報信号、あるいはその両方を受け取った場合は、レンジフード箇所において、温度の上昇が確認されている状態に対応するため、火災の発生が予想され、スピーカ27を介して「火災が発生しています」といった音声警報を発すると共に、点燈ランプ28を点燈して、火災の発生の可能性を出力する。このような警報発令状態にあっては、その警報発令状態を維持するための警報発令維持機能が備えられていると共に、所定のリセットスイッチ29により警報発令状態の維持解除を行えるように構成されている。以上が、それぞれの警報信号を受け取った場合の警報器本体内における警報の基本的な出力形態である。
【0037】
さらに、この警報器本体25には、上記の使用通信情報を傍受する使用通信情報傍受部30が設けられている。そして、この使用通信情報傍受部30において使用通信情報が傍受されると、この警報機本体25からガスメータs3に、電気通信形態で、上記の使用通信情報が伝達される構成が採用されている。従って、ガスメータs3では、この使用通信情報を受信することで、レンジs1においてガスが使用されていることが検知される。
【0038】
ガスメータ(漏洩検知機能付きガスメータ)
図3は、本発明に係るガス漏洩検知方法を主に実行するガスメータs3の概略構成を示している。このガスメータs3は、ガス供給路2における燃料ガス流Gの瞬時流量Qを計測できる流量計3、燃料ガス流Gに圧力変化を付与する調整弁4、燃料ガス流Gを遮断する遮断弁5、燃料ガス流Gの圧力Pを計測する圧力計6、ガス流量の積算等を行う記憶演算制御部7を備えるとともに、外部機器と通信する通信部8及び積算ガス流量の表示等を行う表示部9を備えている。本願にあっては、先に説明したガス・火災警報器s2が外部機器に相当する。
【0039】
記憶演算制御部7は、ガス流量Qの積算を行う流量積算部7aの他、ガス漏洩検知を行う漏洩監視部7b、計測結果や演算結果等を記憶する記憶部7c、信号の入出力を行う入出力部7dを備えており、流量積算部7aで積算した積算ガス流量及び漏洩監視部7bによるガス漏洩監視の監視結果は入出力部7dを介して出力され、表示部9に表示されるとともに通信部8から外部機器に送信される。
【0040】
漏洩監視部7bは、流量計3により計測されるガス流量Qが定常状態にあるときに調整弁4を操作することでガス供給路2のガス流Gに圧力変化を付与する圧力変化付与手段X1を備えており、本例では、この圧力変化付与手段X1は、その1作動として、図4〜図6において一点鎖線で示す如く、ガス流Gの圧力Pを圧力変化付与前の圧力P0から第1設定変化量ΔPaだけ変化させた圧力P1(=P0+ΔPa)にする1回目の圧力変化付与と、その後、所定時間を経て1回目の圧力変化付与後の圧力P1から第2設定変化量ΔPbだけ変化させた圧力P2(=P1+ΔPb)にする2回目の圧力変化付与との2回の圧力変化付与を行い、さらにその後、所定時間を経てガス流Gの圧力Pを2回目の圧力変化付与後の圧力P2から圧力変化付与前の圧力P0(=P2−ΔPa−ΔPb)に戻す構成にしてある。この圧力変化の付与及び圧力変化を元に戻す処理は、逐次、発生される起動指令に基づいて実行される。
【0041】
なお、上記の各所定時間は、各回の圧力変化付与に対しガス流量Qが過渡変化を経て流量定常状態に安定するのに要する時間にしてある。
【0042】
また、漏洩監視部7bは、圧力変化付与手段X1による2回の圧力変化付与の夫々について、各回の圧力変化付与により生じるガス流量Qの変化を流量計3による流量計測により検出する流量変化検出手段X2を備えるとともに、この流量変化検出手段X2の検出結果及び圧力計6の計測結果に基づき全ガス流量Q0のうち、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量Q0′(制御流量)以外の流量Q0″(無制御流量)を演算する演算手段X3を備えている。
【0043】
さらに、漏洩監視部7bには、前述の外部機器としてのレンジs1から発信された使用通信情報を、ガス・火災警報器s2を介して受信する使用通信情報検出手段X4が設けられている。この使用通信情報検出手段X4は、この使用通信情報を受信する(検出する)ことにより、使用通信情報が発信され、発信元(レンジs1)がガスを使用している状態にあることを検出するように構成されている。このようにして、使用通信情報を検出すると、使用通信情報検出手段X4は、出力手段X5に、この使用通信情報を出力するように構成されている。
【0044】
そして、漏洩監視部7bは、演算手段X3による演算で求めた無制御流量Q0″(漏洩流量である可能性がある)の存在が判別・確認され、使用通信情報が検出されない状況で、その状態が設定制限時間Tsにわたって継続したとき、ガス漏洩の可能性があると判定してガス漏洩の可能性があることを示す漏洩情報の出力、及び、遮断弁5によるガス供給路2の遮断を行う出力手段X5を備えている。
【0045】
更に詳説すると、圧力変化を減殺する制御手段(例えば、ガスガバナやPID制御式等の自動流量調整手段など)が組み込まれたガス機器への供給流量(制御流量Q0′)がガス供給路2の全ガス流量Q0を占める状態では、圧力変化付与手段X1による2回の圧力変化付与によりガス流量Qを変化(この変化は、制御手段による制御可能範囲内の変化とする)させても、図4に示す如く、1回目及び2回目の圧力変化付与の夫々について、ガス流量Qは圧力変化付与直後の一時的な過渡変化を経て圧力変化付与前の流量Q0に戻るようになる。
【0046】
一方、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器へのガス供給(制御流量Q0′)が無く、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていないガス機器への供給流量か、ガス漏洩による発生流量かのいずれか、あるいは、それらの合計のガス流量(無制御流量Q0″)がガス供給路2の全ガス流量Q0を占めている状態では、圧力変化付与手段X1による2回の圧力変化付与によりガス流量Qを変化させると、図5に示す如く、1回目及び2回目の圧力変化付与の夫々ついて、その付与圧力変化ΔPa,ΔPbに応じた流量変化が圧力を元に戻さない限り継続的に残存する状態になる。
【0047】
そして、この場合における各回の圧力変化付与前後の流量及び圧力の関係は次の(式8)及び(式9)で表される。
Q1/Q0=√(P1/P0) ………(式8)
Q2/Q1=√(P2/P1) ………(式9)
【0048】
また、上記制御流量Q0′と無制御流量Q0″とが混在して、それらの合計流量(Q0′+Q0″)がガス供給路2の全ガス流量Q0となっている状態では、圧力変化付与手段X1による2回の圧力変化付与によりガス流量Qを変化させると、図6に示す如く、1回目及び2回目の圧力変化付与の夫々ついて、流量変化のうち制御流量Q0′について生じた変化部分は圧力変化付与直後の過渡変化を経て消失し、他方の無制御流量Q0″について生じた変化部分が圧力を元に戻さない限り継続的に残存する状態になる。
【0049】
そして、この場合における各回の圧力変化付与前後の流量及び圧力の関係は次の(式10)〜(式13)及び(式14)〜(式17)で表される。
【0050】
Q1″/Q0″=√(P1/P0) ………(式10)
Q0=Q0′+Q0″ ………(式11)
Q1=Q1′+Q1″ ………(式12)
Q0′=Q1′ ………(式13)
【0051】
Q2″/Q1″=√(P2/P1) ………(式14)
Q1=Q1′+Q1″ ………(式15)
Q2=Q2′+Q2″ ………(式16)
Q1′=Q2′ ………(式17)
【0052】
すなわち、(式10)〜(式13)は1回目の圧力変化付与前後の全ガス流量Q0,Q1、制御流量Q0′,Q1′、無制御流量Q0″,Q1″、圧力P0,P1の関係を示し、(式14)〜(式17)は2回目の圧力変化付与前後の全ガス流量Q1,Q2、制御流量Q1′,Q2′、無制御流量Q1″,Q2″、圧力P1,P2の関係を示す。
【0053】
ここで、前記(式9)はQ1=Q1″,Q2=Q2″の条件があることにおいて(式14)と同等の式であるから、両式を代表して(式14)を各式に基づき次の如く変形すれば下記の(式18)が得られる。
【0054】
(Q2−Q2′)/(Q1−Q1′)=√(P2/P1)
(Q2−Q1′)/(Q1−Q1′)=√(P2/P1)
(Q2−Q0′)/(Q1−Q0′)=√(P2/P1)
(Q2−Q0+Q0″)/(Q1−Q0+Q0″)=√(P2/P1)……(式18)
【0055】
また、基準圧力を大気圧とし、各段の圧力P1,P2を大気圧との差圧とすれば、大気圧においては無制御流量Q0″(代表的にはガス漏洩による流量)が0となることから、上記(式18)は次の(式19)で表され、
【0056】
(Q2−Q0)/(Q1−Q0)=√(P2/P1) ………(式19)
【0057】
つまり、演算手段X3は、流量変化検出手段X2の検出結果及び圧力計6の計測結果に基づき、上記の各式に示される関係から無制御流量Q0″(圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていないガス機器への供給流量又はガス漏洩による発生流量)をガス漏洩による発生流量の可能性がある流量との意味合いで漏洩流量として求める。従って、この演算手段X3は、流量変化検出手段X2により検出されるガス流量の変化により、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量以外の無制御流量の存在を判別する無制御流量判別手段として機能する。
一方、漏洩監視部7bに設けられている使用通信情報検出手段X4は、常時、使用通信情報の検出があるか否かを監視している。即ち、ガス・火災警報器s2において、レンジs1から発信されている使用通信情報が傍受されているかどうかを監視しており、傍受された状態にあっては、使用通信情報検出手段X4において使用通信情報が検出される。
【0058】
そして、出力手段X5は、図8に示す如く、前記の使用通信情報が検出されない状態で、この漏洩流量Q0″の存在が所定の制限時間Tsにわたって継続したときガス漏洩の可能性があると判定するが、漏洩流量Q0″がガス漏洩による発生流量であった場合、その漏洩流量Q0″が大きいほど危険度が高くなることから、記憶部7cに記憶している図7に示す如き漏洩流量Q0″と制限時間Tsとの設定関係Lに従って、漏洩流量Q0″が大きいほど短い制限時間Tsを選定し、その漏洩流量Q0″の存在が設定制限時間Tsにわたって継続したとき、ガス漏洩の可能性があると判定して漏洩情報の出力、及び、ガス供給路2の遮断を行う構成にしてある。ここで、漏洩流量Q0″と制限時間Tsとの関係は、例えば、所定容積の部屋において、先の漏洩流量Q0″に対応する所定速度でガス漏れが発生した場合に、例えばその部屋の空気が2時間に一回入れ替わる場合に、その部屋のガス濃度が限界濃度以下に抑えられる限界時間として求められている。
【0059】
さらに、圧力変化付与手段X1は、図8に示す如く、設定制限時間Tsの計時中において圧力変化付与によるものではない所定変化量以上の他のガス流量変化があったとき、その流量変化後における至近の流量定常状態において再度の2回の圧力変化付与を行う構成し、これに対し、出力手段X5は、この再度の2回の圧力変化付与により漏洩流量Q0″(無制御流量)に変化があり、使用通信情報の検出が行われなかったとき、それまでの設定制限時間Tsの計時を途中終了して、変化後の漏洩流量Q0″について新たに選定した設定制限時間Tsの計時を開始する構成にしてある。
【0060】
つまり(図8参照)、上記再度の圧力変化付与によるガス流量Qの変化を調べ、漏洩流量Q0″に変化が無かったときには、その漏洩流量Q0″に対する設定制限時間Ts(先に計時を開始している設定制限時間)の計時を継続し、その設定制限時間Tsにわたり漏洩流量Q0″が変化なく継続して存在すると、ガス漏洩の可能性があると判定して漏洩情報の出力及びガス供給路2の遮断を行うようにしてある。
【0061】
一方、上記再度の圧力変化付与によるガス流量Qの変化を調べ、漏洩流量Q0″に変化があり、且つ使用通信情報の検出がなかったときには、それまでの漏洩流量Q0″(無制御流量)の存在に対し圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていないガス機器の新たな使用開始があった可能性が高いとして、それまでの設定制限時間Tsの計時を途中終了し、変化後の漏洩流量Q0″について新たに選定した設定制限時間Tsの継続を開始する。
【0062】
そして、その後、その新たな設定制限時間Tsにわたり変化後の漏洩流量Q0″が再び変化することなく継続して存在したとき、ガス漏洩の可能性があると判定して漏洩情報の出力及びガス供給路2の遮断を行うようにしてある。
以上構成により、無制御流量が発生している状態を良好に管理できる。
【0063】
なお、本発明においてこれまで説明してきた各式は、厳密にはガス供給路におけるガス機器直前箇所でのガス流量とガス圧力とについて成立する式である。従って、ガス機器との距離が大きくてガス機器までのガス供給路における圧力損失が大きい箇所でのガス流量とガス圧力とについては、前述の各式による演算において誤差が生じるが、一般のガス供給設備では実用上、ガスメータとガス機器までの距離が限定されているため、その誤差は特に問題とならない程度のものである。
〔別実施形態〕
前述の実施形態では、ガス機器がコンロ付きレンジである場合を示したが、このような無制御ガス機器としては、従来型の単純な一口コンロ、テーブルコンロ、ビルトインコンロ等もある。
【0064】
前述の実施形態では、無制御ガス機器から発信される使用通信情報をガス・火災警報器で傍受する構成を示したが、使用通信情報を受信するための専用受信機器を備えてもよいし、このような使用通信情報の受信機能を、本願が対象とするガス機器との関係で、当該ガス機器が発信する使用通信情報を受信できれば、当該受信機能を如何なる機器に備えておいてもよい。
前述の実施形態では、ガス警報器として、メタンガス等の漏洩を検知する漏洩ガス検知、一酸化炭素ガス等の検知により不完全燃焼を検知する不完全燃焼検知(メタンガス検知及び一酸化炭素ガス検知は、共に先に説明した酸化スズ半導体を使用して行える)、さらに火災の検知をすることができる警報器に関して説明したが、中継器として使用できるガス警報器は、これら全てを検知できる必要はなく、これら一種以上を検知できれば良い。
【0065】
本願に係るガス漏洩検知システムが構築される家庭が、ホームセキュリティーシステム(家庭の安全を、ガス、火災、家人以外の第3者の家庭内への侵入、家人が長期間に渡って動かない等の視点から監視し、異常が発生している可能性がある場合は、警備員等を当該家庭に向かわせ、警察、消防署等に報知するシステム)を備える場合は、このホームセキュリティーシステムが、先に説明して使用通信情報を吸い上げるように構成しておき、このホームセキュリティーシステムを介して、使用通信情報検出手段側へ送るものとしてもよい。
【0066】
使用通信情報の通信にあたっては、先の実施形態で示したように赤外線を採用することが好ましいが、通信媒体としては任意の通信媒体を使用できる。
【0067】
前述の実施形態では、各回の圧力変化量ΔPa,ΔPbを異ならせて圧力変化付与を複数回行い、これら複数回の圧力変化付与の夫々において生じるガス流量Qの変化を調べることにより漏洩流量Q0″(無制御流量)を求める例を示したが、圧力変化付与手段X1の1作動として1回の圧力変化付与のみを行い、この1回の圧力変化付与で生じるガス流量Qの変化を調べることで漏洩流量Q0″(無制御流量)を求めるようにしてもよい。
【0068】
また、前述の実施形態では、圧力変化付与手段X1による調整弁4の操作により圧力変化を付与する例を示したが、このような調整弁操作による圧力変化付与に代えて、タービンや風車等の膨張機により減圧側の圧力変化を付与するようにしたり、ポンプやファンなどの加圧手段により増圧側の圧力変化を付与するようにしてもよい。
【0069】
さらにまた、流量定常状態のガス流Gに圧力変化を付与するのに、流量定常状態のガス流量Qに応じて、付与する圧力変化の程度を異ならせたり、圧力変化させる機器を使い分けたり、圧力変化させる機器の使用数を異ならせたり、増圧側の圧力変化付与と減圧側の圧力変化付与とを使い分けるなどしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
下流側でガス漏洩が発生している可能性が高い場合に的確にガス漏洩の可能性を判定することができ、また、安全性も効果的に高め得るガス漏洩検知システムを得ることができ、殊にガスメータの機能向上に適している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本願に係るガス漏洩検知システムの概略構成図
【図2】本願に係るガス漏洩検知システムを採用した台所の概観を示す図
【図3】ガスメータの概略構成図
【図4】2回の圧力変化付与で全ガス流量が制御流量である場合の流量変化を示すグラフ
【図5】2回の圧力変化付与で全ガス流量が無制御流量である場合の流量変化を示すグラフ
【図6】2回の圧力変化付与で制御流量と無制御流量とが混在する場合の流量変化を示すグラフ
【図7】漏洩流量(無制御流量)と制限時間との設定関係を示すグラフ
【図8】ガス漏洩検知の制御フローチャート
【図9】1回の圧力変化付与で全ガス流量が制御流量である場合の流量変化を示すグラフ
【図10】1回の圧力変化付与で全ガス流量が無制御流量である場合の流量変化を示すグラフ
【図11】1回の圧力変化付与で制御流量と無制御流量とが混在する場合の流量変化を示すグラフ
【符号の説明】
【0072】
2 ガス供給路
G ガス流
P 圧力
Q ガス流量
Q0″ 漏洩流量
S ガス漏洩検知システム
s1 コンロ付きレンジ(ガス機器・ガス燃焼機器)
s2 ガス・火災警報器(ガス警報器)
s3 ガスメータ
Ts 制限時間
X1 圧力変化付与手段
X2 流量変化検出手段
X3 演算手段(無制御流量判別手段)
X4 使用通信情報検出手段
X5 出力手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数又は複数のガス機器が下流側に接続されたガス供給路において、そのガス供給路を流れる流量定常状態のガス流に圧力変化を付与する圧力変化付与手段と、
前記圧力変化付与手段により付与される圧力変化により生じるガス流量の変化を検出する流量変化検出手段と、
前記流量変化検出手段により検出されるガス流量の変化により、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量以外の無制御流量の存在を判別する無制御流量判別手段と、
ガス機器から発生される通信情報であって、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていない無制御ガス機器から、当該無制御ガス機器のガスの使用に伴って発生される使用通信情報を検出する使用通信情報検出手段とを備え、
前記無制御流量判別手段による無制御流量の存在判別結果と、前記使用通信情報検出手段による使用通信情報の検出結果に基づいて、下流側における漏洩を検知するガス漏洩検知システム。
【請求項2】
前記無制御流量判別手段が無制御流量の存在を判別し、且つ前記使用通信情報検出手段が使用通信情報を検出しない場合に、下流側における漏洩があると検知する請求項1記載のガス漏洩検知システム。
【請求項3】
前記無制御ガス機器がガス燃焼機器であり、前記使用通信情報が、換気設備を運転するために前記ガス燃焼機器から発信される発信情報である請求項1又は2記載のガス漏洩検知システム。
【請求項4】
前記無制御ガス機器から発生される使用通信情報が、赤外線で通信される赤外線通信情報であるとともに、
前記使用通信情報が、当該赤外線通信情報を傍受し、有線もしくは無線の電気通信情報に変換されて中継器を経由して得られる情報である請求項1〜3のいずれか一項記載のガス漏洩検知システム。
【請求項5】
前記使用通信情報が、警報器に備えられる有線もしくは無線の電気通信機能を経由して得られる情報である請求項1〜4のいずれか一項記載のガス漏洩検知システム。
【請求項6】
前記使用通信情報が、前記警報器よりの通信を受信したホームセキュリティーシステムとの通信によって得られる情報である請求項5記載のガス漏洩検知システム。
【請求項1】
単数又は複数のガス機器が下流側に接続されたガス供給路において、そのガス供給路を流れる流量定常状態のガス流に圧力変化を付与する圧力変化付与手段と、
前記圧力変化付与手段により付与される圧力変化により生じるガス流量の変化を検出する流量変化検出手段と、
前記流量変化検出手段により検出されるガス流量の変化により、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれているガス機器への供給流量以外の無制御流量の存在を判別する無制御流量判別手段と、
ガス機器から発生される通信情報であって、圧力変化を減殺する制御手段が組み込まれていない無制御ガス機器から、当該無制御ガス機器のガスの使用に伴って発生される使用通信情報を検出する使用通信情報検出手段とを備え、
前記無制御流量判別手段による無制御流量の存在判別結果と、前記使用通信情報検出手段による使用通信情報の検出結果に基づいて、下流側における漏洩を検知するガス漏洩検知システム。
【請求項2】
前記無制御流量判別手段が無制御流量の存在を判別し、且つ前記使用通信情報検出手段が使用通信情報を検出しない場合に、下流側における漏洩があると検知する請求項1記載のガス漏洩検知システム。
【請求項3】
前記無制御ガス機器がガス燃焼機器であり、前記使用通信情報が、換気設備を運転するために前記ガス燃焼機器から発信される発信情報である請求項1又は2記載のガス漏洩検知システム。
【請求項4】
前記無制御ガス機器から発生される使用通信情報が、赤外線で通信される赤外線通信情報であるとともに、
前記使用通信情報が、当該赤外線通信情報を傍受し、有線もしくは無線の電気通信情報に変換されて中継器を経由して得られる情報である請求項1〜3のいずれか一項記載のガス漏洩検知システム。
【請求項5】
前記使用通信情報が、警報器に備えられる有線もしくは無線の電気通信機能を経由して得られる情報である請求項1〜4のいずれか一項記載のガス漏洩検知システム。
【請求項6】
前記使用通信情報が、前記警報器よりの通信を受信したホームセキュリティーシステムとの通信によって得られる情報である請求項5記載のガス漏洩検知システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−128068(P2009−128068A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300767(P2007−300767)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
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