ガス貯蔵システム
とりわけ、ガス貯蔵システムは、一群のカプセルと、該一群に連結される活性化要素とを含む。一群のカプセルは、基板内に形成され、大気圧と比較して比較的高い圧力で貯蔵されるガスを含有する。活性化要素は、カプセルのうちの少なくとも1つに、貯蔵したガスを放出させるのに十分な量で、エネルギーを送達するように構成される。上記ガス貯蔵システムは、また、前記一群に連結される活性化要素であって、前記カプセルのうちの少なくとも1つに、貯蔵したガスを放出させるのに十分な量で、エネルギーを送達するように構成される、活性化要素を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)のもとで、2008年12月23日に出願した米国仮特許出願第61/140,349号と、2009年12月22日に出願した米国出願第12/645,263号とに対して優先権を主張する。上記の全内容が本明細書において参照により援用される。
【0002】
本開示は、ガス貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0003】
燃料電池は、燃料を酸化剤と電気化学的に反応させることによって電力を産生するデバイスである。燃料電池システムは、概して従来のバッテリ化学反応よりも多くのエネルギー燃料を使用するため、興味深い。燃料サブシステムと組み合わせた燃料電池は、より多くの貯蔵エネルギーを有し、順に、有意に長い実行時間を提供する、バッテリ交換デバイスを生産してもよい。バッテリ交換デバイス全体の体積および/または重量エネルギー密度を、それが取って代わるバッテリのエネルギー密度を有意に超えさせることが望ましい。一般に、これは、燃料電池および燃料サブシステムのサイズ、重量、および複雑性を低減または最小限化することを必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一側面では、本開示は、一群のカプセルと、該一群に連結される活性化要素とを含む、ガス貯蔵システムを特色とする。一群のカプセルは、基板内に形成され、大気圧と比較して比較的高い圧力で貯蔵されるガスを含有する。活性化要素は、カプセルのうちの少なくとも1つに、貯蔵したガスを放出させるのに十分な量で、エネルギーを送達するように構成される。
【0005】
別の側面では、本開示は、ガスを貯蔵するシステムを構築するための方法を特色とする。方法は、アセンブリチャンバに液化ガスのある量を導入するステップを含み、圧力下でガスを含有するように容器の役割を果たす複数のマイクロカプセルと、蓋基板とを有する、デバイスが配置される。液化ガスの量は、液化ガスが気体状態に遷移した後にカプセル内で所定の圧力を提供するように選択される。方法はまた、カプセルの内側でガスを密閉するように、蓋基板をカプセルに接合するステップも含む。
【0006】
別の側面では、本開示は、流体のデジタル制御された放出のためのシステムを特色とする。システムは、基板を含む。基板は、活性化要素に連結される、複数の流体で充填されたカプセル群と、制御信号を選択された活性化要素に送達するように構成される、制御回路とを含む。制御信号は、選択された活性化要素に、対応する一群の流体で充填されたカプセルを破裂させ、対応する一群の中の流体を、流体を受容するデバイスに放出させる。
別の側面では、本開示は、電力を1つ以上の電子デバイスに送達するための燃料電池システムを特色とする。燃料電池システムは、燃料電池要素と、燃料源とを含む。燃料源は、活性化要素に連結される、複数のガスで充填されたカプセル群と、制御信号を選択された活性化要素に送達するように構成される、制御回路とを含む、基板を含む。制御信号は、選択された活性化要素に、対応する一群のガスで充填されたカプセルを破裂させ、対応する一群の中のガスを燃料電池要素に送らせる。
【0007】
別の側面では、本開示は、ガス貯蔵システムの動作を制御するためのコントローラを特色とする。コントローラは、基板上に製造される、一群のガスで充填されたカプセルを選択するための論理回路を含む。回路は、行カウントおよび列カウントを含む、該一群のアドレスを判定するための回路と、一群のガスで充填されたカプセルに対応する基板カウントを判定するための回路とを含む。
【0008】
デジタルガス貯蔵(DGS)システムは、種々の用途とともに使用するためのものであり、そのうちの1つは、燃料電池システムを含む。DGSシステムは、高圧でガスを貯蔵し、デジタル制御下でガスを放出する。DGSシステムは、独立型システムであってもよく、または、それがガスを供給する別のシステム、例えば、燃料電池と連結されてもよい。いくつかの実装では、DGSシステムは、発電システムを提供するように燃料電池と連結されてもよい。従来のエネルギー供給、例えば、バッテリと比較して、燃料電池を含む発電システムは、大抵のバッテリ化学反応よりも1桁分良好な重量あたりの電力を有することができる。DGSシステムは、マイクロスケールでシリコン基板内に構築されてもよい、ガス貯蔵構成要素を有する、1つ以上のDGS基板のアセンブリを含む。
【0009】
DGSシステムは、種々の燃料電池と組み合わせられてもよい。その実施例は、その内容がそれらの全体で参照することにより本明細書に援用される「Fuel cell and power chip technology」と題された2004年11月9日に出願の出願第10/985,736号であり、現在は米国特許7,029,779で説明されているもの等の、小型で軽量の高電力密度燃料電池を含む。
【0010】
参照特許(「PT」)で説明されているもののような燃料電池と組み合わせた時の、DGSシステムの期待エネルギー密度と、従来のリチウムイオンバッテリとの比較は、DGSシステムが、容量分析および重量測定の両方で有意な改善を提供することを示す。比較の詳細を、以下の表1に示す。DGSシステムの別の有利な特徴は、新規の電力システムおよび他のデバイスの製造を可能にする、ミリメートル未満のスケールで実装される能力である。
【0011】
【表1】
マイクロレベルで相当量の貯蔵エネルギーを提供することに加えて、DGSデバイスは、他の用途で使用することもできる。例えば、DGSデバイスは、解毒剤または流体あるいは固体を貯蔵するために使用されてもよい。DGSデバイスは、ダート等のアイテムを推進することができ、または偵察デバイスと接続して使用することができ、あるいはセンサを展開するために使用することができる。別の用途では、DGSデバイスは、異なるセクションまたはカプセルの中に水素または酸素等の異なるガスを貯蔵してもよい。DGSデバイスは、小型水中自律走行車に浮力制御を提供してもよく、代替として、真空を貯蔵してもよい。
【0012】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付図面および以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに請求項から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1Aおよび1Bは、階層的にデジタルガス貯蔵(DGS)デバイスを描写する、斜視図および断面図である。
【図2】図2は、DGSシステムの線図である。
【図3】図3A−3Bは、DGS基板の行および列アドレス指定の上面図である。
【図4】図4は、DGSシステムで使用するための熱活性化要素を示す、図3Bの一部分の拡大上面図である。
【図5】図5は、DGSシステムの中のカプセルの底部キャップ基板の斜視図である。
【図6】図6は、上向きに内側からカプセルの上部キャップ基板を示す図である。
【図7】図7A−7Bは、カプセルの円筒形内部の斜視図である。
【図8】図8は、フローチャートである。
【図9】図9は、マスター制御回路のブロック図である。
【図10】図10は、スレーブ制御回路のブロック図である。
【図11】図11は、カプセルのカスケード構成の概略断面図である。
【図12】図12A−12Bは、図11に示された構成の複数部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
DGSシステムは、高引張強度の材料の基板内に形成される、本明細書ではカプセルと呼ばれるマイクロ圧力容器の中に、非常に高い圧力でガスを貯蔵する。ガスの単位は、カウンタ、状態機械、コントローラ、またはプロセッサ等のデジタル制御を使用して、マイクロ圧力カプセルから選択的に放出される。例えば、いくつかの実装では、DGSシステムは、単結晶シリコンから形成された圧力カプセルの中に高圧水素ガスを貯蔵する。
【0015】
水素ガスは、非常に高い重量エネルギー密度を有するが、十分に圧縮しない。水素ガスは、十分な水素原子を詰め込んで、体積基準で他のエネルギー源と競合し始めるように、非常に高い圧力まで圧縮される。業務用水素は、2,200ポンド平方インチ(psi)でタンクの中に貯蔵される。標準大気圧の150倍である、この圧力でさえも、一般的なバッテリよりも少ない単位体積または重量当たりの貯蔵エネルギーを有する。表1に示されるもの等の高いエネルギー密度を達成するために、DGSシステムは、標準大気圧の約1,190倍である、約17,500psiで水素ガスを貯蔵する。水素ガスが貯蔵される材料は、構造重量および体積を最小限化し、したがって、高い体積および重量エネルギー密度を達成しながら、高い圧力を含有するように高い強度を有する。
【0016】
そのような豊富な量の圧力を保持するために、安全性を付加的に考慮して、DGSシステムは、1,000,000psiを超える理論的引張強度を有する、結晶シリコン、例えば、単結晶シリコンを有する。引張強度は、材料を破砕させるように材料に印加される臨界応力を定義する、材料特性である。いくつかの実施形態では、DGS圧力カプセルは、約17,500psiの圧力でガスを含有する。カプセルの内面に及ぼされる高い圧力は、材料の引張強度の範囲内である応力を生成し、十分な安全域を残す。安全性の理由で、DGSシステムのパラメータは、シリコン材料内の応力が所定の安全閾値を超えないように選択される。例えば、17,500psiの貯蔵圧力を提供するパラメータの選択は、約50μmの直径および約1.37μmの最小壁厚さを伴うマイクロカプセル幾何学形状を含む。他のパラメータ値が可能である。
【0017】
例えば、1気圧よりも大きい、具体的には、約2,200psiから約17,500psiの高い圧力を、マイクロ圧力容器カプセルの中で維持することができる。加えて、材料の引張強度に対する安全域が縮小される場合には、17,500psiを超える圧力を使用することもできる。
【0018】
図1Aを参照すると、DGSデバイス10は、そのそれぞれが一群のガスで充填されたマイクロカプセル14a、14b、...、14xxを含む、セクション14に機能的に分割される、少なくとも1つ以上の基板12を含む。セクション14は、グリッド形式で配設され、カプセル14a、...、14xxは、六角形に配設される。他の配設も使用することができる。各カプセル14a、...、14xxは、半球形の端部キャップを伴う円筒形である(図1B)。円筒形セクションは、基板12の表面で露出される円形断面を有する。ガス、例えば、水素ガスは、各カプセル14a、...、14xxの中に貯蔵され、ガスは、シリコン蓋基板114(図1B)を介してカプセルの中に密閉される。各セクション14(または各カプセル)は、スレーブ制御電子機器16を介して破裂および放出するように活性化される。セクション14は、他のセクション14のカプセルの中に貯蔵されたガスを放出することなく、特定の選択されたセクション14の中のカプセル14a、...、14xxの全てに貯蔵されたガスを放出するように構成される。
【0019】
示されるように、各DGS基板12は、そのセクション14のうちのどれがガス放出のためにアドレス指定されるかを選択することに関与する、スレーブ制御回路16を有する。対応する数のDGS基板12に対するスレーブ制御回路16を制御する、DGSデバイス10に対する1つのマスター制御回路20(図2)がある。マスター制御回路20は、それ自体の制御チップ基板上にあってもよい。いくつかの実施形態では、マスター制御回路20は、DGS基板12のうちの1つの上にある。他の制御構成を提供することができる。
【0020】
セクション14の中に貯蔵されたガスを放出するように、2つ以上のセクション14を同時に、または異なる時に活性化することができる。基板12、セクション14(個々のカプセルを含む)、および各セクション14の中のカプセル14a、...、14xxの寸法および構成は、所望のガス貯蔵および放出プロファイルに基づいて選択することができる。例えば、基板12は、1cm2の寸法および1mmの厚さを有する。1cm2面積は、100個の1mm2セクション14に分割される。各1mm2セクション14は、六角形に詰められ、ガスで充填された、一群の378個のマイクロカプセル14a、...、14xxを含む。
【0021】
図1Bを参照すると、1つのセクション14の中の1つのカプセル14tは、材料の1つ以上の層、例えば、3つの層50a、50b、50cの中に形成される、円筒形本体48tを有することができる。円筒形本体48tの2つの端は、材料44の1つの層の中に形成された底部キャップ42t、および材料47の別の層の中に形成された上部キャップ46tで冠着される。加えて、上部キャップ42tは、いったんカプセル14tの外部領域に曝露されると、流体連通、例えば、カプセルの外部領域と内部領域との間のガス連通を可能にする、ポート40を含む。ポートは、例えば、材料の層として形成される、蓋114によって密閉される。熱活性化要素38は、ポートより上側の蓋の上に位置する。いったん活性化されると、活性化要素38によって生成される熱が、蓋を破裂させ、カプセルの外部領域にポート40を曝露する。カプセルの構造および形成を以下でさらに説明する。
【0022】
図2を参照すると、DGSデバイス10は、制御チップ基板20(図9)と、制御チップ基板20とともに積層される1つ以上のDGS基板12(図1Aも参照)を有するDGSシステム22とを含む。マスター制御回路は、制御チップ20の上に存在する。制御チップ基板20からのマスター制御回路は、制御信号をDGSシステム22に送信して、どのDGS基板12のどのセクション(例えば、図1Aのセクション14)を活性化するかを示す。制御チップ基板20はまた、DGSシステムからの放出ガスの圧力を監視する。具体的には、制御チップ基板20は、各基板12上のスレーブ制御電子機器16に電気的に連結される。制御チップ基板20は、制御回路、例えば、電極26、28と、電気信号、例えば、データ信号を所望のスレーブ制御電子機器16に送達して、基板12のセクションを活性化するデータ制御機器30とを含むことができる。
【0023】
DGSシステム22は、種々の構成を有することができる。例えば、マスター制御チップ基板20および基板12は、図2に示されたもの以外の構成で配設されてもよい。いくつかの実施形態では、制御チップ基板20およびDGSデバイス10は、例えば、有線または無線接続を介して相互に電気的に連結される、別個のデバイスの上に存在する。いくつかの実施形態では、制御チップ基板20およびDGSデバイス10は、例えば、完全独立型デバイスとして、同じデバイスに組み込まれる。スレーブ制御電子機器16は、各基板12の上に存在することができ、または基板12に連結される別個の部材の上に存在することができる。DGSシステム22は、独自の電力供給(図示せず)を含んでもよく、または外部電力供給(図示せず)に連結されてもよい。
【0024】
図3A−3Bを参照すると、スレーブ制御電子機器16の導体は、標準的な行・列マトリクス(行導体線3および列導体線34)および活性化要素38の形態で配設される。スレーブ電子機器のこの部分は、セクション14内に位置するノード36(すなわち、対応する行導体線が交差列導体線から誘電的に隔離される、アドレス線交差部)を有する。ノード36のそれぞれから、1対の導体37a、37bは、それぞれの行32および列34導体を対応する活性化要素38に連結する。行線32、行導体37aの間を流れ、活性化要素38を通って対応する列導体37bおよび列導体線34まで流れる電流は、(以下で論議される残りのスレーブ制御電子機器とともに)電気回路を完成し、活性化要素38が発熱し、対応するセクション14の蓋基板部分を破裂させることを可能にする。
【0025】
行・列マトリクスは、基板12の上、例えば、カプセルを密閉する蓋基板の上に配置されるか、または基板12に組み込むことができる。各セクション14は、対応する活性化要素38の場所に基づいて索引付けされる(例えば、基板12内のアドレスを有する)。アドレスに基づいて、制御チップ基板20(図2)から送達される電気信号(図9)は、選択されたスレーブ制御回路16を通して所望のセクション14に印加される。各セクション14では、少なくとも1つのカプセル14tは、スレーブ制御電子機器16に接続された熱活性化要素38に連結される、蓋を有する。特定の基板上の特定のセクション14がマスター制御チップ基板20によって選択されと、特定の基板上のスレーブ制御電子機器16が、X行およびY列アドレスに基づいて、そのセクション14を活性化する。スレーブ制御電子機器16は、適切な行および列導体を介して電流を選択されたセクション14に送信し、熱活性化要素38を加熱する。熱活性化要素38は、十分高い温度に達すると、選択されたセクション14の中の1つ以上のカプセルのシリコン蓋を局所的に弱体化させて破裂させ、破裂したカプセルから密閉水素ガスを放出することによって、そのセクションの中のカプセルを活性化する。熱活性化要素38は、種々の伝導性材料、例えば、タングステン、他の金属、または金属合金から成ってもよい。活性化要素38はまた、制御電子機器16によって電気的に誘起されると、化学反応によって熱および/または圧力を放出する化学物質を含んでもよい。活性化要素38はまた、貯蔵したガスを放出するように電気機械デバイスを含んでもよい。
【0026】
図4を参照すると、熱活性化要素38の一実施形態は、カプセル14tの断面を覆い、効果的に熱を伝達するように蛇行形状を有する。蛇行形状の寸法は、セクション14およびカプセル14tの寸法に基づいて選択される。要素38の他の形状も使用することができる。
【0027】
各カプセルは、底部キャップと、上部キャップと、シリンダ本体とを有し、その実施例は、図1B、5、6、および7A−Bで描写されている。各構成要素は、単結晶シリコンウエハの中に形成されてもよい。カプセルの寸法は変化し得るが、一式のそのような可能な近似厚さ寸法を、図1B、5、6、および7A−Bに関して以下で説明する。
【0028】
図5を参照すると、底部キャップ42a、42b、42c、...、42xxのアレイが、単結晶シリコン部材44の中に形成される。シリコン部材44は、厚さ約30μmであり、各底部キャップ42a、...、42xxは、例えば、約50μmである、均一な直径を有する半球形である。シリコン部材44は、数百個から数千個のキャップを含むことができる。底部キャップのアレイは、六方充填でシリコン部材44に等方的にエッチングされる。多角形構成、円形構成、および線形構成等の他の構成が使用されてもよい。
【0029】
図6を参照すると、図5の底部キャップと同様に、上部キャップ46a、46b、...、46xxのアレイは、約30μmの厚さを有する単結晶シリコン部材47の中に形成される。加えて、上部キャップのうちの1つ46pは、カプセルの内部をカプセルの外部に接続する、ガス充填/放出ポート40を有する。ポート40は、円形であり、例えば、約20μmの直径を有する。ポート40は、他の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、セクション14(図1A)内のカプセルは、ガスがカプセルの間を流れることを可能にする、小開口経路(図示せず)によって相互接続される。選択されたカプセルのみ、例えば、1つのカプセル46pが、相互接続されたカプセルの全ての中へガスを充填し、そこから外へガスを放出するためのポート40を含む。複数の上部キャップが、ポート40のようなポートを有することができる。カプセルのセクションがカスケード構成(以下で論議される)で配設される、他の実施形態では、カプセルの各上部キャップがポート40(全てが示されているわけではない)を含む。
【0030】
ポート40は、約20μmの直径を有する単結晶シリコン部材(図1B)の中に形成される密閉蓋によって密閉される。以前に説明されたように、制御電子機器16の一部(行および列線導体)は、蓋基板の上に製造される。制御電子機器はまた、蓋基板の上に形成することもでき、蓋基板がカプセルを密閉するために使用される前に形成される。
【0031】
図7Bを参照すると、円筒形本体48a、48b、...、48xxのアレイが、約900μm(ミクロン)から約1000μの厚さ(これは例示的範囲にすぎず、他の範囲が可能である)を有する、単結晶シリコン部材50の中に形成される。具体的な厚さは940μmである。一般に、厚さは、DGS用途に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、各円筒形本体は、約50μmの直径を有し、シリコン部材50の各1mm×1mm面積は、六角形に詰められた378個の円筒形本体を含むことができる。シリコン部材50の複数の層は、細長い円筒形本体を形成するように積層される。図7Aに示された実施例では、それぞれ図7Bのシリコン部材50の特徴を有する、3つのシリコン部材50a、50b、50cは、円筒形本体48a、...、48xxが3倍の長さを有するように積層される(図1Bも参照)。任意の数のシリコン部材50を積層することができる。
【0032】
図1AのDSG基板12は、底部キャップを携持するシリコン部材44、円筒形本体を携持する少なくとも1つのシリコン部材50、上部キャップを携持するシリコン部材47、および密閉蓋を携持するシリコン部材114を積層することによって形成することができる。各セクション14(図1A)の中のカプセル14a、...、14xxは、種々の構成を有することができる。1つの構成では、カプセルはそれぞれ、他のカプセルに接続される小開口経路を有する。経路は、各カプセルの側壁上に位置することができ、かつカプセルの製造中に構築することができる。経路は、各カプセルにガス充填/放出路を提供する。各セクション14について、セクションの中の全ての相互接続されたカプセルの中でガスを放出するために、1つだけの放出ポート(図示せず)が必要とされる。
【0033】
いくつかの実施形態では、カプセル14a、...、14xxは、相互から隔離される(例えば、相互接続経路がない)。セクション内で、各カプセルの側壁は、カプセルがそれを包囲する周囲圧力とともに独立している場合に、高い圧力を含有するために必要とされる厚さよりも薄く設計されている。隔離された場合、低い周囲圧力によって包囲される単一の高圧充填カプセルが破裂する。しかしながら、一緒に詰められると、カプセルが相互の側壁に及ぼす相互力が平衡を保ち、壁の厚さを補うため、これらのカプセルは、それらの側壁を破裂させることなく、貯蔵圧力を保持することができる。
【0034】
使用中、カプセルのセクションの全体的な強度が、貯蔵圧力を保持するのに十分である一方で、個別カプセルの強度は十分ではない。セクションの特定のカプセルの密閉蓋が開かれると、特定のカプセル内の圧力がほぼ周囲圧力まで下がる。周辺カプセル(特定のカプセルに隣接する)の最小壁厚さが、カプセルが独立することを可能にするのに不十分である(内側で17,500psi、外側で周囲圧力)場合、これらの周辺カプセルと特定のカプセルとの間の壁が壊れる。周辺カプセルの中に貯蔵されたガスは、開いた蓋から放出される。この過程は、セクションの周辺カプセルに達するまで、カスケード破損として反復する。セクション14全体の中のガスは、1つの開いた蓋を通して放出される。隣接セクション14の間の壁は、1つのセクション14内のカスケード破損が他のセクションに広がらず、他のセクション14に影響を及ぼすことなく、各セクション14の中の放出を独立して制御および操作することができるように、圧力を保持するために必要とされる厚さまで構築される。
【0035】
上記で説明されるように、マイクロカプセル14a、...、14xxのセクション14からガスを放出するための機構は、少なくとも1つのカプセルの蓋を加熱している。材料の引張強度は、温度の影響を受け、すなわち、温度が上がるにつれて、より弱くなる。ある温度の範囲内でのみ、カプセルの蓋に使用される単結晶シリコンは、カプセル内の高いガス貯蔵圧力に耐えるように十分高い材料強度を有する。この範囲を上回る温度に曝露されると、シリコン蓋の引張強度は、蓋が破裂し、それらが含有するガスを放出する点まで減少する。貯蔵圧力を維持するために必要とされるレベルを下回って単結晶シリコンの引張強度を低下させる温度は、「破裂温度」と呼ばれる。破裂温度は、カプセルの上部キャップおよび密閉蓋の幾何学形状に依存する。図1Aに示された寸法を有するカプセルを含む、DGSデバイスについて、破裂温度は、約150℃であってもよい。この温度で、密閉蓋が破裂し、ガスが漏出する。
【0036】
破裂点までシリコン蓋を加熱するために熱活性化要素38(図4)によって使用されるエネルギーは、「活性化エネルギー」と呼ばれ、システムエネルギーの寄生損失である。システムエネルギーの損失は、カプセルの構成に依存し、1つのカプセルを加熱し、セクション14の中の全てのカプセルに、貯蔵したガスを放出させることによって、低減することができる。活性化エネルギーは、セクション内の全貯蔵エネルギーの割合として表されてもよい。いくつかの研究では、図1Aで描写されたDGSデバイスの活性化エネルギーは、1%未満と計算された。
【0037】
水素分子は、最小分子であり、十分な時間があれば全ての材料に浸透することが知られている。浸透の範囲は、例えば、貯蔵材料の特性、温度、および水素ガスへの圧力に基づいて、判定することができる。いくつかの実施形態では、DGSデバイス10の予測使用および貯蔵の温度よりも高い、500℃の貯蔵温度で、約73年後に、全貯蔵水素の約1%を失い得ると考える。
【0038】
単結晶シリコンは、1,000,000psiを超えるバルク特性である、その高い引張強度により、圧力カプセルおよびそれらの蓋を構築するために使用される。理論に縛られることなく、単結晶シリコンの結晶格子構造は、高い引張強度を提供する。単一の断片を「効果的に」生産するような方法で、例えば、融着を介して、シリコン材料の断片を接合することができる。単結晶シリコンのバルク特性は、カプセルの幾何学形状に加えて、カプセルが17,500psiの圧力でガスを含有することを可能にする。ダイヤモンド等の他の材料も、カプセル内に含有されるガスおよび圧力に応じて、その構成要素のうちのいずれかを含む、カプセルを構築するために使用することができる。
【0039】
カプセルの充填/放出ポートを覆う単結晶シリコン密閉蓋は、陽極接合(以下でさらに説明される)によってカプセルに接合される。この過程は、カプセルと蓋との間にナトリウムでドープした二酸化ケイ素(SiO2)の遷移層を生産する。ナトリウムでドープした二酸化ケイ素は、結晶シリコンとは異なる引張強度に関するバルク特性を有することができる。ナトリウムでドープした二酸化ケイ素は、共同材料の厚さの界面層等の、薄い、例えば、ほぼ1ミクロン未満の層である。ナトリウムでドープした二酸化ケイ素は、カプセル本体および蓋の結晶シリコンに共有結合されるとともに、表面粗度またはカプセルと蓋との間の空隙を完全に充填する。遷移層は、シリコン蓋を外向きに押す、カプセル内の圧力に耐えることができ、層の非常に大きい長さ対高さ比(50対1よりも大きい)のため、含有したガスの高い圧力によって蓋とカプセル本体との間から押し出すことができない。遷移層はまた、水素分子に対する低い浸透性も有する。
【0040】
スレーブ制御電子機器16は、蓋をカプセルに接合してガスを密閉する前に、蓋の上に適用され、半導体回路、例えば、CMOS回路および金属化を含むことができる。使用される材料は、これらの回路が、高い温度、例えば、陽極接合過程で使用される約400℃に耐えることを可能にする。
【0041】
ここで、DGS基板12を製造するための過程を詳細に説明する。外観として、DGSカプセル従属構成要素(図11)、本体50a、50b、50c、上部キャップ47、および底部キャップ44は、別個に加工される異なる単結晶シリコン基板またはウエハでできている。これらのカプセル従属構成要素は、単一の「カプセルサブアセンブリ」55を形成するように組み立てられる。いくつかの実施形態では、カプセルの本体は、例えば、融着を使用して事前に組み立てることができる、1つより多くのシリコン基板の中に形成することができる。底部キャップは、カプセルのシリンダ本体の一方の端に融着され、上部キャップは、他方の端に融着される。いくつかの実施形態では、底部および上部キャップ部品は、組立中の異なる時に、円筒形カプセル本体を含有するシリコン基板に取り付けられる。それらの従属構成要素を含む、カプセル構成要素は、他の順番で組み立てられてもよい。別々に、蓋基板114は、活性化要素38、XおよびYアドレス指定32、34、および電子スレーブ制御回路16を伴って構築される。後に、高圧アセンブリチャンバの中で、カプセルサブアセンブリ内のカプセルは、高圧ガスで充填され、蓋基板114で密閉される。
【0042】
DRIE(深度反応性イオンエッチング)は、カプセルのシリンダ本体または側壁、ならびにガス充填/放出ポート/経路を製造するために使用されてもよい、いくつかの過程のうちの1つである。DRIEは、ドライエッチング過程であり、最大約20:1のアスペクト比(例えば、DGSデバイス上のカプセルの深さおよび幅の比)を有する特徴を形成するために好適である。代替として、シリンダは、シリコン基板の電気化学エッチングを通して製造することができる。シリンダは、電気化学電池の一部として、結晶シリコン基板の円筒形領域を選択的にエッチングし、これらの円筒形領域中に多孔質シリコン領域を形成することによって製造される。多孔質シリコンが円筒形領域中に形成された後、多孔質シリコンは、高温で多孔質シリコンを酸素に曝露させることによって、二酸化ケイ素に変換されてもよく、二酸化ケイ素をフッ化水素酸(HF)浸漬で除去することができる一方で、シリコン部材の他の領域中の結晶シリコンは、実質的に損なわれないままである。
【0043】
製造過程は、形成されたカプセルの壁に表面粗度を誘発する場合があり、それは、材料の引張強度に悪影響を及ぼし得る。隣接するカプセルの間および隣接するセクション14の間の壁厚さを判定する時に、この要因を考慮に入れることが望ましい。
【0044】
代替として、シリコン材料を除去するため、およびカプセルの側壁を形成するために、レーザアブレーションを使用することができる。高エネルギーレーザパルス、例えば、フェムトレーザパルスまたはピコ秒レーザパルスが、シリコン部材の選択された場所にカプセルを形成するように、これらの場所に印加される。カプセルの寸法および形状は、アブレーションと関連付けられるパラメータ、例えば、過程のレーザエネルギーおよび持続時間を制御することによって制御される。カプセルの側壁は、残りのシリコン材料の結晶特性を実質的に変化させることなく、迅速かつ正確に形成することができる。
【0045】
カプセルの半球形の底部および上部キャップは、ウェットエッチングを使用して製造される。製造スキームは、随意で、結晶シリコン部材の選択された場所に細孔を形成することを含んでもよい。選択された場所における多孔質シリコンは、実装された場合、ガス流スロットルとしての役割を果たす。上部および底部キャップを含有するシリコン基板は、そのカプセルが空で密閉されていない、カプセルサブアセンブリ55を完全に形成するように、例えば、融着(シリコン溶接としても知られている)によって、カプセルの円筒形本体を含有するシリコン基板に取り付けることができる。概して、融着は、高温、例えば、約1,000℃のガスチャンバの中で、かつ低圧の好適なガス環境で発生する。シリコン基板の表面は、それらの間の接合の形成を促進するように、平滑で清浄となるよう処理することができる。
【0046】
ガスで充填され、密閉される、完全に形成されたカプセル(「カプセルサブアセンブリ」)を含有する融合シリコン基板は、以下で論議されるように、約17,500psiで水素ガスを含有する、高圧アセンブリチャンバの中に配置される。チャンバは、高い圧力に耐えるように設計および構築され、例えば、最大約50,000psiの圧力を保持することが可能である。チャンバは、シリコンカプセルサブアセンブリおよび別個の蓋シリコン基板を約300℃から約500℃、例えば、約400℃に加熱する。次いで、陽極接合される2つのシリコン断片は、一方の断片が他方の断片に対して約1,000ボルトの電圧を有するように配設される。高温および高電圧は、シリコン断片をともに接合して、高圧水素ガスを貯蔵する密閉カプセルを形成する。
【0047】
図8を参照すると、水素ガスが貯蔵されるカプセルは、過程60を使用して、ガスで充填され、高圧アセンブリチャンバの中に密閉される。アセンブリチャンバは、最初に、設定され、使用条件にある。いったんアセンブリチャンバが所望の圧力(例えば、17,500psi)になると、カプセルサブアセンブリ上の定位置に蓋基板を置くための機械的配設が提供される。アセンブリチャンバには、陽極接合手順中に使用される電圧を提供する電気接続、および2つのシリコン基板を加熱するためのヒータ要素が装備されている。
【0048】
設定過程62では、シリコンカプセルサブアセンブリおよび密閉蓋基板がアセンブリチャンバの中に適正に配置され、アセンブリチャンバが密閉される。窒素等の不活性ガスでアセンブリチャンバを浄化することによってアセンブリチャンバから酸素を除去する、窒素パージ(64)過程が、アセンブリチャンバ内で行われる。アセンブリチャンバの中の閉じ込められた空気は、アセンブリチャンバの中で行われる過程を実質的に妨害しない不活性ガスで変位される。いくつかの実施形態では、窒素パージ過程(64)は、軽度の真空(例えば、1ミリトール)までチャンバを送出し、純窒素で充填し直すという交互ステップを含む、ポンプ・パージ過程である。例えば、過程の安全のために、高圧陽極接合過程中に、アセンブリチャンバの中に酸素が実質的にないことが望ましい。空気を除去することはまた、水素ガスが圧力カプセルの中へ密閉されている際に、水素の潜在的汚染を最小限化することも促進できる。アセンブリチャンバが徹底的に浄化された(例えば、酸素を除去した)後、例えば、アセンブリチャンバが軽真空状態になるまで、窒素が排出される。この排出手順は、次にチャンバを充填するガスを窒素で希釈しないように行われる。それはまた、窒素がカプセルの中に閉じ込められ、圧縮されることも防止する。
【0049】
液化ガス、例えば、液相で存在するように加圧され、非常に低い温度まで冷却される、例えば、ある量の冷温濃縮水素ガスが、アセンブリチャンバに導入される(66)。液体は、暖かくなり、したがって、アセンブリチャンバを加圧するにつれて、ガスになる。チャンバに導入される液化ガスの量は、高圧アセンブリチャンバ内の最終ガス圧力が、周囲温度で、例えば、17,500psiの所定の圧力に達するように選択される。導入される必要がある液化ガスの量は、アセンブリチャンバの内部の全容積、低温液体の熱力学的状態、および平衡温度(周囲)における最終状態に基づいて計算される。最終ガス圧力は、アセンブリチャンバに導入される液化ガスの量を調整することによって、および必要であれば高圧ガスの制御された排出によって、制御される。上記で説明される方式で、所望の圧力までアセンブリチャンバをガスで充填することにより、効率的にカプセルに水素を導入する比較的単純かつ効果的な過程を提供する。他の実施形態では、圧縮機器、例えば、多段圧縮器および水撃ポンプシステムが、所望の圧力までガスを加圧することができる。
【0050】
水素ガスは、アセンブリチャンバ内の高い圧力によりカプセルに進入する。次いで、カプセルは、アセンブリチャンバ内で陽極接合過程を使用して蓋基板によって密閉される。再度、理論に縛られることなく、カプセルの蓋シリコン基板および上部キャップの中のシリコン原子と、陽極接合過程によって形成される酸化ケイ素との間で、共有結合が形成されると考えられる。
【0051】
密閉過程(68)は、整合したカプセルサブアセンブリ55(図11)および蓋基板114をともに押し付けることから始まる。両方のシリコン部材は、約400℃まで加熱される。1000V電圧が、2つのシリコン部材にわたって印加される。電圧は、2つのシリコン部材の間の接合過程を加速し、(例えば、表面粗度により)部材の表面間にあり得る空隙を充填する。強力な気密性シールを形成することができる。次いで、押込力が解放される。
【0052】
水素ガスを含有する密閉カプセルが冷却される(70)。アセンブリチャンバの中の温度は、周囲温度まで低減される。アセンブリチャンバは減圧される(72)。アセンブリチャンバの中の残留水素ガスは、低温システムの中へ再循環するか、または安全に排出することができる。
【0053】
過程60が完了した後、カプセルを携持する基板は、特定の用途の必要性にしたがって所定のサイズにさいの目に切られ、図2のDGSデバイス10に組み込まれる。使用中、図2のDGSデバイス10は、ガスチャンバとしての機能を果たすエンクロージャ11(図2)内に配置される。ガスチャンバは、DGSデバイスによって放出されるガスを収集し、また、ガスチャンバの外側のガスがDGSデバイスに進入することを防止する。DGSデバイスからガスチャンバの中へ放出されるガスは、ガスチャンバに連結されるデバイス、例えば、燃料電池に供給される。図2の制御チップ基板20は、より多くのガスを放出するように、いつDGSデバイスに命令するかを知るために、ガスチャンバの中の圧力を監視する。いくつかの実施形態では、図2の制御チップ基板20は、チャンバ11内に含むことができ、他の実施形態では、図2に示されるようにチャンバ11の外部にある。いくつかの実施形態では、セクション14が破裂させられた時にDGSデバイス10からのガス流を促進するために、基板12は、1つまたは複数の溝、例えば、(示されていない種々の構成で)基板の裏面上に製造されるV字形の溝または他の同様の種類のチャネルを有することができる。
【0054】
最初にDGSデバイス10から放出されるガスは、周囲圧力および温度を有する、ガスチャンバの容積まで膨張する。ガスチャンバの固定容積を考慮すると、後にDGSデバイス10から放出されるガスは、ガスチャンバ内の圧力を増加させることができる。いくつかの実施形態では、ガスチャンバは、圧力が所定の値(例えば、1psi)を上回って上昇することを防止するようにアキュムレータを含む。アキュムレータは、体積が小さい折り畳み状態と、増加した圧力に適応する拡張状態とを有する。使用中、アキュムレータは、最近放出されたガスの体積に適応して、ガスチャンバの圧力が有意に上昇することを防止するように拡張する。アキュムレータの体積は、DGSデバイスから放出されるガスの量の影響を受け、形状は、特定の用途に基づいて可変である。アキュムレータは、ガスチャンバに組み込まれてもよい。
【0055】
図2を再び参照すると、3線通信インターフェーススキームが、各DGS基板12、例えば、スレーブ制御電子機器16とマスター制御チップ基板20との間に構築されている。基板12、20は、直列または並列で電気的に接続されてもよい。それぞれ電力および情報に対応する、2つの種類の信号がインターフェースによって使用される。電力信号は、例えば、制御基板20上の電極または導体28から送信される、?V信号を含む。?V信号は、情報信号に対する参照信号として、また、電流源に対するシンクとしての機能を果たすことができる。電力信号はまた、図3Aの選択された熱活性化要素38へ電流を供給する電極または導体26を介する、+V信号も含む。
【0056】
図9を参照すると、制御基板20は、DGSデバイス10からのガス放出を監視および管理する回路78を含む。回路78に電力を提供し、電極または導体26、28を介して電力を送達し、DGS基板12のそれぞれの上のスレーブ回路16を制御するように、電力回路80を制御基板20の上に含むことができる。制御回路78および16に電力を供給するための他の配設が可能であり、電力回路の電圧調節を含む。回路78と、X行カウンタ84と、Y列カウンタ86と、基板カウンタ88とを含む。回路78は、特定の基板12を選択するために基板カウンタ88を使用し、特定の基板12の上の特定のセクション14を選択するためにX行およびY列カウンタ84、86を使用する。DGSデバイスの中のあらゆるセクション14は、3つのカウンタ84、86、88を使用して位置付けることができる。
【0057】
回路78はまた、クロック回路90も含む。クロック情報は、X、Yアドレス指定データおよび基板で変調され、制御電子機器16に送信される。変調されたクロックおよびデータ情報は、X行カウントおよびY列カウントならびに基板に対応する並列データおよびクロック情報が、データおよび組み込みクロック情報の直列流に変換される、並列・直列変換器回路92から伝送される。カウンタ84、86、88による選択のアドレスに基づいて、データおよびクロック情報は、データ線30(図2も参照)を通して回路92から復号回路に送達され、次いで、セクション14の中に貯蔵されたガスを放出するように、選択されたセクション14に送達される。
【0058】
制御基板20はまた、所定の圧力閾値を有し、感知した圧力が圧力閾値よりも低い時に低い圧力を示すように信号を出力する、圧力センサ回路96を含むこともできる。圧力センサ回路96は、1つ以上の特定のセクション14からのガス放出を開始し、制御チップ基板20が位置するガスチャンバの中の圧力を維持するために使用することができる。
【0059】
加えて、制御基板20は、スリープモード回路98を含む。放出されたガスの消費が減少または停止すると、スリープモード回路98は、回路78と相互作用して、DGSシステム22をスリープモード(以下で説明される)にさせる。過剰な量のガスが外部ガス消費でバイスに供給されないように、高い圧力が必要とされない時には、高いガス圧力が制御基板20に印加されるのを防止することが望ましい。例えば、水素分子は、水素ガスを消費する燃料電池で使用される膜に浸透する傾向があり、過剰な水素ガスは、浸透を加速し得る高い圧力を提供する。
【0060】
情報信号は、クロックおよびデータ情報を運ぶ。クロック情報およびデータ情報は、1本だけのワイヤが使用されるようにともに変調される(?V信号に参照される)。データ情報は、基板カウントと、X行カウントと、Y列カウントとを含み、制御チップ基板20上で記憶および管理される。各基板上のローカルカウンタを進めさせる単一パルス(クロック)の使用を可能にするために、他のスキームを使用することができる。各ローカルカウンタは、DGS基板間に連結される、搬入/搬出信号デイジーによって有効化することができる。制御チップ基板20およびDGS基板12の間の通信のための他のスキームを使用することができる。
【0061】
DGSデバイス10が配置される、ガスチャンバの中の圧力センサは、ガスチャンバのガス圧力を自動的に監視し、ガスに対する需要に関する情報を制御チップに送達する。ガスチャンバの中の圧力は、いつ次の量のガスを放出するかを判定するために使用される。ガス放出の過程は、DGSデバイス10にガスがなくなるまで、途切れなく継続することができる。いくつかの実施形態では、外部ガス消費デバイスが放出されたガスの消費を停止する、一時停止する、または実質的に減少させ、DGSシステム22がスリープモードになった場合、ガス放出を一時停止することができる。スリープモードでは、使用されているガスの量は、正常動作状態よりも大幅に少ない。スリープモードでは、ガスは、より低い圧力で放出されるため、制御チップを通した漏出が少なく、および/または、消費が少ないため、より大きい間隔で放出される。いくつかの実施形態では、基板12は、これらのスリープモードカプセルがガスを放出する時に、ガスチャンバの中で少ない圧力を産生するように、より少量のガスを貯蔵する、特殊スリープモードカプセルを含む。
【0062】
図10を参照すると、各DGS基板12(図1A)の上のDGSスレーブ制御電子機器16は、図9の制御回路78によって送信されるデータおよびクロック情報を復号する。直列データおよびクロック情報は、データを回復するように情報を復調し、直列データを並列形式に変換し直す、直列/並列変換回路100において受信される。
【0063】
選択された基板12が100(10×10)個のセクション14を含む実施例では、X行およびY列データは、それぞれX行デコーダ102およびY列デコーダ104を使用して、10本の選択線のうちの1本に復号される。それぞれ、選択された行Xnは電流源106に接続され、選択された列Ymはシンクドライバ回路108に接続される。電流源106およびシンクドライバ回路108は、各基板12上の熱活性化要素のマトリクス内に(Xn,Ym)というアドレスを有する、熱活性化要素38に電流を送達する。加えて、ローカル基板ID番号と比較される、基板12の選択に関係付けられるデータも復号される。特定のID番号を有する基板12が選択されると、基板有効化信号が電源スイッチ(図示せず)をオンにして、電流をXnに供給する。いずれの基板も選択されない時は、アドレス(Xn,Ym)における選択された熱要素を加熱するように電流が送達されない。
【0064】
図11を参照すると、DGS基板12の一部分の断面図は、カスケード構成で配設されたカプセル14a、14b、...、のセクション14を含む。各カプセル14a、14b、...、は、破裂可能な壁112によって他のカプセルから分離される。水平実線によって示されるように、DGS基板12は、相互の上に積層され、相互に接合される、複数のシリコン部材44、50a、50b、50c、47、および蓋114から形成される。カプセルのセクション14はそれぞれ、カプセルの活性化したセクション14に連鎖破裂を限定し、したがって、活性化されていない隣接セクションが破裂することを防止するように構造化される、厚い壁110によって分離される。
【0065】
ここで図12Aを参照すると、丸く囲んだ領域Aの中の図11のカプセルの上部領域が、詳細に示されている。カプセル14i、14j、14kの上部キャップ46i、46j、46kは、薄い蓋114によって覆われるガス充填ポート40を含む。熱活性化要素38は、薄い蓋114と接触しており、1つ以上のポート40の中心より上側に位置することができる。破裂可能な壁112はそれぞれ、比較的薄くなり得て、約0.8ミクロンから約1.2ミクロンの厚さを有することができる。
【0066】
図12Bを参照すると、カプセル14m、14nの底部領域は、底部キャップ42m、42nによって密閉される。異なるセクション14からカプセル14m、14nを分離する壁110は、例えば、約20から約50ミクロンの比較的大きい厚さを有することができる。
【0067】
DGSシステム22(図2)は、小さいサイズを有し、軽量である。DGSシステム22のDGSデバイス10の中に貯蔵される水素ガスは、高いエネルギー密度、例えば、高い重量エネルギー密度を有する。DGSシステム22またはDGSデバイス10は、軽量の携帯用用途、例えば、小型飛行ロボット等のマイクロ自律センサおよびロボット、ならびに携帯電話等の携帯用電子機器で使用するために好適であってもよい。
【0068】
電力を産生する制御基板20に加えて、制御基板20は、上述の用途に対する電力および電力管理と概して関連付けられる、内蔵電子機器の量を排除または低減する。制御基板20は、各基板12の上の制御電子機器16を制御するために必要とされる、回路およびソフトウェアを統合することによってこれを達成する。電力機能は、監視および制御することができるだけでなく、リアルタイム状況およびイベントに動的に適応させることもできる。
【0069】
マイクロレベルで相当量の貯蔵エネルギーを提供することに加えて、DGデバイス/システムはまた、他の機能を果たすために使用することもできる。例えば、DGSデバイス/システムは、解毒剤を貯蔵するために使用されてもよい。必要な時に、例えば、戦闘状況、テロリストの攻撃、健康危機中、または生物学的脅威が検出された時に、DGSデバイス/システムを活性化することができ、解毒剤をカプセルから放出することができる。カプセルの中の圧力は、被検体に解毒剤を直接注入するか、またはエアロゾルとして解毒剤を放出するために使用されてもよい。概して、DGSデバイス/システムは、注入またはエアロゾルとして材料の組み合わせを放出するために使用することができる。
【0070】
DGSデバイス/システムは、他の用途を有することができる。一実施例では、DGSデバイス/システムは、ダート等のアイテムを推進することができる。別の実施例では、DGSデバイス/システムは、ダート等の有向発射型デバイスを標的化し、展開するために、小型飛行ロボット等の偵察デバイスとの関連で使用されてもよい。発射体は、種々の所望の効果のために化学処理されてもよい。発射体は、センサを展開するためにDGSデバイス/システムの推進機構も使用することができるように、1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0071】
別の用途では、DGSデバイス10は、異なるセクションまたはカプセルの中に異なるガスを貯蔵してもよい。例えば、空気が全く存在しないか、または低品質の空気が存在する状況で、あるいは水中で使用するために、H2およびO2を別個のカプセルの中に貯蔵することができる。DGSデバイス/システムに連結される外部ガス消費デバイスが、その動作中に毒気または汚染空気に遭遇すると見込まれる場合、ガス消費デバイスは、反応物を携持するように構成されてもよい。DGSデバイス/システムによって提供される酸素は、地上および水中の両方で、ならびに宇宙で、ガス消費デバイスが機能することを可能にする。いくつかの用途では、DGSデバイス/システムは、小型水中自律走行車に浮力制御を提供してもよい。
【0072】
代替として、DGSデバイス10は、真空を貯蔵してもよい。この用途では、ガスはカプセルから除去され、次いで、カプセルは、真空のインスタンスを生成するように密閉される。1つのカプセルまたはカプセルのセクションが活性化されると、外部ガスまたは液体がカプセルに流入して真空を抑えることができる。セクションのアドレスに基づく真空のセクションの選択は、デジタル制御された真空と同様である。真空のどのセクションが活性化されるかという正確な制御は、DGSデバイスに接続された外部流回路を通って流れるように、ガスまたは液体を呼び出すために使用することができる。
【0073】
熱活性化要素38は、他の構成を有することができる。熱活性化要素38以外に、他の活性化要素、例えば、磁気活性化要素を、熱活性化要素38とともに、または熱活性化要素38と引き換えに使用することができる。カプセルは、異なる形状、例えば、長円形、正方形、または長方形の断面を有することができる。カプセルの1つ以上の部分は、同じシリコン部材の中に形成することができる。例えば、カプセルの底部キャップおよび本体は、同じシリコン部材の中に形成することができる。
【0074】
制御回路は、デジタル電子回路で、または、カウンタ、状態機械、特殊用途論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)あるいはASIC(特定用途向け集積回路)を含む論理回路等の、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアで、実装することができる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明してきた。それでもなお、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の修正が行われてもよいことが理解されるであろう。
【0076】
例えば、他の材料を置換することができるか、またはDGSデバイスおよびその構成要素のうちのいずれかについて説明されるものに加えて使用することができる。以前にすでに説明されたものに加えて、セクションあたりのカプセルの数、DGS基板あたりのセクションの数、セクションの配設、およびカプセルのサイズを含む、他の寸法および構成を使用することができる。DGSデバイスは、水素、酸素、および空気等のガスの混合物を含むが、それらに限定されない、任意のガスに使用されてもよい。DGSデバイスはまた、上記で説明されるように真空を貯蔵してもよい。
【0077】
上記で説明される過程の代わりに、またはそれらに加えて、他の製造過程が使用されてもよい。他の実施形態は、以下の請求項の範囲内である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)のもとで、2008年12月23日に出願した米国仮特許出願第61/140,349号と、2009年12月22日に出願した米国出願第12/645,263号とに対して優先権を主張する。上記の全内容が本明細書において参照により援用される。
【0002】
本開示は、ガス貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0003】
燃料電池は、燃料を酸化剤と電気化学的に反応させることによって電力を産生するデバイスである。燃料電池システムは、概して従来のバッテリ化学反応よりも多くのエネルギー燃料を使用するため、興味深い。燃料サブシステムと組み合わせた燃料電池は、より多くの貯蔵エネルギーを有し、順に、有意に長い実行時間を提供する、バッテリ交換デバイスを生産してもよい。バッテリ交換デバイス全体の体積および/または重量エネルギー密度を、それが取って代わるバッテリのエネルギー密度を有意に超えさせることが望ましい。一般に、これは、燃料電池および燃料サブシステムのサイズ、重量、および複雑性を低減または最小限化することを必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一側面では、本開示は、一群のカプセルと、該一群に連結される活性化要素とを含む、ガス貯蔵システムを特色とする。一群のカプセルは、基板内に形成され、大気圧と比較して比較的高い圧力で貯蔵されるガスを含有する。活性化要素は、カプセルのうちの少なくとも1つに、貯蔵したガスを放出させるのに十分な量で、エネルギーを送達するように構成される。
【0005】
別の側面では、本開示は、ガスを貯蔵するシステムを構築するための方法を特色とする。方法は、アセンブリチャンバに液化ガスのある量を導入するステップを含み、圧力下でガスを含有するように容器の役割を果たす複数のマイクロカプセルと、蓋基板とを有する、デバイスが配置される。液化ガスの量は、液化ガスが気体状態に遷移した後にカプセル内で所定の圧力を提供するように選択される。方法はまた、カプセルの内側でガスを密閉するように、蓋基板をカプセルに接合するステップも含む。
【0006】
別の側面では、本開示は、流体のデジタル制御された放出のためのシステムを特色とする。システムは、基板を含む。基板は、活性化要素に連結される、複数の流体で充填されたカプセル群と、制御信号を選択された活性化要素に送達するように構成される、制御回路とを含む。制御信号は、選択された活性化要素に、対応する一群の流体で充填されたカプセルを破裂させ、対応する一群の中の流体を、流体を受容するデバイスに放出させる。
別の側面では、本開示は、電力を1つ以上の電子デバイスに送達するための燃料電池システムを特色とする。燃料電池システムは、燃料電池要素と、燃料源とを含む。燃料源は、活性化要素に連結される、複数のガスで充填されたカプセル群と、制御信号を選択された活性化要素に送達するように構成される、制御回路とを含む、基板を含む。制御信号は、選択された活性化要素に、対応する一群のガスで充填されたカプセルを破裂させ、対応する一群の中のガスを燃料電池要素に送らせる。
【0007】
別の側面では、本開示は、ガス貯蔵システムの動作を制御するためのコントローラを特色とする。コントローラは、基板上に製造される、一群のガスで充填されたカプセルを選択するための論理回路を含む。回路は、行カウントおよび列カウントを含む、該一群のアドレスを判定するための回路と、一群のガスで充填されたカプセルに対応する基板カウントを判定するための回路とを含む。
【0008】
デジタルガス貯蔵(DGS)システムは、種々の用途とともに使用するためのものであり、そのうちの1つは、燃料電池システムを含む。DGSシステムは、高圧でガスを貯蔵し、デジタル制御下でガスを放出する。DGSシステムは、独立型システムであってもよく、または、それがガスを供給する別のシステム、例えば、燃料電池と連結されてもよい。いくつかの実装では、DGSシステムは、発電システムを提供するように燃料電池と連結されてもよい。従来のエネルギー供給、例えば、バッテリと比較して、燃料電池を含む発電システムは、大抵のバッテリ化学反応よりも1桁分良好な重量あたりの電力を有することができる。DGSシステムは、マイクロスケールでシリコン基板内に構築されてもよい、ガス貯蔵構成要素を有する、1つ以上のDGS基板のアセンブリを含む。
【0009】
DGSシステムは、種々の燃料電池と組み合わせられてもよい。その実施例は、その内容がそれらの全体で参照することにより本明細書に援用される「Fuel cell and power chip technology」と題された2004年11月9日に出願の出願第10/985,736号であり、現在は米国特許7,029,779で説明されているもの等の、小型で軽量の高電力密度燃料電池を含む。
【0010】
参照特許(「PT」)で説明されているもののような燃料電池と組み合わせた時の、DGSシステムの期待エネルギー密度と、従来のリチウムイオンバッテリとの比較は、DGSシステムが、容量分析および重量測定の両方で有意な改善を提供することを示す。比較の詳細を、以下の表1に示す。DGSシステムの別の有利な特徴は、新規の電力システムおよび他のデバイスの製造を可能にする、ミリメートル未満のスケールで実装される能力である。
【0011】
【表1】
マイクロレベルで相当量の貯蔵エネルギーを提供することに加えて、DGSデバイスは、他の用途で使用することもできる。例えば、DGSデバイスは、解毒剤または流体あるいは固体を貯蔵するために使用されてもよい。DGSデバイスは、ダート等のアイテムを推進することができ、または偵察デバイスと接続して使用することができ、あるいはセンサを展開するために使用することができる。別の用途では、DGSデバイスは、異なるセクションまたはカプセルの中に水素または酸素等の異なるガスを貯蔵してもよい。DGSデバイスは、小型水中自律走行車に浮力制御を提供してもよく、代替として、真空を貯蔵してもよい。
【0012】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付図面および以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに請求項から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1Aおよび1Bは、階層的にデジタルガス貯蔵(DGS)デバイスを描写する、斜視図および断面図である。
【図2】図2は、DGSシステムの線図である。
【図3】図3A−3Bは、DGS基板の行および列アドレス指定の上面図である。
【図4】図4は、DGSシステムで使用するための熱活性化要素を示す、図3Bの一部分の拡大上面図である。
【図5】図5は、DGSシステムの中のカプセルの底部キャップ基板の斜視図である。
【図6】図6は、上向きに内側からカプセルの上部キャップ基板を示す図である。
【図7】図7A−7Bは、カプセルの円筒形内部の斜視図である。
【図8】図8は、フローチャートである。
【図9】図9は、マスター制御回路のブロック図である。
【図10】図10は、スレーブ制御回路のブロック図である。
【図11】図11は、カプセルのカスケード構成の概略断面図である。
【図12】図12A−12Bは、図11に示された構成の複数部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
DGSシステムは、高引張強度の材料の基板内に形成される、本明細書ではカプセルと呼ばれるマイクロ圧力容器の中に、非常に高い圧力でガスを貯蔵する。ガスの単位は、カウンタ、状態機械、コントローラ、またはプロセッサ等のデジタル制御を使用して、マイクロ圧力カプセルから選択的に放出される。例えば、いくつかの実装では、DGSシステムは、単結晶シリコンから形成された圧力カプセルの中に高圧水素ガスを貯蔵する。
【0015】
水素ガスは、非常に高い重量エネルギー密度を有するが、十分に圧縮しない。水素ガスは、十分な水素原子を詰め込んで、体積基準で他のエネルギー源と競合し始めるように、非常に高い圧力まで圧縮される。業務用水素は、2,200ポンド平方インチ(psi)でタンクの中に貯蔵される。標準大気圧の150倍である、この圧力でさえも、一般的なバッテリよりも少ない単位体積または重量当たりの貯蔵エネルギーを有する。表1に示されるもの等の高いエネルギー密度を達成するために、DGSシステムは、標準大気圧の約1,190倍である、約17,500psiで水素ガスを貯蔵する。水素ガスが貯蔵される材料は、構造重量および体積を最小限化し、したがって、高い体積および重量エネルギー密度を達成しながら、高い圧力を含有するように高い強度を有する。
【0016】
そのような豊富な量の圧力を保持するために、安全性を付加的に考慮して、DGSシステムは、1,000,000psiを超える理論的引張強度を有する、結晶シリコン、例えば、単結晶シリコンを有する。引張強度は、材料を破砕させるように材料に印加される臨界応力を定義する、材料特性である。いくつかの実施形態では、DGS圧力カプセルは、約17,500psiの圧力でガスを含有する。カプセルの内面に及ぼされる高い圧力は、材料の引張強度の範囲内である応力を生成し、十分な安全域を残す。安全性の理由で、DGSシステムのパラメータは、シリコン材料内の応力が所定の安全閾値を超えないように選択される。例えば、17,500psiの貯蔵圧力を提供するパラメータの選択は、約50μmの直径および約1.37μmの最小壁厚さを伴うマイクロカプセル幾何学形状を含む。他のパラメータ値が可能である。
【0017】
例えば、1気圧よりも大きい、具体的には、約2,200psiから約17,500psiの高い圧力を、マイクロ圧力容器カプセルの中で維持することができる。加えて、材料の引張強度に対する安全域が縮小される場合には、17,500psiを超える圧力を使用することもできる。
【0018】
図1Aを参照すると、DGSデバイス10は、そのそれぞれが一群のガスで充填されたマイクロカプセル14a、14b、...、14xxを含む、セクション14に機能的に分割される、少なくとも1つ以上の基板12を含む。セクション14は、グリッド形式で配設され、カプセル14a、...、14xxは、六角形に配設される。他の配設も使用することができる。各カプセル14a、...、14xxは、半球形の端部キャップを伴う円筒形である(図1B)。円筒形セクションは、基板12の表面で露出される円形断面を有する。ガス、例えば、水素ガスは、各カプセル14a、...、14xxの中に貯蔵され、ガスは、シリコン蓋基板114(図1B)を介してカプセルの中に密閉される。各セクション14(または各カプセル)は、スレーブ制御電子機器16を介して破裂および放出するように活性化される。セクション14は、他のセクション14のカプセルの中に貯蔵されたガスを放出することなく、特定の選択されたセクション14の中のカプセル14a、...、14xxの全てに貯蔵されたガスを放出するように構成される。
【0019】
示されるように、各DGS基板12は、そのセクション14のうちのどれがガス放出のためにアドレス指定されるかを選択することに関与する、スレーブ制御回路16を有する。対応する数のDGS基板12に対するスレーブ制御回路16を制御する、DGSデバイス10に対する1つのマスター制御回路20(図2)がある。マスター制御回路20は、それ自体の制御チップ基板上にあってもよい。いくつかの実施形態では、マスター制御回路20は、DGS基板12のうちの1つの上にある。他の制御構成を提供することができる。
【0020】
セクション14の中に貯蔵されたガスを放出するように、2つ以上のセクション14を同時に、または異なる時に活性化することができる。基板12、セクション14(個々のカプセルを含む)、および各セクション14の中のカプセル14a、...、14xxの寸法および構成は、所望のガス貯蔵および放出プロファイルに基づいて選択することができる。例えば、基板12は、1cm2の寸法および1mmの厚さを有する。1cm2面積は、100個の1mm2セクション14に分割される。各1mm2セクション14は、六角形に詰められ、ガスで充填された、一群の378個のマイクロカプセル14a、...、14xxを含む。
【0021】
図1Bを参照すると、1つのセクション14の中の1つのカプセル14tは、材料の1つ以上の層、例えば、3つの層50a、50b、50cの中に形成される、円筒形本体48tを有することができる。円筒形本体48tの2つの端は、材料44の1つの層の中に形成された底部キャップ42t、および材料47の別の層の中に形成された上部キャップ46tで冠着される。加えて、上部キャップ42tは、いったんカプセル14tの外部領域に曝露されると、流体連通、例えば、カプセルの外部領域と内部領域との間のガス連通を可能にする、ポート40を含む。ポートは、例えば、材料の層として形成される、蓋114によって密閉される。熱活性化要素38は、ポートより上側の蓋の上に位置する。いったん活性化されると、活性化要素38によって生成される熱が、蓋を破裂させ、カプセルの外部領域にポート40を曝露する。カプセルの構造および形成を以下でさらに説明する。
【0022】
図2を参照すると、DGSデバイス10は、制御チップ基板20(図9)と、制御チップ基板20とともに積層される1つ以上のDGS基板12(図1Aも参照)を有するDGSシステム22とを含む。マスター制御回路は、制御チップ20の上に存在する。制御チップ基板20からのマスター制御回路は、制御信号をDGSシステム22に送信して、どのDGS基板12のどのセクション(例えば、図1Aのセクション14)を活性化するかを示す。制御チップ基板20はまた、DGSシステムからの放出ガスの圧力を監視する。具体的には、制御チップ基板20は、各基板12上のスレーブ制御電子機器16に電気的に連結される。制御チップ基板20は、制御回路、例えば、電極26、28と、電気信号、例えば、データ信号を所望のスレーブ制御電子機器16に送達して、基板12のセクションを活性化するデータ制御機器30とを含むことができる。
【0023】
DGSシステム22は、種々の構成を有することができる。例えば、マスター制御チップ基板20および基板12は、図2に示されたもの以外の構成で配設されてもよい。いくつかの実施形態では、制御チップ基板20およびDGSデバイス10は、例えば、有線または無線接続を介して相互に電気的に連結される、別個のデバイスの上に存在する。いくつかの実施形態では、制御チップ基板20およびDGSデバイス10は、例えば、完全独立型デバイスとして、同じデバイスに組み込まれる。スレーブ制御電子機器16は、各基板12の上に存在することができ、または基板12に連結される別個の部材の上に存在することができる。DGSシステム22は、独自の電力供給(図示せず)を含んでもよく、または外部電力供給(図示せず)に連結されてもよい。
【0024】
図3A−3Bを参照すると、スレーブ制御電子機器16の導体は、標準的な行・列マトリクス(行導体線3および列導体線34)および活性化要素38の形態で配設される。スレーブ電子機器のこの部分は、セクション14内に位置するノード36(すなわち、対応する行導体線が交差列導体線から誘電的に隔離される、アドレス線交差部)を有する。ノード36のそれぞれから、1対の導体37a、37bは、それぞれの行32および列34導体を対応する活性化要素38に連結する。行線32、行導体37aの間を流れ、活性化要素38を通って対応する列導体37bおよび列導体線34まで流れる電流は、(以下で論議される残りのスレーブ制御電子機器とともに)電気回路を完成し、活性化要素38が発熱し、対応するセクション14の蓋基板部分を破裂させることを可能にする。
【0025】
行・列マトリクスは、基板12の上、例えば、カプセルを密閉する蓋基板の上に配置されるか、または基板12に組み込むことができる。各セクション14は、対応する活性化要素38の場所に基づいて索引付けされる(例えば、基板12内のアドレスを有する)。アドレスに基づいて、制御チップ基板20(図2)から送達される電気信号(図9)は、選択されたスレーブ制御回路16を通して所望のセクション14に印加される。各セクション14では、少なくとも1つのカプセル14tは、スレーブ制御電子機器16に接続された熱活性化要素38に連結される、蓋を有する。特定の基板上の特定のセクション14がマスター制御チップ基板20によって選択されと、特定の基板上のスレーブ制御電子機器16が、X行およびY列アドレスに基づいて、そのセクション14を活性化する。スレーブ制御電子機器16は、適切な行および列導体を介して電流を選択されたセクション14に送信し、熱活性化要素38を加熱する。熱活性化要素38は、十分高い温度に達すると、選択されたセクション14の中の1つ以上のカプセルのシリコン蓋を局所的に弱体化させて破裂させ、破裂したカプセルから密閉水素ガスを放出することによって、そのセクションの中のカプセルを活性化する。熱活性化要素38は、種々の伝導性材料、例えば、タングステン、他の金属、または金属合金から成ってもよい。活性化要素38はまた、制御電子機器16によって電気的に誘起されると、化学反応によって熱および/または圧力を放出する化学物質を含んでもよい。活性化要素38はまた、貯蔵したガスを放出するように電気機械デバイスを含んでもよい。
【0026】
図4を参照すると、熱活性化要素38の一実施形態は、カプセル14tの断面を覆い、効果的に熱を伝達するように蛇行形状を有する。蛇行形状の寸法は、セクション14およびカプセル14tの寸法に基づいて選択される。要素38の他の形状も使用することができる。
【0027】
各カプセルは、底部キャップと、上部キャップと、シリンダ本体とを有し、その実施例は、図1B、5、6、および7A−Bで描写されている。各構成要素は、単結晶シリコンウエハの中に形成されてもよい。カプセルの寸法は変化し得るが、一式のそのような可能な近似厚さ寸法を、図1B、5、6、および7A−Bに関して以下で説明する。
【0028】
図5を参照すると、底部キャップ42a、42b、42c、...、42xxのアレイが、単結晶シリコン部材44の中に形成される。シリコン部材44は、厚さ約30μmであり、各底部キャップ42a、...、42xxは、例えば、約50μmである、均一な直径を有する半球形である。シリコン部材44は、数百個から数千個のキャップを含むことができる。底部キャップのアレイは、六方充填でシリコン部材44に等方的にエッチングされる。多角形構成、円形構成、および線形構成等の他の構成が使用されてもよい。
【0029】
図6を参照すると、図5の底部キャップと同様に、上部キャップ46a、46b、...、46xxのアレイは、約30μmの厚さを有する単結晶シリコン部材47の中に形成される。加えて、上部キャップのうちの1つ46pは、カプセルの内部をカプセルの外部に接続する、ガス充填/放出ポート40を有する。ポート40は、円形であり、例えば、約20μmの直径を有する。ポート40は、他の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、セクション14(図1A)内のカプセルは、ガスがカプセルの間を流れることを可能にする、小開口経路(図示せず)によって相互接続される。選択されたカプセルのみ、例えば、1つのカプセル46pが、相互接続されたカプセルの全ての中へガスを充填し、そこから外へガスを放出するためのポート40を含む。複数の上部キャップが、ポート40のようなポートを有することができる。カプセルのセクションがカスケード構成(以下で論議される)で配設される、他の実施形態では、カプセルの各上部キャップがポート40(全てが示されているわけではない)を含む。
【0030】
ポート40は、約20μmの直径を有する単結晶シリコン部材(図1B)の中に形成される密閉蓋によって密閉される。以前に説明されたように、制御電子機器16の一部(行および列線導体)は、蓋基板の上に製造される。制御電子機器はまた、蓋基板の上に形成することもでき、蓋基板がカプセルを密閉するために使用される前に形成される。
【0031】
図7Bを参照すると、円筒形本体48a、48b、...、48xxのアレイが、約900μm(ミクロン)から約1000μの厚さ(これは例示的範囲にすぎず、他の範囲が可能である)を有する、単結晶シリコン部材50の中に形成される。具体的な厚さは940μmである。一般に、厚さは、DGS用途に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、各円筒形本体は、約50μmの直径を有し、シリコン部材50の各1mm×1mm面積は、六角形に詰められた378個の円筒形本体を含むことができる。シリコン部材50の複数の層は、細長い円筒形本体を形成するように積層される。図7Aに示された実施例では、それぞれ図7Bのシリコン部材50の特徴を有する、3つのシリコン部材50a、50b、50cは、円筒形本体48a、...、48xxが3倍の長さを有するように積層される(図1Bも参照)。任意の数のシリコン部材50を積層することができる。
【0032】
図1AのDSG基板12は、底部キャップを携持するシリコン部材44、円筒形本体を携持する少なくとも1つのシリコン部材50、上部キャップを携持するシリコン部材47、および密閉蓋を携持するシリコン部材114を積層することによって形成することができる。各セクション14(図1A)の中のカプセル14a、...、14xxは、種々の構成を有することができる。1つの構成では、カプセルはそれぞれ、他のカプセルに接続される小開口経路を有する。経路は、各カプセルの側壁上に位置することができ、かつカプセルの製造中に構築することができる。経路は、各カプセルにガス充填/放出路を提供する。各セクション14について、セクションの中の全ての相互接続されたカプセルの中でガスを放出するために、1つだけの放出ポート(図示せず)が必要とされる。
【0033】
いくつかの実施形態では、カプセル14a、...、14xxは、相互から隔離される(例えば、相互接続経路がない)。セクション内で、各カプセルの側壁は、カプセルがそれを包囲する周囲圧力とともに独立している場合に、高い圧力を含有するために必要とされる厚さよりも薄く設計されている。隔離された場合、低い周囲圧力によって包囲される単一の高圧充填カプセルが破裂する。しかしながら、一緒に詰められると、カプセルが相互の側壁に及ぼす相互力が平衡を保ち、壁の厚さを補うため、これらのカプセルは、それらの側壁を破裂させることなく、貯蔵圧力を保持することができる。
【0034】
使用中、カプセルのセクションの全体的な強度が、貯蔵圧力を保持するのに十分である一方で、個別カプセルの強度は十分ではない。セクションの特定のカプセルの密閉蓋が開かれると、特定のカプセル内の圧力がほぼ周囲圧力まで下がる。周辺カプセル(特定のカプセルに隣接する)の最小壁厚さが、カプセルが独立することを可能にするのに不十分である(内側で17,500psi、外側で周囲圧力)場合、これらの周辺カプセルと特定のカプセルとの間の壁が壊れる。周辺カプセルの中に貯蔵されたガスは、開いた蓋から放出される。この過程は、セクションの周辺カプセルに達するまで、カスケード破損として反復する。セクション14全体の中のガスは、1つの開いた蓋を通して放出される。隣接セクション14の間の壁は、1つのセクション14内のカスケード破損が他のセクションに広がらず、他のセクション14に影響を及ぼすことなく、各セクション14の中の放出を独立して制御および操作することができるように、圧力を保持するために必要とされる厚さまで構築される。
【0035】
上記で説明されるように、マイクロカプセル14a、...、14xxのセクション14からガスを放出するための機構は、少なくとも1つのカプセルの蓋を加熱している。材料の引張強度は、温度の影響を受け、すなわち、温度が上がるにつれて、より弱くなる。ある温度の範囲内でのみ、カプセルの蓋に使用される単結晶シリコンは、カプセル内の高いガス貯蔵圧力に耐えるように十分高い材料強度を有する。この範囲を上回る温度に曝露されると、シリコン蓋の引張強度は、蓋が破裂し、それらが含有するガスを放出する点まで減少する。貯蔵圧力を維持するために必要とされるレベルを下回って単結晶シリコンの引張強度を低下させる温度は、「破裂温度」と呼ばれる。破裂温度は、カプセルの上部キャップおよび密閉蓋の幾何学形状に依存する。図1Aに示された寸法を有するカプセルを含む、DGSデバイスについて、破裂温度は、約150℃であってもよい。この温度で、密閉蓋が破裂し、ガスが漏出する。
【0036】
破裂点までシリコン蓋を加熱するために熱活性化要素38(図4)によって使用されるエネルギーは、「活性化エネルギー」と呼ばれ、システムエネルギーの寄生損失である。システムエネルギーの損失は、カプセルの構成に依存し、1つのカプセルを加熱し、セクション14の中の全てのカプセルに、貯蔵したガスを放出させることによって、低減することができる。活性化エネルギーは、セクション内の全貯蔵エネルギーの割合として表されてもよい。いくつかの研究では、図1Aで描写されたDGSデバイスの活性化エネルギーは、1%未満と計算された。
【0037】
水素分子は、最小分子であり、十分な時間があれば全ての材料に浸透することが知られている。浸透の範囲は、例えば、貯蔵材料の特性、温度、および水素ガスへの圧力に基づいて、判定することができる。いくつかの実施形態では、DGSデバイス10の予測使用および貯蔵の温度よりも高い、500℃の貯蔵温度で、約73年後に、全貯蔵水素の約1%を失い得ると考える。
【0038】
単結晶シリコンは、1,000,000psiを超えるバルク特性である、その高い引張強度により、圧力カプセルおよびそれらの蓋を構築するために使用される。理論に縛られることなく、単結晶シリコンの結晶格子構造は、高い引張強度を提供する。単一の断片を「効果的に」生産するような方法で、例えば、融着を介して、シリコン材料の断片を接合することができる。単結晶シリコンのバルク特性は、カプセルの幾何学形状に加えて、カプセルが17,500psiの圧力でガスを含有することを可能にする。ダイヤモンド等の他の材料も、カプセル内に含有されるガスおよび圧力に応じて、その構成要素のうちのいずれかを含む、カプセルを構築するために使用することができる。
【0039】
カプセルの充填/放出ポートを覆う単結晶シリコン密閉蓋は、陽極接合(以下でさらに説明される)によってカプセルに接合される。この過程は、カプセルと蓋との間にナトリウムでドープした二酸化ケイ素(SiO2)の遷移層を生産する。ナトリウムでドープした二酸化ケイ素は、結晶シリコンとは異なる引張強度に関するバルク特性を有することができる。ナトリウムでドープした二酸化ケイ素は、共同材料の厚さの界面層等の、薄い、例えば、ほぼ1ミクロン未満の層である。ナトリウムでドープした二酸化ケイ素は、カプセル本体および蓋の結晶シリコンに共有結合されるとともに、表面粗度またはカプセルと蓋との間の空隙を完全に充填する。遷移層は、シリコン蓋を外向きに押す、カプセル内の圧力に耐えることができ、層の非常に大きい長さ対高さ比(50対1よりも大きい)のため、含有したガスの高い圧力によって蓋とカプセル本体との間から押し出すことができない。遷移層はまた、水素分子に対する低い浸透性も有する。
【0040】
スレーブ制御電子機器16は、蓋をカプセルに接合してガスを密閉する前に、蓋の上に適用され、半導体回路、例えば、CMOS回路および金属化を含むことができる。使用される材料は、これらの回路が、高い温度、例えば、陽極接合過程で使用される約400℃に耐えることを可能にする。
【0041】
ここで、DGS基板12を製造するための過程を詳細に説明する。外観として、DGSカプセル従属構成要素(図11)、本体50a、50b、50c、上部キャップ47、および底部キャップ44は、別個に加工される異なる単結晶シリコン基板またはウエハでできている。これらのカプセル従属構成要素は、単一の「カプセルサブアセンブリ」55を形成するように組み立てられる。いくつかの実施形態では、カプセルの本体は、例えば、融着を使用して事前に組み立てることができる、1つより多くのシリコン基板の中に形成することができる。底部キャップは、カプセルのシリンダ本体の一方の端に融着され、上部キャップは、他方の端に融着される。いくつかの実施形態では、底部および上部キャップ部品は、組立中の異なる時に、円筒形カプセル本体を含有するシリコン基板に取り付けられる。それらの従属構成要素を含む、カプセル構成要素は、他の順番で組み立てられてもよい。別々に、蓋基板114は、活性化要素38、XおよびYアドレス指定32、34、および電子スレーブ制御回路16を伴って構築される。後に、高圧アセンブリチャンバの中で、カプセルサブアセンブリ内のカプセルは、高圧ガスで充填され、蓋基板114で密閉される。
【0042】
DRIE(深度反応性イオンエッチング)は、カプセルのシリンダ本体または側壁、ならびにガス充填/放出ポート/経路を製造するために使用されてもよい、いくつかの過程のうちの1つである。DRIEは、ドライエッチング過程であり、最大約20:1のアスペクト比(例えば、DGSデバイス上のカプセルの深さおよび幅の比)を有する特徴を形成するために好適である。代替として、シリンダは、シリコン基板の電気化学エッチングを通して製造することができる。シリンダは、電気化学電池の一部として、結晶シリコン基板の円筒形領域を選択的にエッチングし、これらの円筒形領域中に多孔質シリコン領域を形成することによって製造される。多孔質シリコンが円筒形領域中に形成された後、多孔質シリコンは、高温で多孔質シリコンを酸素に曝露させることによって、二酸化ケイ素に変換されてもよく、二酸化ケイ素をフッ化水素酸(HF)浸漬で除去することができる一方で、シリコン部材の他の領域中の結晶シリコンは、実質的に損なわれないままである。
【0043】
製造過程は、形成されたカプセルの壁に表面粗度を誘発する場合があり、それは、材料の引張強度に悪影響を及ぼし得る。隣接するカプセルの間および隣接するセクション14の間の壁厚さを判定する時に、この要因を考慮に入れることが望ましい。
【0044】
代替として、シリコン材料を除去するため、およびカプセルの側壁を形成するために、レーザアブレーションを使用することができる。高エネルギーレーザパルス、例えば、フェムトレーザパルスまたはピコ秒レーザパルスが、シリコン部材の選択された場所にカプセルを形成するように、これらの場所に印加される。カプセルの寸法および形状は、アブレーションと関連付けられるパラメータ、例えば、過程のレーザエネルギーおよび持続時間を制御することによって制御される。カプセルの側壁は、残りのシリコン材料の結晶特性を実質的に変化させることなく、迅速かつ正確に形成することができる。
【0045】
カプセルの半球形の底部および上部キャップは、ウェットエッチングを使用して製造される。製造スキームは、随意で、結晶シリコン部材の選択された場所に細孔を形成することを含んでもよい。選択された場所における多孔質シリコンは、実装された場合、ガス流スロットルとしての役割を果たす。上部および底部キャップを含有するシリコン基板は、そのカプセルが空で密閉されていない、カプセルサブアセンブリ55を完全に形成するように、例えば、融着(シリコン溶接としても知られている)によって、カプセルの円筒形本体を含有するシリコン基板に取り付けることができる。概して、融着は、高温、例えば、約1,000℃のガスチャンバの中で、かつ低圧の好適なガス環境で発生する。シリコン基板の表面は、それらの間の接合の形成を促進するように、平滑で清浄となるよう処理することができる。
【0046】
ガスで充填され、密閉される、完全に形成されたカプセル(「カプセルサブアセンブリ」)を含有する融合シリコン基板は、以下で論議されるように、約17,500psiで水素ガスを含有する、高圧アセンブリチャンバの中に配置される。チャンバは、高い圧力に耐えるように設計および構築され、例えば、最大約50,000psiの圧力を保持することが可能である。チャンバは、シリコンカプセルサブアセンブリおよび別個の蓋シリコン基板を約300℃から約500℃、例えば、約400℃に加熱する。次いで、陽極接合される2つのシリコン断片は、一方の断片が他方の断片に対して約1,000ボルトの電圧を有するように配設される。高温および高電圧は、シリコン断片をともに接合して、高圧水素ガスを貯蔵する密閉カプセルを形成する。
【0047】
図8を参照すると、水素ガスが貯蔵されるカプセルは、過程60を使用して、ガスで充填され、高圧アセンブリチャンバの中に密閉される。アセンブリチャンバは、最初に、設定され、使用条件にある。いったんアセンブリチャンバが所望の圧力(例えば、17,500psi)になると、カプセルサブアセンブリ上の定位置に蓋基板を置くための機械的配設が提供される。アセンブリチャンバには、陽極接合手順中に使用される電圧を提供する電気接続、および2つのシリコン基板を加熱するためのヒータ要素が装備されている。
【0048】
設定過程62では、シリコンカプセルサブアセンブリおよび密閉蓋基板がアセンブリチャンバの中に適正に配置され、アセンブリチャンバが密閉される。窒素等の不活性ガスでアセンブリチャンバを浄化することによってアセンブリチャンバから酸素を除去する、窒素パージ(64)過程が、アセンブリチャンバ内で行われる。アセンブリチャンバの中の閉じ込められた空気は、アセンブリチャンバの中で行われる過程を実質的に妨害しない不活性ガスで変位される。いくつかの実施形態では、窒素パージ過程(64)は、軽度の真空(例えば、1ミリトール)までチャンバを送出し、純窒素で充填し直すという交互ステップを含む、ポンプ・パージ過程である。例えば、過程の安全のために、高圧陽極接合過程中に、アセンブリチャンバの中に酸素が実質的にないことが望ましい。空気を除去することはまた、水素ガスが圧力カプセルの中へ密閉されている際に、水素の潜在的汚染を最小限化することも促進できる。アセンブリチャンバが徹底的に浄化された(例えば、酸素を除去した)後、例えば、アセンブリチャンバが軽真空状態になるまで、窒素が排出される。この排出手順は、次にチャンバを充填するガスを窒素で希釈しないように行われる。それはまた、窒素がカプセルの中に閉じ込められ、圧縮されることも防止する。
【0049】
液化ガス、例えば、液相で存在するように加圧され、非常に低い温度まで冷却される、例えば、ある量の冷温濃縮水素ガスが、アセンブリチャンバに導入される(66)。液体は、暖かくなり、したがって、アセンブリチャンバを加圧するにつれて、ガスになる。チャンバに導入される液化ガスの量は、高圧アセンブリチャンバ内の最終ガス圧力が、周囲温度で、例えば、17,500psiの所定の圧力に達するように選択される。導入される必要がある液化ガスの量は、アセンブリチャンバの内部の全容積、低温液体の熱力学的状態、および平衡温度(周囲)における最終状態に基づいて計算される。最終ガス圧力は、アセンブリチャンバに導入される液化ガスの量を調整することによって、および必要であれば高圧ガスの制御された排出によって、制御される。上記で説明される方式で、所望の圧力までアセンブリチャンバをガスで充填することにより、効率的にカプセルに水素を導入する比較的単純かつ効果的な過程を提供する。他の実施形態では、圧縮機器、例えば、多段圧縮器および水撃ポンプシステムが、所望の圧力までガスを加圧することができる。
【0050】
水素ガスは、アセンブリチャンバ内の高い圧力によりカプセルに進入する。次いで、カプセルは、アセンブリチャンバ内で陽極接合過程を使用して蓋基板によって密閉される。再度、理論に縛られることなく、カプセルの蓋シリコン基板および上部キャップの中のシリコン原子と、陽極接合過程によって形成される酸化ケイ素との間で、共有結合が形成されると考えられる。
【0051】
密閉過程(68)は、整合したカプセルサブアセンブリ55(図11)および蓋基板114をともに押し付けることから始まる。両方のシリコン部材は、約400℃まで加熱される。1000V電圧が、2つのシリコン部材にわたって印加される。電圧は、2つのシリコン部材の間の接合過程を加速し、(例えば、表面粗度により)部材の表面間にあり得る空隙を充填する。強力な気密性シールを形成することができる。次いで、押込力が解放される。
【0052】
水素ガスを含有する密閉カプセルが冷却される(70)。アセンブリチャンバの中の温度は、周囲温度まで低減される。アセンブリチャンバは減圧される(72)。アセンブリチャンバの中の残留水素ガスは、低温システムの中へ再循環するか、または安全に排出することができる。
【0053】
過程60が完了した後、カプセルを携持する基板は、特定の用途の必要性にしたがって所定のサイズにさいの目に切られ、図2のDGSデバイス10に組み込まれる。使用中、図2のDGSデバイス10は、ガスチャンバとしての機能を果たすエンクロージャ11(図2)内に配置される。ガスチャンバは、DGSデバイスによって放出されるガスを収集し、また、ガスチャンバの外側のガスがDGSデバイスに進入することを防止する。DGSデバイスからガスチャンバの中へ放出されるガスは、ガスチャンバに連結されるデバイス、例えば、燃料電池に供給される。図2の制御チップ基板20は、より多くのガスを放出するように、いつDGSデバイスに命令するかを知るために、ガスチャンバの中の圧力を監視する。いくつかの実施形態では、図2の制御チップ基板20は、チャンバ11内に含むことができ、他の実施形態では、図2に示されるようにチャンバ11の外部にある。いくつかの実施形態では、セクション14が破裂させられた時にDGSデバイス10からのガス流を促進するために、基板12は、1つまたは複数の溝、例えば、(示されていない種々の構成で)基板の裏面上に製造されるV字形の溝または他の同様の種類のチャネルを有することができる。
【0054】
最初にDGSデバイス10から放出されるガスは、周囲圧力および温度を有する、ガスチャンバの容積まで膨張する。ガスチャンバの固定容積を考慮すると、後にDGSデバイス10から放出されるガスは、ガスチャンバ内の圧力を増加させることができる。いくつかの実施形態では、ガスチャンバは、圧力が所定の値(例えば、1psi)を上回って上昇することを防止するようにアキュムレータを含む。アキュムレータは、体積が小さい折り畳み状態と、増加した圧力に適応する拡張状態とを有する。使用中、アキュムレータは、最近放出されたガスの体積に適応して、ガスチャンバの圧力が有意に上昇することを防止するように拡張する。アキュムレータの体積は、DGSデバイスから放出されるガスの量の影響を受け、形状は、特定の用途に基づいて可変である。アキュムレータは、ガスチャンバに組み込まれてもよい。
【0055】
図2を再び参照すると、3線通信インターフェーススキームが、各DGS基板12、例えば、スレーブ制御電子機器16とマスター制御チップ基板20との間に構築されている。基板12、20は、直列または並列で電気的に接続されてもよい。それぞれ電力および情報に対応する、2つの種類の信号がインターフェースによって使用される。電力信号は、例えば、制御基板20上の電極または導体28から送信される、?V信号を含む。?V信号は、情報信号に対する参照信号として、また、電流源に対するシンクとしての機能を果たすことができる。電力信号はまた、図3Aの選択された熱活性化要素38へ電流を供給する電極または導体26を介する、+V信号も含む。
【0056】
図9を参照すると、制御基板20は、DGSデバイス10からのガス放出を監視および管理する回路78を含む。回路78に電力を提供し、電極または導体26、28を介して電力を送達し、DGS基板12のそれぞれの上のスレーブ回路16を制御するように、電力回路80を制御基板20の上に含むことができる。制御回路78および16に電力を供給するための他の配設が可能であり、電力回路の電圧調節を含む。回路78と、X行カウンタ84と、Y列カウンタ86と、基板カウンタ88とを含む。回路78は、特定の基板12を選択するために基板カウンタ88を使用し、特定の基板12の上の特定のセクション14を選択するためにX行およびY列カウンタ84、86を使用する。DGSデバイスの中のあらゆるセクション14は、3つのカウンタ84、86、88を使用して位置付けることができる。
【0057】
回路78はまた、クロック回路90も含む。クロック情報は、X、Yアドレス指定データおよび基板で変調され、制御電子機器16に送信される。変調されたクロックおよびデータ情報は、X行カウントおよびY列カウントならびに基板に対応する並列データおよびクロック情報が、データおよび組み込みクロック情報の直列流に変換される、並列・直列変換器回路92から伝送される。カウンタ84、86、88による選択のアドレスに基づいて、データおよびクロック情報は、データ線30(図2も参照)を通して回路92から復号回路に送達され、次いで、セクション14の中に貯蔵されたガスを放出するように、選択されたセクション14に送達される。
【0058】
制御基板20はまた、所定の圧力閾値を有し、感知した圧力が圧力閾値よりも低い時に低い圧力を示すように信号を出力する、圧力センサ回路96を含むこともできる。圧力センサ回路96は、1つ以上の特定のセクション14からのガス放出を開始し、制御チップ基板20が位置するガスチャンバの中の圧力を維持するために使用することができる。
【0059】
加えて、制御基板20は、スリープモード回路98を含む。放出されたガスの消費が減少または停止すると、スリープモード回路98は、回路78と相互作用して、DGSシステム22をスリープモード(以下で説明される)にさせる。過剰な量のガスが外部ガス消費でバイスに供給されないように、高い圧力が必要とされない時には、高いガス圧力が制御基板20に印加されるのを防止することが望ましい。例えば、水素分子は、水素ガスを消費する燃料電池で使用される膜に浸透する傾向があり、過剰な水素ガスは、浸透を加速し得る高い圧力を提供する。
【0060】
情報信号は、クロックおよびデータ情報を運ぶ。クロック情報およびデータ情報は、1本だけのワイヤが使用されるようにともに変調される(?V信号に参照される)。データ情報は、基板カウントと、X行カウントと、Y列カウントとを含み、制御チップ基板20上で記憶および管理される。各基板上のローカルカウンタを進めさせる単一パルス(クロック)の使用を可能にするために、他のスキームを使用することができる。各ローカルカウンタは、DGS基板間に連結される、搬入/搬出信号デイジーによって有効化することができる。制御チップ基板20およびDGS基板12の間の通信のための他のスキームを使用することができる。
【0061】
DGSデバイス10が配置される、ガスチャンバの中の圧力センサは、ガスチャンバのガス圧力を自動的に監視し、ガスに対する需要に関する情報を制御チップに送達する。ガスチャンバの中の圧力は、いつ次の量のガスを放出するかを判定するために使用される。ガス放出の過程は、DGSデバイス10にガスがなくなるまで、途切れなく継続することができる。いくつかの実施形態では、外部ガス消費デバイスが放出されたガスの消費を停止する、一時停止する、または実質的に減少させ、DGSシステム22がスリープモードになった場合、ガス放出を一時停止することができる。スリープモードでは、使用されているガスの量は、正常動作状態よりも大幅に少ない。スリープモードでは、ガスは、より低い圧力で放出されるため、制御チップを通した漏出が少なく、および/または、消費が少ないため、より大きい間隔で放出される。いくつかの実施形態では、基板12は、これらのスリープモードカプセルがガスを放出する時に、ガスチャンバの中で少ない圧力を産生するように、より少量のガスを貯蔵する、特殊スリープモードカプセルを含む。
【0062】
図10を参照すると、各DGS基板12(図1A)の上のDGSスレーブ制御電子機器16は、図9の制御回路78によって送信されるデータおよびクロック情報を復号する。直列データおよびクロック情報は、データを回復するように情報を復調し、直列データを並列形式に変換し直す、直列/並列変換回路100において受信される。
【0063】
選択された基板12が100(10×10)個のセクション14を含む実施例では、X行およびY列データは、それぞれX行デコーダ102およびY列デコーダ104を使用して、10本の選択線のうちの1本に復号される。それぞれ、選択された行Xnは電流源106に接続され、選択された列Ymはシンクドライバ回路108に接続される。電流源106およびシンクドライバ回路108は、各基板12上の熱活性化要素のマトリクス内に(Xn,Ym)というアドレスを有する、熱活性化要素38に電流を送達する。加えて、ローカル基板ID番号と比較される、基板12の選択に関係付けられるデータも復号される。特定のID番号を有する基板12が選択されると、基板有効化信号が電源スイッチ(図示せず)をオンにして、電流をXnに供給する。いずれの基板も選択されない時は、アドレス(Xn,Ym)における選択された熱要素を加熱するように電流が送達されない。
【0064】
図11を参照すると、DGS基板12の一部分の断面図は、カスケード構成で配設されたカプセル14a、14b、...、のセクション14を含む。各カプセル14a、14b、...、は、破裂可能な壁112によって他のカプセルから分離される。水平実線によって示されるように、DGS基板12は、相互の上に積層され、相互に接合される、複数のシリコン部材44、50a、50b、50c、47、および蓋114から形成される。カプセルのセクション14はそれぞれ、カプセルの活性化したセクション14に連鎖破裂を限定し、したがって、活性化されていない隣接セクションが破裂することを防止するように構造化される、厚い壁110によって分離される。
【0065】
ここで図12Aを参照すると、丸く囲んだ領域Aの中の図11のカプセルの上部領域が、詳細に示されている。カプセル14i、14j、14kの上部キャップ46i、46j、46kは、薄い蓋114によって覆われるガス充填ポート40を含む。熱活性化要素38は、薄い蓋114と接触しており、1つ以上のポート40の中心より上側に位置することができる。破裂可能な壁112はそれぞれ、比較的薄くなり得て、約0.8ミクロンから約1.2ミクロンの厚さを有することができる。
【0066】
図12Bを参照すると、カプセル14m、14nの底部領域は、底部キャップ42m、42nによって密閉される。異なるセクション14からカプセル14m、14nを分離する壁110は、例えば、約20から約50ミクロンの比較的大きい厚さを有することができる。
【0067】
DGSシステム22(図2)は、小さいサイズを有し、軽量である。DGSシステム22のDGSデバイス10の中に貯蔵される水素ガスは、高いエネルギー密度、例えば、高い重量エネルギー密度を有する。DGSシステム22またはDGSデバイス10は、軽量の携帯用用途、例えば、小型飛行ロボット等のマイクロ自律センサおよびロボット、ならびに携帯電話等の携帯用電子機器で使用するために好適であってもよい。
【0068】
電力を産生する制御基板20に加えて、制御基板20は、上述の用途に対する電力および電力管理と概して関連付けられる、内蔵電子機器の量を排除または低減する。制御基板20は、各基板12の上の制御電子機器16を制御するために必要とされる、回路およびソフトウェアを統合することによってこれを達成する。電力機能は、監視および制御することができるだけでなく、リアルタイム状況およびイベントに動的に適応させることもできる。
【0069】
マイクロレベルで相当量の貯蔵エネルギーを提供することに加えて、DGデバイス/システムはまた、他の機能を果たすために使用することもできる。例えば、DGSデバイス/システムは、解毒剤を貯蔵するために使用されてもよい。必要な時に、例えば、戦闘状況、テロリストの攻撃、健康危機中、または生物学的脅威が検出された時に、DGSデバイス/システムを活性化することができ、解毒剤をカプセルから放出することができる。カプセルの中の圧力は、被検体に解毒剤を直接注入するか、またはエアロゾルとして解毒剤を放出するために使用されてもよい。概して、DGSデバイス/システムは、注入またはエアロゾルとして材料の組み合わせを放出するために使用することができる。
【0070】
DGSデバイス/システムは、他の用途を有することができる。一実施例では、DGSデバイス/システムは、ダート等のアイテムを推進することができる。別の実施例では、DGSデバイス/システムは、ダート等の有向発射型デバイスを標的化し、展開するために、小型飛行ロボット等の偵察デバイスとの関連で使用されてもよい。発射体は、種々の所望の効果のために化学処理されてもよい。発射体は、センサを展開するためにDGSデバイス/システムの推進機構も使用することができるように、1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0071】
別の用途では、DGSデバイス10は、異なるセクションまたはカプセルの中に異なるガスを貯蔵してもよい。例えば、空気が全く存在しないか、または低品質の空気が存在する状況で、あるいは水中で使用するために、H2およびO2を別個のカプセルの中に貯蔵することができる。DGSデバイス/システムに連結される外部ガス消費デバイスが、その動作中に毒気または汚染空気に遭遇すると見込まれる場合、ガス消費デバイスは、反応物を携持するように構成されてもよい。DGSデバイス/システムによって提供される酸素は、地上および水中の両方で、ならびに宇宙で、ガス消費デバイスが機能することを可能にする。いくつかの用途では、DGSデバイス/システムは、小型水中自律走行車に浮力制御を提供してもよい。
【0072】
代替として、DGSデバイス10は、真空を貯蔵してもよい。この用途では、ガスはカプセルから除去され、次いで、カプセルは、真空のインスタンスを生成するように密閉される。1つのカプセルまたはカプセルのセクションが活性化されると、外部ガスまたは液体がカプセルに流入して真空を抑えることができる。セクションのアドレスに基づく真空のセクションの選択は、デジタル制御された真空と同様である。真空のどのセクションが活性化されるかという正確な制御は、DGSデバイスに接続された外部流回路を通って流れるように、ガスまたは液体を呼び出すために使用することができる。
【0073】
熱活性化要素38は、他の構成を有することができる。熱活性化要素38以外に、他の活性化要素、例えば、磁気活性化要素を、熱活性化要素38とともに、または熱活性化要素38と引き換えに使用することができる。カプセルは、異なる形状、例えば、長円形、正方形、または長方形の断面を有することができる。カプセルの1つ以上の部分は、同じシリコン部材の中に形成することができる。例えば、カプセルの底部キャップおよび本体は、同じシリコン部材の中に形成することができる。
【0074】
制御回路は、デジタル電子回路で、または、カウンタ、状態機械、特殊用途論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)あるいはASIC(特定用途向け集積回路)を含む論理回路等の、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアで、実装することができる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明してきた。それでもなお、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の修正が行われてもよいことが理解されるであろう。
【0076】
例えば、他の材料を置換することができるか、またはDGSデバイスおよびその構成要素のうちのいずれかについて説明されるものに加えて使用することができる。以前にすでに説明されたものに加えて、セクションあたりのカプセルの数、DGS基板あたりのセクションの数、セクションの配設、およびカプセルのサイズを含む、他の寸法および構成を使用することができる。DGSデバイスは、水素、酸素、および空気等のガスの混合物を含むが、それらに限定されない、任意のガスに使用されてもよい。DGSデバイスはまた、上記で説明されるように真空を貯蔵してもよい。
【0077】
上記で説明される過程の代わりに、またはそれらに加えて、他の製造過程が使用されてもよい。他の実施形態は、以下の請求項の範囲内である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板内に形成され、大気圧と比較して比較的高い圧力で貯蔵されるガスを含有する、一群のカプセルと、
前記一群に連結される活性化要素であって、前記カプセルのうちの少なくとも1つに、貯蔵したガスを放出させるのに十分な量で、エネルギーを送達するように構成される、活性化要素と
を備える、ガス貯蔵システム。
【請求項2】
前記活性化要素に連結される制御電子機器であって、電気信号を送達して前記活性化要素の動作を制御するように構成される、制御電子機器をさらに備える、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項3】
前記カプセルは、ガスが前記カプセル間を流れることを可能にするチャネルによって相互接続され、前記カプセルは、前記カプセルのうちの少なくとも1つが前記活性化要素によって活性化されると、同時に前記ガスを放出するように構成される、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項4】
前記カプセルは、相互に隣接して位置付けられる離散要素であって、前記カプセルは、前記カプセルが相互に隣接して位置付けられる時のみ、所定の貯蔵圧力を保持するのに十分となるように選択される壁厚さを有し、前記カプセルのうちの1つの破裂は、前記一群の残りのカプセルの連鎖破裂を引き起こす、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項5】
前記基板の材料は、単結晶シリコンである、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項6】
前記一群のカプセルは、六方充填で配設される、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項7】
各基板が、その中に製造される前記一群のガスで充填されたカプセルと、前記一群のカプセルに対する対応する活性化要素とを有する、複数の基板であって、前記活性化要素は、各群の中の前記カプセルのうちの少なくとも1つに、貯蔵したガスを放出させるのに十分な量で、エネルギーを送達するように構成される、基板と、
前記活性化要素に連結される、制御電子機器と
をさらに備える、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項8】
前記一群のカプセルは、前記基板内に形成される複数のカプセル群のマトリクスの一部であり、前記一群のカプセルは、活性化のためにアドレス可能である、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項9】
ガスを貯蔵するシステムを構築するための方法であって、
圧力下でガスを含有するように容器の役割を果たす複数のマイクロカプセルと、蓋基板とを有する、デバイスを、その中に配置しているアセンブリチャンバの中へ、液化ガスのある量を導入するステップであって、前記液化ガスの量は、前記液化ガスが気体状態に遷移した後に前記カプセル内で所定の圧力を提供するように選択される、ステップと、
前記カプセルの内側で前記ガスを密閉するように、前記蓋基板を前記カプセルに接合するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
不活性ガスで前記アセンブリチャンバを浄化するステップと、
前記チャンバから前記不活性ガスを排出するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記所定の圧力は、1,000から100,000psiの間である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のマイクロカプセルを有する前記デバイスへの前記蓋基板の接合は、陽極接合を含み、前記蓋基板および前記デバイスの材料は、結晶物質から成る、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
流体のデジタル制御された放出のためのシステムであって、
基板であって、
活性化要素に連結される、複数の流体で充填されたカプセル群と、
制御信号を選択された活性化要素に送達するように構成される、制御回路であって、前記制御信号は、前記選択された活性化要素に、対応する一群の流体で充填されたカプセルを破裂させ、前記対応する一群の中の流体を放出させる、制御回路と
を含む、基板を備える、システム。
【請求項14】
前記流体は、大気圧と比較して比較的高い圧力で含有されるガスである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記カプセルは、マイクロ圧力容器である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記カプセルは、マイクロ圧力容器であり、複数群で配設され、各群は、前記一群の中のカプセルの前記蓋のうちの少なくとも1つが前記活性化要素によって破裂させられる時に、その一群内の前記カプセルが同時に流体を放出するように、前記流体がその一群内の前記カプセル間を流れることを可能にするように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記カプセルは、相互に隣接して詰められた離散要素であり、前記カプセルは、前記カプセルが相互に隣接して位置付けられる時のみ、所定の貯蔵圧力を保持するのに十分となるように選択される壁厚さを有し、前記カプセルのうちの1つの破裂は、前記一群の残りのカプセルの連鎖破裂を引き起こす、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記基板の材料は、単結晶シリコンである、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記一群のカプセルは、六方充填で配設される、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
各基板が、その中に製造される前記一群のガスで充填されたカプセルと、前記一群のカプセルに対する対応する活性化要素とを有する、複数の基板であって、前記活性化要素は、前記カプセルのうちの少なくとも1つに、貯蔵したガスを放出させるのに十分な量で、エネルギーを送達するように構成される、基板と、
前記活性化要素に連結される、制御電子機器と、
をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記一群のカプセルは、前記基板内に形成される複数のカプセル群のマトリクスの一部であり、前記一群のカプセルは、活性化のためにアドレス可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
電力を1つ以上の電子デバイスに送達するための燃料電池システムであって、
燃料電池要素と、
燃料源と、
を備え、前記燃料源は、
基板であって、
活性化要素に連結される、複数のガスで充填されたカプセル群と、
制御信号を選択された活性化要素に送達するように構成される、制御回路であって、前記制御信号は、前記選択された活性化要素に、対応する一群のガスで充填されたカプセルを破裂させ、前記対応する一群の中のガスを前記燃料電池要素に送らせる、制御回路と
を含む、基板を備える、燃料電池システム。
【請求項23】
前記一群の前記カプセルは、ガスが前記カプセルの間を流れることを可能にするように構成される、チャネルによって相互接続され、前記カプセルのうちの少なくとも1つが前記活性化要素によって起動されると、同時に前記ガスを放出するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記一群の前記カプセルは、相互に隣接して位置付けられる離散要素であって、前記カプセルは、前記カプセルが相互に隣接して位置付けられる時のみ、所定の貯蔵圧力を保持するのに十分となるように選択される壁厚さを有し、前記カプセルのうちの1つの破裂は、前記一群の残りのカプセルの連鎖破裂を引き起こす、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記基板は、第1の基板であり、燃料電池システムはさらに、
第2の基板であって、
活性化要素に連結される、複数群で配設されるガスで充填されたカプセル群と、
前記第2の基板の前記複数群に対応する前記活性化要素を起動するための制御回路と
を含む、第2の基板を備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の基板に連結される論理回路であって、前記選択された活性化要素のアドレスを前記制御回路に送信するように構成される、論理回路をさらに備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
ガス貯蔵システムの動作を制御するためのコントローラであって、
基板内に製造される、一群のガスで充填されたカプセルを選択するための論理回路であって、
行カウントおよび列カウントを含む、前記一群のアドレスを判定するための回路と、
前記一群のガスで充填されたカプセルに対応する基板カウントを判定するための回路と
を備える、回路を備える、コントローラ。
【請求項28】
前記活性化要素に、前記一群のカプセルからガスを放出するのに十分な量でエネルギーを産生させるように、十分な制御信号を送達するための回路をさらに備える、請求項27に記載のコントローラ。
【請求項29】
ガス圧力を監視するように構成されるセンサをさらに備える、請求項27に記載のコントローラ。
【請求項30】
前記論理回路はさらに、前記監視に基づいて、活性化のために選択される後続群の数を調整するように構成される、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項31】
前記論理回路はさらに、前記監視に基づいて、活性化のために選択される後続群の選択の頻度を調整するように構成される、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項32】
前記蓋基板および前記デバイスの材料は、シリコン、ダイヤモンド、および前記マイクロカプセルの中のガスの圧力に耐えるように十分な引張強度を有する材料から成る群より選択される、結晶物質から成る、請求項9に記載の方法。
【請求項1】
基板内に形成され、大気圧と比較して比較的高い圧力で貯蔵されるガスを含有する、一群のカプセルと、
前記一群に連結される活性化要素であって、前記カプセルのうちの少なくとも1つに、貯蔵したガスを放出させるのに十分な量で、エネルギーを送達するように構成される、活性化要素と
を備える、ガス貯蔵システム。
【請求項2】
前記活性化要素に連結される制御電子機器であって、電気信号を送達して前記活性化要素の動作を制御するように構成される、制御電子機器をさらに備える、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項3】
前記カプセルは、ガスが前記カプセル間を流れることを可能にするチャネルによって相互接続され、前記カプセルは、前記カプセルのうちの少なくとも1つが前記活性化要素によって活性化されると、同時に前記ガスを放出するように構成される、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項4】
前記カプセルは、相互に隣接して位置付けられる離散要素であって、前記カプセルは、前記カプセルが相互に隣接して位置付けられる時のみ、所定の貯蔵圧力を保持するのに十分となるように選択される壁厚さを有し、前記カプセルのうちの1つの破裂は、前記一群の残りのカプセルの連鎖破裂を引き起こす、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項5】
前記基板の材料は、単結晶シリコンである、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項6】
前記一群のカプセルは、六方充填で配設される、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項7】
各基板が、その中に製造される前記一群のガスで充填されたカプセルと、前記一群のカプセルに対する対応する活性化要素とを有する、複数の基板であって、前記活性化要素は、各群の中の前記カプセルのうちの少なくとも1つに、貯蔵したガスを放出させるのに十分な量で、エネルギーを送達するように構成される、基板と、
前記活性化要素に連結される、制御電子機器と
をさらに備える、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項8】
前記一群のカプセルは、前記基板内に形成される複数のカプセル群のマトリクスの一部であり、前記一群のカプセルは、活性化のためにアドレス可能である、請求項1に記載のガス貯蔵システム。
【請求項9】
ガスを貯蔵するシステムを構築するための方法であって、
圧力下でガスを含有するように容器の役割を果たす複数のマイクロカプセルと、蓋基板とを有する、デバイスを、その中に配置しているアセンブリチャンバの中へ、液化ガスのある量を導入するステップであって、前記液化ガスの量は、前記液化ガスが気体状態に遷移した後に前記カプセル内で所定の圧力を提供するように選択される、ステップと、
前記カプセルの内側で前記ガスを密閉するように、前記蓋基板を前記カプセルに接合するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
不活性ガスで前記アセンブリチャンバを浄化するステップと、
前記チャンバから前記不活性ガスを排出するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記所定の圧力は、1,000から100,000psiの間である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のマイクロカプセルを有する前記デバイスへの前記蓋基板の接合は、陽極接合を含み、前記蓋基板および前記デバイスの材料は、結晶物質から成る、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
流体のデジタル制御された放出のためのシステムであって、
基板であって、
活性化要素に連結される、複数の流体で充填されたカプセル群と、
制御信号を選択された活性化要素に送達するように構成される、制御回路であって、前記制御信号は、前記選択された活性化要素に、対応する一群の流体で充填されたカプセルを破裂させ、前記対応する一群の中の流体を放出させる、制御回路と
を含む、基板を備える、システム。
【請求項14】
前記流体は、大気圧と比較して比較的高い圧力で含有されるガスである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記カプセルは、マイクロ圧力容器である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記カプセルは、マイクロ圧力容器であり、複数群で配設され、各群は、前記一群の中のカプセルの前記蓋のうちの少なくとも1つが前記活性化要素によって破裂させられる時に、その一群内の前記カプセルが同時に流体を放出するように、前記流体がその一群内の前記カプセル間を流れることを可能にするように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記カプセルは、相互に隣接して詰められた離散要素であり、前記カプセルは、前記カプセルが相互に隣接して位置付けられる時のみ、所定の貯蔵圧力を保持するのに十分となるように選択される壁厚さを有し、前記カプセルのうちの1つの破裂は、前記一群の残りのカプセルの連鎖破裂を引き起こす、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記基板の材料は、単結晶シリコンである、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記一群のカプセルは、六方充填で配設される、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
各基板が、その中に製造される前記一群のガスで充填されたカプセルと、前記一群のカプセルに対する対応する活性化要素とを有する、複数の基板であって、前記活性化要素は、前記カプセルのうちの少なくとも1つに、貯蔵したガスを放出させるのに十分な量で、エネルギーを送達するように構成される、基板と、
前記活性化要素に連結される、制御電子機器と、
をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記一群のカプセルは、前記基板内に形成される複数のカプセル群のマトリクスの一部であり、前記一群のカプセルは、活性化のためにアドレス可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
電力を1つ以上の電子デバイスに送達するための燃料電池システムであって、
燃料電池要素と、
燃料源と、
を備え、前記燃料源は、
基板であって、
活性化要素に連結される、複数のガスで充填されたカプセル群と、
制御信号を選択された活性化要素に送達するように構成される、制御回路であって、前記制御信号は、前記選択された活性化要素に、対応する一群のガスで充填されたカプセルを破裂させ、前記対応する一群の中のガスを前記燃料電池要素に送らせる、制御回路と
を含む、基板を備える、燃料電池システム。
【請求項23】
前記一群の前記カプセルは、ガスが前記カプセルの間を流れることを可能にするように構成される、チャネルによって相互接続され、前記カプセルのうちの少なくとも1つが前記活性化要素によって起動されると、同時に前記ガスを放出するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記一群の前記カプセルは、相互に隣接して位置付けられる離散要素であって、前記カプセルは、前記カプセルが相互に隣接して位置付けられる時のみ、所定の貯蔵圧力を保持するのに十分となるように選択される壁厚さを有し、前記カプセルのうちの1つの破裂は、前記一群の残りのカプセルの連鎖破裂を引き起こす、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記基板は、第1の基板であり、燃料電池システムはさらに、
第2の基板であって、
活性化要素に連結される、複数群で配設されるガスで充填されたカプセル群と、
前記第2の基板の前記複数群に対応する前記活性化要素を起動するための制御回路と
を含む、第2の基板を備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の基板に連結される論理回路であって、前記選択された活性化要素のアドレスを前記制御回路に送信するように構成される、論理回路をさらに備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
ガス貯蔵システムの動作を制御するためのコントローラであって、
基板内に製造される、一群のガスで充填されたカプセルを選択するための論理回路であって、
行カウントおよび列カウントを含む、前記一群のアドレスを判定するための回路と、
前記一群のガスで充填されたカプセルに対応する基板カウントを判定するための回路と
を備える、回路を備える、コントローラ。
【請求項28】
前記活性化要素に、前記一群のカプセルからガスを放出するのに十分な量でエネルギーを産生させるように、十分な制御信号を送達するための回路をさらに備える、請求項27に記載のコントローラ。
【請求項29】
ガス圧力を監視するように構成されるセンサをさらに備える、請求項27に記載のコントローラ。
【請求項30】
前記論理回路はさらに、前記監視に基づいて、活性化のために選択される後続群の数を調整するように構成される、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項31】
前記論理回路はさらに、前記監視に基づいて、活性化のために選択される後続群の選択の頻度を調整するように構成される、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項32】
前記蓋基板および前記デバイスの材料は、シリコン、ダイヤモンド、および前記マイクロカプセルの中のガスの圧力に耐えるように十分な引張強度を有する材料から成る群より選択される、結晶物質から成る、請求項9に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−513572(P2012−513572A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542592(P2011−542592)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/069473
【国際公開番号】WO2010/075552
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(508263958)エンサイト・エルエルシー (2)
【氏名又は名称原語表記】ENCITE LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/069473
【国際公開番号】WO2010/075552
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(508263958)エンサイト・エルエルシー (2)
【氏名又は名称原語表記】ENCITE LLC
【Fターム(参考)】
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