説明

ガラスまたはセラミック材料に印刷するための電子写真印刷装置用の現像ユニット

本発明は、 トナー供給部と、印刷基板に直接的に接続されているか、転移装置(20)を介して接続されている感光体(10)にトナーを供給するための磁気ロール(22)とを有する、ガラスまたはセラミック材料上に印刷するための電子写真装置用の現像ユニットに関する。本発明によれば、トナーを転移させる調整手段(24)が磁気ロール(22)と感光体(10)との間において機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー供給部と、印刷基板に直接的に接続されているか、転移装置を介して接続されている感光体にトナーを供給するための磁気ロールとを有する、ガラスまたはセラミック材料上に印刷するための電子写真装置用の現像ユニットに関する。
【0002】
さらに本発明は、そのような現像ユニットを有する、ガラスまたはセラミック材料上に印刷するための電子写真印刷装置に関する。
【0003】
従来技術からは、磁気ロールが現像剤「フロック」を直接的に感光体に転移する現像ユニットが公知である。しかしながら機能性、すなわち導電性のトナーが電気的な伝導性を有する場合には、現像剤フロックと感光体の直接的な接触が問題となる。
【0004】
機能性、すなわち導電性のトナーの場合には、使用される材料に依存して2つの極性または逆の極性が生じる。制御することができないそれらの電荷は、印刷されるべき基板上に不所望な背景、汚れおよび衛星を発生させる。
【0005】
トナーとキャリアを使用し、また磁気ロールと感光体とが直接的に接触している慣例の2成分系においては、領域内に所望のトナー層厚、スミアリング、エッジ効果および既知の「はけ目」が一般に生じるようにするために、磁気ロールの速度とこの磁気ロール上に形成されるトナーフロックの速度は感光体の速度の約3〜4倍である。この「ワイピング作用」により、特に非常に細い線が鮮明な縁部を有するように印刷することはできない。この場合、線において横方向に堆積し、また線の幅を広げることになるトナー成長が発生する。
【0006】
キャリアに付着するトナー部分の電荷に依存して、機能性、すなわち導電性のトナーの場合にはキャリアの出現(emergence)が生じる可能性があり、これは印刷基板全体を使用不能にする。
【0007】
したがって本発明の課題は、上述の問題を回避し、且つ良好な印刷結果をもたらす、電子写真印刷装置用の現像ユニットを提供することである。
【0008】
本発明の課題は、請求項1の特徴を有する電子写真印刷装置用の現像ユニットによって解決される。本発明による現像ユニットの有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0009】
したがって、トナーを転移させるための調整手段は磁気ロールと感光体との間において機能する。磁気ロールと感光体は機械的に接触していないので、装飾の歪みおよび線の広がりはもはや発生しない。これにより非常に高速な印刷速度を選択することができる。
【0010】
トナー供給部を、少なくともトナーとキャリアとを有する2成分現像剤を磁気ロールに供給する供給装置に接続することができる。この場合、磁気ロールと調整手段との間に電位差が作用し、この電位差はトナーフロックとしてのトナーを調整手段に転移させる。期待されるトナー層厚は少なくとも古典的な2成分系と同等と考えるべきであるが、本発明による現像ユニットにおける比較的高い電位自由度により、現像中により厚い層厚を実現することも可能である。
【0011】
本発明の基本的な着想によれば、調整手段は閉じられたトナー調整ベルトでよく、このトナー調整ベルトは磁気ロールから感光体の方向に運ばれる。この場合、トナー調整ベルトを実質的に、絶縁性材料または僅かに導電性のプラスチック材料から構成することができる。そのようなベルトは殊に処理が容易であり、また複雑な印刷装置に適している。
【0012】
非常に簡単なやり方では、トナー調整ベルトを輸送ロールを介して案内することができ、この輸送ロールはトナー調整ベルトを磁気ロールの現像ブラシに接触させ、それと同時にトナー調整ベルトを前方に運ぶ。
【0013】
トナー調整ベルトにおけるトナーの殊に簡単且つ効果的な現像を達成するために、電位を輸送ロールに印加し、輸送ロールを介して案内されているトナー調整ベルトに磁気ロールからトナーを現像することができる。
【0014】
本発明の別の基本的な着想によれば、調整手段は回転するトナー調整ロールでよく、このトナー調整ロールは殊に簡単に構成されている。この場合、トナー調整ロールは絶縁性または導電性の芯と、絶縁性または僅かに導電性の表面とを備えたプラスチックまたはゴム製のロールから構成されている。
【0015】
層厚を制御するために、トナー調整手段と磁気ロールの速度比を、適切なモータコントローラを介して約1:3〜1:4に調整することができる。層厚を制御する別のやり方として、印加する電位を変更することが考えられる。
【0016】
印刷される像内に生じる穴または「空隙」を回避するために、トナー調整手段の送り方向における磁気ロールの後方にキャリア捕捉装置を配置することができ、このキャリア捕捉装置はトナー現像中にトナー調整手段上に発生するキャリア成分を磁力によって磁気ロールから除去する。
【0017】
帯電されていないトナー部分または「逆の極性」の結果生じる汚れを発生させないために、電位が印加されているクリーニングロールをトナー調整手段の送り方向に配置することができ、これにより逆の極性を有する粒子または帯電されていない粒子が除去される。
【0018】
感光体へのトナーの転移前に表面の一様で均一な帯電を達成するために、付加的に帯電させるトナーコロナ帯電器を、トナー調整手段の送り方向においてクリーニングロールから距離を置いて、トナー調整手段の表面に配置することができる。
【0019】
トナー調整ベルトまたはトナー調整ロールの表面が感光体と接触する領域においては、高周波交流電圧が重畳された直流電圧を印加する転移コロナ帯電器を、トナー調整ベルトの裏側またはトナー調整ロールの内側に配置することができる。
【0020】
感光体とトナー調整ベルトとが接触している間に、均一に帯電されたトナー層が転移コロナ帯電器によって感光体に転移される。直流電圧は感光体の放電点へのトナーの均一で強い転移を保証し、重畳される交流電圧はキャリアからのトナーの改善された分離を保証する。
【0021】
感光体へのトナーの転移を周速度と同じ速度で、またはほぼ同じ速度で実行することができるので、歪みや線の広がりは生じない。機能的、すなわち導電性のトナーの感光体における摩耗作用は同一の周速度では生じないので、比較的高い作業効率を期待できる。
【0022】
以下では、添付の図面を参照しながら有利な実施形態を用いることにより本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】輸送ロールおよび2つの転向ロールを介して案内されているトナー調整ベルトが磁気ロールと感光体との間の連結部を形成している、ガラスまたはセラミック材料上に印刷するための電子写真印刷装置用の本発明による現像ユニットの実施形態の概略的な断面図を示す。
【図2】輸送ロールおよび転向ロールを介して案内されているトナー調整ベルトが磁気ロールと感光体との間の連結部を形成している、電子写真印刷装置用の本発明による現像ユニットの別の実施形態の概略的な断面図を示す。
【図3】トナー調整ロールが磁気ロールと光伝導体との間の連結部を形成している、電子写真印刷装置用の本発明による現像ユニットのさらに別の実施形態の概略的な断面図を示す。
【0024】
図1は、ガラスまたはセラミック材料上に印刷するための電子写真印刷装置用の本発明による現像ユニットの実施形態の概略的な断面図を示し、この現像ユニットにおいては、輸送ロール26および2つの転向ロール32aおよび32bを介して案内されているトナー調整ベルト24が磁気ロール22と感光体10との間の連結部を形成している。
【0025】
供給装置44は貯蔵容器から磁気ロール22に2成分現像剤を供給する。2成分現像剤は実質的に、機能性、すなわち導電性のトナーとキャリアから構成されている。磁気ロール22は複数の磁極を有し、またトナーの磁気引力により磁気ブラシを形成する。約−300〜−1000VDCの電位が磁気ロール22の内部の芯軸に印加されている。
【0026】
2成分現像系の磁気ロール22のこの現像ブラシと感光体10とは直接的に接触していない。その代わりに、磁気ロール22の現像ブラシはトナー調整ベルト24によって感光体10から隔てられている。トナー調整ベルト24は輸送ロール26を介して案内されており、この輸送ロール26はトナー調整ベルト24を磁気ロール22の現像ブラシに接触させ、それと同時にトナー調整ベルト24を前方に運ぶ。
【0027】
このために、輸送ロール26は電気モータ(図示せず)によって駆動される。トナー調整ベルト24は僅かに導電性の材料または絶縁性の材料から構成されている。例えばベルト材料はポリイミドでよく、これは約100Mohm/cmの電気抵抗を有するか、そうでなければ完全に絶縁性である。
【0028】
輸送ロール26は例えばEPDM、NBRまたはPUフォームから構成されており、約960mm幅、また約40mmの直径を有し、さらに約80°のショア硬さAを有する。輸送ロール26の電気抵抗は約1〜10Mohm/cmである。
【0029】
磁気ロール22からトナー調整ベルト24へのトナー現像剤の移動を、バイアス電圧として輸送ロール26に印加されている約+400〜+500VDCの電位によって達成することができる。この印加されている電位により、磁気ロール22からトナー調整ベルト24上に捕捉されるトナーの量、また供給されるトナーフロックの量を制御することができる。輸送ロール26は、磁気ロール22とは反対側の外周上に配置されている現像コロナ帯電器34によって適切に正に帯電される。必要な電位をロール芯に印加することによる、または輸送ロール26の表面に対する帯電ブラシによる別の可能性も提供される。
【0030】
トナー調整ベルト24上へのトナーの現像は2成分条件のもとで実行される。層厚を制御するために、トナー調整ベルト24と磁気ロール22の速度比は、適切なモータコントローラまたは適切な電位差を介して約1:3〜1:4に調整される。
【0031】
トナー調整ベルト24に供給されるトナーからは外部の粒子、誤って帯電された粒子、磁気ロール22から感光体10への途中に発生したキャリアが除去されている。
【0032】
トナー調整ベルト24の送り方向において磁気ロール22の後方には、適切なキャリア捕捉装置28が配置されている。キャリア捕捉装置28はトナー調整ベルト24に直接的に配置されており、また複数の極性を有している回転ロール27を有する。ロールは適切な磁場を有し、また磁気引力によって、磁気ロール22からトナー調整ベルト24へのトナー現像中に発生した可能性のあるキャリア成分を除去する。キャリア捕捉装置28の回転ロール27上に配置されている収集装置29においては、捕捉されたキャリア成分が収集され、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと運ばれる。
【0033】
回転ロールの代わりに、キャリア捕捉装置28は静的なキャリア捕捉磁石(図示せず)を有することもでき、この静的なキャリア捕捉磁石はトナー調整ベルト24におけるトナー層から意図せずに発生したキャリア成分を除去する。
【0034】
トナー調整ベルト24の送り方向においてキャリア捕捉装置28の後方には導電性のクリーニングロール30が配置されており、このクリーニングロール30はトナー調整ベルト24の周速度とは異なる速度で回転する。クリーニングロール30は例えばEPDM、NBRまたはPUフォームから構成されており、約960mm幅、また約40mmの直径を有し、さらに約80°のショア硬さAを有する。クリーニングロール30の電気抵抗は約1〜10Mohm/cmである。
【0035】
約−400〜−600VDCの電位がクリーニングロール30に印加されている。この場合、僅かに導電性のクリーニングロール30はその上に配置されているコロナ帯電器36を介して表面において適切に負に帯電されている。択一的に、適切な電位をクリーニングロール30の芯に印加することができるか、クリーニングロール30の表面への帯電ブラシを介して印加することができる。
【0036】
クリーニングロール30が負に帯電されていることにより、正の電荷を有する粒子または帯電していない粒子が捕捉される。ドクター42がクリーニングロール30の外周上に配置されている。ドクター42はトナー調整ベルト24上のトナーフロックに由来するクリーニングロール30から捕捉された粒子を除去し、それらの粒子を適切な収集装置43に供給する。捕捉された粒子は収集装置43に集められ、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと運ばれる。
【0037】
トナー調整ベルト24は送り方向において、電気的に絶縁された、または僅かに導電性の転向ロール32aによって光導電体10の方向へと転向される。転向ロール32aは例えばEPDM、NBRまたはPUフォームから構成されており、約960mm幅、また約40mmの直径を有し、さらに約80°のショア硬さAを有する。転向ロール32aの電気抵抗は約1〜10Mohm/cmである。
【0038】
クリーニングロール30の後方においてトナー調整ベルト24に付着している純粋なトナー粒子は、トナーコロナ帯電器38を介して付加的に帯電されるので、表面には均一で制御可能な電位が存在し、トナーフロックは均一に帯電され、これは感光体10への後続の転移に適合されている。トナーコロナ帯電器38はトナー調整ベルト24の送り方向において、転向ロール32aにおけるクリーニングロール30から適切な距離を置いてトナー調整ベルト24上の配置されている。
【0039】
択一的に、クリーニングロール30は既に負に帯電されているので、このクリーニングロール30自体をトナーフロックの再帯電に使用することができる。
【0040】
トナー調整ベルト24の送り方向において転向ロール32aの後方には感光体10が配置されており、この感光体10にトナー調整ベルト24上のトナーが転移される。トナーは転移コロナ帯電器40を介して転移され、この転移コロナ帯電器40は感光体10とは反対側においてトナー調整ベルト24の裏側に配置されている。転移コロナ帯電器40はトナーと同じ極性の高周波交流電圧が重畳された直流電圧として作用する。トナーは負に帯電されているので、−300〜−500VDCの電位が転移コロナ帯電器40にも印加されている。負の電位に重畳されており、約500〜2500Hzの周波数を有する交流電圧成分は、トナー粒子とトナー調整ベルト24の表面との間の付着力を弱めるために使用される。トナー調整ベルト24からのコロナ帯電器ワイヤの距離はこの場合、交流電圧が作用し、トナー調整ベルト24へのトナーの付着を無効にし、トナーを弱めるために非常に小さい。
【0041】
感光体10とトナー調整ベルト24が接触している間に、均一に帯電されたトナー層が転移コロナ帯電器40によって感光体10の放電点へと転移される。高周波交流電圧が重畳されている直流電圧は、感光体10の放電点へのトナーの均一で強い転移を保証する。
【0042】
択一的な実施形態(図示せず)によれば、転移コロナ帯電器40の代わりに、有利には106オームよりも低い抵抗を有する、適切に帯電された導電性転移ロールをトナー調整ベルト24の裏側において回転させることができる。
【0043】
トナーの転移を支援するために、トナー調整ベルト24と感光体10の速度比は、トナーの剥離の他に、付着を生じさせないために約1.0〜1.3:1に調整される。
【0044】
したがって、トナー調整ベルト24から感光体10へのトナーの転移は周速度と同じ速度で、またはほぼ同じ速度で行われるので、歪みや線の広がりは生じない。
【0045】
感光体10における機能的、すなわち導電性のトナーの摩耗作用は周速度が等しい場合には生じないので、比較的高い作業効率を期待できる。トナー調整ベルト24と感光体10が接触している領域においては、精密化(図示せず)により、トナー調整ベルト24と感光体10との間の間隙の形成または凹部の形成が可能である。
【0046】
択一的な実施形態(図示せず)によれば、1:1の速度比においてトナー調整ベルト24と感光体10との間に狭い隙間を形成することができ、これは、トナーがトナー調整ベルト24から感光体10への転移中にこの隙間を越える「トナージャンプシステム(toner jumping system)」が形成されていることを意味する。
【0047】
感光体10はロールの形態で構成されており、また接触領域46においては転移ロール20と線形に接触しているが、これは図1において部分的にしか示されていない。感光体10の上方にはLEDヘッドを有する露光装置12が設けられており、この露光装置12は感光体10の感光層を公知のやり方で露光する。このようにして、静電潜像が形成される。トナー粒子は接触領域46において転移ロール20に転移される。感光体10に依然として付着している可能性があるトナー残留物は接触領域46に続くクリーニング装置18によって除去される。感光体10の外周上にはクリーニングブレード48が配置されており、このクリーニングブレード48はトナー残留物を除去し、適切な収集装置50に供給する。
【0048】
収集装置50においては、捕捉された粒子が収集され、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと運ばれるか、トナー供給部に再び供給される。クリーニング装置18に続く除電露光装置16は感光体10の感光層を放電する。
【0049】
この感光層は除電露光装置16に続くコロナ帯電器14によって再び均一な帯電構造にされるので、後続の露光装置12によって感光体10に再び静電潜像を形成することができる。
【0050】
転移ロール20の外周上にはドクター62が配置されている。ドクター62は基板に転移されなかった残留トナーを取り除き、適切な収集装置60に供給する。収集装置60には捕捉された粒子が集められ、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと運ばれるか、トナー供給部に再び供給される。
【0051】
印刷作業中は、転移ロール20の下に配置されている印刷基板(図示せず)が輸送装置によって直線的且つ均一に移動している。処理中に、転移ロール20は印刷される基板の表面を受動的に回転するか、駆動されて回転する。転移ロール20上に存在するトナーが基板に転移される。基板には、印刷される基板の表面を帯電させる帯電手段を配属させることができる。
【0052】
送り方向におけるトナー調整ベルト24と感光体10との間のトナー転移領域の後方において、トナー調整ベルト24は、電気的に絶縁された、または僅かに導電性の転向ロール32bによって磁気ロール22の方向に転向される。転向ロール32bを転向ロール32aと同様に構成することができる。
【0053】
輸送ロール26の下方に配置されている収集装置56には、トナー調整ベルト24から感光体10に転移されなかったトナー粒子が集められ、適切なスクリューコンベヤを介してトナー供給部に再び供給される。
【0054】
転移されなかったトナーをトナー調整ベルト24上にとどめるために、トナー調整ベルト24を正に帯電させる正の電位を印加するコロナ帯電器52をトナー調整ベルト24の裏側において転向ロール32bと輸送ロール26との間に配置することができる。
【0055】
正のコロナ帯電器52の反対側のトナー調整ベルト24の表面側において、別のコロナ帯電器54がトナー調整ベルト24上に配置されている。コロナ帯電器54は負の電位を印加し、残留トナーを付加的に帯電させるので、残留トナーは正に帯電されているトナー調整ベルト24に付着する。
【0056】
図2および図3は本発明の別の実施形態を示す。以下ではこれらの実施形態を説明する。図1を用いて既に説明しており、また図2および図3の実施形態においても同一の機能を有する構成要素を同様に構成することができるので、以下ではそれらの構成要素について詳細に説明しない。殊に、対応する構成要素には同じ電位を印加することができる。
【0057】
図2は、電子写真印刷装置用の本発明による現像ユニットの別の実施形態の概略的な断面図を示し、この現像ユニットにおいては、輸送ロール126および転向ロール132を介して案内されているトナー調整ベルト124が磁気ロール122と感光体110との間の連結部を形成している。
【0058】
供給装置144はトナー供給部から磁気ロール122に2成分現像剤を供給する。磁気ロール122の現像ブラシはトナー調整ベルト124によって感光体110から隔てられている。トナー調整ベルト124は輸送ロール126を介して案内されており、この輸送ロール126はトナー調整ベルト124を磁気ロール122の現像ブラシに接触させ、それと同時にトナー調整ベルト124を前方に運ぶ。負の電位が磁気ロール122に印加されている。
【0059】
磁気ロール122からトナー調整ベルト124へのトナー現像剤の移動は輸送ロール126に印加されている正の電位によって達成される。この印加されている電位により、磁気ロール122からトナー調整ベルト124上に捕捉されるトナーの量、また供給されるトナーフロックの量を制御することができる。トナー調整ベルト124上へのトナーの現像は2成分条件のもとで実行される。
【0060】
トナー調整ベルト124の送り方向において磁気ロール122の後方には、適切なキャリア捕捉装置128が配置されている。キャリア捕捉装置128はトナー調整ベルト124に直接的に配置されており、また複数の極性を持つ回転ロール127を有する。磁気引力によって、回転ロール127は、磁気ロール122からトナー調整ベルト124へのトナー現像中に発生した可能性のあるキャリア成分を除去する。キャリア捕捉装置128の回転ロール127上に配置されている収集装置129には捕捉されたキャリア成分が集められ、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと運ばれる。回転ロールの代わりに、キャリア捕捉装置128は静的なキャリア捕捉磁石(図示せず)を有することもできる。
【0061】
トナー調整ベルト124の送り方向においてキャリア捕捉装置128の後方には導電性のクリーニングロール130が配置されており、このクリーニングロール130はトナー調整ベルト124の周速度とは異なる速度で回転する。負の電位が磁気ロール130に印加されている。
【0062】
この場合、僅かに導電性のクリーニングロール130はその上に配置されているコロナ帯電器136を介して表面において適切に負に帯電されている。択一的に、適切な電位をクリーニングロール130の芯に印加することができる。クリーニングロール130が負に帯電されていることにより、正の電荷を有する粒子または帯電していない粒子が捕捉される。ドクター142がクリーニングロール130の外周上に配置されている。ドクター142はトナー調整ベルト124上のトナーフロックに由来するクリーニングロール130から捕捉された粒子を除去し、それらの粒子を適切な収集装置143に供給する。捕捉された粒子は収集装置143に集められ、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと運ばれる。
【0063】
トナー調整ベルト124は、電気的に絶縁された、または僅かに導電性の転向ロール132によって、反対方向となる時計回りの方向に動く送り方向へと転向される。
【0064】
クリーニングロール130の後方においてトナー調整ベルト124に付着している純粋なトナー粒子は、トナーコロナ帯電器138を介して付加的に帯電されるので、表面には均一で制御可能な電位が存在し、トナーフロックは均一に帯電され、これは感光体110への後続の転移に適合されている。トナーコロナ帯電器138はトナー調整ベルト124の送り方向において、転向ロール132におけるクリーニングロール130から適切な距離を置いてトナー調整ベルト124上に配置されている。コロナ帯電器138は単に選択的な構成要素であるので、省略しても良い。
【0065】
択一的に、クリーニングロール130は既に負に帯電されているので、このクリーニングロール130自体をトナーフロックの再帯電に使用することができる。
【0066】
トナー調整ベルト124の送り方向において転向ロール132の後方には感光体110が配置されており、この感光体110にトナー調整ベルト124上のトナーが転移される。感光体110とトナー調整ベルト124とが接触している間に、均一に帯電されたトナー層が、負の電位を印加し、且つトナー調整ベルト124の裏側において回転する転向ロール132によって感光体110に転移される。転向ロール132は、有利には106オームよりも小さい抵抗を有する、負に帯電された導電性の転移ロールとして機能する。
【0067】
したがって、トナー調整ベルト124から感光体10へのトナーの転移は周速度と同じ速度で、またはほぼ同じ速度で行われる。
【0068】
感光体110はロールの形態で構成されており、また接触領域146においては転移ロール120と線形に接触しているが、これは図2において部分的にしか示されていない。感光体110の上方にはLEDヘッドを有する露光装置112が設けられており、この露光装置112は感光体110の感光層を公知のやり方で露光する。このようにして、静電潜像が形成される。トナー粒子は接触領域146において転移ロール20に転移される。感光体110に依然として付着している可能性があるトナー残留物は接触領域146に続くクリーニング装置118によって除去される。感光体110の外周上にはクリーニングブレード148が配置されており、このクリーニングブレード148はトナー残留物を除去し、適切な収集装置150に供給する。収集装置150には捕捉された粒子が集められ、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと運ばれるか、トナー供給部に再び供給される。クリーニング装置118に続く除電露光装置116は感光体110の感光層を放電する。この感光層は除電露光装置116に続くコロナ帯電器114によって再び均一な帯電構造にされるので、後続の露光装置112によって感光体110に再び静電潜像を形成することができる。
【0069】
転移ロール120の外周上にはドクター162が配置されている。ドクター162は基板に転移されなかった残留トナーを取り除き、適切な収集装置160に供給する。収集装置160には捕捉された粒子が集められ、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと輸送されるか、トナー供給部に再び供給される。
【0070】
輸送ロール126の下方に配置されている収集装置156には、トナー調整ベルト124から感光体110には転移されなかったトナー粒子が集められ、適切なスクリューコンベヤを介してトナー供給部に再び供給される。
【0071】
転移されなかったトナーをトナー調整ベルト124上にとどめるために、トナー調整ベルト124を正に帯電させる正の電位を印加するコロナ帯電器152がトナー調整ベルト124の裏側において転向ロール132と輸送ロール126との間に配置されている。
【0072】
正のコロナ帯電器152の反対側のトナー調整ベルト124の表面側において、別のコロナ帯電器154がトナー調整ベルト124上に配置されている。コロナ帯電器154は負の電位を印加し、残留トナーを付加的に帯電させるので、残留トナーは正に帯電されているトナー調整ベルト124に付着する。
【0073】
図3は、電子写真印刷装置用の本発明による現像ユニットのさらに別の実施形態の概略的な断面図を示し、この現像ユニットにおいては、トナー調整ロール224が磁気ロール222と感光体210との間の連結部を形成している。
【0074】
供給装置244はトナー供給部から磁気ロール222に2成分現像剤を供給する。磁気ロール222の現像ブラシはトナー調整ロール224によって感光体210から隔てられている。負の電位が磁気ロール222に印加されている。トナー調整ロール224は、例えば、絶縁性または導電性のコアと、絶縁性および僅かに導電性の表面とを備えたプラスチックまたはゴム製のロールを含む。磁気ロール222からトナー調整ロール224へのトナー現像剤の移動は、トナー調整ロール224に印加されており、磁気ロールに比べて低い負の電位によって達成される。この印加されている電位により、磁気ロール222からトナー調整ロール224上に捕捉されるトナーの量、また供給されるトナーフロックの量を制御することができる。トナー調整ロール224上へのトナーの現像は2成分条件のもとで実行される。電位差は、例えば、−1000/−400/−50VDCの磁気ロール/トナー調整ロール/露光される感光体の比率でよい。
【0075】
時計回りに回転するトナー調整ロール224の送り方向において、磁気ロール222の後方には適切なキャリア捕捉装置228が配置されている。キャリア捕捉装置228はトナー調整ロール224に直接的に配置されており、また複数の極性を持つ回転ロール227を有する。磁気引力によって、回転ロール227は、磁気ロール222からトナー調整ロール224へのトナー現像中に発生した可能性のあるキャリア成分を除去する。キャリア捕捉装置228の回転ロール227上に配置されている収集装置229には捕捉されたキャリア成分が集められ、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと運ばれる。回転ロールの代わりに、キャリア捕捉装置228は静的なキャリア捕捉磁石(図示せず)を有することもできる。
【0076】
トナー調整ロール224の送り方向においてキャリア捕捉装置228の後方には導電性のクリーニングロール230が配置されており、このクリーニングロール230はトナー調整ロール224の周速度とは異なる速度で回転する。
【0077】
負の電位がクリーニングロール230に印加されている。この場合、僅かに導電性のクリーニングロール230はその上に配置されているクリーニングコロナ帯電器236を介して表面において適切に負に帯電されている。択一的に、適切な電位をクリーニングロール230の芯に印加することもできる。
【0078】
クリーニングロール230が負に帯電されていることにより、正の電荷を有する粒子または帯電していない粒子が捕捉される。ドクター242がクリーニングロール230の外周上に配置されている。ドクター242はトナー調整ロール224上のトナーフロックに由来するクリーニングロール230から捕捉された粒子を除去し、それらの粒子を適切な収集装置243に供給する。捕捉された粒子収集装置243に集められ、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと運ばれる。
【0079】
クリーニングロール230の後方においてトナー調整ロール224に付着している純粋なトナー粒子は、トナーコロナ帯電器238を介して付加的に帯電されるので、表面には均一で制御可能な電位が存在し、トナーフロックは均一に帯電され、これは感光体210への後続の転移に適合されている。トナーコロナ帯電器238はトナー調整ロール224の送り方向において、クリーニングロール230から適切な距離を置いてトナー調整ロール224上に配置されている。
【0080】
択一的に、クリーニングロール230は既に負に帯電されているので、クリーニングロール230自体をトナーフロックの再帯電に使用することができる。
【0081】
トナー調整ロール224の送り方向においてトナーコロナ帯電器238の後方には感光体210が配置されており、この感光体210にはトナー調整ロール224上のトナーが転移される。感光体210とトナー調整ロール224が接触している間に、均一に帯電されたトナー層が、負の電位を有するトナー調整ロール224によって感光体210に転移される。
【0082】
転移コロナ帯電器(図示せず)を介してトナーを転移することができ、この転移コロナ帯電器は中空トナー調整ロール224の内側において感光体210とは反対側に配置されている。この場合、転移コロナ帯電器はトナーと同じ極性の高周波交流電圧が重畳された直流電圧コロナ帯電器として機能する。トナーは負に帯電されているので、転移コロナを介して−300〜−500VDCの電位を印加することができる。負の電位に重畳されており、約500Hz〜2500Hzの周波数を有する交流電圧成分は、トナー粒子とトナー調整ロール224の表面との間の付着力を弱めるために使用される。感光体210とトナー調整ロール224が接触している間に、均一に帯電されたトナー層が転移コロナ帯電器によって感光体に転写される。重畳される交流電圧は、感光体210の放電点へのトナーの均一で強い転移を保証する。
【0083】
トナー調整ロール224から感光体210へのトナーの転移は周速度と同じ速度で、またはほぼ同じ速度で行われる。
【0084】
感光体210はロールの形態で構成されており、また接触領域246においては転移ロール220と線形に接触しているが、これは図3において部分的にしか示されていない。感光体210の上方にはLEDヘッドを有する露光装置212が設けられており、この露光装置212は感光体210の感光層を公知のやり方で露光する。このようにして、静電潜像が形成される。トナー粒子は接触領域246において転移ロール220に転移される。
【0085】
感光体210に依然として付着している可能性があるトナー残留物は接触領域246に続くクリーニング装置218によって除去される。感光体210の外周上にはクリーニングブレード248が配置されており、このクリーニングブレード248はトナー残留物を除去し、適切な収集装置250に供給する。収集装置250には捕捉された粒子が集められ、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと輸送されるか、トナー供給部に再び供給される。クリーニング装置218に続く除電露光装置216は感光体210の感光層を放電する。
【0086】
この感光層は除電露光装置216に続くコロナ帯電器214によって再び均一な帯電構造にされるので、後続の露光装置212によって感光体210に再び静電潜像を形成することができる。
【0087】
転移ロール220の外周上にはドクター262が配置されている。ドクター262は基板に転写されなかった残留トナーを取り除き、適切な収集装置260に供給する。収集装置260には捕捉された粒子が集められ、適切なスクリューコンベヤを介して排気容器へと運ばれるか、トナー供給部に再び供給される。
【0088】
輸送ロール224の下方に配置されている収集装置256には、トナー調整ロール224から感光体210に転移されなかったトナー粒子が集められ、適切なスクリューコンベヤを介してトナー供給部に再び供給される。
【0089】
転移されなかったトナーをトナー調整ロール224上にとどめるために、いかなる場合においても、残留トナーを付加的に帯電させるコロナ帯電器254aおよび254bが、収集装置256の両側においてトナー調整ロール224の表面に配置されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー供給部と、印刷基板に直接的に接続されているか、転移装置(20,120,220)を介して接続されている感光体(10,110,210)にトナーを供給するための磁気ロール(22,122,222)とを有する、ガラスまたはセラミック材料上に印刷するための電子写真装置用の現像ユニットにおいて、
前記トナーを転移させる調整手段(24,124,224)が前記磁気ロール(22,122,222)と前記感光体(10,110,210)との間において機能することを特徴とする、現像ユニット。
【請求項2】
供給装置(44,144,244)が前記トナー供給部と接続されており、前記供給装置(44,144,244)は前記磁気ロール(22,122,222)に、少なくともキャリアとトナーを有する2成分現像剤を供給し、
前記磁気ロール(22,122,222)と前記調整手段(24,124,224)との間には、少なくともトナーフロックとしてのトナーを前記調整手段(24,124,224)に転移させる電位差が作用する、請求項1記載の現像ユニット。
【請求項3】
前記調整手段は、前記磁気ロール(22,122)から前記感光体(10,110)の方向に運ばれる、閉じられたトナー調整ベルト(24,124)である、請求項1または2記載の現像ユニット。
【請求項4】
前記トナー調整ベルト(24,124)は実質的に、絶縁性または僅かに導電性のプラスチック材料から構成されている、請求項3記載の現像ユニット。
【請求項5】
前記トナー調整ベルト(24,124)は輸送ロール(26,126)を介して案内されており、該輸送ロール(26,126)は前記トナー調整ベルト(24,124)を前記磁気ロール(22,122)の現像ブラシに接触させ、それと同時に前記トナー調整ベルト(24,124)を前方に運ぶ、請求項3または4記載の現像ユニット。
【請求項6】
前記磁気ロール(22,122)から、前記輸送ロール(26,126)を介して案内されている前記トナー調整ベルト(24,124)へのトナー現像のために前記輸送ロール(26,126)に電位が印加されている、請求項5記載の現像ユニット。
【請求項7】
前記調整手段は回転するトナー調整ロール(224)である、請求項1または2記載の現像ユニット。
【請求項8】
前記トナー調整ロール(224)は実質的に、絶縁性または導電性の芯と、絶縁性または僅かに導電性の表面とを備えたプラスチックまたはゴム製のロールから構成されている、請求項7記載の現像ユニット。
【請求項9】
前記調整手段(24,124,224)と前記磁気ロール(22,122,22)の速度比は約1:2〜1:5である、請求項1から8までのいずれか1項記載の現像ユニット。
【請求項10】
キャリア補足装置(28,128,228)が前記調整手段(24,124,224)の送り方向において前記磁気ロール(22,122,222)の後方に配置されており、前記キャリア補足装置(28,128,228)は磁力によって前記磁気ロール(22,122,222)から、前記トナーの現像中に前記調整手段(24,124,224)に発生したキャリア成分を除去する、請求項1から9までのいずれか1項記載の現像ユニット。
【請求項11】
電位が印加されているクリーニングロール(30,130,230)が前記調整手段(24,124,224)の送り方向に配置されており、逆の電位で帯電されている粒子または帯電されていない粒子が除去される、請求項1から10までのいずれか1項記載の現像ユニット。
【請求項12】
付加的に帯電させるトナーコロナ帯電器(38,138,238)が、前記調整手段(24,124,224)の送り方向において前記クリーニングロール(30,130,230)から距離を置いて、前記調整手段(24,124,224)の表面に配置されている、請求項11記載の現像ユニット。
【請求項13】
前記トナー調整ベルト(24,124)または前記トナー調整ロール(224)の表面が前記感光体(10,110,210)と接触する領域においては、高周波交流電圧が重畳された直流電圧を印加する転移コロナ帯電器(40,140)が、前記トナー調整ベルト(24,124)の裏側または前記トナー調整ロール(224)の内側に配置されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の現像ユニット。
【請求項14】
前記調整手段(24,124,224)の周速度は前記感光体(10,110,210)の周速度と実質的に一致する、請求項1から13までのいずれか1項記載の現像ユニット。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の現像ユニットを有する、ガラスまたはセラミック材料上に印刷するための電子写真印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−525401(P2010−525401A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504491(P2010−504491)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002810
【国際公開番号】WO2008/128648
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(509294597)
【氏名又は名称原語表記】AGC Glass EUROPE
【住所又は居所原語表記】166 Chaussee de la Hulpe,B−1170 Brussels,Belgium
【Fターム(参考)】