説明

ガラス基板の製造方法、および、ガラス基板

【課題】本発明の目的は、端面強度を向上させ、かつ、端面強度のバラツキを低減すると共に、端面におけるパーティクルの発生を効果的に抑制することができるガラス基板の製造方法およびガラス基盤を提供することである。
【解決手段】本発明に係るガラス基板の製造方法は、ガラス基板の端面を研削し、かつ、研削された端面をエッチング処理する端面処理工程を含む。端面処理工程において、エッチング処理後におけるガラス基板の端面の粗さは、Rsm値で10μm以上かつ35μm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板の製造方法、および、ガラス基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の画像表示用機器に用いられるガラス基板の製造工程では、成形されたガラス基板は、所定の大きさに切断された後、搬送時の衝撃等による欠けや割れを防ぐために切断端面が面取り加工される。面取り加工されたガラス基板の端面には、微小な凹凸が形成されており、極微小なガラス片、いわゆるガラスパーティクルや、研磨粒子等の異物が付着する。これらの異物を除去するために、特許文献1(特開2002−160147号公報)では、ガラス基板の端面を鏡面加工する処理が行われ、特許文献2(特開2007−51017号公報)では、ガラス基板の端面をエッチングして、端面の凹凸に付着した異物を除去する処理が行われている。また、特許文献3(特開2005−162519号公報)では、ガラス基板の端面を酸性溶液でエッチングする処理等によって、ガラス基板の端面に形成されている鋭角な凸部をなめらかにする処理が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ガラス基板の端面に形成された微小な凹凸を除去するために、ガラス基板の端面を完全に鏡面加工する処理は、時間やコストがかかるという問題があった。また、従来のエッチング処理方法では、エッチング処理後の端面強度が低く、また、端面強度のバラツキが大きいという問題があった。また、エッチング処理後における時間経過に伴うパーティクルの発生を十分に抑制することができない、という問題もあった。
【0004】
本発明の目的は、端面強度を向上させ、かつ、端面強度のバラツキを低減すると共に、端面におけるパーティクルの発生を効果的に抑制することができるガラス基板の製造方法およびガラス基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るガラス基板の製造方法は、ガラス基板の端面を研削し、かつ、研削された端面をエッチング処理する端面処理工程を含む。端面処理工程において、エッチング処理後におけるガラス基板の端面の粗さは、Rsm値で10μm以上かつ35μm以下である。
【0006】
本発明に係るガラス基板の製造方法は、オーバーフロー・ダウンドロー法等により製造され、かつ、所定の大きさに切断されたガラス基板の切断面である端面を処理する端面処理工程を含む。具体的には、端面にR面取り等の研磨加工を施した後、端面に対して等方性のエッチング処理を行う。エッチング処理前の端面は、種種のサイズのクラックが形成された凹凸形状を有している。一方、エッチング処理後の端面は、エッチング処理によって小さいサイズのクラックが大きいサイズのクラックに変化するので、Rsm値が比較的大きい、すなわち、周期性が増加した凹凸形状を有している。すなわち、エッチング処理後の端面では、表面に形成された凹部は広くて浅い形状を有している。これにより、小さいサイズのクラックを多数有する端面と比較して、エッチング処理後の端面におけるガラスパーティクルの発生を効果的に抑制する。また、エッチング処理後の端面にガラスパーティクル等の異物が付着した場合でも、端面を洗浄することで異物を容易に除去することができる。さらに、エッチング処理後の端面は凹凸の周期性が大きく、かつ、凹部先端の曲率半径も大きいので、ガラス基板の端面の強度が十分に確保されると共に、端面強度のバラツキが十分に低減される。
【0007】
本発明に係るガラス基板の製造方法では、端面処理工程において、端面のクラックの内部にエッチング薬液を浸透させて、端面をエッチング処理することが好ましい。本発明では、エッチング処理によって端面に形成されたクラックを大きくして、その結果として広くて浅い凹部が端面に形成されるように、端面の小さいクラックの奥深くまで浸透させることができるエッチング薬液を用いることが好ましい。
【0008】
本発明に係るガラス基板の製造方法では、端面処理工程において、端面の凹状のクラックの先端の曲率半径を大きくするように、端面をエッチング処理することが好ましい。
【0009】
本発明に係るガラス基板の製造方法では、端面処理工程において、エッチング薬液の粘度は、4×10-1Pa・s以下であることが好ましい。本発明では、ガラス基板の端面のクラックの奥深くまでエッチング薬液を浸透させるために、エッチング薬液の粘度が増粘剤等によって適切に調整されている。
【0010】
本発明に係るガラス基板は、研削加工後にエッチング処理された端面を備える。ガラス基板の端面の粗さは、Rsm値で10μm以上かつ35μm以下である。
【0011】
本発明に係るガラス基板は、各辺1000mm以上の長さを有し、かつ、厚みが1.5mm未満である表示装置用ガラス基板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るガラス基板の製造方法およびガラス基板は、端面強度を向上させ、かつ、端面強度のバラツキを低減すると共に、端面におけるパーティクルの発生を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るガラス板製造装置の全体構成図である。
【図2】本実施例に係るガラス基板の端面粗さと強度との関係を表すグラフである。
【図3】本実施例に係るガラス基板の端面粗さと端面に付着したパーティクル数との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
(1)ガラス板製造装置の全体構成
最初に、本発明に係るガラス基板の製造方法が行われるガラス板製造装置100の全体構成について、図1を参照しながら説明する。ガラス板製造装置100は、主として、溶解槽200と、清澄槽300と、成形装置400と、洗浄槽500とから構成される。溶解槽200では、ガラスの原料が溶解されて、溶融ガラスが生成される。溶解槽200で生成された溶融ガラスは、清澄槽300へ送られる。清澄槽300では、溶融ガラスに含まれる気泡の除去が行われる。清澄槽300で気泡が除去された溶融ガラスは、成形装置400へ送られる。成形装置400では、オーバーフロー・ダウンドロー法によって、溶融ガラスからガラス板が連続的に成形されて、所定の大きさに切断される。成形装置400で成形および切断されたガラス板は、切断・加工装置450に送られる。切断・加工装置450では、ガラス板は所定の大きさのガラス基板に切断され、後述するようにガラス基板の端面処理が行われた後、洗浄槽500へ送られる。洗浄槽500では、ガラス基板の表面の洗浄処理が行われる。洗浄槽500で洗浄されたガラス基板は、製品として出荷される。ガラス基板は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用のガラス基板として用いられる。
【0015】
本実施形態では、成形装置400で成形され所定の大きさに切断されたガラス基板は、洗浄槽500に送られる前に、切断・加工装置450において、その切断端面が処理される。次に、本発明に係るガラス基板の製造方法に特徴的な処理である、ガラス基板の端面処理について詳細に説明する。
【0016】
(2)ガラス基板の端面処理
成形装置400で成形および切断されたガラス板は、切断・加工装置450に送られ、ガラス板の四辺が切断されて、所定の大きさのガラス基板に加工される。すなわち、ガラス基板は、ガラス板の切断により形成された4つの端面を有する。ガラス基板の厚みは1.5mm未満である。
【0017】
従来から、ガラス基板の搬送時の衝撃等による欠けや割れを防ぐために、ガラス基板の端面をR面やC面に研削加工する面取りが行われている。この面取り加工によって、ガラスパーティクルや研磨粒子等の異物が端面から発生する。具体的には、ガラス基板の端面には、ガラス基板の研削加工に由来する微小な凹凸が形成されているので、端面に対して振動等が加わることで、その微小な凹凸に応力がかかり、ガラスパーティクルとして端面から脱落し、パーティクル発塵となる。このように、ガラス基板の研削・研磨加工面である端面から経時的なガラスパーティクルの発塵があると、その後において、ガラスパーティクルがガラス基板の表面等に付着する。その結果、後工程におけるガラス基板の洗浄の簡素化を妨げたり、ガラス基板へのキズ形成の原因となったりしている。
【0018】
本発明者によって、上記面取り工程の後に実施するガラス基板の端面エッチングについて検討が行われ、後述する方法でエッチングを行うことで、経時的なガラスパーティクルの発塵を抑えると共に、大型のガラス基板の辺方向において、ムラなく発塵の発生を低下させることができることがわかった。
【0019】
具体的には、本発明のガラス基板の端面処理工程において、ガラス基板を面取り加工した後に、ガラス基板の4辺に形成された端面をエッチング薬液でエッチング処理して、端面の粗さをRsm値で10μm以上かつ35μm以下にする。
【0020】
本実施形態において、ガラス基板の端面をエッチング処理するために用いられるエッチング薬液は、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸からなる群から選択される1種または2種以上の物質を含む水溶液が用いられる。エッチング薬液は、特に、フッ酸を主成分として含むことが好ましい。また、本実施形態において、エッチング薬液は、エッチング処理が行われる温度において、粘度が4×10-1Pa・s以下である。この粘度範囲を達成するために、エッチング薬液は、増粘剤が添加されて粘度が調整されている。増粘剤としては、マグネシウム化合物、界面活性剤、凝集剤、吸水ポリマー、消泡剤、尿素、天然の糖類および接着剤等からなる群から選択される1種または2種以上の物質が用いられる。なお、増粘剤の水に対する溶解度が低い場合には、エタノール等の有機溶媒をさらに添加して、エッチング薬液が調整されてもよい。
【0021】
本実施形態において、端面のR面取り加工およびエッチング処理が行われたガラス基板は、その後、洗浄槽500において端面および表面が洗浄されて、最終的に製品として出荷される。
【0022】
(3)特徴
本実施形態では、ガラス基板の端面をエッチング処理して、端面の粗さをRsm値で10μm以上かつ35μm以下にすることで、ガラス基板の端面に形成されたクラックのサイズを均一にする等方性エッチングが行われる。通常、エッチング処理前のガラス基板の端面は、種種のサイズのクラックを有する。本実施形態では、ガラス基板の端面に等方性エッチングを施すことで、クラックサイズの大小に関係なく、端面のクラックのサイズが大きくなる。これにより、エッチング処理の進行に伴って、隣り合うクラック同士が一体化する等して、ガラス基板の端面の凹凸の周期性が大きくなり、端面の凹部は広くて浅い形状になる。これにより、エッチング処理されたガラス基板の端面にガラスパーティクル等の異物が付着した場合でも、端面のクラックのサイズが比較的大きいので、端面を洗浄することで異物を容易に除去することができる。
【0023】
また、本実施形態では、小さいサイズのクラックを多数有するエッチング処理前の端面と比較して、エッチング処理後の端面は、小さいサイズのクラックの欠けや割れに起因するガラスパーティクルの発生が効果的に抑制される。すなわち、エッチング処理によって、時間経過に伴ってガラス基板の端面から発生する異物の量を抑えることができる。これにより、ガラス基板の端面より発塵し、ガラス基板の表面に付着するパーティクルの発生を抑制することができる。つまり、ガラス基板の表面の清浄度が向上するので、パネルメーカーやデバイスメーカーでの受け入れ工程などの、後工程で必要な洗浄工程を簡略化することができる。
【0024】
また、本実施形態では、ガラス基板の端面をエッチング処理して、クラックにエッチング薬液を浸透させることで、クラックのサイズを大きくし、かつ、ガラス基板の端面の凹部を広くて浅い形状にしている。具体的には、ガラス基板の端面の粗さをRsm値で10μm以上かつ35μm以下の範囲内に調整することで、端面の凹凸の周期性を増加させている。これにより、ガラス基板の端面の強度を十分に確保することができると共に、端面強度のバラツキを十分に低減することができる。
【0025】
また、本実施形態では、ガラス基板の端面をエッチング処理するために、粘度が4×10-1Pa・s以下のエッチング薬液が用いられる。エッチング薬液の粘度が低いほど、ガラス基板の端面のクラックの奥深くまでエッチング薬液が浸透しやすいので、小さいサイズのクラックであっても、等方性エッチングを効率的に行うことができる。その結果、ガラス基板の端面を所望の形状にすることができる。
【0026】
<実施例>
以下、本実施形態に基づいて、ガラス基板の端面の粗さを表すRsm値と、ガラス基板の強度、および、時間の経過に伴いガラス基板の端面に付着したパーティクルの数との関係について測定した実施例について、次の表1を参照しながら説明する。
【0027】
【表1】


本実施例では、ガラス基板の端面をR面取り加工した後に、エッチング薬液を染み込ませたロールをガラス基板の端面に押し当てて端面にエッチング処理を施したガラス基板を9枚作成した。なお、エッチング処理に用いたエッチング薬液はフッ酸系の薬液であり、その使用温度範囲は45℃〜55℃であった。また、エッチング薬液は、その使用温度範囲における粘度が1×10-2Pa・s〜1×10-1Pa・sとなるように、増粘剤で粘度があらかじめ調整された。以下、これらの9枚のガラス基板を、試料1〜9という。試料1〜9は、表1に示されるように、互いに異なる端面粗さ(Rsm値)を有するように、端面のエッチング処理が行われた。図2は、試料1〜9の「端面のRsm値(μm)」を横軸に採り、試料1〜9の端面の「平均強度(N/mm2)」および「0.01%強度(N/mm2)」を縦軸に採ったグラフである。「平均強度」は、ガラス基板の端面に荷重を負荷して破損した時点における荷重(破壊応力)についての複数回の測定結果の平均値である。「0.01%強度」は、測定対象であるガラス基板の0.01%が破損する破壊応力である。一般的に、「0.01%強度」が「平均強度」に比べて小さいほど、ガラス基板の端面強度のバラツキが大きい。図3は、試料1〜9の「端面のRsm値(μm)」を横軸に採り、試料1〜9の「端面のパーティクル数」を縦軸に採ったグラフである。「端面のパーティクル数」は、エッチング処理後に、それぞれ2日、1週間または1ヶ月保管した時点における試料1〜9の端面に付着していたパーティクル(微粒子状の異物)の数である。なお、端面粗さの測定には、凹凸の詳細な形状を測定するために、レーザ顕微鏡(オリンパス製OLS3100)を使用した。
【0028】
なお、表1には、比較例1および比較例2に関する測定データも含まれる。比較例1は、端面をR面取り加工して、その後はエッチング処理を施していないガラス基板に関する。比較例2は、端面をR面取り加工した後に、研磨ホイールを用いた研磨加工を行い、その後はエッチング処理を施していないガラス基板に関する。
【0029】
表1、図2および図3から、以下のことが分かる。図2は、ガラス基板の端面のRsm値が大きいほど、ガラス基板の端面強度が高い傾向を示している。すなわち、ガラス基板の端面のRsm値は、強度の観点からは、高いほど好ましい。一方、図3は、ガラス基板の端面のRsm値が大きいほど、時間の経過に伴ってガラス基板の端面からガラスパーティクルが発塵してしまうことを抑制する結果を示している。
【0030】
本実施例では、ガラス基板の端面のRsm値を10μm以上にすることで、比較例1および比較例2と比較して、端面強度のバラツキを軽減する効果が確認できた。表1の試料1〜9では、エッチング処理後2日が経過した時点では、ガラス基板の端面のRsm値に関わらず、ガラス基板の端面において検出されるガラスパーティクルの数は低く抑えられた。エッチング処理後の時間経過に伴って、ガラス基板の端面において検出されたガラスパーティクルの数が次第に増加する傾向を示した。しかし、検出された値は、いずれも許容の範囲内であり、後工程の洗浄で十分除去可能なレベルであった。
【0031】
また、ガラス基板の端面のRsm値が15μm以上となるようエッチングを行った試料5〜9では、エッチング処理後1ヶ月を経過した時点においても、ガラス基板の端面において検出されたガラスパーティクルの数は10未満に抑えられると共に、端面強度の向上、および、端面強度のバラツキの低減といった、極めて良好な結果が得られた。
【0032】
なお、比較例1の測定データと比べると、ガラス基板の端面のRsm値は11μm以上であることが好ましく、比較例2の測定データと比べると、ガラス基板の端面のRsm値は12μm以上であることがより好ましいことが分かった。
【0033】
<変形例>
(1)変形例A
本実施形態では、ガラス基板の端面をエッチング処理するために酸性のエッチング薬液が用いられるが、アルカリ性のエッチング薬液が用いられてもよい。
【0034】
(2)変形例B
本実施形態では、ガラス基板の端面をエッチング処理するために、粘度が4×10-1Pa・s以下のエッチング薬液が用いられるが、粘度が異なる複数種類のエッチング薬液が用いられてもよい。この場合、粘度が低いエッチング薬液を用いて端面をエッチング処理した後、粘度が高いエッチング薬液を用いて端面をエッチング処理してもよい。最初に、粘度が低いエッチング薬液を用いることで、主として、端面に形成される小さいサイズのクラックを大きくするエッチング処理を行う。次に、粘度が高いエッチング薬液を用いることで、端面のクラックのサイズを均一にするエッチング処理を行う。
【0035】
(3)変形例C
本実施形態では、ガラス基板の端面のエッチング処理前に、ガラス基板の端面をR面取りする研削加工が行われるが、エッチング処理前に、R面取り加工し、その後、研磨ホイールを用いて研磨加工を行ってもよい。研磨ホイールによる研磨加工によって、端面のクラックの深さを所定値以内に抑えることができるので、その後の工程において、端面のエッチング処理をより効果的に行うことができ、端面強度の向上を図ることができる。
【0036】
(4)変形例D
本実施形態では、ガラス基板の端面の研削加工によって端面にR面取り形状を形成したが、研削加工によってC面取り形状を形成し、同様のエッチング処理を行っても良い。
【0037】
(5)変形例E
本実施形態では、G5.5サイズ(1300mm×1500mm)のガラス基板を用いて端面処理を行った。薬液を用いての端面のエッチング処理工程では、辺方向の処理バラツキが問題となるが、パラメータとしてRsm値を用いることで、端面の粗さを測定するだけで、ガラス基板の辺方向でエッチングムラが生じているかを把握することができる。従って、本実施形態によれば、G5サイズ(1100mm×1300mm)以上のガラス基板であっても、破壊検査を行うことなく、エッチング処理のフィードバックが可能になる。
【0038】
(6)変形例F
本実施形態では、0.5mm厚さのガラス基板を用いてエッチング処理を行ったが、端面の厚さは、0.3mm〜0.4mm厚さの薄型基板であっても、同様の効果を奏する。特に、薄型基板に対して本発明を適用することで、端面強度のバラツキの軽減、および、端面強度の向上を図り、端面のクラックに起因する割れを効果的に減少させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係るガラス基板の製造方法およびガラス基板は、端面強度を向上させ、かつ、端面強度のバラツキを低減すると共に、端面におけるパーティクルの発生を効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0040】
100 ガラス板製造装置
200 溶解槽
300 清澄槽
400 成形装置
450 切断・加工装置
500 洗浄槽
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2002−160147号公報
【特許文献2】特開2007−51017号公報
【特許文献3】特開2005−162519号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の端面を研削し、かつ、研削された端面をエッチング処理する端面処理工程を含むガラス基板の製造方法において、
前記端面処理工程において、エッチング処理後における前記端面の粗さは、Rsm値で10μm以上かつ35μm以下である、
ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
前記端面処理工程において、前記端面のクラックの内部にエッチング薬液を浸透させて、前記端面をエッチング処理する、
請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記端面処理工程において、前記端面の凹状のクラックの先端の曲率半径を大きくするように、前記端面をエッチング処理する、
請求項2に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記端面処理工程において、前記エッチング薬液の粘度は、4×10-1Pa・s以下である、
請求項2または3に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項5】
研削加工後にエッチング処理された端面を備え、
前記端面の粗さが、Rsm値で10μm以上かつ35μm以下である、
ガラス基板。
【請求項6】
各辺1000mm以上の長さを有し、かつ、厚みが1.5mm未満である表示装置用ガラス基板である、
請求項5に記載のガラス基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−75808(P2013−75808A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217953(P2011−217953)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(598055910)AvanStrate株式会社 (81)
【Fターム(参考)】