説明

ガラス基板洗浄装置及びガラス基板洗浄方法

【課題】 ガラス基板の研磨された端面を迅速且つ適正に洗浄して、ガラス基板の特に表面におけるパーティクル付着の問題に的確に対処する。
【解決手段】 ガラス基板製造工程で、一枚のみのガラス基板3の研磨された端面を洗浄用液体により洗浄するガラス基板洗浄装置であって、洗浄用液体7をガラス基板3の研磨された端面3aの微小凹部内に存する異物を掻き出すために必要な噴射圧力であって且つガラス基板3を損傷させない噴射圧力で該端面3aに対して噴射する液体噴射手段5が、ガラス基板3の端面3aの外方側から、該端面3aが存する辺の長手方向と直交する面内に存し且つ該ガラス基板3の表裏面と平行であって該ガラス基板3の表裏方向の中心を通る直線L、を基準として、その表側と裏側とにおけるそれぞれの角度が20〜70°の範囲で当該端面3aに対して洗浄用液体7を噴射するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板洗浄装置及びガラス基板洗浄方法に係り、詳しくは、ガラス基板の研磨された端面を適正に洗浄するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイなどの各種画像表示機器用のガラスパネルの製作に際しては、複数枚のガラスパネルが一枚の素板ガラスから作り出される手法が採用されるに至っている。そして、これに伴ってガラスメーカー等で製造される素板ガラスは、大板化が推進されているのが現状である。
【0003】
これらの素板ガラスは、製造工程の終盤において、矩形状で且つ所定の大きさに切断されたガラス基板の端面に対して研磨加工を施した後、そのガラス基板の表裏面を清浄な面にするための洗浄処理及び乾燥処理を行なうことにより最終製品として得られるのが通例である。すなわち、ガラス基板の切断部分は鋭利であることから、そのままでは、僅かな衝撃を受けた場合であっても欠けが生じ、或いは搬送時に隣接する他のガラス基板に傷を付ける等の不具合を招く。これを回避するため、ガラス基板の切断端面に対しては、上述の研磨加工(面取り加工を兼ねる場合が多い)が施される。また、各種画像表示機器用の素板ガラスは、特に表面に電子機能素子等が形成されることから、高い清浄度を維持することが要求される。このような要請に応じるため、ガラス基板に対しては、上述の洗浄処理及び乾燥処理が行なわれる。
【0004】
そして、上記のガラス基板の洗浄処理及び乾燥処理の具体的一例について説明すると、図6に示すように、先ず、内外間で洗浄用液体(通例は水が使用される)の流通が可能なバスケットAの内部に、複数枚のガラス基板Gを垂直姿勢で並列に収納する。そして、このバスケットAを洗浄槽Bに貯留された80℃程度の温水に浸漬させ、上下方向等に振動させるなどしてガラス基板Gから汚れや洗剤等を除去する。その後、このバスケットAを洗浄槽Bから取り出して乾燥処理位置Cに移載し、ガラス基板Gに温風を吹き付けて乾燥させる。
【0005】
以上の処理を終えたガラス基板Gには、図7に示すように、多数の異物(パーティクル)Pが付着して容易に除去できない状態となっており、特にガラス基板Gの表裏面における一辺の周辺部Hで異物の付着密度が高い状態となっている。このような現象は、ガラス基板Gの四辺における切断端面に研磨加工が施された際には、その端面が鏡面にはならず必然的に微小凹凸を有する面となることから、その端面の微小凹部内にガラス粉や研磨粉が詰まり、洗浄処理時にそれらが滲み出て、乾燥処理時にガラス基板Gの表裏面にパーティクルPとして析出することに由来して生じる。そして、洗浄処理時及び乾燥処理時には、ガラス基板Gが垂直姿勢で保持されることから、その時にガラス基板Gの上端に存する一辺の周辺部Hに集中してパーティクルPが付着することになる。
【0006】
このような結論は、本発明者等が従来において創意工夫した上述の洗浄処理及び乾燥処理を行なうことによって得られたものである。また、本発明者等は、上記の洗浄処理として、超音波洗浄を行なうことを試みたが、これによるにしても、ガラス基板へのパーティクルの付着を十分に排除できないばかりでなく、ガラス基板の端面から一定量のガラス粉や研磨粉を除去するには、不当に長い時間を要し、生産性が極めて悪化するという根本的な問題が生じる。
【0007】
尚、上記の洗浄処理に関する技術ではないが、下記の特許文献1(図3参照)によれば、ガラス基板の端面を面取研石により研磨する工程で、高圧スプレーノズルから高圧水を吹き付ける技術、並びに、同じくその研磨工程で、散水手段の散水口からガラス基板の周縁に切削水を供給する技術が開示されている。また、下記の特許文献2によれば、マザー基板(素板ガラス)もしくはスティック基板から切り出された液晶パネルの角部を、ウォータージェットノズルから噴射される超高圧水により面取りする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−12361号公報
【特許文献2】特開2002−292569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年においては、液晶ディスプレイに代表される表示機器の高精細化が進み、これに伴ってガラス基板(素板ガラス)への清浄度がより厳しく要求されるに至っている。それにも拘らず、既述のように、ガラス基板Gの一辺の周辺部Hに集中してパーティクルPが付着していたのでは、清浄度の厳しい要求に応じることができず、製品価値が低下するのみならず、使用に耐え得なくなり、不良品として扱われるという不具合をも招く。
【0010】
しかも、上記のガラス基板は、その製造メーカーから他のディスプレイ製造メーカー等に提供された後、再び当該他のメーカーで洗浄処理及び乾燥処理が行なわれるため、ガラス基板の研磨された端面の微小凹部内に異物が依然として詰まっていると、上記例示したガラス基板Gの一辺の周辺部Hに限らず、他の辺の周辺部にも集中してパーティクルが付着し、同様の不具合を招く。
【0011】
尚、上記の特許文献1に開示された技術によれば、高圧スプレーノズルからの高圧水が、ガラス基板の研磨中の端面に供給されることが予測され得るものの、この高圧水は、同文献の段落[0019]に記載されているように、面取砥石の研削部に吹き付けられるものであって、その研削部の目詰まり防止のために用いられるものである。従って、この高圧水が、仮に、面取砥石の研削部に一旦当たった後に、ガラス基板の端面に達したとしても、その端面に対する水の供給圧力は極めて小さなものとなる。このため、当該端面の微小凹部内にガラス粉や研磨粉等の異物が詰まっていても、上記の水の勢いでは、この異物を掻き出すことは到底不可能な事であり、上記のパーティクル付着の問題解決にはつながらない。
【0012】
また、上記の特許文献2に開示された技術は、超高圧水が、液晶パネルの表面側から外方に向かってその角部に噴射されることから、超高圧水の噴射部位は、実質的には、ガラス基板の角部における表面であって、端面ではないことになる。しかも、この技術は、ガラス基板ではなく液晶パネルを対象とするものであり、且つ液晶パネルの角部を切除するものであることを勘案すれば、これによっても上記のパーティクル付着の問題解決には到底つながらない。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ガラス基板の研磨された端面を迅速且つ適正に洗浄して、ガラス基板の特に表面におけるパーティクル付着の問題に的確に対処することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記技術的課題を解決するために創案された本発明は、ガラス基板製造工程で、一枚のみのガラス基板の研磨された端面を洗浄用液体により洗浄するガラス基板洗浄装置であって、洗浄用液体を前記ガラス基板の研磨された端面の微小凹部内に存する異物を掻き出すために必要な噴射圧力であって且つガラス基板を損傷させない噴射圧力で該端面に対して噴射する液体噴射手段を備え、前記液体噴射手段は、前記ガラス基板の研磨された端面及び該端面に連なる表裏面の縁部が露出した状態で、該端面を指向して該端面に洗浄用液体を噴射するように構成されると共に、ガラス基板の研磨された端面の外方側から、該端面が存する辺の長手方向と直交する面内に存し且つ該ガラス基板の表裏面と平行であって該ガラス基板の表裏方向の中心を通る直線L、を基準として、その表側と裏側とにおけるそれぞれの角度が20〜70°の範囲で前記端面に対して洗浄用液体を噴射するように構成されていることに特徴づけられる。
【0015】
ここで、上記の「端面の微小凹部内に存する異物を掻き出すために必要な噴射圧力」とは、当該端面の全ての微小凹部内に存する全ての異物を掻き出すために必要な噴射圧力を必ずしも意味するものではなく、当該端面の相当数の微小凹部内に存する相当量の異物を掻き出すために必要な噴射圧力であればよいことを意味する。また、上記の「ガラス基板を損傷させない噴射圧力」とは、ガラス基板の当該端面周辺を切除したり或いはガラス基板に不当な変形を生じさせて割れや欠けを発生させたり等の損傷を与えない噴射圧力を意味する。尚、上記の「洗浄用液体」としては、水が使用されることが多い。
【0016】
このような構成によれば、液体噴射手段から噴射された洗浄用液体は、一枚のガラス基板の研磨された端面に対して適切な噴射圧力で供給されることにより、当該端面の微小凹部内に詰まっているガラス粉や研磨粉等の異物が洗浄用液体によって掻き出されて洗い落とされることになる。このような洗い落としは、ガラス基板製造工程において、ガラス基板の研磨された端面及びその端面に連なる両縁部(表裏面のそれぞれの縁部)が露出した状態で行われる。従って、この後に例えばガラス基板の表裏面を洗浄する目的で洗浄処理や乾燥処理を行なっても、ガラス基板の当該端面から異物が滲み出て、その表裏面(特に表面)に析出し、パーティクルとして除去困難な状態で付着することが抑制される。しかも、液体噴射手段から噴射された洗浄用液体は、ガラス基板を損傷させるような不当に高い圧力で当該端面に噴射供給されることが阻止されるので、例えば0.5〜0.7mm程度と極めて薄肉の液晶ディスプレイ用のガラス基板に対しても、割れや欠けにつながるような不当な変形を生じさせることはなく、また洗浄用液体の噴射の勢いで例えば当該端面の角部が切除されてしまう等の不具合が生じることもない。この結果、液晶ディスプレイに代表される表示機器の高精細化が進んだ現況においても、ガラス基板(素板ガラス)に対する清浄度の厳しい要求に応じることができ、製品価値が高められるばかりでなく、不良品の発生確率が激減して、生産性の大幅な向上が図られる。更に、ガラス基板の当該端面に対する洗浄用液体の噴射方向は、該端面の外方側からであるのみならず、該端面が存する辺の長手方向と直交する面内に存在する直線であって且つ該ガラス基板の表裏面と平行な直線であり更には該ガラス基板の表裏方向の中心を通る直線Lに対して、その表裏方向にそれぞれ20〜70°の角度をもつことになる。そして、この角度が70°を超えると、洗浄用液体がガラス基板の端面に当たる際の衝撃力(衝突時の圧力)が小さくなり、異物の掻き出し作用を行なうことが困難になるおそれがある。従って、この角度は、70°以下とすることが好都合である。また、この角度が0〜20°であると、洗浄用液体の衝撃力が大きくなり、異物の掻き出し作用は充分となる。しかし、このような角度範囲であれば、例えばガラス基板の端面の近傍を挟持固定するゴムベルト等の挟持部材に高圧の洗浄用液体が直接当たるという事態を招き、挟持部材が洗浄用液体の当たりに起因して摩耗もしくは損傷する確率が高くなると共に、ガラス基板と挟持部材との間に相対的な位置ズレが生じ、ガラス基板が外れ易くなるという難点がある。このような事項を勘案して、上記の角度は、20〜70°とされる。
【0017】
この場合、前記液体噴射手段は、洗浄用液体をガラス基板の研磨された端面の全域に直接当てるように構成されていることが好ましい。
【0018】
ここで、上記の「直接当てる」とは、洗浄用液体をガラス基板以外の他の部材に当てることにより噴射の勢いが不当に弱まった状態で当該端面に当てることを排除する意味であって、例えば噴射の勢いを不当に弱めることなく洗浄用液体の噴射方向を調整する案内部材に接触させて当該端面に向けて噴射するような場合や、複数本の洗浄用液体の噴射流を勢いを不当に弱めることなく合流させた後に当該端面に当てるような場合は、「直接当てる」に含まれる。このようにすれば、洗浄用液体が液体噴射手段から噴射されてガラス基板の端面に達するまでの間にその勢いが殆ど弱まらなくなるため、効率良く異物の掻き出しが行なわれると共に、ガラス基板の表面及び裏面の全域に対してパーティクルの付着が抑制される。
【0019】
更に、前記液体噴射手段は、ガラス基板の研磨された端面に対して該ガラス基板の表面側と裏面側とからそれぞれ洗浄用液体を噴射する複数本の噴射ノズルを備えていることが好ましい。
【0020】
このようにすれば、複数本の噴射ノズルによってガラス基板の表面側及び裏面側からそれぞれ当該端面に洗浄用液体が噴射供給されることになるので、当該端面の全域に対する異物の掻き出し作用が容易且つ確実に行なわれ、パーティクル付着の問題により一層適切に対処することが可能となる。しかも、既述のゴムベルト等の挟持部材に高圧の洗浄用液体が直接当たることに起因する該挟持部材の摩耗や損傷、更にはガラス基板の相対的な位置ズレ等を回避する上で極めて有利となる。
【0021】
以上の構成において、前記液体噴射手段から噴射される洗浄用液体の噴射圧力は、9.8〜24.5MPaであることが好ましい。
【0022】
即ち、洗浄用液体の噴射圧力が9.8MPa未満であると、ガラス基板の端面の微小凹部内から充分な量の異物を掻き出すことが困難となり、パーティクル付着の問題が依然として残存するおそれがある。これに対して、その噴射圧力が24.5MPaを超えると、例えば液晶ディスプレイのガラス基板のように肉厚が1mm以下(0.5〜0.7mm程度)と薄い場合に、ガラス基板の端面周辺に不当な変形が生じて割れや欠けが発生したり、或いは超高圧の洗浄用液体によって当該端面周辺が切除されるおそれがある。従って、この噴射圧力は、上記の数値範囲内に存することが好都合である。以上のような事項を勘案すれば、上記の噴射圧力は、14.7〜24.5MPaであることがより好ましい。
【0023】
また、以上の構成において、前記液体噴射手段の噴射口からガラス基板の研磨された端面までの距離は、2〜30mmであることが好ましい。
【0024】
このようにすれば、液体噴射手段の噴射口から噴射された洗浄用液体がガラス基板の端面に達した時点で、洗浄用液体の噴流径及び供給圧力が適切な値に維持される。即ち、上記の距離が2mm未満であると、洗浄用液体の噴流径が細径となり過ぎて当該端面の全域に亘る異物の掻き出し作用が不均一になるおそれがあり、また上記の距離が30mmを超えると、洗浄用液体が拡径し過ぎて当該端面に達した時点での洗浄用液体の供給圧力が不充分になるおそれがある。従って、この距離は、上記の数値範囲内に存することが好都合である。
【0025】
更に、以上の構成において、前記液体噴射手段から前記端面に向けて噴射された洗浄用液体は、該端面が存する辺の長手方向と直交する面内に存し且つ前記ガラス基板の表裏面と平行であって該ガラス基板の表裏方向の中心を通る直線L、を基準として、その表側と裏側とで同等の角度範囲内になるように噴射されることが好ましい。
【0026】
尚、前記液体噴射手段は、硬質セラミック、ルビー、サファイヤ、人造ダイヤの何れかからなる噴射ノズルであることが好ましい。即ち、噴射ノズルの噴射口からは、高圧の洗浄用液体が噴射される関係上、例えば金属製の噴射ノズルであると、噴射口周辺特に噴孔が短期間で摩耗するなどして減ってしまい、耐久性が極めて悪化するが、上記の硬質セラミック等からなる噴射ノズルであると、このような事態は生じず、長年に亘る長期使用に耐え得ることができる。因みに、ステンレス鋼からなる噴射ノズルの寿命は1時間程度、超硬合金からなる場合は48時間程度、硬質セラミックからなる場合は3ヶ月程度である。
【0027】
以上の構成を備えたガラス基板洗浄装置において、前記ガラス基板を水平姿勢で水平方向に搬送する搬送手段を更に備えると共に、前記液体噴射手段を、該搬送手段によるガラス基板の搬送経路における搬送方向と直交する方向の両側にそれぞれ配設するようにしてもよい。
【0028】
このようにすれば、搬送手段によりガラス基板が水平姿勢で順次搬送されていく間に、各ガラス基板の搬送方向と直交する方向の両側に存する一対の辺の研磨された端面に対してそれぞれ液体噴射手段から洗浄用液体が噴射され、各ガラス基板の2辺の端面から異物が掻き出される。従って、多数のガラス基板に対して超音波洗浄を行なう場合のようなバッチ処理ではなく、連続処理が行なわれることになり、当該端面の洗浄処理に要する時間が短縮される。尚、ガラス基板を垂直姿勢で垂直方向に搬送する搬送手段を備えて、同様の処理を行なうことも可能である。
【0029】
この場合、前記ガラス基板の搬送経路の途中で該ガラス基板が90°水平旋回すると共に、その水平旋回前及び水平旋回後の何れにおいても前記ガラス基板の研磨された端面に対して前記液体噴射手段から洗浄用液体が噴射されるように構成することもできる。
【0030】
このようにすれば、ガラス基板を90°水平旋回させる前は、上述のように搬送手段により順次搬送される各ガラス基板の2辺の端面に対して洗浄用液体を噴射し、水平旋回した後は、同じく他の搬送手段により順次搬送されるそれらのガラス基板の残りの2辺の端面に対して洗浄用液体を噴射することにより、ガラス基板の4辺全ての端面から異物を掻き出すことが可能となる。そして、このようにガラス基板の4辺の端面からの異物の掻き出し作業も、連続処理によって行なわれる。
【0031】
一方、上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、ガラス基板製造工程で、一枚のみのガラス基板の研磨された端面を洗浄用液体により洗浄するガラス基板洗浄方法であって、液体噴射手段から洗浄用液体を前記ガラス基板の研磨された端面に高圧で噴射して、該端面の微小凹部内に存する異物を掻き出すに際して、前記液体噴射手段が、前記ガラス基板の研磨された端面及び該端面に連なる表裏面の縁部が露出した状態で、該端面を指向して該端面に洗浄用液体を噴射すると共に、ガラス基板の研磨された端面の外方側から、該端面が存する辺の長手方向と直交する面内に存し且つ該ガラス基板の表裏面と平行であって該ガラス基板の表裏方向の中心を通る直線L、を基準として、その表側と裏側とにおけるそれぞれの角度が20〜70°の範囲で前記端面に対して洗浄用液体を噴射することを特徴とするものである。
【0032】
このような方法によれば、ガラス基板の表裏面(特に表面)に不当な量のパーティクルが付着する問題が解消されるため、液晶ディスプレイに代表される表示機器の高精細化が進んだ現況においても、ガラス基板(素板ガラス)に対する清浄度の厳しい要求に応じることができ、製品価値が高められるばかりでなく、不良品の発生確率が激減して、生産性の大幅な向上が図られる。
【0033】
更に、上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係るガラス基板洗浄方法は、ガラス基板製造工程で、一枚のみのガラス基板の端面に対して、粗さの異なる砥石を用いて複数回に亘る研磨加工を施し、然る後、同ガラス基板製造工程で、液体噴射手段が、そのガラス基板の研磨された端面及び該端面に連なる表裏面の縁部が露出した状態で、該端面を指向して該端面に洗浄用液体を高圧で噴射すると共に、ガラス基板の研磨された端面の外方側から、該端面が存する辺の長手方向と直交する面内に存し且つ該ガラス基板の表裏面と平行であって該ガラス基板の表裏方向の中心を通る直線L、を基準として、その表側と裏側とにおけるそれぞれの角度が20〜70°の範囲で前記端面に対して洗浄用液体を噴射することにより、該端面の微小凹部内の異物を掻き出して洗い落とすことに特徴づけられる。
【0034】
このような方法によれば、ガラス基板の端面に対して複数回に亘って研磨加工を施せば、研磨加工を1回のみ施す場合に比して、当該端面の微小凹部内に存する異物の量の総和が減少することになり、このように異物の量が減少した当該端面に対して洗浄用液体を高圧で噴射して異物を掻き出すことにより、当該端面に残存する異物の量が大幅に少なくなる。従って、ガラス基板のパーティクル付着の問題は、より一層確実に解消され得ることになる。尚、一回目の研磨加工は面取加工を兼ねていることが好ましく、また二回目以降の研磨加工が面取加工を兼ねていてもよい。
【発明の効果】
【0035】
以上のように本発明によれば、液体噴射手段から噴射された洗浄用液体は、ガラス基板の研磨された端面に対して適切な噴射圧力で供給され、当該端面の微小凹部内に存する異物が掻き出されて洗い落とされるため、その後にガラス基板の当該端面から異物が滲み出てその特に表面に析出し、パーティクルとして除去困難な状態で付着することが可及的に抑制される。しかも、液体噴射手段から噴射された洗浄用液体は、ガラス基板を損傷させるような不当に高い圧力で当該端面に噴射供給されることが阻止されるので、割れや欠けにつながるような不当な変形を生じさせることはなく、また洗浄用液体の噴射の勢いで当該端面の角部が切除されてしまう等の不具合が生じることもない。この結果、液晶ディスプレイに代表される表示機器の高精細化が進んだ現況においても、ガラス基板(素板ガラス)に対する清浄度の厳しい要求に応じることができ、製品価値が高められると共に、不良品の発生確率が激減して生産性の大幅な向上が図られる。更に、ガラス基板の当該端面に対する洗浄用液体の噴射方向は、該端面が存する辺の長手方向と直交する面内に存在する直線であって且つ該ガラス基板の表裏面と平行な直線であり更には該ガラス基板の表裏方向の中心を通る直線Lに対して、その表裏方向にそれぞれ20〜70°の角度をもつことになるため、洗浄用液体がガラス基板の端面に当たる際の衝撃力(衝突時の圧力)が小さくなり、異物の掻き出し作用を行なうことが困難になるおそれがあるという不具合が回避されると共に、例えばガラス基板の端面の近傍を挟持固定するゴムベルト等の挟持部材に高圧の洗浄用液体が直接当たるという事態を招き、挟持部材が洗浄用液体の当たりに起因して摩耗もしくは損傷する確率が高くなると共に、ガラス基板と挟持部材との間に相対的な位置ズレが生じ、ガラス基板が外れ易くなるという難点があるという不具合が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係るガラス基板洗浄装置の全体構成を示す概略平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るガラス基板洗浄装置の要部を簡略化して示す要部拡大斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るガラス基板洗浄装置の要部を示す拡大縦断正面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るガラス基板洗浄装置の要部を示す拡大縦断正面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るガラス基板洗浄装置を使用してパーティクルの付着に関する実験を行なった結果を示すグラフである。
【図6】従来より行なわれていたガラス基板の洗浄処理及び乾燥処理の手順を説明するための概略図である。
【図7】従来におけるガラス基板へのパーティクルの付着状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0038】
先ず、図1に示す概略平面図に基づいて、本発明の実施形態に係るガラス基板洗浄装置の全体構成を説明する。同図に示すように、ガラス基板洗浄装置(以下、単に洗浄装置という)1は、上流側搬送手段2Aによりガラス基板3を水平姿勢で水平方向(同図の右方向)に搬送すると共に、その下流端に隣接する旋回手段2Xによりガラス基板3を90°水平旋回させ、更にその下流側に隣接する下流側搬送手段2Bにより水平旋回後のガラス基板3を水平姿勢で同方向に搬送する構成とされている。尚、これらの搬送手段2A、2Bによって搬送されるガラス基板3は、液晶ディスプレイ用の素板ガラスとなるものであって、厚みが0.7mmである。
【0039】
上流側搬送手段2Aの搬送経路における左右両側(搬送方向と直交する方向の両側)には、上流側から順に、ガラス基板3の左右両辺の端面3aに対して相対的に粗い第1の研磨加工を施す一対の粗砥石4aと、相対的に微細な第2の研磨加工を施す微細砥石4bと、ガラス基板3の左右両辺の研磨された各端面3aに対して洗浄水を噴射する二対の液体噴射手段(噴射ノズル)5とが配設されている。尚、下流側搬送手段2Bの搬送経路における左右両側にも同様に、粗砥石4a、微細砥石4b及び噴射ノズル5が配設されている。
【0040】
従って、上流側搬送手段2Aによって搬送されるガラス基板3の左右両辺の全長に亘るそれぞれの端面3aに対しては、砥粒の粒度が♯300〜♯500の粗砥石4aと、砥粒の粒度が♯800〜♯4000の微細砥石4bとによって、2段階に亘る研磨加工が施された後、噴射ノズル5から2回に亘って洗浄水が噴射供給される。尚、下流側搬送手段2Bによって搬送されるガラス基板3の残りの二辺の全長に亘るそれぞれの端面3aについても、同様の処理が施される。そして、以上の研磨加工と洗浄処理は、既述の[背景技術]の前段にも記載したように、ガラス基板の製造工程で行われる。
【0041】
図2は、上流側搬送手段2Aの周辺構成を詳細に示す要部斜視図(下流側搬送手段2Bの周辺構成も同様)であって、便宜上、搬送経路の左右両側に一対の噴射ノズル5のみが配設された状態を例示している。同図に示すように、ガラス基板3は、その左右両辺の端面3aの近傍をそれぞれ各一対の帯状挟持部材(ゴムベルト)6により上下から挟持された状態で矢印方向に搬送される構成である。従って、このガラス基板3の端面3a及びその端面3aに連なる表裏面の縁部は、露出された状態にある。そして、このガラス基板3における左右両辺の端面3aの外方側領域からは、噴射ノズル5により洗浄水7が各端面3aに対してそれぞれ噴射されるようになっている。
【0042】
詳述すると、図3に示すように、ガラス基板3の端面3aは、断面が円弧状(凸状の円弧状)をなすように、上述の2回に亘る研磨加工で面取り処理が施されている。この端面3aは、具体的には、粗砥石4aにより概ね断面円弧状となるように成形された後、微細砥石4bにより主として表面粗さを小さくする研磨が行なわれている。そして、ガラス基板3の端面3aに対して、噴射ノズル5からの洗浄水7が直接当たるように構成されており、その洗浄水7の噴射角度は、当該端面3aが存する辺の長手方向と直交する面内(紙面と平行な面内)に存し且つガラス基板3の表裏面と平行であり更にはガラス基板3の表裏方向の中心を通る直線Lを基準とすれば、0°に設定されている。この場合、噴射ノズル5は、ガラス基板3の端面3aを指向すると共に、噴射ノズル5から噴射された洗浄水7は、上記の直線Lを基準として、その表側と裏側とで同等の角度範囲になるように噴射される。
【0043】
更に、噴射ノズル5は、噴孔の形成部を含めて硬質セラミックからなると共に、噴射ノズル5による洗浄水7の噴射圧力は、9.8〜24.5MPa、好ましくは14.7〜24.5MPaであって、噴射ノズル5の噴射口から端面3aまでの距離は2〜30mmに設定されている。
【0044】
以上の構成を備えた洗浄装置1によれば、先ず上流側搬送手段2Aによってガラス基板3が搬送されている間に、その左右両辺の端面3aに対して2回に亘る研磨加工が施された時点では、それらの端面3aの微小凹部内にガラス粉や研磨粉等の異物が詰まった状態となっている。そして、このガラス基板3が更に下流側に搬送されることにより、それらの端面3aに対して噴射ノズル5から洗浄水7が上述の所定圧力で噴射され、これにより当該端面3aの微小凹部内の異物が掻き出されて洗い落とされる。このような異物の掻き出し作用は、ガラス基板3の左右両辺の端面3aにそれぞれ2回に亘って行なわれるため、当該端面3aの微小凹部内に残存している異物は極めて微量となる。
【0045】
特に、この実施形態では、噴射ノズル5からの洗浄水7が、ガラス基板3の端面3aに真正面から衝突する態様で噴射されるため、一本の噴射ノズル5であっても当該端面3aの全域に効率良く洗浄水7が噴射されて、充分な異物の掻き出し効果を得ることができる。但し、この場合には、洗浄水7がゴムベルト6にも直接当たるため、ゴムベルト6の摩耗や、ゴムベルト6の変形に起因するガラス基板3の相対位置ズレ等の不具合を招くおそれがある。
【0046】
このガラス基板3は、上流側搬送手段2Aの下流端まで搬送された時点で、旋回手段2Xの動作によって90°水平旋回し、この後、下流側搬送手段2Bによって搬送されることにより、ガラス基板3の残りの2辺における端面3aに対しても、上記と同様に2回に亘る研磨と、2回に亘る洗浄水による異物の掻き出しとが行なわれる。この結果、矩形のガラス基板3の4辺における端面3aの全てについて、微小凹部内に殆ど異物が残存していない状態となる。このような処理は、多数枚のガラス基板3に対して順次連続的に行なわれる。従って、この後に図6に示すような既述の洗浄処理及び乾燥処理を行なっても、ガラス基板3の端面3aから多量の異物が滲み出てその表裏面(特に表面)に不当な量のパーティクルが付着するという事態の発生確率は、可及的に低減されることになる。
【0047】
図4は、本発明の他の実施形態に係る洗浄装置を例示するものである。同図に示すように、この洗浄装置1は、ガラス基板3の各辺の端面3aにおける一箇所の洗浄水噴射部位ごとに、ガラス基板3の表面側と裏面側とから一対の噴射ノズル5により洗浄水を噴射するように構成したものである。詳述すると、この一対の噴射ノズル5から噴射された洗浄水は、ガラス基板3の端面3aに対して直接当たるように構成されており、その洗浄水7の噴射角度aは、当該端面3aが存する辺の長手方向と直交する面内(紙面に平行な面内)に存し且つガラス基板3の表裏面と平行であり更にはガラス基板3の表裏方向の中心を通る直線Lを基準とすれば、その表裏方向に対して20〜70°に設定されている。この場合、一対の噴射ノズル5は何れも、ガラス基板3の端面3aを指向すると共に、これらの噴射ノズル5から噴射された洗浄水7は、上記の直線Lを基準として、その表側と裏側とで同等の角度範囲になるように噴射される。また、この一対の噴射ノズル5が硬質セラミックからなる点、洗浄水7の噴射圧力が9.8〜24.5MPa(好ましくは14.7〜24.5MPa)である点、及び、各噴射ノズル5の噴射口から端面3aまでの距離が2〜30mmである点については、既述の実施形態と同一である。また、洗浄装置1の全体構成についても、図1に示す既述の実施形態と同一である。
【0048】
このような構成によれば、ガラス基板3の端面が図示のように円弧状である場合に、その端面3aの表面側の半分と裏面側の半分とに対して、一対の噴射ノズル5からのそれぞれの洗浄水7を適切な方向性をもって噴射供給できることになる。しかも、一対の噴射ノズル5からの洗浄水7の噴射角度αは、上記の直線Lを基準として20〜70°に設定されているため、洗浄水7がゴムベルト6に直接当たることを回避でき、ゴムベルト6の摩耗やガラス基板3の相対位置ズレ等の発生確率が極めて低くなる。
【0049】
そして、本発明者等は、このような構成を備えた洗浄装置1を使用してガラス基板3の4辺の端面3aについて噴射ノズル5による洗浄を行なった場合の効果を確認すべく、以下に示すような実験を行なった。即ち、研磨処理として粗砥石4aのみによる研磨を行なった場合と、粗砥石4a及び微細砥石4bによる研磨を行なった場合とを比較する共に、この双方において噴射ノズル5による洗浄を行なわない場合と、噴射圧力を4.9MPa、9.8MPa、14.7MPa、及び19.6MPaとしてそれぞれ噴射ノズル5による洗浄を行なった場合とを比較した。この比較に際しては、ガラス基板3の端面3aに対して上記各々の処理を行なった後、図6に示す洗浄処理及び乾燥処理を実行し、その際のガラス基板3へのパーティクルの付着量をそれぞれ検出した。その比較結果を、図5のグラフに示す。このグラフにおいて、「微細無し」とは、研磨処理が粗砥石4aのみによる場合、「微細有り」とは、研磨処理が粗砥石4aと微細砥石4bとの両者による場合、「ジェット無し」とは、噴射ノズル5による洗浄を行なわない場合を意味している。また、縦軸の「%」で示す数値は、ガラス基板3の表裏面における主としてガラス粉からなるパーティクルの単位面積当たりの占有率(顕微鏡判定により割り出した数値)であり、「MPa」で示す数値は、噴射ノズル5の噴射圧力である。
【0050】
上記のグラフによれば、微細砥石4bによる研磨を行なわなくても噴射ノズル5による噴射圧力が9.8MPa以上であれば、パーティクル付着について良好な結果が得られ、14.7MPa以上であれば、更に良好な結果が得られた。また、微細砥石4bによる研磨を行なった場合には、それを行なわない場合と比較して、例えば噴射ノズル5による噴射圧力が14.7MPaの場合を一例にとっても、遥かに優れた結果が得られた。そして、噴射ノズル5による洗浄を行なわない場合には、微細砥石4bによる研磨を行なうか否かに拘らず、良好な結果を得ることができなかった。
【0051】
尚、この実施形態では、ガラス基板3の各辺の端面3aにおける一箇所の洗浄水噴射部位ごとに、一対の噴射ノズル5を配設するようにしたが、3本以上の噴射ノズル5を配設するようにしてもよく、このようにする場合には、上記の直線Lに対する噴射角度αが0〜20°をも含むようにすることが好ましい。
【0052】
また、以上の実施形態では、硬質セラミックからなる噴射ノズル5を使用したが、これに代えて、ルビー、サファイヤまたは人造ダイヤからなる噴射ノズルを使用してもよい。
【0053】
更に、以上の実施形態では、粗砥石4a及び微細砥石4bによる研磨をそれぞれ一回ずつ行なった場合を例示したが、粗さの異なる複数個の粗砥石及び/または粗さの異なる複数個の微細砥石を用いて、複数回に亘って研磨加工を施すようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のガラス基板洗浄装置及びガラス基板洗浄方法は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種画像表示機器用のガラスパネルの製作に用いられるガラス基板や、各種電子表示機能素子や薄膜を形成するための基材として用いられるガラス基板のように、高い清浄面が要求されるガラス基板の洗浄用として好適である。
【符号の説明】
【0055】
1 ガラス基板洗浄装置
2A 搬送手段(上流側搬送手段)
2B 搬送手段(下流側搬送手段)
3 ガラス基板
3a ガラス基板の端面
4a 粗い第1の研磨加工を行なう粗砥石
4b 微細な第2の研磨加工を行なう微細砥石
5 噴射ノズル(液体噴射手段)
6 ゴムベルト(挟持部材)
7 洗浄水(洗浄用液体)
L 直線
α 噴射角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板製造工程で、一枚のみのガラス基板の研磨された端面を洗浄用液体により洗浄するガラス基板洗浄装置であって、
洗浄用液体を前記ガラス基板の研磨された端面の微小凹部内に存する異物を掻き出すために必要な噴射圧力であって且つガラス基板を損傷させない噴射圧力で該端面に対して噴射する液体噴射手段を備え、
前記液体噴射手段は、前記ガラス基板の研磨された端面及び該端面に連なる表裏面の縁部が露出した状態で、該端面を指向して該端面に洗浄用液体を噴射するように構成されると共に、ガラス基板の研磨された端面の外方側から、該端面が存する辺の長手方向と直交する面内に存し且つ該ガラス基板の表裏面と平行であって該ガラス基板の表裏方向の中心を通る直線L、を基準として、その表側と裏側とにおけるそれぞれの角度が20〜70°の範囲で前記端面に対して洗浄用液体を噴射するように構成されていることを特徴とするガラス基板洗浄装置。
【請求項2】
前記液体噴射手段は、洗浄用液体を前記ガラス基板の研磨された端面の全域に直接当てるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板洗浄装置。
【請求項3】
前記液体噴射手段から前記端面に向けて噴射された洗浄用液体は、該端面が存する辺の長手方向と直交する面内に存し且つ前記ガラス基板の表裏面と平行であって該ガラス基板の表裏方向の中心を通る直線L、を基準として、その表側と裏側とで同等の角度範囲内になるように噴射されることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス基板洗浄装置。
【請求項4】
前記液体噴射手段は、前記ガラス基板の研磨された端面に対して該ガラス基板の表面側と裏面側とからそれぞれ洗浄用液体を噴射する複数本の噴射ノズルを備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス基板洗浄装置。
【請求項5】
前記液体噴射手段から噴射される洗浄用液体の噴射圧力は、9.8〜24.5MPaであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガラス基板洗浄装置。
【請求項6】
前記液体噴射手段の噴射口から前記ガラス基板の研磨された端面までの距離は、2〜30mmであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のガラス基板洗浄装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載のガラス基板洗浄装置において、前記ガラス基板を水平姿勢で水平方向に搬送する搬送手段を更に備えると共に、前記液体噴射手段を、該搬送手段によるガラス基板の搬送経路における搬送方向と直交する方向の両側にそれぞれ配設したことを特徴とするガラス基板洗浄装置。
【請求項8】
ガラス基板製造工程で、一枚のみのガラス基板の研磨された端面を洗浄用液体により洗浄するガラス基板洗浄方法であって、
液体噴射手段から洗浄用液体を前記ガラス基板の研磨された端面に高圧で噴射して、該端面の微小凹部内に存する異物を掻き出すに際して、
前記液体噴射手段が、前記ガラス基板の研磨された端面及び該端面に連なる表裏面の縁部が露出した状態で、該端面を指向して該端面に洗浄用液体を噴射すると共に、ガラス基板の研磨された端面の外方側から、該端面が存する辺の長手方向と直交する面内に存し且つ該ガラス基板の表裏面と平行であって該ガラス基板の表裏方向の中心を通る直線L、を基準として、その表側と裏側とにおけるそれぞれの角度が20〜70°の範囲で前記端面に対して洗浄用液体を噴射することを特徴とするガラス基板洗浄方法。
【請求項9】
ガラス基板製造工程で、一枚のみのガラス基板の端面に対して、粗さの異なる砥石を用いて複数回に亘る研磨加工を施し、然る後、同ガラス基板製造工程で、
液体噴射手段が、そのガラス基板の研磨された端面及び該端面に連なる表裏面の縁部が露出した状態で、該端面を指向して該端面に洗浄用液体を高圧で噴射すると共に、ガラス基板の研磨された端面の外方側から、該端面が存する辺の長手方向と直交する面内に存し且つ該ガラス基板の表裏面と平行であって該ガラス基板の表裏方向の中心を通る直線L、を基準として、その表側と裏側とにおけるそれぞれの角度が20〜70°の範囲で前記端面に対して洗浄用液体を噴射することにより、該端面の微小凹部内の異物を掻き出して洗い落とすことを特徴とするガラス基板洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−136430(P2012−136430A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−65378(P2012−65378)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【分割の表示】特願2005−39378(P2005−39378)の分割
【原出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】