説明

ガラス壜の検査装置

【課題】ガラス壜の壜底部のビリ(底ビリ)と壜底外周縁の欠け(底欠け)とを単一の光学撮像系を用いて確実に検出することができるガラス壜の検査装置を提供する。
【解決手段】直立した状態で搬送されるガラス壜1の下方に配置された照明30と、ガラス壜の壜底部1bの側方に配置され、ガラス壜の底面から上方に立ち上がっていく部分である彎曲した曲面の壜底外周縁1eと該壜底外周縁1eに連なる壜底部1bとを撮像するCCDカメラ42とを備え、照明30はガラス壜1の底面側からガラス壜を照明し、ガラス壜の底面を透過して壜内に入射した光を壜底部のカメラ側の面の肉厚内に入射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス壜の検査装置に係り、特にガラス壜の壜底部等の特定位置にある欠陥を撮像により検出することができるガラス壜の検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビール等の飲料を充填するガラス壜は、使用後の壜を回収して再利用することが行われている。ガラス壜は、回収された壜および成形後の壜に拘らず、輸送中や搬送中において壜同士が接触したり他の物品に接触したりして、壜の肉厚内にビリと称される内部クラックが入ったり、壜の底部や口部に欠けが生じたりすることがある。そのため、ガラス壜は、ビール等の飲料を充填して打栓した後に、壜口部や壜底部等にビリや欠け等の欠陥がないかを検査している。
【0003】
飲料が充填されたガラス壜の検査装置は、ガラス壜の壜口部や壜底部等の外観検査を行うために複数の検査ステーションを備えており、検査用のメインロータは、ガラス壜を保持して回転し、ガラス壜を円形軌道に沿って配置された複数の検査ステーションに搬送するようになっている。複数の検査ステーションでは、ガラス壜を自転させつつ、それぞれ、壜口部のビリ(口ビリ)、壜底部のビリ(底ビリ)、壜底部の欠け(底欠け)等の欠陥毎に専用に検査するようになっている。
【0004】
図12は、従来の壜底部のビリ(底ビリ)の有無を検査する検査ステーションの構成を示す模式的な立面図である。図12に示すように、ガラス壜1の背面に照明101を配置し、照明101の前面にCCDカメラ102を配置している。CCDカメラ102の光軸102xは、水平面に対して斜め上方に所定の角度(θ)、例えば、20°傾いて配置されている。ガラス壜1は搬送レール104により底部が支持されて搬送され、ガラス壜1は搬送中に走行するベルト(図示せず)に当接して自転するようになっている。照明101は、ハロゲン照明からなり、その前面の照明面は壜胴部と平行になっている。照明101は、ガラス壜1の壜胴部および壜底部に拡散光を投光するようになっている。
【0005】
図12に示すように構成された検査ステーションにおいて、照明101からの拡散光はガラス壜1の壜底部1bの外周面に入射する。ガラス壜1に入射した光はガラス壜1を透過し、透過光はCCDカメラ102により撮像される。壜底部にビリがある場合には、壜の肉厚内に入射した光はビリの亀裂面で反射して明るく光るため、CCDカメラ102で撮影した画像中では、ビリに対応した画像部分が他の画像部分より明るくなるので、画像処理を行って画素毎の明るさを比較してビリを検出するようにしている。
【0006】
図13は、従来の壜底部の欠け(底欠け)の有無を検査する検査ステーションの構成を示す模式的な立面図である。図13に示すように、ガラス壜1の底面側に照明111を配置し、ガラス壜1の壜底外周縁1eの側方にCCDカメラ112を配置している。ガラス壜1は搬送レール114により底部が支持されて搬送され、ガラス壜1は搬送中に走行するベルト(図示せず)に当接して自転するようになっている。CCDカメラ112の光軸112xは、水平方向に延びガラス壜1の壜底外周縁1eと概略一致している。照明111は、多数の白色LEDを配列したものからなり、その前面の照明面は壜の底面と平行になっている。照明111は、ガラス壜1の底面1aおよび壜底外周縁1eに拡散光を投光するようになっている。
【0007】
図13に示すように構成された検査ステーションにおいて、照明111からの拡散光はガラス壜1の壜底外周縁1eに入射する。ガラス壜1の壜底外周縁1eに入射した光は、壜底外周縁1eで反射し、反射光はCCDカメラ112により撮像される。ガラス壜1の壜底外周縁1eに欠けがある場合には、欠けの部分に入射した光は、欠けの部分で散乱・反射し、この部分からの散乱反射光は、CCDカメラ112には入射しないか、あるいは入射してもごく一部のみが入射する。したがって、ガラス壜1の壜底外周縁に欠けがある場合には、CCDカメラ112で撮影した画像中では、壜底外周縁に対応した部分が帯状の明るい画像部分になり、欠けに対応した画像部分が他の画像部分より暗くなるので、画像処理を行って画素毎の明るさを比較して欠けを検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−55828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図12に示す底ビリを検出する方式においては、ガラス壜の背面側に配置された照明101によってガラス壜1を照明し、ガラス壜1を透過した透過光をCCDカメラ102により撮影する構成を採用しているため、CCDカメラ102で得られた画像は、全体がぼんやりと暗い画像になり、ビリに対応した画像部分が明るい画像部分になる。しかしながら、ビリに対応した明るい画像部分と背景のぼんやりと暗い画像部分との間の明るさの度合いには、それほど大きな差異がない場合があるため、底ビリの検出精度が高くないという問題点がある。
また、ビール壜の場合には、壜底部1bに633ml等の容量表示用のエンボスと称される凸状部分が形成されており、この容量表示用のエンボスを透過した光とビリの亀裂面で反射した光とを明確に区別することができない場合があり、良壜をビリがある不良壜と誤検知してしまうという問題点がある。
【0010】
図13に示す底欠けを検出する方式においては、ガラス壜の下方にガラス壜の底面と平行に配置された白色LED照明111によってガラス壜の壜底外周縁を照明し、壜底外周縁で反射した反射光をCCDカメラ112により撮影する構成を採用しているため、容量表示用のエンボスも白色LED照明111によって照明されることになり、ノイズとなるエンボスからの反射光もCCDカメラ112に入射してしまい、底欠けの検出に影響を与える場合があるという問題点がある。
【0011】
以上のように、従来の底ビリおよび底欠けの検出方式には、それぞれ問題点があり、これらの問題点を解決することが必要である。本発明者らは、これらの問題点を解決するための光学撮像系について研究を重ねる過程で検出対象の底ビリと底欠けのいずれもが壜底部に発生し、しかも底ビリと底欠けが近接した位置に発生することに着目し、底ビリと底欠けとを単一の光学撮像系で検出するという課題を見出したものである。
【0012】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、ガラス壜の壜底部のビリ(底ビリ)と壜底外周縁の欠け(底欠け)とを単一の光学撮像系を用いて確実に検出することができるガラス壜の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、本発明のガラス壜の検査装置は、液体が充填されたガラス壜を搬送系路上を搬送している間に、壜底部を撮像し、得られた画像から壜底部の欠陥を検出するガラス壜の検査装置において、直立した状態で搬送されるガラス壜の下方に配置された照明と、ガラス壜の壜底部の側方に配置され、ガラス壜の底面から上方に立ち上がっていく部分である彎曲した曲面の壜底外周縁と該壜底外周縁に連なる壜底部とを撮像するCCDカメラとを備え、前記照明はガラス壜の底面側からガラス壜を照明し、ガラス壜の底面を透過して壜内に入射した光を壜底部のカメラ側の面の肉厚内に入射させるようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、ガラス壜の下方に配置された照明からの拡散光は、その一部の光がガラス壜の底面に入射する。ガラス壜の底面に入射した光は、ガラス壜の底面を透過してガラス壜内に入射する。ガラス壜内に入射した光は液体中を進行して壜底部の内周面から肉厚内に入射する。壜底部の肉厚内にビリがあった場合、肉厚内に入射した光はビリの亀裂面で反射し、反射光は壜底部を透過してCCDカメラに入射して撮像される。壜底部の肉厚内のビリがない部分を透過した光は、CCDカメラに入射しないため、CCDカメラで撮影した画像中では、ビリに相当する画像部分は他の画像部分より明るい領域となる。検査装置に設けられた画像処理装置により画像処理を行い、他の画像部分より明るい画像部分を判別することにより、壜底部にあるビリを検出することができる。
【0015】
また、本発明のガラス壜の検査装置は、液体が充填されたガラス壜を搬送系路上を搬送している間に、壜底部を撮像し、得られた画像から壜底部の欠陥を検出するガラス壜の検査装置において、直立した状態で搬送されるガラス壜の下方に配置され、ガラス壜をガラス壜の底面側から照明する照明と、ガラス壜の壜底部の側方に配置され、ガラス壜の底面から上方に立ち上がっていく部分である彎曲した曲面の壜底外周縁と該壜底外周縁に連なる壜底部とを撮像するCCDカメラとを備え、前記照明を、前記カメラに近い側にある前面側が後面側より下方に位置するように、水平面に対して傾けて配置し、前記照明からガラス壜の底面を透過して壜内に入射した光を壜底部のカメラ側の面の肉厚内に入射させるようにし、前記照明の前面側の端部の位置とガラス壜のカメラ側の壜底外周縁の位置とを鉛直方向にみて概略一致させるようにし、前記照明の前面側の端部からカメラ側の壜底外周縁に光を入射させるようにしたことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、ガラス壜の下方に配置された照明からの拡散光は、その一部の光がガラス壜の底面に入射し、また一部の光がガラス壜の壜底外周縁に入射する。ガラス壜の底面に入射した光は、ガラス壜の底面を透過してガラス壜内に入射する。ガラス壜内に入射した光は液体中を進行して壜底部の内周面から肉厚内に入射する。壜底部の肉厚内にビリがあった場合、肉厚内に入射した光はビリの亀裂面で反射し、反射光は壜底部を透過してCCDカメラに入射して撮像される。壜底部の肉厚内のビリがない部分を透過した光は、CCDカメラに入射しないため、CCDカメラで撮影した画像中では、ビリに相当する画像部分は他の画像部分より明るい領域となる。検査装置に設けられた画像処理装置により画像処理を行い、他の画像部分より明るい画像部分を判別することにより、壜底部にあるビリを検出することができる。一方、ガラス壜の壜底外周縁に入射した光は、壜底外周縁で反射し、反射光はCCDカメラに入射して撮像される。CCDカメラで得られた画像のうち、壜底外周縁に相当する画像部分は、他の画像部分より明るい帯状の領域となる。ガラス壜の壜底外周縁に欠けがあった場合、欠けの部分に入射した光は、欠けの部分で散乱・反射し、この部分からの散乱反射光は、CCDカメラに入射しない。したがって、ガラス壜の壜底外周縁に欠けがある場合には、CCDカメラで撮影した画像中では、欠けに相当する画像部分は他の画像部分より暗い領域となる。画像処理装置により画像処理を行い、他の画像部分より暗い画像部分を判別することにより、壜底外周縁にある欠けを検出することができる。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記照明の前面側の端部の位置とガラス壜のカメラ側の壜底外周縁の位置とを鉛直方向にみて概略一致させるとは、前記照明の前面側の端部の位置と壜底外周縁の位置とが鉛直方向にみて一致している場合と、前記照明の前面側の端部の位置が壜底外周縁の位置よりカメラ側に突出している場合を含むことを特徴とする。
本発明によれば、ガラス壜の下方に位置する照明は、カメラ側の端部の位置が鉛直方向に見てガラス壜の壜底外周縁の位置と一致するか又は壜底外周縁の位置よりもわずかにカメラ側に突出するように配置されているため、照明からガラス壜の壜底外周縁に入射させることができる。そして、照明の前面側の端部が壜底外周縁よりカメラ側に突出している場合にも、その突出距離は、小さな値に設定されているため、ガラス壜の壜底外周縁より上方の容量表示用エンボス等がある壜底部に照明からの光が到達することがない。そのため、壜底外周縁より上方の壜底部からの反射光がCCDカメラに入射することがなく、壜底外周縁からの反射光のみがCCDカメラに入射し、底欠けの検出精度が向上する。
【0018】
本発明の一態様によれば、前記搬送系路は、ガラス壜を円形軌道に沿って搬送する搬送系路であり、前記照明は略扇形の平面形状を有し、前記照明の前面側の端部は円弧状をなすことを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様によれば、ガラス壜は、前記円形軌道に沿って搬送されている間に自転することを特徴とする。
本発明によれば、ガラス壜が自転している間に、CCDカメラはガラス壜の壜底外周縁と壜底部とを複数枚(例えば、6枚)撮像し、壜底外周縁および壜底部の全周を撮像することができる。
【0020】
本発明の一態様によれば、ガラス壜からCCDカメラに入射する光路の途中にミラーを配置し、該ミラーの角度を調整することによりガラス壜の移動に追従して前記CCDカメラがガラス壜を撮像することを可能とすることを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様によれば、前記CCDカメラにより得られる1枚の画像中、壜底外周縁の欠けに相当する画像部分と壜底部のビリに相当する画像部分とは、明暗が逆の画像部分として得られることを特徴とする。
本発明によれば、壜底部のビリ(底ビリ)の画像部分と壜底外周縁の欠け(底欠け)の画像部分とは明暗が逆の画像部分になるため、1つの画像から2種類の欠陥を検出する場合にも2種類の欠陥を混同することなく確実に検出することができる。
本発明の一態様によれば、前記照明に加えて、カメラ側の壜底外周縁に光を入射させる照明を別途設けたことを特徴とする。
本発明によれば、別途設けた照明からガラス壜の壜底外周縁に入射した光は、壜底外周縁で反射し、反射光はCCDカメラに入射して撮像される。CCDカメラで得られた画像のうち、壜底外周縁に相当する画像部分は、他の画像部分より明るい帯状の領域となる。ガラス壜の壜底外周縁に欠けがあった場合、欠けの部分に入射した光は、欠けの部分で散乱・反射し、この部分からの散乱反射光は、CCDカメラに入射しない。したがって、ガラス壜の壜底外周縁に欠けがある場合には、CCDカメラで撮影した画像中では、欠けに相当する画像部分は他の画像部分より暗い領域となる。画像処理装置により画像処理を行い、他の画像部分より暗い画像部分を判別することにより、壜底外周縁にある欠けを検出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)ガラス壜の壜底部のビリ(底ビリ)と壜底外周縁の欠け(底欠け)とを単一の光学撮像系を用いて検出することができる。
(2)ガラス壜の下方に位置する照明は、その前面側(カメラ側)が後面側より下方に位置するように、水平面に対して傾いて配置されているため、照明からガラス壜の底面を透過してガラス壜内に入射した光がガラス壜の壜底部のカメラ側の面に入射しやすくなる。そのため、ガラス壜の壜底部のカメラ側の面の肉厚内に入射する光の光量を充分に確保することができ、底ビリの検出精度を向上させることができる。
(3)ガラス壜の下方に位置する照明は、カメラ側の端部の位置が鉛直方向に見てガラス壜の壜底外周縁の位置と一致するか又は壜底外周縁の位置よりもわずかにカメラ側に突出するように配置されているため、底面照明からガラス壜の壜底外周縁に入射させることができる。そして、底面照明の前面側の端部が壜底外周縁より突出している場合にも、その突出距離は、小さな値に設定されているため、ガラス壜の壜底外周縁より上方にある容量表示用エンボス等がある壜底部に照明からの光が到達することがない。そのため、壜底外周縁より上方の壜底部からの反射光がCCDカメラに入射することがなく、壜底外周縁からの反射光のみがCCDカメラに入射し、底欠けの検出精度が向上する。
(4)ガラス壜の壜底部のビリ(底ビリ)と壜底外周縁の欠け(底欠け)とは、明暗が反転した画像部分になるため、1つの画像から2種類の欠陥を検出する場合にも2種類の欠陥を混同することなく確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明に係るガラス壜検査装置を示す平面図である。
【図2】図2は、壜底部のビリ(底ビリ)および壜底部の欠け(底欠け)を検査する壜底部検査ステーションの構成を示す図であり、壜底部検査ステーションを示す平面図である。
【図3】図3は、壜底部のビリ(底ビリ)および壜底部の欠け(底欠け)を検査する壜底部検査ステーションの構成を示す図であり、壜底部検査ステーションを示す斜視図である。
【図4】図4は、壜底部のビリ(底ビリ)および壜底部の欠け(底欠け)を検査する壜底部検査ステーションの構成を示す図であり、図2のIV-IV線断面図である。
【図5】図5は、底面照明からの光がガラス壜の壜底部に到達し、壜底部からの光がCCDカメラにより撮影される場合の光路を示す模式的な立面図である。
【図6】図6は、図5の模式的な要部拡大図である。
【図7】図7は、図5の模式的な要部拡大図である。
【図8】図8は、図2乃至図5に示す照明撮像系を用いて撮影した画像である。
【図9】図9は、図2乃至図5に示す照明撮像系を用いて撮影した画像である。
【図10】図10は、図2乃至図5に示す照明撮像系を用いて撮影した画像である。
【図11】図11は、図2乃至図5に示す照明撮像系を用いて撮影した画像である。
【図12】図12は、従来の壜底部のビリ(底ビリ)の有無を検査する検査ステーションの構成を示す模式的な立面図である。
【図13】図13は、従来の壜底部の欠け(底欠け)の有無を検査する検査ステーションの構成を示す模式的な立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るガラス壜の検査装置の実施形態を図1乃至図11を参照して説明する。図1乃至図11において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係るガラス壜検査装置を示す平面図である。検査対象となるガラス壜1は、例えば、ビール壜であり、ガラス壜1にはビール等の飲料が充填されている。図1に示すように、ガラス壜の外観を検査する検査装置は、検査対象となるガラス壜1を搬入する入口コンベア2と、入口コンベア2からガラス壜1を受け取って検査部に搬入する入口スターホイール3と、入口スターホイール3から受け渡されたガラス壜1の壜底部等の検査を行う検査部であるメインロータ10と、メインロータ10から受け渡されたガラス壜1を下流側に転送する転送スターホイール5と、転送スターホイール5からガラス壜1を受け取って搬送するリジェクトスターホイール6とを備えている。
【0025】
また、転送スターホイール5に隣接して出口コンベア7が配置されており、リジェクトスターホイール6に隣接してリジェクトコンベア8が配置されている。入口スターホイール3に隣接するとともに入口コンベア2に平行して、スクリュー9が設けられている。
【0026】
図1に示すガラス壜検査装置において、検査対象となるガラス壜1は、入口コンベア2により装置内に搬入され、スクリュー9により一定の間隔が形成されて入口スターホイール3に順次受け渡される。スクリュー9において隣接するガラス壜1間に間隔が形成されている間に、入口コンベア2を挟むように対向して配置された入り味検査用照明21と入り味検査用カメラ22とにより、ガラス壜1内の飲料の入り味検査が行われる。そして、入り味不良のガラス壜1は、入口コンベア2により排出壜1として外部に排出され、正常な入り味のガラス壜1は入口スターホイール3により円形軌道に沿って搬送されている間に、ガラス壜1の壜口に打栓された王冠を王冠検査用カメラ23により撮像し、異種王冠の有無および傷王冠の有無について検査が行われる。検査後にガラス壜1はメインロータ10に受け渡され、メインロータ10にて円形軌道に沿って搬送されている間に複数の検査ステーションにおいて撮像され、順次、ガラス壜1の壜口部、壜底部等の検査が行われる。
【0027】
前記メインロータ10は、壜口部のビリ(口ビリ)を検査する口部検査ステーションと、壜底部のビリ(底ビリ)および壜底外周縁の欠け(底欠け)を検査する検査ステーションとを備えている。口部検査ステーションは、メインロータ10により搬送されるガラス壜1を挟むように対向して配置された口ビリ検査用照明25と口ビリ検査用カメラ26とを備え、壜口部のビリ(口ビリ)を検出するようになっている。また、壜底部検査ステーションは、メインロータ10により搬送されるガラス壜1の底面側からガラス壜1を照明する底面照明30と、ガラス壜1の側方から壜底部を撮像する撮像装置40とを備え、壜底部のビリ(底ビリ)と壜底外周縁の欠け(底欠け)を1つの照明撮像系で検出するようになっている。メインロータ10において検査を終了したガラス壜1は転送スターホイール5に受け渡され、転送スターホイール5により下流側に転送される。そして、入口スターホイール3およびメインロータ10における検査で良壜と判定されたガラス壜1は、転送スターホイール5から出口コンベア7に受け渡され、出口コンベア7により次工程に搬送される。また、不良壜と判定されたガラス壜1は、転送スターホイール5からリジェクトスターホイール6に受け渡され、リジェクトスターホイール6によりリジェクトコンベア8に排出される。リジェクトコンベア8では、不良壜は、王冠不良の排出壜2と、口ビリ又は底ビリ又は底欠けの排出壜3として排出される。
【0028】
図2乃至図4は、壜底部のビリ(底ビリ)および壜底外周縁の欠け(底欠け)を検査する壜底部検査ステーションの構成を示す図であり、図2は壜底部検査ステーションを示す平面図、図3は壜底部検査ステーションを示す斜視図、図4は図2のIV-IV線断面図である。
図2および図3に示すように、メインロータ10は、ガラス壜1の壜胴部の両側面を支持するための対をなす樹脂製の支持ローラ31,31を多数備えている(図2においては、1対の支持ローラ31,31のみを図示している)。また、メインロータ10は、ガラス壜1の底面を支持するための円形軌道に沿って配置された環状の搬送レール32を備えている。搬送レール32は、メインロータ10により円形軌道に沿って搬送されるガラス壜1の底面の半径方向内側の略半分を支持するように固定して設置されている。また、ガラス壜1の壜胴部の前面には走行ベルト33が当接するようになっており、ガラス壜1は支持ローラ31,31と走行ベルト33とにより挟持されて支持されるようになっている。なお、図2では、走行ベルト33の図示を省略している。搬送レール32の外周側には、概略扇形の平面形状を有する底面照明30が設置されている。底面照明30は、多数の白色LEDを縦横に配列することにより構成されている。
【0029】
図2に示すように、メインロータ10の半径方向の外側には、ガラス壜1の壜底部を撮像するための撮像装置40が設置されている。撮像装置40は、メインロータ10の回転に追従して角度を調整できるミラー41と、ミラー41で反射した光を撮像するカメラ42とを備えている。カメラ42はCCDカメラから構成されており、このCCDカメラは、図4に示すガラス壜1の底面1aから上方に立ち上がっていく部分である彎曲した曲面の壜底外周縁1eと該壜底外周縁1eに連なる壜底部1bとを撮像するようになっている。
【0030】
図4に示すように、底面照明30は、水平面に対して斜め下方に傾いて配置されている。すなわち、底面照明30の照明面30aは、カメラ側に近い側にある前面側30e1が後面側30e2より下方に位置するように、水平面に対して斜め下方に所定の角度(θ)、例えば、5°〜15°傾いて配置されている。図4に示す例においては、角度(θ)は10°に設定されている。そして、略扇形の底面照明30のカメラ側の円弧状端部30e1の位置は、鉛直方向に見てガラス壜1の壜底外周縁1eの位置と略一致しているか、または壜底外周縁1eの位置よりも距離ΔLだけカメラ側に突出している。突出している場合には、距離ΔLは、0<ΔL≦1.0mmに設定されている。
【0031】
図2乃至図4に示すように構成された検査ステーションにおいて、ガラス壜1は、支持ローラ31,31により壜胴部が支持されるとともに搬送レール32により底面が支持された状態で、メインロータ10の回転によりガラス壜1は搬送レール32上を摺動して円形軌道に沿って搬送される。搬送中に、走行ベルト33がガラス壜1の壜胴部に当接して、ガラス壜1は自転する。このように、ガラス壜1は、自転しながら円形軌道に沿って搬送されて撮像装置40の前方を通過していくが、撮像装置40のミラー41はガラス壜1の移動に追従して角度を変えられるようになっているため、ガラス壜1が底面照明30の上方を移動する間、カメラ42はガラス壜1の壜底外周縁1eと壜底外周縁1eに連なる壜底部1bとを撮像できるようになっている。したがって、ガラス壜1が自転しつつ底面照明30の上方を通過する間に、カメラ42はガラス壜1の壜底外周縁1eと壜底部1bとを複数枚(例えば、6枚)撮像し、壜底外周縁1eおよび壜底部1bの全周を撮像することができる。
【0032】
図5は、底面照明30からの光がガラス壜1の壜底外周縁1eおよび壜底部1bに到達し、壜底外周縁1eおよび壜底部1bからの光がCCDカメラ42により撮影される場合の光路を示す模式的な立面図である。図6および図7は、図5の模式的な要部拡大図である。
撮像装置40は、ガラス壜1の移動に追従してガラス壜1を所定枚数撮像して全周を検査するためにミラー41を備えているが、図5においては、光路を簡略化するためにミラー41を省略してガラス壜1からの光が直接にCCDカメラ42に入射するように図示している。CCDカメラ42の光軸は水平である。
【0033】
図5に示すように、ガラス壜1の下方に配置された底面照明30からの拡散光は、その一部の光Lがガラス壜1の底面1aに入射し、また一部の光Lがガラス壜1の壜底外周縁1eに入射する。ガラス壜1の底面1aに入射した光Lは、ガラス壜1の底面1aを透過してガラス壜1内に入射する。ガラス壜1内に入射した光Lは液体中を進行して壜底部1bの内周面から肉厚内に入射する。図6に示すように、壜底部1bの肉厚内にビリCがあった場合、肉厚内に入射した光LはビリCの亀裂面で反射し、反射光は壜底部を透過してCCDカメラ42に入射して撮像される。壜底部の肉厚内のビリがない部分を透過した光は、CCDカメラ42に入射しないため、CCDカメラ42で撮影した画像中では、ビリCに相当する画像部分は他の画像部分より明るい領域となる。検査装置に設けられた画像処理装置により画像処理を行い、他の画像部分より明るい画像部分を判別することにより、壜底部にあるビリを検出することができる。
【0034】
一方、ガラス壜1の壜底外周縁1eに入射した光Lは、壜底外周縁1eで反射し、反射光はCCDカメラ42に入射して撮像される。CCDカメラ42で得られた画像のうち、壜底外周縁1eに相当する画像部分は、他の画像部分より明るい帯状の領域となる。図7に示すように、ガラス壜1の壜底外周縁1eに欠けがあった場合、欠けの部分に入射した光Lは、欠けの部分で散乱・反射し、この部分からの散乱反射光は、CCDカメラ42に入射しない。したがって、ガラス壜1の壜底外周縁1eに欠けがある場合には、CCDカメラ42で撮影した画像中では、欠けに相当する画像部分は他の画像部分より暗い領域となる。画像処理装置により画像処理を行い、他の画像部分より暗い画像部分を判別することにより、壜底外周縁1eにある欠けを検出することができる。
【0035】
図5に示すように、ガラス壜1の下方に位置する底面照明30は、その前面側(カメラ側)が後面側より下方に位置するように、水平面に対して所定の角度(θ)だけ傾いて配置されているため、底面照明30からガラス壜1の底面1aを透過してガラス壜1内に入射した光Lがガラス壜1の壜底部1bのカメラ側の面に入射しやすくなる。そのため、ガラス壜1の壜底部1bのカメラ側の面の肉厚内に入射する光Lの光量を充分に確保することができ、底ビリの検出精度を向上させることができる。
【0036】
また、図5に示すように、ガラス壜1の下方に位置する底面照明30は、カメラ側の円弧状端部30e1の位置が鉛直方向に見てガラス壜1の壜底外周縁1eの位置と一致するか又は壜底外周縁1eの位置よりもわずかにカメラ側に突出するように配置されているため、底面照明30からガラス壜1の壜底外周縁に入射させることができる。そして、底面照明30の前面側の円弧状端部30e1が壜底外周縁1eより突出している場合にも、その突出距離ΔLは、0<ΔL≦1.0mmと小さな値に設定されているため、ガラス壜1の壜底外周縁1eより上方の容量表示用エンボス等がある壜底部1bに底面照明30からの光が到達することがない。そのため、壜底外周縁1eより上方の壜底部1bからの反射光がCCDカメラ42に入射することがなく、壜底外周縁1eからの反射光のみがCCDカメラ42に入射し、底欠けの検出精度が向上する。なお、ΔLの値が大きくて底面照明30のオーバハング量(ガラス壜1からの突出量)が大きすぎると、底面照明30からの光が壜底部1bの容量表示用エンボスに到達し、エンボスからの反射光がCCDカメラ42に入射するため、底欠けの検出に影響を与えることになる。
【0037】
図8乃至図11は、図2乃至図5に示す照明撮像系を用いて撮影した画像である。図8乃至図11において、画像の中央部にある大きい四角形は、壜底部のビリ(底ビリ)を検出するための検査ゲートであり、大きい四角形の直下の小さい四角形は、壜底外周縁の欠け(底欠け)を検出するための検査ゲートである。
【0038】
図8乃至図11において、大きい四角形の検査ゲートに着目すると、図8および図11においては、大きい四角形の検査ゲート内に明るい画像部分がある。この明るい画像部分は、底ビリに相当する画像部分である。したがって、図8および図11の画像について画像処理を行うことにより、底ビリを検出することができる。
図9および図10においては、大きい四角形の検査ゲート内に明るい画像部分はない。したがって、図9および図10の画像について画像処理を行うことにより、ガラス壜1の壜底部には底ビリはないと判定される。
【0039】
図8乃至図11において、水平方向に延びる帯状の明るい画像部分は、壜底外周縁(壜底エッジ)に相当する画像部分である。図8乃至図11において、小さい四角形の検査ゲートに着目すると、図8においては、小さい四角形の検査ゲート内に帯状の明るい画像部分が途切れた暗い画像部分がある。この暗い画像部分は底欠けに相当する画像部分である。図9乃至図11においては、帯状の明るい画像部分に途切れはないので小さい四角形の検査ゲート内に暗い画像部分はない。したがって、図8の画像について画像処理を行うことにより、底欠けを検出することができ、図9乃至図11の画像について画像処理を行うことにより、底欠けはないと判定される。
【0040】
図8乃至図11の画像から明らかなように、壜底部のビリ(底ビリ)の画像部分は明るい画像部分になり、壜底外周縁の欠け(底欠け)の画像部分は暗い画像部分になる。すなわち、底ビリと底欠けとは、明暗が逆の画像部分になるため、1つの画像から2種類の欠陥を検出する場合にも2種類の欠陥を混同することなく確実に検出することができる。
【0041】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。例えば、図1乃至図11に示す本実施形態においては上述したように1つの照明すなわち底面照明30を備えているが、1つの照明でなく2つの照明を備えていてもよい。すなわち、ガラス壜の底面を照らす照明と、ガラス壜の底面外周縁を照らす照明とを個別に設置してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ガラス壜
1a 底面
1b 壜底部
1e 壜底外周縁
2 入口コンベア
3 入口スターホイール
5 転送スターホイール
6 リジェクトスターホイール
7 出口コンベア
8 リジェクトコンベア
9 スクリュー
10 メインロータ
21 入り味検査用照明
22 入り味検査用カメラ
23 王冠検査用カメラ
25 口ビリ検査用照明
26 口ビリ検査用カメラ
30 底面照明
30a 外周縁
30e1 円弧状端部
31 支持ローラ
32 搬送レール
33 走行ベルト
40 撮像装置
41 ミラー
42 カメラ
101 照明
102 CCDカメラ
102x 光軸
104 搬送レール
111 照明
112 CCDカメラ
112x 光軸
114 搬送レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填されたガラス壜を搬送系路上を搬送している間に、壜底部を撮像し、得られた画像から壜底部の欠陥を検出するガラス壜の検査装置において、
直立した状態で搬送されるガラス壜の下方に配置された照明と、
ガラス壜の壜底部の側方に配置され、ガラス壜の底面から上方に立ち上がっていく部分である彎曲した曲面の壜底外周縁と該壜底外周縁に連なる壜底部とを撮像するCCDカメラとを備え、
前記照明はガラス壜の底面側からガラス壜を照明し、ガラス壜の底面を透過して壜内に入射した光を壜底部のカメラ側の面の肉厚内に入射させるようにしたことを特徴とするガラス壜の検査装置。
【請求項2】
液体が充填されたガラス壜を搬送系路上を搬送している間に、壜底部を撮像し、得られた画像から壜底部の欠陥を検出するガラス壜の検査装置において、
直立した状態で搬送されるガラス壜の下方に配置され、ガラス壜をガラス壜の底面側から照明する照明と、
ガラス壜の壜底部の側方に配置され、ガラス壜の底面から上方に立ち上がっていく部分である彎曲した曲面の壜底外周縁と該壜底外周縁に連なる壜底部とを撮像するCCDカメラとを備え、
前記照明を、前記カメラに近い側にある前面側が後面側より下方に位置するように、水平面に対して傾けて配置し、前記照明からガラス壜の底面を透過して壜内に入射した光を壜底部のカメラ側の面の肉厚内に入射させるようにし、
前記照明の前面側の端部の位置とガラス壜のカメラ側の壜底外周縁の位置とを鉛直方向にみて概略一致させるようにし、前記照明の前面側の端部からカメラ側の壜底外周縁に光を入射させるようにしたことを特徴とするガラス壜の検査装置。
【請求項3】
前記照明の前面側の端部の位置とガラス壜のカメラ側の壜底外周縁の位置とを鉛直方向にみて概略一致させるとは、前記照明の前面側の端部の位置と壜底外周縁の位置とが鉛直方向にみて一致している場合と、前記照明の前面側の端部の位置が壜底外周縁の位置よりカメラ側に突出している場合を含むことを特徴とする請求項2記載のガラス壜の検査装置。
【請求項4】
前記搬送系路は、ガラス壜を円形軌道に沿って搬送する搬送系路であり、前記照明は略扇形の平面形状を有し、前記照明の前面側の端部は円弧状をなすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガラス壜の検査装置。
【請求項5】
ガラス壜は、前記円形軌道に沿って搬送されている間に自転することを特徴とする請求項4記載のガラス壜の検査装置。
【請求項6】
ガラス壜からCCDカメラに入射する光路の途中にミラーを配置し、該ミラーの角度を調整することによりガラス壜の移動に追従して前記CCDカメラがガラス壜を撮像することを可能とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガラス壜の検査装置。
【請求項7】
前記CCDカメラにより得られる1枚の画像中、壜底外周縁の欠けに相当する画像部分と壜底部のビリに相当する画像部分とは、明暗が逆の画像部分として得られることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のガラス壜の検査装置。
【請求項8】
前記照明に加えて、カメラ側の壜底外周縁に光を入射させる照明を別途設けたことを特徴とする請求項1記載のガラス壜の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−257324(P2011−257324A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133515(P2010−133515)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】