説明

ガランタミンアミノ酸およびペプチドプロドラッグならびにその使用

アミノ酸または短いペプチドを有するガランタミンまたはその3−ヒドロキシ代謝産物のプロドラッグ、このようなプロドラッグを含有する医薬組成物、ならびにガランタミンプロドラッグで記憶または認知障害を治療するための方法が、本明細書中で提供される。バリン、フェニルアラニン、チロシンまたはパラアミノ安息香酸、ならびにそのモノ−、ジ−およびトリペプチドの側鎖を有するプロドラッグが好ましい。さらに、ガランタミン投与に関連した有害消化管副作用を回避するかまたは最小限にするための、ならびにガランタミンの薬物動態を改善するための方法が、本明細書中で提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下で、2009年7月23日に出願された米国特許仮出願61/228,014号組み込まれるに対して利益を主張し、その記載内容は参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、薬剤に対する消化管(GI)不耐性を最小限にし、より迅速な患者への滴定を可能にするための、アルツハイマー薬であるガランタミンのアミノ酸および小ペプチドプロドラッグの利用に関する。さらに、プロドラッグからその後再生されるガランタミンの薬物動態に対する改善は、頻繁な用量投与回数を減らし、患者の服薬遵守および応答を改善させる。
【背景技術】
【0003】
アルツハイマー病は、全世界で3000万人を上回る人々に影響を及ぼしていると見積もられる(Herbert L.E., (2003) Ach Neurol 60, 1119−1122 and Fact Sheet: Mental and Neurological Disorders WHO Geneva, Switzerland 2001)。それは、衰弱性記憶損失、見当識障害、言語技能の減損、判断減退、ならびに情緒および行動障害、最終的には、日常生活の基本的活動が出来なくなることにより特性化される。それは、βアミロイドタンパク質プラークの沈着(Selkoe (1996). J Biol Chem 27, 18295−18298)、神経原繊維濃縮体の形成(Yen et al. (1995). Neurobiol Aging 16, 3381−3387)ならびに皮質ニューロンおよび皮質ニコチン性アセチル受容体の損失(Larner (1995). Dementia 6, 218−224 and Zhou et al. (1995). Neurosci Letts 195, 89−92)により引き起こされる。英国単独では、この疾患は、現在、ほぼ700,000人に影響を及ぼしており、この数は、高齢化集団の結果として、2025年までには100万人以上に増加すると予期されている。これらの患者に関する英国における最新総年間治療費用は、170億ポンドである(Hone (2007). Pharma Times UK, May, 18−20)。
【0004】
アルツハイマー病に関する最も一般的な治療戦略は、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)の使用であり、これは、アセチルコリン(ACh)の脳レベルを増大してコリン作動性ニューロンの損失を補償するのに役立つ。AChEIとしては、ドネプリジル、リバスチグミンおよびガランタミンが挙げられる。これらの薬剤は、特に疾患の早期段階において、認知機能を有意に改善する。
【0005】
ガランタミン、(4aS,6R,8aS)−4a,5,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−3−メトキシ−11−メチル−6H−ベンゾフロ[3a,3,2ef][2]ベンズアゼピン−6−オール臭化水素酸塩は、以下に示すように、0.36μMのインビトロIC50値を有する強力なAChEIである(Thomson and Kewitz (1990). Life Sci 46, 129−137)。そのO−デスメチル代謝産物(同じく、以下に示す)は、さらにより強力で、0.12μMのIC50を有する。この代謝産物は、ブチリルコリンエステラーゼと比較して、アセチルコリンエステラーゼに対するより大きな選択性も有する(それぞれ39:1および200:1)(Bores et al. (1996). J Pharmacol Exp Ther, 277, 728−738)。ガランタミンは、アルツハイマー病の治療においてその作用に寄与すると考えられる付加的薬理学を有する特に有益な作用物質である。
【化1】

【0006】
さらに近年、ガランタミンは自閉症の治療における有用性を示している(Nicholson et al. (2006). J Child and Adolescent Psychopharmacology 16, 621−629)。
【0007】
ガランタミンHBr(ラザダイン(登録商標)ERの名称で徐放性カプセルとしてJanssen Pharmaceutica Products, L.P.により販売されている)は、8mg、16mgおよび24mg用量(用量は、組成物中のガランタミン遊離塩基の量を指す)として利用可能である。8mg/日でのラザダイン(登録商標)ERの用量投与を開始し、次いで、最低4週間後に16mg/日の初期維持用量に漸次増大することが推奨される。24mg/日へのさらなる増大が実行され得るが、16mg/日(ラザダイン(登録商標)ERラベル)で最低4週間後のみである。
【0008】
AChEの可逆的阻害薬であることのほかに、ガランタミンは、アロステリックニコチン性活性剤としても機能する(Sramek et al. (2000). Expert Opin Investig Drugs 9, 2393−2402)。ニコチン性受容体のこのような刺激は、神経伝達物質、例えばAChおよびグルタメートの放出を増大し得る。したがって、AChE抑制を介してACh活性を増大するその能力のほかに、ガランタミンは、ニコチン性コリン作動性受容体でのACh作用のアロステリック調整を介した付加的AChおよびその他の伝達物質の放出も刺激する。
【0009】
ガランタミンおよびその他のAChEI薬剤は、経口投与後の有害消化管(GI)作用に関連しており、例としては、腸運動性に影響を及ぼす症状、例えば嘔吐(Sramek et al. (2000). Expert Opin Investig Drugs 9, 2393−2402)および下痢(Nordberg and Svensson (1999). Drug Safety 20, 146)が挙げられる。胃酸産生の潜在的刺激の結果として胃および十二指腸潰瘍の危険を生じることも、ガランタミンの経口投与後に懸念される。これらの作用は、警告の節に含まれる胃および十二指腸潰瘍を伴うガランタミンに関する製品特性概要(SPC)に記載されている。任意のガランタミン誘導性下痢はこの患者群に特定の窮迫を引き起こし得るが、この場合、直腸性失禁が疾患進行の結果であり得る。ガランタミンを摂取中の患者の約24%が何らかの形態の悪心または嘔吐を経験し、これら2つの有害作用は薬剤中断の主な理由として挙げられる(Sramek et al. (2000). Expert Opin Investig Drugs 9, 2393−2402)。有害なGI副作用は、非常にゆっくり且つ注意深く用量漸増する必要があり、典型的には約3〜4ヶ月かけて、1ヶ月に8mg/日、目標の目標の32mg/日まで増量する。有害なGI副作用はガランタミンに限定されず、したがって、代替的AChEIによる治療が治療法を提供する見込みはない。
【0010】
GI副作用がより少なく、あるいは有害GI副作用を引き起こす可能性が低減された、より迅速な用量漸増ならびに患者の服薬遵守の増大を可能にするガランタミンベースの製剤製品に対する必要性が依然として存在することは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一実施形態では、ガランタミンプロドラッグが提供される。プロドラッグは、アミノ酸またはペプチド部分と共役されたガランタミンまたはそのO−脱メチル化代謝産物を含む。本発明のさらなる一実施形態では、式1のガランタミンプロドラッグが提供される。式1は、アミノ酸またはペプチドとの共役が6−OH位置、3−OH位置またはその両方を介して起こるジェネリック・ガランタミンプロドラッグを示す。3−OH位置は、ガランタミンの活性代謝産物、すなわちデスメチル代謝産物中で官能化可能である。
【化2】

(式中、R1は、H、
【化3】

であり;
2は、H、CH3
【化4】

から選択される)
またはその製薬上許容可能な塩。
【0012】
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0013】
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基から選択される。
【0014】
4およびR5の存在は、各々独立して、水素、
【化5】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択される。
【0015】
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり、n2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9である。
【0016】
3の存在は、各々独立して、0または1である。
【0017】
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在しない。
【0018】
Yの存在は、各々独立して、
【化6】

である。
【0019】
X’、R6、R7およびn4の各存在は、それぞれX、R4、R5およびn1に関する適用で定義された通り、n5の存在は、各々独立して、0または1である。
【0020】
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員ヘテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員ヘテロアリール環である第二環に縮合している。
【0021】
1により定義される炭素鎖中の二重結合の場合、二重結合を形成する炭素上にR4は存在し、R5は存在しない。
【0022】
1またはR2の少なくとも一方は、
【化7】

である。
【0023】
ジカルボン酸リンカーの一実施形態では、n1の少なくとも1つの存在は、0、1、2、3または4である。さらなるジカルボン酸リンカー実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。
【0024】
一実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1、2、3、4または5である。
【0025】
好ましい一実施形態では、本発明の化合物は1つのプロドラッグ部分を有し、そのプロドラッグ部分は1、2または3つのアミノ酸(すなわち、n2は1、2または3である)を有するが、一方、R3の各存在はHである。
【0026】
一実施形態では、n2の少なくとも1つの存在は1である。別の実施形態では、n2の少なくとも1つの存在は2である。さらに別の実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0027】
本発明のガランタミンプロドラッグの組成物も、本明細書中で提供される。組成物は、本発明の少なくとも1つのプロドラッグ(例えば式1のプロドラッグ)またはその製薬上許容可能な塩、および少なくとも1つの製薬上許容可能な賦形剤を含む。
【0028】
本発明の一実施形態では、それを必要とする被験者における障害をガランタミンで治療するための方法が提供される。方法は、治療的有効量のガランタミンプロドラッグまたはその製薬上許容可能な塩をそれを必要とする被験者に経口投与することを包含し、この場合、ガランタミンプロドラッグは、アミノ酸または2〜9アミノ酸長のペプチドと共有結合されるガランタミンまたはその3−OH代謝産物で構成される。障害は、ガランタミンで治療可能なものであり得る。例えば障害は、記憶または認知の障害(例えばアルツハイマー病または血管性痴呆)であり得る。本発明のガランタミンプロドラッグで治療可能であり得る記憶または認知の付加的障害としては、パーキンソン病に関連した痴呆、ハンチントン病に関連した痴呆、感染誘導性痴呆(例えば、HIV、ライム病またはクロイツフェルト・ヤコブ病)、うつ誘導性痴呆、ならびに長期薬剤使用誘導性痴呆が挙げられ得る。代替的には、それは自閉症の治療に用いられ得る。さらなる一実施形態では、本発明のガランタミンプロドラッグは2つのプロドラッグ部分を有する。
【0029】
本発明の別の実施形態では、本明細書中で提供されるガランタミンプロドラッグは、有害消化管(GI)副作用、例えば親化合物の経口摂取に関連した悪心および嘔吐を腱所に低減するという利益を付与する。したがって、別の実施形態では、本発明は、ガランタミンの投与に一般に関連する消化管副作用を最小限にするための方法に関する。この方法は、治療的有効量のガランタミンプロドラッグまたはその製薬上許容可能な塩、またはその組成物を、それを必要とする被験者に経口投与することを包含するが、この場合、ガランタミンプロドラッグは、アミノ酸または2〜9アミノ酸長のペプチドと共有結合されるガランタミンまたはその3−OH代謝産物で構成され、経口投与時に、プロドラッグまたは製薬上許容可能な塩は、非結合ガランタミンの経口投与後に通常は認められる消化管副作用を、完全に回避しないまでも、最小限にする。さらなる一実施形態では、本発明のガランタミンプロドラッグは2つのプロドラッグ部分を有する。
【0030】
本発明のさらなる別の実施形態では、本発明のアミノ酸およびペプチドプロドラッグは、ガランタミンの全体的薬物動態プロファイルおよび治療的血漿濃度の達成の堅実性を改善する。
【0031】
さらなる別の実施形態では、ガランタミン血漿レベルの被験者間または被験者内変動性を低減するための方法が提供される。この方法は、治療的有効量の本発明のガランタミンプロドラッグ(例えば、式1のプロドラッグ)、その製薬上許容可能な塩またはその組成物を、それを必要とする被験者または被験者の群に投与することを包含するが、この場合、ガランタミンプロドラッグは、アミノ酸または2〜9アミノ酸長のペプチドと共有結合されるガランタミンまたはその3−OH代謝産物で構成される。障害は、ガランタミンで治療可能なものであり得る。
【0032】
さらなる一実施形態では、血漿薬剤濃度を持続し、それにより用量投与回数を低減して、その結果、患者の服薬遵守率を改善するための方法が提供される。血漿薬剤濃度の持続または維持は、ガランタミンプロドラッグの1日投与回数を減少させ、したがって、ガランタミンまたはガランタミンプロドラッグへの消化管の1日当たりの曝露を制限し得る。ガランタミンまたはガランタミンプロドラッグへの消化管の1日当たりの曝露率が減れば、消化管副作用は少なくなって、患者の服薬遵守が改善され得る。この方法は、治療的有効量の本発明のガランタミンプロドラッグ(例えば、式1のプロドラッグ)、その製薬上許容可能な塩またはその組成物を、それを必要とする被験者または被験者の群に投与することを包含するが、この場合、ガランタミンプロドラッグは、アミノ酸または2〜9アミノ酸長のペプチドと共有結合されるガランタミンまたはその3−OH代謝産物で構成される。血中レベルの持続または維持は、本発明のガランタミンプロドラッグの重要な特徴または属性であり、これにより、プロドラッグレザバーからのガランタミン、またはガランタミンの活性代謝産物、またはガランタミンプロドラッグの活性代謝産物の長期の生成、転化または放出がなされる。活性形態は、血液中に放出されて、ガランタミンまたは活性代謝産物の持続性血漿レベルを達成する。血漿薬剤濃度が最大濃度の50%以上を保持する時間または期間であるT>50%Cmaxは、血中レベルの持続または維持についての有用な測定値である。
【0033】
一実施形態では、ガランタミンの持続性血清濃度を達成するための方法は、本発明のガランタミンプロドラッグを投与することを包含する。さらなる一実施形態では、本発明のガランタミンプロドラッグは、T>50%Cmaxの少なくとも100%増大、あるいは活性型の薬剤(すなわち、非プロドラッグまたは親薬剤)の投与後に認められるものより2倍または3倍のT>50%Cmaxを生じる。
【0034】
したがって本発明は、ガランタミンまたはその活性3−OH代謝産物のタンパク質構成および/または非タンパク質構成アミノ酸および短鎖ペプチドプロドラッグに関する。プロドラッグは、ガランタミンまたはその活性代謝産物の局所的作用から腸を一時的に保護するが、しかし、最終的には、認知機能の改善のために薬理学的有効量の薬剤または代謝産物を送達する。任意の特定の理論に縛られることなく考えると、ガランタミン(または活性代謝産物)の一時的不活性化は、腸に及ぼすガランタミンの直接的作用を排除し、したがってその経口投与に伴う有害GI副作用を低減する。本発明のプロドラッグは、プロドラッグからの活性作用物質の生成が進行している間、血漿薬剤レベルを持続するための手段も提供する。さらに、プロドラッグ吸収に関与する能動輸送工程の結果として、より再現可能な薬物動態プロファイルが達成され得る。これらの付与された属性は、効力改善ならびにより良好な患者の服薬遵守を保証するのに役立つ。
【0035】
本発明のこれら実施形態およびその他の実施形態は、以下の詳細な説明に開示されるか、またはそれから明らかであり、包含される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】1mg/kgでイヌにガランタミンを経口投与した後の血漿薬剤濃度時間プロファイルを示す。
【図2】1mgガランタミン当量/kgでイヌにガランタミンスクシニルバリンエステルを経口投与した後の血漿薬剤濃度時間プロファイルを示す。これは、試験した用量が、図1で投与したものと等モル量のガランタミン遊離塩基を含有する、ということを意味する。
【図3】1mg/kgでサルにガランタミンを経口投与した後の血漿薬剤濃度時間プロファイルを示す。
【図4】1mgガランタミン当量/kgでサルにガランタミンスクシニルバリンエステルを経口投与した後の血漿薬剤濃度時間プロファイルを示す。これは、試験した用量が、図3で投与したものと等モル量のガランタミン遊離塩基を含有する、ということを意味する。
【図5】ウサギ胃輪状平滑筋に及ぼすガランタミンおよびガランタミンスクシニルバリンエステルの作用を示す。
【図6】ヒト胃輪状平滑筋に及ぼすガランタミンおよびガランタミンスクシニルバリンエステルの作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
定義
本明細書中で使用されるとき、以下の用語は以下のように定義される。
【0038】
「ペプチド」という用語は、別記しない限り、2〜9個のアミノ酸からなるアミノ酸鎖を指す。好ましい実施形態では、本発明で用いられるペプチドは、2または3アミノ酸長である。一実施形態では、ペプチドは分枝鎖ペプチドであり得る。この実施形態では、ペプチド中の少なくとも1つのアミノ酸側鎖は(末端の一方または側鎖を介して)別のアミノ酸と結合される。
【0039】
「アミノ酸」という用語は、タンパク質構成および非タンパク質構成アミノ酸の両方を指す。本発明のプロドラッグ中に用いるために意図されるアミノ酸は、タンパク質構成および非タンパク質構成アミノ酸の両方を含むが、好ましくはタンパク質構成アミノ酸である。側鎖RAAは、(R)または(S)立体配置であり得る。さらに、Dおよび/またはLアミノ酸が、本発明に用いるために意図される。
【0040】
「タンパク質構成アミノ酸」は、タンパク質生合成のために用いられる20のアミノ酸、ならびに翻訳中にタンパク質中に組入れられ得る他のアミノ酸(すなわち、ピロリシンおよびセレノシステイン)のうちの1つである。タンパク質構成アミノ酸は、一般的に、次式:
【化8】

を有する。RAAは、アミノ酸側鎖として言及され、あるいはタンパク質構成アミノ酸の場合には、タンパク質構成アミノ酸側鎖として言及される。タンパク質構成アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、リシン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、メチオニン、ヒスチジン、ピロリシンおよびセレノシステインが挙げられる(表1参照)。
【表1】

【0041】
一実施形態では、アミノ酸側鎖は、別のアミノ酸と結合される。さらなる一実施形態では、側鎖は、アミノ酸のN末端、C末端または側鎖を介してアミノ酸と結合される。
【0042】
タンパク質構成アミノ酸側鎖の例としては、水素(グリシン)、メチル(アラニン)、イソプロピル(バリン)、sec−ブチル(イソロイシン)、−CH2CH(CH32(ロイシン)、ベンジル(フェニルアラニン)、p−ヒドロキシベンジル(チロシン)、−CH2OH(セリン)、−CH(OH)CH3(トレオニン)、−CH2−3−インドイル(トリプトファン)、−CH2COOH(アスパラギン酸)、−CH2CH2COOH(グルタミン酸)、−CH2C(O)NH2(アスパラギン)、−CH2CH2C(O)NH2(グルタミン)、−CH2SH(システイン)、−CH2CH2SCH3(メチオニン)、−(CH24NH2(リシン)、−(CH23NHC(=NH)NH2(アルギニン)および−CH2−3−イミダゾリル(ヒスチジン)が挙げられる。
【0043】
「非タンパク質構成アミノ酸」は、標準遺伝暗号によりコードされるものではないか、翻訳中にタンパク質中に組み込まれない有機化合物である。したがって非タンパク質構成アミノ酸は、タンパク質生合成のために用いられる22のタンパク質構成アミノ酸以外のアミノ酸またはアミノ酸の類似体を含み、例としてはアミノ酸のD−イソステレオマーが挙げられるが、これらに限定されない。非タンパク質構成アミノ酸は、非アルファアミノ酸を含み得る。
【0044】
非タンパク質構成アミノ酸の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:パラアミノ安息香酸(PABA)、2−アミノ安息香酸、アントラニル酸、p−ヒドロキシ安息香酸(PHBA)、3−アミノ安息香酸、4−アミノメチル安息香酸、4−アミノサリチル酸(PAS)、4−アミノシクロヘキサン酸、4−アミノ−フェニル酢酸、4−アミノ−馬尿酸、4−アミノ−2−クロロ安息香酸、6−アミノニコチン酸、メチル−6−アミノニコチネート、4−アミノメチルサリチレート、2−アミノチアゾール−4−酢酸、2−アミノ−4−(2−アミノフェニル)−4−オキソブタン酸(L−キヌレニン)、酢酸、O−メチルセリン(すなわち、式:
【化9】

を有するアミノ酸側鎖)、アセチルアミノアラニン(すなわち、式:
【化10】

を有するアミノ酸側鎖)、β−アラニン、β−(アセチルアミノ)アラニン、β−アミノアラニン、β−クロロアラニン、シトルリン、ホモシトルリン、ヒドロキシプロリン、ホモアルギニン、ホモセリン、ホモチロシン、ホモプロリン、オルニチン、4−アミノ−フェニルアラニン、サルコシン、ビフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、4−ニトロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェニルアラニン、ノルロイシン、シクロヘキシルアラニン、α−アミノイソ酪酸、N−メチル−アラニン、N−メチル−グリシン、N−メチル−グルタミン酸、tert−ブチルグリシン、α−アミノ酪酸、α−アミノイソ酪酸、2−アミノイソ酪酸、2−アミノインダン−2−カルボン酸、セレノメチオニン、ランチオニン、デヒドロアラニン、γ−アミノ酪酸、ナフチルアラニン、アミノヘキサン酸、フェニルグリシン、ピペコリン酸、2,3−ジアミノプロプリオン酸、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、tert−ロイシン、tert−ブチルアラニン、シクロヘキシルグリシン、ジエチルグリシン、ジプロピルグリシンおよびその誘導体(この場合、アミン窒素は一または二アルキル化されている)。
【0045】
「極性アミノ酸」という用語は、生理学的pHで荷電されないが、2つの原子を共有する電子の対が原子のうちの1つにより緊密に保持される少なくとも1つの結合を有する側鎖を有する親水性アミノ酸を指す。遺伝的にコードされる極性アミノ酸としては、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)およびThr(T)が挙げられる。
【0046】
「非極性アミノ酸」という用語は、生理学的pHで荷電されず、電子の対が2つの原子を共有する電子の対が一般的に2つの原子の各々により等しく保持される結合を有する側鎖を有する(すなわち、側鎖は極性でない)疎水性アミノ酸を指す。遺伝的にコードされる非極性朝としては、Leu(L)、Val(V)、Ile(I)、Met(M)、Gly(G)およびAla(A)が挙げられる。
【0047】
「脂肪族アミノ酸」という用語は、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸を指す。遺伝的にコードされる脂肪族アミノ酸としては、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)およびIle(I)が挙げられる。
【0048】
「アミノ」という用語は、−NH2基を指す。
【0049】
基としての「アルキル」という用語は、特定数の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖炭化水素鎖を指す。「アルキル」という用語が多数の炭素原子と関係なく用いられる場合、C1〜C10アルキルを指す、と理解されるべきである。例えば、C110アルキルは、少なくとも1つ、多くて10の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖アルキルを意味する。本明細書中で使用されるとき、「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
「置換アルキル」という用語は、本明細書中で使用されるとき、少なくとも1つの水素が1つ以上の置換基、例えばヒドロキシ、アルコキシ、アリール(例えばフェニル)、複素環、ハロゲン、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アミノ、アミド(例えば、−C(O)NH−R(式中、Rはアルキル、例えばメチルである))、アミジン、アミド(例えば、−NHC(O)−R(式中、Rはアルキル、例えばメチルである))、カルボキシアミド、カルバメート、カルボネート、エステル、アルコキシエステル(例えば、−C(O)O−R(式中、Rはアルキル、例えばメチルである))およびアシルオキシエチル(例えば、−OC(O)−R(式中、Rはアルキル、例えばメチルである))により置き換えられるアルキルラジカルを意味する。この定義は、本用語が置換基自体に適用されるかまたは置換基の置換基に適用されるかに関する。
【0051】
「複素環」という用語は、炭素原子と、窒素、リン、酸素およびイオウから選択される1〜5個の異種原子とからなる安定な3〜15員環ラジカルを指す。
【0052】
「シクロアルキル」基という用語は、本明細書中で使用されるとき、3〜8個の炭素原子を有する非芳香族単環式炭化水素環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを指す。
【0053】
「置換シクロアルキル」という用語は、本明細書中で使用されるとき、本明細書中に記述されるような1つ以上の置換基、例えばヒドロキシ、アルコキシ、アリール(例えばフェニル)、複素環、ハロゲン、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アミノ、アミド(例えば、−C(O)NH−R(式中、Rはアルキル、例えばメチルである))、アミジン、アミド(例えば、−NHC(O)−R(式中、Rはアルキル、例えばメチルである))、カルボキシアミド、カルバメート、カルボネート、エステル、アルコキシエステル(例えば、−C(O)O−R(式中、Rはアルキル、例えばメチルである))およびアシルオキシエチル(例えば、−OC(O)−R(式中、Rはアルキル、例えばメチルである))をさらに保有するシクロアルキル基を意味する。この定義は、本用語が置換基それ自体に適用されるかまたは置換基の置換基に適用されるかに関する。
【0054】
「ケト」および「オキソ」という用語は同義であり、基=Oを指す。
【0055】
「カルボニル」という用語は、基−C(=O)を指す。
【0056】
「カルボキシル」という用語は基−CO2Hを指し、カルボニルおよびヒドロキシル基(さらに具体的には、C(=O)OH)からなる。
【0057】
「カルバメート基」および「カルバメート」という用語は、基:
【化11】

(式中、−O1−は、非結合p−OHガランタミン分子中のフェノール性酸素である)に関する。本明細書中に記載されるプロドラッグ部分は、それらのアミノ酸またはペプチドおよびカルバメート連結に基づいて言及され得る。このような言及におけるアミノ酸またはペプチドは、別記しない限り、アミノ酸またはペプチド上のアミノ末端を介して、カルボニルリンカーおよびガランタミンと結合されると推定されるべきである。
【0058】
例えば、valカルバメート(バリンカルバメート)は、式:
【化12】

を有する。ペプチド、例えばtyr−valカルバメートに関しては、別記しない限り、ペプチド中の最も左のアミノ酸はペプチドのアミノ末端にあり、カルボニルリンカーを介してガランタミンと結合されて、カルバメートプロドラッグを生成する、と推定されるべきである。
【0059】
本発明の目的のための「ジカルボン酸リンカー」および「ジカルボキシルリンカー」という用語は、同義である。ジカルボン酸リンカーは、ガランタミンとアミノ酸/ペプチド部分との間の基を指す:
【化13】

(−(CO)−(CR45n1−(CO)−)。代替的には、「ジカルボン酸リンカー」は、式:
【化14】

(−(CO)−(NH)−(CR45n1−(CO)−)、または式:
【化15】

(−(CO)−(O)−(CR45n1−(CO)−)を有し得る。
【0060】
ジカルボン酸リンカーに関しては、1つのカルボニル基がガランタミン中の酸素原子と結合されるが、一方、第二のカルボニルはペプチドまたはアミノ酸のN末端、あるいはアミノ酸側鎖のアミノ基と結合される。
【0061】
本明細書中に記載されるジカルボン酸プロドラッグ部分は、それらのアミノ酸またはペプチドならびにジカルボキシル連結に基づいて言及され得る。このような言及におけるアミノ酸またはペプチドは、別記しない限り、アミノ酸またはペプチド上のアミノ末端を介してジカルボキシルリンカーの1つのカルボニル(元々、カルボキシル基の一部)と結合され、一方、他のカルボニルはガランタミンと結合される、と推定されるべきである。ジカルボキシルリンカーは、前記のように種々に置換されることも、されないこともある。
【0062】
本発明とともに用いるためのジカルボン酸の非限定的一覧を、表2に示す。表2に列挙するジカルボン酸は2〜18個の炭素を含有するが、しかしより長いジカルボン酸を本発明においてリンカーとして用いることができる。さらに、ジカルボン酸リンカーは、1つ以上の位置で置換され得る。適切に活性化されるジカルボン酸は、活性化アミノ酸またはペプチドと組合され、次いで、ガランタミンと反応して、本発明のプロドラッグを生成し得る。プロドラッグ合成手順は、実施例の節でより詳細に考察される。
【表2】

【0063】
本発明のジカルボン酸リンカーは、第一カルボニル基と結合される窒素または酸素を有して(すなわち、式1中のXは(−NH−)または(−O−)である)、それぞれ、リンカー構造
【化16】

および
【化17】

を生じる。このようなジカルボン酸リンカーの例は、表2に、ならびに本明細書全体を通して示される。
【0064】
一実施形態では、ジカルボン酸リンカーは置換される。例えば、1つ以上の
【化18】

置換アルキル基、非置換アルキル基が存在し得る(R3、式1により定義)。これらの実施形態では、X(−NH−または−O−、式1により定義)は、存在することも存在しないこともある。ジカルボン酸リンカーの例は、表2に示されている。
【0065】
一実施形態では、ジカルボン酸リンカー中の炭素鎖
【化19】

は不飽和であり、1つ以上の二重結合を有し得る。これらの実施形態では、n1≧2であり、R5は、二重結合を形成する2つの炭素上に存在しない。このようなリンカー(フマル酸)の一例を、表3に示す。
【表3】

【0066】
本発明のジカルボン酸プロドラッグ部分の例としては、式:
【化20】

を有するバリンスクシネートが挙げられる。ジペプチド、例えばチロシン−バリンスクシネートに関しては、別記しない限り、薬剤に隣接するアミノ酸(この場合、バリン)は、アミノ末端を介してジカルボン酸リンカーと結合される、と推定されるべきである。ジペプチドの末端カルボキシル残基(この場合、トリプシン)は、C(カルボキシル)末端を形成する。
【0067】
「担体」という用語は、活性化合物が一緒に投与される希釈剤、賦形剤および/またはビヒクルを指す。本発明の医薬組成物は、1つより多い担体の組合せを含有し得る。このような医薬担体は、滅菌液体、例えば水、生理食塩溶液、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液および油、例えば石油、動物、植物または合成起源の油、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油等であり得る。水または水溶液整理食塩溶液およびデキストロース水溶液およびグリセロール溶液が、好ましくは、担体として、特に注射溶液のために用いられる。いくつかの実施形態では、水または水性ベースの溶液が、経口投与処方物用の担体として用いられる。他の実施形態では、油ベースの担体が経口投与処方物のための担体として用いられる。適切な医薬担体は、Remington’s Pharmaceutical Sciences by E.W. Martin, 18th Editionに記載されている。
【0068】
「製薬上許容可能な」という語句は、一般的に安全であるとみなされる分子的実体および組成物を指す。特に、本発明の実施に用いられる製薬上許容可能な担体は、生理学的に耐性があり、典型的には、患者に投与した場合、アレルギー反応または類似の不都合な反応(例えば、胃の不調、眩暈等)を生じない。好ましくは、本明細書中で使用されるとき、「製薬上許容可能な」という用語は、動物、特にヒトにおける使用に関して、しかるべき政府機関の監督官庁により承認されたこと、あるいは米国薬局方またはその他の一般的に認められた薬局方に列挙されたことを意味する。
【0069】
「製薬上許容可能な賦形剤」は、一般的に安全で、非毒性であり、生物学的にも他の場合にも望ましい医薬組成物を調製するのに有用である賦形剤を意味し、獣医学的使用ならびにヒト製剤使用のために許容可能である賦形剤を包含する。「製薬上許容可能な賦形剤」は、本明細書中で使用されるとき、1つおよび1つより多くのこのような賦形剤を含む。
【0070】
「治療する」という用語は、以下の意味を包含する:(1)その状態、障害または症状に苦しめられるかまたはそれらを蒙り易いが、しかしその状態、障害または症状の臨床的または亜臨床的症候を未だ経験していないかまたは示していない動物において発症するその状態、障害または症状の臨床的症候の出現を防止するかまたは遅延すること;(2)その状態、障害または症状を抑制すること(例えば、少なくとも1つの臨床的または亜臨床的症候の疾患の発症を、あるいは維持療法の場合にはその再発を、停止し、低減し、または遅延すること);および/または(3)症状を軽減すること(すなわち、状態、障害または症状の、あるいはその臨床的または亜臨床的症候のうちの少なくとも1つの退行を生じさせること)。治療されるべき患者に対する利益は、統計学的に有意であり、あるいは患者または医者に少なくとも認知可能である。
【0071】
「被験者」という用語は、ヒトおよびその他の哺乳動物、例えば家畜(例えば、イヌおよびネコ)を含む。
【0072】
「プロドラッグ」という用語は、不活性(または有意に低活性)形態で投与される薬理学的物質を意味する。本発明は、ガランタミンおよびその誘導体または類似体と種々の化学物質部分との共有結合を提供する。化学物質部分は、プロドラッグ形態を生じる任意の物質、すなわち、正常代謝過程により身体中でその活性形態に転化される分子を包含し得る。化学物質部分は、例えば、アミノ酸、天然および非天然ペプチド、ジカルボン酸残基、ならびにその組合せであり得る。ガランタミンプロドラッグは、それらが共有結合を保有するという点で、共役体としても特徴づけられ得る。化学物質部分からガランタミンを放出するために身体中で役割を果たすまで、ガランタミンプロドラッグは好ましくは不活性なままであるという点で、それらは、条件付生物可逆的誘導体(「CBD」)としても特徴づけられ得る。
【0073】
「有効量」は、所望の治療的応答を生じるのに十分な本発明のプロドラッグまたは組成物の量を意味する。治療的応答は、ユーザー(例えば臨床医)が治療に対する有効な応答と認識する任意の応答であり得る。治療的応答は、一般的に、プロドラッグ中のガランタミンがその活性形態で投与される場合(すなわち、ガランタミンまたは3−OHガランタミンが単独で投与される場合)に認められる1つ以上の消化管副作用症候の鎮痛および/または改善であり得る。さらに、治療的応答の評価に基づいた適切な治療継続期間、適切な用量、ならびに任意の潜在的組合せ治療を確定することは当業者の技量の範囲内である。
【0074】
「活性成分」という用語は、具体的に指示されない限り、本明細書中に記載されるような本発明のプロドラッグのガランタミンまたは3−OHガランタミン部分を指すと理解されるべきである。活性成分はプロドラッグの薬剤部分であって、これは、本発明のプロドラッグのガランタミンまたは代謝産物、例えば3−OHガランタミンであり得る。
【0075】
「塩」という用語は、酸付加塩または遊離塩基の付加塩を含み得る。(例えば、アミノ酸またはペプチドのカルボキシル末端の)適切な製薬上許容可能な塩としては、金属塩、例えばナトリウム、カリウムおよびセシウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムおよびマグネシウム塩;有機アミン塩、例えばトリエチルアミン、グアニジンおよびN−置換グアニジン塩、アセトアミジンおよびN−置換アセトアミジン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミンおよびN,N'−ジベンジルエチレンジアミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。(塩基性窒素中心の)製薬上許容可能な塩としては、無機酸塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩;有機酸塩、例えばトリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩およびマレイン酸塩;スルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸塩;ならびにアミノ酸塩、例えばアルギン酸塩、グルコン酸塩、ガラクツロン酸塩、アラニン酸塩、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Berge, et al. “Pharmaceutical Salts,” J. Pharma. Sci. 1977;66:1参照)。塩基性アゼピン窒素の塩としては、一連の種々の親油性物質、例えばTFA、HBr、HCl、酒石酸塩、マレイン酸塩、トシラート、(トルエンスルホン酸)カンシラート(カンファースルホン酸)およびナプシラート(ナフタレンスルホン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、共役アミノ酸/ペプチド部分のカルボン酸残基の塩が作製され得る。
【0076】
「生物学的利用能」という用語は、本明細書中で使用されるとき、一般的に、活性成分が薬剤物質から吸収され、全身的に利用可能になり、それゆえ作用部位で利用可能になる速度および/または程度を意味する(Code of Federal Regulations, Title 21, Part 320.1 (2003 ed.)参照)。経口剤形に関しては、生物学的利用能は、活性成分が経口剤形から放出され、作用部位に移動する過程に関する。特定の処方物に関する生物学的利用能データは、全身循環中に吸収される投与用量の分率の概算を提供する。したがって、「経口生物学的利用能」という用語は、被験者への単一回投与後に全身循環中に吸収される経口的に投与されたガランタミンの用量の分率を指す。経口生物学的利用能を確定するための好ましい方法は、経口投与されたガランタミン(または3−OHガランタミン)用量のAUCを同一被験者に静脈内投与された同一ガランタミン(または3−OHガランタミン)用量のAUCで割って、比をパーセントで表すことによる。経口生物学的利用能を算定するための他の方法は、当業者に熟知されており、hargel and Yu, Applied Biopharmaceutics and Pharmacokinetics, 4th Edition, 1999, Appleton & Lange, Stamford, Conn.(この記載内容は参照により本明細書中に組み込まれる)により詳細に記載されている。
【0077】
「T>50%Cmax」という用語は、血漿薬剤濃度がその最大濃度の50%以上を保持する時間または期間である。好ましくは、T>50%Cmaxは、少なくとも100%、さらに好ましくは少なくとも200%または少なくとも300%増大する。他の実施形態では、倍増は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍または少なくとも5倍である。
本発明の化合物
【0078】
本発明の一実施形態では、プロドラッグは、ガランタミンの新規のアミノ酸およびペプチドプロドラッグである。好ましくは、これらのプロドラッグは、単一アミノ酸または短いペプチドに直接的に、あるいはカルバメートまたはジカルボン酸架橋を介して結合されたガランタミンを含む。アミノ酸は、単独でまたはペプチドの一部として結合され得る。本発明の別の実施形態では、より強力な且つ選択的な活性代謝産物O−デスメチルガランタミン(3−OHガランタミン)のプロドラッグが、3−ヒドロキシル官能基または6−ヒドロキシル官能基または両方で新規のアミノ酸またはペプチド共役体として含有される。
【0079】
これらのプロドラッグは、以下のように、式1で一般的に示される:
【化21】

(式中、R1は、H、
【化22】

から選択され;
2は、H、CH3
【化23】

から選択される)
またはその製薬上許容可能な塩。
【0080】
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0081】
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基から選択される。
【0082】
4およびR5の存在は、各々独立して、水素、
【化24】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択される。
【0083】
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり、n2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9である。
【0084】
3の存在は、各々独立して、0または1である。
【0085】
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在しない。
【0086】
Yの存在は、各々独立して、
【化25】

である。
【0087】
X’、R6、R7およびn4の各存在は、それぞれX、R4、R5およびn1に関する適用で定義されたものと同じであり、n5の存在は、各々独立して、0または1である。
【0088】
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員へテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリール環である第二環をそこに縮合している。
【0089】
1により定義される炭素鎖中の二重結合の場合、二重結合を形成する炭素上にR4は存在し、R5は存在しない。
【0090】
1またはR2の少なくとも一方は、
【化26】

である。
【0091】
ジカルボン酸リンカーの一実施形態では、n1の少なくとも1つの存在は、0、1、2、3または4である。さらなるジカルボン酸リンカー実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。
【0092】
一実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1、2、3、4または5である。
【0093】
好ましい一実施形態では、本発明の化合物は1つのプロドラッグ部分を有し、そのプロドラッグ部分は1、2または3つのアミノ酸(すなわち、n2は1、2または3である)を有するが、一方、R3の各存在はHである。
【0094】
一実施形態では、n2は1である。別の実施形態では、n2は2である。さらに別の実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0095】
本発明の別の実施形態では、ガランタミンのプロドラッグは、以下の式1a〜1hで示されるように提供される。これらの実施形態では、RAA、R3、R4、R5、R6、R7、n1、n2、n3、n4、n5、X、X’およびYの各存在は、式1に関して提供されたように定義される。
【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【0096】
一実施形態(すなわち、式1a〜1hのいずれかの実施形態)では、n1の存在は、各々独立して、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3の各存在はHである。さらなる一実施形態では、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。別の実施形態(すなわち、式1a〜1hのいずれかの実施形態)では、n2の存在は、各々独立して、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3の存在は、各々独立して、アルキル基である。さらなる一実施形態では、RAAの存在は、各々独立して、非タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0097】
一実施形態(すなわち、式1a〜1hのいずれかの実施形態)では、n2の存在は、各々独立して、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3の各存在はHである。別の実施形態(すなわち、式1a〜1hのいずれかの実施形態)では、n2の存在は、各々独立して、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3の存在は、各々独立して、アルキル基である。
【0098】
さらに別の式1a〜1h実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0099】
式1a〜1hの一実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、RAAの少なくとも1つの存在は、独立して、非タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0100】
式1a〜1hの一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3はHであり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3である。
【0101】
式1a〜1hの一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3である。さらなる実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、一方、R3、R4およびR5の各存在は水素である。
【0102】
式1a〜1hの一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、R3、R4およびR5の各存在は各々Hである。さらなる実施形態では、n1は2である。
【0103】
式1a〜1hの一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、R3、R4およびR5の各存在は各々Hである。さらなる実施形態では、n1は2であり、n2は1である。
【0104】
式1a〜1hの一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、R3、R4およびR5の各存在は各々Hである。さらなる実施形態では、n1は2である。
【0105】
式1a〜1hの別の実施形態では、n1の存在は、各々独立して、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3である。さらなる実施形態では、R4の少なくとも1つの存在は、
【化35】

である。さらに別の式1a〜1h実施形態では、n1の存在は、各々独立して、1または2であり、n2の存在は、各々独立して、1、2、3、4または5である。さらなる実施形態では、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0106】
式1a〜1hの一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1または2であり、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、R3はHである。さらなる実施形態では、R4の少なくとも1つの存在は、
【化36】

である。
【0107】
式1a〜1hの別の実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1または2であり、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、R3はHである。さらなる実施形態では、R4の少なくとも1つの存在は、
【化37】

である。
【0108】
式1a〜1hの好ましい実施形態では、本発明の当該部分は1または2つのアミノ酸を有する(すなわち、n2は1または2である)。一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、1または2であり、一方、n2の存在は、各々独立して、1、2または3である。
【0109】
式1a〜1hの好ましい実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、一方、R3、R4およびR5の各存在はHである。別の実施形態では、n2は1である。式1a〜1hのさらに別の実施形態では、n2は2である。式1a〜1hのさらに別の実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0110】
式1a〜1hのさらなる実施形態では、RAAの存在は、各々独立して、非タンパク質構成アミノ酸側鎖、またはタンパク質構成および非タンパク質構成アミノ酸側鎖の組合せである。
【0111】
本発明の別の実施形態では、以下の式2、3および4で示されるガランタミンのカルバメートプロドラッグが提供される。これらの実施形態では、R3、RAAおよびn2の各存在は、式1に関して提示されるように定義される。
【化38】

【0112】
カルバメートプロドラッグの一実施形態(すなわち、式2、3または4のいずれかの実施形態)では、n2の存在は、各々独立して、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3はHである。さらなる実施形態では、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。別のカルバメートプロドラッグ実施形態(すなわち、式2、3または4のいずれかの実施形態)では、n2の存在は、各々独立して、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3の存在は、各々独立して、アルキル基である。さらなる一実施形態では、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。別の実施形態では、RAAの存在は、各々独立して、非タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0113】
別のカルバメートプロドラッグ実施形態(すなわち、式2、3または4のいずれかの実施形態)では、n2の存在は、各々独立して、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3の各存在はHである。別のカルバメートプロドラッグ実施形態(すなわち、式2、3または4のいずれかの実施形態)では、n2の存在は、各々独立して、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3の存在は、各々独立して、アルキル基である。
【0114】
さらに別の式2〜4実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0115】
式2〜4の一実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、RAAの少なくとも1つの存在は、独立して、非タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0116】
ジカルボン酸連結ガランタミンプロドラッグの例は、以下の式5〜13で提供される。これらの実施形態では、R3、R4、R5、RAA、n1およびn2の各存在は、式1に関して提供されたように定義される。分かり易くするために、プロドラッグ部分と結合されるガランタミンフェノール性酸素原子は、−O1−として示される。
【化39】

【化40】

【化41】

【0117】
式5〜13の一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3の各存在はHであり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3である。
【0118】
式5〜13の一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3またである。さらなる実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、一方、R3、R4およびR5の各存在は水素である。
【0119】
式5〜13の一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、R3、R4およびR5の各存在は各々Hである。さらなる実施形態では、n1の各存在は2である。
【0120】
式5〜13の一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、R3、R4およびR5の各存在は各々Hである。さらなる実施形態では、n1の各存在は2であり、n2の各存在は1である。
【0121】
式5〜13の一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、R3、R4およびR5の各存在はHである。さらなる実施形態では、n1の各存在は2である。
【0122】
式5〜13の別の実施形態では、n1の存在は、各々独立して、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3である。さらなる実施形態では、R4の少なくとも1つの存在は、
【化42】

である。さらに別の式5〜13実施形態では、n1の存在は、各々独立して、1または2であり、n2の存在は、各々独立して、1、2、3、4または5である。さらなる実施形態では、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0123】
式5〜13の一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1または2であり、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、R3の各存在はHである。さらなる実施形態では、R4の少なくとも1つの存在は、
【化43】

である。
【0124】
式5〜13の別の実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1または2であり、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、R3の各存在はHである。さらなる実施形態では、R4の少なくとも1つの存在は、
【化44】

である。
【0125】
式5〜13の好ましい実施形態では、本発明のプロドラッグ部分は1または2つのアミノ酸を有する(すなわち、n2は1または2である)。一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、1または2であり、一方、n2の存在は、各々独立して、1、2または3である。
【0126】
式5〜13の好ましい実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、一方、R3、R4およびR5の各存在はHである。別の実施形態では、n2の各存在は1である。式5〜13のさらに別の実施形態では、n2の各存在は2である。式5〜13のさらに別の実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0127】
本発明のさらに別の実施形態では、式14〜16のプロドラッグが提供される。これらの実施形態では、R3、RAAおよびn2の各存在は、式1に関して提示されるように定義される。分かり易くするために、プロドラッグ部分と結合されるガランタミンフェノール性酸素原子は、−O1−として示される。
【化45】

【0128】
式14〜16の1つの実施形態では、R3の各存在はHであり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3である。さらなる実施形態では、n2の各存在は2である。
【0129】
別の式14〜16の実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1、2または3である。さらなる実施形態では、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0130】
別の式14〜16の実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、R3はHである。
【0131】
好ましい式14〜16の実施形態では、本発明のプロドラッグ部分は1または2つのアミノ酸を有する(すなわち、n2は1または2である)。
【0132】
式14〜16の好ましい実施形態では、n2の各存在は1である。さらに別の式14〜16実施形態では、n2の各存在は2である。式14〜16のさらに別の実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0133】
本発明のさらに他の実施形態は、2つのプロドラッグ部分を含むガランタミンのプロドラッグに関する。例えば一実施形態では、本発明は、以下の式17〜25で示される2つのジカルボン酸部分を有するプロドラッグに関する。これらの実施形態では、R3、R4、R5、RAA、n1およびn2の各存在は、式1に関して提供されたように定義される。分かり易くするために、プロドラッグ部分と結合されるガランタミンフェノール性酸素原子は、−O1−として示される。
【化46】

【化47】

【化48】

【0134】
式17〜25の1つの実施形態では、n1の各存在の少なくとも1つの存在は、独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3の少なくとも1つの存在はHであり、n2の少なくとも1つの存在は、独立して、1、2または3である。
【0135】
式17〜25の1つの実施形態では、n1の少なくとも1つの存在は、独立して、0、1、2または3またである。さらなる実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、一方、R3、R4およびR5の各存在は水素である。
【0136】
式17〜25の1つの実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、R3、R4およびR5は各々Hである。さらなる実施形態では、n1の各存在は2である。
【0137】
式17〜25の1つの実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、R3、R4およびR5の各存在はHである。さらなる実施形態では、n1の各存在は2である。
【0138】
式17〜25の1つの実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、R3、R4およびR5の各存在はHである。さらなる実施形態では、n1の各存在は2であり、n2は1である。
【0139】
式17〜25の別の実施形態では、n1の存在は、各々独立して、1、2または3であり、n2の存在は、各々独立して、1、2または3である。さらなる実施形態では、R4の少なくとも1つの存在は、
【化49】

である。さらに別の式17〜25実施形態では、n1の存在は、各々独立して、1または2であり、n2の存在は、各々独立して、1、2、3、4または5である。さらなる実施形態では、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0140】
式17〜25の1つの実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1または2であり、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、R3の各存在はHである。さらなる実施形態では、R4の少なくとも1つの存在は、
【化50】

である。
【0141】
式17〜25の別の実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1または2であり、n2の存在は、各々独立して、1または2であり、R3の各存在はHである。さらなる実施形態では、R4の少なくとも1つの存在は、
【化51】

である。
【0142】
式17〜25の好ましい実施形態では、本発明のプロドラッグ部分は1または2つのアミノ酸を有する(すなわち、n2は1または2である)。一実施形態では、n1の存在は、各々独立して、1または2であり、一方、n2の存在は、各々独立して、1、2または3である。
【0143】
式17〜25の好ましい実施形態では、n2の存在は、各々独立して、1、2または3であり、一方、R3、R4およびR5の各存在はHである。別の実施形態では、n2の少なくとも1つの存在は1である。式17〜25のさらに別の実施形態では、n2の各存在は2である。式17〜25のさらに別の実施形態では、n2の少なくとも1つの存在は1または2であり、RAAの存在は、各々独立して、タンパク質構成アミノ酸側鎖である。
【0144】
別の実施形態では、本発明は、以下に示す式26〜34で提供されるような2つのプロドラッグ部分(一方はジカルボン酸プロドラッグで、少なくとも1つのカルバメート部分を伴う)有するプロドラッグに関する。式26〜34に関しては、R3、R4、R5、RAA、n1およびn2の各存在は、式1に関して提供されたように定義される。
【化52】

【化53】

【化54】

【0145】
本発明のさらに別の実施形態では、以下に示すような式35〜46のプロドラッグが提供される。式35〜46に関しては、RAA、R3、R4、R5、R6、R7、X、X’、Y、Cy、n1、n3、n4およびn5は、独立して、式1に関して提供されたように定義される。
【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【0146】
式35〜46の1つの実施形態では、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3、R4、R5、R6およびR7の各存在はHであり、n3の存在は、各々独立して、0または1である。
【0147】
別の式35〜46の実施形態では、XおよびX’は存在せず、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3、R4およびR5の各存在はHであり、n3は1であり、n4およびn5は0である。
【0148】
さらに別の式35〜46の実施形態では、Xは存在せず、X’はOであり、n1は、独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3、R4およびR5の各存在はHであり、n3は1であり、n4は0であり、Cyはアリールである。
【0149】
別の式35〜46の実施形態では、XおよびX’は存在せず、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3、R4およびR5の各存在はHであり、n3は0であり、n4は0であり、Cyはアリールである。
【0150】
別の式35〜46の実施形態では、Xは存在せず、X’はNHであり、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3、R4およびR5の各存在はHであり、n3は1であり、n4は0であり、Cyはアリールである。
【0151】
さらに別の式35〜46の実施形態では、Xは存在せず、X’はNHであり、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3、R4およびR5の各存在はHであり、n3は0であり、n4は0であり、Cyはアリールである。
【0152】
式35〜46の1つの実施形態では、Xは存在せず、X’はNHであり、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3、R4およびR5の各存在はHであり、n3は0であり、n4は0であり、Cyはアリールである。
【0153】
別の式35〜46の実施形態では、Xは存在せず、X’はNHであり、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3、R4、R5、R6およびR7の各存在はHであり、n3は0であり、n4は1であり、Cyはアリールである。
【0154】
さらに別の式35〜46の実施形態では、Xは存在せず、X’はNHであり、n1の存在は、各々独立して、0、1、2、3または4である。さらなる実施形態では、R3、R4およびR5の各存在はHであり、n3は0であり、n4は0であり、Cyはヘテロアリールである。
【0155】
本発明のさらに別の実施形態では、以下に示すような式47のプロドラッグが提供される。
【化66】

【0156】
4およびR5の存在は、各々独立して、水素、
【化67】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択される。
【0157】
1により定義される炭素鎖中の二重結合の場合、二重結合を形成する炭素上にR4は存在し、R5は存在しない。
【0158】
式47において、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3である。
【0159】
本発明のさらに別の実施形態では、以下に示すような式48のプロドラッグが提供される。
【化68】

【0160】
4およびR5の存在は、各々独立して、水素、
【化69】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択される。
【0161】
8は、CまたはNである。
【0162】
1により定義される炭素鎖中の二重結合の場合、二重結合を形成する炭素上にR4は存在し、R5は存在しない。
【0163】
式48において、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3である。
【0164】
本発明のさらに別の実施形態では、以下に示すような式49のプロドラッグが提供される。
【化70】

【0165】
4およびR5の存在は、各々独立して、水素、
【化71】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択される。
【0166】
9の存在は、各々独立して、水素、または
【化72】

である。
【0167】
1により定義される炭素鎖中の二重結合の場合、二重結合を形成する炭素上にR4は存在し、R5は存在しない。
【0168】
式49において、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3である。
【0169】
本発明のさらに別の実施形態では、以下に示すような式50のプロドラッグが提供される。
【化73】

【0170】
4およびR5の存在は、各々独立して、水素、
【化74】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択される。
【0171】
8の存在は、各々独立して、CまたはNである。
【0172】
10は、水素、または
【化75】

である。
【0173】
1により定義される炭素鎖中の二重結合の場合、二重結合を形成する炭素上にR4は存在し、R5は存在しない。
【0174】
式50において、n1の存在は、各々独立して、0、1、2または3である。
【0175】
本発明のさらに別の実施形態では、以下に示すような式51のプロドラッグ(ガランタミン(ジカルボン酸−PABA)エステルの一例)が提供される。
【化76】

【0176】
式51において、n6は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16から選択される整数である。
【0177】
本発明のさらに別の実施形態では、以下に示すような式52のプロドラッグが提供される。
【化77】

【0178】
11およびR12の存在は、各々独立して、水素、
【化78】

置換アルキル基、非置換アルキル基、置換アリール基または非置換アリール基から選択される。
【0179】
11およびR12は、独立して、ジェミナル置換またはビシナル置換され得る。
【0180】
式52において、n1は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16から選択される整数である。
【0181】
本発明のさらに別の実施形態では、以下に示すような式53のプロドラッグが提供される。
【化79】

【0182】
13は、水素、置換アルキル基、非置換アルキル基である。
【0183】
Zは、水素、
【化80】

置換アルキル基または非置換アルキル基である。
【0184】
11およびR12は、独立して、ジェミナル置換またはビシナル置換され得る。
【0185】
一実施形態では、ガランタミンの3−OH代謝産物のフェノール官能基は、単一エステル結合により、あるいはカルバメートまたはジカルボン酸架橋、例えばヘミエステル、例えばマロン酸、コハク酸またはグルタル酸等を介して、アミノ酸またはペプチドと連結され得る。フェノール性ヒドロキシル官能基のプロドラッグ化は、具体的には、代謝産物の良好な経口生物学的利用能を保証するのに役立つ。
【0186】
したがって本発明のプロドラッグは、患者の服薬遵守を改善し、患者内および患者間の両方における薬理学的応答をより良好に予測すると考えられる。
【0187】
ガランタミンおよび3−OHガランタミンプロドラッグは、前述の利点を提供するであろう本発明の2つの実施形態を表すが、しかしこれらの利点は、他のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬または誘導体化可能機能を有するそれらの活性代謝産物に等しく利用可能である。このような化合物としては、タクリンが挙げられるが、これに限定されない。
【0188】
親薬剤の単一アミノ酸単純エステルの一実施形態は、バリン残基を伴い得る。
【化81】

【化82】

【化83】

【化84】

【0189】
他のエステルプロドラッグ実施形態は、イソロイシン、フェニルアラニンおよび/またはロイシンとの共役体を含み得る。
【0190】
いくつかの実施形態では、親薬剤の単一エステルのジペプチド複合体は、グランチミンバリン-バリンエステル、またはグランチミンイソロイシン-イソロイシンエステルを含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、親薬剤の単一アミノ酸カルバメート共役体としては、以下のものが挙げられる:
【化85】

【化86】

【化87】

【化88】

【化89】

【化90】

【化91】

【化92】

【化93】

【化94】

【化95】

【化96】

【0192】
ガランタミンジペプチドカルバメートプロドラッグのいくつかの例としては、ガランタミン−トリプシン−トリプシンおよびガランタミン−フェニルアラニン−フェニルアラニンが挙げられる。
【0193】
スクシニル連結されるガランタミンアミノ酸プロドラッグの非限定例としては、ガランタミン−バリン(以下に示す)、ガランタミン−イソロイシンおよびガランタミン−ロイシンが挙げられる。
【化97】

【0194】
スクシネート架橋を含む本発明のアミノ酸またはペプチドプロドラッグ(例えば、化合物17)の中間代謝産物は、化合物18として以下で示される。この中間代謝産物(化合物18)は、活性作用物質の放出のためのレザバーとして役立ち得るが、この場合、スクシネート架橋は、加水分解可能なアミノ酸またはペプチドをガランタミンまたはガランタミン代謝産物と連結するために用いられる。言い換えれば、スクシネート架橋を利用する本発明のガランタミンプロドラッグは、代謝を受けて、ガランタミンスクシニル中間体を形成し得る。
【化98】

【0195】
グルタレート架橋を含む本発明のアミノ酸またはペプチドプロドラッグの中間代謝産物は、化合物19として以下で示される。この中間代謝産物(化合物19)は、活性作用物質の放出のためのレザバーとして役立ち得るが、この場合、グルタレート架橋は、加水分解可能なアミノ酸またはペプチドをガランタミンまたはガランタミン代謝産物と連結するために用いられる。言い換えれば、グルタレート架橋を利用する本発明のガランタミンプロドラッグは、代謝を受けて、ガランタミングルタレート中間体を形成し得る。同様に、加水分解可能なアミノ酸残基に対するジカルボン酸リンカーを含む本発明の任意のガランタミンプロドラッグは、関連ガランタミンジカルボン酸中間体を生じ得る。
【化99】

【0196】
ガランタミンのジペプチドスクシニル連結共役体としては、ガランタミンスクシニルバリン−バリンエステル、ガランタミンスクシニルイソロイシン−イソロイシンエステルおよびガランタミンスクシニルロイシン−ロイシンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。他のジペプチドスクシニル連結共役体としては、ロイシン、イソロイシンおよびバリンのヘテロペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0197】
コハク酸に対する代替的ジカルボン酸架橋(薬剤をアミノ酸と連結する)としては、マロン酸、グルタル酸および酒石酸が挙げられるが、これらに限定されない。本発明とともに用いるための他のジカルボン酸リンカーを、表2および3に示す。さらに、非タンパク質構成アミノ酸、例えばパラ−アミノ安息香酸が、ガランタミングルタリルパラ−アミノ安息香酸エステルの場合と同様に、用いられ得る。
【化100】

【化101】

【化102】

【0198】
活性3−OH代謝産物のアミノ酸共役体は、誘導体化のための考え得る部位、すなわち6または3位置のどちらかまたは両方を用いるものを包含し得る。どちらかまたは両方の位置で、単一アミノ酸または短いペプチドが、単純エステルとして直接的に、あるいはカルバメートまたはジカルボン酸リンカーを介して間接的に、共役され得る。
【0199】
一実施形態では、薬理学的に活性な3−OHガランタミンプロドラッグは、以下から選択される:
【化103】

【化104】

【化105】

【化106】

【化107】

【化108】

【0200】
ガランタミンプロドラッグ
【化109】

【表4】









本発明の化合物の利点
【0201】
いかなる特定の理論に縛られずに考えると、ガランタミンに関連した嘔吐は、消化(GI)管内の直接的局所作用により媒介され得る。このような作用は、ガランタミンの経口摂取後の腸に及ぼす直接的コリン作動性作用に大いに起因すると考えられ、先行研究は単離消化管平滑筋に及ぼすガランタミンの直接的作用を示している(Turiiski et al. (2004). Eur. J. Pharmacol. 13, 233−239)。ガランタミンの直接的局所作用に関する付加的証拠は、フェレットモデルにおいてガランタミンの経口および鼻内用量がそれらの催吐性潜在力に関して比較されたLeonardによる研究から得られた(Leonard et al. (2007). Int J. Pharmaceutics 335, 138−146)。鼻内用量投与後に薬剤のより高い全身レベルが獲得されたにもかかわらず、嘔吐の出現率はガランタミンの経口投与後により高かった。
【0202】
典型的24mg用量(〜200−400μM)後の胃内のガランタミンの局所濃度は、アセチルコリンエステラーゼ(0.35μM)の抑制に関するIC50を実質的に超える。したがって、腸で分泌されるアセチルコリンエステラーゼは抑制されて、アセチルコリンの局所的上昇ならびにその結果としての腸に及ぼすコリン様作用を引き起こす。GI管内のガランタミンの局所作用に関するさらなる証拠は、経皮送達ガランタミンおよびリバスチグミン(別のAChEI)が嘔吐の出現率低減に関連するという観察から得られる(U.S. Patent Publication No. 2007/0104771 and Yang et al. Drug (2007). CNS 21, 957−965)。
【0203】
一時的不活性化ガランタミンプロドラッグは、腸に及ぼす薬剤の直接作用を最小限にする代替的手段を示し得る。このようなプロドラッグは、活性薬剤と腸の直接接触を妨げ、したがって、悪心、嘔吐およびその他の有害GI作用を引き起こす潜在力を低下させるはずである。プロドラッグの経口吸収ならびにプロドラッグ部分の切断の後、ガランタミンは全身作用のために利用可能になる。
【0204】
任意の特定の理論に縛られずに考えると、ガランタミンおよび/または3−OH−ヒドロキシガランタミンプロドラッグのアミノ酸またはペプチド部分は、消化管内で固有のジ−およびトリペプチド輸送体Pept1を利用して、吸収を実行し得る。代替的には、共役部分が芳香族カルボン酸、例えばパラアミノ安息香酸の場合、他の輸送体、例えばフルオレセイン/ナテグリニドが含まれ得る。一旦吸収されると、これらの好ましいプロドラッグは加水分解を受けて、全身循環中に活性薬剤を放出する。活性薬剤と腸壁との間の直接接触の回避は嘔吐の危険を最小限にするが、一方、Pept1により手助けされたプロドラッグの吸収は、より一貫した血漿薬剤レベルを保証する。3−ヒドロキシガランタミンのプロドラッグの場合、このような化合物はガランタミンの通常の多型的発現CYP2D6クリアランス機序を回避して、全患者集団を通してより再現可能な血漿レベルをもたらす。さらに、薬剤またはその活性代謝産物のプロドラッグは、その不活性形態からの活性成分の継続的生成の結果として、血漿濃度を持続する潜在力も有する。
本発明の化合物の使用
【0205】
本発明の一実施形態では、それを必要とする被験者における障害をガランタミンで治療するための方法が提供される。この方法は、治療的有効量のガランタミンプロドラッグまたはその製薬上許容可能な塩を、それを必要とする被験者に経口投与することを包含し、この場合、ガランタミンプロドラッグは、アミノ酸または2〜9アミノ酸長のペプチドと共有結合されるガランタミンまたはその3−OH代謝産物で構成される。障害は、ガランタミンで治療可能なものであり得る。例えば障害は、記憶または認知の障害(例えばアルツハイマー病または血管性痴呆、パーキンソン病、ハンチントン病、感染誘導性痴呆)であり得る。さらなる実施形態では、ガランタミンプロドラッグは第二のプロドラッグ部分を有する。
【0206】
一実施形態では、それを必要とする被験者における記憶および/または認知機能を改善するための方法が提供される。この方法は、治療的有効量のガランタミンプロドラッグまたはその製薬上許容可能な塩を、それを必要とする被験者に経口投与することを包含し、この場合、ガランタミンプロドラッグは、アミノ酸または2〜9アミノ酸長のペプチドと共有結合されるガランタミンまたはその3−OH代謝産物で構成される。さらなる実施形態では、ガランタミンプロドラッグは第二のプロドラッグ部分を有する。
【0207】
本発明の別の実施形態では、本明細書中で提供されるガランタミンプロドラッグは、親化合物の経口摂取に関連した有害GI副作用、例えば悪心および嘔吐を低減するという利益を付与する。この方法は、治療的有効量のガランタミンプロドラッグまたはその製薬上許容可能な塩、またはその組成物を、それを必要とする被験者に経口投与することを包含し、この場合、ガランタミンプロドラッグは、アミノ酸または2〜9アミノ酸長のペプチドと共有結合されるガランタミンまたはその3−OH代謝産物で構成され、経口投与時に、プロドラッグまたは製薬上許容可能な塩は、非結合ガランタミンの経口投与後に通常は認められる胃腸副作用を、完全に回避しないまでも、最小限にする。さらなる実施形態では、本発明のガランタミンプロドラッグは第二のプロドラッグ部分を有する。
【0208】
本発明のさらに別の実施形態では、本発明のアミノ酸およびペプチドプロドラッグは、ガランタミンそれ自体の投与と比較した場合、ガランタミンの全体的薬物動態プロファイルならびに治療的血漿濃度の達成の堅実性を改善する。
【0209】
さらなる実施形態では、血漿薬剤濃度を持続し、したがって用量投与頻度を低減し、その結果、患者の服薬遵守を改善するための方法が提供される。血漿薬剤濃度の持続または維持は、ガランタミンプロドラッグの1日投与回数を減少させ、したがって、ガランタミンまたはガランタミンプロドラッグへの消化管の1日当たりの曝露を制限し得る。ガランタミンまたはガランタミンプロドラッグへの消化管の1日当たりの曝露率が減れば、消化管副作用は少なくなって、嘔吐および下痢の低減ならびにより一貫した薬剤利用可能性は低い非意図的薬剤損失を、したがって血中レベルのより高い一貫性を保証する。これにより、患者の服薬遵守が改善されるはずである。血中レベルの持続または維持は、本発明のガランタミンプロドラッグの重要な特徴または属性であり、これにより、プロドラッグレザバーからのガランタミン、またはガランタミンの活性代謝産物、またはガランタミンプロドラッグの活性代謝産物の長期の生成、転化または放出がなされる。活性形態は、血液中に放出されて、ガランタミンまたは活性代謝産物の持続性血漿レベルを達成する。血漿薬剤濃度が最大濃度の50%以上を保持する時間または期間であるT>50%Cmaxは、血中レベルの持続または維持についての有用な測定値である。
【0210】
活性形態の薬剤が放出されるレザバーは、全プロドラッグまたは中間代謝産物(例えば、化合物18および19)の両方を含む。プロドラッグ対中間代謝産物の割合は、特定のプロドラッグの同一性に関して変わる。
【0211】
理論に縛られずに考えると、本発明は、患者への投与時に、親薬剤の形成前のプロドラッグ代謝産物の形成を包含する。プロドラッグ代謝産物は、血流中にレザバーを形成するよう蓄積し得る。次いで、プロドラッグ代謝産物は、さらに退社して、親化合物の晶質に関連した特定速度で親分子を形成し得る。患者の血流中のレザバーは、等用量の親薬剤で得られるより大きいT>50%Cmaxを可能にして、患者が必要とする場合、親薬剤の一定の生成を可能にする。本発明の一実施形態では、T>50%Cmaxの増大は、等用量の親薬剤の投与で得られるものの100%以上である。本発明の別の実施形態では、T>50%Cmaxは、等用量の親薬剤の投与で得られるものの約100%〜約300%である。
【0212】
さらに別の実施形態では、ガランタミン血清レベルの被験者間または被験者内変動性を低減するための方法が提供される。この方法は、それを必要とする被験者または被験者の群に、治療的有効量の本発明のガランタミンプロドラッグ(例えば、式1のプロドラッグ)、その製薬上許容可能な塩、またはその組成物を投与することを包含し、この場合、ガランタミンプロドラッグは、アミノ酸または2〜9アミノ酸長のペプチドと共有結合されるガランタミンまたはその3−OH代謝産物で構成される。障害は、ガランタミンで治療可能なものであり得る。
本発明の化合物の塩および溶媒和物誘導体
【0213】
本発明の方法は、さらに、本明細書中に記載されるガランタミン/3−OHガランタミンのプロドラッグの塩または溶媒和物、例えば上記の式1〜53のプロドラッグの塩の使用を包含する。種々の実施形態では、本明細書中に開示される本発明は、ガランタミン/3−OHガランタミンプロドラッグの全ての製薬上許容可能な塩、具体的には、式1〜53の化合物の全ての製薬上許容可能な塩を包含するよう意図される。
【0214】
典型的には、本発明の実施に用いられるガランタミンのプロドラッグの製薬上許容可能な塩は、適切な場合、プロドラッグを所望の酸と反応させることにより調製される。これは、代替的には、カルバメートおよびジカルボン酸架橋エステルプロドラッグの場合、遊離フェノール性官能基またはカルボン酸官能基の塩を製造することを包含する。塩は、溶液から沈澱し、濾過により収集され得るし、あるいは溶媒の蒸発により回収され得る。例えば、塩酸のような酸の水溶液がプロドラッグの水性懸濁液に付加されて、その結果生じた混合物が蒸発、乾燥(凍結乾燥)されて、酸付加塩を固体として得る。代替的には、プロドラッグは、適切な溶媒、例えばアルコール、例えばイソプロパノール中に溶解され、酸が、同一溶媒または別の適切な溶媒中に付加され得る。その結果生じた酸付加塩は、次に、直接沈澱されるか、または低極性溶媒、例えばジイソプロピルエーテルまたはヘキサンの付加により沈澱されて、濾過により単離され得る。
【0215】
プロドラッグの酸付加塩は、遊離塩基形態を、慣用的方法で塩を産生するのに十分な量の所望の酸と接触させることにより調製され得る。遊離塩基形態は、慣用的方法で、塩形態を塩基と接触させて、遊離塩基を単離することにより再生され得る。遊離塩基形態は、極性溶媒中の溶解度のようなある物理的特性において多少それらのそれぞれの塩形態と異なるが、そうでない場合、塩は、本発明の目的のためのそれらのそれぞれの遊離塩基と等価である。
【0216】
酸性官能基(カルボン酸またはフェノール)を含有するプロドラッグの製薬上許容可能な塩基付加塩は、金属またはアミン、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属または有機アミンを用いて形成され得る。陽イオンとして用いられる金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等である。適切なアミンの例は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミンおよびN−メチルグルカミンである。
【0217】
酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸形態を、慣用的方法で塩を産生するのに十分な量の所望の塩基と接触させることにより調製される。遊離酸形態は、塩形態を酸と接触させて、遊離酸を単離することにより再生され得る。
【0218】
3−OH代謝産物の本発明の実施に有用な化合物は、塩基性および酸性中心の両方を有し、したがって双性イオンの形態で存在し得る。
【0219】
塩基性アゼピン窒素の塩としては、一連の種々の親油性物質、例えばTFA、HBr、HCl、酒石酸塩、マレイン酸塩、トシラート(トルエンスルホン酸)、カンシラート(カンファースルホン酸)、およびナプシラート(ナフタレンスルホン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0220】
多数の有機化合物が、それらがその中で反応するかあるいは沈澱または結晶化される溶媒を用いて、錯体、すなわち溶媒和物(例えば、水の場合は水和物)を生成し得る、と有機化学の当業者は理解する。本発明に有用な化合物の塩は、その中で有用な溶媒和物、例えば水和物を形成し得る。溶媒和物の沈澱のための技術は、当該技術分野で周知である(例えば、Brittain, Polymorphism in Pharmaceutical solids. Marcel Decker, New York, 1999参照)。本発明の実施に有用な化合物は1つ以上のキラル中心を有し、個々の置換基の性質によって、それらは幾何異性体も有し得る。
本発明の医薬組成物
【0221】
本発明の方法に用いるために、プロドラッグは原薬として投与され得るということがあり得るが、しかし、製剤処方物中に活性成分を存在させることが好ましく、例えばこの場合、この作用物質は、意図された投与経路および標準薬学的実施に関して選択された製薬上許容可能な担体との混合物で存在する。
【0222】
本発明の処方物は、即時放出剤形、すなわち、直ちに吸収部位でプロドラッグを放出する剤形であるか、あるいは制御放出剤形、すなわち、予定期間に亘ってプロドラッグを放出する剤形であり得る。制御放出剤形は、任意の慣用的型を有し、例えば、レザバーまたはマトリックス型拡散制御剤形;マトリックス、カプセル封入または腸溶性溶解制御剤形;あるいは浸透性剤形の形態であり得る。このような型の剤形は、例えば、Remington, The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2000, pp. 858−914に開示されている。本発明の処方物は、剤形および投薬量によって、1日1〜6回投与され得る。
【0223】
ガランタミン/3−OH−ガランタミンのアミノ酸およびペプチドプロドラッグの吸収は、Pept1のような活性輸送体を介して進行すると思われる。この輸送体は、上部GI管に大部分は限定されると考えられており、このようなものとして、GI管の全長に沿った継続的吸収のための慣用的徐放性処方物の有用性を制限し得る。プロドラッグの血漿「レザバー」からの活性物質の連続的全身性生成のために持続性血漿薬剤レベルを生じないガランタミン/3−OHガランタミンのプロドラッグに関しては、メトフォルミン製品、例えばグルメツア(登録商標)メトフォルミンまたはグルファージXR(登録商標)メトフォルミンに用いられるものと類似の胃保持性または粘膜保持性処方物が有用であり得る。前者は、GelshieldDiffusion(商標)技術として既知の薬剤送達系を利用し、一方、後者は、いわゆるAcuform(商標)送達系を用いる。両方とも、概念は、回腸への薬剤送達を遅くして、吸収が起きる期間を最大にして、血漿薬剤レベルを有効に延長することである。GI管に沿って進行遅延をもたらす他の薬剤送達系も、有用であり得る。
【0224】
前述の送達系の洗練を要しないガランタミン/3−OHガランタミンに関しては、下記のような慣用的処方物が適切であろう。
【0225】
代替的には、共役部分が芳香族カルボン酸、例えばパラアミノ安息香酸である場合、フルオレセイン/ナテグリニドのような他の輸送体が包含され得る。
【0226】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの活性製剤成分(すなわち、ガランタミンまたは3−OHガランタミンのプロドラッグ)またはその製薬上許容可能な誘導体(例えば、塩または溶媒和物)、および製薬上許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。特に本発明は、治療的有効量の本発明の少なくとも1つのプロドラッグ、またはその製薬上許容可能な誘導体、および製薬上許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
【0227】
本発明の方法に関しては、本発明に用いられるプロドラッグは、他の治療薬および/または活性作用物質と組合せて用いられ得る。したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の実施に有用な少なくとも1つの化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物、第二の活性作用物質、ならびに任意に、製薬上許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
【0228】
同一処方物中で組合せる場合、2つの化合物は安定であり、互いにならびに処方物の他の構成成分と相溶性でなければならない、と理解される。別々に処方される場合、それらは任意の便利な処方物中で、便宜的に当該技術分野でこのような化合物に関して既知であるような方法で、提供され得る。
【0229】
本明細書中で用いられるプロドラッグは、ヒトまたは獣医学的医療に用いるために任意の便利な方法での投与のために処方され、したがって本発明は、その範囲内に、ヒトまたは獣医学的医療に用いるために適合された本発明の化合物を含む医薬組成物を包含する。このような組成物は、1つ以上の適切な担体の助けを借りて慣用的方法で用いるために提示され得る。治療的使用のための許容可能な担体は、製薬業界で周知であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit, 1985)に記載されている。製剤担体の選択は、意図される投与経路ならびに標準製剤実施に関して選択され得る。医薬組成物は、担体のほかに、任意の適切な結合剤(単数または複数)、滑剤(単数または複数)、懸濁剤(単数または複数)、被覆剤(単数または複数)および/または可溶化剤(単数または複数)を含み得る。
【0230】
防腐剤、安定化剤、染料および風味剤が、医薬組成物中に提供され得る。防腐剤の例としては、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、ならびにp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。酸化防止剤および懸濁剤も用いられ得る。
【0231】
本発明に用いられる化合物は、既知の粉砕手法、例えば湿潤粉砕を用いて粉砕されて、錠剤形成のために、ならびに他の処方物型のために適した粒子サイズを獲得し得る。当該技術分野で既知の工程により、化合物の微粉砕(ナノ微粒子)調製物が調製され得る(例えば、国際特許出願WO 02/00196(SmithKline Beecham)参照)。
【0232】
本発明の化合物および医薬組成物は、経口投与されるよう意図される(例えば、錠剤、サシェ、カプセル、トローチ、ピル、ボーラス剤、粉末、ペースト、顆粒、小球またはプレミックス調製物、小卵形、エリキシル、溶液、懸濁液、分散液、ゲル、シロップとして、または経口摂取溶液として)。さらに、化合物は、使用前に水または他の適切なビヒクルで、任意に風味剤および着色剤を用いて、構成するための乾燥粉末として存在し得る。固体および液体組成物は、当該技術分野で周知の方法に従って調製され得る。このような組成物は、固体または液体形態であり得る1つ以上の製薬上許容可能な担体および賦形剤も含有し得る。
【0233】
本発明の化合物および医薬組成物は、水または水溶液ベースの処方物中で経口的に投与され得る。他の実施形態では、本発明の化合物および医薬組成物は、油ベースの処方物中で経口投与され得る。油ベースの処方物の考え得る一利点は、特にGI管中に滞留する間、プロドラッグの完全性を保持することである。
【0234】
分散液は、液体担体または中間体中で、例えばグリセリン、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン油、およびその混合物中で調製され得る。液体担体または中間体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール等)、植物油、非毒性グリセリンエステルおよびその適切な混合物を含有する溶媒または液体分散性媒質であり得る。適切な流動性は、リポソームの生成により、分散液の場合には適切な粒子サイズの投与により、あるいは界面活性剤の付加により、維持され得る。
【0235】
錠剤は、賦形剤、例えば微晶質セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二塩基性リン酸カルシウムおよびグリシン、崩壊剤、例えばデンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびある種の錯体ケイ酸塩、ならびに造粒結合剤、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムを含有し得る。
【0236】
さらに、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリルベヘン酸塩およびタルクが含まれ得る。
【0237】
本発明において有用な経口組成物のための製薬上許容可能な崩壊剤の例としては、デンプン、アルファデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、微晶質セルロース、アルギン酸塩、樹脂、界面活性剤、発泡性組成物、水性ケイ酸アルミニウムおよび架橋ポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0238】
本明細書中で有用な経口組成物のための製薬上許容可能な結合剤の例としては、アラビアゴム;セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロース;ゼラチン、グルコース、デキストロース、キシリトール、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、デンプン、アルファデンプン、トラガカントゴム、キサンタン樹脂、アルギン酸塩、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエチレングリコールまたはベントナイトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0239】
本明細書中で有用な経口組成物のための製薬上許容可能な充填剤の例としては、ラクトース、無水ラクトース、ラクトース一水和物、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、セルロース(特に微晶質セルロース)、ジヒドロ−または無水リン酸カルシウム、炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0240】
本発明の組成物中で有用な製薬上許容可能な滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、酸化エチレンのポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウムおよびコロイド状二酸化ケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0241】
経口組成物のための適切な製薬上許容可能な着臭剤の例としては、合成芳香および天然芳香性油、例えば油、花、果実(例えば、バナナ、リンゴ、西洋サクランボ、モモ)の抽出物およびその組合せ、ならびに類似の芳香が挙げられるが、これらに限定されない。それらの使用は多数の因子によって決定され、その最も重要なものは、医薬組成物を摂取する集団に関する感覚刺激的許容可能性である。
【0242】
経口組成物のための適切な製薬上許容可能な染料の例としては、合成および天然染料、例えば二酸化チタン、β−カロテン、およびグレープフルーツの果皮の抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0243】
嚥下を促し、放出特性を改質し、外見を改良し、および/または組成物の味を隠蔽するために典型的に用いられる経口組成物のための有用な製薬上許容可能なコーティングの例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびアクリレート−メタクリレートコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0244】
経口組成物のための製薬上許容可能な甘味剤の適切な例としては、アスパルターム、サッカリンナトリウム、ナトリウムシクラメート、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ラクトースおよびスクロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0245】
本明細書中で有用な製薬上許容可能な緩衝剤の適切な例としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムおよび水酸化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0246】
本明細書中で有用な製薬上許容可能な界面活性剤の適切な例としては、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
類似の型の固体組成物は、ゼラチンカプセル中の充填剤としても用いられ得る。これに関して好ましい賦形剤としては、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液および/またはエリキシルに関して、この作用物質は、種々の甘味剤または風味剤、着色物質または染料と、乳化剤および/または懸濁剤と、希釈剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンならびにその組合せと併用され得る。
【0248】
製薬上許容可能な防腐剤の適切な例としては、種々の抗細菌および抗真菌剤、例えば溶媒、例えばエタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、第四級アンモニウム塩、およびパラベン(例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0249】
製薬上許容可能な安定化剤および酸化防止剤の適切な例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、チオ尿素、床フェノールおよびブチルヒドロキシアニソールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0250】
本発明の医薬組成物は、0.01〜99重量/容積の本発明に包含されるプロドラッグを含有し得る。
投薬量
【0251】
本発明の方法に従って治療されるべき適切な患者としては、このような治療を必要とする任意のヒトまたは動物が挙げられる。アルツハイマー病の診断および臨床評価のための方法は、当該技術分野で周知である。したがって、患者が治療を必要としているか否かを確定することは、当業者(例えば医師または獣医師)の技量内である。患者は、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトであるが、しかし任意の動物、例えば、臨床試験あるいは動物モデルを用いるスクリーニングまたは活性実験の状況にある実験室動物であり得る。したがって、当業者に容易に理解され得るように、本発明の方法および組成物は、任意の動物、特に哺乳動物、例えば家畜動物、例えばネコまたはイヌ被験体(これらに限定されない)、農場動物、例えばウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジおよびブタ被験体(これらに限定されない)、研究動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ等、鳥類、例えばニワトリ、シチメンチョウ、鳴禽類等(これらに限定されない)に投与するのに特に適している。
【0252】
典型的には、医者は、個々の被験者に最も適している実際の投薬量を決定する。任意の特定の個体に関する投薬量の具体的用量レベルおよび頻度は変わり得るし、種々の因子、例えば用いられる具体的化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、全身健康状態、性別、食餌、投与方式および回数、排出率、薬剤組合せ、特定症状の重症度、ならびに個々の進行中の療法によって決まる。
【0253】
一実施形態では、ガランタミンのプロドラッグの有効1日量(ガランタミン遊離塩基として表される)は、1mg〜1000mg、好ましくは1mg〜100mgである。例えば、本発明に包含されるプロドラッグは、約20mg〜約80mgのプロドラッグ/単位用量を含有する剤形で処方され得る。好ましい実施形態では、ガランタミンのプロドラッグの有効1日量は、40〜80mgである。単位用量当たり、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100mgのプロドラッグである。別の実施形態では、この剤形は、15、25、75、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000mgのプロドラッグ/単位用量を含有する。
【0254】
一実施形態では、3−OHガランタミン遊離塩基、3−OHガランタミンとして表される活性代謝産物のプロドラッグの有効1日量は、1mg〜300mg、好ましくは1mg〜30mgである。例えば、本発明に包含されるプロドラッグは、約5mg〜約30mgのプロドラッグ/単位用量を含有する剤形で処方され得る。別の例では、本発明に包含されるプロドラッグは、約10、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275または300mgのプロドラッグ/単位用量を含有する剤形で処方され得る。好ましい実施形態では、式1〜53のプロドラッグの有効量は、約5〜約15mgである。
【0255】
治療されるべき認知障害の重症度によって、適切な治療的有効且つ安全投薬量(当該技術の範囲内で、過度の実験なしに確定され得る)が被験者に投与され得る。ヒトへの経口投与に関しては、プロドラッグの1日投薬量レベルは、単一回または分割用量投与であり得る。治療の継続期間は当業者により決定され得るし、症状の性質、および/または治療に対する治療的応答の速度および程度を反映すべきである。
【0256】
この症状を治療する方法において、本発明に包含されるプロドラッグは、他の療法と一緒に、および/または他の活性作用物質と組合せて投与され得る。例えば、本発明に包含されるプロドラッグは、アルツハイマー病の管理に用いられる他の活性作用物質と組合せて患者に投与され得る。このような組合せ療法では、本発明に包含されるプロドラッグは、他の療法および/または活性作用物質の前に、それと同時に、またはその後に投与され得る。
【0257】
本発明に包含されるプロドラッグが別の活性作用物質と一緒に投与される場合、このような組合せの個々の構成成分は、逐次的に、あるいは別個のまたは併用製剤処方物中で同時的に、任意の便利な経路により投与され得る。投与が逐次的である場合、本発明に包含されるプロドラッグまたは第二の活性作用物質が最初に投与され得る。例えば、別の活性作用物質との組合せ療法の場合、本発明に包含されるプロドラッグは、薬剤組合せの有益作用を提供するレジメンで、逐次的方式で投与され得る。投与が同時的である場合、この組合せは、同一のまたは異なる医薬組成物中で投与され得る。例えば、本発明に包含されるプロドラッグ、および別の活性作用物質が実質的に同時的方式で、例えば一定比率のこれらの作用物質を有する単一カプセルまたは錠剤中で、あるいは各作用物質のための複数の別個のカプセルまたは錠剤中で、投与され得る。
【0258】
本発明に包含されるプロドラッグが疼痛を治療するための方法で活性名別の作用物質と組合せて用いられる場合、各化合物の用量は、この化合物が単独で用いられるものとは異なり得る。適切な用量は、当業者に容易に理解される。
実施例
【0259】
以下の実施例に言及することにより、本発明をさらに例証する。しかしながら、これらの実施例は、上記の実施形態と同様に、例示的なものであって、如何なる点でも本発明の有効範囲を制限するよう意図されない、ということに留意すべきである。
一般合成手順
【0260】
DCCおよびDMAPの存在下で、活性化アミノ酸またはペプチド、例えばBOC−(S)−バリンをガランタミンまたは3−OHガランタミンに付加し得る。クロマトグラフィー段階後、ガランタミンプロドラッグをトリフルオロ酢酸で脱保護し得る。次いで、例えば、メタノール中の酒石酸の溶液をプロドラッグに付加することにより、プロドラッグの塩を生成し得る。
【0261】
実施例1〜6は、ガランタミンを種々の化学物質部分と共有結合させて、本発明の異なる実施形態を生じる一般的スキームを実証する。この開示から、本明細書中に記載されるような標準有機化学合成反応を用いて、当業者は、本発明のさらなる実施形態を合成することが可能である。
実施例1 − ガランタミン−(S)−バリンエステルタルトレートの合成
【0262】
ガランタミン−(S)−バリンエステルタルトレートの合成を、スキーム1に示すように実行した。
【化110】

【0263】
ジクロロメタン中のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下で、ガランタミンをBOC−(S)−バリンとカップリングさせて、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)により反応を触媒した。クロマトグラフィー後、反応は非常に良好な純度で89%の収率のエステルを得た。5分だけという非常に短い反応時間でのTFA脱保護化により、ガランタミン−(S)−バリンエステルジトリフルオロアセテートを得て、これを、水性重炭酸ナトリウムからジクロロメタン中に抽出することにより中和した。
【0264】
その結果生じたジアミン遊離塩基をテトラヒドロフラン中に溶解し、メタノール中のL−酒石酸の溶液で処理した。必要化合物が直ちに結晶化したので、濾過により収集し、洗浄し、真空乾燥した。HPLC分析は96%の純度を示し、CHN分析は生成物が一水和物であることを示した。
1H NMR(DMSO−d6)スペクトル
【0265】
6.72 (d, J = 8.1 Hz, 1 H, ArH), 6.58 (d, J = 8.1 Hz, 1 H, ArH), 6.42 (d, J = 10.5 Hz, 1 H, アルケンH), 5.80 (四重線, J = 5.1 Hz, 1 H, アルケン H), 5.29 (ブロード s, 1 H, CH−O.CO), 4.51 (ブロード s, 1 H, バリンα−CH), 4.17 + 3.64 (AB 系, J = 14.7 Hz, ArCH2N), 3.98 (s, 2 H, 2 × タルトレートCH), 3.72 (s, 3 H, ArOCH3), 3.45 (m, 1 H, C−O−Ar), 3.29 (m, 1 H, 0.5 × CH2N), 2.98 (m, 1 H, 0.5 × CH2N), 2.5 − 2.0 (m, 4 H, 1.5 × CH2 + バリン β−CH), 2.30 (m, 3 H, NCH3), 1.56 (d, 1 H, J = 13.2 Hz, 0.5 × CH2), 0.92 (t, J = 7.7 Hz, 6 H, 2 × バリン CH3).
実施例2 − ガランタミン−(S)−バリンエステルトリフルオロアセテートの合成
【0266】
ガランタミン−(S)−バリンエステルトリフルオロアセテートの合成を、スキーム1に示すように実行した。
【化111】

1H NMR(DMSO−d6)スペクトル
【0267】
8.33 (ブロード s, 3 H, NH3+), 6.89 (d, J = 8.1 Hz, 1 H, ArH), 6.81 (d, J = 8.1 Hz, 1 H, ArH), 6.52 (m, 1 H, アルケン H), 5.90 (m, 1 H, アルケン H), 5.38 (ブロード s, 1 H, C−O.CO), 4.9 − 4.2 (m, 4 H, C−O−Ar + バリン α−CH + ArC2N), 3.78 (s, 3 H, ArOCH3), 3.00 (ブロード s, 2 H, CH2N), 2.6 − 2.0 (m, 8 H, 2 × CH2 + NCH3 + バリン β−CH), 1.00 (m, 6 H, 2 × バリン CH3).
実施例3 − ガランタミン−(S)−フェニルアラニンカルバメートトリフルオロアセテートの合成
【0268】
この合成経路を、以下のスキーム3に示す。
【化112】

【0269】
(S)−フェニルアラニンtert−ブチルエステルヒドロクロリドを、ピリジンの存在下でジクロロメタン中のジホスゲンで処理した。0℃から室温に温めながら2時間撹拌後、必要なイソシアネートを水性ワークアップ後に単離し、次の反応段階に直ちに用いた。
【0270】
還流テトラヒドロフラン中で2日間、イソシアネートをガランタミン遊離塩基と反応させると、カラムクロマトグラフィー後に、ガランタミン−(S)−フェニルアラニンカルバメートtert−ブチルエステルを、その遊離塩基の形態で、良好な収率で得た。
【0271】
遊離塩基を、トリフルオロ酢酸(TFA)中で30分間撹拌して、tert−ブチルエステルを切断した。この反応時間低減を導入して、考え得る副産物の生成を最小限にする手助けをした。トリフルオロ酢酸の蒸発と、その後のクロロホルムとの共沸により、所望のガランタミン−(S)−フェニルアラニンカルバメートトリフルオロアセテートを、ほぼ定量的収率で、ガラス状固体として得た。
1H NMR(DMSO−d6)スペクトル
【0272】
7.53 (d, J = 8.1 Hz, 1 H, カルバメートNH), 7.4 − 7.2 (m, 5 H, 5 × フェニルアラニンArH), 6.88 (d, J = 8.1 Hz, 1 H, ArH), 6.81 (d, J = 8.1 Hz, 1 H, ArH), 6.31 (m, 1 H, アルケン H), 5.86 (m, 1 H, アルケンH), 5.02 (ブロード, 1 H, C−O.CO), 4.9 − 4.0 (m, 4 H, C−O−Ar + フェニルアラニン α−CH + ArC2N), 3.77 (s, 3 H, ArOCH3), 3.60 (m, 1 H, 0.5 × CH2N), 3.1 − 2.8 (m, 3 H, 0.5 × CH2N + フェニルアラニン β−CH2), 2.4 − 2.0 (m, 7 H, 2 × CH2 + NCH3).
実施例4 − ガランタミン−(S)−チロシンカルバメートトリフルオロアセテートの合成
【0273】
ガランタミン−(S)−チロシンカルバメートトリフルオロアセテートへの合成経路を、スキーム3に略記する。ジ−t−ブチル保護化(S)−チロシン(市販)を出発物質として用いた。
【化113】

【0274】
H−Tyr(OtBu)−OtBu−ヒドロクロリドを、ピリジンの存在下でジクロロメタン中のトルエン溶液中の20%ホスゲンで処理して、それをイソシアネートに転化した。0℃から室温に温めながら2時間撹拌後、必要なイソシアネートを水性ワークアップ後に単離し、次の反応段階に直ちに用いた。
【0275】
還流テトラヒドロフラン中で2日間、ガランタミン遊離塩基をイソシアネートと反応させると、カラムクロマトグラフィー後に、二重保護化カルバメートを、遊離塩基の形態で、良好な収率で得た。
【0276】
トリフルオロ酢酸を用いた脱保護化(室温で90分間)により、両保護基を除去した。濃縮と、その後のジエチルエーテルによる滴定の後、ガランタミン−(S)−チロシンカルバメートトリフルオロアセテートを、LCMSおよびNMRにより分析した場合に、95%以上純度の吸湿性ガラス状固体として得た。
1H NMR(DMSO−d6)スペクトル
【0277】
7.53 (d, J = 6.9 Hz, 1 H, カルバメートNH), 7.05 (d, J = 8.1 Hz, 2 H, 2 × チロシンArH), 6.88 (d, J = 8.4 Hz, 1 H, ArH), 6.81 (d, J = 8.4 Hz, 1 H, ArH), 6.69 (d, J = 8.1 Hz, 2 H, 2 × チロシンArH), 6.33 (m, 1 H, アルケンH), 5.86 (m, 1 H, アルケンH), 5.03 (ブロード, 1 H, C−O.CO), 4.9 − 4.0 (m, 4 H, C−O−Ar + チロシンα−CH + ArC2N), 3.78 (s, 3 H, ArOCH3), ca. 3.6 (不明瞭(obscured) m, 1 H, 0.5 × CH2N), 3.1 − 2.7 (m, 3 H, 0.5 × CH2N + チロシン β−CH2), 2.4 − 2.0 (m, 7 H, 2 × CH2 + NCH3).

実施例5 − ガランタミン−[スクシニル−(S)−バリン]エステルTFA塩の合成
【0278】
ガランタミン−[スクシニル−(S)−バリン]エステルトリフルオロアセテートの合成を、スキーム5に略記する。
【化114】

【0279】
文献の方法(Stupp et al. (2003). J. Am. Chem. Soc., 125, 12680−12681)に従って、(S)−バリンtert−ブチルエステルヒドロクロリドを、トリエチルアミンの存在下でジクロロメタン中の無水コハク酸と反応させることにより、必要なスクシニル−バリン半アミドを合成した。水性ワークアップ後、ジエチルエーテルおよびガソリンの混合物から結晶化により、綿毛状白色粉末として生成物を単離した。
【0280】
N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)により触媒されるジクロロメタン中のジシクロへきしるカルボジイミド(DCC)により媒介されるこの物質とのガランタミンのカップリングにより、高収率(81%)の半エステルを良好な純度で、クロマトグラフィー後に得た。トリフルオロ酢酸を用いたバリンカルボキシル基の脱保護化と、その後のジエチルエーテルによる滴定により、ガランタミン−[スクシニル−(S)−バリン]エステルトリフルオロアセテートを、定量的収率で、白色固体として得た。
1H NMR(DMSO−d6)スペクトル
【0281】
7.99 (d, J = 8.4 Hz, 1 H, アミドNH), 6.88 (d, J = 8.4 Hz, 1 H, ArH), 6.80 (d, J = 8.4 Hz, 1 H, ArH), 6.41 (m, 1 H, アルケンH), 5.88 (m, 1 H, アルケンH), 5.22 (ブロード, 1 H, CH−O.CO), 4.9 − 4.2 (m, 3 H, CH−O−Ar + ArCH2N), 4.14 (m, 1 H, バリンα−CH), 3.78 (s, 3 H, ArOCH3), 3.6 − 2.3 (m, 2 H, CH2N), 2.97 (s, 3 H, CH3N), 2.6 − 2.1 (m, 8 H, 2 × ガランタミンCH2 + 2 × スクシニルCH2), 2.04 (m, 1 H, バリン. β−CH2), 0.86 (d, J = 7.5 Hz, 2 × バリン CH3).

実施例6 − ガランタミン−(グルタリル−PABA)エステルトリフルオロアセテートの合成
【0282】
ガランタミングルタレートエステルトリフルオロアセテート(ガランタミングルタレート連結プロドラッグの調製のための重要中間体)の初期合成を、3段階で成し遂げた(以下のスキーム6に示す)。
【化115】

【0283】
無水グルタル酸を、トリエチルアミン、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)およびDMAPの存在下でトルエン中のtert−ブタノールで開環して、モノtert−ブチルグルタレートを得た。これを、ジクロロメタン中のDMAPの存在下でDCCを用いてガランタミンとカップリングさせて、tert−ブチル保護化ガランタミングルタレートエステルを得て、これを、カラムクロマトグラフィーにより精製した。トリフルオロ酢酸およびジクロロメタン中のtert−ブチルエステルの除去を進行して、ガランタミングルタレートトリフルオロアセテートを良好な収率で得た。
【0284】
ガランタミングルタレートトリフルオロアセテートと4−アミノ安息香酸(PABA)とのカップリングを、以下のスキーム7に示すように、2段階で成し遂げた:
【化116】

【0285】
ジクロロメタン中のDCCを用いて、ガランタミングルタレートトリフルオロアセテートをtert−ブチル−4−アミノベンゾエートとカップリングさせて、対応するtert−ブチル保護化ガランタミン(グルタリル−PABA)エステルを得て、これをカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0286】
TFAおよびジクロロメタン中のtert−ブチルエステルの除去により、ガランタミン(グルタリル−PABA)エステルトリフルオロアセテートの対応するトリフルオロ酢酸塩を得たが、これは任意のさらなる精製を必要としなかった。
1H NMR(DMSO−d6)スペクトル: 10.80 and 9.95 (br s, 1 H, NH+), 10.21 (s, 1 H, CONH), 7.87 (d, J = 8.8 Hz, 2 H, 2 × PABA ArH), 7.69 (d, J = 8.8 Hz, 2 H, 2 × PABA ArH), 6.85 (d, J = 8.3 Hz, 1 H, ArH), 6.78 (d, J = 8.3 Hz, 1 H, ArH), 6.47 − 6.37 (m, 1 H, アルケン H), 5.95 − 5.86 (m, 1 H, アルケン H), 5.24 (ブロード, 1 H, CH−O.CO), 4.87 − 4.59 (m, 2 H, ArCH2N), 4.39 − 4.19 (m, 1 H, CH−O−Ar), 3.86 − 3.74 (m, 1 H, 0.5 × CH2N), 3.72 (s, 3 H, ArOCH3), 3.61 − 3.48 (m, 1 H, 0.5 × CH2N), 2.98 (d, J = 4.2 Hz, 1.5 H, 0.5 × CH3N), 2.57 (br, 1 H, 0.33 × CH3N), 2.43 (s, 0.5 H, 0.17 × CH3N), 2.41 − 2.19 (m, 6 H, 2 × COCH2 およびガランタミンCH2), 2.12 − 1.99 (m, 1.5 H, 0.75 × ガランタミンCH2), 1.87 − 1.77 (m, 2.5 H, 0.25 × ガランタミンCH2 およびグルタリルCH2).
実施例7 − 人工胃および腸液中の種々のガランタミンプロドラッグの化学的安定性の査定
【0287】
胃および腸粘膜との直接媒介性局所相互作用の可能性を回避するために、プロドラッグは、その吸収前に腸管腔中に滞留中は無傷のままである。潜在的プロドラッグの安定性を評価するために、これらの化合物を、USP人工胃および腸液中で、37℃で2時間、あるいは、いくつかの場合には、より生体関連性の空腹状態人工腸液(FaSSIF)または摂食状態人工腸液(FeSSIF)中で、インキュベートした。www.dissolutiontech.com/DTresour/200405Articles/DT200405_A03.pdf参照
方法
【0288】
種々のガランタミンプロドラッグの水溶液を、USP人工胃液(pH1.2)および腸液(pH6.8)中で調製し、37℃でそれぞれ1または2時間インキュベートした。後者試験では、この方法を改良して、FaSSIF(空腹時)およびFeSSIF(摂食時)と呼ばれるより代表的な腸液を用いた。プロドラッグおよび活性薬剤の両方のHPLC分析のために、インキュベートアリコートを取り出した。
結果
【0289】
これらを、表5に示す。この表は、これらのプロドラッグが、人工USP胃液またはUSP人工胃液またはFaSSIF/FeSSIF中では本質的に安定であることを明示しており、したがって、胃に及ぼす、または腸内の薬剤の直接的局所作用はこれらの薬剤を用いて起こり得ず有望である。これは、任意の局所的媒介性嘔吐性応答の可能性を低減すると予測される。
【表5】

実施例8 − イヌおよびサルにおける種々のプロドラッグからのガランタミンの比較生物学的利用能
【0290】
有益であると予期されるプロドラッグに関しては、第一に、プロドラッグがGI管から効率的に吸収され、第二に、一旦、プロドラッグが全身循環中に存在すると、親活性薬剤分子が再生される、ということが不可欠である。したがって、2種類の高等動物、すなわちイヌおよびサルにおいて、多数の有望なプロドラッグに関して、比較経口的生物学的利用能試験を実行した。
【0291】
試験物質(すなわち、ガランタミンおよび種々のプロドラッグ共役体)を、経口胃管栄養法によりイヌまたはサルの種々の群に投与した。用量投与後の種々の時点で血液試料を採取して、有効LC−MS−MS検定を用いて、親薬剤に関する分析に付した。
【0292】
血漿分析データから得られる薬物動態パラメーター、例えばt1/2、AUC、絶対生物学的利用能等を、プログラムWin Nonlin(登録商標)を用いて確定した。
結果
【0293】
結果を、表6および7に示す。
【0294】
この試験の結果は、種々のアミノ酸共役対からのガランタミンの広範囲の生物学的利用能を示す。プロドラッグ共役体の最大収集物をイヌにおいて検査し、サルでは、より小さなコホートを検査した。
【0295】
イヌにおける最高全身利用可能性は単純バリンエステルを用いて認められた(表6参照)が、一方、血漿薬剤濃度の最長持続は、スクシニルバリンエステルおよびグルタリルPABAエステルプロドラッグの投与後に認められ、T>50%Cmax値(Cmaxの50%以上に保持される時間血漿レベル)は、非共役ガランタミンの投与後の2.3±0.38時間と比較して、それぞれ、6.75±1.08時間および4.05±0.98時間であった。両プロドラッグは良好な全体的全身利用可能性を生じ、それぞれ58.9および56%であった。これら2つのジカルボキシレート架橋エステルプロドラッグのほかに、2つのカルバメート架橋アミノ酸(フェニルアラニンおよびトリプトファン共役体)が、良好な薬物動態を示した。サルにおいて(表7参照)、さらにまた、最良に動作するプロドラッグ共役体はスクシニルバリンエステルおよびグルタリルPABAエステルで、相対的生物学的利用能はそれぞれ39および20%であった。血漿薬剤レベルの持続期間は、非共役ガランタミンの投与後の1.66±0.39時間と比較して、それぞれ>5.0時間および5.26±0.69時間であった。
【表6】

【表7】

実施例9 − イヌおよびサルにおけるガランタミンスクシニルバリンエステルからのガランタミンの血漿持続性に関する試験
【0296】
イヌおよびサルにおいて親薬剤形態で投与した場合、ガランタミンの血中レベルの持続または維持と比較して、ガランタミンスクシニルバリンエステルプロドラッグの投与後のガランタミンの血中レベルの持続または維持を試験するために、より詳細な検査を実行した。
【0297】
試験物質(すなわち、ガランタミン(親薬剤)またはガランタミンスクシニルバリンエステル(プロドラッグ))を、経口胃管栄養法により、5または6匹のビーグル犬またはカニクイザルの群に投与した。用量投与後の種々の時点で血液試料を採取して、有効LC−MS−MS検定を用いて、親薬剤に関する分析に付した。
【0298】
血漿分析データから得られる薬物動態パラメーター、例えばt1/2、AUC、絶対生物学的利用能等を、Win Nonlin(登録商標)データ分析プログラムを用いて確定した。
結果
【0299】
結果を、表8、9、10および11、ならびに図1、2、3および4に示す。
【0300】
イヌにおいて、薬物それ自体を投与後、ガランタミンに関する平均T>50%Cmax値(それらの最大値の50%以上に血漿薬剤濃度が保持される期間)は、2.26±0.29時間であった。これに対比して、スクシニルバリンエステルプロドラッグを投与後のT>50%Cmax値は6.28±0.98時間で、ほぼ3倍長かった。
【0301】
サルでは、薬物それ自体を投与後、ガランタミンに関する平均T>50%Cmax値は、1.5±0.39時間であった。これに対比して、スクシニルバリンエステルプロドラッグを投与後のT>50%Cmax値は4.85±0.98時間で、3倍を上回る長さであった。
【0302】
血漿薬剤レベル持続のこれらの増大により、薬剤投与回数を少なくすることが可能になり、さらに、有害GI事象(嘔吐および下痢)ならびに意図せぬ薬剤損失を最小限にし、したがって患者の応答および服薬遵守を改善するのに役立つはずである。
【表8】

【表9】

【表10】


【表11】

実施例10 − ガランタミンおよび種々のアミノ酸プロドラッグによるヒトアセチルコリンエステラーゼ抑制の比較インビトロ査定
【0303】
方法
【表12】

【0304】
実験条件
【表13】

結果の分析および表示
【0305】
試験化合物の存在下で得られた対照比活性のパーセント((測定比活性/対照比活性)×100)として、結果を表わす。
【0306】
IC50値(対照比活性の半最大抑制を生じる濃度)およびヒル係数(nH)を、ヒル方程式曲線適合(Y=D+[(A−D)/(1+(C/C50nH)])(式中、Y=比活性、D=最小比活性、A=最大比活性、C=化合物濃度、C50=IC50、およびnH=勾配因子)を用いて、平均反復値で生成された抑制曲線の非線状回帰分析により決定した。
【0307】
この分析を、Cerepで開発されたソフトウェア(ヒル・ソフトウェア)を用いて実施して、市販のソフトウェアSigmaPlot(登録商標)4.0ソフトウェアにより生成したデータとの比較により実証した。
【0308】
結果
【表14】

【0309】
表14で提示した結果は、ヒト赤血球に関して以前に報告された(0.35μM)よりも多少低いこの試験からの1.8μMというガランタミンに関する見掛けのIC50値を示すが、しかし、それでも、このような概算に関する予測値±0.5log単位内であった。
【0310】
ガランタミンに対比して、フェニルアラニンカルバメートプロドラッグは明らかに活性を有さなかったが、一方、ガランタミンのスクシニルバリンエステルおよびグルタリルPABAエステル共役体はともに、ヒトアセチルコリンエステラーゼに対する有意に低い抑制作用を実証した。これは、腸壁との接触時に、それらがコリン作動性応答を直接的に発揮するとは思われない、ということを意味する。実施例11、12および13として示されるその後の試験は、ガランタミンの嘔吐作用に関してこの意義を示す。
実施例11 − ウサギおよびヒトの胃輪状平滑筋調製物に及ぼすガランタミンおよびその共役体ガランタミンスクシニルバリンエステルの作用のex−vivo査定
【0311】
ガランタミンが胃輪状平滑筋に及ぼす直接作用を有し、潜在的にそれによってこの機序による嘔吐を引き出し得るか否かを確定するために、最初にウサギの、その後、ヒトの胃組織を用いて、この薬剤およびそのスクシニルバリンエステルプロドラッグの作用の研究を実行した。
方法
【0312】
ウサギまたはヒト胃平滑筋(無傷粘膜)の細片を洞領域から切り出して、プラチナ環状電極間に封入した。
【0313】
組織を〜1gの定常張力に引張って、力発生の変化を高感度変換器を用いて記録した。
【0314】
0.5msecのパルス幅で、14Hzでの電場刺激(EFS)で組織を鼓動させながら、刺激のための最適電圧を決定した。パルス列は50秒毎に20秒間起きた。
【0315】
プロトコール全体を通して、最適電圧でのEFSを継続した(安定応答=「EFSの基線測定値」)。
【0316】
3つの試験条件:
(1)ビヒクル(脱イオン水、試験物質に等容積付加で付加した)
(2)6つの濃度(100nM、1μM、3μM、10μM、30μM、100μM)でのガランタミン
(3)6つの濃度(100nM、1μM、3μM、10μM、30μM、100μM)でのガランタミンスクシニルバリンエステル
【0317】
基線EFSの10分後、試験物質またはビヒクル(脱イオン水)の初回付加を実施した。非累積的方法で試験濃度を付加し、各付加間にPSS洗浄した。
【0318】
次いで、TTX(Na+チャンネル遮断薬)の付加を実行して、神経刺激により引き出されたEFS応答を確証した。次に、EFSを停止し、次いで、アセチルコリン(1μM)を付加して、試験終了時にheck組織生存度を確証した。筋肉調製物の応答(力発生の変化)を、各試験化合物および濃度に関して測定した。
【0319】
この実験の結果は、平滑筋収縮を刺激するガランタミンそれ自体に関する用量応答の証拠を示す一方で、スクシニルバリンエステルプロドラッグによるこのような如何なる作用も完全に存在しないことも示す(図1および2)。これは、プロドラッグが、胃平滑筋の収縮を刺激し、それにより嘔吐を刺激するのにin vivoでほとんど作用を有し得ない、ということを示唆する。
実施例12 − Sprague Dawleyラットにおけるガランタミンの直接胃内嘔吐作用ならびに選択プロドラッグ、ガランタミンスクシニルバリンエステルの使用による回避の研究
【0320】
ガランタミンの直接胃内コリン作動性作用がこの薬剤の嘔吐作用に関与することを確証するために、非経口(皮下)または経口投与後の薬剤の作用についての比較を実施した。その後、候補プロドラッグであるガランタミンスクシニルバリンエステルの作用を調べるための試験を実行した。ラットは嘔吐反射を有さないため、いわゆるPICA行動(すなわち、非栄養物質(例えば、カオリン)の消費)の測定値を、嘔吐の代用として用いた。これは、ラットにおけるこの目的のために良好に確立されたモデルである(Takeda N et al (1993) 45 817−21)。
方法
【0321】
最初に、ガランタミンの最大耐容経口および皮下用量レベルを、ラットにおいて確立した。一旦確定されたら、24時間増量で0〜96時間に亘って、カオリン消費に及ぼすこれらの用量の作用についての比較を実施した。
【0322】
その後、単一回経口用量のガランタミン(40mg/kg)または種々の用量のガランタミンスクシニルバリンエステル(GSVE)(47mgまでのガランタミン遊離塩基含量)のラットへの投与後のカオリン消費についての比較を実施した。
【0323】
詳述すると、10匹のSprague Dawleyラットの群をカオリンに3日間慣らして、次に、網底ケージに1匹ずつ収容して、さらに2日間慣らした後、用量投与した。薬剤投与当日、動物には1時間餌を与えず、その後、用量投与した。t=0で、1%メチルセルロースビヒクルまたはLiCL 130mg塩基/kg(陽性対照)、あるいはガランタミン40mg遊離塩基/kgまたはガランタミンスクシニルバリンエステル 11.75、23.5および47mgガランタミン塩基含量/kg(経口)をラットに経口投与した。次いで、計量の食餌およびカオリンへのアクセスを回復させた。用量投与後24、48、72および96時間目に、食餌およびカオリンを計量した。
結果
【0324】
表15に示すように、経口(po)および皮下(sc)投与用量のガランタミンの比較急性毒性の初期査定は、3.5mg/kg(sc)が40mg/kg(po)の場合と大体同一の明白な臨床兆候を引き出す、ということを示した。したがって、これらの用量を、PICA行動に及ぼす作用の比較査定のために用いられるべき用量として選択した。
【0325】
表16に示すように、薬剤投与後96時間に亘るカオリン消費は、40mg/kgでの薬剤を経口投与した動物において有意に高いことが判明した。これは、嘔吐様活性を強く示している。それに対比して、皮下投与ラットは、96時間の前期間に亘って、対照と比較して、カオリン消費増大を全く示さなかった。これは、薬剤をこの経路で投与した場合、それは催吐性でないことを示唆している。食餌消費は経口およびsc群間で区別できないため、sc用量投与後のカオリン消費の欠如が薬剤誘導性食欲不振の単なる反映でなかった、ということは重要である。
【0326】
40mg/kgでのガランタミンそれ自体または47mg(ガランタミン遊離塩基含量)/kgまでのスクシニルバリンエステルプロドラッグの作用を比較するその後の試験は、前者が、再び、ラットにおいて顕著なPICA行動を誘導することを示した。表17に提示した結果は、プロドラッグを投与した場合、(ビヒクル単独後に観察されるものと比較して)カオリン消費の増大に関するいかなる証拠もほとんどないことを示す。96時間に亘るカオリンの比較消費は、ガランタミン(40mg/kg)、ガランタミンスクシニルバリンエステル(47mg/kg)およびビヒクルに関して、それぞれ4.69±2.43、0.91±0.45および0.75±0.27であった。これは、ガランタミンの嘔吐特性がこのプロドラッグの投与後に大いに低減され得た、ということを示唆する。
【表15】

【表16】

【表17】

実施例13 − フェレットにおける嘔吐活性に及ぼすガランタミンおよびその共役体の作用のin vivo査定
【0327】
嘔吐活性の前臨床査定のための古典的モデルはフェレットを用い、薬剤またはビヒクルの投与後2時間の期間に亘って吐き気および嘔吐の開始の数および時間を査定することを包含する。このモデルにおいて、ガランタミンそれ自体またはガランタミンスクシニルバリンエステルの作用の比較を実施した。
方法
【0328】
雄フェレットを、一晩、ならびに用量投与後2時間の観察期間の終了時まで、絶食させた。試験化合物を経口投与後、5mL/kgの水性ビヒクル容量を用いて、ガランタミン遊離塩基含量の重量に関して、mg/kgで表される用量で観察した。次に、ガランタミンの嘔吐作用に応答する動物を、プロドラッグの作用の査定に用いた。プロドラッグの投与用量は、薬剤それ自体に比しての、イヌでの、これらの化合物からのガランタミンの生物学的利用能に基づいた。例えば、25%のイヌにおける生物学的利用のうに基づいて、4×ガランタミン用量で、ガランタミンフェニルアラニンカルバメートエステルを投与した。同様に、ガランタミンスクシニルバリンエステルを、この薬剤それ自体の生物学的利用能の半分しか有さないこのプロドラッグに基づいて、2×ガランタミン用量で投与した。ガランタミンスクシニルバリンエステルは、それがガランタミンに匹敵する生物学的利用能を示したため、1×で投与した。吐き気および嘔吐の頻度および時機を、用量投与後2時間の期間に亘って記録した。
結果
【0329】
表18および19に提示する結果は、20mg(遊離塩基)/kgでのガランタミン治療後、全ての動物が吐き気を生じたかまたは嘔吐したわけではなかったが、しかしそれぞれ55%および40%の投与動物がそのようになった、ということを示す。同様のモル用量でのバリンエステル(valガランタミン)の経口投与は、多少低い作用を示した(それぞれ45%および18%)。しかしながら、40mg/ガランタミン(遊離塩基当量)/kgでスクシニルバリンエステルを経口投与した動物何れでも、吐き気または嘔吐は全く観察されなかった。これは、先ず、アセチルコリンエステラーゼ活性が大きく低減し、その後、ウサギまたはヒトの胃平滑筋を用いた単離器官浴研究では作用は欠如しており、最後に、ラットPICAモデルでは、作用は全く観察されなかったという以前の研究と一致している。
【表18】

【表19】

【0330】
本出願全体を通して引用される特許、特許出願、出版物、製品説明およびプロトコールは、その記載内容が参照により本明細書中に組み込まれる。本明細書中で例証し、考察した実施形態は、本発明を作製し、使用するための本発明人に最も既知の最良の方法を当業者に教示するためだけに意図されている。本明細書中で、本発明の範囲を限定するものは何もないと考えるべきである。上記教示にかんがみて当業者が理解するように、本発明の範囲を逸脱しない限り、本発明の上記の実施形態の修正および変更はなされ得る。したがって、特許請求の範囲内ならびにそれらと等価の範囲内で、本発明は、具体的に記載した以外の方法で実行可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

(式中、R1は、H、
【化2】

であり;
2は、H、CH3
【化3】

であり;
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基であり;
4、R5、R6およびR7の存在は、各々独立して、水素、
【化4】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり;
3の存在は、各々独立して、0または1であり;
4の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
5の存在は、各々独立して、0または1であり;
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖であり;
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
X’の存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
Yの存在は、各々独立して、
【化5】

であり;
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員へテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリール環である第二環をそこに縮合している)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項2】
1
【化6】

である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
2
【化7】

である請求項1記載の化合物。
【請求項4】
AAの存在が、各々独立して、バリン、フェニルアラニン、トリプトファンまたはチロシンのアミノ酸側鎖である請求項2または3記載の化合物。
【請求項5】
2がCH3であり;n2が1であり;R3の存在が、各々独立して、Hまたはアルキル基である請求項4記載の化合物。
【請求項6】
1
【化8】

である請求項1記載の化合物。
【請求項7】
1
【化9】

である請求項1記載の化合物。
【請求項8】
AAの存在が、各々独立して、バリン、フェニルアラニン、トリプトファンまたはチロシンのアミノ酸側鎖である請求項6または7記載の化合物。
【請求項9】
3がHであり、RAAがバリンのアミノ酸側鎖である請求項6または7記載の化合物。
【請求項10】
2がCH3であり;n2が1であり;R3がHである請求項9記載の化合物。
【請求項11】
1
【化10】

である請求項1記載の化合物。
【請求項12】
1
【化11】

である請求項1記載の化合物。
【請求項13】
Xが存在しない請求項11または12記載の化合物。
【請求項14】
AAの存在が、各々独立して、バリンまたはロイシンのアミノ酸側鎖である請求項13記載の化合物。
【請求項15】
3、R4およびR5の存在が各々Hであり;n1が2または3であり;そしてn2が1である請求項14記載の化合物。
【請求項16】
1が2であり、RAAがバリンのアミノ側鎖である請求項15記載の化合物。
【請求項17】
1
【化12】

である請求項1記載の化合物。
【請求項18】
1
【化13】

である請求項1記載の化合物。
【請求項19】
Yが
【化14】

である請求項17または18記載の化合物。
【請求項20】
1が3であり;n3が1であり;n4が0であり;Xが存在せず;X’の存在が、各々独立して、OまたはNHであり;R3の存在が、各々独立して、Hまたはアルキル基であり;R4およびR5がHであり、Cyの存在が、各々独立して、アリールである請求項19記載の化合物。
【請求項21】
3がHであり、X’がOである請求項20記載の化合物。
【請求項22】
1およびn3が0であり;n4が1であり;X’がNHであり;R3, R6およびR7がHであり、Cyがアリールである請求項19記載の化合物。
【請求項23】
1、n3およびn4が0であり;X’が存在せず;R3がHであり;Cyがアリールである請求項19記載の化合物。
【請求項24】
1、n3およびn4が0であり;X’がNHであり;R3がHであり;Cyがアリールである請求項19記載の化合物。
【請求項25】
1、n3およびn4が0であり;X’がNHであり;R3がHであり;そしてCyがヘテロアリールである請求項19記載の化合物。
【請求項26】
式1a:
【化15】

(式中、R2は、H、CH3
【化16】

であり;
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基であり;
4、R5、R6およびR7の存在は、各々独立して、水素、
【化17】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり;
3の存在は、各々独立して、0または1であり;
4の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
5の存在は、各々独立して、0または1であり;
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖であり;
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
X’の存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
Yの存在は、各々独立して、
【化18】

であり;
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員へテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリール環である第二環をそこに縮合している)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項27】
式1b:
【化19】

(式中、R2は、H、CH3
【化20】

であり;
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基であり;
4、R5、R6およびR7の存在は、各々独立して、水素、
【化21】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり;
3の存在は、各々独立して、0または1であり;
4の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
5の存在は、各々独立して、0または1であり;
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖であり;
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
X’の存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
Yの存在は、各々独立して、
【化22】

であり;
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員へテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリール環である第二環をそこに縮合している)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項28】
式1c:
【化23】


(式中、R2は、H、CH3
【化24】

であり;
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基であり;
4、R5、R6およびR7の存在は、各々独立して、水素、
【化25】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり;
3の存在は、各々独立して、0または1であり;
4の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
5の存在は、各々独立して、0または1であり;
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖であり;
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
X’の存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
Yの存在は、各々独立して、
【化26】

であり;
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員へテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリール環である第二環をそこに縮合している)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項29】
式1d:
【化27】


(式中、R2は、H、CH3
【化28】

であり;
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基であり;
4、R5、R6およびR7の存在は、各々独立して、水素、
【化29】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり;
3の存在は、各々独立して、0または1であり;
4の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
5の存在は、各々独立して、0または1であり;
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖であり;
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
X’の存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
Yの存在は、各々独立して、
【化30】

であり;
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員へテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリール環である第二環をそこに縮合している)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項30】
式1e:
【化31】


(式中、R1は、H、
【化32】

であり;
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基であり;
4、R5、R6およびR7の存在は、各々独立して、水素、
【化33】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり;
3の存在は、各々独立して、0または1であり;
4の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
5の存在は、各々独立して、0または1であり;
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖であり;
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
X’の存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
Yの存在は、各々独立して、
【化34】

であり;
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員へテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリール環である第二環をそこに縮合している)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項31】
式1f:
【化35】


(式中、R1は、H、
【化36】

であり;
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基であり;
4、R5、R6およびR7の存在は、各々独立して、水素、
【化37】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり;
3の存在は、各々独立して、0または1であり;
4の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
5の存在は、各々独立して、0または1であり;
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖であり;
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
X’の存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
Yの存在は、各々独立して、
【化38】

であり;
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員へテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリール環である第二環をそこに縮合している)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項32】
式1g:
【化39】


(式中、R1は、H、
【化40】

であり;
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基であり;
4、R5、R6およびR7の存在は、各々独立して、水素、
【化41】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり;
3の存在は、各々独立して、0または1であり;
4の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
5の存在は、各々独立して、0または1であり;
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖であり;
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
X’の存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
Yの存在は、各々独立して、
【化42】

であり;
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員へテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリール環である第二環をそこに縮合している)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項33】
式1h:
【化43】


(式中、R1は、H、
【化44】

であり;
3の存在は、各々独立して、水素、置換アルキル基または非置換アルキル基であり;
4、R5、R6およびR7の存在は、各々独立して、水素、
【化45】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
2の存在は、各々独立して、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり;
3の存在は、各々独立して、0または1であり;
4の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16であり;
5の存在は、各々独立して、0または1であり;
AAの存在は、各々独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖であり;
Xの存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
X’の存在は、各々独立して、(−NH−)、(−O−)であるかまたは存在せず;
Yの存在は、各々独立して、
【化46】

であり;
Cyの存在は、各々独立して、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員へテロシクリル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリールであって、この場合、Cyは任意に、5−または6−員ヘテロシクリル、5−または6−員シクロアルキル、5−または6−員アリールあるいは5−または6−員へテロアリール環である第二環をそこに縮合している)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項34】
式47:
【化47】


(式中、R4およびR5の存在は、各々独立して、水素、
【化48】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;そして
1の存在は、各々独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16である)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項35】
式48:
【化49】


(式中、R4およびR5の存在は、各々独立して、水素、
【化50】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
8は、CまたはNであり;そして
1は、各々独立して、0、1、2または3である)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項36】
式49:
【化51】


(式中、R4およびR5の存在は、各々独立して、水素、
【化52】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
9は、各々独立して、水素または
【化53】

として定義され;そして
1は、各々独立して、0、1、2または3である)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項37】
式50:
【化54】


(式中、R4およびR5の存在は、各々独立して、水素、
【化55】

置換アルキル基または非置換アルキル基から選択され;
8の存在は、各々独立して、CまたはNであり;
10は、水素または
【化56】

であり;そして
1の存在は、各々独立して、0、1、2または3である)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項38】
ガランタミンと比較してより低い有害消化管副作用を示す請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
前記消化管副作用が、嘔吐、悪心、腹部不快感、下痢またはその組合せである請求項38記載の化合物。
【請求項40】
請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物および1つ以上の製薬上許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項41】
ガランタミンと比較してより低い有害消化管副作用を示す請求項40記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記消化管副作用が、嘔吐、悪心、腹部不快感、下痢またはその組合せである請求項41記載の医薬組成物。
【請求項43】
疾患により引き起こされる認知障害の治療方法であって、請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物を前記認知障害に離間している患者に投与することを包含する方法。
【請求項44】
前記疾患がアルツハイマー病、血管性痴呆または自閉症である請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記化合物が、ガランタミン(スクシニル−S−バリン)エステル、ガランタミングルタリルPABAエステル、ガランタミン−(S)−フェニルアラニンカルバメートトリフルオロアセテート、ガランタミン−(S)−バリンエステルジ−トリフルオロアセテート、ガランタミン−(S)−バリンエステルタルトレート、ガランタミン−(S)−チロシンカルバメートトリフルオロアセテート、ガランタミン(スクシニル−S−バリン)エステルTFA、ガランタミン−スクシニルエステルまたはガランタミングルタレートである請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記化合物がガランタミン(スクシニル−S−バリン)エステルまたはガランタミングルタリルPABAエステルである請求項45記載の方法。
【請求項47】
ガランタミンの持続性血漿濃度を達成するための方法であって、請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物を投与することを包含する方法。
【請求項48】
請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物を投与することを包含するガランタミンの持続性血漿濃度を達成するための方法であって、そのT>50%Cmaxが、親薬剤に関するT>50%Cmaxと比較して少なくとも100%増大される方法。
【請求項49】
請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物を投与することを包含するガランタミンの持続性血漿濃度を達成するための方法であって、そのT>50%Cmaxが、親薬剤に関するT>50%Cmaxと比較して約200%〜約300%増大される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−500268(P2013−500268A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521866(P2012−521866)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/043166
【国際公開番号】WO2011/011766
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(507055017)シャイア エルエルシー (29)
【Fターム(参考)】