説明

ガリウム塩の製剤

本発明は、薬学的に許容されるガリウム塩(硝酸ガリウム等)、送達剤、ならびに、場合によっては1種または複数の化学療法剤および/または補助化学療法剤を含有する製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年12月29日出願の米国特許仮出願第60/640739号および2005年5月3日出願の米国特許仮出願第60/677533号の利益を主張する。これらの出願のそれぞれは、参照によりその全体を組み込む。
【0002】
本発明は、薬学的に許容されるガリウム塩(硝酸ガリウム等)、送達剤(delivery agent)、ならびに、場合によっては1種もしくは複数の化学療法剤および/または補助化学療法剤を含有する製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
薬物送達の通常の手段は、生物学的バリア、化学的バリア、および物理的バリアによってしばしば大幅に制限される。一般的に、これらのバリアは、それを通して送達が起こる環境、送達の標的の環境、および/または標的自体によって課される。物理的バリアの例には、一定の薬物に対して比較的に不浸透性であるが、循環系等の標的に到達する前に通り抜けなければならない、皮膚、脂質二重層および様々な器官の膜が含まれる。化学的バリアには、それだけには限らないが、消化管(GI)中のpH変化および分解酵素が含まれる。
【0004】
これらのバリアは、経口送達系の設計において特に重要である。薬物の通過を阻止、制限、または減少させる、生物学的バリア、化学的バリア、および物理的バリアがなければ、多くの薬物の経口送達は、投与のための最適な経路となるであろう。このカテゴリーの多数の薬剤の中に、ガリウム塩がある。
【0005】
米国特許第4529593号は、ヒトの個体における骨からのカルシウムの急速な喪失と関連する疾患の、その個体に硝酸ガリウム等の薬学的に許容されるガリウム化合物を投与することによる予防または治療の方法を開示している。
【0006】
米国特許第4704277号は、個体に硝酸ガリウム等の薬学的に許容されるガリウム化合物を投与することによって、骨増殖を増加させること、ヒドロキシアパタイトの溶解性を減少させること、骨中のヒドロキシアパタイト結晶のサイズおよび/または完全性を増加させること、ならびに/あるいは骨の引張強さを増加させることの方法を開示している。
【0007】
硝酸ガリウムは、Ganite(商標)、すなわち、十分な水和に反応しない明らかに徴候的な癌に関係した高カルシウム血症の治療用の静脈注射として現在市販されている。硝酸ガリウムは、その乏しい経口のバイオアベイラビリティのために、経口製剤として現在は入手可能ではない。Ganite(商標)のFDA承認表示によれば、硝酸ガリウムは、骨からのカルシウム吸収を抑制することによって、場合によっては増加した骨代謝回転を減少させることによってカルシウム低下効果を発揮する。
【0008】
さらに、Ganite(商標)のFDA承認表示によれば、高カルシウム血症は、悪性腫瘍の入院患者における共通の問題である。それは、癌患者の10〜20%に影響を及ぼしうる。異なるタイプの悪性腫瘍が、高カルシウム血症を生じる傾向において異なるようである。高カルシウム血症のより高い罹患率が、非小細胞肺癌、乳癌、多発性骨髄腫、腎臓癌、および頭頸部癌の患者に観測されている。悪性腫瘍の高カルシウム血症は、カルシウムの骨の純吸収量および尿中の排出量の間の不均衡に起因するようである。広範な骨融解性転移の患者は、しばしば高カルシウム血症を発生させる。このタイプの高カルシウム血症は、原発性乳癌でよくある。これらの患者のいくらかは、細尿管のカルシウム吸収を増加させたと報告されている。乳癌細胞は、局所の破骨細胞活性を刺激する、いくつかの潜在的な骨吸収要因を産生すると報告されている。液性高カルシウム血症は、肺、頭頸部、腎臓、および卵巣の充実性腫瘍でよくある。腫瘍細胞または宿主細胞のいずれかによって産生された全身性要因(例えば、PTH-rP)は、細胞外液、腎臓、および骨格の間のカルシウム異常流出変化に関わっている。骨髄腫の患者の約30%が、広範な溶骨性病変および糸球体ろ過障害に関連した高カルシウム血症を生じる。骨髄腫細胞が、近接した破骨細胞を刺激する局所要因を産生すると報告されている。高カルシウム血症は、拒食症、嗜眠、疲労、吐き気、嘔吐、便秘、多尿、脱水症、腎不全、精神状態の異常(impaired mental status)、昏睡、EKG異常および心拍停止を含めた一連の徴候および症候を生じることがある。
【0009】
高カルシウム血症の1タイプである、「非PTH媒介性高カルシウム血症(Non-PTH-Mediated Hypercalcemia)」は、破骨細胞活性の増加に起因することが理論づけられている。悪性疾患は、このタイプの高カルシウム血症の一般的原因であるが、それは他の原因によることもある。高濃度のカルシトリオールの肉芽腫性疾患は、サルコイドーシス、ベリリウム中毒、結核症、ハンセン病、コクシジオイデス症、ヒストプラスマ症の患者に見出されることがある。カルシウム濃度の医原疾患は、多くの薬剤(チアジド系利尿薬、炭酸カルシウム、ビタミンD過剰症、ビタミンA過剰症、リチウム、ミルクアルカリ症候群およびテオフィリン毒性)の摂取に次いで増加することがある。慢性腎不全、移植後状態および血液透析も高カルシウム血症を引き起こしうる。
【0010】
高カルシウム血症は、原発性副甲状腺機能亢進症からも生じうる。血漿中のカルシウムは、3種の主要なホルモン、すなわち、副甲状腺ホルモン(PTH)、1,25-ジヒドロキシビタミンD (すなわち、カルシトリオール)、およびカルシトニンの複雑な相互作用によって参照範囲内に維持される。これらの3種のホルモンは、主として骨、腎臓、および小腸部位に作用して、適切なカルシウム濃度を維持する。殆どの原発性副甲状腺機能亢進症の場合、カルシウムの上昇は、増加した腸内カルシウム吸収によって引き起こされる。これは、カルシウム吸収を増進するPTHにより誘発されたカルシトリオール合成によって媒介される。血清カルシウムの増加は、腎臓におけるカルシウムろ過の増加をもたらす。遠位尿細管におけるPTHにより媒介されたカルシウム吸収のために、予想されるよりも少ないカルシウムが排出される。一般的に、PTHにより媒介される高カルシウム血症においては、骨を破壊するPTHにより媒介される破骨細胞活性の殆どが、高カルシウム血症により誘発された骨沈着によって埋め合わせられるので、骨は積極的な役割を果たさない。
【0011】
治療の目標は、カルシウム濃度を安定させ減少させ、カルシウムの尿中排せつを増加させ、骨における破骨細胞活性を抑制し、可能であれば根本にある原因を処置することである。
【特許文献1】米国特許仮出願第60/640739号
【特許文献2】米国特許仮出願第60/677533号
【特許文献3】米国特許第4529593号
【特許文献4】米国特許第4704277号
【特許文献5】米国特許仮出願第60/619418号
【特許文献6】米国特許仮出願第60/569476号
【特許文献7】米国特許第5650386号
【特許文献8】国際公開第00/46182号
【特許文献9】国際公開第00/59863号
【特許文献10】国際公開第03/057650号
【特許文献11】米国特許第6699467号
【特許文献12】米国特許第6663898号
【特許文献13】米国特許第6693208号
【特許文献14】米国特許第6693073号
【特許文献15】米国特許第6693898号
【特許文献16】米国特許第6663887号
【特許文献17】米国特許第6646162号
【特許文献18】米国特許第6642411号
【特許文献19】米国特許第6627228号
【特許文献20】米国特許第6623731号
【特許文献21】米国特許第6610329号
【特許文献22】米国特許第6558706号
【特許文献23】米国特許第6525020号
【特許文献24】米国特許第6461643号
【特許文献25】米国特許第6461545号
【特許文献26】米国特許第6440929号
【特許文献27】米国特許第6428780号
【特許文献28】米国特許第6413550号
【特許文献29】米国特許第6399798号
【特許文献30】米国特許第6395774号
【特許文献31】米国特許第6391303号
【特許文献32】米国特許第6384278号
【特許文献33】米国特許第6375983号
【特許文献34】米国特許第6358504号
【特許文献35】米国特許第6346242号
【特許文献36】米国特許第6344213号
【特許文献37】米国特許第6331318号
【特許文献38】米国特許第6313088号
【特許文献39】米国特許第6245359号
【特許文献40】米国特許第6242495号
【特許文献41】米国特許第6221367号
【特許文献42】米国特許第6180140号
【特許文献43】米国特許第6100298号
【特許文献44】米国特許第6100285号
【特許文献45】米国特許第6099856号
【特許文献46】米国特許第6090958号
【特許文献47】米国特許第6084112号
【特許文献48】米国特許第6071510号
【特許文献49】米国特許第6060513号
【特許文献50】米国特許第6051561号
【特許文献51】米国特許第6051258号
【特許文献52】米国特許第6001347号
【特許文献53】米国特許第5990166号
【特許文献54】米国特許第5989539号
【特許文献55】米国特許第5976569号
【特許文献56】米国特許第5972387号
【特許文献57】米国特許第5965121号
【特許文献58】米国特許第5962710号
【特許文献59】米国特許第5958451号
【特許文献60】米国特許第5955503号
【特許文献61】米国特許第5939381号
【特許文献62】米国特許第5935601号
【特許文献63】米国特許第5879681号
【特許文献64】米国特許第5876710号
【特許文献65】米国特許第5866536号
【特許文献66】米国特許第5863944号
【特許文献67】米国特許第5840340号
【特許文献68】米国特許第5824345号
【特許文献69】米国特許第5820881号
【特許文献70】米国特許第5811127号
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【特許文献72】米国特許第5792451号
【特許文献73】米国特許第5776888号
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【特許文献75】米国特許第5766633号
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【特許文献81】米国特許第5650386号
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【特許文献84】米国特許第5601846号
【特許文献85】米国特許第5578323号
【特許文献86】米国特許第5541155号
【特許文献87】米国特許第5540939号
【特許文献88】米国特許第5451410号
【特許文献89】米国特許第5447728号
【特許文献90】米国特許第5443841号
【特許文献91】米国特許第5401516号
【特許文献92】米国特許公開出願第20040110839号
【特許文献93】米国特許公開出願第20040106825号
【特許文献94】米国特許公開出願第20040068013号
【特許文献95】米国特許公開出願第20040062773号
【特許文献96】米国特許公開出願第20040022856号
【特許文献97】米国特許公開出願第20030235612号
【特許文献98】米国特許公開出願第20030232085号
【特許文献99】米国特許公開出願第20030225300号
【特許文献100】米国特許公開出願第20030198658号
【特許文献101】米国特許公開出願第20030133953号
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【特許文献103】米国特許公開出願第20030072740号
【特許文献104】米国特許公開出願第20030045579号
【特許文献105】米国特許公開出願第20030012817号
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【特許文献108】米国特許公開出願第20020127202号
【特許文献109】米国特許公開出願第20020120009号
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【特許文献112】米国特許公開出願第20020065255号
【特許文献113】米国特許公開出願第20020052422号
【特許文献114】米国特許公開出願第20020040061号
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【特許文献180】米国特許第6048851号
【特許文献181】米国特許第6087354号
【特許文献182】米国特許第5196412号
【特許文献183】米国特許第6562870号
【特許文献184】米国特許第5525598号
【特許文献185】米国特許第5556645号
【特許文献186】米国特許第5686116号
【特許文献187】米国特許第6087354号
【特許文献188】米国特許第6165514号
【非特許文献1】T.W. Greene、Protecting Groups in Organic Synthesis、Wiley、New York (1981年)
【非特許文献2】Finnegan他、Inorganic Chemistry、26:2171〜2176頁(1987年)
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【非特許文献8】Foster他、「Gallium Nitrate: The Second Metal With Clinical Activity」、Cancer Treatment Reports、70:1311:1319 (1986年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
高カルシウム血症を治療するのに十分なバイオアベイラビリティを提供するガリウム塩のための改良された経口送達系が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、薬学的に許容されるガリウム塩、好ましくは硝酸ガリウム、および少なくとも1種の送達剤を含む製剤である。送達剤は、送達を促進しガリウム塩のバイオアベイラビリティを増加させる。好ましいガリウム塩は、硝酸ガリウム九水和物(Ga(NO3)3.9H2O)である。好ましくは、上記製剤は、経口で投与される。本発明の経口製剤は、好ましくは1日1回のみの投与を必要とする。流体およびループ利尿薬を用いたまたは用いないより頻繁な投与も、本発明の範囲内であると考えられる。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態は、薬学的に許容されるガリウム塩、好ましくは硝酸ガリウム、および少なくとも1種の送達剤の持続放出経口製剤である。ガリウム塩の抗カルシウム作用は、スケジュール関連(すなわち、より低い濃度への長期被曝は、高用量を用いた短期の処置よりも骨吸収のより大きな抑制作用を生じる)であるため、本発明の持続放出経口処方は、改善された効能を提供しうる。持続放出処方はまた、吐き気、嘔吐、および腎不全の増大したリスク等の、ガリウム塩の急速な吸収に起因する望ましくない副作用を減少させうる。
【0015】
別の好ましい実施形態は、ヒトの摂取で、
(a)約0.1から約5μg/mlまたは約0.9から約2.0μg/mlの血漿ガリウム濃度、
(b)約1000から約2500ng/mlのガリウムの平均定常血漿濃度、または
(c)高カルシウム血症(癌に関係した高カルシウム血症等の)のヒトにおける少なくとも2.0mg/dlの血清カルシウム(アルブミン補正)の減少
の1つまたは複数を提供する、薬学的に許容されるガリウム塩、好ましくは硝酸ガリウム、および少なくとも1種の送達剤を含む経口製剤である。
【0016】
別の実施形態は、有効量の本発明の製剤を哺乳類に投与することによる、それを必要とする哺乳類(例えば、ヒト)における高カルシウム血症の治療または予防方法である。例えば、上記製剤を、癌に関係した高カルシウム血症を治療するために投与することができる。好ましい一実施形態においては、哺乳類は、高カルシウム血症を患っているヒトであり、12mg/dL未満の血清カルシウム(アルブミン補正)を有する。
【0017】
さらに別の実施形態は、哺乳類に有効量の本発明の製剤を投与することによる、哺乳類(ヒト等の)における骨からのカルシウムの過剰な(または急速な)喪失に関係した疾患の治療または予防方法である。このような疾患には、それだけには限らないが、高カルシウム血症、骨減少症、骨粗鬆症、悪性腫瘍からの転移による骨の老化、副甲状腺機能亢進症、腎臓病、医原病(薬害を含めた)、および歯周病が含まれる。
【0018】
さらに別の実施形態は、哺乳類に有効量の本発明の製剤を投与することによって、高カルシウム血症、骨脆弱性、あるいは異常に増加したカルシウム吸収または放出に関係した他の疾患を患う哺乳類(ヒト等の)における骨からのカルシウムの吸収または放出を抑制する方法である。
【0019】
さらに別の実施形態は、哺乳類に有効量の本発明の製剤を投与することによる、哺乳類(例えば、ヒト)における骨からのカルシウムの過剰な(または急速な)喪失による骨痛の治療方法である。
【0020】
さらに別の実施形態は、哺乳類に有効量の本発明の製剤を投与することによる、哺乳類(例えば、ヒト)における骨からのカルシウムの過剰な(または急速な)喪失による骨折の予防方法である。
【0021】
さらに別の実施形態は、哺乳類に有効量の本発明の製剤を投与することによる、哺乳類(例えば、ヒト)において、骨増殖を増加させること、ヒドロキシアパタイトの溶解性を減少させること、骨中のヒドロキシアパタイト結晶のサイズおよび/または完全性を増加させること、ならびに/あるいは骨の引張強さを増加させることの方法である。
【0022】
さらに別の実施形態は、哺乳類に有効量の本発明の製剤を投与することによって、哺乳類(例えば、ヒト)における、骨組織中のカルシウム沈着を増加させることおよび/または骨吸収を減少させることの方法である。
【0023】
前述の方法のいずれも、流体(水等の)、ループ利尿薬、化学療法薬、および補助化学療法薬(フィルグラスチムおよびエリスロポエチン等の)、またはこれらの任意の組合せの投与によって補うことができる。
【0024】
さらに別の実施形態は、哺乳類に有効量の本発明の製剤を投与することによる、それを必要とする哺乳類(例えば、ヒト)への、硝酸ガリウム等のガリウム塩の投与方法である。
【0025】
さらに別の実施形態は、少なくとも1種の送達剤、少なくとも1種の薬学的に許容されるガリウム塩、および、場合によっては、1種または複数の薬学的に許容される添加剤または賦形剤を混合することによる、本発明の製剤の調製方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
定義
「約」または「おおよそ」という用語は、当分野の通常の技術の1つにより決定して、特定の数値の許容される誤差範囲内を意味し、それは、いかに数値が測定または決定されるかに、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存することになる。例えば、「約」は、当分野の手法によって、1つまたは複数の標準偏差内を意味しうる。別法として、処方に関しての「約」は、10%までの範囲、好ましくは5%までの範囲を意味しうる。
【0027】
「アルキル」、「アルケニル」、「アルコキシ」、「アルキレン」、「アルケニレン」、「アルキル(アリーレン)」、および「アリール(アルキレン)」という用語には、それだけには限らないが、それぞれ、直鎖または分枝の、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキレン、アルケニレン、アルキル(アリーレン)、およびアリール(アルキレン)基が含まれる。
【0028】
「薬学的に許容される」という句は、哺乳類に投与されたときに、生理的に耐えられ、異常亢進、目まい等の、アレルギーまたは類似の有害反応を一般的に生じない化合物または組成物を意味する。
【0029】
「有効量のガリウム塩」または「有効量の硝酸ガリウム」は、状況、疾患または状態の治療または予防のために哺乳類に投与されるときに、治療または予防を実施するのに十分である、1種もしくは複数のガリウム塩、または硝酸ガリウム(その溶媒和、活性代謝物、プロドラッグ、またはそのラセミ化合物もしくは光学異性体(塩がキラル中心を有すると仮定して))の量を意味する。「有効量」は、活性成分、治療すべき状況、疾患、または状態およびその重篤性、ならびに治療すべき哺乳類の年齢、体重、健康状態および反応性に応じて変わる。本発明の一実施形態によれば、治療有効量のガリウム塩は、上記の疾患のいずれか1つを治療するのに有効な量である。ガリウム塩は、第2の薬剤(悪性腫瘍および高カルシウム血症等の、前述の疾患のいずれかを治療するための、ループ利尿薬、化学療法薬、補助の化学療法薬等の)で補うことができる。
【0030】
「有効量の送達剤」は、所望の量のガリウム塩の、例えば、消化管からの吸収を促進する送達剤の量を意味する。
【0031】
「有効量の製剤」は、ある期間にわたってそれが投与される対象の状態を治療するまたは予防するのに有効である、例えば、所望の投与間隔に治療効果を提供する記載された製剤の量である。一般的に、有効量の製剤は、所望の状態を所望の期間にわたって治療または予防するためのガリウム塩および少なくとも1種の送達剤の総量を含む(すなわち、有効量の送達剤および有効量のガリウム塩)。
【0032】
本明細書では、「治療する」という用語には、
(a)疾患を阻止すること、発症を遅らせること(すなわち、疾患の臨床症状の前の期間)および/または疾患を発現させるまたは悪化させることのリスクを減少させること、
(b)例えば、高カルシウム血症を含めた、哺乳類の疾患の少なくとも1症状を緩和または軽減すること、あるいは
(c)それだけには限らないが、所与の刺激(例えば、圧力、組織障害または低温)に応じた疾患を含めた、哺乳類が患う疾患の徴候の強度および/または期間を緩和または軽減することの1つまたは複数が含まれる。「治療する」という用語にはまた、状態(例えば、病気)、状態の症状、または状態になりやすい傾向を、予防的に防ぐこと、治すこと、いやすこと、軽減すること、緩和すること、変更すること、矯正すること、改良すること、改善すること、または影響を及ぼすことが含まれる。
【0033】
本明細書で使用される「持続放出」という用語は、同じ活性成分の「即時放出」の処方と比べてより低いピーク血漿濃度および長期のTmaxをもたらす、長期間にわたる活性成分の放出を意味する。
【0034】
「バイオアベイラビリティ」という用語は、活性成分(ガリウム塩)または活性部分が、製剤から吸収され、全身的に利用できるようになる割合と程度を意味する。
【0035】
「多形」という用語は、物質の結晶学的に相異なる形態を意味する。
【0036】
本明細書で用いる「水和物」という用語には、それだけには限らないが、(i) 分子形態に結合した水を含む物質、および(ii) 結晶水の1もしくは複数分子、または遊離水を含む結晶質を含む結晶性物質が含まれる。
【0037】
本明細書で用いられる「SNAC」という用語は、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ) カプリル酸およびその一ナトリウムおよび二ナトリウム塩を含めたその薬学的に許容される塩を意味する。「SNAC遊離酸」という用語は、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ) カプリル酸を意味する。他に指示がない限り、「SNAC」という用語は、SNAC三水塩、およびその両方を参照により本明細書に組み込む、米国特許仮出願第60/619418号および第60/569476号に記載されたもの等の、SNACの全ての不定形および多形の形態を含めた、SNACの全ての形態を意味する。本明細書で用いられる「SNAC三水塩」という用語は、水の3分子がSNACの各分子と会合しているSNACの結晶形を意味する。SNACは、米国特許第5650386号、および国際公開第00/46182号および第00/59863号に記載された手順で調製することができる。
【0038】
本明細書で用いられる「SNAD」という用語は、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)デカン酸およびその一ナトリウム塩を含めたその薬学的に許容される塩を意味する。他に指示がない限り、「SNAD」という用語は、SNADの全ての不定形および多形の形態を含めた、SNADの全ての形態を意味する。
【0039】
本明細書で用いられる「4-CNAB」という用語は、4-[(4-クロロ-2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]ブタン酸(4-[(2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾイル)アミノ]ブタノエートとしても知られる)およびそのナトリウム塩(例えば、一ナトリウム塩)を含めたその薬学的に許容される塩を意味する。他に指示がない限り、「4-CNAB」という用語は、4-CNABの全ての不定形および多形を含めた、4-CNABの全ての形態を意味する。「ナトリウム4-CNAB」および「一ナトリウム4-CNAB」という用語は、他に指示がない限り、その無水物、一水和物、およびイソプロパノール溶媒和物、ならびにその不定形および多形の形態(参照により本明細書に組み込む国際公開第03/057650号に記載されたものを含めて)を含めた、一ナトリウム4-[(2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾイル)アミノ]ブタノエートを意味する。
【0040】
本明細書で用いられる「溶媒和物」という用語には、それだけには限らないが、溶媒の分子もしくはイオンと、送達剤もしくはガリウム塩の分子もしくはイオンとの分子錯体またはイオン結合型錯体が含まれる。
【0041】
「送達剤」という用語は、開示されたまたは参照により本明細書に組み込む送達剤化合物のいずれかを意味する。
【0042】
「補助化学療法剤」という用語には、化学療法剤の副作用を治療、軽減、緩和または改善する薬剤が含まれる。このような薬剤には、血液細胞の増殖および成熟を改変するものが含まれる。補助化学療法剤の例には、それだけには限らないが、フィルグラスチムおよびエリスロポエチンが含まれる。
【0043】
「ガリウム塩」という用語には、1種または複数のガリウム塩、そのガリウム錯体および活性代謝物、プロドラッグ、ラセミ化合物、光学異性体、ならびに水和物が含まれる。
【0044】
「化学療法剤」という用語には、悪性腫瘍およびその転移を、治療し、予防し、治し、いやし、軽減し、緩和し、変更し、矯正し、改善し、改良し、または影響を及ぼす任意の薬剤が含まれる。このような薬剤(「抗腫瘍薬」としても知られる)の例には、それだけには限らないが、プレドニゾン、フルオロウラシル(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU))、アナストロゾール、ビカルタミド、カルボプラチン、シスプラチン、クロラムブシル、ドセタキセル、ドキソルビシン、フルタミド、インターフェロンα、レトロゾール、ロイプロリド、メゲストロール、マイトマイシン、パクリタクセル、プリカマイシン(Mithracin(商標))、タモキシフェン、チオテパ、トポテカン、バルビシン(valrubicin)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、および前述のもののいずれかの任意の組合せが含まれる。
【0045】
式1および2において用いられる「2-OH-Ar」または「2-HO-Ar」という用語は、2位においてヒドロキシ基で置換されたアリール基を意味する。
【0046】
送達剤化合物
適切な送達剤には、次の構造を有するものおよびその薬学的に許容される塩が含まれる。
2-HO-Ar-C(O)-NR8-R7-COOH 式(1)
[式中、
Arは、OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシまたはC1〜C4ハロアルコキシで場合によっては置換されたフェニルまたはナフチルであり、
R7は、C4〜C20アルキル、C4〜C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1〜C10アルキル)フェニル、(C1〜C10アルケニル)フェニル、(C1〜C10アルキル)ナフチル、(C1〜C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1〜C10アルキル)、フェニル(C1〜C10アルケニル)、ナフチル(C1〜C10アルキル)、またはナフチル(C1〜C10アルケニル)であり、
R8は、水素、C1からC4アルキル、C2からC4アルケニル、C1からC4アルコキシ、C1〜C4またはハロアルコキシであり、
R7は、C1からC4アルキル、C2からC4アルケニル、C1からC4アルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシ、-OH、-SH、および-CO2R9またはそれらの任意の組合せで場合によっては置換され、
R9は、水素、C1からC4アルキルまたはC2からC4アルケニルであり、
R7は、酸素、窒素、硫黄またはそれらの任意の組合せで場合によっては中断され、
但し、該化合物は、酸性基またはその塩に対するα位においてアミノ基で置換されていない]
【0047】
一実施形態によれば、Arは、ハロゲンで置換されている。
【0048】
好ましくは、R7は、C4〜C20アルキルまたはフェニル(C1〜C10アルキル)である。より好ましくは、R7は、C5〜C10アルキルまたはフェニル(C2アルキル)である。最も好ましくは、R7は、C7〜C9アルキルまたはフェニル(C2アルキル)である。
【0049】
他の適切な送達剤には、次の構造を有するものおよびその薬学的に許容される塩が含まれる。
2-OH-Ar-C(O)-NH-R1-R2 式(2)
[式中、
Arは、フェニルまたはナフチルであり、
Arは、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、アリールオキシ、複素環、C5〜C7炭素環、ハロゲン、-OH、-SH、CO2R6、-NR7R8、または-N+R7R8R9Y-で場合によっては置換され、
(a) R1は、C1〜C16アルキレン、C2〜C16アルケニレン、C2〜C16アルキニレン、C6〜C16アリーレン、(C1〜C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C1〜C16アルキレン)であり、
R2は、-NR3R4または-N+R3R4R5Y-であり、
R3およびR4は、それぞれ独立に、水素、酸素、ヒドロキシ、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル、置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、
R5は、それぞれ独立に、水素、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル、置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、
(b) R1、R2、およびR5は、上記に定義された通りであり、
R3およびR4は、結合して5、6もしくは7員の複素環、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキソ基もしくは炭素環で置換された5、6もしくは7員の複素環を形成し、または
(c) R2およびR5は、上記に定義された通りであり、
R1およびR3は、結合して5、6もしくは7員の複素環、またはC1〜C6アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、もしくはオキソ基もしくは炭素環で置換された5、6もしくは7員の複素環を形成し、
R4は、水素、酸素、ヒドロキシ、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル、置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、
R6は、水素、C1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、あるいはハロゲンまたは-OHで置換されたC2〜C4アルケニルであり、
R7、R8、およびR9は、それぞれ独立に、水素、酸素、C1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、あるいはハロゲンまたは-OHで置換されたC2〜C4アルケニルであり、
Yは、ハロゲン、水酸化物、スルフェート、ナイトレート、ホスフェート、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、またはカルボキシレートである。適切なカルボキシレートの非制限的な例はアセテートである]
【0050】
式(2)の化合物に関して本明細書で用いられる「置換された」という用語には、それだけには限らないが、ヒドロキシルおよびハロゲンが含まれる。
【0051】
一実施形態においては、Arは、置換されていないフェニル、あるいは1もしくは複数のC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、またはハロゲンで置換されたフェニルである。より好ましくは、Arは、メトキシ、Cl、FまたはBrで置換されたフェニルであり、さらにより好ましくは、Arは、Clで置換されたフェニルである。
【0052】
別の実施形態においては、R1は、C1〜C12アルキル、C2〜C8アルキル、C2〜C6アルキル、またはC6アルキルである。
【0053】
別の実施形態においては、R3およびR4は、それぞれ独立に、HもしくはC1〜C2アルキルであり、またはさらに、R3およびR4は、両方ともHではなく、またはさらに、R3およびR4は、それぞれ独立にメチルもしくはエチルであり、より好ましくは、R3およびR4は、両方ともメチルである。
【0054】
他の適切な送達剤には、次の構造を有するものおよびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0055】
【化1】

【0056】
[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素、-OH、-NR6R7、ハロゲン、C1〜C4アルキル、またはC1〜C4アルコキシであり、
R5は、置換または非置換のC2〜C16アルキレン、置換または非置換のC2〜C16アルケニレン、置換または非置換のC1〜C12アルキル(アリーレン)、あるいは置換または非置換のアリール(C1〜C12アルキレン)であり、
R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、酸素、またはC1〜C4アルキルである]
【0057】
式(3)に関して使用される「置換された」という用語には、それだけには限らないが、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C4アルキル、およびC1〜C4アルコキシの以下の置換基のいずれか1つまたはいずれかの組合せによる置換が含まれる。
【0058】
他の適切な送達剤には、次の構造を有するものおよびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0059】
【化2】

【0060】
[式中、
(a) R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-C(O)R8、-NO2、-NR9R10、または-N+R9R10R11(Y-)であり、
R8は、水素、-OH、C1〜C6アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されていないまたは置換されたC2〜C4 アルケニル、あるいは-NR14R15であり、
R9、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、酸素、ハロゲンまたは-OHで置換されていないまたは置換されたC1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されていないまたは置換されたC2〜C4アルケニルであり、
Yは、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、ナイトレート、ホスフェート、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボキシレート、メシレート、フマレート、マロネート、スクシネート、タルトレート、アセテート、グルコネート、マレエートであり、
R5は、H、-OH、-NO2、ハロゲン、CF3、-NR14R15、-N+R14R15R16(Y-)、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カーボネート、尿素、または-C(O)R22であり、R5は、ハロゲン、-OH、-SH、または-COOHで場合によっては置換され、R5は、O、N、S、または-C(O)-で場合によっては中断され、
R14、R15、およびR16は、それぞれ独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R22は、H、C1〜C6アルキル、-OH、-NR14R15であり、
R6は、置換または非置換のC1〜C16アルキレン、C2〜C16アルケニレン、C2〜C16アルキニレン、C5〜C16アリーレン、(C1〜C16アルキル)アリーレンまたはアリール(C1〜C16アルキレン)であり、R6は、C1〜C7アルキルまたはC1〜C7シクロアルキルで場合によっては置換され、
R7は、-NR18R19または-N+R18R19R20Y-であり、
R18およびR19は、それぞれ独立に、ハロゲン、酸素、ヒドロキシ、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルキル)カルボニル)、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルフィニル)、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルホニル)、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルコキシ)カルボニル)、または置換または非置換のアリールオキシカルボニル、または置換または非置換のC5〜C7複素環(すなわち、5、6、または7員の複素環)、ここで、置換は、ハロゲンまたは-OHであってよく、
R20は、それぞれ独立に、水素、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルキル)カルボニル)、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルフィニル)、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルホニル)、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルコキシ)カルボニル)、または置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、あるいは
(b) R1〜R16およびR20は、上記に定義された通りであり、
R18およびR19は、結合して、場合によってはオキソ基で中断され、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール、アリールオキシ、または炭素環で置換されていないまたは置換された5、6、または7員の複素環を形成する]
【0061】
一実施形態によれば、R7は、モルホリノ、モルホリニウム塩、またはジエタノールアミノである。
【0062】
別の実施形態によれば、R6は、C1〜C16アルキレンであり、R7は、モルホリノまたはモルホリニウム塩である。好ましくは、R6は、置換されていないC4〜C12アルキレン等のC4〜C12アルキレンである。より好ましくは、R6は、置換されていないC4〜C10、C4〜C8、またはC6〜C8アルキレン等のC4〜C10、C4〜C8、またはC6〜C8アルキレンである。一実施形態によれば、R1〜R5の1つは、ヒドロキシであり、例えば、R1は、ヒドロキシであってよい。
【0063】
さらに別の実施形態によれば、R6がC1〜C10アルキレンであるとき、R2およびR4の多くて1つは、ハロゲンである。別の実施形態によれば、R6は、C8〜C16、C9〜C16、C10〜C16、またはC11〜C16アルキレンである。例えば、R6は、C8、C9、C10、C11、またはC12アルキレン(例えば、ノルマルC8〜C12アルキレン)であってよい。さらに別の実施形態によれば、R1およびR5の多くて1つは、アルキルである。
【0064】
さらに別の実施形態によれば、R1は、ヒドロキシであり、R2、R3、R4、およびR5は、それぞれ独立に、水素またはハロゲンである。
【0065】
さらに別の実施形態によれば、R2は、ヒドロキシであり、R1、R3、R4、およびR5は、それぞれ独立に、水素またはハロゲンである。
【0066】
さらに別の実施形態によれば、R3は、ヒドロキシであり、R1、R2、R4、およびR5は、それぞれ独立に、水素またはハロゲンである。
【0067】
好ましい一実施形態においては、ハロゲンは、F、ClまたはBrであり、より好ましくはFまたはClであり、一層好ましくはClである。
【0068】
さらに別の実施形態によれば、R6は、C1〜C16アルキレン、(C1〜C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C1〜C16アルキレン)である。より好ましくは、R6は、C1〜C12アルキレンであり、より好ましくはC3〜C10アルキレンであり、より好ましくはC4〜C10またはC4〜C8アルキレン、より好ましくはC6〜C8アルキレンである。より好ましくは、R6は、置換されていない。
【0069】
さらに別の実施形態によれば、R7は、-NR18R19であり、R18およびR19は、それぞれ独立に、-OHで置換されたC1〜C4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、またはブチル)である。別の実施形態においては、R7は、-NR18R19であり、R18およびR19は、結合してオキソ基で置換された6員の複素環を形成する。
【0070】
好ましい一実施形態によれば、R1は、水素であり、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、-OH、または-OCH3であり、R5は、水素、-OH、または-C(O)CH3であり、R6は、C1〜C12アルキレンであり、R7は、NR18R19であり、ここで、R18およびR19は、結合して5、6、または7員の複素環を形成する。
【0071】
別の好ましい実施形態によれば、R3、R4、およびR5の1つは、ヒドロキシであり、その他は、それぞれ独立に、ハロゲンまたは水素であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、ハロゲンまたは水素であり、R6は、C1〜C6アルキレンであり、R7は、NR18R19であり、ここで、R18およびR19は、結合して5、6、または7員の複素環を形成する。R6は、好ましくは、置換されていないC6〜C16、C6〜C10、C8〜C16、C10〜C16、またはC4〜C8アルキレン等のC6〜C16、C6〜C10、C8〜C16、C10〜C16、またはC4〜C8アルキレンである。好ましくは、R18およびR19は、モルホリノまたはイミダゾールを形成する。
【0072】
別の好ましい実施形態においては、R1は、水素であり、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、-OH、または-OCH3であり、R5は、水素、-OH、または-C(O)CH3であり、R6は、C1〜C12アルキレンであり、R7は、N+R18R19R20(Y-)であり、ここで、R18およびR19は、ヒドロキシで置換されたC1〜C16アルキルであり、R20は水素である。
【0073】
別の好ましい実施形態においては、R1は、水素であり、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、-OH、または-OCH3であり、R5は、水素、-OH、または-C(O)CH3であり、R6は、C1〜C12アルキレンであり、R7は、N+R18R19R20(Y-)であり、ここで、R18およびR19は、ヒドロキシで置換されたC1〜C16アルキルであり、R20は水素である。
【0074】
別の好ましい実施形態においては、R1、R2、R4、R5は、それぞれ独立に、ハロゲンまたは水素であり、R3は、-OH、または-OCH3であり、R7は、N+R18R19R20(Y-)であり、ここで、R18およびR19は、ヒドロキシで置換されたC1〜C16アルキルであり、R20は水素である。
【0075】
好ましい一実施形態によれば、R1は、水素であり、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、-OH、または-OCH3であり、R5は、水素、-OH、または-C(O)CH3であり、R6は、C1〜C6アルキレンまたはアリールで置換されたC1〜C12アルキルであり、R7は、-NR18R19であり、ここでR18およびR19は、結合して5、6、または7員の複素環、またはN+R18R19R20(Y-)を形成し、ここでR18およびR19は、ヒドロキシで置換されたC1〜C16アルキルであり、R20は水素である。
【0076】
別の好ましい実施形態においては、送達剤のクエン酸塩が使用される。
【0077】
他の適切な送達剤には、次の構造を有するものおよびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0078】
【化3】

【0079】
[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-C(O)R8、-NO2、-NR9R10、またはN+R9R10R11(R12)-であり、
R5は、H、-OH、-NO2、ハロゲン、-CF3、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カーボネート、尿素、または-C(O)R18であり、
R5は、ハロゲン、-OH、-SH、または-COOHで場合によっては置換され、
R5は、O、N、S、または-C(O)-によって場合によっては中断され、
R6は、C1〜C12アルキレン、C2〜C12アルケニレン、またはアリーレンであり、
R6は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1-C4アルコキシ、-OH、-SH、ハロゲン、-NH2、または-CO2R8で場合によっては置換され、
R6は、OまたはNで場合によっては中断され、
R7は、結合またはアリーレンであり、
R7は、-OH、ハロゲン、-C(O)CH3、-NR10R11、または-N+R10R11R12(R13)-で場合によっては置換され、
R8は、H、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、または-NH2であり、
R9、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R13は、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、テトラフルオロホウ酸塩、またはホスフェートであり、
R14、R15およびR16は、それぞれ独立に、H、C1〜C10アルキル、-COOHで置換されたC1〜C10アルキル、C2〜C12アルケニル、-COOHで置換されたC2〜C12アルケニル、-C(O)R17であり、
R17は、-OH、C1〜C10アルキル、またはC2〜C12アルケニルであり、
R18は、H、C1〜C6アルキル、-OH、-NR14R15、またはN+R14R15R16(R13)である]
【0080】
一実施形態によれば、
(1) R1、R2、R3、R4およびR5がHであり、R7が結合であるとき、R6はC1〜C6、C9またはC10アルキルではなく、
(2) R1、R2、R3、およびR4がHであり、R5が-OHであり、R7が結合であるとき、R6はC1〜C3アルキルではなく、
(3) R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つがHではなく、R5が-OHであり、R7が結合であるとき、R6はC1〜C4アルキルではなく、
(4) R1、R2、およびR3がHであり、R4が-OCH3であり、R5が-C(O)CH3であり、R6が結合であるとき、R7はC3アルキルではなく、
(5) R1、R2、R4、およびR5がHであり、R3が-OHであり、R7が結合であるとき、R6はメチルではない。
【0081】
好ましい一実施形態によれば、R1は、水素であり、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、-OH、または-OCH3であり、R5は、水素、-OH、または-C(O)CH3であり、R6は、C1〜C12アルキレンであり、R7は、結合またはパラ-フェニレンである。R7は、より好ましくはC7〜C9アルキルである。
【0082】
別の好ましい実施形態によれば、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、水素、-C(O)CH3、-OH、Cl、-OCH3、F、または-NO2である。より好ましい一実施形態においては、R2は、-C(O)CH3、-OH、-OCH3、または-Clである。別のより好ましい実施形態においては、R3は、Cl、-OCH3、F、または-OHである。さらに別のより好ましい実施形態においては、R4が、-OCH3または-NO2である。
【0083】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R5は、-C(O)CH3、-OH、H、-CH=CHCH3、-NH2、-NO2、-NHC(O)CH3、-CH=CHCO2H、-C(O)CH2CH3、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3、-COOH、-C(O)NHCH2CH3、-C(O)NHCH(CH3)2、-OCH3、-C(CH3)2OH、-C(OH)(CH3)2、または-CH(OH)CH3である。
【0084】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R6は、直鎖C1〜C2アルキレンである。より好ましくは、R6は-(CH2)n-であり、ここでnは1から10までの整数である。
【0085】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R4およびR5は、アルキルまたはハロゲンではない。
【0086】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は、パラ-フェニレンまたは結合である。
【0087】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R6は、-CH2-であり、R7は、フェニレンであり、より好ましくはパラ-フェニレンである。より好ましくは、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、水素である。より好ましくは、R5は、-C(O)CH3、-OHまたは-C(CH3)2OHである。
【0088】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は、結合であり、R5は、-OHであり、R1、R2、R3、およびR4は、水素である。R6は、好ましくはC4〜C12アルキレンであり、より好ましくはC4〜C9アルキレンである。
【0089】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は、結合であり、R5は、-OHであり、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、水素ではない。R6は、好ましくはC1〜C12アルキレンであり、より好ましくはC5〜C12アルキレンであり、最も好ましくはC5〜C9アルキレンである。
【0090】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は、結合であり、R5は、-C(O)CH3であり、R1、R2、R3、およびR4は、水素である。R6は、好ましくはC1〜C12アルキレンであり、より好ましくはC3〜C12アルキレンであり、最も好ましくはC3〜C7アルキレンである。
【0091】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は、結合であり、R1、R2、R3、R4、およびR5は、水素である。好ましくは、R6は、C7〜C8アルキレンである。
【0092】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R7は、結合であり、R5は、水素であり、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つは、水素ではない。R6は、好ましくはC1〜C12アルキレンであり、より好ましくはC4〜C9アルキレンであり、最も好ましくはC7〜C8アルキレンである。
【0093】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R2は、-OHである。より好ましくは、R7は、結合であり、R5は、水素である。好ましくは、R6は、C1〜C12アルキレンであり、より好ましくはC3〜C9アルキレンであり、最も好ましくはC7アルキレンである。
【0094】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R3は、-OHである。より好ましくは、R7は、結合であり、R5は、水素である。R6は、好ましくはC1〜C12アルキレンであり、より好ましくはC3〜C9アルキレンであり、最も好ましくはC7アルキレンである。
【0095】
他の適切な送達剤には、次の構造を有するものおよびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0096】
【化4】

【0097】
[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、-OH、ハロゲン、-OCH3、-NR10R11または-N+R10R11R12(R13)-であり、
R5は、H、-OH、-NO2、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カーボネート、尿素、または-C(O)R18であり、
R5は、-OH、-SH、または-COOHで場合によっては置換され、
R5は、O、N、S、または-C(O)-で場合によっては中断され、
R6は、C1〜C12アルキレン、C1〜C12アルケニレン、またはアリーレンであり、
R6は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-OH、-SH、ハロゲン、-NH2、または-CO2R9で場合によっては置換され、
R6は、OまたはNで場合によっては中断され、
R7は、結合またはアリーレンであり、
R7は、-OH、ハロゲン、-C(O)CH3、-NR10R11または-N+R10R11R12(R13)-で場合によっては置換され、
R8は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
R9は、H、C1〜C4アルキル、またはC2〜C4アルケニルであり、
R10、R11、およびR12は、それぞれ独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R13は、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、テトラフルオロホウ酸塩、またはホスフェートであり、
R14、R15、およびR16は、それぞれ独立に、H、C1〜C10アルキル、C2〜C12アルケニル、O、または-C(O)R17であり、
R17は、-OH、C1〜C10アルキル、またはC2〜C12アルケニルであり、
R18は、-OH、C1〜C6アルキル、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-である]
【0098】
一実施形態によれば、R5が、OCH3であるとき、R6は、C1〜C8またはC10〜C12アルキルである。
【0099】
好ましい一実施形態によれば、R5は、-OCH3ではない。より好ましくは、R5は、アルコキシではない。
【0100】
別の好ましい実施形態によれば、R1、R2、R3、およびR4は、水素であり、R5は、-COOH、-C(O)NH2、-C(O)CH3または-NO2であり、R6は、-(CH2)7-であり、R7は、結合である。
【0101】
さらに別の好ましい実施形態によれば、R1、R2、R3、およびR4は、水素であり、R5は、-C(O)NH2であり、R6は、-CH2-であり、R7は、パラ-フェニレンである。
【0102】
一実施形態によれば、式(6)の送達剤は、次の式を有する。
【0103】
【化5】

【0104】
[式中、
R19は、-NO2または-C(O)R23であり、
R20は、C1-C12アルキレンまたはC1-C12アルケニレンであり、
R21は、結合またはアリーレンであり、
R22は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
R23は、-OH、C1〜C6アルキル、または-NH2である]
【0105】
好ましい送達剤には、それだけには限らないが、SNAC、SNAD、8-(N-2-ヒドロキシ-5-クロロベンゾイル)アミノカプリル酸、8-(N-2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)-アミノカプリル酸、4-CNAB、およびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0106】
好ましい一実施形態によれば、送達剤は、SNACまたはその薬学的に許容される塩である。一実施形態においては、送達剤は、SNACのナトリウム塩である。別の実施形態においては、送達剤は、SNACの一ナトリウム塩であり、例えば、その両方を参照により本明細書に組み込む、2004年5月6日出願の米国特許仮出願第60/569476号、および2004年10月15日出願の米国特許仮出願第60/619418号に開示された一ナトリウムSNACの多形の形態のいずれかであってよい。さらに別の実施形態においては、送達剤は、SNACの二ナトリウム塩である。
【0107】
別の好ましい実施形態によれば、送達剤は、SNADまたはその薬学的に許容される塩である。一実施形態においては、送達剤は、SNADのナトリウム塩である。別の実施形態においては、送達剤は、SNADの二ナトリウム塩である。
【0108】
さらに別の好ましい実施形態によれば、送達剤は、4-CNABまたはその薬学的に許容される塩である。一実施形態においては、送達剤は、4-CNABのナトリウム塩である。ナトリウム4-CNABは、参照により本明細書に組み込む、国際公開第03/057650号に記載された不定形および多形の形態のいずれかであってよい。
【0109】
本発明の他の最適な送達剤は、米国特許第6699467号、同6663898号、同6693208号、同6693073号、同6693898号、同6663887号、同6646162号、同6642411号、同6627228号、同6623731号、同6610329号、同6558706号、同6525020号、同6461643号、同6461545号、同6440929号、同6428780号、同6413550号、同6399798号、同6395774号、同6391303号、同6384278号、同6375983号、同6358504号、同6346242号、同6344213号、同6331318号、同6313088号、同6245359号、同6242495号、同6221367号、同6180140号、同6100298号、同6100285号、同6099856号、同6090958号、同6084112号、同6071510号、同6060513号、同6051561号、同6051258号、同6001347号、同5990166号、同5989539号、同5976569号、同5972387号、同5965121号、同5962710号、同5958451号、同5955503号、同5939381号、同5935601号、同5879681号、同5876710号、同5866536号、同5863944号、同5840340号、同5824345号、同5820881号、同5811127号、同5804688号、同5792451号、同5776888号、同5773647号、同5766633号、同5750147号、同5714167号、同5709861号、同5693338号、同5667806号、同5650386号、同5643957号、同5629020号、同5601846号、同5578323号、同5541155号、同5540939号、同5451410号、同5447728号、同5443841号、および同5401516号に記載されている。本発明の送達剤は、米国特許公開出願第20040110839号、同20040106825号、同20040068013号、同20040062773号、同20040022856号、同20030235612号、同20030232085号、同20030225300号、同20030198658号、同20030133953号、同20030078302号、同20030072740号、同20030045579号、同20030012817号、同20030008900号、同20020155993号、同20020127202号、同20020120009号、同20020119910号、同20020102286号、同20020065255号、同20020052422号、同20020040061号、同20020028250号、同20020013497号、同20020001591号、同20010039258号、および同20010003001号にも記載されている。本発明の送達剤は、国際公開第2004/4104018号、同2004080401号、同2004062587号、同2003/057650号、同2003/057170号、同2003/045331号、同2003/045306号、同2003/026582号、同2002/100338号、同2002/070438号、同2002/069937号、同02/20466号、同02/19969号、同02/16309号、同02/15959号、同02/02509号、同01/92206号、同01/70219号、同01/51454号、同01/44199号、同01/34114号、同01/32596号、同01/32130号、同00/07979号、同00/06534号、同00/06184号、同00/59863号、同00/59480号、同00/50386号、同00/48589号、同00/47188号、同00/46182号、同00/40203号、同99/16427号、同98/50341号、同98/49135号、同98/34632号、同98/25589号、同98/21951号、同97/47288号、同97/31938号、同97/10197号、同96/40076号、同96/40070号、同96/39835号、同96/33699号、同96/30036号、同96/21464号、同96/12475号、および同9612474号にも記載されている。上記に挙げた米国特許ならびに米国および国際公開出願は、参照により本明細書に組み込む。
【0110】
カルボン酸として表される送達剤化合物は、カルボン酸またはその塩の形態であってよい。適切な塩には、それだけには限らないが、有機塩および無機塩、例えば、ナトリウム(例えば、一ナトリウムおよび二ナトリウム塩)、カリウムおよびリチウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウムまたはバリウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、リジンまたはアルギニン等の塩基性アミノ酸、ならびにジメチルアミンまたはピリジン等の有機アミンが含まれる。好ましくは、塩は、ナトリウム塩である。塩は、一ナトリウム塩および二ナトリウム塩等の一価または多価の塩でよい。塩は、エタノール溶媒和物、および水和物を含めた溶媒和物でもよい。
【0111】
アミンとして表される送達剤は、遊離アミンまたはその塩の形態でよい。適切な塩には、それだけには限らないが、有機塩および無機塩、例えば、ナトリウム塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、フッ化塩、炭酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、酸化物、ギ酸塩、酢酸塩またはクエン酸塩が含まれる。
【0112】
本発明の送達剤化合物の塩は、当分野で周知の方法で調製することができる。例えば、ナトリウム塩は、送達剤化合物をエタノールに溶解し水酸化ナトリウム水溶液を添加することによって調製することができる。
【0113】
送達剤が、アミン部分およびカルボン酸部分を有する場合、1種または複数のこれらの化合物を含むポリアミノ酸およびペプチドを使用することができる。アミノ酸は、少なくとも1つの遊離アミン基を有する任意のカルボン酸であり、天然および合成のアミノ酸を含む。ポリアミノ酸は、ペプチド(ペプチド結合で一緒になった2つ以上のアミノ酸である)であるか、あるいは、例えば、エステルまたは脱水結合(anhydride linkage)によって連結することができる他の基によって形成された結合によって連結された2つ以上のアミノ酸であるかのいずれかである。ペプチドは、2つのアミノ酸のジペプチドから、数百のアミノ酸のポリペプチドまで長さが変わりうる。1つまたは複数のアミノ酸またはペプチド単位は、アシル化またはスルホン化することができる。
【0114】
送達剤は、国際公開第03/045306号に記載されたようなそれにコンジュゲートしたポリマーを含むことができる。例えば、送達剤およびポリマーは、そのポリマー性送達剤がポリペプチドまたはポリアミノ酸ではないという条件で、-NHC(O)NH-、-C(O)NH-、-NHC(O)、-OOC-、-COO-、-NHC(O)O-、-OC(O)NH-、-CH2NH-NHCH2-、-CH2NHC(O)O-、-OC(O)NHCH2-、-CH2NHCOCH2O-、-OCH2C(O)NHCH2-、-NHC(O)CH2O-、-OCH2C(O)NH-、-NH-、-O-、および炭素-炭素結合からなる群から選択される結合基(linkage group)によりコンジュゲートすることができる。ポリマーは、それだけには限らないが、哺乳類への使用に安全である、交互共重合体、ブロック共重合体およびランダム共重合体を含めた任意のポリマーでよい。
【0115】
好ましいポリマーには、それだけには限らないが、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ならびにその誘導体およびそれらの組合せが含まれる。ポリマーの分子量は、一般的に約100から約200,000ダルトンの範囲にわたる。ポリマーの分子量は、好ましくは、約200から約10,000ダルトンの範囲にわたる。一実施形態においては、ポリマーの分子量は、約200から約600ダルトンの範囲にわたり、より好ましくは、約300から約550ダルトンの範囲にわたる。
【0116】
本明細書に記載された化合物は、アミノ酸から誘導することができ、それらの全てを参照により組み込む国際公開第96/30036号、第97/36480号、第00/06534号、第00/46812号、第00/50386号、第00/59863号、第01/32596号、および第00/07979号、ならびに米国特許第5643957号、第5650386号、および第5866536号に記載されているもののような当分野の技術の範囲の方法によってアミノ酸から容易に調製することができる。例えば、化合物は、単一アミノ酸を、アミノ酸に存在する遊離アミノ部分と反応してアミドを形成する、適切なアシル化剤またはアミン修飾剤と反応させることによって調製することができる。保護基を、当分野の技術者に周知の望まれていない副反応を避けるために使用することができる。保護基に関しては、その開示を、参照により本明細書に組み込むT.W. Greene、Protecting Groups in Organic Synthesis、Wiley、New York (1981年)を参照されたい。
【0117】
送達剤化合物は、再結晶によって、または単独のまたはタンデムに連結した1つまたは複数の固体クロマトグラフィー担体上の分別によって精製することができる。適切な再結晶溶媒系には、それだけには限らないが、アセトニトリル、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ヘプタン、水、テトラヒドロフラン、およびそれらの組合せが含まれる。分別は、メタノール/n-プロパノール混合物を移動相として使用するアルミナ等の適切なクロマトグラフィー担体上、トリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合物を移動相として使用する逆相クロマトグラフィー、および、水または適切な緩衝液を移動相として使用するイオン交換クロマトグラフィーで実施することができる。アニオン交換クロマトグラフィーが実施される場合、好ましくは0〜500mM塩化ナトリウム勾配が使用される。
【0118】
ガリウム塩および錯体
使用することができるガリウム塩は、硝酸塩、マルトレート(maltolate)、クエン酸塩、ハロゲン化物(好ましくは塩化物)、炭酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、酸化物および水和酸化物、ならびに参照により本明細書に組み込む米国特許第4529593号および第4704277号に記載されたものを含めた薬学的に許容されるものである。一般的に、これらのガリウム塩は、非放射性である。好ましいガリウム塩には、それだけには限らないが、塩化ガリウム、および硝酸ガリウム、ならびに硝酸ガリウム九水和物等のその水和物が含まれる。
【0119】
使用することができるガリウム錯体には、米国特許第5258376号、第5574027号、第5883088号、第5968922号、第5981518号、第5998397号、第6004951号、第6048851号、および第6087354号に記載されたもの、ならびにFinnegan他、Inorganic Chemistry、26:2171〜2176頁(1987年)およびFarrar他、Food and Chemical Toxicology、26:523〜525頁(1988年)に記載されたものが含まれる。これらの参照文献のそれぞれを、参照により本明細書に組み込む。例えば、3-ヒドロキシ-4-ピロン(マルトールの錯体等の)のガリウムキレートおよび錯体を使用することができる。
【0120】
一実施形態においては、製剤におけるガリウム錯体は、中性の3:1(ヒドロキシピロン:ガリウム)錯体であり、その中で、ヒドロキシピロンは、置換されていない3-ヒドロキシ-4-ピロン[ピロメコン酸(pyromeconic acid)]か、または1から3の低級アルキル置換基(メチル、エチル、イソプロピル、およびn-プロピル基を含めた)で置換された3-ヒドロキシ-4-ピロンかのいずれかである。さらなる実施形態においては、3-ヒドロキシ-4-ピロンは、3-ヒドロキシ-4-ピロン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4-ピロン、3-ヒドロキシ-2-エチル-4-ピロン、および3-ヒドロキシ-6-メチル-4-ピロンである。剤形におけるヒドロキシピロン:ガリウム錯体の量は、例えば、0.9から1800mgまたは9から360mgでよい。
【0121】
別の実施形態においては、製剤におけるガリウム錯体は、中性の3:1(ヒドロキシピロン:ガリウム)錯体であり、ヒドロキシピロンは次の式を有し、
【0122】
【化6】

【0123】
式中、それぞれのRは、水素、および1から6個の炭素原子からのアルキルから独立に選択される。さらなる実施形態においては、Rは、非環式で非分枝である。ガリウム錯体中のヒドロキシピロンは、例えば、マルトール、またはピロメコン酸でよい。一実施形態によれば、錯体は、ガリウムマルトレート (トリス(3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オナト)ガリウム)である。参照により本明細書に組み込む、Bernstein他、「Chemistry and Pharmacokinetics of Gallium Maltolate. A Compound With High Oral Gallium Bioavailability」、Metal-Based Drugs 7(1):33〜47頁(2000年)を参照されたい。
【0124】
前述のガリウムヒドロキシピロン錯体は、胃液のpHを約5〜9に、好ましくは約6〜7に上昇させるための薬剤的に相溶性の緩衝剤と共に投与することができる。このような緩衝剤の例には、それだけには限らないが、炭酸カルシウム(CaCO3)、および炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)が含まれる。一実施形態においては、ガリウム錯体は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、および/または過剰の遊離ヒドロキシピロン(または生理的に許容されるカチオンを含むその塩)と共に投与される。遊離ヒドロキシピロンのガリウム錯体に対する重量比は、好ましくは、0.1から100の範囲にわたる。一実施形態においては、ガリウム錯体は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、および/または過剰の遊離ヒドロキシピロン(または生理的に許容されるカチオンを含むその塩)を含むまたは含まない遅延放出製剤で投与される。緩衝剤および/または遊離ヒドロキシピロンを、本発明の製剤中に含む、またはそれと共に同時に投与することができる。
【0125】
別の実施形態においては、ガリウムは、次の式を有する錯体として投与され、
【0126】
【化7】

【0127】
式中、R1のそれぞれの出現は、C1〜C8 n-アルキルであり、R2のそれぞれの出現は、HまたはC1〜C2アルキルであり、あるいはR1およびR2は一緒になって、テトラまたはペンタメチレンを形成する。参照により本明細書に組み込む米国特許第5196412号を参照されたい。
【0128】
別の実施形態によれば、製剤は、約0.01、0.1、または0.5から約1、5、10、または20グラムまでのガリウム塩を含む。さらに別の実施形態によれば、製剤は、ヒトの摂取で、約10から約400または1400mg/m2/日、より好ましくは100〜300mg/m2/日を提供するのに十分な量のガリウム塩を含む。さらに別の実施形態によれば、製剤は、ヒトの摂取で、
(a) 約0.1から約5μg/m1または約0.9から約2.0μg/mlの血漿ガリウム濃度
(b) 約1000から約2500ng/mlのガリウムの平均定常血漿濃度、または
(c) 高カルシウム血症(癌に関係した高カルシウム血症等の)のヒトにおける少なくとも2.0mg/dlの血清カルシウム(アルブミン補正)の減少
の1つまたは複数を提供するのに十分な量のガリウム塩を含む。
【0129】
送達系
製剤は、液体または固体の形態でよい。液体処方は、水ベースでよい。投与溶液は、送達剤の溶液をガリウム塩の溶液と、投与の前に混合することによって調製することができる。別法として、送達剤(またはガリウム塩)の溶液は、ガリウム塩(または送達剤)の固体形態と混合することができる。送達剤およびガリウム塩は、乾燥粉末として混合し、次いで溶液に溶解することもできる。安定化添加剤(Stabilizing additive)を、溶液中に、例えば、約0.1から20%(重量/体積)の間にわたる濃度で混合することができる。この溶液は、リン酸緩衝生理食塩水およびクエン酸塩緩衝剤等の薬学的に許容される担体を含むこともできる。他の適切な添加剤には、塩化ナトリウムおよびブドウ糖が含まれる。
【0130】
固体製剤は、錠剤、カプセル(硬質および軟質ゼラチンカプセルを含めた)、粉末およびサッシェ等の、粒子の形態でよい。固体剤形は、送達剤の固体形態をガリウム塩の固体形態と混合することによって調製することができる。別法として、固体は、送達剤およびガリウム塩の溶液から、フリーズドライ(凍結乾燥)、沈殿、結晶化および固体分散体等の、当分野で周知の方法によって得ることができる。
【0131】
本発明の製剤は、1種または複数の酵素阻害薬を含むこともできる。このような酵素阻害薬には、それだけには限らないが、アクチノニンまたはエピアクチノニン(epiactinonin)およびそれらの誘導体等の化合物が含まれる。他の酵素阻害薬には、それだけには限らないが、アプロチニン(Trasylol)およびBowman-Birk阻害薬が含まれる。
【0132】
製剤は、賦形剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤、フィラー、可塑剤、着色剤、着香料(flavorant)、味覚マスキング剤(taste-masking agent)、糖、甘味料、塩のいずれか1つまたは組合せ、およびそれだけには限らないが、水、1,2-プロパンジオール、エタノール、オリーブ油、またはそれらの任意の組合せを含めた投与媒体を含むことができる。
【0133】
製剤中に含まれるガリウム塩(例えば、硝酸ガリウム)の量は、含ガリウム塩の目標の適応症に対する目的を達成するのに有効な量である。製剤中のガリウム塩の量は、一般的に、薬理学的に、生物学的に、治療的に、または化学的に有効な量である。しかしながら、その量は、製剤が本発明の単位剤形(dosage unit form)中に使用される場合のその量未満であってよい。というのは、単位剤形は、複数の送達剤/ガリウム塩製剤を含むことができ、あるいは分配された、薬理学的に、生物学的に、治療的に、または化学的に有効な量を含むことができるからである。全ての有効量を、したがって、ガリウム塩の有効量を全体で含む累積の単位で投与することができる。
【0134】
使用すべきガリウム塩の総量は、当分野の技術者に周知の方法によって決定することができる。しかしながら、本発明の製剤は、ガリウム塩を単独で含む処方に比べてより効率的にガリウム塩を送達することができるので、従来の単位剤形または送達系で使用される量に比べてより少量のガリウム塩を、同じ血中濃度および治療効果を達成したまま、対象に投与することができる。
【0135】
上記送達剤は、特に経口剤形において、ガリウム塩の送達を促進するが、経鼻、舌下、十二指腸内、皮下、頬の、結腸内の(intracolonic)、直腸の、膣の、粘膜の、肺の、経皮的な、皮内の、非経口の、静脈内の、筋肉内の、および眼内の系においても有用である。
【0136】
上記製剤は、ガリウム塩の制御放出、調節放出、遅延放出、および/または持続放出を提供する、持続放出の経口製剤とすることができる。このような処方は、当分野で周知の方法によって調製することができる。
【0137】
上記製剤は、ガリウム塩を、それだけには限らないが、ウマ、齧歯類、雌ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、霊長類、およびとりわけヒトを含めた哺乳類に投与するのに有用である。
【0138】
別の実施形態によれば、上記製剤は、高カルシウム血症、悪性腫瘍、またはガリウムが有効である他の適応症を、治療し、治し、軽減し、または予防する他の薬剤を含む。例えば、一実施形態においては、上記薬剤組成物は、化学療法剤を含む。別の実施形態においては、上記薬剤組成物は、補助化学療法剤を含む。本発明の製剤は、化学療法の間にまたはそれに続いて投与することができる。好ましい一実施形態によれば、上記製剤が、化学療法に続いて投与される場合、上記製剤は、フィルグラスチムまたはエリスロポエチン等の補助化学療法剤を含む。
【0139】
治療方法
本発明の製剤を、ガリウム塩が、治療および/または予防できることが知られている任意の疾患を治療および/または予防するために投与することができる。一般的には、製剤の有効量が、所望の疾患を治療および/または予防するために投与される。このような疾患には、それだけには限らないが、高カルシウム血症(非小細胞肺癌、乳癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、扁平上皮細胞癌、腎臓癌、尿管癌および膀胱癌、および頭頸部癌を含めた、癌に関係した高カルシウム血症、および悪性腫瘍に関係した高カルシウム血症を含めた)、骨からのカルシウムの過剰な(または急速な)喪失に関係した疾患、骨減少症、骨粗鬆症、悪性腫瘍からの転移による骨破壊、副甲状腺機能亢進症、および歯周病が含まれる。
【0140】
上記製剤はまた、
(1) 哺乳類(ヒト等の)の骨によるカルシウムの取り込みを増加し、高カルシウム血症、骨の脆弱性、または異常に増加したカルシウム吸収(または放出)に関係した他の疾患を患う哺乳類(ヒト等の)の骨からのカルシウムの吸収(または放出)を阻害するために、
(2) 骨からのカルシウムの過剰な(または急速な)喪失による骨痛を治療するために、および/または
(3) 骨からのカルシウムの過剰な(または急速な)喪失による骨折を予防するために、
(4) パジェット病を治療または予防するために、
(5) 破骨細胞活性を阻害するために、および/または骨芽細胞活性を促進するために、
(6) 尿道(尿路)の悪性腫瘍の治療または予防するために、
(7) 腫瘍を治療するためにまたは予防するために、
(8) 尿道癌、小細胞肺癌、前立腺癌、睾丸癌および膀胱癌等の泌尿生殖器悪性腫瘍、リンパ腫、白血病、および多発性骨髄腫を含めた癌を治療するためにまたは予防するために、
(9) 骨への転移(および関係した痛み)を処置するために、
(10) 同種移植による拒絶反応を含めた免疫応答を軽減するために、
(11) 鉄代謝を阻害するために、
(12) 細胞移動を促進するために、
(13) 皮膚、ならびに結合組織および支持組織[例えば、皮膚、腱、筋膜、被覆組織(encapsulate tissue)以外のコラーゲン含有組織、骨]の修復および増強、すなわち創傷修復を増進するために、
(14) それだけには限らないが、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、およびトリ型結核菌(Mycobacterium avium)群を含めたマイコバクテリウム属(Mycobacterium species)の感染過程を軽減、治療または予防するために、
(15) 皮膚疾患および皮膚の染みを治療するために、例えば、皮膚における裂け目、割れ目、しわまたは瑕疵の回復を促進するために、
(16) AIDSに関係した非ホジキンリンパ腫を治療するために(米国特許第6562870号を参照されたい)、
(17) ウイルス感染症を治療するために、例えば、HIVを治療するために(米国特許第5525598号を参照されたい)、および
(18) 骨増殖を増加させ、ヒドロキシアパタイトの溶解性を減少させ、骨中のヒドロキシアパタイト結晶のサイズおよび/または完全性を増加させるために、および/または骨の引張強さを増加させるために、
(19) 骨組織中のカルシウム沈着を増加させるために、および/または骨吸収を減少させるために、および
(20) 尿路上皮癌または子宮頸部非扁平上皮癌を治療または予防するために(Bernstein他、Metal-Based Drugs 7(1):33〜47頁(2000年)を参照されたい)
投与することができる。
【0141】
上記製剤は、(1) the Physicians' Desk Reference (58th Ed.、2004年、Medical Economics Company, Inc.、Montvale、NJ)、(2) Fauci, AS他、Harrison's Principles of Internal Medicine (14th Ed.、1998年、McGraw-Hill Health. Professions Division、New York)、および(3) 米国特許第4529593号、第4704277号、第5196412号、第5258376号、第5525598号、第5556645号、第5574027号、第5686116号、第5883088号、第5981518号、第5998397号、第5968922号、第6004951号、第6048851号、第6087354号、第6165514号、および第6562870号に見出されるガリウム塩の適応症を治療するために投与することができる。上記の特許および刊行物の全ては、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0142】
癌に関係した高カルシウム血症は、比較的高用量のガリウム塩を含む本発明の製剤の数日間の投与、それに続いての少量のガリウム塩を含む製剤の、再発予防のための連日投与によって治療することができる。歯周病による骨からのカルシウムの喪失の治療においては、ガリウム塩および送達剤を、例えば、高濃度リンス、ゲル、または歯周病の局所治療のための他の薬学的に許容される担体を含む口腔内処方で、局所的に投与することができる。
【0143】
一実施形態においては、癌の治療が、有効量の本発明の製剤の投与によって提供される。有効量のガリウムは、経口投与された場合に、ガリウム塩の静脈内注射または皮下注射による先に報告された投与スケジュールに相当する投与量および投与スケジュールを含む。例えば、一実施形態においては、短期輸液により投与される硝酸ガリウムの700〜750mg/m2の経口当量が、2〜3週間毎に経口投与され、または、輸液により投与される300μg/m2/日の経口当量が、連続3日間投与されて2週間毎に繰り返され、または、輸液により連続7日間投与される300mg/m2/日の経口当量が、経口投与されて3〜5週間毎に繰り返される。例えば、参照により本明細書に組み込む、Foster他、「Gallium Nitrate: The Second Metal With Clinical Activity」、Cancer Treatment Reports、70:1311:1319 (1986年)を参照されたい。
【0144】
別の実施形態においては、ガリウム塩(例えば、硝酸ガリウム)および送達剤を含む局所用組成物が、加齢によるしわ、および座瘡または以前の外傷等の先の損傷による皮膚の瑕疵を含めた皮膚状態を治療するために皮膚に塗布される。参照により本明細書に組み込む米国特許第5556645号を参照されたい。
【0145】
一実施形態においては、ガリウム塩(例えば、硝酸ガリウム)および送達剤を含む本発明の局所用組成物が、創傷を治療するために塗布される。さらなる一実施形態においては、本発明の局所用組成物が、創傷用の包帯または包帯剤に組み込まれ、または塗布される。参照により本明細書に組み込む米国特許第6165514号を参照されたい。
【0146】
次の実施例は、本発明を制限なく例示する。全ての部は、他に指示がない限り重量で与えられる。
【0147】
(実施例1)
硝酸ガリウム経口送達
SNACの二ナトリウム塩、もしくは国際公開第03/045306号の化合物2の二ナトリウム塩(8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン)を含む、または含まない硝酸ガリウム(55mg/kg)を、齧歯類(n=5)に溶液として経口投与した。硝酸ガリウム(5.5mg/kg)をまた、送達剤を含まずにラットに静脈内投与で投与した。血漿ガリウム濃度を、15分毎に投与後1時間まで測定した。結果は、図1に示されている。
【0148】
上記の特許、特許出願、試験方法、および刊行物は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0149】
本発明の多くの変形形態が、上記の詳細な説明に照らして、当分野の技術者に思いつくであろう。全てのこれらの明らかな変形形態は、添付の特許請求の範囲の完全に意図された範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】(1)二ナトリウムSNAC (「送達剤1」)を含む硝酸ガリウム(55mg/kg)、(2)国際公開第03/045306号の化合物2の二ナトリウム塩、(8-(2-ヒドロキシフェノキシ)オクチルジエタノールアミン)(「送達剤2」)を含む硝酸ガリウム(55mg/kg)、または(3)送達剤を含まない硝酸ガリウム(55mg/kg)の経口投与後の、あるいは(4)硝酸ガリウム(5.5mg/kg)の静脈内投与後のラットにおける血漿ガリウム濃度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 薬学的に許容されるガリウム塩またはその活性代謝物もしくはプロドラッグ、ならびに(b) 次の化合物、およびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種の送達剤を含む製剤。
(種類a) 2-HO-Ar-C(O)-NR8-R7-COOH 式(1)
[式中、
Arは、OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシまたはC1〜C4ハロアルコキシで場合によっては置換されたフェニルまたはナフチルであり、
R7は、C4〜C20アルキル、C4〜C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1〜C10アルキル)フェニル、(C1〜C10アルケニル)フェニル、(C1〜C10アルキル)ナフチル、(C1〜C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1〜C10アルキル)、フェニル(C1〜C10アルケニル)、ナフチル(C1〜C10アルキル)、またはナフチル(C1〜C10アルケニル)であり、
R8は、水素、C1からC4アルキル、C2からC4アルケニル、C1からC4アルコキシ、またはC1からC4ハロアルコキシであり、
R7は、C1からC4アルキル、C2からC4アルケニル、C1からC4アルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシ、-OH、-SH、および-CO2R9またはそれらの任意の組合せで場合によっては置換され、
R9は、水素、C1からC4アルキルまたはC2からC4アルケニルであり、
R7は、酸素、窒素、硫黄またはそれらの任意の組合せで場合によっては中断され、
但し、該化合物は、酸性基に対するα位においてアミノ基で置換されていない]
(種類b) 2-OH-Ar-C(O)-NH-R1-R2 式(2)
[式中、
Arは、フェニルまたはナフチルであり、
Arは、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、アリールオキシ、複素環、C5〜C7炭素環、ハロゲン、-OH、-SH、CO2R6、-NR7R8、または-N+R7R8R9Y-で場合によっては置換され、
(a) R1は、C1〜C16アルキレン、C2〜C16アルケニレン、C2〜C16アルキニレン、C6〜C16アリーレン、(C1〜C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C1〜C16アルキレン)であり、
R2は、-NR3R4または-N+R3R4R5Y-であり、
R3およびR4は、それぞれ独立に、水素、酸素、ヒドロキシ、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル、置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、
R5は、それぞれ独立に、水素、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル、置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、
(b) R1、R2、およびR5は、上記に定義された通りであり、
R3およびR4は、結合して5、6もしくは7員の複素環、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキソ基もしくは炭素環で置換された5、6もしくは7員の複素環を形成し、または
(c) R2およびR5は、上記に定義された通りであり、
R1およびR3は、結合して5、6もしくは7員の複素環、またはC1〜C6アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、もしくはオキソ基もしくは炭素環で置換された5、6もしくは7員の複素環を形成し、
R4は、水素、酸素、ヒドロキシ、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル、置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、
R6は、水素、C1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、あるいはハロゲンまたは-OHで置換されたC2〜C4アルケニルであり、
R7、R8、およびR9は、それぞれ独立に、水素、酸素、C1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、あるいはハロゲンまたは-OHで置換されたC2〜C4アルケニルであり、
Yは、ハロゲン、水酸化物、スルフェート、ナイトレート、ホスフェート、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、またはカルボキシレートである]
【化1】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素、-OH、-NR6R7、ハロゲン、C1〜C4アルキル、またはC1〜C4アルコキシであり、
R5は、置換または非置換のC2〜C16アルキレン、置換または非置換のC2〜C16アルケニレン、置換または非置換のC1〜C12アルキル(アリーレン)、あるいは置換または非置換のアリール(C1〜C12アルキレン)であり、
R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、酸素、またはC1〜C4アルキルである]
【化2】

[式中、
(a) R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-C(O)R8、-NO2、-NR9R10、または-N+R9R10R11(Y-)であり、
R8は、水素、-OH、C1〜C6アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されていないまたは置換されたC2〜C4 アルケニル、あるいは-NR14R15であり、
R9、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、酸素、ハロゲンまたは-OHで置換されていないまたは置換されたC1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されていないまたは置換されたC2〜C4アルケニルであり、
Yは、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、ナイトレート、ホスフェート、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボキシレート、メシレート、フマレート、マロネート、スクシネート、タルトレート、アセテート、グルコネート、マレエートであり、
R5は、H、-OH、-NO2、ハロゲン、CF3、-NR14R15、-N+R14R15R16(Y-)、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カーボネート、尿素、または-C(O)R22であり、R5は、ハロゲン、-OH、-SH、または-COOHで場合によっては置換され、R5は、O、N、S、または-C(O)-で場合によっては中断され、
R14、R15、およびR16は、それぞれ独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R22は、H、C1〜C6アルキル、-OH、-NR14R15であり、
R6は、置換または非置換のC1〜C16アルキレン、C2〜C16アルケニレン、C2〜C16アルキニレン、C5〜C16アリーレン、(C1〜C16アルキル)アリーレンまたはアリール(C1〜C16アルキレン)であり、R6は、C1〜C7アルキルまたはC1〜C7シクロアルキルで場合によっては置換され、
R7は、-NR18R19または-N+R18R19R20Y-であり、
R18およびR19は、それぞれ独立に、ハロゲン、酸素、ヒドロキシ、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルキル)カルボニル)、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルフィニル)、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルホニル)、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルコキシ)カルボニル)、または置換または非置換のアリールオキシカルボニル、または置換または非置換のC5〜C7複素環(すなわち、5、6、または7員の複素環)、ここで、置換は、ハロゲンまたは-OHであってよく、
R20は、それぞれ独立に、水素、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルキル)カルボニル)、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルフィニル)、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルホニル)、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルコキシ)カルボニル)、または置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、あるいは
(b) R1〜R16およびR20は、上記に定義された通りであり、
R18およびR19は、結合して、場合によってはオキソ基で中断され、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール、アリールオキシ、または炭素環で置換されていないまたは置換された5、6、または7員の複素環を形成する]
【化3】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-C(O)R8、-NO2、-NR9R10、またはN+R9R10R11(R12)-であり、
R5は、H、-OH、-NO2、ハロゲン、-CF3、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カーボネート、尿素、または-C(O)R18であり、
R5は、ハロゲン、-OH、-SH、または-COOHで場合によっては置換され、
R5は、O、N、S、または-C(O)-によって場合によっては中断され、
R6は、C1〜C12アルキレン、C2〜C12アルケニレン、またはアリーレンであり、
R6は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1-C4アルコキシ、-OH、-SH、ハロゲン、-NH2、または-CO2R8で場合によっては置換され、
R6は、OまたはNで場合によっては中断され、
R7は、結合またはアリーレンであり、
R7は、-OH、ハロゲン、-C(O)CH3、-NR10R11、または-N+R10R11R12(R13)-で場合によっては置換され、
R8は、H、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、または-NH2であり、
R9、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R13は、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、テトラフルオロホウ酸塩、またはホスフェートであり、
R14、R15およびR16は、それぞれ独立に、H、C1〜C10アルキル、-COOHで置換されたC1〜C10アルキル、C2〜C12アルケニル、-COOHで置換されたC2〜C12アルケニル、-C(O)R17であり、
R17は、-OH、C1〜C10アルキル、またはC2〜C12アルケニルであり、
R18は、H、C1〜C6アルキル、-OH、-NR14R15、またはN+R14R15R16(R13)である]
【化4】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、-OH、ハロゲン、-OCH3、-NR10R11または-N+R10R11R12(R13)-であり、
R5は、H、-OH、-NO2、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カーボネート、尿素、または-C(O)R18であり、
R5は、-OH、-SH、または-COOHで場合によっては置換され、
R5は、O、N、S、または-C(O)-で場合によっては中断され、
R6は、C1〜C12アルキレン、C1〜C12アルケニレン、またはアリーレンであり、
R6は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-OH、-SH、ハロゲン、-NH2、または-CO2R9で場合によっては置換され、
R6は、OまたはNで場合によっては中断され、
R7は、結合またはアリーレンであり、
R7は、-OH、ハロゲン、-C(O)CH3、-NR10R11または-N+R10R11R12(R13)-で場合によっては置換され、
R8は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
R9は、H、C1〜C4アルキル、またはC2〜C4アルケニルであり、
R10、R11、およびR12は、それぞれ独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R13は、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、テトラフルオロホウ酸塩、またはホスフェートであり、
R14、R15、およびR16は、それぞれ独立に、H、C1〜C10アルキル、C2〜C12アルケニル、O、または-C(O)R17であり、
R17は、-OH、C1〜C10アルキル、またはC2〜C12アルケニルであり、
R18は、-OH、C1〜C6アルキル、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-である]
【化5】

[式中、
R19は、-NO2または-C(O)R23であり、
R20は、C1〜C12アルキレンまたはC1〜C12アルケニレンであり、
R21は、結合またはアリーレンであり、
R22は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
R23は、-OH、C1〜C6アルキル、または-NH2である]
【請求項2】
前記ガリウム塩が、硝酸塩、マルトレート、クエン酸塩、ハロゲン化物、炭酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、酸化物または水和酸化物である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
前記ガリウム塩が、塩化ガリウムである、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
前記ガリウム塩が、硝酸ガリウムである、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
前記ガリウム塩が、ガリウム含水塩である、請求項1から4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
前記ガリウム塩が、硝酸ガリウム九水和物である、請求項5に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
前記ガリウム塩が、ガリウム錯体である、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項8】
前記ガリウム錯体が、3-ヒドロキシ-4-ピロンの錯体である、請求項7に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
前記ガリウム錯体が、マルトールの錯体である、請求項8に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
前記送達剤が、本特許請求の範囲に記載の送達剤のいずれかである、請求項1から9のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
前記送達剤が、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸またはその薬学的に許容される塩である、請求項1から10のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
前記送達剤が、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸のナトリウム塩である、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記送達剤が、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)デカン酸またはその薬学的に許容される塩である、請求項1から9のいずれかに記載の製剤。
【請求項14】
前記送達剤が、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)デカン酸のナトリウム塩である、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記送達剤が、4-[(4-クロロ-2-ヒドロキシ-ベンゾイル)アミノ]ブタン酸またはその薬学的に許容される塩である、請求項1から9のいずれかに記載の製剤。
【請求項16】
前記送達剤が、4-[(4-クロロ-2-ヒドロキシ-ベンゾイル)アミノ]ブタン酸のナトリウム塩である、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
前記ガリウム塩の持続放出を提供する、請求項1から16のいずれかに記載の製剤。
【請求項18】
ヒトの経口摂取で、約0.1から約5μg/mlの血漿ガリウム濃度を提供する、請求項1から17のいずれかに記載の製剤。
【請求項19】
ヒトの経口摂取で、
(a) 約0.1から約5μg/m1または約0.9から約2.0μg/mlの血漿ガリウム濃度
(b) 約1000から約2500ng/mlのガリウムの平均定常血漿濃度、または
(c) 高カルシウム血症(癌に関係した高カルシウム血症等の)のヒトにおける少なくとも2.0mg/dlの血清カルシウム(アルブミン補正)の減少
の1つまたは複数を提供する、請求項1から18のいずれかに記載の製剤。
【請求項20】
ループ利尿薬、化学療法剤、または補助化学療法剤の1種または複数を含む、請求項1から19のいずれかに記載の製剤。
【請求項21】
ループ利尿薬をさらに含む請求項1から20のいずれかに記載の製剤。
【請求項22】
治療有効量の補助化学療法剤をさらに含む、請求項1から21のいずれかに記載の製剤。
【請求項23】
前記補助化学療法剤が、血液細胞の増殖および成熟を改変する薬剤である、請求項22に記載の製剤。
【請求項24】
前記補助化学療法剤が、フィルグラスチムまたはエリスロポエチンである、請求項23に記載の製剤。
【請求項25】
哺乳類に請求項1から24のいずれかに記載の製剤を投与することを含む、それを必要とする哺乳類における高カルシウム血症の治療または予防方法。
【請求項26】
前記高カルシウム血症が、癌に関係した高カルシウム血症である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
哺乳類に請求項1から24のいずれかに記載の製剤の有効量を投与することを含む、哺乳類における骨からのカルシウムの過剰な喪失に関係した疾患の治療または予防方法。
【請求項28】
前記疾患が、高カルシウム血症、骨減少症、骨粗鬆症、悪性腫瘍からの転移による骨破壊、副甲状腺機能亢進症、腎臓病、医原病、または歯周病である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1から24のいずれかに記載の製剤の有効量を哺乳類に投与することを含む、高カルシウム血症、骨脆弱性、あるいは異常に増加したカルシウム吸収に関係した他の疾患を患う哺乳類における骨からのカルシウムの吸収の抑制方法。
【請求項30】
請求項1から24のいずれかに記載の製剤の有効量を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における骨からのカルシウムの過剰な喪失による骨痛の治療方法。
【請求項31】
請求項1から24のいずれかに記載の製剤の有効量を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における骨からのカルシウムの過剰な喪失による骨折の予防方法。
【請求項32】
請求項1から24のいずれかに記載の製剤を哺乳類に投与することを含む、それを必要とする哺乳類へのガリウム塩の投与方法。
【請求項33】
前記哺乳類がヒトである、請求項25から32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1種の送達剤、少なくとも1種の薬学的に許容されるガリウム塩またはその活性代謝物もしくはプロドラッグ、および場合によっては、1種もしくは複数の薬学的に許容される賦形剤または添加剤を混合することを含み、少なくとも1種の送達剤が、次の化合物、およびその薬学的に許容される塩から選択される、製剤の調製方法。
(種類a) 2-HO-Ar-C(O)-NR8-R7-COOH 式(1)
[式中、
Arは、OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシまたはC1〜C4ハロアルコキシで場合によっては置換されたフェニルまたはナフチルであり、
R7は、C4〜C20アルキル、C4〜C20アルケニル、フェニル、ナフチル、(C1〜C10アルキル)フェニル、(C1〜C10アルケニル)フェニル、(C1〜C10アルキル)ナフチル、(C1〜C10アルケニル)ナフチル、フェニル(C1〜C10アルキル)、フェニル(C1〜C10アルケニル)、ナフチル(C1〜C10アルキル)、またはナフチル(C1〜C10アルケニル)であり、
R8は、水素、C1からC4アルキル、C2からC4アルケニル、C1からC4アルコキシ、C1〜C4またはハロアルコキシであり、
R7は、C1からC4アルキル、C2からC4アルケニル、C1からC4アルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシ、-OH、-SH、および-CO2R9またはそれらの任意の組合せで場合によっては置換され、
R9は、水素、C1からC4アルキルまたはC2からC4アルケニルであり、
R7は、酸素、窒素、硫黄またはそれらの任意の組合せで場合によっては中断され、
但し、該化合物は、酸性基に対するα位においてアミノ基で置換されていない]
(種類b) 2-OH-Ar-C(O)-NH-R1-R2 式(2)
[式中、
Arは、フェニルまたはナフチルであり、
Arは、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、アリール、アリールオキシ、複素環、C5〜C7炭素環、ハロゲン、-OH、-SH、CO2R6、-NR7R8、または-N+R7R8R9Y-で場合によっては置換され、
(a) R1は、C1〜C16アルキレン、C2〜C16アルケニレン、C2〜C16アルキニレン、C6〜C16アリーレン、(C1〜C16アルキル)アリーレン、またはアリール(C1〜C16アルキレン)であり、
R2は、-NR3R4または-N+R3R4R5Y-であり、
R3およびR4は、それぞれ独立に、水素、酸素、ヒドロキシ、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル、置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、
R5は、それぞれ独立に、水素、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル、置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、
(b) R1、R2、およびR5は、上記に定義された通りであり、
R3およびR4は、結合して5、6もしくは7員の複素環、またはC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール、アリールオキシ、オキソ基もしくは炭素環で置換された5、6もしくは7員の複素環を形成し、または
(c) R2およびR5は、上記に定義された通りであり、
R1およびR3は、結合して5、6もしくは7員の複素環、またはC1〜C6アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、もしくはオキソ基もしくは炭素環で置換された5、6もしくは7員の複素環を形成し、
R4は、水素、酸素、ヒドロキシ、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル、置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、
R6は、水素、C1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC2〜C4アルケニルであり、
R7、R8、およびR9は、それぞれ独立に、水素、酸素、C1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC2〜C4アルケニルであり、
Yは、ハロゲン、水酸化物、スルフェート、ナイトレート、ホスフェート、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、またはカルボキシレートである]
【化6】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素、-OH、-NR6R7、ハロゲン、C1〜C4アルキル、またはC1〜C4アルコキシであり、
R5は、置換または非置換のC2〜C16アルキレン、置換または非置換のC2〜C16アルケニレン、置換または非置換のC1〜C12アルキル(アリーレン)、あるいは置換または非置換のアリール(C1〜C12アルキレン)であり、
R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、酸素、またはC1〜C4アルキルである]
【化7】

[式中、
(a) R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-C(O)R8、-NO2、-NR9R10、または-N+R9R10R11(Y-)であり、
R8は、水素、-OH、C1〜C6アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されたC1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されていないまたは置換されたC2〜C4 アルケニル、あるいは-NR14R15であり、
R9、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、酸素、ハロゲンまたは-OHで置換されていないまたは置換されたC1〜C4アルキル、ハロゲンまたは-OHで置換されていないまたは置換されたC2〜C4アルケニルであり、
Yは、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、ナイトレート、ホスフェート、アルコキシ、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボキシレート、メシレート、フマレート、マロネート、スクシネート、タルトレート、アセテート、グルコネート、マレエートであり、
R5は、H、-OH、-NO2、ハロゲン、CF3、-NR14R15、-N+R14R15R16(Y-)、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カーボネート、尿素、または-C(O)R22であり、R5は、ハロゲン、-OH、-SH、または-COOHで場合によっては置換され、R5は、O、N、S、または-C(O)-で場合によっては中断され、
R14、R15、およびR16は、それぞれ独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R22は、H、C1〜C6アルキル、-OH、-NR14R15であり、
R6は、置換または非置換のC1〜C16アルキレン、C2〜C16アルケニレン、C2〜C16アルキニレン、C5〜C16アリーレン、(C1〜C16アルキル)アリーレンまたはアリール(C1〜C16アルキレン)であり、R6は、C1〜C7アルキルまたはC1〜C7シクロアルキルで場合によっては置換され、
R7は、-NR18R19または-N+R18R19R20Y-であり、
R18およびR19は、それぞれ独立に、ハロゲン、酸素、ヒドロキシ、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルキル)カルボニル)、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルフィニル)、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルホニル)、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルコキシ)カルボニル)、または置換または非置換のアリールオキシカルボニル、または置換または非置換のC5〜C7複素環(すなわち、5、6、または7員の複素環)、ここで、置換は、ハロゲンまたは-OHであってよく、
R20は、それぞれ独立に、水素、置換または非置換のC1〜C16アルキル、置換または非置換のC2〜C16アルケニル、置換または非置換のC2〜C16アルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアルキルカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルキル)カルボニル)、置換または非置換のアリールカルボニル、置換または非置換のアルカンスルフィニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルフィニル)、置換または非置換のアリールスルフィニル、置換または非置換のアルカンスルホニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルカン)スルホニル)、置換または非置換のアリールスルホニル、置換または非置換のアルコキシカルボニル(例えば、置換または非置換の(C1〜6アルコキシ)カルボニル)、または置換または非置換のアリールオキシカルボニルであり、あるいは
(b) R1〜R16およびR20は、上記に定義された通りであり、
R18およびR19は、結合して、場合によってはオキソ基で中断され、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール、アリールオキシ、または炭素環で置換されていないまたは置換された5、6、または7員の複素環を形成する]
【化8】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、-OH、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-C(O)R8、-NO2、-NR9R10、またはN+R9R10R11(R12)-であり、
R5は、H、-OH、-NO2、ハロゲン、-CF3、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カーボネート、尿素、または-C(O)R18であり、
R5は、ハロゲン、-OH、-SH、または-COOHで場合によっては置換され、
R5は、O、N、S、または-C(O)-によって場合によっては中断され、
R6は、C1〜C12アルキレン、C2〜C12アルケニレン、またはアリーレンであり、
R6は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1-C4アルコキシ、-OH、-SH、ハロゲン、-NH2、または-CO2R8で場合によっては置換され、
R6は、OまたはNで場合によっては中断され、
R7は、結合またはアリーレンであり、
R7は、-OH、ハロゲン、-C(O)CH3、-NR10R11、または-N+R10R11R12(R13)-で場合によっては置換され、
R8は、H、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、または-NH2であり、
R9、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R13は、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、テトラフルオロホウ酸塩、またはホスフェートであり、
R14、R15およびR16は、それぞれ独立に、H、C1〜C10アルキル、-COOHで置換されたC1〜C10アルキル、C2〜C12アルケニル、-COOHで置換されたC2〜C12アルケニル、-C(O)R17であり、
R17は、-OH、C1〜C10アルキル、またはC2〜C12アルケニルであり、
R18は、H、C1〜C6アルキル、-OH、-NR14R15、またはN+R14R15R16(R13)である]
【化9】

[式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、H、-OH、ハロゲン、-OCH3、-NR10R11または-N+R10R11R12(R13)-であり、
R5は、H、-OH、-NO2、-NR14R15、-NR14R15R16(R13)-、アミド、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、カルバメート、カーボネート、尿素、または-C(O)R18であり、
R5は、-OH、-SH、または-COOHで場合によっては置換され、
R5は、O、N、S、または-C(O)-で場合によっては中断され、
R6は、C1〜C12アルキレン、C1〜C12アルケニレン、またはアリーレンであり、
R6は、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C1〜C4アルコキシ、-OH、-SH、ハロゲン、-NH2、または-CO2R9で場合によっては置換され、
R6は、OまたはNで場合によっては中断され、
R7は、結合またはアリーレンであり、
R7は、-OH、ハロゲン、-C(O)CH3、-NR10R11または-N+R10R11R12(R13)-で場合によっては置換され、
R8は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
R9は、H、C1〜C4アルキル、またはC2〜C4アルケニルであり、
R10、R11、およびR12は、それぞれ独立に、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R13は、ハロゲン化物、水酸化物、スルフェート、テトラフルオロホウ酸塩、またはホスフェートであり、
R14、R15、およびR16は、それぞれ独立に、H、C1〜C10アルキル、C2〜C12アルケニル、O、または-C(O)R17であり、
R17は、-OH、C1〜C10アルキル、またはC2〜C12アルケニルであり、
R18は、-OH、C1〜C6アルキル、-NR14R15、-N+R14R15R16(R13)-である]
【化10】

[式中、
R19は、-NO2または-C(O)R23であり、
R20は、C1〜C12アルキレンまたはC1〜C12アルケニレンであり、
R21は、結合またはアリーレンであり、
R22は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
R23は、-OH、C1〜C6アルキル、または-NH2である]

【図1】
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【公表番号】特表2008−526772(P2008−526772A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549688(P2007−549688)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/047603
【国際公開番号】WO2006/072070
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(500139958)エミスフェアー・テクノロジーズ・インク (28)
【Fターム(参考)】