キトサン分散ポリマーおよびこれを含む塗料組成物
【課題】耐酸性、耐水性および耐光性を付与し、塗膜表面からの抗菌性薬剤の徐放性を制御できる、環境負荷の低減を目的とした塗料、および、これにに使用できる新規な抗菌性有機ポリマー材料を提供する。
【解決手段】本発明によるキトサン複合有機ポリマー材料は、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間にキトサンをインターカレートしたことにより得られる。
【解決手段】本発明によるキトサン複合有機ポリマー材料は、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間にキトサンをインターカレートしたことにより得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤、抗かび剤、ホルムアルデヒド吸着剤、消臭剤、各種有機反応触媒等に好適に用いることができるキトサン、天然ポリマーを複合した有機ポリマー材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種素材を微粒子化および/または複合化し、医療、塗料、農業等の分野で機能性を発現する新規な材料開発が種々試みられている。特に、無機粉末と有機ポリマーからなる複合体微粒子の合成が盛んに行われている。用途の違いにより、無機物をポリマー内部に分散した複合微粒子(マイクロカプセル等)、または、ポリマー表面を無機微粒子で被覆した複合体が多く報告されている。
【0003】
抗菌剤とポリマーの複合材料としては、特許文献1に感染治癒や再発予防を図る抗菌剤含有水溶液と乳酸とラクトン、ラクタム等との共重合体含有有機溶液を混合して得られる抗菌剤・ポリマー複合物の例が示されている。
【0004】
また、特許文献2には生体ポリマーカラゲナンまたはペクチンにイオン結合した抗菌剤を複合した薬剤組成物が記述されている。
【特許文献1】特開2003−155404号公報
【特許文献2】特表2003−535911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塗料やコーティング材に添加されている各種有機系または無機系抗菌剤は、水や溶剤、また紫外線等により、塗膜内からの溶出促進や薬剤の劣化を伴い、塗膜の抗菌性能の寿命短縮及び安定性欠如等の問題を生じる等の欠点を有する。
【0006】
例えば、抗菌性能を有する塗料には、有機系抗菌剤(例;ジンクピリチオン等)や無機系抗菌剤(例;銀、銅、亜鉛等)の各種抗菌剤が添加されている。これらは、単に塗料に添加されている場合が多く、経時的に塗膜表面から溶出して抗菌性を示す。そのため、これらを含む塗料から得られた塗膜を、水(水蒸気、湿度)や溶剤等で拭き取ると、その時点で抗菌性能は低下する。従って、塗膜のトータルな性能維持に関して問題がある。また、ジンクピリチオン等の有機系抗菌剤は、生体に対する安全性が実証されていないグレー化合物であり、より安全性の高く、環境に適応した素材を用いる必要がある。
【0007】
その観点から、天然ポリマーであるキトサンの抗菌性が好適であるが、キトサンは酸性水溶液のみに溶解する性質があり、塗膜中に添加された場合、酸性条件下においては溶出が促進される等により、性能が維持されない欠点がある。
【0008】
本発明は、これらの欠点を補い、耐酸性、耐水性および耐光性を付与し、塗膜表面からの抗菌性薬剤の徐放性を制御できる、環境負荷の低減を目的とした塗料、および、これにに使用できる新規な抗菌性有機ポリマー材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、環境対応を考慮し、種々の機能性(アルデヒド類吸着、抗菌性、悪臭成分吸着、生分解性など)を発現させることを企図し、天然物由来のキトサンを用いる。本発明は、キトサンの耐酸性を改良し、機能保持を実現する目的で、キトサンとジエンカルボン酸モノマーより得られる層状有機ポリマーとの複合体が有効であることを見出し、完成された。
【0010】
すなわち、本発明による有機ポリマー材料は、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間にキトサンをインターカレートしたことにより得られるキトサン複合有機ポリマー材料である。
【0011】
本発明によるキトサン複合有機ポリマーは新規であり、塗料(特に、エマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料)に添加する抗菌剤として、安全性、環境負荷、耐溶剤性、耐酸性、耐水性等に優れた好適な材料である。
【0012】
上記層状の結晶性有機ポリマーの製造法は特開2004−155404号公報に記載されている。
【0013】
ジエンカルボン酸モノマーとしては、例えば、ムコン酸(Z、Z体、E,E体、E,Z体)等のα、β−不飽和二塩基性カルボン酸、ソルビン酸、ブタジエンカルボン酸、アルキル置換ブタジエンカルボン酸等のα、β−不飽和一塩基性カルボン酸等が挙げられる。
【0014】
ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩は、ジエンカルボン酸モノマーと、アミンとを、好ましくは溶媒等の液体媒質中で、カルボキシレートイオンとアンモニウムイオンとをイオン結合させることにより得ることができる。
【0015】
ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を形成するためのアミンは、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ベンジルアミン、ドデシルアミン、1−ナフチルメチルアミン等の第1級アミン;第2級アミン;アンモニア等であってよい。これらのうち、特に好ましいアミンとしては、ベンジルアミン、ドデシルアミンまたは1−ナフチルメチルアミンが用いられる。
【0016】
上記ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩の重合方法は、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩に対し、好ましくは固相状態において、可視光(太陽光)、紫外線、X線、γ線等の放射線を照射することにより重合させる放射線重合(光固相重合)であってもよく、加熱によって重合を進行させる熱重合であってもよい。得られたポリマーの繰り返し構造単位の数は、一般に10〜10,000,000、典型的には100〜100,000である。
【0017】
本発明のもう一つの構成成分であるキトサンは、アミノ基を有する多糖で、天然物由来のものである。キトサンは、市販品(例えば、株式会社共和テクノス製、商品名フローナックC−60M;脱アセチル化度89%など)であってよく、特に限定されるものではないが、脱アセチル化度が80%以上のものは反応性の高いアミノ基を多数含むので種々の機能性発現が期待される。また、粒径が小さいほど(80メッシュ標準篩90%pass以上)層状有機ポリマーとの固相反応性が高く好ましい。
【0018】
キトサンと層状有機ポリマーの好ましい割合は、キトサン1〜95重量%(30〜70重量%が好適)に対し層状有機ポリマー99〜5重量%(70〜30重量%が好適)である。
【0019】
キトサンの割合が多すぎると、その一部が層間内にインターカレーションされないで、層外に存在し、酸性溶液に溶出するキトサン増大する。キトサンの割合が少なすぎると、抗菌性能が十分に発揮されない。
【0020】
ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩から得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間にキトサンをインターカレートする方法は、上記層状結晶性有機ポリマーと、キトサンを混合する方法が好ましい。この反応は結晶性有機ポリマーとキトサンを例えば固相で混合すればよい。
【0021】
こうして得られたキトサン複合有機ポリマー材料は、層状有機ポリマーがキトサンに耐酸性(キトサンはアミノ基を有し耐酸性に劣る)を付与できる利点がある。
【0022】
上記キトサン複合有機ポリマー材料を含む塗料組成物は、例えば、アクリル樹脂エマルション塗料100重量部に対し、キトサン複合有機ポリマー0.01〜20重量%(0.1〜10重量%が好適)を配合してなる。
【0023】
該塗料組成物に、消泡剤、粘性調整剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防かび剤などの添加剤を適量、例えば1重量%以下、添加してもよい。
【0024】
光沢調整の目的で、シリカ系微粉末などの無機粉体、ワックスエマルションなどの光沢調整剤を添加し、半艶や艶消し塗料を作ることが出来る。
【0025】
本発明は、また、上記キトサン複合有機ポリマー材料と、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間に銀をインターカレートしたことにより得られる銀複合有機ポリマー材料との混合物からなる抗菌性材料を提供する。
【0026】
本発明は、さらに、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を光照射ラジカル重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間に銀をインターカレートしたことにより得られる銀複合有機ポリマー材料を含む、エマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料組成物を提供する。
【0027】
上記銀複合有機ポリマー材料の製造法は特開2004−155404号公報に記載されている。
【0028】
上記銀複合有機ポリマー材料を含む塗料組成物は、例えば、アクリル樹脂エマルション塗料100重量部に対し、銀複合有機ポリマー0.01〜10重量%(0.1〜5重量%が好適)を配合してなる。この塗料組成物にも上記のような添加剤や光沢調整剤を加えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によるキトサン複合有機ポリマーの構成成分の一つである、ジエンカルボン酸モノマーから得られる層状有機ポリマーは、非晶質または部分結晶性の有機ポリマーを用いた複合材料よりも、引っ張り強度、曲げ強度、耐衝撃性、耐摩耗性、寸法安定性等の特性向上も図れることから、得られた塗膜の物性向上も期待できる。
【0030】
本発明によるキトサン複合有機ポリマーのもう一つの構成成分であるキトサンは、シックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒド吸着および抗菌作用などの機能をもつので、これを含む塗料組成物はホルムアルデヒドや悪臭成分吸着などの機能を効果的に発現させることができる。
【0031】
さらに、キトサン複合有機ポリマー材料は、層状の結晶性有機ポリマーがキトサンに耐酸性(キトサンはアミノ基を有し耐酸性に劣る)を付与できる利点がある。
【0032】
こうして、本発明によるキトサン複合有機ポリマーは、塗料(特に、エマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料)に添加する抗菌剤として、安全性、環境負荷、耐溶剤性、耐酸性、耐水性等に優れた好適な材料である。
【0033】
本発明による銀複合有機ポリマーも、塗料(特に、エマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料)に添加する抗菌剤として、安全性、環境負荷、耐溶剤性、耐酸性、耐水性等に優れた好適な材料である。
【発明を実施するための好ましい形態】
【0034】
次に本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0035】
[実施例1](ムコン酸ポリマーの合成)
1,3−ヘキサジエンジカルボン酸(E,E−ムコン酸)4.97gとメチルアルコール500mLを1L三角フラスコに入れ、室温で攪拌し、ムコン酸メチルアルコールに溶解させた。次に、ドデシルアミン12.97gのメチルアルコール50mL溶液を、攪拌しながら、上記ムコン酸/メチルアルコール溶液に室温で徐々に加えた。2時間攪拌後、反応液を冷却し、析出した白色固体を濾取し、乾燥後、室温にて高圧水銀灯(株式会社東芝製、商品名;SHL−100−2、100W、Pyrex Filter)で、8時間放射線照射を行った。次に、照射した固体にメチルアルコール300mLを加え、2時間攪拌後、濾取し、乾燥を行った。次に、塩酸1mol/Lメチルアルコール溶液300mLを加え、1時間攪拌した後、濾取し、乾燥を行った。得られた白色固体をフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光株式会社製、商品名;Herchel FT−IR−430)及び粉末X線回折測定装置(理学電機株式会社製 商品名;RINT−ULTIMA2100)にて測定を行った結果、ムコン酸ポリマーの生成が確認された。各チャートを図1(a)、(b)に示す。ムコン酸ポリマーの収率は80%であった。
【0036】
[実施例2](ムコン酸ポリマーと硝酸銀の反応)
実施例1で得られたムコン酸ポリマー0.11gに、メチルアルコール150mLに溶解させた硝酸銀0.26gを加え、2時間攪拌後、濾取し、乾燥を行った。次に、高圧水銀灯を用い室温で8時間放射線照射を行った。得られた黒色固体のIRチャート及びX線チャート(図2(a)、(b))から、銀複合ムコン酸ポリマーの生成が確認された。
【0037】
[実施例3](ソルビン酸ポリマーの合成)
2,4−ヘキサジエン酸(E、E−ソルビン酸)9.41gにアセトン300mLを加え、室温で攪拌し、前者をアセトンに溶解させた。次に、1−ナフタレンメチルアミン13.29gのアセトン150mL溶液を、攪拌しながら、上記ソルビン酸/アセトン液に室温で徐々に加えた。次に、実施例1と同様に放射線照射によるラジカル重合反応を行った。得られた白色固体のIRチャート及びX線チャート(図3(a)、(b))から、ソルビン酸ポリマーの生成が確認された。ソルビン酸ポリマーの収率は95%であった。
【0038】
[実施例4](ソルビン酸ポリマーと硝酸銀の反応)
実施例3で得られたソルビン酸ポリマー0.25gに、メチルアルコール200mLに溶解させた硝酸銀0.38gを加え、2時間攪拌後、濾取し、乾燥を行った。次に、実施例2と同様にして高圧水銀灯を用い室温で8時間放射線照射を行った。得られた黒色固体のIRチャート及びX線チャート(図4(a)、(b))から、銀複合ソルビン酸ポリマーの生成が確認された。
【0039】
[実施例5](ムコン酸ポリマーとキトサンの反応)
実施例1で得られたムコン酸ポリマー0.25gにキトサン(株式会社共和テクノス製、商品名フローナックC−60M;脱アセチル化度89%)0.25gを加え、乳鉢で1時間すりつぶし、これらを固相反応させた。得られた淡黄色固体のIRチャート及びX線チャート(図5(a)、(b))から、キトサン複合ムコン酸ポリマーの生成が確認された。
【0040】
[実施例6](ソルビン酸ポリマーとキトサンの反応)
実施例3で得られたソルビン酸ポリマー0.30gに、実施例5と同様にしてキトサン0.30gを加え、乳鉢で1時間すりつぶし、これらを固相反応させた。得られた淡黄色固体のIRチャート及びX線チャート(図6(a)、(b)に示す)から、キトサン複合ソルビン酸ポリマーの生成が確認された。
【0041】
[実施例7](抗菌試験)
実施例2及び4で得られた銀複合ポリマーをアクリル樹脂エマルションをベースとする水系塗料に各0.5%添加した。得られた水性塗料組成物を濾紙に塗布し(塗布量;200g/m2)、乾燥を行い、塗膜フィルムを得た。次に、実施例5及び6で得られたキトサン複合ポリマーを用いて同様の操作を行い、塗膜フィルムを得た。
【0042】
得られた塗膜の一部を0.1mol/L塩酸水溶液に48時間浸漬させたものも調製した。得られたフィルムに対し、下記の方法で抗菌性試験を行った。抗菌性試験結果を表1及び2に示す。
【0043】
○試験方法 : 抗菌製品の抗菌力評価試験法Iフィルム密着法(1998)に
準ずる。
【0044】
○試験菌 : Escherichia coli NBRC 3972 (大腸菌)
Staphylococcus aureus NBRC 12732 (黄色ブドウ球菌)
○接種方法 : NA培地で前培養した試験菌を、それぞれNB培地500倍希釈液で
希釈して接種用菌液とし、試料上(50×50mm)に各0.4ml
接種し、被覆フィルム(滅菌済、45×45mm)を被せる。
【0045】
○培養条件 : 35±1℃、相対湿度95%(恒温恒湿器中、24時間)
○生菌数確認: SCDLP培地10mlを用いてサンプル表面および被覆フィルムを
洗い出す。洗い出した液1ml当たりの菌数をNA培地を用いて、
コロニー数計測により算出する。
【0046】
○対照 : シャーレに下敷き用のフィルムを設置し、菌液接種後、被覆フィルム
を被せる。接種直後(A値)と24時間培養後(B値)の菌数を
確認する。
【0047】
○ 成立要件 :1) {(A−B)/A}×100≦90
[A:接種直後対照区、B:対照区]
2)Aの生菌数が1.0〜5.0×105/枚の範囲にあること。
【0048】
3)ブランク(無処理)の生菌数が1.0×103/枚の以上で
あること。
【表a】
[抗菌試験結果]
抗菌製品技術協議会、抗菌製品の抗菌力評価試験法I
フィルム密着法試験結果表示
【表1】
【表2】
【0049】
[実施例8](ホルムアルデヒド吸着試験)
試験すべき塗料組成物として下記のものを用意した。
【0050】
1)水系塗料(アクリルエマルション系)
2)水系塗料(アクリルエマルション系)+ソルビン酸ポリマー(0.5%)
3)水系塗料(アクリルエマルション系)+キトサン複合ソルビン酸ポリマー(1.0%)
4)塗料組成物3)を酸処理したもの
5)水系塗料(アクリルエマルション系)+キトサン(0.5%)
6)塗料組成物5)を酸処理したもの
〔試験片作成方法〕
ガラス板(10cm×8cm)に各塗料組成物を刷毛で塗装した(塗布量150g/m2)後、50℃で3日間乾燥した。
【0051】
〔試験方法〕
5Lのにおい袋にホルムアルデヒド液(和光純薬製、特級試薬、37%水溶液)及び空気を入れ、混合し、自動ガス採取装置(株式会社ガステック製、型式;GSP−300FT)を使用し、気体検知管(株式会社ガステック製、NO.91L)にて、初期濃度の測定を行った。試験片を入れた別のにおい袋(5L)に、初期濃度を測定した気体を入れて、2日後の残存濃度の測定を行った。残存率(%)=(時間毎の測定濃度/初期濃度)×100。測定結果を表3に示す。
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1a】実施例1のムコン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図1b】実施例1のムコン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【図2a】実施例2の銀複合ムコン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図2b】実施例2の銀複合ムコン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【図3a】実施例3のソルビン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図3b】実施例3のソルビン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【図4a】実施例4の銀複合ソルビン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図4b】実施例4の銀複合ソルビン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【図5a】実施例5のキトサン複合ムコン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図5b】実施例5のキトサン複合ムコン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【図6a】実施例6のキトサン複合ソルビン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図6b】実施例6のキトサン複合ソルビン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤、抗かび剤、ホルムアルデヒド吸着剤、消臭剤、各種有機反応触媒等に好適に用いることができるキトサン、天然ポリマーを複合した有機ポリマー材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種素材を微粒子化および/または複合化し、医療、塗料、農業等の分野で機能性を発現する新規な材料開発が種々試みられている。特に、無機粉末と有機ポリマーからなる複合体微粒子の合成が盛んに行われている。用途の違いにより、無機物をポリマー内部に分散した複合微粒子(マイクロカプセル等)、または、ポリマー表面を無機微粒子で被覆した複合体が多く報告されている。
【0003】
抗菌剤とポリマーの複合材料としては、特許文献1に感染治癒や再発予防を図る抗菌剤含有水溶液と乳酸とラクトン、ラクタム等との共重合体含有有機溶液を混合して得られる抗菌剤・ポリマー複合物の例が示されている。
【0004】
また、特許文献2には生体ポリマーカラゲナンまたはペクチンにイオン結合した抗菌剤を複合した薬剤組成物が記述されている。
【特許文献1】特開2003−155404号公報
【特許文献2】特表2003−535911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塗料やコーティング材に添加されている各種有機系または無機系抗菌剤は、水や溶剤、また紫外線等により、塗膜内からの溶出促進や薬剤の劣化を伴い、塗膜の抗菌性能の寿命短縮及び安定性欠如等の問題を生じる等の欠点を有する。
【0006】
例えば、抗菌性能を有する塗料には、有機系抗菌剤(例;ジンクピリチオン等)や無機系抗菌剤(例;銀、銅、亜鉛等)の各種抗菌剤が添加されている。これらは、単に塗料に添加されている場合が多く、経時的に塗膜表面から溶出して抗菌性を示す。そのため、これらを含む塗料から得られた塗膜を、水(水蒸気、湿度)や溶剤等で拭き取ると、その時点で抗菌性能は低下する。従って、塗膜のトータルな性能維持に関して問題がある。また、ジンクピリチオン等の有機系抗菌剤は、生体に対する安全性が実証されていないグレー化合物であり、より安全性の高く、環境に適応した素材を用いる必要がある。
【0007】
その観点から、天然ポリマーであるキトサンの抗菌性が好適であるが、キトサンは酸性水溶液のみに溶解する性質があり、塗膜中に添加された場合、酸性条件下においては溶出が促進される等により、性能が維持されない欠点がある。
【0008】
本発明は、これらの欠点を補い、耐酸性、耐水性および耐光性を付与し、塗膜表面からの抗菌性薬剤の徐放性を制御できる、環境負荷の低減を目的とした塗料、および、これにに使用できる新規な抗菌性有機ポリマー材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、環境対応を考慮し、種々の機能性(アルデヒド類吸着、抗菌性、悪臭成分吸着、生分解性など)を発現させることを企図し、天然物由来のキトサンを用いる。本発明は、キトサンの耐酸性を改良し、機能保持を実現する目的で、キトサンとジエンカルボン酸モノマーより得られる層状有機ポリマーとの複合体が有効であることを見出し、完成された。
【0010】
すなわち、本発明による有機ポリマー材料は、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間にキトサンをインターカレートしたことにより得られるキトサン複合有機ポリマー材料である。
【0011】
本発明によるキトサン複合有機ポリマーは新規であり、塗料(特に、エマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料)に添加する抗菌剤として、安全性、環境負荷、耐溶剤性、耐酸性、耐水性等に優れた好適な材料である。
【0012】
上記層状の結晶性有機ポリマーの製造法は特開2004−155404号公報に記載されている。
【0013】
ジエンカルボン酸モノマーとしては、例えば、ムコン酸(Z、Z体、E,E体、E,Z体)等のα、β−不飽和二塩基性カルボン酸、ソルビン酸、ブタジエンカルボン酸、アルキル置換ブタジエンカルボン酸等のα、β−不飽和一塩基性カルボン酸等が挙げられる。
【0014】
ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩は、ジエンカルボン酸モノマーと、アミンとを、好ましくは溶媒等の液体媒質中で、カルボキシレートイオンとアンモニウムイオンとをイオン結合させることにより得ることができる。
【0015】
ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を形成するためのアミンは、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ベンジルアミン、ドデシルアミン、1−ナフチルメチルアミン等の第1級アミン;第2級アミン;アンモニア等であってよい。これらのうち、特に好ましいアミンとしては、ベンジルアミン、ドデシルアミンまたは1−ナフチルメチルアミンが用いられる。
【0016】
上記ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩の重合方法は、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩に対し、好ましくは固相状態において、可視光(太陽光)、紫外線、X線、γ線等の放射線を照射することにより重合させる放射線重合(光固相重合)であってもよく、加熱によって重合を進行させる熱重合であってもよい。得られたポリマーの繰り返し構造単位の数は、一般に10〜10,000,000、典型的には100〜100,000である。
【0017】
本発明のもう一つの構成成分であるキトサンは、アミノ基を有する多糖で、天然物由来のものである。キトサンは、市販品(例えば、株式会社共和テクノス製、商品名フローナックC−60M;脱アセチル化度89%など)であってよく、特に限定されるものではないが、脱アセチル化度が80%以上のものは反応性の高いアミノ基を多数含むので種々の機能性発現が期待される。また、粒径が小さいほど(80メッシュ標準篩90%pass以上)層状有機ポリマーとの固相反応性が高く好ましい。
【0018】
キトサンと層状有機ポリマーの好ましい割合は、キトサン1〜95重量%(30〜70重量%が好適)に対し層状有機ポリマー99〜5重量%(70〜30重量%が好適)である。
【0019】
キトサンの割合が多すぎると、その一部が層間内にインターカレーションされないで、層外に存在し、酸性溶液に溶出するキトサン増大する。キトサンの割合が少なすぎると、抗菌性能が十分に発揮されない。
【0020】
ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩から得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間にキトサンをインターカレートする方法は、上記層状結晶性有機ポリマーと、キトサンを混合する方法が好ましい。この反応は結晶性有機ポリマーとキトサンを例えば固相で混合すればよい。
【0021】
こうして得られたキトサン複合有機ポリマー材料は、層状有機ポリマーがキトサンに耐酸性(キトサンはアミノ基を有し耐酸性に劣る)を付与できる利点がある。
【0022】
上記キトサン複合有機ポリマー材料を含む塗料組成物は、例えば、アクリル樹脂エマルション塗料100重量部に対し、キトサン複合有機ポリマー0.01〜20重量%(0.1〜10重量%が好適)を配合してなる。
【0023】
該塗料組成物に、消泡剤、粘性調整剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防かび剤などの添加剤を適量、例えば1重量%以下、添加してもよい。
【0024】
光沢調整の目的で、シリカ系微粉末などの無機粉体、ワックスエマルションなどの光沢調整剤を添加し、半艶や艶消し塗料を作ることが出来る。
【0025】
本発明は、また、上記キトサン複合有機ポリマー材料と、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間に銀をインターカレートしたことにより得られる銀複合有機ポリマー材料との混合物からなる抗菌性材料を提供する。
【0026】
本発明は、さらに、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を光照射ラジカル重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間に銀をインターカレートしたことにより得られる銀複合有機ポリマー材料を含む、エマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料組成物を提供する。
【0027】
上記銀複合有機ポリマー材料の製造法は特開2004−155404号公報に記載されている。
【0028】
上記銀複合有機ポリマー材料を含む塗料組成物は、例えば、アクリル樹脂エマルション塗料100重量部に対し、銀複合有機ポリマー0.01〜10重量%(0.1〜5重量%が好適)を配合してなる。この塗料組成物にも上記のような添加剤や光沢調整剤を加えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によるキトサン複合有機ポリマーの構成成分の一つである、ジエンカルボン酸モノマーから得られる層状有機ポリマーは、非晶質または部分結晶性の有機ポリマーを用いた複合材料よりも、引っ張り強度、曲げ強度、耐衝撃性、耐摩耗性、寸法安定性等の特性向上も図れることから、得られた塗膜の物性向上も期待できる。
【0030】
本発明によるキトサン複合有機ポリマーのもう一つの構成成分であるキトサンは、シックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒド吸着および抗菌作用などの機能をもつので、これを含む塗料組成物はホルムアルデヒドや悪臭成分吸着などの機能を効果的に発現させることができる。
【0031】
さらに、キトサン複合有機ポリマー材料は、層状の結晶性有機ポリマーがキトサンに耐酸性(キトサンはアミノ基を有し耐酸性に劣る)を付与できる利点がある。
【0032】
こうして、本発明によるキトサン複合有機ポリマーは、塗料(特に、エマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料)に添加する抗菌剤として、安全性、環境負荷、耐溶剤性、耐酸性、耐水性等に優れた好適な材料である。
【0033】
本発明による銀複合有機ポリマーも、塗料(特に、エマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料)に添加する抗菌剤として、安全性、環境負荷、耐溶剤性、耐酸性、耐水性等に優れた好適な材料である。
【発明を実施するための好ましい形態】
【0034】
次に本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0035】
[実施例1](ムコン酸ポリマーの合成)
1,3−ヘキサジエンジカルボン酸(E,E−ムコン酸)4.97gとメチルアルコール500mLを1L三角フラスコに入れ、室温で攪拌し、ムコン酸メチルアルコールに溶解させた。次に、ドデシルアミン12.97gのメチルアルコール50mL溶液を、攪拌しながら、上記ムコン酸/メチルアルコール溶液に室温で徐々に加えた。2時間攪拌後、反応液を冷却し、析出した白色固体を濾取し、乾燥後、室温にて高圧水銀灯(株式会社東芝製、商品名;SHL−100−2、100W、Pyrex Filter)で、8時間放射線照射を行った。次に、照射した固体にメチルアルコール300mLを加え、2時間攪拌後、濾取し、乾燥を行った。次に、塩酸1mol/Lメチルアルコール溶液300mLを加え、1時間攪拌した後、濾取し、乾燥を行った。得られた白色固体をフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光株式会社製、商品名;Herchel FT−IR−430)及び粉末X線回折測定装置(理学電機株式会社製 商品名;RINT−ULTIMA2100)にて測定を行った結果、ムコン酸ポリマーの生成が確認された。各チャートを図1(a)、(b)に示す。ムコン酸ポリマーの収率は80%であった。
【0036】
[実施例2](ムコン酸ポリマーと硝酸銀の反応)
実施例1で得られたムコン酸ポリマー0.11gに、メチルアルコール150mLに溶解させた硝酸銀0.26gを加え、2時間攪拌後、濾取し、乾燥を行った。次に、高圧水銀灯を用い室温で8時間放射線照射を行った。得られた黒色固体のIRチャート及びX線チャート(図2(a)、(b))から、銀複合ムコン酸ポリマーの生成が確認された。
【0037】
[実施例3](ソルビン酸ポリマーの合成)
2,4−ヘキサジエン酸(E、E−ソルビン酸)9.41gにアセトン300mLを加え、室温で攪拌し、前者をアセトンに溶解させた。次に、1−ナフタレンメチルアミン13.29gのアセトン150mL溶液を、攪拌しながら、上記ソルビン酸/アセトン液に室温で徐々に加えた。次に、実施例1と同様に放射線照射によるラジカル重合反応を行った。得られた白色固体のIRチャート及びX線チャート(図3(a)、(b))から、ソルビン酸ポリマーの生成が確認された。ソルビン酸ポリマーの収率は95%であった。
【0038】
[実施例4](ソルビン酸ポリマーと硝酸銀の反応)
実施例3で得られたソルビン酸ポリマー0.25gに、メチルアルコール200mLに溶解させた硝酸銀0.38gを加え、2時間攪拌後、濾取し、乾燥を行った。次に、実施例2と同様にして高圧水銀灯を用い室温で8時間放射線照射を行った。得られた黒色固体のIRチャート及びX線チャート(図4(a)、(b))から、銀複合ソルビン酸ポリマーの生成が確認された。
【0039】
[実施例5](ムコン酸ポリマーとキトサンの反応)
実施例1で得られたムコン酸ポリマー0.25gにキトサン(株式会社共和テクノス製、商品名フローナックC−60M;脱アセチル化度89%)0.25gを加え、乳鉢で1時間すりつぶし、これらを固相反応させた。得られた淡黄色固体のIRチャート及びX線チャート(図5(a)、(b))から、キトサン複合ムコン酸ポリマーの生成が確認された。
【0040】
[実施例6](ソルビン酸ポリマーとキトサンの反応)
実施例3で得られたソルビン酸ポリマー0.30gに、実施例5と同様にしてキトサン0.30gを加え、乳鉢で1時間すりつぶし、これらを固相反応させた。得られた淡黄色固体のIRチャート及びX線チャート(図6(a)、(b)に示す)から、キトサン複合ソルビン酸ポリマーの生成が確認された。
【0041】
[実施例7](抗菌試験)
実施例2及び4で得られた銀複合ポリマーをアクリル樹脂エマルションをベースとする水系塗料に各0.5%添加した。得られた水性塗料組成物を濾紙に塗布し(塗布量;200g/m2)、乾燥を行い、塗膜フィルムを得た。次に、実施例5及び6で得られたキトサン複合ポリマーを用いて同様の操作を行い、塗膜フィルムを得た。
【0042】
得られた塗膜の一部を0.1mol/L塩酸水溶液に48時間浸漬させたものも調製した。得られたフィルムに対し、下記の方法で抗菌性試験を行った。抗菌性試験結果を表1及び2に示す。
【0043】
○試験方法 : 抗菌製品の抗菌力評価試験法Iフィルム密着法(1998)に
準ずる。
【0044】
○試験菌 : Escherichia coli NBRC 3972 (大腸菌)
Staphylococcus aureus NBRC 12732 (黄色ブドウ球菌)
○接種方法 : NA培地で前培養した試験菌を、それぞれNB培地500倍希釈液で
希釈して接種用菌液とし、試料上(50×50mm)に各0.4ml
接種し、被覆フィルム(滅菌済、45×45mm)を被せる。
【0045】
○培養条件 : 35±1℃、相対湿度95%(恒温恒湿器中、24時間)
○生菌数確認: SCDLP培地10mlを用いてサンプル表面および被覆フィルムを
洗い出す。洗い出した液1ml当たりの菌数をNA培地を用いて、
コロニー数計測により算出する。
【0046】
○対照 : シャーレに下敷き用のフィルムを設置し、菌液接種後、被覆フィルム
を被せる。接種直後(A値)と24時間培養後(B値)の菌数を
確認する。
【0047】
○ 成立要件 :1) {(A−B)/A}×100≦90
[A:接種直後対照区、B:対照区]
2)Aの生菌数が1.0〜5.0×105/枚の範囲にあること。
【0048】
3)ブランク(無処理)の生菌数が1.0×103/枚の以上で
あること。
【表a】
[抗菌試験結果]
抗菌製品技術協議会、抗菌製品の抗菌力評価試験法I
フィルム密着法試験結果表示
【表1】
【表2】
【0049】
[実施例8](ホルムアルデヒド吸着試験)
試験すべき塗料組成物として下記のものを用意した。
【0050】
1)水系塗料(アクリルエマルション系)
2)水系塗料(アクリルエマルション系)+ソルビン酸ポリマー(0.5%)
3)水系塗料(アクリルエマルション系)+キトサン複合ソルビン酸ポリマー(1.0%)
4)塗料組成物3)を酸処理したもの
5)水系塗料(アクリルエマルション系)+キトサン(0.5%)
6)塗料組成物5)を酸処理したもの
〔試験片作成方法〕
ガラス板(10cm×8cm)に各塗料組成物を刷毛で塗装した(塗布量150g/m2)後、50℃で3日間乾燥した。
【0051】
〔試験方法〕
5Lのにおい袋にホルムアルデヒド液(和光純薬製、特級試薬、37%水溶液)及び空気を入れ、混合し、自動ガス採取装置(株式会社ガステック製、型式;GSP−300FT)を使用し、気体検知管(株式会社ガステック製、NO.91L)にて、初期濃度の測定を行った。試験片を入れた別のにおい袋(5L)に、初期濃度を測定した気体を入れて、2日後の残存濃度の測定を行った。残存率(%)=(時間毎の測定濃度/初期濃度)×100。測定結果を表3に示す。
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1a】実施例1のムコン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図1b】実施例1のムコン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【図2a】実施例2の銀複合ムコン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図2b】実施例2の銀複合ムコン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【図3a】実施例3のソルビン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図3b】実施例3のソルビン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【図4a】実施例4の銀複合ソルビン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図4b】実施例4の銀複合ソルビン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【図5a】実施例5のキトサン複合ムコン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図5b】実施例5のキトサン複合ムコン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【図6a】実施例6のキトサン複合ソルビン酸ポリマーの生成を示す赤外分光チャート。
【図6b】実施例6のキトサン複合ソルビン酸ポリマーの生成を示すX線回折チャート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間にキトサンをインターカレートしたことにより得られるキトサン複合有機ポリマー材料。
【請求項2】
請求項1記載のキトサン複合有機ポリマー材料を含む塗料組成物。
【請求項3】
請求項1記載のキトサン複合有機ポリマー材料を含む塗料がエマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料組成物。
【請求項4】
請求項1記載のキトサン複合有機ポリマー材料と、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間に銀をインターカレートしたことにより得られる銀複合有機ポリマー材料との混合物からなる抗菌性材料。
【請求項5】
ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間に銀をインターカレートしたことにより得られる銀複合有機ポリマー材料を含む、エマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料組成物。
【請求項1】
ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間にキトサンをインターカレートしたことにより得られるキトサン複合有機ポリマー材料。
【請求項2】
請求項1記載のキトサン複合有機ポリマー材料を含む塗料組成物。
【請求項3】
請求項1記載のキトサン複合有機ポリマー材料を含む塗料がエマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料組成物。
【請求項4】
請求項1記載のキトサン複合有機ポリマー材料と、ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間に銀をインターカレートしたことにより得られる銀複合有機ポリマー材料との混合物からなる抗菌性材料。
【請求項5】
ジエンカルボン酸モノマーのアンモニウム塩を重合して得られる層状の結晶性有機ポリマーの層間に銀をインターカレートしたことにより得られる銀複合有機ポリマー材料を含む、エマルション樹脂をベースとして構成されている水系塗料組成物。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【公開番号】特開2007−238692(P2007−238692A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60590(P2006−60590)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(591137086)恒和化学工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(591137086)恒和化学工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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