説明

キナーゼ阻害薬としての[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン類

本発明は、特定の新規化合物、それらを製造するための方法、およびキナーゼ媒介障害を治療または改善するための方法に関する。より具体的には、本発明は、選択的キナーゼ阻害薬として有用な置換トリアゾロピリジン化合物、それらの化合物を製造するための方法、およびキナーゼ媒介障害を治療または改善するための方法に関する。特に本方法は、心血管疾患、糖尿病、糖尿病関連障害、炎症性疾患、免疫障害、癌、および眼疾患、たとえば網膜障害または黄斑変性症または他の硝子体網膜疾患などを含めたキナーゼ媒介障害を治療または改善することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の新規化合物、それらを製造するための方法、およびチロシンキナーゼ調節異常を伴う障害、たとえば血管透過性亢進または血管新生に関連する障害を治療または改善するための方法に関する。より具体的には、本発明は、選択的キナーゼ阻害薬として有用な置換トリアゾロピリジン化合物、それらの化合物を製造するための方法、およびキナーゼ媒介障害を治療または改善するための方法に関する。特に本方法は、心血管疾患、糖尿病、糖尿病関連障害、炎症性疾患、免疫障害、癌、および眼疾患、たとえば網膜障害または黄斑変性症または他の硝子体網膜疾患などを含めた、チロシンキナーゼ調節異常を伴う障害を治療または改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
血管外への体液および細胞の通過は、さまざまな状況で炎症、組織傷害、浮腫および死に関与する重大な要因である。これらには、虚血性傷害、毒素ショック、火傷、外傷、アレルギー反応および免疫反応が含まれる。血管透過性は、一部は内皮細胞間の細胞−細胞接着により調節されている。血管を内張りする内皮細胞単層は、血液流体コンパートメントの統合性を維持するバリヤーを形成するが、調節された様式での可溶性因子および白血球の通過は許容する。このプロセスの調節異常により周囲組織内への血管漏出が生じ、これに伴って病的浮腫性状態に関連した炎症が起きる。血管透過性は精密に調整された機能であり、防御免疫応答および創傷治癒にプラスに寄与することができる;しかし多数の病的状況では、大量および/または慢性的な体液漏出、ならびに組織内への免疫細胞の移動が、重大な、時には生命を脅かす結果をもたらす可能性がある。
【0003】
黄斑領域の浮腫をもたらす異常な網膜血管透過性は、糖尿病性網膜障害、滲出性黄斑変性症、網膜血管閉塞、ならびに炎症状態および新生状態などの疾患における失明の主因である。さまざまな疾患プロセスが種々の機序で血管透過性亢進をもたらす可能性があるが、サイトカインVEGFは血管漏出の誘導物質として主要な役割を果たすことが知られている。VEGFは最初は、腫瘍細胞が分泌する急速かつ可逆的な微小血管透過性亢進を刺激する効力をもつ血管透過因子(VPF)として記載された(Senger et al., 1983, Science., 25, 219, 983-5)。たとえば虚血性網膜障害ならびにおそらく滲出性黄斑変性症およびブドウ膜炎における血管透過性亢進もVEGFレベルと相関しており(Fine et al., 2001, Am. J. Ophthalmol., 132, 794-796 ; Boyd et al., 2002, Arch Ophthalmol., 120, 1644-1650)、VEGFアンタゴニストを用いて、一連の罹病患者において血管新生性の眼疾患、たとえば加齢性黄斑変性症における網膜/黄斑浮腫を軽減して、視力の安定化、または改善にすら成功した。VEGFが血管透過性を誘導する様式が最近解明され(Gavard and Gutkind, 2006, Nat Cell Biol., 8, 1223-1234)、VEGF誘導血管漏出がSrc癌原遺伝子ファミリーの細胞質プロテインキナーゼメンバーにより媒介されることが示された。
【0004】
プロテインキナーゼは、広範な細胞プロセスおよび細胞機能の調節および維持において中心的な役割を果たす。たとえば、キナーゼ活性は細胞の増殖、活性化および/または分化を調節する分子スイッチとして作用する。多数の疾患が過剰反応性のプロテインキナーゼ媒介経路により誘発される異常な細胞応答から生じるということは、現在では広く受け入れられている。
【0005】
Srcキナーゼは、哺乳動物において8つのメンバーを含む膜結合した非受容体型チロシンキナーゼのファミリーを形成する:Src、Fyn、Yes、Fgr、Lyn、Hck、LckおよびBlk(Bolen et al., 1997, Annu. Rev. Immunol., 15, 371);これらは受容体シグナル伝達および細胞連絡において重要な役割をもつ(Thomas and Brugge, 1997, Annu Rev Cell Dev Biol., 13, 513-609)。大部分のSrcキナーゼは広範に発現する(すなわち、Src、Fyn、Yes)が、このファミリーのあるメンバー、たとえばHck、BlkまたはLckは限定された発現を示す。Srcキナーゼは、多様な細胞外合図を細胞内シグナル伝達経路へ連結する膜結合型分子スイッチとして中枢的役割を果たす。これは、細胞の増殖および分化ならびに細胞の接着および移動におけるSrcキナーゼ関与の基本である(Thomas SM and JS Brugge, 1997,前掲)。
【0006】
乳癌、大腸癌、膵臓癌、特定のB細胞性白血病およびリンパ腫、消化器癌、非小細胞性肺癌、膀胱癌、前立腺癌および卵巣癌、黒色腫ならびに肉腫を含めたヒト癌においてSrcタンパク質レベルおよびSrcキナーゼ活性が有意に上昇することについては十分な文献がある(Summy and Gallick, 2003, Cancer Metastasis Rev, 22, 337-58)。したがって、Srcのキナーゼ活性を阻害することによるシグナル伝達遮断は、細胞の癌性トランスフォーメーションを駆動する異常な経路を調節する有効な手段であろうと予想された(Abram et al., 2000, Exp. Cell Res., 254, 1; Russi et al, 2006, JPET, 318, 161-172; Jallal et al., 2007, Cancer Research, 67, 1580-1588)。
【0007】
同様に、Srcファミリーのキナーゼが免疫細胞受容体の下流のシグナル伝達にとって重要であることについても十分な文献がある。Fynは、Lckと同様にT細胞におけるTCRシグナル伝達に関与している(Appleby et al., 1992, Cell, 70, 751)。HckおよびFgrは、Fcy受容体シグナル伝達に関与して好中球の活性化をもたらす(Vicentini et al., 2002, J. Immunol., 168, 6446)。LynおよびSrcもFcy受容体シグナル伝達に関与してヒスタミンその他のアレルギー媒介物質の放出をもたらす(Turner and Kinet, 1999, Nature, 402, B24)。これらの所見は、Srcファミリーキナーゼ阻害薬がアレルギー性疾患および喘息の処置に有用な可能性があることを示唆する。
【0008】
VEGFが血管透過性に及ぼす作用に基づき、幾つかのレポートが浮腫の発症におけるSrcキナーゼの役割を支持している。たとえば、FynではなくSrcの欠乏、またはSrcの遮断は、マウスにおいて永久脳虚血に伴う脳浮腫を約55%減少させた(Paul et al., 2001, Nat Med., 7(2): 222-7)。最近、Srcチロシンキナーゼ阻害薬であるPP1が浮腫を軽減し、脳−血液関門(BBB)の破壊を軽減し、VEGFの発現を低下させることが見出された(Jadhav et al., 2007, J Neurosurg., 106, 680-686)。同様にScheppke et al (2008, J Clin Invest., 118, 2337-2346)は、SrcキナーゼがVEGFおよび虚血により誘導される網膜血管漏出の重要な媒介物質であることを示した。
【0009】
さらに、Srcチロシンキナーゼは血管内皮細胞においてVEGF受容体シグナル伝達を完全に媒介する。したがって、内皮細胞または前駆細胞にあるVEGF受容体または他の増殖因子の刺激から生じるSrcキナーゼの活性化は、血管新生を誘発する;これは、網膜および角膜の疾患において有害となる可能性のある、腫瘍の発現および転移(metastasis migration)に顕著に関与する応答である。
【0010】
キナーゼ活性を調節し、またはより具体的には阻害する幾つかのクラスの化合物が、キナーゼ媒介障害、特に癌の有望な処置として開示されている。
たとえばWO2001038315には、サイクリン依存性キナーゼの阻害薬としてのアミノキナゾリン類が記載されている。
【0011】
WO2008068507には、癌を処置するためのRafセリン/トレオニンキナーゼ阻害薬としてのピリジニルキナゾリン類が記載されている。
WO2008079988には、癌などの増殖性疾患を処置するためのPDK1キナーゼ阻害薬としてのキナゾリン類が記載されている。
【0012】
WO2006118256には、吸入用の、種々の炎症性疾患および癌を処置するためのp38MAPK阻害薬としてのキナゾリン誘導体が記載されている。
WO2006039718には、炎症、癌および関連状態を含めたプロテインキナーゼ媒介疾患の処置に使用するためのアリール窒素含有二環式化合物が記載されている。
【0013】
WO2005037285には、癌などの障害を処置するためのRafセリン/トレオニンキナーゼ阻害薬としての2,6−ジ置換二環式複素環化合物が記載されている。
WO2004065378には、癌、アテローム硬化症および再狭窄などの細胞増殖性障害を処置するためのcdk4阻害薬としての2−アミノピリジン類が記載されている。
【0014】
興味深いことに、WO2006024034に、ベンゾトリアジン、トリアジン類、トリアゾール類およびオキサジアゾール類から誘導された複素環化合物が記載されている:たとえばベンゾトリアジン化合物(WO2005096784)またはピリミジン化合物(WO2006101977);これらはキナーゼ、たとえばSrcキナーゼファミリーのメンバーを阻害することができる。これらの薬物は種々の眼疾患(たとえば、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜障害、糖尿病性黄斑浮腫、癌、および緑内障)の処置に有用な可能性があると主張されてはいるが、それにもかかわらず親油性であって水不溶性である(参照:WO2006133411)。WO2006133411の発明者らによれば、これらの薬物は水に不溶性であり(pH範囲4〜8における水溶性が約0.1mg/mL未満)、それらを送達するために使用するリポソーム内への薬物の分配率が水と比較して高いため高い装填効率をもち、漏出を無視できるので、これらの特異的な特性は特に眼科用として特に有利である。
【0015】
前記および本明細書全体における特許および刊行物を全体として本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO2001038315
【特許文献2】WO2008068507
【特許文献3】WO2008079988
【特許文献4】WO2006118256
【特許文献5】WO2006039718
【特許文献6】WO2005037285
【特許文献7】WO2004065378
【特許文献8】WO2006024034
【特許文献9】WO2005096784
【特許文献10】WO2006101977
【特許文献11】WO2006133411
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Senger et al., 1983, Science., 25, 219, 983-5
【非特許文献2】Fine et al., 2001, Am. J. Ophthalmol., 132, 794-796
【非特許文献3】Boyd et al., 2002, Arch Ophthalmol., 120, 1644-1650
【非特許文献4】Gavard and Gutkind, 2006, Nat Cell Biol., 8, 1223-1234
【非特許文献5】Bolen et al., 1997, Annu. Rev. Immunol., 15, 371
【非特許文献6】Thomas and Brugge, 1997, Annu Rev Cell Dev Biol., 13, 513-609
【非特許文献7】Summy and Gallick, 2003, Cancer Metastasis Rev, 22, 337-58
【非特許文献8】Abram et al., 2000, Exp. Cell Res., 254, 1
【非特許文献9】Russi et al, 2006, JPET, 318, 161-172
【非特許文献10】Jallal et al., 2007, Cancer Research, 67, 1580-1588
【非特許文献11】Appleby et al., 1992, Cell, 70, 751
【非特許文献12】Vicentini et al., 2002, J. Immunol., 168, 6446
【非特許文献13】Turner and Kinet, 1999, Nature, 402, B24
【非特許文献14】Paul et al., 2001, Nat Med., 7(2): 222-7
【非特許文献15】Jadhav et al., 2007, J Neurosurg., 106, 680-686
【非特許文献16】Scheppke et al (2008, J Clin Invest., 118, 2337-2346)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
眼は堅固に保護された臓器である。これに関して、眼底の疾患を処置する方法は、療法選択肢の少なさにより証明されるように、おそらく最も困難かつ挑戦的な薬物探索課題であろう。最も簡便で最も安全な形態の眼への薬物送達のひとつは、点眼剤である;これは非侵襲性であり、医療介助を必要とせず、必要とされるのは少量の薬液だからである。しかし、局所点眼に適切であるためには、分子がそれらの分子標的に対して十分に有効であり、細胞膜を通過できる物理化学的特性を備え、かつ溶液として角膜に適用するための水性媒体に十分に可溶性でなければならない。さらに、そのような薬物分子は、最終的に視覚を妨げる可能性のある眼組織着色を阻止するために可能な限り無色であることがきわめて重要である。さらに、臨床試験に参加する患者が自身の処置の性質に気付いてはならない;有効成分の製剤が著しく着色していれば明らかに先入観を持つ。さらに、キナーゼ間には多重交差反応性があるため、それらの薬物分子は高い選択度で標的キナーゼを阻害することがきわめて望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の他の特徴は、競合物質と比較して高い水溶性をもつ新規化合物を提供することである。
本発明の他の特徴は、特にsrcおよびlynキナーゼに対して有効性の高い阻害薬である化合物を提供することである。
【0020】
本発明の他の特徴は、眼障害を含めた、チロシンキナーゼ調節異常を伴う障害、たとえば血管透過性亢進または血管新生に関連する障害を処置するために有用な化合物を提供することである。
【0021】
本発明の他の特徴は、特に溶液状で無色またはほとんど無色である化合物を提供することである。
本発明の他の特徴および利点は一部は以下の記述に述べられ、一部はその記述から明らかになり、あるいは本発明の実施により分かるであろう。本発明の目的および他の利点は本明細書および特許請求の範囲に特に指摘する要素および組合わせにより実現および達成されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1態様によれば、本発明は構造(I)を有する化合物およびその医薬的に許容できる塩、水和物または溶媒和物に関する:
【0023】
【化1】

【0024】
式中:
およびAは、NまたはCであり、ただし、AまたはAのうち1つはNであり、AまたはAのうち1つは炭素であり、
R1およびR2は、水素、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、−CN、−ハロゲン、−CF、−OR4であり、
R3は、水素、C−Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−CN、−CF、−OR4,−OCOR4、−COR4、−NR4R5、−NR4COR5、−NR4COOR5、−(C−Cアルキル)OR4、−(C−Cアルキル)COR4、−(C−Cアルキル)NR4R5、−(C−Cアルキル)NR4COR5、−(C−Cアルキル)NR4COOR5であり、
Xは、結合、または(CHW(CH、(CHW(CHY(CHもしくは−[(CHW(CH−(Z)−[(CHY(CHであり、これらにおいて:
a、b、cおよびdは、独立して0、1、2または3であり、
eは、0、1または2であり、
nおよびmは、独立して0または1であり、
Wは、−CO−、−O−、−SO−、−CH−、−CHOH−、−NR6−、NR7CONR8またはNR7SONR8であり、
Yは、−CO−、−O−、−SO−、−CH−、−CHOH−または−NR6−、NR7CONR8またはNR7SONR8であり、
Zは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、eが2である場合、各Z部分は互いに独立して選択され;
R4、R5およびR6は、独立して水素、C−Cアルキルであり、その際、R4とR5は一緒に5〜7員環を形成することができ、
R7およびR8は、独立して水素、C−Cアルキルであり、その際、R7とR8は一緒に5〜7員環を形成することができる。
【0025】
本明細書全体で用いる用語“a”および“an”(単数形)は、状況から別の指示がなされない限り、それらは“少なくとも1つ”、“少なくとも第1”、“1以上”、または“複数”の言及された化合物または工程を意味するという意味で用いられる。より具体的には、“少なくとも1つ”および“1以上”は、1または1より多い数値を意味し、1、2または3が特に好ましい。
【0026】
用語“および/または”は、本明細書中で用いる場合は常に、“および”、“または”および“その用語で連結された構成要素のすべてまたは他のいずれかの組合わせ”の意味を含む。
【0027】
本明細書中で用いる用語“約”または“ほぼ”は、示した数値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。
本明細書中で用いる用語“含む”、“含有する”は、生成物、組成物および方法を規定するために用いる場合、その生成物、組成物および方法が言及された化合物または工程を含むけれども他を排除しないことを意味するものとする。
【0028】
本明細書中で用いる、基としてまたは基の部分としての用語“ハロゲン”は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードの総称である。
用語“シクロアルキル”は、3個から7個までの炭素原子、より好ましくは個から5個までの炭素原子を含む飽和単環式炭素環を意味する。単環式シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルなどが含まれる。
【0029】
用語“ヘテロシクロアルキル”は、3個から14個までの環員子、好ましくは5個から10個までの環員子、より好ましくは5個から6個までの環員子をもち、窒素、酸素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子環員子を含み、R9および/またはR10部分で置換されていてもよい、飽和単環式または二環式複素環を意味する。ヘテロシクロアルキルの例は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどである。
【0030】
用語“アリール”は、R9および/またはR10部分で置換されていてもよい、単環式および二環式芳香族炭素環を含む。アリールの例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルが含まれる。
【0031】
用語“ヘテロアリール”は、5個から10個までの環員子、好ましくは5個から6個までの環員子をもち、窒素、酸素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子環員子を含み、R9および/またはR10部分で置換されていてもよい、芳香族単環式または二環式複素環を意味する。ヘテロアリールの例は、ピリジン、インドール、ベンゾフラン、オキサゾール、トリアゾール、ピリミジンなどである。
【0032】
R9/R10は、独立して水素、C−Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−CN、−ハロゲン、−CF、=O、−OR4、−NR4R5、−NR4COR5、−NR4COOR5、−(C−Cアルキル)OR4、−(C−Cアルキル)NR4R5、−(C−Cアルキル)NR4COR5、−(C−Cアルキル)NR4COOR5、−COOH、COOR4から選択され、R4およびR5は前記に定めたものである。
【0033】
本発明の化合物は、不斉炭素原子の存在のため1以上のキラル中心をもつ場合があり、したがってそれらは各キラル中心においてRまたはS立体化学的性質をもつ多数のジアステレオ異性体として存在する場合がある。本発明にはそのようなジアステレオ異性体およびその混合物がすべて含まれる。
【0034】
プロドラッグ形の式Iの化合物も本発明の一部である。プロドラッグは生物活性物質(“親薬物”または“親分子”)の薬理学的に不活性な誘導体であることができ、それは活性薬物を放出するために体内で変換される必要があり、親薬物分子より改良された送達特性をもつ。インビボでの変換は、たとえば、カルボン酸エステル、リン酸エステルもしくは硫酸エステルの化学的もしくは酵素による加水分解、または影響を受けやすい官能基の還元もしくは酸化など、ある代謝プロセスの結果であってよい。
【0035】
本明細書中の用語“化合物”は、一般に式Iの化合物、またはその医薬的に許容できる塩、水和物、溶媒和物、結晶形態、個々のジアステレオマーもしくはプロドラッグを表わす。
【0036】
本発明に従って使用するためには、化合物(I)においていずれか適合する組合わせの下記の構造特性が現時点で好ましい:
R1は、好ましくはアリール、より好ましくはフェニルである。
【0037】
R1は、好ましくはR9およびR10で置換されており、ここでR9/R10はC−Cアルキル(好ましくはCH)、ハロゲン(好ましくは−Cl)または−OHである。
【0038】
R1は、好ましくはフェニルであり、2、5または6位においてR9およびR10で置換されている。
R2は、好ましくは水素またはである。
【0039】
R2は、好ましくはC−Cアルキル(好ましくはCH)である。
Xは好ましくは(CHW(CHであり、ここでaは0であり、bは2であり、Wは−O−である。
【0040】
あるいは、Xは好ましくは(CHW(CHY(CHであり、ここでaは0であり、bは1であり、cは0であり、Wは−O−であり、Yは−CO−である。
あるいは、Xは好ましくは−[(CHW(CH−Z−[(CHY(CHであり、ここでmは0であり、nは1であり、cは0であり、dは0または2であり、Yは−COであるかまたは存在せず、Zはイミダゾリン−2−オンまたはピペラジンである。
【0041】
R3は好ましくはヘテロシクロアルキル、好ましくはピロリジンである。
R3は好ましくはR9で置換されており、ここでR9は好ましくは−COOH、−N[CHまたはCOOR4であり、ここでR4は好ましくはC−Cアルキルである。
【0042】
あるいは、R3は好ましくはヘテロアリール、好ましくはピリジンである。
本発明の化合物には、本明細書中の実施例のもの、特に下記のもの、およびそれらの塩、水和物、溶媒和物が含まれる:
4−クロロ−3−{2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール塩酸塩
2−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェノキシ}−1−((R)−3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イル)−エタノン塩酸塩
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−3−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−イミダゾリジン−2−オン
(S)−1−(2−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェノキシ}−アセチル)−ピロリジン−2−カルボン酸
4−クロロ−3−{8−メチル−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール塩酸塩
4−クロロ−3−{2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル}−フェノール塩酸塩
4−クロロ−3−{2−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール
4−クロロ−3−{2−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール
4−クロロ−3−[2−(3−ピラゾール−1−イル−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール
4−クロロ−3−{2−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール
4−クロロ−3−{2−[3−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール
4−クロロ−3−{2−[3−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール
4−クロロ−3−[2−(4−ヒドロキシメチル−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール
4−クロロ−3−[2−(3−ヒドロキシメチル−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール
4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−ベンゼンスルホンアミド
4−クロロ−3−{2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−イミダゾリジン−2−オン
3−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−ベンゼンスルホンアミド
2−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェノキシ}−アセトアミド
2−{3−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェノキシ}−アセトアミド
4−クロロ−3−[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール
4−クロロ−3−[2−(4−フェノキシ−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール
4−クロロ−3−[2−(4−メタンスルホニル−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール
3−[2−(4−ベンジルオキシ−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−4−クロロ−フェノール
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−3−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−イミダゾリジン−2−オン
5−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−ベンゾフラン−2−カルボン酸
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−3−メチル−イミダゾリジン−2−オン
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−3−(2−メトキシ−エチル)−イミダゾリジン−2−オン
1−[(4−{[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]アミノ}ベンゼン)スルホニル]−3−エチル尿素
1−(4−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−エタノン
(4−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−4−イル−メタノン
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−3−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−尿素
4−クロロ−3−{2−[4−(2−ピペラジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール。
【0043】
1態様によれば、本発明の化合物は式Iの化合物の塩である。
好ましい1態様によれば、本発明の化合物は、pH範囲4〜8、好ましくはpH範囲5〜7において0.1mg/mlを超える、たとえばpH範囲5〜7において約0.5mg/mlを超える、たとえばpH範囲5〜7において約1mg/mlを超える水溶性をもつ。
【0044】
1態様によれば、本発明の化合物はわずかな色をもち、好ましくはそれらは無色または淡黄色である。
本発明の好ましい化合物は、主にsrcおよび/またはlynキナーゼに作用する。
【0045】
1態様によれば、本発明の化合物はsrcおよび/またはlynキナーゼ阻害薬である。
1態様によれば、本発明の化合物はSrcに対して約15nM未満、有利には約10nM未満、より好ましくは約1nM未満、有利には約0.9nM未満、より好ましくは約0.5nM未満のIC50をもつ。
【0046】
1態様によれば、本発明の化合物はLynに対して約15nM未満、有利には約11nM未満、より好ましくは約4nM未満、有利には約3nM未満、より好ましくは約1nM未満のIC50をもつ。
【0047】
1態様によれば、1種類以上の本発明化合物および医薬的に許容できるキャリヤーまたは水性媒体を含有する組成物が提供される。
本明細書中で用いる用語“医薬的に許容できる”は、適宜、動物またはヒトに投与した際に有害反応、アレルギー反応その他の不都合な反応を生じないキャリヤーを表わす。本明細書中で用いる“医薬的に許容できるキャリヤー”には、溶剤、分散媒体、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などのいずれかまたはすべてが含まれる。医薬有効物質のためのそのようなキャリヤーの使用は当技術分野で周知である。適切な医薬用キャリヤーの例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”, E. W. Martin著に記載されている。好ましい態様において、本発明の化合物はルーティンな操作に従って眼に投与するために適合させた医薬組成物として配合される。補助的な有効成分、たとえば抗炎症剤、化学療法剤、抗癌剤、免疫調節剤、遺伝子系の療法ワクチン、免疫療法製剤、療法用抗体および/またはプロテインキナーゼ阻害薬も組成物中に取り込ませることができる。
【0048】
1態様によれば、本発明の化合物は非経口投与用として配合でき、たとえば静脈内、筋肉内、皮下、またはさらに腹腔内経路による注射用として配合できるであろう。本発明の化合物または化合物類を含有する水性組成物の調製は、本発明の開示を考慮して当業者がなしうる範囲のものであろう。一般に、そのような組成物は注射用として、液剤または懸濁剤として調製できる;注射の前に液体を添加して液剤または懸濁剤を調製するために用いるのに適した固体剤形も調製できる;製剤を乳化することもできる。
【0049】
他の態様によれば、本発明の化合物は本発明の化合物を局所投与するために、特に眼障害の処置のために配合されるであろう。本発明の化合物または化合物類を含有する組成物の調製は、本発明の開示を考慮して当業者がなしうる範囲のものであろう。一般に、局所投与のためのそのような組成物は、軟膏剤、ゲル剤または点眼剤として調製できる。眼科用局所組成物は、さらにインサイチュゲル配合物であってもよい。そのような配合物は、眼と接触した際または眼の外側で涙液と接触した際にゲル化を促進するのに有効な濃度のゲル化剤を含む。適切なゲル化剤には、熱硬化性ポリマー、たとえばエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのテトラ置換エチレンジアミンブロックコポリマー(たとえばポロキサミン);ポリカルボフィル;ならびに多糖類、たとえばジェラン、カラゲナン(たとえば、カッパ−カラゲナンおよびイオタ−カラゲナン)、キトサンおよびアルギナートガムが含まれるが、これらに限定されない。本明細書中で用いる“インサイチュゲル化性”という句は、眼と接触した際または眼の外側で涙液と接触した際にゲルを形成する低粘度の液体だけでなく、より粘稠な液体、たとえば眼に投与した際に実質的に増大した粘度またはゲル硬さを示す半流体およびチキソトロピーゲルをも含む。
【0050】
他の態様によれば、本発明の化合物は本発明の化合物を経口投与するために配合されるであろう。本発明の化合物または化合物類を含有する組成物の調製は、本発明の開示を考慮して当業者がなしうる範囲のものであろう。一般に、経口投与用のそのような組成物は、経口投与用の液剤または懸濁剤、錠剤、持効性カプセル剤および他の固形剤として調製できる。
【0051】
他の態様によれば、本発明の化合物は本発明の化合物を腫瘍内投与するために配合されるであろう。本発明の化合物または化合物類を含有する組成物の調製は、本発明の開示を考慮して当業者がなしうる範囲のものであろう。一般に、腫瘍内投与用のそのような組成物は、他の投与経路に関する前記の開示と同様に調製できる。
【0052】
他の態様によれば、本発明の化合物は本発明の化合物を吸入投与するために配合されるであろう。本発明の化合物または化合物類を含有する組成物の調製は、本発明の開示を考慮して当業者がなしうる範囲のものであろう。一般に、吸入用のそのような組成物は、他の投与経路に関する前記の開示と同様に調製できる。
【0053】
他の態様によれば、本発明の化合物を眼科用として許容できる保存剤、増粘剤、透過増強剤、緩衝剤、塩化ナトリウムおよび水と組み合わせて、水性、無菌の眼科用懸濁剤または液剤が形成されるであろう。眼科用液剤配合物は、化合物を生理的に許容できる等張水性緩衝液に溶解することにより調製できる。さらに、眼科用液剤は化合物の溶解を補助するために眼科用として許容できる界面活性剤を含有することができる。さらに、眼科用液剤は粘度を高めるための作用物、たとえばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどを含有して、結膜嚢における配合物の保持を改善することができる。ゲル化剤も使用でき、これにはジェランおよびキサンタンガムが含まれるが、これらに限定されない。無菌の眼科用軟膏配合物を調製するために、有効成分を適切なビヒクル、たとえば鉱油、液体ラノリンまたは白色ワセリン中で保存剤と組み合わせる。化合物を、好ましくはpH約5〜8、より好ましくは約6.5〜約7.5の眼科用局所懸濁剤または液剤として配合する。化合物は普通はこれらの配合物中に0.001重量%〜5重量%の量、ただし好ましくは0.025重量%〜2重量%の量で含有されるであろう。したがって、局所適用のためには専門医の自由裁量に従ってこれらの配合物1〜2滴を眼の表面に1日1〜4回送達する。
【0054】
他の態様において、チロシンキナーゼ調節異常を伴う障害、たとえば血管透過性亢進または血管新生に関連する障害の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物をその処置が必要な対象に投与することを含む方法が提供される。
【0055】
本明細書中で用いる用語“処置”または“処置すること”には、予防および/または治療が含まれる。したがって、本発明の組成物および方法は治療適用に限定されず、予防適用にも使用できる。したがって、ある状態、障害または病状を“処置すること”または“処置”には下記が含まれる:(i)その状態、障害または病状に罹患するかまたはその素因をもつ可能性があるけれどもまだその状態、障害または病状の臨床症状または準臨床症状を経験または呈示していない対象において、発症しつつあるその状態、障害または病状の臨床症状の発現を阻止または遅延させること、(ii)その状態、障害または病状を阻害すること、すなわちその疾患またはその少なくとも1つの臨床症状もしくは準臨床症状の発症を制止または低下させること、あるいは(iii)その疾患を軽減すること、すなわちその状態、障害もしくは病状またはその少なくとも1つの臨床症状もしくは準臨床症状を退行させること。
【0056】
本明細書中で用いる用語“患者”または“それが必要な対象”は、いずれかの動物を意味する;好ましくは、動物は脊椎動物;より具体的には哺乳動物種のメンバーであり、家畜(たとえば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、イヌおよびネコ)、ヒトを含めた霊長類を含むが、これらに限定されない。用語“患者”または“それが必要な対象”は、決して特定の疾病状態に限定されず、既に当該疾患を発症している患者および病気ではない患者の両方を含む。
【0057】
本明細書中で用いる用語“療法有効量”は、組織、動物またはヒト、細胞、臓器の生物学的応答を誘発するいずれかの化合物または組成物の量を意味する。
1態様によれば、チロシンキナーゼ調節異常を伴う障害は血管透過性亢進に関連する障害である。
【0058】
他の態様によれば、チロシンキナーゼ調節異常を伴う障害は血管新生に関連する障害である。
好ましい態様において、チロシンキナーゼ調節異常を伴う障害はsrcおよび/またはlynキナーゼ調節異常を伴う障害である。
【0059】
1態様によれば、チロシンキナーゼ調節異常を伴う障害は下記のものからなる群から選択される:心筋梗塞、卒中、うっ血性心不全、虚血もしくは再潅流傷害、外傷、癌、浮腫、関節炎もしくは他の関節障害、網膜障害もしくは硝子体網膜疾患、糖尿病性網膜障害、黄斑浮腫:糖尿病性黄斑浮腫を含む、黄斑変性症、緑内障、自己免疫疾患、血管漏出症候群、炎症性疾患、浮腫、移植片拒絶、火傷、または急性もしくは成人呼吸窮迫症候群(ARDS)。
【0060】
他の態様において、血管透過性亢進に関連する眼障害の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物をその処置が必要な対象に投与することを含む方法が提供される。
【0061】
他の態様において、癌を伴うかまたはそのリスクをもつ対象の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を対象に投与し、これにより対象を処置することを含む方法が提供される。
【0062】
他の態様において、浮腫および/または血管新生を伴うかまたはそのリスクをもつ対象の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を対象に投与し、これにより対象を処置することを含む方法が提供される。
【0063】
他の態様において、黄斑変性症を伴うかまたはそのリスクをもつ対象の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を対象に投与し、これにより対象を処置することを含む方法が提供される。
【0064】
他の態様において、糖尿病性網膜障害を伴うかまたはそのリスクをもつ対象の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を対象に投与し、これにより対象を処置することを含む方法が提供される。
【0065】
他の態様において、糖尿病性黄斑浮腫を含めた黄斑浮腫を伴うかまたはそのリスクをもつ対象の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を対象に投与し、これにより対象を処置することを含む方法が提供される。
【0066】
他の態様において、緑内障を伴うかまたはそのリスクをもつ対象の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を対象に投与し、これにより対象を処置することを含む方法が提供される。
【0067】
他の態様において、網膜障害を伴うかまたはそのリスクをもつ対象の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を対象に投与し、これにより対象を処置することを含む方法が提供される。
【0068】
他の態様において、硝子体網膜疾患を伴うかまたはそのリスクをもつ対象の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を対象に投与し、これにより対象を処置することを含む方法が提供される。
【0069】
他の態様において、炎症性疾患を伴うかまたはそのリスクをもつ対象の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を対象に投与し、これにより対象を処置することを含む方法が提供される。
【0070】
さらに他の態様において、血管透過性の欠陥(compromised vascular permeability)に関連する眼障害および癌の処置方法であって、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を、抗炎症剤、化学療法剤、抗腫瘍剤、免疫調節剤、遺伝子系の療法ワクチン、免疫療法製剤、療法用抗体および/またはキナーゼ阻害薬と組み合わせて、その処置が必要な対象に投与することを含む方法が提供される。
【0071】
特に眼適用のための本発明化合物の投与は、好ましくは局所投与による。しかし、本発明はたとえば眼内および眼周囲への注射、全身送達(たとえば、経口または他の非経口経路、たとえば皮下、筋肉内、静脈内への投与)または腫瘍内送達をも含むので、本発明は局所送達に限定されない。
【0072】
さらに他の態様において、本発明の化合物を眼底に送達する方法であって、医薬として有効な量の少なくとも1種類の本発明化合物を含有する組成物を調製し、この組成物をその送達が必要な対象の眼に送達することを含む方法が提供される。
【0073】
さらに他の態様において、本発明の化合物を腫瘍内に送達する方法であって、医薬として有効な量の少なくとも1種類の本発明化合物を含有する組成物を調製し、この組成物をその送達が必要な対象の腫瘍に送達することを含む方法が提供される。
【0074】
本発明の組成物、より具体的には眼科用組成物または抗腫瘍組成物を調製するためには、療法有効量の1種類以上の本発明化合物を当技術分野で既知のビヒクルに装入する。たとえば、ステロイドを含有する眼科用局所配合物がUS 5,041,434に開示され、一方、眼科用薬物および高粘度ゲルを形成するための高分子量ポリマーの持続放出型眼科用配合物がUS 4,271,143およびUS 4,407,792に記載されている。さらにGB 2007091には、カルボキシビニルポリマー、水溶性塩基性物質および眼科用薬物の水溶液を含むゲルの形態の眼科用組成物が記載されている。あるいはUS 4,615,697には、生体接着剤および治療剤、たとえば抗炎症剤を基礎とする制御放出組成物および使用方法が開示されている。
【0075】
本発明化合物の投与量および本発明方法に使用する組成物中におけるそれの濃度は、選択した溶解剤、送達システムまたはデバイス、患者の臨床状態、副作用、および組成物中における化合物の安定性に依存する。したがって、医師は適切な濃度の本発明化合物を含有する適切な製剤を使用し、その患者または類似タイプの患者についての臨床経験によって配合物の投与量を選択する。
【0076】
他の態様において、1種類以上の本発明化合物、またはその医薬的に許容できる塩、水和物、溶媒和物、結晶形態の塩、および個々のジアステレオマーを製造するための方法が提供される。
【0077】
本発明化合物を製造するための多数の合成経路があるが、すべて有機合成化学者に既知の化学に依存する。したがって、式Iにより表わされる化合物は文献に記載された当業者に周知の方法に従って合成できる。一般的な文献源は、“Advanced organic chemistry”, 4th Edition (Wiley) ,J March、“Comprehensive Organic Transformation”, 2nd Edition (Wiley) ,R. C. Larock、“Handbook of Heterocyclic Chemistry”, 2nd Edition (Pergamon), A. R. Katritzky、総説、たとえば“Synthesis”、“Acc. Chem. Res.”、“Chem. Rev”にみられるもの、あるいは一般的な文献検索オンラインまたは“Chemical Abstracts”もしくは“Beilstein”などの二次文献源から確認される原文献源である。本発明化合物は特定の代表的化合物に関して本明細書中の実施例に例示したものと同様な方法により合成できる。実施例のセクションに記載した方法および周知の方法を用いて、当業者は本明細書に開示する化合物を製造できる。
【0078】
他の態様において、包装材料および包装材料内に収容した組成物を含むキットが提供され、その際、包装材料はその組成物を血管透過性の欠陥に関連する障害の処置に使用できることを指示したラベルを含み、組成物は1種類以上の本発明化合物を含有する。
【0079】
他の態様において、包装材料および包装材料内に収容した組成物を含むキットが提供され、その際、包装材料はその組成物を、血管透過性の欠陥に関連する障害であって心筋梗塞、卒中、うっ血性心不全、虚血もしくは再潅流傷害、癌、関節炎もしくは他の関節障害、網膜障害もしくは硝子体網膜疾患、黄斑変性症、自己免疫疾患、血管漏出症候群、炎症性疾患、浮腫、移植片拒絶、火傷、または急性もしくは成人呼吸窮迫症候群(ARDS)から選択されるものの処置に使用できることを指示したラベルを含み、組成物は1種類以上の本発明化合物を含有する。
【0080】
好ましい1態様において、包装材料および包装材料内に収容した組成物を含むキットが提供され、その際、包装材料はその組成物を血管透過性の欠陥に関連する眼障害の処置に使用できることを指示したラベルを含み、組成物は1種類以上の本発明化合物、またはその医薬的に許容できる塩、水和物、溶媒和物、結晶形態の塩、および個々のジアステレオマーを含有する。
【0081】
本明細書に記載する本発明は具体的に記載したもの以外の変更および改変が可能であることを当業者は認識するであろう。本発明にはそのような変更および改変がすべて含まれる。本発明には、本明細書中で言及または指示したすべての工程、特徴、配合物および化合物が、個別に、またはまとめて、ならびにいずれか2以上の工程もしくは特徴のいずれかおよびすべての組合わせが、同様に含まれる。
【0082】
本明細書に引用したそれぞれの文書、参考文献、特許出願または特許を全体として特に本明細書に援用する;これは、読者がそれを本明細書の一部として読み、かつそのように解釈すべきであることを意味する。本明細書に引用したそれぞれの文書、参考文献、特許出願または特許を本明細書中で繰り返さないのは、簡略化のためにすぎない。
【0083】
本発明の範囲は本明細書に記載した特定の態様によって限定されず、それらは例示のためのものにすぎない。機能的に均等な製品、配合物および方法は本明細書に記載した本発明の範囲に明らかに含まれる。
【0084】
本明細書に記載した発明は、1以上の範囲の数値(たとえば、量、濃度など)を含むことができる。ある範囲の数値が、その範囲を規定している数値を含めてその範囲のすべての数値、およびその範囲に隣接する数値であってその範囲の境界を規定する数値に隣接する数値と同一または実質的に同一の結果をもたらす数値を含むことは理解されるであろう。
【0085】
以下の実施例は、本発明の対象である本発明化合物の製造方法を説明するために示され、特許請求の範囲の何らかの限定を示すものと解釈すべきではない。実施例の各化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルは指定した構造と一致した。
【実施例】
【0086】
1.一般式(I)の化合物の合成
1.1.一般法
工程A−極性溶媒中で、−100〜300℃、最も好ましくは50〜150℃における、1当量の置換されていてもよいB1,B2−フェニルボロン酸への7−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミンまたは6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミンのカップリング:
【0087】
【化2】

【0088】
工程B−極性溶媒中で、−100〜300℃、最も好ましくは50〜150℃における、1当量の置換されていてもよいB1,B2−7または6−フェニル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミンへの3または4−置換ブロモ−フェニルのカップリング:
【0089】
【化3】

【0090】
式Iの化合物は、およびそれらを製造するための出発物質も、実施例に記載した方法により、またはそれ自体既知の文献記載の方法により(たとえば一般的な研究、たとえばHouben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag,シュツットガルト; Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc.,ニューヨーク)、厳密にその反応について既知の適切な反応条件下で製造される。本発明においてはそれ自体既知の変法も使用できるが、ここではさらに詳述しない。
【0091】
本発明方法のための出発物質は、所望によりその場で形成して、反応混合物からそれらを分離するのではなくそれらを直ちにさらに式Iの化合物に変換することもできる。これに対し、反応を段階的に実施することが可能である。
【0092】
好ましくは、適切な溶媒の存在下で化合物の反応を実施し、それは好ましくは各反応条件下で不活性である。適切な溶媒の例は、炭化水素、たとえばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレン;塩素化炭化水素、たとえばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロメタン、クロロホルムまたはジクロロメタン;アルコール類、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノール;エーテル類、たとえばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサン;グリコールエーテル類、たとえばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、またはエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム);ケトン類、たとえばアセトンまたはブタノン;アミド類、たとえばアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)またはN−メチルピロリジノン(NMP);ニトリル類、たとえばアセトニトリル;スルホキシド類、たとえばジメチルスルホキシド(DMSO);ニトロ化合物、たとえばニトロメタンまたはニトロベンゼン;エステル類、たとえば酢酸エチル、あるいは前記溶媒の混合物または水との混合物である。極性溶媒が一般に好ましい。適切な極性溶媒の例は、塩素化炭化水素、アルコール類、グリコールエーテル類、ニトリル類、アミド類およびスルホキシド類、またはその混合物である。より好ましいものは、アミド類、特にジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0093】
前記のように、反応温度は用いる反応工程および条件に応じて約−100℃〜300℃である。
反応時間は、各化合物の反応性および各反応条件に応じて一般に数分ないし数日の範囲である。適切な反応時間は、当技術分野で既知の方法、たとえば反応モニタリングによって容易に判定できる。前記の反応温度に基づいて、適切な反応時間は一般に10分ないし48時間の範囲にある。
【0094】
本明細書に記載した各反応工程に続いて、場合により1以上の仕上げ操作および/または分離操作を行なうことができる。適切なそのような操作は、たとえば一般的な研究、たとえばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, シュツットガルト)から当技術分野で既知である。そのような操作の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:溶媒の蒸発、蒸留、結晶化、分別結晶化、抽出操作、洗浄操作、消化操作、濾過操作、クロマトグラフィー、HPLCによるクロマトグラフィー、および乾燥操作、特に真空および/または高められた温度での乾燥操作。
【0095】
略号および頭辞語のリスト:
AcOH:酢酸、anh:無水、atm:気圧(単数または複数)、BOC:tertブトキシカルボニル、CDI:1,1’−カルボニルジイミダゾール、conc:濃厚、d:日(単数または複数)、dec:分解、DMAC:NN−ジメチルアセトアミド、DMPU:1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、DMF:NN−ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、DPPA:ジフェニルホスホリルアジド、EDCI:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、EtOAc:酢酸エチル、EtOH:エタノール(100%)、EtO:ジエチルエーテル、EtN:トリエチルアミン、h:時間(単数または複数)、MeOH:メタノール、pet.エーテル:石油エーテル(沸騰範囲30〜60℃)、temp:温度、THF:テトラヒドロフラン、TFA:トリフルオロ酢酸、Tf:トリフルオロメタンスルホニル。
【0096】
本発明の一般式Iの化合物は、前記の工程AおよびBならびに実施例の操作に従って製造できる。すべての製造法において、すべての出発物質は既知であるか、あるいは既知の出発物質から容易に製造できる。
【0097】
1.2.中間体
すべての製造法において、すべての出発物質は既知であるか、あるいは既知の出発物質から下記の一般法によって容易に製造できる;
【0098】
【化4】

【0099】
これらの化合物は、WO2007/095588(Novartis)に示された操作に従って一般法により製造できる。
中間体1の合成:6−(2−クロロ−5−メトキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミン
2−クロロ−5−メトキシフェニルボロン酸(3.38g,22.5mmol,1.5当量)、6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミン(3.2g,15mmol,1当量)およびNaCO(6.36g,60mmol,4当量)の、DMF(40ml)/EtOH(10ml)/HO(10ml)の混合物中における溶液に、1.733g(1.5mmol,0.1当量)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを添加した。反応物をアルゴン下で2時間還流した。次いでそれを室温に冷却し、生成物を水により沈殿させ、濾過し、水、エーテルおよびペンタンですすいで、淡黄色粉末(3.21g,13mmol,収率90%)を得た。
【0100】
【化5】

【0101】
中間体2:7−(2−クロロ−5−メトキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミンを、中間体1について開示した方法に従って7−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミンから出発して合成した。
【0102】
中間体3の合成:3−(2−アミノ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−クロロフェノール
5.560g(20.24mmol,1当量)の6−(2−クロロ−5−メトキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミンの、ジクロロメタン90ml中における0℃に冷却した懸濁液に、60mlの1M BBr(1M溶液)を慎重に添加した。溶液を2時間撹拌する。次いでpHを飽和NaHCO溶液の添加によりpH8に調整する。沈殿した生成物を濾過し、エーテルで洗浄し、乾燥させて、4.856g(19mmol,92%)の白色粉末を得た。
【0103】
中間体4:3−(2−アミノ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル)−4−クロロフェノールを、中間体3について開示した方法に従って7−(2−クロロ−5−メトキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミンから出発して合成した。
【0104】
【表1】

【0105】
1.3.本発明の化合物
本発明のNo.5の化合物の合成
54mg(0.06mmol,0.03当量)のPd(dba)、18mg(0.04mmol,0.02当量)の5−(ジ−tert−ブチル−ホスファニル)−1’,3’,5’−トリフェニル−1’H−[1,4’]ビピラゾリルおよび265mg(4.73mmol,2.15当量)のKOHに、3mlのtert−アミルアルコールおよび400μlの水を添加し、この懸濁液を10分間撹拌した。573mg(2.20mmol,1当量)の6−(2−クロロ−5−メトキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミンおよび713mg(2.64mmol,1.2当量)の1−[2−(4−ブロモ−フェノキシ)−エチル]−ピロリジンを次いで添加し、続いてさらに3mlのtert−アミルアルコールおよび400μlの水を添加し、混合物を80℃でアルゴン下に3時間撹拌する。化合物を酢酸エチルで3回抽出し、ブラインで洗浄する。有機層を次いでNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させる。化合物を次いでメタノールに溶解し、エーテル中の1M HClを添加する。沈殿した化合物を次いで濾過し、酢酸エチルおよびエーテルで洗浄して、549mg(1.13mmol,51%)の白色粉末を得る。
【0106】
1−[2−(4−ブロモ−フェノキシ)−エチル]−ピロリジンはSigma Aldrichから購入できた。古典的な有機合成方法を用いて他の誘導体を合成により得ることができた。
【0107】
若干の化合物を調製用HPLCにより精製することもできた。本発明者らは、254nmでモニタリングするUV検出器を備えた半調製用Agilient 1200シリーズを用いた。化合物をZORBAX,SB−C18カラム(21.2mm×100mm,5μm)で精製した。勾配は一般にHO/アセトニトリル勾配(95%アセトニトリルに対し5%から出発して50%までの範囲の水)を用いて50ml/分の流速で15分間実施された。
【0108】
下記の本発明化合物を前記と同様な方法で製造した。
【0109】
【表2−1】

【0110】
【表2−2】

【0111】
【表2−3】

【0112】
【表2−4】

【0113】
【表2−5】

【0114】
【表2−6】

【0115】
【表2−7】

【0116】
2.本発明化合物の溶解度分析
化合物の溶解度を水性媒体中で下記の方法を用いて測定した。
2mgの化合物を200μlの緩衝液(酢酸/KOH)pH5に添加した。次いで溶液を室温で24時間撹拌し、次いで16,000rpmで10分間遠心した。対応する上清をHPLCおよびUV検出により分析した。DMSO溶解した種々の濃度の化合物を用いて個別に得られた検量曲線に実験曲線下面積をレポートすることにより、その化合物の濃度の計算を行なった。
【0117】
試験した化合物は下記のものである:
下記の参照化合物はWO2005096784に開示されたものである(化合物CL)。
【0118】
【表3】

【0119】
3.本発明化合物の阻害定数の測定
本明細書に記載するスクリーニングおよびプロファイリング実験は、Caliper Life Sciencesの占有LabChip(商標)法を用いて実施された。Caliper LC3000およびEZ Reader II機器は薬物探索法においてアッセイ法開発、初期スクリーニング、選択性スクリーニング、構造活性相関(SAR)の構築、および作用機序(MOA)研究のために広く用いられている。LabChip(商標)法は、キナーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、ヒストンデアシラーゼ(HDAC)、ホスホジエステラーゼ(PDE)およびアシルトランスフェラーゼなどの酵素‘標的’に特に好適である。この方法の重要な利点は、基質および生成物の分離および直接測定であり、これによってより高い信号−ノイズ比を得ることができ、偽陽性/陰性結果がより少なくなる。この直接測定により、当該キナーゼ反応に関係ない酵素活性の同定および除外も可能になる。
【0120】
全般:
オフ−チップインキュベーション移動度−シフトキナーゼアッセイ(off−chip incubation mobility−shift kinase assay)は、蛍光ペプチド基質からリン酸化生成物への転化を測定するためにマイクロフルイドチップを用いる。マイクロタイタープレートウェルからの反応混合物をキャピラリーシッパー(capillary sipper)によりチップに導入し、そこでリン酸化されていない基質とリン酸化された生成物を電気泳動により分離し、レーザー誘導蛍光により検出する。経時的な蛍光信号のシグネチャーにより反応の程度が分かる。リン酸化された生成物はリン酸化されていない基質より速やかにチップ内を移動し、これら2形態のペプチドからの信号は別個のピークとして現われる。Caliperのデータ分析ソフトウェア(HTSWA)はピーク高さを測定し、それから生成物とピーク和との比P/(P+S)および転化率パーセント(%)を計算する。この数値を用いて、プレートに存在する化合物ウェルと対照ウェルを比較し、これによりその化合物の阻害率%値を決定する。阻害率%を計算するために用いた式は下記のとおりである;式中のC100%は100%活性ウェルの平均転化率%であり、C0%は0%活性ウェルの平均転化率%である。
【0121】
(1−(試料の転化率%−C0%)/(C100%−C0%))*100
個別:
LC3000 SrcおよびLynアッセイ
化合物を100% DMSOに溶解し、目的とする最終スクリーニング濃度の25×に希釈した。系列希釈を行なって、個々の試験に特定した濃度を得た。各濃度のもの1μLを二組ずつ384ウェルGreinerマイクロタイタープレートへ移した。一般に、精製キナーゼ(種々の業者)、100mMのHEPES,pH7.5、1mMのDTT(Calbiochem,2333153)、10mMのMgCl(Sigma,M−1028)または10mMのMnCl(Sigma,M−1787)(アッセイに固有)、および0.002%のBrij−35(Sigma,B4184)を含有する12μLの酵素緩衝液を、各ウェルに添加した。化合物および酵素を15分間プレインキュベートした。100mMのHEPES,pH7.5、1.5μMのフルオレセイン標識ペプチド(当該キナーゼに固有)、ATP(見掛けKで,Sigma,A9187)、および0.002%のBrij−35を含有する12μlのペプチド/ATP緩衝液を、次いで各ウェルに添加して反応を開始した。一般に、反応の直線範囲でペプチドからリン酸化生成物への適切な(15〜40%)転化率を得るために、反応物を室温で1〜1.5時間インキュベートした。45μLの停止用緩衝液(20mMのEDTAを含有)の添加により反応を停止した。次いでLabChip 3000で12シッパーLabChipを用いてプレートを読み取った。転化率%値および阻害率%値を前記に従って求め、Graphpad Prism Version 4または5.01を用いて化合物のIC50曲線を作成した。S字状用量応答−可変勾配当てはめを用いる非線形曲線当てはめを用いてIC50曲線を作成し、IC50値および勾配を判定した。
【0122】
本発明の化合物はSrcおよびLynキナーゼに対して<100nMのIC50をもつことが示された。
4.本発明化合物の細胞ベースのアッセイ
4.1−CellTiter−Glo(ATP)生存/増殖アッセイ
MDA−MB−231は、生存および増殖についてSrcキナーゼ経路に高度に依存するヒト乳癌細胞系である。したがって、本発明化合物をそれらがMDA−MB−231細胞の生存/増殖を低下させる能力について、両方とも細胞の代謝活性に向けた2つの異なる方法を用いて評価した。さらに、若干の本発明化合物を、ヒト血管内皮細胞(HUVEC)のVEGF誘導増殖に対するそれらの阻害について試験した。
【0123】
アッセイの特徴:
MDA−MB−231細胞を、185cmの通気培養フラスコ内で10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充した細胞系特化培地中において37℃、5% COで、集密度80%を超えない接着培養として維持する。増殖アッセイのために、接着した細胞を培養フラスコからトリプシン−EDTAで採集し、0.1%〜5%のFBSを含有するアッセイ用の各培地に再懸濁する。
【0124】
細胞のATP含量(CellTiter−Glo試薬,Promegaから)を下記の原理に基づいて蛍光発光により測定する:
ATP(細胞により供給されるもの)の存在下でルシフェリンがオキシルシフェリンに転化されて発光する。細胞内のATP含量は、生成するオキシルシフェリンおよび発光の量に比例する。
【0125】
インキュベーション条件:
0.1ml当たり1,000個で懸濁した細胞0.1mlを白色平底96ウェルプレートに播種する。細胞を2〜4時間プレートに接着させた後、被験化合物を添加する。
【0126】
培地に懸濁した被験化合物0.05mlをウェルに添加して、最終体積0.15mlにする。培養物を被験化合物と共に3〜4日間インキュベートした後、培養物を細胞生存性についてアッセイする。インキュベーション期間が4日より長い場合、培養最終体積を0.2mlに増加させるべきである。
【0127】
処理が終了した時点で、0.05mlの培養培地を各ウェルからマルチチャンネルピペッターで、ウェルの表面からのピペッティングにより取り出す。
少ない光のもとで、0.1mlのCellTiter−Glo試薬を各ウェルに添加し、各ウェルの内容物を穏やかに上下ピペッティングにより混合する(各プレートをEnvisionプレートリーダーで読み取るまでプレートをホイルで覆っておく)。
【0128】
読取り:
発光をEnvision 2103 Multi−label Reader(PerkmElmer)で読み取る。
【0129】
データの計算:
細胞増殖を対照ウェル(非処理)に対するパーセントとして表わす。
本発明化合物は細胞増殖をIC50<500nMで阻害することが示された。
【0130】
4.2−WST−1(ミトコンドリア代謝)生存/増殖アッセイ
アッセイの特徴:
培養細胞のミトコンドリア代謝活性のアッセイ尺度は、WST−1基質から440nmで測定される光学濃度をもつ生成物への転化率に基づく。
【0131】
MDA−MB−231を、185cmの通気培養フラスコ内で10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充した細胞系特化培地中において37℃、5% COで、集密度80%を超えない接着培養として維持する。増殖アッセイのために、接着した細胞を培養フラスコからトリプシン−EDTAで採集し、0.1%〜5%のFBSを含有するアッセイ用の各培地に再懸濁する。
【0132】
WST−1アッセイ(WST−1試薬,Rocheから)は、基質(4−[3−(4−ヨードフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−2H−5−テトラゾリオ]−1,3−ベンゼンジスルホネート)からホルマザンへのミトコンドリア代謝、および440nmにおけるそれの吸光の測定に基づく。
【0133】
インキュベーション条件:
細胞0.1mlの部分標本をウェルに播種する。細胞を0.1ml当たり500〜1,000個の密度で透明な平底96ウェルプレートに播種する。細胞を2〜4時間プレートに接着させた後、被験化合物を添加する。
【0134】
培地に懸濁した被験化合物0.05mlをウェルに添加して、最終体積0.15mlにする。培養物を被験化合物と共に3〜4日間インキュベートした後、培養物を細胞生存性についてアッセイする。インキュベーション期間が4日より長い場合、培養最終体積を0.2mlに増加させるべきである。
【0135】
処理が終了した時点で、0.015mlのWST−1溶液を各ウェルに添加する。プレートをCOインキュベーターに戻し、37℃で1〜3時間インキュベートする。インキュベーション後、プレートをインキュベーターから取り出し、マイクロタイタープレート振とう器に乗せ、2分間穏やかに振とうする。
【0136】
読取り:
各ウェルの440nmにおける光学濃度をSpectra−max plus 384プレートリーダーにより測定する。
【0137】
データの計算:
細胞増殖を対照ウェル(非処理)に対するパーセントとして表わす。
本発明化合物は細胞増殖をIC50<500nMで阻害することが示された。
【0138】
5.インビボデータ
血液−網膜関門破壊ラットモデルにおける血管漏出の阻害
ラットのVEGF誘導性血液−網膜関門破壊に際しての網膜漏出の低下における本発明化合物5の局所投与の有効性を調べた。5μl(100ng)の組換えラットVEGF164(RD systems)を両眼に1回、硝子体内注射することによりラットを処理した。
【0139】
VEGF注射後27時間の間、0.58%の被験本発明化合物5(5.8mg/ml緩衝液pH5)、および本発明化合物を含まない対照を、6回、16匹のラットの両眼への局所投与(10μl)により投与した。
【0140】
VEGF攻撃後27時間目に、エバンスブルー色素(45mg/kg)を静脈内注射し、2時間、色素を循環させた。
次いで、各ラットに0.05Mクエン酸緩衝液pH3.5(37℃)を2分間注入して、色素を排出させた。この潅流の直後、両眼を眼球摘出し、各網膜をホルムアミド中でインキュベートすることによりエバンスブルー色素を抽出した(Qaum et al Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 2001, Vol 42, No 10)。その後、分光光度計を用いて620nmで吸光を測定した。
【0141】
血液−網膜関門破壊は、血漿のエバンスブルー濃度で正規化した網膜のエバンスブルー濃度に比例していた。
結果
本発明者らは、本発明化合物が対照と比較して血管漏出を71%低下させることを見出し、本発明による化合物が血管透過性、より具体的には硝子体/網膜疾患、たとえば糖尿病性網膜障害、網膜静脈閉塞および湿性加齢性黄斑変性症に関連する血管透過性を低下させるのに有用であるという証拠を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(I)を有する化合物およびその医薬的に許容できる塩、水和物または溶媒和物:
【化1】

[式中:
およびAは、NまたはCであり、ただし、AまたはAのうち1つはNであり、AまたはAのうち1つは炭素であり、
R1およびR2は、水素、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、−CN、−ハロゲン、−CF、−OR4であり、
R3は、水素、C−Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−CN、−CF、−OR4,−OCOR4、−COR4、−NR4R5、−NR4COR5、−NR4COOR5、−(C−Cアルキル)OR4、−(C−Cアルキル)COR4、−(C−Cアルキル)NR4R5、−(C−Cアルキル)NR4COR5、−(C−Cアルキル)NR4COOR5であり、
Xは、結合、または(CHW(CH、(CHW(CHY(CHもしくは−[(CHW(CH−(Z)−[(CHY(CHであり、これらにおいて:
a、b、cおよびdは、独立して0、1、2または3であり、
eは、0、1または2であり、
nおよびmは、独立して0または1であり、
Wは、−CO−、−O−、−SO−、−CH−、−CHOH−、−NR6−、NR7CONR8またはNR7SONR8であり、
Yは、−CO−、−O−、−SO−、−CH−、−CHOH−または−NR6−、NR7CONR8またはNR7SONR8であり、
Zは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、eが2である場合、各Z部分は互いに独立して選択され;
R4、R5およびR6は、独立して水素、C−Cアルキルであり、その際、R4とR5は一緒に5〜7員環を形成することができ、
R7およびR8は、独立して水素、C−Cアルキルであり、その際、R7とR8は一緒に5〜7員環を形成することができる]。
【請求項2】
R1はアリール、より好ましくはフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1はR9およびR10で置換されており、ここでR9/R10はC−Cアルキル(好ましくはCH)、ハロゲン(好ましくは−Cl)、または−OHである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R1はフェニルであり、2、5または6位においてR9およびR10で置換されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R2は水素およびC−Cアルキルの群において選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Xは(CHW(CHであり、ここでaは0であり、bは2であり、Wは−O−である、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Xは(CHW(CHY(CHであり、ここでaは0であり、bは1であり、cは0であり、Wは−O−であり、Yは−CO−である、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Xは−[(CHW(CH−Z−[(CHY(CHであり、ここでmは0であり、nは1であり、cは0であり、dは0または2であり、Yは−COであるかまたは存在せず、Zはイミダゾリン−2−オンまたはピペラジンである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
R3はヘテロシクロアルキル、好ましくはピロリジンである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R3はR9で置換されており、ここでR9は好ましくは−COOH、−N[CHまたはCOOR4であり、ここでR4は好ましくはC−Cアルキルである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
R3はヘテロアリール、好ましくはピリジンである、前記請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
4−クロロ−3−{2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール塩酸塩;
2−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェノキシ}−1−((R)−3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イル)−エタノン塩酸塩;
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−3−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−イミダゾリジン−2−オン;
(S)−1−(2−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェノキシ}−アセチル)−ピロリジン−2−カルボン酸;
4−クロロ−3−{8−メチル−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール塩酸塩;
4−クロロ−3−{2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル}−フェノール塩酸塩;
4−クロロ−3−{2−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール;
4−クロロ−3−{2−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール;
4−クロロ−3−[2−(3−ピラゾール−1−イル−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール;
4−クロロ−3−{2−[4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール;
4−クロロ−3−{2−[3−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール;
4−クロロ−3−{2−[3−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール;
4−クロロ−3−[2−(4−ヒドロキシメチル−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール;
4−クロロ−3−[2−(3−ヒドロキシメチル−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール;
4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−3−{2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール;
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−イミダゾリジン−2−オン;
3−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−ベンゼンスルホンアミド;
2−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェノキシ}−アセトアミド;
2−{3−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェノキシ}−アセトアミド;
4−クロロ−3−[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール;
4−クロロ−3−[2−(4−フェノキシ−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール;
4−クロロ−3−[2−(4−メタンスルホニル−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−フェノール;
3−[2−(4−ベンジルオキシ−フェニルアミノ)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル]−4−クロロ−フェノール;
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−3−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−イミダゾリジン−2−オン;
5−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−ベンゾフラン−2−カルボン酸;
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−3−メチル−イミダゾリジン−2−オン;
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−3−(2−メトキシ−エチル)−イミダゾリジン−2−オン;
1−[(4−{[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル]アミノ}ベンゼン)スルホニル]−3−エチル尿素;
1−(4−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−エタノン;
(4−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−4−イル−メタノン;
1−{4−[6−(2−クロロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルアミノ]−フェニル}−3−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−尿素;
4−クロロ−3−{2−[4−(2−ピペラジン−1−イル−エトキシ)−フェニルアミノ]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル}−フェノール;
からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−517971(P2012−517971A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549537(P2011−549537)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051556
【国際公開番号】WO2010/092041
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511158801)フォーヴィア・ファーマシューティカルズ (2)
【Fターム(参考)】