説明

キノリンタキキニン受容体拮抗薬

本発明は、ニューロキニン−1(NK−1)受容体拮抗薬及びタキキニン、特にサブスタンスPの阻害薬として有用である或る種のキノリン化合物に指向している。本発明は、また、活性成分としてこれらの化合物を含む薬物配合物並びに嘔吐、尿失禁、鬱病及び不安を含む或る種の障害の治療に於けるこの化合物及びこれらの配合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
サブスタンスPは、ペプチドのタキキニンファミリーに属する天然に生じるウンデカペプチドであり、後者は、血管外平滑筋組織上のこれらの即時収縮のために、このように命名されている。タキキニンは、保持されたカルボキシル末端配列によって区別される。サブスタンスPに加えて、公知の哺乳動物タキキニンには、ニューロキニンA及びニューロキニンBが含まれる。現在の命名法は、サブスタンスP、ニューロキニンA及びニューロキニンBのための受容体を、それぞれニューロキニン−1(NK−1)、ニューロキニン−2(NK−2)及びニューロキニン−3(NK−3)と称する。タキキニン、特にサブスタンスP拮抗薬は、中枢神経系の障害、痛覚及び疼痛、胃腸障害、膀胱機能の障害並びに呼吸疾患を含む、過剰のタキキニン、特にサブスタンスP活性の存在によって特徴付けられる臨床的状態の治療に於いて有用である。上記の種々の障害及び疾患を一層有効に治療するために、サブスタンスP及びその他のタキキニンペプチドの受容体のための拮抗薬を提供するための試みがなされてきた。
【発明の開示】
【0002】
本発明は、ニューロキニン−1(NK−1)受容体拮抗薬及びタキキニン、特にサブスタンスPの阻害薬として有用である或る種のキノリン化合物に指向している。本発明は、また、活性成分としてこれらの化合物を含む薬物配合物並びに嘔吐、尿失禁、鬱病及び不安を含む或る種の障害の治療に於けるこれらの化合物及びこれらの配合物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
本発明は、式I:
【0004】
【化7】

[式中、Qは、
(1)−O−CH−、
(2)−O−CH(CH)−、
(3)−O−CH(CHOH)−、
(4)−N(R)−C(R)−(式中、R、R及びRは、独立して、
(a)水素及び
(b)−CH
から選択される)
(5)−N(R)−
(6)−N(R)−CO−C(R)−及び
(7)−N(R)−CH−C(R)−
からなる群から選択され、
Y及びZは、水素及びフェニルから選択され、但し、Y及びZの一方は水素であり、Y及びZの他方はフェニルであり、及びフェニルは、R12、R13及びR14(ここで、R12、R13及びR14は、独立して、
(1)水素、
(2)ハロ及び
(3)C1−6アルキル
から選択される)によって置換されており、
及びRは、独立して、
(1)水素、
(2)置換されていない又は1種以上の、
(a)ヒドロキシ、
(b)オキソ、
(c)C1−6アルコキシ、
(d)フェニル−C1−3アルコキシ、
(e)フェニル、
(f)ハロ、
(g)−NR10(式中、R及びR10は、独立して、
(I)水素、
(II)C1−6アルキル、
(III)フェニル、
(IV)(C1−6アルキル)−フェニル、
(V)(C1−6アルキル)−ヒドロキシ及び
(VI)(C1−6アルキル)−(C1−4アルコキシ)
から選択され又は−NR10は、モルホリン、ピペリジン若しくはキヌクリジン環を形成する)、
(h)−NR−COR11(式中、R11は、独立して、
(I)水素、
(II)C1−6アルキル、
(III)フェニル、
(IV)(C1−6アルキル)−フェニル、
(V)(C1−6アルキル)−ヒドロキシ及び
(VI)(C1−6アルキル)−(C1−4アルコキシ)
から選択される)
(j)−NR−CO11
(k)−CO−NR10
(l)−COR11
(m)−CO11
から選択される置換基によって置換されている、C1−6アルキル、
(3)ヒドロキシ、
(4)C1−6アルコキシ、
(5)オキソ、
(6)ハロ、
(7)−CN、
(8)−CF
(9)−NR10
(10)−NR−COR11
(11)−NR−CO11
(12)−CO−NR−COR11
(13)−COR11
(14)−O−(CO)R11
(15)−CO11
(16)−イミダゾリル及び
(17)−トリアゾリル
からなる群から選択される]
の化合物及びこれらのN−オキシド並びにこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーに指向している。
【0005】
本発明の実施形態には、式Ia:
【0006】
【化8】

(式中、R、R、R、R及びRは、本明細書中に定義されている)
の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーが含まれる。
【0007】
本発明の実施形態には、式Ib:
【0008】
【化9】

(式中、R、R、R、R及びRは、本明細書中に定義されている)
の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーが含まれる。
【0009】
本発明の実施形態には、式Ic:
【0010】
【化10】

(式中、R、R、R、R及びRは、本明細書中に定義されている)
の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーが含まれる。
【0011】
本発明の実施形態には、式Id:
【0012】
【化11】

(式中、R、R、R、R及びRは、本明細書中に定義されている)
の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーが含まれる。
【0013】
本発明の実施形態には、式Ie:
【0014】
【化12】

(式中、R及びRは、本明細書中に定義されている)
の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーが含まれる。
【0015】
本発明の実施形態には、Yがフェニルであり、及びZが水素である化合物が含まれる。
【0016】
本発明の実施形態には、Yが水素であり、及びZがフェニルである化合物が含まれる。
【0017】
本発明の実施形態には、Yが2−メチル−フェニルであり、及びZが水素である化合物が含まれる。
【0018】
本発明の実施形態には、Yが水素であり、及びZが2−メチル−フェニルである化合物が含まれる。
【0019】
本発明の実施形態には、Rが、
(1)水素、
(2)モルホリニル、
(3)キヌクリジニル、
(4)置換されていない又は1種以上の、
(a)モルホリニル、
(b)−CO(C1−6アルキル)及び
(c)−COH、
から選択される置換基によって置換されている、C1−6アルキル、
(5)ヒドロキシ、
(6)−COH及び
(7)−CN
からなる群から選択される化合物が含まれる。
【0020】
この実施形態に於いて、本発明には、Rが水素である化合物が含まれる。
【0021】
また、この実施形態に於いて、本発明には、Rがモルホリニルである化合物が含まれる。
【0022】
本発明の実施形態には、Rが水素である化合物が含まれる。
【0023】
本発明の実施形態には、Rが水素である化合物が含まれる。
【0024】
本発明の実施形態には、化合物がキヌクリジニル環上のN−オキシドとして存在する化合物が含まれる。
【0025】
本発明の特別の実施形態には、本明細書中の実施例の主題化合物及びこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーからなる群から選択される化合物が含まれる。
【0026】
本発明の化合物には、1個以上の不斉中心が含有されてもよく、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物並びに個々のジアステレオマーとして生じ得る。分子上の種々の置換基の特性に依存して、追加の不斉中心が存在し得る。それぞれのこのような不斉中心は、独立して、2種の光学異性体を生成し、及び、混合物中の、及び純粋な又は部分的に精製された化合物としての可能な光学異性体及びジアステレオマーの全てが、本発明の範囲内に含まれることが意図される。本発明は、これらの化合物の全てのこのような異性形を包含するように意味される。式Iは、好ましい立体化学無しに化合物の種類の構造を示す。これらのジアステレオマーの独立の合成又はこれらのクロマトグラフィー的分離は、本明細書中に開示された方法論の適切な修正によって、当分野で公知のようにして達成することができる。これらの絶対立体化学は、公知の絶対立体配置の不斉中心を含有する試薬による、結晶性生成物又は必要な場合に誘導される結晶性中間体のX線結晶学によって決定することができる。所望により、この化合物のラセミ混合物は、個々のエナンチオマーが単離されるように分離することができる。この分離は、当分野で周知の方法、例えば、化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングしてジアステレオマー混合物を形成し、続いて標準的方法、例えば、分別結晶化又はクロマトグラフィーによって個々のジアステレオマーを分離することによって実施することができる。このカップリング反応は、しばしば、エナンチオマー的に純粋な酸又は塩基を使用する塩の形成である。次いで、このジアステレオマー誘導体を、付加したキラル残基の開裂によって、純粋なエナンチオマーに転化させることができる。化合物のラセミ混合物は、また、キラル固定相を利用するクロマトグラフィー的方法(この方法は当分野で周知である)によって、直接的に分離することができる。この代わりに、化合物の全てのエナンチオマーは、当分野で周知の方法によって、公知の立体配置の光学的に純粋な出発物質又は試薬を使用する立体選択的合成によって得ることができる。
【0027】
本明細書中で検討した化合物の、幾つかの許容される命名法が存在する。
【0028】
【化13】

【0029】
例えば、上記の化合物Aは、「N−(5−フェニルキノリン−6−イル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド」として命名することができる。コア構造Aは、一般的に、5−フェニルキノリンとして参照することができる。同様に、化合物Bは、「N−(4−フェニルキノリン−6−イル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド」として命名することができる。コア構造Bは、一般的に、4−フェニルキノリンとして参照することができる。
【0030】
当業者によって認識されるように、本明細書において、ハロ又はハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含むように意図される。同様に、C1−6アルキルに於けるようにC1−6は、線状又は分枝状配置で、1、2、3、4、5又は6個の炭素を有するような基を同定するために定義され、このため、C1−6アルキルには、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシルが含まれる。置換基によって独立して置換されているとして指定される基は、複数個のこのような置換基によって独立して置換されていてよい。
【0031】
用語「医薬的に許容される塩」は、無機塩基又は有機塩基及び無機酸又は有機酸を含む、医薬的に許容される非毒性塩基又は酸から調製された塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩等々が含まれる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。固体形である塩は、2種以上の結晶構造で存在してもよく、及び水和物の形態であってもよい。医薬的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩には、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に生じる置換されたアミンを含む置換されたアミン、環式アミン並びにイオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等々が含まれる。本発明の化合物が塩基性であるとき、塩は、無機酸及び有機酸を含む、医薬的に許容される非毒性酸から調製することができる。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等々が含まれる。ベンゼンスルホン酸、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸及び酒石酸が特に好ましい。本明細書において、本発明の化合物に対する参照は、医薬的に許容される塩も含めるように意味されることが理解される。
【0032】
本発明を例示することは、実施例及び本明細書に開示された化合物の使用である。本発明の範囲内の特定の化合物には、下記の実施例中に開示された化合物及びこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のジアステレオマーからなる群から選択される化合物が含まれる。
【0033】
化合物の調製のための一般的な手順を、下記の反応図式に於いて説明する。置換されている又は置換されていないキノリンAを、当業者に公知の条件下でニトロ化して、6−ニトロキノリン中間体Bを得ることができる。これらの化合物のニトロ基を種々の条件下で還元して、6−アミノキノリン化合物Cを得ることができる。このアミノ化合物を臭素で処理して、6−アミノ−5−ブロモ誘導体を得ることができ、この誘導体を、当業者に公知の保護基、例えば、BOC−又はCBZ−保護基によって保護して、一般的構造Dの中間体を得ることができる。この臭素を、アリール交差カップリング反応中で、アリール金属試薬、例えば、アリールスタンナン又はボロン酸と、種々の金属触媒、例えばPdで反応させて、一般的構造Eの5−アリールキノロン中間体を得ることができる。窒素保護基を、当業者に公知の種々の条件下で除去して、6−アミノキノリン中間体を得、これを、カルボキサミド生成、アミノ化反応、尿素生成又はカルバマート生成のような反応によって、窒素上で官能化して、一般的構造I(式中、Rは、Q−((3,5−ビス−トリフルオロメチル)フェニル)基である)の本発明の化合物を得ることができる。
【0034】
【化14】

【0035】
6−位で更に変性するための化学を、次の反応図式で説明する。上記の6−アミノ中間体Cを、HNOのような種々の条件によってジアゾニウム塩に転化させることができる。この粗製ジアゾニウム塩を、HSO及び氷水の存在下で分解させて、6−ヒドロキシキノリン中間体Fを得ることができる。この6−ヒドロキシル基を、種々の反応、例えば、エーテル化、エステル化、カルバマート生成によって官能化して、一般的構造Iの本発明の6−オキシ化合物を得ることができる。
【0036】
【化15】

【0037】
同様の反応系列を使用して、一般的構造IIの化合物を調製することができる。2,4−ジヒドロキシキノリン誘導体Gを、硝酸によってニトロ化して、2,4−ジヒドロキシ−6−ニトロキノリン中間体Hを得ることができる。2,4−ヒドロキシル基を、POCl3又は当業者に公知の他の試薬の処理によってクロロ基に転化させて、2,4−ジクロロ−6−ニトロキノリン化合物Iを得ることができる。2−クロロ基を、種々の反応、例えば、アミン置換、有機金属交差カップリング又は2−ヘテロアリールクロリドの他の反応下で選択的に官能化して、一般的構造Jの2−置換中間体を得ることができる。4−クロロ基を、種々のアリール金属試薬、例えば、アリールスタンナン又はアリールボロン酸と、金属触媒、例えば、Pd触媒で反応させて、中間体Kを得ることができる。6−ニトロ基を、水素化又は化学的還元によって、6−アミノ中間体Lに還元することができる。この6−アミノ基を前記のように官能化して、一般化した構造IIの本発明の化合物を得ることができる。
【0038】
【化16】

【0039】
前記の手順と同様に、一般的構造Lの中間体を、ジアゾ化し、及び分解して、6−ヒドロキシ−4−フェニルキノロン中間体Mを得ることができる。これらの化合物の6−ヒドロキシル基を、当業者に公知の手順によって、エーテル、エステル及びカルバマートを与えるように更に官能化して、一般化した構造IIの本発明の6−オキシアナローグを得ることができる。
【0040】
【化17】

【0041】
これらの一般化された化合物I及びIIは、中間体として機能することができ、当業者に公知であり、及び本明細書に含まれる実験に於いて詳細に説明されている反応によって、更に置換又は官能化することができる。
【0042】
本発明の化合物は、過剰のタキキニン、特にサブスタンスP活性の存在によって特徴付けられる広範囲の種々の臨床状態の予防及び治療に於いて有用である。従って、例えば、過剰のタキキニン、特にサブスタンスP活性は、中枢神経系の種々の障害に関係づけられる。このような障害には、気分障害、例えば、鬱病若しくは更に特に抑鬱性障害、例えば、単一エピソード若しくは再発性大(major)抑鬱性障害及び気分変調障害又は双極性障害、例えば、双極I型障害、双極II型障害及び循環気質性障害;不安障害、例えば、広場恐怖を伴う又は伴わないパニック障害、パニック障害の経歴を伴わない広場恐怖症、特異恐怖症、例えば、特異動物恐怖症、社会恐怖症、強迫障害、外傷後ストレス障害及び急性ストレス障害を含むストレス障害並びに全般性不安障害;統合失調症及び他の精神障害、例えば、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神障害、共有(shared)精神障害及び妄想又は幻覚を伴う精神障害;譫妄、認知症及び健忘症並びに他の認識又は神経変性障害、例えば、アルツハイマー病、老年認知症、アルツハイマー型の認知症、血管性認知症及び例えば、HIV疾患、頭外傷、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病に起因する又は多発性病因論に起因する他の認知症;パーキンソン病及び他の錐体外路運動障害、例えば、薬物誘発運動障害、例えば、神経遮断薬誘発パーキンソン症、神経弛緩性悪性症候群、神経弛緩剤誘発急性ジストニー、神経弛緩剤誘発急性アカシジア、神経弛緩剤誘発遅発性異常運動症及び薬物誘発姿勢性振戦;アルコール、アンフェタミン(又はアンフェタミン様物質)、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤及びエーロゾル噴射剤、ニコチン、オピオイド、フェニルグリシジン誘導体、鎮静剤、催眠剤及び不安寛解剤の使用から起こる物質関連障害(物質関連障害には、依存症及び乱用、中毒、禁断、中毒譫妄、禁断譫妄、持続性認知症、精神障害、気分障害、不安障害、性機能不全並びに睡眠障害が含まれる);てんかん;ダウン症候群;脱髄疾患、例えば、MS及びALS並びに他の神経病理学的障害、例えば、末梢性ニューロパシー、例えば、糖尿病性及び化学療法誘発ニューロパシー並びに疱疹後神経痛、三叉神経痛、分節性又は肋間神経痛及び他の神経痛;並びに急性又は慢性脳血管損傷に起因する脳血管障害、例えば、脳梗塞、くも膜下出血又は脳浮腫が含まれる。
【0043】
タキキニン、特にサブスタンスP活性は、また、痛覚及び疼痛に含まれる。従って、本発明の化合物は、軟組織及び末梢損傷、例えば、急性外傷、変形性関節症、関節リウマチ、特に外傷後の筋骨格疼痛、脊髄疼痛、筋膜性疼痛症候群、頭痛、会陰切開疼痛及び熱傷;深在の及び内臓の疼痛、例えば、心臓疼痛、筋肉疼痛、眼疼痛、口顔疼痛、例えば歯痛、腹痛、婦人科疼痛、例えば月経困難症及び労働疼痛;神経及び根損傷に付随する疼痛、例えば、末梢神経障害、例えば、神経捕捉及び腕神経叢摘出、切断、末梢性ニューロパシー、疼痛性チック、異型性顔面疼痛、神経根損傷並びにクモ膜炎に付随する疼痛;しばしば癌疼痛として参照される癌腫に付随する疼痛;中枢神経系疼痛、例えば、脊髄又は脳幹損傷に起因する疼痛;腰痛;坐骨神経痛;強直性脊椎炎、痛風並びに瘢痕疼痛を含む、疼痛が支配する疾患及び状態の予防又は治療に於いて使用されるものである。
【0044】
タキキニン、特にサブスタンスP拮抗薬は、また、呼吸器疾患、特に、過剰の粘液分泌に付随するもの、例えば、慢性閉塞性気道疾患、気管支胸膜性肺炎、慢性気管支炎、嚢胞性線維症及び喘息、成人呼吸窮迫症候群及び気管支痙攣;炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、乾癬、結合組織炎、変形性関節症、関節リウマチ、掻痒症及び日焼け;アレルギー、例えば、湿疹及び鼻炎;過敏性障害、例えば、ツタウルシ;眼疾患、例えば、結膜炎、春季カタルなど;細胞増殖に付随する眼状態、例えば、増殖性ガラス体網膜症;皮膚疾患、例えば、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹及びその他の湿疹様皮膚炎の治療に於いて使用するものであり得る。タキキニン、特にサブスタンスP拮抗薬は、また、乳腫瘍、神経節芽腫及び小細胞癌腫、例えば小細胞肺癌を含む腫瘍の治療に於いて使用するものであり得る。
【0045】
タキキニン、特にサブスタンスP拮抗薬は、また、GI管の炎症性障害及び疾患、例えば、胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃癌、胃リンパ腫、内臓のニューロン制御に付随する障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸管症候群並びに急性、遅延又は先行嘔吐を含む嘔吐、例えば、化学療法、放射線、毒素、ウイルス又は細菌感染、妊娠、前庭障害、例えば、動揺病、目眩、目眩感及びメニエール病、手術、片頭痛、頭蓋内圧に於ける変動、胃食道逆流症、胃酸過多、食物又は飲料に於ける過放縦、酸性胃、胸焼け又は逆流、胸焼け、例えば、エピソード、夜間又は食餌誘発胸焼け及び消化不良によって誘発される嘔吐を含む胃腸(GI)障害の治療に於いて使用するものであり得る。
【0046】
タキキニン、特にサブスタンスP拮抗薬は、また、ストレス関連身体障害;反射性交感神経性異栄養、例えば、肩手症候群;逆免疫反応、例えば、移植された組織の拒絶及び免疫増強又は抑制に関連する障害、例えば、全身性紅斑性狼瘡;シトキン化学療法からもたらされる血漿溢出、膀胱機能の障害、例えば、切迫尿失禁、尿意促進及び頻発の症状を伴う過反応性膀胱の予防又は治療を含む、膀胱炎、膀胱排尿反射亢進、頻尿及び尿失禁;線維化及びコラーゲン疾患、例えば、硬皮症及び好酸性肝蛭症;血管拡張及び血管痙攣疾患によって起こされる血流の障害、例えば、狭心症、血管頭痛、片頭痛及びレイノー病;並びに前記の状態の何れか、特に片頭痛に於ける疼痛の伝達に起因する又は付随する疼痛又は痛覚を含む、種々の他の状態の治療に於いて使用するものであり得る。本発明の化合物は、また、上記の状態の組合せの治療に於いて、特に組み合わせた手術後疼痛並びに手術後悪心及び嘔吐の治療に於いて価値のあるものである。
【0047】
本発明の化合物は、急性、遅延又は先行嘔吐を含む嘔吐、例えば、化学療法、放射線、毒素、妊娠、前庭障害、運動、手術、片頭痛及び頭蓋内圧に於ける変動によって誘発される嘔吐を含む、嘔吐の予防又は治療に於いて特に有用である。例えば、本発明の化合物は、場合により、高用量シスプラチンを含む、中度又は高度に催嘔吐性癌化学療法の初期及び繰り返し経過に付随する急性及び遅延悪心及び嘔吐の予防のための他の制吐薬と組み合わせて使用するものである。最も特に、本発明の化合物は、癌化学療法に於いて日常的に使用されるものを含む抗腫瘍(細胞毒)薬物によって誘発される嘔吐及び他の薬理学的薬物、例えば、ロリプラムによって誘発される嘔吐の治療に於いて使用されるものである。このような化学療法薬の例には、アルキル化剤、例えば、エチレンイミン化合物、アルキルスルホナート及び他のアルキル化作用を有する化合物、例えば、ニトロソウレア、シスプラチン及びダカルバジン;代謝拮抗薬、例えば、葉酸、プリン又はピリミジン拮抗薬;有糸分裂抑制物質、例えば、ビンカアルカロイド及びポドフィロトキシンの誘導体並びに細胞毒性抗生物質が含まれる。化学療法薬の特別の例は、例えば、D.J.Stewartにより、「Nausea and Vomiting:Recent Research and Clinical Advances」、J.Kucharczykら編、CRC Press,Inc.、米国フロリダ州ボキャ・レイトン(Boca Raton)(1991年)第177−203頁、特に第188頁に記載されている。一般的に使用される化学療法薬には、シスプラチン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、メクロルエタミン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン及びクロラムブシルが含まれる[R.J.Grallaら、Cancer Treatment Reports、(1984年)第68卷(1)、第163−172頁]。本発明の別の態様には、哺乳動物に於いて、時間生物学的(概日リズムフェーズシフト(phase−shifting))効果を達成し、及び概日リズム障害を軽減するための本発明の化合物の使用が含まれる。本発明は、更に、哺乳動物に於ける光のフェーズシフト効果を阻止するための本発明の化合物の使用に指向している。
【0048】
本発明は、更に、哺乳動物に於いて、睡眠質を増強又は改良するための、並びに睡眠障害及び睡眠障害を予防及び治療するための、本発明の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩の使用に指向している。特に、本発明は、睡眠効率を増加し、及び睡眠維持を延長することによって、睡眠質を増強又は改良するための方法を提供する。更に、本発明は、本発明の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩の投薬を含む、哺乳動物に於ける睡眠障害及び睡眠障害を予防及び治療するための方法を提供する。本発明は、薬物及びアルコールの使用及び乱用(特に、禁断段階の間)、小児期開始DIMS、夜間ミオクローヌス、線維筋痛、筋痛、睡眠時無呼吸及び下肢不穏状態並びに老化に於いて見られる非特異REM障害由来の精神医学障害(特に、不安に関連するもの)の結果として、精神生理学的原因から生じ得る睡眠を開始し及び維持することの障害(不眠症)(「DIMS」)を含む、睡眠障害の治療のために有用である。
【0049】
本発明の特に好ましい実施形態は、このような治療が必要な被検者(ヒト又はコンパニオン動物)への本発明の化合物の投薬による、嘔吐、尿失禁、鬱病又は不安の治療である。
【0050】
本発明は、本発明の化合物を薬学的担体又は希釈剤と組み合わせることを含む、哺乳動物に於ける、この受容体部位でのサブスタンスPの作用に拮抗作用するための又はニューロキニン−1受容体の遮断のための薬物の製造方法に指向している。本発明は、更に、本発明の化合物を薬学的担体又は希釈剤と組み合わせることを含む、哺乳動物に於ける過剰のタキキニンに付随する生理障害の治療のための薬物の製造方法に指向している。
【0051】
本発明は、また、過剰のタキキニン、特にサブスタンスPに付随する生理障害の治療又は予防方法であって、これが必要である患者に、タキキニン減少量の本発明の化合物又は本発明の化合物を含む組成物を投薬することを含む方法を提供する。本明細書において、用語「治療」又は「治療すること」は、記載した状態に罹っている又はこの臨床的指標を示す被検者(ヒト又は動物)に於いて、記載した疾患状態の症状又は潜在する原因を減少し、改善し又は除去するための本発明の化合物の投薬を指す。用語「予防」又は「予防すること」は、記載した状態を受けやすい又はこの状態に罹りやすい被検者(ヒト又は動物)に於いて、記載した疾患状態の発生の危険性又は可能性を減少し、改善し又は除去するための本発明の化合物の投薬を指す。
【0052】
本発明の化合物は、このような治療が必要な哺乳動物に於ける、胃腸障害、中枢神経系障害、炎症性疾患、疼痛又は片頭痛及び喘息の治療に於いて、タキキニン、特にサブスタンスPに拮抗作用するために有用である。この活性は、下記のアッセイによって示すことができる。
【0053】
COSに於ける受容体発現
COS内で一時的にクローン化ヒトニューロキニン−1受容体(NK1R)を発現するために、アンピシリン耐性遺伝子(BLUESCRIPT SK+からのヌクレオチド1973から2964)をSac II部位の中に挿入することによって、ヒトNK1RについてのcDNAを、pCDM8(インビトロゲン社(INVITROGEN))から誘導された発現ベクターpCDM9の中にクローン化した。1000万個のCOS細胞の中への20μgのプラスミドDNAのトランスフェクションを、800μLのトランスフェクション緩衝液(135mM NaCl、1.2mM CaCl、1.2mM MgCl、2.4mM KHPO、0.6mM KHPO、10mM グルコース、10mM HEPES pH7.4)中で、IBI GENEZAPPER(IBI社、コネチカット州ニューヘブン(New Haven))を使用し260V及び950μFで電気穿孔法により行った。細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、100U/mLペニシリン−ストレプトマイシン及び90%DMEM培地(ギブコ社(GIBCO)、ニューヨーク州グランド・アイランド(Grand Island))中で、5%CO中で、37℃でアッセイの前3日間インキュベーションした。
【0054】
CHO中の安定な発現
クローン化ヒトNK1Rを発現する安定な細胞系を確立するために、cDNAをベクターpRcCMV(インビトロゲン社)の中にサブクローン化した。CHO細胞の中への20μgのプラスミドDNAのトランスフェクションを、0.625mg/mLのへリング精子DNAを補足した800μLのトランスフェクション緩衝液中で、IBI GENEZAPPER(IBI)を使用し300V及び950μFで電気穿孔法により行った。トランスフェクションした細胞をCHO培地[10%ウシ胎仔血清、100U/mLペニシリン−ストレプトマイシン、2mMグルタミン、1/500ヒポキサンチン−チミジン(ATCC)、90%IMDM培地(ジェイアールエッチ・バイオサイエンス社(JRH BIOSCIENCES)、カンザス州レネキサ(Lenexa))、0.7mg/mL G418(ギブコ社)]中で、5%CO中で、37℃でコロニーが目に見えるまでインキュベーションした。各コロニーを分離し、増殖させた。最高数のヒトNK1Rを有する細胞クローンを、薬物スクリーニングのような次の適用のために選択した。
【0055】
COS又はCHOを使用するアッセイプロトコル
COS又はCHO細胞中で発現したヒトNK1Rの結合アッセイは、非標識サブスタンスP又はヒトNK1Rに結合するための全てのその他のリガンドと競合する放射性標識リガンドとして、125I−サブスタンスP(デュポン社(DU PONT)、マサチューセッツ州ボストンからの125I−SP)を使用することに基づいている。COS又はCHOの単層細胞培養物を非酵素溶液(スペシャルティ・メディア社(SPECIALTY MEDIA)、ニュージャージー州ラバレッテ(Lavallette))によって解離し及び、適当な体積の結合緩衝液(50mMトリスpH7.5、5mM MnCl、150mM NaCl、0.04mg/mLバシトラシン、0.004mg/mLロイペプチン、0.2mg/mL BSA、0.01mMホスホラミドン)中に、200μLの細胞懸濁液が、約10,000cpmの特異125I−SP結合(約50,000から200,000細胞)になるように再懸濁させた。この結合アッセイに於いて、200μLの細胞を、20μLの1.5から2.5nMの125I−SP及び20μLの非標識サブスタンスP又は全ての他の試験化合物を含有するチューブに添加した。これらのチューブを4℃又は室温で1時間ゆっくり振盪させながらインキュベーションした。結合した放射性物質を、0.1%ポリエチレンイミンで予め濡らしたGF/Cフィルター(ブランデル社(BRANDEL)、メリーランド州ガイサースブルグ(Gaithersburg))によって未結合放射性物質から分離した。このフィルターを3mLの洗浄緩衝液(50mMトリスpH7.5、5mM MnCl、150mM NaCl)で3回洗浄し、この放射能をガンマカウンターにより決定した。NK1RによるホスホリパーゼCの活性化も、IPの分解生成物であるイノシトールモノリン酸の蓄積を決定することによって、ヒトNK1Rを発現するCHO細胞中で測定することができる。CHO細胞を、ウエル当たり250,000個の細胞で12−ウエルプレートに播種する。CHO培地中で4日間インキュベーションした後、細胞に0.025μCi/mLのH−ミオイノシトールを一夜インキュベーションすることによって載せる。細胞外放射性物質を、リン酸緩衝食塩水で洗浄することによって除去する。LiClをウエルに0.1mMの最終濃度で、試験化合物と共に又は試験化合物無しに添加し、インキュベーションを37℃で15分間続ける。サブスタンスPをウエルに0.3nMの最終濃度で添加して、ヒトNK1Rを活性化する。37℃で30分間インキュベーションした後、培地を除去し、及び0.1N HClを添加する。各ウエルを4℃で音波処理し、CHCl/メタノール(1:1)で抽出する。水層を、1mLダウエックス(Dowex)AG 1X8イオン交換カラムに適用する。このカラムを0.1Nギ酸で洗浄し、次いで0.025Mギ酸アンモニウム−0.1Nギ酸で洗浄する。イノシトールモノリン酸を0.2Mギ酸アンモニウム−0.1Nギ酸で溶出し、及びベータカウンターで定量する。特に、本発明の化合物の固有のタキキニン受容体拮抗薬活性を、これらのアッセイによって示すことができる。下記の実施例の化合物は、0.05nMから10μMの範囲内の上記のアッセイに於ける活性を有する。本発明の化合物の活性は、また、Leiら、British J.Pharmacol.、第105巻、第261−262頁(1992年)によって開示されているアッセイによって示すこともできる。
【0056】
更なる又は代替の態様に従って、本発明は、これらの体内に於けるタキキニン又はサブスタンスPの量の減少が必要である被検者に投薬することができる組成物として使用するための、本発明の化合物を提供する。
【0057】
本明細書において、用語「組成物」は、所定量又は比率で特定された成分を含む製品並びに特定された量で特定された成分の組合せから、直接的に又は間接的に得られる全ての製品を含むように意図される。薬学的組成物に関連して、この用語は、1種以上の活性成分及び任意の不活性成分を含む担体を含む製品並びに全ての2種以上の成分の組合せ、錯化若しくは凝集から又は1種以上の成分の解離から又は1種以上の成分の他の形式の反応若しくは相互作用から、直接的に又は間接的に得られる全ての製品を含むように意図される。一般的に、薬学的組成物は、活性成分を、液体担体若しくは微細に分割された固体担体又は両方との会合状態に均一に且つ緊密にし、次いで必要に応じて、この製品を所望の配合物に造形することによって調製される。薬学的組成物に於いて、活性目的化合物は、疾患の過程又は状態に所望の効果をもたらすために十分な量で含まれる。従って、本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを混合することによって製造される全ての組成物を包含する。「医薬的に許容される」によって、担体、希釈剤又は賦形剤が、配合物の他の成分と適合性であり、この受容者に対して有害でないことが意味される。
【0058】
経口使用のために意図された薬学的組成物は、薬学的組成物の製造のための技術分野で公知の何れかの方法に従って調製することができ、及びこのような組成物には、甘味剤、香味剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種以上の剤を含有させて、医薬的に見た目及び風味が良い製剤を提供することができる。錠剤には、錠剤の製造のために適している無毒性の医薬的に許容される賦形剤との混合物で、活性成分が含有されている。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;造粒剤及び崩壊剤、例えばコーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン又はアラビアゴム並びに滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってもよい。錠剤はコーティングしなくてよく又はこれは、胃腸管内での崩壊及び吸収を遅延させるための公知の技術によってコーティングし、これによってより長期間にわたって持続的作用を与えるようにすることができる。経口使用のための組成物は、活性成分が、不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混和されている硬質ゼラチンカプセルとして又は活性成分が、水若しくは油媒体、例えば落花生油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合されている軟質ゼラチンカプセルとして提供することもできる。水性懸濁液には、活性物質が、水性懸濁液の製造のために適している賦形剤との混合物で含有されている。油性懸濁液は、活性成分を、適切な油の中に懸濁させることによって配合することができる。水中油型エマルジョンを使用することもできる。水の添加によって水性懸濁液を調製するために適している分散性粉末及び顆粒は、分散又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の保存剤との混合物で活性成分を提供する。
【0059】
本発明の薬学的組成物は、滅菌注射可能水性又は油性懸濁液の形態であってもよい。本発明の化合物は、また、直腸投薬のための坐剤の形態で投薬することができる。局所使用のために、本発明の化合物を含有する、クリーム剤、軟膏、ジェリー剤、水剤又は懸濁剤を使用することができる。本発明の化合物は、また、吸入によって投薬するために配合することもできる。本発明の化合物は、また、当分野で公知の方法によって経皮パッチによって投薬することもできる。
【0060】
本発明の化合物を含有する組成物は、単位剤形で提供することができ、及び薬学の技術分野で周知の方法の何れかによって調製することができる。用語「単位剤形」は、患者又は患者に薬物を投薬する人が、この中に含有されている全用量を有する単一容器又はパッケージを開けることができ、及び2個以上の容器又はパッケージから全ての成分を一緒に混合する必要がないように、全ての活性成分及び非活性成分が適切なシステムで組み合わせられている単一用量を意味するように取られる。単位剤形の典型的な例は、経口投薬用の錠剤若しくはカプセル剤、注射用の単位用量バイアル又は直腸投薬用の坐剤である。単位剤形のこのリストは、決して限定であることを意図しておらず、単位剤形の薬学技術分野に於ける典型的な例を単に示すことを意図している。本発明の化合物を含有する組成物は、また、キットとして提供することができ、これによって、活性成分又は非活性成分、担体、希釈剤などであってもよい2種以上の成分が、患者又は患者に薬物を投薬する人による実際の剤形の製剤のための指示書と共に提供される。このようなキットは、この中に含有される全ての必要な材料及び成分と共に提供することができ又はこれらに、患者又は患者に薬物を投薬する人によって独立して得ることができなくてはならない材料又は成分を使用又は製造するための指示書が含まれている。
【0061】
「医薬的に許容される」によって、担体、希釈剤又は賦形剤が、配合物の他の成分と適合性でなくてはならず、及びこれらの受容者に対して有害であってはならないことが意味される。
【0062】
用語、化合物「の投薬」又は「を投薬すること」は、本発明の化合物を、治療が必要な個体に、これらに限定されないが、経口剤形、例えば錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁剤など;注射可能剤形、例えばIV、IM又はIPなど;クリーム剤、ジェリー剤、散剤又はパッチ剤を含む経皮剤形;バッカル剤形;吸入散剤、スプレー剤、懸濁剤など;及び直腸坐剤を含む、この個体の体の中に、治療的に有用な剤形及び治療有効量で導入することができる剤形で与えることを意味すると理解されるべきである。用語「治療有効量」は、記載した疾患状態を治療又は予防するための、適切な組成物中の、及び適切な剤形中の本発明の化合物の十分な量を指す。
【0063】
本発明の化合物は、本発明のタキキニン及びサブスタンスP阻害薬に対して補足的効果を有する他の物質と組み合わせて投薬することができる。従って、嘔吐の予防又は治療に於いて、本発明の化合物を、他の制吐薬、特に、5HT受容体拮抗薬、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、パレノセトロン(palenosetron)及びザチセトロン(zatisetron)、コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン又はGABA受容体拮抗薬、例えばバクロフェンと結び付けて使用することができる。同様に、片頭痛の予防又は治療のために、本発明の化合物を、他の抗片頭痛薬、例えば、エルゴタミン又は5HT作用薬、特に、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルマトリプタン(zolmatriptan)又はリザトリプタンと結び付けて使用することができる。
【0064】
鬱病又は不安の治療のために、本発明の化合物を、他の抗うつ薬又は抗不安薬、例えば、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害薬(RIMA)、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、α−アドレナリン受容体拮抗薬、異型抗うつ薬、ベンゾジアゼピン、5−HT1A作用薬又は拮抗薬、特に5−HT1A部分作用薬、コルチコトロピン放出因子(CRF)拮抗薬並びにこれらの医薬的に許容される塩と結び付けて使用することができることが認められる。肥満、過食症、神経及び強迫的摂食障害を含む摂食障害の治療又は予防のために、本発明の化合物を他の食欲減退剤と結び付けて使用することができる。疼痛若しくは痛覚又は炎症性疾患の治療又は予防のために、本発明の化合物を、抗炎症薬若しくは鎮痛薬、例えば、アヘン剤作用薬、リポキシゲナーゼ阻害薬、例えば、5−リポキシゲナーゼの阻害薬、シクロオキシゲナーゼ阻害薬、例えば、シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬、インターロイキン阻害薬、例えば、インターロイキン−1阻害薬、NMDA拮抗薬、酸化窒素の阻害薬若しくは酸化窒素の合成の阻害薬、非ステロイド性抗炎症薬又はシトキン抑制抗炎症薬と結び付けて使用することができることが認められる。
【0065】
本明細書に記載した全ての組合せを使用するとき、本発明の化合物と他の活性薬物の両方が、妥当な期間内に患者に投薬されることが認められる。この化合物は、同じ医薬的に許容される担体中に存在してもよく、従って同時に投薬することができる。これらは、同時に取られる従来の経口剤形のように、別個の薬学的担体中に存在してよい。用語「組合せ」は、また、化合物が別個の剤形で提供され、及び逐次的に投薬される場合を指す。従って、例えば、1種の活性成分を錠剤として投薬し、次いで妥当な期間内に、第二の活性成分を錠剤のような経口剤形又は速溶解性経口剤形として投薬することができる。「速溶解性経口配合物」によって、患者の舌の上に置かれたとき、約10秒以内に溶解する経口付与剤形が意味される。「妥当な期間」によって、約1時間を超えない期間が意味される。即ち、例えば、第一活性成分が錠剤として与えられる場合、1時間以内に、第二活性成分が、同じ種類の剤形又は薬物の有効な付与を与える他の剤形で、投薬されるべきである。
【0066】
本発明の化合物は、最適の薬物効能を与える用量で、このような治療が必要である患者(ヒト並びにコンパニオン動物、例えば、イヌ、ネコ及びウマを含む動物)に投薬することができる。全ての特別の適用に於いて使用するために必要な用量は、選択された特別の化合物又は組成物によってのみならず、投薬の経路、治療される状態の性質、患者の年齢及び状態、患者によって続けられる同時薬物療法又は特別の食餌並びに当業者が認める他の要因によって、最終的に主治医の裁量である適切な用量で、患者毎に変化することが認められる。
【0067】
過剰のタキキニンに付随する状態の治療に於いて、本発明の化合物又はこの医薬的に許容される塩の適切な用量レベルは、1日当たり約0.001から50mg/kg、特に約0.01から約25mg/kg、例えば、約0.05から約10mg/kg/日である。この用量範囲は、一般的に、約0.5から1000mg/患者/日であり、これは1回又は複数回投薬で投薬することができる。好ましくは、この用量範囲は、約0.5mgから約500mg/患者/日、更に好ましくは約0.5mgから約200mg/患者/日、なお更に好ましくは約5mgから約50mg/患者/日である。投薬のための、本発明の化合物又はこの医薬的に許容される塩の特別の用量には、1mg、5mg、10mg、30mg、100mg及び500mgが含まれる。本発明の薬学的組成物は、約0.5mgから1000mgの活性成分を含む、更に好ましくは約0.5mgから500mgの活性成分又は0.5mgから250mgの活性成分又は1mgから100mgの活性成分を含む配合物で提供することができる。過剰のタキキニンの治療又は予防のための特別の薬学的組成物には、約1mg、5mg、10mg、30mg、100mg及び500mgの活性成分が含まれている。
【実施例】
【0068】
本発明の化合物を調製するための幾つかの方法を、下記の実施例に於いて例示する。出発物質及び必要な中間体は、幾つかの場合には市販されており又は文献記載の手順に従って若しくは本明細書中に例示したようにして調製することができる。全てのNMRスペクトルは、CDCl又はCDOD中における400又は500MHzの電界強度で、δとして報告した化学シフトによって計器上で得た。HPLC/MS分析は、ウォーターズ・マイクロマス(Waters Micromass)ZQ質量分析計と組み合わせたアジレント(Agilent)1100シリーズHPLCを使用して得た。HPLC RPカラムは、10から100%アセトニトリル/水(共に、0.05%のTFAを含有する)勾配で、5.50分のラン時間で3.75分間かけて溶離するウォーターズ・エクステラ(Waters Exterra)MS−C18(5μm)3.0×50mmカラムであった。UVモニタリングは、210nMで実施した。保持時間(Rt)は、MSデータ基準で分で報告する。報告したm/e値は、100%イオンがこれも示されたように親イオンでなかったとき以外は、通常、親分子イオンであった。分取キラルHPLCは、示したパーセントのイソプロパノール/ヘプタン溶媒混合物で9mL/分で溶離する、示したキラセル(Chiracel)25×250mmカラムで実施した。保持時間(Rt)は、210又は254nmでモニターしたUVクロマトグラム基準で分で報告する。
【0069】
(実施例1)
【0070】
【化18】

【0071】
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−[5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−イル]プロパンアミド
工程A:2−モルホリン−4−イル−6−ニトロキノリン
圧力チューブ内の、MeOH中の3.93g(18.8ミリモル)の2−クロロ−6−ニトロキノリンの溶液に、2.0g(23ミリモル)のモルホリン及び7mLのTEAを添加した。この圧力チューブを密閉し、及び反応混合物を80℃で20時間加熱した。得られた混合物をRTにまで冷却し、及び約20mLの5N NaOH水溶液を添加した。得られた混合物をRTで5分間攪拌し、次いでCHClで希釈した。層を分離し、及び水層をCHClで更に抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥剤で乾燥し、及び濾過した。溶媒を真空下で除去して標題化合物を得、これを更に精製することなく使用した。MS(MH):260.1。
【0072】
工程B:2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
MeOH中の2−モルホリン−4−イル−6−ニトロキノリン(工程A)の溶液を、50PSI水素で0.5gのPtO上で、RTで0.5時間水素化した。触媒をフィルター助剤に通して濾過し、及び濾液の溶媒を真空下で蒸発させて、標題化合物を得、これを更に精製することなく使用した。MS(MH):230.2。
【0073】
工程C:5−ブロモ−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
0℃で、CHCl中の3.6g(15.7ミリモル)の2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン(工程B)の溶液に、CHCl中の0.81mL(15.7ミリモル)の臭素の溶液を添加した。得られた懸濁液を0℃で0.5時間攪拌し、次いで2N NaOH水溶液を添加することによってクエンチした。層を分離し、及び水層をCHClで更に抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥剤で乾燥し、濾過し、及び溶媒を真空下で除去した。残渣を、ヘキサン/EtOAc(1/1)で溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
【0074】
H−NMR(CDOD):δ8.18(1H,d),7.50(1H,d),7.20(1H,d),7.15(1H,d),3.82(4H,m),3.60(4H,m)。MS(MH):310.1。
【0075】
工程D:ベンジル (5−ブロモ−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−イル)カルバマート
窒素雰囲気下で0℃で、HOAc中の5−ブロモ−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン(工程C)の溶液に、CBZ−Clを添加した。冷却浴を取り除き、及び反応混合物をRTで16時間攪拌した。得られた混合物を塩化メチレンで希釈し、及び過剰の水でクエンチした。層を分離し、及び有機層を乾燥剤で乾燥し、濾過し、及び溶媒を真空下で蒸発させて、粗製標題化合物を得、これを更に精製することなく使用し、これは幾らかの出発物質によって汚染されていた。
【0076】
工程E:ベンジル[5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−イル]カルバマート
窒素雰囲気下で、トルエン中の1.4gの工程Dの中間体の溶液に、0.76g(1.5当量)の2−メチルフェニルボロン酸、1.2mLのEtOH、3.6mLの飽和NaHCO水溶液及び0.15g(触媒)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)Pd(0)を添加した。この反応混合物を還流で16時間加熱した。この反応混合物をRTにまで冷却し、EtOAc及び水で希釈し、次いで分液漏斗に移した。有機層を分離し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、及び溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を、ヘキサン/EtOAc(1/1)で溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。MS(MH):454.2。
【0077】
工程F:5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
MeOH中のベンジル[5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−イル]カルバマート(工程E)の溶液を、50PSI水素で触媒量の10%Pd−C上でRTで数時間水素化した。触媒をフィルター助剤に通して濾過し、及び濾液の溶媒を真空下で蒸発させて、標題化合物を得、これを更に精製することなく使用した。
【0078】
H−NMR(CDOD):δ7.60(1H,d),7.45−7.05(6H,m),6.97(1H,d),3.82(4H,m),3.60(4H,m),1.98(3H,s)。MS(MH):320.2。
【0079】
工程G:2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−N−[5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−イル]プロパンアミド
窒素雰囲気下でRTで、乾燥塩化メチレン中の0.06gの5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン(工程F)の溶液に、0.04gのDMAP、0.08gのEDC及び0.08gの2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパン酸を添加した。得られた混合物をRTで24時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、及び残渣をEtOAc/ヘキサンで溶離する分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。LC−MS(MH):602.2。
【0080】
工程H:2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−[5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−イル]プロパンアミド
窒素雰囲気下で−78℃で、乾燥THF中の0.60g(1.24ミリモル)の2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−N−[5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−イル]プロパンアミド(工程G)の溶液に、トルエン中のKHMDSの溶液を注射器によって添加した。得られた混合物を−78℃で0.33時間攪拌し、次いで過剰のMeIによって処理した。冷却浴を取り除き、及び得られた反応混合物を外界温度で1時間攪拌した。この反応混合物を水でクエンチし、次いでEtOAcで希釈した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、及び溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を、EtOAc/ヘキサンで溶離する分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。MS(MH):616.3。
【0081】
(実施例2)
【0082】
【化19】

【0083】
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
工程A:N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
窒素雰囲気下でRTで、乾燥塩化メチレン中の、0.02gの5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン(実施例1、工程F)の溶液に、0.15gの3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド及び0.53gのNaBH(OAc)を添加した。得られた混合物をRTで16時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、及び残渣を、EtOAc/ヘキサンで溶離する分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。MS(MH):546.3。
【0084】
工程B:N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
窒素雰囲気下で0℃で、MeOH中の、N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン(工程A)の溶液に、30%ホルムアルデヒド水溶液及び酢酸ナトリウムを添加した。得られた混合物を0℃で0.5時間攪拌し、次いでNaBHCNを添加した。この反応混合物をRTで2時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、及び残渣を、EtOAc/ヘキサンで溶離する分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。MS(MH):560.3。
【0085】
(実施例3)
【0086】
【化20】

【0087】
6−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}−5−(2−メチルフェニル)キノリン
工程A:5−ブロモキノリン−6−アミン
標題化合物を、6−アミノキノリンから、実施例1、工程Cの手順に従って調製した。MS(MH):225.0。
【0088】
工程B:tert−ブチル(5−ブロモキノリン−6−イル)カルバマート
RTで、CHCl中の5−ブロモキノリン−6−アミン(工程A)の溶液に、二炭酸ジtert−ブチル及び触媒量のDMAPを添加した。この反応混合物をRTで数時間攪拌し、及び通常の方法で仕上げて、標題化合物を得た。
【0089】
H−NMR(CDCl):δ9.0(1H,d),8.65(1H,d),8.10(1H,d),7.60(1H,d),7.55(1H,m),1.40(9H,s)。
【0090】
工程C:tert−ブチル[5−(2−メチルフェニル)キノリン−6−イル]カルバマート
標題化合物を、tert−ブチル(5−ブロモキノリン−6−イル)カルバマート(工程B)及び2−メチルフェニルボロン酸から、実施例1、工程Eの手順に従って調製した。
【0091】
工程D:5−(2−メチルフェニル)キノリン−6−アミントリフルオロ酢酸塩
10mLのCHCl/TFA(2/1)中の0.23g(0.69ミリモル)の工程Cの中間体の溶液を、RTで1時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させて、標題化合物を得、これを更に精製することなく使用した。MS(MH):235.1。
【0092】
工程E:5−(2−メチルフェニル)キノリン−6−オール
0℃で、1.5mLの3N HSO水溶液中の5−(2−メチルフェニル)キノリン−6−アミントリフルオロ酢酸塩(工程D)の溶液に、NaNO水溶液を添加した。この反応混合物を0℃で0.33時間攪拌し、この時点で10mgの尿素を添加した。この反応混合物を0℃で10分間攪拌し、この時点で、10mLの50%HSO水溶液を添加した。この反応混合物を110℃で2時間攪拌した。この反応混合物をRTにまで冷却し、次いで氷浴中で0℃まで冷却した。この混合物のpHを、5N NaOH水溶液の注意深い添加によってpH約3から4に調節し、次いで飽和NaHCO水溶液の添加によってpH約9に調節した。この混合物をEtOAc(3×10mL)で抽出した。一緒にした有機抽出液を乾燥剤で乾燥し、濾過し、及び溶媒を真空下で除去した。残渣を、分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。MS(MH):236.1。
【0093】
工程F:6−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}−5−(2−メチルフェニル)キノリン
アセトン中の0.085gの5−(2−メチルフェニル)キノリン−6−オール(工程E)の溶液に、0.2gのCsCO及び0.2mLの3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルブロミドを添加した。得られた混合物を、50℃で16時間加熱した。RTにまで冷却した後、固体を濾過し、及び濾液の溶媒を真空下で蒸発させた。この残渣を、で溶離する分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。MS(MH):462.5。
【0094】
(実施例4)
【0095】
【化21】

【0096】
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−(5−フェニルキノリン−6−イル)プロパンアミド1−オキシド
工程A:tert−ブチル(5−フェニルキノリン−6−イル)カルバマート
標題化合物を、tert−ブチル(5−ブロモキノリン−6−イル)カルバマート(実施例3、工程B)及びフェニルボロン酸から、実施例1、工程Eの手順に従って調製した。MS(MH):325.1。
【0097】
工程B:5−フェニルキノリン−6−アミン
標題化合物を、tert−ブチル(5−フェニルキノリン−6−イル)カルバマート(工程A)から、実施例3、工程Dの手順に従って調製し、及び1/9 MeOH中の2N NH/CHClの混合溶媒での分取TLCによって、遊離塩基に転化させた。
【0098】
H−NMR(CDCl):δ8.67(1H,d),8.00(1H,m).7.68(1H,d),7.59(2H,m),7.50(1H,m),7.20(2H,d),7.28(2H,m),7.20(1H,m),3.85(2H,bs)。MS(MH):225.0。
【0099】
工程C:2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−N−(5−フェニルキノリン−6−イル)プロパンアミド
窒素雰囲気下でRTで、乾燥塩化メチレン中の0.51gの5−フェニルキノリン−6−アミントリフルオロ酢酸塩(工程B)の溶液に、DIPEA及び2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイルクロリドを添加した。得られた混合物を50℃で16時間加熱した。この混合物をRTにまで冷却し、2N NaOH水溶液でクエンチし、及びEtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出液を乾燥剤で乾燥し、及び濾過した。溶媒を真空下で蒸発させて、標題化合物を得た。MS(MH):503.2。
【0100】
工程D:2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−(5−フェニルキノリン−6−イル)プロパンアミド
窒素雰囲気下でRTで、乾燥DMF中の2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−N−(5−フェニルキノリン−6−イル)プロパンアミド(工程C)の溶液に、油中のNaH分散液を添加した。得られた混合物をRTで攪拌し、次いで過剰のMeIによってRTで処理した。得られた反応混合物を外界温度で完結するまで攪拌した。この反応混合物を水でクエンチし、次いでEtOAcで希釈した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、及び溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を、EtOAc/ヘキサンで溶離する分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。MS(MH):517.2。
【0101】
工程E:2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−(5−フェニルキノリン−6−イル)プロパンアミド1−オキシド
CHCl中の0.54gの2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−(5−フェニルキノリン−6−イル)プロパンアミド(工程D)の溶液に、1.0g(4当量)の75%m−CPBAを添加した。得られた混合物をRTで16時間撹拌し、次いで2N NaOH水溶液を添加した。得られた混合物をRTで0.5時間攪拌し、次いで塩化メチレンで抽出した。一緒にした抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥剤で乾燥し、濾過し、及び溶媒を真空下で蒸発させて、標題化合物を得た。MS(MH):533.2。
【0102】
(実施例5)
【0103】
【化22】

【0104】
N−{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−2−メチル−5−フェニルキノリン−6−アミン
工程A:2−メチルキノリン−6−アミン
標題化合物を、2−メチル−6−ニトロキノリンから、実施例1、工程Bの手順に従って調製した。MS(MH):159.1。
【0105】
工程B:5−ブロモ−2−メチルキノリン−6−アミン
標題化合物を、2−メチルキノリン−6−アミン(工程A)から、実施例1、工程Cの手順に従って調製した。MS(MH):238.0。
【0106】
工程C:tert−ブチル(5−ブロモ−2−メチルキノリン−6−イル)カルバマート
標題化合物を、5−ブロモ−2−メチルキノリン−6−アミン(工程B)及び二炭酸ジtert−ブチルから、実施例3、工程Bの手順に従って調製した。
【0107】
工程D:tert−ブチル(2−メチル−5−フェニルキノリン−6−イル)カルバマート
標題化合物を、tert−ブチル(5−ブロモ−2−メチルキノリン−6−イル)カルバマート(工程C)及びフェニルボロン酸から、実施例1、工程Eの手順に従って調製した。MS(MH):335.3。
【0108】
工程E:2−メチル−5−フェニルキノリン−6−アミン
標題化合物を、tert−ブチル(2−メチル−5−フェニルキノリン−6−イル)カルバマート(工程D)から、実施例3、工程Dの手順に従って調製し、及び1/9 MeOH中の2N NH/CHClの混合溶媒での分取TLCによって、遊離塩基に転化させた。
【0109】
H−NMR(CDCl):δ7.87(1H,d),7.60−7.55(2H,m),7.50(1H,m),7.35(2H,d),7.15(1H,d),7.10(1H,d),3.80(2H,bs),2.70(3H,s)。MS(MH):235.1。
【0110】
工程F:2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−(2−メチル−5−フェニルキノリン−6−イル)アセトアミド
標題化合物を、2−メチル−5−フェニルキノリン−6−アミントリフルオロ酢酸塩(工程E)及び2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパン酸から、実施例1、工程Gの手順に従って調製した。MS(MH):489.3。
【0111】
工程G:N−{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−2−メチル−5−フェニルキノリン−6−アミン
窒素雰囲気下で、乾燥THF中の0.60g(1.24ミリモル)の2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−(2−メチル−5−フェニルキノリン−6−イル)アセトアミド(工程F)の溶液に、THF中のボラン−THF錯体の溶液を注射器によって添加した。得られた混合物をRTで16時間攪拌した。この反応混合物をMeOHでクエンチし、及び溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を、分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。MS(MH):475.1。
【0112】
(実施例6)
【0113】
【化23】

【0114】
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−(2−シアノ−5−フェニルキノリン−6−イル)−N,2−ジメチルプロパンアミド
DMF中の0.25g(0.47ミリモル)の2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−(5−フェニルキノリン−6−イル)プロパンアミド1−オキシド(実施例4)の溶液を、0.07g(3当量)のNaCN、0.4mL(4当量)のTEA及び0.3mL(5当量)のトリメチルシリルクロリドで処理した。この反応混合物を室温で72時間攪拌し、及び通常の方法で仕上げて、標題化合物を得た。MS(MH):543.1。
【0115】
(実施例7)
【0116】
【化24】

【0117】
{6−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−5−フェニルキノリン−2−イル}酢酸トリフルオロ酢酸塩
工程A:エチル{6−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−5−フェニルキノリン−2−イル}アセタート
標題化合物を、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−(5−フェニルキノリン−6−イル)プロパンアミド1−オキシド(実施例4)及びアセチル酢酸エチル(3−オキソブタン酸エチル)から、Iwao及びKuraishiの手順(J.Heterocycl.Chem.、1978年、第15巻、第1425頁)に従って調製した。2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−(5−フェニルキノリン−6−イル)プロパンアミド1−オキシド(0.17g)及びアセチル酢酸エチル(3−オキソブタン酸エチル、0.062g)を、40℃で16時間加熱した。この混合物を氷水の上に注いだ。室温で、固体を濾過によって集め、及び10mLの10%HCl水溶液と共に0.5時間撹拌した。この混合物を塩基性(pH=約12)にし、CHClで抽出した。一緒にした抽出液を、MgSOで乾燥した。溶媒を真空下で除去し、及び粗製物質を分取TLCによって精製した。MS(MH):603.1。
【0118】
工程B:{6−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−5−フェニルキノリン−2−イル}酢酸トリフルオロ酢酸塩
CHCl中の0.015gのエチル{6−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−5−フェニルキノリン−2−イル}アセタート(工程A)の溶液に、0.32gの75%m−CPBAを添加した。得られた混合物をRTで16時間攪拌し、次いで1N NaOH水溶液を添加した。得られた混合物をRTで0.5時間攪拌し、次いでCHClで抽出した。一緒にした抽出液を乾燥剤で乾燥し、濾過し、及び溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をMeOH中の2N NaOH水溶液で5時間処理した。この反応混合物を、2N HCl水溶液でpH約4から7にまで酸性化し、次いでCHClで抽出した。一緒にした抽出液を乾燥剤で乾燥し、濾過し、及び溶媒を真空下で蒸発させた。この残渣を逆相HPLCによって精製して、標題化合物を得た。MS(MH):575.1。
【0119】
(実施例8)
【0120】
【化25】

【0121】
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−メチル−4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
工程A:6−ニトロキノリン−2,4−ジオール
RTで、27mLの濃HSO中の3gのキノリン−2,4−ジオールの混合物に、0.7mLの発煙HNOを添加した。この反応混合物をRTで0.5時間撹拌した。この反応混合物を、氷の上に注意深く注いだ。固体を濾過し、及び水、EtOAcで洗浄し、及び一晩乾燥して、3.5gの標題化合物を得、これを更に精製することなく使用した。
【0122】
工程B:2,4−ジクロロ−6−ニトロキノリン
40mLのPOCl中の3gの6−ニトロキノリン−2,4−ジオールの混合物を、80℃で2時間加熱した。この反応混合物をRTにまで冷却し、及び揮発物質を真空下で除去した。残渣を氷/水で注意深くクエンチした。固体を濾過し、及び水で洗浄し、乾燥して、3.2gの標題化合物を得、これを更に精製することなく使用した。
【0123】
工程C:4−クロロ−2−モルホリン−4−イル−6−ニトロキノリン
標題化合物を、2,4−ジクロロ−6−ニトロキノリン(工程B)及びモルホリンから、実施例1、工程Aの手順に従って調製した。
【0124】
H−NMR(CDCl):δ9.00(1H,s),8.40(1H,d),7.73(1H,d),7.20(1H,s),3.90(4H,m),3.85(4H,m)。MS:=(MH):294.1。
【0125】
工程D:4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イル−6−ニトロキノリン
標題化合物を、4−クロロ−2−モルホリン−4−イル−6−ニトロキノリン(工程C)及び2−メチルフェニルボロン酸から、実施例1、工程Eの手順に従って調製し、及び次の工程で直接使用した。
【0126】
工程E:4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
標題化合物を、4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イル−6−ニトロキノリン(工程D)から、実施例1、工程Bの手順に従って調製した。
【0127】
H−NMR(CDOD):δ7.60(1H,d),3.35(2H,m),7.30(1H,m),7.20(1H,d),7.11(1H,d),6.92(2H,s),6.47(1H,s),3.82(4H,m),3.61(4H,m),2.07(3H,s)。MS(MH):320.4。
【0128】
工程F:tert−ブチル[4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−イル]カルバマート
標題化合物を、4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン(工程E)から、実施例3、工程Bの手順に従って調製した。
【0129】
工程G:N−メチル−4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
窒素雰囲気下で0℃で、乾燥THF中のtert−ブチル[4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−イル]カルバマート(工程F)の溶液に、THF中のLiAlHの溶液を、注射器によって添加した。得られた混合物をRTにまで加温し、次いで80℃で16時間加熱した。この反応混合物を、通常の方法(水及びNaOH水溶液塩基クエンチ)でクエンチし、固体を濾過し、及び溶媒を真空下で蒸発させて、標題化合物を得た。MS(MH):334.3。
【0130】
工程H:N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−メチル−4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
圧力チューブ内で窒素雰囲気下で、乾燥THF中の74mgの1−ブロモ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの溶液に、31mgのNa−Ot−Bu、9mgのPd(Cl)DPPF及び18mgのDPPGリガンドを添加した。得られた溶液に、71mgのN−メチル−4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン(工程G)を添加した。この圧力チューブを窒素でパージし、密閉し及び反応混合物を100℃で4時間加熱した。得られた混合物をRTにまで冷却し、及び溶媒を真空下で除去した。残渣を、EtOAc/ヘキサンで溶離する分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。
【0131】
H−NMR(CDOD):δ7.86(1H,d),7.45(1H,d),7.35−7.25(3H,m),7.20(1H,d),7.15(1H,s),7.10(2H,s),3.87(4H,m),3.75(4H.m),2.05(3H,s)。MS(MH):546.4。
【0132】
表1
表1中の化合物を、前記の方法論を使用するが、前記の実施例に記載したような適切な置換された試薬を置き換えて合成した。必要な出発物質は、市販されているか、文献に記載されているか又は過度の実験無しに有機合成の当業者によって容易に合成された。
【0133】
【表1】




本発明を、この或る特別の実施形態を参照して説明し、例示したが、当業者は、手順及びプロトコルの種々の適合、変更、修正、置換、削除又は追加を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができることを認める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物及びこれらのN−オキシド、
【化1】

[式中、Qは、
(1)−O−CH−、
(2)−O−CH(CH)−、
(3)−O−CH(CHOH)−、
(4)−N(R)−C(R)−(R、R及びRは、独立して、
(a)水素及び
(b)−CH
から選択される)
(5)−N(R)−、
(6)−N(R)−CO−C(R)−及び
(7)−N(R)−CH−C(R)−
からなる群から選択され、
Y及びZは、水素及びフェニルから選択され、但し、Y及びZの一方は水素であり、Y及びZの他方はフェニルであり、及びフェニルは、R12、R13及びR14(ここで、R12、R13及びR14は、独立して、
(1)水素、
(2)ハロ及び
(3)C1−6アルキル
から選択される)によって置換されており、
及びRは、独立して、
(1)水素、
(2)置換されていないか又は1種以上の、
(a)ヒドロキシ、
(b)オキソ、
(c)C1−6アルコキシ、
(d)フェニル−C1−3アルコキシ、
(e)フェニル、
(f)ハロ、
(g)−NR10(R及びR10は、独立して、
(I)水素、
(II)C1−6アルキル、
(III)フェニル、
(IV)(C1−6アルキル)−フェニル、
(V)(C1−6アルキル)−ヒドロキシ及び
(VI)(C1−6アルキル)−(C1−4アルコキシ)
から選択されるか、又は−NR10は、モルホリン、ピペリジン若しくはキヌクリジン環を形成する)、
(h)−NR−COR11(R11は、独立して、
(I)水素、
(II)C1−6アルキル、
(III)フェニル、
(IV)(C1−6アルキル)−フェニル、
(V)(C1−6アルキル)−ヒドロキシ及び
(VI)(C1−6アルキル)−(C1−4アルコキシ)
から選択される)
(j)−NR−CO11
(k)−CO−NR10
(l)−COR11
(m)−CO11
から選択される置換基によって置換されている、C1−6アルキル、
(3)ヒドロキシ、
(4)C1−6アルコキシ、
(5)オキソ、
(6)ハロ、
(7)−CN、
(8)−CF
(9)−NR10
(10)−NR−COR11
(11)−NR−CO11
(12)−CO−NR−COR11
(13)−COR11
(14)−O−(CO)R11
(15)−CO11
(16)−イミダゾリル及び
(17)−トリアゾリル
からなる群から選択される]
並びにこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項2】
式Ia:
【化2】

の請求項1の化合物及びこれらのN−オキシド並びにこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項3】
式Ib:
【化3】

の請求項1の化合物及びこれらのN−オキシド並びにこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項4】
式Ic:
【化4】

の請求項1の化合物及びこれらのN−オキシド並びにこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項5】
式Id:
【化5】

の請求項1の化合物及びこれらのN−オキシド並びにこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項6】
式Ie:
【化6】

の請求項1の化合物及びこれらのN−オキシド並びにこれらの医薬的に許容される塩並びにこれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項7】
Yがフェニルであり、及びZが水素である、請求項1の化合物。
【請求項8】
Yが水素であり、及びZがフェニルである、請求項1の化合物。
【請求項9】
Yが2−メチル−フェニルであり、及びZが水素である、請求項1の化合物。
【請求項10】
Yが水素であり、及びZが2−メチル−フェニルである、請求項1の化合物。
【請求項11】
が、
(1)水素、
(2)モルホリニル、
(3)キヌクリジニル、
(4)置換されていないか又は1種以上の、
(a)モルホリニル、
(b)−CO(C1−6アルキル)及び
(c)−COH、
から選択される置換基によって置換されている、C1−6アルキル、
(5)ヒドロキシ、
(6)−COH及び
(7)−CN
からなる群から選択される、請求項1の化合物。
【請求項12】
が水素である請求項1の化合物。
【請求項13】
がモルホリニルである請求項1の化合物。
【請求項14】
が水素である請求項1の化合物。
【請求項15】
が水素である請求項1の化合物。
【請求項16】
化合物がキヌクリジニル環上のN−オキシドとして存在する請求項1の化合物。
【請求項17】
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−[5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−イル]プロパンアミド、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−メチル−5−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン、
6−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]オキシ}−5−(2−メチルフェニル)キノリン、
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2−ジメチル−N−(5−フェニルキノリン−6−イル)プロパンアミド1−オキシド、
N−{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−2−メチル−5−フェニルキノリン−6−アミン、
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−(2−シアノ−5−フェニルキノリン−6−イル)−N,2−ジメチルプロパンアミド、
{6−[{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノイル}(メチル)アミノ]−5−フェニルキノリン−2−イル}酢酸、
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−メチル−4−(2−メチルフェニル)−2−モルホリン−4−イルキノリン−6−アミン
及びこれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される化合物。
【請求項18】
不活性担体及び請求項1の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩を含む薬学的組成物。
【請求項19】
本発明の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩を、薬学的担体又は希釈剤と組み合わせることを含む、哺乳動物に於ける、この受容体部位でのサブスタンスPの作用に拮抗作用するための又はニューロキニン−1受容体の遮断のための薬物の製造方法。
【請求項20】
本発明の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩を、薬学的担体又は希釈剤と組み合わせることを含む、哺乳動物に於ける過剰のタキキニンに付随する生理障害の治療のための薬物の製造方法。

【公表番号】特表2008−521905(P2008−521905A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544435(P2007−544435)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/043130
【国際公開番号】WO2006/060390
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】