説明

キノリン誘導体、それらを含む医薬組成物、並びに中枢神経系及び末梢疾患の治療におけるそれらの使用

1、R2、n及びR3が明細書に記載した通りである式(I)の化合物、薬学的に許容される塩、その製造方法、それを含む医薬組成物、及びその使用法。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノリン誘導体、それらを含む医薬組成物、及び中枢神経系及び末梢疾患又は障害の治療における当該化合物の使用に関する。本発明は、他のCNS薬剤の効果を増強するための、1つ又はそれ以上の他のCNS薬剤との併用による当該化合物の使用にも関する。本発明の化合物は、細胞表面受容体の位置確認のためのプローブとしても有用である。
【背景技術】
【0002】
タキキニン受容体は、サブスタンスP(SP)、ニューロキニンA(NKA)及びニューロキニンB(NKB)、総称して「タキキニン」を含む構造的に関連するファミリーの標的である。タキキニンは、中枢神経系(CNS)及びそれらが多様な生物活性を発揮する末梢組織で合成される。ニューロキニン−1(NK−1)、ニューロキニン−2(NK−2)及びニューロキニン−3(NK−3)受容体と命名されている、3つのタキキニン受容体が公知である。NK−1及びNK−2受容体は、種々の末梢組織に発現し、そしてNK−1受容体はCNSにも発現するのに対して、NK−3は主としてCNSに発現する。
【0003】
ニューロキニン受容体は、CNS及び末梢における興奮性ニューロンシグナル(例えば、疼痛シグナル)の伝達、平滑筋収縮能の調節、免疫及び炎症反応の調節、末梢血管系の拡張を介する降圧効果の誘導、及び内分泌及び外分泌腺分泌の刺激を含む種々のタキキニン刺激生物学的作用を媒介する。
【0004】
CNSでは、NK−3受容体の活性化は、ドーパミン、アセチルコリン及びセロトニン放出を調節することが示されており、不安、欝病、統合失調症及び肥満を含む種々の疾患の治療に対するNK−3リガンドの治療的有用性を示唆している。霊長類の脳の研究では、これらの疾患に関わる種々の領域におけるNK−3のmRNAの存在を示している。ラットの研究では、NK−3受容体が外側視床下部及び不確帯中のMCH含有ニューロンに存在することを示しており、この場合も肥満に対するNK−3リガンドの治療的有用性を示唆している。
【0005】
それぞれのタキキニン受容体に対する非ペプチドリガンドが開発されているが、公知の非ペプチドNK−3受容体アンタゴニストは、多くの適切な疾患モデルにおいて、これらの化合物を評価する能力を制限する種特異性など多くの問題を抱えている。従って、新しい非ペプチドNK−3受容体リガンドは、治療薬としての、及びNK−3受容体調節の生物学的影響を検討するツールとしての使用を望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
NK−3受容体(NK−3r)に対して親和性を有する、キノリン化合物の特定のジアステレオマーが開示されている。これらの化合物は、欝病、不安、統合失調症、認識力障害、精神病、肥満、過敏性腸症候群及び炎症性腸疾患を含む炎症性疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、月経困難症を含む過剰ゴナドトロピン及び/又はアンドロゲンに関連する疾患、良性前立腺肥大、前立腺癌及び精巣癌を含むがこれらに限定されない、NK−3受容体の活性の調節が有益な広範囲の疾患、障害及び状態を治療できる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
NK−3受容体のリガンドは、式I:
【化1】

式中、
1は、C1-4アルキル−又はC3-7シクロアルキル−から選択され;
2は、それぞれ独立に、H又はハロゲンから選択され;
nは、それぞれ独立に、1、2又は3から選択され;
3は、H、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−及びC1-4アルキルOC(O)−から選択され;そして、
1又はR3がアルキル又はシクロアルキル部分の場合、該部分は無置換、又は−OH、−NH2、−CN、フェニル及びハロゲンからそれぞれ独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基を有する;
の3−置換化合物の特定のジアステレオマーであり、そのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩と合わせて開示される。
【0008】
また、その化合物を含む医薬組成物及び製剤、疾患及び状態の治療のための単独又は他の治療効果のある化合物若しくは物質との併用でのそれらを使用する方法、それらを製造するために使用される方法及び中間体、医薬品としてのそれらの使用、薬剤の製造におけるそれらの使用、並びに診断及び分析目的のためのそれらの使用についても開示される。特に、化合物、それらを含む組成物、及びNK−3受容体が役割を持つと考えられる、広範囲の疾患又は障害に関連する状態及び障害を治療又は予防するためのそれらを使用する方法が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の化合物は、キノリン核の3位に特定のジアステレオメトリーを有する、式I:
【化2】

式中、
1は、C1-4アルキル−又はC3-7シクロアルキル−から選択され;
2は、それぞれ独立に、H又はハロゲンから選択され;
nは、それぞれ独立に、1、2又は3から選択され;
3は、H、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−及びC1-4アルキルOC(O)−から選択され;そして、
1又はR3がアルキル又はシクロアルキル部分の場合、該部分は無置換、又は−OH、−NH2、−CN、フェニル及びハロゲンからそれぞれ独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基を有する;
の化合物、並びにそのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩である。更に具体的には、当該化合物は3位に結合した−SO−R1部分を有し、そこでは、Sに結合したO及び孤立電子対が不斉中心を構成する。
【0010】
特定の化合物は、R1がC1-4アルキル−から選択される化合物、並びにそのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩である。
【0011】
他の特定の化合物は、R1がC3-6シクロアルキル−から選択される化合物、並びにそのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩である。
【0012】
他の特定の化合物は、R2がそれぞれ独立にH、F、Cl、Br又はIから選択される化合物、並びにそのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩である。
【0013】
なお他の特定の化合物は、R2がそれぞれ独立にH又はFから選択される化合物、並びにそのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩である。
【0014】
更になお他の特定の化合物は、R1がC1-4アルキル−から選択され、そしてR2がそれぞれ独立にH又はFから選択される化合物、並びにそのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩である。
【0015】
他の特定の化合物は、R1がメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、シクロプロピル又はシクロブチルから選択される化合物、並びにそのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩である。
【0016】
尚更なる他の特定の化合物は、R1がC3-6シクロアルキル−から選択され、そしてR2がそれぞれ独立にH又はFから選択される化合物、並びにそのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩である。
【0017】
なお他の特定の化合物は、式II:
【化3】

式中、
1、R2、n及びR3は式Iで定義した通りである;
に従うエナンチオマー、並びにそのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩である。
【0018】
他の特定の化合物は、式III又はIV:
【化4】

式中、
下向きくさび型及び上向きくさび型の結合は二重結合であり;そして
1、R2、n及びR3は、式Iで定義した通りである;
の化合物、並びにそのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩である。
【0019】
ラセミ体の2つのジアステレオマーへの分別により、一般的に、式III又は式IVのいずれの化合物も、式IV又は式IIIの対応する化合物より大幅に大きい、例えば、10から100倍大きい活性を有することが明らかになる。活性化合物の絶対配置は知られていないが、当業者は、本明細書に与えられた手引きにより、過度の実験をすることなくより高活性の及びより低活性の化合物を容易に手に入れることができる。
【0020】
特定の化合物は、表1に記載の化合物、並びにそれらのインビボ加水分解性前駆体及び薬学的に許容される塩から選択される。
【0021】
本発明の化合物は、それらが既知の化合物より、インビボにおいてより溶解性が高く、より吸収が容易でありそしてより有効性が高く、より有害作用が少なく、より低毒性であり、より効力が強く、より選択性が高く、より長時間作用性であり、より代謝性が低く及び/又はより優れた薬物動力学的プロファイルを有する可能性があり、又は既知の化合物より優れた他の有用な薬理学的又は物理化学的性質を有する可能性があるという利点を有する。本明細書に記載の機能的活性の分析法を用いることにより、ジアステレオマー化合物がNK−3受容体に対して約1μM未満のIC50値を有することが判明し、そして多くの化合物がNK−3受容体に対して約10nM未満のIC50値を有することが判明するであろう。
【0022】
略語及び定義
本明細書で使用されるC1-6アルキルとしては、特に指示のない限り、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、s−ブチル部分が挙げられるが、しかしそれらに限定されず、それらは、単独でも又は他の基の一部であってもよく、そしてアルキル基は直鎖状又は分枝鎖状であってもよい。
【0023】
本明細書で使用されるC1-6アルコキシとしては、特に指示のない限り、−O−メチル、−O−エチル、−O−n−プロピル、−O−n−ブチル、−O−i−プロピル、−O−i−ブチル、−O−t−ブチル、−O−s−ブチル部分が挙げられるが、しかしそれらに限定されず、それらは、単独でも、又は他の基の一部であってもよく、そしてアルコキシ基は直鎖状又は分枝鎖状であってもよい。
【0024】
本明細書で使用されるC3-6シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルのような環状のアルキル部分が挙げられるが、しかしそれらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用されるC2-6アルケニルとしては、特に指示のない限り、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル及び3−ブテニルが挙げられるが、しかしそれらに限定されない。
【0026】
本明細書で使用されるC2-6アルキニルとしては、特に指示のない限り、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル及び3−ブチニルが挙げられるが、しかしそれらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用されるハロ又はハロゲンとしては、特に指示のない限り、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味し;
本明細書で使用されるアリールとしては、フェニル及びナフチルが挙げられ;
本明細書で使用される芳香族又は非芳香族のヘテロ環としては、N−又はC−結合の、フリル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピロリジニル、チアゾリル、チオフェニル、ピロリル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニル、インダニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾオキサゾリル又はベンゾチアゾリルが挙げられるが、しかしそれらに限定されず;
rt又はRTは、室温を意味し;
DCMは、ジクロロメタンを意味し;
EtOAcは、酢酸エチルを意味し;
EDCは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドを意味し;
EDTAは、エチレンジアミン四酢酸を意味し;
HEPESは、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピぺラジンエタンスルホン酸一ナトリウム塩を意味し;そして
TEAは、トリエチルアミンを意味する。
【0028】
本明細書に記載される方法において、必要に応じて、ヒドロキシ、アミノ又は他の反応性の基は、標準的な教本である、「有機合成における保護基(Protecting groups in Organic Synthesis), 3rd Edition, Greene and Wuts, (1999)」に記載されているような保護基を用いて保護してもよい。
【0029】
特に指示のない限り、反応は不活性雰囲気下で、好ましくは、窒素雰囲気下で実施され、そして、通常は、約1気圧から約3気圧の圧力下で、好ましくは、常圧下(約1気圧)で実施される。
【0030】
本発明の化合物及びその中間体は、反応混合物から標準的技法で単離することができる。
【0031】
言及される可能性がある式Iの化合物の酸付加塩としては、鉱酸の塩、例えば、塩酸、臭化水素酸塩;及び有機酸と形成された塩、例えば、ギ酸、酢酸、マレイン酸、安息香酸、酒石酸及びフマル酸塩が挙げられる。
【0032】
式Iの化合物の酸付加塩は、遊離の塩基又は塩、エナンチオマー又はその保護された誘導体と、1当量又はそれ以上の適切な酸との反応により形成することができる。反応は、塩が不溶性の溶媒若しくは媒体中で、又は塩が可溶性の溶媒中で、例えば、水、ジオキサン、エタノール、テトラヒドロフラン若しくはジエチルエーテル中で、又は混合溶媒中で実施することができ、それらは、減圧下で、又は凍結乾燥により除去可能である。反応は複分解法であってもよく、又はイオン交換樹脂上でも行うことができる。
【0033】
式Iの化合物はジアステレオマーの形態で存在し、それらの全ては本発明の範囲内に含まれる。異性体は、化合物のラセミ混合物から、従来の技法を用いて、例えば、分別結晶化、又はキラルHPLCを用いて単離することができる。或いはまた、個々のエナンチオマーは、適切な光学的に活性な出発物質を、ラセミ化が起こらない反応条件下で反応させることにより生成することができる。
【0034】
合成及びスキーム
キノリンに直接結合した硫黄を有する式Iの化合物は、スキームAに示すように、3−アルキルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸を、ジシクロヘキシルカルボジイミド及びヒドロキシベンゾトリアゾールなどの好適なカップリング剤系の存在下で、適切なアミンと反応させ、3−アルキルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸(アルキル)−アミドを得ることができる。この化合物を過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤で酸化して対応するスルホキシドを得、又はメタ−クロロ過安息香酸などの酸化剤で酸化して対応するスルホンを得ることができる。
【0035】
本明細書に記載した化合物を生成する典型的な方法は、スキームAで示す通りである。
【0036】
スキームA
【化5】

【0037】
更なる態様において、本発明は、本明細書に記載された化合物であって、1つ又はそれ以上の原子が同一元素の放射性同位体である化合物に関する。本発明のこの態様の特別な形態において、化合物はトリチウムで標識される。その様な放射性同位体標識化合物は、放射性同位体で標識された出発物質を導入することにより、又はトリチウムの場合、公知の方法で水素をトリチウムに交換することにより合成される。公知の方法としては、(1)親電子ハロゲン化と、それに続くトリチウム源の存在下でのハロゲンの還元、例えば、パラジウム触媒の存在下でのトリチウムガスによる水素化、又は(2)トリチウムガス及び好適な有機金属触媒(例えば、パラジウム)触媒の存在下で実施される水素のトリチウムとの交換反応がある。
【0038】
トリチウムで標識された本発明の化合物は、NK−3受容体の作動作用、部分作動作用、又は拮抗作用により、活性に結びつき、そして活性を調整する新規な薬効のある化合物の発見に有用である。その様なトリチウム標識化合物は、NK−3受容体に結合するリガンドの結合力を評価するための、そのような化合物の置換を測定する評価法において用いることができる。
【0039】
更なる態様において、本発明は、本明細書に記載された化合物であって、更に1つ又はそれ以上の放射性同位体を含む化合物に関する。本発明のこの態様の特別な形態において、化合物は、放射性のハロゲンを含む。その様な放射性標識化合物は、放射性同位体で標識した出発物質を公知の方法で導入することにより合成される。本発明のこの態様の特別な実施態様は、放射性同位体が、18F、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Br又は82Brから選択されるものである。発明のこの態様の最も特別な実施態様は、放射性同位体が18Fであるものである。1つ又はそれ以上の放射性同位体を含むその様な化合物は、陽電子放出型断層撮影法(PET)用のリガンドとして有用であり、そして、NK−3受容体の位置を決定するためのその他の用途及び技法に対しても有用である。
【0040】
化合物の治療上の使用:
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の式Iに従う化合物並びに治療における当該化合物及び治療に有用な組成物の使用に関する。
【0041】
別の態様では、本発明は、NK−3受容体の作用を介した疾患の治療用の本明細書に記載の化合物の使用を包含する。そのような態様は、NK−3受容体の調節が有益な疾患又は状態の治療又は予防の方法を包含し、その方法は、本発明のアンタゴニスト性化合物の治療的有効量を、該疾患又は状態に罹患した被検者に投与することを含む。
【0042】
本発明のこの態様の1つの実施態様は、式Iの化合物の薬理学的有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、疾患の治療又は予防の方法であり、ここで、この疾患は、欝病、不安、統合失調症、認識力障害、精神病、肥満、過敏性腸症候群及び炎症性腸疾患を含む炎症性疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、月経困難症を含む過剰ゴナドトロピン及び/又はアンドロゲンに関連する疾患、良性前立腺肥大、前立腺癌及び精巣癌である。
【0043】
本発明の更なる態様は、NK−3受容体の調節が有益な疾患又は状態の治療又は予防における、本発明の化合物、そのエナンチオマー又は薬学的に許容されるその塩の使用である。治療が可能な特定の疾患及び状態は、欝病、不安、統合失調症、認識力障害、精神病、肥満、過敏性腸症候群及び炎症性腸疾患を含む炎症性疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、月経困難症を含む過剰ゴナドトロピン及び/又はアンドロゲンに関連する疾患、良性前立腺肥大、前立腺癌及び精巣癌である。より具体的な実施態様は、不安、欝病、統合失調症及び肥満の治療又は予防における化合物の使用を包含する。
【0044】
本発明の更なる態様は、本明細書に記載の疾患又は状態の治療又は予防のための医薬品の製造における、本発明の化合物、そのエナンチオマー又は薬学的に許容されるその塩の使用である。本発明のこの態様の特定の実施態様は、欝病、不安、統合失調症、認識力障害、精神病、肥満、過敏性腸症候群及び炎症性腸疾患を含む炎症性疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、月経困難症を含む過剰ゴナドトロピン及び/又はアンドロゲンに関連する疾患、良性前立腺肥大、前立腺癌及び精巣癌の治療又は予防のための医薬品の製造における、本発明の化合物の使用である。
【0045】
医薬組成物
本発明の化合物、そのエナンチオマー、及び薬学的に許容されるその塩は、経腸又は非経口的投与用に、それ自体で又は適切な医薬製剤の形態で使用することができる。本発明の更なる態様によれば、好ましくは80質量%未満、そしてより好ましくは50質量%未満の本発明の化合物を、不活性な薬学的に許容される希釈剤、滑沢剤又は担体と混ぜ合せて含む医薬組成物が提供される。
【0046】
希釈剤、滑沢剤又は担体の例としては:
・錠剤及び糖衣錠には:乳糖、澱粉、タルク、ステアリン酸;
・カプセル剤には:酒石酸又は乳糖;
・注射剤には:水、アルコール、グリセリン、植物油;
・坐剤には:天然又は鉱物油若しくは蝋;
がある。
【0047】
また、当該医薬組成物の製造方法も提供されるが、その方法は、成分を互いに混合又は配合し、混合した成分を錠剤又は坐剤に成型し、成分をカプセル剤にカプセル化し又は成分を溶解して注射剤を形成することを含む。
【0048】
薬学的に許容される誘導体としては、溶媒和物及び塩を含む。例えば、本発明の化合物は、マレイン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、酢酸、フマル酸、サリチル酸、クエン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸及びメタンスルホン酸を含む、従来の薬学的に許容される酸のような酸類と酸付加塩を形成してもよい。
【0049】
言及すべき式Iの化合物の酸付加塩としては、鉱酸の塩、例えば、塩酸塩及び臭化水素酸塩;及びギ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩及びフマル酸塩などの有機酸と形成される塩が挙げられる。式Iの化合物の酸付加塩は、遊離塩基又はその塩、エナンチオマー若しくは保護誘導体を、1当量以上の適切な酸と反応させることにより形成することができる。反応は、その塩が不溶性の溶媒又は媒体中で、又はその塩が可溶な溶媒中で、例えば、水、ジオキサン、エタノール、テトラヒドロフラン若しくはジエチルエーテル、又は減圧下で若しくは凍結乾燥により除去可能な溶媒混合物中で行なうことができる。反応は複分解法であってよく、又はイオン交換膜上で行なうこともできる。
【0050】
本明細書に記載の使用、方法、医薬品及び組成物に対して、化合物の使用量及び投与量は、勿論、使用化合物、投与様式及び所望する治療により変動する。しかしながら、一般的には、本発明の化合物を約0.1mg〜約20mg/kg動物体重の一日量で投与する場合に、満足すべき結果が得られる。当該用量は、1日に1〜4回の分割量で又は持続放出型で与えてもよい。男性の場合、一日量の合計は、5mg〜1,400mg、より好ましくは10mg〜100mgの範囲であり、そして経口投与に好適な単一投与剤形は、2mg〜1,400mgの化合物を、固形又は液体の医薬用担体、滑沢剤及び希釈剤と混ぜ合わせて含む。
【0051】
式Iの化合物若しくはその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくはインビボ加水分解性エステル、又は式Iの化合物を含む医薬組成物若しくは製剤は、別の薬物活性化合物又は以下から選択される化合物と、併用して、同時に、逐次的に又は別々に投与してよい:
(i)アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エルザソナン、エスシタロプラム、フルボキサミン、フルオキセチン、ゲピロン、イミプラミン、イプサピロン、マプロチリン、ノルトリプチリン、ネファゾドン、パロキセチン、フェネルジン、プロトリプチリン、レボキセチン、ロバルゾタン、セルトラリン、シブトラミン、チオニソキセチン、トラニルシプロメイン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、並びにそれらの等価物、薬物活性異性体及び代謝物などの抗欝薬;
(ii)例えば、クエチアピン、並びにその薬物活性異性体及び代謝物を含む非定型抗精神病薬;
(iii)例えば、アミスルプリド、アリピプラゾール、アセナピン、ベンズイソキシジル、ビフェプルノックス、カルバマゼピン、クロザピン、クロルプロマジン、デベンザピン、ジバルプレックス、デュロキセチン、エスゾピクロン、ハロペリドール、イロペリドン、ラモトリギン、ロキサピン、メソリダジン、オランザピン、パリペリドン、ペルラピン、ペルフェナジン、フェノチアジン、フェニルブチルピペリジン、ピモジド、プロクロルペラジン、リスペリドン、セルチインドール、スルピリド、スプロクロン、スリクロン、チオリダジン、トリフルオペラジン、トリメトジン、バルプロエート、バルプロ酸、ゾピクロン、ゾテピン、ジプラシドン、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含む抗精神病薬;
(iv)例えば、アルネスピロン、アザピロン、バルビツレート類、アジナゾラム、アルプラゾラム、バレゼパム、ベンタゼパム、ブロマゼパム、ブロチゾラムなどのベンゾジアゼピン類、ブスピロン、クロナゼパム、クロラゼパート、クロルジアゼポキシド、シプラゼパム、ジアゼパム、ジフェニルヒドラミン、エスタゾラム、フェノバム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フォサゼパム(fosazepam)、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メプロバマート、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、レクラゼパム、トラカゾラート、トレピパム、テマゼパム、トリアゾラム、ウルダゼパム、ゾラゼパム、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含む抗不安薬;
(v)例えば、カルバマゼピン、バルプロエート、ラモトリギン、ガバペンチン、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含む抗痙攣薬;
(vi)例えば、ドネペジル、メマンチン、タクリン、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含むアルツハイマー病治療薬;
(vii)例えば、デプレニル、L−ドーパ、レキップ、ミラペックス、セレギン及びラサギリンなどのMAOB阻害剤、タスマールなどのcomP阻害剤、A−2阻害剤、ドーパミン再取込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニスト及ニューロン一酸化窒素シンターゼ阻害剤、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含むパーキンソン病治療薬;
(viii)例えば、アルモトリプタン、アマンタジン、ブロモクリプチン、ブタルビタール、カベルゴリン、ジクロルアルフェナゾン、エレトリプタン、フロバトリプタン、リスリド、ナラトリプタン、ペルゴリド、プラミペキソール、リザトリプタン、ロピニロール、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ゾミトリプタン、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含む片頭痛治療薬;
(ix)例えば、アブシキシマブ、アクチバーゼ、シチコリン、クロベネチン、デスモテプラーゼ、レピノタン、トラキソプロジル、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含む脳卒中治療薬;
(x)例えば、ダラフェナシン、フラボキサート、オキシブチニン、プロピベリン、ロバルゾタン、ソリフェナシン、トルテロジン、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含む尿失禁治療薬;
(xi)例えば、ガバペンチン、リドデルム、プレガブリン、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含む神経因性疼痛治療薬;
(xii)例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、ナプロキセン、パラセタモール、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含む侵害受容性疼痛治療薬;
(xiii)例えば、アロバルビタール、アロニミド、アモバルビタール、ベンゾクタミン、ブタバルビタール、カプリド、クロラール、クロペリドン、クロレタート、デクスクラモール、エトクロルビノール、エトミダート、グルテチミド、ハラゼパム、ヒドロキシジン、メクロクアロン、メラトニン、メホバルビタール、メタクアロン、ミダフルール、ニソバマート、ペントバルビタール、フェノバルビタール、プロポフォール、ロレタミド、トリクロホス、セコバルビタール、ザレプロン、ゾルピデム、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含む不眠症治療薬、又は
(xiv)例えば、カルバマゼピン、ジバルプレックス、ガバペンチン、ラモトリギン、リチウム、オランザピン、クエチアピン、バルプロエート、バルプロ酸、ベラパミル、並びにそれらの等価物及び薬物活性異性体及び代謝物を含む気分安定剤。
【0052】
当該組み合わせ製品は、本明細書に記載の用量範囲内の本発明の化合物、及び承認用量範囲及び/又は刊行物文献に記載の用量の他の薬学的活性化合物又は化合物類を使用する。
【0053】
本発明の幾つかの化合物は、互変異性体、鏡像異性体、立体異性体又は幾何異性体として存在してもよく、それらのすべては本発明の範囲内に含まれる。種々の光学異性体は、従来の方法、例えば、分別結晶、又はキラルHPLCを用いた化合物のラセミ混合物の分離によって、単離することができる。或いはまた、個々のエナンチオマーは、ラセミ化を引き起こさない反応条件下で、適切な光学活性出発物質を反応させることにより生成することができる。
【0054】
本発明の代表的化合物は、スキームAに記載された方法に類似の方法及び2つのジアステレオマーの分離により製造することができる。当業者には当然のことながら、多くの好適なアミン及び酸塩化物及びカルボン酸を使用して、式Iとして本明細書に記載された主題の範囲内の化合物を生成することができる。
【0055】
典型的な化合物
実施例1及び2は、スキーム1に従って調製された。
【0056】
スキーム1
【化6】

【0057】
〔実施例1〕
3−(メチルチオ)−2−フェニル−N−[(1S)−1−フェニルプロピル]キノリン−4−カルボキサミド(1)
【化7】

3−(メチルチオ)−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸・塩酸塩(1a)(1,000mg、3.017mmol)、HOBT・水和物(1,220mg、4.525mmol)、4−メチルモルホリン(827μl、7.543mmol)のDCM(40mL)溶液に、EDAC(1,740mg、4.525mmol)を室温、N2雰囲気下で加えた。その後、(S)−1−フェニルプロピルアミン(815.6mg、6.03mmol)を加え、そして反応混合物を、室温で12時間撹拌した。全ての溶媒を減圧下で除去し、そして残留物を酢酸エチル及び0.5NのHCl水溶液間で分配した。有機相を10%の重炭酸ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで、有機溶液を減圧下で濃縮した。残留物を、15〜25%酢酸エチル/ヘキサン溶液で溶離するクロマトグラフィーで精製し、標題の化合物(1,150mg、92.5%)を固体として得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ:8.11(d,J=8.4Hz,1H),7.78−7.67(m,4H),7.55−7.27(m,9H),6.12(d,J=8.5Hz,1H),5.30(q,J=7.6Hz,1H),2.16−1.91(m,5H),1.06(t,J=7.4Hz,3H);APCI,m/z=413(M+1);LCMS:2.45min。
【0058】
a)出発物質の酸、3−(メチルチオ)−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸(1a)を、以下の方法で調製した。
イサチン(3,530mg、24mmol)に、水酸化ナトリウム(9.2g、230mmol)と水(20.0mL)の溶液を加えた。生成した茶褐色の沈殿物を室温で20分間激しく撹拌し、その後85℃に加熱した。2−(メチルチオ)−1−フェニルエタノン(1b)(4,000mg、24.0mmol)のエタノール/THF/水(50mL/1mL/50mL)溶液を、滴下しながら30分間に亘って加えた。反応混合物を85℃で更に4時間撹拌し、その後室温に冷却した。全ての有機溶媒を減圧下で除去し、そして水性の残留物を約20mLの体積まで減少させた。水性の残留物を冷却しつつ、6NのHClでpH1.5の酸性にした。生成した沈殿物を集め、水(2×10mL)、エーテル(3×10mL)で洗浄し、そして減圧下で乾燥して、標題の化合物(5,806mg、82%)を固体として得た。
1HNMR(300MHz,(CD32SO)δ:2.05(s,3H),7.52(d,1H),7.53(d,2H),7.74(m,1H),7.86(m,1H),7.99(m,2H),8.29(m,1H),9.11(m,1H),14.13(b,1H);MSAPCI,m/z=296(M+1);LCMS:1.16min。
【0059】
b)2−(メチルチオ)−1−フェニルエタノン(1b)の調製
2−ブロモ−1−フェニルエタノン(5,000mg、25.12mol)のTHF(50mL)溶液に、NaSCH3(2,640mg、37.68mmol)を室温、N2雰囲気下で加えた。反応混合物を4時間撹拌した(溶液の色がオレンジに変化した)。全てのTHFを除去し、混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈した。有機相を0.3NのNaOH水溶液、ブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで、有機溶液を減圧下で濃縮し、標題の化合物(4,000mg、96.0%)を固体として得た。1HNMR(300MHz,CDCl3)δ:2.13(s,3H),3.75(s,2H),7.47(m,2H),7.57(m,1H),7.97(d,2H);APCI,m/z=167(M+1);LCMS:1.79min。
【0060】
〔実施例2〕
3−(メチルスルフィニル)−2−フェニル−N−[(1S)−1−フェニルプロピル]キノリン−4−カルボキサミド(2)
【化8】

3−(メチルチオ)−2−フェニル−N−[(1S)−1−フェニルプロピル]キノリン−4−カルボキサミド(1)(412mg、1.0mmol)のEtOH(25mL)溶液に、NaIO4(900mg、4.2mmol)と水(14mL)の溶液を25℃で加えた。反応混合物を還流下(85℃)で20時間加熱した。全てのエタノールを除去し、次いでEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(10〜35%EtOAc/CH2Cl2)で精製し、所望の生成物(2種のジアステレオマー)を固体(355mg、83.0%)として得た。SFCにより、2種のジアステレオマーを、15%IPOHを用いて、OJ−Hカラムで分離した。
【0061】
異性体A:1HNMR(300MHz,CDCl3)δ:0.97(t,3H),1.91(m,1H),2.15(m,1H),2.88(s,3H),4.0(q,1H),5.23(m,1H),6.6(d,1H),7.41(d,1H),7.43(d,1H),7.45−7.51(m,6H),7.75(m,2H),7.81(m,2H),8.15(d,1H);MSAPCI,m/z=429(M+1);LCMS:2.06min。
異性体B:1HNMR(300MHz,CDCl3)δ:1.00(t,3H),2.00(m,1H),2.25(m,1H),2.66(s,3H),4.02(q,1H),5.21(m,1H),6.95(d,1H),7.37(d,1H),7.40(d,1H),7.48−7.55(m,6H),7.83(m,2H),8.10(m,2H),8.17(d,1H);MSAPCI,m/z=429(M+1);LCMS:2.07min。
【0062】
ジアステレオマーの分離
【化9】

硫黄中心(a)での異性体混合物の生成から得られた2種のジアステレマーの分取は、キラル固定相超臨界流体クロマトグラフィーを用いて行った。5μの粒子を含むChiralCel OJ-Hカラム(21×250mm)を、二酸化炭素(85%)中、ジメチルエチルアミン(0.5%)含有イソプロパノール(15%)の定組成溶離液と共に37℃で使用した。この溶離液の流速は50mL/分であり、ピークは254nmのUVで検出した。異性体混合物(20mg)をイソプロパノール(2mL)に溶解した溶液を、各分離操作毎に5mLのループに注入した。次いで、5.1分で溶離する第一のピーク、及び6.7分で溶離する第二のピークの2つの分離したピークを集めた。単離した画分は、ChiralCel OJ-Hカラム(4.6×250mm)上で、ジメチルエチルアミン(0.3%)含有イソプロパノール(15%)及び二酸化炭素(85%)から成る定組成溶離液を使用し、流速2.2mL/分の条件の分析用SFC測定で定量し、>99%の鏡像体過剰率で得られた。分析用検出は、APCI及びダイオードアレーUV分析法を用いて行った。鏡像体過剰率%は、254nmでの2つのピークの相対積算面積の測定より得られたデータをあてはめることにより計算した。これらの条件下でのこの化合物の分画により、NK−3機能活性の評価法において試験した場合、第一の溶離化合物は、第二の溶離化合物より大幅に大きな生物学的活性を有することが判明した。
【0063】
実施例3及び4は、スキーム2に従って調製した。
【0064】
スキーム2
【化10】

【0065】
〔実施例3〕
3−(エチルチオ)−2−フェニル−N−[(S)−1−フェニルプロピル]キノリン−4−カルボキサミド(4)
【化11】

3−(エチルチオ)−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸(3)(269mg、0.87mmol)、HOBT・水和物(230mg、1.5mmol)、4−メチルモルホリン(164μL、1.5mmol)のDCM(30mL)溶液に、N2雰囲気下、室温で、EDC(289mg、1.5mmol)を加えた。その後、(S)−1−フェニルプロピルアミン(202mg、1.5mmol)を加え、反応混合物を室温で12時間撹拌した。全ての溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチル及び0.5NのHCl水溶液間で分配した。有機相を10%の重炭酸ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで、有機溶液を減圧下で濃縮した。残留物を、15〜25%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するクロマトグラフィーで精製し、標題の化合物(315mg、収率:85%)を固体として得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ:0.96(t,3H),1.22(t,3H),2.0(m,2H),2.40(m,2H),5.28(q,1H),7.20(d,2H),7.34(d,2H),7.39(m,2H),7.78(m,2H),7.84(m,2H),8.00(m,1H),8.11(m,2H),8.15(m,2H);MSAPCI,m/z=427(M+1);LCMS:2.82min。
【0066】
出発物質の酸、3−(エチルチオ)−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸(3)を、以下の方法で調製した。
【化12】

イサチン(882mg、6mmol)に、水酸化ナトリウム(2.30g、57.5mmol)と水(5.0mL)の溶液を加えた。得られた茶褐色の沈殿物を室温で20分間激しく撹拌し、次いで85℃に加熱した。2−(エチルチオ)−1−フェニルエタノン(1,080mg、6.0mmol)のエタノール/THF/水(13mL/2.5mL/13mL)溶液を、30分間に亘って滴下しながら加えた。反応混合物を85℃で更に4時間撹拌し、次いで室温に冷却した。全ての有機溶媒を減圧下で除去し、水性残留物の体積を約12mLまで減少させた。水性残留物をエーテル(3×10mL)で洗浄し、その後水性残留物を冷却しつつ、濃酢酸でpH4の酸性にした。生成した沈殿物を集め、水で洗浄し、そして乾燥し、標題の化合物(1,580mg、85.2%)を固体として得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ:1.22(t,3H),2.97(q,2H),7.28(d,1H),7.35(d,2H),7.77(m,1H),7.86(m,1H),7.99(m,2H),8.29(m,1H),9.11(m,1H),10.33(b,2H);MSAPCI,m/z=310(M+1);LCMS:1.73min。
【0067】
〔実施例4〕
3−(エチルスルフィニル)−2−フェニル−N−[(S)−1−フェニルプロピル]キノリン−4−カルボキサミド(5)
【化13】

3−(エチルチオ)−2−フェニル−N−[(S)−1−フェニルプロピル]キノリン−4−カルボキサミド(4)(300mg、0.70mmol)のMeOH(25mL)溶液に、NaIO4(300mg、1.4mmol)と水(15mL)の溶液を加え、その間、溶液を0℃に冷却した。冷却浴を除去し、反応溶液を12時間撹拌した。LCMSで反応が終了したことを確認した。更に2当量のNaIO4を加え、そして反応混合物を8時間還流下で加熱した。その後EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(10〜35%EtOAc/CH2Cl2)で精製し、所望の生成物(2種のジアステレオマー)を固体(88mg、28.4%)として得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ:0.97(t,3H),1.21(t,3H),2.01(m,2H),2.71(m,2H),5.21(q,1H),7.21(d,2H),7.34(d,2H),7.39(m,2H),7.78(m,2H),7.84(m,2H),8.00(m,1H),8.11(m,2H),8.14(m,1H),8.16(m,1H);MSAPCI,m/z=443(M+1);LCMS:2.15min。
【0068】
表1の典型的な化合物及び方法は、理解を明確にするため、図解及び実施例に基づき本発明を説明する。しかしながら、本発明の化合物、製造法及び処理法を教示する意図の下に、本発明の目的又は範囲から逸脱することなしに、本発明に改良及び変化を加え得ることは、当業者にとって明白である。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
実施例8の化合物は、以下のスキームに従って調製された。
【化14】

【0076】
〔実施例8中間体〕
N−[(S)−シクロプロピル(フェニル)メチル]−3−(メチルチオ)−2−フェニルキノリン−4−カルボキサミド(3)
【化15】

3−(メチルチオ)−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸・塩酸塩(1a)(10.0g、34.0mmol)、HOBT・水和物(6.87g、51.0mmol)、4−メチルモルホリン(8.5mL、85.0mmol)のDCM(500mL)溶液に、EDAC(9.75g、51.0mmol)を、室温、N2雰囲気下で加えた。その後、(S)−1−シクロプロピル−1−フェニルメタンアミン・塩酸塩(9.9g、53.9mmol)を加え、反応混合物を室温で12時間撹拌した。全ての溶媒を減圧下で濃縮し、そして残留物を酢酸エチル及び0.5NのHCl水溶液間で分配した。有機相を10%の重炭酸ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶液を減圧下で濃縮した。残留物を、15〜25%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するクロマトグラフィーで精製し、標題の化合物(12.0g、83.0%)を固体として得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ:8.11(d,J=8.4Hz,1H),7.78−7.67(m,4H),7.55−7.27(m,9H),6.31(d,J=8.5Hz,1H),5.12(m,1H),2.48(s,3H),0.61(m,3H),0.44(m,3H);APCI,m/z=424(M+1);LCMS:2.45min。
【0077】
〔実施例8〕
N−[(S)−シクロプロピル(フェニル)メチル]−3−(メチルスルフィニル)−2−フェニルキノリン−4−カルボキサミド(4)
【化16】

N−[(1S)−シクロプロピル(フェニル)メチル]−3−(メチルチオ)−2−フェニルキノリン−4−カルボキサミド(3)(1,000mg、2.36 mmol)のMeOH(50mL)溶液に、NaIO4(2.02g、9.43mmol)と水(35mL)の溶液を25℃で加えた。反応混合物を還流下(85℃)で加熱した。全てのメタノールを除去し、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(10〜35%EtOAc/CH2Cl2)で精製し、所望の生成物(2種のジアステレオマー)を固体(642mg、62.0%)として得た。SFCで、ADカラム上60%EtOHを用いて、2種のジアステレオマーを分離した。
【0078】
異性体A:1HNMR(300MHz,CDCl3)δ:0.51(m,2H),0.65(m,2H),1.49(m,1H),2.75(s,3H),4.80(q,1H),6.87(d,1H),7.41(d,1H),7.43(d,1H),7.45−7.51(m,6H),7.75(m,2H),7.81(m,2H),8.18(d,1H);MSAPCI,m/z=441(M+1);LCMS:2.05min。
異性体B:1HNMR(300MHz,CDCl3)δ:0.46(m,2H),0.56(m,2H),1.40(m,1H),2.85(s,3H),4.70(q,1H),6.95(d,1H),7.40(d,1H),7.44(d,1H),7.48−7.55(m,6H),7.83(m,2H),8.10(m,2H),8.17(d,1H);MSAPCI,m/z=441(M+1);LCMS:2.05min。
【0079】
実施例8のジアステレオマーの分離
【化17】

硫黄中心での異性体混合物の生成から得られた2種のジアステレマーの分取は、キラル固定相超臨界流体クロマトグラフィーを用いて行った。10μの粒子を含むChiralPak ADカラム(21×250mm)を、二酸化炭素(40%)中ジメチルエチルアミン(0.5%)含有エタノール(60%)の定組成溶離液と共に、37℃で使用した。この溶離液の流速は、60mL/分であり、ピークは254nmのUVで検出した。異性体混合物(20mg)をイソプロパノール(2mL)に溶解した溶液を、各分離操作毎に5mLのループに注入した。2.8分で溶離する第一のピーク、及び5.9分で溶離する第二のピークの2つの分離したピークを集めた。単離した2つの画分は、ChiralPak AD-Hカラム(4.6×250mm)上で、イソプロピルアミン(0.3%)含有イソプロパノール(45%)及びCO2(55%)から成る溶離液を使用し、流速2.2mL/分の条件での分析用SFC測定で定量して、いずれも>99%の鏡像体過剰率で得られた。この条件下で、第一のピークは6.4分で溶離し、そして第二のピークは7.6分で溶離した。分析用検出は、APCI及びダイオードアレーUV分析法を用いて行った。鏡像体過剰率%は、254nmでの2つのピークの相対積算面積の測定より得られたデータをあてはめることにより計算した。これらの条件下でのこの化合物の分画により、NK−3機能活性の評価法において試験した場合、第二の溶離化合物は、第一の溶離化合物より大幅に大きな生物学的活性を有することが判明した。
【0080】
本明細書に記載された化合物が、好ましい生物学的活性を有するジアステレオマーを得、そして精製するために過度の実験を行うことなしに、実施例2及び9の化合物に対して与えられた指針に従って分画できることは、当業者に理解されるであろう。
【0081】
生物学的試験
NK−3受容体結合活性:
一般的に、NK−3r結合活性は、Krause et al., (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 310-315, 1997)に記載のように実施される分析法を用いて評価することができる。NK−3r相補性DNAは、ヒト視床下部RNAから標準手順を用いてクローニングされる。受容体cDNAは、チャイニーズハムスター卵巣細胞にトランスフェクトされた適切な安定発現ベクターに挿入され、そして安定発現クローン細胞系は単離され、特徴付けられ、そして実験に使用することができる。
細胞は組織培養培地中で当業者に周知の方法により増殖し、そして低速遠心分離により回収することができる。細胞ペレットは均質化され、全細胞膜が高速遠心分離により単離され、そして緩衝食塩水に懸濁される。一般的に、受容体結合分析は、好適な量の精製膜画分を、試験化合物の存在又は不在下に125I−メチルPhe7−ニューロキニンBとインキュベートすることによって行うことができる。膜蛋白質は、急速濾過により回収することが可能であり、そして放射活性は、βプレートシンチレーションカウンターで定量化することができる。非特異結合は、好適な対照を用いて特異結合から区別することができ、そして発現受容体に対する化合物の親和性は、異なる濃度の化合物を用いて測定することができる。
【0082】
クローン化NK−3受容体でトランスフェクトしたCHO細胞の膜の調製:
ヒトNK−3受容体遺伝子を、他のヒトNK受容体について記載された方法と類似の方法を用いてクローニングした(Aharony et al., Mol. Pharmacol. 45:9-19, 1994; Caccese et al., Neuropeptides 33, 239-243, 1999)。クローン化NK−3受容体のDNA配列は、コード配列のヌクレオチド1320にサイレント単一T>C塩基の変化を有する公表された配列(Buell et al., FEBS Letts. 299,90-95, 1992; Huang et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 184,966-972, 1992)と異なっていた。変化はサイレントなので、クローン遺伝子は公表された配列と同一のコード化NK−3受容体蛋白質の一次アミノ酸配列を与える。受容体cDNAが標準法を用いてCHO−K1細胞をトランスフェクトするために使用され、そして受容体を安定に発現するクローンが単離され特徴付けられた。これらの細胞の原形質膜は公表されているように調製された(Aharony et al., 1994)。
細胞を回収し遠心分離して培地を除いた。ペレット細胞を、Tris−HCl(pH7.4、50mM)、NaCl(120mM)、KCl(5mM)、EDTA(10mM)及びプロテアーゼ阻害剤(0.1mg/mLダイズトリプシン阻害因子及びヨードアセトアミド(1mM))から成る緩衝液中で均質化した(Brinkman Polytron、氷上で15秒間粉砕を3回)。ホモジネートを4℃において10分間1,000×gで遠心分離し、細胞残屑を除いた。ペレットを均質化緩衝液で1回洗浄した。上清を合わせて4℃において20分間40,000×gで遠心分離した。膜含有ペレットを同様にPolytronで均質化した。懸濁液を4℃において20分間40,000×gで遠心分離し、ペレットを緩衝液(HEPES(20mM)、MgCl2(3mM)、KCl(30mM)、及びチオルファン(100μM)を含有、pH7.4)で懸濁し、そして蛋白質濃度を測定した。次いで、膜懸濁液を0.02%BSAを含有する緩衝液で3mg/mLに希釈して急速冷凍した。サンプルは使用するまで−80℃に保存した。
【0083】
NK−3受容体結合活性の分析:
[125I]−MePhe7−NKBを用いる受容体結合分析法は、Aharony et al., J. Pharmacol. Exper. Ther., 274:1216-1221, 1995に記載の方法から改良された。
競合実験を、膜(2μg蛋白質/反応)、試験競合試剤、及び[125I] −MePhe7NKB(0.2nM)を含有する0.2mLの分析緩衝液(Tris−HCl(50mM)、MnCl2(4mM)、チオルファン(10μM)、pH7.4)中で実施した。非標識相同リガンド(0.5μM)を用いて非特異結合を決定した。25℃で90分間インキュベーションを行なった。受容体結合リガンドを、Packard Harvester中での減圧濾過により、0.5%BSAに予め浸漬したGF/Cプレート上に単離した。プレートをTris(0.02M)、pH7.4で洗浄した。平衡結合定数(KD及びKi)、受容体密度(Bmax)、及び統計解析の計算は、GraphPad Prism又はIDBS XLfitソフトウェアを用いて、文献報告(Aharony et al., 1995)にならって実施した。
【0084】
NK−3機能活性:
一般的に、NK−3機能活性は、安定NK−3r発現細胞系においてカルシウム動員分析を用いることによって評価することができる。メチルPhe7−ニューロキニンBアゴニストによって誘導されるカルシウム動員は、FLIPR(Molecular Devices)機器を用いて、メーカー記載の方法でモニターすることができる。アゴニストを細胞に加えて、蛍光応答を5分までの間連続的に記録する。アンタゴニストの作用は、メチルPhe7−ニューロキニンBアゴニストの適用に先立って細胞を予めインキュベーションすることにより評価することが可能である。アゴニストの作用は、このような系でそれらの固有の活性を観察することにより評価することが可能である。
【0085】
NK−3機能活性の分析:
NK−3受容体を発現するCHO細胞を、増殖培地(HamのF12培地、FBS(10%)、L−グルタミン(2mM)、及びハイグロマイシンB(50mg/mL))中に保持した。分析の1日前に、細胞を、L−グルタミン(2mM)を有するUltraculture培地(Cambrex Bio Science)中の384ウェルプレートに分注し、70〜90%の密集度を達成した。NK−3受容体誘導カルシウム動員を定量するために、細胞を先ずHanksの平衡塩類溶液、HEPES(15mM)、及びプロベネシド(2.5mM)、pH7.4から成る分析緩衝液で洗浄した。次いで、細胞に分析緩衝液中Fluo4/AM色素(4.4μM)を負荷した。細胞を1時間インキュベートし、そして次に分析緩衝液で洗浄してセンクチド(0.02〜300nM)に曝露し、そして蛍光応答をFLIPR機器(Molecular Devices Corporation)を用いて記録した。アゴニスト反応のアンタゴニズムを定量化するために、細胞を種々の濃度の試験化合物と2〜20分間予備インキュベーションし、次いで約70%最大カルシウム応答を単独で誘発する濃度のセンクチド(2nM)に曝露した。得られたデータをXLfitソフトウェア(IDBSメーカー)を用いて解析し、EC50及びIC50値を決定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

式中、
1は、C1-4アルキル−又はC3-7シクロアルキル−から選択され;
2は、それぞれ独立に、H又はハロゲンから選択され;
nは、それぞれ独立に、1、2又は3から選択され;
3は、H、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−及びC1-4アルキルOC(O)−から選択され;そして、
1又はR3がアルキル又はシクロアルキル部分の場合、該部分は無置換、又は−OH、−NH2、−CN、フェニル及びハロゲンからそれぞれ独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基を有する;
の化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項2】
1がC1-4アルキル−から選択される請求項1に記載の化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項3】
1がC3-6シクロアルキル−から選択される請求項1に記載の化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項4】
2が、それぞれ独立に、H、F、Cl、Br又はIから選択される請求項1に記載の化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項5】
2が、それぞれ独立に、H又はFから選択される請求項4に記載の化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項6】
1がC1-4アルキル−から選択され、そしてR2が、それぞれ独立に、H又はFから選択される請求項1に記載の化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項7】
1がメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、シクロプロピル又はシクロブチルから選択される請求項1に記載の化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項8】
1がC3-6シクロアルキル−から選択され、そしてR2が、それぞれ独立に、H又はFから選択される請求項1に記載の化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項9】
式III又はIV:
【化2】

式中
下向きのくさび型及び上向きのくさび型の結合は二重結合であり;そして
1、R2、n及びR3は、式Iで定義した通りである;
で表わされる請求項1に記載の化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項10】
以下の化合物:
3−メタンスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸((S)−1−フェニル−プロピル)−アミド;
3−メタンスルフィニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸((S)−1−フェニル−プロピル)−アミド;
3−メチルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸((S)−1−フェニル−エチル)−アミド;
3−(メチルスルフィニル)−2−フェニル−N−[(S)−1−フェニルエチル]キノリン−4−カルボキサミド;
(R)−[(3−メチルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボニル)−アミノ]−フェニル−酢酸メチルエステル;
(R)−メチル 2−(3−(メチルスルフィニル)−2−フェニルキノリン−4−カルボキサミド)−2−フェニルエタン酸;
3−メチルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸((S)−シクロプロピル−フェニル−メチル)−アミド;
3−メタンスルフィニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸((S)−シクロプロピル−フェニル−メチル)−アミド;
3−メチルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸((S)−1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
3−メタンスルフィニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸((S)−1−シクロヘキシル−エチル)−アミド;
3−メチルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸[(S)−1−(3−フルオロ−フェニル)−プロピル]−アミド;
3−メチルスルフィニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸[(S)−1−(3−フルオロ−フェニル)−プロピル]−アミド;
3−メチルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸[(S)−シクロプロピル−(3−フルオロ−フェニル)−メチル]−アミド;
3−メチルスルフィニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸[(S)−シクロプロピル−(3−フルオロ−フェニル)−メチル]−アミド;
3−メチルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸((S)−2−シアノ−1−フェニル−エチル)−アミド;又は
3−メチルスルフィニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸((S)−2−シアノ−1−フェニル−エチル)−アミド;
から選択される請求項1に記載の化合物、又はその立体異性体、エナンチオマー、インビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項11】
式I:
【化3】

式中、
1は、C1-4アルキル−又はC3-7シクロアルキル−から選択され;
2は、それぞれ独立に、H又はハロゲンから選択され;
nは、それぞれ独立に、1、2又は3から選択され;
3は、H、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−及びC1-4アルキルOC(O)−から選択され;そして、
1又はR3がアルキル又はシクロアルキル部分の場合、該部分は無置換、又は−OH、−NH2、−CN、フェニル及びハロゲンからそれぞれ独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基を有する;
の化合物を製造する方法であって、該方法が:
3−アルキルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸を、ジシクロヘキシルカルボジイミド及びヒドロキシベンゾトリアゾールなどの好適なカップリング剤系の存在下で、適切なアミンと反応させて、3−アルキルスルファニル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸(アルキル)−アミドを得;
このアミドを過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤で酸化して、対応するスルホキシドを得る;又は
このアミドをメタ−クロロ過安息香酸などの酸化剤で酸化し、式Iの対応するスルホンを得る;
のいずれかを含む方法。
【請求項12】
NK−3受容体の調節が有益である疾病又は状態を治療又は予防する方法であって、該疾病又は状態に罹患している被検者に、治療的有効量の式I:
【化4】

式中、
1は、C1-4アルキル−又はC3-7シクロアルキル−から選択され;
2は、それぞれ独立に、H又はハロゲンから選択され;
nは、それぞれ独立に、1、2又は3から選択され;
3は、H、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−及びC1-4アルキルOC(O)−から選択され;そして、
1又はR3がアルキル又はシクロアルキル部分の場合、該部分は無置換、又は−OH、−NH2、−CN、フェニル及びハロゲンからそれぞれ独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基を有する;
で表わされる化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項13】
疾患又は状態が、欝病、不安、統合失調症、認識力障害、精神病、肥満、過敏性腸症候群及び炎症性腸疾患を含む炎症性疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、月経困難症を含む過剰ゴナドトロピン及び/又はアンドロゲンに関連する疾患、良性前立腺肥大、前立腺癌及び精巣癌から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
薬学的に許容される賦形剤、滑沢剤又は担体、及び式I:
【化5】

式中、
1は、C1-4アルキル−又はC3-7シクロアルキル−から選択され;
2は、それぞれ独立に、H又はハロゲンから選択され;
nは、それぞれ独立に、1、2又は3から選択され;
3は、H、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−及びC1-4アルキルOC(O)−から選択され;そして、
1又はR3がアルキル又はシクロアルキル部分の場合、該部分は無置換、又は−OH、−NH2、−CN、フェニル及びハロゲンからそれぞれ独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基を有する;
で表わされる化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項15】
NK−3受容体の調節が有益である疾病又は状態を治療又は予防する方法であって、該疾病又は状態に罹患している被検者に、治療的有効量の請求項14に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項16】
疾患又は状態が、欝病、不安、統合失調症、認識力障害、精神病、肥満、過敏性腸症候群及び炎症性腸疾患を含む炎症性疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、月経困難症を含む過剰ゴナドトロピン及び/又はアンドロゲンに関連する疾患、良性前立腺肥大、前立腺癌及び精巣癌から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
NK−3受容体の調節が有益である疾患又は状態の治療又は予防に使用するための、式I:
【化6】

式中、
1は、C1-4アルキル−又はC3-7シクロアルキル−から選択され;
2は、それぞれ独立に、H又はハロゲンから選択され;
nは、それぞれ独立に、1、2又は3から選択され;
3は、H、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−及びC1-4アルキルOC(O)−から選択され;そして、
1又はR3がアルキル又はシクロアルキル部分の場合、該部分は無置換、又は−OH、−NH2、−CN、フェニル及びハロゲンからそれぞれ独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基を有する;
で表わされる化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項18】
疾患又は状態が、欝病、不安、統合失調症、認識力障害、精神病、肥満、過敏性腸症候群及び炎症性腸疾患を含む炎症性疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、月経困難症を含む過剰ゴナドトロピン及び/又はアンドロゲンに関連する疾患、良性前立腺肥大、前立腺癌及び精巣癌から選択される、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
NK−3受容体の調節が有益である疾患又は状態を治療又は予防するための医薬品の製造における、式I:
【化7】

式中、
1は、C1-4アルキル−又はC3-7シクロアルキル−から選択され;
2は、それぞれ独立に、H又はハロゲンから選択され;
nは、それぞれ独立に、1、2又は3から選択され;
3は、H、C1-4アルキル−、C3-6シクロアルキル−及びC1-4アルキルOC(O)−から選択され;そして、
1又はR3がアルキル又はシクロアルキル部分の場合、該部分は無置換、又は−OH、−NH2、−CN、フェニル及びハロゲンからそれぞれ独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基を有する;
で表わされる化合物、又はそのインビボ加水分解性前駆体若しくは薬学的に許容される塩の使用。
【請求項20】
疾患又は状態が、欝病、不安、統合失調症、認識力障害、精神病、肥満、過敏性腸症候群及び炎症性腸疾患を含む炎症性疾患、嘔吐、子癇前症、慢性閉塞性肺疾患、月経困難症を含む過剰ゴナドトロピン及び/又はアンドロゲンに関連する疾患、良性前立腺肥大、前立腺癌及び精巣癌から選択される、請求項19に記載の使用。

【公表番号】特表2010−522161(P2010−522161A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554490(P2009−554490)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050299
【国際公開番号】WO2008/115140
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】