説明

キノリン4−カルボキサミド誘導体およびニューロキニン3(NK−3)受容体アンタゴニストとしてのその使用

本発明は、新規なキノリン誘導体、その製法、それを含有する医薬組成物、および医薬としての、特に中枢神経系(CNS)の障害の治療における医薬としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規なキノリン誘導体、その製法、それを含有する医薬組成物、および医薬としての、特に中枢神経系(CNS)の障害の治療における医薬としてのその使用に関する。
【0002】
哺乳動物ペプチドニューロキニンB(NKB)は、サブスタンスP(SP)およびニューロキニンA(NKA)をも包含するタキキニン(TK)ペプチドファミリーに属する。薬理学的および分子生物学的証拠は、TK受容体の3つのサブタイプ(NK、NKおよびNK)の存在を示している。NKBは優先的にNK受容体に結合するが、より低いアフィニティーで他の2つの受容体も認識する(Maggi et al, 1993, J. Auton. Pharmacol., 13, 23-93)。
【0003】
選択的ペプチド性NK受容体アンタゴニストが知られており(Drapeau, 1990 Regul. Pept., 31, 125-135)、ペプチド性NK受容体アゴニストを用いた知見は、NKBが、NK受容体を活性化することによって、気道、皮膚、脊髄および黒質線状体経路における神経系入力(neural input)の調節において重要な役割を有することを示唆する(Myers and Undem, 1993, J.Physiol., 470, 665-679; Counture et al., 1993, Regul. Peptides, 46, 426-429; Mccarson and Krause, 1994, J. Neurosci., 14 (2), 712-720; Arenas et al. 1991, J.Neurosci., 11, 2332-8)。
WO97/19926は、NK受容体アンタゴニストととしての活性を有するキノリン誘導体を開示する。
【0004】
本発明者らは、今回、有益な特性を示すキノリン誘導体の一群を同定した。
【0005】
したがって、第一の態様によると、本発明は、式(I)
【化1】

[式中、
は、C1−6アルキル(好ましくは、エチル)、C3−6シクロアルキル(好ましくは、シクロプロピル)またはアセチルであり;
は、N−結合型ピラゾリル、トリアゾリルまたはテトラゾリルであり、その各々がC1−4アルキルまたはペルフルオロC1−4アルキルによって置換されていてもよく;
m、nおよびpは、同一または異なっていてもよく、0、1または2であり;および
X、YおよびZは、フルオロである]
で示される化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0006】
好ましくは、Rは、シクロプロピルである。
好ましくは、Rは、N−結合型トリアゾリルまたはN−結合型テトラゾリルである。より好ましくは、Rは、N−2結合型トリアゾリルまたはN−2結合型テトラゾリルである。好ましくは、Rは、非置換のN−2結合型トリアゾリルまたはN−2結合型テトラゾリルである。
【0007】
好ましくは、pは0である。
好ましくは、mおよびnは、同一または異なっていてもよく、0または1である。より好ましくは、a)mは0であって、nは1であるか、またはb)mは1であって、nは0である。
mおよび/またはnが1であるとき、好ましくは、Xおよび/またはYは、フェニル基のメタ位に結合する。
【0008】
好ましくは、第1の態様によると、該化合物は、(Ia):
【化2】

で示される。
【0009】
当然のことながら、本発明は、上記の好ましい基のあらゆる組み合わせを有する化合物を包含することが意図される。
【0010】
好ましくは、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物[式中、
がC1−6アルキル(好ましくは、エチル)またはC3−6シクロアルキル(好ましくは、シクロプロピル)であり;
がN−結合型トリアゾリルまたはN−結合型テトラゾリルであり、その各々がC1−4アルキルまたはペルフルオロC1−4アルキルによって置換されていてもよく;
mおよびnが同一または異なっていてもよく、0、1または2であり;
pが0であり;および
XおよびYがフルオロである]
を提供する。
【0011】
より好ましくは、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物[式中、
がエチルまたはシクロプロピルであり;
がN−2結合型トリアゾリルまたはN−2結合型テトラゾリルであり、;
mおよびnが同一または異なっていてもよく、0または1であり;
pが0であり;および
XおよびYがフルオロである]
を提供する。
【0012】
なおより好ましくは、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物[式中、
がシクロプロピルであり;
が非置換のN−2結合型トリアゾリルまたはN−2結合型テトラゾリルであり、;
a)mが0であって、nが1であるか、またはb)mが1であって、nが0であり;
pが0であり;および
XおよびYがフェニル基のメタ位に結合したフルオロである]
を提供する。
【0013】
式(I)の好ましい化合物は:
2−(3−フルオロ−フェニル)−3−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸((S)−1−シクロプロピル−1−フェニル−メチル)−アミド(実施例1);
2−フェニル−3−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸[(S)−1−シクロプロピル−1−(3−フルオロ−フェニル)−メチル]−アミド(実施例17);
2−フェニル−3−テトラゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸[(S)−1−シクロプロピル−1−(3−フルオロ−フェニル)−メチル]−アミド(実施例35);および
2−(3−フルオロ−フェニル)−3−テトラゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸((S)−1−シクロプロピル−1−フェニル−メチル)−アミド(実施例45)である。
【0014】
式(I)の化合物の適当な医薬上許容される塩は、適当な酸、例えば、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸およびコハク酸などの有機カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸;および塩酸、硫酸、リン酸およびスルファミン酸などの無機酸との塩基性塩などを包含する。本発明の化合物のいくつかは、水性および有機性溶媒などの溶媒から結晶化または再結晶化されてもよい。かかる場合、溶媒和物が形成されうる。本発明は、その範囲内に、水和物を含有する化学量論的溶媒和物ならびに凍結乾燥などの過程によって生成されうる変化量の水を含有する化合物を包含する。
式(I)の化合物の医薬上許容される溶媒和物は、その水和物を包含する。
【0015】
以下、本発明の第1の態様において定義された化合物、その医薬上許容される塩およびその溶媒和物を「本発明の化合物」と称する。
本発明の化合物は、その多形を包含する。
本発明の化合物は、1以上の互変形態において存在しうる。全ての互変体およびその混合物は、本発明の範囲内に包含される。
【0016】
本発明の化合物は、光学異性体、例えば、ジアステレオ異性体および全比率における異性体混合物、例えば、ラセミ混合物の形態において存在していてもよい。本発明は、かかる全ての形態、特に、純粋な異性形態を包含する。異なる異性形態は、常法によって他の異性体から分離または分割してもよく、あるいはいずれかの所定の異性体を常法の合成法または立体特異的合成または不斉合成によって得てもよい。
【0017】
本発明の化合物は、医薬組成物における使用が意図されるので、それらが各々、好ましくは、実質的に純粋な形態、例えば、少なくとも60%純粋、より適当には少なくとも75%純粋、好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも98%純粋(%は、重量/重量基準である)な形態で提供されることが容易に理解されよう。該化合物の不純な調製物は、医薬組成物において使用される純粋な形態を調製するために使用してもよく、これらのあまり純粋でない化合物調製物は、少なくとも1%、より適当には少なくとも5%、好ましくは10〜59%の本発明の化合物を含有するべきである。
【0018】
本発明の化合物は、強力で選択的なNKアンタゴニストである。さらに、本発明の化合物は、WO97/19926に開示された化合物を越える医薬上有益な特性を示す。特に、本発明の化合物は、WO97/19926に開示された化合物よりも増加したイン・ビボ脳曝露量(brain exposure)を示す。当然のことながら、脳曝露量の増加は、CNS障害を治療するための化合物において重要な特性である。
【0019】
本発明の化合物は、既知の種々の方法において調製されうる。下記の反応スキームおよびそれ以下において、別記ないかぎり、R、R、X、Y、Z、m、nおよびpは、第1の態様において定義したとおりである。これらの製法は、本発明のさらなる態様を形成する。
本明細書を通して、一般式は、ローマ数字(I)、(II)、(III)、(IV)などで示される。これらの一般式のサブセットは、(Ia)、(Ib)、(Ic)など・・・、(IVa)、(IVb)、(IVc)などのように示される。
【0020】
式(I)の化合物は、反応スキーム1にしたがって、式(II)の化合物から、HATUなどのアミドカップリング試薬を用いる式(III)の化合物との反応によって調製されうる。好ましくは、該反応は、ジイソプロピルエチルアミンなどの適当な塩基の存在下、DMFなどの適当な溶媒中において行われる。
【0021】
スキーム1
【化3】

【0022】
式(II)の化合物は、反応スキーム2にしたがって、式(IV)の化合物から、塩基触媒による加水分解によって調製されうる。該変換に適当な塩基は、水酸化リチウムである。
【0023】
スキーム2
【化4】

【0024】
式(IV)の化合物は、反応スキーム3にしたがって、式(V)の化合物から、1,2,3トリアゾールなどの窒素含有複素環との反応によって調製されうる。好ましくは、該反応は、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒中において行われる。
【0025】
スキーム3
【化5】

【0026】
式(V)の化合物は、反応スキーム4にしたがって、式(VI)の化合物から、臭素化試薬を用いて調製されうる。適当な臭素化試薬は、N−ブロモスクシンイミドであり、適当な溶媒は、四塩化炭素である。
【0027】
スキーム4
【化6】

【0028】
式(VI)の化合物は、反応スキーム5にしたがって、式(VII)の化合物のエステル化によって調製されうる。中間体カルボン酸塩化物は、塩化オキサリルなどの適当な試薬を用いて調製してもよく、次いで、それをメタノールとの反応によって、カルボン酸エステルに変換することができる。
【0029】
スキーム5
【化7】

【0030】
式(VII)の化合物は、反応スキーム6にしたがって、式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物との反応によって調製されうる。好ましくは、該反応は、濃塩酸などの適当な酸の存在下、氷酢酸などの適当な溶媒中において、高温、適当には105℃にて行われる。
【0031】
スキーム6
【化8】

【0032】
式(III)の化合物(スキーム1参照)は、反応スキーム7にしたがって、水素化などの条件および支持されたパラジウム触媒を用いて、式(X)の化合物を還元することによって調製されうる。
【0033】
スキーム7
【化9】

【0034】
式(X)の化合物は、反応スキーム8にしたがって、塩基の存在下、式(XI)の化合物とヒドロキシルアミンとの反応によって調製されうる。該変換に適当な塩基は、水酸化カリウムである。
【0035】
スキーム8
【化10】

【0036】
式(IIIa)の化合物、すなわち、Rが(S)−シクロプロピルである式(III)の化合物は、反応スキーム9にしたがって、式(XII)の化合物から、メチルアミンなどの適当な塩基の存在下における過ヨウ素酸との反応によって調製されうる。
【0037】
スキーム9
【化11】

【0038】
式(XII)の化合物は、反応スキーム10にしたがって、式(XIII)の化合物から、シクロプロピルリチウム(臭化シクロプロピルとtertブチルリチウムからその場で生成される)との反応によって調製されうる。
【0039】
スキーム10
【化12】

【0040】
式(XIII)の化合物は、反応スキーム11にしたがって、市販のベンズアルデヒド(XIV)から、バリノールとの反応、次いで、アルコール官能基のそのトリメチルシリルエーテルとしての保護によって調製されうる。
【0041】
スキーム11
【化13】

【0042】
式(I)の化合物の製法についてのさらなる詳細は、下記の実施例のセクションにおいて示す。
【0043】
本発明の化合物は、単独で調製してもよく、または少なくとも2つ、例えば、5個から1000個の化合物、より好ましくは、10〜100個の化合物を含む化合物ライブラリーとして調製してもよい。本発明の化合物のライブラリーは、コンビナトリアル「スプリットおよびミックス(split and mix)」法によって、または溶液相もしくは固相化学のいずれかを用いるマルチプルパラレル合成によって、当業者に既知の手法によって調製すればよい。かくして、さらなる態様によれば、少なくとも2つの本発明の化合物を含む化合物ライブラリーが提供される。
【0044】
上記に記述したように、ペプチド性NK受容体アゴニストを用いた知見は、NKBが、NK受容体を活性化することによって、気道、皮膚、脊髄および黒質線状体経路における神経系入力の調節において重要な役割を有することを示唆する。
したがって、さらなる態様によると、本発明は、医薬、好ましくは、ヒトの医薬として使用するための本発明の化合物を提供する。
【0045】
またさらなる態様によると、本発明は、NK受容体の調節によって媒介される疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
さらなる態様によると、本発明は、治療の必要な哺乳動物に、有効量の本発明の化合物を投与することを特徴とする、哺乳動物(好ましくは、ヒト)におけるNK受容体の調節によって媒介される疾患または状態の治療または予防方法を提供する。
【0046】
好ましいNK受容体の調節によって媒介される疾患または状態は、CNS障害、例えば、鬱病(該用語は、双極性(躁)鬱病(I型およびII型を包含する)、単極性鬱病、精神病性特徴、緊張病性特徴、憂鬱性特徴、非典型的特徴(例えば、無気力、過食/肥満、睡眠過剰)もしくは分娩後発症を伴うまたは伴わない単発または再発性大鬱病エピソード、季節性情動障害および気分変調、鬱病に関連する不安、心因性鬱病、および限定するものではないが、心筋梗塞、糖尿病、流産または堕胎を包含する一般的病状に起因する抑鬱障害を包含する);不安障害(全般性不安障害(GAD)、社会不安障害(SAD)、動揺、緊張、精神病患者における社会的または感情的引きこもり、パニック障害、および強迫障害を包含する);恐怖症(広場恐怖症および社会恐怖症を包含する);精神病および精神異常(統合失調症、統合失調性感情障害、統合失調症様疾患、急性精神病、アルコール精神病、自閉症、せん妄、躁病(急性躁病を包含する)、躁鬱病、幻覚、内因性精神病、器質性精神症候群、偏執障害および妄想障害、産褥期精神障害、およびアルツハイマー病などの神経変性障害に関連した精神病を包含する);外傷後ストレス障害;注意欠陥多動性障害(ADHD);認識障害(例えば、注意、適応、記憶(記憶障害、健忘症、健忘性障害および加齢に関連した記憶障害)および言語機能を包含する認識機能の障害、および卒中、アルツハイマー病、エイズに関連した痴呆または他の痴呆状態、ならびにせん妄または鬱病などの認識低下(偽痴呆状態)を引き起こしうる他の急性または亜急性状態の結果としての認識障害の治療);痙攣性障害、例えば、癲癇(単純部分発作、複雑部分発作、続発性全身発作、アブサンス発作を包含する全身性発作、ミオクローヌス発作、間代発作、強直発作、強直間代発作および無緊張発作を包含する);性心理機能不全(性的関心欠損症(低リビドー)、性的刺激または興奮欠損症、オルガズム機能不全、女性オルガズム欠損症および男性オルガズム欠損症、性的欲求低下障害(HSDD)、女性性的欲求障害(FSDD)、およびSSRIクラスの抗鬱剤治療によって誘導された性機能不全副作用を包含する);睡眠障害(概日リズムの妨害、睡眠異常(dyssomnia)、不眠症、睡眠時無呼吸およびナルコレプシーを包含する);摂食行動の障害(神経性無食欲症および神経性食欲昂進症を包含する);神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、ALS、運動ニューロン疾患および他の運動障害、例えば、パーキンソン病(意図的動作におけるゆっくりと増加している障害、震え、動作緩慢、運動過剰症(中度および重度)、運動不能、硬直、バランスおよび調整における障害、および姿勢の障害を包含する運動機能欠損および/または運動障害の軽減を包含する)、パーキンソン病における痴呆、ハンティングトン病における痴呆、神経安定薬誘導性パーキンソン症候群および遅発性ジスキネジー、卒中、心停止、肺バイパス、外傷性脳傷害、脊髄傷害などの後の神経変性、および脱髄性疾患、例えば、多発性硬化症および筋萎縮性側索硬化症を包含する);禁煙または喫煙量または喫煙頻度の低下を包含する薬物濫用(例えば、コカイン、エタノール、ニコチン、ベンゾジアゼピン類、アルコール、カフェイン、フェンシクリジンおよびフェンシクリジン様化合物、アヘン、例えば、大麻、ヘロイン、モルヒネ、鎮静剤、睡眠薬、アンフェタミンまたはアンフェタミン関連薬、例えば、デキストロアンフェタミン、メチルアンフェタミンまたはその組み合わせの濫用)からの離脱;疼痛(神経因性疼痛(糖尿病性ニューロパシー;座骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症疼痛;線維筋痛または癌に関連した疼痛;AIDS関連およびHIV関連ニューロパシー;化学療法誘導性ニューロパシー;神経痛、例えば、ヘルペス後神経痛および三叉神経痛;交感神経依存性疼痛および身体外傷、切断、癌、毒または慢性炎症性疾患、例えば、慢性関節リウマチおよび骨関節炎に起因する疼痛;反射性交感神経性ジストロフィー、例えば、肩/手症候群を包含する)、急性疼痛(例えば、筋骨格疼痛、術後疼痛および外科的手術痛)、炎症性疼痛および慢性疼痛、普通は痛くない感覚に付随する疼痛、例えば「しびれる感覚(pins and needles)」(錯感覚および異常錯感覚)、接触感受性増加(知覚過敏)、無害刺激後の痛い感覚(動的、静的または温度的異痛)、侵害刺激に対する感受性増加(温熱、寒冷、機械的痛覚過敏)、刺激除去後の持続性痛覚(痛覚過敏)または選択的感覚系経路の不在もしくは欠損(痛覚鈍麻)、偏頭痛に付随する疼痛、および非心臓性胸痛を包含する);およびある特定のCNS−媒介性障害(例えば、嘔吐、過敏性大腸症候群および非潰瘍性消化不良)である。
【0047】
より好ましいNK受容体の調節によって媒介される疾患または状態は、鬱病;不安障害;恐怖症;精神病および精神異常;外傷後ストレス障害;注意欠陥多動性障害(ADHD);禁煙または喫煙量または喫煙頻度の低下を包含する薬物濫用からの離脱;過敏性大腸症候群;認識障害;痙攣性障害;性心理機能不全;睡眠障害;摂食行動の障害;神経変性疾患;疼痛;嘔吐;過敏性大腸症候群;および非潰瘍性消化不良である。
【0048】
よりなお好ましいNK受容体の調節によって媒介される疾患または状態は、鬱病;不安障害;恐怖症;および精神病および精神異常(特に、統合失調症、統合失調性感情障害および統合失調症様疾患)である。
【0049】
本明細書において、「治療」に対する言及が、予防、再発予防および症状(軽度、中度、または重度)の抑制または緩和ならびに確立された病状の治療にまで及ぶことは、明らかであろう。本発明の化合物は、化学原料のまま投与してもよいが、好ましくは、活性成分は、医薬処方として提供される。
【0050】
さらなる態様によると、本発明は、本発明の化合物を1以上の医薬上許容される担体、希釈剤および/または賦形剤と一緒に含む医薬組成物を提供する。担体、希釈剤および/または賦形剤は、該組成物の他の成分と適合性であるという意味で「許容され」なければならず、そのレシピエントにとって有害であってはならない。
【0051】
本発明の化合物は、当該分野でよく知られた通常の手法にしたがって、本発明の化合物を標準的な医薬担体または希釈剤と混合することによって調製された通常の剤形において投与すればよい。これらの手法は、所望の製剤に適当なように、材料を混合、造粒および圧縮または溶解することを含みうる。
【0052】
本発明の医薬組成物は、いずれかの経路によって投与するために処方されればよく、ヒトを包含する哺乳動物への経口、局所または非経口投与に適合した形態を包含する。
【0053】
該組成物は、いずれかの経路による投与のために処方すればよい。該組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、ロゼンジ、クリームまたは液体製剤、例えば、経口または滅菌非経口溶液または懸濁液の形態であってもよい。
【0054】
本発明の非経口処方は、例えば、軟膏、クリームまたはローション、目用軟膏および点眼剤または点耳剤、浸漬した包帯およびエーロゾルとして提供されてもよく、また、軟膏およびクリームにおける薬物浸透および皮膚軟化を補助するために、適当な通常の添加剤、例えば、保存料、溶媒を含有していてもよい。
【0055】
該処方は、また、適合性の通常の担体、例えば、クリームまたは軟膏基剤およびローション用のエタノールまたはオレイルアルコールを含有していてもよい。かかる担体は、該処方の約1%〜約98%配合されていてもよい。より普通には、それらは、該処方の約80%までを形成するであろう。
【0056】
経口投与用錠剤およびカプセルは、単位投与提供形態であってもよく、通常の賦形剤、例えば、結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴムまたはポリビニルピロリドン;増量剤、例えば、ラクトース、砂糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;錠剤成形用滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン;または許容される湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを含有していてもよい。錠剤は、通常の製薬実施においてよく知られた方法にしたがい、被覆されていてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、または使用前に、水または他の適当なビヒクルで復元するための乾燥製品として提供されてもよい。かかる液体製剤は、通常の添加剤、例えば、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水添食用油脂、乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエート、またはアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油を包含しうる)、例えば、アーモンド油、油性エステル、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコール;保存料、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピル、またはソルビン酸、および所望により、通常のフレーバーまたは着色剤を含有していてもよい。
【0057】
座剤は、通常の座剤基剤、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドを含有するであろう。
【0058】
非経口投与の場合、流体単位投与形態は、該化合物および滅菌ビヒクル、好ましくは水を用いて調製される。該化合物は、使用されるビヒクルおよび濃度に依存して、ビヒクル中に懸濁または溶解することができる。溶液の調製において、該化合物を注射用水に溶解し、フィルター滅菌した後、バイアルまたはアンプル中に充填および密封することができる。
【0059】
有利には、局所麻酔剤、保存料および緩衝化剤などの剤をビヒクル中に溶解することができる。安定性を上げるために、該組成物をバイアルに充填後、凍結させ、真空下で水を除去することができる。該凍結乾燥粉末を次いで、バイアル中に密封し、使用前に該液体を復元するために、注射用水を入れた添付バイアルを提供してもよい。非経口懸濁液は、該化合物をビヒクル中に溶解する代わりに懸濁し、滅菌をろ過によって行うことができないことを除き、実質的に同じ方法で調製される。該化合物は、エチレンオキシドに曝露することによって滅菌後、滅菌ビヒクル中に懸濁することができる。有利には、該化合物の均一な分布を容易にするために、界面活性剤または湿潤剤を該組成物中に含有させる。
【0060】
該組成物は、投与方法にもよるが、0.1重量%、好ましくは10−60重量%の活性成分を含有しうる。該組成物が投与単位からなる場合、各単位は、好ましくは、50−500mgの活性成分を含有するであろう。成人治療に用いるような投与量は、投与経路および頻度にもよるが、好ましくは、1日につき10〜3000mg、例えば、1日につき1500mgである。かかる投与量は、1日につき0.1〜50mg/kgに相当する。
【0061】
本発明の化合物の個々の投与量の最適な量および投与間隔は、治療されている病状の性質および程度、投与形態、経路および部位、および治療されている特定の哺乳動物によって決定され、かかる最適量および投与間隔は、通常の技術によって決定できることは、当業者によって理解されるであろう。また、当業者が、通常の治療コース決定試験を用いて、最適な治療コース、すなわち、所定の日数の間、1日に与えられる本発明の化合物の投与回数を決定することができることは、当業者に明らかであろう。
本発明の化合物を上記の投与量範囲で投与する場合、毒物学的な影響は示されない。
【0062】
限定するものではないが、本明細書中に引用される特許および特許出願を包含する全ての出版物は、あたかも個々の出版物が出典明示によりそれらが完全に示されるかの如く本明細書の一部とされることが詳細かつ個別に示されているかのように、出典明示により、本明細書の一部とされる。
【0063】
下記の非限定的な実施例は、本発明を説明するものである。
略語
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DMF ジメチルホルムアミド
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HATU N−[(ジメチルアミノ−1H−1,2,3−トリアゾロ4,5bピリジン−1−イルメチレン]N−メチルメタアナミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
THF テトラヒドロフラン
TMS−Cl トリメチルシリルクロリド
【0064】
H NMRスペクトルは、Bruker B−ACS 60 400MHz,Bruker DPX 400またはBruker DPX 250で記録した。化学シフトは、百万分率(ppm,δ単位)で表す。カップリング定数(J)は、ヘルツ(Hz)単位である。分裂パターンは、見かけの多重度を表し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、dd(ダブレットダブレット)、dt(ダブレットトリプレット)、m(マルチプレット)、br(幅広)で示す。
低分解能マススペクトル(MS)は、HP1100シリーズ分光計で記録し;MSおよび液体クロマトグラフィーMSは、Micromass MS2 Platform LC分光計で記録した。全マススペクトルは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、化学的イオン化(CI)、電子衝撃(EI)下で、または高速原子爆撃(FAB)法によって取得した。全反応は、UV光、5%エタノール性ホスホモリブデン酸、p−アニスアルデヒド溶液、水性過マンガン酸カリウムまたはヨウ化カリウム/塩化白金水溶液で視覚化される0.25mm E.Merckシリカゲルプレート(60F−254)上の薄層クロマトグラフィーによってモニターした。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル上で行った。
【0065】
中間体
中間体1:(S)−2−(ベンジリデン−アミノ)−3−メチル−ブタン−1−オール
【化14】

(S)−(+)−バリノール(4.16g,40.3mmol,1当量)をジクロロメタン(60mL)中に溶解し、硫酸マグネシウム(20g)を加え、該混合物を0℃に冷却し、ベンズアルデヒド(4.28g,40.3mmol,1当量)で滴下処理した。0℃で2時間、次いで、周囲温度で18時間攪拌を続けた。反応混合物をろ過し、真空下で蒸発させて、標題化合物を白色固体として得た(6.7g,87%)。
m/z(APCI):192[M+H]
【0066】
中間体2:(S)−2−[(3−フルオロ−ベンジリデン)−アミノ]−3−メチル−ブタン−1−オール
【化15】

3−フルオロベンズアルデヒドを用いて、中間体1に類似の方法で、標題化合物を調製した。
【0067】
中間体3:(S)−2−[(2−フルオロ−ベンジリデン)−アミノ]−3−メチル−ブタン−1−オール
【化16】

2−フルオロベンズアルデヒドを用いて、中間体1に類似の方法で、標題化合物を調製した。
【0068】
中間体4:ベンジリデン−((S)−2−メチル−1−トリメチルシラニルオキシメチル−プロピル)−アミン
【化17】

中間体1(6.7g,35mmol,1当量)を乾燥ジクロロメタン(60mL)中に溶解し、アルゴン下、トリエチルアミン(5.4mL,38.5mmol,1.1当量)およびTMS−Cl(4.9mL,38.5mmol,1.1当量)で処理した。該混合物を周囲温度で72時間攪拌し、ろ過し、次いで、蒸発乾固させた。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、ろ液を真空下で蒸発乾固させて、標題化合物を無色油として得た(8.43g,91%)。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 0.01 (9H, s), 0.88 - 0.90 (6H, m), 1.87 - 1.95 (1H, m), 2.92 - 2.97 (1H, m), 3.59 - 3.64 (1H, m), 3.82 - 3.85 (1H, m), 7.22 - 7.37 (3H, m), 7.68 - 7.73 (2H, m), 8.17 (1H, s)
【0069】
中間体5:(3−フルオロ−ベンジリデン)−((S)−2−メチル−1−トリメチルシラニルオキシメチル−プロピル)−アミン
【化18】

中間体2を出発材料として用いて、中間体4に類似の方法で、標題化合物を調製した。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 0.01 (9H, s), 0.86 - 0.90 (6H, m), 1.87 - 1.95 (1H, m), 2.94 - 2.98 (1H, m), 3.58 - 3.63 (1H, m), 3.81 - 3.84 (1H, m), 7.04 - 7.06 (1H, m), 7.32 - 7.35 (1H, m), 7.42-7.48 (2H, m), 8.13 (1H, s)
【0070】
中間体6:(2−フルオロ−ベンジリデン)−((S)−2−メチル−1−トリメチルシラニルオキシメチル−プロピル)−アミン
【化19】

中間体3を出発材料として用いて、中間体4に類似の方法で、標題化合物を調製した。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 0.01 (9H, s), 0.86 - 0.90 (6H, m), 1.87 - 1.95 (1H, m), 2.95 - 3.00 (1H, m), 3.58 - 3.62 (1H, m), 3.80 - 3.84 (1H, m), 6.99 - 7.04 (1H, t), 7.09 - 7.13 (1H, t), 7.31-7.33 (1H, m), 7.93-7.97 (1H, t), 8.45 (1H, s)
【0071】
中間体7:(S)−2−[((S)−1−シクロプロピル−1−フェニル−メチル)−アミノ]−3−メチル−ブタン−1−オール
【化20】

臭化シクロプロピル(4.64g,38.4mmol,1.2当量)をアルゴン下、乾燥ジエチルエーテル(50mL)中に溶解し、−78℃に冷却し、tert−BuLi(ペンタン中における1.7M溶液を45mL,76.5mmol,2.4当量)で処理した。10分後、冷却をやめ、該混合物を室温で1時間攪拌した。−40℃に再冷却後、中間体4(8.43g,32mmol,1当量)の乾燥ジエチルエーテル(40mL)中溶液を加え、−40℃で1.5時間、攪拌を続けた。5M HClを加え(50mL)、相を分離した。水相をジエチルエーテルで洗浄し(廃棄し)、次いで、ジエチルエーテルの存在下、KOHペレットでpH>10に塩基性化した。有機相を水およびブラインで洗浄し、次いで、真空下で蒸発乾固させて標題化合物を無色油として得た(6.42g,86%)。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 0.13 - 0.15 (1H, m), 0.34 - 0.37 (2H, m), 0.60 - 0.70 (1H, m), 0.83 (3H, d, J = 7Hz), 0.91 (3H, d, J = 7Hz), 0.98 - 1.00 (1H, m), 1.71 - 1.77 (1H, m), 2.44 - 2.48 (1H, m), 3.00 (1H, d, J = 8Hz), 3.32 および 3.36 (1H, dd, J = 5 and 11Hz), 3.59 および 3.61 (1H, dd, J = 5 and 11Hz), 7.25 - 7.42 (5H, m); m/z(APCI): 234 [M+H]+
【0072】
中間体8:(S)−2−{[(S)−1−シクロプロピル−1−(3−フルオロ−フェニル)−メチル]−アミノ}−3−メチル−ブタン−1−オール
【化21】

中間体5を出発材料として用いて、中間体7に類似の方法で、標題化合物を調製した。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 0.15 - 0.17 (1H, m), 0.35 - 0.38 (2H, m), 0.65 - 0.67 (1H, m), 0.83 (3H, d, J = 7Hz), 0.91 (3H, d, J = 7Hz), 1.00-1.03 (1H, m), 1.70 - 1.77 (1H, m), 2.40 - 2.44 (1H, m), 2.99 (1H, d, J = 9Hz), 3.36 および 3.38 (1H, dd, J = 5 および 11Hz), 3.59 および 3.62 (1H, dd, J = 5 および 11Hz), 6.94-6.97 (1H, m), 7.03-7.08 (2H, m), 7.26-7.29 (IH, m)
【0073】
中間体9:(S)−2−{[(S)−1−シクロプロピル−1−(2−フルオロ−フェニル)−メチル]−アミノ}−3−メチル−ブタン−1−オール
【化22】

中間体6を出発材料として用いて、中間体7に類似の方法で、標題化合物を調製した。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 0.18 - 0.19 (1H, m), 0.36 - 0.40 (2H, m), 0.66 - 0.68 (1H, m), 0.82 (3H, d, J = 7Hz), 0.89 (3H, d, J = 7Hz), 1.14-1.17 (1H, m), 1.69 - 1.75 (1H, m), 2.32 - 2.36 (1H, m), 3.27 (1H, d, J = 9Hz), 3.36 および 3.39 (1H, dd, J = 5 および 11Hz), 3.59 および 3.60 (1H, dd, J = 5 および 11Hz), 7.00-7.04 (1H, t), 7.12-7.14 (1H, t), 7.21-7.24 (1H, m), 7.35-7.37 (1H, t)
【0074】
中間体10:(S)−1−シクロプロピル−1−フェニル−メチルアミン(塩酸塩)
【化23】

中間体7(1.67g,7.2mmol,1当量)をメタノール(20mL)中に溶解し、水性メチルアミン(40%水溶液を9mL)を加えた。該混合物をHIO(5.30g,23.3mmol,3.2当量)の水(5mL)中溶液で処理した。最初の発熱が観察された(約50℃)。周囲温度で24時間後、いくらかの出発材料がtlc(NH/MeOH/CHCl 1:9:90)によって明らかにされたので、該混合物を30分間熱還流した。室温に冷却後、水(5mL)および水性メチルアミン(5mL)中におけるさらなる量のHIO(1.8g,7.9mmol,1.1当量)を加え、周囲温度でさらに18時間、攪拌を続けた。全不溶性材料をろ過によって除去し、メタノールで洗浄した。ろ液および洗浄液を真空下で濃縮し、残渣をジエチルエーテル(x5)と水の間に分配した。合わせた有機抽出物を真空下で低量に濃縮し、5M HCl(10mL)で処理し、周囲温度で18時間攪拌した。少量まで減らした後、残渣をジエチルエーテルで洗浄し、次いで、ジエチルエーテルの存在下、KOHペレットで塩基性化した(pH>10まで)。相を分離し、有機層を水、飽和ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ液をHCl(エーテル中における1M溶液を10mL)で処理し、生成物をろ過によって収集した(0.972g,74%)。
1H NMR [400MHz, DMSO-d6] 0.36 - 0.38 (1H, m), 0.47 - 0.49 (1H, m), 0.60 -0.65 (2H, m), 1.30 - 1.35 (1H, m), 3.54 - 3.58 (1H, m), 7.35 - 7.44 (3H, m), 7.55 - 7.58 (2H, m), 8.71 (3H, brs, 交換可能); [α]28D= +45.9° (MeOH中c=1)
【0075】
中間体11:(S)−1−シクロプロピル−1−(3−フルオロ−フェニル)−メチルアミン(塩酸塩)
【化24】

中間体8を出発材料として用いて、中間体10に類似の方法で、標題化合物を調製した。
1H NMR [400MHz, DMSO-d6] 0.39- 0.42 (1H, m), 0.47 - 0.51 (1H, m), 0.60 -0.67 (2H, m), 1.29 - 1.35 (1H, m), 3.59 - 3.62 (1H, m), 7.20 - 7.24 (1H, m), 7.39 - 7.41 (1H, m), 7.45 - 7.51 (2H, m), 8.73 (3H, brs, 交換可能); [α]25D= +42.1° (EtOH中c=1)
【0076】
中間体12:(S)−1−シクロプロピル−1−(2−フルオロ−フェニル)−メチルアミン(塩酸塩)
【化25】

中間体9を出発材料として用いて、中間体10に類似の方法で、標題化合物を調製した。
1H NMR [400MHz, DMSO-d6] 0.29- 0.32 (1H, m), 0.49 - 0.52 (1H, m), 0.64 -0.67 (2H, m), 1.37 - 1.43 (1H, m), 3.80 - 3.82 (1H, m), 7.24- 7.32 (2H, m), 7.43- 7.45 (1H, m), 7.78 - 7.80 (1H, m), 8.80 (3H, brs, 交換可能)
【0077】
中間体13:(S)−3−メチル−2−フェニル−酪酸,(S)−1−フェニルエチルアミン塩
【化26】

(S)−1−フェニルエチルアミン(23.8g,200mmol,1当量)および(RS)−イソプロピルフェニル酢酸(35g,200mmol,1当量)のエタノール(180mL)および水(120mL)中溶液を攪拌し、ほぼすぐに白色沈殿を得た。該混合物を熱還流して溶液にし、次いで、室温にゆっくりと冷却した。白色結晶をろ過によって収集し、次いで、60%エタノール/40%水から2回再結晶化して標題化合物を得た(14.7g,49%)。
1H NMR (250MHz, MeOH-d4) 0.64 (3H, d, 6.7Hz), 1.07 (3H, d, 6.5Hz), 1.56 (3H, d, 6.9Hz), 2.29 (1H, m), 2.97 (1H, d, 10.9Hz), 4.35 (1H, q, 6.9Hz), 7.14-7.43 (10H, m)
【0078】
中間体14:(S)−3−メチル−2−フェニル−酪酸
【化27】

中間体13(14.7g,49mmol)の水(100mL)中懸濁液を10%水性硫酸で酸性化し、ジクロロメタン(3x100mL)で抽出した。有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を0℃に冷却して、標題化合物を白色固体として得た(8.65g,99%)。
1H NMR (250MHz, CDCl3): 0.70 (3H, d, 6.7Hz), 1.08 (3H, d, 6.5Hz), 2.33 (1H, m), 3.14 (1H, d, 10.6Hz), 7.24-7.33 (5H, m);
[α]23.9=+65.2°(MeOH中c=1)
【0079】
中間体15:(S)−3−メチル−2−フェニル−ブチルアミド
【化28】

中間体14(6.58g,37mmol,1当量)のジクロロメタン(100mL)中溶液に、塩化オキサリル(4.8mL,55mmol,1.5当量)および触媒的ジメチルホルムアミド(2滴)を加えた。該反応物を室温で90分間攪拌し、次いで、真空下で濃縮した。残渣をTHF(60mL)中に溶解し、0°に冷却後、水性アンモニア(32%,150mL)をゆっくりと加え、反応物を室温に温めた。攪拌を15時間続け、次いで、酢酸エチルを加え、攪拌をさらに30分間続けた。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチル中に溶解し、2N HClで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、標題化合物を白色固体として得た(6.35g,97%)。
1H NMR (250MHz, DMSO-d6): 0.60 (3H, d, 6.7Hz), 0.96 (3H, d, 6.5Hz), 2.24 (1H, m), 2.96 (1H, d, 10.7Hz), 6.74 (2H, brs), 7.19-7.33 (5H, m);
[α]29.1=+53.0°(MeOH中c=1)
【0080】
中間体16:(S)−2−メチル−1−フェニル−プロピルアミン
【化29】

ビストリフルオロアセトキシヨードベンゼン(23.1g,53mmol,1.5当量)のアセトニトリル/水(100mL,1:1)中溶液に、中間体15(6.35g,36mmol,1当量)のアセトニトリル/水(1:1,100mL)中溶液をゆっくりと加えた。攪拌を2時間続けた。該アセトニトリルを真空下で除去し、水性残渣を30%水性HSOで酸性化した。反応混合物をエーテル(廃棄した)で抽出し、次いで、50%水性水酸化ナトリウムで塩基性化した。塩基性水相をジクロロメタンで抽出し、得られた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を5%メタノール/酢酸
エチル(0.5%水性アンモニアを加えた)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(3.5g,65%)。
1H NMR (250MHz, CDCl3): 0.77 (3H, d, 6.8Hz), 0.98 (3H, d, 6.7Hz), 1.85 (1H, m), 3.60 (1H, d, 7.2Hz), 7.20 - 7.33 (5H, m);
[α]29.6=−10.5°(DCM中c=1.25)
【0081】
中間体17:1−シクロブチル−1−フェニル−メタノンオキシム
【化30】

1−シクロブチル−1−フェニル−メタノン(Aldrich Chemical Company)(10.0g,62mmol,1当量)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(6.46g,94mmol,1.5当量)のエタノール(60mL)中混合物をKOH(17.5g,312mmol,5当量)の水(30mL)中溶液で処理した。該混合物を24時間熱還流した後、冷却し、氷/水浴中に注ぎ入れた。濃HClでpH1に酸性化することにより、白色固体を得、それをろ過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。エーテル/ペトロールからの再結晶化により、標題化合物を白色結晶として得た(9.6g,68%)。
m/z(ES):176[M+H]
【0082】
式(X)の中間体18−21(表1参照)は、中間体17と同様に調製された。
【0083】
【化31】

【表1】

【0084】
中間体22:(S)−1−シクロブチル−1−フェニル)−メチルアミン(塩酸塩)
【化32】

中間体17(6.18g,35mmol)をエタノール(100mL)中に溶解し、炭上の10%パラジウム触媒(0.47g)を加えた。反応混合物を室温および大気圧下で3時間水素化した。混合物をろ過し、HCl(エーテル中の1M溶液を35mL)を加えた。真空下で濃縮して、標題化合物を白色固体として得た(6.7g,96%)。
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) 1.70-2.05 (5H, m), 2.20-2.27 (1H, m), 2.85-2.93 (1H, m), 4.20 (1H, d, J = 10 Hz), 7.37-7.46 (5H, m)
【0085】
式(III)の中間体23−25(表2参照)は、中間体22と同様に調製された。
【0086】
【化33】

【表2】

【0087】
中間体26:1−シクロプロピル−1−(4−フルオロ−フェニル)−メタノンオキシム
【化34】

シクロプロピル−(4−フルオロフェニル)メタノン(Aldrich Chemical Company)(6.56g,40mmol,1当量)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(4.45g,64mmol,1.6当量)およびピリジン(30mL)の混合物を室温で24時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮乾固させ、残渣を酢酸エチルと水の間に分配した。有機相を水および飽和水性ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチル/ヘキサン(1:5〜1:2勾配溶出)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を無色油として得た(6.0g,84%)。生産物 EおよびZ幾何異性体の2:1混合物。
1H NMR (400MHz, DMSO d6) 0.49-0.51 (m), 0.68-0.70(m), 0.74-0.76(m), 0.86-0.89(m) (4H in total), 1.68-1.70(m), 2.11-2.15(m) (1H in total), 7.11-7.22 (m), 7.40-7.44(m), 7.53-7.57 (m) (4H in total)
【0088】
中間体27:1−シクロプロピル−1−(4−フルオロ−フェニル)−メタノンO−ベンジルオキシム
【化35】

中間体26(13.87g,77mmol,1当量)の乾燥DMF(250mL)中溶液に、0℃にて、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液を4.03g,100mmol,1.3当量)を少量加えた。添加完了後、反応混合物を0℃でさらに30分間攪拌し、次いで、40分にわたり、臭化ベンジル(17.1g,100mmol,1.3当量)のDMF(50mL)中溶液で滴下処理した。次いで、反応物を室温に温め、攪拌を5時間続けた。0℃に冷却後、反応物をエタノール/水(10mL/2mL)溶液でクエンチした。ブライン(40mL)を加え、反応混合物をジエチルエーテル(4x75mL)で抽出した。有機相を合わせ、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。蒸発乾固させることによって油を得、それを、ジクロロメタン/石油エーテル(40−60℃)(15−50%勾配)で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を透明油として得た(1.89g,9%)。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 0.59-0.62, (2H, m), 0.89 0.94, (2H, m), 2.21-2.28, (1H, m), 5.20, (2H, s), 6.99-7.03, (2H, t), 7.30-7.43, (7H, m)
【0089】
中間体28:1−シクロプロピル−1−フェニル−メタノンO−ベンジルオキシム
【化36】

中間体21を出発材料として用いて、中間体27に類似の方法で、標題化合物を調製した。
m/z(APCl):252[M+H]
【0090】
中間体29:(S)−1−シクロプロピル−1−(4−フルオロ−フェニル)−メチルアミン
【化37】

(S)−2−アミノ−3−メチル−1,1−ジフェノールブタン−1−オール(1.66g,6.5mmol,2.5当量)の無水THF(20mL)中攪拌溶液をボラン−THF複合体(1M溶液を13.2mL,13.2mmol,5当量)で20分にわたって処理した。得られた混合物を室温で2時間攪拌し、次いで、0℃に冷却し、温度を0℃以下に維持しながら、中間体27(0.7g,2.6mmol,1当量)のTHF(20mL)中溶液を滴下した。添加が完了した時、混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで、室温に温め、18時間攪拌した。混合物を0℃に冷却し、5N HCl(10ml)で処理し、室温で6時間攪拌した。0℃に再冷却し、混合物を2M NaOH溶液でpH12に塩基性化し、次いで、酢酸エチルで抽出した。有機相を水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、濃縮乾固させた。残渣を、0−5%メタノール/ジクロロメタンで溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を無色油として得た(0.33g,77%)。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 0.24 - 0.33, (2H, m), 0.47- 0.50, (1H, m), 0.58-0.61, (1H, m),1.05 - 1.12, (1H, m) 3.18, (1H, d, J= 13Hz), 6.96-7.05, (2H, m), 7.35-7.41, (2H, m)
【0091】
中間体30:1−シクロプロピル−1−フェニル−メチルアミン
【化38】

中間体28を出発材料とし、ボランTHF複合体を還元剤として用いて、中間体29に類似の方法で、標題化合物を調製した。HCl塩:
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) 0.41-0.44 (1H, m), 0.58-0.67 (2H, m), 0.79-0.85 (1H, m), 1.35-1.45 (1H, m), 3.58 (1H, d, J = 10 Hz), 7.41-7.49 (5H, m)
【0092】
中間体31:1−シクロプロピル−1−(2−フルオロ−フェニル)−メタノール
【化39】

2−フルオロベンズアルデヒド(1g,8.1mmol,1当量)をエーテル(5mL)中に溶解し、氷浴中で0℃に冷却した。臭化シクロプロピルマグネシウム(THF中の0.5M溶液を17mL,8.5mmol,1.05当量)を加え、反応混合物を室温に温め、15時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液をゆっくりと加え、さらに水を加えて、全ての無機残渣を溶解させた。水相をエーテル(x3)で抽出し、合わせた有機物を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで、真空下で濃縮した。残渣を、0−30%エーテル/ペトロールで溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(0.79g,59%)。
1H NMR (400MHz, CDCl3) 0.38-0.52 (3H, m), 0.60-0.66 (1H, m), 1.25-1.29 (1H, m), 2.07 (1H, dd, J = 4 Hz, 1Hz), 4.37 (1H, dd, J = 8 Hz, 4Hz), 7.00-7.05 (1H, m), 7.12-7.17 (1H, m), 7.21-7.28 (1H, m), 7.51-7.55 (1H, m)
【0093】
中間体32:1−シクロプロピル−1−(3−フルオロ−フェニル)−メタノール
【化40】

3−フルオロベンズアルデヒドを用いて、中間体31に類似の方法で、標題化合物を調製した。
m/z(APCl):149[MH+−H0]
【0094】
中間体33:1−(1−アジド−1−シクロプロピル−メチル)−2−フルオロ−ベンゼン
【化41】

中間体31(0.79g,4.7mmol,1当量)をTHF(10mL)中に溶解し、氷/水浴中で冷却した。アジ化ジフェニルホスホリル(1.43g,5.2mmol,1.1当量)およびDBU(0.79g,5.2mmol,1.1当量)を滴下し、反応混合物を室温に温めた。15時間、攪拌を続けた。反応物を5M HCl、水およびエーテルの間に分配した。有機相を分離し、水、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、0−30%エーテル/ペトロールで溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。
m/z(APCl):164[MH−N
【0095】
中間体34:1−(1−アジド−1−シクロプロピル−メチル)−3−フルオロ−ベンゼン
【化42】

中間体32を用いて、中間体33に類似の方法で、標題化合物を調製した。
m/z(APCl):164[MH−N
【0096】
中間体35:1−シクロプロピル−1−(2−フルオロ−フェニル)−メチルアミン(塩酸塩)
【化43】

中間体33(0.303g,1.6mmol,1当量)をTHF(5mL)中に溶解し、トリフェニルホスフィン(497mg,1.9mmol,1.2当量)を加え、室温で18時間攪拌を続けた。水(1mL)およびTHF(2mL)を加え、混合物を8時間熱還流し、次いで、室温に冷却した。反応混合物をエーテルと2M HClの間に分配した。有機相を水で洗浄し、廃棄した。合わせた水相を氷水浴中で冷却し、次いで、水酸化ナトリウムで塩基性化し、エーテル(x2)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。HCl(エーテル中1M)の添加により、標題化合物を白色固体として得た(132mg,41%)。
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) 0.38-0.43 (1H, m), 0.60-0.68 (2H, m), 0.83-0.86 (1H, m), 1.42-1.51 (1H, m), 3.83 (1H, d, J = 10 Hz), 7.20-7.25 (1H, m), 7.28-7.32 (1H, m), 7.46-7.50 (1H, m), 7.54-7.59 (1H, m)
【0097】
中間体36:1−シクロプロピル−1−(3−フルオロ−フェニル)−メチルアミン(塩酸塩)
【化44】

中間体34を用いて、中間体35に類似の方法で、標題化合物を調製した。
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) 0.43-0.47 (1H, m), 0.59-0.70 (2H, m), 0.79-0.88 (1H, m), 1.32-1.40 (1H, m), 3.62 (1H, d, J = 10 Hz), 7.14-7.19 (1H, m), 7.25-7.32 (2H, m), 7.46-7.50 (1H, m)
【0098】
中間体37:3−メチル−2−(3−フルオロ−フェニル)−キノリンカルボン酸
【化45】

イサチン(9.7g,66mmol,1当量)を氷酢酸(180mL)中、室温で攪拌し、3−フルオロプロピオフェノン(10g,66mmol,1当量)を加えた。反応物を次いで、75℃に加熱した。10分後、濃HCl(66mL)を加え(暗赤色溶液を得た)、反応物を次いで、105℃で15時間加熱した。室温に冷却後、水(330mL)を加えてベージュ色の固体を得、それをろ過によって収集して、水で洗浄した。さらに、静置して、母液から固体を沈殿させた。2時間後、第2バッチの物質を収集し、水およびエーテルで洗浄した。両バッチを合わせて、4.87g(26%)の標題化合物を得た。
m/z(APCI):282[M+H]
【0099】
中間体38:3−メチル−2−フェニル−キノリンカルボン酸
【化46】

プロピオフェノンを出発材料として用いて、中間体37に類似の方法で、標題化合物を調製した。
1H NMR [400MHz, DMSO-d6] 2.38, (3H,s), 7.48 - 8.06, (9H, m)
【0100】
中間体39:3−メチル−2−(3−フルオロ−フェニル)−キノリンカルボン酸,メチルエステル
【化47】

中間体37(35g,125mmol,1当量)のジクロロメタン(350mL)中溶液に、DMF(2−3滴)を加え、次いで、塩化オキサリル(37mL,423mmol,3.4当量)をゆっくりと加えた。反応物を室温で15時間攪拌し、次いで、真空下で濃縮乾固させた。残渣をMeOH/CHCl中に溶解し、90分間攪拌し、次いで、真空下で濃縮した。残渣をジクロロメタンと10%水性重炭酸ナトリウムの間に分配し、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。25%石油エーテル/ジクロロメタン−100%ジクロロメタンで溶出するシリカ上での粗生成物のクロマトグラフィーにより、標題化合物を薄黄色固体として得た(24.4g,66%)。
m/z(APCI):296.2[M+H]
【0101】
中間体40:3−メチル−2−フェニル−キノリンカルボン酸,メチルエステル
【化48】

中間体38を出発材料として用いて、中間体39に類似の方法で、標題化合物を調製した。
1H NMR [400MHz, CDCl3] 2.40(3H, s), 4.08(3H, s), 7.44- 7.73 (8H, m), 8.14(1H, d)
【0102】
中間体41:3−ブロモメチル−2−(3−フルオロ−フェニル)−キノリン−4−カルボン酸メチルエステル
【化49】

中間体39(14.4g,50mmol)の四塩化炭素(300mL)中溶液に、N−ブロモスクシンイミド(10.5g,60mmol,1.2当量)を加えた。反応物を熱還流した後、AIBN(500mg)を一度に加えた。加熱を15時間続け、次いで、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチルと水の間に分配した。有機相を水で繰り返し洗浄し(わずかに残ったスクシンイミドを除去するために)、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。エーテルでトリチュレートすることにより、標題化合物を薄黄色固体として得た(18g,97%)。
m/z(APCI):374/376[M+H]
【0103】
中間体42:3−ブロモメチル−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸メチルエステル
【化50】

中間体40を出発材料として用い、溶媒としてアセトニトリルを用いて、中間体41に類似の方法で、標題化合物を調製した。
m/z(ES+):356,358[M+H]
【0104】
中間体43:2−(3−フルオロ−フェニル)−3−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸メチルエステルおよび中間体44:2−(3−フルオロ−フェニル)−3−[1,2,3]トリアゾール−1−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸メチルエステル
【化51】

1,2,3トリアゾール(0.628g,9.11mmol,1.3当量)のDMF(15mL)中冷却溶液に、温度を10℃以下に維持しながら、水素化ナトリウム(油中60%分散液を0.308g,7.71mmol,1.1当量)を2時間にわたって加えた。添加が完了した時、反応物を室温に温め、90分間攪拌した。該溶液を90分にわたって、中間体41(2.62g,7.01mmol,1当量)のDMF中溶液に滴下した。1時間後、反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチルと10%重炭酸ナトリウム水溶液との間に分配した。有機相を10%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を0−25%酢酸エチル/ジクロロメタンで溶出するシリカゲル上で精製して、黄色固体として中間体43(0.774g,31%):m/z(ES+):363[M+H]および中間体44(0.877g,35%):m/z(ES+):363[M+H]を得た。
【0105】
式(IVa)の中間体45−56(表3参照)は、出発材料として中間体41または42、および適当な窒素含有複素環を用いて、中間体43および44と同様に調製された。
【化52】

【0106】
【表3】

【0107】
中間体57:2−(3−フルオロ−フェニル)−3−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸
【化53】

中間体43(8.0g,22mmol,1当量)のエタノール(100mL)中溶液に、水(100mL)中における水酸化リチウム一水和物(2.8g,66mmol,3当量)を徐々に加えた。反応混合物を4時間熱還流し、室温に冷却し、次いで、真空下で濃縮した。残渣を2N HClで酸性化し、次いでろ過し、真空下で乾燥させて標題化合物を得た(5.7g,75%);m/z(APCI)349[M+H]
【0108】
式(V)の中間体58−70(表4参照)は、中間体57と同様に調製された。
【化54】

【0109】
【表4】

【0110】
中間体71:(S)−1−フェニルプロピルアミン
中間体71は、Lancaster Chemical Companyから購入した。
【0111】
実施例
実施例1:2−(3−フルオロ−フェニル)−3−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸((S)−1−シクロプロピル−1−フェニル−メチル)−アミド
【化55】

中間体57(5.5g,16mmol,1当量)、中間体10(3.2g,17mmol,1.05当量)およびDIPEA(8.3mL)のDMF中溶液を20分間攪拌後、氷/水浴中で冷却した。HATU(6.1g,16mmol,1当量)を徐々に加え、反応物をゆっくりと室温に温めた。さらに48時間攪拌を続けた後、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチルと10%炭酸ナトリウム水溶液との間に分配した。有機相を10%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで、真空下で濃縮した。残渣を20−50%酢酸エチル/石油エーテルで溶出するクロマトグラフィー(Jones flashmaster)によって精製して、標題化合物をオフホワイト色の固体として得た(4.95g,60%)。
1H NMR [250MHz, DMSO-d6, 353K] [HCl 塩] 0.33 - 0.61 (4H, m), 1.20 - 1.54 (1H, m), 4.56 (1H, t, J = 8.5), 5.66 (2H, brs), 7.03 - 7.42 (9H, m), 7.45 (2H, s), 7.58 - 7.71 (1H, m), 7.80 - 7.86 (2H, m), 8.05 (1H, dd, J = 9.13 および 1.2), 9.06 (1H, d, J = 15.0)
【0112】
式(Ib)の実施例2−43(表5参照)は、示される出発材料から、実施例1と同様に調製された。
【化56】

【0113】
【表5−1】

【表5−2】

【表5−3】

【0114】
生物学的アッセイ
NK結合アフィニティーの測定
本発明の化合物のNK結合アフィニティーは、下記のシンチレーション近接アッセイ(SPA)を用いて決定された(例えば、H. M. Sarau et al, J. Pharmacol. Experimental Therapeutics 1997, 281(3), 1303-1311; H. M. Sarau et al, J. Pharmacol. Experimental Therapeutics 2000, 295(1), 373-381; G. A. M. Giardina et al J.Med.Chem 1999, 42, 1053-1065参照)。125IサブスタンスP、125I NKAおよび125I[MePhe7]−NKBを各々、NK、NKおよびNK受容体の結合SPAに用いた。ポリスチレン・リードシーカーWGA−SPAビーズ(Amersham Biosciences)を、アッセイバッファー(75mMトリスpH7.8、75mM NaCl、4mM MnCl、1mM EDTA、0.05% Chaps、1mM PMSF)中、ビーズ/膜比20:1(w/w)で、NK、NKまたはNKを発現しているCHOセイルラインから調製した細胞膜と混合した。該混合物を氷上に30分間置いて、膜/ビーズ複合体を形成させた後、BSAを最終濃度1%まで加えた。さらに氷上で30分インキュベーション後、該ビーズ/膜複合体をアッセイバッファーで2回洗浄し、アッセイバッファー中に懸濁した。次いで、125I標識したリガンドをビーズ/膜複合体に加えた。次いで、得られた混合物の30μlを、50%DMSO中において予め分注した1μlの化合物を含有するNalgen NUNC384−ウェルプレートの各ウェルに分注した。次いで、該プレートを密閉し、1100rpmで短時間(pulse)スピンした。振盪しながら室温で3時間インキュベーション後、該プレートを1100rpmで2分間スピンし、Viewluxイメージャー(PerkinElmer)中で5分間、618−nmフィルターを用いて測定した。各受容体に結合する放射性リガンドの阻害は、シグナルの減少によって測定された。pK値は、分離した実験において決定された各リガンドのKを用いて計算された。
【0115】
脳曝露量の測定
本発明の化合物を1%メチルセルロース(w/v)懸濁液として、ラットに経口投与した(3mg/kg)。設定時間間隔後にラットを殺し、脳ホモジネート中における本発明の化合物の濃度を、蛋白沈殿後、脳ホモジネートにおいて調製された標準に対する該抽出物のLC−MS−MS分析によって決定した。時間に対する脳濃度のグラフを12時間にわたってプロットした。曲線下の面積(AUC,単位=時間.ng/g脳)を脳曝露量の測定値とした。
本発明の化合物の治療可能性は、NKアゴニストによって駆動される行動の反転を測定することによって(例えば、Life Sciences 1995, 56, PL27-PL32 および Can. J. Physiol. Pharmacol. 2002, 80, 482-488に記載されたようなアレチネズミにおける体側性回転;またはBr. J. Pharmacol. 1997, 122, 715-725に記載されるようなモルモットの激しい震え)、または機構的相関によって(例えば、Gueudet et al., Synapse, 1999, 33, 71-79に記載されるようなドーパミン細胞発火の電気生理学)評価することができる。
本発明の化合物は、強力なNK受容体アンタゴニストである。本発明の化合物は、NKおよびNK受容体よりも、NK受容体に選択的に結合する。上記で論じたように、本発明の化合物は、イン・ビボでのより大きな脳曝露量を有する。
【0116】
本明細書に記載される実施例は、NKに対して、7.5よりも高いpKiを与えた。
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルまたはアセチルであり;
は、N−結合型ピラゾリル、トリアゾリルまたはテトラゾリルであり、その各々がC1−4アルキルまたはペルフルオロC1−4アルキルによって置換されていてもよく;
m、nおよびpは、同一または異なっていてもよく、0、1または2であり;および
X、YおよびZは、フルオロである]
で示される化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項2】
がシクロプロピルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
がN−結合型トリアゾリルまたはN−結合型テトラゾリルである上記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項4】
pが0である上記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
mおよびnが同一または異なっていてもよく、0または1である上記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
a)mが0であって、nが1であるか、またはb)mが1であって、nが0である上記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
mおよび/またはnが1であり、Xおよび/またはYがフェニル基のメタ位に結合している上記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
立体化学が式(Ia):
【化2】

で示される上記請求項のいずれか1項記載の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項9】
化合物が:
2−(3−フルオロ−フェニル)−3−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸((S)−1−シクロプロピル−1−フェニル−メチル)−アミド(実施例1);
2−フェニル−3−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸[(S)−1−シクロプロピル−1−(3−フルオロ−フェニル)−メチル]−アミド(実施例17);
2−フェニル−3−テトラゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸[(S)−1−シクロプロピル−1−(3−フルオロ−フェニル)−メチル]−アミド(実施例35);および
2−(3−フルオロ−フェニル)−3−テトラゾール−2−イルメチル−キノリン−4−カルボン酸((S)−1−シクロプロピル−1−フェニル−メチル)−アミド(実施例45)である請求項1記載の化合物。

【公表番号】特表2007−501826(P2007−501826A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522966(P2006−522966)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008842
【国際公開番号】WO2005/014575
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】