説明

キャップを備えた破断開口容易な容器

【課題】ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器について、弱化部をできるだけ弱化させて開封し易くしても、開封前に誤って弱化部が破断されないようにする。
【解決手段】開口部を有する容器本体2と、容器本体2の開口部を封鎖する封鎖体3とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部4を介して一体的に形成された、ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器1に対して、容器本体2に螺合手段25を形成すると共に、封鎖体3や弱化部4を非接触状態で覆うようなキャップ5を、それら3、4を覆った状態で容器本体2の螺合手段25と(螺合手段52により)螺合するように、容器本体2に着脱自在に冠着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部を介して一体的に形成された、所謂ツイストオフ容器と呼ばれる破断開口容易な容器に関し、特に、容器本体と封鎖体と弱化部を備えた破断開口容易な容器がポリエステル樹脂からなるもので、その弱化部をできるだけ弱化させて開封し易くしても、開封前に誤って弱化部が破断されることのないような破断開口容易な樹脂製の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部を介して一体的に形成されていて、摘み部分となる封鎖体を摘んで捻ることで弱化部を破断して、容器本体から封鎖体を折り取ることで、容器本体の開口部を開口させる、所謂ツイストオフ容器と言われる樹脂製の容器が従来から知られている。なお、そのような破断開口容易な容器において、開口された容器本体の開口部を再封鎖するための栓部を、封鎖体の部分に一体的に形成しておく、ということも本出願人の出願に係る下記の特許文献1により従来公知となっている。
【特許文献1】実用新案登録第2554924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような従来公知の破断開口容易な容器では、容器本体から封鎖体を折り取り易く(弱化部が破断され易く)するため、一般的に、容器全体がオレフィン樹脂で形成されているが、これに対して、近年、オレフィン樹脂よりも耐内容物性に優れて、内容物に対して不活性で樹脂臭のない(内容物に樹脂の臭いが移らない)ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器の出現が望まれている。
【0004】
しかしながら、ポリエステル樹脂では、オレフィン樹脂よりも耐内容物性に優れているものの、オレフィン樹脂よりも粘りがあって、上記のような破断開口容易な容器に使用した場合には、容器本体から封鎖体を折り取る際に、弱化部が破断され難く、封鎖体が折られた弱化部の破断部分で糸を引くような現象を引き起こすことがある。
【0005】
そこで、そのようなポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器の欠点を克服するために、弱化部を適宜手段で一層薄くしたり、弱化部付近の材質を脆く変性させたりしているが、そのように弱化部を破断させ易くし過ぎると、容器の展示中や搬送中に封鎖体が不用意に動かされた場合に、簡単に弱化部が破断されて容器が誤って開封されてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器について、弱化部をできるだけ弱化させて開封し易くしても、開封前に誤って弱化部が破断されることがないようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するために、開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部を介して一体的に形成された、ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器に対して、容器本体に螺合手段又は係合手段が形成されていると共に、封鎖体や弱化部を非接触状態で覆うようなキャップが、それらを覆った状態で容器本体の螺合手段又は係合手段と螺合又は係合するように、容器本体に着脱自在に冠着されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
上記のような本発明のキャップを備えた破断開口容易な容器によれば、ポリエステル樹脂からなる容器の弱化部をできるだけ弱化させて、容器を開封し易くしても、容器を開封する前には、封鎖体や弱化部がキャップで覆われて保護されていることにより、不用意に封鎖体が動かされて弱化部が破断されるようなことはなく、容器が誤って開封されるのをキャップによって確実に防止することができる。
【0009】
なお、上記のような本発明のキャップを備えた破断開口容易な容器において、キャップに対し、その封鎖体を覆うための部分とは反対側に、封鎖体が除去された後の容器本体の開口部を再封鎖するための栓体と、栓体により開口部を再封鎖した状態で容器本体の螺合手段又は係合手段と螺合又は係合する再封鎖用の螺合手段又は係合手段とを設けたような場合には、容器が開封された後で、キャップの再封鎖用の螺合手段又は係合手段により容器本体にキャップを冠着した状態で、キャップの栓体により容器本体の開口部を封鎖することによって、容器本体の胴部に圧力が加わったとしても、栓体による開口部の封鎖を確実に維持することができて、容器を確実に再封鎖することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器について、弱化部をできるだけ弱化させて開封し易くしても、開封前に誤って弱化部が破断されることがないようにするという目的を、最良の形態として以下の実施例に具体的に示すように、開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部を介して一体的に形成された、ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器に対して、容器本体に螺合手段又は係合手段を形成すると共に、封鎖体や弱化部を非接触状態で覆うようなキャップを、それらを覆った状態で容器本体の螺合手段又は係合手段と螺合又は係合するように、容器本体に着脱自在に冠着するということで実現した。
【0011】
なお、本発明のキャップを備えた破断開口容易な容器において、キャップを除いた容器(容器本体と封鎖体と弱化部とが一体成形された容器)の部分は、ポリエステル樹脂を素材として、射出成形法、圧空(真空)成形法、ブロー成形法のような従来から知られた適宜の成形方法により一体成形されるものであり、一方、キャップの部分は、オレフィン樹脂やポリエステル樹脂等の適宜の樹脂を素材として、射出成形法のような従来から知られた適宜の成形方法により一体成形されるものである。
そのような本発明のキャップを備えた破断開口容易な容器の一実施例について以下に説明する。
【実施例】
【0012】
本実施例のキャップを備えた破断開口容易な容器で、キャップを除く容器の部分については、ポリエステル樹脂を素材としてダイレクトブロー成形法により一体成形されており、押出機から押し出された円筒形のパリソンを、二つ割りの金型に挟んで圧縮空気でブローし、パリソンの下部に円筒状の胴部を成形してから、胴部の内部に内容物を充填した後で、別の二つ割りの金型に挟んでパリソンの上部を成形することにより、内容物を収納する容器本体と、容器本体を封鎖する封鎖体とが一体的に形成されて、容器本体と封鎖体との境界には、破断容易な弱化部が形成される。
【0013】
なお、破断開口容易な容器の素材となるポリエステル樹脂について、本実施例では、具体的には、酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分として、エチレングリコール96モル%に対し、1,4−シクロヘキサンジメタノール又はビスフェノールAを4モル%添加したようなポリエステル樹脂が使用されている。
【0014】
そのようなポリエステル樹脂は、極限粘度が約1.0dl/gであって、ダイレクトブロー成形法により成形する際にドローダウンすることがなく、融点が約235〜245℃であって、一般的なポリエステル樹脂よりも融点が10〜30℃も低く、低温で成形できるので、急速な冷却が可能であり、さらに、結晶化速度が遅いので、成形性が良好である。
【0015】
そのようなポリエステル樹脂から一体成形される本実施例の破断開口容易な容器の構造について、具体的には、図1および図2に示すように、容器本体2では、円形の底部21から上方に円筒形の胴部22が形成され、胴部22の上端から曲面の肩部23を介して、胴部22より小径で円筒形の頸部24が形成され、頸部24の外面に一条の雄ネジ部25が形成され、頸部24の上端から内方に天板部26が形成され、天板部26の中央から上方に突出するように円錐台状の口部27が形成されていて、この口部27の上端に、封鎖体3との境界として、破断容易な弱化部4が上方から見て円形に形成されている。
【0016】
封鎖体3では、容器本体2の口部27を封鎖するための中空の釣鐘形部31と、容器を開封する際の摘み部分となる平板部32とが、平板部32が釣鐘形部31を跨ぐように、一体的に形成されている。そして、釣鐘形部31の下端は、平板部32の下端よりも下方に位置しており、弱化部4を介して容器本体2の口部27と一体的に連結されている。
【0017】
そのように容器本体2と封鎖体3とが弱化部4を介して一体的に連結された本実施例の破断開口容易な容器では、封鎖体3の平板部32を指先で摘んで捻ることにより弱化部4が破断され、それにより容器本体2から分離した封鎖体3を除去することで、封鎖体3の釣鐘形部31により閉鎖された容器本体2の口部27が開口されることとなる。
【0018】
上記のような構造を備えた本実施例の容器の具体的な製造方法について説明すると、ポリエステル樹脂を押出機から直径約25mm、厚さ約0.8mmの円筒形のパリソンにして押し出してから、このパリソンを二つ割りの金型で挟んでダイレクトブロー成形することにより、先ず、パリソンの下部を、円形の底部21と、パリソンを膨らませた直径を有する胴部22と、胴部22から上方に縮径する曲面の肩部23と、雄ネジ部25を表面に突出させた頸部24とに成形する。
【0019】
次いで、そのように底部21から頸部24まで成形された半成形体のパリソンに対して、充填パイプから内容物を胴部22の内部に充填した後で、パリソンの上部を別の二つ割りの金型で挟んで成形することにより、容器本体2の天板部26と口部27を成形し、また、封鎖体3の釣鐘形部31と平板部32を成形して、内容物入りの容器を密封する。
【0020】
なお、本実施例では、容器の殺菌工程を省略するために、パリソンの押出し工程から最後の密封工程までを、無菌雰囲気下で実施している。また、本実施例では、二つ割りの金型で挟んで封鎖体3を成形した直後に、この金型の先端を容器本体2に向けて食い込ませて、容器本体2の口部27の上端を局所的に伸ばすことにより、板厚を薄くさせた弱化部4を口部27の上端に形成している。
【0021】
容器本体2と封鎖体3との間に形成される弱化部4は、その部分が部分的に薄肉化されたものであるが、その成形方法については、上記のような成形加工中に金型の先端を食い込ませるような方法に限らず、レーザー照射によって薄肉にする方法や、刃物による切削加工を施すことで薄肉にする方法などの適宜の方法が適用できる。
【0022】
一方、上記のような容器の容器本体2に冠着されるキャップについて、本実施例では、オレフィン樹脂を金型の間の隙間に射出する射出成形法により成形されていて、図3に示すように、キャップ5では、スカート部となる円筒形の筒状部51に対して、その内面の下端部付近に、一条の雌ネジ部52が形成され、筒状部51の高さ方向で中央部よりも上方に、筒状部51の内部を上下に仕切るように天板部53が形成されている。また、この天板部53の上面側には、開封後の容器を再封鎖するための栓体54が形成されており、筒状部51の内面の上端部付近には、開封後の容器を再封鎖するための一条の雌ネジ部55が形成されている。
【0023】
そのようなキャップ5では、開封前の容器で、図4に示すように、キャップ5の下端部付近の雌ネジ52を、容器本体2の雄ネジ部25に螺合させることにより、天板部53で仕切られたキャップ5の下方の空間によって、封鎖体3や弱化部4が非接触状態で完全に覆われるように、容器本体2に対してキャップ5が冠着されている。
【0024】
そのように容器本体2にキャップ5が冠着されていることにより、開封前の容器において、キャップ5により封鎖体3や弱化部4が非接触状態で完全に覆われて保護されていることから、展示中や搬送中に容器がどのように取り扱われても、キャップ5が取り外されない以上、封鎖体3が誤って動かされるようなことはなく、ポリエステル樹脂からなる容器を開封し易くするために弱化部4をできるだけ弱化させたとしても、不用意に封鎖体3が動かされて弱化部4が破断されるようなことはなく、容器が誤って開封されるような虞は全くない。
【0025】
なお、本実施例では、キャップ5に対して、その天板部53の上面側に再封鎖用の栓体54が形成され、また、筒状部51内面の上端部付近に再封鎖用の雌ネジ部55が形成されていて、キャップ5を取り外して容器を正規に開封した後では、図5に示すように、キャップ5を逆さまにして、容器本体2の雄ネジ部25にキャップ5の雌ネジ部55(再封鎖用のネジ部)を螺合させると共に、キャップ5の栓体54で容器本体2の口部27を覆うことにようにしている。
【0026】
そのようにキャップ5の雌ネジ部55(再封鎖用のネジ部)により容器本体2にキャップ5を螺着した状態で、キャップ5の栓体54により容器本体2の口部27を再封鎖することによって、容器本体2の胴部に圧力が加わったとしても、栓体54による口部27(口部の上端開口部)の封鎖状態を確実に維持することができて、容器を確実に再封鎖することができる。
【0027】
以上、本発明のキャップを備えた破断開口容易な容器の一実施例について説明したが、本発明は、上記のような実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、弱化部を介して容器本体の開口部を封鎖する封鎖体については、実施例に示した中空の釣鐘形部を備えたような具体的な形状に限らず、中空の球状部(球殻部)を備えたようなその他の形状であっても良く、また、再封鎖用の栓体については、実施例に示したような口部(開口部)を覆うような構造に限らず、口部(開口部)に挿入されるような構造であっても良く、さらに、容器本体とキャップとを着脱自在に冠着するための手段については、実施例に示したような雄ネジ部や雌ネジ部による螺合手段に限らず、突起と突起による係合手段や突起と窪みによる係合手段であっても良い等、適宜に設計変更可能なものであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例について、キャップを除いた破断開口容易な容器の開封前の状態を示す正面図。
【図2】図1に示した容器の側面図。
【図3】本発明の一実施例について、破断開口容易な容器に冠着されるキャップのみを示す縦断面図。
【図4】本発明の一実施例で、未開封の容器にキャップが冠着された状態について、キャップの部分を断面で示す正面図。
【図5】本発明の一実施例で、容器が開封された後に再封鎖されて容器にキャップが冠着された状態について、キャップの部分を断面で示す正面図。
【符号の説明】
【0029】
1 破断開口容易な容器
2 容器本体
3 封鎖体
4 弱化部
5 キャップ
25 雄ネジ部(容器本体の螺合手段)
27 口部(容器本体の開口部)
52 雌ネジ部(キャップの螺合手段)
54 栓体
55 雌ネジ部(キャップの再封鎖用の螺合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器本体と、容器本体の開口部を封鎖する封鎖体とが、両者の境界に形成される破断容易な弱化部を介して一体的に形成された、ポリエステル樹脂からなる破断開口容易な容器に対して、容器本体に螺合手段又は係合手段が形成されていると共に、封鎖体や弱化部を非接触状態で覆うようなキャップが、それらを覆った状態で容器本体の螺合手段又は係合手段と螺合又は係合するように、容器本体に着脱自在に冠着されていることを特徴とするキャップを備えた破断開口容易な容器。
【請求項2】
キャップには、封鎖体を覆うための部分とは反対側に、封鎖体が除去された後の容器本体の開口部を再封鎖するための栓体と、栓体により開口部を再封鎖した状態で容器本体の螺合手段又は係合手段と螺合又は係合する再封鎖用の螺合手段又は係合手段とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップを備えた破断開口容易な容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−137705(P2008−137705A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326458(P2006−326458)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】