説明

キャビネット及びキャビネットにおける天板の取付方法

【課題】キャビネット本体の上方に反りを矯正して天板を取り付ける場合に、作業性に優れ、かつ、天板の損傷を防止することができるキャビネット及びキャビネットにおける天板の取付方法を提供する。
【解決手段】キャビネット本体2とワークトップ3との間に、該ワークトップ3の反りを矯正する反り矯正ユニット4を設置する。その場合、該反り矯正ユニット4は、側面部31aでキャビネット本体2内部の側板11に固着され、かつ、上下方向の貫通孔31b′を有する第1部材31と、ワークトップ3の木質基材22にあてがわれて固着される基板35と該基板35から垂下して前記第1部材31の貫通孔31b′に上方から挿通されるねじ棒36とを有する第2部材32と、この挿通されたねじ棒36に下方から締め付けられる皿ばねナット37とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネット本体とその上方に取り付けられる天板とを有するキャビネット、及びキャビネットにおけるキャビネット本体への天板の取付方法に関し、室内家具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャビネット本体と該キャビネット本体の上方に取り付けられる天板とを有し、キッチン、リビング、玄関等に設置されるキャビネットがある。このようなキャビネットにおいて、図10に示すように、キャビネット本体A1に天板A2を取り付ける場合、二点鎖線で示すように天板A2の反りが大きいと、天板A2とキャビネット本体A1との間に矢印xで示すように隙間が生じることがあり、完成したキャビネットAの見栄えが悪いという問題がある。
【0003】
そこで前記問題を解決するため、図11に示すように、キャビネット本体A1に側面部B1を介してL型部材BをねじCで固着したのち、二点鎖線で示すように天板A2の反りのある箇所を矢印y方向から押圧することにより、実線で示すようにキャビネット本体A1に密着させ、この状態で天板A2に上面部B2を介してL型部材BをねじCで固着することにより、キャビネット本体A1に天板A2を取り付けることがある。
【0004】
なお、キャビネット本体に対する天板の高さ位置を調節可能なものとして、例えば特許文献1に開示のキャビネットがある。このキャビネットでは、図12に示すように、キャビネット本体A1と天板A2との間に、高さ調節ユニットDが設置される。この高さ調節ユニットDは、天板A2に基端部D11が埋設されると共にねじ部D12が垂下する固定ボルトD10と、キャビネット本体A1にねじCで固着される側面部D21、上面部D22、及び下面部D23を有するコ字状のブラケットD20と、前記下面部D23のねじ孔D23′に下方から螺合すると共にねじ部D31が前記固定ボルトD10のねじ部D12に下方から当接する調節ボルトD30と、前記固定ボルトD10に螺合するナットD40とを有している。その場合、ブラケットD20の上面部D22には、固定ボルトD10のねじ部D12を挿通させる貫通孔D22′が設けられている。
【0005】
これによれば、調節ボルトD30を介して固定ボルトD10を押し上げることことにより、天板A2の高さ位置を所望の位置に調節することができる。さらに、ナットD40を締め付けることで、キャビネット本体A1に対する天板A2の取り付けが完了する。
【0006】
【特許文献1】実用新案登録公報第2525739号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図11に示した取付構造ないし取付方法では、大きな反発力に抗して天板A2を押圧しつつキャビネット本体A1に取り付けなければならないため多大な労力を費やすこととなり、作業性の点で問題がある。また、ねじCをねじ込んだのちも天板A2に大きな反発力が作用するため、特に天板A2が木質製や樹脂製である場合、ねじ込み部周辺の損傷が懸念される。
【0008】
なお、参考のため図12に示した高さ調節ユニットDでは、天板A2を固定ボルトD10で持ち上げるものであるため、天板A2への固定ボルトD10の取り付け構造において、特に基端部D11は、天板A2の大きな反発力に抗するだけの構造にはなっていない。すなわち、この高さ調節ユニットDでは、天板A2に大きな反発力が作用すると、前記同様に天板A2が木質製や樹脂製である場合、前記基端部D11周辺の損傷が懸念される。
【0009】
そこで、本発明は、キャビネット本体の上方に反りを矯正して天板を取り付ける場合に、作業性に優れ、かつ、天板の損傷を防止することができるキャビネット及びキャビネットにおける天板の取付方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
まず、請求項1に記載の発明は、キャビネット本体と、該キャビネット本体の上方に取り付けられる天板とを有するキャビネットであって、前記キャビネット本体と天板との間に、該天板の反りを矯正する反り矯正ユニットが設置されており、該反り矯正ユニットは、側面部でキャビネット本体内部の縦面に固着され、かつ、上下方向の貫通孔を有する第1部材と、天板の下面にあてがわれて固着される基板と該基板から垂下して前記第1部材の貫通孔に上方から挿通されるねじ棒とを有する第2部材と、この挿通されたねじ棒に下方から締め付けられる緩み止めナットとを有することを特徴とする。
【0012】
なお、緩み止めナットには、例えば単体で緩み止め機能を有するもの、スプリングワッシャと通常のナットとで構成されるもの、2個の通常のナットで構成されるもの等が含まれる。
【0013】
次に、請求項2に記載の発明は、キャビネット本体と、該キャビネット本体の上方に取り付けられる天板とを有するキャビネットであって、前記キャビネット本体と天板との間に、該天板の反りを矯正する反り矯正ユニットが設置されており、該反り矯正ユニットは、側面部でキャビネット本体内部の縦面に固着され、かつ、上下方向の貫通孔を有する第1部材と、天板の下面にあてがわれて固着される基板と該基板から垂下して前記第1部材の貫通孔に上方から挿通されるねじ棒とを有する第2部材と、この挿通されたねじ棒に下方から締め付けられるナットとを有し、かつ、該反り矯正ユニットにより反りが矯正された天板を前記キャビネット本体に固定する固定部材が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載のキャビネットにおいて、前記ナットは、緩み止めナットであることを特徴とする。なお、この場合の緩み止めナットには、前述した各構成のものが含まれる。
【0015】
そして、請求項4に記載の発明は、キャビネット本体と、該キャビネット本体の上方に取り付けられる天板とを有するキャビネットにおける天板の取付方法であって、側面部でキャビネット本体内部の縦面に固着され、かつ、上下方向の貫通孔を有する第1部材と、天板の下面にあてがわれて固着される基板と該基板から垂下して前記第1部材の貫通孔に上方から挿通されるねじ棒とを有する第2部材と、この挿通されたねじ棒に下方から締め付けられるナットとを有する反り矯正ユニットを用いて、前記第1部材を、その側面部で前記キャビネット本体内部の縦面に固着する工程と、前記第2部材を、その基板を前記天板の下面にあてがって固着する工程と、前記第1部材の貫通孔に挿通された前記第2部材のねじ棒にナットを締め付けることにより、前記天板を前記キャビネット本体方向に引き寄せる工程と、前記天板を前記キャビネット本体方向に引き寄せて密着させた状態で、両者を固定する工程とで構成されていることを特徴とする。
【0016】
なお、前記引き寄せ工程においてナットに緩み止めナットを使用する場合には、この緩み止めナットを締め付けること自体が前記固定工程に相当し、また、ナットに1個の通常ナットを使用する場合には、例えばL型部材等の固定部材を用いて固定することが前記固定工程に相当する。
【発明の効果】
【0017】
まず、請求項1及び請求項2に記載のいずれの発明によっても、キャビネット本体と天板との間に反り矯正ユニットを設置して、側面部でキャビネット本体内部の縦面に固着された第1部材の貫通孔に、基板で天板の下面に固着された第2部材のねじ棒を上方から挿通させた状態で、このねじ棒に下方からナットを締め付けることにより、天板をキャビネット本体方向に引き寄せて密着させて天板の反りを矯正することができ、キャビネット本体の上方に反りを矯正して天板を取り付けることができる。
【0018】
その場合、基板を介して天板とねじ棒とが強固に一体化されるので、そのねじ棒に対してナットを締め付けることにより、天板をキャビネット本体方向に大きな力で引き寄せることができ、従来のように多大な労力を費やすことはなく、作業性に優れる。また、取付後も、天板の反りが戻ろうとするときの大きな反発力は基板により均一に分散するので、木質製や樹脂製の天板の損傷を防止することができる。
【0019】
その上で、特に請求項1に記載の発明によれば、引き寄せ時に緩み止めナットを用いるので、天板の反りが戻ろうとして大きな反発力が作用しても、また、天板取付後の使用中に振動等があっても、引き寄せ状態が持続し、キャビネット本体と天板との間に隙間が生じることはない。
【0020】
一方、請求項2に記載の発明によれば、ナットを用いて天板をキャビネット本体方向に引き寄せて密着させたのち、固定部材でキャビネット本体と天板とを固定するので、天板の反りが戻ろうして大きな反発力が作用しても、また、天板取付後の使用中に振動等があっても、引き寄せ状態が持続し、この場合にもキャビネット本体と天板との間に隙間を生じることはない。
【0021】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、前記請求項2に記載の発明におけるナットに緩み止めナットを用いることにより、前記引き寄せ状態が一層持続して得られるようになる。
【0022】
そして、請求項4に記載の発明によれば、キャビネットにおける天板の取付方法において、前記請求項1から請求項3に記載の発明におけると同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明に係るキャビネットについてのものであるが、このキャビネットに用いられる方法は、本発明に係るキャビネットにおける天板の取付方法の実施の形態を構成する。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態に係るキッチンキャビネット1は、床面Fに設置されたキャビネット本体2と、ガスコンロ穴3a及びシンク3bが設けられて、前記キャビネット本体2の上方に取り付けられたワークトップ3とを有している。そして、図2に示すように、キャビネット本体2とワークトップ3との間に、反り矯正ユニット4が設置されている。
【0025】
キャビネット本体2の構成を説明するための代表例として、図2及び図3に右側端部近傍を示すように、木質板材を組み付けてなるキャビネット本体2は、左右の側板(右側のもののみ示す)11,11と、両側板11,11間の下方に架設された図示しない底板と、両側板11,11間の後方に架設された背板12と、両側板11,11間の前方上部に架設された戸当り桟木13と、前方開口を開閉自在に覆う扉14とを有している。
【0026】
ワークトップ3は、ステンレス製板材からなると共に図例のように折曲された上部のカバー部材21と、下部の木質基材22とで構成されており、これら部材21,22は適宜の接合方法により一体化されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、反り矯正ユニット4は、キャビネット本体2に固着される第1部材31と、ワークトップ3に固着される第2部材32とで構成されている。
【0028】
まず、第1部材31は金属製の板材を側面視で略L字形に成形したもので、キャビネット本体2内部の側板11に固着されると共に3つのねじ孔31a′…31a′が設けられた側面部31aと、上下方向の貫通孔31b′が設けられた上面部31bと、上部中央の補強リブ31cとを有している。また、側面部31aの側板11側に、両面接着テープ33が貼付されている。そして、第1部材31は、前記ねじ孔31a′…31a′を介してねじ込まれた3本のねじ34…34により、側面部31aで側板11に固着されている。
【0029】
一方、第2部材32は、ワークトップ3の下面を構成する木質基材22にあてがわれて固着される金属製の板材でなると共に4つのねじ孔35a…35aが設けられた平面視で矩形の基板35と、この基板35から垂下して前記第1部材31の上面部31bの貫通孔31b′に上方から挿通されるねじ棒36と、この挿通されたねじ棒36に下方から螺合して締め付けられた緩み止めナットとしての皿ばねナット37とを有している。そして、第2部材32は、前記ねじ孔35a…35aを介してねじ込まれた4本のねじ38…38により、基板35で木質基材22に固着されている。
【0030】
次に、このキッチンキャビネット1におけるワークトップ3の取付手順について説明する。
【0031】
まず、図5に示すように、ワークトップ3に反りがあり、矢印xで示すように隙間が生じている箇所で、第1部材31の側面部31aに貼付された両面接着テープ33を介して、反り矯正ユニット4をキャビネット本体2内部の側板11に仮止めする。その場合、第1部材31の上面部31bにより下方から支持された第2部材32の基板35の上面と側板11の上端面との間に1〜2mm程度の隙間gが生成するように、反り矯正ユニット4を側板11に仮止めする。なお、第2部材32のねじ棒36に螺合する皿ばねナット37は締め付けられていない。
【0032】
次いで、図6に示すように、両面接着テープ33を挟み付けた状態で、側面部31aを介して第1部材31を側板11にねじ34…34で固着する。
【0033】
次いで、図7に示すように、第2部材32の基板35をワークトップ3の木質基材22にあてがった状態で、基板35を介して第2部材32を木質基材22にねじ38…38で固着する。
【0034】
そして、ねじ棒36に螺合する皿ばねナット37を締め付けることにより、第2部材32の基板35が第1部材31の上面部31b方向に引き寄せられ、その結果、図4に示したように、ワークトップ3の反りが矯正されて、キャビネット本体2とワークトップ3とは密着する。なお、図5で説明した第2部材32の基板35の上面と側板11の上端面との間に設けられた隙間gは、図4における第1部材31の上面部31bの上面と第2部材32の基板35の下面との間の隙間gとして反映される。すなわち、引き寄せ時にワークトップ3がキャビネット本体2に密着した状態で、前記隙間gがあるから、引き寄せ状態は安定して持続するようになる。
【0035】
また、図8に示すキッチンキャビネット1Aのように、キャビネット本体2とワークトップ3との間に、前記第1部材31とは異なる構成の第1部材41を用いた反り矯正ユニット4Aを設置してもよい。なお、この反り矯正ユニット4Aにおける第2部材32は、前述したものと同じ構成のものである。
【0036】
すなわち、前記第1部材41は樹脂製のブロック状のもので、キャビネット本体2内部の側板11に固着される側面部41aと、上下方向の貫通孔41bとを有している。また、第1部材41は、接着剤層42を挟んで側面部41aを介して側板11に固着されている。そして、第2部材32の基板35から垂下するねじ棒36は、前記第1部材41の貫通孔41bに上方から挿通されており、この挿通されたねじ棒36に、下方から螺合する皿ばねナット37が締め付けられている。
【0037】
以上のように構成したことにより、キャビネット本体2とワークトップ3との間に反り矯正ユニット4,4Aを設置して、側面部31a,41aでキャビネット本体2内部の側板11に固着された第1部材31,41の貫通孔31b′,41bに、基板35でワークトップ3の下面に固着された第2部材32のねじ棒36を上方から挿通させた状態で、このねじ棒36に下方から皿ばねナット37を締め付けることにより、ワークトップ3をキャビネット本体2方向に引き寄せて密着させてワークトップ3の反りを矯正することができ、キャビネット本体2の上方に反りを矯正してワークトップ3を取り付けることができる。
【0038】
その場合、基板35を介してワークトップ3とねじ棒36とが強固に一体化されるので、そのねじ棒36に対して皿ばねナット37を締め付けることにより、ワークトップ3をキャビネット本体2方向に大きな力で引き寄せることができ、従来のように多大な労力を費やすことはなく、作業性に優れる。また、取付後も、ワークトップ3の反りが戻ろうとするときの大きな反発力は基板35により均一に分散するので、木質基材22を有するワークトップ3の損傷を防止することができる。
【0039】
その上で、引き寄せ時に緩み止めナットとしての皿ばねナット37を用いるので、ワークトップ3の反りが戻ろうとして大きな反発力が作用しても、また、ワークトップ3取付後の使用中に振動等があっても、引き寄せ状態が持続し、キャビネット本体2とワークトップ3との間に隙間が生じることはない。
【0040】
次に、他の実施の形態に係るキッチンキャビネットについて説明する。なお、前記実施の形態における各部材と共通あるいは類似する構成要素については、説明の複雑化を回避するため、特に混乱を招かない限り、同じ符号を付すことにする。
【0041】
図9に示すキッチンキャビネット1Bには、キャビネット本体2とワークトップ3との間に、反り矯正ユニット4BとL型部材51とが設置される。
【0042】
すなわち、この反り矯正ユニット4Bでは、前記反り矯正ユニット4において、第2部材32のねじ棒36に締め付けられる皿ばねナット37に代えて、通常のナット37Bが用いられている。なお、これを除く第1部材31及び第2部材32の構成は前述したものと同じものである。
【0043】
一方、L型部材51は、キャビネット本体2内部の側板11に固着される側面部51aと、ワークトップ3の木質基材22に固着される上面部51bとを有しており、反りが矯正されたワークトップ3をねじ52…52でキャビネット本体2に固定するものである。
【0044】
次に、このキッチンキャビネット1Bにおけるワークトップ3の取付手順について説明する。
【0045】
すなわち、反り矯正ユニット4Bの設置手順は前述した通りで、ねじ棒36に螺合するナット37Bを締め付けることにより、反りがあるワークトップ3に固着された実線で示す第2部材32を二点鎖線で示す位置に矢印yで示すように引き寄せて、反りのために生じていたキャビネット本体2とワークトップ3との間の矢印xで示す隙間をなくする。そして、ねじ52…52でワークトップ3をキャビネット本体2に固定する。
【0046】
以上のように構成したことにより、この場合にも、キャビネット本体2とワークトップ3との間に反り矯正ユニット4Bを設置して、ねじ棒36に下方からナット37Bを締め付けることにより、ワークトップ3をキャビネット本体2方向に引き寄せて密着させてワークトップ3の反りを矯正することができ、キャビネット本体2の上方に反りを矯正してワークトップ3を取り付けることができる。
【0047】
その場合、基板35を介してワークトップ3とねじ棒36とが強固に一体化されるので、そのねじ棒36に対してナット37Bを締め付けることにより、ワークトップ3をキャビネット本体2方向に大きな力で引き寄せることができ、従来のように多大な労力を費やすことはなく、作業性に優れる。また、取付後も、ワークトップ3の反りが戻ろうとするときの大きな反発力は基板35により均一に分散するので、木質基材22を有するワークトップ3の損傷を防止することができる。
【0048】
その上で、通常のナット37Bを用いてワークトップ3をキャビネット本体2方向に引き寄せて密着させたのち、L型部材51でキャビネット本体2とワークトップ3とを固定するので、ワークトップ3の反りが戻ろうして大きな反発力が作用しても、また、ワークトップ3取付後の使用中に振動等があっても、引き寄せ状態が持続し、この場合にもキャビネット本体2とワークトップ3との間に隙間を生じることはない。
【0049】
さらに、図9におけるナット37Bを前記皿ばねナット37のような緩み止めナットに変更することにより、前記引き寄せ状態が一層持続して得られるようになる。
【0050】
なお、本発明は、具体的に詳述した前記実施の形態に限定されることはなく、本発明の趣旨に沿うものであればよい。
【0051】
例えば、前記実施の形態では、キャビネット本体2の側板11とワークトップ3との間に反り矯正ユニット4,4A,4Bを設置したが、戸当り桟木13とワークトップ3との間に設置してもよい。なお、反り矯正ユニット4,4A,4Bの設置個数や設置箇所は、ワークトップ3の反り状態やキャビネット本体2の構成等に応じて適宜設定される。
【0052】
また、前記実施の形態では、第1部材31,41に金属製板材を成形したものや樹脂製のブロック状のものを用いたが、ねじ34のねじ込みやナット37,37Bの締め付けに対して変形しない強度を有する材質や形状のものが適宜選択可能である。
【0053】
また、前記実施の形態では、第2部材32の基板35に金属製板材のものを用いたが、樹脂製や木質製等、ねじ38のねじ込みやナット37,37Bの締め付けに対して変形しない強度を有する材質や形状のものが適宜選択可能である。
【0054】
また、前記実施の形態では、固定部材にL型部材51を用いたが、金属製、樹脂製、木質製等、ねじ52のねじ込みに対して変形しない強度を有する材質や形状のものが適宜選択可能である。
【0055】
また、前記実施の形態では、緩み止めナットとして皿ばねナット37を用いたが、その他にUナット、ナイロンナット、フランジナット、スプリングナット、歯付座金ナット等の単体で緩み止め機能を有するものを用いてもよい。さらに、スプリングワッシャと通常のナットとで構成されるもの、2個の通常のナットで構成されるもの等、緩み止め機能を発現する各種の構成のものが適用可能である。
【0056】
また、前記実施の形態では、キャビネット本体2は、木質板材を組み付けてなるものであったが、金属製や樹脂製のものであってもよい。
【0057】
そして、前記実施の形態では、ワークトップ3は、ステンレス製のカバー部材21と木質基材22とで構成されていたが、人工大理石製のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明によれば、キャビネット本体の上方に反りを矯正して天板を取り付ける場合に、作業性に優れ、かつ、天板の損傷を防止することができるキャビネット及びキャビネットにおける天板の取付方法が提供される。すなわち、本発明は、室内家具の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係るキッチンキャビネットの正面図である。
【図2】図1のII−II線による拡大断面図である。
【図3】反り矯正ユニットの拡大正面図である。
【図4】図3のIII−III線による断面図である。
【図5】ワークトップの取付手順を示す概ね図4に相当する図であって、反り矯正ユニットを第1部材を介してキャビネット本体に仮止めした状態を示す。
【図6】同じく、反り矯正ユニットを第1部材を介してキャビネット本体に固着した状態を示す。
【図7】同じく、第2部材をワークトップの下面に固着した状態を示す。
【図8】ブロック状の第2部材を用いた反り矯正ユニットを示す概ね図4に相当する図である。
【図9】反り矯正ユニットとL型部材とを用いてワークトップをキャビネット本体に取り付けた状態を示す概ね図3に相当する要部正面図である。
【図10】従来のキャビネットにおける問題を説明するための正面図である。
【図11】従来の天板取付方法を説明するための要部断面図である。
【図12】天板の高さ調整ユニットの要部断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1,1A,1B キッチンキャビネット(キャビネット)
2 キャビネット本体
3 ワークトップ(天板)
4,4A,4B 反り矯正ユニット
11 側板(キャビネット本体の縦面)
22 木質基材(天板の下面)
31,41 第1部材
31a,41a 側面部
31b′,41b 貫通孔
32 第2部材
35 基板
36 ねじ棒
37 皿ばねナット(緩み止めナット)
37B ナット
51 L型部材(固定部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット本体と、該キャビネット本体の上方に取り付けられる天板とを有するキャビネットであって、
前記キャビネット本体と天板との間に、該天板の反りを矯正する反り矯正ユニットが設置されており、
該反り矯正ユニットは、側面部でキャビネット本体内部の縦面に固着され、かつ、上下方向の貫通孔を有する第1部材と、
天板の下面にあてがわれて固着される基板と該基板から垂下して前記第1部材の貫通孔に上方から挿通されるねじ棒とを有する第2部材と、
この挿通されたねじ棒に下方から締め付けられる緩み止めナットとを有することを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
キャビネット本体と、該キャビネット本体の上方に取り付けられる天板とを有するキャビネットであって、
前記キャビネット本体と天板との間に、該天板の反りを矯正する反り矯正ユニットが設置されており、
該反り矯正ユニットは、側面部でキャビネット本体内部の縦面に固着され、かつ、上下方向の貫通孔を有する第1部材と、
天板の下面にあてがわれて固着される基板と該基板から垂下して前記第1部材の貫通孔に上方から挿通されるねじ棒とを有する第2部材と、
この挿通されたねじ棒に下方から締め付けられる緩み止めナットとを有し、かつ、
該反り矯正ユニットにより反りが矯正された天板を前記キャビネット本体に固定する固定部材が設けられていることを特徴とするキャビネット。
【請求項3】
前記ナットは、緩み止めナットであることを特徴とする請求項2に記載のキャビネット。
【請求項4】
キャビネット本体と、該キャビネット本体の上方に取り付けられる天板とを有するキャビネットにおける天板の取付方法であって、
側面部でキャビネット本体内部の縦面に固着され、かつ、上下方向の貫通孔を有する第1部材と、天板の下面にあてがわれて固着される基板と該基板から垂下して前記第1部材の貫通孔に上方から挿通されるねじ棒とを有する第2部材と、この挿通されたねじ棒に下方から締め付けられるナットとを有する反り矯正ユニットを用いて、
前記第1部材を、その側面部で前記キャビネット本体内部の縦面に固着する工程と、
前記第2部材を、その基板を前記天板の下面にあてがって固着する工程と、
前記第1部材の貫通孔に挿通された前記第2部材のねじ棒にナットを締め付けることにより、前記天板を前記キャビネット本体方向に引き寄せる工程と、
前記天板を前記キャビネット本体方向に引き寄せて密着させた状態で、両者を固定する工程とで構成されていることを特徴とするキャビネットにおける天板の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−222460(P2007−222460A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48248(P2006−48248)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】