説明

キャブの遮音構造

【課題】チルト自在なキャブの底部に設けた、ステアリングシャフトが挿通するステアリングシャフトホールの遮音構造を提供する。
【解決手段】キャブ2の底部には、キャブ2の車室内からステアリングシャフト9が挿通するステアリングシャフトホール17が設けられる。トランスファギア装置11はフレーム3に対して固定され、下部ステアリングシャフト9が連結するジョイント部10を有する。ホールカバー19は、カバー本体と環状のリブとを有する。カバー本体は、ジョイント部10が挿通する挿通孔を有し、ジョイント部10が挿通された状態で、トランスファギア装置11の上部に支持される。挿通孔の周囲にはリブが固着され、カバー本体19から上方に突出している。キャブ2が非チルト位置にあるとき、リブはステアリングシャフトホール17の下面に密着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チルト自在なキャブの遮音構造に関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭61−203171号公報には、チルトキャブ車のステアリングシャフト構造が記載されている。ステアリングシャフトは、シャーシフレームに固定されたステアリングギア装置のインプットシャフトにユニバーサルジョイントを介して連結されている。キャビン底部には、ユニバーサルジョイントが挿通する開口が設けられている。ステアリングシャフトとユニバーサルジョイントとは、筒状のコラムチューブで覆われている。
【0003】
特開2005−280564号公報には、車両用ステアリング装置が記載されている。この装置では、車室とエンジンルームを仕切るダッシュボードの開口に、エンジンルーム側の下部ジョイントカバーがボルトで固定される。ステアリングシャフトに連結したピニオンシャフトは、下部ジョイントカバーの開口を貫通し、車室外に配置されたステアリングギアボックスの内部に延びる。ステアリングギアボックスの上端にはゴム製のグロメットが装着され、グロメットの環状のリップは、下部ジョイントカバーの開口の周囲を囲むように下部ジョイントカバーに当接する。グロメットは、エンジンルームの騒音が下部ジョイントカバーの開口を通過して車室内に侵入するのを阻止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−203171号公報
【特許文献2】特開2005−280564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実開昭61−203171号公報に記載のチルトキャブ車では、キャビンの前傾(キャブのチルト)に伴ってステアリングシャフトが移動するため、非チルトキャブ車に比べてキャビン底部の開口を大きく(車両前後方向に長く)設定しなければならない。このため、エンジンの放射音やロードノイズなどの騒音が開口から車室内に侵入し易い。
【0006】
なお、コラムチューブは、ステアリングシャフトとユニバーサルジョイントとを単に覆うものであり、コラムチューブの内部を外部(車室)に対して密閉するものではなく、所望の遮音効果を奏するものではない。
【0007】
また、特開2005−280564号公報に記載された遮音構造は、エンジンルーム側の下部ジョイントカバーを車室側のダッシュボードにボルトで固定する構造であるため、車室側が回転移動するチルトキャブ式の車両に適用することはできない。
【0008】
そこで、本発明では、チルト自在なキャブにおいて、ステアリングシャフトが挿通する開口から車室内に侵入する騒音に対して優れた遮音性能を発揮するキャブの遮音構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、前端側及び他端側が車体フレームに支持される非チルト位置と前端側を中心として他端側が上方へ回転移動したチルト位置とに設定可能なキャブの遮音構造であって、開口と、ステアリングシャフトと、ギア装置と、遮音部材とを備える。開口は、キャブの底部に設けられる。ステアリングシャフトは、キャブの車室内から開口を挿通してキャブの下方へ延び、キャブの回転移動に伴って傾動する。ギア装置は、ステアリングシャフトの下端部が連結されるシャフト連結部を有し、シャフト連結部が上方に露出した状態で車体フレームに対して固定される。遮音部材は、シャフト連結部が挿通する挿通孔が形成され、挿通孔にシャフト連結部が挿通した状態でギア装置の上部に支持される板状部と、挿通孔の周囲で板状部から上方へ突出し、キャブが非チルト位置に設定された状態で開口の周囲でキャブの底部の下面に密着する弾性環状リブとを有する。
【0010】
上記構成では、ステアリングシャフトが挿通するキャブの底部の開口は、キャブの回転移動に伴うステアリングシャフトの移動を許容するように車両の前後方向に所定の長さを有し、ステアリングシャフトと開口との間には、比較的大きな間隙が設定される。
【0011】
キャブが非チルト位置に設定された状態では、遮音部材の板状部が開口を下方から覆い、板状部から上方へ突出する弾性環状リブが開口の周囲でキャブの底部の下面に密着し、板状部材の挿通孔をギア装置のシャフト連結部が挿通する。このため、開口とキャブの下方の空間とは、シャフト連結部と挿通孔との間隙を介してのみ連通する。しかし、遮音部材は車体フレームに対して固定されるギア装置の上部に支持され、且つシャフト連結部はキャブの回転移動に伴って移動しないので、挿通孔を開口のように大きく設定する必要はない。従って、シャフト連結部と挿通孔との隙間を小さく設定することができ、開口の下方を遮音部材によってほぼ密閉することができる。この結果、キャブの底部の開口からキャブの車室内に侵入するエンジン放射音やロードノイズなどの騒音を、遮音部材によって良好に遮音することができる。
【0012】
また、弾性環状リブは、キャブの非チルト位置への回転移動に伴って開口に進入し、キャブが非チルト位置に設定された状態で開口の内周面に密着してもよい。
【0013】
上記構成では、キャブが非チルト位置に設定された状態では、弾性環状リブは、開口の周囲でキャブの底部の下面に密着するとともに、開口に進入して開口の内周面にも密着するので、走行中の振動などによってキャブと遮音部材との相対位置が変動した場合であっても、キャブと弾性環状リブとの密着状態が継続して維持される。従って、開口からキャブの車室内に侵入するエンジン放射音やロードノイズなどの騒音を確実に遮音することができる。
【0014】
また、遮音部材は、板状部とギア装置の上部との間でシャフト連結部の周囲に配置され、キャブが非チルト位置に設定された状態で板状部とギア装置の上部との間を密閉する弾性シール部を有してもよい。
【0015】
上記構成では、キャブが非チルト位置に設定された状態では、弾性シール部が板状部とギア装置の上部との間を密閉するので、遮音部材による開口の下方の密閉性が向上する。従って、開口からキャブの車室内に侵入するエンジン放射音やロードノイズなどの騒音を確実に遮音することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、チルト自在なキャブにおいて、ステアリングシャフトが挿通するキャブの開口からキャブの車室内に侵入する騒音に対して優れた遮音性能を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の遮音構造を示す側面図である。
【図2】図1の車両のキャブのチルト動作を示す側面図である。
【図3】ホールカバーの展開図である。
【図4】チルト時のホールカバーの説明図である。
【図5】非チルト時のホールカバーの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図中のFRは車両前方を、UPは上方をそれぞれ示す。また、以下の説明において、前後方向は車両の進行方向の前後を意味し、左右方向は車両の進行方向前方を向いた状態での左右を意味する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係わるキャブオーバートラック(車両)1は、キャブ2と、シャシフレーム(車体フレーム)3と、ステアリングホイール6と、上部ステアリングシャフト7と、下部ステアリングシャフト9と、トランスファギア装置(ギア装置)11等を備えている。
【0020】
シャシフレーム3は、車両1の車幅方向両側で車両前後方向に延びており、クロスメンバによって、左右各シャシフレーム3の前端部間が連結されている。キャブ2の前端部は、シャシフレーム3の前端部に固定されるチルト軸4を中心として回転自在に支持されている。また、シャシフレーム3には、キャブ2の後端部を下方から支持するキャブマウント5が固定されている。非チルト位置にあるキャブ2は、その前端部がチルト軸4に支持され、後端部がキャブマウント5に支持される。非チルト位置のキャブ2は、チルト軸4を中心として後端側が上方へ回転移動することにより、チルト位置に設定される(図2参照)。
【0021】
キャブ2の車室内の前部には、車両1を操舵する際に運転者が回転操作するステアリングホイール6が配置されている。ステアリングホイール6からは、ステアリングホイール6の回転を伝達する上部ステアリングシャフト7が下方に延び、上部ステアリングシャフト7の下端は、ユニバーサルジョイント8を介して下部ステアリングシャフト9に連結される。トランスファギア装置11は、シャシフレーム3に対して固定され、トランスファギア装置11から露出して上方に延びるジョイント部(シャフト連結部)10を有している。ジョイント部10には、下部ステアリングシャフト9の下端部が連結される。ステアリングホイール6の回転は、上部ステアリングシャフト7及び下部ステアリングシャフト9を介してトランスファギア装置11に伝達され、トランスファギア装置11から後方に延びるジョイントシャフト12によって、トランスファギア装置11の後方でシャシフレーム3に対して固定されるパワーステアリングユニット13に伝達される。
【0022】
キャブ2の底部16には、ステアリングシャフトホール(開口)17が設けられている。キャブ2が非チルト位置に設定されている状態では、下部ステアリングシャフト9と連結するトランスファギア装置11のジョイント部10が、ステアリングシャフトホール17を挿通してキャブ2の車室内に突出する。キャブ2がチルト位置に移行する際、キャブ2の後端側の前上方への回転移動に伴って、下部ステアリングシャフト9はトランスファギア装置11のジョイント部10を中心として前方向に傾動する。キャブ2の回転移動によって、キャブ2の底部16のステアリングシャフトホール17も前上方向に移動するが、トランスファギア装置11のジョイント部10は移動しないので、キャブ2がチルト位置に設定された状態では、下部ステアリングシャフト9がステアリングシャフトホール17を挿通する。チルト位置において、下部ステアリングシャフト9がステアリングシャフトホール17を挿通する位置は、非チルト位置において、ジョイント部10がステアリングシャフトホール17を挿通する位置よりも後方となる。キャブ2のチルト動作に伴ってジョイント部10又は下部ステアリングシャフト9の挿通位置が移動しても、ジョイント部10又は下部ステアリングシャフト9がキャブ2と干渉しないように、ステアリングシャフトホール17は前後方向に所定の長さを有し、ジョイント部10又は下部ステアリングシャフト9とステアリングシャフトホール17との間には、比較的大きな間隙が設定されている。
【0023】
上部ステアリングシャフト7の周囲は、ステアリングコラムカバー14によって覆われている。ユニバーサルジョイント8及び下部ステアリングシャフト9の周囲は、筒状のステアリングシャフトカバー15によって覆われている。ステアリングシャフトカバー15の上端はステアリングコラムカバー14の下端に位置し、ステアリングシャフトカバー15の下端はキャブ2の車室内でステアリングシャフトホール17の外周部に固定されている。ステアリングシャフトカバー15の下部後側には、ジョイント部10の点検のため、開閉可能な扉のついた点検窓18が設けられている。
【0024】
トランスファギア装置11の上部にはホールカバー(遮音部材)19が支持されている。ホールカバー19は、図3に示すように、ラバーマウント(弾性シール部)20とカバー本体(板状部)21とリブ(弾性環状リブ)22とから構成される。ラバーマウント20は、トランスファギア装置11のジョイント部10が挿通する挿通孔20aを有する円環状の防振ゴム材によって形成される。ラバーマウント20は、挿通孔20aにジョイント部10が挿通された状態でトランスファギア装置11の上部に配置される(図4参照)。カバー本体21は、ステアリングシャフトホール17を覆う大きさの板状部材であり、カバー本体21の中央部には、トランスファギア装置11のジョイント部10が挿通する挿通孔21bが形成さる。カバー本体21は、ジョイント部10が挿通された状態で、ラバーマウント20の上面に配置される。キャブ2が非チルト位置からチルト位置に移動する際にトランスファギア装置11の上部のジョイント部10は移動しないので、ジョイント部10と挿通孔21bとの間隙は、ステアリングシャフトホール17のように大きく設定する必要はない。従って、カバー本体21の挿通孔21bとジョイント部10との隙間は、ジョイント部10の回転の妨げにならない範囲で小さく設定されている。
【0025】
カバー本体21の上面の、挿通孔21bの周囲にはリブ22が固着されている。リブ22は環状の防振ゴム材によって形成され、カバー本体21から上方に突出している。リブ22のバネ定数はラバーマウント20のバネ定数よりも小さく設定されている。キャブ2が非チルト位置にある時、リブ22の上面22aの外周縁は、ステアリングシャフトホール17の内周縁よりも内側に位置し、リブ22の下面22bの外周縁はステアリングシャフトホール17の内周縁よりも外側に位置している。また、キャブ2が非チルト位置にある時、カバー本体21の上面21aからリブ22の上面22aまでの距離(高さ)は、カバー本体21の上面21aからキャブ2の底部16の上面のうちステアリングシャフトホール17の周縁部(以下、ステアリングシャフトホール17の上面と称する)17aまでの距離よりも長く設定されている。また、リブ22の下面22bの外周縁はカバー本体21の外周縁の内側に位置し、リブ22の外周面22cは、リブ22の上面22aからリブ22の下面22bに向かってテーパ状に拡径している(図4及び図5参照)。
【0026】
本実施形態では、ステアリングシャフトホール17を挿通するジョイント部10又は下部ステアリングシャフト9と、ステアリングシャフトホール17との間には、比較的大きな間隙が設定されている。
【0027】
キャブ2がチルト位置から非チルト位置へ移動を開始すると、キャブ2の底部16に設けたステアリングシャフトホール17が下降し、トランスファギア装置11のジョイント部10は、キャブ2の底部16の下方からステアリングシャフトホール17を挿通する。キャブ2が非チルト位置に設定された状態では、ホールカバー19のカバー本体21は、カバー本体21の挿通孔21bにジョイント部10が挿通した状態で、下方からステアリングシャフトホール17を覆う。リブ22の上面22aの外周縁は、ステアリングシャフトホール17の内周縁よりも内側に位置し、カバー本体21の上面21aからリブ22の上面22aまでの高さは、ステアリングシャフトホール17の上面17aまでの高さよりも高いので、リブ22の上部は、下降するステアリングシャフトホール17の内部に下方から進入する。リブ22の下面22bの外周縁は、ステアリングシャフトホール17の内周縁よりも外側に位置し、リブ22の外周面22cは、上面22aから下面22bに向かってテーパ状に拡径しているので、リブ22の外周面22cは、ステアリングシャフトホール17の下面17bに密着する。さらに、リブ22の外周面22cは、下降するステアリングシャフトホール17の下面17bに押圧されて変形し、ステアリングシャフトホール17の内周面17cのほぼ全域に密着する(図5参照)。
【0028】
また、ラバーマウント20は、下降するステアリングシャフトホール17に押圧されて変形し、カバー本体21とトランスファギア装置11の上部との間を密閉する。なお、リブ22のバネ定数はラバーマウント20よりも小さく設定されているので、ラバーマウント20がリブ22の変形を阻害することはない。従って、カバー本体21の挿通孔21bとジョイント部10との隙間が塞がれ、ステアリングシャフトホール17は、カバーホール19によって下方から確実に密閉される。
【0029】
このように、本実施形態によれば、キャブ2が非チルト位置に設定された状態において、ステアリングシャフトホール17は、カバーホール19によって下方から確実に密閉されるので、ステアリングシャフトホール17を通ってキャブ2の外部からキャブ2の車室内に侵入するエンジン放射音やロードノイズなどの騒音を確実に遮音することができる。
【0030】
また、リブ22は、ステアリングシャフトホール17の下面17bに密着するとともに、ステアリングシャフトホール17に進入して内周面17cにも密着する。この結果、車両1の走行中の振動などによって、ホールカバー19とステアリングシャフトホール17との相対位置が変動した場合であっても、ホールカバー19のリブ22とステアリングシャフトホール17の内周面17cとの密着状態が継続して維持される。従って、ステアリングシャフトホール17からキャブ2の車室内に侵入するエンジン放射音やロードノイズなどの騒音を確実に遮音することができる。
【0031】
また、カバー本体21の下部及び上部には、それぞれ防振ゴム材によって形成されるラバーマウント20及びリブ22を配置しているので、トランスファギア装置11を経由してキャブ2へ伝わる車両1の走行に起因する振動等を低減することができる。
【0032】
また、ホールカバー19は、シャシフレーム3に対して固定されるトランスファギア装置11の上部に支持されているので、キャブ2のチルト動作の妨げとはならない。
【0033】
また、キャブ2が非チルト位置に設定された状態で、トランスファギア装置11のジョイント部10は、下方からホールカバー19を挿通しているので、ホールカバー19を配置した状態で、従来どおりステアリングシャフトカバー15に設けられた点検窓18からジョイント部10の点検が可能である。
【0034】
なお、カバー本体21の上面21aからリブ22の上面22aまでの高さは、キャブ2が非チルト位置にあるとき、ステアリングシャフトホール17の下面17bまでの高さよりも高く設定すればよく、カバー本体21の上面21aからステアリングシャフトホール17の上面17aまでの高さよりも低くしてもよい。また、リブ22は、ステアリングシャフトホール17の下面17bに密着すればよく、例えば、リブ22の上面22aの内周を、ステアリングシャフトホール17の外周よりも大きく設定してもよい。このような場合であっても、リブ22がステアリングシャフトホール17の下面17bに密着することによって、ステアリングシャフトホール17は、ホールカバー19によって下方から確実に密閉され、ステアリングシャフトホール17からキャブ2の車室内に侵入するエンジン放射音やロードノイズなどの騒音を良好に遮音することができる。
【0035】
また、ホールカバー19は、ラバーマウント20を省略してもよい。この場合であっても、リブ22がステアリングシャフトホール17の下面17bに密着するので、カバー本体21の挿通孔21bと、挿通するジョイント部10との隙間を小さく設定することによって、ステアリングシャフトホール17をカバー本体21とリブ22とによってほぼ密閉することができる。従って、ステアリングシャフトホール17からキャブ2の車室内に侵入するエンジン放射音やロードノイズなどの騒音を良好に遮音することができる。
【0036】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、チルト式のキャブオーバー車両に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:キャブオーバートラック
2:キャブ
3:シャシフレーム(車体フレーム)
6:ステアリングホイール
9:下部ステアリングシャフト(ステアリングシャフト)
10:ジョイント部(シャフト連結部)
11:トランスファギア装置(ギア装置)
16:キャブの底部
17:ステアリングシャフトホール(開口)
17c:ステアリングシャフトホール内周面(開口の内周面)
19:ホールカバー(遮音部材)
20:ラバーマウント(弾性シール部)
21:カバー本体(板状部)
21b:挿通孔(板状部の挿通孔)
22:リブ(弾性環状リブ)
22c:リブ外周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端側及び他端側が車体フレームに支持される非チルト位置と前記前端側を中心として前記他端側が上方へ回転移動したチルト位置とに設定可能なキャブの遮音構造であって、
前記キャブの底部に設けられた開口と、
前記キャブの車室内から前記開口を挿通して該キャブの下方へ延び、該キャブの回転移動に伴って傾動するステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトの下端部が連結されるシャフト連結部を有し、該シャフト連結部が上方に露出した状態で前記車体フレームに対して固定されるギア装置と、
前記シャフト連結部が挿通する挿通孔が形成され、該挿通孔に前記シャフト連結部が挿通した状態で前記ギア装置の上部に支持される板状部と、前記挿通孔の周囲で前記板状部から上方へ突出し、前記キャブが非チルト位置に設定された状態で前記開口の周囲で前記キャブの底部の下面に密着する弾性環状リブとを有する遮音部材と、を備えた
ことを特徴とするキャブの遮音構造。
【請求項2】
請求項1に記載のキャブの遮音構造であって、
前記弾性環状リブは、前記キャブの非チルト位置への回転移動に伴って前記開口に進入し、前記キャブが非チルト位置に設定された状態で前記開口の内周面に密着する
ことを特徴とするキャブの遮音構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のキャブの遮音構造であって、
前記遮音部材は、前記板状部と前記ギア装置の上部との間で前記シャフト連結部の周囲に配置され、前記キャブが非チルト位置に設定された状態で前記板状部と前記ギア装置の上部との間を密閉する弾性シール部を有する
ことを特徴とするキャブの遮音構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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