説明

キルンの燃焼材料供給装置

【課題】被処理物である燃焼材料が流体汚泥であっても効率良く処理できるように供給できること。
【解決手段】シャフト10の周囲に配設し、その中心線X−Xに並行する直線状の複数条の切り欠きからなる凹部溝を形成した略螺旋状のスクリューフィーダ20によって、シャフト10が回転すると空気供給部40から所定圧の空気を供給したとき、シャフト10の中心線に並行する直線状の複数条の切り欠きを通過する空気流と、略螺旋状のスクリューフィーダによって移動する空気流が形成される。また、環状ハウジング30の空気供給部40寄りに配設した汚泥供給部60に外部から流体汚泥が供給される。このとき、流体汚泥は直線状の複数条の切り欠き11を通過する空気流と略螺旋状のスクリューフィーダ20によって移動する空気流によって運ばれ乾燥と同時に細分化されるので、燃焼がし易くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーキルン等のキルンに燃焼材料を供給するキルンの燃焼材料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のロータリーキルン等の燃焼材料供給装置としては、受入供給設備から供給される燃焼材料が、スクリューフィーダによって定量的に炭化炉に投入されている。
例えば、特許文献1では、図1に示すように、ロータリーキルン1は、略水平軸回りに回転可能に支持された円筒状または多角筒状の両端が開放したキルン本体2と、キルン本体2の両端部にそれぞれ設けられた入口側の固定フード3及び出口側の固定フード4とを有している。入口側の固定フード3には、被処理物である原料をキルン本体2に供給するための、原料投入口5aが設けられたスクリューフィーダ5が、その先端部をキルン本体2の内部に臨ませて設置されている。
【0003】
入口側の固定フード3には、ロータリーキルン1内で生成されたガスを排出するための排ガス出口3aが設けられている。一方、出口側の固定フード4には、キルン本体2内で原料と反応させる反応ガスを供給するためのガス入口4aと、キルン本体2内で原料が熱処理されることによって得られた固形物をロータリーキルン1から排出するための固形物出口4bとが設けられている。また、キルン本体2の外周には、キルン本体2を加熱するための外部加熱装置6が設けられている技術を開示している。ここで、原料投入口5aが設けられたスクリューフィーダ5は従来のキルンの燃焼材料供給装置7を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−14374
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1は、図1に示すように、円筒状または多角筒状の両端が開放したキルン本体2の入口側の固定フード3には、被処理物である原料をキルン本体2に供給するための、原料投入口5aが設けられたスクリューフィーダ5が、その先端部をキルン本体2の内部に臨ませて設置されている。入口側の固定フード3には、ロータリーキルン1内で生成されたガスを排出するための排ガス出口3aが設けられている。
特許文献1では、スクリューフィーダ5がキルン本体2に被処理物である固形原料を送給しているものの、被処理物である固形原料を流体原料とすると処理ができないという問題があった。具体的には、水等の流体原料でなくても、沈殿池にたまった汚泥等の焼却も同様に処理できなかった。
【0006】
そこで、本発明は、被処理物である燃焼材料が流体汚泥であっても効率良く処理できるように供給するキルンの燃焼材料供給装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明にかかるキルンの燃焼材料供給装置は、電動機によって回転力が付与されるシャフトの中心線に並行する直線状に複数条の切り欠きを形成した略螺旋状のスクリューフィーダと、前記スクリューフィーダの周囲を囲む略円筒状で、一端が先細に開口する環状ハウジングと、その環状ハウジングの先細に開口する反対側の端部が接続され、前記スクリューフィーダの前記シャフトが挿通され、所定圧の空気を供給する空気供給部と、前記スクリューフィーダの前記シャフトを片持ちするシャフト支持部と、前記環状ハウジングの前記空気供給部寄りに配設し、外部から流体汚泥を供給する汚泥供給部を具備する。
【0008】
ここで、上記略螺旋状のスクリューフィーダは、シャフトの周囲に配設され、前記シャフトの中心線に並行する直線状の複数条の切り欠きを形成したもので、通常、直線状の複数条の切り欠きは2〜6条とされる。なお、この切り欠きはスクリューフィーダの一方の端部から他方の端部に至るものである。
また、上記環状ハウジングは、前記スクリューフィーダの周囲を囲む略円筒状で、一端が先細に開口するものであり、先細の開口は徐々に絞り込まれたものであり、極端に流体抵抗の変化が生じないようにしたものである。
そして、上記空気供給部は、前記環状ハウジングの先細に開口する側とは反対側が接続され、前記スクリューフィーダの前記シャフトが挿通され、かつ、所定圧の空気が供給されるものである。
【0009】
更に、上記シャフト支持部は、前記スクリューフィーダの前記シャフトを片持ちするもので、片持ちに安定性を持たせるために所定の幅で複数個所が支持される。また、上記シャフト支持部には、必要に応じてシール処理がなされる。
加えて、上記汚泥供給部は、前記環状ハウジングの前記空気供給部寄りに配設され、外部から流体汚泥を供給するものである。この流体汚泥とは、廃液、ヘドロ、粒体、粉流体を含むもので、少量では固体であっても、その集合体が流体として扱うことのできるものである。
そして、上記電動機は、前記シャフト支持部を貫通する前記シャフトに回転力を付与するもので、直結しても良いし、ギヤまたはベルトを介して回転力を与えても良い。何れにせよ、前記シャフトに回転力を付与できる手段の介在であればよい。
【0010】
請求項2の発明にかかるキルンの燃焼材料供給装置は、上記空気供給部に所定圧の空気及び液体燃料を供給するものである。
ここで、上記空気供給部に所定圧の空気及び液体燃料を供給するということは、前記スクリューフィーダ及び環状ハウジングは燃焼炎が噴き出す火炎バーナとして機能する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のキルンの燃焼材料供給装置は、シャフトの周囲に配設し、そのシャフトの中心線に並行する直線状の複数条の切り欠きを形成した略螺旋状のスクリューフィーダによって、電動機の回転により前記シャフトが回転すると、空気供給部から所定圧の空気を供給したとき、前記シャフトの中心線に並行する直線状の複数条の切り欠きを通過する空気流と、略螺旋状のスクリューフィーダによって移動する空気流が形成される。また、前記環状ハウジングの前記空気供給部寄りに配設した汚泥供給部に外部から流体汚泥が供給されるとき、流体汚泥は直線状の複数条の切り欠きを通過する空気流と略螺旋状のスクリューフィーダによって移動する空気流によって運ばれ、乾燥と同時に細分化されるので、キルン本体での燃焼がし易くなる。
また、前記スクリューフィーダの前記シャフトをシャフト支持部で片持ちとするものであるから、流体汚泥は直線状の複数条の切り欠きを通過する空気流と略螺旋状のスクリューフィーダによって移動する空気流が、前記環状ハウジングの先細に開口する部位で乱流となることがない。
したがって、請求項1の発明のキルンの燃焼材料供給装置によれば、被処理物である燃焼材料が流体汚泥であっても効率良く燃焼処理できるように供給することができる。
【0012】
請求項2のキルンの燃焼材料供給装置の前記空気供給部には、所定圧の空気及び液体燃料を供給するものであるから請求項1に記載の効果に加えて、キルン装置全体に対して、1個のキルンの燃焼材料供給装置の設置により、燃焼効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は従来のロータリーキルンの全体の概略を示す説明図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態にかかるキルンの燃焼材料供給装置の全体の平面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態にかかるキルンの燃焼材料供給装置のA−A切断線による要部断面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態にかかるキルンの燃焼材料供給装置の空気供給部側からシャフトの要部拡大断面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態にかかるキルンの燃焼材料供給装置のシャフト及びスクリューフィーダの全体斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態にかかるロータリーキルンの全体の概略を示す説明図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態にかかるキルンの全体の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0015】
まず、本発明の実施の形態について、図2乃至図6を用いて説明する。
本実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100は、シャフト10の周囲に略螺旋状のスクリューフィーダ20が配設されている。スクリューフィーダ20はシャフト10の中心線X−Xに並行する直線状の複数条の切り欠き11からなる凹部溝B−Bを形成したものである。このシャフト10は通常自重を軽くし、シャフト10の回転によってその軸心がぶれないようにしている。そのためにも、スクリューフィーダ20の複数条の切り欠き11からなる凹部溝B−Bは、3〜6条形成するのが望ましい。しかし、実施する上で可能な切り欠き11からなる凹部溝B−Bは、2〜6条として形成できる。スクリューフィーダ20の複数条の切り欠き11からなる凹部溝B−Bは、スクリューフィーダ20の中心軸、即ち、シャフト10の中心線X−Xに平行して設けられる。
【0016】
スクリューフィーダ20の複数条の切り欠き11からなる凹部溝B−Bは、通常、扇形状のピース12として形成される。例えば、3条の切り欠き11からなる凹部溝B−Bを設ける場合には、1ピッチをピース12を90度程度の角度の扇形の3枚とし、複数条の切り欠き11は30度程度の角度の3か所の開口としている。90度程度の角度のピース12はシャフト10の周囲に溶接によって接合される。また、2/3ピッチを90度程度の角度の扇形と30度程度の切り欠き11の連続する2枚の連結されたピース12とし、シャフト10側を溶接したり、また、切り欠き11はU字状に外周側を30度程度開放させるように2カ所打ち抜いたものとすることができる。この場合には、シャフト10の周囲に扇形の2枚のピース12を連続溶接すれば、スクリューフィーダ20が形成できる。
【0017】
しかし、切り欠き11からなる中心線X−Xに並行する凹部溝B−Bは、シャフト10の中心線X−X方向の空気流を形成するものであり、その中心線X−X方向の流体抵抗を低減させるものであるから、切り欠き11にシャフト10の直径方向の厚みが存在することは、それだけ流体抵抗を増すことになり好ましくない。したがって、1ピッチをピース12の90度程度の角度の扇形の3枚とし、複数条の切り欠き11は30度程度の角度の3か所の開口とするか、または1ピッチをピース12の60度程度の角度の扇形の4枚とし、複数条の切り欠き11は30度程度の角度の4か所の開口とするのが望ましい。
【0018】
スクリューフィーダ20の周囲は、略円筒状の環状ハウジング30によって囲まれている。スクリューフィーダ20は一端が先細に開口する開口部31を有している。環状ハウジング30のスクリューフィーダ20の周囲の略円筒状の部分は、スクリューフィーダ20と共にシャフト10の中心線X−X方向に並行する空気流を形成し、かつ、スクリューフィーダ20で形成するその中心線X−X方向に移動する空気流を形成するものである。このとき、環状ハウジング30内の流速は、切り欠き11からなる凹部溝B−Bを通る空気流がスクリューフィーダ20で形成される空気流よりも高速となっている。
【0019】
環状ハウジング30の開口部31は、スクリューフィーダ20と共にシャフト10の中心線X−X方向に並行する空気流、スクリューフィーダ20で形成するその中心線X−X方向に移動する空気流を乱さないように、徐々に絞りを付けている。この構成は、ベルヌーイの定理により、スクリューフィーダ20で形成する空気流側が切り欠き11からなる凹部溝B−Bを通る空気流に引き込まれるようになっており、更に、開口部31を出る際には、空気流が最高速度になるように設定される。
【0020】
スクリューフィーダ20のシャフト10が挿通され、所定圧の空気を供給する空気供給部40は、環状ハウジング30の先細の開口部31の反対側に接続されている。空気供給部40は内部が空洞で、シャフト10のみが隣接するシャフト支持部50に繋ぐように挿通されている。空気供給部40にスクリューフィーダ20を連続させて形成しても良いが、本実施の形態では、スクリューフィーダ20の側面から面一に空気流を供給するために空気供給部40にスクリューフィーダ20が形成していない。その空気供給口41からは図示しないブロワーまたは高圧ブロワーから空気が供給されるように、ブロワーの出力側に接続している。
なお、発明者は空気供給部40のシャフト10にカプラン水車状のプロペラを配設した実験も行ったが、空気供給部40の出力を上げることとほぼ同様の結果となり、空気供給部40の出力が上げられないときに有効的な手段であることが確認された。
【0021】
シャフト支持部50は、スクリューフィーダ20のシャフト10を片持ちするもので、そのために枠体53の対向面の2カ所の軸受51と軸受52で支持している。軸受51と軸受52はシール処理がなされたものの使用が望ましいが、空気供給部40に供給された空気圧が逃げない構造を採用しているものでは、軸受51及び軸受52にシール機能を持たせる必要性はない。
【0022】
外部から流体汚泥を供給する汚泥供給部60は、環状ハウジング30の空気供給部40寄りに配設している。汚泥供給部60は外部から所定の圧力で流体汚泥を供給する流体汚泥供給口61を有するものであり、外部からギヤポンプ等で送給された流体汚泥を取り込み、それを環状ハウジング30内に供給する。供給された流体汚泥はその多くが環状ハウジング30内の流速は、切り欠き11からなる凹部溝B−Bを通る空気流がスクリューフィーダ20で形成される空気流よりも高速となっているから、スクリューフィーダ20側に落下するとき、各ピース12の端部に衝突して細分化され、開口部31側に搬送される。
【0023】
流体汚泥は細分化されるとき、搬送されながら凹部溝B−Bの切り欠き11に衝突し、高周波振動エネルギを受ける。それによって水分と固形分が分離し、流体汚泥の乾燥が促進される。また、分離された水分は、切り欠き11からなる凹部溝B−Bを通る空気流がスクリューフィーダ20で形成される空気流よりも高速となっているから、その空気流に引かれて開口部31から出力される。切り欠き11からなる凹部溝B−Bを通る空気流に乗れない流体汚泥は、再度、搬送されながら切り欠き11に衝突し、高周波振動エネルギを受けることになり、微粒子化される。
【0024】
シャフト支持部50を貫通するシャフト10に回転力を付与する電動機70は、シャフト支持部50の枠体53に配設される。電動機70の出力軸に取り付けられたVベルトプーリ71とシャフト10の端部に配設されたVベルトプーリ11の間はVベルト72で連結されている。勿論、本発明を実施する場合には、Vベルト72を介在させることなく、電動機70の出力軸とシャフト10の端部とをカップリングで直接接続してもよいし、電動機70の出力軸に取り付けられたVベルトプーリ71とシャフト10の端部に配設されたVベルトプーリ11を歯車として歯車接続をしてもよいし、他の連結手段を使用してもよい。
【0025】
このように構成された本実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100は、次のように使用される。
まず、電動機70を駆動し、Vベルトプーリ71からVベルト72を介在してVベルトプーリ11の回転とする。これによって、シャフト支持部50で軸支されているシャフト10が回転し、シャフト10の周囲に配設されているスクリューフィーダ20が一体となって回転する。この状態では、スクリューフィーダ20の回転により空気供給口41に図示しないブロワー等が接続されていないときには空気流が生じるが、ブロワー等が接続されているときには、殆ど空気流が生じない。
【0026】
この状態で、空気供給部40の空気供給口41に図示しないブロワーまたは高圧ブロワーを接続し、そこから空気供給部40に空気が供給されと、その時点で、環状ハウジング30内にはスクリューフィーダ20の切り欠き11の部分は、シャフト10の中心線X−X方向に並行する空気流を形成する。同時に、スクリューフィーダ20で形成するその中心線X−X方向に移動する空気流も形成する。即ち、環状ハウジング30内には、スクリューフィーダ20の切り欠き11によって形成されるシャフト10の中心線X−X方向に並行する高速の空気流を形成し、かつ、スクリューフィーダ20で形成するその中心線X−X方向に移動する空気流も形成する。
【0027】
また、汚泥供給部60の流体汚泥供給口61には、図示しないギヤポンプを接続し、そのギヤポンプによって外部から流体汚泥を送給し、環状ハウジング30内に供給する。供給された流体汚泥はその多くが環状ハウジング30内の流速は、切り欠き11からなる凹部溝B−Bを通る空気流がスクリューフィーダ20で形成される空気流よりも高速となっているから、スクリューフィーダ20を通過するときに衝突し、かつ、その切り欠き11によって細分化され、開口部31側に搬送される。
【0028】
例えば、流体汚泥が廃液であっても、ヘドロであっても、粒体であっても、汚泥供給部60の流体汚泥供給口61に供給されると、それがスクリューフィーダ20側に落下する。そのとき、スクリューフィーダ20の流速は、切り欠き11を通る空気流の方が高速となっているから、流体汚泥は高速で流れる切り欠き11からなる凹部溝B−Bを通る空気流側に引かれるが、その切り欠き11を形成するピース12の端部に衝突して細分化され、開口部31側に搬送される。
【0029】
したがって、図1の従来のキルンの燃焼材料供給装置7に代えて、本実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100を設置すれば、燃焼し難い流体汚泥、例えば、廃液、ヘドロ、粒体の類であっても、燃焼効率良く処理することができる。
【0030】
図1の従来例では、固定フード4と固定フード3の間で燃焼管理をしているが、本実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100は、他の使用方法も存在する。
即ち、図2の実施の形態の空気供給部40は、空気供給部40の空気供給口41に図示しないブロワーまたは高圧ブロワーを接続し、そこから空気供給部40に空気が供給されているが、本発明を実施する場合には、粉体燃料または液体燃料等を同時に供給すると、本実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100をバーナー兼用のキルンの燃焼材料供給装置とすることができる。
【0031】
更に、上記発明の実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100は、ロータリーキルンを前提に説明したが、例えば、図7に示したように火炉80に対して火炎中心円81の接線方向に本発明の実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100の中心線が位置するように配設し、キルンの燃焼材料供給装置100を2台、180度離れた位置に配設する。また、公知のバーナー90についても、火炉80に対して火炎中心円81の接線方向に中心線が位置するように配設し、バーナー90を2台、180度離れた位置に配設する。
したがって、火炎は火炎中心円81のように形成され、そこに流体汚泥を飛ばすことになり、燃焼効率を良くすることができる。
即ち、本発明の実施の形態は、ロータリーキルンにその使用が制限されるものではなく、キルン全体に使用が可能なものである。
【0032】
上記実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100は、シャフト10の周囲に配設し、シャフト10の中心線X−Xに並行する直線状の複数条の切り欠き11からなる凹部溝B−Bを形成した略螺旋状のスクリューフィーダ20と、スクリューフィーダ20の周囲を囲む略円筒状で、一端が先細に開口する開口部31を有する環状ハウジング30と、環状ハウジング30の先細に開口する反対側が接続され、スクリューフィーダ20のシャフト10が挿通され、所定圧の空気を供給する空気供給部40と、スクリューフィーダ20のシャフト10を片持ちするシャフト支持部50と、環状ハウジング30の空気供給部40寄りに配設し、外部から流体汚泥を供給する汚泥供給部60と、シャフト支持部50を貫通するシャフト10に回転力を付与する電動機70とを具備するものである。
【0033】
したがって、上記実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100は、シャフト10の周囲に配設し、その中心線X−Xに並行する直線状の複数条の切り欠き11を形成した略螺旋状のスクリューフィーダ20によって、電動機70の回転によりシャフト10が回転すると空気供給部40から所定圧の空気を供給したとき、シャフト10の中心線X−Xに並行する直線状の複数条の切り欠き11からなる凹部溝B−Bを通過する空気流と、略螺旋状のスクリューフィーダ20によって移動する空気流が形成される。
【0034】
また、環状ハウジング30の空気供給部40寄りに配設した汚泥供給部60に外部から流体汚泥が供給される。このとき、流体汚泥は直線状の複数条の切り欠き11を通過する空気流と略螺旋状のスクリューフィーダ20によって移動する空気流によって運ばれ、乾燥と同時に細分化されるので、キルン本体で流体汚泥の燃焼がし易くなる。
また、スクリューフィーダ20のシャフト10をシャフト支持部50で片持ちとするものであるから、流体汚泥は直線状の複数条の切り欠き11からなる凹部溝B−Bを通過する空気流と略螺旋状のスクリューフィーダ20によって移動する空気流が、環状ハウジング30の先細に開口する部位で乱流となることがない。
したがって、本実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100によれば、被処理物である燃焼材料が流体汚泥であっても効率良く燃焼処理できる。
【0035】
上記実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置100の空気供給部40には、所定圧の空気及び液体燃料を供給するものである。
このように、キルン装置全体に対して、1個のキルンの燃焼材料供給装置100の設置により、燃焼効率を上げることができる。
【0036】
なお、上記略螺旋状のスクリューフィーダ20は、シャフト10の周囲に配設し、シャフト10の中心線X−Xに並行する直線状の複数条の切り欠き11からなる凹部溝B−Bを形成したもので、通常、直線状の複数条の切り欠き11からなる凹部溝B−Bは端部から端部まで形成された溝からなり、2〜6条とするのが望ましい。
また、環状ハウジング30は、スクリューフィーダ20の周囲を囲む略円筒状で、一端が先細に開口する開口部31を有するものであり、先細の開口は徐々に絞り込まれたものであればよい。
【0037】
そして、上記空気供給部40は、環状ハウジング30の先細に開口する側とは反対側が接続され、スクリューフィーダ20のシャフト10が挿通され、かつ、所定圧の空気が供給されるものである。
更に、シャフト支持部50は、スクリューフィーダ20のシャフト10を片持ちするもので、安定性を持たせるために所定の幅で複数個所が支持される。また、必要に応じてシール処理がなされる。
【0038】
更にまた、汚泥供給部60は、環状ハウジング30の空気供給部40寄りに配設され、外部から流体汚泥を供給するものである。
そして、電動機70は、シャフト支持部50を貫通するシャフト10に回転力を付与するもので、直結しても良いし、ギヤまたはベルトを介して回転力を与えても良い。
【0039】
加えて、本実施の形態のキルンの燃焼材料供給装置は、火炎の温度の影響を受ける方が環状ハウジング30の先細の開口、シャフト10及びスクリューフィーダ20の一部としたものであるから、温度によってその機構部分に歪が入ったとしても、それがキルンの燃焼材料供給装置100の全体の機能、寿命に影響されることはない。
【符号の説明】
【0040】
10 シャフト
11 切り欠き
20 スクリューフィーダ
30 環状ハウジング
40 空気供給部
50 シャフト支持部
60 汚泥供給部
70 電動機
100 キルンの燃焼材料供給装置
A−A 中心線
B−B 凹部溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの周囲に配設し、前記シャフトの中心線に並行する直線状の複数条の切り欠きからなる凹部溝を形成した略螺旋状のスクリューフィーダと、
前記スクリューフィーダの周囲を囲む略円筒状で、一端が先細に開口する環状ハウジングと、
前記環状ハウジングの先細に開口する反対側が接続され、前記スクリューフィーダの前記シャフトが挿通され、所定圧の空気を供給する空気供給部と、
前記スクリューフィーダの前記シャフトを片持ちするシャフト支持部と、
前記環状ハウジングの前記空気供給部寄りに配設し、外部から流体汚泥を供給する汚泥供給部と、
前記シャフト支持部を貫通する前記シャフトに回転力を付与する電動機と
を具備することを特徴とするキルンの燃焼材料供給装置。
【請求項2】
前記空気供給部には、所定圧の空気及び液体燃料を供給することを特徴とする請求項1に記載のキルンの燃焼材料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−108694(P2013−108694A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254837(P2011−254837)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(392001368)株式会社辻工業所 (1)
【Fターム(参考)】