説明

クラッチ装置

【課題】簡単な構成で小型化、軽量化、低コスト化を図りながらも、大きなクラッチ容量変化の設定が可能となる可変容量型のクラッチ装置の提供。
【解決手段】同心軸上に配置した第1クラッチピストン31と第2クラッチピストン32とを含むクラッチピストン部30と、クラッチハブ11およびクラッチドラム13と、クラッチハブ11とクラッチドラム13との間で相対回転する複数の摩擦材(クラッチディスク、クラッチプレート)12,14を積層してなる摩擦材積層部20における積層方向の一部である第1積層部21と第2積層部22と、を備え、第1クラッチピストン31の駆動により該第1クラッチピストン31が第1積層部21のみを押圧して作動し、第2クラッチピストン32の駆動により該第2クラッチピストン32が第1積層部21と第2積層部22の両方を押圧して作動するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機における変速段の設定などに用いるクラッチ装置に関し、詳細には、要求トルク分担比の異なる複数の変速段などで締結される可変容量型のクラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機における変速段の設定を行うためのクラッチ装置には、要求トルク分担比の異なる複数の変速段で締結されるようにした可変容量型のクラッチ装置がある。例えば、プラネタリ機構を備えた自動変速機では、1つのクラッチ装置を複数の変速段で共用するように構成されている。このようなクラッチ装置では、変速段ごとに分担トルクが異なるが、分担トルクの小さい変速段ではクラッチ容量に対するクラッチ圧の感度が高くなり、クラッチ容量の制御性があまり良くない。そのため、高い変速商品性の確保が困難である。このような問題に対処するため、特許文献1には、受圧面積の異なる複数のクラッチピストンを使用することで、変速段ごとのクラッチ容量を異ならせるようにしたクラッチ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3221329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す従来のクラッチ装置では、複数のクラッチピストンそれぞれによる摩擦材(クラッチプレート及びクラッチディスク)に対する受圧面積が異なっているが、各ピストンで押圧される摩擦材の枚数(積層数)は互いに同じである。このように、複数のピストンそれぞれでクラッチピストンの受圧面積のみを異ならせる構成では、クラッチ容量の差を大きくするには限界がある。したがって、自動変速機で設定される各変速段におけるクラッチ容量の大きな差に適切に対応することが難しいという課題がある。
【0005】
なお、特許文献1に示す構成のクラッチ装置で大きなクラッチ容量の差に対応するには、小ピストンを小型化することで、その推力を小さくすることが考えられる。しかしながら、そのような構成では、小ピストンの動作が、小ピストンに付勢力を付与するリターンスプリングのセット荷重やバネレートのばらつきなどの影響を受け易くなる。そのため、自動変速機における変速商品性の管理が難しくなる。また、上記とは逆に、大ピストンを大きくすることで、その推力を大きくすることも考えられるが、その場合は、クラッチ装置及び自動変速機の外形寸法や設置スペース、重量、製品コストなどの点で不利となる。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で小型化、軽量化、低コスト化を図りながらも、大きなクラッチ容量変化の設定が可能となる可変容量型のクラッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明にかかるクラッチ装置(10)は、同心軸上に配置した少なくとも第1クラッチピストン(31)と第2クラッチピストン(32)とを含むクラッチピストン部(30)と、クラッチハブ(11)およびクラッチドラム(13)と、クラッチハブ(11)とクラッチドラム(13)との間で相対回転する複数の摩擦材(12,14)を積層してなる摩擦材積層部(20)における積層方向の一部である第1積層部(21)と第2積層部(22)と、を備え、第1クラッチピストン(31)の駆動により該第1クラッチピストン(31)が第1積層部(21)のみを押圧して作動し、第2クラッチピストン(32)の駆動により該第2クラッチピストン(32)が第1積層部(21)と第2積層部(22)の両方を押圧して作動することを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるクラッチ装置によれば、第1クラッチピストンの駆動により該第1クラッチピストンが第1積層部のみを押圧して作動し、第2クラッチピストンの駆動により該第2クラッチピストンが第1積層部と第2積層部の両方を押圧して作動するように構成したことで、第1、第2積層部における摩擦材の積層数と、第1、第2クラッチピストンの受圧面積との両方でクラッチ容量を可変できるので、従来技術と比較して、より大きなクラッチ容量の変化を得ることが可能となる。したがって、自動変速機において、トルク分担比が互いに異なる複数の変速段を設定するためのクラッチ装置として用いても、同じクラッチ装置の締結で設定される複数の変速段に対して、大きなクラッチ容量の変化をもたらすことが可能となるので、自動変速機の高い変速商品性を確保できる。また、低容量側のクラッチピストンを小型化することでクラッチ容量の差を大きくするように構成した場合と比較して、クラッチピストンの動作が、クラッチピストンに付勢力を付与するリターンスプリングのセット荷重やバネレートのばらつきなどの影響を受けずに済む。したがって、自動変速機における変速商品性の管理が行い易くなる。
【0009】
また、複数のクラッチピストンを有する特許文献1に示す可変容量型のクラッチ装置では、いずれのクラッチピストンも、クラッチを締結させるために必要なストローク量は、摩擦材の最大積層数によって決まる同一のストローク量であった。これに対して、本発明にかかるクラッチ装置では、低容量側の第1クラッチピストンで締結する第1積層部の摩擦材の積層数は、大容量側の第2クラッチピストンで締結する第1積層部と第2積層部を合わせた摩擦材の積層数よりも少ない。したがって、低容量側の第1クラッチピストンは、クラッチ締結に必要なストローク量を少なく抑えることができるので、高い応答性の確保が可能となる。
【0010】
また、上記のクラッチ装置(10)では、第2積層部(22)と第1積層部(21)は、クラッチ装置(10)の回転軸方向に沿ってクラッチピストン(30)に近い側からこの順に並べて配置されており、第1クラッチピストン(31)は、少なくともその一部が第2積層部(22)の内周側もしくは外周側に配置されているとよい。この構成によれば、第2積層部の内周側もしくは外周側に第1クラッチピストンを配置することにより、クラッチ装置の外形をコンパクトに構成することが可能となる。
【0011】
さらにこの場合、第1クラッチピストン(31)は、第2クラッチピストン(32)の内周側に配置されて、かつ、少なくともその一部が第2クラッチピストン(32)よりも摩擦材積層部(20)側に突出しており、第2積層部(22)を構成する摩擦材(12)の内周端には、第1クラッチピストン(31)の一部を貫通させるための貫通部(15)が設けられているとよい。この構成によれば、簡単な構造で、第2積層部の内周側に第1クラッチピストンを配置することができるので、クラッチ装置の構成の簡素化、小型化を図ることができる。また、第1クラッチピストンを内周側に配置し、第2クラッチピストンを外周側に配置することで、第2クラッチピストンの径寸法を大きくすることができる。これにより、第2クラッチピストンによる摩擦材積層部(第2積層部)に対する押圧面積(摩擦面積)が大きくなるので、十分なクラッチ容量の確保が可能となる。
【0012】
また、上記のクラッチ装置(10)は、自動変速機(1)に搭載した変速段設定用のクラッチ機構(C3)であり、クラッチピストン(30)を作動するための油圧を供給する油圧回路(40)と、油圧回路(40)上に設けられ、第1クラッチピストン(31)を駆動するための第1油室(33)と第2クラッチピストン(32)を駆動するための第2油室(34)への作動油の供給を切り替えるシフト弁(46)とを備え、シフト弁(46)は、自動変速機(1)によって設定された変速段に応じて発生する油圧によって、第1油室(33)と第2油室(34)への作動油の供給を切り替えるようにしてよい。このように、シフト弁によって第1油室と第2油室への作動油の供給を切り替えるようにすれば、簡単な構成で、第1クラッチピストンと第2クラッチピストンの駆動を切り替えることが可能となる。そのうえ、自動変速機によって設定された変速段に応じて発生する油圧によってシフト弁が作動するように構成すれば、従来から別の目的で用いていた変速段設定用の油圧を流用することで、シフト弁の切り替えを行うための専用のデバイスを設けずに済む。したがって、クラッチ装置の作動に必要な部品の点数を少なく抑えることが可能となる。これにより、クラッチ装置及びそれを備えた自動変速機の構成の簡素化や軽量化を図ることができる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるクラッチ装置によれば、簡単な構成で、小型化、軽量化、低コスト化を図りながらも、大きなクラッチ容量変化の設定が可能となる可変容量型のクラッチ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかるクラッチ装置(第3クラッチ)を備えた自動変速機の全体構成例を示す主断面図である。
【図2】各変速段におけるクラッチ及びブレーキの係合状態を示す一覧表である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるクラッチ装置の構成例を示す概略側断面、及びクラッチ装置に作動油を供給する油圧回路の一部を示す図である。
【図4】第1実施形態のクラッチ装置が備えるクラッチディスクを示す概略図である。
【図5】(a)は、従来のクラッチ装置の容量特性、(b)は、本発明にかかるクラッチ装置の容量特性を示すグラフである。
【図6】(a)は、従来のクラッチ装置のトルク分担比、(b)は、本発明にかかるクラッチ装置のトルク分担比を示す表である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかるクラッチ装置の構成例を示す概略側断面、及びクラッチ装置に作動油を供給する油圧回路の一部を示す図である。
【図8】第2実施形態のクラッチ装置が備えるクラッチプレートを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明にかかるクラッチ装置を備えた自動変速機1の全体構成例を示す主断面図である。同図に示す自動変速機1は、変速機ケース2内に回転自在に軸支した入力軸3と、入力軸3と同心に配置された出力ギヤ4とを備え、出力ギヤ4の回転は、図外の出力軸及びデファレンシャルギヤを介して車両の左右の駆動輪に伝達される。また、入力軸3は、図外のトルクコンバータのタービン軸であり、エンジン等の動力源により回転されるものである。なお、自動変速機1は、中心線に対して略対称に構成されているが、図1においては、中心線の下半部を省略して示している。
【0016】
変速機ケース2内には、入力用の単式プラネタリギヤ5と、変速用の複式プラネタリギヤ6とが配置されている。単式プラネタリギヤ5は、サンギヤSfと、サンギヤSfに噛合するピニオンPfと、ピニオンPfに噛合するリングギヤRfと、ピニオンPfを自転及び公転自在に支持するキャリアCfとで構成されている。一方、複式プラネタリギヤ6は、第1サンギヤSr1と、第2サンギヤSr2と、リングギヤRrとを備え、第1サンギヤSr1とリングギヤRrとに噛合する第1ピニオンPr1と、第2サンギヤSr2と第1ピニオンPr1とに噛合する第2ピニオンPr2と、第1ピニオンPr1と第2ピニオンPr2とを自転及び公転自在に支持するキャリアCrとを備えて構成されている。
【0017】
また、この自動変速機1は、複式プラネタリギヤ6の第2サンギヤSr2と単式プラネタリギヤ5のキャリアCfとを解除自在に連結する第1クラッチC1と、複式プラネタリギヤ6のキャリアCrと単式プラネタリギヤ5のリングギヤRfとを解除自在に連結する第2クラッチC2と、複式プラネタリギヤ6の第1サンギヤSr1と単式プラネタリギヤ5のキャリアCfとを解除自在に連結する第3クラッチC3と、複式プラネタリギヤ6の第1サンギヤSr1を変速機ケース2に解除自在に固定する第1ブレーキB1と、複式プラネタリギヤ6のキャリアCrを変速機ケース2に解除自在に固定する第2ブレーキB2とを備えている。第2クラッチC2は、単式プラネタリギヤ5と複式プラネタリギヤ6との間に配置され、第1クラッチC1及び第3クラッチC3は、入力軸3の軸方向において複式プラネタリギヤ6に対して単式プラネタリギヤ5の反対側に配置されている。そして、ここでは、第3クラッチC3が、後述する本発明の実施形態にかかるクラッチ装置10に相当する。
【0018】
図2は、自動変速機1で設定される各変速段における各クラッチC1〜C3及び各ブレーキB1,B2の係合状態を示す一覧表である。同図では、●印は、係合(締結)を示している。自動変速機1では、第1クラッチC1と第2ブレーキB2を係合させると、第1サンギヤSr2の回転速度が入力軸3の回転速度と等速度となり、キャリアCrの回転速度が0となり、出力ギヤ4と連結するリングギヤRrが所定速度で回転して、1速段が確立される。また、第1クラッチC1と第1ブレーキB1を係合させると、第1サンギヤSr2の回転速度が入力軸3の回転速度と等速度となり、第1サンギヤSr1の回転速度が0になり、出力ギヤ4と連結するリングギヤRrが所定速度で回転して、2速段が確立される。
【0019】
第1クラッチC1と第3クラッチC3を係合させると、第1サンギヤSr1及び第2サンギヤSr2の回転速度が共に入力軸3と等速度になり、複式プラネタリギヤ6の各要素が相対回転不能なロック状態となって、出力ギヤ4と連結するリングギヤRrも入力軸3と等速度で回転して、3速段が確立される。また、第1クラッチC1と第2クラッチC2を係合させると、第2サンギヤSr2の回転速度が入力軸3と等速度となり、キャリアCrの回転速度が単式プラネタリギヤ5のリングギヤRfの回転速度と等速度となり、出力ギヤ4と連結するリングギヤRrが所定速度で回転して、4速段が確立される。
【0020】
第2クラッチC2と第3クラッチC3を係合させると、第1サンギヤSr1の回転速度が入力軸3と等速度となり、キャリアCrの回転速度が単式プラネタリギヤ5のリングギヤRfの回転速度と等速度となり、出力ギヤ4と連結するリングギヤRrが所定速度で回転して、5速段が確立される。また、第2クラッチC2と第1ブレーキB1を係合させると、キャリアCrの回転速度が単式プラネタリギヤ5のリングギヤRfの回転速度と等速度となり、第1サンギヤSr1の回転速度が0になり、出力ギヤ4と連結するリングギヤRrが所定速度で回転して、6速段が確立される。
【0021】
また、第3クラッチC3と第2ブレーキB2を係合させると、第1サンギヤSr1の回転速度が入力軸3と等速度となり、キャリアCrの回転速度が0となり、出力ギヤ4と連結するリングギヤRrが前進方向とは逆の後進方向に所定速度で回転して、後進段が確立される。
【0022】
図3は、本発明の第1実施形態にかかるクラッチ装置10の構成例を示す概略側断面、及びクラッチ装置10を駆動するための油圧回路の一部を示す図である。なお、クラッチ装置10は、回転軸に対して略対称に構成されているが、図4においては、中心線の下半部を省略して示している。同図に示すクラッチ装置10は、同心軸上で相対回転するクラッチハブ11に固定されたクラッチディスク12と、クラッチドラム13に固定されたクラッチプレート14とがクラッチ装置10の回転軸方向(以下、単に「軸方向」という。)で交互に積層されてなる摩擦材積層部20を備えている。摩擦材積層部20には、軸方向に並べて配置された第1積層部21と第2積層部22とが含まれている。第1積層部21と第2積層部22はいずれも、摩擦材積層部20において積層された複数のクラッチディスク12及びクラッチプレート14のうちの一部で構成されている。また、第1積層部21と第2積層部22それぞれを押圧するためのクラッチピストン30として、同心軸上に配置した小径の小ピストン(第1クラッチピストン)31と大径の大ピストン(第2クラッチピストン)32とが設けられている。なお、図3では、小ピストン31や大ピストン32に付勢力を付与するためのリターンスプリングなどは、図示を省略している。
【0023】
軸方向における小ピストン31と大ピストン32との隙間には、小ピストン31を作動するための油圧を発生する第1油室33が画成されており、軸方向におけるクラッチドラム13と大ピストン32との隙間には、大ピストン32を作動するための油圧を発生する第2油室34が画成されている。なお、クラッチドラム13と大ピストン32との径方向の隙間には、第2油室34を密封するためのOリング35が介在しており、大ピストン32と小ピストン31との径方向の隙間には、第1油室33を密封するためのOリング36が介在している。また、小ピストン31の摩擦材積層部20側の先端部31aは、第1積層部21の積層方向の一端に対向しており、大ピストン32の摩擦材積層部20側の先端部32aは、第2積層部22の積層方向の一端に対向している。
【0024】
また、本実施形態のクラッチ装置10では、摩擦材積層部20における第2積層部22と第1積層部21は、クラッチ装置10の軸方向に沿ってクラッチピストン30に近い側からこの順に並べて配置されている。また、小ピストン31は、大ピストン32の内周側に配置されており、かつ、その一部が大ピストン32よりも摩擦材積層部20側に突出して配置されている。そして、当該突出して配置された部分が、第2積層部22の内周側に配置されている。
【0025】
図4は、本実施形態のクラッチ装置10が備える第2積層部22のクラッチディスク12を示す概略図である。同図及び図3に示すように、小ピストン31の外径側に配置した第2積層部22を構成するクラッチディスク12は、その内周端に設けたクラッチハブ11に固定されている歯列12aの間隔(周方向の間隔)を通常よりも大きくすることで、歯列12aの一部を欠歯としている。これにより、当該欠歯の部分に小ピストン31を貫通させるための貫通部15を形成している。すなわち、第2積層部22を構成するクラッチディスク12の内周端には、径方向の外側に向かって窪んだ凹状の貫通部15が設けられており、該貫通部15には、小ピストン31における摩擦材積層部20側の先端部31aを含む一部が貫通して配置されている。
【0026】
上記の構成のクラッチ装置10では、小ピストン31の駆動により、該小ピストン31が第1積層部21のみを押圧して作動し、大ピストン32の駆動により、該大ピストン32が第1積層部21と第2積層部22の両方を押圧して作動するようになっている。
【0027】
また、クラッチ装置10は、図3に示す油圧回路40によってその締結が制御されるようになっている。同図に示す油圧回路40は、自動変速機1が備える第1乃至第3クラッチC1〜C3及び第1、第2ブレーキB1,B2の締結を制御するための油圧回路の一部であり、図示しないエンジンによる駆動でオイルタンクOTの作動油を油路49に吐出するオイルポンプOPと、油圧回路40のライン圧を調圧するためのレギュレータ弁42と、図示しないセレクトレバーに連動するマニュアル弁43などを備えている。レギュレータ弁42と油路49とは、油路51を介して接続されている。マニュアル弁43と油路49とは、油路51を介して接続されている。
【0028】
そして、本実施形態のクラッチ装置10(第3クラッチC3)に油圧を供給するための油圧回路40は、クラッチ装置10を作動するための信号圧を供給する油圧供給路45と、該油圧供給路45上に設けたシフト弁46とを備えている。シフト弁46は、リニアソレノイド弁47からの信号圧の供給経路を切り替えることで、クラッチ装置10の小ピストン31と大ピストン32の駆動を切り替えるための切替弁である。シフト弁46の下流側の油圧供給路45は、その一方がクラッチ装置10の第1油室33に繋がれた吐出路45aになっており、他方が第2油室34に繋がれた吐出路45bになっている。
【0029】
また、シフト弁46には、自動変速機1における後進段の設定時にマニュアル弁43から供給されるリバースレンジ圧を導入するための油路48が繋がれており、油圧供給路45(45a,45b)を切り替えるための油圧として、後進段の設定時にマニュアル弁43から供給されるリバースレンジ圧が用いられるようになっている。すなわち、シフト弁46は、自動変速機1による後進段の設定に応じて発生する油圧で作動するように構成されている。そして、本実施形態のシフト弁46では、油路48からのリバースレンジ圧が供給されていない状態では、信号圧の経路が吐出路45a側となり、油路48からのリバースレンジ圧が供給されている状態では、信号圧の経路が吐出路45b側となるように設定されている。なお、上記では、油圧供給路45(45a,45b)を切り替えるための油圧として、マニュアル弁43から供給されるリバースレンジ圧を用いる場合を示したが、これ以外にも、マニュアル弁43から供給されるDレンジ圧を用いるようにしてもよい。
【0030】
上記構成のクラッチ装置10の動作を説明する。既述のように、本実施形態のクラッチ装置10を適用した自動変速機1の第3クラッチC3は、3速段、5速段、後進段の設定時に係合させるようになっている。そして、3速段と5速段の設定時には、シフト弁46にリバースレンジ圧が供給されず、リニアソレノイド弁47からの信号圧の経路は、第1油室33に繋がる吐出路45a側になる。したがって、第1油室33に供給される油圧で小ピストン31が作動して、第1積層部21のみを駆動する。これにより、第1積層部21のクラッチディスク12とクラッチプレート14が押圧されて締結する。一方、後進段の設定時には、油路48を介してシフト弁46にリバースレンジ圧が供給されるので、リニアソレノイド弁47からの信号圧の経路は第2油室34に繋がる吐出路45b側に切り替えられる。したがって、第2油室34に供給される油圧で大ピストン32が作動して、第1積層部21と第2積層部22の両方を駆動する。これにより、第1積層部21及び第2積層部22のクラッチディスク12とクラッチプレート14が押圧されて締結する。
【0031】
図5(a)は、従来のクラッチ装置を適用した第3クラッチC3の容量特性、(b)は、本実施形態のクラッチ装置10を適用した第3クラッチC3の容量特性を示すグラフである。同図のグラフでは、横軸にクラッチ圧を取り、縦軸にクラッチ容量を取っている。従来のクラッチ装置を適用した第3クラッチC3の容量特性では、同図(a)に示すように、後進段(Rvs)の設定時に必要な最大クラッチ容量に対するクラッチ圧を制御可能な範囲X1に対して、3速段(3rd)の設定時に必要な最大クラッチ容量に対するクラッチ圧を制御可能な範囲X2と、5速段(5th)の設定時に必要な最大クラッチ容量に対するクラッチ圧を制御可能な範囲X3は、いずれも制御可能な範囲(幅)が狭くなっている。したがって、3速段及び5速段の設定時におけるクラッチ圧の制御性があまり良くないという課題があった。
【0032】
これに対して、本実施形態のクラッチ装置10を適用した第3クラッチの容量特性では、同図(b)に示すように、小ピストン31と大ピストン32の特性は、互いに異なる傾向(傾き)となっている。これにより、後進段の設定時に必要な最大クラッチ容量に対するクラッチ圧を制御可能な範囲と、3速段の設定時に必要な最大クラッチ容量に対するクラッチ圧を制御可能な範囲は、いずれも同じ範囲X4である。したがって、3速段の設定時に必要な最大クラッチ容量に対するクラッチ圧を制御可能な範囲を従来よりも広く確保できる。それに加えて、5速段の設定時に必要な最大クラッチ容量に対するクラッチ圧を制御可能な範囲X5も、従来よりも広い範囲で制御可能である。したがって、3速段及び5速段の設定時におけるクラッチ圧の制御性を良好にすることができる。
【0033】
図6(a)は、従来構成のクラッチ装置を適用した第3クラッチC3の各変速段におけるトルク分担率、(b)は、本実施形態のクラッチ装置10を適用した第3クラッチC3の各変速段におけるトルク分担率の一例を示す表である。同図に示すように、第3速段、第5速段、後進段の各変速段で締結される第3クラッチC3において、従来構成のクラッチ装置を適用した場合は、後進段と5速段との間で約4倍のトルク分担率の差があったのに対して、本実施形態のクラッチ装置10を適用した場合は、後進段と5速段との間で約1.3倍のトルク分担率の差に抑えることができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のクラッチ装置10では、同心軸上に配置した小ピストン(第1クラッチピストン)31および大ピストン(第2クラッチピストン)32と、クラッチハブ11およびクラッチドラム13と、クラッチハブ11とクラッチドラム13との間で相対回転するクラッチディスク12及びクラッチプレート14を重ね合わせてなる摩擦材積層部20の一部を構成する第1積層部21及び第2積層部22とを備え、小ピストン31の駆動により該小ピストン31が第1積層部21のみを押圧して作動し、大ピストン32の駆動により該大ピストン32が第1積層部21と第2積層部22の両方を押圧して作動するように構成した。これにより、第1積層部21及び第2積層部22におけるクラッチディスク12及びクラッチプレート14の積層数と、第1、第2ピストン31,32の受圧面積との両方でクラッチ容量を可変できるので、従来の可変容量型のクラッチ装置と比較して、より大きなクラッチ容量変化を得ることが可能となる。したがって、トルク分担比が互いに異なる複数の変速段を設定するための第3クラッチC3に本実施形態のクラッチ装置10を適用することで、第3クラッチC3の締結で設定される各変速段に対して、大きなクラッチ容量の変化をもたらすことが可能となり、自動変速機1の高い変速商品性を確保できるようになる。また、小ピストン31を小型化することでクラッチ容量の差を大きくするように構成した場合と比較して、小ピストン31の動作が、該小ピストン31に付勢力を付与するリターンスプリングのセット荷重やバネレートのばらつきなどの影響を受けずに済む。したがって、自動変速機1における変速商品性の管理が行い易くなる。
【0035】
また、特許文献1に示す従来のクラッチ装置では、複数のピストンのいずれも、クラッチを締結させるために必要なストローク量は、摩擦材の最大積層枚数によって決まる同一のストローク量であった。これに対して、本実施形態のクラッチ装置10では、低容量側の小ピストン31で締結する第1積層部21におけるクラッチディスク12及びクラッチプレート14の積層数は、大容量側の大ピストン32で締結する第1積層部21と第2積層部22を合わせたクラッチディスク12及びクラッチプレート14の積層数よりも少なくなっている。そのため、低容量側の小ピストン31は、クラッチを締結させるために必要なストローク量が小さくて済むので、高応答性の確保が可能となる。
【0036】
また、上記のクラッチ装置10では、第2積層部22と第1積層部21は、クラッチ装置10の軸方向に沿ってクラッチピストン30に近い側からこの順に並べて配置されており、小ピストン31は、その一部が第2積層部22の内周側に配置されている。このように、第2積層部22の内周側に小ピストン31の一部を配置したことにより、クラッチ装置10の外形をコンパクトに構成することが可能となる。
【0037】
さらにこの場合、小ピストン31の先端部31aを含む一部が大ピストン32よりも摩擦材積層部20側に突出して配置されており、第2積層部22を構成するクラッチディスク12の内周側には、小ピストン31を貫通させるための貫通部15が設けられている。これにより、簡単な構造で、第2積層部22の内周側に小ピストン31を貫通させることができるので、クラッチ装置10の構成の簡素化、軽量化を図ることができる。また、小ピストン31を内周側に配置し、大ピストン32を外周側に配置することで、大ピストン32の径寸法を大きくすることができる。これにより、大ピストン32による第2積層部22に対する押圧面積(摩擦面積)が大きくなるので、十分なクラッチ容量の確保が可能となる。
【0038】
また、上記のクラッチ装置10は、自動変速機1に搭載した変速段設定用のクラッチ機構C3であり、クラッチピストン30を作動するための油圧を供給する油圧回路40と、該油圧回路40上に設けられ、第1クラッチピストン31を駆動するための第1油室33と第2クラッチピストン32を駆動するための第2油室34への作動油の供給を切り替えるシフト弁46とを備え、シフト弁46は、自動変速機1によって設定された変速段に応じて発生する油圧によって、第1油室33と第2油室34への作動油の供給を切り替えるようにしている。このように、シフト弁46によって第1油室33と第2油室34への作動油の供給を切り替えるようにしたことで、簡単な構成で、小ピストン31と大ピストン32の駆動を切り替えることが可能となる。そのうえ、後進段の設定に応じて発生するリバースレンジ圧によってシフト弁46が作動するように構成している。このように、従来から別の目的で用いていたリバースレンジ圧を流用したことで、シフト弁46の切り替えを行うための専用のデバイスを設けずに済む。したがって、クラッチ装置10の作動に必要な部品の点数を少なく抑えることが可能となる。これにより、クラッチ装置10及びそれを備えた自動変速機1の構成の簡素化や軽量化を図ることができる。
【0039】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。この点は、他の実施形態においても同様である。
【0040】
図7は、第2実施形態にかかるクラッチ装置10−2の構成例を示す概略側断面、及びクラッチ装置10−2に作動油を供給する油圧回路40の一部を示す図である。また、図8は、本実施形態のクラッチ装置10−2が備える第2積層部22のクラッチプレート14を示す概略図である。第1実施形態のクラッチ装置10では、小ピストン31を第2積層部22の内周側に配置していたのに対して、本実施形態のクラッチ装置10−2では、図7に示すように、大ピストン32−2を第2積層部22の外周側に配置している。すなわち、大ピストン32−2は、その一部が小ピストン31−2よりも摩擦材積層部20側に突出して配置されており、当該突出して配置された部分が、第2積層部22の外周側に配置されている。
【0041】
図8に示すように、本実施形態のクラッチ装置10−2では、大ピストン32−2の内周側に配置した第2積層部22を構成するクラッチプレート14は、その外周に設けたクラッチドラム13に固定されている歯列14aの間隔(周方向の間隔)を通常よりも大きくすることで、歯列14aの一部を欠歯としている。これにより、当該欠歯の部分に大ピストン32を貫通させるための貫通部15−2を形成している。すなわち、第2積層部22を構成するクラッチプレート14の外周端には、径方向の内側に向かって窪んだ凹状の貫通部15−2が設けられており、該貫通部15−2には、大ピストン32−2における摩擦材積層部20側の先端部32−2aを含む一部が貫通して配置されている。
【0042】
また、本実施形態のシフト弁46−2は、第1実施形態のシフト弁46と比較して、第1油室33と第2油室34に対する信号圧の供給経路の切替設定が異なっている。すなわち、本実施形態のシフト弁46−2では、油路48からのリバースレンジ圧が供給されていない状態では、信号圧の経路が第2油室34に繋がる吐出路45b側となり、油路48からのリバースレンジ圧が供給されている状態では、信号圧の経路が第1油室33に繋がる吐出路45a側となるように設定されている。
【0043】
上記構成のクラッチ装置10−2では、大ピストン32−2の駆動により、該大ピストン32−2が第1積層部21のみを押圧して作動し、小ピストン31−2の駆動により、該小ピストン31−2が第1積層部21と第2積層部22の両方を押圧して作動するようになっている。
【0044】
本実施形態のクラッチ装置10−2を適用した第3クラッチC3の動作を説明する。第3クラッチC3は、自動変速機1における3速段、5速段、後進段の設定時に係合するが、本実施形態のクラッチ装置10−2を適用した第3クラッチC3では、3速段と5速段の設定時には、シフト弁46にリバースレンジ圧が供給されず、リニアソレノイド弁47からの信号圧の経路は、第2油室34に繋がる油路45b側になっている。したがって、第2油室34に供給される油圧で大ピストン32−2が作動して、大ピストン32−2により第1積層部21のみが駆動される。これにより、第1積層部21のクラッチディスク12とクラッチプレート14が締結する。なお、ここでは、小ピストン31−2の先端部31−2aと第2積層部22との間のクリアランスL1と、大ピストン32の先端部32−2aと第1積層部21との間のクリアランスL2との関係が、L2<L1となるように設定されていることで、第2油室34に供給される油圧で大ピストン32−2が作動する際、小ピストン31−2が動いても、小ピストン31−2によって第2積層部22が駆動されることがない。
【0045】
一方、後進段の設定時には、シフト弁46に油路48からのリバースレンジ圧が供給されるので、リニアソレノイド弁47からの信号圧の経路は、第1油室33に繋がる吐出路45a側に切り替えられる。したがって、第1油室33に供給される油圧で小ピストン31−2のみが作動して、第1積層部21と第2積層部22の両方が駆動される。これにより、第1積層部21及び第2積層部22のクラッチディスク12とクラッチプレート14が締結する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のクラッチ装置10−2では、同心軸上に配置し大ピストン(第1クラッチピストン)32−2および小ピストン(第2クラッチピストン)31−2と、クラッチハブ11およびクラッチドラム13と、クラッチハブ11とクラッチドラム13との間で相対回転するクラッチディスク12及びクラッチプレート14を重ね合わせてなる摩擦材積層部20の一部を構成する第1積層部21及び第2積層部22とを備え、大ピストン32−2の駆動により該大ピストン32−2が第1積層部21のみを押圧して作動し、小ピストン31−2の駆動により該小ピストン31−2が第1積層部21と第2積層部22の両方を押圧して作動するように構成した。これにより、第1実施形態のクラッチ装置10と同様、第1積層部21及び第2積層部22におけるクラッチディスク12及びクラッチプレート14の積層数と、第1、第2ピストン31,32の受圧面積との両方でクラッチ容量を可変できるので、従来の可変容量型のクラッチ装置と比較して、より大きなクラッチ容量変化を得ることが可能となる。
【0047】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、クラッチピストン部30が第1クラッチピストン31(32−2)と第2クラッチピストン32(31−2)との2個のクラッチピストンを備える場合を示したが、本発明にかかるクラッチ装置のクラッチピストン部は、3個以上のクラッチピストンを備えていてもよい。また、3個以上のクラッチピストンを備える場合は、クラッチピストン部の複数のクラッチピストンで押圧される摩擦材積層部は、第1積層部と第2積層部以外の部分をさらに含むように構成してよい。
【0048】
また、上記実施形態では、本発明にかかるクラッチ装置10(10−2)を自動変速機1の第3クラッチC3に適用する場合について説明したが、本発明にかかるクラッチ装置10(10−2)は、自動変速機1における第3クラッチC3以外のクラッチC1,C2やブレーキB1,B2に適用することも可能である。なお、例えば、クラッチ装置10(10−2)を第1ブレーキB1に適用する場合は、シフト弁46を切り替えるための油圧として、第2クラッチC2を作動する油圧を用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 自動変速機
2 変速機ケース
3 入力軸
4 出力ギヤ
5 単式プラネタリギヤ
6 複式プラネタリギヤ
B1,B2 第1、第2ブレーキ
C1,C2,C3 第1、第2、第3クラッチ
10 クラッチ装置
11 クラッチハブ
12 クラッチディスク(摩擦材)
13 クラッチドラム
14 クラッチプレート(摩擦材)
15 貫通部
20 摩擦材積層部
21 第1積層部
22 第2積層部
30 クラッチピストン部
31 小ピストン(第1クラッチピストン)
32 大ピストン(第2クラッチピストン)
33 第1油室
34 第2油室
40 油圧回路
42 レギュレータ弁
43 マニュアル弁
45 油圧供給路
45a 第1吐出路
45b 第2吐出路
46 シフト弁
47 リニアソレノイド弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心軸上に配置した少なくとも第1クラッチピストンと第2クラッチピストンとを含むクラッチピストン部と、
クラッチハブおよびクラッチドラムと、
前記クラッチハブと前記クラッチドラムとの間で相対回転する複数の摩擦材を積層してなる摩擦材積層部における積層方向の一部である第1積層部と第2積層部と、を備え、
前記第1クラッチピストンの駆動により該第1クラッチピストンが前記第1積層部のみを押圧して作動し、前記第2クラッチピストンの駆動により該第2クラッチピストンが前記第1積層部と前記第2積層部の両方を押圧して作動するように構成した
ことを特徴とするクラッチ装置。
【請求項2】
前記第2積層部と前記第1積層部は、前記クラッチ装置の回転軸方向に沿って前記クラッチピストン部に近い側からこの順に並べて配置されており、
前記第1クラッチピストンは、少なくともその一部が前記第2積層部の内周側もしくは外周側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のクラッチ装置。
【請求項3】
前記第1クラッチピストンは、前記第2クラッチピストンの内周側に配置されており、かつ、少なくともその一部が前記第2クラッチピストンよりも前記摩擦材積層部側に突出して配置されており、
前記第2積層部を構成する摩擦材の内周端には、前記第1クラッチピストンを貫通させるための貫通部が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のクラッチ装置。
【請求項4】
前記クラッチ装置は、自動変速機に設けた変速段設定用のクラッチ機構であり、
前記クラッチピストン部を作動するための油圧を供給する油圧回路と、
前記油圧回路上に設けられ、前記第1クラッチピストンを駆動するための第1油室と前記第2クラッチピストンを駆動するための第2油室への作動油の供給を切り替えるシフト弁と、を備え、
前記シフト弁は、前記自動変速機によって設定された変速段に応じて発生する油圧によって、前記第1油室と前記第2油室への作動油の供給を切り替える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクラッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−247326(P2011−247326A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119889(P2010−119889)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】