説明

クランプ具

【課題】 板材に設けられた1つの取付孔に挿入されることでその板材に取付可能で、かつ、その板材の表裏からの突出高さを抑えることができる、クランプ具を提供する。
【解決手段】 クランプ具は、ベース部30と、取付部32とを備える。取付部32が、支柱部40と、枝部42と、抜止部44とを有する。支柱部40は、取付孔に挿入される。枝部42は、支柱部40から枝分かれしている。抜止部44は、枝部42に設けられる。抜止部44の一端には、取付孔の縁に引っ掛かる抜止爪50が設けられている。抜止部44の一端は、抜止部44の他端に比べて支柱部40に近寄っている。抜止部44の一端は、他端が支柱部40へ向かう方向へ動くと、支柱部40から離れるよう動く。取付部32は、維持部52をさらに有している。維持部52は、抜止部44の一端が支柱部40から離れるよう抜止部44が動くとその状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材に設けられた1つの取付孔に挿入されることでその板材に取付可能で、かつ、その板材の表裏からの突出高さを抑えることができるクランプ具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはケーブルタイが開示されている。このケーブルタイは、柱状部と、矢尻型をしたスナップ片と、スナップ片に対向配置される脚片と、解除片とを備える。スナップ片は、柱状部の先端に設けられる。スナップ片は径方向に弾性変形可能である。解除片は、スナップ片の拡径された一端部にそれぞれ連結される。解除片は、手操作によってスナップ片を縮めることができる。基板に設けられた孔に挿入されたときにスナップ片が径方向に弾性変形する。弾性変形したスナップ片は脚片と共に基板を挟む。柱状部は、ストッパ部を備える。ストッパ部は孔内において柱状部が所定角度以上傾斜されることを阻止する。
【0003】
特許文献1に示された発明によれば、基板に対する実装用部品の取付けおよび取外しを容易に行い得る。また、特許文献1に示された発明によれば、その実装用部品が自然に基板から離脱することを防止できる。しかしながら、特許文献1に開示された発明には、次に述べる問題点がある。その問題点とは、基板に設けられた孔にケーブルタイが挿入されたとき、スナップ片の先端部分が基板の孔から高く突出してしまうという問題点である。
【0004】
特許文献2に開示された発明と特許文献3に開示された発明とは、上述した問題を解決できる。特許文献2には固定部材が開示されている。この固定部材は、本体と、本体から突出する支柱と、その支柱の先端に設けられる板状体と、本体から突出している突出片と、突出片の先端に設けられた突起とを備えている。板状体は、少なくとも一部が支柱の側方へ突出する。突出片は弾性変形可能である。特許文献2に開示されている固定部材を使用する場合、まず、板材に取付孔および位置決め孔を穿つ。次に、板材の表側から取付孔に板状体および支柱を挿し込む。そうすると、突起が板材の表側に押し当てられて突出片が弾性変形する。その状態で板材の表面と平行な方向へ固定部材をスライドさせると、板状体の一部が板材に重なる位置まで変位する。同時に、弾性変形した突出片が元の形に戻ろうとするため突起が位置決め孔にはまり込む。このため、板材に対して固定部材が固定される。特許文献2に示された発明によれば、板材の表側での操作で取外しができ、かつ、板材の裏側における突出量を抑制できる。
【0005】
特許文献3には固定部材が開示されている。この固定部材は、本体と、挟持部と、連結部と、突起部とを備える。連結部は、本体と挟持部とで物を挟み得るように本体と挟持部とを連結する。誰かが挟持部と連結部とを板材に設けられた取付孔に挿入すると、その板材のうち取付孔の縁部分は挟持部と本体との間に挟まれている状態となる。突起部は、挟持部に設けられる。突起部は、本体と挟持部とで板材を挟んだ際にその板材の位置決め孔の縁に引っかかる状態となる。これにより、板材のうち取付孔の縁部分が本体と挟持部との間から抜出すことは阻止される。本体の一部が弾性変形可能である。このため、本体を取付面に向かって押付けると、挟持部、連結部および突起部が板材に対して相対的に変位する。その結果、板材の位置決め孔に突起部が引っかからない状態となる。特許文献3に示された発明によれば、板材の表側での操作で取外しができ、かつ、板材の裏側における突出量を抑制できる。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示された発明と特許文献3に開示された発明とには、取付孔に加えて位置決め孔を板材に設けなければならないという問題点がある。
【0007】
特許文献4に開示された発明は、上述した問題を解決できる。特許文献4には固定部材が開示されている。この固定部材は、本体と板材とを固定するために、本体側に設けられる。この固定部材は、外側へ突出する抜止部を先端に有する。この抜止部は、内側へ変位すると板材に穿たれた取付孔に対して抜き挿し可能になる。一方、この抜止部は、取付孔に挿し込まれた状態で外側へ変位すると板材の裏側に引っかかる状態となって取付孔から引き抜き不能になる。この固定部材は、表側当接部も有する。表側当接部は、抜止部の外側に設けられる。表側当接部は、抜止部を取付穴に挿し込んだ時に板材の表側に押し当てられる。これにより表側当接部と抜止部との間で板材を挟み込む状態となる。この固定部材は、挿入部も有する。挿入部は、本体に設けられる。挿入部は、抜止部の間に挿入される。挿入部は、そのような挿入に伴って抜止部を外側へ変位させて内側へ変位不能な状態にする。この固定部材は、係合部および被係合部も有する。これらは、一方が本体側、他方が抜止部側に設けられる。係合部および被係合部は、挿入部を抜止部の内側間に挿入した時に互いに係合する。これにより、挿入部を抜止部の内側間から変位不能にする。一方、係合部と被係合部との係合は、外力を加えることによって解除できる。この固定部材は、連結部も有する。連結部には、一端に抜止部、他端に本体または本体に連結された別の抜止部が連結されている。連結部は、抜止部の内側または外側への変位、および挿入部の抜止部の内側間への挿入を妨げないように変形する。特許文献4に示された発明によれば、板材の表側における操作で取付けおよび取外しを行うことができ、しかも、板材の裏側における突出量を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−278723号公報
【特許文献2】特開2002− 54611号公報
【特許文献3】特開2002−164673号公報
【特許文献4】特開2002− 5132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献4に開示された発明の場合、板材の表側における突出量が大きくなるという問題点がある。この問題点が生じるのは、挿入部を抜止部の間に挿入可能とする必要があるためである。
【0010】
本発明の目的は、板材に設けられた1つの取付孔に挿入されることでその板材に取付可能で、かつ、その板材の表裏からの突出高さを抑えることができる、クランプ具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、クランプ具20は、ベース部30と、取付部32とを備える。取付部32は、ベース部30に設けられる。取付部32は、取付孔210を有する板材200にベース部30を取付ける。取付部32が、支柱部40と、枝部42と、抜止部44とを有する。支柱部40は、取付孔210に挿入される。枝部42は、支柱部40から枝分かれしている。抜止部44は、枝部42に設けられる。抜止部44は、取付孔210に支柱部40が挿入される際に取付孔210を貫通する。抜止部44の一端には、取付孔210の縁に引っ掛かる抜止爪50が設けられている。抜止部44の一端は、枝部42よりも支柱部40の先端側に配置される。抜止部44の一端は、抜止部44の他端に比べて支柱部40に近寄っている。抜止部44の一端は、他端が支柱部40へ向かう方向へ動くと、支柱部40から離れるよう動く。取付部32は、維持部52をさらに有している。維持部52は、抜止部44の一端が支柱部40から離れるよう抜止部44が動くと抜止部44の一端が支柱部40から離れている状態を維持する。
【0012】
上述したクランプ具20において、枝部42が支柱部40から枝分かれしている。枝部42に抜止部44が設けられている。抜止部44の一端は、枝部42よりも支柱部40の先端側に配置される。抜止部44の一端には、取付孔210の縁に引っ掛かる抜止爪50が設けられている。これにより、取付部32のうち支柱部40の高さを抑えることができる。支柱部40の高さを抑えることができるので、抜止部44に取付孔210を貫通させたとき、取付部32全体としてみた場合、取付部32のうち板材200を貫通した部分の板材200からの突出高さを抑えることができる。しかも、取付孔210が支柱部40と抜止部44の抜止爪50とが通過できる直径であれば、取付部32は板材200にベース部30を取付けることができる。さらに、維持部52は、抜止部44の一端が支柱部40から離れている状態を維持できればよい。そのため、維持部52の高さを抑えることが可能である。これにより、板材200に設けられた1つの取付孔210に挿入されることでその板材200に取付可能で、かつ、その板材200の表裏からの突出高さを抑えることができる。
【0013】
また、上述した維持部52が、梁部60と、接触部62とを有することが望ましい。梁部60は、抜止爪50の位置から見て抜止部44のうち枝部42の向こう側に設けられる。接触部62は、梁部60に設けられ、支柱部40とは反対側に向かって張出す。接触部62は、抜止部44の一端が取付孔210を貫通すると板材200に接触して板材200から反力を受ける。
【0014】
梁部60は、接触部62が反力を受けると抜止部44の他端にモーメントを伝える。これにより、抜止部44はそのモーメントによって向きを変える。抜止部44が向きを変えると、抜止部44の一端は支柱部40から離れる。この間に取付孔210の縁へ抜止爪50が引っ掛かると、梁部60および接触部62の弾性力と抜止爪50の摩擦力とによって抜止部44の一端が支柱部40から離れている状態を維持できる。その結果、抜止部44に取付孔210を貫通させるとクランプ具20の取付を完了させることができる。
【0015】
もしくは、上述した接触部62が、梁部60から枝部42の方へ向かって張出していることが望ましい。
【0016】
梁部60から枝部42の方へ向かって接触部62が張出しているとき、接触部62が板材200に接触したことにより抜止部44が受けるモーメントは、次に述べる向きのモーメントである。その向きとは、抜止部44のうち抜止爪50が設けられている方の一端が支柱部40から離れる向きである。このような向きのモーメントが抜止部44にかかるので、接触部62が支柱部40とは反対側に向かって張出している場合に比べ、抜止爪50はしっかりと取付孔210の縁へ引っ掛かることになる。
【0017】
また、上述した維持部52が接続部64を有することが望ましい。接続部64は、ベース部30および支柱部40の少なくとも一方に接続されることにより抜止部44の一端が支柱部40から離れている状態を維持する。
【0018】
維持部52が接続部64を有すると、ベース部30および支柱部40の少なくとも一方との接続状態が維持される間、抜止部44の一端が支柱部40から離れている状態を安定して維持できる。
【0019】
もしくは、上述したベース部30が、保持部80を有していることが望ましい。保持部80の内周に保持爪100が突出している。この場合、接続部64が接続爪70を有している。接続爪70は保持爪100に引っ掛かる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、板材に設けられた1つの取付孔に挿入されることでその板材に取付可能で、かつ、その板材の表裏からの突出高さを抑えることができる、クランプ具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例にかかるクランプ具の正面図である。
【図2】本発明の一実施例にかかるクランプ具のベース部と取付部とを取付部の先端側から見た斜視図である。
【図3】本発明の一実施例にかかるクランプ具のベース部と取付部とをバンド部側から見た斜視図である。
【図4】本発明の一実施例にかかるクランプ具のベース部と取付部とをこれらの斜め側面から見た図である。
【図5】本発明の一実施例にかかる引締部の断面図である。
【図6】本発明の一実施例において板材の取付孔にクランプ具の支柱部と抜止部とが進入しようとしている状況を示す図である。
【図7】本発明の一実施例において接触部が反力を受けたことにより抜止部の一端が支柱部から離れつつあるときの板材の断面図である。
【図8】本発明の一実施例において接続爪が保持爪にひっかかっているときの板材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0023】
[クランプ具の構成]
図1は、本実施例にかかるクランプ具20の正面図である。図1を参照しつつ、本実施例にかかるクランプ具20の構成を説明する。本実施例にかかるクランプ具20は、ベース部30と、取付部32と、バンド部34とを備える。ベース部30は、取付部32とバンド部34とのベースとなる部材である。ベース部30を、バンド部34が貫通する。取付部32はベース部30から突出している。取付部32は、取付孔210を有する板材200にベース部30を取付けるための部分である。バンド部34は、電線を始めとするさまざまな部材を束ねるための部分である。バンド部34の具体的な構造は周知である。したがってここではその詳細な説明は行わない。本実施例の場合、ベース部30と取付部32とバンド部34とは一体になっている。本実施例にかかるクランプ具20は樹脂製である。
【0024】
[取付部の構成]
図2は、本実施例にかかるベース部30と取付部32とを取付部32の先端側から見た斜視図である。図2を参照しつつ、本実施例にかかる取付部32の構成を説明する。本実施例にかかる取付部32は、支柱部40と、枝部42と、抜止部44とを有する。本実施例の場合、支柱部40と枝部42と抜止部44とは一体となっている。
【0025】
支柱部40は、ベース部30に直接つながっている部分である。支柱部40は、上述した取付孔210に挿入される。
【0026】
枝部42は、支柱部40から枝分かれしている部分である。本実施例の場合、枝部42はベース部30に対する支柱部40の付け根から見て末広がりとなっている。本実施例の場合、枝部42は2箇所に設けられている。これらの枝部42は支柱部40を挟んで対称に配置されている。
【0027】
抜止部44は、枝部42の先端に設けられている。抜止部44は、上述した取付孔210に支柱部40が挿入される際、支柱部40と共にその取付孔210を貫通する。抜止部44の両端のうちベース部30に対向していない方の端は、抜止部44の両端のうちベース部30に対向している方の端に比べ、支柱部40に近寄っている。本実施例の説明では、抜止部44の両端のうち前者の端を「抜止部44の一端」と称する。抜止部44の両端のうち後者の端を「抜止部44の他端」と称する。
【0028】
抜止部44の一端には抜止爪50が設けられている。抜止部44の他端には、維持部52が設けられている。抜止爪50は、上述した取付孔210の縁に引っ掛かる。維持部52は、次に述べる状態を維持するための部分である。その状態とは、抜止部44の一端が支柱部40から離れている状態である。
【0029】
維持部52は、梁部60と、接触部62と、接続部64とを有する。梁部60は、抜止部44の他端に設けられる。梁部60は、接触部62が反力を受けると抜止部44の他端にモーメントを伝える。接触部62は、梁部60の自由端に設けられる。接触部62は、抜止部44の一端が取付孔210を貫通すると、その取付孔210を有する板材200に接触して、その板材から反力を受ける。接続部64も、梁部60の自由端に設けられる。接続部64は、梁部60を挟んで接触部62の反対側に設けられる。本実施例の場合、接続部64がベース部30に接続されることにより、抜止部44の一端が支柱部40から離れている状態が維持される。
【0030】
本実施例の場合、接触部62は梁部60と同様に梁状である。本実施例の場合、接触部62は梁部60から枝部42の方へ向かって張出している。
【0031】
接続部64は、接続爪70と、解除レバー72とを有する。接続爪70は、抜止部44の一端が支柱部40から離れている状態を維持するためのものである。接続爪70は、後述する保持爪100に引っ掛かることによって、その状態を維持できる。解除レバー72は、接続爪70が保持爪100に引っかかっている状態を解除するためのものである。
【0032】
[ベース部の構成]
図3は、本実施例にかかるベース部30と取付部32とをバンド部34側から見た斜視図である。図4は、ベース部30と取付部32とをこれらの斜め側面から見た図である。図5は、引締部82の断面図である。図3ないし図5を参照しつつ、本実施例にかかるベース部30の構成を説明する。本実施例にかかるベース部30は、保持部80と、引締部82とを有する。保持部80は、2箇所に設けられている。それらの保持部80は、引締部82を挟むように配置されている。保持部80に接続部64の一部が挿入される。保持部80は、接続部64の一部が挿入されると、その状態を保持する。引締部82にはバンド部34が挿入される。
【0033】
保持部80は、屋根板90と、支柱92と、外壁94と、底板96とを有する。屋根板90は、保持爪100を有する。接続爪70は、屋根板90のうち接続爪70に対向する面に設けられる。保持爪100に接続爪70が引っ掛かると、接続部64は動けなくなる。支柱92は、外壁94と共に、屋根板90と底板96との間を接続する。底板96は、屋根板90と共に接続部64を挟み込む。屋根板90と支柱92と外壁94と底板96とにより、保持部80にホールが形成されている。接続部64はこのホールに挿入されることとなる。
【0034】
引締部82はバンド貫通孔110を有している。バンド貫通孔110の内周面にバンド抜止爪120が設けられている。バンド抜止爪120には歯130が設けられている。引締部82に挿入されたバンド部34の先端は、この歯130に引っかかり抜けなくなる。
【0035】
[クランプ具の使用方法]
以下、取付孔210を有する板材200と図示しない電線の束とを接続する場合の、本実施例にかかるクランプ具20の使用方法を説明する。
【0036】
まず、クランプ具20のバンド部34を電線の束に巻付ける。バンド部34を電線の束に巻付けたら、バンド部34の先端を引締部82のバンド貫通孔110に挿入する。バンド部34の先端がバンド貫通孔110を貫通すると、バンド部34の歯にバンド抜止爪120の歯130が引っかかる。これにより、バンド部34はバンド貫通孔110から抜けなくなる。
【0037】
この状態で、作業者はクランプ具20の支柱部40と抜止部44とを板材200の取付孔210に挿入する。図6は、板材200の取付孔210にクランプ具20の支柱部40と抜止部44とが進入しようとしている状況を示す図である。
【0038】
支柱部40と抜止部44の一端とが取付孔210を貫通しても、接触部62は、取付孔210を貫通しない。接触部62は、支柱部40と抜止部44の一端とが取付孔210を貫通したとき、その取付孔210の縁から反力を受ける。反力を受けるので、接触部62はたわむ。接触部62がたわむ際、取付孔210の縁から受ける反力によって、抜止部44全体がモーメントを受ける。モーメントを受けた抜止部44は枝部42のいずれかの箇所を回転中心として回る。枝部42のいずれかの箇所を回転図中心として回るにつれ、抜止部44の一端は支柱部40から離れる。これにより抜止爪50は取付孔210の縁に引っ掛かる。図7は、接触部62が反力を受けたことにより抜止部44の一端が支柱部40から離れつつあるときの板材200の断面図である。
【0039】
抜止部44が回転するにつれ、接続爪70は、保持部90の中に入っていく。保持部90の中に入ると、接続爪70は、保持爪100に引っ掛かる。接続爪70が保持爪100に引っ掛かるので、抜止部44の一端が支柱部40から離れている状態が維持される。その状態が維持されるので、抜止爪50は取付孔210の縁に引っ掛ったまま外れなくなる。これにより、電線と板材200とは接続される。図8は、接続爪70が保持爪100に引っ掛っているときの板材200の断面図である。
【0040】
[本実施例にかかるクランプ具の効果]
以上のようにして、本実施例に係るクランプ具20によれば、電線の束と取付孔210を有する板材200とを接続できる。このとき、枝部42が支柱部40から枝分かれしている。枝部42に抜止部44が設けられている。抜止部44の一端は、枝部42よりも支柱部40の先端側に配置される。抜止部44の一端には、取付孔210の縁に引っ掛かる抜止爪50が設けられている。これにより、支柱部40の高さを抑えることができる。支柱部40の高さを抑えることができるので、抜止部44に取付孔210を貫通させたとき、取付部32全体としてみた場合、取付部32のうち板材200を貫通した部分の板材200からの突出高さを抑えることができる。取付孔210を有する板材200にベース部30を取付けたときの取付部32の突出高さを抑えることができる。しかも、支柱部40と抜止部44との先端が通過できるだけの孔が板材200に設けられていれば上述した接続が可能なので取付孔210をいくつも設ける必要がない。
【0041】
[変形例の説明]
今回開示された実施例はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施例に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
【0042】
例えば、クランプ具20は樹脂製で一体となっているものに限定されない。クランプ具20は、それを構成する各部分が別々に製作され互いに接続されたものであってもよい。
【0043】
バンド部34に代えて電線を保持するための図示しないフックなどが設けられていてもよい。
【0044】
枝部42と抜止部44との数は、2つずつでなくともよい。1つずつでもよいし、それぞれ3つ以上設けられていてもよい。
【0045】
抜止部44の一端が支柱部40から離れている状態を維持部52が維持するための仕組みは上述したものに限定されない。接続部64は、保持部90ではなく、支柱部40に設けられた図示しない穴の内周面の爪に引っ掛かってもよい。接続部64は、保持部90の内周面から受ける摩擦力によってベース部30に接続されてもよい。接続部64は、保持部90の内周面から受ける摩擦力ではなく、支柱部40に設けられた図示しない穴の内周面から受ける摩擦力によって支柱部40に接続されてもよい。
【0046】
接続部62の向きは上述したものに限定されない。接触部62は、支柱部40とは反対側に向かって張出していてもよい。
【0047】
梁部60が張出している位置は抜止部44の他端でなくともよい。梁部60は抜止部44のうち抜止爪50の位置から見て枝部42の向こう側に設けられていればよい。
【符号の説明】
【0048】
20…クランプ具
30…ベース部
32…取付部
34…バンド部
40…支柱部
42…枝部
44…抜止部
50…抜止爪
52…維持部
60…梁部
62…接触部
64…接続部
70…接続爪
72…解除レバー
80…保持部
82…引締部
90…屋根板
90…保持部
92…支柱
94…外壁
96…底板
100…保持爪
110…バンド貫通孔
120…バンド抜止爪
130…歯
200…板材
210…取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部に設けられ、取付孔を有する板材に前記ベース部を取付ける取付部とを備え、
前記取付部が、
前記取付孔に挿入される支柱部と、
前記支柱部から枝分かれしている枝部と、
前記枝部に設けられ、前記取付孔に前記支柱部が挿入される際に前記取付孔を貫通し、かつ、前記取付孔の縁に引っ掛かる抜止爪が一端に設けられている抜止部とを有するクランプ具において、
前記抜止部の前記一端は、前記枝部よりも前記支柱部の先端側に配置され、前記抜止部の他端に比べて前記支柱部に近寄っており、かつ、前記他端が前記支柱部へ向かう方向へ動くと前記支柱部から離れるよう動き、
前記取付部が、前記抜止部の前記一端が前記支柱部から離れるよう前記抜止部が動くと前記抜止部の一端が前記支柱部から離れている状態を維持する維持部をさらに有していることを特徴とする、クランプ具。
【請求項2】
前記維持部が、
前記抜止爪の位置から見て前記抜止部のうち前記枝部の向こう側に設けられ、前記支柱部とは反対側に張出す梁部と、
前記梁部に設けられ、前記抜止部の前記一端が前記取付孔を貫通すると前記板材に接触して前記板材から反力を受ける接触部とを有することを特徴とする、請求項1に記載のクランプ具。
【請求項3】
前記接触部が、前記梁部から前記枝部の方へ向かって張出していることを特徴とする、請求項2に記載のクランプ具。
【請求項4】
前記維持部が、前記ベース部および前記支柱部の少なくとも一方に接続されることにより前記抜止部の一端が前記支柱部から離れている状態を維持する接続部を有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のクランプ具。
【請求項5】
前記ベース部が、内周に保持爪が突出している保持部を有しており、
前記接続部が、前記保持爪に引っ掛かる接続爪を有していることを特徴とする、請求項4に記載のクランプ具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−117640(P2012−117640A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269930(P2010−269930)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000108524)ヘラマンタイトン株式会社 (57)
【Fターム(参考)】