説明

クリック機能付き電子部品

【課題】外径寸法の小型化が図れ、厚みの薄型化も図れるクリック機能付き電子部品を提供すること。
【解決手段】ケース50と、ケース50を覆う回転つまみ10と、ケース50の回転つまみ10を設置した反対面側に設置されて回転つまみ10と一体に回転するクリック板70と、回転つまみ10及びクリック板70の回転によって電気的出力を変化する摺動子110等からなる電気的機能部と、回転つまみ10の中央に設けた開口部13内に設置される押釦つまみ30と、押釦つまみ30によってオンオフされる中央スイッチ183と、を具備する。回転つまみ10の開口部13の押釦つまみ30の下側の空間Cに、回転つまみ10と一体に回転するクリック弾接部79と、クリック弾接部79が回転しながら弾接してクリック感覚を生じさせるクリック係合部165とを有するクリック機構を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式電子部品と押圧式電子部品の機能を併せ持ち、且つ外径寸法の小型化が図れるクリック機能付き電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用ナビゲーションシステム、コンピュータ、各種携帯機器、各種OA機器、ゲーム機等を操作するデバイスとして、例えば特許文献1に示すように、回転式電子部品の回転つまみ(210)の中央に押圧式電子部品の押釦つまみ(180)を設置することで回転式電子部品と押圧式電子部品の機能を併せ持つ多機能型の電子部品が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−146649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に示す従来の多機能型の電子部品においては、その図1に示すように、回転つまみ(210)の回転と一体に回転するクリックバネ(120)のクリック弾接部(131)と、クリック弾接部(131)が弾接するケース(150)のクリック係合部(159)とによって構成されるクリック機構を、ケース(150)の外周近傍部分に設けなければならないので、その外径の小型化が図りにくく、さらなる外径の小型化の要望に答えることができなかった。
【0005】
また上記特許文献1に示す従来の多機能型の電子部品においては、第1回路基板(31)の上に、摺動子(100)を取り付けた成形樹脂製の回転体(90)と、クリックバネ(120)と、ケース(150)と、操作つまみ(210)とを重ね合わせているので、それら全体の厚みの薄型化には限界があり、さらなる厚みの薄型化の要望に答えることができなかった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、外径寸法の小型化が図れ、さらには厚みの薄型化も図れるクリック機能付き電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、ケースと、前記ケースを覆う回転つまみと、前記ケースの前記回転つまみを設置した反対面側に設置されて前記回転つまみと一体に回転する回転体と、前記回転つまみ及び回転体の回転によって電気的出力を変化する電気的機能部と、前記回転つまみの中央に設けた開口部内に設置される押釦つまみと、前記押釦つまみによってオンオフされる中央スイッチと、を具備する電子部品において、前記回転つまみの開口部の前記押釦つまみの下側の空間に、前記回転つまみと一体に回転するクリック弾接部と、このクリック弾接部が回転しながら弾接してクリック感覚を生じさせるクリック係合部とを有してなるクリック機構を設置したことを特徴とするクリック機能付き電子部品にある。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクリック機能付き電子部品において、前記回転体は、前記クリック弾接部を有するクリック板で構成され、一方前記電気的機能部は、前記クリック板に取り付けられる摺動子と、この摺動子に対向する位置に設置される回路基板に設けられて前記摺動子に摺接する摺接パターンと、を具備して構成されていることを特徴とするクリック機能付き電子部品にある。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のクリック機能付き電子部品において、前記ケースを載置する取付台と、この取付台を揺動自在に支持する支持部材と、前記取付台の揺動によって押圧される押圧スイッチと、をさらに具備していることを特徴とするクリック機能付き電子部品にある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、クリック機構を、回転つまみ中央の開口部の押釦つまみの下側の空間(押釦つまみを上下動させるために必要な空き空間)に設置したので、ケースの外周近傍部分にクリック機構を設置する必要がなく、クリック機能付き電子部品の外径の小型化が図れる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、回転体をクリック板で構成するとともに、摺動子をこのクリック板に取り付けたので、従来設置していた成形樹脂製の回転体が不要になり、クリック機能付き電子部品の厚みの薄型化が図れる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、回転式電子部品と押圧式電子部品と揺動式電子部品の機能を一体化した多機能型の電子部品の外径の小型化と厚みの薄型化とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】クリック機能付き電子部品1の斜視図である。
【図2】クリック機能付き電子部品1の概略側断面図である。
【図3】クリック機能付き電子部品1の上側の部品を上側から見た分解斜視図である。
【図4】クリック機能付き電子部品1の下側の部品を上側から見た分解斜視図である。
【図5】クリック機能付き電子部品1の上側の部品を下側から見た分解斜視図である。
【図6】クリック機能付き電子部品1の下側の部品を下側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の1実施形態に係るクリック機能付き電子部品1の斜視図、図2はクリック機能付き電子部品1の概略側断面図(図1のA−A概略断面図)、図3はクリック機能付き電子部品1の上側の部品を上側から見た分解斜視図、図4はクリック機能付き電子部品1の下側の部品を上側から見た分解斜視図、図5はクリック機能付き電子部品1の上側の部品を下側から見た分解斜視図、図6はクリック機能付き電子部品1の下側の部品を下側から見た分解斜視図である。なお以下の説明において、「上」とはケース50から見てその上に覆うように設置される回転つまみ10の方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。
【0015】
これらの図に示すようにクリック機能付き電子部品1は、回転つまみ10と、押釦つまみ30と、ケース50と、回転体(以下「クリック板」という)70と、摺動子110と、支持部材130と、取付台150と、回路基板(以下「フレキシブル回路基板」という)170と、保持部材(以下「保持板」という)190とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0016】
回転つまみ10は合成樹脂の成形品であり、略円板状の本体部11の中央に円形の開口部13を設けて構成されている。回転つまみ10の開口部13は、内部に下記する押釦つまみ30の本体部31を挿通できるように本体部31の外径寸法とほぼ同じ内径寸法を有しており、且つ本体部31に設けた下記するつば部37が上方に抜けないようにつば部37の外径寸法よりも若干小さい内径寸法に形成されている。一方、本体部11の外周には下方に突出する筒状の外周側壁部16が形成され、また本体部11の下面の開口部13の周囲には筒状に突出する押釦つまみ収納部15が形成され、押釦つまみ収納部15の外周を囲む位置には筒状に突出する軸部17が形成されている。押釦つまみ収納部15の下端辺の180°対向する位置には、矩形凹状に切り欠かれてなる連結部挿入部14が形成されている。軸部17の下端辺の複数位置(この例では3か所)には、この回転つまみ10にクリック板70と摺動子110とを取り付ける小突起状の取付部19が設けられている。
【0017】
押釦つまみ30は合成樹脂の成形品であり、略円板状の本体部31と、本体部31の下面中央から下方向に向かって突出する柱状の押圧部33とを具備し、本体部31の上面を指などで押圧操作する操作部35とし、本体部31の外周面の下部に薄板リング状に突出するつば部37を設けて構成されている。押圧部33の外周側面には上下方向に沿って延びる細い柱状の回り止め39が設けられている。
【0018】
ケース50は合成樹脂の成形品であり、円形平板状の上面部51を備え、上面部51の中央に回転つまみ10の軸部17をその内部に挿入して回動自在に軸支する円形の開口部53を設け、また上面部51の外周に下方向に向かって突出する筒状の側壁部55を設け、さらに側壁部55の下端辺の複数位置(この例では等間隔の4か所の位置)に下記する取付台150に取り付けられる小突起状の取付台取付部57を設けて構成されている。開口部53の内周部分は下方向に少し筒状に突出しており、そのリング状の下端面がクリック板当接部59となっている。
【0019】
クリック板70は1枚の弾性金属板(例えばステンレス板)製であり、リング形状に形成された取付部71と、取付部71の中央の円形の開口73内に設置されたリング形状の弾接アーム部75とを、一対の連結部77によって連結して構成されている。一対の連結部77は、180°対向する位置において、取付部71の内周辺と弾接アーム部75の外周辺とを連結している。弾接アーム部75の180°対向する位置(前記連結部77より90°回転した位置)には、それぞれ下方向に向かって凸状に湾曲・突出してなるクリック弾接部79が設けられている。取付部71の外径寸法は、前記ケース50の開口部53の内径寸法よりも少し大きく構成されている。取付部71の前記回転つまみ10の各取付部19に対向する位置には、各取付部19を挿入する小孔からなる被取付部81が設けられている。取付部71の外周の180°対向する位置からは、半径方向外方に向かって突出する一対の突出部83が設けられている。
【0020】
摺動子110は弾性金属板製であり、前記クリック板70の取付部71の外径寸法よりも若干小さな外径寸法を有する略円形の平板リング状に形成され、中央に開口部111を設けるとともに、等間隔(120°間隔)の3か所の位置(前記クリック板70の被取付部81に対向する位置)に小孔からなる取付固定部113を設け、また各取付固定部113の側部から3本ずつの摺接ブラシ115を摺動子110の円形の外形に沿うように配置して構成されている。各組の摺接ブラシ115の先端近傍部分は接点部117となっている。
【0021】
支持部材130は合成樹脂を略矩形状に成形し、その中央に略円形の開口131を設けて構成されている。開口131の内径寸法は、回転つまみ10やケース50や取付台150(係合片159の部分を除く)の外径寸法よりも少し大きく形成されている。支持部材130の下面の4つの角部近傍には、開口131につながる4つの凹状の係合部135が設けられている。係合部135の寸法形状は下記する取付台150の係合片159を所定の短い寸法だけ上下動自在で平面方向には移動しない状態で挿入できる寸法形状である。支持部材130の下面の各係合部135の近傍位置(6か所)には、下方向に突出する小突起状の取付部137が設けられている。支持部材130の下面の一部には、凹部からなる基板挿入部139が設けられている。
【0022】
取付台150は合成樹脂を略円板状に成形して構成されており、ケース50とほぼ同一の外形寸法を有している。取付台150の中央には押釦つまみ30の押圧部33を挿通して軸支する開口部151が設けられ、上面の開口部151の周囲には上方向に向かって突出する筒状の突起からなる軸部153が設けられている。軸部153の側面には、前記押釦つまみ30の回り止め39に係合する軸方向(上下方向)に延びるスリット及び溝からなる回り止め係合部155が形成されている。一方前記ケース50の各取付台取付部57に対向する複数の位置(この例では4か所の位置)には、貫通孔からなる取付部157が設けられ、また外周の所定位置(本例では各取付部157の外側の4か所の位置であって、前記支持部材130の各係合部135に対向する位置)には、半径方向外方に向かって舌片状に突出する係合片159が設けられている。取付台150の下面の各取付部157の間の所定位置(各取付部157間の中間位置)には、下方向に向かって突出する柱状の押圧部163が設けられている。取付台150の上面の前記軸部153の周囲には、複数の凹凸をリング状に形成してなるクリック係合部165が設けられている。
【0023】
フレキシブル回路基板170は可撓性を有する合成樹脂フイルム上に所望の回路パターンを設けて構成されており、この例では合成樹脂フイルムとして熱可塑性のPET(ポリエチレンテレフタレート)フイルムを用いているが、他の各種熱可塑性、熱硬化性、光硬化性の合成樹脂フイルムを用いて構成しても良い。フレキシブル回路基板170は、摺接パターン179が形成された第1回路基板部171と、中央スイッチ183とその周囲を囲む4つの押圧スイッチ185とが形成された第2回路基板部175とを、帯状の連結部173によって連結して構成されている。
【0024】
第1回路基板部171は略円形の外形を有し、中央に取付台150の軸部153とクリック係合部165とを挿通(露出)する円形の開口部177を設け、またその下面の開口部177の周囲に所望の摺接パターン179を設けて構成されている。摺接パターン179は、図では詳細な記載を省略しているが、スイッチパターンや抵抗体パターンなどである。第1回路基板部171の前記ケース50の各取付台取付部57に対向する4か所の位置には、貫通孔または切り欠きからなる挿通部181が設けられている。
【0025】
第2回路基板部175は第1回路基板部171とほぼ同じ大きさで略矩形状の外形を有し、その上面(前記摺接パターン179を設けた反対側の面)の中央に中央スイッチ183を設置し、中央スイッチ183の周囲の複数の位置(この例では同一円周上の等間隔(90°間隔)の4か所の位置)に押圧スイッチ185を設置して構成されている。中央スイッチ183と押圧スイッチ185は何れも同一構造であり、図示しない一対のスイッチ接点上に弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(可動接点板)183a,185aを取り付けて構成されており、反転板183a,185aを押圧してこれを反転することでスイッチがオンする構造となっている。また第2回路基板部175の前記支持部材130の3つの取付部137に対向する位置には、貫通孔からなる挿通部187が形成されている。なお中央スイッチ183と押圧スイッチ185の出力は図示しない回路パターンによって第2回路基板部175の外周に連結した帯状の引出部189に引き出されている。
【0026】
保持板190は硬質板で構成され、この例では金属板(ステンレス板)を用いているが、合成樹脂板等の他の材質を用いても良い。保持板190は略矩形状であり、前記第2回路基板部175を載置する寸法形状に形成され、前記支持部材130の6か所の取付部137に対向する位置に貫通孔からなる挿入取付部191を設けるとともに、それら以外の場所に2つの取付孔193を設けて構成されている。
【0027】
次にクリック機能付き電子部品1の組立方法を説明する。まず回転つまみ10の開口部13の押釦つまみ収納部15の下側から押釦つまみ30の本体部31を挿入し、操作部35を開口部13から回転つまみ10の上面側に露出させた状態で設置する。次に回転つまみ10及び押釦つまみ30の下側にケース50を設置し、その際ケース50の開口部53内に上側から回転つまみ10の軸部17を挿入することでケース50の上部に回転つまみ10を回動自在に設置する。
【0028】
次にケース50の下面側にクリック板70を設置し、その際押釦つまみ30の押圧部33をクリック板70の弾接アーム部75の中央の孔に挿通させながらクリック板70の一対の連結部77を回転つまみ10の連結部挿入部14に挿入することで、弾接アーム部75を押釦つまみ収納部15内に収納すると同時に、クリック板70の取付部71を回転つまみ10の軸部17の下端辺上に設置して各取付部19を被取付部81に挿通する。次にクリック板70の下面側にこれに重ねるように摺動子110を設置し、その際回転つまみ10の各取付部19を摺動子110の各取付固定部113に挿入して各取付部19の先端を熱かしめすることで潰し、これによって回転つまみ10にクリック板70と摺動子110とを一体に固定する。このときクリック板70の取付部71はその外周近傍部分がケース50のクリック板当接部59に当接しており、従って回転つまみ10とクリック板70及び摺動子110はケース50を挟んでその上下に位置し、ケース50に対して一体に回動自在となる。また押釦つまみ収納部15はクリック板70の弾接アーム部75によって一部が塞がれるので、押釦つまみ30の本体部31は押釦つまみ収納部15内から抜け出ることはない。
【0029】
次に図4に示すフレキシブル回路基板170の第1回路基板部171をその下面を上に向けた状態で取付台150上に載置し、その際第1回路基板部171の開口部177に取付台150の軸部153及びクリック係合部165を挿通し、これらを前記回転つまみ10等を取り付けたケース50の下側に設置する。その際ケース50の各取付台取付部57を第1回路基板部171の各挿通部181と取付台150の各取付部157に挿入し、取付台150の下面から突出する各取付台取付部57の先端を熱かしめして固定する。このとき押釦つまみ30の押圧部33は取付台150の軸部153の内部(開口部151内)に挿入され押圧部33の下端は取付台150の下面に露出する。次に連結部173を折り曲げることで第2回路基板部175を取付台150の下面側に設置し、さらに第2回路基板部175の下面側に保持板190を設置した上で、回転つまみ10の上部から被せるように支持部材130を第2回路基板部175上に設置する。このとき支持部材130の開口131内に前記ケース50や取付台150等が設置され、また支持部材130の各係合部135内に取付台150の各係合片159が所定の短い寸法上下動自在に挿入され、さらに支持部材130の各取付部137が第2回路基板部175の各挿通部187と保持板190の各挿通部191に挿入される。またこのとき折り曲げた連結部173は支持部材130の基板挿入部139に位置する。そして保持板190の下面から突出する各取付部137の先端を熱かしめすれば、クリック機能付き電子部品1の組立が完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0030】
これによりケース50の上部に設置した回転つまみ10と、ケース50の下部に設置したクリック板70及び摺動子110が、ケース50の上下でケース50に対して一体に回転自在に設置される。またこのときクリック板70のクリック弾接部79は取付台150のクリック係合部165に弾接係合した状態となり、また摺動子110の接点部117は第1回路基板部171の摺接パターン179に当接した状態となっている。また押釦つまみ30の押圧部33の下面は中央スイッチ183の反転板183aに当接して上方向に押し上げられ、つば部37の上面が回転つまみ10の下面に接近又は当接している。また取付台150は各押圧部163が各押圧スイッチ185の反転板185aに当接して水平状態を保っている。
【0031】
そして回転つまみ10の本体部11を指などで回転すれば、クリック板70と摺動子110とが回転つまみ10と一体に回転し、摺動子110の接点部117が摺接パターン179上を摺動して摺接パターン179の電気的出力が変化する。同時に、クリック板70のクリック弾接部79が取付台150のクリック係合部165に弾接係合してクリック感覚が生じる。
【0032】
一方押釦つまみ30の操作部35を押圧すれば、押釦つまみ30が下降してその押圧部33が中央スイッチ183の反転板183aを押圧して反転し、中央スイッチ183がオンする。押釦つまみ30への押圧を解除すれば反転板183aの弾性復帰力によって中央スイッチ183はオフする。また回転つまみ10の本体部11上面の前記取付台150の4か所の押圧部163の何れかに対応する部分を押圧すれば、ケース50や押釦つまみ30等、取付台150上に設置されている構成部品が取付台150と一体に押圧された方向に傾いて揺動し、下降した側の押圧部163が対向する押圧スイッチ185の反転板183aを押圧して反転し、押圧スイッチ185がオンする。回転つまみ10への押圧を解除すれば、反転している反転板185aの弾性復帰力によって回転つまみ10及び取付台150等の各構成部品が一体に元の位置に自動復帰し、押圧スイッチ185がオフする。
【0033】
以上説明したようにこのクリック機能付き電子部品1は、図2に示すように、ケース50と、ケース50を覆う回転つまみ10と、ケース50の回転つまみ10を設置した反対面側に設置されて回転つまみ10と一体に回転するクリック板(回転体)70と、回転つまみ10及びクリック板70の回転によって電気的出力を変化する電気的機能部(摺動子110と摺接パターン179からなる)と、回転つまみ10の中央に設けた開口部13内に設置される押釦つまみ30と、押釦つまみ30によってオンオフされる中央スイッチ183と、を具備し、回転つまみ10の開口部13の押釦つまみ30の下側の空間Cに、回転つまみ10と一体に回転するクリック弾接部79と、このクリック弾接部79が回転しながら弾接してクリック感覚を生じさせるクリック係合部165とを有してなるクリック機構を設置して構成されている。このように、クリック弾接部79とクリック係合部165とを有してなるクリック機構を、回転つまみ10中央の開口部13の押釦つまみ30の下側の空間C(押釦つまみ30を上下動するために必要な空き空間、いわゆるデッドスペース)に設置したので、ケース50の外周近傍部分にクリック機構を設置する必要がなく、クリック機能付き電子部品1の外径の小型化が図れる。
【0034】
またこのクリック機能付き電子部品1においては、回転体をクリック板70で構成するとともに、摺動子110をこのクリック板70に取り付けたので、従来設置していた成形樹脂製の回転体が不要になり、クリック機能付き電子部品1の厚みの薄型化が図れる。
【0035】
またこのクリック機能付き電子部品1は、ケース50を載置する取付台150と、この取付台150を揺動自在に支持する支持部材130と、取付台150の揺動によって押圧される押圧スイッチ185とを具備して構成されており、これによって回転式電子部品と押圧式電子部品と揺動式電子部品の機能を一体化した多機能型のクリック機能付き電子部品1がコンパクト(外径の小型化と厚みの薄型化)に構成されている。
【0036】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記クリック機能付き電子部品1では、第1回路基板部171と第2回路基板部175を連結部173によって一体に連結しているが、第1回路基板部171と第2回路基板部175とを別個の回路基板として構成しても良い。その場合、第1回路基板部171と第2回路基板部175の少なくとも何れかを硬質の回路基板で構成することもできる。
【0037】
また上記クリック機能付き電子部品1では、厚みの薄型化のためにクリック板70に成形樹脂製の回転体の機能を兼用させ、このクリック板70に摺動子110を取り付けたが、外径の小型化のみを図る場合は、成形樹脂製の回転体にクリック板と摺動子とを取り付けても良い。
【0038】
また上記クリック機能付き電子部品1では、電子部品に揺動式電子部品の機能を持たせるために取付台150を支持部材130によって揺動自在に支持させたが、取付台150を揺動自在に支持する構造として他の各種構造を用いても良い。なおこのクリック機能付き電子部品1にかかる支持部材130は取付台150の外周にこれを囲むように設置するだけの構造なので、構造が簡単で、厚みの薄型化が図れて好適である。さらに電子部品に揺動式電子部品の機能を持たせる必要がない場合は、取付台150を支持部材130によって揺動自在に支持させる構造や押圧スイッチは不要となる。
【0039】
また上記クリック機能付き電子部品1では、中央スイッチ183や押圧スイッチ185を、1枚の合成樹脂フイルム上に形成した接点パターン上に反転板を取り付けることで構成しているが、これらのスイッチは2枚の合成樹脂フイルムを重ね合わせて両合成樹脂フイルムにそれぞれ設けた一対の接点パターンを隙間を介して対向させ、一方の合成樹脂フイルムに設けた接点パターンの裏面側に反転板を設置することで構成されるいわゆるメンブレンスイッチで構成しても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 クリック機能付き電子部品(電子部品)
10 回転つまみ
13 開口部
30 押釦つまみ
50 ケース
70 クリック板(回転体)
71 取付部
75 弾接アーム部
79 クリック弾接部(クリック機構)
110 摺動子(電気的機能部)
130 支持部材
150 取付台
165 クリック係合部(クリック機構)
170 フレキシブル回路基板(回路基板)
171 第1回路基板部
175 第2回路基板部
179 摺接パターン(電気的機能部)
183 中央スイッチ
185 押圧スイッチ
190 保持板(保持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケースを覆う回転つまみと、前記ケースの前記回転つまみを設置した反対面側に設置されて前記回転つまみと一体に回転する回転体と、前記回転つまみ及び回転体の回転によって電気的出力を変化する電気的機能部と、前記回転つまみの中央に設けた開口部内に設置される押釦つまみと、前記押釦つまみによってオンオフされる中央スイッチと、を具備する電子部品において、
前記回転つまみの開口部の前記押釦つまみの下側の空間に、前記回転つまみと一体に回転するクリック弾接部と、このクリック弾接部が回転しながら弾接してクリック感覚を生じさせるクリック係合部とを有してなるクリック機構を設置したことを特徴とするクリック機能付き電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載のクリック機能付き電子部品において、
前記回転体は、前記クリック弾接部を有するクリック板で構成され、
一方前記電気的機能部は、前記クリック板に取り付けられる摺動子と、この摺動子に対向する位置に設置される回路基板に設けられて前記摺動子に摺接する摺接パターンと、を具備して構成されていることを特徴とするクリック機能付き電子部品。
【請求項3】
請求項2に記載のクリック機能付き電子部品において、
前記ケースを載置する取付台と、この取付台を揺動自在に支持する支持部材と、前記取付台の揺動によって押圧される押圧スイッチと、をさらに具備していることを特徴とするクリック機能付き電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−134574(P2011−134574A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292753(P2009−292753)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】