説明

クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】 極性制御部材としてブレードを用いるクリーニング装置で、長期にわたる画像形成動作におけるブレードがかけて筋状のトナーのすりぬけによるクリーニング不良の発生を抑え、極性制御ブレードからすり抜けたトナーが極性制御ブレードの腹面に固着するのを抑えるクリーニング装置を提供する。
【解決手段】 表面移動する感光体11、中間転写ベルト61等の像担持体上のトナーをクリーニングするクリーニング装置20、ベルトクリーニング装置70において、極性制御ブレード23は、像担持体に当接する側の極性制御ブレード23の表面には導電性フィラー31が露出していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真法、静電記録法、静電印刷法など静電潜像から画像を形成するときに用いられるクリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真形成法は、帯電手段を用いて像担持体表面を一様に正もしくは負電荷を帯電させた後、画像に応じた露光を施し、静電潜像を形成する。そして、現像装置で像担持体上の静電潜像とは逆極性に帯電したトナーが潜像を現像し、転写手段を用いて紙等の転写紙もしくは中間転写体にトナー像を転写する。像担持体上の転写残トナーをクリーニング装置によって像担持体上から除去し、像担持体表面上にトナーのない状態で帯電手段に循環することで、繰り返し使用することが可能となる。また、中間転写体上のトナーがクリーニングされないで次の二次転写の紙等に転写される時、紙表面に中間転写体の残トナーが転写され地肌汚れの原因となる。クリーニング装置にはブレードクリーニング方式、導電性もしくは絶縁性のブラシローラ方式が知られている。従来一般的な方式としては構成が簡単で安価な方式である機械的にトナーを堰き止めるブレードクリーニングが用いられてきた。
【0003】
しかし、最近では高画質化の要求によってトナーは、小粒径化傾向にある。又、トナーの製造においても省エネ化のために重合工法が主流となってきた。
重合工法においてはトナー形状を異形化する工程のない球形形状で使用することが、コスト的に安価となる。更に、球形化することで転写効率が向上し、転写残トナーとして廃棄されるものが低減することでより一層省エネ効果が上がると考えられている。
また、トナーが現像プロセス(バイアス、潜像電位)によって像担持体に付着すると像担持体表面に作用する主な力として、鏡映力とファンデルワールス力がある。鏡映力は電荷量とその距離に大きく依存する。従来の粉砕によって生成された粉砕トナーはその表面に凹凸があり摩擦帯電により、凸部が集中的に帯電される。これに対して重合法によって生成された重合トナーはその表面が球形又は球形に近い形状を有するため表面が均一に帯電される。そして粉砕トナーにおいては、凸部で接触し非常に近接した領域に多くの電荷が存在するために、鏡映力増大する。一方重合トナーのよう球形をしていると、接触状態はほとんど点状になり、且つ近接領域の電荷量も少なく、粉砕トナーに比べて鏡映力が小さくなる。
粉砕トナーを用いた場合には、多くのトナーの中には上記のような凸部で接触するトナーが多数存在し、この場合にはファンデルワールス力は非常に大きくなる。これに対して、重合トナーは表面形状が球状であるためトナーはほとんど点で接触する。よって、ファンデルワールス力も重合トナーの方が小さくなる。
このように、接触力の観点から、球形に近い重合トナーの場合、感光体に対する鏡映力、ファンデルワールス力、つまり付着力が小さくなり転写における転写残トナーが少なくトナー消費量が小さくなって経済性の向上となる。
【0004】
しかし、残トナーのクリーニングにおいて、ブレードを用いてこの重合工法で製造される小径且つ球形のトナーをクリーニングするためには、ブレードを強い力で像担持体上に押し付けないとせき止めることは出来ない。強い力で押し付けることは、ブレードや像担持体表面層の磨耗が加速される。特に粗面の紙への転写画像を良好にするために、転写ベルトに弾性体を使用し始めてきた。弾性ベルトに対してブレードのクリーニング性は初期的には問題ないが経時でクリーニング不良が問題となってきた。これらの問題を解決するために更に強い力でブレードを押し付けることで、像担持体を駆動するためのモータトルクも大きくしなくてはならないなどの欠点がある。
そこで、像担持体へのダメージ低減と小径でかつ円形度の高いトナーをクリーニングする方式として静電気力でトナーを吸着させる静電ブラシローラを用いた方式が検討されてきた。
【0005】
これまでの静電ブラシクリーニング装置は転写後の残トナーが電荷を持っているためその電荷をもつ特性を利用して、ブラシに反対の極性を印加してブラシで吸着除去させていた。その残トナーの電荷は放電によって、正/負極性のいずれも有する場合が多い。一般的には転写する時のバイアス電圧は正であるため、現像後の負極性トナーが吸着転写され、転写されなかったトナーは後工程にすり抜けていく。しかし、前述したごとく転写電圧によって転写媒体間で放電が生じて片側極性だけにならないで正負両者が混在するのが現実である。ブラシなどのバイアス電圧手段によって正/負極の電圧を印加する構成としていた。
また、他の方式として極性制御部材によって片側に極性を揃えて、清掃部材に揃えた極性と反対の電圧を印加して吸着する方式もこれまでにあった。この極性制御部材としてはトナーと接触しないで極性を変える方法と接触させて変える方法がある。
非接触方式としてはコロナ等のイオン照射でトナー外周にイオン付着させるものである。この方式は高電圧放電によってイオン以外の環境汚染や人体に有害なオゾンが生じるなどの欠点がある。
接触方式は放電させないで摩擦帯電、電荷注入などの作用によって電荷制御する。具体的には導電性ブラシ、導電性ブレードなどと接触させて行なう。しかし、ブラシの場合はトナーが大量に入力された時はブラシと接触しないですり抜けたり、トナーが付着して時間と共に制御能力が低下したりする。
ブレードを使用する場合は大量に転写残トナーが入力されてきた時でもブレードの本来の機能である掻き落とすことよりブラシへの負担が軽減されて有効である。
このブラシに付着したトナーは接触している回収ローラに静電気力で移送される。この回収ローラに付着したトナーは再びブレードによって掻き落とされて回収される。
【0006】
極性制御部材を有するクリーニング手段としては、特許文献1では、クリーニングブラシに付着したプラス極性のトナーとマイナス極性のトナーを回収する回収ローラを、導電性部材と導電性部材上に形成された絶縁性部材からなる表面層とを有する高抵抗回収ローラとし、回収ローラの表面に当接して回収ローラ表面を清掃する部材に回収ローラに印加する電圧の極性と同極性の電圧を印加して、回収ローラ表面に電荷を付与するクリーニング装置が開示されている。しかし、回収部材に関して表面電荷付与の極性を変えることブラシローラに付着したトナーの回収性を向上させることであり、極性制御ブレードの欠けなどによって極性制御されないトナーに対しては有効な手段ではない。
また、特許文献2では、クリーニングブラシに印加される電圧の極性と逆極性に帯電するクリーニングブラシを用いることで、被清掃体表面上のマイナス極性に帯電したトナーとプラス極性の帯電したトナーの両方をブラシ繊維に付着させることができ、これにより、ブラシ繊維に付着せずに、被清掃体に付着したままクリーニングブラシを通過してしまうトナーをほとんどなくすことができ、クリーニング不良を抑制することができるクリーニング装置が開示されている。しかし、ブラシに印加される電圧の極性と逆極性に摩擦帯電するクリーニングブラシにすることでクリーニング性能を高めることを目的としているが、耐久性能は向上しない。
また、特許文献3では、感光体の表面に接触する帯電ブラシ(ブラシ接触子)に、転写ローラによるトナー像の転写材への転写により反転したトナーの帯電極性を感光体の帯電極性と同極性に制御する電荷制御剤を付与することにより、転写残トナーの感光体への付着が防止されて、現像装置の現像ローラでの転写残トナーの回収性が向上し、均一な帯電を長期にわたって維持することができる画像形成装置が開示されている。しかし、帯電部材によって極性を揃えて、現像器にトナーを回収するクリーニング装置であるが、帯電装置としてブラシを用いているため、多量の転写残トナーが入力されると回収仕切れなく、庫裏人具不良が生じる。
また、特許文献4では、電子写真感光体表面に当接配置された少なくとも1つのブラシローラと、前記ブラシローラを構成する糸状ブラシ繊維の表面粗さRaが、0.15μm≦Ra≦3.5μmの範囲であることを特徴とする電子写真感光体用クリーニング装置等を備える画像形成装置である。しかし、二つのブラシを用いて極性の異なるトナーを静電的に吸着するクリーニング方式であるが、ブラシにはブラシ間の隙間があるため、ベタ画像などの多量の残トナーが入力すると、クリーニングしきれなくなり、初期性能すら満足できない。
【0007】
この極性制御部材を用いるクリーニング装置では、長期にわたる画像形成動作に対する耐久性が、最も大きな課題となる。極性制御部材は、トナーを掻き落とす機能とすり抜けるトナーを片側に揃えるという機能とが要求されるため、ロバーストネスで無ければならない。しかし、長期にわたる画像形成動作を行なうことで、ブレードがかけて筋状のトナーのすりぬけがあると、そのトナーは極性制御されないで筋状のクリーニング不良が生じることがわかった。また、ブレードからすり抜けたトナーはブレードの腹面に固着するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、極性制御部材としてブレードを用いるクリーニング装置で、長期にわたる画像形成動作におけるブレードがかけて筋状のトナーのすりぬけによるクリーニング不良の発生を抑え、極性制御ブレードからすり抜けたトナーが極性制御ブレードの腹面に固着するのを抑えるクリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明のクリーニング装置は、像担持体上のトナーの電荷極性を制御する極性制御ブレードを具備するクリーニング装置において、前記極性制御ブレードは、導電性フィラーを含有し、かつ、該極性制御ブレードが像担持体に当接する側の表面に前記導電性フィラーが露出していないことを特徴とする。
または、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記極性制御ブレードは、前記像担持体に当接する側の極性制御ブレード表面の近傍には導電性フィラーが存在しないことを特徴とする。
または、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記極性制御ブレードが含むイオン導電体が全体に分散していて、前記極性制御ブレードが含む導電性フィラーが表面から当接しない側に向かって濃度が高くなることを特徴とする。
または、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記極性ブレードはさらにイオン導電体を含有し、前記極性ブレードを支持するブレード支持板とを備え、前記極性ブレードとブレード支持板との間にイオン導電体のしみだしを抑制するしみだし抑制層と備えることを特徴とする。
または、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記しみだし抑制層は、イオン導電体を含まないことを特徴とする。
または、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記像担持体に当接する側の極性制御ブレードの表面抵抗率は、1.0×10Ω/cm以上であることを特徴とする。
または、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記極性制御ブレードは、熱硬化性のポリウレタン、少なくとも導電性フィラーを添加して遠心成型されたものであることを特徴とする。
または、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記極性制御ブレードは、熱硬化性のポリウレタンを主成分とする組成物を遠心成型された後に、熱硬化性のポリウレタン樹脂を主成分とする組成物に少なくとも導電性フィラーを添加して遠心成型されたものであることを特徴とする。
または、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記極性制御ブレードは、空気面が像担持体に当接されていることを特徴とする。
または、本発明のクリーニング装置は、さらに、熱硬化性のポリウレタンを主成分とし、導電剤を含有しない組成物を遠心成型された後に、熱硬化性のポリウレタン樹脂を主成分とする組成物に少なくとも導電性フィラーを添加して遠心成型されたものであることを特徴とする。
【0010】
本発明のプロセスカートリッジは、少なくとも像担持体を備え、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記プロセスカートリッジは、さらに、上記に記載のクリーニング装置を用いて一体に支持されていることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、像担持体に形成された静電潜像を、トナーで現像して画像を形成する電子写真方式の画像形成装置において、前記画像形成装置は、請求項1ないし8のいずれかに記載のクリーニング装置を用いることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、少なくとも像担持体とクリーニング装置とを一体にして、画像形成装置本体に着脱可能にしたプロセスカートリッジ形態であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、形状係数SF1が100〜150の範囲であって、トナーの体積平均粒径が6μm以下の範囲にあるトナーを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の実施形態に係るクリーニング装置では、極性制御ブレードを用いることで、感光体、中間転写ベルト上に残留するトナーを、長期にわたる画像形成動作であっても、ブレードがかけて筋状のトナーのすりぬけによるクリーニング不良の発生を抑え、極性制御ブレードからすり抜けたトナーが極性制御ブレードの腹面に固着するのを抑えることができた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に適用される感光体をクリーニングするクリーニング装置の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に適用される中間転写ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置の構成を示す概略図である。
【図4】本発明の実施形態に適用されるクリーニング装置におけるクリーニング機構を説明するための模式図である。
【図5】トナーの電荷とブラシローラ等の電位差によるトナーの移動モデルを模式的に示す図である。
【図6】回収ローラへの表面印加電圧によって回収ローラ表面電位の変化を示すグラフである。
【図7】従来の極性制御ブレードの内部構造を模式的に示す図である。
【図8】本発明の実施に形態に適用されるクリーニング装置に用いられる極性制御ブレードの内部構造を模式的に示す図である。
【図9】本発明の実施の形態であるクリーニング装置に用いられる極性制御ブレードの製造方法を示す概略図である。
【図10】導電性フィラーとしてカーボンを含有し、遠心成型法により形成された極性制御ブレードの表面抵抗率を示すグラフである。
【図11】極性制御ブレードの表面抵抗率とブレード先端の摩耗量との関係を示すグラフである。
【図12】極性制御ブレードによるトナーの電荷極性の制御を概念的に示す図である。
【図13】絶縁性ブレード層と導電性ブレード層の積層型の極性制御ブレードの一形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。以下に本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。なお以下では、画像形成装置として、中間転写ベルトを用いるタンデム方式を採用したフルカラー画像を形成可能な複写機について説明するが、本発明に係る画像形成装置としては、図示のものに限定されず、プリンター、ファクシミリ装置、複合装置等々種々の装置に適用できる。
図1を用いて、画像形成装置としての基本構成とその動作について説明する。
図1は、本発明の実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
図示の画像形成装置1の下部に記録材としての用紙を収納する給紙カセット81を配した給紙装置80を設け、その上方に作像部2を配置した構成となっている。作像部2は、像担持体(以下、「感光体」と記す)11Y、11M、11C、11K(以下、特に色を特定する必要がなければ感光体11と言う。)、クリーニング装置等を備えた複数の作像手段として4個の作像ユニット10で、ここでは、プロセスカートリッジ10の形態を成している。その下部には、複数の支持ローラ65、66に巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成した中間転写体としての中間転写ベルト61と、各感光体11に潜像を形成する潜像形成装置である露光装置12と、用紙にトナー像を定着させる定着装置90等とが設けてある。
給紙カセット81から定着装置90までの間には、給紙カセット81から用紙を1枚毎に取り出す給紙ローラ82、転写装置60にタイミングを計って用紙を送り出すレジストローラ83で用紙を搬送する搬送経路が形成されている。
【0014】
中間転写ベルト61の支持ローラ65、66の間は、このベルトの下部側ベルト走行辺に相当している。中間転写ベルト61には、支持ローラ66と対向する部位に2次転写装置となる2次転写ローラ63を搬送経路に臨ませて配設し、支持ローラ65と対向する部位にベルト表面を清掃するベルトクリーニング装置70が配設してある。
作像ユニット10は、この下側走行辺に対向するように配置することで、中間転写ベルト61の下方に配設してある。各作像ユニット10は、中問転写ベルト61に接する感光体11をそれぞれ備えている。各感光体11の周りには、帯電ローラ46を備える帯電装置45、現像スリーブ等を備える現像装置40、ブラシローラ25を備えるクリーニング装置20がそれぞれ配置してある。各感光体11が中間転写ベルト61に接する位置における中間転写ベルト61の内側には、一次転写を行う転写装置60としての一次転写ローラ62がそれぞれ設けてある。
なお、本例において、作像ユニット10は、基本的には同一構造で構成してあり、一つの作像ユニット10の構造のみ示してある。各作像ユニット10では、各現像装置40に収納してあるトナーの色が異なっている。
【0015】
露光装置12は、光変調したレーザ光Lを各感光体11の表面に照射して、感光体11の表面に色毎の潜像を形成するものであり、本形態では、作像ユニット10の下方に配置してある。
また、図1に示すように、画像形成装置1の上部にはトナーボトル41Y、41M、41C、41K(以下、特に色を特定する必要がなければトナーボトル41と言う。)を有し通常はトナーボトル41のみの交換でトナーを補給し、感光体11や帯電装置45等のプロセスカートリッジ10の交換時期にのみプロセスカートリッジ全体を交換する。
なお、図1ではトナーボトル41が各色とも上側に配置され、下側にある各色のプロセスカートリッジ10までトナーを搬送してトナーを補給する構成となっている。この様な構成にすることで通常はトナーボトルの交換のみですむため、ユーザーのコストを低減できるようになる。また装置の他の部分を開け閉めや出し入れの回数が減るためにシャッタ部等でのトナー飛散が防止できるようになり、交換作業が容易であるので、カートリッジ寿命時や故障時に早急に交換でき、メンテナンス性が向上する。
【0016】
次に、画像形成動作について説明する。
画像形成動作が開始すると、各作像ユニット10の感光体11を図示しない駆動装置によって時計方向に回転駆動し、各感光体11の表面を帯電ローラ46によって所定の極性に一様に帯電させる。帯電した各感光体11の表面には、露光装置12からレーザ光Lをそれぞれ照射し、それぞれの表面に静電潜像を形成する。このとき、例えば、原稿を読み取る読取装置3で読み取った画像を演算装置にて、各感光体11に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成した静電潜像は、各感光体11と現像装置40の間を通るとき、各現像装置40に収納したトナーによってトナー像として可視像化する。
中間転写ベルト61を巻き掛けた複数の支持ローラ65、66のうち1つのローラを、図示していない駆動装置によって反時計方向に回転駆動し、これにより中間転写ベルト61を走行駆動し、他のローラを従動回転させる。このように走行する中間転写ベルト61には、各作像ユニット10で形成した各色のトナー像が一次転写ローラ62によって順次重ねて転写され、中問転写ベルト61の表面にはフルカラーのトナー像が担持される。
【0017】
トナー像を転写した後の各感光体11の表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置20によって各感光体11表面から除去し、感光体11の表面を図示しない除電装置によって除電し、表面電位を初期化して次の画像形成に備えさせる。
一方、給紙トレイ81から給紙した用紙を搬送経路へ送り込み、二次転写ローラ63よりも給紙側に配設したレジストローラ対83によって給紙タイミングをとってローラ66と二次転写ローラ66とのニップ部に給送する。このとき二次転写ローラ66には、中問転写ベルト61表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧を印加し、これによって中間転写ベルト61の表面のトナー像を用紙上に一括して転写する。トナー像の転写を受けた用紙を定着装置90へと搬送し、定着装置90を通過させる際に熱と圧を加え、トナー像を溶融させて定着させる。そして、トナー像が定着した用紙、すなわちプリント済みの用紙は、画像形成装置1の上部寄りに設けた搬送経路の終端に位置する排出ローラ84へと搬送し、画像形成装置1の上部に構成した積載部へと排出する。トナー像を用紙に転写した後の中間転写ベルト61上に残留したトナーはベルトクリーニング装置70より除去され、クリーニングされて次の画像形成に備える。
【0018】
このように構成した画像形成装置1は、4個の作像ユニット10を中間転写ベルト61に対向させて設け、中間転写ベルト61に順次各色のトナー像を重ねて転写するため、作像手段が1つで4色の現像装置を持ち、中間転写ベルト上にトナー像を重ねて転写し、その後用紙に転写する形式のものと比べて、作像時間を大幅に短縮する。また、画像形成装置1の上部に積載部が構成してあるので、画像形成装置1から積載部が周囲に飛び出ることがなく、設置面積や占有面積が小さくなる。
なお、以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、作像部2の作像ユニット10のいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色または3色の画像を形成したりすることもある。また、本形態の画像形成装置1を用いてモノクロ印刷をする場合には、ブラックの作像ユニット10の感光体11K上にのみ静電潜像を形成して、中間転写装置60によって用紙に転写し、定着装置90で定着すればよい。
また、作像ユニット10は、いわゆるプロセスカートリッジとし、感光体11、現像装置40、クリーニング装置20、帯電装置45が一体としてある。
【0019】
さらに、ここでは、クリーニング装置20、ベルトクリーニング装置70について詳細に説明する。上述した感光体11に残った転写残トナーはクリーニング装置20で回収され再び画像形成可能な状態となる。また、二次転写を終えた中間転写ベルト61は、ベルトクリーニング装置70によって、その表面に付着した二次転写残トナーや紙粉などの異物が清掃される。
図2は、本発明の実施の形態に適用される感光体をクリーニングするクリーニング装置の構成を示す概略図である。図2では、プロセスカートリッジ10として感光体11、帯電装置2、現像装置4及びクリーニング装置5から構成されていて、このプロセスカートリッジ10が単体で画像形成装置1に着脱可能であり、容易に交換できる。クリーニング装置20は、極性制御ブレード23、回収ローラ24、ブラシローラ25、回収ブレード26より構成されている。また、図3は、本発明の実施の形態に適用される中間転写ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置の構成を示す概略図である。中間転写ベルト61をクリーニングするベルトクリーニング装置70で極性制御ブレード73、回収ローラ74、ブラシローラ75、回収ブレード76更に最上流に紙粉ローラ77が装着されている。1次ブラシローラ78は中間転写ベルト61が紙と接触するため、紙から脱落する紙粉やタルクを除去するために装着している。
本発明が適用されるクリーニング装置20のクリーニング機構等に関しては、後述する。また、本発明が適用されるクリーニング装置20、70は、像担持体として感光体11、中間転写ベルト61のいずれにも適用することができるが、以下には、像担持体として主に感光体11に用いて説明する。
また、この他に、帯電装置の帯電ローラ、定着装置の定着ローラ、定着ベルトに適用することもできる。
【0020】
また、それぞれのクリーニング装置20、ベルトクリーニング装置70内には潤滑剤塗布手段50を設けても良い。塗布装置50は、感光体11に所定の線圧(18gf/cm)で、所定の反発弾性(50%)及びHs硬度(70)を持つポリウレタンゴム製の塗布ブレードが当接されており、固形潤滑剤52を削り取り感光体11表面上に供給する塗布ブラシローラを備える。クリーニング装置20によりクリーニングされた感光体11表面上には、塗布ブラシローラにより固形潤滑剤52の微粒子が供給され、塗布ブレードにより感光体11表面上に潤滑剤が均一に塗布される。
これにより、感光体11表面の摩擦係数が均一に低下するため、塗布された潤滑剤が感光体保護膜となり、フィルミングの発生を防ぎ、帯電ローラ46からの放電ハザード、特にAC成分による感光体11の劣化を防止することができる。固形潤滑剤としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸基を持つものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸銅、や、パルチミン酸、亜鉛パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウムを用いてもよい。他にも、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、及びリコリノレン酸カドミウム等の脂肪酸、脂肪酸の金属塩等も使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリン等のワックス等も使用できる。
【0021】
以下、本発明の実施形態に適用されるクリーニング装置のクリーニング機構について詳細に説明する。
図4は、本発明の実施形態に適用されるクリーニング装置におけるクリーニング機構を説明するための模式図である。
図4に示すように、転写工程では、感光体11上に現像されている負の極性を持ったトナーに、正の転写電圧を印加する。これによって、本来なら全てのトナーが、記録紙もしくは中間転写ベルト61等に転写されるはずである。しかし、転写工程における感光体11と中間転写ベルト61との間の狭いギャップに電界が形成されるため、剥離放電が生じ、この放電によって正負の両極の極性の電荷が形成され転写残トナーに印加されることから、転写残トナーT0の電荷はQ0と表しているが、正負の両者の極性が混在している状態にある。
この極性の混在したトナーを極性制御ブレード23によって、トナーT0を正又は負のいずれかの極性を有するトナーT1の状態にする。このときの、トナーの電荷をQ1と表しているが、この場合は正負のいずれかに単独の状態になっている。
次に、ブラシローラ25に感光体11と付着している静電気力より大きな静電気力で、トナーT1をブラシローラ25に付着させて、トナーT2としてクリーニングする。この工程を、一次クリーニングと称している。
次に、ブラシローラ25に付着したトナーT2を、回収ローラ24に移動させて、回収ローラ24上にトナーT3として回収する。この工程を二次クリーニングと称する。
最後に、回収ローラ24に付着したトナーT3を回収ブレード26で除去して、回収ブレード26からトナーT4を廃棄する。この工程を三次クリーニングと称している。
これによって、感光体11上の残トナーT0を廃棄トナーT4として回収される。
【0022】
図5は、トナーの電荷とブラシローラ等の電位差によるトナーの移動モデルを模式的に示す図である。
図5に示すように、感光体11の表面電位Vop、ブラシローラ25のブラシ表面の電位Vb、回収ローラ24のローラ表面電位Vrでそれぞれの間の電位差(Vb−Vop)、(Vr−Vb)と表している。また、それぞれのトナーT0、T1、T2の電荷量Q0、Q1、Q2と表している。静電気力は、トナーの電荷量と電位差によって変わる電界強度との積で規定される。ここでは、電界強度の距離に関しては言及しない。
したがって、静電気力は、それぞれのトナーT0、T1の電荷量Q0、Q1と電位差(Vb−Vop)、(Vr−Vb)との積で表される。
このときに、図4で示したように、感光体11上にある電荷量Q0のトナーT0を、極性制御ブレード23でトナーT1を電荷量Q1の状態にする。このときに、図5に示すように、電位差(Vb−Vop)を印加してブラシローラ25に回収する。このときに、ブラシローラ25状のトナーT2は、ブラシに摺擦されることから、その変動する値は小さいが電荷量Q2に変動する。
次ぎに、ブラシローラ25上にある電荷量Q2のトナーT2を、回収ローラ24との電位差(Vr−Vb)を印加して回収ローラ24に回収する。
次ぎに、同様の関係で、回収ブレード26まで、このような静電気力の不等関係でトナーは順次、移動して三次クリーニングで回収される。
【0023】
本発明の実施形態に適用されるクリーニング装置20における極性制御ブレード23は、上述したように、転写後のトナーが有する極性を揃えるための部品である。
転写後のトナーは正、負の極性が混在するため、極性制御ブレード23へ印加する極性に応じて、電荷注入又は放電のいずれかの現象でトナーの極性を所定の極性に制御する。他の重要な機能としてトナーのブラシローラ25への入力量を規制する働きを有している。これは、ブラシローラ25へのトナーの入力される量が多いと、ブラシローラ25でクリーニングしきれないという不具合が生じる。
これは、ブラシローラ25は、表面がブラシで覆われているために、例えば、金属ローラ等の表面と異なり全表面が感光体11と接触せず、ブラシ繊維が植毛されている箇所のトナーがブラシ繊維と接触することで静電気力によってブラシに付着して、感光体11がクリーニングされる。
前述したように、ウレタン等の板状のエラストマー製ブレードでは、球形で且つ小径のトナーをクリーニングするためには限界があって、長期安定したクリーニングをするためには、感光体11への押し付け力を従来比に比べ5倍以上の力を加えないとできなかった。このように大きな力を加えると、感光体11、クリーニングブレード共に損傷して耐久性を損なってきた。
しかし、完璧なクリーニングをしないで、ブラシローラ25で最終的なクリーニング機能を負わせる程度に感光体11上のトナーを減少させるには、それほど大きな力を加える必要は無い。つまり、エラストマー製ブレードはブラシローラ25によるクリーニング能力が追従可能な、トナーの入力される量に規制すれば、画像形成装置全体としては不具合が生じない。よって、極性制御ブレード23に要求される機能はトナーへの電荷帯電機能と余剰トナーのふるい落とし機能である。
【0024】
この極性制御ブレード23は、感光体11の表面を傷つけないで全面に接触するための材質はポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂のゴム、エラストマー等の弾性体が好適である。耐久性をもち、環境変動にも耐えられるブレードの要求物性は、硬度HS(JISA)65〜80度、23℃反発弾性係数15〜60%、ヤング率50〜200kg/cm、100%モジュラス60〜200kgf/cmの範囲にあることが好適である。
さらに、この極性制御ブレード23の電気的特性は、導電剤として導電性フィラー31とイオン導電体32が混合されている。導電性フィラー31としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、パラジウム、亜鉛、鉄、銅、銀などの金属系の粉体や繊維、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、硫化銅、硫化亜鉛などの複合金属粉、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN系カーボン、ピッチ系カーボンなどのカーボン粉があり、これらを単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。イオン導電体32はNa、Li、Ag、Sbなどがあるがいずれもイオン状態である。これらの導電性フィラー31は、一次粒子状態であると0.1μm以下の大きさであるが、アグロメレートして二次粒子の凝集体となると数μm〜数十μmの大きさとなる。イオン導電体32は、Na等のいずれもイオン状態であるため非常に小さく原子状態であると考えられる。
この極性制御ブレード23は、カーボンブラック等の導電性フィラー31とNa等のイオン導電体32の導電物質の両方を適宜に含有させて、所望の表面抵抗率が得られる。
また、トナーの電荷量を負極性に制御するために、印加電圧は−1000〜−4000Vが好適である。印加電圧が−1000V未満では放電効率が悪く、印加電圧が−4000を越えると感光体11の表面電位も過剰に負極性となってトナーと感光体11との付着力が強くなる等の不具合が生じる。
【0025】
本発明の実施形態に適用されるクリーニング装置20におけるブラシローラ25のブラシは、SUS、アルミニウム等の金属製の軸に、アクリル樹脂、スチレン樹脂、PET等のポリエステル樹脂などに導電剤を混入させた導電性ブラシである。この時の導電剤の構造はブラシ表面に単に分散させたものでなく、内部に挿入して表面に露出されない芯鞘構造にしたものである。ブラシの表面に導電剤が露出していると、トナーに電荷を注入してブラシ表面の電位Vbが維持できなくなる。ブラシの電気抵抗は10〜10Ωの範囲が好適である。ブラシの電気抵抗が10Ω未満ではトナーに電荷を注入し易くなり、トナーの電荷量Q1が大きくなってしまい、感光体11との電気的付着力が大きくなってクリーニングが困難になる。また、ブラシの電気抵抗が10Ωを越えると電界強度が小さくなって高電圧を印加しないとトナーを吸引するための電界が得られがたくなる。
また、トナーとの接触確率を上げるために植毛密度も重要な因子で7万本/in以上であることがよく、特に、10万本/in以上あることが好ましい。
さらに、ブラシとトナーとの接触確率を上げるためには、感光体11に対して接触する部分でカウンター方向に回転させ、線速比は0.5以上にすることで好ましい接触状態が得られる。また、その他に、ブラシの倒れがある。一般にブラシは直毛といわれているが、直毛状態であるとブラシの導電剤が露出している先端部とトナーが接触しやすい状態にある。そのため、ブラシの倒れは斜毛やブラッシング処理をすることで、感光体11の回転によってブラシが食い込まない方向に倒して、直接トナーと導電剤が接触しないようにすることが好ましい。
【0026】
本発明の実施形態に適用されるクリーニング装置20における回収ローラ24では、トナーの移動によって回収ローラ24の表面電位は単にローラの軸に電圧印加しただけでは低下する。電位が低下するとトナーを移動させるだけの電位ポテンシャルが確保できないため、トナーはブラシへ蓄積されロール化する。それを防ぐためにブラシローラ25表面にブラシ軸電圧よりポテンシャルで200〜500Vより大きな電圧を印加しなくてはならない。
同様に回収ローラ24表面にも回収ローラ24軸電圧より400〜800Vより高い電圧を印加しなくてはならない。よって、回収ローラ24のダメージとして、回収ブレード26による摺擦劣化と表面に印加される電圧によって生じる放電劣化の両者が加わる。
よって、これらの外部ダメージで回収ローラ24表面は荒れてくる。粗面になるとブレードと感光体11間の摩擦係数が小さくなり、摩擦力も同様に小さくなることで、トナーはブレード下面に潜り込み擦りぬけて行くようになる。図4に示すように、回収ローラ24で回収ブレード26をすり抜けたトナーQ3’はブラシに再付着してトナーQ2’となって、ブラシから感光体11表面に逆付着したトナーQ1’となって後の工程に悪影響を及ぼすようになる。よって、回収ローラ24に要求される特性は、電荷が逃げづらい絶縁性の部材であり、表面粗さが良好であること、更に放電や、摺擦に対して傷がつかないものにする。
【0027】
回収ローラ24は、金属材料を芯金として、樹脂材にインサートして一体成型できる。又、PET、PVDF、PFA、共重合ナイロンをチューブ状にして金属の芯金に被せても容易に剛性の有る絶縁性の回収ローラ24が製作できる。他の工法としては芯金としてアルミニウムを用いてアルマイト処理、テフロン(テフロンは、登録商標である。)硬質アルマイト処理をしても絶縁性の金属表面が得られる。金属材料表面にセラミックなどの無機材、PTFE,ポリイミド、ポリカなどの有機材をコートしても容易に絶縁性の回収ローラ24材が得られる。
この時、回収ローラ24表層の厚さが厚いと、環境変動の際に芯金との膨張係数の差や、吸湿による径変化によって、絶縁層にクラックや境界剥離が生じるので、厚さは1mm以下が良く、望ましくは0.5mm以下が良い。
【0028】
本発明の実施形態に適用されるクリーニング装置20における回収ブレード26は、回収ローラ24に当接されている。回収ブレード26は、回収ローラ24上のトナーをローラ表面から除去する機能を有している。さらに、ブラシからトナーが付着して回収ローラ24によってトナーが除去されることで、回収ローラ24表面電位が低下するため、ブラシローラ25と回収ローラ24間の電位差が低下するので回収ローラ24表面に電荷を付与させる機能とを有している。
図6は、回収ローラへの表面印加電圧によって回収ローラ表面電位の変化を示すグラフである。ブラシローラ25に700V、回収ローラ24に1000V印加し、ブレードへの印加電圧を1000、1500、2000Vと変えた時の回収ローラ24及びブラシローラ25のそれぞれの表面電位の時間変化を示している。
これから印加電圧が低いと時間と共に回収ローラ24表面電位はブラシ表面電位に近づいてくる。この状態となると、ブラシローラ25と回収ローラ24間に電位差がないため、トナーはブラシローラ25から回収ローラ24へ移動しなくなる。両者の機能を満足するために、回収ブレード26はポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ニトリルゴムなどのエラストマー材であって回収ローラ24との密着性が確保される必要がある。さらに、回収ローラ24への電荷を付与するために回収ブレード26自身の体積抵抗は、10×10Ω・cm以下にする。導電性を得るためにエラストマー材にカーボン、金属フィラー、イオン導電性剤などを添加することで導電性は得られる。
【0029】
本発明の実施形態に適用されるクリーニング装置における極性制御ブレード23について詳細に説明する。
図7は、従来の極性制御ブレードの内部構造を模式的に示す図である。
極性制御ブレード23は、少なくとも導電性フィラー31を含有して導電性にしている。その他に、イオン導電体32を併せて含有させることができる。ここでは、実施形態とし導電性フィラー31とイオン導電体32を併せて含有させている。この極性制御ブレード23は、トナーの極性制御とブラシローラ25へ多量のトナーが入力することを阻止する機能を持たなくてはならない。これまで、導電性フィラー31を含有する導電性ブレードは、導電性フィラー31等を含有しない絶縁性ブレードに比べて、ブレードエッジ部がかけることが頻発していた。これは、極性制御ブレード23からの導電性フィラー31の凝集体が脱落することで発生する。
エッジ部が欠けた場合には、転写残トナーが、極性制御ブレード23に入力すると、筋状に極性制御ブレード23からすり抜けて極性制御が十分にされずに、ブラシローラ25へと入力されるために、ブラシローラ25で回収されずに、クリーニング不良が生じる。
【0030】
図8は、本発明の実施に形態に適用されるクリーニング装置に用いられる極性制御ブレードの内部構造を模式的に示す図である。この模式図は極性制御ブレードの長手方向に垂直な平面における断面図で、上方が感光体等に当接される面であり、下方が極性制御ブレードを画像形成装置に支持するための支持板に接合される面である。極性制御ブレード23は、少なくとも導電性フィラー31を含有して導電性にしている。その他に、イオン導電体32を併せて含有させることができる。ここでは、実施形態とし導電性フィラー31とイオン導電体32を併せて含有させている。
(A)には、感光体11と当接する極性制御ブレード23のブレードエッジ部の表面には導電性フィラー31が露出していない状態を示している。また、(B)には、感光体11と当接する極性制御ブレード23のブレードエッジ部表面の近傍領域には導電性フィラー31が存在しないような範囲を形成している。また、(C)には、感光体11と当接する極性制御ブレード23のブレードエッジ部の表面には導電性フィラー31が露出していないし、表面近傍には導電性フィラー31が存在しないようにし、かつ、ブレードの内部で導電性フィラー31の濃度が傾きを持っていて、表面から内部に向かって導電性フィラー31の濃度が高くなっている。したがって、導電性フィラー31の極性制御ブレード23の表面の存在状態を制御することで、導電性フィラー31の脱落によるブレードエッジ部が欠けるの防止し、安定した画像形成が可能となる。
【0031】
図9は、本発明の実施の形態であるクリーニング装置に用いられる極性制御ブレードの製造方法の一例を示す概略図である。
本発明のクリーニング装置20、ベルトクリーニング装置70に用いる極性制御ブレード23では、遠心成型によって作成することできる。
(A)は、遠心成形装置の外観を模式的に示している。すなわち、遠心成形装置100は、金型本体101の中心部には、図示しない駆動源に連結される回転軸102が配設されている。金型本体101に設けられた開口部103を介して金型本体101の内部に、導電剤等の添加剤を含むポリウレタン等の熱硬化性樹脂を含有する組成物が供給される。供給された組成物は、駆動源の作動による金型本体101の回転によって、その内周面104の全域に均一に拡散される。内周面104の全域に均一に拡散した組成物は、金型本体101に埋設された図示しないヒータにより加熱を受けて硬化される。
このようにして遠心成形されたブレード体105は、金型本体101の回転を停止した後に金型本体101の内周面104である内壁から引き剥がされる。
その後、(C)に示すように、ブレード体105は、所定の寸法形状に切断されて極性制御ブレード23として利用される。
(B−1)は、組成物が硬化した後の金型本体101の断面概略図である。導電性フィラー31、イオン導電体32等の導電剤を含むポリウレタン樹脂の組成物を、金型本体101に供給し、遠心力で内周面104の全域に均一に拡散させると、質量の大きい導電性フィラー31に働く遠心力は、他の組成物に比べて大きいため、硬化する間に金型本体の内周面104側に移動する。これによって、ブレード体105としては、金型本体101の内周面104に接して、導電性フィラー31の存在割合の大きい金型面105aと、開放されていて、空気又は不活性ガスに接して、導電性フィラー31が表面に露出していない、または、表面近傍には存在しない空気面105bとが形成される。また、空気面105bから金型面105aにかけて、導電性フィラー31の濃度が次第に濃度が高くなるようにすることもできる。これらの導電性フィラー31の存在状態は、成型時の遠心回転数、成型温度・時間、さらに、供給する樹脂組成物の粘度、溶媒量等により制御することができる。
【0032】
図10は、導電性フィラーとしてカーボンを含有し、遠心成型法により形成された極性制御ブレードの表面抵抗率を示すグラフである。図中の金型面は、遠心成型の金型面側の抵抗値を示し、空気面とは、遠心成型の金型面とは逆で、開放された空気面側の抵抗値を示している。更に、図中の横軸の示すブレードAは、カーボンの含有量を100%としたとき、ブレードB、ブレードCは夫々、50%、30%の含有量を示している。図10より、ブレードのカーボンの含有量の減少に伴い表面抵抗率が上昇することがわかる。また、感光体11と当接するブレードエッジを遠心成型の金型面と空気面とでは10程度の表面抵抗率が上昇する。これは、空気面105bから金型面105aにかけて、導電性フィラー31の濃度が次第に濃度が高くなることによるものである。
図11は、極性制御ブレードの表面抵抗率とブレード先端の摩耗量との関係を示すグラフである。
これらのブレードA、B、Cの金型面/空気面のブレードを極性制御ブレード23として用いたところ、ブレードの摩耗量と表面抵抗率とには負の相関関係が見られた。
【0033】
極性制御ブレード23の機能は前述のごとくトナーを阻止することと、すり抜けるトナーの電荷の極性を電荷注入又は放電のいずれかの現象で所定の極性に制御することにある。
図12は、極性制御ブレードによるトナーの電荷極性の制御を概念的に示す図である。その際、図12に示すように、極性制御ブレード23の腹側と感光体11、中間転写ベルト61との間で放電が生じることがある。発生する放電によって、ジュール熱が発生し温度が高くなり、極性制御ブレード23の腹側に付着しているトナーが一旦溶融し、次ぎに、温度が低下して、トナーが凝固して固着する。このトナーの固着を回避するには、感光体11、中間転写ベルト61との間で発生する放電の電流密度を低く抑える必要がある。特に感光体11の場合は、表面層は体積低効率で1.0×1014Ω/cm以上の絶縁性であるため、放電の電流密度は低く抑えられているものの、中間転写ベルト61の場合は、ベルト表面の体積低効率で1.0×10Ω/cm〜1.0×1011Ω/cmと電気抵抗が低いことから、放電電流密度が高い領域が生じやすい。
本発明者の長期耐久試験の結果、1.0×10Ω/cmの表面抵抗率であると固着が生じないことがわかった。
【0034】
極性制御ブレード23の電気抵抗率は、導電性フィラー31に加えてイオン導電体32を含有し、それらの適切な配合量で決めることができる。しかし、イオン導電体32は、導電性フィラー31と比較して非常に小さいために、極性制御ブレード23のブレード表面にしみ出し易い物質である。このために、ブレード支持板と接合するときに接合強度を低下させる大きな要因となっている。
これまで、接合強度を高めるために、接合面にプライマーを塗布したり、ブレード面を物理的に荒らしたりして強度向上策を行ったが、十分な効果は得られなかった。
図13には、絶縁性ブレード層と導電性ブレード層の積層型の極性制御ブレードの一形態を示す概略図である。
本実施形態の極性制御ブレード23は、ブレード支持板との接合面に、イオン導電体32のしみだしを抑制するため、イオン導電体32を含まない絶縁性ブレード層34を有している。
このように、極性制御ブレード23は絶縁性ブレード層34と導電性ブレード層33の積層型でブレード支持板との接合面は絶縁性ブレード層34にすることで、イオン導電体32が特にしみ出しやすい傾向にある高温環境における環境性や、長期にわたる使用における接合強度の安定性・耐久性を確保することができる。
(B−2)には、図9に示すような積層型の極性制御ブレード23の製造方法の模式図を示す。最初に、導電性フィラー31等の導電剤を含有しない、または、含有していてもブリードによりブレード支持板との接合強度を低下させるほどの量が添加されていないポリウレタン樹脂等の組成物を供給して、回転させて加熱しながら半硬化状態にして絶縁性ブレード層34を形成し、次ぎに、電性フィラー31とイオン導電体32等の導電剤を含有するポリウレタン樹脂の組成物を供給して硬化させて導電性ブレード層33を形成することで、2層を有する積層型のブレード体105を形成することができる。
尚、本実施形態では、導電性ブレード層33と絶縁性ブレード層34との境界線が明確に積層された概略図としたが、導電性ブレード層33と絶縁性ブレード層34との境界線が明確ではなく、導電性ブレード層33から絶縁性ブレード層34へど導電剤の濃度が傾斜した構造であってもよい。また、絶縁性ブレード層34はイオン導電体を含まなければよく、しみだしを生じない導電性フィラー等を含有させて導電性を持たせても良い。
【0035】
また、本発明の実施の形態に適用されるクリーニング装置は、上述したように、感光体11に用いられる。感光体11としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、前述のように電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体11を有用に用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体11を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層9の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5重量%以上、好ましくは10重量%以上、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度が良好である。
【0036】
また、本発明の実施の形態に適用されるクリーニング装置20は、上述したように、中間転写ベルト61のベルトクリーニング装置70にも適用する。中間転写ベルト61は、感光体11上の各色のトナー像を各々を転写して重ね合わせたカラーのトナー画像を形成する。
中間転写ベルト61は、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂又は各種のゴムにカーボンブラックなどの導電剤を適当量含有させたものが用いられる。その、体積抵抗率は10〜1014Ω・cmの範囲にあることが好ましい。
ここで弾性を有する中間転写ベルト61としては、導電性弾性層の主基材として、シリコーンゴム、NBR、CR、EPDM、ウレタンゴムなどが用いられ、導電性保護層の材料は、摩擦係数の低減、電気特性の環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性能の向上といった目的を達成できるものであれば、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、PVDFなどのフッ素樹脂系ポリマーをアルコール可溶性ナイロン系、シリコーン系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルジョンや有機溶媒に溶解・分散した塗料を使用することができる。これら保護層は、上記の塗料をデイップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどにより設けることができる。更に、保護層に表面処理または研磨を施すことにより離型性、導電性、耐磨耗性、表面クリーニング性などを改善することができる。
【0037】
また、20本発明の実施の形態に適用されるクリーニング装置は、形状と体積平均粒径が、形状係数SF1が100〜150の範囲であって、体積平均粒径が6μm以下の範囲にあるトナーを用いる。電子写真はデジタル化、複合化が進み高画質化への要求がこれまで以上に増大している。そのため、画質の再現性向上のためにトナーの小粒径化が求められている。
さらに、製造時の環境負荷低減についても省エネ社会の要望が強くなってきた。これまでのトナー製造方法として溶融混練粉砕法が主流であったが、小粒径にするほど生産性が低下し、製造コスト上昇、製造時の環境負荷が大きくなるといった問題があった。
これに対して最近のトナー工法である重合法は小粒径且つシャープな粒径分布制御が比較的容易であり、着色剤及びワックスなどを内包する構造制御が可能なため、注目されている。しかし、重合法は通常の工程であるとトナー形状のSF1が100に近づき、真球形状に近くなるために、これまでのブレードクリーニングではクリーニングが出来ないという問題が生じてきた。そこで、重合法によるトナーでは、球形度を下げるために異形化工程を設けてSF1を大きくしてブレードクリーニングで使用してきた。しかし、この異形化工程はコストが高くなるというデメリットがあった。SF1の値が100の場合、トナー形状は真球となり、SF1が大きくなるほど不定形となる。
一般的にトナーの形状が球形に近くなるとトナーとトナーあるいはトナーと感光体11等との接触状態が点接触になるため、トナー同士の吸着力は弱くなって流動性が高くなる。又、トナーと感光体11等との吸着力も弱くなって転写率は高くなる。
さらに、形状係数SF1が100〜150の範囲で、これまで大きな問題であったブレードクリーニングし難いトナーであっても、本発明のクリーニング装置20では、トナーの電荷を制御して、ブラシローラ25でクリーニングすることで、感光体11等の表面から除去することができるようになった。したがって、本発明のクリーニング装置20に用いられるトナーは、形状係数SF1が100〜150、トナー平均粒径が6μm以下の範囲にすることで、本発明の構成のクリーニング装置20で、その機能を発揮できる。
ここでトナーの形状係数SF1とは、球状物質形状の“丸さ”の割合を示す数値であり、球状物質を二次元平面状に投影して出来る楕円状図形の最大長さMXLNGの二乗を図形面積AREAで割って、100π/4を乗じた値で表される。
つまり次式、によって定義されるものである。
SF1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)
トナー形状係数SF−1の測定は、日立製作所製の走査型電子顕微鏡SEM(S−2700)を用いて倍率1000倍に拡大したトナー像を、粒子個数が約100個(以上)となるよう無作為に抽出し、その画像情報をインターフェイスを介してニレコ(株)製の画像解析装置(LuzexAP)に導入して解析を行い、上式より算出された形状係数SF−1を求める手順である。本発明においては、上述の通り、SF−1が小さい場合にはトナーが感光体11とクリーニングブレードをすり抜けやすくなるためクリーニング不良が発生しやすい。また、SF−1が比較的大きい180以上の場合にはクリーニング性は良好になるが、一般的に転写効率が低下し転写白抜け等の画質劣化が発生するとされる。
【0038】
トナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明のクリーニング装置に対しては、3〜10μmが好ましく、とくに、6μm以下がより好ましい。
前記体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、10μmを超えると、特に、6μmを越えると高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの補給が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなることがある。
粒子の測定に用いたコールターカウンター及びフロー式粒子像装置の概略を示す。体積平均粒径の測定は、米国コールターエレクトロニクス社製のコールターカウンターTA−IIに個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)接続して用いた。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液に調整した。測定方法としては、アパーチャーとして50μmのアパーチャーを用いて個数を基準として求めた。
【0039】
本実施形態で使用したトナーは有機溶媒中にウレア結合しうる変性されたポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤を含有したトナー組成物を溶解或いは分散させ、水溶媒体中で粒子化するとともに重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去、洗浄、乾燥して得られたトナーを用いた。球形トナーを得る製造方法として、先述の製造方法以外に公知の乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等の重合法を用いてもよいし、従来の粉砕法のトナーを熱溶融してもえられた。
【符号の説明】
【0040】
1 画像形成装置
2 作像部
3 読取装置
10 作像ユニット/プロセスカートリッジ
11 感光体
12 露光装置
20 クリーニング装置
22 フリッカー
23 極性制御ブレード
24 回収ローラ
25 ブラシローラ
26 回収ブレード
30 廃トナー搬送スクリュー
31 導電性フィラー
32 イオン導電体
33 導電性ブレード層
34 絶縁性ブレード層
40 現像装置
41 トナー補給ユニット
42 現像スリーブ
45 帯電装置
46 帯電ローラ
50 潤滑剤塗布手段
51 ブラシ状ローラ
52 固形潤滑剤
53 潤滑剤
54 ループ状ブラシ
55 圧縮バネ
56 回収ローラ
57 フリッカー
60 転写装置
61 中間転写ベルト
62 一次転写ローラ
63 二次転写ローラ
65、66 支持ローラ
70 ベルトクリーニング装置
72 フリッカー
73 極性制御ブレード
74 回収ローラ
75 ブラシローラ
76 回収ブレード
77 紙粉ローラ
78 1次ブラシローラ
79 排トナー搬送スクリュー
80 給紙装置
81 給紙カセット
82 給紙ローラ
83 レジストローラ
84 排紙ローラ
90 定着装置
100 遠心成形装置
101 金型本体
102 回転軸
103 開口部
104 内周面
105 ブレード体
105a 金型面
105b 空気面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2008−197478
【特許文献2】特開2008−197477
【特許文献3】特許第3733253号
【特許文献4】特開2005−17480

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上のトナーの電荷極性を制御する極性制御ブレードを具備するクリーニング装置において、
前記極性制御ブレードは、導電性フィラーを含有し、かつ、該極性制御ブレードが像担持体に当接する側の表面に前記導電性フィラーが露出していない
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記極性制御ブレードは、前記像担持体に当接する側の極性制御ブレード表面の近傍には前記導電性フィラーが存在しない
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
前記極性制御ブレードは、前記像担持体に当接する側の極性制御ブレード表面から当接しない側に向かって前記導電性フィラーの存在する濃度が高くなる
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のクリーニング装置において、
前記極性ブレードはさらにイオン導電体を含有し、
前記極性ブレードを支持するブレード支持板とを備え、前記極性ブレードとブレード支持板との間にイオン導電体のしみだしを抑制するしみだし抑制層と備える
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項4に記載のクリーニング装置において、
前記しみだし抑制層は、イオン導電体を含まない
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のクリーニング装置において、
前記極性制御ブレードは、前記像担持体に当接する側の極性制御ブレードの表面抵抗率は、1.0×10Ω/cm以上である
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のクリーニング装置において、
前記極性制御ブレードは、熱硬化性のポリウレタンに、少なくとも導電性フィラーを添加して遠心成型されたものである
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項8】
請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記極性制御ブレードは、熱硬化性のポリウレタンを主成分とする組成物を遠心成型された後に、熱硬化性のポリウレタン樹脂を主成分とする組成物に少なくとも導電性フィラーを添加して遠心成型されたものである
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のクリーニング装置において、
前記極性制御ブレードは、空気面が像担持体に当接されている
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項10】
請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記極性制御ブレードは、熱硬化性のポリウレタンを主成分とし、導電剤を含有しない組成物を遠心成型された後に、熱硬化性のポリウレタン樹脂を主成分とする組成物に少なくとも導電性フィラーを添加して遠心成型されたものである
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項11】
少なくとも像担持体を備え、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記プロセスカートリッジは、さらに、請求項1ないし10のいずれかに記載のクリーニング装置を用いて一体に支持されている
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項12】
像担持体に形成された静電潜像をトナーで現像して画像を形成する電子写真方式の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、請求項1ないし10のいずれかに記載のクリーニング装置を用いる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、少なくとも像担持体とクリーニング装置とを一体にして、画像形成装置本体に着脱可能にしたプロセスカートリッジ形態である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、形状係数SF1が100〜150の範囲であって、トナーの体積平均粒径が6μm以下の範囲にあるトナーを用いる
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−217460(P2010−217460A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63728(P2009−63728)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】