説明

クリーニング装置及び画像形成装置

【課題】本発明の目的は、長期に渡って清掃能力を維持することができ、清掃能力の低下に起因する画像不良を防止することができるクリーニング装置を提供することである。
【解決手段】帯電ローラ2の表面に当接して前記表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置20であって、前記帯電ローラ2の表面に当接して前記表面に付着した付着物を捕集する捕集層を備え、前記表面に当接して回転しながら前記付着物を除去するクリーニングローラ21と、前記クリーニングローラ21の捕集層に当接して前記捕集層を研磨する研磨ローラ22と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体の表面又は像担持体の表面を帯電する帯電ローラの表面に当接して前記表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置及びこのクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式の画像形成装置において、像担持体としての感光体ドラムや帯電ローラの表面に付着したトナーや紙粉等の付着物を除去するクリーニング装置としては、以下の構成が知られている。
【0003】
具体的には、特許文献1に開示されているように、クリーニング部材としてのスポンジ部材(弾性部材)を用い、これを帯電ローラの表面に接触させて、その外周面を摺擦して付着物をクリーニングする構成が知られている。
【0004】
スポンジ材は多孔質であるため、感光体ドラムや帯電ローラの表面に付着した付着物をスポンジ材の孔に捕集することができる。また、スポンジ材は弾力性があり、感光体ドラムや帯電ローラの表面の形状に対応して変形しやすいため、特に取付精度を必要とせずに確実に付着物を除去することができる。また、スポンジ材は帯電ローラとの押圧接触で弾力性に抗して圧縮することにより、帯電ローラの凹凸や偏心に対しても確実に接触摺擦し、付着物を効果的に除去することができる。なお、スポンジ材は例えば発泡ポリウレンタンや発泡ポリエチレン等が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−297690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術は、スポンジ材(弾性部材)は、帯電ローラが回転し、繰り返し使用されると、スポンジ材の孔に付着物を捕集する能力が低下してしまう。すなわち、長期にわたって付着物を捕集する能力(清掃能力)が維持できない。そして、そのスポンジ材の捕集する能力(清掃能力)の低下した部分に対応する帯電ローラ上にトナーや紙粉等の付着物が蓄積してしまい、感光体ドラムを帯電する際の帯電不良の原因となり、濃度ムラ、スジ状の画像不良が生じてしまう。
【0007】
本発明の目的は、長期に渡って清掃能力を維持することができ、清掃能力の低下に起因する画像不良を防止することができるクリーニング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、像担持体の表面又は像担持体の表面を帯電する帯電ローラの表面に当接して前記表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置であって、前記像担持体又は前記帯電ローラの表面に当接して前記表面に付着した付着物を捕集する捕集層を備え、前記表面に当接して回転しながら前記付着物を除去する清掃部材と、前記清掃部材の捕集層に当接して前記捕集層を研磨する研磨部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、清掃部材の捕集層を研磨部材によって研磨することで、付着物を捕集する能力が低下した表層を削り取り、本来の捕集能力をもった新たな表層を出して、清掃能力を回復させることができる。これにより、長期に渡って安定した清掃能力を維持することができ、清掃能力の低下に起因する画像不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】クリーニング装置を有する画像形成装置の概略構成を示す要部模式図
【図2】帯電ローラの模式図
【図3】(a)、(b)はクリーニングローラの製造装置の一例を示す断面図、(c)はクリーニングローラの斜視図
【図4】(a)は帯電ローラのクリーニング装置の一例を示す模式断面図、(b)は研磨ローラの斜視図
【図5】研磨ローラの支持構成を示す模式図
【図6】研磨ローラの動作を制御する制御部の構成を示すブロック図
【図7】研磨動作の制御の流れを示すフローチャート
【図8】研磨ローラによる研磨時間を決定する係数表を示す表図
【図9】実施例と比較例との研磨力及び清掃能力を比較した結果を示す表図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
[画像形成装置]
まず、本実施形態に係るクリーニング装置を備えた画像形成装置について説明する。図1は画像形成装置の概略の構成を示す模式図である。
【0013】
この画像形成装置は、像を担持する像担持体としての感光体ドラム1を有している。感光体ドラム1は、軸線を中心に回転可能に設けられており、駆動機構(不図示)により図1の矢印方向(時計回り方向)に所定の速度で回転駆動される。
【0014】
回転する感光体ドラム1の表面は、帯電手段により所定の極性・電位に一様に帯電される。本例においてこの帯電手段は、帯電部材としての帯電ローラ2を用いた接触帯電装置(ローラ帯電装置)である。帯電ローラ2は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラである。そして、ローラ軸体の両端部をそれぞれ軸受部材を介して回転可能に支持させ、ローラ軸線を感光体ドラム1の軸線に対してほぼ並行に配列して感光体ドラム1に対して所定の押圧力で当接させて配設されている。本例において、この帯電ローラ2は感光体ドラム1の回転に従動して回転する。また、帯電ローラ2は、表層に樹脂粒子を混入させて表面の凹凸を形成している。この帯電ローラ2については後述する。
【0015】
帯電ローラ2の表面は、クリーニング装置を構成する、清掃部材としてのクリーニング(ウレタンスポンジローラ)21により清掃される。クリーニングローラ21は、帯電ローラ2の表面に当接して前記表面に付着した付着物(異物)を捕集して、帯電ローラ2の表面が局部的或いは全面的に付着物で汚れるのを防止する。このクリーニングローラ21は帯電ローラ2に対して従動して回転する。このクリーニングローラ21についても後述する。
【0016】
清掃部材としてのクリーニングローラ21の表層は、クリーニング装置を構成する、研磨部材としての研磨ローラ22により研磨される。研磨ローラを用いることで、付着物を捕集する能力が低下した表層を削り取り、本来の捕集能力をもった新たな表層を出して、清掃能力を回復させることができる。これにより、長期に渡って安定した清掃能力を維持することができ、清掃能力の低下に起因する画像不良を防止することができる。この研磨ローラ22についても後述する。
【0017】
そして、帯電ローラ2のローラ軸体に対して、帯電バイアス印加電源部P1から所定の直流電圧(DC帯電方式)、或いは所定の直流電圧に所定の交流電圧を重畳した電圧(AC+DC帯電方式)が帯電バイアスとして印加される。これにより、回転する感光体ドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に接触帯電される。本例では、感光体ドラム1の表面がマイナスの所定電位に帯電される。
【0018】
そして、その感光体ドラム1の帯電面に対して像露光手段3により像露光がなされる。これにより、感光体ドラム1の表面の露光明部が電位減衰して、ドラム表面に像露光パターンに対応した静電潜像が形成される。像露光手段3は、原稿画像を結像投影露光するアナログ露光装置でもよいし、レーザスキャナやLEDアレイ等のデジタル露光装置であってもよい。本例では、波長λ=780nmのレーザ走査露光Lを行うレーザスキャナを像露光手段3として用いている。
【0019】
上記のようにして感光体ドラム表面に形成された静電潜像は、現像手段によりトナー像として現像される。本例において、この現像手段は、現像剤として一成分磁性ネガ極性トナーを用いたジャンピング反転現像装置4を用いている。ただ、現像方式はこれに限定されるものではなく、その他の現像方式でもよい。例えば、トナー粒子に対して磁性キャリアを混合したものを現像剤として用い、この現像剤を磁気力により搬送し、像担持体に対して接触状態で現像する方法(二成分接触現像)でもよい。また、前記二成分現像剤を像担持体に対して非接触状態で現像する方法(二成分非接触現像法)も好適に用いることができる。
【0020】
現像装置4は、回転駆動される現像スリーブ5と、現像スリーブ5に現像剤を供給するためのホッパー部6を有し、現像スリーブ5と感光体ドラム1との間に装置長手に渡り一定間隔(ここでは0.3mm)を保つように配置されている。現像スリーブ5には現像バイアス印加電源部P2から所定のAC成分とDC成分を重畳した電圧が印加される。これにより、感光体ドラムの表面の静電潜像が現像装置4からの現像剤によりジャンピング反転(現像)される。
【0021】
感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像は、引き続く感光体ドラム1の回転により、感光体ドラム1と転写ローラ7との当接ニップ部である転写部Tに至り、この転写部Tに給送された記録材(被転写体)Sに転写される。転写ローラ7は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラである。そして、転写ローラ7は、ローラ軸体の両端部がそれぞれ軸受部材を介して回転可能に支持され、ローラ軸線を感光体ドラム1の軸線に対してほぼ並行に配列して感光体ドラム1に対して所定の押圧力で接触させて配設されている。本例において、この転写ローラ7は感光体ドラム1の回転に従動して回転する。
【0022】
記録材Sは給送部(不図示)から所定の制御タイミングで給送され、レジストレーションローラ8により感光体ドラム1に対する画像形成と同期取りされて適正なタイミングをもって転写部Tに導入され、感光体ドラム1と転写ローラ7により挟持搬送される。転写ローラ7には、記録材Sが転写部Tを通過している間、転写バイアス印加電源部P3からトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の直流電圧が印加される。本例ではプラス極性の所定電位の直流電圧が印加される。これにより、転写部Tにおいて記録材Sの裏面側(転写ローラ7側の面側)にプラスの電荷が付与されて、感光体ドラム1の表面のトナー像が順次に記録材Sの表面に静電的に転写される。
【0023】
トナー像の転写を受けた記録材Sは転写部Tを出ると、感光体ドラム1の表面から分離され、搬送ベルト10により定着装置11に導入される。本例の定着装置11は、熱源を有する定着ローラ(ヒートローラ)12と加圧ローラ13との圧接回転ローラ対を有する熱定着装置であり、定着装置11に導入された記録材Sはローラ対12,13の圧接ニップ部である定着部Nに進入して挟持搬送される。これにより、記録材S上の未定着のトナー像が記録材面に固着画像として熱と圧力により定着され、その後、記録材は画像形成物として装置本体の外部に排出される。
【0024】
一方、記録材の分離後の感光体ドラム1の表面は、クリーニング手段としてのクリーニング装置14により転写残トナーや紙粉等の残留物の除去を受けて清掃され、繰り返して画像形成に供される。本例において、このクリーニング装置14はクリーニング部材としてクリーニングブレード15を用いたブレードクリーニング装置である。このクリーニングブレード15により感光体ドラム1の表面が摺擦されることで、感光体ドラム表面から残留物が掻き取られる。掻き取られた残留物は回収トナー収容部16に収容される。
【0025】
次に、帯電ローラ2と、この帯電ローラ2の表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置20を構成するクリーニングローラ21、研磨ローラ22について詳しく説明する。
【0026】
[帯電ローラ]
図2を用いて、帯電ローラの一例について説明する。図2に示すように、帯電ローラ2は、軸体201と、その外周に形成される導電性弾性体層202と、その外周に軟化剤移行防止層203と、さらにその外周に形成される抵抗調整層(あるいは誘電層)204と、保護層205とから構成されている。
【0027】
[クリーニングローラ]
また、図3(a)、(b)、(c)を用いて、清掃部材としてのクリーニングローラの一例について説明する。ここでは、クリーニングローラとしてウレタンスポンジローラを例示しているが、清掃部材としてのクリーニングローラはこれに限定されるものではない。
【0028】
清掃部材としてのクリーニングローラ21は、帯電ローラの表面に当接する表層として、前記表面の付着物を捕集する捕集層を有している。具体的には、清掃部材としてのクリーニングローラ21は、図3(c)に示すように、前記捕集層として、軸21aの外周にゴム材料や樹脂材料からなる弾性体層21bを有している。特に、弾性体層を低硬度の高分子弾性フォームからなる発泡体(多孔質のスポンジ部材など)にて形成した、発泡体層を備えるローラを使用している。このような発泡体層を備えるローラは、発泡体層がローラ全体にわたり均一なセル構造を有し、これにより、用途に応じた均一な硬度が実現されている。
【0029】
かかるローラの製造方法としては、あらかじめ軸を配設した型を用いて、軸との一体成形により発泡体層を形成する手法が一般的であり、良好なローラ性能を得るために、種々の製造方法が検討され、提案されている。かかる製造方法に使用することのできる型の一例を、図3に示す。
【0030】
図3(a)、(b)に示す型40は、中空柱状の金型本体41と、その両端に貫挿され、軸21aとしての芯金43を保持するキャップ42a,42bとを備え、金型本体41の中心線上に芯金43を貫設した状態で、内部に原料を注入してローラの製造を行うものである。この型40を用いてローラを製造するに当たっては、図3(b)に示すように、上方のキャップ42aの孔部44aから所定量の原料45を注入して、内部に充填する。図中の符号46は注入機の注入ヘッドを示す。この場合、原料45が型40内部の下方端まで充填されていくにつれて、下方のキャップ42bの孔部44bからエアー47が抜けることになる。
【0031】
金型本体41の材質としては、鉄、銅、アルミニウム、ステンレススチール等の金属の他、セラミックス等を使用することができる。また、芯金(軸)43としては、例えば、硫黄快削鋼などの鋼材に亜鉛等のめっきを施した金属部材や、アルミニウム、ステンレス鋼、マグネシウム合金等の各種金属部材などを用いることができる。
【0032】
クリーニングローラ21は、上記した通り、軸(シャフト)21aと、軸21aの外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性体層21bとを備えている(図3(c)参照)。このクリーニングローラ21の弾性体層21bは、上述したローラの製造方法によって形成されてなる。このクリーニングローラ(ウレタンスポンジローラ)の径としてはφ6〜φ20程度が適当である。クリーニングローラの径が、前述の値より小さい場合にはクリーニングローラとしての強度、清掃能力を確保できず、前述の値より大きい場合には清掃能力としては問題ないがサイズが大きくなってしまい、省スペースの点では好ましくない。
【0033】
以上のことを踏まえた上で、クリーニングローラ21の弾性体層21bの厚みと軸(シャフト)21aの一例を示す。清掃能力を確保する為に弾性体層21bの厚みは所定以上(ここでは2mm以上)の厚みが必要となる。その為、軸21aの径としてはφ4〜φ16程度が適当である。軸21aの径が、前述の値より小さい場合にはローラ強度が低減し、変形等が生じることで帯電ローラに対して均一に当接できない等の問題が発生する。一方、前述の値より、軸21aの径が大きい場合には弾性体層21bの厚みを確保できず清掃不良に繋がるおそれがある。この弾性体層を有するローラは、画像形成装置の現像ローラ、帯電ローラ、トナー搬送ローラ、転写ローラ、給送ローラ、クリーニングローラ、定着用の加圧ローラ等として用いることができるが、トナー搬送ローラ、転写ローラ、クリーニングローラとして好適である。
【0034】
また、クリーニングローラ21の軸(シャフト)21aとしては、良好な導電性を有する限り特に制限はない。例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフト、或いは良導電性のプラスチック製シャフト等を用いることができる。
【0035】
クリーニングローラ21は、上述した製造方法により製造されたものであればよく、芯金および発泡体層(弾性体層)の材料等については、従来のローラ部材に用いられるもののうちから適宜選定して用いればよく、特に制限されるものではない。上記製造方法により一体成形を行うことで、ボイド等の問題がなく、全体として均質な構造を有するローラ部材とすることができる。
【0036】
[研磨ローラ及び研磨装置]
次に、図4(a)及び図4(b)を用いて、研磨部材としての研磨ローラ及びクリーニング装置20としての研磨装置について説明する。なお、ここでは研磨装置の一例を簡略化して図4(a)に示す。図4(a)は画像形成装置における帯電ローラと帯電ローラのクリーニング装置を示す模式断面図である。なお、ここ説明する研磨ローラ及び研磨装置は一例であって、これに限定されるものではない。
【0037】
一般に、従来の加工方法としては、ローラの外周面を回転しながら砥石等の研磨手段で研削又は研磨する方法が用いられている。
【0038】
まず、研磨部材としての研磨ローラ22の一例を以下に示す。研磨ローラの層構成としては、軸(シャフト)22aと、軸22aの外周に形成された研磨用砥石からなる研磨層22bとを備えている(図4(b)参照)。研磨層22bは、後述する研磨材の製造方法によって形成されてなる。研磨ローラ22の径としてはφ6〜φ30程度が適当である。研磨ローラ22の径が、前述の値(φ6)より小さい場合には清掃ローラとしての強度、清掃能力を確保できず、前述の値(φ30)より大きい場合には清掃能力としては問題ないがサイズが大きくなってしまい、省スペースの点では好ましくない。
【0039】
また、研磨能力を確保する為に研磨層22bの厚みは所定以上(ここでは1mm以上)の厚みが必要となる。その為に、軸21aの径としてはφ4〜φ28程度が適当である。軸の径が、前述の値(φ4)より小さい場合にはローラ強度が低減し、変形等が生じることで清掃部材としてのウレタンスポンジローラに対して均一に当接できない等の問題が発生する。一方、軸の径が、前述の値(φ28)より大きい場合には研磨層22bの厚みを確保できずウレタンスポンジローラの研磨不良に依る清掃不良に繋がるおそれがある。
【0040】
研磨ローラの表面状態を表すものとして、粒度とよばれる指標がある。粒度(グレインサイズ)とは研磨面に付着している、加工物を削る刃物に相当する砥粒と呼ばれるものの大きさを表す単位であり、JIS一般砥粒粒度として規格されるものである。例えば研磨ローラの粒度が#100の場合、砥粒の平均粒径は149μmとなり、研磨ローラの粒度が#1000の場合、砥粒の平均粒径は15μmとなるように、粒度が大きくなるほど砥粒の平均粒径は微小になる。一般的に粒度が#8〜#220の砥粒は粗粒と呼ばれ、今回の研磨対象となるウレタンスポンジローラ等の研磨や研削に適しており、粒度が#220以上のものは細粒と呼ばれ、金属表面の鏡面加工等の仕上げに適している。研磨ローラの表面状態としては粒度#20〜220のものが好ましい。#20以下の粒度の場合にはウレタンスポンジローラの研磨度が高くなり、#220以上の粒度の場合にはウレタンスポンジローラの研磨度が低くなり清掃不良に依る画像不良が生じる。
【0041】
また、研磨ローラの表面状態を表すもう一つの指標として組織(ストラクチャ)と呼ばれる研磨ローラのような砥石の中に占める砥粒の容積割合を示すものがある。一定の容積の中に砥粒が占める割合が多ければその組織は密であるといい、少なければ粗である。例えば研磨ローラの組織が0の場合、砥粒率は62%となり、組織が14の場合、砥粒率は34%となるように、組織の値が大きくなるほど砥粒率は低くなる。一般的に組織が0〜7の研磨ローラ(砥石)は硬く脆い材質となり、精密仕上げに適している。組織が8以上の研磨ローラ(砥石)は軟らかく粘る材質となり、普通仕上げに適している。研磨ローラ表面状態としては組織が8以上のものが好ましい。7以下の組織の場合にはウレタンスポンジローラの研磨度が低くなり清掃不良に依る画像不良が生じる。
【0042】
本例によれば、研磨加工によるウレタンスポンジや金属表面の平滑な表面仕上処理において、良好な平滑表面を形成でき、研磨材の耐久性にも優れるという効果を奏する研磨材及びその製造法を提供することができる。特に、ガラス転移温度が25℃以下で、アクリル系樹脂を採用したこと、及びその形状が略球形状で疎水処理した砥粒が分散されることにより、研磨材の研磨能力と耐久性の双方に優れる。また、懸濁重合により研磨材を製造できるので粒子径の揃った、均一な研磨材を容易に製造することができる。
【0043】
本例になる研磨材は、アクリル系樹脂のマトリクス中に砥粒が分散してなり、かつ、略球形状である。アクリル系樹脂をマトリクスとすることにより、研磨材の耐久性に優れるという効果がある。アクリル系樹脂としては、アクリル系の単量体を重合して得られるものであれば特に制限はない。
【0044】
前記単量体としては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、アルコキシポリアルキレングリコールアクリレート又はアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アクリル酸又はメタクリル酸等が挙げられ、アクリル酸エステル単量体又はメタクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
アクリル系の単量体には、他の単量体を併用することができる。これらの単量体には、芳香族ビニル単量体として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなど、シアン化ビニル単量体として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を併用することもできる。
【0046】
他の単量体を併用する場合、アクリル系の単量体を主成分として用い、ガラス転移温度が25℃以下となるように使用する。
【0047】
これらの中で、アクリル酸アルキルエステルが良好な鏡面を形成できる点で好ましい。なかでも、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルが、その効果が高く、より好ましい。
【0048】
また、アクリル系樹脂を架橋することが好ましく、架橋方法としては分子内に2個以上のビニル基を有する単量体を用いることができる。このような架橋剤の例としては、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アクリル変性ポリジメチルシロキサン等の多価アクリル酸エステル、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、メタクリル変性ポリジメチルシロキサン等の多価メタクリル酸エステル、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物などが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
その使用量は、単量体総量100重量部に対して、0.01〜50重量部が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。50重量部を超えて多い場合は架橋点密度が多くなるために樹脂が脆くなり耐久性に劣る傾向があり、0.01重量部未満では架橋密度が不足して機械強度が低下しやはり耐久性に劣る傾向がある。
【0050】
アクリル系樹脂は、そのガラス転移温度は25℃以下である必要があり、0℃以下がより好ましい。ガラス転移温度が25℃を超えると弾性力が低く脆いため研磨材としての耐久性に劣る。下限は特に制限はないが、一般的に−80℃以上のものを用いる。なお、ガラス転移温度は示差走査熱量法(DSC法)により測定することができる。
【0051】
用いる砥粒としては特に制限はなく、炭化ケイ素、シリカ、窒化ケイ素、酸化チタン、アランダム、ホワイトアランダム、コランダム、グリ−ンコランダム、アルミナ、ジルコニア、6方窒化硼素、ダイヤモンド、セリア、チタニア、ジルコニア、酸化マンガン等の硬質無機微粒子を使用することができる。
【0052】
これらの砥粒の平均粒子径は、0.1〜400μmが好ましく、0.4〜300μmがより好ましい。平均粒子径が0.1μm未満であると粒子が小さすぎて製造が困難であり、耐久性に劣る傾向があり、一方、400μmを超えると研磨効果に劣る傾向がある。なお平均粒子径はレーザ散乱回析法により測定することができる。
【0053】
また、研磨材における砥粒の含有量としては特に制限はないが、アクリル系樹脂マトリクスと砥粒に対して5〜80重量%が好ましく、10〜60重量%がより好ましい。この含有量が5重量%未満であると研磨性に劣る傾向があり、一方、80重量%を超えると耐久性に劣る傾向がある。
【0054】
今回の例における研磨材粒子は、略球形状である。略球形状とは、真球状か又は真球状に近い滑らかな外観形状である。鋭利な砥粒が表面に一部突出している場合も含まれる。このように略球形状であると、研磨材粒子の滑性及び流動性が良くなるために、ブラスト加工時の研磨材の詰まりがなくなり加工作業性の向上が図れる。
【0055】
研磨材の平均粒子径は0.001〜2mmであることが好ましく、0.01〜2mmであることがより好ましい。この値が0.001mm未満であると粒子が小さすぎて製造が困難であり、研磨効果に劣る傾向があるので、0.01mm以上であることが好ましい。一方、2mmを超えるものはやはり製造が困難である。
【0056】
次に、上記のような研磨材の製造方法について述べる。
【0057】
上記の研磨材の製造法としては、アクリル系単量体を砥粒の存在下で懸濁重合する手法が好ましい方法として挙げられる。
【0058】
この方法によれば、略球形状の研磨材を効率よく、比較的粒径もそろった状態で製造することができる。この方法では、一般に、分散剤を含む水性媒体中に有機過酸化物等の触媒を溶解したアクリル系単量体を分散してラジカルを発生させて重合を行う。
【0059】
分散剤として、難溶性無機塩を用いても、これと界面活性剤を併用してもよく、PVAなど従来公知の有機分散剤などを使用することもできる。難溶性無機塩として、リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム等が使用できる。界面活性剤として、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、その他懸濁重合に一般的に使用されるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤のいずれでも使用できる。有機分散剤として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等が使用できる。
【0060】
有機過酸化物は、従来公知のものを使用できる。例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト等がある。有機過酸化物は、重合性単量体に対して0.001〜1.0重量%使用されるのが好ましい。有機過酸化物は一種又は二種以上で用いることができる。
【0061】
研磨材は、前記砥粒をアクリル系単量体に分散させ、これを水性媒体中に添加して、水性媒体中に油滴を分散させ懸濁重合させて得る方法が特に好ましい。
【0062】
ここで、砥粒は予め疎水処理したものであることが、良好な構造で強度の大きい研磨材を製造することができるので好ましい。疎水処理剤としては、ステアリン酸、シラン化合物、ワセリン等が挙げられる。疎水処理剤による処理方法としては、湿式法、乾式法等を用いることができる。
【0063】
以下に、前述したクリーニングローラ21と研磨ローラ22とを有するクリーニング装置20について図面を参照して更に詳しく説明する。図4(a)はクリーニング装置の一例を示す概略平面図である。ここで、21はクリーニングローラ(ウレタンスポンジローラ)、22は研磨ローラ(研磨部材)、31はクリーニングローラ表面の研磨屑回収ブレード、32はクリーニングローラ表面の研磨屑回収容器である。クリーニング装置20では、研磨ローラ22をその表層(研磨層)がクリーニングローラ12の表層(弾性体層)に当接するように配置している。研磨ローラ22は、研磨するときは、クリーニングローラ21の回転速度(ここでは100〜300rpm程度の速度)より速い速度(ここでは1000〜2000rpm程度の速度)で回転する。これにより、研磨ローラ22は、クリーニングローラ21の弾性体層21bを研磨する。それと共に、研磨ローラ22がクリーニングローラ21を研磨する研磨面に実質的に対向する位置に設けられた研磨屑回収ブレード31により研磨ローラ22の表面の研磨屑を吹き落とし、研磨屑回収容器32に集積させる。
【0064】
なお、研磨部材(研磨ローラ22)としては、上述した例に限定されるものではない。例えば、スポンジローラ全体に対応した位置に研磨面を有し、一括で研磨するプランジ方式とすることもできる。あるいは、一部にのみ研磨面を有し、その研磨部分自体が随時長手方向(軸方向)に移動するトラバース方式で研磨する方法なども挙げられる。
【0065】
また、クリーニングローラ21の表面の研磨屑回収手段(研磨屑回収ブレード31)としては、上述した例に限定されるものではない。例えば、適当な方式つまりウレタン系ゴム素材やSUS等の金属素材のブレードを用いた接触または非接触による回収方法や、ブラシ素材による当接式の回収手段で研磨屑を除去できる。また、ウレタン素材ブレードをカウンター方向に当接させる接触式回収方法では使用初期の回収能力は高く70〜95%の回収能力が得られるが、使用後期にはウレタン素材ブレード自体が研磨されることで回収能力が40〜70%まで低下する。一方、SUS素材ブレードによる非接触式回収方法では使用初期や後期での回収能力の大きな差は発生しないが、使用状態に依らず一律50〜70%程の接触式初期と比べると僅かに劣る回収能力となる。
【0066】
さらに、クリーニングローラ21の表面の研磨屑回収容器32の容量としては目標となる耐久枚数によってクリーニングローラの径つまり研磨量が異なるので一概に規定はしない。例えば、20万枚を目標とする像担持体ユニットにおけるクリーニングローラφ14、研磨ローラφ14の系においては、200cm程度で十分容量を確保出来る。しかし、必要容量以下となってしまった場合には容器内で研磨屑詰まりが発生して研磨ローラやウレタンスポンジローラの回転不良が生じて帯電ローラの清掃不良による画像不良が生じる場合がある。そのため、回収容器の容量は仕様に応じて随時変更する必要がある。
【0067】
図5に示すように、クリーニングローラ21に対して前後(矢印N方向)移動可能な固定台座3Bに付勢部材33を設け、この付勢部材33の先端部に軸受3Aを介して研磨ローラ22を設ける。支持圧位置調整部である付勢部材33はシリンダー33a、ばね33b、調整ネジ33cからなる。ばね33bの強さとしては片側80g〜300gが適しており、使用される研磨ローラによって適当なばね圧を選定する。このような構成によれば、ばね33bの選択により付勢力を増減することができ、調整ねじ33cの調整によりクリーニングローラ21の研磨中は常時、研磨ローラ22をクリーニングローラ21に当接することができる。また、前記付勢部材33により、荷重(圧力負荷)を容易に調節することが可能となり、種々のクリーニングローラの研磨要求に対し、常に最適研磨状態が得られるように当接荷重、位置を簡単に選択することができる。
【0068】
以下、実施例を示し、比較例と比較して、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。なお、以下に示す実施例と比較例との研磨力及び清掃能力を比較した結果を図9に示す。また、実施例は以下に説明する例に限定されるものではない。
【0069】
[実施例1]
本発明に適応される清掃部材(クリーニングローラ)のアスカーC硬度として50〜90°のものは可能である。なお、クリーニングローラの弾性体層の厚み、外径、芯金径(軸径)などにおいては、研磨装置の構成を変えることで対応可能である。
【0070】
本実施例での清掃部材としては、アスカーC硬度として68°の弾性体層を有するウレタンスポンジローラ(弾性層の厚み5.0mm、外径φ15、芯金径φ5、長さ230mm)を以下の条件で研磨した。
【0071】
ウレタンスポンジローラ(クリーニングローラ)の回転速度は150rpmであり、感光体ドラムの駆動力を受けて帯電ローラと共に従動回転している。ウレタンスポンジローラに研磨ローラの回転方向の接触幅としては、2mm〜12mm程度が好ましい。接触幅が2mm未満の場合は研磨力が弱くなり、接触幅が13mm以上の場合には研磨量が増加し、規定内に収めることができなくなる。本実施例ではウレタンスポンジローラに研磨ローラを接触幅6mmとなるように支持圧を調整して当接させ、研磨ローラの表面状態としては粒度#80のものを使用した。また、研磨屑回収ブレードとしてはSUS素材ブレードによる非接触式回収方法を採用し、研磨屑回収容器の容量は200cmとする。
【0072】
研磨ローラは、電源投入後であって、画像形成動作以外のときに、クリーニングローラ(ウレタンスポンジローラ)回転速度より速い回転速度で弾性体層(捕集層)を研磨する。なお、研磨ローラは、画像形成動作中は、前記弾性体層を研磨しないようにクリーニングローラの回転速度と同じ速度で回転する。
【0073】
ここでは、研磨ローラによるウレタンスポンジローラのウレタンスポンジ表層(弾性体層)の研磨動作を行うタイミングは、図7に示すフローチャートに従って、画像形成動作中以外である電源投入時、前回転時、後回転時に行う。
【0074】
ここで、図6を用いて、研磨ローラの動作を制御する制御構成について説明する。前述した研磨ローラ22の動作の制御は、図6に示す制御部としての制御回路51によって行われる。研磨ローラ22は、駆動部52からの駆動力を受けて回転する。この駆動部52の動作を制御回路51によって制御する。制御回路51は、駆動部52の動作を制御して研磨ローラ22の回転速度を制御する。更に、制御回路51は、温湿度を検知する温湿度検知手段としての環境センサー53からの検知情報に基づいて、研磨ローラ22の動作を制御する。なお、研磨ローラ22を回転する駆動部52は、クリーニング装置が有する構成であっても良いし、画像形成装置が有する構成であっても良い。また、研磨ローラ22は、専用の駆動部からの駆動力を受けて回転する構成であっても良いし、他の駆動部からの駆動力を受けて回転する構成であっても良い。
【0075】
制御回路51は、図7に示すように、前回の研磨動作からの画像形成枚数である耐久枚数(印刷枚数)をカウントし、前述のタイミングでカウントした耐久枚数が何枚であるかを確認する(STEP11,12)。そして、前回の研磨動作からの耐久枚数が多いほど、研磨ローラ22がクリーニングローラ21の捕集層を研磨する時間を長くする。ここではさらに、カウントした耐久枚数に応じて、環境センサー53による温湿度検知結果を受けて(STEP13,14,15)、研磨ローラ22によるクリーニングローラ21の研磨時間を決定(STEP16,17,18)し、研磨動作を行う。
【0076】
具体的には、耐久枚数が1000枚以下である場合には(STEP11)、環境センサー53による温湿度検知結果を受けて(STEP13)、その検知した温湿度が高いほど、研磨ローラ22がクリーニングローラ21の捕集層を研磨する時間を長くする。制御回路51は、環境センサー53による温湿度検知結果を受けて、研磨処理を開始する。研磨処理では、環境センサー53が検知した温湿度を受けて、図8に示す係数表から係数Xを選び、以下に示す所定の式(ここでは式1−1)から研磨ローラ22によるクリーニングローラ21の研磨時間(STEP16)を算出(決定)し、研磨動作を行う。式1−1は、Y=2.0X+0.001Cである。なお、Yは研磨ローラによる研磨時間(単位:秒)、Xは温湿度によって定められる係数(図8参照)、Cは前回の研磨動作からの耐久枚数である。
【0077】
耐久枚数が1000枚を超える場合には、耐久枚数が2000枚未満であるか否かを確認する(STEP12)。耐久枚数が2000枚未満である場合には、環境センサー53による温湿度検知結果を受けて(STEP17)、研磨ローラ22によるクリーニングローラ21の研磨時間(STEP17)を決定し、研磨動作を行う。ここでの研磨時間は、Y=2.5X+0.001C(式1−2)により算出される。
【0078】
一方、耐久枚数が2000枚以上である場合には、さらに環境センサー53による温湿度検知結果を受けて(STEP15)、研磨ローラ22によるクリーニングローラ21の研磨時間(STEP18)を決定し、研磨動作を行う。ここでの研磨時間は、Y=3.0X+0.001C(式1−3)により算出される。
【0079】
なお、前述の研磨動作終了後、研磨ローラ22は、クリーニングローラ21の回転速度と同じ速度で回転する。これにより、研磨ローラ22が、クリーニングローラ21の捕集層を研磨しないようにしている。
【0080】
実施例1の研磨条件としては、研磨ローラ22の回転速度をクリーニングローラ21の回転速度より速い1420rpmで約4secを1回の動作として回転させた。また、研磨ローラは粒度#80の研磨ローラを使用した。クリーニングローラに対する研磨ローラの接触幅を6mmに設定した。
【0081】
上記構成の研磨ローラとクリーニングローラを含む帯電ローラのクリーニング装置を、本体改造したiR3045(キヤノン株式会社製)に取り付けた。これを通常環境下(20℃/50%)でトナー載り量0.025g/A4サイズの画像を1枚間欠で通紙画像試験(200K枚)を行い、帯電ローラー上の汚れを(50K、100K、150K、200K枚)確認した。
【0082】
本実施例によれば、クリーニングローラの捕集層を研磨ローラによって研磨することで、付着物を捕集する能力が低下した表層を削り取り、本来の捕集能力をもった新たな表層を出して、清掃能力を回復させることができた。これにより、長期に渡って安定した清掃能力を維持することができ、清掃能力の低下に起因する画像不良を防止することができた。
【0083】
[実施例2]
実施例2では、研磨ローラの粒度(表面状態)を#80から#200といった研磨粒子の細かい研磨ローラに変更した。それ以外は、前述した実施例1と同様の検討を行った。本実施例においても、長期に渡って安定した清掃能力を維持することができ、清掃能力の低下に起因する画像不良を防止することができた。
【0084】
[実施例3]
実施例3では、研磨時の研磨ローラの回転速度を1420rpmから1920rpmに変更した。それ以外は、前述した実施例1と同様の検討を行った。本実施例においても、長期に渡って安定した清掃能力を維持することができ、清掃能力の低下に起因する画像不良を防止することができた。
【0085】
[実施例4]
実施例4では、クリーニングローラに対する研磨ローラの接触幅を6mmから12mmに変更した。それ以外は、前述した実施例1と同様の検討を行った。本実施例においても、長期に渡って安定した清掃能力を維持することができ、清掃能力の低下に起因する画像不良を防止することができた。
【0086】
[比較例1]
比較例1では、研磨ローラを使用しないで、クリーニングローラのみで構成される帯電ローラ用のクリーニング装置を使用した。それ以外は、前述した実施例1と同様の検討を行った。この構成では、帯電ローラの汚れに関しては清掃能力が低く、清掃ムラも起こすため耐久安定性が悪化した。
【0087】
[比較例2]
比較例2では、研磨ローラの粒度(表面状態)を#80から#500といった研磨粒子の細かい研磨ローラに変更した。それ以外は、前述した実施例1と同様の検討を行った。この研磨ローラを使用した場合、クリーニングローラの研磨度が低くなり、クリーニングローラの孔の目詰まりが発生し、清掃能力が低下する。このことによって、帯電ローラへの清掃能力が低下し、清掃ムラに依る画像不良が生じた。
【0088】
[比較例3]
比較例3では、研磨時の研磨ローラの回転速度を1420rpmから200rpmに変更し、クリーニングローラの回転速度である150rpmに近づけるように変更した。それ以外は、前述した実施例1と同様の検討を行った。この研磨ローラの回転速度で実施した場合、クリーニングローラの研磨度が低くなり、クリーニングローラの孔の目詰まりが発生し、清掃能力が低下する。このことによって、帯電ローラへの清掃能力が低下し、清掃ムラに依る画像不良が生じた。クリーニングローラ表面の研磨の為に、研磨ローラとクリーニングローラの周速差を大きくつけることが重要である。
【0089】
[比較例4]
比較例4では、電源投入時(画像形成動作外)の研磨ローラの研磨時間を大幅に短くするように、上記式1−1、1−2、1−3からY=0.5X+0.001C(式2)に変更した。それ以外は、前述した実施例1と同様の検討を行った。この研磨ローラの研磨時間で実施した場合、クリーニングローラの研磨度が低くなり、クリーニングローラの孔の目詰まりが発生し、清掃能力が低下する。このことによって、帯電ローラへの清掃能力が低下し、清掃ムラに依る画像不良が生じた。
【0090】
[比較例5]
比較例5では、電源投入時(画像形成動作外)の研磨ローラの研磨時間を大幅に長くするように、上記式1−1、1−2、1−3からY=10X+0.001C(式3)に変更した。それ以外は、前述した実施例1と同様の検討を行った。この研磨ローラの研磨時間で実施した場合、クリーニングローラの研磨度が高くなり、クリーニングローラの弾性体層(捕集層)の厚みが大幅に減ることでニップ幅の低下が発生し、清掃能力が低下する。このことによって、帯電ローラへの清掃能力が低下し、清掃ムラに依る画像不良が生じた。
【0091】
上述したように、クリーニングローラの捕集層を研磨ローラによって研磨することで、付着物を捕集する能力が低下したクリーニングローラの表層を削り取り、本来の捕集能力をもった新たな表層を出して、清掃能力を回復させることができる。これにより、長期に渡って安定した清掃能力を維持することができ、清掃能力の低下に起因する画像不良を防止することができる。
【0092】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、帯電ローラの表面に接触して前記表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば感光体や中間転写体などの像担持体の表面に接触して前記表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置であってもよい。このクリーニング装置に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
【0093】
また前述した実施形態では、前回の研磨動作からの耐久枚数が多いほど、なおかつ、環境センサーにより検知した温湿度が高いほど、研磨ローラがクリーニングローラの捕集層を研磨する時間を長くする構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、前回の研磨動作からの耐久枚数が多いほど、研磨ローラがクリーニングローラの捕集層を研磨する時間を長くする構成であってもよい。あるいは、環境センサーにより検知した温湿度が高いほど、研磨ローラがクリーニングローラの捕集層を研磨する時間を長くする構成であってもよい。この構成によっても、同様の効果を得ることができる。
【0094】
また前述したクリーニング装置が用いられる画像形成装置としては、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であってもよい。あるいは、記録材担持体を使用し、該記録材担持体に担持された記録材に各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置であってもよい。あるいは、中間転写体を使用し、該中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像を記録材に一括して転写する画像形成装置であってもよい。これらの画像形成装置に用いられるクリーニング装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0095】
S …記録材
1 …感光体ドラム
2 …帯電ローラ
20 …クリーニング装置
21 …クリーニングローラ
21a …軸
21b …弾性体層
22 …研磨ローラ
22a …軸
22b …研磨層
31 …研磨屑回収ブレード
32 …研磨屑回収容器
51 …制御回路
52 …駆動部
53 …環境センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面又は像担持体の表面を帯電する帯電ローラの表面に当接して前記表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置であって、
前記像担持体又は前記帯電ローラの表面に当接して前記表面に付着した付着物を捕集する捕集層を備え、前記表面に当接して回転しながら前記付着物を除去する清掃部材と、
前記清掃部材の捕集層に当接して前記捕集層を研磨する研磨部材と、
を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
帯電ローラにより帯電した像担持体の表面にトナーを用いて画像を形成し、形成したトナー像を被転写体に転写する画像形成装置において、
前記像担持体の表面又は前記像担持体の表面を帯電する帯電ローラの表面に当接して前記表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置であって、前記像担持体又は前記帯電ローラの表面に当接して前記表面に付着した付着物を捕集する捕集層を備え、前記表面に当接して回転しながら前記付着物を除去する清掃部材と、前記捕集層に当接して前記捕集層を研磨し、駆動部からの駆動力を受けて回転する研磨部材と、を有するクリーニング装置と、
前記研磨部材の回転速度を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記捕集層を研磨するときは、前記清掃部材の回転速度より速い速度で前記研磨部材を回転させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記捕集層を研磨しないときは、前記清掃部材の回転速度と同じ速度で前記研磨部材を回転させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記研磨部材は、電源投入後であって、画像形成動作以外のときに、前記清掃部材の回転速度より速い速度で回転して前記捕集層を研磨し、画像形成動作中は、前記捕集層を研磨しないように前記清掃部材の回転速度と同じ速度で回転することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前回の研磨動作からの画像形成枚数をカウントし、前記画像形成枚数が多いほど、前記研磨部材が前記清掃部材の捕集層を研磨する時間を長くすることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
温湿度を検知する温湿度検知手段と、前記温湿度検知手段の検知情報に基づいて研磨部材の動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記温湿度検知手段により検知した温湿度が高いほど、前記研磨部材が前記清掃部材の捕集層を研磨する時間を長くすることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−133001(P2012−133001A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283212(P2010−283212)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】