説明

クリーニング補助ブラシ及びクリーニング装置

【課題】クリーニング手段でクリーニングするトナー量を低減するとともに、トナーの帯電及び除電を行うことができるクリーニング補助ブラシ及び前記クリーニング補助ブラシを用いたクリーニング装置を提供する。
【解決手段】クリーニング手段の像担持体移動方向上流側にクリーニング補助ブラシを配設する。前記クリーニング補助ブラシは、同じ芯金上に配設された帯電特性が異なる帯電・除電毛部材とトナー除去毛部材の少なくとも2種類を有し、前記帯電・除電毛部材は前記トナー除去毛部材に対し、原糸電気抵抗は低く、毛長は短く、繊維径は小さく構成され、前記帯電・除電毛部材は前記像担持体に非接触に、前記トナー除去毛部材は前記像担持体に当接するように配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は像担持体上の転写残トナーを清掃するクリーニング手段の清掃の補助をするクリーニング補助ブラシ及び該クリーニング補助ブラシを配設したクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置では、感光体、中間転写体(以下、中間転写ベルトともいう)等の像担持体上にトナー像を形成し、このトナー像を転写材(以下、転写紙ともいう)上に転写した後、トナー像を保持した転写紙を定着手段により定着する。そして、定着後、画像形成された転写紙は前記画像形成装置より排出される。
【0003】
前記像担持体上に形成されたトナー像を転写後に、前記像担持体上には転写残トナーが生じる。このため、前記転写残トナーを清掃(以下、クリーニングともいう)することが必要となる。
【0004】
前記クリーニングの手段としては、ブレード方式、クリーニングブラシ方式が一般的に用いられている。前記ブレード方式は、ゴムブレードのような弾性体ブレードを像担持体に押し付け、機械的にトナーを掻き取り、クリーニングを行う。一方クリーニングブラシ方式は、表面に毛部材を配設した円筒形の芯金を回転させながら像担持体上のトナーに接触させ、同時にクリーニングブラシにトナーと逆極性の電圧を印加して、静電的に吸引しつつ掻き取りクリーニングを行う。
【0005】
前記クリーニングに関し、感光体に接触して回転するクリーニングブラシの毛部材が、少なくとも2種類のブラシから構成されているクリーニング装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、像担持体上の表面に接触して該表面をクリーニングする少なくとも2種類の異なる太さの毛体で構成され、前記毛体の長さが、細い毛体の方が太い毛体のそれよりも長いクリーニングブラシが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−52807号公報
【特許文献2】特開2006−195451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2は、クリーニングを行うクリーニングブラシの毛部材を少なくとも2種類で構成し、毛部材は何れも像担持体に接触するものである。
【0008】
ここで、クリーニング手段にブレードを用いた場合、クリーニングするトナーの量が多くトナーと被清掃体である像担持体との吸着力が大きくなると、クリーニングするブレードエッジ部への負荷が大きくなり、前記エッジに損傷(摩耗)が生じ前記ブレードの耐久性の低下を招いた。
【0009】
また、クリーニング手段にクリーニングブラシを用いた場合、トナー量が多い(トナー層厚が大きい)状態やトナーの帯電状態が(+)、(−)混在で不均一な状態になるとクリーニングでの拭き残しを生じた。
【0010】
これに対し、特許文献1及び2では、トナーを帯電することはできず、トナーの帯電及び除電を行うことは困難であった。
【0011】
本発明は上記状況に鑑みなされたもので、クリーニング手段でクリーニングするトナー量を低減するとともに、トナーの帯電及び除電を行うことができるクリーニング補助ブラシ及び前記クリーニング補助ブラシを用いたクリーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は下記の構成により達成される。
1.像担持体上の転写残トナーを清掃するクリーニング手段の清掃の補助をする回動可能なクリーニング補助ブラシであって、芯金と、前記芯金に配設された、帯電・除電毛部材と前記帯電・除電毛部材とは帯電特性の異なるトナー除去毛部材の少なくとも2種類の毛部材を有することを特徴とするクリーニング補助ブラシ。
2.前記帯電・除電毛部材の原糸電気抵抗は、前記トナー除去毛部材の原糸電気抵抗より低いことを特徴とする1に記載のクリーニング補助ブラシ。
3.前記帯電・除電毛部材は半導電性であり、前記トナー除去毛部材は絶縁性であることを特徴とする1又は2に記載のクリーニング補助ブラシ。
4.前記帯電・除電毛部材の毛長は前記トナー除去毛部材の毛長より短いことを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載のクリーニング補助ブラシ。
5.前記帯電・除電毛部材の繊維径は前記トナー除去毛部材の繊維径より小さいことを特徴とする1乃至4の何れか1項に記載のクリーニング補助ブラシ。
6.前記芯金に直流電圧又は直流と交流が重畳された電圧が印可されることを特徴とする1乃至5の何れか1項に記載のクリーニング補助ブラシ。
7.1乃至6の何れか1項に記載のクリーニング補助ブラシを有し、前記クリーニング補助ブラシの帯電・除電毛部材は像担持体に非接触であり、トナー除去毛部材は像担持体に接触することを特徴とするクリーニング装置。
8.前記クリーニング補助ブラシを、クリーニング手段の像担持体の移動方向上流側に配設したことを特徴とする7に記載のクリーニング装置。
9.前記クリーニング手段は、ブレードであることを特徴とする8に記載のクリーニング装置。
10.前記クリーニング手段は、クリーニングブラシであることを特徴とする8に記載のクリーニング装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、クリーニング補助ブラシのトナー除去毛部材が像担持体に接触し、像担持体上の転写残トナーを掻き取ることにより、転写残トナーの付着力を低減し回収することができる。更に、像担持体に非接触の帯電・除電毛部材により、クリーニング補助ブラシと転写残トナーの間に電位差を設定することができ、クリーニング補助ブラシの吸着による転写残トナーの回収を効率的に行うことができる。また、像担持体上に付着した紙粉等も除去することができる。これにより、クリーニング手段への転写残トナーの過剰な供給を防止できる。
【0014】
また、像担持体に非接触の帯電・除電毛部材により、転写残トナーにクリーニング手段に応じた除電又は帯電を行うことができ、クリーニング手段の耐久性の向上及びクリーニング手段によるクリーニング機能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、本発明は、以下に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明のクリーニング補助ブラシ及びクリーニング装置が適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は画像形成装置本体GHと画像読取装置YSとから構成される。画像形成装置本体GHは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y,10M,10C,10K、無端ベルト状の中間転写体6を有する転写ユニット60、給紙搬送手段及び定着装置9等からなる。
【0018】
画像形成装置本体GHの上部には、自動原稿送り装置201と原稿画像走査露光装置202から成る画像読取装置YSが設置されている。自動原稿送り装置201の原稿台上に載置された原稿dは搬送手段により搬送され、原稿画像走査露光装置202の光学系により原稿の片面又は両面の画像が走査露光され、ラインイメージセンサCCDに読み込まれる。
【0019】
ラインイメージセンサCCDにより光電変換されて形成された信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、露光手段3Y,3M,3C,3Kに送られる。
【0020】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Yは、感光体ドラム1Yの周囲に帯電手段2Y、露光手段3Y、現像装置4Y及びクリーニング装置8Yを配置している。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に帯電手段2M、露光手段3M、現像装置4M及びクリーニング装置8Mを配置している。シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に帯電手段2C、露光手段3C、現像装置4C及びクリーニング装置8Cを配置している。黒(Bk)色の画像を形成する画像形成部10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に帯電手段2K、露光手段3K、現像装置4K及びクリーニング装置8Kを配置している。そして、帯電手段2Yと露光手段3Y、帯電手段2Mと露光手段3M、帯電手段2Cと露光装置3C、及び帯電手段2Kと露光装置3Kは、潜像形成手段を構成する。
【0021】
なお、現像装置4Y,4M,4C,4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(Bk)の小粒径のトナーとキャリアからなる2成分現像剤を内包する。本実施の形態におけるトナーは、脂肪酸エステル等のワックス成分を、例えば8〜12質量部含有し、重合法によって製造されたものであるが、これに限定されるものではない。
【0022】
中間転写体6は、複数のローラ61により巻回され、回動可能に支持されている。
【0023】
定着装置9は、芯金上に弾性体層を有する第1加圧ローラ93と、内部に加熱手段を有する加熱ローラ92と、第1加圧ローラ93と加熱ローラ92の間に張架された無端状の定着ベルト91と、第1加圧ローラ93と対向する位置に定着ベルト91に圧接可能に配設され、定着ニップ部を形成する第2加圧ローラ94と、を備え、未定着画像を担持する記録材Pの未定着トナー面が定着ベルト91と接触する向きで定着ニップ部を通過することで未定着トナーを記録材Pに、加熱・加圧して定着する。
【0024】
かくして、画像形成部10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に転写手段7Y,7M,7C,7Kにより逐次重ね合わせて転写されて(1次転写)、カラー画像が合成された画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録材Pは、給紙手段21により給紙され、給紙ローラ22A,22B,22C,22D,レジストローラ23等を経て、転写手段7Aに搬送され、記録材P上にカラー画像が転写される(2次転写)。カラー画像が転写された記録材Pは定着装置9において加熱・加圧され、記録材P上のカラー画像が定着される。その後、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
【0025】
一方、転写手段7Aにより記録材Pにカラー画像を転写した後、記録材Pを曲率分離した中間転写体6は、クリーニング装置8Aにより残留トナーが除去される。
【0026】
次に、クリーニング補助ブラシ及びクリーニング装置8A、8Y、8M、8C、8Kについて説明する。ここで、クリーニング装置8A、8Y、8M、8C、8Kは類似の構成、機能を有するので、中間転写体6をクリーニングするクリーニング装置8Aについて説明する。
【0027】
図2及び図3は、クリーニング装置8Aの2つの例の概略断面を示す図である。図2のクリーニング装置8A2はクリーニング手段としてブレード83、及びクリーニング補助ブラシ81を有する例であり、図3のクリーニング装置8A3はクリーニング手段としてクリーニングブラシ85、及びクリーニング補助ブラシ81を有する例である。何れの場合もクリーニング補助ブラシ81は、ブレード83又はクリーニングブラシ85の中間転写体6の移動方向上流側に配設され、駆動手段(不図示)により回動される。
【0028】
ここで、クリーニング手段としてブレード83を用いた場合、クリーニングする転写残トナー量が多く、転写残トナーと中間転写体6との吸着力が大きくなるとブレード83のエッジ部への負荷が大きくなり耐久性の減少を招く。また、クリーニング手段としてクリーニングブラシ85を用いた場合、転写残トナー量が多い場合や、転写残トナーの帯電状態が(+)、(−)混在で不均一になると拭き残しを招く等の問題がある。
【0029】
次に、図2に示すクリーニング装置8A2について説明する。ブレード83は支持部材に支持され、一端のエッジ部が中間転写体6に当接する。ブレード83の材質としてはゴム弾性体が好ましく用いられ、その材料としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、これらの内、ウレタンゴムは他のゴムに比して摩耗特性が優れている点で特に好ましい。
【0030】
クリーニング補助ブラシ81は、ブレード83の中間転写体6の移動方向上流側に配設され、駆動手段(不図示)により回動される。
【0031】
図4は、クリーニング補助ブラシ81の概略図であり、図4(a)は正面を、図4(b)側面を現す。クリーニング補助ブラシ81は同一の芯金811上に仕様が異なるトナー除去毛部材812及び帯電・除電毛部材813が配設される。トナー除去毛部材812及び帯電・除電毛部材813は、それぞれ所定の密度で均一に混在するように配設される。毛部材としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル等を挙げることができる。
【0032】
前記仕様において、帯電・除電毛部材813の原糸電気抵抗は、トナー除去毛部材812の原糸電気抵抗より低いものが用いられる。
【0033】
また、帯電・除電毛部材813の毛長L1はトナー除去毛部材812の毛長L2より短いものが用いられ、帯電・除電毛部材813は中間転写体6に非接触に、トナー除去毛部材812は中間転写体6に当接するように配設される。芯金811には電圧印加手段(不図示)により、直流電圧又は直流と交流が重畳された電圧が印可される。前記電圧は、転写残トナーと逆極性の電圧が印可される。
【0034】
クリーニング補助ブラシ81の回動方向は、中間転写体6の移動方向と同方向で、回動速度はトナー除去毛部材812先端の周速度が中間転写体6の移動速度の略1.3倍であることが好ましい。
【0035】
クリーニング補助ブラシ81の、中間転写体6との当接側と略反対側にフリッカー82がクリーニング補助ブラシ81の毛部材に当接するように配設される。フリッカー82は金属棒で構成され、クリーニング補助ブラシ81の毛部材の若干食い込むように当接する。
【0036】
次に、図2に示すクリーニング装置8A2による中間転写体6のクリーニングの動作について説明する。
【0037】
転写手段7Aにより記録材Pにカラー画像を転写した後、記録材Pを曲率分離した中間転写体6は、クリーニング装置8A2により残留トナーがクリーニングされる。先ず、回動するクリーニング補助ブラシ81のトナー除去毛部材812が、中間転写体6上の転写残トナーをかき乱し中間転写体6と転写残トナーの付着力を弱めるとともに、転写残トナーの一部をクリーニング補助ブラシ81に回収する。同時に、芯金811に転写残トナーとは逆極性の電圧を印可することにより、クリーニング補助ブラシ81と転写残トナーの間に電位差が設定される。これは、帯電・除電毛部材813を中間転写体6に非接触とし、且つ帯電・除電毛部材813の抵抗をトナー除去毛部材812の抵抗より低くすることにより可能とされる。これにより転写残トナーがクリーニング補助ブラシ81に静電吸着され、中間転写体6から回収される。前記電位差の設定を効果的にするため、帯電・除電毛部材813は半導電性(108〜1012Ω・cm)であり、トナー除去毛部材812は絶縁性であることが好ましい。
【0038】
また、トナー除去毛部材812が中間転写体6に当接し撓み、ブラシへのトナーの堆積を防ぎ、トナーをかき乱す動作を阻害しないために、帯電・除電毛部材813はトナー除去毛部材812より繊維径が小さい(剛性が低い)ことが好ましい。
【0039】
前記電圧の印加に関し、例えば、転写残トナーが(−)帯電状態の場合には、芯金811には(+)の電圧が印可される。これにより(−)帯電の転写残トナーは(+)帯電のクリーニング補助ブラシ81に静電吸着される。しかしながら、クリーニング補助ブラシ81で回収されず、すり抜けるものもある。また、転写残トナーには、(+)帯電状態でクリーニング補助ブラシ81に静電吸着されず、すり抜けるものもある。これらのクリーニング補助ブラシ81で回収されず、すり抜けた転写残トナーはクリーニング補助ブラシ81を通過することにより除電された状態となる。但し、一部は帯電状態で混在する。
【0040】
クリーニング補助ブラシ81に回収された転写残トナーは、フリッカー82により毛部材よりはたき落とされ、トナー回収手段(不図示)により回収容器(不図示)に回収される。
【0041】
次に、クリーニング補助ブラシ81で回収されなかった転写残トナーはブレード83により掻き取られ中間転写体6から除去される。除去された転写残トナーはトナー回収手段(不図示)により回収容器(不図示)に回収される。
【0042】
このように、クリーニング補助ブラシ81の毛部材を中間転写体6に非接触の帯電・除電毛部材813と、当接するトナー除去毛部材812で構成することにより、中間転写体6上の転写残トナーを機械的掻き取り及び電気的吸着で回収することができる。これにより、ブレード83への転写残トナーの過剰な供給を防止でき、ブレード83の耐久性の向上を図ることができる。
【0043】
また、1つのブラシで帯電・除電用ブラシとトナー除去用ブラシの機能を兼ねることができるため省スペース、コストダウンが可能になる。
【0044】
次に、図3に示すクリーニング装置8A3について説明する。クリーニング装置8A3は、前述のクリーニング装置8A2とはクリーニング手段のみが異なるもので、クリーニング手段にクリーニングブラシ85を用いている。クリーニング補助ブラシ81は同じものが用いられる。但し、クリーニング補助ブラシ81で回収できず、すり抜けた転写残トナーが(+)帯電とされるように、芯金811に印可される電圧が選定される。
【0045】
クリーニングブラシ85は毛部材が中間転写体6に当接して配設され、クリーニング補助ブラシ81と逆極性の電圧が印可される。例えば、前述のようにクリーニング補助ブラシ81に(+)電圧印加であれば、クリーニングブラシ85には(−)電圧が印可される。
【0046】
クリーニングブラシ85の、中間転写体6との当接側と略反対側にトナー回収ローラーがクリーニングブラシ85の毛部材に当接するように配設される。
【0047】
クリーニング装置8A3による中間転写体6のクリーニングの動作は、クリーニング補助ブラシ81まではクリーニング装置8A2と同じである。クリーニング補助ブラシ81で回収されずすり抜けた(−)帯電状態の転写残トナーは、(+)帯電状態のクリーニングブラシ85に静電吸着により回収される。また一部は機械的掻き取りにより回収される。クリーニングブラシ85に回収された転写残トナーは、更にトナー回収ローラーにより、クリーニングブラシ85より回収され、トナー回収手段(不図示)により回収容器(不図示)に回収される。
【0048】
このように、クリーニング補助ブラシ81の毛部材を中間転写体6に非接触の帯電・除電毛部材813と、当接するトナー除去毛部材812で構成することにより、中間転写体6上の転写残トナーを機械的掻き取り及び電気的吸着で回収することができる。これにより、クリーニングブラシ85への転写残トナーの過剰な供給を防止できる。また、クリーニング補助ブラシ81をすり抜けた転写残トナーの帯電を均一にすることによりクリーニングブラシ85での拭き残しを防ぐことができる。
【0049】
また、1つのブラシで帯電・除電用ブラシとトナー除去用ブラシの機能を兼ねることができるため省スペース、コストダウンが可能になる。
<実施例>
図2に示すクリーニング装置8A2を用い、クリーニング補助ブラシ81(以下、ブラシと略す)及び芯金811の電気的接続の仕様を変えて中間転写体6の転写残トナーのクリーニングを行い、ブレード83のエッジ部へのダメージとブラシのトナーの体積状況を評価した。
[実施条件]
1.実写にて10000枚通紙
2.ブラシの芯金811の外周面と中間転写体6表面(クリーニング対象部)間距離S:3mm
3.ブラシの回転方向:中間転写体6の移動方向と同方向
4.ブラシの回転速度:トナー除去毛部材812先端の周速度が中間転写体6の移動速度の略1.3倍
[ブラシ仕様]
1.ブラシ1(本発明)
毛部材仕様:下記2種の毛部材混合
毛部材1a;材質/ナイロン、原糸電気抵抗/半導電(1010Ω・cm)、繊維径/2デシテックス、密度/240KF、毛長/2.5mm
毛部材1b;材質/ナイロン、原糸電気抵抗/絶縁性、繊維径/6デシテックス、密度/80KF、毛長/4mm
電気的仕様:印加電圧2kV、定電流(直流+交流重畳)
2.ブラシ2(比較例)
毛部材仕様:下記2種の毛部材混合
毛部材2a;材質/ナイロン、原糸電気抵抗/半導電(1010Ω・cm)、繊維径/2デシテックス、密度/240KF、毛長/4mm
毛部材2b;材質/ナイロン、原糸電気抵抗/絶縁性、繊維径/6デシテックス、密度/80KF、毛長/4mm
電気的仕様:接地(GND)
3.ブラシ3(比較例)
毛部材仕様:材質/ナイロン、原糸電気抵抗/半導電(1010Ω・cm)、繊維径/2デシテックス、密度/240KF、毛長/4mm
電気的仕様:印加電圧2kV、定電流(直流+交流重畳)
4.ブラシ4(比較例)
毛部材仕様:材質/ナイロン、原糸電気抵抗/半導電(1010Ω・cm)、繊維径/6デシテックス、密度/80KF、毛長/4mm
電気的仕様:印加電圧2kV、定電流(直流+交流重畳)
5.ブラシ5(比較例)
毛部材仕様:材質/ナイロン、原糸電気抵抗/絶縁性、繊維径/6デシテックス、密度/80KF、毛長/4mm
電気的仕様:印加電圧2kV、定電流(直流+交流重畳)
6.ブラシ6(比較例)
毛部材仕様:材質/ナイロン、原糸電気抵抗/半導電(1010Ω・cm)、繊維径/2デシテックス、密度/240KF、毛長/2.5mm
電気的仕様:印加電圧2kV、定電流(直流+交流重畳)
(注1)上記KFとは1平方インチの面積のフィラメント(毛)数を示し103本あることを現す。例えば、80KFとは1平方インチの面積にフィラメント(毛)が80×103本あることを現す。ちなみに、80KF=12400本/cm2となる。
[評価方法]
1.エッジ部ダメージ
中間転写体6に当接するエッジ部当接部分の損傷の発生を目視判断
○:損傷がなく、クリーニング不良の発生もないレベル。
△:損傷は見受けられるが、クリーニング不良は発生していないレベル。
×:損傷が見受けられ、クリーニング不良不具合が発生、耐久性能が劣るレベル。
2.ブラシのトナー堆積状況
目視判断
○:トナー詰まりなく、詰まったことでの不具合発生はないと判断できるレベル。
△:トナー詰まり傾向は見られるが、不具合として発生していないレベル。
×:トナー詰まりが見られ、不具合発生のあるレベル。
【0050】
上記評価結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1に示すように本発明の効果が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】画像形成装置の一例を示す図である。
【図2】クリーニング装置の一例の概略断面を示す図である。
【図3】クリーニング装置の一例の概略断面を示す図である。
【図4】クリーニング補助ブラシの概略図である。
【符号の説明】
【0054】
GH 画像形成装置本体
YS 画像読取装置
P 記録材
10Y、10M、10C、10K 画像形成部
60 転写ユニット
6 中間転写体
61 ローラ
8A2、8A3 クリーニング装置
81 クリーニング補助ブラシ
811 芯金
82 フリッカー
83 ブレード
831 支持部材
85 クリーニングブラシ
86 トナー回収ローラー
9 定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上の転写残トナーを清掃するクリーニング手段の清掃の補助をする回動可能なクリーニング補助ブラシであって、
芯金と、
前記芯金に配設された、帯電・除電毛部材と前記帯電・除電毛部材とは帯電特性の異なるトナー除去毛部材の少なくとも2種類の毛部材を有することを特徴とするクリーニング補助ブラシ。
【請求項2】
前記帯電・除電毛部材の原糸電気抵抗は、前記トナー除去毛部材の原糸電気抵抗より低いことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング補助ブラシ。
【請求項3】
前記帯電・除電毛部材は半導電性であり、前記トナー除去毛部材は絶縁性であることを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーニング補助ブラシ。
【請求項4】
前記帯電・除電毛部材の毛長は前記トナー除去毛部材の毛長より短いことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のクリーニング補助ブラシ。
【請求項5】
前記帯電・除電毛部材の繊維径は前記トナー除去毛部材の繊維径より小さいことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のクリーニング補助ブラシ。
【請求項6】
前記芯金に直流電圧又は直流と交流が重畳された電圧が印可されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のクリーニング補助ブラシ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載のクリーニング補助ブラシを有し、前記クリーニング補助ブラシの帯電・除電毛部材は像担持体に非接触であり、トナー除去毛部材は像担持体に接触することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項8】
前記クリーニング補助ブラシを、クリーニング手段の像担持体の移動方向上流側に配設したことを特徴とする請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記クリーニング手段は、ブレードであることを特徴とする請求項8に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記クリーニング手段は、クリーニングブラシであることを特徴とする請求項8に記載のクリーニング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−186883(P2009−186883A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28570(P2008−28570)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】