説明

クレーンの作動速度制御装置

【課題】 ジョイスティックを用いた遠隔操作器で遠隔操作を行う場合でも、容易に任意の速度で微動操作を可能とする。
【解決手段】 複数のアクチュエータを制御する複数の制御弁51、52、53、54と、アクチュエータを選択し作動方向と操作配分率を決定するためのジョイスティック21L、21R及び制御弁のスプール作動量を決定するための速度レバー23を有する遠隔操作器20と、遠隔操作器20から送られたジョイスティック21L、21R及び速度レバー23の操作信号を受信する受信機30と、制御弁のスプール作動量を算出するための関数式を記憶し、ジョイスティック21L、21Rの操作信号から求めた操作配分率及び速度レバー23の操作信号から求めた引き代率に基づいてスプール作動量を決定し、選択されたアクチュエータの制御弁へスプール制御信号を送るクレーン作動制御器40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアクチュエータを備えたクレーンにおいて、遠隔操作を行うための遠隔操作器にジョイスティックを用いた、クレーンの作動速度制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クレーンは、複数のアクチュエータを備えている。
例えば、図6に示す車両搭載型のクレーン1では、アウトリガ2を備えたベース4上にコラム6が旋回自在に設けられ、このコラム6の上端部に伸縮するブーム7が起伏自在に枢支されている。コラム6にはウインチ11が設けられており、このウインチ11からワイヤロープ12をブーム7の先端部に導いて、ブーム7の先端部の滑車(図示略)を介して吊荷用のフック13に掛回すことにより、フック13をブーム7の先端部から吊下している。
【0003】
このクレーン1は、コラム6(ブーム7)の旋回、ブーム7の起伏と伸縮、及びウインチ11によるフック13の巻上巻下の作動を行うためのアクチュエータとして、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、及びウインチ用油圧モータ10を備えており、車両の油圧ポンプ(図示略)から切換制御弁装置3を介して圧油を供給することにより作動する。
【0004】
切換制御弁装置3は、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、及びウインチ用油圧モータ10の各アクチュエータをそれぞれ制御するためのブーム旋回制御弁、ブーム起伏制御弁、ブーム伸縮制御弁、及びフック巻上巻下制御弁を連結して構成した多連結弁装置であり、各操作レバー14による機側操作及び遠隔操作器による遠隔操作が可能になっている。
【0005】
クレーン1を遠隔操作するための遠隔操作器には、ジョイスティックを用いたものがある。例えば図7、図8に示す遠隔操作器70は、正面の右側にブーム7の起伏作動とフック13の巻上巻下作動を操作するためのジョイスティック71R、左側にブーム7の伸縮作動とブーム7の左右旋回作動とを操作するためのジョイスティック71Lが設けられている。
【0006】
遠隔操作を行う場合には、作業者は遠隔操作器70のグリップ72を握り、作業の内容に応じて所要のアクチュエータの作動に対応する方向に、握った手の親指でジョイスティック71R、71Lを傾倒させることにより、ジョイスティック71R、71Lの操作に応じた操作信号が各制御弁に送られ、各制御弁のスプールの作動量が変化することで各アクチュエータの作動速度を増減するようになっている。
【0007】
クレーンによる作業では、重い吊荷をゆっくりと移動させたい場合や、ある決められた場所に吊荷を据え置く場合などには、微動操作を容易にできることが求められる。
そこで、ジョイスティックを用いた遠隔操作器で遠隔操作を行う場合でも微動操作を可能とすることが望ましく、そのための技術として、油圧作動機器の作動速度制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
この油圧作動機器の作動速度制御装置は、微速モードと高速モードとに切換え自在に構成されたモード設定手段を有し、高速モードではジョイスティックの一定傾倒角度まで制御弁のスプールの作動量を最大にして、それ以上傾倒させると傾倒角度に応じて車両のエンジン回転数を増減し、油圧ポンプから吐出される圧油の量を増減制御しているが、微速モードではジョイスティックの傾倒角度の最大時に制御弁のスプール作動量が最大となるように制御することで微動操作をいくらか容易にしている。
【0009】
しかしながら、ジョイスティックの傾倒角度範囲は限られているのに対し、上記のような作動速度制御装置では、微速モードに設定して微動操作を行っても、ジョイスティックの傾倒角度範囲内で制御弁のスプール作動量を制御しなければならないので、意図するアクチュエータの作動速度にするには、非常に微細な操作を行わねばならず、熟練が必要であった。
【特許文献1】特許第2582482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、クレーンの作動速度制御装置における上記問題を解決するものであって、傾倒角度範囲が限られるジョイスティックを用いた遠隔操作器で遠隔操作を行う場合でも、容易に任意の速度で微動操作が可能なクレーンの作動速度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のクレーンの作動速度制御装置は、複数のアクチュエータをそれぞれ制御するための複数の制御弁と、アクチュエータを選択し作動方向と操作配分率を決定するためのジョイスティック及び制御弁のスプール作動量を決定するための速度レバーを有する遠隔操作器と、遠隔操作器から送られたジョイスティック及び速度レバーの操作信号を受信する受信機と、制御弁のスプール作動量を算出するための関数式を記憶し、ジョイスティックの操作信号から求めた操作配分率及び速度レバーの操作信号から求めた引き代率に基づいてスプール作動量を決定し、選択されたアクチュエータの制御弁へスプール制御信号を送るクレーン作動制御器とを備えることにより上記課題を解決している。
【0012】
遠隔操作を行う場合には、作業者は遠隔操作器のジョイスティックを傾倒させることにより、どのアクチュエータを選択しどの方向に向けて作動させるかを決定し、ジョイスティックの傾倒角度により選択したアクチュエータの制御弁の操作配分率を決定する操作信号を遠隔操作器から送る。
また、速度レバーを引くことにより、選択されたアクチュエータの制御弁のスプールの作動量を決定する操作信号を遠隔操作器から送る。
【0013】
遠隔操作器から送られたジョイスティック及び速度レバーの操作信号は受信機で受信され、クレーン作動制御器において操作配分率及び引き代率が求められる。
操作配分率(%)は、ジョイスティックの最大傾倒角度に対する実際の傾倒角度の比率であり、傾倒していない状態では0%、最大に傾倒すれば100%となる。
引き代率(%)は、速度レバーの最大引き量に対する実際の引き量の比率であり、引いていない状態では0%、最大に引けば100%となる。
【0014】
クレーン作動制御器は、制御弁のスプール作動量を算出するための関数式を記憶しており、操作配分率及び引き代率に基づいてスプール作動量を決定し、選択されたアクチュエータの制御弁へスプール制御信号を送る。
制御弁のスプールは、ジョイスティックの傾倒角度によって決定された操作配分率で作動範囲が制限されるとともに、この制限された作動範囲内において、速度レバーの引き量によって決定された引き代率でスプール作動量が自由に制御される。
【0015】
従って、傾倒角度範囲が限られるジョイスティックの操作だけでは難しかった微動操作も、ジョイスティックと速度レバーとを組み合わせることで、制御弁のスプール微作動時の制御分解能が増大し、スプール作動量の微調整が可能になり、容易に任意の速度で微動操作を行うことができる。
なお、このクレーンの作動速度制御装置では、各制御弁のスプール作動量を算出するための基本データを関数式として記憶し、遠隔操作器からの操作信号を関数式にて演算処理するため、クレーン作動制御器で記憶するデータ容量は少なくて済む。
【発明の効果】
【0016】
本発明のクレーンの作動速度制御装置によれば、ジョイスティックを用いた遠隔操作器で遠隔操作を行う場合でも、容易に任意の速度で微動操作が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の実施の一形態を示すクレーンの作動速度制御装置の構成図、図2は遠隔操作器の正面図、図3は遠隔操作器の側面図、図4はクレーンの作動速度制御装置による制御の流れ図、図5はジョイスティックの操作配分率と速度レバーの引き代率に対する制御弁のスプール作動量の関係を示す図である。
このクレーンの作動速度制御装置は、車両搭載型のクレーン等に用いられるものである。クレーン本体の構成は従来のものと同様であるので、図6を参照して説明する。
【0018】
車両搭載型のクレーン1では、アウトリガ2を備えたベース4上にコラム6が旋回自在に設けられ、このコラム6の上端部に伸縮するブーム7が起伏自在に枢支されている。コラム6にはウインチ11が設けられており、このウインチ11からワイヤロープ12をブーム7の先端部に導いて、ブーム7の先端部の滑車(図示略)を介して吊荷用のフック13に掛回すことにより、フック13をブーム7の先端部から吊下している。
【0019】
このクレーン1は、コラム6(ブーム7)の旋回、ブーム7の起伏と伸縮、及びウインチ11によるフック13の巻上巻下の作動を行うためのアクチュエータとして、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、及びウインチ用油圧モータ10を備えており、車両の油圧ポンプ(図示略)から切換制御弁装置3を介して圧油を供給することにより作動する。
【0020】
切換制御弁装置3は、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、及びウインチ用油圧モータ10の各アクチュエータをそれぞれ制御するためのブーム起伏制御弁51、フック巻上巻下制御弁52、ブーム伸縮制御弁53、及びブーム旋回制御弁54を連結して構成した多連結弁装置であり、各操作レバー14による機側操作及び遠隔操作器20による遠隔操作が可能になっている。
【0021】
クレーンの作動速度制御装置は、図1に示すように、遠隔操作器20と受信機30とクレーン作動制御器40とで構成されている。
遠隔操作器20は、図2に示すように、正面の右側にブーム7の起伏作動とフック13の巻上巻下作動を操作するためのジョイスティック21R、正面の左側にブーム7の伸縮作動とブーム7の左右旋回作動とを操作するためのジョイスティック21Lが設けられている。また、グリップ22の背面には、図3に示すように、速度レバー23が設けられている。
【0022】
ジョイスティック21R、21Lは、ポテンショメータや静電容量センサなどを利用したものを用いて、上下、左右又は斜め方向への傾倒角度に応じて変化するアナログ信号が出力されるようになっている。ロータリーエンコーダや圧電素子を利用したものを用いることもできる。また、速度レバー23にもポテンショメータ、静電容量型センサなどを利用したものを用いて、引き代に応じて変化するアナログ信号が出力されるようになっている。ロータリーエンコーダや圧電素子を利用したものを用いることもできる。
【0023】
ここで、遠隔操作器20の正面右側のジョイスティック21Rは、上下方向に傾倒させるとブーム7の起伏作動を操作するための操作信号、左右方向に傾倒させるとフック13の巻上巻下作動を操作するための操作信号を出力し、左側のジョイスティック21Lは、上下方向に傾倒させるとブーム7の伸縮作動を操作するための操作信号、左右方向に傾倒させるとブーム7の左右旋回作動を操作するための操作信号を出力するようにしているが、これは一例であって、ジョイスティック21R、21L及びその傾倒方向とクレーン1の各アクチュエータ5、8、9、10との対応は任意に設定して差し支えない。
【0024】
2方向操作のジョイスティックを4本設けて、ブーム7の起伏作動とフック13の巻上巻下作動とブーム7の伸縮作動とブーム7の左右旋回作動とをそれぞれ制御するように構成することもできる。
遠隔操作器20の内部には、ジョイスティック21R、21L及び速度レバー23の操作により出力されるアナログ信号をデジタル変換するA/D変換器24と、A/D変換器24からの操作信号を演算処理する演算制御部25と、演算制御部25からの操作信号をクレーン本体側へ送信するための高周波回路26とを備えている。
【0025】
受信機30は、遠隔操作器20から送られた操作信号を受信するための高周波回路31を備えている。クレーン作動制御器40は、制御弁のスプール作動量を算出するための関数式を記憶し、受信機30の高周波回路31からの操作信号を演算処理する演算制御部41と、演算制御部41の演算で得られたスプール制御信号をブーム起伏制御弁51、フック巻上巻下制御弁52、ブーム伸縮制御弁53、及びブーム旋回制御弁54に送るための出力回路42とを備えている。
【0026】
スプール制御信号によって各制御弁51、52、53、54のスプール作動量が増減する。スプール作動量が増大すれば各アクチュエータに供給される圧油の量が増大するので、作動速度は速くなり、スプール作動量が減少すれば各アクチュエータに供給される圧油の量が減少するので、作動速度は遅くなる。
このクレーンの作動速度制御装置でクレーン1の操作を行う場合には、作業者は、遠隔操作器20のグリップ22を握り、作業の内容に応じて所要のアクチュエータの作動に対応する方向に、握った手の親指でジョイスティック21R、21Lを傾倒させ、握った手の人差指で速度レバー23を引く。ジョイスティック21R、21Lと速度レバー23からの操作信号は遠隔操作器20からクレーン本体側に送信され、受信機30で受信されてクレーン作動制御器40に送られる。
【0027】
クレーン作動制御器40では、図4に示すように、演算制御部41が受信機30からの操作信号を読込み、ジョイスティック21R、21Lの操作信号により作動するアクチュエータの選択を行い、どの方向に向けて作動させるかを決定し、ジョイスティック21R、21Lの傾倒角度により選択したアクチュエータの制御弁の操作配分率を算出する。
操作配分率は、ジョイスティック21R、21Lの最大傾倒角度に対する実際の傾倒角度の比率であり、傾倒していない状態では0%、最大に傾倒すれば100%となる。
【0028】
この操作配分率は基本関数式に代入され新たな関数式が生成される。
また、演算制御部41は速度レバー23の引き量により引き代率を算出する。
引き代率は、速度レバー23の最大引き量に対する実際の引き量の比率であり、引いていない状態では0%、最大に引けば100%となる。
この引き代率は、基本関数式に操作配分率を代入して得られた新たな関数式に代入され、アクチュエータの制御弁のスプール作動量が算出されて、出力回路42から選択されたアクチュエータの制御弁へスプール制御信号が送られる。
【0029】
以下、図5により、具体的な関数式と制御の一例を説明する。
ここでは、制御弁のスプール作動量を最大8mmとし、クレーン作動制御器40には基本関数式として下記の一次関数式を記憶している。
S=8×V×0.01×α×0.01・・・・・(1)
但し、S:スプール作動量(mm)
V:引き代率(%)
α:操作配分率(%)
なお、この一次関数式は一例であって、スプール作動量をn次関数式等で表すことも可能である。
【0030】
例えば、遠隔操作器20を正面から見て、右側のジョイスティック21Rを傾倒方向を真右に、傾倒角度を最大に傾倒操作した場合、フック13の巻下作動が選択され、フック巻上巻下制御弁52の巻下方向への操作配分率が100%となる。この操作配分率は基本関数式(1)に代入され下記の新たな関数式が生成される。
S=0.08×V・・・・・(2)
【0031】
この状態で速度レバー23を引くと、その引き代率が新たな関数式(2)に代入され、フック巻上巻下制御弁52の巻下方向へのスプール作動量が算出され、引き代率(0%〜100%)に応じてスプール作動量が0mmから8mmまで変化する。
即ち、速度レバー23を最大に引けば、フック巻上巻下制御弁52のスプールは巻下方向へ8mm作動し、速度レバー23を最大の引き量に対して半分まで引いた場合は、フック巻上巻下制御弁52のスプールは巻下方向へ4mm作動することになる。
【0032】
また、遠隔操作器20を正面から見て、右側のジョイスティック21Rを傾倒方向を真右に、傾倒角度を最大の傾倒角度に対して半分の角度まで傾倒操作した場合、フック13の巻下作動が選択され、フック巻上巻下制御弁52の巻下方向への操作配分率が50%となる。この操作配分率は基本関数式(1)に代入され下記の新たな関数式が生成される。
S=0.04×V・・・・・(3)
【0033】
この状態で速度レバー23を引くと、その引き代率が新たな関数式(3)に代入され、フック巻上巻下制御弁52の巻下方向へのスプール作動量が算出され、引き代率(0%〜100%)に応じてスプール作動量が0mmから4mmまで変化する。
即ち、速度レバー23を最大に引けば、フック巻上巻下制御弁52のスプールは巻下方向へ4mm作動し、速度レバー23を最大の引き量に対して半分まで引いた場合は、フック巻上巻下制御弁52のスプールは巻下方向へ2mm作動することになる。
【0034】
さらに、遠隔操作器20を正面から見て、右側のジョイスティック21Rを傾倒方向を真右に、傾倒角度を最大の傾倒角度に対して1/4の角度まで傾倒操作した場合、フック13の巻下作動が選択され、フック巻上巻下制御弁52の巻下方向への操作配分率が25%となる。この操作配分率は基本関数式(1)に代入され下記の新たな関数式が生成される。
S=0.02×V・・・・・(4)
【0035】
この状態で速度レバー23を引くと、その引き代率が新たな関数式(4)に代入され、フック巻上巻下制御弁52の巻下方向へのスプール作動量が算出され、引き代率(0%〜100%)に応じてスプール作動量が0mmから2mmまで変化する。
即ち、速度レバー23を最大に引けば、フック巻上巻下制御弁52のスプールは巻下方向へ2mm作動し、速度レバー23を最大の引き量に対して半分まで引いた場合は、フック巻上巻下制御弁52のスプールは巻下方向へ1mm作動することになる。
【0036】
なお、遠隔操作器20を正面から見て、右側のジョイスティック21Rを傾倒方向を右斜め上方に傾倒操作した場合、フック13の巻下作動とブーム7の起立動作とが選択され、フック巻上巻下制御弁52の巻下方向への操作配分率とブーム起伏制御弁51の起立方向への操作配分率とがジョイスティック21Rの傾倒角度に応じて算出され、それぞれの制御弁のスプールの作動量を決定する基本関数式に操作配分率が代入され、それぞれ新たな関数式が生成される。
【0037】
この状態で速度レバー23を引くと、その引き代率がそれぞれの新たな関数式に代入され、フック巻上巻下制御弁52の巻下方向へのスプール作動量とブーム起伏制御弁51の起立方向へのスプール作動量とが算出され、引き代率に応じて各々のスプール作動量が変化する。
このように、傾倒角度範囲が限られるジョイスティック21R、21Lの操作だけでは難しかった微動操作も、ジョイスティック21R、21Lと速度レバー23とを組み合わせることで、各制御弁51、52、53、54のスプール微作動時の制御分解能が増大し、スプール作動量の微調整が可能になり、容易に任意の速度で微動操作を行うことができる。
【0038】
さらに、このクレーンの作動速度制御装置では、各制御弁51、52、53、54のスプール作動量を算出するための基本データを関数式として記憶し、遠隔操作器20からの操作信号を関数式にて演算処理するため、クレーン作動制御器40で記憶するデータ容量は少なくて済む。
なお、制御弁にスプールの作動量を検出し、演算制御部にフィードバックする位置検出器、例えば差動トランス等を設けると、スプール作動量のより正確な制御が可能になる。
【0039】
また、遠隔操作器に、高速モードと微速モードとを切換えるモード設定手段を設け、高速モードではジョイスティックの傾倒角度により算出される操作配分率をそのままの値で使用し、微速モードではジョイスティックの傾倒角度により算出される操作配分率を、例えば、そのさらに50%として演算することで、さらに微動操作を容易にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の一形態を示すクレーンの作動速度制御装置の構成図である。
【図2】遠隔操作器の正面図である。
【図3】遠隔操作器の側面図である。
【図4】クレーンの作動速度制御装置による制御の流れ図である。
【図5】ジョイスティックの操作配分率と速度レバーの引き代率に対する制御弁のスプール作動量の関係を示す図である。
【図6】クレーンの構成図である。
【図7】従来の遠隔操作器の正面図である。
【図8】従来の遠隔操作器の側面図である。
【符号の説明】
【0041】
20 遠隔操作器
21L、21R ジョイスティック
22 グリップ
23 速度レバー
24 A/D変換器
25 演算制御部
26 高周波回路
30 受信機
31 高周波回路
40 クレーン作動制御器
41 演算制御部
42 出力回路
51 ブーム起伏制御弁
52 フック巻上巻下制御弁
53 ブーム伸縮制御弁
54 ブーム旋回制御弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアクチュエータをそれぞれ制御するための複数の制御弁と、
アクチュエータを選択し作動方向と操作配分率を決定するためのジョイスティック及び制御弁のスプール作動量を決定するための速度レバーを有する遠隔操作器と、
遠隔操作器から送られたジョイスティック及び速度レバーの操作信号を受信する受信機と、
制御弁のスプール作動量を算出するための関数式を記憶し、ジョイスティックの操作信号から求めた操作配分率及び速度レバーの操作信号から求めた引き代率に基づいてスプール作動量を決定し、選択されたアクチュエータの制御弁へスプール制御信号を送るクレーン作動制御器と、を備えたことを特徴とするクレーンの作動速度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−160433(P2006−160433A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352890(P2004−352890)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)
【Fターム(参考)】