説明

クロックド・シリアル・インタフェース

【課題】様々な波形のコントロール信号を生成し出力できるクロックド・シリアル・インタフェース(CSI)を提供する。
【解決手段】コントロール信号の波形を決定するパターンデータが書換可能に格納される複数のシフトレジスタと、これらシフトレジスタ内のパターンデータに応じてコントロール信号を生成する生成手段と、を備える。具体的には、CSI60は、3つのシフトレジスタ81,82,83を有し、これらシフトレジスタ内のパターンデータに応じた波形のコントロール信号を生成し出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コントローラから供給される制御データをクロック信号に同期してシリアル変換しながらクロック信号と共に制御対象デバイスへと出力するクロックド・シリアル・インタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
コントローラから供給される制御データをクロック信号に同期してシリアル変換しながらクロック信号と共に制御対象デバイスへと出力するクロックド・シリアル・インタフェース(CSI)が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
このクロックド・シリアル・インタフェースの例として、シリアル変換した制御データおよびクロック信号を出力しながら、制御対象デバイスに対するコントロール信号を出力するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−298495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のクロックド・シリアル・インタフェース(CSI)から出力されるコントロール信号は、制御対象デバイスに応じて決められた所定の波形を有する。この波形については、制御対象デバイスの機能や仕様の変更などに伴い、可変であることが望ましい。
【0006】
本発明の実施形態の目的は、様々な波形のコントロール信号を生成し出力できるクロックド・シリアル・インタフェースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態のクロックド・シリアル・インタフェースは、コントローラから供給される制御データを格納し、その制御データをシリアル変換しながらシリアルクロック信号と共に制御対象デバイスへと出力し、かつその制御対象デバイスに対するコントロール信号を出力するものであって、前記コントロール信号の波形を決定するパターンデータが書替可能に格納される複数のシフトレジスタと、これらシフトレジスタ内のパターンデータに応じて前記コントロール信号を生成する生成手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】一実施形態における各シフトレジスタ内のパターンデータを示す図。
【図3】図2のパターンデータに基づいて生成および出力されるコントロール信号を制御データおよびシリアルクロック信号の出力とともに示すタイムチャート。
【図4】一実施形態における各シフトレジスタ内のパターンデータが書替えられた例を示す図。
【図5】図4のパターンデータに基づいて生成および出力されるコントロール信号を制御データおよびシリアルクロック信号の出力とともに示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0009】
1…CPU(コントローラ)、2…内部メモリ、3…内部レジスタ、4…入出力インタフェース、11…アドレスバス、12…16ビットのデータバス、13…コントロールバス、20…メモリ、30…GPIO、41,51…8ビットのデータバス、42,52…ドライバ(制御対象デバイス)、43,53…ステップモータ、60…CSI(クロックド・シリアル・インタフェース)、71…クロック生成部、72…データレジスタ、81…第1シフトレジスタ、82…第2レジスタ、83…第3レジスタ、84…生成部、85…出力部、91…シリアルバス、92…シリアルデバイス(制御対象デバイス)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1において、1は組込み機器のコントローラであるCPUで、内部メモリ2および内部レジスタ3を有し、後述のステップモータ43,53を駆動制御するための制御指令として16ビットの制御データを出力するとともに、後述のシリアルデバイス92を駆動制御するための8ビットの制御データを出力する。
【0011】
このCPU1に、外部機器や操作部からの入力データを取込む入力インタフェース4が接続される。また、CPU1に、数ビットのアドレスバス11、16ビットのデータバス12、数ビットのコントロールバス13を介してデータ記憶用のメモリ20が接続される。また、CPU1に、上記アドレスバス11、データバス12、コントロールバス13を介して汎用の入出力デバイスいわゆるGPIO(General Purpose Input/Output)30が接続される。
【0012】
GPIO30は、アドレスバス11が接続されるアドレス入力ポート31、データバス12が接続されるデータ入力ポート32、コントロールバス13が接続されるコントロール信号入力ポート33、およびデータ出力ポート35を有する。
【0013】
データ入力ポート32は、16ビットのデータバス12が接続される16個の入力端子からなる。これら入力端子には、1000Hから1015Hまでのアドレスが設定されるとともに、後述するドライバ42,52に対する複数の制御指令が割当てられている。
【0014】
データ出力ポート35は、16ビットの制御データを出力する16個の出力端子からなる。これら出力端子に対応する16個のフリップフロップがGPIO30内に設けられ、これらフリップフロップの出力端が各出力端子に接続される。そして、各出力端子のうち、8個の出力端子に8ビットのデータバス41を介して制御対象デバイスたとえばドライバ42が接続され、残りの8個の出力端子に8ビットのデータバス51を介して制御対象デバイスたとえばドライバ52が接続される。
【0015】
ドライバ42は、GPIO30の8個の各出力端子から出力される8ビットの制御データのうち、論理“1”(=所定の論理値)となるビットに割当てられている動作モードたとえば励磁方式および電流でステップモータ43を駆動する。ドライバ52は、GPIO30の残りの8個の出力端子から出力される8ビットの制御データのうち、論理“1”(=所定の論理値)となるビットに割当てられている動作モードたとえば励磁方式および電流でステップモータ53を駆動する。
【0016】
CPU1の内部メモリ2には、ドライバ42,52に対する複数の制御指令とその各制御指令が割当てられた各入力端子のアドレス1000H〜1015Hとを対応付けたデータファイルが記憶されている。
【0017】
そして、CPU1は、GPIO30に関する機能として、次の(1)の手段を有する。
(1)ドライバ42またはドライバ52に対する制御指令が必要になると、GPIO30の各入力端子のうち、必要となった制御指令が割当てられている入力端子のアドレスを内部メモリ2のデータファイルから検出し、検出したアドレスを指定するためのアドレス指定データをGPIO30に供給し、かつ全てのビットが論理“1”(=所定の論理値)となる制御データを出力する手段。
【0018】
GPIO30は、次の(2)の手段を有する。
(2)データ入力ポート32の各入力端子に入力される制御データのうちCPU1からアドレス指定された入力端子への入力制御データのみ取込み、取込んだ制御データを同アドレス指定された入力端子に対応するフリップフロップで保持することにより、同フリップフロップに対応する出力端子のビットのみ論理“1”(=所定の論理値)となって残りの出力端子のビットは論理“1”(=所定の論理値)とならない制御データをデータ出力ポート35の各出力端子から出力する手段。
【0019】
一方、CPU1に、上記アドレスバス11、データバス12、コントロールバス13を介してクロックド・シリアル・インタフェースいわゆるCSI(Clocked Serial Interface)60が接続される。
【0020】
CSI60は、CPU1から供給される制御データを格納し、その制御データをシリアル変換しながらシリアルクロック信号と共に後述のシリアルデバイス92へと出力し、かつシリアルデバイス92に対するコントロール信号を出力するもので、アドレスバス11が接続されるアドレス入力ポート61、データバス12の8ビット分が接続されるデータ入力ポート62、コントロールバス13が接続されるコントロール信号入力ポート63、クロック出力ポート64、データ出力ポート65、およびコントロール信号出力ポート66を有する。
【0021】
また、CSI60は、シリアルクロック信号SCLKを生成するクロック生成部71、CPU1から供給される8ビットの制御データSDが格納される8ビットのデータレジスタ72、コントロール信号の波形を決定するm1ビットたとえば4ビットのパターンデータが書替可能に格納される第1シフトレジスタ81、同じくコントロール信号の波形を決定し且つ上記制御データSDと同じビット数のnビット(=8ビット)のパターンデータが書替可能に格納される第2シフトレジスタ82、同じくコントロール信号の波形を決定するm2ビットたとえば4ビットのパターンデータが書替可能に格納される第3シフトレジスタ83、これらシフトレジスタ81,82,83内のパターンデータに応じてコントロール信号を生成する生成部84、この生成部84で生成されるコントロール信号をシリアル変換した制御データおよびシリアルクロック信号と共に出力する出力部85などを有する。
【0022】
このCSI60のクロック出力ポート64、データ出力ポート65、コントロール信号出力ポート66に、3本のシリアル信号ライン91を介して制御対象デバイスであるシリアルデバイス92が接続される。
【0023】
とくに、上記生成部84は、シフトレジスタ81,82,83内のパターンデータをクロック生成部71で生成されるシリアルクロック信号SCLKに同期してビットごとに且つシリアルに読出すことにより、1つのコントロール信号を生成する。
【0024】
出力部85は、生成部84で生成されるコントロール信号をその生成に伴いシリアルデバイス92へと逐次に出力するとともに、第2シフトレジスタ82のパターンデータが読出される期間に合せて、データレジスタ72内の制御データSDをクロック生成部71で生成されるシリアルクロック信号SCLKに同期してビットごとに読出すことによりシリアル変換しながら、それをシリアルクロック信号SCLKと共にシリアルデバイス92へと出力する。
【0025】
つぎに、CSI60の動作を説明する。
シリアルデバイス92の機能や仕様に適合するコントロール信号の波形(コードパターン)が“1000000000000011”である場合、図2に示すように、第1シフトレジスタ81に4ビットのパターンデータ“1000”が格納され、第2シフトレジスタ82に8ビットのパターンデータ“00000000”が格納され、第3シフトレジスタ83に4ビットのパターンデータ“0011”が格納される。この場合、図3のタイムチャートに示す動作が実行される。
【0026】
まず、シリアルデバイス92に対する制御が必要な所定のタイミングにおいて、CSI60内でスタートライト信号が生成される。これに伴い、クロック生成部71でシリアルクロック信号SCLKが生成される。
【0027】
生成部84は、スタートライト信号に基づき、シフトレジスタ81,82,83内のパターンデータをクロック生成部71で生成されるシリアルクロック信号SCLKに同期してビットごとに且つシリアルに読出すことにより、“1000000000000011”という波形を有する16ビットのコントロール信号を生成する。
【0028】
出力部85は、生成部84で生成されるコントロール信号をその生成に伴いシリアルデバイス92へと逐次に出力するとともに、第2シフトレジスタ82のパターンデータ“00000000”が読出される期間に合せて、データレジスタ72内の8ビットの制御データSDをクロック生成部71で生成されるシリアルクロック信号SCLKに同期してビットごとに読出すことによりシリアル変換し、それをシリアルクロック信号SCLKと共にシリアルデバイス92へと出力する。
【0029】
シリアルデバイス92は、供給されるコントロール信号に応じて同供給される制御データSDを取込み、かつ供給されるコントロール信号および取込んだ制御データSDに基づく動作や処理を実行する。
【0030】
一方、シリアルデバイス92の機能や仕様に適合するコントロール信号の波形(コードパターン)が“1001101010111011”である場合、図4に示すように、第1シフトレジスタ81内のパターンデータがCPU1を介して4ビットのパターンデータ“1001”に書替えられ、第2シフトレジスタ82内のパターンデータがCPU1を介して8ビットのパターンデータ“10101011”に書替えられ、第3シフトレジスタ83内のパターンデータがCPU1を介して4ビットのパターンデータ“1011”に書替えられる。この場合、図5のタイムチャートに示す動作が実行される。
【0031】
まず、シリアルデバイス92に対する制御が必要な所定のタイミングにおいて、CSI60内でスタートライト信号が生成される。これに伴い、クロック生成部71でシリアルクロック信号SCLKが生成される。
【0032】
生成部84は、スタートライト信号に基づき、シフトレジスタ81,82,83内のパターンデータをクロック生成部71で生成されるシリアルクロック信号SCLKに同期してビットごとに且つシリアルに読出すことにより、“1001101010111011”という波形を有する16ビットのコントロール信号を生成する。
【0033】
出力部85は、生成部84で生成されるコントロール信号をその生成に伴いシリアルデバイス92へと逐次に出力するとともに、第2シフトレジスタ82のパターンデータ“10101011”が読出される期間に合せて、データレジスタ72内の8ビットの制御データSDをクロック生成部71で生成されるシリアルクロック信号SCLKに同期してビットごとに読出すことによりシリアル変換し、それをシリアルクロック信号SCLKと共にシリアルデバイス92へと出力する。
【0034】
シリアルデバイス92は、供給されるコントロール信号に応じて同供給される制御データSDを取込み、かつ供給されるコントロール信号および取込んだ制御データSDに基づく動作や処理を実行する。
【0035】
このように、パターンデータの書替が可能な3つのシフトレジスタ81,82,83を用いることにより、単純な波形から複雑な波形まで、シリアルデバイス92の機能や仕様に適合する様々な波形のコントロール信号を生成し出力できる。これにより、インタフェースとしての汎用性が大幅に向上する。
【0036】
なお、上記実施形態では、1つのコントロール信号を生成する場合を例に説明したが、生成部84において、シフトレジスタ81,82,83内のパターンデータをクロック生成部71で生成されるシリアルクロック信号SCLKに同期してビットごとに且つパラレルに読出すことにより、3つのコントロール信号を生成することが可能である。そのコントロール信号の数についても、シフトレジスタの個数によって適宜に変更可能である。
【0037】
なお、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。この実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記録された発明とその均等の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラから供給される制御データを格納し、その制御データをシリアル変換しながらシリアルクロック信号と共に制御対象デバイスへと出力し、かつその制御対象デバイスに対するコントロール信号を出力するクロックド・シリアル・インタフェースにおいて、
前記コントロール信号の波形を決定するパターンデータが書替可能に格納される複数のシフトレジスタと、
これらシフトレジスタ内のパターンデータに応じて前記コントロール信号を生成する生成手段と、
を備えることを特徴とするクロックド・シリアル・インタフェース。
【請求項2】
前記シリアルクロック信号を生成するクロック生成手段と、
前記コントローラから供給される制御データが格納されるデータレジスタと、
このデータレジスタ内の制御データを前記生成されるシリアルクロック信号に同期してビットごとに読出すころによりシリアル変換しながら同シリアルクロック信号と共に前記制御対象デバイスへと出力し、かつ前記生成手段で生成されるコントロール信号を出力する出力手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のクロックド・シリアル・インタフェース。
【請求項3】
前記生成手段は、前記各シフトレジスタ内のパターンデータを前記クロック生成手段で生成されるシリアルクロック信号に同期してビットごとに読出すことにより前記コントロール信号を生成する、
前記出力手段は、前記生成手段で生成されるコントロール信号をその生成に伴い前記制御対象デバイスへと逐次に出力するとともに、その出力に伴い、前記データレジスタ内の制御データを前記クロック生成手段で生成されるシリアルクロック信号に同期してビットごとに読出すことによりシリアル変換しながら同シリアルクロック信号と共に前記制御対象デバイスへと出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載のクロックド・シリアル・インタフェース。
【請求項4】
前記複数のシフトレジスタは、数ビットのパターンデータが書替可能に格納された第1シフトレジスタ、前記制御データと同じビット数のパターンデータが書替可能に格納された第2シフトレジスタ、数ビットのパターンデータが書替可能に格納された第3シフトレジスタである、
ことを特徴とする請求項2に記載のクロックド・シリアル・インタフェース。
【請求項5】
前記生成手段は、前記第1、第2、第3シフトレジスタ内のパターンデータを前記クロック生成手段で生成されるシリアルクロック信号に同期してビットごとに且つシリアルに読出すことにより1つのコントロール信号を生成する、
前記出力手段は、前記生成手段で生成されるコントロール信号をその生成に伴い前記制御対象デバイスへと逐次に出力するとともに、前記第2シフトレジスタのパターンデータが読出される期間に合せて、前記データレジスタ内の制御データを前記クロック生成手段で生成されるシリアルクロック信号に同期してビットごとに読出すことによりシリアル変換しながら同シリアルクロック信号と共に前記制御対象デバイスへと出力する、
ことを特徴とする請求項4に記載のクロックド・シリアル・インタフェース。
【請求項6】
前記生成手段は、前記第1、第2、第3シフトレジスタ内のパターンデータを前記クロック生成手段で生成されるシリアルクロック信号に同期してビットごとに且つパラレルに読出すことにより3つのコントロール信号を生成する、
ことを特徴とする請求項4に記載のクロックド・シリアル・インタフェース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−60199(P2012−60199A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198189(P2010−198189)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】