説明

クロロベンゼン誘導体、液晶組成物および液晶表示素子

【課題】優れた物理的性質を有し、かつ他の液晶材料との相溶性に優れた液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子を提供する。
【解決手段】
一般式(1)で表される特定のクロロベンゼン誘導体、これを含有する液晶組成物を用いて構成した液晶表示素子。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規液晶性化合物および液晶組成物に関し、さらに詳しくは、塩素置換−1,4−フェニレン基を有する液晶性化合物、この化合物を含有する液晶組成物およびこの液晶組成物を用いて構成した液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶性化合物(本願において、液晶性化合物なる用語は、液晶相を示す化合物および液晶相を示さないが液晶組成物の構成成分として有用である化合物の総称として用いられる。)を用いた表示素子は、時計、電卓、ワープロ等のディスプレイに広く利用されている。近年では、安価に視野角の改善ができるインプレーンスイッチング(IPS)方式およびヴァーティカルアラインメント(VA)方式の研究が盛んに行われている。
【0003】
これらの方式に用いる液晶組成物には、高い電圧保持率および低いしきい値電圧を有し、かつ、それらの温度依存性が小さく、小さな屈折率異方性値(Δn)および広い液晶相温度範囲を有し、他の液晶材料との相溶性に優れ、低粘性であること等の物性が求められている。
【0004】
このような特性を有する液晶組成物の成分として側方位がフッ素置換された液晶性化合物が数多く検討され、例えば、下記の化合物が開示された文献がある。
【0005】
【化6】

しかし、1)および2)の化合物は小さいΔnを有するが、しきい値電圧が高く、また、3)および4)の化合物は低いしきい値電圧を有するが、Δnが大きいためこれらの化合物は前記した要求を十分に満たしているとは言い難かった。 塩素置換された化合物は、例えば5)DE2933563および6)DE4219819等で開示されている。
【0006】
一般式(1)で表される化合物の一部は、前記先行文献5)および6)等に形式的には包含されが、これら先行文献には本発明の化合物に関しては物性値等のデータが一切記載されておらず、その特性について具体的な言及もなく、本発明の有用性を示唆するものではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記の要求特性に鑑み、極めて高い電圧保持率および低いしきい値電圧を有し、それらの温度依存性が極めて小さく、小さなΔnを有する上、他の液晶材料との相溶性に優れた液晶性化合物、これを含有する液晶組成物および該液晶組成物を用いて構成した液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題の解決のため鋭意研究の結果、一般式(1)
【0009】
【化7】

(式中、Raは炭素数1〜20の直鎖または分岐アルキル基を示し、これらの基中の任意のメチレン基(−CH−)は−O−、−CO−、または−CH=CH−で置き換えられてもよいが、−O−が連続することはなく、Ra中の1つ以上の水素原子は、塩素原子またはフッ素原子で置換されていてもよく;RbはRaから選ばれる基、塩素原子またはフッ素原子を示し;mおよびnは0であり;Aはトランス−1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、または1個の塩素原子、1個のフッ素原子、1個の塩素原子と1個のフッ素原子、または2個のフッ素原子で置換されていてもよい1,4−フェニレンであり、Aは1個の塩素原子、1個のフッ素原子、1個の塩素原子と1個のフッ素原子、または2個のフッ素原子で置換されていてもよい1,4−フェニレンであり、そして化合物を構成するすべての、1,4−フェニレンの水素原子のうち少なくとも2個が塩素原子またはフッ素原子で置換されているが、そのうち少なくとも1個は塩素原子で置換されており;Z、ZおよびZは各々独立して単結合または基中の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を示し、アルキレン基中の任意のメチレン基(−CH−)は−O−、−CO−、または−CH=CH−で置き換えられてもよいが、−O−が連続することはなく、また、これらの化合物を構成する原子は、その同位体で置換されてもよい。)で表されるクロロベンゼン誘導体が所期の性能を有することを知り本発明を完成するに至った。
【0010】
一般式(1)において、Raは炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐したアルキル基であるが、具体的には直鎖アルキル基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、デシル、ペンタデシル、イコシル等を、また分岐アルキル基としてイソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−メチルブチル、イソペンチル、イソヘキシル、3−エチルオクチル、3,8−ジメチルテトラデシル、5−エチル−5−メチルノナデシル等を示すことができる。
【0011】
これらのアルキル基は−O−が連続しない限り、基中の任意のメチレン基(−CH−)が−O−、−CO−、−CH=CH−、−C≡C−、−SiH−またはシクロブタン−1,3−ジイルで置換されていてもよい。
【0012】
これらの例としてアルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシアルケニル基、アルキニル基、アルキニルオキシ基、アルコキシアルキニル基、シラニル基類、アルキルシリル基、アルコキシシリル基、アルキルシリルアルキル基、アルコキシシリルアルキル基、アルキルジシラニル基、アルキルジシラニルアルキル基およびアルキルトリシラニル基等を示すことができる。また、これらの基中の1つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されてもよく、その例としてハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アルコキシ基、ハロゲン置換アルケニル基およびハロゲン置換アルキニル基等を示すことができる。
【0013】
これらの中で好ましい基を具体的に例示する。
基中の−CH−が−O−で置換された基として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ノニルオキシ等のアルコキシ基、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、メトキシペンチル、メトキシオクチル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシヘキシル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、プロポキシプロピル、プロポキシペンチル、ブトキシメチル、ブトキシエチル、ブトキシブチル、ペンチルオキシメチル、ペンチルオキシブチル、ヘキシルオキシメチル、ヘキシルオキシエチル、ヘキシルオキシプロピル、ヘプチルオキシメチル、オクチルオキシメチル等のアルコキシアルキル基、分岐アルコキシ基として2−メチルプロポキシ、2−メチルペントキシ、1−メチルヘプトキシメチル等を示すことができる。
【0014】
基中の−CH−が−CH=CH−で置換された基としてビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルおよびデセニル等のアルケニル基、メトキシプロペニル、エトキシプロペニル、ペンチルオキシプロペニル、メトキシブテニル、エトキシブテニル、ペンチルオキシブテニル、メトキシペンテニル、プロポキシペンテニル、メトキシヘキセニル、プロポキシヘキセニル、メトキシヘプテニルおよびメトキシオクテニル等のアルコキシアルケニル基、プロペニルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテニルオキシ、オクテニルオキシおよびプロペニルオキシメチル等のアルケニルオキシ基、プロペニルオキシエチル、プロペニルオキシブチル、ブテニルオキシメチル、ブテニルオキシエチル、ブテニルオキシペンチル、ペンテニルオキシメチル、ペンテニルオキシプロピル、ヘキセニルオキシメチル、ヘキセニルオキシエチル、ヘプテニルオキシメチルおよびオクテニルオキシメチル等の基、ブタジエニル、ヘプタジエニル、ヘキサジエニル、ヘプタジエニル、オクタジエニルおよびイコサジエニル等のアルカジエニル基を示すことができる。
【0015】
基中の−CH−が−C≡C−で置換された基としてエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびオクチニル等のアルキニル基、エチニルオキシ、プロピニルオキシ、ブチニルオキシ、ペンチニルオキシおよびテトラデシニルオキシ等のアルキニルオキシ基、メトキシプロピニル、メトキシペンチニル、エトキシブチニル、プロポキシプロピニル、ヘキシルオキシヘプチニル、メトキシメチルブチニル、メトキシプロピルエチニル、ブトキシメチルプロピニル等のアルコキシアルキニル基を示すことができる。
【0016】
基中の−CH−が−SiH−で置換された基として、メチルシリル、エチルシリル、プロピルシリル、ブチルシリル、ペンチルシリルおよびノニルシリル等のアルキルシリル基、メチルシリルメチル、メチルシリルエチル、メチルシリルプロピル、メチルシリルブチル、メチルシリルヘプチル、エチルシリルメチル、エチルシリルエチル、エチルシリルプロピル、エチルシリルヘキシル、プロピルシリルメチル、プロピルシリルエチル、プロピルシリルプロピル、ブチルシリルメチル、ブチルシリルエチル、ブチルシリルプロピル、ペンチルシリルメチル、ヘキシルシリルメチル、ヘキシルシリルエチル、ヘプチルシリルメチルおよびオクチルシリルメチル等のアルキルシリルアルキル基、メトキシシリル、エトキシシリル、プロポキシシリル、ブトキシシリル、ペンチルオキシシリルおよびオクチルオキシシリル等のアルコキシシリル基、シラニル、ジシラニル、トリシラニル、テトラシラニル、ペンタシラニルおよびデカシラニル等のシラニル基類、メチルジシラニル、エチルジシラニル、プロピルジシラニル、ブチルジシラニルおよびペンチルジシラニル等のアルキルジシラニル基、メチルトリシラニル、エチルトリシラニル、プロピルトリシラニルおよびヘキシルトリシラニル等のアルキルトリシラニル基、メチルノナシラニル、メチルジシラニルメチル、メチルジシラニルエチル、メチルジシラニルペンチル、エチルジシラニルメチル、エチルジシラニルエチル、エチルジシラニルブチル、エチルジシラニルヘキシル、プロピルジシラニルメチル、ブチルジシラニルペンチル、ペンチルジシラニルメチル、ヘキシルジシラニルエチル、ヘプチルジシラニルメチル等のアルキルジシラニルアルキル基、メチルトリシラニルメチル、メチルトリシラニルペンチル、エチルトリシラニルメチル、エチルトリシラニルプロピル、プロピルトリシラニルメチル、プロピルトリシラニルブチル、ブチルトリシラニルメチル、ペンチルトリシラニルメチルおよびヘキシルトリシラニルメチル等のアルキルトリシラニルアルキル基、並びにメチルヘキサシラニルメチル、エチルヘプタシラニルメチル、メチルオクタシラニルメチル、2−フルオロエチルシリル、3,3−ジフルオロプロピルシリル、1,2,3,3−テトラフルオロプロピルシリル基等を示すことができる。
【0017】
基中の−CH−が−CO−で置換された基としてメチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、2−オキソプロピル、2−オキソブチル、3−オキソブチル、2−オキソペンチル、4−オキソペンチル、3−オキソヘキシル、5−オキソヘキシル、2−オキソヘプチル、3−オキソヘプチル、6−オキソヘプチル、2−オキソオクチル、4−オキソオクチル、7−オキソオクチル、3−オキソノニル、6−オキソノニル、8−オキソノニル、2−オキソデシル、5−オキソデシルおよび9−オキソデシル等の基を示すことができる。
【0018】
また、これらの基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、具体的にはフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、2−ブロモ−1,2−ジフルオロエチル、3−フルオロプロピル、1,2,3,3−テトラフルオロプロピル、4−フルオロブチル、1,1,2,4−テトラフルオロブチル、5−フルオロペンチル、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,3,3,4,5−ペンタフルオロペンチル、6−フルオロヘキシル、2,3,4,6−テトラフルオロヘキシル、7−フルオロヘプチル、8,8−ジフルオロオクチル等のハロゲン置換アルキル基、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1,1−ジフルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、ペルフルオロエトキシ、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ、ペルフルオロプロポキシ等のハロゲン置換アルコキシ基、3−フルオロプロペニル、4−フルオロ−1−ブテニル、4−フルオロ−2−ブテニル、5−フルオロ−1−ペンテニル、5−フルオロ−2−ペンテニル、5−フルオロ−3−ペンテニル、6−フルオロ−1−ヘキセニル、6−フルオロ−3−ヘキセニル、7−フルオロ−5−ヘプテニル、2,2−ジフルオロビニル、1,2−ジフルオロビニル、2−クロロ−2−フルオロビニル、2−ブロモ−2−フルオロビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、3−クロロ−3−フルオロ−1−プロペニル、2,3−ジフルオロ−1−プロペニル、1,3−ジフルオロ−2−プロペニル、1,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル、1,2,4,4−テトラフルオロ−3−ブテニル,5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル、3,3−ジフルオロヘキセニルおよび8,8−ジフルオロ−7−オクテニル等のハロゲン置換アルケニル基を示すことができる。
【0019】
これらの中でアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルケニル基、アルキルシリル基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アルコキシ基およびハロゲン置換アルケニル基がより好ましい。
【0020】
次に、Rbは上記Raから選ばれる基並びにF、Cl、BrおよびIを含むハロゲン原子群から選ばれるが、安定性等の点からBrおよびIを除く基であることが好ましい。
【0021】
、A、AおよびAは相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−ジオキサン−2,5−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、シラシクロヘキサン−1,4−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピラジン−2,5−ジイルであり、1,4−フェニレンの1個または2個の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0022】
これらの中で好ましい基として、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンおよびこのものの環上の1個または2個の水素原子がハロゲン原子で置換された2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−1,4−フェニレン、3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、3−クロロ−2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−5−クロロフェニレンを、ヘテロ原子を含む六員環の2価基ではピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−ジオキサン−2,5−ジイルおよび1−シラ−1,4−シクロヘキサンジイルを挙げることができる。また、より好ましくは、これらの六員環でシス−トランス異性体が存在する場合には、環の立体はトランス型である。
【0023】
、ZおよびZは単結合または含有水素原子の1つ以上がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレン基であるが、好ましくは、単結合、エチレンまたはブチレンである。また、該アルキレン基はその構成メチレン基(−CH−)が−SiH−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−等で置換されていてもよいが、その際−O−が連続することはない。このような基として、好ましくは1,2−ジシランジイル、1,4−テトラシランジイル、1−シラエチレン、2−シラエチレン、1−シラ−1,4−ブチレン、2−シラ−1,4−ブチレンおよび3−シラ−1,4−ブチレン等の−SiH−を有する基、オキシメチレン、メチレンオキシ、1−オキシ−1,4−ブチレン、2−オキシ−1,4−ブチレン、3−オキシ−1,4−ブチレン、4−オキシ−1,4−ブチレンおよびエステル結合等の−O−を有する基、ビニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレンおよび3−ブテニレン等の−CH=CH−を有する基、エチニレン、1−ブチニレン、2−ブチニレンおよび3−ブチニレン等の−C≡C−を有する基、並びに前記各基中の1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換された基、例えばフルオロメチレンオキシ、オキシフルオロメチレン、ジフルオロメチレンオキシ、オキシジフルオロメチレン、1,1−ジフルオロエチレン、2,2−ジフルオロエチレン、1,2−ジフルオロビニレン、1−フルオロビニレン、1−ブロモ−2−フルオロビニレン、1−クロロ−2−フルオロビニレン、1,2−ジフルオロ−1−ブテニレン、2,3−ジフルオロ−2−ブテニレン、3、4−ジフルオロ−3−ブテニレン、その他3−オキシ−1−ブテニレンおよび4−オキシ−1−ブテニレン等を示すことができる。
【0024】
前記のRa、Rb、A〜AおよびZ〜Zの各々から選択される基の組み合わせからなる、全ての本発明化合物は、本発明化合物固有の特性を有する好ましい化合物であるが、より好ましくはヘテロ原子を含む環を2つ以上含まない化合物である。
このような化合物群のうち格別に好ましい特性を有する1群の化合物は、以下の(1−1)〜(1−131)に示される化合物である。
【0025】
【化8】

【0026】
【化9】

【0027】
【化10】

【0028】
【化11】

【0029】
【化12】

【0030】
【化13】

【0031】
【化14】

【0032】
【化15】

【0033】
【化16】

【0034】
【化17】

【0035】
【化18】

(式中、Ra、RbおよびZ〜Zは前記と同様の意味を示し、1,4−フェニレン基上の水素原子は、請求項1に記載の範囲内において相互に独立してカッコ内の原子で置換されてもよいことを示す。)
本発明の一般式(1)で示される液晶性化合物は、一般的な有機合成法によって製造することができるが、例えば以下のような方法で簡便に製造することができる。
【0036】
【化19】

【0037】
【化20】

【0038】
【化21】

【0039】
【化22】

(式中、Ra、RbおよびAおよびAは前記と同様の意味を示し、XaおよびXbはハロゲン原子(特に臭素およびヨウ素が好ましい。)を示し、qは0〜4の整数を示し、rは1〜3の整数を示し、(Cl)s、(Cl)u、(F)tおよび(F)vは、それぞれ環上の水素原子がフッ素原子または/および塩素原子で置換されていてもよいことを示し、s、t、uおよびvは相互に独立して0、1または2を示すが、s+t=u+v≦2であり、Aは以下の基を示す。)
【0040】
【化23】

すなわち、scheme1に示したごとく、トルエンあるいはキシレン等とエタノール等のアルコール類および水の混合溶媒中、KCOあるいはNaCO等の塩基および炭素担持パラジウム(Pd−C)、Pd(PPh、PdCl(PPh等の触媒存在下、化合物()とジヒドロキシボラン誘導体()を反応(M.HIRD等,Liq.Cryst.,18(1),1(1995))させることにより本発明化合物例の()を製造することができる。
【0041】
scheme2に示したごとく、今本等の方法(J.Am.Chem.Soc.,111,4392(1989))により化合物()とした後、p−トルエンスルホン酸(PTS)等の酸性触媒存在下、脱水反応を行い、次いで、Pd−Cまたはラネーニッケル等の触媒存在下、水素還元することにより本発明の化合物()を製造することができる。
【0042】
scheme3に示したごとく、化合物()とリチウムおよび亜鉛化合物を反応させた後、パラジウム触媒存在下、化合物()を反応(林等,J.Am.Cem.Soc.,106,158(1984))させることにより本発明の化合物(10)を製造することができる。
【0043】
scheme4に示したごとく、化合物(11)と化合物(12)をナトリウムアミド(J.B.ライト等,J.Am.Chem.Soc.,70,3098(1948))、炭酸カリウム(W.T.Olson等,J.Am.Chem.Soc.,69,2451(1947))、トリエチルアミン(R.L.Merker等,J.Org.Chem.,26,5180(1961))、水酸化ナトリウム(C.Wilkins,Synthesis,156(1973))、水酸化カリウム(J.Rebek等,J.Org.Chem.,44,1485(1979))、水酸化バリウム(カワベ等,J.Org.Chem.,37,4210(1972))または水素化ナトリウム(NaH)(C.J.Stark,Tetrahedron Lett.,22,2089(1981)、K.タカイ等,Tetrahedron Lett.,21,1657(1980))等の塩基の存在下、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルリン酸トリアミドまたはトルエン等の溶媒中で反応させることにより本発明の化合物(13)を製造することができる。
【0044】
scheme5に示したごとく、化合物(14)と化合物(15)をカリウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシドまたはn−ブチルリチウム等の塩基の存在下、Wittig反応(A.Maercker,Org.React.,14,270)を行うことにより本発明化合物例の(16)を製造することができる。また、引き続き、ベンゼンスルフィン酸またはp−トルエンスルフィン酸等により異性化反応を行うこともできる。
【0045】
scheme6に示したごとく、化合物(17)と化合物(18)をヨウ化銅およびPd(PPh,PdCl(PPhまたはPd(OAc)・(PPh等のPd触媒存在下、カップリング反応(L.Cassar,J.Organomet.Chem.,93,253(1975))を行うことにより本発明の化合物(19)を製造することができる。
【0046】
scheme7に示したごとく、化合物(20)をトルエンまたはベンゼン等の溶媒中あるいは無溶媒中、塩化チオニル等のハロゲン化剤により化合物(21)とし、これを化合物(12)と反応(E.J.Corey等,J.Org.Chem.,38,3223(1973))させることにより本発明の化合物(22)を製造することができる。この反応は、反応促進のためピリジン(Py)、トリエチルアミン(B.Iselin等,Helv.Chim.Acta.,40,373(1957))、ジメチルアニリン(C.Raha,Org.Synth.,・・,263(1963))またはテトラメチル尿素(M.S.Newman等,Tetrahedron.Lett.,3267(1967))等の塩基の存在下で行われることが好ましい。
【0047】
ケイ素原子を有する化合物を製造する方法についてはE.W.Colvin等(Silicon in Organic Synthesis,Butteworths,London(1981))、W.P.Weber(Silicon Reagents for Organic Synthesis,Springer−Verlag,Berlin(1983))およびE.W.Colvin(Silicon Reagents in Organic Synthesis,Academic Press,London(1988))等の成書に詳細に記載されているが、例えばscheme8に示したような方法により製造することができる。
【0048】
すなわち、scheme8に示したごとく、化合物(23)をn−ブチルリチウム(n−BuLi)および化合物(24)と反応させて得られたハロゲン化合物をリチウムでリチオ化した後、テトラクロロシランと反応させて化合物(25)とする。化合物(25)を化合物(26)と反応させた後、水素化ホウ素ナトリウム(SBH)または水素化リチウムアルミニウム(LAH)等の還元剤で還元することにより本発明の化合物(28)を製造することができる。
【0049】
scheme9に示したごとく、化合物(23)をJ.Houben等(Chem.Ber,40,1303(1907))の方法により化合物(29)とした後、加藤等(Liebigs Ann.Chem.,,1229(1982))の方法により化合物(31)とする。次いで、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)(W.H.Bunnelle等,J.Org.Chem.,55,768(1990))、二水素三フッ化テトラブチルアンモニウム/N−ブロモコハク酸イミド(特開平5−255165)または(HF)n−ピリジン等のフッ素化剤でフッ素化することにより本発明の化合物(32)を製造することができる。
【0050】
scheme10に示したごとく、化合物(33)をN.Petraganani等(Synthesis,112(1977))の方法により化合物(35)とした後、LAH、SBH/AlCl3、水素化ホウ素リチウムまたは水素化ビス(2−メキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等の還元剤で還元し、次いで、PTS等の酸性触媒存在下、化合物(15)と脱水反応を行うことにより本発明の化合物(37)を製造することができる。
【0051】
scheme11に示したごとく、化合物(38)を過酢酸(D.Swern等,J.Am.Chem.Soc.,68,1504(1946))、過安息香酸(J.Grigor等,J.Chem.Soc.,2333,(1954))、トリフルオロ過酢酸(E.J.Corey等,J.Am.Chem.Soc.,101,5841(1979))、m−クロロ過安息香酸(mCPBA)(A.G.Hortmann等,J.Org.Chem.,35,4920(1970)、M.Sworin等,J.Am.Chem.Soc.,111,1815(1989))等の過酸化物により化合物(39)とし、トリフルオロ酢酸(A.C.Cope等,J.Am.Chem.Soc.,85,3752(1963))、トリクロロ酢酸(G.Berti等,Tetrahedron Lett.,3421,(1965))、トリニトロベンゼンスルホン酸(M.A.Khuddus等,J.Am.Chem.Soc.,95,8393(1973))等で加水分解して化合物(40)とする。
【0052】
化合物(40)の末端−OHを、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMS−Cl)(K.K.Oglivie等,Tetrahedron Lett.,317(1973)、S.K.Chaudhary等,Tetrahedron Lett.,99(1979))等で保護し、次いで、トリフルオロメタンスルホン酸エステル(T.Gramstad等,J.Chem.Soc.,4069(1957))、スルホン酸エステル(小倉等,Bull.Chem.Soc.Jpn.,56,1257(1983))またはシュウ酸エステル(E.E.Smissman等,J.Org.Chem.,37,3944(1972))等に誘導した後、化合物(43)と反応を行い化合物(44)とする。
【0053】
化合物(44)のTBDMS部を脱保護(I.J.Bolton等,J.Chem.Soc.,2944(1971))した後、PTS等の酸触媒存在下、脱水反応を行うことにより本発明の化合物(46)を製造することができる。
【0054】
scheme12に示したごとく、化合物(47)をクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)(G.Melvin等,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.,,599(1981))または二クロム酸ピリジニウム等の酸化剤で酸化した後、化合物(48)と反応させて化合物(49)を得る。次いで塩酸、硫酸等の鉱酸またはPTS(W.J.Johnson等,J.Am.Chem.Soc.,83,606(1961))等の酸触媒存在下、脱水して化合物(50)を得る。化合物(50)を水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)(E.J.Corey等,J.Am.Chem.Soc.,91,5675(1969))または水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(トコロヤマ等,Tetrahedron Lett.,36,3377(1980))等の還元剤で還元して化合物(51)を得る。さらに化合物(51)をトリエチルシラン(G.A.Kraus等,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1568(1986))等のヒドロシランで還元することによって本発明の化合物(52)を製造することができる。
【0055】
scheme13に示したごとく、化合物(53)をA.W.Dox(Org.Synth.,,5(1941))の方法により化合物(54)とした後、A.Boller等(Mol.Cryst.Liq.Cryst.,42,215(1977))の方法により本発明の化合物(56)を製造することができる。
【0056】
scheme14に示したごとく、特開昭61−58474に記載の方法により本発明の化合物(60)を製造することができる。
一般式(1)中にシラシクロヘキサン環を含む化合物は、特開平7−70148、特開平7−112990、特開平7−173176および特開平7−252273等で開示されている方法に従って、容易に製造することができる。
【0057】
ベンゼン環に塩素原子が導入さた原料(例えば、1−ブロモ−3−クロロベンゼンあるいは1−ブロモ−3−クロロ−5−フルオロベンゼン等)は市販されており、これらを購入して使用することができるが、例えば、ヒドロキシル基の塩素化(G.A.Wiley等,J.Am.Chem.Soc.,86,964(1946))、Sandmeyer反応(H.Becker等,“Organikum”,VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften,591(1973))、DE4219819に記載の方法またはV.Bezbordov等(Liq.Cryst.,20(1)1(1996))の方法等により、scheme1〜13の任意の段階でA〜Aに塩素原子を導入することもできる。
【0058】
また、アルキル基にフッ素原子が導入された原料も種々の化合物が市販されているが、例えば、Raおよび/またはRb中にフッ素原子を導入する方法としては、以下のような方法を示すことができる。
【0059】
【化24】

(scheme15〜19において、RaおよびXaは前記と同様の意味を示し、Aは以下の基を示す。)
【0060】
【化25】

(基中、A〜A、Z〜Z、mおよびnは前記と同様の意味を示す。)
すなわち、scheme15に示したごとく化合物(61)を三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)(W.J.Middleton等,J.Org.Chem.,40,574(1975)、S.Rozen等,Tetrahedron Lett.,41,111(1985)、M.Hudlicky,Org.React.,35,513(1988)、P.A.Messina等,J.Fluorine Chem.,42,137(1989))、三フッ化モルホリノ硫黄(K.C.Mange等,J.Fluorine Chem.,43,405(1989))またはジエチルアミン−ヘキサフルオロプロペン(石川等,Bull.Chem.Soc.Jpn.,52(11),3377(1979))等のフッ素化剤でフッ素化することにより化合物(62)を製造することができる。
【0061】
scheme16に示したごとく、化合物(63)をDAST等でフッ素化して化合物(64)を製造することができる。
【0062】
scheme17に示したごとく、化合物(65)とトリフルオロ酢酸ナトリウム/ヨウ化銅(・)(G.E.Carr等,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.,921,(1988))またはフルオロスルホニルジフルオロ酢酸メチル/ヨウ化銅(・)(Q.Y.Chen等,J.Chem.Soc.,Chem.Commun,705(1989))とを反応させることにより化合物(66)を製造することができる。
【0063】
scheme18に示したごとく化合物(67)とクロロジフルオロメタン/水酸化ナトリウム(特表平3−500413)とを反応させて、化合物(68)を製造することができる。または、Chen等の方法(J.Fluorine Chem.,44,433(1989)によっても化合物(68)を製造することができる。
【0064】
scheme19に示したごとく、化合物(67)をアルバート等の方法(Synth.Commun.,19,547(1989))により化合物(69)とする。これを黒星等の方法(Tetrahedron Lett.,33(29),4173(1992))でフッ素化して、化合物(70)を製造することができる。
【0065】
前述の反応を化合物の性質に応じて任意に組み合わせることによって本発明化合物を製造することができる。
また、前述の反応は全て公知のものであるが、必要によりさらに他の既知反応を使用できることは言うまでもない。
【0066】
このようにして得られる本発明の液晶性化合物は、極めて高い電圧保持率および低いしきい値電圧を有し、それらの温度依存性が極めて小さく、小さなΔnを有する上、種々の液晶材料と容易に混合し、低温下でも非常に優れた相溶性を有する。
また、これらの本発明液晶性化合物は、液晶表示素子が通常使用される条件下において物理的および化学的に十分安定であり、ネマチック液晶組成物の構成成分として極めて優れている。
【0067】
本発明の液晶性化合物は、TN、STN、TFTおよびその他の表示方式用の液晶組成物においても、その構成成分として好適に使用することができる。
また、本発明の液晶性化合物のいくつかは、負の誘電率異方性値(Δε)を示すが、これらの化合物はIPS方式およびVA方式用の液晶組成物の構成成分として特に好適に使用することができる。
【0068】
一般式(1)で表される化合物のうち、2個の六員環を有する化合物は比較的低い等方相転移温度と低粘性を示し、3個および4個の六員環を有する化合物は高い等方相転移温度とやや高い粘性を示す。分子内にシクロヘキサン環、ジオキサン環、テトラヒドロピラン環またはシラシクロヘキサン環を有する化合物は小さなΔnを示し、シクロヘキサン環、シラシクロヘキサン環またはベンゼン環を有する化合物は低粘性を示し、ベンゼン環、ピリジン環またはピリミジン環を有する化合物は広い液晶相温度範囲および大きなΔnを示し、ピリジン環、ピリミジン環またはジオキサン環を有する化合物は比較的大きなΔεを示す。
【0069】
Ra、Rbおよび/またはZ〜Z中に二重結合を含む化合物は大きな弾性定数比(ベンド弾性定数/スプレイ弾性定数)および低粘性を示すので、STN用組成物の構成成分として用いるとT−V曲線の透過率の変化が急峻である組成物を調製でき、高コントラストの表示素子を提供することができる。三重結合を含む化合物は大きなΔnおよび低粘性を示す。ジヒドロシリル基(−SiH−)を含む化合物は低いしきい値電圧および低粘性を示す。
【0070】
Raおよび/またはRbが光学活性基である化合物は、キラルドープ剤として特に有用である。また、Rbがハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル基またはハロゲン置換アルコキシ基である場合は大きなΔεを示す。
環構造中の水素原子をフッ素原子に置換することによって、より大きなΔεとすることが可能であり、同時に相溶性も改善され得る。
【0071】
〜Z中にジフルオロメチレンオキシ基(−CFO−)またはオキシジフルオロメチレン基(−OCF−)を含む化合物は、比較的大きなΔεと低粘性を示し、1,2−ジフルオロビニレン(−CF=CF−)である化合物は著しい低粘性を示す。
また、本発明化合物中の原子が、その同位体で置換された化合物も同様の特性を示すことから好ましいものといえる。
これらのことから環、置換基および結合基を適当に選択することにより所望の物性を有する新たな液晶性化合物を得ることができる。
【0072】
以下、本発明の液晶組成物に関して説明する。本発明に係る液晶組成物は、一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を0.1〜99.9重量%の割合で含有することが、優良な特性を発現せしめるために好ましく、より好ましくは、その割合は1〜60重量%である。
【0073】
さらに詳しくは、本発明で提供される液晶組成物は、一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有する第一成分に加え、一般式(2)〜(12)で表される化合物群から液晶組成物の目的に応じて選択される化合物を混合することにより完成する。
【0074】
本発明の液晶組成物に用いられる一般式(2)〜(4)で表される化合物の好ましい例として以下の化合物を挙げることができる。
【0075】
【化26】

【0076】
【化27】

【0077】
【化28】

【0078】
【化29】

【0079】
【化30】

【0080】
【化31】

【0081】
【化32】

【0082】
【化33】

【0083】
【化34】

(式中、RおよびXは前記と同様の意味を示す。)
一般式(2)〜(4)で表される化合物は誘電率異方性値が正の化合物であり、熱的安定性や化学的安定性が非常に優れており、特に電圧保持率の高い、あるいは比抵抗値の大きいといった高信頼性が要求されるTFT用の液晶組成物を調製する場合に、極めて有用な化合物である。
【0084】
TFT用の液晶組成物を調製する場合、一般式(2)〜(4)で表される化合物の使用量は、液晶組成物の全重量に対して0.1〜99.9重量%の範囲で使用できるが、好ましくは10〜97重量%、より好ましくは40〜95重量%である。また、一般式(7)〜(9)で表される化合物を、粘度調整の目的でさらに含有してもよい。
【0085】
STNまたはTN用の液晶組成物を調製する場合も一般式(2)〜(4)で表される化合物を使用することができるが、50重量%以下の使用量が好ましい。
本発明の液晶組成物に用いられる一般式(5)および(6)で表される化合物の好ましい例として以下の化合物を挙げることができる。
【0086】
【化35】

【0087】
【化36】

【0088】
【化37】

【0089】
【化38】

【0090】
【化39】

(式中、R、RおよびXは前記と同様の意味を示す。)
一般式(5)および(6)で表される化合物は誘電率異方性値が正でその値が大きく、特に液晶組成物のしきい値電圧を小さくする目的で使用される。また、屈折率異方性値の調整、透明点を高くする等のネマチックレンジを広げる目的にも使用される。さらに、STNまたはTN用の液晶組成物の電圧−透過率特性の急峻性を改良する目的にも使用される。
【0091】
一般式(5)および(6)で表される化合物は、STNおよびTN用の液晶組成物を調製する場合には、特に有用な化合物である。
【0092】
液晶組成物中に一般式(5)および(6)で表される化合物の量が増加すると、液晶組成物のしきい値電圧は小さくなるが、粘度が上昇する。したがって、液晶組成物の粘度が要求値を満足している限り、多量に使用した方が低電圧駆動できるので有利である。STNまたはTN用の液晶組成物を調製する場合に、一般式(5)および(6)で表される化合物の使用量は0.1〜99.9重量%の範囲で使用できるが、好ましくは10〜97重量%、より好ましくは40〜95重量%である。
【0093】
本発明の液晶組成物に用いられる一般式(7)〜(9)で表される化合物の好ましい例として以下の化合物を挙げることができる。
【0094】
【化40】

(式中、RおよびRは前記と同様の意味を示す。)
一般式(7)〜(9)で表される化合物は、誘電率異方性値が負の化合物である。一般式(7)で表される化合物は2環化合物であるので、主としてしきい値電圧の調整、粘度調整または屈折率異方性値の調整の目的で使用される。一般式(8)で表される化合物は透明点を高くする等のネマチックレンジを広げる目的または屈折率異方性値の調整の目的で使用される。一般式(9)で表される化合物はネマチックレンジを広げる目的の他、しきい値電圧を小さくする目的および屈折率異方性値を大きくする目的で使用される。
【0095】
一般式(7)〜(9)で表される化合物は主として誘電率異方性値が負である液晶組成物に使用される。その使用量を増加させると組成物のしきい値電圧が小さくなり、粘度が大きくなる。したがって、しきい値電圧の要求値を満足している限り、少なく使用することが望ましい。しかしながら、誘電率異方性の絶対値が5以下であるので、40重量%より少なくなると電圧駆動ができなくなる場合がある。一般式(7)〜(9)の化合物の使用量は、誘電率異方性値が負であるTFT用の組成物を調製する場合には40重量%以上が好ましいが、50〜95重量%が好適である。また弾性定数をコントロールし、組成物の電圧−透過率曲線を制御する目的で、一般式(7)〜(9)で表される化合物を誘電率異方性値が正である組成物に混合する場合もある。この場合の一般式(7)〜(9)で表される化合物の使用量は30重量%以下が好ましい。
【0096】
本発明の液晶組成物に用いられる一般式(10)〜(12)で表される化合物の好ましい例として以下の化合物を挙げることができる。
【0097】
【化41】

【0098】
【化42】

【0099】
【化43】

【0100】
(式中、RおよびRは前記と同様の意味を示す。)
一般式(10)〜(12)で表される化合物は、誘電率異方性の絶対値が小さく、中性に近い化合物である。一般式(10)で表される化合物は主として粘度調整または屈折率異方性値の調整の目的で使用される。また、一般式(11)および(12)で表される化合物は透明点を高くする等のネマチックレンジを広げる目的または屈折率異方性値の調整の目的で使用される。
【0101】
一般式(10)〜(12)で表される化合物の使用量を増加させると液晶組成物のしきい値電圧が大きくなり、粘度が小さくなる。したがって、液晶組成物のしきい値電圧が要求値を満足している限り、多量に使用することが望ましい。TFT用の液晶組成物を調製する場合に一般式(10)〜(12)で表される化合物の使用量は、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。また、STNまたはTN用の液晶組成物を調製する場合には、一般式(10)〜(12)で表される化合物の使用量は、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
【0102】
また、本発明の液晶組成物では、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード用液晶組成物等の特別な場合を除き、液晶組成物のらせん構造を誘起して必要なねじれ角を調整し、逆ねじれ(reverse twist)を防ぐ目的で、通常、光学活性化合物を添加する。このような目的で公知のいずれの光学活性化合物も使用できるが、好ましい例として以下の光学活性化合物を挙げることができる。
【0103】
【化44】

本発明の液晶組成物は、通常、これらの光学活性化合物を添加して、ねじれのピッチを調整する。ねじれのピッチは、TFT用およびTN用の液晶組成物であれば40〜200μmの範囲に調整するのが好ましい。STN用の液晶組成物であれば6〜20μmの範囲に調整するのが好ましい。また、双安定TN(Bistable TN)モード用の場合は、1.5〜4μmの範囲に調整するのが好ましい。また、ピッチの温度依存性を調整する目的で、2種以上の光学活性化合物を添加してもよい。
【0104】
本発明の液晶組成物は、慣用な方法で調製される。一般には、種々の成分を高い温度で互いに溶解させる方法がとられている。
【0105】
また、本発明の液晶組成物は、メロシアニン系、スチリル系、アゾ系、アゾメチン系、アゾキシ系、キノフタロン系、アントラキノン系、およびテトラジン系等の二色性色素を添加してゲストホスト(GH)モード用の液晶組成物としても使用できる。あるいは、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAPや液晶中に三次元網目状高分子を作製したポリマーネットワーク液晶表示素子(PNLCD)に代表されるポリマー分散型液晶表示素子(PDLCD)用の液晶組成物としても使用できる。その他、複屈折制御(ECB)モードや動的散乱(DS)モード用の液晶組成物としても使用できる。
【0106】
本発明の化合物を含有する液晶組成物例として以下のものを示すことができる。なお、組成物例および後述の実施例中の化合物は、以下に示される定義によって記号化して表記し、組成物例中の化合物No.は実施例中に示されるそれと同一である。
【0107】
【化45】

【0108】
【化46】

【0109】
【化47】

また、例えば下記の部分構造式において、トランスー1,4−シクロヘキシレンの水素原子が、Q、QおよびまたはQの位置が重水素原子で置換された場合には、記号:H[1D,2D,3D]とし、またQ、Qおよび/またはQの位置が置換された場合は、記号H:[5D,6D,7D]として[ ]内の番号で重水素置換位置を示すこととする。
【0110】
【化48】

また、組成物例および実施例中において、特に断りのない限り「%」は「重量%」を示し、化合物にシス−トランス異性体が存在する場合には、その化合物はトランス型である。
【0111】
組成物例1
3−HB(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.19) 7.0%
3−HB(3,5F)B(3Cl)−F(化合物No.31) 3.0%
1V2−BEB(3,5F)−C 5.0%
3−HB−C 20.0%
V2−HB−C 6.0%
1−BTB−3 5.0%
2−BTB−1 6.0%
1O1−HH−3 3.0%
3−HH−4 5.0%
3−HHB−1 11.0%
3−HHB−3 3.0%
3−H2BTB−2 4.0%
3−H2BTB−3 4.0%
3−H2BTB−4 4.0%
3−HB(3F)TB−2 6.0%
3−HB(3F)TB−3 5.0%
3−HHB−C 3.0%
【0112】
組成物例2
3−HB(3,5F)B(3Cl)−F(化合物No.31) 4.0%
5−PyB−F 4.0%
3−PyB(3F)−F 4.0%
2−BB−C 5.0%
−BB−C 4.0%
5−BB−C 5.0%
2−PyB−2 2.0%
6−PyB−O5 3.0%
6−PyB−O6 3.0%
6−PyB−O7 3.0%
6−PyB−O8 3.0%
3−PyBB−F 6.0%
4−PyBB−F 6.0%
5−PyBB−F 6.0%
3−HHB−1 6.0%
3−HHB−3 8.0%
2−H2BTB−2 4.0%
2−H2BTB−3 4.0%
2−H2BTB−4 5.0%
3−H2BTB−2 5.0%
3−H2BTB−3 5.0%
3−H2BTB−4 5.0%
【0113】
組成物例3
3−HB(3,5F)B(3Cl)−F(化合物No.31) 4.0%
3−BB(3F)B(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.88)5.0%
2O1−BEB(3F)−C 5.0%
3O1−BEB(3F)−C 12.0%
5O1−BEB(3F)−C 4.0%
1V2−BEB(3,5F)−C 10.0%
3−HEB−O4 4.0%
3−HH−EMe 2.0%
3−HB−O2 18.0%
7−HEB−F 2.0%
3−HHEB−F 2.0%
5−HHEB−F 2.0%
3−HBEB−F 4.0%
2O1−HBEB(3F)−C 2.0%
3−HB(3F)EB(3F)−C 2.0%
3−HBEB(3,5F)−C 2.0%
3−HHB−F 4.0%
3−HHB−O1 4.0%
3−HHB−3 4.0%
3−HEBEB−F 2.0%
3−HEBEB−1 2.0%
3−HHB(3F)−C 4.0%
【0114】
組成物例4
3−HB(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.19)2.0%
3−HB(3,5F)B(3Cl)−F(化合物No.31) 3.0%
3−BB(3F)B(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.88)5.0%
5−BEB(3F)−C 5.0%
V−HB−C 11.0%
5−PyB−C 6.0%
4−BB−3 6.0%
5−HH−V2V 4.0%
3−HH−2V 10.0%
5−HH−V 7.0%
V−HHB−1 7.0%
V2−HHB−1 15.0%
3−HHB−1 4.0%
1V2−HBB−2 10.0%
3−HHEBH−3 5.0%
【0115】
組成物例5
3−HB(3,5F)B(3Cl)−F(化合物No.31) 5.0%
5−BTB(3F)TB−3 10.0%
V2−HB−TC 10.0%
3−HB−TC 10.0%
3−HB−C 10.0%
5−HB−C 7.0%
5−BB−C 3.0%
2−BTB−1 5.0%
2−BTB−O1 5.0%
3−HH−4 5.0%
3−HHB−1 10.0%
3−HHB−3 11.0%
3−H2BTB−2 3.0%
3−H2BTB−3 3.0%
3−HB(3F)TB−2 3.0%
【0116】
組成物例6
3−BB(3F)B(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.88)7.0%
1V2−BEB(3,5F)−C 6.0%
3−HB−C 18.0%
2−BTB−1 10.0%
5−HH−VFF 30.0%
1−BHH−VFF 8.0%
1−BHH−2VFF 4.0%
3−H2BTB−2 5.0%
3−H2BTB−3 4.0%
3−H2BTB−4 4.0%
3−HHB−1 4.0%
【0117】
組成物例7
3−BB(3F)B(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.88)8.0%
7−HB(3F)−F 5.0%
5−H2B(3F)−F 5.0%
3−HB−O2 10.0%
3−HH−4 2.0%
3−HH[5D,6D,7D]−4 3.0%
2−HHB(3F)−F 10.0%
3−HHB(3F)−F 10.0%
5−HH[5D,6D,7D]B(3F)−F 10.0%
3−H2HB(3F)−F 5.0%
2−HBB(3F)−F 3.0%
3−HBB(3F)−F 3.0%
5−HBB(3F)−F 6.0%
2−H2BB(3F)−F 5.0%
3−H2BB(3F)−F 6.0%
3−HHB−O1 5.0%
3−HHB−3 4.0%
【0118】
組成物例8
3−HB(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.19) 2.0%
3−HB(3,5F)B(3Cl)−F(化合物No.31) 3.0%
3−BB(3F)B(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.88)4.0%
7−HB(3,5F)−F 2.0%
3−H2HB(3,5F)−F 12.0%
4−H2HB(3,5F)−F 4.0%
3−HHB(3,5F)−F 10.0%
4−HHB(3,5F)−F 5.0%
3−HBB(3,5F)−F 10.0%
3−HHEB(3,5F)−F 10.0%
4−HHEB(3,5F)−F 3.0%
5−HHEB(3,5F)−F 3.0%
2−HBEB(3,5F)−F 3.0%
3−HBEB(3,5F)−F 5.0%
5−HBEB(3,5F)−F 3.0%
3−HD(3,5)B(3,5F)−F 15.0%
3−HBCFOB−OCF 4.0%
3−HHBB(3,5F)−F 2.0%
【0119】
組成物例9
3−HB(3,5F)B(3Cl)−F(化合物No.31) 6.0%
3−BB(3F)B(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.88)4.0%
3−HB−CL 10.0%
5−HB−CL 4.0%
1O1−HH−5 3.0%
2−HBB(3F)−F 8.0%
3−HBB(3F)−F 8.0%
5−HBB(3F)−F 14.0%
4−HHB−CL 8.0%
5−HHB−CL 8.0%
3−H2HB(3F)−CL 4.0%
3−HBB(3,5F)−F 10.0%
5−H2BB(3,5F)−F 9.0%
3−HB(3F)VB−2 2.0%
3−H2BTB−2 2.0%
【0120】
組成物例10
3−HB(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.19) 3.0%
3−HB(3,5F)B(3Cl)−F(化合物No.31) 4.0%
3−BB(3F)B(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.88)5.0%
3−H2B(2,3F)B(2Cl,3F)−1(化合物No.40) 2.0%
5−HB−F 10.0%
6−HB−F 9.0%
2−HHB−OCF 7.0%
3−HHB−OCF 7.0%
4−HHB−OCF 7.0%
3−HH2B−OCF 4.0%
5−HH2B−OCF 4.0%
3−HHB(3,5F)−OCF 5.0%
3−HBB(3F)−F 10.0%
5−HBB(3F)−F 10.0%
3−HH2B(3F)−F 3.0%
3−HB(3F)BH−3 3.0%
5−HBBH−3 3.0%
3−HHB(3,5F)−OCFH 4.0%
【0121】
組成物例11
3−HB(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.19) 4.0%
3−BB(3F)B(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.88)4.0%
5−H4HB(3,5F)−F 7.0%
5−H4HB−OCF 15.0%
5−H4HB(3,5F)−CF 10.0%
3−HB−CL 6.0%
5−HB−CL 4.0%
2−H2BB(3F)−F 5.0%
3−H2BB(3F)−F 10.0%
5−HVHB(3,5F)−F 5.0%
3−HHB−OCF 5.0%
3−H2HB−OCF 5.0%
V−HHB(3F)−F 5.0%
3−HHB(3F)−F 5.0%
5−HHEB−OCF 2.0%
3−HBEB(3,5F)−F 5.0%
5−HH−V2F 3.0%
【0122】
組成物例12
3−H2B(2,3F)B(2Cl,3F)−1(化合物No.40)15.0%
3−HEB−O4 24.0%
4−HEB−O2 17.0%
5−HEB−O1 17.0%
3−HEB−O2 15.0%
5−HEB−O2 12.0%
【0123】
組成物例13
3−H2B(2,3F)B(2Cl,3F)−1(化合物No.40) 6.0%
3−HH−2 5.0%
3−HH−O1 4.0%
3−HH−O3 5.0%
5−HH−O1 4.0%
3−HB(2,3F)−O2 12.0%
5−HB(2,3F)−O2 11.0%
3−HHB(2,3F)−O2 14.0%
5−HHB(2,3F)−O2 15.0%
3−HHB(2,3F)−2 24.0%
【0124】
組成物例14
3−HB(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.19) 10.0%
3−HB(3,5F)B(3Cl)−F(化合物No.31) 10.0%
3−BB(3F)B(3Cl,5F)B(3F)−F(化合物No.88)8.0%
3−H2B(2,3F)B(2Cl,3F)−1(化合物No.40) 3.0%
2−HHB(3F)−F 2.0%
3−HHB(3F)−F 2.0%
5−HHB(3F)−F 2.0%
2−HBB(3F)−F 6.0%
3−HBB(3F)−F 6.0%
5−HBB(3F)−F 10.0%
2−H2BB(3F)−F 9.0%
3−H2BB(3F)−F 9.0%
3−HBB(3,5F)−F 15.0%
5−HBB(3,5F)−F 3.0%
1O1−HBBH−4 5.0%
【発明を実施するための最良の形態】
【0125】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、各実施例中において、Cは結晶を、SはスメクチックA相を、SはスメクチックB相を、Sは相構造未解析のスメクチック相を、Nはネマチック相を、Isoは等方相を示し、相転移温度の単位は全て℃である。
【実施例】
【0126】
実施例1
4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルベンゼン(3O−HB(3Cl,5F)−CF(化合物No.1))の製造。
(第一段)トランス−4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロベンゼンの製造
4−プロポキシシクロヘキサノン25g(160mmol)のテトラヒドロフラン(THF)100ml溶液中に3−クロロ−5−フルオロフェニルマグネシウムブロミド〔3−クロロ−5−フルオロブロモベンゼン40.2g(192.0mmol)とマグネシウム4.7g(192.0mmol)から調製した。〕のTHF150ml溶液を室温、1時間で滴下した。滴下終了後、50℃で1時間攪拌した。反応溶液に希塩酸150mlを添加し、30分攪拌後、ヘプタン250mlで抽出した。得られた有機層を希炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下に溶媒を留去して、黄色油状物42.7gを得た。
【0127】
黄色油状物42.7g、p−トルエンスルホン酸2.0gおよびトルエン200mlの混合物を、留出する水を抜きながら3時間加熱還流させた。反応終了後、有機層を水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下に溶媒を留去して、黄色油状物37.3gを得た。
【0128】
黄色油状物37.3g、5%Pd−C1.8gおよびエタノール150mlを混合して水素還元を行った。水素の吸収が停止した後、触媒を濾過して除去した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン)に付して、粗製の4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロベンゼン36.8gを得た。(収率:84.9%)
このものは、これ以上の精製を行わず次反応に使用した。
【0129】
(第二段)4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−4−ヨード−5−フルオロベンゼンの製造
前段で得られたトランス−4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロベンゼン36.8g(135.9mmol)のTHF150ml溶液中にn−BuLi99ml(1.64M、THF溶液、163.1mmol相当)を−60℃以下を保ちながら滴下し、同温度で1時間攪拌した。次いで、反応混合物中にヨウ素41.4g(163.1mmol)のTHF160ml溶液を−60℃以下を保ちながら滴下し、同温度で1時間攪拌した。反応溶液を希チオ硫酸ナトリウム水溶液200ml中に注ぎ、ヘプタン150mlで抽出した。得られた有機層を水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下に溶媒を留去した後、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン)に付し、黄色油状物53.3gを得た。(収率96.5%)
このものは、これ以上の精製を行わずに次反応に使用した。
【0130】
(第三段)4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルベンゼンの製造
前段で得られたトランス−4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−4−ヨード−5−フルオロベンゼン10.0g(25.2mmol)、フルオロスルホニルジフルオロ酢酸メチル24.2g(126.0mmol)ヨウ化銅2.9g(15.1mmol)およびジメチルホルムアミド(DMF)100mlの混合物を80℃で15時間攪拌した。反応混合物を水300ml中に注ぎ、ヘプタン150mlで抽出した。得られた有機層を希塩酸で3回、希炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下に溶媒を留去した後、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン)に付し、粗製のトランス−4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルベンゼン7.9gを得た。このものをエタノール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶して標題化合物2.8gを得た。
(収率:32.9%)
1H−NMR(CDCl、TMS内部標準)
δ(ppm)
0.83−1.95(m,14H)
2,49(tq,1H)
3.56(t,2H)
6.90−7.12(m,2H)
【0131】
実施例1と類似の方法により以下の化合物を製造することができる。
化合物No.2:5−HB(3Cl,5F)−C
化合物No.3:3O1−HB(3Cl,5F)−OCF
化合物No.4:1O5−HB(3,5Cl)−CFH
化合物No.5:5−HB(2Cl,3F)−3
化合物No.6:4−HB(2F,3Cl)−O3
化合物No.7:V−HB(2Cl,3F)−5
化合物No.8:3−H2B(3Cl,5F)−F
化合物No.9:17−H2B(3Cl,5F)−OCHCF
化合物No.10:F5−H2B(3Cl,5F)−CF
化合物No.11:2−H2B(2Cl,3F)−O5
化合物No.12:V2−HVB(2F,3Cl)−2
化合物No.13:3O−H4B(2,3Cl)−3
化合物No.14:3−HB(2Cl,3F)H−2
化合物No.15:3−HB(2,3Cl)H−5
化合物No.16:3−HHHB(3Cl,5F)−CF
化合物No.17:3O−HHHB(3,5Cl)−CF
化合物No.18:5−HHHB(2Cl,3F)−1
【0132】
実施例2
4’−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2’−クロロ−3,4,6’−トリフルオロビフェニル(3−HB(3Cl,5F)B(3F)−F
(化合物No.19))の製造。
【0133】
4−プロピルシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロ−4−ヨードベンゼン〔実施例1の第二段において用いた4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロベンゼンに代えて4−プロピルシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロベンゼンを用いた点以外は実施例1の第二段と同様の方法により製造した。〕5.0g(13.1mmol)、ジヒドロキシ(3,4−ジフルオロフェニル)ボラン〔3,4−ジフルオロブロモベンゼンから調製したGrignard試薬とトリメトキシボランを反応させた後、塩酸で加水分解して製造した。〕3.1g(19.7mmol)、炭酸カリウム3.6g(26.3mmol)、5%Pd−C0.5gおよびトルエン/エタノール/水(1/1/1)の混合溶媒50mlの混合物を32時間加熱還流させた。濾過により触媒を除去した後、トルエン100mlで抽出し、得られた有機層を水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン)に付して、粗製の4’−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2’−クロロ−3,4,6’−トリフルオロビフェニル4.4gを得た。このものをエタノール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶して標題化合物0.9gを得た(収率:18.3%)
この化合物の転移温度は
C 50.6〜51.7 Isoであった。
1H−NMR(CDCl、TMS内部標準)
δ(ppm)
0.83−1.96(m,16H)
2.48(t,1H)
6.86−7.38(m,5H)
【0134】
以下に本発明の化合物を液晶組成物の成分として用いた場合の例を示す。各使用例において、NIはネマチック相−等方相転移温度(℃)を、Δεは誘電率異方性値を、Δnは屈折率異方性値を、ηは粘度(mPa・s)を、Vthはしきい値電圧(V)を、VHRは電圧保持率(%)を示す。
なお、ηは20℃で測定し、Δε、Δn、Vthおよびねじれのピッチ長は各々25℃で測定し、VHRは左から順に25℃、80℃および100℃で測定した値を示した。
【0135】
実施例3(使用例1)
下記のシアノフェニルシクロヘキサン系液晶化合物を含む液晶組成物(A):
3−HB−C 24%
5−HB−C 36%
7−HB−C 25%
5−HBB−C 15%
は、以下の物性を有する。
NI:71.7、Δε:11.0、Δn:0.137、η:26.7、Vth:1.78。
【0136】
この液晶組成物(A)85%と、実施例2で得られた4’−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2’−クロロ−3,4,6’−トリフルオロビフェニル(化合物No.19)15%とからなる液晶組成物(B)の物性値は次の通りであった。
NI:55.1、Δε:11.1、Δn:0.125、η:35.5、Vth:1.44。
この液晶組成物(B)を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0137】
実施例2と類似の方法により以下の化合物を製造することができる。なお、ここに示した物性値は実施例3に準じて測定した組成物の値である。
化合物No.20:3−BB(3Cl,5F)−OCFCF
化合物No.21:7−B(3F)B(3Cl,5F)−OCFCFHCF
化合物No.22:F3−B(3Cl,5F)B(3Cl,5F)−CL
化合物No.23:2−BB(2Cl,3F)−O2
化合物No.24:5−B(3Cl)B(2F,3Cl)−1O5
化合物No.25:2−B(2,3F)B(2Cl,3F)−O5
化合物No.26:FF3−B(3F)2B(2Cl,3F)−C
化合物No.27:8−B(3,5F)2B(3,5Cl))−CF
化合物No.28:5O−B(2,3F)2B(2,3Cl)−1
化合物No.29:3−B(3,5F)CFOB(3Cl)−F
化合物No.30:5−B(2,3Cl)4B(2,3Cl)−F
化合物No.31:3−HB(3,5F)B(3Cl)−F
NI:59.5、Δε:11.0、Δn:0.129、η:34.4、Vth:1.45。
化合物No.32:5−HB(2,3F)B(3Cl,5F)−OCF
化合物No.33:7−H[5D,6D,7D]2B(3Cl)B(3,5)−OCF
化合物No.34:F2V−HB(2,3Cl)B(3,5F)−F
化合物No.35:4−HB(3Cl)B(2,3F)−O2
化合物No.36:5−HB(2Cl,3F)B(2Cl,3F)−3
化合物No.37:2−H2B(3,5F)B(3Cl)−F
化合物No.38:5−H2B(3Cl,5F)B(3Cl,5F)−OCHCF
化合物No.39:7−H4B(3Cl)B(3,5F)−F
化合物No.40:3−H2B(2,3F)B(2Cl,3F)−1
NI:61.3、Δε:9.60、Δn:0.131、η:36.1、Vth:1.66。
化合物No.41:3−H2B(2F,3Cl)B(2,3F)−O3
化合物No.42:V2V−H4B(3Cl)B(2,3Cl)−3
化合物No.43:6−HB(3,5F)2B(3Cl)−F
化合物No.44:2−BBB(3Cl,5F)−CF
化合物No.45:5−BB(3Cl,5F)B(3F)−OCF
化合物No.46:3O−B(3,5F)BB(3Cl,5F)−F
化合物No.47:8O−B(3F)B(3,5Cl)B(3F)−CF
化合物No.48:4O1−B(3,5Cl)B(3Cl)B(3,5F)−OCFCFHCF
化合物No.49:F2V−BBB(3Cl,5F)−V2F
化合物No.50:2(1)1−BB(2Cl,3F)B(3Cl)−7
化合物No.51:5−B(2,3F)B(3Cl)B−2
化合物No.52:4−BB(2F,3Cl)B(2Cl,3F)−O
化合物No.53:16−B(2F,3Cl)BB(2,3F)−1
化合物No.54:3O−B(2,3F)B(2,3Cl)B(2,3F)−O2
化合物No.55:3−B2B(3,5Cl)B(3F)−F
化合物No.56:5−B2B(3,5F)B(3Cl)−F
化合物No.57:11O−B(3,5F)2B(3Cl)B(3,5F)−F
化合物No.58:8O8−B(3Cl)2B(3,5F)B(3,5F)−C
化合物No.59:3−B(3Cl)4B(3,5F)B−OCF
化合物No.60:4−B(3F)CFOB(3Cl)B(3F)−OCF
化合物No.61:3−B2B(3F)B(2Cl,3F)−2
化合物No.62:6−B2B(2,3Cl)B(2,3Cl)−O2
化合物No.63:3O−B(2,3F)2B(2Cl)B(2,3F)−O2
化合物No.64:2O1−BCFOB(3Cl)B(2,3F)−O3
化合物No.65:5−BB(3Cl)2B(3,5F)−C
化合物No.66:5−B(3,5F)B(3Cl)2B(3Cl)−F
化合物No.67:5−BB(2,3Cl)4B(3F)−CL
化合物No.68:3−HHB(3,5F)B(3Cl)−OCHCF
化合物No.69:7−HHB(3F)B(3Cl)−C
化合物No.70:14−HHB(3Cl,5F)B(3,5F)−F
化合物No.71:3O−HHB(2Cl,3F)B(3F)−O2
化合物No.72:5−HH2B(3Cl,5F)B(3F)−OCF
化合物No.73:4−HH2B(3,5Cl)B(3,5F)−CFH
化合物No.74:5−HH2B(2,3Cl)B(2,3F)−1O1
化合物No.75:3−HBB(3Cl)B(3F)−CF
化合物No.76:5−HB(3Cl)BB(3F)−OCF
化合物No.77:1O−HB(3Cl,5F)B(3,5Cl)B−OCF
化合物No.78:3O1−HB(3,5F)B(3Cl,5F)B(3F)−CF
化合物No.79:5−HBB(2Cl)B(2,3F)−O2
化合物No.80:FFF3−HB(2,3F)B(3Cl)B(2,3F)−2
化合物No.81:FFV−HB(2F,3Cl)B(2Cl)B(2Cl,3F)−3
化合物No.82:2Si2−H2B(3Cl,5F)B(3F)B(3F)−CFCH2CF
化合物No.83:3−H2BB(2,3Cl)B(2,3F)−O2
化合物No.84:5−H4B(3Cl,5F)B(3F)B(3,5F)−CFH
化合物No.85:4O−HB(3F)2B(3Cl,5F)B(3,5F)−CL
化合物No.86:3−BBB(3Cl,5F)B(3F)−CF
化合物No.87:7−BB(3Cl)B(3,5Cl)B−CF
化合物No.88:3−BB(3F)B(3Cl,5F)B(3F)−F
NI:74.4、Δε:12.2、Δn:0.152、η:40.6、Vth:1.56。
化合物No.89:2O−BB(3Cl,5F)B(3F)B(3F)−OCF
化合物No.90:1O1O−B(3Cl)B(3,5F)B(3Cl,5F)B(3F)−F
化合物No.91:1O−BBB(3Cl,5F)B(5F)−2
化合物No.92:3−BB(2Cl)B(2Cl,3F)B(2,3F)−5
化合物No.93:3O−B(2,3F)B(2Cl)B(3Cl)B(2,3F)−O2
化合物No.94:2−B2B(3F)B(3Cl,5F)B−C
化合物No.95:5−B2B(3Cl)B(3Cl,5F)B(3F)−CFCF
化合物No.96:4−B(3F)B(3F)2B(3Cl,5F)B(3F)−CF
化合物No.97:3O−B(2,3F)B2B(3F)B(2Cl,3F)−1
化合物No.98:5−BB(3Cl,5F)B(3F)2B(3,5F)−C
化合物No.99:3−HBB(2Cl,3F)H−5
化合物No.100:4−HBB(2,3Cl)H−5
化合物No.101:2−HB(2Cl,3F)B(2Cl,3F)H−5
化合物No.102:V−HB(2,3F)B(2Cl)H−V1
【0138】
実施例4
2’−クロロ−2,3,3’−トリフルオロ−4’−メチル−4−((トランス−4−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシ)ビフェニル(4−HHCHOB(2,3F)B(2Cl,3F)−1(化合物No.103))の製造
(第一段)2’−クロロ−2,3,3’−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−4’−メチルビフェニルの製造
3−クロロ−2−フルオロトルエン40.0g(276.7mmol)およびTHF200mlの溶液中にsec−BuLi287ml(1.06M、シクロヘキサン溶液、304.3mmol相当)を−60℃以下を保ちながら滴下し、同温度で1時間攪拌した。次いで、反応混合物中に塩化亜鉛830ml(0.5M、THF溶液、415.0mmol)を−60℃以下を保ちながら滴下し、同温度で1時間攪拌した。反応溶液に2,3−ジフルオロ−4−メトキシメトキシヨードベンゼン55.3g(184.4mmol)およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム6.4g(5.5mmol)を添加して7時間加熱還流させた。反応終了後、水300mlを加え、ヘプタン200mlで抽出した。得られた有機層を水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、茶色油状物57.2gを得た。
次いで、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン)に付し、無色油状物12.4gを得た。
【0139】
上記の無色油状物12.4g、濃塩酸10mlおよびメタノール50mlを混合して3時間加熱還流させた。反応混合物に水50mlを添加してジエチルエーテル100mlで抽出した。得られた有機層を希炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、粗製の2’−クロロ−2,3,3’−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−4’−メチルビフェニル9.8gを得た。(収率:50.3%)
このものは、これ以上の精製を行わず次反応に使用した。
【0140】
(第二段)2’−クロロ−2,3,3’−トリフルオロ−4’−メチル−4−((トランス−4−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシ)ビフェニルの製造
水素化ナトリウム0.7g(60%油性、17.6mmol相当)およびDMF5mlの混合物中に、前段で得られた2’−クロロ−2,3,3’−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−4’−メチルビフェニル4.0g(14.7mmol)のDMF20ml溶液を室温で滴下し、同温度で1時間攪拌した。次いで、反応溶液にトランス−4−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)−1−ヨードメチルシクロヘキサン8.0g(22.0mmol)のDMF20ml溶液を室温で滴下し、同温度で1時間攪拌後、3時間還流させた。反応終了後、反応液を希塩酸50ml中に注ぎ、トルエン150mlで抽出した。得られた有機層を希水酸化ナトリウム水溶液で3回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン/トルエン=7/3)に付して、粗製の2’−クロロ−2,3,3’−トリフルオロ−4’−メチル−4−((トランス−4−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシ)ビフェニル4.6gを得た。このものをエタノール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶して標題化合物3.3gを得た。(収率:44.6%)
1H−NMR(CDCl、TMS内部標準)
δ(ppm)
0.79−2.03(m,29H)
2.35(d,3H)
3.85(d,2H)
6.87−7.26(m,4H)
【0141】
実施例4と類似の方法により以下の化合物を製造することができる。
化合物No.104:3−HCHOB(3Cl,5F)−CF
化合物No.105:3O−HCHOB(3Cl,5F)−OCF
化合物No.106:V−HCHOB(3Cl,5F)−CF
化合物No.107:FFV−HCHOB(3Cl,5F)−OCF
化合物No.108:5−HCHOB(3Cl,5F)−1
化合物No.109:3−B(3F)CHOB(3Cl,5F)−F
化合物No.110:5−B(3Cl,5F)OCHB−F
化合物No.111:7−B(3,5F)CHOB(3Cl,5F)−CL
化合物No.112:3−B(3F)CHOB(2Cl,3F)−O2
化合物No.113:7O−B(2Cl,3F)CHOB(3,5F)−O1
化合物No.114:2−D(3,5)CHOB(3Cl,5F)−OCFCFHCF
化合物No.115:4−PyCHOB(3Cl,5F)−OCFCF
化合物No.116:6−Pr(3)CHOB(3Cl,5F)−CF
化合物No.117:3−HCHOHB(3Cl,5F)−F
化合物No.118:5−HCHOHB(2Cl,3F)−O2
化合物No.119:2−HCHOB(3F)B(3Cl,5F)−CL
化合物No.120:4−HCHOB(3Cl,5F)B(3F)−OCF
化合物No.121:6−HOCHB(3,5Cl)B(3Cl,5F)−CF
化合物No.122:3−HCHOB(2,3F)B(3Cl)−2
化合物No.123:3−HCHOB(2Cl,3F)B(2Cl,3F)−O2
化合物No.124:2−B(3F)CHOB(3Cl,5F)B(3F)−F
化合物No.125:3−B(3Cl,5F)CHOB(3,5Cl)B−OCF
化合物No.126:4−B(3F)CHOB(3Cl,5F)B(3,5F)−CF
化合物No.127:F3−B(3F)CHOB(2Cl,3F)B(2Cl)−4F
化合物No.128:5−B(2,3Cl)CHOB(2,3F)B−3
化合物No.129:2O−B(2,3Cl)CHOB(2,3Cl)B(2,3Cl)−O1
化合物No.130:17O−D(3,5)CHOB(3Cl,5F)B(3F)−CL
化合物No.131:3−D(2,5)CHOB(2,3F)B(2Cl,3F)−1
化合物No.132:5−PyCHOB(3Cl)B(3,5F)−C
化合物No.133:7−Pr(3)CHOB(3Cl,5F)B(3,5F)−F
化合物No.134:3−HHCHOB(3Cl,5F)−OCHCF
化合物No.135:5−HHCHOB(2F,3Cl)−3
化合物No.136:4−D(3,5)HCHOB(3Cl,5F)−CFCF
化合物No.137:3−HB(3Cl,5F)CHOB(3F)−CL
化合物No.138:3−HB(2Cl)CHOB(2,3F)−O2
化合物No.139:4−BB(3,5F)CHOB(3Cl)−F
化合物No.140:5−B(3Cl,5F)B(3Cl,5F)CHOB(3F)−OCF
化合物No.141:5−BB(2,3Cl)CHOB(2,3F)−5
化合物No.142:4−B(2Cl,3F)B(3F)CHOB(2,3F)−1O3
化合物No.143:2O1−D(3,5)B(3Cl,5F)CHOB−CL
化合物No.144:6−PyB(3,5F)CHOB(3Cl)−F
化合物No.145:4O−Pr(3)B(3,5F)CHOB(3,5F)−OCF
化合物No.146:2−HHHCHOB(3Cl,5F)−C
化合物No.147:1V2−HHHCHOB(2Cl,3F)−3
化合物No.148:5−HHCHOHB(3Cl,5F)−CF
化合物No.149:4−HCHOHHB(3,5Cl)−OCF
化合物No.150:6−HHB(3Cl,5F)CHOB(3Cl)−CL
化合物No.151:3−HHCHOB(2,3F)B(3,5Cl)−3
化合物No.152:5O−HCHOHB(3Cl,5F)B(3Cl)−F
化合物No.153:3−HB(3Cl)B(3,5F)CHOB(3Cl)−F
化合物No.154:5−HBB(2Cl,3F)CHOB(2,3F)−3
化合物No.155:4O−HB(3F)CHOB(3Cl,5F)B(3Cl)−CF
化合物No.156:2−HCHOB(2,3F)BB(2Cl,3F)−1
化合物No.157:2O2−BB(3Cl,5F))B(3F)CHOB(3,5F)−OCF
化合物No.158:5−BBB(2Cl,3F)CHOB(2,3F)−O2
化合物No.159:FF6−B(3F)B(3F)CHOB(3Cl)B−CF
化合物No.160:3−BB(3Cl)CHOB(2,3F)B(2,3F)−O3
化合物No.161:4−B(3F)CHOB(3,5Cl)B(3Cl,5F)B(3F)−CFH
化合物No.162:3−D(3,5)D(3,5)HCHOB(3Cl,5F)−CF
化合物No.163:3−HD(3,5)CHOB(3Cl,5F)B(3F)−OCF
化合物No.164:4−HPyCHOB(3Cl,5F)B(3Cl)−F
化合物No.165:4−HPrCHOB(3,5Cl)B(3F)−CF
化合物No.166:5−B(3F)CHOPyB(3Cl,5F)B(3,5F)−C
【0142】
実施例5(参考例)
3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル=2−クロロ−6−フルオロ−4−ペンチルオキシメチルベンゾアート(5O1−B(3Cl,5F)EB(3,5F)−C(化合物No.167))の製造。
【0143】
2−クロロ−6−フルオロ−4−ペンチルオキシメチル安息香酸〔3−クロロ−5−フルオロペンチルオキシメチルベンゼンとn−BuLiおよび二酸化炭素を反応させて製造した。〕3.0g(10.9mmol)、塩化チオニル1.9g(16.4mmol)、ピリジン0.1mlおよびトルエン6mlを混合し、60℃で3時間反応させた。減圧下に過剰の塩化チオニルとトルエンを留去して、黄色油状物3.2gを得た。
【0144】
次いで、3,5−ジフルオロ−4−シアノフェノール2.0g(13.1mmol)とピリジン1.3gおよびトルエン5mlを溶解した。この溶液に先に得られた黄色油状物のトルエン3ml溶液を室温で滴下した。滴下終了後、50℃で2時間反応させた。反応終了後、反応混合物に水10mlを加え、次いでトルエン30mlで抽出した。得られた有機層を希塩酸で3回、希水酸化ナトリウム水溶液で3回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:トルエン)に付し、粗製の3,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル=2−クロロ−6−フルオロ−4−ペンチルオキシメチルベンゾアート4.0gを得た。このものをヘプタン/エーテル混合溶媒から再結晶し、標題化合物1.8gを得た。(収率:40.0%)
1H−NMR(CDCl、TMS内部標準)
δ(ppm)
0.97(t,3H)
1.30−0.78(m,6H)
3.53(t,2H)
4.60(s,2H)
6.93−7.36(m,4H)
【0145】
実施例5と類似の方法により以下の化合物を製造することができる。
化合物No.168:5−HEB(3Cl,5F)−OCF
化合物No.169:3O−HEB(2F,3Cl)−3
化合物No.170:5−B(3CL,5F)EB(3F)−CF
化合物No.171:4−D(3,5)EB(3Cl,5F)−CF
化合物No.172:6−Si(1)EB(3,5Cl)−OCFCFHCF
化合物No.173:1V2−PyEB(3Cl,5F)−C
化合物No.174:F4−Pr(3)EB(2Cl,3F)−O2
化合物No.175:2−HB(3F)EB(3Cl,5F)−F
化合物No.176:3−HB(3Cl,5F)EB(3F)−OCF
化合物No.177:V−HB(3Cl,5F)EB(3,5F)−CN
化合物No.178:2V−HB(3Cl)EB(2,3F)−O3
化合物No.179:5−Si(1)B(3Cl)EB(3,5F)−CF
化合物No.180:3−D(2,5)B(3F)EB(2F,3Cl)−O2
化合物No.181:5O2−HEB(3Cl,5F)B(3F)−CF
化合物No.182:3−HEB(3,5Cl)B(3,5F)−C
化合物No.183:5−HEB(3Cl)B(2Cl,3F)−1
化合物No.184:5−HEB(2F,3Cl)B(2,3F)−O2
化合物No.185:4−Si(4)EB(3Cl,5F)B(3F)−OCFCHCF
化合物No.186:4−D(3,5)EB(3,5F)B(3Cl,5F)−CF
化合物No.187:2−BB(3F)EB(3,5Cl)−CF
化合物No.188:1O5−B(3Cl)B(3,5F)EB(3Cl)−OCHCF
化合物No.189:7−B(3F)B(3,5F)EB(3Cl,5F)−C
化合物No.190:FFF3−BB(2Cl)EB(2,3F)−O2
化合物No.191:5O−B(2,3F)B(3Cl)EB(2Cl,3F)−O2
化合物No.192:2−B(3,5F)PyEB(3Cl,5F)−CL
化合物No.193:3−Pr(3)B(3Cl,5F)EB(3F)−CF
化合物No.194:5−B(3,5F)Pr(2)EB(2Cl)−3
化合物No.195:4−B(3Cl)EB(3,5F)B(3F)−OCFCF
化合物No.196:F5−B(3F)EB(3,5Cl)B(3Cl)−CL
化合物No.197:6−BEB(2F,3Cl)B(2,3F)−O2
化合物No.198:2O3−B(3Cl,5F)EPyB(3Cl,5F)−CF
化合物No.199:1−Pr(3)EB(3Cl,5F)B(3F)−C
化合物No.200:4O−B(3F)EB(3Cl,5F)EB(3F)−CL
化合物No.201:12O−HHB(3Cl,5F)EB(3F)−OCF
化合物No.202:4−HSi(4)EB(2F,3Cl)B(3,5F)−O2
化合物No.203:3−HHEB(3Cl,5F)B(3,5F)−F
化合物No.204:4−Si(4)HEB(3,5F)B(3Cl)−CL
化合物No.205:5−HD(3,5)EB(3Cl,5F)B(3Cl,5F)−CF
化合物No.206:8O−HEHB(3Cl,5F)B(3F)−CF
化合物No.207:2O3−HB(3Cl,5F)B(3F)EB(3,5F)−C
化合物No.208:FFV−HB(3F)EB(3Cl,5F)B(3F)−CFH
化合物No.209:FF3−HEB(3,5Cl)B(3F)B(3Cl,5F)−OCFCFHCF
化合物No.210:3−BB(3F)B(3Cl,5F)EB(3F)−CL
化合物No.211:7−B(3Cl)B(3F)EB(3Cl,5F)B(3,5F)−F
化合物No.212:9−BEB(2,3F)B(2Cl,3F)B−3
化合物No.213:5−PyEB(3F)B(3,5Cl)B(3F)−OCF
化合物No.214:4−B(3F)B(3Cl,5F)Pr(3)EB(3Cl,5F)−CF
【0146】
実施例6(参考例)
トランス−2−(2−(2,6−ジクロロ−3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−4−イル)エチル)−5−プロピル−1,3−ジオキサン(3−D(3,5)2B(3,5Cl)B(3,5F)−F)(化合物No.215))の製造。
(第一段)トランス−2−(2−(3,5−ジクロロフェニル)エチル)−5−プロピル−1,3−ジオキサンの製造
2−プロピル−1,3−プロパンジオール18.3g(155.1mmol)、3−(3,5−ジクロロフェニル)プロピオンアルデヒド30.0g(147.7mmol)、p−トルエンスルホン酸1.5gおよびトルエン300mlからなる溶液を、留出する水を抜きながら3時間加熱還流させた。反応終了後、有機層を希炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:トルエン)に付し、粗製のトランス−2−(2−(3,5−ジクロロフェニル)エチル)−5−プロピル−1,3−ジオキサン32.3gを得た。(収率:72.1%)
このものは、これ以上の精製を行わず次反応に使用した。
【0147】
(第二段)トランス−2−(2−(3,5−ジクロロ−4−ヨードフェニル)エチル)−5−プロピル−1,3−ジオキサンの製造
実施例1の第二段において用いた4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロベンゼンに代えて、前段で得られたトランス−2−(2−(3,5−ジクロロフェニル)エチル)−5−プロピル−1,3−ジオキサン32.3g(106.5mmol)を用いた点以外は、実施例1の第二段と同様の方法により粗製のトランス−2−(2−(3,5−ジクロロ−4−ヨードフェニル)エチル)−5−プロピル−1,3−ジオキサン39.9gを得た。(収率:87.3%)
このものは、これ以上の精製を行わず次反応に使用した。
【0148】
(第三段)トランス−2−(2−(2,6−ジクロロ−3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−4−イル)エチル)−5−プロピル−1,3−ジオキサンの製造
実施例2において用いた、トランス−4−プロピルシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロ−4−ヨードベンゼンに代えて前段で得られたトランス−2−(2−(3,5−ジクロロ−4−ヨードフェニル)エチル)−5−プロピル−1,3−ジオキサン5g(11.7mmol)を用い、ジヒドロキシ(3,4−ジフルオロフェニル)ボランに代えてジヒドロキシ(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン2.7g(15.1mmol)を用いる以外、実施例2と同様の方法により粗製のトランス−2−(2−(2,6−ジクロロ−3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−4−イル)エチル)−5−プロピル−1,3−ジオキサン3.9gを得た。
【0149】
このものをエタノール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶して、標題化合物1.1gを得た。(収率:22.0%)
1H−NMR(CDCl、TMS内部標準)
δ(ppm)
0.82−1.29(m,7H)
1.82−2.23(m,3H)
2.75(dd,2H)
3.31(dd,2H)
4.10(dd,2H)
4.46(dd,1H)
6.78−6.92(m,2H)
0.74(d,2H)
【0150】
実施例6と類似の方法により以下の化合物を製造することができる。
化合物No.216:3−D(3,5)B(3Cl,5F)−CF
化合物No.217:5−D(3,5)B(2Cl,3F)−1
化合物No.218:4O−D(3,5)2B(3Cl,5F)−C
化合物No.219:2O1−D(2,5)4B(3Cl,5F)−F
化合物No.220:F5−D(3,5)HB(3Cl,5F)−OCF
化合物No.221:F3V−HD(3,5)B(3Cl,5F)−CF
化合物No.222:3O−D(3,5)2HB(3,5Cl)−CL
化合物No.223:7−D(3,5)H2B(3Cl,5F)−CFCHCF
化合物No.224:3(F)2−H4D(2,5)B(2F,3Cl)−O2
化合物No.225:5−HD(3,5)2B(3,5Cl)−C
化合物No.226:4−D(3,5)B(3Cl,5F)B(3,5F)−OCF
化合物No.227:5−D(2,5)B(2,3Cl)B(3,5F)−O1
化合物No.228:2−D(3,5)2B(3Cl)B(3,5F)−CL
化合物No.229:10−D(3,5)B(3Cl,5F)2(3Cl,5F
0.74(d,2H)
【0151】
実施例6と類似の方法により以下の化合物を製造することができる。
化合物No.216:3−D(3,5)B(3Cl,5F)−CF
化合物No.217:5−D(3,5)B(2Cl,3F)−1
化合物No.218:4O−D(3,5)2B(3Cl,5F)−C
化合物No.219:2O1−D(2,5)4B(3Cl,5F)−F
化合物No.220:F5−D(3,5)HB(3Cl,5F)−OCF
化合物No.221:F3V−HD(3,5)B(3Cl,5F)−CF
化合物No.222:3O−D(3,5)2HB(3,5Cl)−CL
化合物No.223:7−D(3,5)H2B(3Cl,5F)−CFCHCF
化合物No.224:3(F)2−H4D(2,5)B(2F,3Cl)−O2
化合物No.225:5−HD(3,5)2B(3,5Cl)−C
化合物No.226:4−D(3,5)B(3Cl,5F)B(3,5F)−OCF
化合物No.227:5−D(2,5)B(2,3Cl)B(3,5F)−O1
化合物No.228:2−D(3,5)2B(3Cl)B(3,5F)−CL
化合物No.229:10−D(3,5)B(3Cl,5F)2(3Cl,5F
)−OCHCF
化合物No.230:2−B(2Cl,3F)D(2,5)B(2F,3Cl)−3
化合物No.231:11−D(3,5)HHB(3Cl,5F)−C
化合物No.232:5−HHD(2,5)B(2Cl,3F)−O2
化合物No.233:7−D(3,5)HB(3Cl,5F)B(3F)−CFH
化合物No.234:2O−HD(3,5)B(3,5Cl)B(3Cl)−CL
化合物No.235:4−D(3,5)B(3F)B(3Cl,5F)B(3,5F)−OCF
化合物No.236:5−B(2,3F)D(2,5)B(2,3F)B(3Cl)−3
化合物No.237:13−D(3,5)HH2B(3Cl,5F)−C
化合物No.238:1O1−D(3,5)2HHB(3,5Cl)−CF
化合物No.239:F6H−D(3,5)2B(3Cl,5F)B(3F)−OCF
化合物No.240:3−D(2,5)B(2,3F)B2B(2F,3Cl)−2
【0152】
実施例7
2−(2−クロロ−3’,5’,6−トリフルオロ−4’−トリフルオロメトキシビフェニル−4−イル)−5−ペンチルピリミジン(5−PyB(3Cl,5F)B(3,5F)−OCF(化合物No.241))の製造。
(第一段)2−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−5−ペンチルピリミジンの製造
2−クロロ−5−ペンチルピリミジン10g(54.1mmol)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム0.4g(0.5mmol)およびジエチルエーテル300mlの混合物中に、3−クロロ−5−フルオロフェニルマグネシウムブロミド〔3−クロロ−5−フルオロ−ブロモベンゼン22.7g(108.3mmol)、マグネシウム2.7g(111.0mmol)およびジエチルエーテル100mlから調製した。〕のジエチルエーテル溶液を−60℃以下を保ちながら滴下し、同温度で1時間攪拌した後、10℃で10時間攪拌した。反応混合物に希塩酸300mlを添加し、ヘプタン250mlで抽出した。得られた有機層を希炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン/トルエン=1/1)に付し、粗製の2−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−5−ペンチルピリミジン11.0gを得た。(収率:72.8%)
このものは、これ以上の精製を行わず次反応に使用した。
【0153】
(第二段)2−(3−クロロ−5−フルオロ−4−ヨードフェニル)−5−ペンチルピリミジンの製造
実施例1の第二段において用いた4−プロポキシシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロベンゼンに代えて前段で得られた2−(3−クロロ−5−フルオロフェニル)−5−ペンチルピリミジン11.0g(39.5mmol)、を用いた点以外は、実施例1の第二段と同様の方法により2−(3−クロロ−5−フルオロ−4−ヨードフェニル)−5−ペンチルピリミジン14.3gを得た。(収率:89.3%)
このものは、これ以上の精製を行わず次反応に使用した。
【0154】
(第三段)2−(2−クロロ−3’,5’,6−トリフルオロ−4’−トリフルオロメトキシビフェニル−4−イル)−5−ペンチルピリミジンの製造
実施例2において用いた4−プロピルシクロヘキシル−3−クロロ−5−フルオロ−4−ヨードベンゼンに代えて前段で得られた2−(3−クロロ−5−フルオロ−4−ヨードフェニル)−5−ペンチルピリミジン3g(7.4mmol)を用い、ジヒドロキシ(3,4−ジフルオロフェニル)ボランに代えてジヒドロキシ(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル)ボラン2.3g(9.6mmol)を用いた点以外は、実施例2と同様の方法により粗製の2−(2−クロロ−3’,5’,6−トリフルオロ−4’−トリフルオロメトキシビフェニル−4−イル)−5−ペンチルピリミジン2.9gを得た。
このものをエタノール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶して、標題化合物2.1gを得た。(収率:60.0%)
1H−NMR(CDCl、TMS内部標準)
δ(ppm)
0.91(t,3H)
1.33−1.89(m,6H)
2.65(t,2H)
7.99−8.32(m,4H)
8.60(s,2H)
【0155】
実施例7と類似の方法により以下の化合物を製造することができる。
化合物No.242:3−PyB(3Cl,5F)−F
化合物No.243:5−PyB(3Cl,5F)−C
化合物No.244:2−PyB(2F,3Cl)−3
化合物No.245:2O−Pr(3)B(3Cl,5F)−CF
化合物No.246:5−Pr(3)B(2,3Cl)−3
化合物No.247:3O1−PyB(3Cl,5F)B(3F)−CF
化合物No.248:4−PyB(3F)B(3,5Cl)−OCF
化合物No.249:6−B(3,5F)PyB(3Cl)−OCHCF
化合物No.250:8−B(3,5F)B(3Cl,5F)Py−F
化合物No.251:7−B(3Cl,5F)2PyB(3,5F)−C
化合物No.252:9−Pr(3)B(3,5Cl)B(3F)−OCF
化合物No.253:1−Pr(2)B(2Cl)B(2,3F)−O5
化合物No.254:4O6−B(2Cl,3F)Pr(3)B(2F,3Cl)−2
化合物No.255:4O−Pr(3)2B(3Cl,5F)B−OCF
化合物No.256:3−B(3Cl,5F)B(3,5F)2Pr(3)−CL
化合物No.257:5−HPyB(3Cl,5F)−CFH
化合物No.258:2O−HPr(3)B(3Cl,5F)−F
化合物No.259:5−HPr(2)B(2,3Cl)−3
化合物No.260:5−HHPyB(3Cl,5F)−OCFCHCF
化合物No.261:4−HHPyB(2F,3Cl)−O2
化合物No.262:5−HHPr(3)B(3Cl,5F)−CF
化合物No.263:3−HHPr(2)B(2,3Cl)−O3
化合物No.264:3−HHB(3,5Cl)2Py−CF
化合物No.265:3O−HH2PyB(3Cl,5F)−C
化合物No.266:3O1−HH4Pr(3)B(2Cl,3F)−3
化合物No.267:F5V−HPyB(3,5Cl)B(3F)−CL
化合物No.268:5−HB(3Cl,5F)PyB(3,5F)−OCF
化合物No.269:1V−HPr(3)(2,3F)B(2Cl,3F)−O2
化合物No.270:1O4−H2PyB(3Cl)B(3,5F)−OCF
化合物No.271:FFV2−H2Pr(2)B(2,3F)B(2,3Cl)−3
化合物No.272:3(2)1−HB(3,5Cl)2PyB(3F)−OCFCF
化合物No.273:2−PyB(3,5F)B(3Cl)B(3,5F)−CF
化合物No.274:12O−B(3Cl)B(3Cl)PyB(3Cl,5F)−CFH
化合物No.275:11O5−B(3F)2PyB(3Cl,5F)B−OCF
化合物No.276:4−B(3Cl,5F)B(3Cl,5F)2PyB−C
化合物No.277:F2−BB(2F,3Cl)B(2Cl,3F)4Pr(2)−3
【0156】
実施例8
トランス−2−(3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5−プロピルテトラヒドロピラン(3−P(3)B(3Cl,5F)−CF(化合物No.278))の製造
(第一段)6−(3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−プロピルテトラヒドロ−2−ピロンの製造
エチル=5−(3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5−ヒドロキシ−2−プロピルペンタノアート(3−プロピル−5−ホルミルペンタン酸と3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニルマグネシウムブロミドを反応させて製造した。)12.0g(31.2mmol)、濃塩酸25mlおよびエタノール100mlの溶液を500℃で3時間加熱攪拌した。反応溶液にトルエン50mlを添加し、得られた有機層を希炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン/トルエン=1/1)に付し、粗製の6−(3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−プロピルテトラヒドロ−2−ピロン7.7gを得た。(収率:73.3%)
このものは、これ以上の精製を行わず次反応に使用した。
【0157】
(第二段)トランス−2−(3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5−プロピルテトラヒドロピランの製造
前段で得られた6−(3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−プロピルテトラヒドロ−2−ピロン7.7g(22.7mmol)、トリエチルシラン13.2g(113.6mmol)およびトリフルオロ酢酸50mlの混合物を室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水30mlを添加し、トルエン50mlで抽出した。得られた有機層を希炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン/トルエン=9/1)に付し、粗製のトランス−2−(3−クロロ−5−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−5−プロピルテトラヒドロピラン6.6gを得た。
このものをエタノール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶して標題化合物2.1gを得た。(収率:28.7%)
【0158】
実施例8と類似の方法により以下の化合物を製造することができる。
化合物No.279:5−P(3)B(2,3Cl)−O2
化合物No.280:5−P(3)HB(3Cl,5F)−C
化合物No.281:12−HP(3)B(2Cl,3F)−1O3
化合物No.282:2−P(3)2HB(3Cl,5F)−F
化合物No.283:2−HP(2)2B(2Cl,3F)−5
化合物No.284:4−P(3)B(3,5Cl)B(3F)−CL
化合物No.285:6−B(2,3F)P(2)B(2,3Cl)−O5
化合物No.286:8−P(3)B(3Cl)B(3,5F)−OCF
化合物No.287:3O−P(3)2B(2F,3Cl)B(2,3F)−O5
化合物No.288:F4−B(3Cl,5F)B(3Cl,5F)2P(3)−CF
化合物No.289:2V3V−P(3)HHB(3Cl,5F)−C
化合物No.290:4−P(2)HH2B(2,3Cl)−3
化合物No.291:4−HP(3)4HB(2Cl,3F)−1
化合物No.292:3−P(3)HB(3,5Cl)B(3,5F)−CFCHCF
化合物No.293:4O−P(3)HB(3,5F)2B(3Cl)−F
化合物No.294:1O3−HP(3)2B(3Cl,5F)B(3Cl)−OCF
化合物No.295:5−P(3)B(3Cl)B(2,3Cl)B(3Cl)−CL
化合物No.296:3(FF)1−P(3)B(2,3F)B2B(2F,3Cl)−5
化合物No.297:7−P(3)2B(3F)B(3Cl,5F)B(3,5F)−OCF
【0159】
実施例9(参考例)
トランス−4−(トランス−4−(2−(2−クロロ−3−フルオロ−4−メチルフェニル)エチル)シクロヘキシル)−1−プロピル−1−シラシクロヘキサン(3−Si(1)H2B(2Cl,3F)−1(化合物No.298))の製造
1−クロロ−(トランス−4−(2−(2−クロロ−3−フルオロ−4−メチルフェニル)エチル)シクロヘキシル)−1−シラシクロヘキサン〔3−(トランス−4−(2−(2−クロロ−3−フルオロ−4−メチルフェニル)エチル)シクロヘキシル)ペンチル−ビス−1,5−マグネシウムブロミドとトリクロロシランを用いて、特開平7−112990号公報に記載の方法と類似の方法により製造した。〕5.0g(12.9mmol)のTHF50ml溶液中にプロピルマグネシウムブロミド14ml(1M、THF溶液、14.2mmol相当)を室温で滴下した。滴下終了後、40℃で3時間加熱攪拌した。反応溶液に希塩酸15mlを滴下し、ヘプタン100mlで抽出した。得られた有機層を希炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン)に付し、粗製のトランス−4−(トランス−4−(2−(2−クロロ−3−フルオロ−4−メチルフェニル)エチル)シクロヘキシル)−1−プロピル−1−シラシクロヘキサン3.8gを得た。
このものをエタノール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶して標題化合物1.9gを得た。(収率:37.2%)
【0160】
実施例9と類似の方法により以下の化合物を製造することができる。
化合物No.299:3−Si(1)B(3Cl,5F)−C
化合物No.300:5−Si(4)B(2F,3Cl)−O2
化合物No.301:5−Si(1)HB(3Cl,5F)−OCHCF
化合物No.302:2O−HSi(1)B(2,3Cl)−3
化合物No.303:5O−HSi(4)2B(3Cl,5F)−CL
化合物No.304:2−Si(1)2HB(3,5Cl)−CF
化合物No.305:1V−Si(1)VHB(2Cl,3F)−2
化合物No.306:2−Si(1)4Si(1)B(2Cl,3F)−O3
化合物No.307:F5−Si(4)B(3,5Cl)B(3F)−OCF
化合物No.308:4−Si(4)B(3Cl)B(2,3F)−O2
化合物No.309:4−Si(1)B(3Cl)2B(3Cl,5F)−OCF
化合物No.310:3−Si(1)2B(3F)B(3Cl,5F)−CF
化合物No.311:1−Si(4)2B(2,3F)B(3Cl)−F
化合物No.312:3−Si(1)HHB(3Cl,5F)−CF
化合物No.313:2V−HHSi(4)B(3Cl,5F)−CL
化合物No.314:5−HSi(1)H2B(2Cl,3F)−3
化合物No.315:5−Si(1)H2HB(3,5Cl)−OCF
化合物No.316:4−Si(1)Si(1)2HB(2Cl,3F)−O2
化合物No.317:4−Si(4)HB(3,5Cl)B(3F)−F
化合物No.318:3O−Si(4)Si(4)B(2,3Cl)B(2,3F)−O2
化合物No.319:3−Si(1)HB(3Cl,5F)2B(3F)−CL
化合物No.320:2−HSi(4)2B(3F)B(3Cl,5F)−OCFCHCF
化合物No.321:2−Si(4)Si(4)2B(3Cl)B(2,3F)−O3
化合物No.322:7−Si(1)BB(3Cl,5F)B(3F)−CF
化合物No.323:7−Si(4)B(3F)B(3Cl,5F)B(3,5F)−OCF
化合物No.324:3−Si(1)BB(3Cl)B(3,5F)−O2
化合物No.325:4−Si(1)B(3Cl)2B(3Cl,5F)B−CF
化合物No.326:2−Si(4)2BB(2Cl,3F)B(2Cl,3F)−5
化合物No.327:5−Si(1)B(3,5Cl)B(3,5F)H−4
化合物No.328:5−Si(1)B(3Cl)B(2Cl)Si(4)−3
化合物No.329:5−Si(4)B(2Cl)B(3,5F)Si(1)−2
【0161】
実施例10(使用例2)
組成物例1の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:83.4、Δε:8.7、Δn:0.161、η:21.2、Vth:1.90。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
この液晶組成物100部に対し、光学活性化合物CM−33を0.8部溶解した液晶組成物のピッチは10.6μmであった。
【0162】
実施例11(使用例3)
組成物例2の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:94.3、Δε:6.7、Δn:0.200、η:37.0、Vth:2.22。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0163】
実施例12(使用例4)
組成物例3の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:71.8、Δε:25.7、Δn:0.119、η:44.0、Vth:0.92。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0164】
実施例13(使用例5)
組成物例4の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:88.2、Δε:6.6、Δn:0.117、η:21.4、Vth:2.18。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0165】
実施例14(使用例6)
組成物例5の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:100.2、Δε:7.5、Δn:0.200、η:17.6、Vth:1.98。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0166】
実施例15(使用例7)
組成物例6の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:78.1、Δε:7.8、Δn:0.137、η:18.8、Vth:1.91。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0167】
実施例16(使用例8)
組成物例7の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:84.7、Δε:4.9、Δn:0.102、η:26.1、Vth:2.31。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
この液晶組成物100部に対し、光学活性化合物CNを0.3部溶解した液晶組成物のピッチは80μmであった。
【0168】
実施例17(使用例9)
組成物例8の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:71.5、Δε:13.8、Δn:0.089、η:39.9、Vth:1.32。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0169】
実施例18(使用例10)
組成物例9の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:88.0、Δε:6.3、Δn:0.131、η:27.8、Vth:2.05。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0170】
実施例19(使用例11)
組成物例10の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:87.2、Δε:4.5、Δn:0.101、η:24.1、Vth:2.07、VHR:98.4、97.2、96.7。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0171】
実施例20(使用例12)
組成物例11の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:70.8、Δε:8.4、Δn:0.102、η:25.1、Vth:1.72。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0172】
実施例21(使用例13)
組成物例12の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:68.0、Δε:−1.8、Δn:0.090、η:27.5。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0173】
実施例22(使用例14)
組成物例13の液晶組成物の物性値は次の通りであった。
NI:84.2、Δε:−4.2、Δn:0.086。
この液晶組成物を−20℃のフリーザー中に放置したが、60日を越えてもスメクチック相の出現および結晶の析出はみられなかった。
【0174】
実施例23(比較例1)
実施例3において用いた4’−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2’−クロロ−3,4,6’−トリフルオロビフェニル(化合物No.19)に代えて、塩素原子がフッ素原子で置換された以外は(化合物No.19)と同様の構造を有する特表平6−504032に記載の化合物である4’−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2’,6’,3,4−テトラフルオロビフェニルを用いる以外は実施例3と同様にして得た液晶組成物(C)の物性値は次の通りであった。
NI:64.3、Δε:11.8、Δn:0.132、η:29.6、Vth:1.57。
このことから本発明の化合物4’−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−2’−クロロ−3,4,6’−トリフルオロビフェニル(化合物No.19)が公知のフッ素系化合物と比較して小さなΔnおよび低いしきい値電圧を有することがわかった。
【0175】
実施例24(比較例2)
本発明の化合物4”’−プロピル−2’−クロロ−2”,6’,3,4−テトラフルオロクアテルフェニル(化合物No.88)の塩素原子がフッ素原子で置換された構造を有する4”’−プロピル−2”,2’,6’,3,4−ペンタフルオロクアテルフェニルの5%と実施例3で用いた液晶組成物(A)の95%とを100℃で溶解して得た液晶組成物(D)を室温まで放冷しところ結晶が析出した。
これに対して本発明の化合物4”’−プロピル−2’−クロロ−2”,6’,3,4−テトラフルオロクアテルフェニル(化合物No.88)の15%と液晶組成物(A)の85%との混合物は室温で容易に溶解した。このことから本発明の塩素置換された化合物は、塩素置換されていない化合物と比較して著しく相溶性に優れることがわかった。
【0176】
実施例25(比較例3)
組成例12において用いた4’−(2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エチル)−2−クロロ−2’,3’,3−トリフルオロ−4−メチルビフェニル(化合物No.40)に代えて特表平2−503441に記載の化合物である(トランス−4−(2−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)エチル)シクロヘキシル)−4−エトキシ−2,3−ジフルオロベンゼン(3−H2HB(2,3F)−O2)を用いた以外は、組成例12と同様の組成の液晶組成物(E)の物性値は次の通りであった。
NI:69.8、Δε:−1.7、Δn:0.092、η:24.8。
このことから、本発明の化合物が公知の化合物と比較して大きなΔεおよび小さなΔnを有することがわかった。
【0177】
実施例26(比較例4)
組成例12において用いた4’−(2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エチル)−2−クロロ−2’,3’,3−トリフルオロ−4−メチルビフェニル(化合物No.40)に代えてDE383921A1に記載の化合物である4,4’−ジメチル−2,2”,3,3”テトラフルオロテルフェニル(1−B(2,3F)BB(2,3F)−1)を用いた以外は、組成例12と同様の組成の液晶組成物(F)の物性値は次の通りであった。
NI:74.6、Δε:−1.6、Δn:0.095、η:26.7。
【0178】
この液晶組成物(F)を−20℃のフリーザー中に放置したところ5日後にスメクチック相が出現した。
このことから、本発明の化合物が公知の化合物と比較して大きなΔεおよび小さなΔnおよび低温下でも良好な相溶性を有することがわかった。
【0179】
本発明の液晶性化合物は極めて高い電圧保持率および低いしきい値電圧を有し、それらの温度依存性が極めて小さく、小さなΔnを有する上、他の液晶材料との相溶性が改善されている。また、本発明の液晶性化合物は置換基を適当に選択することにより、所望の物性を有する新たな液晶性化合物を提供することができる。
【0180】
なお、上記の実施例において示した化合物の具体例のうち、次に示すNo.の化合物は参考例である。
2、8、14〜18、22、26、34、39、46、57、58、65、69、70、85、94、98、109、111、117〜119、132〜136、146〜149、162、166、167、173、175、177、183、189、192、199、203、207、211、215、218〜225、228、231、232、237、238、243、250、251、257〜266、276、280〜283、289〜291、298、299、301〜306、および312〜316。
【産業上の利用可能性】
【0181】
従って、本発明の液晶性化合物を液晶組成物の成分として用いることにより、極めて高い電圧保持率を有し、その温度依存性が極めて小さく、低いしきい値電圧、適切な大きさのΔnおよびΔεを有し、安定性および他の液晶材料との相溶性に優れている新たな液晶組成物を提供することができ、これを用いてインプレーンスイッチング(IPS)方式やヴァーティカルアラインメント(VA)方式の優れた液晶表示素子を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Raは炭素数1〜20の直鎖または分岐アルキル基を示し、これらの基中の任意のメチレン基(−CH−)は−O−、−CO−、または−CH=CH−で置き換えられてもよいが、−O−が連続することはなく、Ra中の1つ以上の水素原子は、塩素原子またはフッ素原子で置換されていてもよく;RbはRaから選ばれる基、塩素原子またはフッ素原子を示し;mおよびnは0であり;Aはトランス−1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、または1個の塩素原子、1個のフッ素原子、1個の塩素原子と1個のフッ素原子、または2個のフッ素原子で置換されていてもよい1,4−フェニレンであり、Aは1個の塩素原子、1個のフッ素原子、1個の塩素原子と1個のフッ素原子、または2個のフッ素原子で置換されていてもよい1,4−フェニレンであり、そして化合物を構成するすべての、1,4−フェニレンの水素原子のうち少なくとも2個が塩素原子またはフッ素原子で置換されているが、そのうち少なくとも1個は塩素原子で置換されており;Z、ZおよびZは各々独立して単結合または基中の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を示し、アルキレン基中の任意のメチレン基(−CH−)は−O−、−CO−、または−CH=CH−で置き換えられてもよいが、−O−が連続することはなく、また、これらの化合物を構成する原子は、その同位体で置換されてもよい。)で表されるクロロベンゼン誘導体。
【請求項2】
請求項1に記載のクロロベンゼン誘導体を少なくとも1種含有することを特徴とする液晶組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のクロロベンゼン誘導体を少なくとも1種含有し、第二成分として、一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする液晶組成物。
【化2】

(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を示し、この基中の相隣接しない任意のメチレン基は−O−または−CH=CH−で置換されていてもよく、また、この基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されてもよく;X1はフッ素原子、塩素原子、−OCF3、−OCF2H、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF2CF2Hまたは−OCF2CFHCF3を示し;L1およびL2は各々独立して水素原子またはフッ素原子を示し;ZおよびZは各々独立して1,2−エチレン、1,4−ブチレン、−COO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−または単結合を示し;環Bはトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい1,4−フェニレンを示し;環Cはトランスー1,4−シクロヘキシレンまたは水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい1,4−フェニレンを示し;また、これらの化合物を構成する原子は、その同位体で置換されていてもよい。)
【請求項4】
第一成分として、請求項1に記載のクロロベンゼン誘導体を少なくとも1種含有し、第二成分として、一般式(5)および(6)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする液晶組成物。
【化3】

(式中、R2およびR3は各々独立して炭素数1〜10のアルキル基を示し、この基中の相隣接しない任意のメチレン基は−O−または−CH=CH−で置換されていてもよく、また、この基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく;X2は−CN基または−C≡C−CNを示し;環Dはトランスー1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルを示し;環Eはトランスー1,4−シクロヘキシレン、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルを示し;環Fはトランスー1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し;Z6は1,2−エチレン、−COO−または単結合を示し;L3、L4およびL5は各々独立して水素原子またはフッ素原子を示し;b、cおよびdは各々独立して0または1を示し;また、これらの化合物を構成する原子は、その同位体で置換されていてもよい。)
【請求項5】
第一成分として、請求項1に記載のクロロベンゼン誘導体を少なくとも1種含有し、第二成分として、一般式(7)、(8)および(9)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする液晶組成物。
【化4】

(式中、R4およびR5は各々独立して炭素数1〜10のアルキル基を示し、この基中の相隣接しない任意のメチレン基は−O−または−CH=CH−で置換されていてもよく、また、この基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく;環Gおよび環Iは各々独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し;L6およびL7は各々独立して水素原子またはフッ素原子を示すが同時に水素原子を示すことはなく;Z7およびZ8は各々独立して1,2−エチレン、−COO−または単結合を示し;また、これらの化合物を構成する原子は、その同位体で置換されていてもよい。)
【請求項6】
第一成分として、請求項1に記載のクロロベンゼン誘導体を少なくとも1種含有し、第二成分として、前記一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有し、第三成分として、一般式(10)、(11)および(12)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする液晶組成物。
【化5】

(式中、R6およびR7は各々独立して炭素数1〜10のアルキル基を示し、この基中の相隣接しない任意のメチレン基は−O−または−CH=CH−で置換されていてもよく、また、この基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく;環J、環Kおよび環Mは各々独立して、トランスー1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイルまたは水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい1,4−フェニレンを示し;Z9およびZ10は各々独立して、1,2−エチレン、−C≡C−、−COO−、−CH=CH−または単結合を示し;また、これらの化合物を構成する原子は、その同位体で置換されていてもよい。)
【請求項7】
第一成分として、請求項1に記載のクロロベンゼン誘導体を少なくとも1種含有し、第二成分として、前記一般式(5)および(6)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有し、第三成分として、前記一般式(10)、(11)および(12)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする液晶組成物。
【請求項8】
第一成分として、請求項1に記載のクロロベンゼン誘導体を少なくとも1種含有し、第二成分として、前記一般式(7)、(8)および(9)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有し、第三成分として、前記一般式(10)、(11)および(12)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする液晶組成物。
【請求項9】
第一成分として、請求項1に記載のクロロベンゼン誘導体を少なくとも1種含有し、第二成分として、前記一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有し、第三成分として、前記一般式(5)および(6)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有し、第四成分として、前記一般式(10)、(11)および(12)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする液晶組成物。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか1項に記載の液晶組成物に、さらに1種以上の光学活性化合物を含有することを特徴とする液晶組成物。
【請求項11】
請求項2〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いて構成した液晶表示素子。

【公開番号】特開2008−156352(P2008−156352A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324578(P2007−324578)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【分割の表示】特願平10−524525の分割
【原出願日】平成9年11月27日(1997.11.27)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】