クローラクレーンのラッフィングジブ構造
【課題】クローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブをブームの先端に取り付ける場合にラッフィングジブの腹面側と背面側のいずれを上側にするかという上下確認を不要にし、その分組立作業の容易化及び迅速化を図り得るクローラクレーンのラッフィングジブ構造を提供する。
【解決手段】上部旋回体4の前部にブーム7の基端を起伏可能に取り付け、このブームの先端にラッフィングジブ9の基端を起伏可能に連結する。上記ラッフィングジブに、シーブ41やローラ42などの装備品を腹面側と背面側とに軸線CLを挟んで対称的に設ける。
【解決手段】上部旋回体4の前部にブーム7の基端を起伏可能に取り付け、このブームの先端にラッフィングジブ9の基端を起伏可能に連結する。上記ラッフィングジブに、シーブ41やローラ42などの装備品を腹面側と背面側とに軸線CLを挟んで対称的に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームの先端に起伏可能なラッフィングジブを備えたクローラクレーンのラッフィングジブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クローラクレーンとして、例えば特許文献1に開示されているように、クローラにより走行する下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体の前部に基端が起伏可能に取り付けられたブームと、このブームの先端に基端が起伏可能に連結されたラッフィングジブとを備えたいわゆるラッフィングジブクレーンは知られている。また、この種のクローラクレーンの組立・分解時の姿勢としては、特許文献1に記載されているようにラッフィングジブをブームの先端から延ばしたままの延長姿勢で行う場合と、特許文献2に記載されているようにラッフィングジブをブームの腹面側に折り返した内抱き姿勢で行う場合とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−46216号公報(第3頁、図13、図14)
【特許文献2】特開2008−44776号公報(第5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ラッフィングジブは、主桁の輪郭が腹面側と背面側とで軸線を挟んで対称に構成されているが、腹面側と背面側とではそれぞれ別々の装備品が設けられている。例えば、ラッフィングジブの先端部には、腹面側にポイントシーブが、背面側にアイドラシーブがそれぞれ設けられている。また、ラッフィングジブの背面側には、リービングロープなどをガイドするためのガイドローラが設けられるだけでなく、組立・分解作業のために足場や手摺りが設けられることもある。
【0005】
このため、クローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブをブームの先端に取り付ける場合には、予めラッフィングジブの腹面側と背面側のいずれを上側にするかを確認した上でラッフィングジブを地上に配置する必要がある。すなわち、ラッフィングジブを延長姿勢でブームの先端に取り付ける場合にはラッフィングジブの背面側を上側にして配置する必要があり、ラッフィングジブを内抱き姿勢でブームの先端に取り付ける場合にはラッフィングジブの腹面側を上側にして配置する必要がある。このような上下確認を怠り、ラッフィングジブを間違って地上に配置した場合には、ラッフィングジブの上下を反転させる必要が生じ、その分組立作業に時間と労力を要するという問題があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、ラッフィングジブの腹面側と背面側とを同一化することにより、従来の如くクローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブをブームの先端に取り付ける場合にラッフィングジブの腹面側と背面側のいずれを上側にするかという上下確認を不要にし、その分組立作業の容易化及び迅速化を図り得るクローラクレーンのラッフィングジブ構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、上部旋回体の前部にブームの基端が起伏可能に取り付けられ、このブームの先端にラッフィングジブの基端が起伏可能に連結されたクローラクレーンにおいて、上記ラッフィングジブに、シーブやローラなどの装備品を腹面側と背面側とに軸線を挟んで対称的に設ける構成にする。
【0008】
この構成では、ラッフィングジブに、シーブやローラなどの装備品が腹面側と背面側とに軸線を挟んで対称的に設けられているため、ラッフィングジブの主桁の輪郭が腹面側と背面側とで軸線を挟んで対称に構成されていることと相俟ってラッフィングジブの腹面側と背面側とが同一なものになる。このため、従来の如くクローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブをブームの先端に取り付ける場合にラッフィングジブの腹面側と背面側のいずれを上側にするかという上下確認が不要になり、その分組立作業の容易化及び迅速化を図ることができる。
【0009】
請求項2ないし請求項4に係る発明は、いずれも請求項1記載のクローラクレーンのラッフィングジブ構造において、装備品の具体的で好ましい形態を提供するものである。
【0010】
すなわち、請求項2に係る発明は、上記装備品を、ラッフィングジブの先端部に設けられるシーブとする。そして、このシーブは、ラッフィングジブの腹面側と背面側とにそれぞれ1つの支軸上に同数ずつ設けられて、腹面側のポイントシーブとしての機能と背面側のアイドラシーブとしての機能のいずれか一方の機能を発揮するようにする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、上記装備品を、リービングロープなどをガイドするためのガイドローラとする。そして、このガイドローラは、その両端がそれぞれ揺動部材を介してラッフィングジブに揺動可能に取り付けられて、ラッフィングジブの腹面又は背面から外側に突出した状態でガイド機能を発揮する動作姿勢とラッフィングジブの腹面又は背面の内側に埋没した収納姿勢とに変更可能にする。この構成では、ラッフィングジブの腹面側と背面側とに対称的に設けられたガイドローラは、その使用時にラッフィングジブの腹面又は背面から外側に突出した状態でリービングロープなどをガイドするガイド機能を発揮する動作姿勢に変更され、非使用時にラッフィングジブの腹面又は背面の内側に埋没した収納姿勢に変更されるようになっているため、非使用時にガイドローラが動作姿勢のままで地面などと接触して損傷したり破損したりするのを防止することができる。
【0012】
さらに、請求項4に係る発明は、上記装備品を、ラッフィングジブの腹面側又は背面側に立設される複数の支柱と、この複数の支柱間に架設されるロープとを有する手摺りとする。そして、この手摺りの各支柱は、ガイド部材のガイドの下にラッフィングジブの内側に収納される収納位置を挟んでラッフィングジブの腹面側に立設される第1引き出し位置とラッフィングジブの背面側に立設される第2引き出し位置との間を移動可能に設けられる構成にする。この構成では、ラッフィングジブの腹面側と背面側とに対称的に設けられた手摺りの各支柱は、ラッフィングジブの内側に収納される収納位置を挟んでラッフィングジブの腹面側に立設される第1引き出し位置とラッフィングジブの背面側に立設される第2引き出し位置との間を移動可能に設けられ、使用時に収納位置から第1引き出し位置又は第2引き出し位置に引き出して用いられるため、ラッフィングジブの腹面側と背面側とにそれぞれ別々に手摺りの支柱を設ける場合に比べて支柱の総数を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明におけるクローラクレーンのラッフィングジブ構造によれば、ラッフィングジブに、シーブやローラなどの装備品が腹面側と背面側とに軸線を挟んで対称的に設けられて、ラッフィングジブの腹面側と背面側とが同一なものになっているため、従来の如くクローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブをブームの先端に取り付ける場合にラッフィングジブの腹面側と背面側のいずれを上側にするという上下確認が不要になり、その分組立作業の容易化及び迅速化を図ることができるという効果を奏するものである。
【0014】
特に、請求項3に係る発明では、ラッフィングジブの腹面側と背面側とに対称的に設けられた装備品としてのガイドローラは、その使用時にラッフィングジブの腹面又は背面から外側に突出した状態でリービングロープなどをガイドするガイド機能を発揮する動作姿勢に変更され、非使用時にラッフィングジブの腹面又は背面の内側に埋没した収納姿勢に変更されるようになっているため、非使用時にガイドローラが動作姿勢のままで地面などと接触して損傷したり破損したりするのを防止することができるという効果を併有する。
【0015】
また、請求項4に係る発明では、ラッフィングジブの腹面側と背面側とに対称的に設けられた装備品としての手摺りの各支柱は、ラッフィングジブの内側に収納される収納位置を挟んでラッフィングジブの腹面側に立設される第1引き出し位置とラッフィングジブの背面側に立設される第2引き出し位置との間を移動可能に設けられ、使用時に収納位置から第1引き出し位置又は第2引き出し位置に引き出して用いられるため、ラッフィングジブの腹面側と背面側とにそれぞれ別々に手摺りの支柱を設ける場合に比べて支柱の総数を少なくすることができ、コスト面などで実施化を図る上で有利なものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るクローラクレーンの組立・分解時の状態を示す側面図である。
【図2】図2は図1のX付近の拡大図である。
【図3】図3は図2のE−E線における拡大断面図である。
【図4】図4は図1のY付近の拡大図である。
【図5】図5は図4のF方向から見た矢視図である。
【図6】図6はガイドローラを収納位置に変更した状態を示す図5相当図である。
【図7】図7は図5のG−G線における拡大断面図である。
【図8】図8は図7のH−H線における断面図である。
【図9】図9は図4の手摺りの支柱付近の拡大図である。
【図10】図10は手摺りの支柱を中間ジブの腹面側に引き出した状態を示す図9相当図である。
【図11】図11は手摺りの支柱を中間ジブの背面側に引き出した状態を示す図9相当図である。
【図12】図12は図9のI付近の拡大図である。
【図13】図13は図1のZ付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係るラッフィングジブ構造を備えたクローラクレーンの組立・分解時の状態を示し、1はクローラ2により走行する下部走行体であって、この下部走行体1上には旋回装置3を介在して上部旋回体4が旋回可能に搭載されている。
【0019】
上記上部旋回体4の前部には運転室を構成するキャブ5が設けられているとともに、上部旋回体4の後部にはカウンタウエイト6が設けられている。また、上部旋回体4の前部にはブーム7の基端が水平軸であるブームフットピン8回りに起伏可能に取り付けられ、このブーム7の先端部には、ブーム7の軸線よりも腹面側の位置にラッフィングジブ9の基端が水平軸であるジブフットピン10回りに起伏可能に連結されているとともに、背面側の位置にフロントストラット11の基端及びリヤストラット12の基端が連結されている。
【0020】
上記ラッフィングジブ9は、下部ジブ21と2つの中間ジブ22,23と上部ジブ24とをピン結合により連結してなる。このラッフィングジブ9の下部ジブ21は、4本の主桁25a,25b(図1では2本の主桁のみ示す。)と、主桁25a,25b間に格子状に組み付けられた多数本の補桁26,26,…とを有しており、腹面側の主桁25aと背面側の主桁25bの間隔は、中間ジブ22側に近付くに従って大きくなるように設定されている。中間ジブ22,23は、それぞれ4本の主桁26a,26b又は27a,27b(図1では共に2本の主桁のみ示す。)と、主桁26a,26b又は27a,27b間に格子状に組み付けられた多数本の補桁29,29,…又は30,30,…とを有しており、腹面側の主桁27a,28aと背面側の主桁27b,28bの間隔は、一定値で両者が平行になるように設定されている。上部ジブ24は、4本の主桁31a,31b(図1では2本の主桁のみ示す。)と、主桁31a,31b間に格子状に組み付けられた多数本の補桁32,32,…とを有しており、腹面側の主桁31aと背面側の主桁31bの間隔は、中間ジブ23から離れるに従って小さくなるように設定されている。また、ラッフィングジブ9は、その主桁25a,25b,27a,27b,28a,28b,31a,31bで構成される輪郭が腹面側と背面側とで軸線CLを挟んで対称に設定されている。尚、図1中、ラッフィングジブ9の軸線CLが下部ジブ21と中間ジブ22との間で折れ曲がっているのは、下部ジブ21の背面側の主桁25bと中間ジブ22の背面側の主桁27bとのピン結合が外れた状態にあることによる。
【0021】
そして、本発明の特徴点として、上記ラッフィングジブ9には、シーブ41やローラ42などの装備品が腹面側と背面側とに軸線CLを挟んで対称的に設けられている。
【0022】
すなわち、ラッフィングジブ9の上部ジブ24には、図2に拡大詳示するように、装備品として、シーブ41、接地ローラ42及び足場43が装備されているが、このシーブ41及び足場43は、それぞれ上部ジブ24の腹面側と背面側とに軸線CLを挟んで対称的に設けられている。シーブ41は、図3に示すように、上部ジブ24の腹面側と背面側とにそれぞれ1つの支軸44上に複数同数ずつ(図では8つずつ)設けられて、腹面側のポイントシーブとしての機能及び背面側のアイドラシーブとしての機能のいずれか一方の機能を発揮するようになっている。ここで、ポイントシーブの枚数は、通常アイドラシーブの枚数よりも多いことから、1つの支軸44上のシーブ41の枚数は、ポイントシーブとしての機能上から決定される。足場43は、上部ジブ24の腹面側の2本の主桁31a間に挟まれた全領域及び上部ジブ24の背面側の2本の主桁31b間に挟まれた全領域に設けられ、あるいは上記全領域の一部にキャットウォークとも称されるように所定幅で直線状に設けられている。接地ローラ42は、ラッフィングジブ9を延長姿勢からブーム7側に引き寄せつつブーム7を立ち上げるときなどに地面GLに接触して支持するためのものであって、上部ジブ24の先端でその軸線CL上に軸心が位置するように取り付けられており、この接地ローラ42も上部ジブ24の軸線CLを挟んで腹面側と背面側とに対称的に設けられている。
【0023】
また、ラッフィングジブ9の各中間ジブ22,23には、図4に拡大詳示するように、装備品として、リービングロープなどをガイドするためのガイドローラ46、手摺り47及び足場48がそれぞれ装備されているが、このガイドローラ46、手摺り47及び足場48は、いずれも中間ジブ22,23の腹面側と背面側とに軸線CLを挟んで対称的に設けられている。
【0024】
上記ガイドローラ46は、図5ないし図8に詳示するように、中間ジブ22,23の腹面側又は背面側の2本の主桁27a,27a、27b,27b、28a,28a又は28b,28b間の中央部にこれらと直交する方向に延びて配置されており、その両端はそれぞれ揺動部材51を介して、中間ジブ22,23の主桁27a,27b,28a,28bなどに組み付けたパイプからなる取付部材52に揺動可能に取り付けられている。上記揺動部材51には、取付部材52に回動可能に嵌合する嵌合孔53が設けられているとともに、この嵌合孔53の中心と同心の円弧状のガイド孔54及び2つのピン孔55,56が設けられている。上記取付部材52にはこの揺動部材51に当接する当接プレート57が固定され、この当接プレート57上でガイドピン58が上記ガイド孔54に挿入されているとともに、固定ピン59が上記2つのピン孔55,56のいずれか一方に挿入されるようになっている。しかして、ガイドローラ46は、図4及び図5に示す如く中間ジブ22,23の腹面又は背面から外側に突出した状態でガイド機能を発揮する動作姿勢と、図6に示す如く中間ジブ22,23の腹面又は背面から内側に埋没した収納姿勢とに変更可能になっており、ガイドローラ46が動作姿勢のときには上記固定ピン59はピン孔55に挿入され、ガイドローラ46が収納姿勢のときには固定ピン59はピン孔56に挿入される。
【0025】
上記手摺り47は、図9ないし図11に拡大詳示するように、各中間ジブ22,23の両端でそれぞれ腹面側又は背面側に立設される2本の支柱61,61と、この2本の支柱61,61の先端同士間に架設されたロープ62とを有している。この手摺り47の各支柱61の長さは、中間ジブ22,23の腹面側主桁27a,28aと背面側主桁27b,28bの間隔寸法と略同一に設定されている。また、各支柱61は、中間ジブ22,23の端側の補桁29a,30aに所定間隔毎に設けた4つのパイプからなるガイド部材63,63,…内に挿入され、これらのガイド部材63,63,…のガイドの下に中間ジブ22,23の内側に収納される収納位置(図9に示す状態)を挟んで中間ジブ22,23の腹面側に立設される第1引き出し位置(図10に示す状態)と中間ジブ22,23の背面側に立設される第2引き出し位置(図11に示す状態)との間を移動可能に設けられている。各支柱61には複数のピン孔64,64,…が設けられているとともに、各ガイド部材63には、図12に拡大詳示するように、1つのピン孔65が設けられており、各支柱61が収納位置、第1引き出し位置及び第2引き出し位置のいずれに位置するときにも少なくとも2つのガイド部材63,63でそれぞれそのピン孔65と支柱61側のピン孔64とが合致し、これらに固定ピン66を挿入することで各支柱61が固定されるようになっている。
【0026】
上記足場48は、各中間ジブ22,23の腹面側の2本の主桁27a,27a又は28a,28a間に挟まれた全領域及び各中間ジブ22,23の背面側の2本の主桁27b,27b又は28b,28b間に挟まれた全領域に設けられ、あるいは上記全領域の一部にキャットウォークとも称されるように所定幅で直線状に設けられている。尚、足場48を全領域に設ける場合には足場48にガイドローラ46との干渉を回避するための開口部などを設ける必要がある。
【0027】
さらに、ラッフィングジブ9の下部ジブ21には、図13に拡大詳示するように、装備品として、バックストップブラケット71、足場72及びブームポイントシーブ73が装備されているが、このバックストップブラケット71及び足場72は、それぞれ下部ジブ21の腹面側と背面側とに軸線CLを挟んで対称的に設けられている。バックストップブラケット71は、ラッフィングジブ9とブーム7の先端側との間に設けられるジブバックストップ(図示せず)の一端を係止するためのものであり、下部ジブ21の主桁25a,25bに取り付けられている。足場72は、下部ジブ21の腹面側の2本の主桁31a間に挟まれた全領域及び上部ジブ24の背面側の2本の主桁31b間に挟まれた全領域に設けられ、あるいは上記全領域の一部にキャットウォークとも称されるように所定幅で直線状に設けられている。ブームポイントシーブ73は、ブーム7とラッフィングジブ9(下部ジブ21)の連結軸であるジブフットピン10回りに装着されるもので、ラッフィングジブ9の軸線CL上に位置しており、このブームポイントシーブ73もラッフィングジブ9の軸線CLを挟んで腹面側と背面側とに対称的に設けられている。
【0028】
従って,上記実施形態においては、ラッフィングジブ9に装備される装備品としてのシーブ41,73、接地ローラ42、ガイドローラ46、手摺り47、足場43,48,72及びバックストップブラケット71が全てラッフィングジブ9の腹面側と背面側とに軸線GLを挟んで対称的に設けられているため、ラッフィングジブ9の主桁25a,25b,27a,27b,28a,28b,31a,31bで構成される輪郭が腹面側と背面側とで軸線CLを挟んで対称に設定されていることと相俟ってラッフィングジブ9の腹面側と背面側とが同一なものになる。このため、従来の如くクローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブ9をブーム7の先端に取り付ける場合にラッフィングジブ9の腹面側と背面側のいずれを上側にするかという上下確認が不要になり、その分組立作業の容易化及び迅速化を図ることができる。
【0029】
その上、上記ラッフィングジブ9の腹面側と背面側とに対称的に設けられた装備品としてのガイドローラ46は、その使用時にラッフィングジブ9の腹面又は背面から外側に突出した状態でリービングロープなどをガイドするガイド機能を発揮する動作姿勢に変更され、非使用時にラッフィングジブ9の腹面又は背面の内側に埋没した収納姿勢に変更されるようになっているため、非使用時にガイドローラ46が動作姿勢のままで地面GLなどと接触して損傷したり破損したりするのを防止することができる。尚、図4では、各ガイドローラ46の取付位置を明示するために各ガイドローラ46を動作姿勢で表示しているが、クローラクレーンの組立・分解時には、少なくとも地面GLに接地する側のガイドローラ46は収納姿勢に変更される。
【0030】
また、上記ラッフィングジブ9の腹面側と背面側とに対称的に設けられた装備品としての手摺り47の各主柱61は、ガイド部材63のガイドの下にラッフィングジブ9の内側に収納される収納位置を挟んでラッフィングジブ9の腹面側に立設される第1引き出し位置とラッフィングジブの背面側に立設される第2引き出し位置との間を移動可能に設けられ、使用時に収納位置から第1引き出し位置又は第2引き出し位置に引き出して用いられるため、ラッフィングジブ9の腹面側と背面側とにそれぞれ別々に手摺りの支柱を設ける場合に比べて支柱61の総本数を少なくすることができ、コスト面などで実施化を図る上で有利である。
【0031】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その他種々の形態を包含するものである。例えば上記実施形態では、ラッフィングジブ9が下部ジブ21と2つの中間ジブ22,23と上部ジブ24とを連結してなる場合について述べたが、本発明は,ラッフィングジブ9の中間ジブとしては、実施形態の如き2つに限らず、1つ又は3つ以上の場合にも同様に適用することができるのは勿論である。
【0032】
また、上記実施形態では、ラッフィングジブ9に装備される装備品として、シーブ41,73、接地ローラ42、ガイドローラ46、手摺り47、足場43,48,72及びバックストップブラケット71が設けられる場合について述べたが、本発明は、この場合に限らず、例えば手摺りや足場が設けられない場合、あるいはその他の装備品が設けられる場合にも適用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームの先端に起伏可能なラッフィングジブを備えたクローラクレーンのラッフィングジブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クローラクレーンとして、例えば特許文献1に開示されているように、クローラにより走行する下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、この上部旋回体の前部に基端が起伏可能に取り付けられたブームと、このブームの先端に基端が起伏可能に連結されたラッフィングジブとを備えたいわゆるラッフィングジブクレーンは知られている。また、この種のクローラクレーンの組立・分解時の姿勢としては、特許文献1に記載されているようにラッフィングジブをブームの先端から延ばしたままの延長姿勢で行う場合と、特許文献2に記載されているようにラッフィングジブをブームの腹面側に折り返した内抱き姿勢で行う場合とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−46216号公報(第3頁、図13、図14)
【特許文献2】特開2008−44776号公報(第5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ラッフィングジブは、主桁の輪郭が腹面側と背面側とで軸線を挟んで対称に構成されているが、腹面側と背面側とではそれぞれ別々の装備品が設けられている。例えば、ラッフィングジブの先端部には、腹面側にポイントシーブが、背面側にアイドラシーブがそれぞれ設けられている。また、ラッフィングジブの背面側には、リービングロープなどをガイドするためのガイドローラが設けられるだけでなく、組立・分解作業のために足場や手摺りが設けられることもある。
【0005】
このため、クローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブをブームの先端に取り付ける場合には、予めラッフィングジブの腹面側と背面側のいずれを上側にするかを確認した上でラッフィングジブを地上に配置する必要がある。すなわち、ラッフィングジブを延長姿勢でブームの先端に取り付ける場合にはラッフィングジブの背面側を上側にして配置する必要があり、ラッフィングジブを内抱き姿勢でブームの先端に取り付ける場合にはラッフィングジブの腹面側を上側にして配置する必要がある。このような上下確認を怠り、ラッフィングジブを間違って地上に配置した場合には、ラッフィングジブの上下を反転させる必要が生じ、その分組立作業に時間と労力を要するという問題があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、ラッフィングジブの腹面側と背面側とを同一化することにより、従来の如くクローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブをブームの先端に取り付ける場合にラッフィングジブの腹面側と背面側のいずれを上側にするかという上下確認を不要にし、その分組立作業の容易化及び迅速化を図り得るクローラクレーンのラッフィングジブ構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、上部旋回体の前部にブームの基端が起伏可能に取り付けられ、このブームの先端にラッフィングジブの基端が起伏可能に連結されたクローラクレーンにおいて、上記ラッフィングジブに、シーブやローラなどの装備品を腹面側と背面側とに軸線を挟んで対称的に設ける構成にする。
【0008】
この構成では、ラッフィングジブに、シーブやローラなどの装備品が腹面側と背面側とに軸線を挟んで対称的に設けられているため、ラッフィングジブの主桁の輪郭が腹面側と背面側とで軸線を挟んで対称に構成されていることと相俟ってラッフィングジブの腹面側と背面側とが同一なものになる。このため、従来の如くクローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブをブームの先端に取り付ける場合にラッフィングジブの腹面側と背面側のいずれを上側にするかという上下確認が不要になり、その分組立作業の容易化及び迅速化を図ることができる。
【0009】
請求項2ないし請求項4に係る発明は、いずれも請求項1記載のクローラクレーンのラッフィングジブ構造において、装備品の具体的で好ましい形態を提供するものである。
【0010】
すなわち、請求項2に係る発明は、上記装備品を、ラッフィングジブの先端部に設けられるシーブとする。そして、このシーブは、ラッフィングジブの腹面側と背面側とにそれぞれ1つの支軸上に同数ずつ設けられて、腹面側のポイントシーブとしての機能と背面側のアイドラシーブとしての機能のいずれか一方の機能を発揮するようにする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、上記装備品を、リービングロープなどをガイドするためのガイドローラとする。そして、このガイドローラは、その両端がそれぞれ揺動部材を介してラッフィングジブに揺動可能に取り付けられて、ラッフィングジブの腹面又は背面から外側に突出した状態でガイド機能を発揮する動作姿勢とラッフィングジブの腹面又は背面の内側に埋没した収納姿勢とに変更可能にする。この構成では、ラッフィングジブの腹面側と背面側とに対称的に設けられたガイドローラは、その使用時にラッフィングジブの腹面又は背面から外側に突出した状態でリービングロープなどをガイドするガイド機能を発揮する動作姿勢に変更され、非使用時にラッフィングジブの腹面又は背面の内側に埋没した収納姿勢に変更されるようになっているため、非使用時にガイドローラが動作姿勢のままで地面などと接触して損傷したり破損したりするのを防止することができる。
【0012】
さらに、請求項4に係る発明は、上記装備品を、ラッフィングジブの腹面側又は背面側に立設される複数の支柱と、この複数の支柱間に架設されるロープとを有する手摺りとする。そして、この手摺りの各支柱は、ガイド部材のガイドの下にラッフィングジブの内側に収納される収納位置を挟んでラッフィングジブの腹面側に立設される第1引き出し位置とラッフィングジブの背面側に立設される第2引き出し位置との間を移動可能に設けられる構成にする。この構成では、ラッフィングジブの腹面側と背面側とに対称的に設けられた手摺りの各支柱は、ラッフィングジブの内側に収納される収納位置を挟んでラッフィングジブの腹面側に立設される第1引き出し位置とラッフィングジブの背面側に立設される第2引き出し位置との間を移動可能に設けられ、使用時に収納位置から第1引き出し位置又は第2引き出し位置に引き出して用いられるため、ラッフィングジブの腹面側と背面側とにそれぞれ別々に手摺りの支柱を設ける場合に比べて支柱の総数を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明におけるクローラクレーンのラッフィングジブ構造によれば、ラッフィングジブに、シーブやローラなどの装備品が腹面側と背面側とに軸線を挟んで対称的に設けられて、ラッフィングジブの腹面側と背面側とが同一なものになっているため、従来の如くクローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブをブームの先端に取り付ける場合にラッフィングジブの腹面側と背面側のいずれを上側にするという上下確認が不要になり、その分組立作業の容易化及び迅速化を図ることができるという効果を奏するものである。
【0014】
特に、請求項3に係る発明では、ラッフィングジブの腹面側と背面側とに対称的に設けられた装備品としてのガイドローラは、その使用時にラッフィングジブの腹面又は背面から外側に突出した状態でリービングロープなどをガイドするガイド機能を発揮する動作姿勢に変更され、非使用時にラッフィングジブの腹面又は背面の内側に埋没した収納姿勢に変更されるようになっているため、非使用時にガイドローラが動作姿勢のままで地面などと接触して損傷したり破損したりするのを防止することができるという効果を併有する。
【0015】
また、請求項4に係る発明では、ラッフィングジブの腹面側と背面側とに対称的に設けられた装備品としての手摺りの各支柱は、ラッフィングジブの内側に収納される収納位置を挟んでラッフィングジブの腹面側に立設される第1引き出し位置とラッフィングジブの背面側に立設される第2引き出し位置との間を移動可能に設けられ、使用時に収納位置から第1引き出し位置又は第2引き出し位置に引き出して用いられるため、ラッフィングジブの腹面側と背面側とにそれぞれ別々に手摺りの支柱を設ける場合に比べて支柱の総数を少なくすることができ、コスト面などで実施化を図る上で有利なものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るクローラクレーンの組立・分解時の状態を示す側面図である。
【図2】図2は図1のX付近の拡大図である。
【図3】図3は図2のE−E線における拡大断面図である。
【図4】図4は図1のY付近の拡大図である。
【図5】図5は図4のF方向から見た矢視図である。
【図6】図6はガイドローラを収納位置に変更した状態を示す図5相当図である。
【図7】図7は図5のG−G線における拡大断面図である。
【図8】図8は図7のH−H線における断面図である。
【図9】図9は図4の手摺りの支柱付近の拡大図である。
【図10】図10は手摺りの支柱を中間ジブの腹面側に引き出した状態を示す図9相当図である。
【図11】図11は手摺りの支柱を中間ジブの背面側に引き出した状態を示す図9相当図である。
【図12】図12は図9のI付近の拡大図である。
【図13】図13は図1のZ付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係るラッフィングジブ構造を備えたクローラクレーンの組立・分解時の状態を示し、1はクローラ2により走行する下部走行体であって、この下部走行体1上には旋回装置3を介在して上部旋回体4が旋回可能に搭載されている。
【0019】
上記上部旋回体4の前部には運転室を構成するキャブ5が設けられているとともに、上部旋回体4の後部にはカウンタウエイト6が設けられている。また、上部旋回体4の前部にはブーム7の基端が水平軸であるブームフットピン8回りに起伏可能に取り付けられ、このブーム7の先端部には、ブーム7の軸線よりも腹面側の位置にラッフィングジブ9の基端が水平軸であるジブフットピン10回りに起伏可能に連結されているとともに、背面側の位置にフロントストラット11の基端及びリヤストラット12の基端が連結されている。
【0020】
上記ラッフィングジブ9は、下部ジブ21と2つの中間ジブ22,23と上部ジブ24とをピン結合により連結してなる。このラッフィングジブ9の下部ジブ21は、4本の主桁25a,25b(図1では2本の主桁のみ示す。)と、主桁25a,25b間に格子状に組み付けられた多数本の補桁26,26,…とを有しており、腹面側の主桁25aと背面側の主桁25bの間隔は、中間ジブ22側に近付くに従って大きくなるように設定されている。中間ジブ22,23は、それぞれ4本の主桁26a,26b又は27a,27b(図1では共に2本の主桁のみ示す。)と、主桁26a,26b又は27a,27b間に格子状に組み付けられた多数本の補桁29,29,…又は30,30,…とを有しており、腹面側の主桁27a,28aと背面側の主桁27b,28bの間隔は、一定値で両者が平行になるように設定されている。上部ジブ24は、4本の主桁31a,31b(図1では2本の主桁のみ示す。)と、主桁31a,31b間に格子状に組み付けられた多数本の補桁32,32,…とを有しており、腹面側の主桁31aと背面側の主桁31bの間隔は、中間ジブ23から離れるに従って小さくなるように設定されている。また、ラッフィングジブ9は、その主桁25a,25b,27a,27b,28a,28b,31a,31bで構成される輪郭が腹面側と背面側とで軸線CLを挟んで対称に設定されている。尚、図1中、ラッフィングジブ9の軸線CLが下部ジブ21と中間ジブ22との間で折れ曲がっているのは、下部ジブ21の背面側の主桁25bと中間ジブ22の背面側の主桁27bとのピン結合が外れた状態にあることによる。
【0021】
そして、本発明の特徴点として、上記ラッフィングジブ9には、シーブ41やローラ42などの装備品が腹面側と背面側とに軸線CLを挟んで対称的に設けられている。
【0022】
すなわち、ラッフィングジブ9の上部ジブ24には、図2に拡大詳示するように、装備品として、シーブ41、接地ローラ42及び足場43が装備されているが、このシーブ41及び足場43は、それぞれ上部ジブ24の腹面側と背面側とに軸線CLを挟んで対称的に設けられている。シーブ41は、図3に示すように、上部ジブ24の腹面側と背面側とにそれぞれ1つの支軸44上に複数同数ずつ(図では8つずつ)設けられて、腹面側のポイントシーブとしての機能及び背面側のアイドラシーブとしての機能のいずれか一方の機能を発揮するようになっている。ここで、ポイントシーブの枚数は、通常アイドラシーブの枚数よりも多いことから、1つの支軸44上のシーブ41の枚数は、ポイントシーブとしての機能上から決定される。足場43は、上部ジブ24の腹面側の2本の主桁31a間に挟まれた全領域及び上部ジブ24の背面側の2本の主桁31b間に挟まれた全領域に設けられ、あるいは上記全領域の一部にキャットウォークとも称されるように所定幅で直線状に設けられている。接地ローラ42は、ラッフィングジブ9を延長姿勢からブーム7側に引き寄せつつブーム7を立ち上げるときなどに地面GLに接触して支持するためのものであって、上部ジブ24の先端でその軸線CL上に軸心が位置するように取り付けられており、この接地ローラ42も上部ジブ24の軸線CLを挟んで腹面側と背面側とに対称的に設けられている。
【0023】
また、ラッフィングジブ9の各中間ジブ22,23には、図4に拡大詳示するように、装備品として、リービングロープなどをガイドするためのガイドローラ46、手摺り47及び足場48がそれぞれ装備されているが、このガイドローラ46、手摺り47及び足場48は、いずれも中間ジブ22,23の腹面側と背面側とに軸線CLを挟んで対称的に設けられている。
【0024】
上記ガイドローラ46は、図5ないし図8に詳示するように、中間ジブ22,23の腹面側又は背面側の2本の主桁27a,27a、27b,27b、28a,28a又は28b,28b間の中央部にこれらと直交する方向に延びて配置されており、その両端はそれぞれ揺動部材51を介して、中間ジブ22,23の主桁27a,27b,28a,28bなどに組み付けたパイプからなる取付部材52に揺動可能に取り付けられている。上記揺動部材51には、取付部材52に回動可能に嵌合する嵌合孔53が設けられているとともに、この嵌合孔53の中心と同心の円弧状のガイド孔54及び2つのピン孔55,56が設けられている。上記取付部材52にはこの揺動部材51に当接する当接プレート57が固定され、この当接プレート57上でガイドピン58が上記ガイド孔54に挿入されているとともに、固定ピン59が上記2つのピン孔55,56のいずれか一方に挿入されるようになっている。しかして、ガイドローラ46は、図4及び図5に示す如く中間ジブ22,23の腹面又は背面から外側に突出した状態でガイド機能を発揮する動作姿勢と、図6に示す如く中間ジブ22,23の腹面又は背面から内側に埋没した収納姿勢とに変更可能になっており、ガイドローラ46が動作姿勢のときには上記固定ピン59はピン孔55に挿入され、ガイドローラ46が収納姿勢のときには固定ピン59はピン孔56に挿入される。
【0025】
上記手摺り47は、図9ないし図11に拡大詳示するように、各中間ジブ22,23の両端でそれぞれ腹面側又は背面側に立設される2本の支柱61,61と、この2本の支柱61,61の先端同士間に架設されたロープ62とを有している。この手摺り47の各支柱61の長さは、中間ジブ22,23の腹面側主桁27a,28aと背面側主桁27b,28bの間隔寸法と略同一に設定されている。また、各支柱61は、中間ジブ22,23の端側の補桁29a,30aに所定間隔毎に設けた4つのパイプからなるガイド部材63,63,…内に挿入され、これらのガイド部材63,63,…のガイドの下に中間ジブ22,23の内側に収納される収納位置(図9に示す状態)を挟んで中間ジブ22,23の腹面側に立設される第1引き出し位置(図10に示す状態)と中間ジブ22,23の背面側に立設される第2引き出し位置(図11に示す状態)との間を移動可能に設けられている。各支柱61には複数のピン孔64,64,…が設けられているとともに、各ガイド部材63には、図12に拡大詳示するように、1つのピン孔65が設けられており、各支柱61が収納位置、第1引き出し位置及び第2引き出し位置のいずれに位置するときにも少なくとも2つのガイド部材63,63でそれぞれそのピン孔65と支柱61側のピン孔64とが合致し、これらに固定ピン66を挿入することで各支柱61が固定されるようになっている。
【0026】
上記足場48は、各中間ジブ22,23の腹面側の2本の主桁27a,27a又は28a,28a間に挟まれた全領域及び各中間ジブ22,23の背面側の2本の主桁27b,27b又は28b,28b間に挟まれた全領域に設けられ、あるいは上記全領域の一部にキャットウォークとも称されるように所定幅で直線状に設けられている。尚、足場48を全領域に設ける場合には足場48にガイドローラ46との干渉を回避するための開口部などを設ける必要がある。
【0027】
さらに、ラッフィングジブ9の下部ジブ21には、図13に拡大詳示するように、装備品として、バックストップブラケット71、足場72及びブームポイントシーブ73が装備されているが、このバックストップブラケット71及び足場72は、それぞれ下部ジブ21の腹面側と背面側とに軸線CLを挟んで対称的に設けられている。バックストップブラケット71は、ラッフィングジブ9とブーム7の先端側との間に設けられるジブバックストップ(図示せず)の一端を係止するためのものであり、下部ジブ21の主桁25a,25bに取り付けられている。足場72は、下部ジブ21の腹面側の2本の主桁31a間に挟まれた全領域及び上部ジブ24の背面側の2本の主桁31b間に挟まれた全領域に設けられ、あるいは上記全領域の一部にキャットウォークとも称されるように所定幅で直線状に設けられている。ブームポイントシーブ73は、ブーム7とラッフィングジブ9(下部ジブ21)の連結軸であるジブフットピン10回りに装着されるもので、ラッフィングジブ9の軸線CL上に位置しており、このブームポイントシーブ73もラッフィングジブ9の軸線CLを挟んで腹面側と背面側とに対称的に設けられている。
【0028】
従って,上記実施形態においては、ラッフィングジブ9に装備される装備品としてのシーブ41,73、接地ローラ42、ガイドローラ46、手摺り47、足場43,48,72及びバックストップブラケット71が全てラッフィングジブ9の腹面側と背面側とに軸線GLを挟んで対称的に設けられているため、ラッフィングジブ9の主桁25a,25b,27a,27b,28a,28b,31a,31bで構成される輪郭が腹面側と背面側とで軸線CLを挟んで対称に設定されていることと相俟ってラッフィングジブ9の腹面側と背面側とが同一なものになる。このため、従来の如くクローラクレーンの運搬後の組立作業でラッフィングジブ9をブーム7の先端に取り付ける場合にラッフィングジブ9の腹面側と背面側のいずれを上側にするかという上下確認が不要になり、その分組立作業の容易化及び迅速化を図ることができる。
【0029】
その上、上記ラッフィングジブ9の腹面側と背面側とに対称的に設けられた装備品としてのガイドローラ46は、その使用時にラッフィングジブ9の腹面又は背面から外側に突出した状態でリービングロープなどをガイドするガイド機能を発揮する動作姿勢に変更され、非使用時にラッフィングジブ9の腹面又は背面の内側に埋没した収納姿勢に変更されるようになっているため、非使用時にガイドローラ46が動作姿勢のままで地面GLなどと接触して損傷したり破損したりするのを防止することができる。尚、図4では、各ガイドローラ46の取付位置を明示するために各ガイドローラ46を動作姿勢で表示しているが、クローラクレーンの組立・分解時には、少なくとも地面GLに接地する側のガイドローラ46は収納姿勢に変更される。
【0030】
また、上記ラッフィングジブ9の腹面側と背面側とに対称的に設けられた装備品としての手摺り47の各主柱61は、ガイド部材63のガイドの下にラッフィングジブ9の内側に収納される収納位置を挟んでラッフィングジブ9の腹面側に立設される第1引き出し位置とラッフィングジブの背面側に立設される第2引き出し位置との間を移動可能に設けられ、使用時に収納位置から第1引き出し位置又は第2引き出し位置に引き出して用いられるため、ラッフィングジブ9の腹面側と背面側とにそれぞれ別々に手摺りの支柱を設ける場合に比べて支柱61の総本数を少なくすることができ、コスト面などで実施化を図る上で有利である。
【0031】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その他種々の形態を包含するものである。例えば上記実施形態では、ラッフィングジブ9が下部ジブ21と2つの中間ジブ22,23と上部ジブ24とを連結してなる場合について述べたが、本発明は,ラッフィングジブ9の中間ジブとしては、実施形態の如き2つに限らず、1つ又は3つ以上の場合にも同様に適用することができるのは勿論である。
【0032】
また、上記実施形態では、ラッフィングジブ9に装備される装備品として、シーブ41,73、接地ローラ42、ガイドローラ46、手摺り47、足場43,48,72及びバックストップブラケット71が設けられる場合について述べたが、本発明は、この場合に限らず、例えば手摺りや足場が設けられない場合、あるいはその他の装備品が設けられる場合にも適用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体の前部にブームの基端が起伏可能に取り付けられ、このブームの先端にラッフィングジブの基端が起伏可能に連結されたクローラクレーンにおいて、
上記ラッフィングジブには、シーブやローラなどの装備品が腹面側と背面側とに軸線を挟んで対称的に設けられていることを特徴とするクローラクレーンのラッフィングジブ構造。
【請求項2】
上記装備品は、ラッフィングジブの先端部に設けられるシーブであり、このシーブは、ラッフィングジブの腹面側と背面側とにそれぞれ1つの支軸上に同数ずつ設けられて、腹面側のポイントシーブとしての機能及び背面側のアイドラシーブとしての機能のいずれか一方の機能を発揮するようになっている請求項1記載のクローラクレーンのラッフィングジブ構造。
【請求項3】
上記装備品は、リービングロープなどをガイドするためのガイドローラであり、このガイドローラは、その両端がそれぞれ揺動部材を介してラッフィングジブに揺動可能に取り付けられて、ラッフィングジブの腹面又は背面から外側に突出した状態でガイド機能を発揮する動作姿勢とラッフィングジブの腹面又は背面の内側に埋没した収納姿勢とに変更可能になっている請求項1記載のクローラクレーンのラッフィングジブ構造。
【請求項4】
上記装備品は、ラッフィングジブの腹面側又は背面側に立設される複数の支柱と、この複数の支柱間に架設されるロープとを有する手摺りであり、この手摺りの各支柱は、ガイド部材のガイドの下にラッフィングジブの内側に収納される収納位置を挟んでラッフィングジブの腹面側に立設される第1引き出し位置とラッフィングジブの背面側に立設される第2引き出し位置との間を移動可能に設けられている請求項1記載のクローラクレーンのラッフィングジブ構造。
【請求項1】
上部旋回体の前部にブームの基端が起伏可能に取り付けられ、このブームの先端にラッフィングジブの基端が起伏可能に連結されたクローラクレーンにおいて、
上記ラッフィングジブには、シーブやローラなどの装備品が腹面側と背面側とに軸線を挟んで対称的に設けられていることを特徴とするクローラクレーンのラッフィングジブ構造。
【請求項2】
上記装備品は、ラッフィングジブの先端部に設けられるシーブであり、このシーブは、ラッフィングジブの腹面側と背面側とにそれぞれ1つの支軸上に同数ずつ設けられて、腹面側のポイントシーブとしての機能及び背面側のアイドラシーブとしての機能のいずれか一方の機能を発揮するようになっている請求項1記載のクローラクレーンのラッフィングジブ構造。
【請求項3】
上記装備品は、リービングロープなどをガイドするためのガイドローラであり、このガイドローラは、その両端がそれぞれ揺動部材を介してラッフィングジブに揺動可能に取り付けられて、ラッフィングジブの腹面又は背面から外側に突出した状態でガイド機能を発揮する動作姿勢とラッフィングジブの腹面又は背面の内側に埋没した収納姿勢とに変更可能になっている請求項1記載のクローラクレーンのラッフィングジブ構造。
【請求項4】
上記装備品は、ラッフィングジブの腹面側又は背面側に立設される複数の支柱と、この複数の支柱間に架設されるロープとを有する手摺りであり、この手摺りの各支柱は、ガイド部材のガイドの下にラッフィングジブの内側に収納される収納位置を挟んでラッフィングジブの腹面側に立設される第1引き出し位置とラッフィングジブの背面側に立設される第2引き出し位置との間を移動可能に設けられている請求項1記載のクローラクレーンのラッフィングジブ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−193038(P2012−193038A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60134(P2011−60134)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
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