説明

クローラ式作業機械の下部走行体

【課題】ホース接続部分を隠蔽する保護カバーの着脱を最小限の労力、手間、時間で能率良く行うことができ、別途保管しておく煩わしさもなくする。
【解決手段】カーボディ21の左右両側にクローラ式走行装置を着脱可能に取付け、両者を分解して別輸送するクローラ式作業機械において、走行モータとスイベルジョイントとを結ぶホース30の接続部分を外部から隠蔽するための保護カバー32をクローラフレーム24にヒンジ39によって開閉自在に取付ける。この保護カバー32には切欠部40を設け、組立/分解時にカーボディ21を持ち上げるトランスリフタ35の張り出し状態での先端部が切欠部40に嵌まり込んで干渉を回避するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベルのように左右のクローラ式走行装置によって走行する作業機械の下部走行体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルの下部走行体を例にとって背景技術を説明する。
【0003】
図8,9は大型ショベルの下部走行体の概略構成を示す。
【0004】
この下部走行体は、カーボディ1と、左右のクローラ式走行装置2,2(図9のみに符号を付している)とによって構成される。
【0005】
カーボディ1には、中央部上面に旋回台3が設けられ、この旋回台3上に図示しない上部旋回体が旋回軸受を介して旋回自在に搭載される。
【0006】
クローラ式走行装置2,2は、それぞれカーボディ1の左右両側に着脱可能に取付けられた前後に長いクローラフレーム4と、このクローラフレーム4の外周に架け回されたクローラ5とを具備し、図9に示すようにクローラフレーム4の後端部に設けられた駆動輪6と、前端部に設けられた遊動輪7と、クローラフレーム後端部に設置されて駆動輪6を回転駆動する油圧走行モータ8とによりクローラ5が駆動されて下部走行体が走行する。
【0007】
なお、この明細書において、下部走行体に関する「前後」の方向性は、予め定められた下部走行体の前後進の方向を基準とする。
【0008】
左右の走行モータ6,6に圧油を供給する油圧ポンプ、及び同モータ6,6から出た油を受けるタンクはいずれも上部旋回体側に設置されているため、上部旋回体側と下部走行体側との間で油の授受を行うためのスイベルジョイント9が旋回台3の中心部分(上部旋回体の旋回中心部分)に設けられ、このスイベルジョイント9と左右の走行モータ8,8とを結ぶ油圧配管(通常は可撓性ホース。以下、ホースという)10,10が、カーボディ1及びクローラフレーム4,4に沿って配索されている(特許文献1参照)。
【0009】
ここで、大型ショベルでは、カーボディ1と左右のクローラ式走行装置2,2とに分けて別輸送され、現地で組立てられるため、ホース10,10も、カーボディ1に通されるカーボディ側セクション10aと、クローラフレーム4に通されるクローラフレーム側セクション10bとに分けられ、継手11(図10,11参照)によって接続/分離されるように構成されている。
【0010】
この継手11によるホース接続部分は、外部から接続/分離操作できるように、カーボディ1と走行装置2(クローラフレーム4)のつなぎ部分、つまりカーボディ1とクローラフレーム4がなすコーナー部分の後面側で外部に露出して配置される。
【0011】
この露出した両側ホース接続部分は、作業時に損傷しないように、図8〜図10に示すように保護カバー12,12により外部に対して隠蔽されている。
【0012】
従来、この保護カバー12,12は、カーボディ1及びクローラフレーム4,4(またはその一方)にボルト止めされ、ホース接続部分の接続/分離時に取外される。図10中、13…はカバー取付用の複数本のボルトである。
【0013】
一方、カーボディ1に対して両クローラ式走行装置2,2を着脱し、かつ、カーボディ1をトレーラに対して積み下ろしする際に、カーボディ1を地上に持ち上げる手段として、カーボディ1の前側に前側トランスリフタ(ジャッキともいう)14、後側に後側トランスリフタ15がそれぞれ左右一対ずつ設けられている(特許文献2参照)。
【0014】
この両側トランスリフタ14,15は、基端部が上下方向のリフタ支軸16によってカーボディ1に取付けられたアーム17と、このアーム17の先端に設けられたリフトシリンダ18とを備え、リフタ支軸16を中心として、前側トランスリフタ14にあってはカーボディ1の前方に、後側トランスリフタ15にあってはカーボディ1の後方にそれぞれ突出する張り出し状態(図9,11の二点鎖線で示す状態)と、カーボディ1の前面または後面に沿う格納状態(図8,10及び図9,11の実線で示す状態)との間で回動し、張り出し状態でリフトシリンダ18によってカーボディ1を地上に持ち上げ得るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−344376号公報
【特許文献2】特開2009−40110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記のように保護カバー12,12をカーボディ1及びクローラフレームクローラフレーム4にボルト止めする従来のカバー取付構造によると、下部走行体の組立/分解やホース点検のためにホース接続部分を接続/分離する場合に、すべてのボルト13…を取付け、取外さなければならない。
【0017】
このため、保護カバー12,12の着脱に時間がかかるとともに、重い保護カバー12,12を片手で支えながらこのボルト着脱操作を行わなければならないことから、作業員の労力負担が大きかった。
【0018】
とくに大型の機械ではホース10及び継手11が大径となり、これらを隠蔽すべき範囲も広くなって保護カバー12,12も大形で重くなり、あるいは複数に分割しなければならないため、カバー着脱作業が重労働で非常に能率の悪いものとなっていた。
【0019】
さらに、輸送時には取外した保護カバー12,12を次の組立時まで別の場所に保管しておかなければならないという煩わしさもあった。
【0020】
そこで本発明は、保護カバーの着脱を最小限の労力、手間、時間で能率良く行うことができ、別途保管しておく煩わしさもないクローラ式作業機械の下部走行体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決する手段として、本発明においては、次の(i)〜(vii)の要件のすべてを具備するものである。
【0022】
(i) 上部旋回体が旋回自在に搭載されるカーボディと、左右両側のクローラ式走行装置とによって構成していること。
【0023】
(ii) 上記クローラ式走行装置は、上記カーボディの左右両側に着脱可能に接続された前後に長いクローラフレームと、この両側クローラフレームの外周に架け回されたクローラと、上記両側クローラフレームの前後一側に設置されて上記クローラを回転駆動する左右の走行モータとを具備すること。
【0024】
(iii) 上記カーボディの前後両側における左右両側にトランスリフタを設けていること。
【0025】
(iv) 上記トランスリフタは、基端部が上下方向のリフタ支軸によって上記カーボディに取付けられたアームと、このアームの先端に設けられたリフトシリンダを備え、上記リフタ支軸を中心として、前側トランスリフタにあってはカーボディの前方に、後側トランスリフタにあってはカーボディの後方にそれぞれ突出する張り出し状態と、上記カーボディの前面または後面に沿う格納状態との間で回動し、上記張り出し状態で上記リフトシリンダによってカーボディを地上に持ち上げ得るように構成していること。
【0026】
(v) 上記カーボディの中央部に設置されたスイベルジョイントと上記左右の走行モータとを結ぶ配管類を、上記カーボディに通されるカーボディ側セクションと、上記クローラフレームに通されるクローラフレーム側セクションとに分け、上記カーボディ側及びクローラフレーム側両セクションが上記カーボディとクローラフレームのつなぎ部分で外部に露出し、継手によって接続/分離されるように構成していること。
【0027】
(vi) 上記露出した両セクションの接続部分を外部に対して隠蔽する保護カバーを、上下方向のカバー支軸を中心として、上記接続部分を覆う閉じ位置と、上記接続部分を外部から接続/分離可能に露出させる開き位置との間で回動可能で、かつ、上記開き位置において一部が、上記前後両側のトランスリフタのうち上記走行モータが設けられた側のトランスリフタの上記張り出し状態での先端部と重なる位置関係をもって上記クローラフレームに取付けていること。
【0028】
(vii) 上記保護カバーに、上記張り出し状態でのトランスリフタの先端部が嵌まり込む切欠部が設けられていること。
【0029】
このように、配管類のカーボディ側、クローラフレーム側両セクションの継手接続部分(この項において、以下、背景技術の説明に合わせて配管類をホース、接続部分をホース接続部分という)を外部に対して隠蔽する保護カバーを、カバー支軸を中心として開閉自在に取付け、開き状態でホース接続部分を露出させて接続/分離する構成としたから、保護カバーの着脱(ホース接続部分を隠蔽する状態と開放する状態という広い意味の着脱)に際して複数のボルトの締め戻し操作が不要となるとともに、カバー重量を作業員が負担する必要がなくなる。
【0030】
また、保護カバーは、ホース接続部分の分離後、そのままカーボディまたはクローラフレームに取付けた状態のまま同時に輸送できるため、ボルト止めの場合のように、輸送時に、取外した保護カバーを別保管する煩わしさがなくなる。
【0031】
ここで、本発明の対象となるトランスリフタ付きの機械では、走行モータが設けられた側(この項において後側の場合で説明する)のトランスリフタと保護カバーとが近接して位置し、後側トランスリフタを張り出した状態で、開いた保護カバーの一部とこのトランスリフタの先端部とが重なるため、保護カバーを開けない、あるいはトランスリフタを張り出せない事態、すなわち下部走行体の組立/分解態勢がとれない事態が発生する。
【0032】
そこで本発明では、保護カバーに、上記張り出し状態でのトランスリフタの先端部が嵌まり込む切欠部を設けたから、組立/分解時の保護カバーとトランスリフタの干渉を回避し、機械の組立/分解態勢をとることが可能となる。
【0033】
また、後側トランスリフタが切欠部に嵌まり込むことで保護カバーが開き位置に固定されるため、同カバーを開き固定する別手段(たとえばボルト)とその固定/解除操作が不要となる。
【0034】
本発明において、上記保護カバーが閉じた状態で上記切欠部を塞ぐ固定カバーを、上記クローラフレームまたはカーボディに設けるのが望ましい(請求項2)。
【0035】
この構成によれば、保護カバーの切欠部を、同カバー閉じ状態では固定カバーによって塞ぐことができるため、ホース接続部分を確実に保護することができる。いいかえれば、切欠部を設けたことによってホース接続部分の隠蔽保護効果が低下するという弊害が生じない。
【発明の効果】
【0036】
本発明によると、保護カバーの着脱を最小限の労力、手間、時間で能率良く行うことができ、別途保管しておく煩わしさもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係る下部走行体の概略斜視図である。
【図2】同下部走行体の、保護カバーを閉じた状態の概略平面図である。
【図3】同下部走行体の、保護カバーを開いた状態の概略平面図である。
【図4】図1の保護カバー部分の拡大図である。
【図5】図4の状態から保護カバーを開いた状態の図4相当図である。
【図6】図5の状態からトランスリフタを張り出した状態の図4,5相当図である。
【図7】(a)(b)は保護カバーの異なる二方向から見た斜視図である。
【図8】従来の下部走行体の概略斜視図である。
【図9】同、概略平面図である。
【図10】図9の保護カバー部分の拡大図である。
【図11】図10の状態から保護カバーを取外してホース接続部分を分離させた状態の図10相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態を図1〜図7によって説明する。
【0039】
実施形態は、大型ショベルの下部走行体を適用対象としている。
【0040】
実施形態に係る下部走行体おいて、次の点は図8〜図11に示す従来技術と同じである。
【0041】
(A) カーボディ21と、左右のクローラ式走行装置22,22(図2,3のみに符号を付している)とによって構成される点。
【0042】
(B) カーボディ21には、中央部上面に旋回台23が設けられ、この旋回台23上に図示しない上部旋回体が旋回軸受を介して旋回自在に搭載される点。
【0043】
(C) クローラ式走行装置22,22は、それぞれカーボディ21の左右両側に着脱可能に取付けられた前後に長いクローラフレーム24と、このクローラフレーム24の外周に架け回されたクローラ25とを具備し、図2,3に示すようにクローラフレーム24の後端部に設けられた駆動輪26と、前端部に設けられた遊動輪27と、クローラフレーム後端部に設置されて駆動輪26を回転駆動する油圧走行モータ28とによりクローラ25が駆動されて下部走行体が走行する点。
【0044】
(D) 上部旋回体側と下部走行体側との間で油の授受を行うためのスイベルジョイント29が旋回台23の中心部分(上部旋回体の旋回中心部分)に設けられ、このスイベルジョイント29と左右の走行モータ28,28とを結ぶ油圧配管であるホース30,30が、カーボディ21及びクローラフレーム24,24に沿って配索される点。
【0045】
(E) ホース30,30は、カーボディ21に通されるカーボディ側セクション30aと、クローラフレーム24に通されるクローラフレーム側セクション30bとに分けられ、継手31(図4〜図6参照)によって接続/分離されるように構成されている点。
【0046】
(F) この継手31によるホース接続部分は、外部から接続/分離操作できるように、カーボディ21と走行装置22(クローラフレーム24)のつなぎ部分、つまりカーボディ21とクローラフレーム24がなすコーナー部分の後面側で外部に露出して配置される点。
【0047】
(G) この露出した両側ホース接続部分は、作業時に損傷しないように、保護カバー32,32により外部に対して隠蔽される点。
【0048】
(H) カーボディ21の前側に前側トランスリフタ34、後側に後側トランスリフタ35がそれぞれ左右一対ずつ設けられている点。
【0049】
(I) この両側トランスリフタ34,35は、基端部が上下方向のリフタ支軸36によってカーボディ21に取付けられたアーム37と、このアーム37の先端に設けられたリフトシリンダ38とを備え、リフタ支軸36を中心として、前側トランスリフタ34にあってはカーボディ21の前方に、後側トランスリフタ35にあってはカーボディ21の後方にそれぞれ突出する張り出し状態(図3,6の状態)と、カーボディ21の前面または後面に沿う格納状態(図1,2,4,5の状態)との間で回動し、張り出し状態でリフトシリンダ38によってカーボディ21を地上に持ち上げ得るように構成されている点。
【0050】
実施形態において、保護カバー32,32は、クローラフレーム24,24の内側(旋回中心側)の面に対し、ヒンジ39により、上下方向のヒンジ軸(カバー支軸)39aを中心として開閉自在に取付けられている。
【0051】
詳しくは、同カバー32は、図1,2,4に示すようにホース接続部分を覆う閉じ位置と、図3,5,6に示すようにホース接続部分を外部に露出させる開き位置との間で回動可能で、かつ、開き位置において先端側部分が、後側トランスリフタ35,35の張り出し状態での先端部(以下、リフト先端部という)と重なる位置関係をもってクローラフレーム24に取付けられている。
【0052】
なお、図4〜図6において、保護カバー32を他と区別して明示するために太線で示している。
【0053】
保護カバー32は、図7(a)(b)に示すように、概略、上面板32a、下面板32b、背面板32cを備えたコの字形に形成され、閉じ位置で、図4に示すように継手31を含むホース接続部分を外部に対し上面、下面、背面の各側から隠蔽し、開き位置で、図5,6に示すようにホース接続部分を外部から着脱操作可能に露出させる。
【0054】
この保護カバー32には、開き位置でリフタ先端部(具体的にはアーム37の先端部及びリフトシリンダ38)と重なる部分(中間部)に、リフタ先端部が嵌まり込む切欠部40が設けられている。
【0055】
いいかえれば、保護カバー32は上から見て大略L字形に形成され、切欠部40としてのL字のコーナー部分にリフタ先端部が嵌まり込むように構成されている。
【0056】
また、カーボディ21の後面に固定カバー41が突設され、図2,4及び図7(a)に示すように保護カバー32が閉じた状態でこの固定カバー41によって切欠部40が塞がれるように構成されている。
【0057】
具体的には、保護カバー32の閉じ状態で、その一部、すなわち、切欠部40を形成するコーナー部が固定カバー41の上面に乗り上げるように重なることによって切欠部40が閉塞される。
【0058】
なお、上記とは逆に、保護カバー32の一部が固定カバー41の下面側に重なることによって切欠部40を塞ぐように構成してもよいし、保護、固定両カバー32,41の、カバー閉じ状態で対向する端面同士が面当接する状態で切欠部40を塞ぐように構成してもよい。
【0059】
また、保護、固定両カバー32,41の一部同士が上下に重なり合う構造をとる場合に、保護カバー32を閉じ位置に固定する手段として、両カバー32,41の重なり合う部分をボルト止めまたはピン止めする構成をとってもよい。
【0060】
さらに、保護カバー32を開き位置に固定する手段(たとえばクローラフレーム24にボルト止めする手段)を設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0061】
このように、ホース接続部分を外部に対して隠蔽する保護カバー32をヒンジ39によって開閉自在に取付け、開き状態でホース接続部分を露出させて接続/分離する構成としたから、保護カバー32の着脱(ホース接続部分を隠蔽する状態と開放する状態という広い意味の着脱)に際して複数のボルトの締め戻し操作が不要となるとともに、カバー重量を作業員が負担する必要がなくなる。
【0062】
また、保護カバー32は、ホース接続部分の分離後、そのままクローラフレーム24に取付けた状態のまま同時に輸送できるため、ボルト止めの場合のように、輸送時に、保護カバー32を取外して別保管する煩わしさがなくなる。
【0063】
一方、保護カバー32に、張り出し状態のトランスリフタ35の先端部が嵌まり込む切欠部40を設けたから、組立/分解時の保護カバー32とトランスリフタ35の干渉を回避し、機械の組立/分解態勢をとることが可能となる。
【0064】
いいかえれば、保護カバー32及びトランスリフタ35を、互いの干渉を気にせずに、それぞれの機能を果たすのに最適の状態(取付位置、寸法)でレイアウトすることができる。
【0065】
また、後側トランスリフタ35の先端部が切欠部40に嵌まり込むことで保護カバー32が開き位置に固定されるため、同カバー32を開き固定する別手段(たとえばボルト)とその固定/解除操作が不要となる。
【0066】
さらに、保護カバー32の切欠部40を、同カバー閉じ状態では固定カバー41によって塞ぐことができるため、ホース接続部分を確実に保護することができる。いいかえれば、切欠部40を設けたことによってホース接続部分の隠蔽保護効果が低下するという弊害が生じない。
【0067】
ところで、上記実施形態では保護カバー32をクローラフレーム24に取付けたが、カーボディ21に取付けてもよい。
【0068】
また、保護カバー32を、ヒンジ39でなく、カバー支軸としてのピンとブラケットによって取付けてもよい。
【0069】
さらに、本発明は、ハイブリッドショベルや電動ショベル等において走行モータとして電動機を用いる場合、つまりスイベルジョイント29と走行モータとを結ぶ配線の接続部分を保護カバーで隠蔽する構成としても適用することができる。
【0070】
また、本発明はショベルの下部走行体に限らず、ショベルを母体として構成される解体機や破砕機等の他のクローラ式作業機械にも上記実施形態同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
21 カーボディ
22 クローラ式走行装置
24 クローラ式走行装置のクローラフレーム
25 同、クローラ
26 同、駆動輪
27 同、遊動輪
28 同、走行モータ
29 スイベルジョイント
30 ホース(配管類)
30a ホースのカーボディ側セクション
30b 同、クローラフレーム側セクション
31 継手
32 保護カバー
34 前側トランスリフタ
35 後側トランスリフタ
36 リフタ支軸
37 アーム
38 リフトシリンダ
39 ヒンジ
39a ヒンジ軸(カバー支軸)
40 保護カバーの切欠部
41 固定カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(i)〜(vii)の要件のすべてを具備することを特徴とするクローラ式作業機械の下部走行体。
(i) 上部旋回体が旋回自在に搭載されるカーボディと、左右両側のクローラ式走行装置とによって構成していること。
(ii) 上記クローラ式走行装置は、上記カーボディの左右両側に着脱可能に接続された前後に長いクローラフレームと、この両側クローラフレームの外周に架け回されたクローラと、上記両側クローラフレームの前後一側に設置されて上記クローラを回転駆動する左右の走行モータとを具備すること。
(iii) 上記カーボディの前後両側における左右両側にトランスリフタを設けていること。
(iv) 上記トランスリフタは、基端部が上下方向のリフタ支軸によって上記カーボディに取付けられたアームと、このアームの先端に設けられたリフトシリンダを備え、上記リフタ支軸を中心として、前側トランスリフタにあってはカーボディの前方に、後側トランスリフタにあってはカーボディの後方にそれぞれ突出する張り出し状態と、上記カーボディの前面または後面に沿う格納状態との間で回動し、上記張り出し状態で上記リフトシリンダによってカーボディを地上に持ち上げ得るように構成していること。
(v) 上記カーボディの中央部に設置されたスイベルジョイントと上記左右の走行モータとを結ぶ配管類を、上記カーボディに通されるカーボディ側セクションと、上記クローラフレームに通されるクローラフレーム側セクションとに分け、上記カーボディ側及びクローラフレーム側両セクションが上記カーボディとクローラフレームのつなぎ部分で外部に露出し、継手によって接続/分離されるように構成していること。
(vi) 上記露出した両セクションの接続部分を外部に対して隠蔽する保護カバーを、上下方向のカバー支軸を中心として、上記接続部分を覆う閉じ位置と、上記接続部分を外部から接続/分離可能に露出させる開き位置との間で回動可能で、かつ、上記開き位置において一部が、上記前後両側のトランスリフタのうち上記走行モータが設けられた側のトランスリフタの上記張り出し状態での先端部と重なる位置関係をもって上記クローラフレームに取付けていること。
(vii) 上記保護カバーに、上記張り出し状態でのトランスリフタの先端部が嵌まり込む切欠部が設けられていること。
【請求項2】
上記保護カバーが閉じた状態で上記切欠部を塞ぐ固定カバーを、上記クローラフレームまたはカーボディに設けたことを特徴とする請求項1記載のクローラ式作業機械の下部走行体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−23849(P2013−23849A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157687(P2011−157687)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】