説明

グラビアシリンダ用検査装置及び方法

【課題】 グラビアシリンダの製版後における外周表面の欠陥を精度良く検出することができ、製版ムラを検出することができ、校正刷りに要する手間を大幅に低減できるグラビアシリンダ用検査装置及び方法を提供する。
【解決手段】 グラビアシリンダを回転自在に支持する支持手段と、該グラビアシリンダの外周表面を走査して版面画像を得る走査手段と、該版面画像と製版に用いた原画像とを比較して該版面画像におけるセルの欠陥を検出する欠陥検出手段と、を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビア印刷に用いるグラビアシリンダの外周表面を検査するグラビアシリンダ用検査装置及び方法に係り、特には、製版後のグラビアシリンダの外周表面(版面)を検査することのできるグラビアシリンダ用検査装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グラビア印刷においては、グラビアシリンダに対し画像に応じた微小な凹部(セル)を形成して版面を製作し、当該セルにインキを充填して被印刷物に転写するようにしている。一般的なグラビアシリンダは、円筒状の鉄芯またはアルミ芯を基材とし、当該基材の外周表面上に下地層や剥離層等の複数の層を形成した上に画像形成用の銅メッキ層(版材)を形成する。そして銅メッキ層にレーザ露光装置により製版情報(原画像)に応じたセルを形成し、その後グラビアシリンダの耐刷力を増すためのクロムメッキ等を施して製版(版面の製作)が完成する。
【0003】
従来より、上記製版工程では製版前(セルの形成前)のグラビアシリンダの平滑な外周表面(銅メッキ層)にキズや凹み等の初期欠陥が付いていないかどうかの欠陥検査が行われており、これを自動的に行うための装置も知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
しかし、上記従来装置では、キズや凹み等を欠陥として検出しているだけであるため、グラビアシリンダの製版後(セルを形成し、クロムメッキ等を施した後)は、キズや凹み等の初期欠陥と正常な凹部(セル)との区別が付かない。
【0005】
そのため、グラビアシリンダの製版後は、依然として作業者がルーペや光学顕微鏡等を用いて正常に製版されたかどうかの目視検査を行ったり、或いは、校正刷り(試験的印刷)をして原画と突き合わせる作業(いわゆる校正作業)が必要となっている。作業者による目視検査は、非常に煩雑で労力と時間が掛かるのみならず、欠陥のサイズが直径50μm以下ともなると、作業者の目視では検出が極めて困難となり、検出精度にばらつきが生じる。また、校正刷りは作業者の熟練を要し、作業者の習熟度によっては微小欠陥の印刷が不充分となったり、校正刷り用に大型の装置(校正機)が必要であったり、作業者が版面のインキを拭いたり、用紙をセットしたり等の手作業も必要であり、自動化や省力化が困難である。
【0006】
また、製版後のグラビアシリンダには、欠陥とは言えないが、本来均一(一様)であるべき同一色領域に斑があったり、濃淡差がある等の製版ムラが生じている場合があり、このような製版ムラは作業者による目視検査では殆ど認識できず、校正刷りをして初めて認識できるものであった。
【特許文献1】特開平05−93694号公報
【特許文献2】特開2002−254590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、グラビアシリンダの製版後における外周表面の欠陥を精度良く検出することができ、製版ムラを検出することができ、校正刷りに要する手間を大幅に低減できるグラビアシリンダ用検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のグラビアシリンダ用検査装置は、製版後のグラビアシリンダにおける外周表面を検査するグラビアシリンダ用検査装置であって、製版後のグラビアシリンダの外周表面を走査して版面画像を得る走査手段と、該版面画像と製版に用いた原画像とを比較して該版面画像におけるセルの欠陥を検出する欠陥検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
前記欠陥検出手段は、前記版面画像と前記原画像との対応する所定領域毎にパターンマッチング処理を行うことによって、所定サイズ以上のセルの欠陥を検出するようにすることが好適である。
【0010】
前記欠陥検出手段は、前記版面画像と前記原画像との比較に先立って、予めグラビアシリンダを製版する際に生じた誤差の補正を行うようにすることが好適である。
【0011】
前記誤差の補正は、原画像の各セルの膨張処理であること、又は、版面画像の各セルの収縮処理であることが好ましい。
【0012】
前記版面画像の同一色領域内における複数の所定領域間で比較して製版ムラの有無を検出するムラ検出手段を更に備えることが好ましい。
【0013】
前記走査手段は、グラビアシリンダの長手方向(X軸方向)、グラビアシリンダの円周方向(Y軸方向)及びグラビアシリンダに対する垂直方向(Z軸方向)に走査自在であることが好適である。
【0014】
前記欠陥検出手段によって検出された版面画像における欠陥箇所に対応するグラビアシリンダの外周表面に所定のマーキングを行うマーキング手段を更に備えることが好適である。
【0015】
本発明のグラビアシリンダ用検査方法は、前記グラビアシリンダ用検査装置を用いたグラビアシリンダ用検査方法であって、製版後のグラビアシリンダの外周表面を走査して得られた版面画像と製版に用いた原画像とを比較し、該版面画像のセルの欠陥を検出するようにしたことを特徴とする。また、該版面画像のセルの欠陥を検出した後、該版面画像の同一色領域内における複数の所定領域間で比較し、ムラの有無を検出するようにすることが好ましい。
【0016】
前記グラビアシリンダ用検査方法によって、製版後のグラビアシリンダにおける外周表面を検査した後、前記版面画像に所定の着色を施して簡易的な校正刷りを行うようにすればより好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、グラビアシリンダの製版後における外周表面の欠陥を精度良く検出することができ、製版ムラを検出することができ、校正刷りに要する手間を大幅に低減できるグラビアシリンダ用検査装置及び検査方法を提供することができるという有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されたもので、本発明の技術的思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことは言うまでもない。
【0019】
図1は、本発明のグラビアシリンダ用検査装置の基本的装置構成の一例を示す模式説明図である。図2は、原画像の一例を示す模式図である。図3は、原画像の所定領域を拡大して示す要部拡大写真である。図4は、版面画像の所定領域を拡大して示す要部拡大写真であり、(a)はセルの欠陥がある場合、(b)はセルの欠陥のない場合である。図5は、原画像の所定領域と版面画像の所定領域との比較原理を示す模式説明図であり、(a)はセルに欠陥が無い場合、(b)はセルに欠陥が有る場合である。図6は、原画像におけるセルの誤差補正の原理を示す模式説明図であり、(a)は誤差補正前のセル、(b)は誤差補正後のセルである。図7は、本発明のグラビアシリンダ用検査方法の全体的流れを示すフローチャートである。図中、符号2は本発明のグラビアシリンダ用検査装置であり、符号4は製版後のグラビアシリンダである。符号Cはセル、符号Pは画素である。
【0020】
まず、図1に基づいて、本発明のグラビアシリンダ用検査装置の基本的装置構成について説明する。グラビアシリンダ4には例えば「A」の文字が製版された版面6が形成されている。グラビアシリンダ用検査装置2は、大別すると支持手段10と走査手段20と欠陥検出手段30とから構成される。支持手段10は、グラビアシリンダ4を回転自在に支持するものであり、グラビアシリンダ4の軸芯に挿通された回転シャフト12aと、回転シャフト12aを回転駆動せしめるサーボモータ12と、サーボモータ12の運転状態を監視するロータリエンコーダ14とから構成され、サーボモータ12は信号ケーブル13により制御装置28に接続され、ロータリエンコーダ14は信号ケーブル15によりコンピュータ32に接続されている。これにより、グラビアシリンダ4は、精確に回転自在な状態で支持されている。なお、図示例では、支持手段10はグラビアシリンダ4の軸芯を回転シャフト12aで回転自在に支持する場合を示したが、このような形態に限定されるものではなく、例えば、グラビアシリンダ4の外周部を複数のローラで転がすように回転自在に支持する構成としてもよい(特許文献2参照)。
【0021】
走査手段20は、グラビアシリンダ4の外周表面を走査して版面画像をビットマップデータとして得るものであり、CCDやCMOS等の撮像素子を内装したイメージセンサユニット22と、その移動機構とからなる。イメージセンサユニット22には、適宜、近接撮影用レンズ等のセンサヘッド22aが取り付けられる。また、イメージセンサユニット22の種類としては、エリアセンサよりもラインセンサ(リニアセンサともいう)であることが望ましい。グラビアシリンダ4は円筒形であるため、エリアセンサでは撮影画像に歪みが生じるからである。また、イメージセンサユニット22は、信号ケーブル11により後述する欠陥検出手段30としてのコンピュータ32に接続され、走査して得られた版面画像をコンピュータ32に送信する。
【0022】
イメージセンサユニット22の移動機構は、イメージセンサユニット22をグラビアシリンダ4の長手方向(X軸方向)並びに垂直方向(Z軸方向)に移動自在とするためのものである。イメージセンサユニット22をグラビアシリンダ4の長手方向(X軸方向)に移動自在とするために、螺子シャフト24aと、螺子シャフト24aを駆動するサーボモータ24と、イメージセンサユニット22の位置を計測するリニアスケール23とを備え、サーボモータ24は信号ケーブル25により制御装置28に接続されている。これにより、イメージセンサユニット22はグラビアシリンダ4の長手方向(X軸方向)に精確に移動自在とされている。なお、リニアスケール23としては磁気式でも光学式でもよい。また、イメージセンサユニット22をグラビアシリンダ4の垂直方向(Z軸方向)に移動自在とするために、螺子シャフト26aと、螺子シャフト26aを駆動するサーボモータ26とを備え、サーボモータ26は信号ケーブル27により制御装置28に接続されている。これにより、イメージセンサユニット22はグラビアシリンダ4の垂直方向(Z軸方向)に移動自在とされている。なお、制御装置28は信号ケーブル29によりコンピュータ32と接続され、コンピュータ32からの命令に基づいてサーボモータ12,24,26を制御するものである。
【0023】
このようにして、走査手段20としてのイメージセンサユニット22は、グラビアシリンダ4の長手方向(X軸方向)及び垂直方向(Z軸方向)並びに前述した支持手段10によってグラビアシリンダ4が回転自在であるため、グラビアシリンダ4の円周方向(Y軸方向)にも走査自在とされている。なお、符号40はマーキング手段としてのレーザポインタである。
【0024】
欠陥検出手段30は、走査手段20によって得られた版面6の版面画像(図4参照)と製版に用いた原画像8(図2及び図3参照)とを比較して版面画像におけるセルの欠陥を検出するものであり、キーボードやマウス等の入力装置、CPU、メモリ、ハードディスク、モニタやプリンタ等の出力装置等を備えるコンピュータ32と、コンピュータ32のハードディスク等に記憶され、版面画像の所定領域と対応する製版に用いた原画像の所定領域とを比較して該版面画像におけるセルの欠陥を検出するようにプログラムされたソフトウエアとからなる。なお、ここでいう原画像8とは、製版に用いたレーザ露光装置の製版情報のことであり、ビットマップデータである(図2及び図3参照)。レーザ露光装置としては、3200dpi(1画素=7.9μm四方)程度の解像度を有するものが広く普及しているが、12800dpi以上(1画素=1.9μm四方以下)の解像度を有するものも開発されている(特願2004−241320号参照)。
【0025】
欠陥検出手段30における版面画像と原画像との比較及びセルの欠陥の検出は、版面画像と原画像との対応する所定領域毎にパターンマッチング処理を行い、所定サイズ以上のセルの欠陥を検出することにより行われる。この所定領域としては、少なくともセル1個分以上で12mm四方以下あり、好ましくはセル5個分以上で8mm四方以下、最も好ましくはセル20個分以上で5mm四方以下である。なお、セルのサイズは、特に限定されないが、一般的に36μm四方(700lpi)〜508μm四方(50lpi)程度である。図3及び図4では145μm四方(175lpi)のセルを示している。
【0026】
パターンマッチング処理としては、特にアルゴリズム等の限定はないが、例えば、一般的なテンプレートマッチングによればよい。テンプレートマッチングは、原画像の所定領域をテンプレート(基準画像)とし、版面画像の該当領域とを重ね合わせるようにしてマッチングを行い、画素値の差分から相違度又は類似度を算出するものである(図5参照)。図5によく示されるように、版面画像にセルの欠陥Fが無い場合は差分Bも無いが〔図5(a)〕、セルの欠陥Fが有る場合は差分Bも有るので〔図5(b)〕、この差分Bから相違度又は類似度を算出するものである。テンプレートマッチングでは、両画像の差異が小さい程、相違度は小さい値を取り、類似度は大きい値を取るので、相違度であれば所定の閾値以上となる場合を、類似度であれば所定の閾値以下となる場合を所定サイズ以上のセルの欠陥として検出すればよい。欠陥の所定サイズとしては例えば直径5〜40μm程度、好ましくは直径10〜30μm程度とすればよい。印刷結果に影響の殆ど無いような微細な欠陥を検出しても実益が少ないからである。
【0027】
また、欠陥検出手段30における版面画像と原画像との比較に先立って、予めグラビアシリンダ4を製版する際に生じた誤差の補正を行うことが望ましい。製版後のグラビアシリンダ4は、製版の際のレーザ露光やエッチング等によって、必ずしも原画像と全く同一の形状及びサイズのセルが形成されるものではなく、多くの場合はセルが太って(一回り大きくなって)いるためである(図3及び図4参照)。図6に示したように、この誤差の補正は、原画像に対して行う場合であれば各セルの膨張処理(各セルの周辺画素を一回り加える処理)を行えばよい。即ち、補正前のセルC1に対し〔図6(a)〕、補正幅dの分だけ周辺画素を加え、補正後のセルC2とすればよい〔図6(b)〕。例えば、補正前のセルC1が145μm四方のサイズである場合、この補正幅dとしては3〜15μm(セル径の2%〜10%)程度、好ましくは5〜10μm(セル径の3%〜7%)程度とすればよい。なお、版面画像に対して行う場合であれば同様の要領で各セルの収縮処理(各セルの周辺画素を一回り削除する処理)を行えばよい。
【0028】
更に、欠陥検出手段30によって検出された版面画像における欠陥箇所に対応するグラビアシリンダの外周表面に所定のマーキングを行うようにすれば、より好ましい態様となる。例えば、前述したレーザポインタ40によって、マーキングするようにすれば、グラビアシリンダ4を汚したり傷付けたりすることがないので好適である。
【0029】
また更に、前記版面画像の同一色領域内における複数の所定領域間で比較して製版ムラの有無を検出するムラ検出手段50を備えることが望ましい。ムラ検出手段50は、欠陥検出手段30と同様、コンピュータ32のハードディスク等に記憶されたソフトウエアとして実現されるものである。ムラ検出手段50における比較の原理自体は、欠陥検出手段30の場合と同様であるので再度の詳細な説明は省略するが、欠陥検出手段30の場合と異なるのは、比較の対象となるのが原画像と版面画像の間ではなく、同じ版面画像の同一色領域内における複数の所定領域間、例えば図1に示したように版面上部6aと版面下部6bとの間における比較である点である。原画像と比較してもセルの欠陥としては検出されないが、本来均一(一様)であるべき同一色領域に斑があったり、濃淡差がある等の製版ムラが生じている場合があるためである。このような領域間で比較することで製版ムラの有無の検出が可能である。なお、ムラ検出手段50は必ずしも必須ではなく、製版時にムラが生じる可能性が少ないのであれば省略してもよい。
【0030】
次に、図7に基づいて、上記本発明のグラビアシリンダ用検査装置を用いて行われる本発明のグラビアシリンダ用検査方法の全体的流れについて説明する。最初にレーザ露光装置で用いる製版情報(ビットマップデータ)である原画像8を作成する(ステップ100、図2及び図3参照)。この原画像8に基づいてレーザ露光装置で版材を露光し、クロムメッキ等を施す等して製版する(ステップ110)。これにより、グラビアシリンダ4の外周表面には版面6が形成される。そして、上記本発明のグラビアシリンダ用検査装置2を用いてグラビアシリンダ4における外周表面の版面6を走査し、版面画像を取り込む(ステップ120)。
【0031】
原画像8と版面6の版面画像とを欠陥検出手段30によって対応する所定領域毎に処理比較する(ステップ130)。そして、欠陥の有無を所定の閾値に基づいて判断し、セルの欠陥が有る場合には、コンピュータ32のモニタに警告を表示する等して報告し、また、レーザポインタ40でグラビアシリンダ4の該当箇所をマーキングする(ステップ200)。
【0032】
報告を受けた作業者はレーザポインタ40でマーキングされた該当箇所を確認し(ステップ210)、修正可能であれば修正を施す(ステップ220)。修正不可能である場合は、銅メッキ層等の版材を剥離し(ステップ230)、再度のレーザー露光及び製版を行うようにする。
【0033】
欠陥検出手段30によって、セルの欠陥が無いと判断された場合(ステップ140)或いはセルの欠陥が修正された場合(ステップ220)には、ムラ検出手段50によって、版面画像の同一色領域内における複数の所定領域間で比較し(ステップ150)、製版ムラの有無を判断する(ステップ160)。製版ムラが有る場合には、コンピュータ32のモニタに警告を表示する等して報告し、また、レーザポインタ40でグラビアシリンダ4の該当箇所をマーキングし(ステップ200)、報告を受けた作業者はレーザポインタ40でマーキングされた該当箇所を確認し(ステップ210)、修正可能であれば修正を施し(ステップ220)、修正不可能である場合は、銅メッキ層等の版材を剥離し(ステップ230)、再度のレーザー露光及び製版を行うようにする。なお、製版ムラの有無の判断(ステップ160)は必ずしも必須ではなく、製版時にムラが生じる可能性が少ないのであれば省略してもよい。
【0034】
ムラ検出手段50によって、製版ムラも無いと判断された場合(ステップ160)には、当該グラビアシリンダ4は良品として作業を終了する。
【0035】
このようにして本発明のグラビアシリンダ用検査装置及び方法によれば、グラビアシリンダの製版後における外周表面の欠陥を精度良く検出することができ、また、製版ムラを検出することができ、更に無駄な校正刷りを行うことも低減することができる。そして更に、本発明のグラビアシリンダ用検査装置及び方法によって、製版後のグラビアシリンダ4における外周表面を検査した後、コンピュータ32で適宜なソフトウェアを用いて版面画像に適宜な着色を施して簡易的な校正刷りを行うようにすれば、熟練を要する手作業での校正刷りを殆ど不要とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のグラビアシリンダ用検査装置の基本的装置構成の一例を示す模式説明図である。
【図2】原画像の一例を示す模式図である。
【図3】原画像の所定領域を拡大して示す要部拡大写真である。
【図4】版面画像の所定領域を拡大して示す要部拡大写真であり、(a)はセルの欠陥がある場合、(b)はセルの欠陥のない場合である。
【図5】原画像の所定領域と版面画像の所定領域との比較原理を示す模式説明図であり、(a)はセルに欠陥が無い場合、(b)はセルに欠陥が有る場合である。
【図6】原画像におけるセルの誤差補正の原理を示す模式説明図であり、(a)は誤差補正前のセル、(b)は誤差補正後のセルである。
【図7】本発明のグラビアシリンダ用検査方法の全体的流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
2:グラビアシリンダ用検査装置、4:グラビアシリンダ、6:版面、6b:版面下部、6a:版面上部、8:原画像、10:支持手段、11:信号ケーブル、12:サーボモータ、12a:回転シャフト、13:信号ケーブル、14:ロータリエンコーダ、15:信号ケーブル、20:走査手段、22:イメージセンサユニット、22a:センサヘッド、23:リニアスケール、24:サーボモータ、24a:螺子シャフト、25:信号ケーブル、26:サーボモータ、26a:螺子シャフト、27:信号ケーブル、28:制御装置、29:信号ケーブル、30:欠陥検出手段、32:コンピュータ、40:レーザポインタ、50:ムラ検出手段、P:画素、C:セル、F:欠陥、B:差分、d:補正幅、C1:補正前のセル、C2:補正後のセル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製版後のグラビアシリンダにおける外周表面を検査するグラビアシリンダ用検査装置であって、該グラビアシリンダを回転自在に支持する支持手段と、該グラビアシリンダの外周表面を走査して版面画像を得る走査手段と、該版面画像と製版に用いた原画像とを比較して該版面画像におけるセルの欠陥を検出する欠陥検出手段と、を備えることを特徴とするグラビアシリンダ用検査装置。
【請求項2】
前記欠陥検出手段は、前記版面画像と前記原画像との対応する所定領域毎にパターンマッチング処理を行うことによって、所定サイズ以上のセルの欠陥を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載のグラビアシリンダ用検査装置。
【請求項3】
前記欠陥検出手段は、前記版面画像と前記原画像との比較に先立って、予めグラビアシリンダを製版する際に生じた誤差の補正を行うようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のグラビアシリンダ用検査装置。
【請求項4】
前記誤差の補正は、原画像の各セルの膨張処理であることを特徴とする請求項3記載のグラビアシリンダ用検査装置。
【請求項5】
前記誤差の補正は、版面画像の各セルの収縮処理であることを特徴とする請求項3記載のグラビアシリンダ用検査装置。
【請求項6】
前記版面画像の同一色領域内における複数の所定領域間で比較して製版ムラの有無を検出するムラ検出手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のグラビアシリンダ用検査装置。
【請求項7】
前記走査手段は、グラビアシリンダの長手方向(X軸方向)、グラビアシリンダの円周方向(Y軸方向)及びグラビアシリンダの垂直方向(Z軸方向)に走査自在であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のグラビアシリンダ用検査装置。
【請求項8】
前記欠陥検出手段によって検出された版面画像における欠陥箇所に対応するグラビアシリンダの外周表面に所定のマーキングを行うマーキング手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のグラビアシリンダ用検査装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載のグラビアシリンダ用検査装置を用いたグラビアシリンダ用検査方法であって、製版後のグラビアシリンダの外周表面を走査して得られた版面画像と製版に用いた原画像とを比較し、該版面画像のセルの欠陥を検出するようにしたことを特徴とするグラビアシリンダ用検査方法。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれか1項記載のグラビアシリンダ用検査装置を用いたグラビアシリンダ用検査方法であって、製版後のグラビアシリンダの外周表面を走査して得られた版面画像と製版に用いた原画像とを比較し、該版面画像のセルの欠陥を検出した後、該版面画像の同一色領域内における複数の所定領域間で比較し、ムラの有無を検出するようにしたことを特徴とするグラビアシリンダ用検査方法。
【請求項11】
請求項9又は10記載のグラビアシリンダ用検査方法によって、製版後のグラビアシリンダにおける外周表面を検査した後、前記版面画像に所定の着色を施して簡易的な校正刷りを行うようにしたことを特徴とするグラビアシリンダ用検査方法。


【図7】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−194702(P2006−194702A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5762(P2005−5762)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000131625)株式会社シンク・ラボラトリー (52)
【Fターム(参考)】