説明

グラフ表示装置およびプログラム

【課題】グラフ表示装置において、リストデータの各数値データに基づいてヒストグラムを表示した場合に、そのヒストグラムの元となっているリストデータの各数値データとの相互関係を視覚的に容易に把握可能とする。
【解決手段】ユーザがリストデータを入力した際に、そのリストデータの各数値データに階級範囲に応じた任意の色を指定しておくことにより、その指定された色に従った階級毎の柱状グラフ32a,32b,…,32kからなるヒストグラム32がカラー表示される。この際、ある階級範囲内の各数値データの指定色が同じでなく異なって指定されている場合には、同階級範囲に対応する柱状グラフ32bは縞模様などの特殊態様にしてカラー表示される。このため、リストデータとヒストグラムとの相互関係を色や表示態様にて視覚的に把握できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の数値データからなるリストデータに基づいてヒストグラムを表示する機能を備えたグラフ表示装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
関数計算機能を備えた電子計算機(関数電卓)では、統計計算モードを設定してリストデータ(統計データ)を入力すると、その入力されたリストデータに対応するグラフを表示する機能がある。
【0003】
入力されたリストデータに対応してヒストグラムを表示するグラフ表示装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ここで扱われる情報としては、「リストデータを構成する各数値データ」と「ヒストグラムのグラフデータ」であるが、データの種類が異なるため、対応関係を対比するには難しい。
【0005】
そこで関数電卓における視覚的な表現力を向上させるために、表示のカラー化が考えられている。
【0006】
回帰グラフと入力データとの誤差をカラー表示して視覚的な表現力を向上させたグラフ表示装置が考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
回帰グラフ別に表示色を変えてカラー表示し、視覚的な表現力を向上させたグラフ表示装置が考えられている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−179991号公報
【特許文献2】特開平11−184819号公報
【特許文献3】特開平10−124690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記従来のグラフ表示装置では、グラフの表示をカラー化しただけであって、そのグラフの元となっているリストデータの各数値データとの相互関係を視覚的に対比するには十分ではない。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、リストデータの各数値データに基づいてヒストグラムを表示した場合に、そのヒストグラムの元となっているリストデータの各数値データとの相互関係を視覚的に容易に把握することが可能になるグラフ表示装置およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載のグラフ表示装置は、ユーザ操作によって複数の数値データからなるリストデータを入力し、そのリストデータの各数値データに任意の色を指定するリスト入力手段と、このリスト入力手段によって入力されたリストデータを前記各数値データに指定された色の情報と関連付けて記憶するリスト記憶手段と、このリスト記憶手段により記憶されたリストデータを前記各数値データに指定された色の情報に従い当該各数値データに色を付けてカラー表示するリスト表示手段と、前記リスト記憶手段により記憶されたリストデータに基づいて、任意設定された数値階級毎に同階級内の数値データに指定された色が同じ色か異なる色かを判断する階級毎数値色判断手段と、この階級毎数値色判断手段により前記数値階級毎に同階級内の数値データに指定された色が同じ色と判断された場合にはその数値データを累積した同色の柱状グラフを生成し、異なる色と判断された場合にはその数値データを累積した特殊態様の柱状グラフを生成してヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段と、このヒストグラム生成手段により生成されたヒストグラムの各柱状グラフを同柱状グラフの色または特殊態様に従ってカラー表示するグラフ表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載のグラフ表示装置は、前記請求項1に記載のグラフ表示装置において、前記グラフ表示手段によって表示されたヒストグラムの色を変更する第1の色変更手段と、この第1の色変更手段によって変更された色を前記リスト記憶手段により記憶された当該ヒストグラムに対応したリストデータに反映させて、前記各数値データに指定された色を同様に変更する第2の色変更手段と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載のグラフ表示装置は、前記請求項2に記載のグラフ表示装置において、前記第1の色変更手段によって前記ヒストグラムの各柱状グラフの色が変更された場合に、前記第2の色変更手段によって前記リストデータの中の該当する数値データの色も同様に変更されることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載のグラフ表示装置は、前記請求項1に記載のグラフ表示装置において、前記特殊態様の柱状グラフは、縞模様の柱状グラフであることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載のグラフ表示装置は、前記請求項1に記載のグラフ表示装置において、前記特殊態様の柱状グラフは、異なる色別に数値データを累積した積み上げ式の柱状グラフであることを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載のプログラムは、カラー表示可能な表示部を有する電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、前記コンピュータを、ユーザ操作によって複数の数値データからなるリストデータを入力し、そのリストデータの各数値データに任意の色を指定するリスト入力手段、このリスト入力手段によって入力されたリストデータを前記各数値データに指定された色の情報と関連付けてメモリに記憶するリスト記憶手段、このリスト記憶手段により記憶されたリストデータを前記各数値データに指定された色の情報に従い当該各数値データに色を付けて前記表示部にカラー表示させるリスト表示手段、前記リスト記憶手段により記憶されたリストデータに基づいて、任意設定された数値階級毎に同階級内の数値データに指定された色が同じ色か異なる色かを判断する階級毎数値色判断手段、この階級毎数値色判断手段により前記数値階級毎に同階級内の数値データに指定された色が同じ色と判断された場合にはその数値データを累積した同色の柱状グラフを生成し、異なる色と判断された場合にはその数値データを累積した特殊態様の柱状グラフを生成してヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段、このヒストグラム生成手段により生成されたヒストグラムの各柱状グラフを同柱状グラフの色または特殊態様に従って前記表示部にカラー表示させるグラフ表示手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リストデータの各数値データに基づいてヒストグラムを表示した場合に、そのヒストグラムの元となっているリストデータの各数値データとの相互関係を視覚的に容易に把握することが可能になるグラフ表示装置およびそのプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のグラフ表示装置の実施形態に係る電子計算機の外観構成を示す正面図。
【図2】前記電子計算機10の回路構成を示すブロック図。
【図3】前記電子計算機10に設けられたRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶されるリストデータの具体例を示す図。
【図4】前記電子計算機10に設けられたRAM15の階級範囲データ記憶領域15dに記憶される階級範囲データの具体例を示す図。
【図5】前記電子計算機10に備えられたCPU11がグラフ表示制御プログラム14aを実行することにより果たす機能構成を示すブロック図。
【図6】前記電子計算機10に備えられたCPU11によって実行される統計計算モード時のグラフ表示処理の全体の流れを示すフローチャート。
【図7】前記電子計算機10における統計計算モード時のグラフ表示処理に伴う色分けヒストグラム生成処理を示すフローチャート。
【図8】前記電子計算機10における統計計算モード時のグラフ表示処理に伴うリスト入力画面の一例を示す図。
【図9】前記電子計算機10の色分けヒストグラム生成処理に伴いRAM15内に一時記憶されるリストデータの階級範囲毎色別リスト15dcの具体例を示す図。
【図10】前記電子計算機10の色分けヒストグラム生成処理に伴い生成されたヒストグラム32のグラフ表示画面31の具体例を示す図。
【図11】前記電子計算機10の色分けヒストグラム生成処理に伴い生成された他の実施形態のヒストグラム32′を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明のグラフ表示装置の実施形態に係る電子計算機の外観構成を示す正面図である。
【0021】
この電子計算機は、「グラフ関数電卓」と呼ばれ、入力された関数式や統計データに対応するグラフを描画表示するための機能を備えている。
【0022】
この電子計算機10の本体には、本体正面の下端から3分の2程度の範囲でキー入力部12が設けられ、上端から3分の1程度の範囲で表示部13が設けられる。
【0023】
キー入力部12には、数値・記号キー12a、関数・演算子キー12b、「Menu」キー12c、「Shift」キー12d、「Color」キー12e、「Graph」キー12f、「Trace」キー12g、「EXIT」キー12h、カーソルキー12i、そしてファンクションキー「F1」〜「F6」などが備えられる。
【0024】
数値・記号キー12aは、数字,記号などの個々のキーを配列した数値・記号の入力用キー群からなる。
【0025】
関数・演算子キー12bは、演算式や関数式を入力する際に操作される各種の関数記号キーや、「+」「−」「×」「÷」「=」などの演算子キーからなる。
【0026】
「Menu」キー12cは、四則計算式や関数計算式等の任意の計算式を入力して演算処理を行わせる演算モード、入力された関数式に対応したグラフの描画処理を行わせるグラフモード、統計計算を行わせる統計計算モード、グラフ関数の学習処理を行わせるe-Activityモード、任意のプログラムを入力して対応する計算処理を行わせるプログラムモード等、各種の動作モードの選択設定メニューを表示させる際に操作される。
【0027】
「Shift」キー12dは、キー入力部12における各キートップの左上に記述された各種の記号や機能を指定入力する際に該当するキーと合わせて操作される。
【0028】
「Color」キー12eは、入力データやグラフなどに対して任意の色を指定する際に操作される。
【0029】
「Graph」キー12fは、入力データを元にして任意のグラフを描く際に操作される。
【0030】
「Trace」キー12gは、画面上に表示されたグラフをトレースするトレースモードを設定する際に操作される。
【0031】
「EXIT」キー12hは、現在の状態から抜けるためのキーである。
【0032】
カーソルキー(「↑」「↓」「←」「→」)12iは、それぞれ表示されたデータの選択,送り操作や、カーソルの移動操作を行なう際などに操作される。
【0033】
ファンクションキー「F1」〜「F6」は、種々の動作モードに応じて表示部13の画面下端に沿って配列表示される各種選択メニューを選択する際に操作される。
【0034】
また、表示部13には、例えば縦186ドット×横378ドットの表示範囲を有するカラー表示可能な液晶表示装置が用いられている。
【0035】
図2は、前記電子計算機10の回路構成を示すブロック図である。
【0036】
電子計算機10は、マイクロコンピュータであるCPU11を備えている。
【0037】
CPU11は、プログラムの起動により回路各部を動作させて、電卓機能や関数グラフ表示機能など、電子計算機10に備えられた各種機能を実行する。このCPU11には、図1に示したキー入力部12、表示部13の他に、記憶装置14、RAM15、記録媒体読取部16、通信制御部18などが接続されている。
【0038】
記憶装置14は、ROMなどのメモリデバイスから構成され、本発明を実現するためのグラフ表示制御プログラム14aの他、各種データ及びプログラムを記憶している。
【0039】
RAM15は、CPU11の処理動作に必要な各種データを記憶している。このRAM15には、表示部13の画面上にカラー表示されるデータが展開される表示データ記憶領域15aの他、式データ記憶領域15b、リストデータ記憶領域15c、階級範囲データ記憶領域15d、グラフデータ記憶領域15eが設けられている。
【0040】
式データ記憶領域15bには、キー入力部12の操作により入力された関数式に関するデータが記憶される。
【0041】
リストデータ記憶領域15cには、統計計算モードのリスト機能で作成されたリストデータが色指定の属性情報と共に記憶される(図3参照)。
【0042】
階級範囲データ記憶領域15dには、前記リストデータ記憶領域15cに記憶されたリストデータを、その数値データに応じた階級に分けるための範囲データが記憶される(図4参照)。
【0043】
グラフデータ記憶領域15eには、関数式データあるいはリストデータに基づいて作成されたグラフに関するデータが記憶される。
【0044】
記録媒体読取部16は、記録媒体17に記録されたデータの読み取りを行う。記録媒体17としては、例えばメモリカードなどが用いられ、プログラムや画像などが記録されている。
【0045】
通信制御部18は、図示せぬUSB(Universal Serial Bus)を介して接続された外部端末との間のデータ通信、あるいは所定の通信回線を介して無線により接続される外部端末との間のデータ通信を行う。
【0046】
図3は、前記電子計算機10に設けられたRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶されるリストデータの具体例を示す図である。
【0047】
リストデータは、「統計データ」あるいは「数表データ」とも言い、後述するリスト入力画面21(図8参照)に設けられたリスト(表)22の各セルに入力された数値データを有する。これらの数値データには、予め用意された複数色の中の任意の色を表示色として指定でき、その指定された色が属性情報として数値データに対応付けられて、RAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶される。
【0048】
図3の例では、「リスト1」の1つのリストデータが示されている。図中のデータ10,9,11,13,…は、任意の数値データを示す。データ9,4には「黒色」が指定され、データ10,11には「赤色」、データ13には「青色」、データ95には「緑色」、が指定されている。
【0049】
図4は、前記電子計算機10に設けられたRAM15の階級範囲データ記憶領域15dに記憶される階級範囲データの具体例を示す図である。
【0050】
この階級範囲データは、例えば前記図3で示したリストデータをヒストグラムで表示するために、ユーザが任意に定めた数値範囲を示すものであり、この例では、その数値データに応じて10階級に分けるためのデータが、第1階級範囲[0〜10(未満)]、第2階級範囲[10〜20(未満)],…,第10階級範囲[90〜100(未満)]として入力されて記憶されている。
【0051】
図5は、前記電子計算機10に備えられたCPU11がグラフ表示制御プログラム14aを実行することにより果たす機能構成を示すブロック図である。
【0052】
CPU11は、グラフ表示においては、リスト入力制御部11a、リスト記憶制御部11b、グラフ生成制御部11c、グラフ表示制御部11d、第1の色変更制御部11e、第2の色変更制御部11fとして機能する。
【0053】
リスト入力制御部11aは、後述するリスト入力画面21(図8参照)を表示することにより、ユーザ操作によって複数の数値データからなるリストデータを入力し、そのリストデータの各数値データに任意の色を指定するための制御を行う。
【0054】
リスト記憶制御部11bは、リスト入力制御部11aによって入力されたリストデータを前記各数値データに指定された色の情報と関連付けてRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶するための制御を行う。
【0055】
グラフ生成制御部11cは、リスト記憶制御部11bによってRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶されたリストデータをグラフ化するための制御を行う。
【0056】
グラフ表示制御部11dは、グラフ生成制御部11cによって生成されたグラフを前記各数値データに指定された色に従って表示部13の画面にカラー表示するための制御を行う。
【0057】
第1の色変更制御部11eは、グラフ表示制御部11dによって表示されたグラフの色を変更するための制御を行う。
【0058】
第2の色変更制御部11fは、第1の色変更制御部11eによって変更された色をRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶された当該グラフに対応したリストデータに反映させて、前記各数値データに指定された色を変更するための制御を行う。
【0059】
ここで、前記リストデータ記憶領域15cに記憶されたリストデータ(図3参照)を、前記階級範囲データ記憶領域15dに記憶された階級範囲データ(図4参照)に対応したヒストグラムとしてグラフ化する際、ある階級範囲内に異なる色に指定された数値データが混在する場合、前記グラフ生成制御部11cは、該当する階級範囲に対応するところの柱状グラフを特殊態様にしてグラフ化するための制御を行う(図10または図11参照)。
【0060】
次に、前記構成の電子計算機10の動作を説明する。
【0061】
なお、以下の各フローチャートで示される処理は、コンピュータであるCPU11が記憶装置14に記憶されたグラフ表示制御プログラム14aを読み込むことにより実行される。
【0062】
図6は、前記電子計算機10に備えられたCPU11によって実行される統計計算モード時のグラフ表示処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0063】
図7は、前記電子計算機10における統計計算モード時のグラフ表示処理に伴う色分けヒストグラム生成処理を示すフローチャートである。
【0064】
(データ入力)
図8は、前記電子計算機10における統計計算モード時のグラフ表示処理に伴うリスト入力画面の一例を示す図である。
【0065】
まず、ユーザが電子計算機10のキー入力部12に設けられた「Menu」キー12cを操作して統計計算モードを設定すると、CPU11の制御の下で表示部13に図8に示すようなリスト入力画面21が表示される(ステップA1)。
【0066】
図8に示すように、リスト入力画面21には、複数のセルからなるリスト(表)22が設けられている。ユーザがキー入力部12の数値・記号キー12aを操作して、このリスト22の各セルに数値データを入力することにより、これらの数値データを含むリストデータ(統計データ)が作成される(ステップA2)。
【0067】
このとき、キー入力部12に設けられた「Color」キー12eを操作すると、リスト入力画面21の下端に、赤色(Red)、青色(Blue)、緑色(Grn)、黄色(Yllw)の選択メニュー23が表示され、その選択メニュー23の各色に対応したファンクションキー「Fn」の操作にて任意の色を数値毎に指定することができる。
【0068】
ここでは、ファンクションキー「F2」の操作で赤色、ファンクションキー「F3」の操作で青色、ファンクションキー「F4」の操作で緑色、ファンクションキー「F5」の操作で黄色が指定されるものとする。
【0069】
図8の例では、List1の1番目のセルに入力された数値データ「10」に対して赤色、2番目のセルに入力された数値データ「9」に対して黒色、3番目のセルに入力された数値データ「11」に対して赤色、4番目のセルに入力された数値データ「13」に対して青色が指定されている。
【0070】
なお、各数値データに付したハッチングは指定色を表わしている。これらのハッチングは、図面の制約上、色付けで表現できないために便宜的に付したものであり、実際には数値データが指定の色でカラー表示される。
【0071】
このようにして、リストデータの各数値データに対して任意の色が指定されると(ステップA3のYes)、その指定された色が属性情報として当該数値データに設定されてRAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶される(ステップA4)。
【0072】
なお、色指定されなかった場合には、その数値データに対しては標準色として黒色がデフォルト設定されるものとする。
【0073】
(リストデータに基づくグラフ表示)
リストデータの作成後、キー入力部12に設けられた「Graph」キー12fが操作されると、「Scatter」、「Histgram」、「回帰グラフ」といったグラフ種を示すグラフ種選択メニュー(図示せぬ)が画面下端に沿って配列表示され、任意のグラフ種をファンクションキー「Fn」の操作にて選択できる。
【0074】
ここで、「Histgram」が選択されると(ステップA5のYes)、図7における色分けヒストグラム生成処理に移行される(ステップAB)。
【0075】
図9は、前記電子計算機10の色分けヒストグラム生成処理に伴いRAM15内に一時記憶されるリストデータの階級範囲毎色別リスト15dcの具体例を示す図である。
【0076】
図10は、前記電子計算機10の色分けヒストグラム生成処理に伴い生成されたヒストグラム32のグラフ表示画面31の具体例を示す図である。
【0077】
ヒストグラム32は、階級毎に数値データを累積した複数の柱状グラフ32a,32b,32c,…からなる。これらの柱状グラフ32a,32b,32c,…の高さから階級毎の数値データの累積結果を比較することができる。
【0078】
図10の例は、前記図3および図8で示したリストデータ(15c)および図4で示した階級範囲データ(15d)に対応しており、各数値データに指定された指定色に応じて各柱状グラフ35a,35b,35c,…がカラー表示されることになる。
【0079】
すなわち、色分けヒストグラム生成処理に移行されると、先ず、階級範囲データ記憶領域15dに記憶されている第1階級範囲(小区間)[0〜10(未満)]が読み出される(ステップB1)。
【0080】
すると、リストデータ記憶領域15cに記憶されているリストデータが読み出され(ステップB2)、前記第1階級範囲内の数値データのデータ数(度数)が、同数値データに指定された色別にカウントされ、図9に示すように階級範囲毎色別リスト15dcとしてRAM15に一時記憶される(ステップB3)。
【0081】
図9の具体例では、第1階級範囲[0〜10(未満)]内の数値データのデータ数(度数)は、黒が2個としてカウントされる。
【0082】
ここで、前記第1階級範囲に対応してカウントされた数値データについて、全て同じ色が指定されているか、つまり1色のみのデータ数としてカウントされたかが判断され(ステップB4)、同第1階級範囲の数値データの指定色は全て同じ色(黒色)と判断される(ステップB4のYes)。
【0083】
すると、前記第1階級範囲の数値データの指定色(黒色)で表したヒストグラムの柱状グラフ32aが生成され、RAM15のグラフデータ記憶領域15eに記憶される(ステップB5)。
【0084】
ここで、前記階級範囲データ記憶領域15dに記憶されている全ての階級範囲に対する処理が終了したか否か判断され(ステップB7)、終了してないと判断されると(ステップB7のNo)、次の階級、つまり第2階級範囲(小区間)[10〜20(未満)]が読み出され(ステップB8)、前記ステップB2からの処理に戻る。
【0085】
図9の具体例では、第2階級範囲[10〜20(未満)]内の数値データのデータ数(度数)は、赤が9個、青が1個としてカウントされるので(ステップB2,B3)、同第2階級範囲の数値データの指定色は同じ色ではないと判断される(ステップB4のNo)。
【0086】
すると、前記同一色でない数値データが含まれる第2階級範囲を表わすヒストグラムは、特殊態様(黒の縞模様)の柱状グラフ32bとして生成され、RAM15のグラフデータ記憶領域15dに記憶される(ステップB6)。
【0087】
この後、前記同様に、次の階級範囲に対する処理が繰り返し実行されて各対応する色または特殊態様の柱状グラフ32c,32d,…,32kが生成され、RAM15のグラフデータ記憶領域15dに記憶される(ステップB2〜B8)。
【0088】
そして、全ての階級範囲に対する処理が終了したと判断されると(ステップB7のYes)、前記一連の色分けヒストグラム生成処理から統計計算モード時のグラフ表示処理に戻る(Return)。
【0089】
そして、前記グラフデータ記憶領域15eに記憶されたヒストグラム32が表示データ記憶領域15aに展開され、図10に示すようなグラフ表示画面31として表示部13の画面上にカラー表示される(ステップA6)。
【0090】
(グラフ表示後の色変更)
・全部変更
ここで、グラフの表示後に、ユーザによりキー入力部12に設けられた「Color」キー12eが操作されると(ステップA7のYes)、そのグラフ表示画面31の下端に赤色(Red)、青色(Blue)、緑色(Grn)、黄色(Yllw)の選択メニュー23が表示される。
【0091】
この選択メニュー23の中の1色がファンクションキー「Fn」の操作にて指定されると(ステップA8のYes)、グラフ全体の色がその指定色に変更される(ステップA9)。また、それに伴い、RAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶されたリストデータの各数値データに指定された色も同様に変更される(ステップA10)。
【0092】
例えば、図10に示したようなヒストグラム32が表示されている状態で、「Color」キー12eが操作されると、その画面下端に選択メニュー23が表示され、その選択メニュー23の中の青色(Blue)がファンクションキー「Fn」の操作にて指定されたとすると、ヒストグラム32を構成する全ての柱状グラフ32a〜32kが青色に変更される。
【0093】
そして、このヒストグラム32に対応したリストデータの各数値データに指定された色も全て青色に変更される。
【0094】
「Scatter」や「回帰グラフ」に対応したグラフでも同様であり、これらのグラフの色が選択メニュー23の中で指定された色に変更され、その色変更が対象となるリストデータの全数値データに反映され、同様に色変更されることになる。
【0095】
・部分変更
一方、「Color」キー12eの操作後(ステップA7のYes)、ファンクションキー「Fn」ではなく、「Trace」キー12gが操作された場合には(ステップA11)、グラフ表示画面31の下端に赤色(Red)、青色(Blue)、緑色(Grn)、黄色(Yllw)の選択メニュー23が表示され、以下のような手順で部分的な色変更が行われる。
【0096】
なお、この電子計算機10にはタッチパネルが備えられていないため、「Trace」キー12gの操作によってトレースモードに切り替えた際に、カーソルキー12iの操作によって表示中のオブジェクト(例えば、ヒストグラム32の各柱状グラフ32a,32b,…)を1つずつ指定するといった操作を行うものとする。
【0097】
ここで、「Trace」キー12gが操作された際に(ステップA11のYes)、現在表示中のグラフ種がヒストグラムであれば(ステップA12のYes)、カーソルキー12iの操作によって選択されたオブジェクト(柱状グラフ)が色変更の対象として抽出され、点滅などにより識別されて表示される(ステップA13)。
【0098】
そして、選択メニュー23の中の1色がファンクションキーの操作にて指定された際に(ステップA14のYes)、前記抽出されたオブジェクト(柱状グラフ)の色がその指定色に変更され(ステップA15)、それに伴い、RAM15のリストデータ記憶領域15cに記憶されたリストデータの該当する階級範囲に含まれる各数値データの指定色も変更される(ステップA16)。
【0099】
例えば、図10に示した「Histgram」のグラフ表示画面31において、柱状グラフ35bが色変更対象(オプジェクト)として選択され、選択メニュー23の中の赤色(Red)が指定されたとすると、その柱状グラフ35bだけが特殊態様の縞模様から赤色に変更される。
【0100】
このとき、ヒストグラム32の柱状グラフ35bに対応した階級範囲に含まれるリストデータの各数値データに指定された色も全て赤色に統一されて変更される。
【0101】
以後同様にして、カーソルキー12iの操作によりオブジェクトを1つ1つ指定しながら、その指定されたオブジェクトの色を部分的に変更することができる。
【0102】
ここで、キー入力部12に設けられた「EXIT」キー12hが操作されると(ステップA17のYes)、グラフ表示状態から抜け、RAM15のリストデータ記憶領域15cから当該グラフに対応したリストデータが読み出されて画面上に表示される(ステップA18)。このとき、グラフに色変更があった場合には、表示されたリストデータの色も変化している。
【0103】
したがって、前記構成の電子計算機10における統計計算モード時のグラフ表示機能によれば、ユーザがリストデータを入力した際に、そのリストデータの各数値データに階級範囲に応じた任意の色を指定しておくことにより、その指定された色に従った階級毎の柱状グラフからなるヒストグラムがカラー表示される。この際、ある階級範囲内の各数値データの指定色が同じでなく異なって指定されている場合には、同階級範囲に対応する柱状グラフは縞模様などの特殊態様にしてカラー表示される。このため、リストデータとヒストグラムとの相互関係を色や表示態様にて視覚的に把握できるようになり、リストデータを元に描画されるヒストグラムの特性を容易に理解することができるようになる。
【0104】
さらに、ユーザが表示中のヒストグラムに対して色変更を全体的あるいは部分的に行うと、その色変更がリストデータの各数値データに反映されるので、表示中のヒストグラムとリストデータの各数値データとの相互関係を色変化にて容易に学ぶことができる。
【0105】
(他の実施形態)
図11は、前記電子計算機10の色分けヒストグラム生成処理に伴い生成された他の実施形態のヒストグラム32′を示す図である。
【0106】
前記実施形態では、図10で示したように、ある階級範囲に含まれる各数値データの指定色が同じでなく異なって指定されている場合、同階級範囲に対応するヒストグラム32内の柱状グラフ32bを縞模様の特殊態様にしてカラー表示する構成とした。
【0107】
これに対し、図11のヒストグラム32′に示すように、異なる色に指定された数値データを含む階級範囲の柱状グラフは、色別にカウント(図9の第2階級範囲[10−20]参照)した数値データの色と個数(赤9個/青1個)に対応する積み上げ式の柱状グラフ32b′として他の特殊態様でカラー表示する構成としてもよい。
【0108】
なお、前記各実施形態では、リストデータの各数値データに対して指定可能な色として、赤色(Red)、青色(Blue)、緑色(Grn)、黄色(Yllw)の5色を例にして説明したが、これらの色以外の色を指定できようにしても良いし、5色以上の色を指定できるような構成であってもよい。
【0109】
また、前記各実施形態において記載した電子計算機10による各動作手法、すなわち、図6、図7の各フローチャートで示した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレシキプルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体(記録媒体17)に記録して配布することができる。そして、電子計算機10のコンピュータ(CPU11)は、この記憶媒体に記録されたプログラムを読み込みことで、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0110】
また、前記手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(公衆回線)を介して伝送させることができる。そして、電子計算機10のコンピュータ(CPU11)は、このプログラムを通信ネットワークに接続された通信装置(通信制御部18)にて受信することにより、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0111】
なお、本発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10 …電子計算機(グラフ関数電卓)
11 …CPU
11a…リスト入力制御部
11b…リスト記憶制御部
11c…グラフ生成制御部
11d…グラフ表示制御部
11e…第1の色変更制御部
11f…第2の色変更制御部
12 …キー入力部
12a…数値・記号キー
12b…関数・演算子キー
12c…「Menu」キー
12d…「Shift」キー
12e…「Color」キー
12f…「Graph」キー
12g…「Trace」キー
12h…「EXIT」キー
12i…カーソルキー
F1〜F6…ファンクションキー
13 …表示部
14 …メモリ
14a…グラフ表示制御プログラム
15 …RAM
15a…表示データ記憶領域
15b…式データ記憶領域
15c…リストデータ記憶領域
15d…階級範囲データ記憶領域
15dc…階級範囲毎色別リスト
15e…グラフデータ記憶領域
16 …記録媒体読取部
17 …記録媒体
18 …通信制御部
21 …リスト入力画面
22 …リスト(表)
23 …カラー選択メニュー
31 …グラフ表示画面
32 …ヒストグラム
32a,32b,…柱状グラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作によって複数の数値データからなるリストデータを入力し、そのリストデータの各数値データに任意の色を指定するリスト入力手段と、
このリスト入力手段によって入力されたリストデータを前記各数値データに指定された色の情報と関連付けて記憶するリスト記憶手段と、
このリスト記憶手段により記憶されたリストデータを前記各数値データに指定された色の情報に従い当該各数値データに色を付けてカラー表示するリスト表示手段と、
前記リスト記憶手段により記憶されたリストデータに基づいて、任意設定された数値階級毎に同階級内の数値データに指定された色が同じ色か異なる色かを判断する階級毎数値色判断手段と、
この階級毎数値色判断手段により前記数値階級毎に同階級内の数値データに指定された色が同じ色と判断された場合にはその数値データを累積した同色の柱状グラフを生成し、異なる色と判断された場合にはその数値データを累積した特殊態様の柱状グラフを生成してヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段と、
このヒストグラム生成手段により生成されたヒストグラムの各柱状グラフを同柱状グラフの色または特殊態様に従ってカラー表示するグラフ表示手段と、
を備えたことを特徴とするグラフ表示装置。
【請求項2】
前記グラフ表示手段によって表示されたヒストグラムの色を変更する第1の色変更手段と、
この第1の色変更手段によって変更された色を前記リスト記憶手段により記憶された当該ヒストグラムに対応したリストデータに反映させて、前記各数値データに指定された色を同様に変更する第2の色変更手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のグラフ表示装置。
【請求項3】
前記第1の色変更手段によって前記ヒストグラムの各柱状グラフの色が変更された場合に、前記第2の色変更手段によって前記リストデータの中の該当する数値データの色も同様に変更されることを特徴とする請求項2に記載のグラフ表示装置。
【請求項4】
前記特殊態様の柱状グラフは、縞模様の柱状グラフであることを特徴とする請求項1に記載のグラフ表示装置。
【請求項5】
前記特殊態様の柱状グラフは、異なる色別に数値データを累積した積み上げ式の柱状グラフであることを特徴とする請求項1に記載のグラフ表示装置。
【請求項6】
カラー表示可能な表示部を有する電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
ユーザ操作によって複数の数値データからなるリストデータを入力し、そのリストデータの各数値データに任意の色を指定するリスト入力手段、
このリスト入力手段によって入力されたリストデータを前記各数値データに指定された色の情報と関連付けてメモリに記憶するリスト記憶手段、
このリスト記憶手段により記憶されたリストデータを前記各数値データに指定された色の情報に従い当該各数値データに色を付けて前記表示部にカラー表示させるリスト表示手段、
前記リスト記憶手段により記憶されたリストデータに基づいて、任意設定された数値階級毎に同階級内の数値データに指定された色が同じ色か異なる色かを判断する階級毎数値色判断手段、
この階級毎数値色判断手段により前記数値階級毎に同階級内の数値データに指定された色が同じ色と判断された場合にはその数値データを累積した同色の柱状グラフを生成し、異なる色と判断された場合にはその数値データを累積した特殊態様の柱状グラフを生成してヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段、
このヒストグラム生成手段により生成されたヒストグラムの各柱状グラフを同柱状グラフの色または特殊態様に従って前記表示部にカラー表示させるグラフ表示手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−248679(P2011−248679A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121883(P2010−121883)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】