説明

グリッパ

【課題】樹脂製ボトルのグリッパで保持している部分にも電子線等の殺菌媒体を接触させる。
【解決手段】樹脂製ボトルのネック部の外面に当接する4個の容器保持部と、これら容器保持部の中心部に配置された開閉用カム42と、容器保持部をこの開閉用カム42の周囲を回転させる回転手段(ピニオンギヤおよびセクタギヤ等)とを備えている。開閉用カム42は、1本の容器保持部を外方へ押し出すように大径部が形成されている。電子線照射装置の前面で4本の容器保持部に保持されている樹脂製ボトルを回転させると、開閉用カム42の周囲を回転する容器保持部が1本ずつ外方へ押されて樹脂製ボトルから離れ、3本の容器保持部によって樹脂製ボトルを保持した状態になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂製ボトルのネック部を保持して搬送するグリッパに係り、特に、保持している樹脂製ボトルに殺菌媒体を接触させて殺菌を行う殺菌装置に使用するのに適したグリッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂製ボトルのネック部を保持して搬送するグリッパは、従来から広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載されたグリッパ(特許文献1中ではクランプ26と呼んでいる)は、垂直に延びる2つのアーム36を含んでおり、これらアーム36は、それぞれその下端に把握爪38を支承している。これら二つの爪38は相互に対面し、中空体16(PETボトル)を頸部で把握することができるようにした接触表面40を有している。
【特許文献1】特許第3787328号公報(第3−4頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記構成のグリッパを、電子線や過酸化水素ガス等の殺菌媒体により樹脂製ボトルの殺菌を行う殺菌装置に適用した場合には、樹脂製ボトルの外面のグリッパが直接接触している部分や、接触してはいないがグリッパの陰になっている部分に殺菌媒体が届かず、完全な殺菌が行えない等の問題が発生する。このように殺菌が不十分な部分については、殺菌を行うメイン殺菌室以外の殺菌装置において、別に殺菌を行う必要がある等の問題があった。
【0004】
本発明は、前記のような問題を解決するためになされたもので、殺菌する樹脂製ボトルの外面に、電子線や過酸化水素ガス等の殺菌媒体が接触しない部分を無くし、完全な殺菌を行うことを可能にしたグリッパを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、樹脂製ボトルに殺菌媒体を接触させて殺菌を行う殺菌装置に設けられ、前記樹脂製ボトルを保持するグリッパにおいて、樹脂製ボトルの外面に当接する少なくとも4個の容器保持部と、これら容器保持部を樹脂製ボトルから個々に離隔させる駆動手段とを設け、前記樹脂製ボトルの殺菌処理中に、少なくとも2個以上の容器保持部によって樹脂製ボトルを保持しつつ、全ての保持部を順次樹脂製ボトルから離隔させることを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記駆動手段は、複数の容器保持部の中央に設けられたカムと、各容器保持部に設けられ、前記カムに係合する係合部材と、前記カムと容器保持部とを相対的に回転させる回転手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記駆動手段は、複数の容器保持部の中央に設けられるととともに、外周に磁石が埋め込まれたマグネット部材と、前記容器保持部に設けられた磁石と、前記マグネット部材と容器保持部とを相対的に回転させる回転手段とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のグリッパは、少なくとも4個以上の容器保持部を備え、最低2個の容器保持部によって樹脂製ボトルを確実に保持した状態で、各容器保持部を順番に樹脂製ボトルの表面から離すようにしたので、殺菌処理を行っている間、樹脂製ボトルの表面に、常に容器保持部が接触している部分がなくなり、樹脂製ボトルの表面全てに殺菌媒体を接触させることができ、確実に殺菌を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
このグリッパは、樹脂製ボトルに殺菌媒体を接触させて殺菌を行う殺菌装置に設けられて前記樹脂製ボトルを保持するものであり、樹脂製ボトルの表面に当接する少なくとも4個の容器保持部と、これら容器保持部をそれぞれ独立して樹脂製ボトルの表面から離すことができる駆動手段とを備えており、樹脂製ボトルの殺菌処理中は、少なくとも2個の容器保持部で樹脂製ボトルを保持した状態で、各容器保持部を順番に駆動手段によって樹脂製ボトルの外面から離すという構成にしたことにより、樹脂製ボトルの表面の全てに殺菌媒体を接触させて完全に殺菌を行うという目的を達成する。
【実施例1】
【0010】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係るグリッパの縦断面図、図2はこのグリッパを備えた電子線殺菌装置の全体の構成を簡略化して示す平面図である。この実施例に係るグリッパ2によって保持される容器4は、樹脂製ボトルであり、ネック部4a(傾斜した肩部4bよりも上方の小径の部分全体をネック部と呼ぶ)の下部寄りにフランジ4cが形成され、その上下に小径の円筒部4d、4eが設けられている。
【0011】
樹脂製ボトル4は、エア搬送コンベヤ6によって連続的に搬送され、インフィードスクリュー8によって所定の間隔に切り離されつつ導入チャンバー10内に搬入される。導入チャンバー10内には、容器保持手段(図示せず)が円周方向等間隔で設けられた供給ホイール12が設置されており、前記インフィードスクリュー8によって所定の間隔にピッチ切りされた樹脂製ボトル4が、前記容器保持手段に一本ずつ引き渡されて回転搬送される。
【0012】
導入チャンバー10に続いて、樹脂製ボトル4を電子線の照射により殺菌する際に、電子線やX線(制動X線)が外部に漏れないように遮蔽する鉛製壁面から成る殺菌チャンバー14が設置されている。この殺菌チャンバー14の入口側には、円周方向等間隔でネックグリッパが設けられた入口ホイール16が配置されており、前記導入チャンバー10内の供給ホイール12から樹脂製ボトル2を受け取って回転搬送する。前記エア搬送コンベヤ6から導入チャンバー10内へ樹脂製ボトル4が搬入される部分のチャンバー壁面10aには、樹脂製ボトル4が通過可能な開口(図示せず)が形成され、また、導入チャンバー10の供給ホイール12から殺菌チャンバー14内の入口ホイール12への受け渡しを行う供給部の壁面14aには、樹脂製ボトル4の受け渡しが可能な開口(図示せず)が形成されている。
【0013】
殺菌チャンバー14の正面側(図2の上方)に、電子線照射装置(全体の図示は省略して、電子線を照射する照射窓18だけを示している)が設置されている。電子線照射装置は、周知のように、真空チャンバー内の真空中でフィラメントを加熱して熱電子を発生させ、高電圧によって電子を加速して高速の電子線ビームにしてから、照射窓18に取り付けてあるTi等の金属製の窓箔を通して大気中に取り出して、照射窓18の開口範囲の前方の照射エリアA内に位置させた被照射物品(この実施例では樹脂製ボトル4)に電子線を当てて殺菌等の処理を行う。
【0014】
殺菌チャンバー14の中央部には、前記電子線照射装置の照射窓18の前方に樹脂製ボトル4を搬送するロータリ式の容器搬送装置20が設置されている。この容器搬送装置20に、図1に示すグリッパ2が円周方向等間隔で設けられており、前記入口ホイール16から受け取った樹脂製ボトル4を回転搬送しつつ、照射窓18の前方の照射エリアA内を移動させることにより、この樹脂製ボトル4の外面に電子線を照射させて殺菌を行う。
【0015】
殺菌チャンバー14の出口側には、円周方向等間隔でネックグリッパが設けられた出口ホイール22が配置されており、容器搬送装置20によって搬送される間に殺菌された樹脂製ボトル4を、前記グリッパ2から受け取って回転搬送する。殺菌チャンバー14の出口側に連続して中間チャンバー24が配置されており、出口ホイール22のネックグリッパによって保持されて回転搬送されてきた樹脂製ボトル4は、中間チャンバー24内の中間ホイール26に円周方向等間隔で設けられた容器保持手段(図示せず)に受け渡されて次の工程に送られる。殺菌チャンバー14の出口ホイール22から中間チャンバー24の中間ホイール26への受け渡し部の壁面14bには、樹脂製ボトル4の受け渡しが可能な開口(図示せず)が形成されている。
【0016】
次に、前記容器搬送装置20に設けられているグリッパ2の構成について、図1等により説明する。容器搬送装置20の回転体28を構成する上下の円板28A、28Bにそれぞれ円孔28Aa、28Baが形成され、これら上下の円孔28Aa、28Ba内に配置されたボールベアリング30、32を介して、回転筒体34が回転自在に支持されている。この回転筒体34の内部を貫通して、垂直なロッド36が挿通されている。この垂直ロッド36の上端は、上方の円板28A上に固定された支柱38に、ブラケット40を介して連結されている。垂直ロッド36の前記回転筒体34よりも下方へ突出している下端部に、円形カム(開閉用カム)42(後に説明する図3参照)が取り付けられている。この開閉用カム42は、前述のように垂直ロッド36を介して回転体28の上方の円板28Aに固定されており、回転体28と一体的に回転し、相対回転はしないようになっている。
【0017】
回転筒体34の下端部に連結用環状体44を介して、水平な取付プレート46が固定されている。この水平な取付プレート46に、円周方向等間隔で、つまり90度おきに4本の容器保持部48が鉛直方向を向けて取り付けられている(図3参照)。これら容器保持部48はバネ体であり、自らのバネ性によって前記開閉用カム42の外周カム面に弾接している。各容器保持部48の開閉用カム42に弾接している部分に、リング状の係合部材(カムフォロア)50が嵌着されており、後に説明するように容器保持部48が回転すると、これらリング状係合部材50が開閉用カム42のカム面上を移動する。前記4本の容器保持部48は、下端部48aが内方へ向けて折り曲げられており、これら折り曲げられた爪状の部分が樹脂製ボトル4のフランジ4cの下面側の円筒部4eに当接することにより樹脂製ボトル4を保持するようになっている。
【0018】
前記入口ホイール16は、図4に示すように開閉式のネックグリッパ52を備えており、一対のグリップ部材52A、52Bの一方(図4の右側)を回動させることにより樹脂製ボトル4のネック部4a(この実施例ではネック部4aのうちフランジ4cよりも上方側の円筒部4d)を把持するようになっている。このように一方のグリップ部材52Bを開閉する際に干渉を避けるため、4本の容器保持部48のうちの1箇所(図1中に符号48Aで示す容器保持部)が外方側へ大きく膨らんだ形状をしている。入口ホイール16のネックグリッパ52から容器搬送装置20のグリッパ2に受け渡しを行う際には、ネックグリッパ52によって樹脂製ボトル4を把持した状態で、受け渡し部B(図2参照)付近で、4本の容器保持部48間に押し込むことにより、容器保持部48を外方へ押し開いてその中央部に挿入する。その後、容器保持部48が自らの弾性によって復帰して、樹脂製ボトル4のフランジ4cの下面側の円筒部4eに弾接して樹脂製ボトル4を保持する。その後、入口ホイール16のネックグリッパ52の可動側のグリップ部材52Bを回動させて、樹脂製ボトル4を離し、4本の容器保持部52に完全に引き渡す。なお、出口ホイール22も容器搬送装置20のグリッパ2から樹脂製ボトル4を受け取るネックグリッパを備えているが、このネックグリッパは、入口ホイール16と同様の構成のもの(図4参照)を用いても良く、また、別の構成のものであっても良い。
【0019】
水平な取付プレート46を介して4本の容器保持部48が取り付けられている回転筒体34の上端に、ピニオンギヤ54が固定されている。一方、回転体28の上方の円板28A上に固定されている直立した支点ピン56に、セクタギヤ58の中間部が回転自在に支持されており、このセクタギヤ58に前記ピニオンギヤ54が噛み合っている(図1および図5参照)。セクタギヤ58の後端部に上下方向のピン60が挿通され、このピン60と前記上部回転円板28A上に固定された支柱62との間に引っ張りバネ64が装着されて、前記セクタギヤ58を一方向(図5の反時計回り方向)に回転させるように引き付けている。セクタギヤ58の後端部に挿通された上下方向ピン60の上端にカムフォロア66が取り付けられており、このカムフォロア66が、回転円板28Aの上方側に、固定配置された円形カム(回転用カム)68に係合している。容器搬送装置20の回転体28が回転すると、前記カムフォロア66が回転用カム68の外周カム面に沿って移動し、そのカム形状に応じてセクタギヤ58が回動することにより、ピニオンギヤ54および回転筒体34が回転し、前記4本の容器保持部48が取り付けられている水平な取付プレート46が回転する。
【0020】
水平な取付プレート46が回転すると、4本の容器保持部48にそれぞれ取り付けられているカムフォロア50が、開閉用カム42の外周カム面に沿って移動する。開閉用カム42は、図3に示すように、円形の一部に突出した大径部42aが形成されており、カムフォロア50がこの大径部42aに係合すると、その容器保持部48が外方へ押し出されて、その容器保持部48の下端部に設けられた爪部48aが樹脂製ボトル4の外面から外れる。樹脂製ボトル4を保持するために、常時3本の容器保持部48が樹脂製ボトル4の外面に係合している必要があり、前記開閉用カム42の大径部42aは同時に2本の容器保持部48を押し出さないサイズに形成されている。なお、この実施例では、グリッパ2は、4本の容器保持部48とこれら容器保持部48を開閉動作させる駆動手段とを備えている。この駆動手段は、開閉用カム42と、各容器保持部48に設けられた係合部材(カムフォロア)50および回転手段を有しているまた、回転手段は、回転筒体34の上端に固定したピニオンギヤ54と、このピニオンギヤ54に噛み合うセクタギヤ58と、回転用カム68等を備えている。
【0021】
前記構成のグリッパ2を備えた電子線殺菌装置の作動について説明する。エア搬送コンベヤ6によって連続的に搬送されてきた樹脂製ボトル4は、インフィードスクリュー8によって所定間隔にピッチ切りされつつ導入チャンバー10内に搬入され、この導入チャンバー10内に設置されている供給ホイール12の各容器保持手段(図示せず)に引き渡される。これら樹脂製ボトル4は、供給ホイール12の回転によって回転搬送され、殺菌チャンバー14内の入口ホイール16に引き渡される。入口ホイール16には、円周方向等間隔で開閉式のネックグリッパ52が設けられており、殺菌チャンバー14の壁面14aに形成された開口部(図示せず)を介して、供給ホイール12の容器保持手段と入口ホイール16のネックグリッパ52との間で樹脂製ボトル4の受け渡しが行われる。
【0022】
入口ホイール16のネックグリッパ52によって把持された樹脂製ボトル4は、回転搬送されて容器搬送装置20との受け渡し部Bに到達すると、容器搬送装置20の回転体28の回転に伴ってこの受け渡し部Bに移動してきたグリッパ4に受け渡される。グリッパ4の4本の容器保持部48はバネ性を有しており、樹脂製ボトル4のフランジ4cよりも下方側の円筒部4eが押し付けられることにより、下端に形成された爪部48aが拡開して樹脂製ボトル4のネック部4aが4本の容器保持部48の中間に押し込まれる。押し広げられた容器保持部48は、自らの反発力によって元の状態に復帰し、樹脂製ボトル4のフランジ4cの下方の円筒部4eに当接して樹脂製ボトル4を保持する。樹脂製ボトル4がグリッパ2の4本の容器保持部48によって保持された後、入口ホイール16のネックグリッパ52の一方のグリップ部材52Bが開いて樹脂製ボトル4を離す。
【0023】
入口ホイール16のネックグリッパ52から離れて容器搬送装置20のグリッパ2に保持された樹脂製ボトル4は、回転体28の回転に伴って回転搬送されて、電子線照射装置(図示せず)に設けられた照射窓18の前方の電子線照射エリアAに到達する。このエリアAでは、樹脂製ボトル4の全周に電子線が照射されるように、樹脂製ボトル4を保持している容器保持部48を回転させる。容器保持部48が取り付けられている回転筒体34の上端に固定されたピニオンギヤ54にセクタギヤ58が噛み合っており、このセクタギヤ58の後端に取り付けたカムフォロア66が、引っ張りバネ64によって外部に固定された回転用カム68に弾接され、カム面上を回転移動する。この回転用カム68のカム形状に応じてセクタギヤ58が回動し、ピニオンギヤ54、回転筒体34および4本の容器保持部48を回転させる。電子線照射エリアA内で樹脂製ボトル4を180度回転させることにより、樹脂製ボトルの全周に電子線を照射させることができるが、それ以上の角度回転させるようにしても良い。また、180度以下でも、電子線が背後に回り込むので樹脂製ボトル4の全面を殺菌することは可能である。
【0024】
前述のように、4本の容器保持部48によって保持している樹脂製ボトル4を回転させることにより、樹脂製ボトル4のほぼ全面に電子線を照射して殺菌することができるが、4本の容器保持部48が当接している部分は、保持したままの状態では電子線が当たらないので、4本の容器保持部48を1本ずつ順番に樹脂製ボトル4の外面から離すようにしている。前記回転筒体34の中心部を貫通している垂直ロッド36の下端に開閉用カム42が固定され、この開閉用カム42の外面に、各容器保持部48の上下の中間付近に取り付けたカムフォロア50が容器保持部48自身の弾性によって圧接されており、4本の容器保持部48が開閉用カム42の周囲を回転すると、カムの形状に応じて容器保持部48が開閉動作を行う。この実施例では、開閉用カム42が、図3に示す形状をしており、1箇所の大径部分42aに係合した容器保持部48が外方へ押し出されて樹脂製ボトル4の外面から離れる。一方、その他の3本の容器保持部48は、開閉用カム42の同一半径部上に接しており、下端の爪部48aが樹脂製ボトル4のフランジ4cよりも下方の円筒部4eに当接してこの樹脂製ボトル4を保持している。4本の容器保持部48の回転に伴って、そのカムフォロア50が順次開閉用カム42の大径部42a上を通過し、容器保持部48が外方に押し広げられて樹脂製ボトル4の外面から離れる。このように電子線照射エリアA内で、4本の容器保持部48が少なくとも一回は、樹脂製ボトル4の外面から離れるようにしたので、樹脂製ボトル4の全面に電子線が当たらない部分がなくなり、全面を完全に殺菌することができる。なお、この実施例では、容器保持部48を回転させているので、樹脂製ボトル4を回転させることができ、樹脂製ボトル4の全周を殺菌することが可能であるが、容器保持部48を回転させず、開閉用カム42を回転させるようにすることもできる。
【0025】
なお、この実施例では、容器保持部48の数を4本としたが、5本以上とすることもでき、5本以上の容器保持部48を有していれば、3本で樹脂製ボトル4を保持し、その他の2本以上を同時に樹脂製ボトル4の外面から離すこともできる。また、4本以上の容器保持部48で同時に樹脂製ボトルを保持して、1本ずつ順に離すようにしても良いことはいうまでもない。また、この実施例では、殺菌媒体として電子線を用いたが、電子線に限らず、過酸化水素ガス等その他の殺菌媒体を用いた場合も同様の作用効果を奏することができる。
【実施例2】
【0026】
前記実施例では、グリッパ2の4本の容器保持部48を個々に開閉動作させる駆動手段として開閉用カム42を用いたが、カム以外の構成によって容器保持部48を樹脂製ボトル4から離隔するように動作させることもできる。図6は磁石を用いて前記容器保持部48を開閉動作させるようにした構成の一例を示すもので、第1実施例の開閉用カム42が設けられている位置に、リング状のマグネット部材142を配置する。このマグネット部材142には、一部142aにN極が設けられ、その他の部分142bはS極になっている。この実施例では、容器保持部48が4箇所に設けられているので、N極142aは、同時に2本の容器保持部48を離隔させないように90度未満の範囲に設けられている。一方、4本の容器保持部48には、前記リング状のマグネット部材142と対向する部分に、N極の磁石48aが取り付けられている。
【0027】
この実施例の構成では、マグネット部材142の周囲を容器保持部48が回転移動すると、マグネット部材142のN極の部分142aを通過する容器保持部48の磁石48aが、マグネット部材142と極性が一致するので反発して樹脂製ボトル4の外面から離れる。容器保持部48がS極の部分142bを通過している間は、容器保持部48の磁石48aが吸引されて樹脂製ボトル4の外面に当接してこの樹脂製ボトル4を保持する。また、図6に示す実施例では、リング状のマグネット部材142のN極142a以外の部分にS極142bを配置したが、N極の部分にだけ磁石を配置し、S極は配置しないようにすることもできる。この場合には、リング状マグネット部材の磁石が配置されていない部分は、容器保持部を吸引する磁力がないので、スプリング等によって容器保持部を常時閉方向に付勢しておく必要がある。
【実施例3】
【0028】
前記実施例では、4本の容器保持部48を、開閉用カム42によって一本ずつ順次樹脂製ボトル4から離し、常に3本の容器保持部48によって樹脂製ボトル4を保持するようにしているが、例えば、図7に示すように、各容器保持部248が幅広の容器当接部248aを有する構成にすれば、2本の容器保持部248で樹脂製ボトル4を保持し、同時に2本の容器保持部248を離すことも可能である。この場合には、図8に示すように、開閉用カム242の対称な位置に2箇所の突出した大径部242aを形成し、各容器保持部248のカムフォロア250がこれら大径部242a上を移動しているときに、対向する2つの容器保持部248がほとんど同時に樹脂製ボトル4から離れるようにすることにより、対向する2つの容器保持部248を1組として、1組ずつ順次樹脂製ボトル4から離れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】グリッパの縦断面図である。(実施例1)
【図2】グリッパを備えた容器搬送装置を用いた電子線殺菌装置の全体の構成を簡略化して示す平面図である。
【図3】開閉用カムの平面図である。
【図4】入口ホイールおよび出口ホイールに設けられたネックグリッパの平面図である。
【図5】グリッパを回転させる回転手段のピニオンギヤおよびセクタギヤを示す平面図である。
【図6】容器保持部を開閉動作させるマグネット部材を示す平面図である。(実施例2)
【図7】容器保持部によって樹脂製ボトルを保持した状態を示す平面図である。(実施例3)
【図8】開閉用カムの平面図である。
【符号の説明】
【0030】
2 グリッパ
4 樹脂製ボトル
42 開閉用カム(駆動手段)
48 容器保持部
48a 容器保持部の磁石
50 係合部材(駆動手段)
54 ピニオンギヤ(回転手段)
56 セクタギヤ(回転手段)
66 カムフォロア(回転手段)
68 回転用カム(回転手段)
142 マグネット部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製ボトルに殺菌媒体を接触させて殺菌を行う殺菌装置に設けられ、前記樹脂製ボトルを保持するグリッパにおいて、
樹脂製ボトルの外面に当接する少なくとも4個の容器保持部と、これら容器保持部を樹脂製ボトルから個々に離隔させる駆動手段とを設け、
前記樹脂製ボトルの殺菌処理中に、少なくとも2個以上の容器保持部によって樹脂製ボトルを保持しつつ、全ての保持部を順次樹脂製ボトルから離隔させることを特徴とするグリッパ。
【請求項2】
前記駆動手段は、複数の容器保持部の中央に設けられたカムと、各容器保持部に設けられ、前記カムに係合する係合部材と、前記カムと容器保持部とを相対的に回転させる回転手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のグリッパ。
【請求項3】
前記駆動手段は、複数の容器保持部の中央に設けられるととともに、外周に磁石が埋め込まれたマグネット部材と、前記容器保持部に設けられた磁石と、前記マグネット部材と容器保持部とを相対的に回転させる回転手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のグリッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−126703(P2009−126703A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307377(P2007−307377)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】