説明

グリル用バーナ

【課題】スポット溶接用等の接合用突起内での接合位置がずれた場合でも当該保炎口部分で火炎が途切れることなく保炎口全域に火移り用火炎が形成され、主炎口への火移りが確実になされるグリル用バーナを提供する。
【解決手段】グリル用バーナ1は、板金製の上バーナ板2、下バーナ板3及び保炎板4をこの順で結合して、ガス通路13を形成するとともに主炎口15及び保炎口16を形成する。上記保炎板4のフランジ部43に並設した複数の接合用突起5を接合して保炎板4のフランジ部43を下バーナ板3のフランジ部33下面に配設して上記保炎口16をスリット状に形成し、上記下バーナ板3のフランジ部33の側端部33aには上記接合用突起5の接合位置に対応して切欠部6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にグリルの下火バーナとして用いられる板金製のグリル用バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のグリル用バーナとして、ガス通路形成用の樋状膨出部と炎口形成用のフランジ部とを有する板金製の上バーナ板、下バーナ板及び保炎板をこの順で結合して構成したものがある(特許文献1)。図7に示すように、このグリル用バーナ100は、上バーナ板102と下バーナ板103とによって各樋状膨出部間にガス通路113を形成するとともに各フランジ部123,133の側端部123a,133a間に上記ガス通路113と連通した主炎口115を形成している。また、下バーナ板103と保炎板104の各フランジ部143,133の側端部143a,133a間に上記ガス通路113と連通し主炎口115への火移り用火炎を形成する保炎口116を上記主炎口115の下部に形成している。この保炎板104のフランジ部143には接合用突起としてのスポット溶接用突起105を複数並設し、各スポット溶接用突起105をスポット溶接して保炎板104のフランジ部143を下バーナ板103のフランジ部133下面に接合することにより上記保炎口116を所定の上下幅dを有するスリット状に形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−54061号公報
【特許文献2】特開2010−63729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のグリル用バーナ100では、上記スポット溶接用突起105内におけるスポット溶接位置がフランジ部143の側端部143a寄りに位置ずれすると、そのスポット溶接の接合位置における保炎板104のフランジ部143の側端部143aが下バーナ板103のフランジ部133側へ変形して当該保炎口116部分の上下幅d’が狭くなる場合があった(図8参照)。この場合、上下幅d’が狭くなり過ぎた当該保炎口116部分においては火炎が形成されず、主炎口115の火移り不良となってしまう不具合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スポット溶接等を行うための接合用突起内における接合位置がずれた場合であっても、当該保炎口部分で火炎が途切れることなく保炎口全域に火移り用火炎が形成され、主炎口への火移りが確実になされるグリル用バーナを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るグリル用バーナは、
樋状膨出部と樋状膨出部から張り出したフランジ部とを有する板金製の上バーナ板、下バーナ板及び保炎板をこの順で結合して、上バーナ板と下バーナ板とにより各樋状膨出部間にガス通路を形成するとともに各フランジ部の側端部間に上記ガス通路と連通した主炎口を形成し、下バーナ板と保炎板の各フランジ部の側端部間に上記ガス通路と連通し上記主炎口への火移り用火炎を形成する保炎口を上記主炎口の下部に形成したグリル用バーナであって、
上記保炎板のフランジ部に並設した複数の接合用突起を接合して保炎板のフランジ部を下バーナ板のフランジ部下面に配設して上記保炎口をスリット状に形成し、
上記下バーナ板のフランジ部の側端部には上記接合用突起の接合位置に対応して切欠部を設けたものである。
【0007】
上記構成より、スリット状の保炎口の上下幅は、下バーナ板と保炎板の各フランジ部間の間隔に設定されるが、上記接合用突起の接合位置における保炎口部分は、上記切欠部によって下バーナ板のフランジ部の側端部が切り欠かれている。従って、上記各接合位置における保炎口部分の上下幅は、保炎板のフランジ部と上バーナ板のフランジ部との間の間隔となり、上記切欠部によって切り欠かれた下バーナ板のフランジ部の板厚分だけ上下幅が広くなっている。よって、上記接合用突起内におけるスポット溶接等の接合位置のずれによって当該接合位置における保炎板のフランジ部の側端部が下バーナ板のフランジ部側へ変形した場合でも、当該接合位置の保炎口部分の上下幅が極端に狭くならない。その結果、接合用突起の接合位置における保炎口部分でも火炎が確実に形成され、保炎口全域に火移り用火炎を形成することができる。
【0008】
また、接合用突起の接合位置における保炎口部分は、上記切欠部によって上下幅が広がることにより炎口面積が大きくなり、ガス及び空気の混合気の噴出速度が減速される減速炎口となる。従って、上記各接合位置の保炎口部分では保炎性能が向上されて保炎口付近で火炎が安定して保持される。
【0009】
上記各切欠部の切り込み幅は、保炎板の接合用突起の幅よりも広く設定されていることが望ましい。
これにより、接合用突起内における接合の位置ずれによって保炎板のフランジ部の側端部が下バーナ板のフランジ部側へ変形した場合であっても、当該接合位置の保炎口部分の上下幅の間隔を確実に確保することができる。
【0010】
上記各切欠部の切り込み奥行きは、保炎板の接合用突起の当接位置よりも側端部側に設定されていることが望ましい。
これにより、下バーナ板の切欠部が保炎板の接合用突起にオーバーラップすることがなく、保炎板の接合用突起が下バーナ板のフランジ部に確実に当接される。従って、接合用突起でのスポット溶接あるいはトックスカシメ等の接合が切欠部によって接合不良となることが防止され、保炎板のフランジ部と下バーナ板のフランジ部との結合を確実に行うことができる。
【0011】
また、複数の接合用突起のうちの一部は接合しない場合でも、接合しない接合用突起にも対応して上記切欠部を設けるのが望ましく、これにより、上述の火移り性能や保炎性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明に係るグリル用バーナによれば、接合用突起内での接合位置にばらつきが生じた場合であっても、各接合位置における保炎口部分の上下幅が上記切欠部によって確保され、当該接合位置の保炎口部分でも火炎形成を確実にすることができる。従って、点火時には保炎口全域に火移り用火炎が確実に形成され、主炎口への火移りを確実に行わせることができる。また、各接合位置の保炎口部分において保炎性能が向上され、点火後に不安定燃焼となることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態によるグリル用バーナを示す斜視図である。
【図2】実施の形態によるグリル用バーナを示す図であり、同図(A)は上面図であり、同図(B)は下面図である。
【図3】実施の形態によるグリル用バーナの分解斜視図である。
【図4】実施の形態によるグリル用バーナの内部構造を示す断面図であり、同図(A)は図1のA−A線断面図であり、同図(B)は図1のB−B線断面図である。
【図5】下バーナ板における切欠部を説明するための模式図である。
【図6】切欠部付近の保炎口部分を拡大した模式図である。
【図7】従来のグリル用バーナを示す斜視図である。
【図8】従来のグリル用バーナにおける保炎口部分を拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
実施の形態によるグリル用ガスバーナは、例えば、ガスコンロに備えたグリル(図示せず)の左右にそれぞれ配設する下火バーナとして使用される。図1、図2に示すように、このグリル用バーナ1は、外形が略長方形状のステンレス製板金材からなる上バーナ板2、下バーナ板3及び保炎板4の3枚の板材を重ね合わせて結合し、長手方向に直線状に延びて内部をガス通路13とする膨出体11と、一方の長辺側に開口した主炎口15及び保炎口16を形成するフランジ体12とが形成されている。膨出体11の基端は、ラッパ状に拡径した拡径部11aとなって開口しガス及び空気の混合気が導入されるガス吸入口17が設けられている。なお、主炎口15は、図示しないグリルの庫内中央を臨むように配置される。
【0015】
図3に示すように、上バーナ板2、下バーナ板3及び保炎板4は、直線状に延びた樋状膨出部21,31,41と、樋状膨出部21,31,41から側方に延設された前側フランジ部23,33,43及び後側フランジ部22,32,42とがプレス加工により形成されている。そして、上バーナ板2、下バーナ板3及び保炎板4を上からこの順に重ね合わせ、上バーナ板2の周縁に形成した折曲片8を折り曲げて下バーナ板3と保炎板4の周縁を抱き込んでかしめ加工することにより、上バーナ板2、下バーナ板3及び保炎板4を一体に結合させている(図2(B)も参照)。なお、各前側フランジ部23,33,43の中央域にはかしめ加工されず、上記の主炎口15及び保炎口16が形成される。また、上バーナ板2の先端側と基端側とに設けたバーリング孔9の起立片91を下バーナ板3及び保炎板4の先端側と基端側とに設けたかしめ孔39,49に通して、この起立片91を折り曲げてかしめ加工される(図2(B)も参照)。これにより、上バーナ板2、下バーナ板3及び保炎板4の先端側と基端側との密着性が向上しガス漏れが防止される。
【0016】
そして、図4に示すように、上バーナ板2と下バーナ板3とは、上バーナ板2の樋状膨出部21の凹部側と下バーナ板3の樋状膨出部31の凹部側とが対向するように配置され、保炎板4は、その樋状膨出部41の凹部内に下バーナ板3の樋状膨出部31を収容させるようにして下バーナ板3の下側に配置される。これにより、上バーナ板2と下バーナ板3の各樋状膨出部21,31の凹部間に囲まれた空間によりガス通路13が形成され、また、下バーナ板3の樋状膨出部31の凸部と保炎板4の樋状膨出部41の凹部とで囲まれた空間により保炎口16用の副ガス通路14が形成される。下バーナ板3の樋状膨出部31には、前側側面に複数の連通孔34(図3も参照)が形成されており、これら連通孔34を通じてガス通路13から副ガス通路14に混合気が導入される。
【0017】
また、上バーナ板2及び保炎板4における樋状膨出部21,41の基端の半割り拡径部21a,41a同士が結合された拡径部11aによりラッパ状のガス吸入口17が形成される(図1、図3参照)。下バーナ板3の樋状膨出部31の基端の半割り拡径部31aは、上バーナ板2及び保炎板4における半割り拡径部21a,41aよりも短く形成されており、この下バーナ板3における半割り拡径部31aの端部付近は、保炎板4の半割り拡径部41aに添設され、ガス吸入口17の開口端よりも内方に配置される(図1参照)。これにより、ガス吸入口17から供給された混合気がガス通路13側へ流れ込むようになり、また、副ガス通路14からガス吸入口17側に逆流した混合気がガス吸入口17でのガスインジェクション効果により再度ガス通路13に戻される。
【0018】
上バーナ板2の前側フランジ部23には、下バーナ板3の前側フランジ部33との対接面側を樋状膨出部21から側端部23aに達して凹ませた湾曲部24が長手方向に所定ピッチで複数形成されている(図3参照)。従って、上バーナ板2の前側フランジ部23と下バーナ板3の前側フランジ部33とを当接して重ね合わせることにより、各湾曲部24に対応して上バーナ板2と下バーナ板3の各前側フランジ部23,33の側端部23a,33a間にガス通路13と連通した複数の主炎口15が形成される(図4(B)参照)。
【0019】
保炎板4の前側フランジ部43には、先端側と基端側とに段差44が設けられるとともに、下バーナ板3側へ突出する複数のスポット溶接用突起(接合用突起)5が長手方向に並設され(図3参照)、各スポット溶接用突起5をスポット溶接にて接合して保炎板4の前側フランジ部43を下バーナ板3の前側フランジ部33の下面に配設させている。これにより、下バーナ板3及び保炎板4の各前側フランジ部33,43の側端部33a,43a間に主炎口15への火移り用火炎を形成する保炎口16が主炎口15の下部に形成される(図4(B)参照)。この保炎口16は、スポット溶接用突起5の高さ相当(下バーナ板3と保炎板4の各前側フランジ部33,43間の間隔)の上下幅dを有するスリット状に形成される(図6、図1中の拡大図参照)。
【0020】
また、保炎板4におけるスポット溶接用突起5の各々は、上バーナ板2の前側フランジ部23に対して主炎口15を形成するための各湾曲部24間に配置される(図1中の拡大図、図5参照)。これにより、上記スポット溶接により上バーナ板2の前側フランジ部23も下バーナ板3の前側フランジ部33に接合されるので、各湾曲部24間において上バーナ板2と下バーナ板3の各前側フランジ部23,33同士が隙間なく密着され、各湾曲部24により主炎口15を安定且つ確実に形成することができる。
【0021】
ところで、各スポット溶接用突起5は、保炎板4の前側フランジ部43の側端部43aよりも幅方向内方に配置されているので、スポット溶接前は、保炎板4の前側フランジ部43の側端部43a付近は真っ直ぐ平坦になっている。ところが、スポット溶接加工のばらつきによりスポット溶接位置がスポット溶接用突起5内において側端部43a寄りにずれると、そのスポット溶接の接合位置における保炎板4の前側フランジ部43の側端部43aが下バーナ板3の前側フランジ部33側へ変形して当該保炎口16部分の上下幅dが狭くなり(図8の上下幅d’参照)、上下幅d’が狭くなり過ぎた当該保炎口16部分においては火炎が形成されず、主炎口15への火移り不良となってしまう場合があった。
【0022】
そこで、その対策として、図5に示すように、保炎板4の各スポット溶接用突起5の形成位置(スポット溶接の各接合位置)に対応して、下バーナ板3の前側フランジ部33の側端部33aの部分を略長方形状に切り欠いた切欠部6が設けられる。これにより、保炎口16の上下幅dは、下バーナ板3と保炎板4の各前側フランジ部33,43間の間隔に設定されるが、図6及び図4(A)に示すように、上記切欠部6によって下バーナ板3の前側フランジ部33の側端部33aが切り欠かれることにより、上記各接合位置における保炎口16部分では、上下幅d1が保炎板4と上バーナ板2の各前側フランジ部43,23間の間隔となり、上記切欠部6によって切り欠かれた下バーナ板3の前側フランジ部33の板厚分だけ上下幅d1が広くなる。従って、図6中の点線で示すように、上記スポット溶接の位置ずれによって当該接合位置における保炎板4の前側フランジ部43の側端部43aが下バーナ板3の前側フランジ部33側へ変形した場合でも、当該接合位置の保炎口16部分の上下幅d1が極端に狭くならないようにすることができる。
【0023】
例えば、保炎口16の上下幅dの設計値が0.8mmとした場合、保炎板4の前側フランジ部43が変形して保炎口16の上下幅が火炎形成限界幅である0.5mm以下となると、その保炎口16部分で火炎が形成されないおそれがある。従って、この場合、保炎板4の前側フランジ部43の変形許容範囲は、0.3mm未満となる。これに対して、下バーナ板3の前側フランジ部33に上記切欠部6を設けることにより、上記各接合位置における保炎口16部分の上下幅d1は、保炎板4と上バーナ板2の各前側フランジ部43,23間の間隔である1.2mmとなり、下バーナ板3の前側フランジ部33の板厚分の0.4mmだけ広くなる。従って、保炎板4の前側フランジ部43の変形許容範囲は、0.7mm未満となり、切欠部6を設けることにより変形許容範囲が広くなる。その結果、上記スポット溶接位置が側端部43a寄りに位置ずれしても、保炎板4の前側フランジ部43が0.7mm以上変形して保炎口16上下幅d1が火炎形成限界幅の0.5mm以下となることはほとんどなく、スポット溶接の加工ばらつきに対応可能なグリル用バーナ1となる。
【0024】
また、各切欠部6の切り込み幅は、保炎板4のスポット溶接用突起5の幅よりも広く設定され(図5、図6参照)、その両側の主炎口15を形成する上バーナ板2の各湾曲部24と重なり合わない範囲内で適宜に設定される。これにより、スポット溶接の接合位置における保炎板4の前側フランジ部43の側端部43aが変形しても、当該接合位置の保炎口16部分の上下幅dの間隔を確実に確保することができる。その結果、スポット溶接の各接合位置における保炎口16部分でも火炎が確実に形成され、保炎口16全域に火移り用火炎を形成することができる。なお、各切欠部6は、側端部33a側の角部がR状に加工されており(図5参照)、切り込み幅が側端部33aへ向かって広くなっている。
【0025】
また、各切欠部6の切り込み奥行きは、保炎板4のスポット溶接用突起5の当接位置よりも側端部33a側に設定される(図5参照)。例えば、各切欠部6は、側端部33aから保炎板4におけるスポット溶接用突起5の形成位置近くまで切り込まれる。これにより、下バーナ板3における切欠部6が保炎板4におけるスポット溶接用突起5とオーバーラップすることがなく、保炎板4のスポット溶接用突起5が下バーナ板3の前側フランジ部33に確実に当接される。従って、スポット溶接用突起5でのスポット溶接が切欠部6によって接合不良となることが防止され、保炎板4の前側フランジ部43が下バーナ板3の前側フランジ部33に確実に接合される。
【0026】
以上の構成のグリル用バーナ1によれば、スポット溶接用突起5内でスポット溶接位置が側端部43a側へ位置ずれした場合であっても、スポット溶接の各接合位置における保炎口16部分の上下幅d1の間隔が上記切欠部6によって確保されているので、当該接合位置の保炎口16部分でも確実に火炎形成される。従って、点火時には保炎口16全域に火移り用火炎が形成され各主炎口15への火移りを確実に行わせることができる。
【0027】
また、スポット溶接の各接合位置における保炎口16部分は、上記切欠部6によって上下幅d1が広がることにより炎口面積が大きくなり、また、切欠部6の切り込み幅も側端部33aへ向かって広くなっているので、ガス及び空気の混合気の噴出速度が減速される減速炎口となる。従って、上記各接合位置の保炎口16部分での保炎性能が向上されて保炎口16付近(保炎板4と下バーナ板3の各前側フランジ部43,33の側端部43a,33a付近)での火炎形成が安定して保持され、点火後に保炎口16での火移り用火炎が不安定燃焼となることもない。
【0028】
また、下バーナ板3における各切欠部6は、各主炎口15間に配置されており、主炎口15とは重複しないので、切欠部6での保炎口16の火移り用火炎が主炎口15の火炎と干渉することはない。そして、保炎板4の前側フランジ部43には、主炎口15位置との対応位置における幅方向略中間位置に下バーナ板3の前側フランジ部33側へ突出する突起7が設けられている(図1中の拡大図、図4(B)、図5、図6参照)。この突起7の高さは、保炎口16の上下幅と略同一に設定される。これにより、主炎口15と対向する領域の保炎口16部分では突起7によって火移り用火炎が左右に分流され、保炎口16の火移り用火炎が主炎口15の火炎と干渉することが防止され、各主炎口15の火炎が上下に肥大化することが防止される。従って、このグリル用バーナ1をグリルの下火バーナとして使用するときには、各主炎口15の火炎が上下に肥大化して下火バーナ上方の空気取入口からの二次空気の導入を妨げることはなく、二次空気により各主炎口15より形成される火炎の熱気がグリル庫中央まで送り込まれるようになる。よって、グリルの下火バーナとして好ましいグリル用バーナ1が得られる。
【0029】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されず、適宜に変更を施すことが可能である。
例えば、グリル用バーナ1は、各スポット溶接用突起5の全てを溶接しなくてもよく、上バーナ板2、下バーナ板3及び保炎板4の密着性が十分に得られるのであれば、スポット溶接を1ヶ所おきに設けるようにしてもよい。この場合、スポット溶接の回数を削減でき、その分コストを低減することができる。また、このとき、スポット溶接をしないスポット溶接用突起5においても、対応する位置に切欠部6を設けてもよい。これにより、切欠部6によって上述の火移り性能や保炎性能を向上させることができる。
また、スポット溶接用突起5とした接合用突起には、スポット溶接に代えてトックスカシメにより接合するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 グリル用バーナ
2 上バーナ板
3 下バーナ板
4 保炎板
5 スポット溶接用突起(接合用突起)
6 切欠部
11 膨出体
11a 拡径部
12 フランジ体
13 ガス通路
14 副ガス通路
15 主炎口
16 保炎口
17 ガス吸入口
21,31,41 樋状膨出部
22,32,42 後側フランジ部
23,33,43 前側フランジ部
23a,33a,43a 側端部
d 保炎口の上下幅
d1 保炎口の上下幅(切欠部と対応した保炎口部分)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
樋状膨出部と樋状膨出部から張り出したフランジ部とを有する板金製の上バーナ板、下バーナ板及び保炎板をこの順で結合して、上バーナ板と下バーナ板とにより各樋状膨出部間にガス通路を形成するとともに各フランジ部の側端部間に上記ガス通路と連通した主炎口を形成し、下バーナ板と保炎板の各フランジ部の側端部間に上記ガス通路と連通し上記主炎口への火移り用火炎を形成する保炎口を上記主炎口の下部に形成したグリル用バーナであって、
上記保炎板のフランジ部に並設した複数の接合用突起を接合して保炎板のフランジ部を下バーナ板のフランジ部下面に配設して上記保炎口をスリット状に形成し、
上記下バーナ板のフランジ部の側端部には上記接合用突起の接合位置に対応して切欠部を設けたグリル用バーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のグリル用バーナにおいて、
上記各切欠部の切り込み幅は、保炎板の接合用突起の幅よりも広く設定されているグリル用バーナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のグリル用バーナにおいて、
上記各切欠部の切り込み奥行きは、保炎板の接合用突起の当接位置よりも側端部側に設定されているグリル用バーナ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリル用バーナにおいて、
複数の接合用突起のうちの接合しない一部の接合用突起にも対応して上記切欠部を設けたグリル用バーナ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−13327(P2012−13327A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151012(P2010−151012)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】