説明

グルカゴン受容体アンタゴニスト、並びにその調製及び治療への使用

本発明では式Iの新規な化合物又はその薬理学的に許容できる塩類(グルカゴン受容体アンタゴニスト又は逆アゴニスト活性を有する)、並びにかかる化合物の調製方法を開示する。他の実施形態として、本発明では式Iの化合物を含んでなる医薬組成物、並びにそれらを使用した糖尿病及び他のグルカゴンが関連する代謝異常などを治療する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)本願は、2005年11月23日に出願された米国仮特許出願第60/739692号の優先権を主張する。
【0002】
本発明はグルカゴン受容体のアンタゴニスト若しくは逆アゴニストである化合物、それを含む医薬品組成物、並びにヒト若しくは動物の身体の治療への、当該化合物及び組成物の使用に関する。本発明の化合物は、グルカゴン受容体への高い親和性及び選択的な結合を示すため、グルカゴン受容体の調節に反応した障害(例えば糖尿病及び他のグルカゴンに関連する代謝異常など)の治療において、有用である。
【背景技術】
【0003】
グルカゴンは、インシュリンと協同して血糖値の恒常性の調節に関与する、鍵となるホルモン物質である。グルカゴンは主に、血糖レベルが減少したとき、特定の細胞(これらの中で肝細胞が重要)を刺激してグルコースを放出させる機能を有する。グルカゴンは、血糖レベルが上昇した際にグルコースを取り込んで保持するように細胞を刺激するインシュリンとは反対の機能を果たす。グルカゴン及びインシュリンはペプチドホルモンであり、グルカゴンは膵臓のα小島細胞において産生され、一方インシュリンはβ小島細胞において産生される。
【0004】
グルカゴンはその受容体(7回膜貫通型のGタンパク質共役受容体ファミリーのグルカゴン−セクレチン分岐のメンバーである)と結合し、活性化させる機能を有する。該受容体は、アデニリルシクラーゼの第二メッセンジャー系を活性化させ、cAMP濃度の増加をもたらすことによりその機能を果たす。グルカゴン受容体又は該受容体の天然変異体は、in vivo並びにin vitroにおいても固有の構成的な活性(すなわちアゴニストの非存在下での活性)を有すると考えられる。逆アゴニストとして作用する化合物はこの活性を阻害できる。
【0005】
糖尿病はグルコース代謝に関係する一般的な障害である。該疾患は高血糖症が特徴であるインシュリン依存型の1型糖尿病、又は非インシュリン依存性が特徴である2型糖尿病に分類できる。1型糖尿病に罹患している被験者は高血糖及び低インシュリン活性が特徴であり、インシュリン投与がこのタイプの疾患の従来の治療法である。しかしながら、一部の1型又は2型糖尿病患者では、絶対的又は相対的に高いグルカゴンレベルによって、高血糖状態となることが示されている。すなわち、健常の対照動物、並びに1型及び2型糖尿病のモデル動物で、選択的及び特異的な抗体により循環するグルカゴンを除去した結果、血糖レベルの減少が生じる。グルカゴン受容体を欠失(ホモ型)するマウスではグルコース耐性が増強される。また、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるグルカゴン受容体発現の阻害により、db/dbマウスの糖尿病の症状が改善される。これらの知見は、グルカゴンを抑制又はアンタゴナイズする作用が、糖尿病患者の高血糖症の従来の治療に有用であることを示唆するものである。グルカゴンの作用は、アンタゴニスト又は逆アゴニスト(すなわち、グルカゴン受容体が媒介する構造的な(又はグルカゴンにより誘発された)反応を抑制又は阻害する物質)の提供により抑制できる。
【0006】
幾つかの刊行物において、グルカゴンアンタゴニストとして作用するとされるペプチドが開示されている。ペプチドホルモンに対するペプチドアンタゴニストの作用は通常強力であるが、それらはin vivoで生体内の酵素により分解されて十分に分布しないため、経口的に使用できないことが一般に知られている。したがって、経口的に利用できるペプチドホルモンに対する非ペプチドアンタゴニストが通常は好ましい。
【0007】
近年多くの刊行物において、グルカゴン受容体上で作用する非ペプチド物質が報告されている。例えば、特許文献1及び2、並びに非特許文献1では各々、グルカゴン受容体アンタゴニスト活性を有する非ペプチド化合物を開示している。グルカゴンに関連する疾患の治療方法が数多く存在するにもかかわらず、現行の治療では幾つかの課題点が存在し、例えば特定の患者集団における不十分又は不完全な有効性、許容できない副作用及び逆作用などが挙げられる。
【特許文献1】国際公開第2004/002480号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2003/048109号パンフレット
【非特許文献1】Kurukulasuriyaら、“Biaryl amide glucagon receptor antagonists” Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,vol.14,no.9,pages 2047−2050,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
すなわち、グルカゴン受容体活性を調節して、グルカゴン受容体を調節することが有効である疾患を処理するための代替的若しくは改良された医薬品の使用に基づく、改良された治療方法に対するニーズが今なお存在する。本発明は、新規な化合物群がグルカゴン受容体に対する高い親和性、及び選択的、強力な阻害活性を有するという発見に基づき、従来技術に対する解決手段とするものである。本発明は特定の構造及びそれらの作用を特徴とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式Iで表される構造を有する化合物、
【化1】

(I)
又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関する。
式中、R1及びR2は独立に水素又はハロゲンであり、
R3は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル基、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル基又は(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル基(任意に−1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は独立に水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、−CN、−(C−C)アルコキシ基、−(C−C)アルケニル基又は−(C−C)アルキル基(任意に、1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化2】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に水素、ハロゲン、−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシル基、−(C−C)シクロアルキル基、−C(O)R10基、−COOR10基、−OC(O)R10基、−OS(O)R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)R10又は−O(C−C)アルケニル基であり、
R9は独立に水素、ハロゲン、−CN、−(C−C)シクロアルキル基、−C(O)R10、−COOR10、−OC(O)R10、−OS(O)R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)R10又は−O(C−C)アルケニル基、−(C−C)アルコキシ基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)若しくは−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R10は各々独立に水素又は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0010】
本発明は、グルカゴン受容体アンタゴニスト又は逆アゴニストとして有用である化合物及び医薬組成物の提供に関する。本発明は更に、GLP−1受容体よりもグルカゴン受容体に選択的なアンタゴニスト又は逆アゴニストである化合物の提供に関する。本発明は、式I(又はその薬理学的に許容できる塩)、並びに薬理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を含んでなる医薬組成物の提供に関する。本発明は更に、これらの化合物及び医薬組成物の使用、例えば糖尿病及びグルカゴン関連の代謝障害などの、グルカゴン受容体の変調に感受性の障害の治療への使用の提供に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
一実施態様では、本発明は本明細書に記載の式Iの化合物の提供に関する。本発明に記載の化合物の全てが有用であるが、具体的な化合物に関しては特に興味深く、また好適である。以下に好ましい化合物群を幾つか示す。また本明細書に記載のように、あるリスト中の各々を他のリストのものと組み合わせて更なる好ましい実施態様の群を構成してもよいことが理解できる。
【0012】
他の実施形態では、本発明は式Iの化合物の提供に関する。詳細には、
式中、R1及びR2は水素であり、
R3は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル基、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル基又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は独立に水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化3】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に水素、ハロゲン、−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルコキシル基であり、
R9は独立に水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0013】
他の実施形態では、本発明は式Iの化合物の提供に関する。詳細には、
式中、R1及びR2は水素であり、
R3は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル基、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル基又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は独立に水素、ハロゲン又は−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化4】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に水素、又はハロゲンであり、
R9は独立に−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0014】
他の実施形態では、本発明は式Iの化合物の提供に関する。詳細には、
式中、R1及びR2は水素であり、
R3は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル基、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル基又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、各々はR6が結合するフェニル環上のR6に隣接する部位を占め、
R6は
【化5】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は水素であり、R9は独立に−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0015】
他の実施形態では、本発明は式Iの化合物の提供に関する。詳細には、
式中、R1及びR2は独立して水素又はハロゲンであり、
R3はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−メチルプロピル基、3−メチルブチル基、tert−ブチル基、4−メチルペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基であり、
R4及びR5は独立して水素、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、ペンチル基、イソプロポキシ基、クロロ基、フルオロ基、ブロモ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、−CN、メトキシ基、ヒドロキシメチル基、4−メチルペンチルオキシ基又はペンチルオキシ基であり、
R7及びR8は独立して水素、フルオロ基、クロロ基、メチル基、エチル基、ペンチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、アセチル基、2−メチルプロピル基、メトキシ基、シクロヘキシル基又はトリフルオロメトキシ基であり、
R9は水素、ブロモ基、フルオロ基、メチル基、tertブチル基、トリフルオロメチル基又はイソプロピル基である。
【0016】
本発明の他の実施態様として、本明細書の上記の実施態様の各々を以下のような更に好ましい態様に限定したものを示す。具体的には、下記の好ましい態様の各々は、上記の実施態様を各々独立に組み合わせたものであり、その具体的な組合せにより他の実施態様が提供され、それは示される変動要素が好適な態様として更に限定されたものとなる。
【0017】
好ましくは、R1は水素である。好ましくは、R1はフッ素である。好ましくは、R1は塩素である。好ましくは、R2は水素である。好ましくは、R2はフッ素である。好ましくは、R2は塩素である。好ましくは、R1及びR2は水素である。好ましくは、R1はフッ素であり、R2はフッ素である。
【0018】
好ましくは、R3は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、R3はエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−メチルプロピル基、4−メチルペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基又は、4,4,4−トリフルオロブチル基である。好ましくは、R3はイソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−メチルプロピル基、4−メチルペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、3−トリフルオロプロピル基又は4,4,4−トリフルオロブチル基である。好ましくは、R3はイソプロピル基、3−メチルブチル基、トリフルオロプロピル基又は4,4,4−トリフルオロブチル基である。
【0019】
好ましくは、R3は−(C−C)シクロアルキル基である。好ましくは、R3はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。好ましくは、R3はシクロプロピル基である。好ましくは、R3はシクロブチル基である。好ましくは、R3はシクロペンチル基である。好ましくは、R3はシクロヘキシル基である。
【0020】
好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル基である。好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル基である。好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−シクロプロピル基である。好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−シクロブチル基である。好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−シクロペンチル基である。好ましくは、R3は−(C−C)アルキル−シクロヘキシル基である。
【0021】
好ましくは、R3は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、R3は−シクロプロピル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、R3は−シクロブチル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、R3は−シクロペンチル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、R3は−シクロヘキシル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0022】
好ましくは、R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、R4は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル基(任意に、1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、R4は水素、ハロゲン又は−CHである。好ましくは、R4は水素である。好ましくは、R4はフッ素、塩素又は臭素である。好ましくは、R4は−CHである。
【0023】
好ましくは、R5は水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、R5は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、R5は水素、ハロゲン又は−CHである。好ましくは、R5は水素である。好ましくは、R5はフッ素、塩素又は臭素である。好ましくは、R5はCHである。
【0024】
好ましくは、R4及びR5は水素である。好ましくは、R4はハロゲンであり、R5は水素である。好ましくは、R4は水素であり、R5はCHである。好ましくは、R4及びR5はCHである。好ましくは、R4及びR5はCHであり、その各々はR6が結合するフェニル環上のR6に隣接する位置を占める。
【0025】
好ましくは、R7はハロゲン、−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシル基、−(C−C)シクロアルキル基、−C(O)R10、−COOR10、−OC(O)R10、−OS(O)R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)R10又は−O(C−C)アルケニル基である。好ましくは、R7はハロゲン、−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルコキシル基である。好ましくは、R7は水素又はハロゲンである。好ましくは、R7は水素である。
【0026】
好ましくは、R8はハロゲン、−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシル基、−(C−C)シクロアルキル基、−C(O)R10、−COOR10、−OC(O)R10、−OS(O)R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)R10又は−O(C−C)アルケニル基である。好ましくは、R8はハロゲン、−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルコキシル基である。好ましくは、R8は水素又はハロゲンである。好ましくは、R8は水素である。好ましくは、R7は水素であり、R8は水素である。
【0027】
好ましくは、R9は−(C−C)アルキル基(任意に、1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、R9はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、3−メチルブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、3,3−ジメチルブチル基、2−メチルプロピル基、4−メチルペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、3−トリフルオロプロピル基又は4−トリフルオロブチル基である。好ましくは、R9はイソプロピル基、tert−ブチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0028】
好ましくは、R7は水素であり、R8は水素であり、R9はイソプロピル基、tert−ブチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0029】
好ましくは、R10は各々独立に−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0030】
本発明の他の実施形態としては、式X1からX11の化合物が挙げられる。本発明の他の実施形態は、本願明細書に記載されている全ての新規な中間調製物であり、それらは式Iの化合物、又はX1からX11に係るグルカゴン受容体アンタゴニスト又は逆アゴニストの調製にとり有用である。
【0031】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0032】
グルカゴン受容体と相互作用するため、グルカゴン受容体との相互作用が有益である一般的な症状及び障害の治療において、本発明の化合物は有用である。これらの障害及び症状は「糖尿病性及びその他のグルカゴン関連の代謝異常」として本明細書にて定義する。当業者であれば「糖尿病及び他のグルカゴン関連の代謝異常」を、障害の病態生理学又は障害への恒常性反応のいずれにおける、グルカゴン受容体により媒介されるシグナリングに関連するものとして同定できる。このように、本発明の処理と関連した不必要な副作用の1つ以上を減少及び/又は除去する一方で、例えば内分泌系、中枢神経系、末梢神経系、心臓血管系、肺系及び胃腸系の疾患又は症状又は関連する徴候又は後遺症の予防、治療又は軽減するための該化合物の使用が考えられる。「糖尿病及び他のグルカゴン関連の代謝異常」としては、限定はされないが、糖尿病、高血糖症、高インシュリン症、β細胞休息、第1相応答の復元によるβ細胞機能の向上、食事の高血糖症、アポトーシス防止、空腹時血糖異常(IFG)、メタボリックシンドローム、低血糖症、高/低カリウム血症、正常化グルカゴン濃度、改善したLDL/HDL比率、間食の減少、摂食障害、体重減少、多嚢胞卵巣症候群(PCOS)、糖尿病の結果としての肥満、成人の潜在的な自己免疫性糖尿病(LADA)、インスリン炎、小島移植、小児性糖尿病、妊娠糖尿病、遅発性糖尿病合併症、低/高蛋白尿、腎症、網膜症、神経障害、糖尿病による足潰瘍、グルカゴン投与による腸運動の低下、短小腸症候群、下痢止め、胃液分泌の増加、血流量減少、勃起障害、緑内障、手術後侵襲、虚血の後の血流の再潅流により生じる器官組織損傷の改善、虚血心傷害、心不全、うっ血性心不全、脳卒中、心筋梗塞、不整脈、早死、抗アポトーシス、創傷治癒、糖耐性(IGT)、インスリン抵抗性症候群、X症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、高脂血症、異脂肪血症、過トリグリセリド血症、リポ蛋白過剰血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化を含む動脈硬化症、グルカゴノーマ、急性膵炎、心臓血管疾患、高血圧、心臓肥大症、胃腸の障害、肥満、肥満の結果としての糖尿病、糖尿病性異脂肪血症などが挙げられる。
【0033】
更に本発明は式Iの化合物若しくはその薬理学的に許容できる塩、又は式Iの化合物若しくはその薬理学的に許容できる塩及び薬理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を含んでなる医薬組成物の、グルカゴン受容体の阻害のための、哺乳類のグルカゴン受容体が媒介する細胞応答を阻害するための、哺乳類における血糖を減少させるための、過剰なグルカゴンに起因する疾患を処理するための、哺乳類における糖尿病及び他のグルカゴン関連代謝異常における、及び糖尿病、肥満、高血糖症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、脳卒中、神経障害及び創傷治癒の治療のための使用に関する。すなわち本発明の使用及び方法には、式Iの化合物の予防及び治療的な投与が包含される。
【0034】
更に本発明は式Iの化合物若しくはその薬理学的に許容できる塩の、グルカゴン受容体を阻害する薬剤の製造のための、哺乳類におけるグルカゴン受容体が媒介する細胞反応を阻害する薬剤の製造のための、哺乳類における血糖レベルを減少させるための薬剤の製造のための、過剰なグルカゴンに起因する疾患を処理するための薬剤の製造のための、哺乳類における糖尿病及び他のグルカゴン関連代謝異常の治療用の薬剤の製造のための、及び糖尿病、肥満、高血糖症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、脳卒中、神経障害の治療及び創傷の治療用薬剤の製造のための使用に関する。
【0035】
更に本発明は、哺乳類の過剰なグルカゴンから生じる症状の治療方法、哺乳類のグルカゴン受容体の阻害方法、哺乳類のグルカゴン受容体が媒介する細胞反応の阻害方法、哺乳類の血糖レベルの低下方法、哺乳類の糖尿病及び他のグルカゴン関連の代謝異常の治療方法、並びに糖尿病、肥満、高血糖症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、脳卒中、神経障害の治療及び創傷治癒方法であって、かかる治療を必要とする哺乳類に、式Iの化合物若しくはその薬理学的に許容できる塩、又は式Iの化合物若しくはその薬理学的に許容できる塩及び薬理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を含んでなる医薬組成物を、グルカゴン受容体を阻害するのに十分な量で投与することを含んでなる方法の提供に関する。
【0036】
更に本発明は、グルカゴン受容体の阻害のための使用に適する、グルカゴン受容体が媒介する細胞反応の阻害のための使用に適する、哺乳類の血糖レベルの低下のための使用に適する、哺乳類の糖尿病性及び他のグルカゴン関連の代謝異常の治療のための使用に適する、糖尿病、肥満、高血糖症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、脳卒中、神経障害の予防若しくは治療、並びに創傷治癒のための使用に適する、式Iの化合物若しくはその薬理学的に許容できる塩、並びに薬理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を含んでなる医薬組成物に関する。
【0037】
本発明の化合物又は塩の使用により更に、グルカゴン受容体に欠陥を有する患者の同定するための診断薬、並びに、胃酸分泌を増加させ、グルカゴン投与による腸の低蠕動を好転させるための治療薬が提供される。本発明はまた、グルカゴンをアンタゴナイズする作用が有益である障害又は疾患の治療方法の提供に関し、当該方法は、有効量の本発明の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる。本発明の他の一実施例において、現在の化合物がいかなるグルカゴンにより媒介される状況及び疾患のも治療のための薬剤の準備のために用いられる。本発明の他の一実施例において、現在の化合物が高血糖症の治療のための薬剤の準備のために用いられる。本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物を用いて哺乳類の血糖値を低下させるための薬剤を調製する。本発明の化合物は絶食時及び食後段階の両方における血糖値を低下させる場合に有効である。本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物を用いてIGT治療用の医薬組成物を調製する。本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物を用いて2型糖尿病の治療用の医薬組成物を調製する。本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物を用いてIGTから2型糖尿病への進行を遅らせ、又は抑止するための医薬組成物を調製する。本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物を用いてインスリン非依存性2型糖尿病からインスリン依存性2型糖尿病への進行を遅らせ又は抑止するための医薬組成物を調製する。本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物を用いてI型糖尿病の治療用の医薬組成物を調製する。かかる治療は通常インスリン療法を伴う。更に本発明の別の実施例において、現在の化合物が肥満の処置のための医薬品組成物の準備のために用いられること。まだ本発明の別の実施例において、現在の化合物が、脂質代謝の障害の治療のための医薬品組成物の準備のために用いられる。本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物を用いて食欲の制御又はエネルギー消費に関する疾患の治療用の医薬組成物を調製する。本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物による患者の治療は食餌療法及び/又は運動療法と組み合わされる。
【0038】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物は1つ以上の更なる活性物質と任意の適当な比率で組み合わせて投与される。こなどの活性物質は例えば抗糖尿病剤、抗肥満剤、抗高圧剤、糖尿病、又は糖尿病に関連した合併症の治療用薬剤及び肥満に関連した合併症の治療用薬剤から選択してもよい。以下にグループの組合せをいくつか列挙する。当然のことながら、以下に指定される薬剤の各々と他に指定される薬剤によって、組合せを増やしてもよい。
【0039】
本発明の更なる実施形態では、一種以上の抗糖尿病剤と併用して本発明の化合物を投与してもよい。
【0040】
適当な抗糖尿病剤にはインスリン、インスリンアナログ及び誘導体、(例えばNεB29−テトラデカノイルdes(B30)ヒトインスリン(欧州特許第792290号明細書(Novo Nordisk A/S)に開示)、AspB28ヒトインスリン(欧州特許第214826号明細書及び欧州特許第705275号明細書(Novo Nordisk A/S)に開示)、LysB28 ProB29ヒトインスリン(米国特許第5,504,188号明細書(Eli Lilly)に開示)、Lantus(登録商標)(欧州特許第368187号明細書(Aventis)に開示)が全て本明細書に援用される。)、GLP−1及びGLP−1誘導体(国際公開第98/08871号パンフレット(Novo Nordisk A/S)に開示、本明細書に援用される。)、その他、経口で活性のある血糖値低下剤などのインスリンアナログ及び誘導体が挙げられる。
【0041】
経口投与で有効な血糖降下剤としては、以下のものが包含される:イミダゾリン、スルホニルウレア、ビグアニド、メグリチニド、オキサジアゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、インシュリン増感剤、インシュリン分泌促進物質(例えばグリメピリド)、α−グルコシダーゼ阻害剤、及びβ−細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する物質(例えば国際公開第97/26265、国際公開第99/03861及び国際公開第00/37474(Novo Nordisk A/S)(本明細書に援用される)において開示されるようなカリウムチャネル開放物質、又はミチグリニド、又はカリウムチャネルブロッカー(例えばBTS−67582、ナテグリニド)、GLP−1アンタゴニスト、DPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼ−IV)阻害剤、PTPアーゼ(チロシンホスファターゼ)阻害剤、糖新生及び/又は糖原分解の刺激に関係する肝酵素阻害剤、グルコース取り込み調節因子(国際公開第00/58293号、国際公開第01/44216号、国際公開第01/83465号、国際公開第01/83478号、国際公開第01/85706号、国際公開第01/85707号及び国際公開第02/08209号(Hoffman−La Roche社)に開示されるもの、又は国際公開第03/00262号、国際公開第03/00267号及び国際公開第03/15774号(AstraZeneca社)(本明細書に援用される)において開示されるグルコキナーゼ(GK)の活性剤)、GSK−3(グリコゲン合成酵素キナーゼ−3)阻害剤、HMG CoA阻害剤(スタチン)などの抗脂質物質などの脂質代謝調節化合物、摂食を低下させる化合物、PPAR−α、PPAR−γ及びPPAR−δサブタイプを含むPPAR(ペルオキシソーム増殖剤で活性化する受容体)リガンド及びRXR(レチノイドX受容体)アゴニスト(例えばALRT−268、LG−1268又はLG−1069)。
【0042】
もう1つの実施形態では、本発明の化合物はインスリン又はNεB29−テトラデカノイルdes(B30)ヒトインスリン、AspB28ヒトインスリン、LysB28 ProB29ヒトインスリン、Lantus(登録商標)などのインスリンアナログ又は誘導体、又はこれらの1つ又はそれ以上からなる混合製剤と併用して投与される。
【0043】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物はグリベンクラミド、グリピジド、トルブタマイド、クロロパミデム、トラザミド、グリメプリド、グリカジド及びグリブリドなどのスルホニル尿素と併用して投与される。
【0044】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はビグアニド例えばメトルミンと併用して投与される。
【0045】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物はメグリチニド例えばレパグリニド又はナテグリニドと併用して投与される。
【0046】
本発明のなおもう1つの実施形態では、本発明の化合物はチアゾリジンジオンインスリン抵抗性改善薬例えばトログリタゾン、シグリタゾン、ピオリタゾン、ロシグリタゾン、イサグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、CS−011/CI−1037又はT174又は、本明細書に援用する国際公開第97/41097号パンフレット、国際公開第97/41119号パンフレット、国際公開第97/41120号パンフレット、国際公開第00/41121号パンフレット及び国際公開第98/45292号パンフレット(Dr. Reddy’s Research Foundation)に開示された化合物と併用して投与される。
【0047】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は、例えばGI262570、YM−440、MCC−555、JTT−501、AR水素039242、KRP−197、GW−409544、CRE−16336、AR水素049020、LY510929、LY510929、MBX−102、CLX−0940、GW−501516などのインスリン抵抗性改善薬と、又は、ラガグリタザール(NN 622又は(−)DRF 2725)(Dr. Reddy’s Research Foundation)などの国際公開第99/19313号パンフレット、国際公開第00/50414号パンフレット、国際公開第00/63191号パンフレット、国際公開第00/63192号パンフレット、国際公開第00/63193号パンフレット及び本明細書に援用する国際公開第00/23425号パンフレット、国際公開第00/23415号パンフレット、国際公開第00/23451号パンフレット、国際公開第00/23445号パンフレット、国際公開第00/23417号パンフレット、国際公開第00/23416号パンフレット、国際公開第00/63153号パンフレット、国際公開第00/63196号パンフレット、国際公開第00/63209号パンフレット、国際公開第00/63190号パンフレット及び国際公開第00/63189号パンフレット(Novo Nordisk A/S)に開示される化合物と併用して投与してもよい。
【0048】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物はα−グルコシダーゼ阻害剤、例えばボグリボース、ミグリトール又はアカルボースと併用して投与される。
【0049】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はβ−細胞のATP−依存性のカリウムチャネルに作用する薬剤、例えばトルブタマイド、グリベンクラミド、グリピジド、グリカジド、BTS−67582又はレパグリニドと併用して投与される。
【0050】
本発明の更に他の実施形態では、ナテグリニドと併用して本発明の化合物を投与してもよい。
【0051】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は抗脂血薬又は抗高脂血薬、例えばコレスチラミン、コレスチポル、クロフィブレート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、プロブコル、デキストロチロキシン、フェノフィブレート又はアトロバスチンと併用して投与される。
【0052】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は食物摂取を低下する化合物と併用して投与される。
【0053】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物は一種以上の上記化合物と併用して、例えば、メトホルミンとグリブライドなどのスルホニル尿素、スルホニル尿素とアカルボース、ナテグリニドとメトホルミン、レパグリニドとメトホルミン、アカルボースとメトホルミン、スルホニル尿素、メトホルミンとトログリタゾン、インスリンとスルホニル尿素、インスリンとメトホルミン、インスリン、メトホルミン及びスルホニル尿素、インスリンとトログリタゾン、インスリンとロバスタチン等と併用して投与される。
【0054】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物は一種以上の抗肥満剤又は食欲調整剤と併用して投与されてもよい。
【0055】
そのような薬剤は、以下の物質からなる群から選択してもよい:CART(コカイン、アンフェタミンで制御される転写産物ペプチド)アゴニスト、NPY(神経ペプチドY)アンタゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、MC3(メラノコルチン3)アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(副腎皮質刺激ホルモン放出因子)アゴニスト、CRF BP(副腎皮質刺激ホルモン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、CL−316243、AJ−9677、GW−0604、LY362884、LY377267、などのβ3アドレナリン作動性アゴニスト又はAZ−40140 MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、フルオキセチン、セロキサット又はシタロプラムなどのセロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤、混合セロトニン及びノルアドレナリン作動性化合物、5HT(セロトニン)アゴニスト、ビンベシンアゴニスト、ゲラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、プロラクチン又は胎盤性ラクトゲンなどの成長因子、成長ホルモン放出化合物、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)アゴニスト、UCP2又は3(脱共役タンパク質2又は3)モジュレーター(活性調節因子)、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、PPAR(ペルオキシソーム増殖因子応答性受容体)モジュレーター(活性調節因子)、RXR(レチノイドX受容体)モジュレーター(活性調節因子)、TR βアゴニスト、AGRP(アグーチ関連タンパク質)阻害剤、H3ヒスタミンアンタゴニスト、オピオイドアンタゴニスト(ナルトレキソンなど)、エクセジン−4、GLP−1及び繊毛神経栄養因子(アクソキンなど)、及びカンナビド受容体アンタゴニスト例えばCB−1(リモナバントなど)、UCP2又は3(脱カップリングタンパク質2又は3)調節因子、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、PPAR(ペルオキシソーム増殖剤により活性化される受容体)調節因子、RXR(レチノイドX受容体)調節因子、TRβアゴニスト、AGRP(アグーチ関連タンパク質)阻害剤、H3ヒスタミンアンタゴニスト、オピオイドアンタゴニスト(例えばナルトレキソン)、エキセンディン−4、GLP−1及びシリア線毛神経組織栄養因子(例えば軸畜牛)、カンナボイド受容体アンタゴニスト(例えばCB−1(例えばリモナバント)。他の実施形態では、抗肥満薬はデキサフェタミン又はアンフェタミンである。他の実施形態では、抗肥満薬はレプチンである。他の実施形態では、抗肥満薬はフェンフルラミン又はエクセフェンフルラミンである。更に他の実施形態では、抗肥満薬はシブトラミンである。更なる実施形態では、抗肥満薬はオルリスタットである。他の実施形態では、抗肥満薬はマジンドール又はフェンテルミンである。更に他の実施形態では、抗肥満薬はフェンジメトラジン、ジエチルプロピオン、フルオキチン、ブプロピオン、トピラメート又はエコピパムである。
【0056】
更に、本発明の化合物を一種以上の血圧降下剤と併用して投与してもよい。血圧降下剤の例としては、アルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール及びメトプロロールなどのβ−ブロッカー、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル及びラミプルなどのSCE(アンギオテンシン変換酵素)阻害剤、ニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼム及びベラパミルなどのカルシウムチャネルブロッカー、並びにドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン及びテラゾシンなどのα−ブロッカーが挙げられる。更にRemington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995を参照してもよい。
【0057】
本発明の化合物はFAS阻害剤と併用して投与してもよい。
【0058】
本発明の化合物は又化学脱共役剤、ホルモン感受性リパーゼ阻害剤、イミダゾリン類、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤、リポタンパク質リパーゼ活性化因子、AMPK活性化因子、免疫抑制剤、ニコチンアミド、ASIS、抗男性ホルモン、又はカルボキシペプチダーゼ阻害剤と併用して投与してもよい。
【0059】
当然のことながら、本明細書に記載の化合物は食餌及び/又は運動や、一種以上の上記化合物並びに任意に一種以上の他の活性物質との任意の適当な併用は本発明の範囲内にあるものと考える。
【0060】
本明細書に記載の化合物、組成物及び方法の記述に用いられる一般用語は通常の意味を有する。本明細書を通じて以下の用語は以下の意味を有する。「GLP−1」とはグルカゴン様ペプチド1を意味する。用語「グルカゴン受容体」は特異的にグルカゴンと相互作用する1つ以上の受容体であって結果的に生体シグナルを生じさせるものを意味する。「GLP−1受容体」という用語は生体信号に結果としてなるために特にグルカゴンなどのペプチド1と相互作用する1つ以上の受容体を意味する。
【0061】
用語「グルカゴン受容体アンタゴニスト」とはグルカゴン応答によるcAMP産生を阻害する能力を有する本発明の化合物として定義される。用語「グルカゴン受容体逆アゴニスト」とはグルカゴン受容体の構成的な活性を阻害する能力を有する本発明の化合物として定義される。用語「選択的な」アンタゴニスト又は逆アゴニストはGLP−1受容体への親和性と比較したグルカゴン受容体へのより大きな親和性を有する化合物を意味する。
【0062】
本発明の文書の一般の式において、一般の化学用語はそれらの通常の意味を有する。例えば、「ハロゲン」又は「ハロ」はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0063】
用語「アルキル」は特に指示されない限り、直鎖又は分枝した飽和構造の指定数の炭素原子を持つそれらアルキル基を指す。本発明の用語「(C−C)アルキル基」とは、1〜3の炭素原子数の置換基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、イソプロピル基など)、並びにその分岐型若しくは異性体のことを指し、任意に、1〜3個のハロゲン又は本願明細書記載の実施形態において定義される数の置換基により置換されてもよい。「(C−C)アルキル基」とは、1〜6の炭素原子数の置換基(メチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基など)、並びにその分岐型若しくは異性体のことを指し、任意に、1〜3個のハロゲン又は本願明細書記載の実施形態において定義される数の置換基により置換されてもよい。「(C−C)アルキル基」とは、1〜8の炭素原子数の置換基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、など)、並びにその分岐型若しくは異性体のことを指し、本願明細書に記載の実施形態において定義されるように1〜3個のハロゲンによって任意に置換されてもよい。
【0064】
用語「(C−C)シクロアルキル基」とは、3〜7の炭素原子数の、1つ以上の環を含んでなる、飽和若しくは部分的に飽和した炭素環のことを指す。(C−C)シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基が挙げられるが、これらに限定されない。「(C−C)シクロアルキル基」とは、3〜6の炭素原子数の、飽和した炭素環のことを指す。(C−C)シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
用語「(C−C)アルコキシル基」とは、1〜3の炭素原子数のアルキル基であって、酸素原子の架橋によって結合している基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基)のことを指す。用語「(C−C)アルコキシル基」とは、1〜6の炭素原子数のアルキル基であって、酸素原子の架橋によって結合している基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基)のことを指す。用語「(C−C)アルコシキ」とは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基など、酸素原子の架橋で結合している、1〜7の炭素原子数のアルキル基を指し、任意に3個のハロゲンで置換されてもよい。
【0066】
用語「(C−C)アルケニル基」とは、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ビニル、アルキル、2−ブテニル基のような、その炭素鎖に沿って任意の場所において少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分枝構造の、2〜7の炭素原子数の炭化水素鎖のことを指し、任意に本明細書に列挙される実施形態に記載されるハロゲン原子3個で置換されてもよい。
【0067】
本明細書に用いられる用語「任意に置換」又は「任意の置換基」とは、基が1つ以上の特定の置換基で置換されるか又は置換されないことを意味する。基が1つ以上の特定の置換基で置換される場合、それらの置換基は同一でも異なってもよい。更に、用語「独立して」、「独立して〜である」及び「独立して選択される」が用いられる場合、それらの基は同一でも異なってもよい。上記の定義済み用語の幾つかは二回以上同じ構造式で使用されてもよく、各用語はその使用ごとに他の用語と独立に定められる。
【0068】
用語「患者」には、ヒト及びペット(イヌ及びネコ等)並びに家畜動物などの非ヒト動物が包含される。家畜動物は、食用生産のために飼育される動物である。家畜動物又は反芻動物の例として、雌ウシ、雄ウシ、子ウシ、去勢した子ウシ、ヒツジ、バッファロー、バイソン、ヤギ、及びカモシカなどの反芻動物が挙げられる。家畜動物の他の例には、ブタ及びニワトリ、アヒル、七面鳥、並びにガチョウ等鳥類(家禽)が含まれる。家畜のなお他の例には養殖の魚類、貝類及び甲殻類が含まれる。ワニ、スイギュウ、及び走鳥類(例えば、エミュー、レア、又はダチョウ)等の食用生産に用いられる珍しい動物も包含される。治療を必要とする患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。
【0069】
用語「グルカゴン受容体が媒介する細胞応答」にはグルカゴン刺激又はグルカゴン受容体活性に対する哺乳動物細胞による種々の応答が包含される例えば、「グルカゴン受容体が媒介する細胞応答」には、これらに限定されないが、グルカゴン刺激又はグルカゴン受容体活性に応じた肝臓又は他の細胞からのグルコース放出が含まれる。当事者は、グルカゴン受容体活性が媒介する他の細胞の応答を、例えば上記細胞を有効用量のグルカゴンと接触させた後、応答性細胞の最終時点における変化を観察することによって、容易に確認できる。
【0070】
本明細書に用いられる用語「治療」、「処置する」及び「治療する」はそれらの一般的に容認される意味を包含し、即ち、本明細書に記載の病気、疾患又は病理的状態の進行又は重症化を防止、阻害、抑制、緩和、改善、緩慢化、停止、遅延又は逆転するための患者の管理及び看護を含み、症状又は合併症の緩和又は軽減、又はその病気、疾患又は病理的状態の治癒又は排除を包含する。
【0071】
「組成物」とは医薬組成物を意味し、1つ以上の式Iの化合物を含む有効成分、並びに担体を構成する1つ以上の非有効成分を含んでなる医薬生成物が包含される。したがって、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物と薬理学的に許容できる担体を混合して調製される組成物が包含される。
【0072】
「組成物」とは医薬組成物を意味し、1つ以上の式Iの化合物を含む有効成分、並びに担体を構成する1つ以上の非有効成分を含んでなる医薬生成物が包含される。
【0073】
用語「ユニットドーズの形態」とは被験者及び他の非ヒト動物に対する単位の薬用量として適切な物理的に個別の単位を意味し、各単位は適当な医薬担体との組み合わせで所望の治療効果を生じると計算された活性物質の所定量を含有する。
【0074】
本発明の化合物はキラルであってもよく、精製又は部分精製された任意の鏡像異性体も、又はラセミ体混合物も本発明の範囲内に包含されるものとする。更に、二重結合、又は完全又は部分飽和の環系、又は1つ以上の不斉中心、又は回転の制限された結合が分子内に存在する場合、ジアステレオマーが形成されうる。任意のジアステレオマーであっても、分離され、精製又は部分精製されたジアステレオマー又はそれらの混合物の場合、本発明の範囲内に含まれる。更に、本発明の化合物には異なる互変異性体状で存在する可能性があり、その化合物が形成し得る任意の互変異性体状も本発明の範囲内に含まれる。本発明には式Iの又互変異性体、鏡像異性体及び他の立体異性体が包含される。かかる変異は本発明の範囲内にあるものと考えられる。
【0075】
式Iの化合物は、ジアステレオマーの混合物として存在する場合、例えば適切な溶媒、例えばメタノール又は酢酸エチル又はそれらの混合液から分別結晶によって、鏡像異性体のジアステレオマー対に分離されうる。このようにして得られた鏡像異性体対は通常の手段により、例えば光学活性の酸を分割剤として用いて個々の立体異性体に分離することが可能である。別の方法として、式Iの化合物の何れかの鏡像異性体は、既知の立体配置の光学的に純粋な出発原料又は試薬を用いる立体特異的合成により、又は鏡像異性体特異的な合成により得ることが可能である。
【0076】
本明細書で用いられる用語「鏡像異性体富化」は、一方の鏡像異性体の量の、他方の鏡像異性体と比較しての増大を指す。達成された鏡像異性体富化を表現する簡便な方法は、鏡像異性体過剰率の概念、又は「ee」の概念であって、以下の式を用いて表される。
ee=(E−E)/(E+E)×100
式中、Eは第1の鏡像異性体の量であり、Eは第2の鏡像異性体の量である。このようにして、二つの鏡像異性体の第一の比がラセミ体混合物に存在するように50:50であり、かつ、70:30の最終比を生じるに十分な鏡像異性体富化が達成される場合、第1の鏡像異性体に関する上記ee(鏡像異性体過剰率)は40%である。しかしながら、最終比が90:10である場合、第1の鏡像異性体に関する上記ee(鏡像異性体過剰率)は80%である。90%以上のeeが好ましく、95%以上のeeが最も好ましく、99%以上のeeが特に最も好ましい。鏡像異性体富化は当事者によりキラルカラムによるガスクロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィなどの標準の技法及び方法を使用して容易に決定される。鏡像異性体対の分離実施に必要な適切なキラルカラム、溶出液及び条件の選択は、当事者にとって公知である。更に、式Iの化合物の特異的な立体異性体及び鏡像異性体は当事者によって、J.Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」John Wiley and Sons、1981、及びE.L.ElielとS.H.Wilen,「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley−Interscience 1994)、並びに1998年4月29日発行の欧州特許出願公開第838448号明細書に開示されたような周知の技法及び分離法を利用して調製できる。分離の例には、再結晶技法又はキラルクロマトグラフィーが含まれる。特に明記しない限り、「異性体1」として示される化合物は、キラル分離カラムから溶出される第1の異性体であり、「異性体2」は第2のそれである。
【0077】
一般に、用語「薬理学的」は形容詞として用いられる場合、生体には実質的に無毒であることを意味する。例えば、本明細書に用いられる用語「薬理学的に許容できる塩」は式Iの化合物の塩を指し、この化合物は実質的に生体に対して無毒である。また、本発明には本発明の化合物の薬理学的に許容できる塩が包含される。薬学的に許容できる塩及びそれを調製するための一般法は公知技術である。例えばP.Stahlら、“Handbook Of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,”(VCHA/Wiley−VCH,2002);Berge,S.M,Bighley,L.D.、及びMonkhouse,D.C.,“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,66:1,1977を参照のこと。
【0078】
本発明は又本発明の化合物のプロドラッグを含み、このプロドラッグは、投与すると代謝過程により化学的転換を受けて薬理学的に活性な物質となる。一般に、かかるプロドラッグは本発明の化合物の機能的誘導体であって、生体内で本発明の化合物に容易に転換可能である。適切なプロドラッグ誘導体の選択と調製のための通常の手順は、例えば、“Design of Prodrugs”,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載される。
【0079】
式Iの化合物は当事者により種々の手段に従って調製することができ、それらの幾つかを下記の工程と反応式において、説明する。式Iの化合物の生成必要な具体的な工程の順序は、合成しようとする具体的な化合物、出発物質及び置換基の相対的反応性などにより変化する。試薬又は出発物質は当事者であれば容易に入手でき、市販品でない材料の場合には、当事者に公知の通常用いられる標準的な工程に従い、下記の種々の工程及びスキームに沿って容易に合成できる。
【0080】
以下の反応式、調製、実施例及び手順は本発明の実施をより詳細に説明するために提供されるものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。当事者であれば、本発明の技術思想と範囲から逸脱することなく多様な改善を実施できることを認識するであろう。本明細書で言及される全ての刊行物は、本発明が属する分野の当事者のレベルを示す。
【0081】
反応式、調製、実施例及び手順における最適反応時間は、反応の進行を通常のクロマトグラフィによりモニターすることにより決定できる。更に、本発明の化学反応は、アルゴン又は特に窒素などの不活性雰囲気下で実施することが好ましい。溶媒の選択は、その使用する溶媒が進行中の反応に不活性で、かつ反応物質を十分に可溶化して所望の反応を実施するものである限り、通常問題とはならない。化合物は、その後の反応に供する前に分離・精製することが好ましい。化合物形成反応の間に反応溶液から化合物を析出させ、濾過して回収してもよいし、あるいは反応溶媒を抽出、蒸発又は流出させて除去してもよい。中間体及び式Iの最終産物は、必要に応じ、再結晶又はシリカゲル又はアルミナなどの固体支持体上のクロマトグラフィ等、通常の方法で更に精製してもよい。
【0082】
熟練した当業者は全ての置換基が全ての反応条件と適合するわけではないことを認識する。これらの化合物は合成の際、公知の方法により適切なタイミングで保護又は修飾してもよい。
【0083】
本明細書の反応式、調製、実施例及び工程に用いられる用語並びに略語は、特に指示されない限り通常の意味を有する。例えば、本願明細書では以下の用語はそれぞれ以下の意味を有する。「psi」はインチ当たりのポンド(圧力)を指す。「min」は分を指す。「h」又は「hr」は時間を指す。「TLC」は薄層クロマトグラフィを指す。「HPLC」は高速液体クロマトグラフィを指す。「R」は保持係数を指す。「R」は滞留時間を指す。「δ」はテトラメチルシランからのppmダウンフィールドを指す。「MS」は質量分析を指す。「MS(ES)」は電子スプレー質量分析を指す。「UV」は紫外線分光測定法を指す。「H NMR」は陽子核磁気共鳴分光測定法を指す。更に、「RT」は、室温を指す。「DEAD」は、ジエチルアゾジカルボキシレートを指す。「PPh」はトリフェニルホスフィンを指す。「ADDP」は1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジンを指す。「PBu」はトリブチルホスフィンを指す。「OTF」はトリフレートを指す。「LAH」は水素化アルミニウムリチウムを指す。「DIBAL−H」は、水素化ジイソブチルアルミニウムを指す。「KOtBu」は、カリウムt−ブトキシドを指す。「THF」はテトラヒドロフランを指す。「TBP」はトリブチルホシフィンを指す。「EDCI」は1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸を指す。「DMAP」はジメチルアミノピリジンを指す。「HNMe(OMe)」は、N,N,−ジメチルヒドロキシアミンを指す。「CDMT」は2−クロロ−4,6−ジメトキシ−[1,3,5]トリアジンを指す。「NMM」はN−メチルモルホリンを指す。「DCM」はジクロロメタンを指す。「DMSO」はジメチルスルホキシドを指す。「EtN」はトリエチルアミンを指す。「DMF」はジメチルホルムアミドを指す。「PBr」は三臭化リンを指す。式中の「Et」はエチル基を指し、例えばEtOはジエチルエーテルを指す。EtOAcは酢酸エチルを指す。「PyBOP」はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指す。「Me」はメチル基を指す(メタノールをMeOHのように表す)。「Pd/C」はカーボン上の10%パラジウムを指す。特に明記しない限り、異性体1はキラル分離において、溶出される第1異性体を指し、異性体2はキラル分離において、溶出される第2異性体を指す。
【0084】
一般反応式
本発明の全ての化合物は、例えば以下の反応式、並びに下記調製例及び/又は実施例に記載の合成経路を経て化学的に調製できる。しかしながら、以下の説明は、いかなる形であれ本発明の範囲を限定するものではない。例えば、記載されている経路における各々の具体的な合成工程を異なる方式で組み合わせ、あるいは別の反応式中の工程と組み合わせて、式Iの化合物を別途調製してもよい。
【0085】
反応式I
【化6】

反応式I(工程A)では、式(1)の4−ハロフェノール(X=I又はBr)を、スズキ反応を用いて式(2)のフェニルホウ酸とカップリングさせて式(3)のビフェニルヒドロキシルを形成させる。当業者であれば、アリールハライド及びフェニルホウ酸を使用して、かかるスズキカップリングを多様な反応条件下で実施できることを認識する。例えばテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中で、酢酸パラジウム及びフッ化カリウムの存在下で(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)を使用して反応させるのが好適な条件である。窒素雰囲気下で約4〜48時間、50℃〜還流温度の反応温度で反応を実施する。あるいは、スズキ反応は、窒素雰囲気下でフッ化カリウムと共にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを使用して実施してもよい。不活性溶剤(例えばトルエン又はベンゼン及び水)中で、40℃〜還流温度で、約4〜48時間反応させる。反応式I(工程B)において、式(3)のビフェニルヒドロキシを塩化ジメチルチオカルバモイルとカップリングさせ、中間体のジメチル−チオカルバミン酸エステルの再加熱及びそれに続く加溶媒分解を経て、式(4)のビフェニルチオールを形成させる。チオカルバメート調製のカップリング反応は、有機アミン(例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン)と4−ジメチルアミノピリジンの存在下で実施する。当該反応は、65℃〜溶媒の還流温度で、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン又はトルエンなどの不活性溶媒(好ましくはジオキサン)中で実施する。得られるチオカルバメートを、200〜250℃の温度(245℃が好適な温度)で、テトラデカン中で再度加熱し、ジメチル−チオカルバミン酸エステルを得る。メタノール中のナトリウムメトキシド又はエタノール中のナトリウムエトキシドによる加溶媒分解により、式(4)のビフェニルチオールを得る。
【0086】
反応式II
【化7】

反応式II(工程A)において、式(5)のエチルチオフェン2−カルボキシレートを、アルデヒド(R3CHO)によりアルキル化し、式(6)の第2のアルコールを得る。式(5)のエチルチオフェン2−カルボキシレートを、−80〜−70℃の温度でリチウムジイソプロピルアミドで処理し、更に不活性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中のアルデヒドで処理する。反応液を約12〜24時間かけて室温に加温し、生成物を通常の抽出法により分離し、式(6)の第2アルコールを得る。反応式II(工程B)において、式(6)の第2アルコールを式(7)の4−ハロチオフェノール(X=Br又はI)とカップリングさせ、式(8)の4−ハロフェニルチオエーテルを得る。不活性溶媒(例えば0〜50℃の温度のジクロロメタン又はジクロロエタン)中で、ルイス酸(例えばヨウ化亜鉛、ZnIとカップリングさせる(ジクロロエタン中、室温で反応させるのが好適な反応条件である)。生成物を通常の抽出法により分離し、式(8)の4−ハロフェニルチオエーテルを得る。あるいは、第2アルコールとチオフェノールのカップリングは、Mitsinobu反応条件を用いて行ってもよい。ジエチルアゾジカルボン酸塩(DEAD)/トリフェニルホスフィン、N,N,N’,N’−テトラメチルアゾジカルボキシアミド(TMAD)/トリブチルホスフィン、又は1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)/トリブチルホスフィンなどの一般的な酸化還元システム(当業者に公知)を用いて変換を行ってもよい。反応式II(工程C)では、式(8)の4−ハロフェニルエーテルを、反応式I(工程A)で記載した反応条件を使用して、スズキ反応により式(2)のフェニルホウ酸とカップリングさせ、式(9)のビフェニルチオエーテルを形成させる。あるいは反応式II(工程D)で、式(3)のビフェニルチオールを、反応式II(工程B)で記載したMitsinobu反応条件を使用してカップリングさせ、式(9)のビフェニルチオエーテルを調製する。反応式II(工程E)では、式(9)のチオフェンカルボン酸 エチルエステルを、式(10)のチオフェンカルボン酸に加水分解する。当該エステルをエタノール、メタノール、ジオキサン又はテトラヒドロフランなどの適当な水溶性溶媒(好適にはエタノール)中で加水分解させる。当該エステルを室温〜還流温度で2〜48時間、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムなどの無機塩基溶媒(好適には水酸化ナトリウム)中で処理する。式(10)のチオフェンカルボン酸を塩酸で中和し、更に通常の抽出技術を用いて分離する。
【0087】
反応式III
【化8】

反応式III(工程A)では、式(11)のチオフェンカルボン酸をアシル化して式(12)のアミドを調製する。当業者であれば、カルボン酸とアミンの間でのアミド結合形成に多くの反応条件を使用できることを認識するであろう。かかる方法は例えば“Comprehensive Organic Transformations”、VCH Publishers、1989、p972−976、R.C.Larockのテキストに記載されている。触媒量の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)及び有機塩基(例えば不活性溶媒(例えばジクロロメタン又はテトラヒドロフラン)中のジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミン)を使用反応させるのが好適な反応条件である。0℃〜溶媒の還流温度(好ましくは室温)で、約4〜48時間、塩酸アミノアセトニトリルで活性エステルを処理する。あるいは反応式III(工程A)の他の好適な反応条件として、有機塩基(例えば不活性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中のN−メチルモルホリン)の存在下で2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンを使用して活性エステルを形成させることが挙げられる。当該活性エステルを0〜50℃で4〜48時間、塩酸アミノアセトニトリルで処理し、式(12)のアミドを形成させる。反応式III(工程B)では、式(12)のアミドを式(13)のテトラゾールに環化する。当業者であれば、ニトリルからのテトラゾール形成における有用な試薬として、アジドトリメチルシラン、アジドトリブチルスズ及びアジ化ナトリウムが挙げられることを認識するであろう。不活性溶媒(例えばトルエン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン又はジオキサン)中で、塩酸トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの塩酸アルキルアミンの存在下で、アジ化ナトリウムを使用するのが好適な反応条件である。当該好適な反応条件では、40℃〜溶媒の還流温度で、4〜48時間の間、トルエンを使用する。塩酸水溶液で酸性化し、適当な有機溶媒(例えば酢酸エチル)で抽出し、生成物を分離する。
【実施例】
【0088】
本明細書に記載する実施例は本発明を例示するものであり、請求項に記載された本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。調製例及び実施例における化合物名は、ChemDrawを使用して導出した。
【0089】
1H NMRは、Varian 400 MHz分光計を用い、室温で記録した。データは以下のように出力される:内部スタンダードのテトラメチルシランからの化学シフト(ppm単位)(スケール、多重度(b=広い一重項、s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、qn=五重項及びm=多重項)、積分強度、カップリング定数(Hz)、及び解析値。1H−NMRは、満足なNMRスペクトルが試験対象の化合物に関して得られたことを示すものである。モノアイソトープによるマススペクトルデータは、エレクトロスプレーイオン化法(ESI又はES)を使用してAgilent G1956B MSD single quadrapole計測器を用いて得た。分析用薄層クロマトグラフィは、EM Reagentの0.25mmシリカゲル60−Fプレート上で実施した。視覚化は紫外線分析により実施した。全ての実施例は特に明記しない限りラセミ体に関するものである。
【0090】
(調製1)2,6−ジメチル−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−オル
4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール(115.00g、571.96mmol)、4−(トリフルオロメチル)フェニルホウ酸(130.36g、686.35mmol)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(126.00g、233.96mmol)、フッ化カリウム(99.69g、1.72モル)及びPd(OAc)(25.68g、114.39mmol)を、窒素バブリングしたテトラヒドロフラン(3.0L)中に供給し、還流加熱した。出発材料(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール)の消費をGCでモニターした。4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノールが消費されるまで(通常18時間)還流を継続させた。反応完了後、バッチを約25℃に冷却した。粗反応混合物をシリカ(〜500g)上へ吸収させ、ヘプタン中の10%の酢酸エチルでシリカ(1.5kg)から溶出させ、固体(132.9g、87.3%)として生成物を得た。ヘプタン(23L/kg)及びイソプロパノール(0.4L/kg)から結晶化し、オフホワイトの固体として標題化合物(119.5g、78.5%の収率)を得た。MS(ES):265.21[M−1]H NMR(400MHz,CDCl):δ7.68(d,2H)7.26(d,2H)6.62(s,2H)4.73(s,1H)1.97(s,6H)。
【0091】
(調製2)4’−tert−ブチル−2,6−ジメチルビフェニル−4−オル
4−tert−ブチルフェニルホウ酸を使用して、基本的に調製1で説明した手順に従い、標題化合物を調製した。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.43(d,2H)7.06(d,2H)6.61(s,2H)4.85(s,1H)2.02(s,6H)1.38(s,9H)。
【0092】
(調製3)(R,S)−5−(1−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル
雰囲気下、ジイソプロピルアミン(8.55mL、60mmol)のTHF(350mL)中の溶液を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(ヘキサン(24mL)中、2.5M)で処理した。次に混合液を10分間かけて0℃に加温し、−78℃へ再度冷却し、チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル(7.8g、50mmol)のTHF(150mL)中の溶液を滴下して添加して処理し、5分間撹拌した。3−メチル−ブチルアルデヒド(6.48mL、60mmol)を次に添加し、反応液を一晩撹拌しながら室温に加温した。水性バッファ(pH=7)を添加し、生成物を酢酸エチル(3×)で抽出した。複合有機層を乾燥し、濾過し、濃縮した。得られる残留物をシリカゲルにアプライし、0%〜60%の酢酸エチル勾配/ヘキサンで溶出させ、標題化合物(8.03g)を得た。調製4〜9は、実質的に調製3にて説明した方法と同様の方法で調製した。
【0093】
(調製4)(R,S)−5−(1−ヒドロキシ−プロピル)−チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル
【0094】
(調製5)(R,S)−5−(1−ヒドロキシ−ブチル)−チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル
【0095】
(調製6)(R,S)−5−(1−ヒドロキシ−ペンチル)−チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル
【0096】
(調製7)(R,S)−5−(1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル)−チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル
【0097】
(調製8)(R,S)−5−(1−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル
【0098】
(調製9)(R,S)−5−(1−ヒドロキシ−3,3−ジメチルブチル)−チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル
【0099】
(調製10)4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−チオール
(工程A):ジメチル−チオカルバミン酸 O−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イル)エステル
4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−オル(10g、37.3mmol)のジオキサン(157mL)中溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(476mg、3.9mmol)、トリエチルアミン(10mL、78.6mmol)及び塩化ジメチルチオカルバモイル(6.1g、49.1mmol)を添加した。反応混合物を、一晩還流加熱した。室温に冷却後、反応混合物を酢酸エチルと水との間に分離させた。水性層を酢酸エチルで逆抽出し、混合有機層を乾燥させて濃縮した。得られる残留物をシリカゲルにアプライし、20%の酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶出させ、ジメチル−チオカルバミン酸 O−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イル)エステル(12.2g)を得た。
【0100】
(工程B):ジメチル−チオカルバミン酸 S−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イル)エステル
ジメチル−チオカルバミン酸 O−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イル)エステル(12.1g、35.4mmol)のテトラデカン(80mL)中の懸濁液を、16時間245℃で加熱した。室温に冷却後、固体沈殿物を濾過し、ヘプタンで洗浄し、40℃で真空乾燥した。得られる残留物をシリカゲルにアプライし、0%〜60%の酢酸エチル勾配/ヘキサンを使用して溶出させ、ジメチル−チオカルバミン酸 S−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イル)エステル(8.86g)を得た。
【0101】
(工程C):4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−チオール
ジメチル−チオカルバミン酸 S−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イル)エステル(8.8g、25.8mmol)のメタノール(65mL)中溶液に、ナトリウムメトキシド(1.39g、25.8mmol)を添加した。反応混合液を一晩還流加熱した。室温に冷却後、反応混合液を5N HClで中和し、1/3の体積に濃縮し、塩水で処理し、ジクロロメタン中に抽出した。水性層をジクロロメタンで逆抽出し、混合有機層を乾燥させ、濃縮した。得られる残留物をシリカゲル上にアプライし、0%〜50%の酢酸エチル勾配/ヘキサンを使用して溶出させ、標題化合物(5.84g)を得た。
【0102】
(調製11)2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−チオール
調製10で説明した方法と実質的に同様の方法で、2,6−ジメチル−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−オルを使用し、標題の化合物を調製した。MS(ES):281.1[M−H]
【0103】
(実施例1)(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化9】

(工程A):(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル
(R,S)−5−(1−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル(1.26g、5.52mmol)及び4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−チオール(1.64g、6.07mmol)の1,2‐ジクロロエタン(22mL)中の溶液をヨウ化亜鉛(1.76g、5.52mmol)で処理し、室温で一晩撹拌した。反応混合液を次に水とジクロロメタンとの間に分離させた。水性層をジクロロメタンで逆抽出し、混合有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られる残留物をシリカゲルにアプライし、0%〜40%の酢酸エチル勾配/ヘキサンを使用して溶出させ、(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸に エチルエステル(2.08g)を得た。MS(ES):481.1[M+H]
【0104】
(工程B):(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸
(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸 エチルエステル(2.08g、4.33mmol)のエタノール(43mL)中の混合液に、水酸化ナトリウム(5N水溶液、4.33mL)を添加し、室温で一晩撹拌した。反応混合液を1N HCl(4.42mL)で酸性化し、酢酸エチル中に抽出し、乾燥させ、濃縮し、真空乾燥させ、(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(1.82g)を得た。MS(ES):451.2[M−H]
【0105】
(工程C):(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸シアノメチル−アミド
(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(342mg、0.756mmol)のDMF(7.6mL)中の混合液に、室温で、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸(290mg、1.512mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(123mg、0.907mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.264mL、1.512mmol)を添加し、10分間撹拌した。次に当該混合液をアミノアセトニトリル塩酸(84mg、0.907mmol)で処理し、一晩攪拌した。反応混合液を0.1N HClで処理し、2回酢酸エチル中に抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮し、得られる残留物をシリカゲルにアプライし、0%〜70%の酢酸エチル勾配/ヘキサンを使用して溶出させ、(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸にシアノメチル−アミド(289mg)を得た。MS(ES):491.1[M+H]
【0106】
(工程D):(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸シアノメチル−アミド(195mg、0.397mmol)のトルエン(8mL)中の溶液を、塩酸トリエチルアミン(275mg、2mmol)及びアジ化ナトリウム(130mg、2mmol)で処理し、次に一晩還流加熱(熱条件)、又は20分間CEMマイクロ波反応装置に置き(300W、180C、N冷却)(マイクロ波条件)、処理した。室温に冷却後、反応混合液を酢酸エチルと水との間に分離させた。水性層を酢酸エチルで逆抽出し、混合有機層を乾燥させ、濃縮し、得られる残留物をC−18カラムにロードし、15%〜100%のアセトニトリル勾配/水を使用して溶出させ、標題化合物(91mg)を得た。MS(ES):534.2[M+H]。実施例1(工程D)で説明したのと実質的に同様の熱条件を使用して、実施例2〜7を調製した。
【0107】
(実施例2)(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化10】

MS(ES):520.3[M+H]
【0108】
(実施例3)(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化11】

MS(ES):534.3[M+H]
【0109】
(実施例4)(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ペンチル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化12】

MS(ES):548.3[M+H]
【0110】
(実施例5)(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3−メチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化13】

MS(ES):548.0[M+H]
【0111】
(実施例6)(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3,3−ジメチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化14】

MS(ES):562.0[M+H]
【0112】
(実施例7)(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化15】

MS(ES):548.3[M+H]
【0113】
実施例1(工程D)で説明したのと実質的に同様のマイクロ波条件を使用し、実施例8〜13を調製した。
【0114】
(実施例8)(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化16】

MS(ES):546.0[M+H]
【0115】
(実施例9)(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化17】

MS(ES):545.8[M+H]
【0116】
(実施例10)(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化18】

MS(ES):560.0[M+H]
【0117】
(実施例11)(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3−メチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化19】

MS(ES):560.0[M+H]
【0118】
(実施例12)(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3,3−ジメチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化20】

MS(ES):574.0[M+H]
【0119】
(実施例13)(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ペンチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド
【化21】

MS(ES):560.0[M+H]
【0120】
(実施例14)5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)
【化22】

(工程A):5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸シアノメチル−アミド(異性体1)
キラルHPLC(カラム:Chiralpak AD 4.6×150mm、溶離剤:12%のジメチルエチルアミン+15/85 3Aエタノール/ヘプタン、流速:0.6mL/分、UV吸収度波長:300nm)で(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸シアノメチル−アミド(500mg)を分離させ、5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸シアノメチル−アミド(異性体1)(220mg)を調製した。
【0121】
(工程B):5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)
5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸シアノメチル−アミド(異性体1)(220mg、0.436mmol)のトルエン(8.7mL)の溶中液を、トリエチルアミン塩酸塩(300mg、2.18mmol)及びアジ化ナトリウム(142mg、2.18mmol)で処理し、次に一晩還流加熱(熱条件)、又は20分間CEMマイクロ波反応装置に置き(300W、180C、N冷却)(マイクロ波条件)、処理した。室温に冷却後、反応混合液を酢酸エチルと水との間に分離させた。水性層を酢酸エチルで逆抽出し、混合有機層を乾燥させ、濃縮し、標題化合物(105mg)を得た。MS(ES):548.3[M+H]。実質的に実施例14(工程B)で説明した熱条件と同様の条件を使用して、実施例15〜17を調製した。
【0122】
(実施例15)5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)
【化23】

MS(ES):548.3[M+H]
【0123】
(実施例16)5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)
【化24】

MS(ES):519.8[M+H]
【0124】
(実施例17)5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)
【化25】

MS(ES):520.3[M+H]
実質的に実施例14(工程B)で説明したのと同様のマイクロ波条件を使用して、実施例18〜29を調製した。
【0125】
(実施例18)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)
【化26】

MS(ES):546.0[M+H]
【0126】
(実施例19)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)
【化27】

MS(ES):546.0[M+H]
【0127】
(実施例20)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸−(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)、
【化28】

MS(ES):546.0[M+H]
【0128】
(実施例21)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸−(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)、
【化29】

MS(ES):546.0[M+H]
【0129】
(実施例22)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)
【化30】

MS(ES):559.8[M+H]
【0130】
(実施例23)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)
【化31】

MS(ES):559.8[M+H]
【0131】
(実施例24)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3−メチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸−(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)、
【化32】

MS(ES):560.0[M+H]
【0132】
(実施例25)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3−メチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)
【化33】

MS(ES):560.0[M+H]
【0133】
(実施例26)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3,3−ジメチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸−(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)、
【化34】

MS(ES):573.8[M+H]
【0134】
(実施例27)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3,3−ジメチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸−(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)、
【化35】

MS(ES):573.8[M+H]
【0135】
(実施例28)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ペンチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)
【化36】

MS(ES):559.8[M+H]
【0136】
(実施例29)5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ペンチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)
【化37】

MS(ES):559.8[M+H]
【0137】
式Iの化合物は、投与前にユニットドーズの形態で製剤化するのが好ましい。ゆえに、本発明の更に他の実施形態は、式Iの化合物と1つ以上の薬理学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤からなる医薬組成物の提供に関する。かかる形態では、製剤は適切な量(例えば所望の効果を得るための有効量)の有効成分を含む適切なサイズのユニットドーズに分割する。かかる医薬品組成物及びその調製方法は公知技術である。例えば「REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY」(A.Gennaroら編、19版、Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。本発明の有効量を構成するのに必要となる、式(I)の化合物又はその薬学的に受け入れられる塩の具体的な量は、治療しようとする症状の具体的な状況により変化する。上記化合物は好ましくは経口投与用である。製剤のユニットドーズにおける有効成分の量は、具体的な投与にも依るが、一般に約0.01mg〜約1,000mg、好ましくは約0.01mg〜約950mg、好ましくは約0.01mg〜約500mg、典型的には約1mg〜約250mgで変化させ、若しくは調節してもよい。実際の用量は、患者の年齢、性別、体重及び症状の重症度に応じて変動させてもよい。かかる方法は当業者に周知である。通常、有効成分を含む経口投与剤形をヒトに投与する場合、一日当たり1〜2回投与とすることができる。投与量、投与経路及び投与頻度などは、最終的には主治医によって決定される。
【0138】
本発明の組成物を、患者への投与後、有効成分が迅速に放出されるか、徐放出されるか又は遅延放出される態様で調製してもよい。本発明の組成物を、徐放出型に製剤化して構成要素又は有効成分の何れか1つ以上の放出速度を制御し、治療効果を最適化してもよい。徐放出に適する剤形としては、異なる分解速度を有する層から形成される錠剤、有効成分を充填してタブレットとして形成した制御放出ポリマーマトリックス、かかる充填若しくは封入された多孔質のポリマーマトリックスを含有するカプセルなどが包含した。
【0139】
グルカゴンがグルコースホメオスタシスにおいて重要な役割を果たすことを裏付ける証拠が年々得られている。式Iの化合物は、グルカゴン受容体のアンタゴニスト又は逆アゴニストとして効果的であり、すなわちグルカゴン受容体の活性を阻害する。より具体的には、これらの化合物はグルカゴン受容体の選択的なアンタゴニスト又は逆アゴニストである。式Iの化合物は、選択的なアンタゴニスト又は逆アゴニストとして機能するため、糖尿病及び他のグルカゴン関連の障害など(これらに限定されない)、グルカゴン受容体の不活化に感受性の疾患、障害又は症状の治療に有用である。グルカゴン受容体の選択的なアンタゴニスト又は逆アゴニストの使用により、血漿中のグルコース濃度が低下し、それにより糖尿病及び他のグルカゴン関連の代謝障害などの予防若しくは治療が可能となる。
【0140】
薬理学的方法
以下に、本発明の化合物の効率の評価に有用な結合試験並びに機能試験について記載する。グルカゴン受容体への化合物の結合は、クローニングされたヒトのグルカゴン受容体に対する選択性を用いる競合結合アッセイにおいて決定することができる。拮抗作用は、5nMのグルカゴンの存在下にアッセイにおいて形成されるcAMPの量を阻害する本発明の化合物の能力として決定してもよい。
【0141】
グルカゴン受容体(hGlucR)結合アッセイ
本受容体結合アッセイは、クローニングされた293HEK膜から分離されたヒトのグルカゴン受容体を使用した(Lok S,Kuijper JL,Jelinek LJ,Kramer JM,Whitmore TE,Sprecher CA,Mathewes S,Grant FJ,Biggs SH,Rosenberg GB,ら、Gene140、2),203−209、1994。このhGlucR cDNAを発現プラスミドphDにサブクローニングした(完全にγ−カルボキシル化された組換えヒトのプロテインCのトランス活性化発現、抗血液凝固性因子(Grinnell,B.W.,Berg,D.T.,Walls,J.及びYan,S.B.Bio/Technology5:1189−1192(1987)参照)にサブクローニングした。このプラスミドDNAを239HEK細胞にトランスフェクションして200μg/mLのハイグロマイシンを用いて選択した。
【0142】
懸濁培養した細胞を用いて粗原形質膜を調製した。上記細胞を25mM トリスHCl(pH7.5)、1mM MgCl、DNase1 20μg/mL、及びComplete Inhibitors(EDTAフリー)(Roche社)を含有する低張バッファ中で氷上で溶解した。その細胞懸濁液をガラス製のダウンスのホモジナイザーによりテフロン棒を用いて25回上下してホモジナイズした。このホモジネートを4℃では、1800×gで15分間遠心した。上清を回収し、ペレットを低張バッファに再懸濁して再びホモジナイズした。混合物を1800×gで15分間遠心した。第2の上清を第1の上清と合わせた。混合した上清を1800×gで15分間再遠心して清澄化した。清澄化した上清を高速遠心管に移して4℃では、25000×gで30分間遠心した。ホモジネーションバッファに再懸濁して必要となるまで−80℃の冷凍室に凍結アリコートとして膜ペレットを貯蔵した。
【0143】
グルカゴンを、125I−ラクトペルオキシダーゼ法によって、放射性ヨードで標識し、Perkin−Elmer/NEN (NEX207)では、逆相HPLCによって精製した。比活性は2200Ci/mmolであった。125I−グルカゴン物質中にプロパノールの含量が高いため、Kdの決定は飽和結合ではなく均一競合により実施した。Kdは3nMと推定され、全ての試験化合物についてKi値の計算に使用した。
【0144】
脂肪酸フリーの1%のBSA(ICN)で予めブロッキングしたWGAビーズによるシンチレーション近接アッセイ(Amersham)により結合アッセイを行った。結合バッファの組成は25mM Hepes(pH7.4)、2.5mM CaCl、1mM MgCl、0.1%の脂肪酸不含BSA(ICN)、0.003%のTween−20及びEDTAフリーのComplete Inhibitors(Roche社)とした。グルカゴンを0.01N HCl溶液中に1mg/mLの濃度で溶解させ、30μLのアリコートに分割して直ちに−80℃で凍結させた。上記グルカゴンのアリコートを希釈し、1時間以内に結合アッセイに使用した。試験化合物をDMSOに溶解し、DMSOによる希釈系列を調製した。10μLの希釈化合物、又はDMSOを、Corning3632(90μLのアッセイ用結合バッファ又は非放射性グルカゴン(NSB、最終濃度1μM)を含む、不透明で底が透明なアッセイプレート)中に移した。50μLの125Iグルカゴン(反応液中の最終濃度:0.15nM)、50μLのメンブレン(300μg/ウェル)の及び40μLのWGAビーズ(150mg/ウェル)を添加し、プレートの端から端までを被覆した。プレートを室温で14時間静置した後、MicroBetaで測定した。
【0145】
化合物の存在下における、125Iグルカゴンの特異的な結合パーセントとして算出した。化合物の絶対EC50用量を、添加した化合物の用量に対する125I−グルカゴンの特異的結合パーセントを非線形回帰することによって導出した。EC50用量をCheng−Prusoffの式(Cheng Y.,Prusoff W.H.,Biochem.Pharmacol.22,3099−3108,1973)を用いてKiに変換した。
【0146】
グルカゴン様ペプチド1(Glp1−R)受容体結合アッセイ
受容体結合アッセイでは、293HEK細胞膜から分離し、クローニングしたヒトグルカゴン様ペプチド1受容体(hGlp1−R)(Graziano,MP,Hey,PJ,Borkowski,D,Chicchi,GG,Strader,CD,Biochem Biophys Res Commun.1993 Oct 15、196(1):141−6)を使用した。hGlp1−R cDNAを、発現プラスミドphD(完全にγ−カルボキシル化された組換えヒトプロテインC(抗血液凝固性因子のトランス活性化因子)のトランス活性化発現、Grinnell,B.W.,Berg,D.T.,Walls,J.及びYan,S.B.Bio/Technology 5:1189−1192(1987)を参照)にサブクローニングした。このプラスミドDNAを239HEK細胞にトランスフェクションし、200μg/mLのハイグロマイシンを用いて選抜した。
【0147】
懸濁培養した細胞を使用して粗製の原形質膜を調製した。25mMのトリスHCl(pH7.5)、1mMのMgCl2、DNAse 20U/mL及びEDTAフリーのロシュ社製Complete Inhibitorsを含有する低張バッファ中で、氷上で細胞を溶解させた。その細胞懸濁液をガラス製のダウンスのホモジナイザーによりテフロン棒を用いて25回上下してホモジナイズした。このホモジネートを4℃で1800×gで15分間遠心分離した。上清を回収し、ペレットを低張バッファに再懸濁して再びホモジナイズした。混合物を1800×gで15分間遠心した。第2の上清を第1の上清と混合した。混合した上清を1800×gで15分間再度遠心分離して清澄化した。清澄化した上清を高速遠心管に移し、4℃で25000×gで30分間遠心分離した。ホモジネーションバッファに再懸濁し、使用直前まで−80℃の冷凍室に凍結アリコートとして膜ペレットを保存した。
【0148】
グルカゴン様ペプチド1(Glp−1)を、125I−ラクトペルオキシダーゼ法により放射性ヨードで標識し、Perkin−Elmer/NEN(NEX308)を用いた逆相HPLCで精製した。比活性は2200Ci/mmolであった。125I−グルカゴン物質中にプロパノールの含量が高いため、Kdの決定は飽和結合ではなく均一競合により実施した。Kdは3nMと推定され、全ての試験化合物についてKi値の計算に使用した。
【0149】
脂肪酸フリーの1%BSA(ICN)で予めブロッキングした小麦麦芽アグルチニン(WGA)ビーズによるシンチレーション近接アッセイ(Amersham)により結合アッセイを行った。結合バッファの組成は25mM Hepes(pH7.4)、2.5mM CaCl2、1mM MgCl2、0.1%の脂肪酸不含BSA(ICN)、0.003%のTween−20及びEDTAフリーのComplete Inhibitors(Roche社)とした。グルカゴン様ペプチド1(Glp−1)をPBS中に1mg/mLの濃度で溶解させ、30μLに分割して直ちに−80℃で凍結させた。上記グルカゴン様ペプチドのアリコートを希釈し、1時間以内に結合アッセイに使用した。試験化合物をDMSOに溶解し、DMSOによる希釈系列を調製した。10μLの希釈された化合物、又はDMSOを、Corning3632(90μLのアッセイ用結合バッファ又は非放射性グルカゴン様ペプチド1(NSB、最終濃度1μM)を含む、不透明で底が透明なアッセイプレート)中に移した。50μLの125Iグルカゴン様ペプチド1(反応液中の最終濃度:0.15nM)、50μLのメンブレン(600μg/ウェル)の及び40μLのWGAビーズ(150mg/ウェル)を添加し、プレートの端から端までを被覆した。プレートを室温で14時間静置した後、MicroBetaで測定した。
【0150】
化合物の存在下における、125Iグルカゴン様ペプチド1の特異的な結合パーセントとして算出した。化合物の絶対EC50用量を、添加した化合物の用量に対する125I−グルカゴン様ペプチド1の特異的結合パーセントを非線形回帰することによって、導出した。EC50用量をCheng−Prusoffの式(Cheng Y.,Prusoff W.H.,Biochem.Pharmacol.22,3099−3108,1973)を用いてKiに変換した。
【0151】
グルカゴン刺激によるcAMP機能アンタゴニストアッセイ
cAMP機能アッセイでは、上記hGlucR結合アッセイ用に単離したヒトグルカゴン受容体細胞系と同一のクローンを使用した。化合物の存在下で、EC80用量のグルカゴン含有混合物を用い、細胞を刺激した。細胞内で生じたcAMPを、Perkin Elmer社製のAmplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay,Alpha Screen(6760625R)を用いて定量した。
【0152】
当該システムは簡潔には、細胞内のcAMPとキット由来のビオチン化cAMPとで、抗cAMP抗体被覆アクセプター側ビーズ及びストレプトアビジンコーティングされたドナー側ビーズとの結合を競合させるものである。細胞内のcAMP濃度の増加にしたがい、アクセプター側ビーズ−ビオチン化cAMP−ドナー側ビーズ複合体が減少するため、シグナルが減少した。
【0153】
グルカゴンを0.01N HClに1mg/mLの濃度で溶解させ、30μLのアリコートに分割し、直ちに−80℃で凍結した。グルカゴンのアリコートを希釈し、1時間以内に機能アッセイに使用した。コンフルエント状態前の組織培養ディッシュから、酵素フリーの細胞分離溶液(特製培地5−004−B)を用いて細胞を回収した。細胞を低速で沈殿させ、アッセイバッファ(Mg及びCa添加HBSS中、25mM Hepes(GIBCO、14025−092)、0.1%の脂肪酸フリーのBSA(ICN社製)を含む)で3回洗浄し、次いで希釈して1mL当たり250,000細胞の最終濃度にした。化合物をDMSO中に段階希釈し、次いで3倍濃度のグルカゴン及び3%DMSOを含むアッセイバッファで希釈した。グルカゴンのEC80を最大グルカゴン用量応答から決定し、グルカゴンが最大グルカゴン反応の80%を引き起こす用量として表した。Alphaスクリーンキットのビオチン化cAMP(最終量、ウエル当たり1単位)と3×IBMX(1500μM)のアッセイバッファ中混合液を調製した。
【0154】
96ウエル、低容量、白色、ポリスチレンのコスタープレート内で機能アッセイを行った。ビオチン化cAMP/IBMX混合物(0.02mL)を各ウエルに添加し、続いてグルカゴン用量応答cAMP標準曲線の、又は化合物/グルカゴン混合物の0.02mLを添加した。0.02mLの細胞懸濁液(最終5000個/ウエル)を添加して反応を開始させた。室温で60分後、0.03mLの溶解バッファ[10mMHepes(pH7.4)、1% NP40及びAlphaスクリーンキットのアクセプター及びドナービーズをウエル当たり各1ユニット含有する0.01%の脂肪酸フリーBSA(ICN)]を添加して反応を停止させた。溶解バッファの添加を緑色光下で行い、検出ビーズの退色を防止した。プレートを(アルミ)箔で包み、室温に一晩放置して平衡状態にした。Packard Fusion(商標)−αInstrumentでプレートを解析した。
【0155】
Alphaスクリーンにおける単位を、cAMP標準曲線に基づき、ウエル当たりで生じたcAMPのpモル値に変換した。化合物の存在下で生じたcAMPのpモル値を、EC80用量のグルカゴンのみによる最大反応に対するパーセンテージに変換した。各実験について、cAMPのpモル値の50%の反応を起こすのに必要なグルカゴン量を測定した。このEC50用量を使用して、改変Cheng−Prusoffの式(Cheng,Y.,Prusoff,W.H.,Biochem.Pharmacol.22,3099−3108,1973、Kb=(化合物のEC50)/[1+(使用したグルカゴンのpM/pMで表したグルカゴン用量応答のEC50)を用いて結果をKbとして標準化した。
【0156】
本明細書に記載の化合物は好ましくは、本明細書に開示されるグルカゴン受容体(hGlucR)結合アッセイで測定した結果、50μM以下のKi値を有する。より好ましくは、本明細書に記載の化合物は本明細書に開示されるグルカゴン受容体(hGlucR)結合アッセイで測定した結果、5μM以下、好ましくは500nM以下、更に好ましくは100nM以下のKi値を有する。本明細書に記載の化合物は通常、GLP−1受容体と比較してグルカゴン受容体に対してより高い親和性、好ましくはGLP−1受容体よりもグルカゴン受容体に対して10〜10,000倍高い結合親和性を示すことが好ましい。本願明細書に記載の全ての実施例では、10μM未満のKi値を有した。開示する化合物に関する結果を以下に記す。
【0157】
表1:
【表5】

【0158】
上記より、当事者であれば本発明の本質的な特徴を理解し、本発明の技術的思想と範囲から逸脱することなく本発明を種々変更及び修正し、多様な用途及び状況に適応させることができる。したがって、他の実施形態もまた本発明の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される構造を有する化合物
【化1】

(I)
又はその薬理学的に許容できる塩。
(式中、R1及びR2は独立に水素又はハロゲンであり、
R3は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル基、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル基又は(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル基(任意に−1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は独立に水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、−CN、−(C−C)アルコキシ基、−(C−C)アルケニル基又は−(C−C)アルキル基(任意に、1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化2】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に水素、ハロゲン、−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシル基、−(C−C)シクロアルキル基、−C(O)R10基、−COOR10基、−OC(O)R10基、−OS(O)R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)R10又は−O(C−C)アルケニル基であり、
R9は独立に水素、ハロゲン、−CN、−(C−C)シクロアルキル基、−C(O)R10、−COOR10、−OC(O)R10、−OS(O)R10、−SR10、−S(O)R10、−S(O)R10又は−O(C−C)アルケニル基、−(C−C)アルコキシ基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)若しくは−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R10は各々独立に水素又は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。)
【請求項2】
請求項1記載の化合物又はその薬学的に受け入れられる塩。
(式中、R1及びR2は水素であり、
R3は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル基、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル基又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は独立に水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化3】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に水素、ハロゲン、−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)又は−(C−C)アルコキシル基であり、
R9は独立に水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。)
【請求項3】
請求項1記載の化合物又はその薬学的に受け入れられる塩。
(式中、R1及びR2は水素であり、
R3は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル基、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル基又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は独立に水素、ハロゲン又は−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R6は
【化4】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は独立に水素、又はハロゲンであり、
R9は独立に−(C−C)アルキル基(任意に、1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。)
【請求項4】
請求項1記載の化合物又はその薬学的に受け入れられる塩。
(式中、R1及びR2は水素であり、
R3は−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)シクロアルキル基、−(C−C)アルキル−(C−C)シクロアルキル基又は−(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、
R4及びR5は−CH(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)であり、各々はR6が結合するフェニル環上のR6に隣接する部位を占め、
R6は
【化5】

であって、式中、ジグザク表記は親分子への結合位置を示し、
R7及びR8は水素であり、
R9は独立に−(C−C)アルキル基(任意に1〜3個のハロゲンで置換されてもよい)である。)
【請求項5】
請求項1記載の化合物又はその薬理学的に許容できる塩。
(式中、R1及びR2は独立して水素又はハロゲンであり、
R3はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−メチルプロピル基、3−メチルブチル基、tert−ブチル基、4−メチルペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基であり、R4及びR5は独立して水素、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、ペンチル基、イソプロポキシ基、クロロ基、フルオロ基、ブロモ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、−CN、メトキシ基、ヒドロキシメチル基、4−メチルペンチルオキシ基又はペンチルオキシ基であり、
R7及びR8は独立して水素、フルオロ基、クロロ基、メチル基、エチル基、ペンチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、アセチル基、2−メチルプロピル基、メトキシ基、シクロヘキシル基又はトリフルオロメトキシ基であり、
R9は水素、ブロモ基、フルオロ基、メチル基、tertブチル基、トリフルオロメチル基又はイソプロピル基である。)
【請求項6】
以下の式X1からX11からなる群から選択される、請求項1記載の化合物
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項7】
以下の群から選択される請求項1記載の化合物:
(R,S)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ペンチル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3−メチル−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3,3−ジメチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3−メチル−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3,3−ジメチル−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
(±)−5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ペンチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド、
5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)、
5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)、
5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)、
5−[1−(4’−tert−ブチル−2,6−ジメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸−(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2−メチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸−(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−2,2−ジメチル−プロピル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3−メチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸−(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3−メチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3,3−ジメチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸−(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−3,3−ジメチルブチル]−チオフェン−2−カルボン酸−(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)、
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ペンチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体1)及び
5−[1−(2,6−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルスルファニル)−ペンチル]−チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾル−5−イルメチル)−アミド(異性体2)、
又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の化合物、及び薬理学的に許容できる担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項9】
哺乳類のグルカゴン受容体を阻害する方法であって、かかる処置を必要とする哺乳類に、グルカゴン受容体を阻害するのに十分な量の請求項1から8のいずれか1項記載の式Iの化合物又はその塩を投与することを含んでなる方法。
【請求項10】
哺乳類の血糖レベルを選択的に低下させる方法であって、かかる処置を必要とする哺乳類に、グルカゴン受容体を阻害するのに十分な量の請求項1から8のいずれか1項記載の式Iの化合物又はその塩を投与することを含んでなる方法。
【請求項11】
糖尿病患者又は他のグルカゴン関連の代謝異常の治療方法であって、かかる治療又は予防を必要とする哺乳類に有効量の請求項1から8のいずれか1項記載の化合物を投与することを含んでなる方法。
【請求項12】
糖尿病患者又は他のグルカゴン関連の代謝異常の治療方法であって、かかる治療又は予防を必要とする哺乳類に有効量の請求項8記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
【請求項13】
グルカゴン受容体の阻害が有効である障害又は疾患の治療方法であって、かかる処置を必要とする患者に有効量の請求項1から8のいずれか1項記載の化合物を投与することを含んでなる方法。
【請求項14】
グルカゴン受容体の阻害が有益な効果を生じさせる障害又は疾患の治療又は予防方法であって、かかる治療又は予防を必要とする患者に、有効量の請求項8記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
【請求項15】
糖尿病又は他のグルカゴン関連の代謝異常の治療用の、請求項1から7のいずれか1項記載の式Iの化合物又はその塩。
【請求項16】
糖尿病又は他のグルカゴン関連の代謝異常の治療用薬剤の製造への、請求項1から8のいずれか1項記載の式Iの化合物又は塩の使用。

【公表番号】特表2009−519903(P2009−519903A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542509(P2008−542509)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/061132
【国際公開番号】WO2007/120284
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】