説明

グルカゴン類似体

本発明は、対象の体重減少を促進するか、あるいは体重増加を予防するための材料及び方法を提供している。特に、本発明は、かかる方法ならびに肥満、摂食障害、メタボリック症候群及び非アルコール性脂肪肝の治療において有効である新規のグルカゴン類似体ペプチドを提供する。これらのペプチドは、ヒトグルカゴンに比べGLP−1受容体に対する増大した選択性を有することにより、その効果を仲介し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルカゴン類似体、及び例えば過剰食物摂取、肥満、過剰体重の治療におけるこれらの医学的な使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチドオキシントモジュリン(Oxm)を用いた肥満患者の治療は、体重減少を得る上で有効であることが示されており、ネイティブなヒトオキシントモジュリン配列又はその修飾に基づく有用な医薬品を獲得するためのいくつかの試みがなされてきた[例えば国際公開第03/022304号(WO03/022304)及び国際公開第2004/062685号(WO2004/062685)を参照のこと]。オキシントモジュリンはGLP−1(グルカゴン様ペプチド1)受容体及びグルカゴン受容体の両方を活性化するものとして知られ、GLP−1受容体がOxmの食欲減退機能にとって不可欠であることが示唆されてきた。
【0003】
オキシントモジュリンは、異なる臓器内で別々に処理された158個のアミノ酸のペプチドであるプログリカゴンから誘導される。グルカゴン(29個のアミノ酸長:His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr)が膵臓内で産生される一方、より長い37個のアミノ酸のペプチドオキシントモジュリン(His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−Lys−Arg−Asn−Arg−Asn−Asn−Ile−Ala)は、腸及び脳中で産生される。オキシントモジュリンは、全長グルカゴンとC末端オクタペプチド(「介在ペプチド1」又はIP−1と呼ばれる、配列Lys−Arg−Asn−Arg−Asn−Asn−Ile−Ala)で構成されている。グルカゴン及びIP−1は共に、別々に投与された場合、食物摂取に影響を及ぼすことができない(Dakin、C. L.ら、(2001年)、Endocrin、第142号、4244〜4250頁)。
【0004】
両ペプチドは共に、Ser2のC末端側で分割する内因性酵素ジペプチジルペプチダーゼのための基質である(Zhu、Lら、(2003年)、J Biol Chem、第278号、22418〜22423頁)。その上、グルカゴンのタンパク質分解フラグメントは、Arg17−Arg18アミノ酸ダブレットにおけるグルカゴンの切断後に、遊離されることが発見されている(Blache、Pら、(1993年)、J Biol Chem、第268号、21748〜21753頁)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
何らかの特定の理論に束縛されることを望むわけではないが、本発明者らは、Oxmの食欲減退効果が、GLP−1受容体についての増大した選択性を有するグルカゴン類似体によって模倣できるものと考えている。このため、オキシントモジュリンに類似した薬理効果を有するペプチドが使用できるが、グリカゴンのように短いペプチド主鎖を潜在的に有し、固相ペプチド合成介した産生を促進する。
【0006】
また、食欲減退効果を実証するためには、グルカゴンアンタゴニスト活性が必要であると考えられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
1−Z1−HSQGTFTSDYSKYLDRARADDFVAWLKST−Z2−R2
という式のグルカゴン類似体ペプチドにおいて、式中
1が水素、C1-4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
2がNH2又はOHであり;
1及びZ2が独立して存在しないか又は、Ala、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met、Har、Dbu、Dpr及びOrnからなる群から選択された1〜20個のアミノ酸単位のペプチド配列である、
グルカゴン類似体ペプチド、又はその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を提供する。
【0008】
本発明はさらに、対象に対し前記グルカゴン類似体ペプチドを投与する段階を含む、対象の体重減少を促進するか、あるいは体重増加を予防する方法を提供する。特定の実施形態においては、本発明は、肥満、食物摂取障害、メタボリック症候群及び非アルコール性脂肪肝の治療のためのこのペプチドの使用を提供する。
【0009】
また、対象の体重減少を促進するか、あるいは体重増加を予防するための医薬品の調製における前記グルカゴン類似体ペプチドの使用も提供される。
【0010】
本発明の方法及び使用はまた、グルカゴン類似体ペプチドをコードする核酸、かかる核酸を含む発現ベクター、及びかかる核酸又は発現ベクターを含有する宿主細胞にも拡大される。
【0011】
また、対象の体重減少を促進するか、あるいは体重増加を予防する方法において使用するための、記述された通りのグルカゴン類似体ペプチド、核酸、発現ベクター又は宿主細胞が提供される。
【0012】
また、医療の方法において使用するための、記述された通りのグルカゴン類似体ペプチド、核酸、発現ベクター又は宿主細胞が提供される。
【0013】
グルカゴン類似体ペプチドは、ヒトグルカゴンよりも高いGLP−1受容体選択性を有する。標準的には、それはグルカゴン類似体活性をも有する。すなわち、それはGLP−1/グルカゴンコアゴニストである。
【0014】
所与のいずれかのグルカゴン類似体ペプチドのGLP−1又はグルカゴン類似体活性は、GLP−1又はグルカゴン活性についての選択されたアッセイにおいてそのペプチドについてのEC50値を決定することによって定量化できる。当業者であれば充分承知している通り、EC50値は、特定のアッセイにおけるその化合物の最大活性の半分が達成される濃度の尺度である。本明細書中では、GLP−1又はグルカゴン類似体活性についてのアッセイにおけるEC50値は、それぞれEC50[GLP−1]及びEC50[Glu]と呼ばれる。異なる化合物についてのEC50の値が比較される場合、それらの値が、その他の点では同一である条件下での同じアッセイにおける関連する化合物の活性を説明するものと理解される。
【0015】
グルカゴン類似体ペプチドについてのEC50[Glu]/EC50[GLP−1]比は、グルカゴンについてのEC50[Glu]/EC50[GLP−1]比よりも大きいものであってよい。このことは、グルカゴン類似体ペプチドがグルカゴンに比べてGLP−1受容体に対するより大きな選択性を有することを意味するものと解釈できる。
【0016】
グルカゴン類似体ペプチドは、
H−HSQGTFTSDYSKYLDRARADDFVAWLKST−NH2
という式を有するか、又はその薬学的に許容される塩もしくは誘導体であってよい。
【0017】
本発明はさらに、本発明のグルカゴン類似体ペプチドをコードする核酸、かかる核酸を含む発現ベクター、及びかかる核酸又は発現ベクターを含有する宿主細胞を提供する。
【0018】
改善された化学的安定性及び生物学的活を有することができるグルカゴン類似体を提供するだけでなく、本発明はまた、治療を必要とする哺乳動物又はヒトにおける肥満予防及び/又は摂食削減活性を有する化合物を提供することにも関する。
【0019】
理論により束縛されること望むわけではないが、27位における置換がヒトグルカゴンとの関係において酸化安定性を改善できるものと考えられている。また、20、24及び28位における置換は、ヒトグルカゴンとの関係においてアミド分解安定性を増大し得る。従って、本発明のグルカゴン類似体は、野生型グルカゴンとの関係において、アミド分解及び/又は酸化的分解に対する増強された安定性を示すことができる。さらに、本発明のペプチドは、おそらくはヒトグルカゴンの17〜18位にある対アルギニン部位における置換に起因して、生体内分解に対する増強された安定性を示すことができる。
【0020】
さらなる態様においては、本発明は、担体との混合物において、本明細書中に定義されているグルカゴン類似体ペプチド又はその塩もしくは誘導体、かかるグルカゴン類似体ペプチドをコードする核酸、かかる核酸を含む発現ベクター、又はかかる核酸又は発現ベクターを含有する宿主細胞を含む組成物を提供する。好ましい実施形態においては、組成物は、薬学的に許容される医薬組成物であり、担体は薬学的に許容される担体である。グルカゴンペプチド類似体は、グルカゴン類似体の薬学的に許容される酸付加塩であってよい。
【0021】
記載されたグルカゴン類似体ペプチドは、体重増加を予防するか、あるいは体重減少を促進するために使用される。「予防する」という用語は、治療が無い場合に比べて体重増加を阻害又は削減することを意味し、必ずしも体重増加の完全な停止を意図するわけではない。かくして、これらのペプチドは、肥満の治療及び/又は予防、及び/又は、高トリグリセリド血症、低HDL−コレステロール、高アポリポタンパク質B、低密度LDL粒子、炎症状プロファイル、インスリン耐性、高インスリン血症、耐糖能異常、維維素溶解障害ならびに内皮機能不全及びミトコンドリア機能不全を特徴とするメタボリック症候群及び病的肥満の予防といったような、過剰体重によってひき起こされるか、あるいは過剰体重を特徴とするあらゆる身体状態の直接的又は間接的な治療のために使用できる。メタボリック症候群は、インスリン非依存性糖尿病、高血圧、動脈硬化及び冠状動脈性心臓病の有病率の増加と極めて強い関連性を有している。これらのペプチドは、食物摂取の減少及び/又はエネルギー消費の増加をひき起こし、その結果体重に対する効果が観察できる。
【0022】
上述のとおり、本発明は、任意にはその発現を導くための配列と組合せにおいて、上記核酸配列を含む発現ベクター、及びこの発現ベクターで形質転換された宿主細胞にまで拡大される。好ましくは、宿主細胞は、グルカゴン類似体を発現し分泌することができる。さらなる1態様においては、本発明は、グルカゴン類似体を産生する方法において、グルカゴン類似体を発現するために適した条件下で宿主細胞を培養する段階、及びこのように産生されたグルカゴン類似体を精製する段階を含む方法を提供する。
【0023】
本発明はさらに、治療に用いるための、本発明の核酸、本発明の発現ベクター、又は本発明のグルカゴン類似体を発現し分泌することのできる宿主細胞を提供する。この核酸、発現ベクター及び宿主細胞は、グルカゴン類似体自体で治療できる、本明細書中に記述されている障害のいずれかの治療のために使用できる。したがって、本発明のグルカゴン類似体を含む治療用組成物又は本発明のグルカゴン類似体の投与に対する言及は、前後関係からその他の別段の解釈が要求される場合を除いて、本発明の核酸、発現ベクター又は宿主細胞の投与を包含するものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ビヒクル、エキセンディン4アミド(1〜39)又は化合物1(H−HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS−NH2)(配列番号1)オキシントモジュリン又は化合物2(H−HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIA−OH)(配列番号2)及びペプチド又は化合物3(H−HSQGTFTSDYSKYLDRARADDFVAWLKST−NH2)(配列番号3)を用いて28日間皮下注射により処置された高脂肪給餌/高脂肪食(HFD)(DIO)マウスにおける体重増加を示す。食物を摂取した動物も、比較のために含まれている。
【図2】化合物3の体重削減効果が、経時的にオキシントモジュリン処置に匹敵する時間にわたり維持され、そしてエキセンディン4処置とは有意に異なることを示す。対照ペプチドは図1と同じである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
明細書及び請求項を通して、天然アミノ酸についての慣習的な1文字及び3文字コード、ならびにその他のα−アミノ酸、例えばアルコシン(Sar)、ノルロイシン(Nle)及びα−アミノイソ酪酸(Aib)について一般に認められている3文字コードが使用される。本発明のペプチド中の全てのアミノ酸残基は、好ましくはL−立体配置を有するものである。しかしながら、D−立体配置のアミノ酸も存在し得る。
【0026】
また、本発明のペプチドは、塩又はその他の誘導体の形態においても提供できることが理解される。塩には、酸付加塩及び塩基性塩といったような薬学的に許容される塩が含まれる。酸付加塩の例としては、塩酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩が含まれる。塩基性塩の例としては、カチオンがアルカリ金属、例えばナトリウム及びカリウム、アルカリ土類金属、例えばカルシウム及びアンモニウムイオン+N(R33(R4)から選択される塩が含まれ、ここでR3及びR4は独立して、任意に置換されたC1-6−アルキル、任意に置換されたC2-6−アルケニル、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたヘテロアリールを表す。薬学的に許容される塩のその他の例は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第17版、Ed Alfonso R Gennaro(編集)、Mark Publishing Company、Easton、PA、U S A 、1985年ならびにさらに最近の版、及びEncyclopaedia of Pharmaceutical Technologyに記載される。
【0027】
本発明のグルカゴン類似体のその他の誘導体には、金属イオン、例えばMn2+及びZn2+、エステル、例えば生体内加水分解性エステル、遊離酸又は塩基、水和物、プロドラッグ、又は脂質との配位錯体が含まれる。該技術分野の周知技術を用いて、化合物中に存在するヒドロキシル又はカルボン酸基と適切なカルボン酸又はアルコール反応パートナとの間でエステルを形成できる。該化合物のプロドラッグとしての誘導体は、生体内又は試験管内において親化合物の1つに転換できる。典型的には、少なくとも1つの化合物の生物活性は、該化合物のプロドラッグ形態において低下し、プロドラッグの転換により活性化され、該化合物又はその代謝産物を放出できる。プロドラッグの例としては、その場で除去されて活性化合物を放出するか、あるいは生体内の薬物のクリアランスを阻害するために役立ち得る保護基の使用が含まれる。
【0028】
該類似体は、例えばグルカゴン類似体ペプチドの立体構造及び/又は二次構造を安定化させるため、及び/又は例えば国際公開第99/46283号(WO99/46283)中で記述されているように酵素加水分解に対する耐性がより高いグルカゴン類似体ペプチドを作るために、3〜20個のアミノ酸の追加のN−又はC−末端ペプチド配列を含んでよい。これらの追加のN末端及びC末端ペプチド配列は、それぞれZ1及びZ2と称される。
【0029】
存在する場合には、Z1及びZ2は、各々独立して3〜20個又は4〜20個のアミノ酸残基、例えば4〜15個、より好ましくは4〜10個、特には4〜7個のアミノ酸残基、例えば4、5、6又は7個のアミノ酸残基、例えば6個のアミノ酸残基のペプチド配列を表わす。ペプチド配列Z内のアミノ酸残基の各々は、独立してAla、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met、Ornから選択され得る。好ましくは、アミノ酸残基はSer、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Orn及びMetならびに国際公開第01/04156号(WO01/04156)内で定義されている式Iに入るアミノ酸、例えばDbu(2,4ジアミノ酪酸)又はDpr(2,3−ジアミノプロパン酸)から選択され、より好ましくは、排他的にGlu、Lys及びMet、特にLysから選択されてよい。上述のアミノ酸はD−又はL−立体配置のいずれかを有してよいが、好ましくは上述のアミノ酸はL−立体配置を有する。特に好ましい配列Zは、4、5、6又は7個の連続するリジン残基(すなわちLys3、Lys4、Lys5、Lys6又はLys7)の配列、特に5個又は6個の連続するリジン残基の配列である。例示的な配列Zは、国際公開第01/04156号(WO 01/04156)中に示されている。
【0030】
一部の好ましい実施形態においては、Z1は存在しない。このような場合、Z2は存在してもしなくてもよい。Z1が存在する場合、R1はHであってよく、Z2が存在する場合、R2はOHであってよい。
【0031】
C末端(Z2)において存在する場合、この追加のペプチド配列は、典型的には、(配列Lys−Arg−Asn−Arg−Asn−Asn−Ile−Alaを有する)OXMのIP−1部分の対応する配列と25%以下の配列同一性を有する。
【0032】
別のポリペプチド配列(例えばグルカゴン、Oxm又はIP−1)に関する「アミノ酸配列同一性百分率(%)」は、2つが互いに整列された場合にもう一方のポリペプチドの対応する配列内の対応するアミノ酸残基と同一であるグルカゴン類似体ペプチド配列内のアミノ酸残基の百分率として計算され、必要な場合には、最適なアラインメントのためにギャップが導入される。
【0033】
1が存在する場合、R1はHであってよく、Z2が存在する場合、R2はOHであってよい。
【0034】
アゴニスト活性及び受容体選択性
本明細書に記載されているグルカゴン類似体ペプチドは、ヒトグルカゴンよりも高いGLP−1受容体選択性を有することができる。特定の実施形態においては、これらのペプチドは、ヒトグリカゴンよりも高いGLP−1アゴニスト活性を有することができる。
【0035】
BLP−1又はグルカゴン受容体への関連化合物の結合は、アゴニスト活性の指標として使用できるが、関連受容体に対する化合物の結合によって生じる細胞内シグナリングを測定する生物学的アッセイ法を用いることが好ましい。例えば、GLP−1及びグルカゴン受容体活性の両方をモニタリングするために、しばしば環状AMP(cAMP)の産生が用いられ、各受容体タイプに対するグルカゴン類似体ペプチドのアゴニスト活性を測定するために使用することができる。
【0036】
当業者は適切なアッセイ形式を知っているはずであり、以下にその例を供する。GLP−1−受容体及び/又はグルカゴン受容体は、実施例に記載される該受容体の配列を含んでよい。例えば、該アッセイでは、一次受入番号P47871(GI1346144)を有するヒトグルカゴン受容体(グルカゴン−R)及び/又は一次受入番号P43220(GI1169956)を有するヒトグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP−1R)が使用できる。(前駆体タンパク質の配列に言及されている場合、当然のことながら、シグナル配列が欠如している成熟タンパク質をアッセイに使用できることを理解すべきである)。
【0037】
EC50値は、アゴニスト活性の数値尺度として使用することができる。EC50値は、特定のアッセイにおいて化合物の最大活性の半分を達成するのに必要な化合物濃度の尺度である。したがって、特定のアッセイにおけるグルカゴンのEC50[GLP−1]よりも低いEC50[GLP−1]を有する化合物は、グルカゴンよりも高いGLP−1アゴニスト活性を有するものと考えてよい。
【0038】
GLP−1についての「より高い選択性」というのは、化合物のGLP−1アゴニスト活性対グルカゴンアゴニスト活性の比がグルカゴンよりも高いことを意味する。すなわち、特定のグルカゴンアゴニスト活性レベルについて、類似体は、グルカゴンよりも高レベルのGLP−1アゴニスト活性を示す。EC50値は活性に反比例することから、グルカゴン類似体ペプチドのEC50[Glu]/EC50[GLP−1]比は、グルカゴンのEC50[Glu]/EC50[GLP−1]比よりも大きいものであり得ることを意味する。
【0039】
特定の実施形態においては、グルカゴン類似体がヒトグルカゴンよりも高いGLP−1アゴニスト活性を有することが好ましい(したがって、ヒトグリカゴンのEC50[GLP−1]よりも低いEC50[GLP−1]を有し得る)。
【0040】
しかしながら、その他の実施形態において、GLP−1アゴニスト活性は、GLP−1/グルカゴンアゴニスト活性比がヒトグルカゴンよりも類似体より高いままである(すなわち、グルカゴンアゴニスト活性が相応して削減される)ことを条件として、ヒトグルカゴンと実質的に類似するか、あるいはそれよりも低いものであり得る。
【0041】
上述の通り、典型的には、グルカゴン類似体ペプチドもまた、グルカゴンアゴニスト活性を有する。すなわちGLP−1/グルカゴンコアゴニストである。
【0042】
グルカゴン類似体ペプチドは、ヒトグルカゴンと実質的に類似するグルカゴンアゴニスト活性を有し得る(実際、GLP−1アゴニスト活性が相応して増加することを条件として、より高い活性を有する)。しかしながら、グルカゴンアゴニスト活性はまた、食欲減退活性にとって充分であるかぎり、ヒトグルカゴンよりも低くてよい。
【0043】
安定性実験
当業者は、例えば以下の記載に基づき、グルカゴン類似体の分解産物の検出のための適切な方法(例えば定量的方法)を設計することができる。所与のいずれかのグルカゴン類似体におけるアミノ酸の同一性及び位置そしてpH、溶液及び温度などの条件に応じて、酸化、加水分解及びアミド分解として分解が生じる。化合物をストレス条件(すなわち分解を生じる確率の高い条件)下でインキュベートし、その後残留する無傷のペプチドの含有量について分析された時点で、化学的安定性にしたがい化合物をランク付けすることができる。さらに、ストレス条件下で得られた主要分解産物について得られた知識は、その後のあらゆる分析方法の開発にとって重要となる。
【0044】
グルカゴン類似体を検出するための定量アッセイ
当業者は、また、哺乳動物への投与後又は試験管内の細胞系の機能研究の一部として、グルカゴン類似体の吸収、分布、代謝及び排出を調査するために、複合環境又は溶液(例えば血漿、尿、組織ホモジネート、細胞ホモジネート、唾液など)中のグルカゴン類似体の検出方法(例えば定量的方法)を設計することができる。
【0045】
1実施形態においては、定量アッセイは、グルカゴン類似体又はそのフラグメントに対する抗体に基づくものであってよい。免疫された動物から得た抗体は、定量アッセイのために使用することができる。1つの例では、マルチウェル平板の中で固定化された分子の一部分の親和性を伴う第1の抗体を用いて、直接サイドイッチELISAを準備することができる。次に試料をウェルに適用し、第1の抗体によってグルカゴン類似体を捕捉させる。捕捉されたグルカゴン類似体は次に、グルカゴン類似体の別の部分についての親和性を伴う第2の抗体により認識される。第2の抗体は、酵素(ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はベータガラクトシダーゼ)又は放射性同位元素で標識することができる。このとき、捕捉されたグルカゴン類似体の量は、発色基質の添加又は電波放射の直接的計数によって、あるいはシンチレーションによって検出することができる。代替的には、第2の抗体に対する親和性を伴う標識された抗体を添加することによって、捕捉されたグルカゴン類似体の量を間接的に検出することが可能である。標本中の濃度は、既知のグルカゴン類似体量を含む外部標準曲線から得た応答から、推定することができる。代替的には、抗体類を用いて直接的競合免疫アッセイを準備することができ、ここでは、グルカゴン類似体に特異的な抗体がマルチウェル平板上に固定化され、試料は、予め定義された一定の濃度の標識されたグルカゴン類似体と共にウェル内でインキュベートされる。標識は、酵素、蛍光プローブ、放射性同位元素又はビオチンであってよく、例えば、酵素に特異的な基質(例えば発色基質、蛍光基質又は化学発光基質)、シンチレーション又は酵素に結合されたアビジンと、それに続く上述の検出を用いて検出できる。適切な方法により、結合した標識グルカゴン類似体の量を検出し、上述の外部標準曲線から得た応答から、試料中に存在するグルカゴン類似体の濃度が誘導できる。
【0046】
別の実施形態においては、定量アッセイは、液体クロマトグラフィタンデム質量分析法に基づくものであり得る。このような設定においては、研究対象のグルカゴン類似体に特異的なフラグメントからの応答は、不活性ガス(He又はAr)との衝突によって誘発される親化合物のフラグメント化の時点でモニタリングされる。フラグメント化に先立ち、試料の成分は逆相クロマトグラフィによって分離させることができ、そうでなければ、質量分析計内に直接試料を注入することができる。適切である場合には、試料を前処理(すなわちプロテアーゼ阻害物質の添加、タンパク質沈殿、固相抽出、イムノアフィニティ抽出など)に付すことができる。試料内に存在するグルカゴン類似体の濃度は、潜在的には研究すべきグルカゴン類似体に類似した内部標準を用いた応答の補正の後、上述の通りの外部標準曲線から得られた応答から誘導される。
【0047】
特異抗体の生成
グルカゴン類似体又はそのフラグメントに対する特異抗体は、哺乳動物の体内で誘発させて、血清から精製することができる。グルカゴン類似体又はフラグメントは、ウサギ、マウス又はその他の哺乳動物を免疫するため直接アジュバントと共に使用でき、あるいは担体分子(すなわちキーホールリンペットヘモシアニン、オボアルブミン、アルブミンなど)にグルカゴン類似体又はそのフラグメントを化学的に結合させて、アジュバントと共に注射することができる。注射は、抗体の親和性及び選択性を改善させるべく、長期間にわたり2〜4週間隔で反復することができる。血清から直接ポリクローナル抗体を回収することができる。モノクローナル抗体を得るためには、免疫された動物、好ましくはマウスから単離したB細胞を腫瘍細胞と融合させて抗体産生ハイブリドーマを形成させなくてはならない。適切なクローン及び抗体のスクリーニング及び選択は、固定化されたグルカゴン類似体又はそのペプチドのいずれかを用いて行うことができ、その後標識された抗抗体による検出が行なわれる。代替的には、スクリーニング及び選択は固定化された抗体に基づくものであってよく、その後、標識されたグルカゴン類似体又はフラグメントでの検出が行なわれる。いずれの場合でも、標識は放射性同位元素、酵素、蛍光プローブ又はビオチンであってよく、例えば酵素に特異的な基質(例えば発色基質、蛍光基質又は化学発光基質)、シンチレーション又は酵素に結合されたアビジンとそれに続く上述の通りの検出を用いて検出することができる。
【0048】
グルカゴン類似体の合成
固相又は液相ペプチド合成を用いて本発明の類似体を合成することが好ましい。これに関連して、国際公開第98/11125号(WO 98/11125)及びその他の数多くの文献において、Fields、GBら、2002年、「Principles and practice of solid-phase peptide synthesis」、 Synthetic Peptides(第2版)及び本明細書の実施例の参照が指示される。
【0049】
したがって、グルカゴン類似体は、多くの方法において合成することができ、例えば、
(a)固相又は液相ペプチド合成を用いてペプチドを合成し、このようにして得られた合成ペプチドを回収する段階;又は
(b)宿主細胞中でペプチドをコードする核酸構成体を発現し、宿主細胞培養から発現産物を回収する段階;又は、
(c)ペプチドをコードする核酸構成体の無細胞試験管内発現をもたらし、発現産物を回収する段階、を含む方法、あるいは
該ペプチドのフラグメントを獲得し、その後フラグメントをライゲートしてペプチドを得て、ペプチドを獲得するための、(a)、(b)及び(c)の方法の組合せを含む。
【0050】
したがって、遺伝子工学技術を開発することが有利である。このことは、ペプチドが充分に大きい(又は融合構成体として産生される)場合、及びペプチドが生体内でRNAから翻訳できる天然アミノ酸のみを含む場合にあてはまる。
【0051】
組換え型遺伝子工学の場合、本発明のペプチドをコードする核酸フラグメントは重要な化学産物である。したがって、本発明のさらなる態様は、本発明のグルカゴン類似体をコードする核酸配列を含む核酸分子を提供し、ここでペプチドは好ましくは天然アミノ酸によって構成される。本発明の核酸フラグメントは、DNA又はRNAのいずれかのフラグメントである。
【0052】
本発明の核酸フラグメントは通常、適切なベクター内に挿入されて、本発明の核酸フラグメントを担持するクローニング又は発現ベクターを形成する。かかる新規ベクターも同じく本発明の一部をなす。本発明のこれらのベクターの構築の詳細は、当業者に精通したものであり、かかるベクターの構築は当業者の能力範囲内に充分に入るものである。
【0053】
形質転換された細胞を用いて本発明のペプチドを生産するにあたっては、必須ではないが、発現産物を培地中に送り出す(分泌する)か、あるいは形質転換された細胞の表面に担持させることが好ましい。
【0054】
代替的には、ペプチドは、無細胞系内で試験管内において調製される。これは特に、ペプチドが推定宿主細胞にとって有毒である場合に好都合である。したがって本発明はまた、本発明のペプチドを調製するための無細胞試験管内翻訳/発現の使用を意図している。これに関連して、Ambion lnc 、2130 Woodward、Austin、TX 78744- 1832、USA製の市販の試験管内翻訳キット、材料及び技術文書への参照が指示される。
【0055】
最後に、当然のことながら、利用可能な方法を組合せて、例えば半合成類似体を調製することが可能である。このような設定においては、ペプチドフラグメントは、少なくとも2つの別々の段階又は方法とそれに続くフラグメントのライゲーションを用いて最終ペプチド産物を得ることによって調製される。
【0056】
医薬組成物及び投与
保管又は投与向けに調製され、かつ薬学的に許容される担体中で治療上有効な量の本発明のグルカゴンペプチド又はその塩もしくは誘導体を含む医薬組成物として、本発明のグルカゴン類似体又はその塩もしくは誘導体を調合してもよい。
【0057】
本発明の化合物の治療上有効な量は、投与経路、治療対象の哺乳動物のタイプ、及び考慮中の特定の哺乳動物の身体的特徴に左右される。これらの因子及びこの量の決定との関係は、熟練した医師にとっては周知のものである。この量及び投与方法は、最適な効能を達成するように調整可能であるが、医術当業者にとって周知である体重、食事、併用薬その他といった因子に左右される。
【0058】
グルカゴン類似体又はその塩が、適切な血糖コントロールを達成しなかった肥満及びインスリン非依存性糖尿病を患う人々(例えばメトホルミン、スルホニル尿素、グリニ度、DPP−IV阻害物質、グリタゾン、インスリン又は抗糖尿病薬の組合せでの治療を受けている人々)において血糖コントロールを改善し長期体重減少を誘発するため補助療法において有効量で存在する医薬組成物を提供することが、本発明の範囲内に入る。
【0059】
その上、神経ペプチドY(NPY)、アグーチ関連タンパク質(AGRP)、メラニン凝集ホルモン(MCH)、ヒポクレチン/オレキシン、グレリン、ガラニン、成長ホルモン−放出ホルモン(GHRH)、ジノルフィン、ベータ−エンドルフィン、ビーコン、26RFa、アジポネクチン、POMC、CART、ニューロテンシン(NT)、コレシストキニン(CCK)、コルチコトロピン−放出ホルモン(CRH)、ウロコルチン、チロトロピン−放出ホルモン(TRH)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、ガラニン様ペプチド(GALP)、PYY(3−36)、レプチン、神経ペプチドK(NPK)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、プロラクチン−放出ペプチド(PrRP)、ニューロメジンB、ニューロメジンU、神経ペプチドB(NPB)、NPW、ソマストスタチン、オキシトシン、ボンベシン、モチリン、エンテロスタチン、アミリン、オキシントモジュリン、ボンビナキニンB又はアルファ−MSHなどの1つ以上のその他の抗肥満剤と組合せてこのグルカゴン類似体又はその塩が投与される医薬組成物を提供することも、本発明の範囲内に入る。
【0060】
酸性部分を有する本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、有機及び無機塩基を用いて形成され得る。塩基を用いて形成される適切な塩としては、金属塩例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム又はマグネシウム塩;アンモニア塩及び有機アミン塩、例えばモルホリン、チオモルホリン、ピペリジンを用いて形成される塩;ピロリジン、モノ、ジ又はトリ低級アルキルアミン(例えばエチル−tert−ブチル−、ジエチル−、ジイソプロピル−、トリエチル−、トリブチル−又はジメチルプロピルアミン)、又はモノ、ジ又はトリヒドロキシ低級アルキルアミン(例えばモノ、ジ又はトリエタノールアミン)が含まれる。内部塩も形成されてよい。同様にして、本発明の化合物が塩基性部分を含有する場合、有機及び無機酸を用いて塩を形成させることができる。例えば、塩は、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩化水素酸、塩化臭素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びカンファースルホン酸ならびにその他の公知の薬学的に許容される酸から形成され得る。リジン、グリシン又はフェニルアラニンといったようなアミノ酸を用いて、アミノ酸付加塩を形成することもできる。
【0061】
医術の当業者にとっては明らかであるように、本発明のペプチド又は医薬組成物の「治療上有効な量」は、年令、体重及び治療対象哺乳動物の種、特定の投与様式及び所望の効果及び治療指標に応じて変動する。これらの因子及び治療上有効な量の決定にあたってのそれらの関係は、医術において周知であることから、病的肥満を含めた過剰体重又は肥満メタボリック症候群、インスリン非依存性糖尿病、高血圧、アテローム性動脈硬化、動脈硬化及び冠状動脈性心臓病ならびに本書で開示されているその他の医学的適応症を予防しかつ/又は治療するという所望の結果を達成するのに必要な量は、当業者の領域内に入る。
【0062】
本明細書で使用する「治療上有効な量」というのは、所与の身体条件又は病状の症候を削減する量そして好ましくは、この身体条件又は病状を有する個体における生理学的応答を正常化する量である。症候の削減又は生理学応答の正常化は、該技術分野において日常的である方法を用いて判定可能であり、所与の身体条件又は病状に応じて変動し得る。1つの態様においては、グルカゴン類似体又は医薬組成物類似体の治療上有効な量は、測定可能な生理学的パラメータを、身体条件及び病状をもたない個体におけるこのパラメータの実質的同一値まで(好ましくはその値の+30%以上内まで、より好ましくは±20%以内まで、そしてさらに一層好ましくは10%以内まで)回復させる量である。
【0063】
本発明の1実施形態においては、本発明の化合物又は医薬組成物の投与は、より低い投薬量レベルで開始され、投薬量レベルは、関連する医学的適応症、例えば病的肥満を含めた過剰体重又は肥満、メタボリック症候群、インスリン非依存性糖尿病、高血圧、アテローム性動脈硬化、動脈硬化、及び冠状動脈性心臓病などを予防/治療するという所望の効果が達成されるまで、増大される。これによって治療上有効な量が定義されるものと思われる。単独又は医薬組成物の一部としての本発明のペプチドについては、かかる用量は体重1kgあたり約0.01mg〜100mg、例えば約0.01mg〜10mg、例えば10〜100μgであってよい。
【0064】
治療的用途のためには、選択されたグルカゴン類似体は、薬学的に許容されかつ選択された投与経路によってペプチドを送達するのに適した担体を用いて調合される。本発明に関しては、末梢非経口経路には、静脈内、筋内、皮下及び腹腔内投与経路が含まれる。本発明において使用される一部の化合物は、経口、直腸、鼻腔内又は下気道経路による投与に敏感に反応する可能性もある。これらはいわゆる非腸管外経路である。本医薬組成物は、本発明のグルカゴン類似体又はその塩もしくは誘導体、及び薬学的に許容される担体を含む。適切な薬学的に許容される担体は、希釈剤、賦形剤などのペプチドベースの薬物と共に従来使用されたものである。治療的用途のための薬学的に許容される担体は、薬学的技術分野において周知であり、例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co (A R Gennaro 編、1985年)中で記述されている。例えば、わずかに酸性の又は生理学的なpHの無菌食塩水及びリン酸緩衝生理食塩水を使用してもよい。pH緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トリス/ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、重炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、好ましい緩衝液であるヒスチジン、アルギニン、リジン又は酢酸塩あるいはそれらの混合物であってよい。好ましい緩衝範囲は、pH4〜8、pH6.5〜8、より好ましくはpH7〜7.5である。防腐剤、例えばパラ、メタ、及びオルト−クレゾール、メチル−及びプロピルパラベン、フェノール、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ベンジル、ソルビン酸、プロパノイン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステルを、医薬組成物中に提供してもよい。酸化、アミド分解、異性化、ラセミ化、環化、ペプチド加水分解を予防する安定剤、例えばアスコルビン酸、メチオニン、トリプトファン、EDTA、アスパラギン、リジン、アルギニン、グルタミン及びグリシンを、医薬組成物中に提供してもよい。凝集、フィブリル化及び沈殿を予防する安定剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、シクロデキストリンを、医薬組成物中に提供してもよい。可溶化のため又は凝集を予防するための有機改質剤例えばエタノール、酢酸又はアセテート及びその塩を医薬組成物中に提供してもよい。等張性付与物質例えば塩、例えば塩化ナトリウム又は最も好ましくは炭水化物例えばデキストロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロース又はそれらの混合物を、医薬組成物中に提供してもよい。
【0065】
Tween20、Tween80、SDS、ポロキサマー例えばPluronic F-68、Pluronic F-127、などの洗浄剤を、医薬組成物中に提供してもよい。染料さらには着香剤を医薬組成物に提供してもよい。別の実施形態においては、グルカゴンペプチド類似体の薬学的に許容される酸付加塩が提供される。懸濁剤を使用してもよい。
【0066】
有機改質剤例えばエタノール、第3級ブタノール、2−プロパノール、エタノール、グリセロール、ポリエチレングリコールを、凍結乾燥製品の凍結乾燥のための医薬調合物中に提供してよい。充填剤及び等張性付与物質例えば塩、例えば塩化ナトリウム、炭水化物例えばデキストロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロース又はそれらの混合物、アミノ酸例えばグリシン、グルタミン酸塩又は賦形剤例えばシステイン、レシチン又はヒト血清アルブミン又はその混合物を、凍結乾燥用医薬組成物中に提供してもよい。
【0067】
本発明の医薬組成物は、経口投与向けの錠剤、カプセル、又はエリキシル剤;直腸投与向けの座薬;注入可能な投与向けの好ましくは無菌溶液又は無菌粉末又は懸濁液などとして調合され使用されてよい。用量及び投与方法は、最適な効能を達成するべく調整され得るが、医術の当業者が認める体重、食事、併用薬、その他の因子といった因子に左右される。
【0068】
投与が、静脈内及び皮下といったような非経口投与となる場合、例えば毎日のベースで、注入可能な医薬組成物を、水溶液又は懸濁液のいずれかとして;使用直前に再構成する又は注入に先立ち懸濁させるのに適した凍結乾燥された固体形態として;又はエマルジョンとしての従来の形態で調製することができる。本発明のペプチドのための投与計画は、末梢皮下又は鼻腔内とすべきであると想定されている。凍結乾燥製品の再構成のための希釈剤は、以上のリストからの適切な緩衝液、水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、塩酸システイン;又は、洗浄剤例えばTween20、Tween80、プロキサマー例えばPluronic F-68又はPluronic F-127;ポリエチレングリコールの添加を伴う及び/又は防腐剤、例えばパラ−、メタ−、及びオルト−クレゾール、メチル−及びプロピルパラベン、フェノール、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ベンジル、ソルビン酸、プロパノイン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステルの添加を伴う、及び/又は有機改質剤、例えばエタノール、酢酸、クエン酸、乳酸及びそれらの塩の添加を伴う注入用水であってよい。
【0069】
さらに、望ましい場合には、注入可能な医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤又はpH緩衝剤を含有していてよい。吸収促進調製物(例えばリポソーム、洗浄剤、及び有機酸)を利用してもよい。
【0070】
本発明の1実施形態においては、化合物は、例えば完全非経口栄養療法を受ける患者のための液体栄養サプリメントとして使用される場合には輸液による投与向け、又は例えば皮下、腹腔内又は静脈内といった注入による投与向けに調合され、したがって、無菌及び無発熱物質形態の水溶液として使用され、任意には、例えばわずかに酸性のpH又は生理的pHなどの生理学的に許容可能なpHに緩衝される。筋内投与向けの調合物は、植物油、例えば菜種油、トウモロコシ油又は大豆油中の溶液又は懸濁液をベースとしていてよい。これらの油性調合物は、例えばBHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)及びBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)などの酸化防止剤によって安定化されてよい。
【0071】
したがって本ペプチド化合物は、蒸留水といったビヒクル中又は生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、5%デキストロース溶液又は油中で投与されてよい。グルカゴン類似体の溶解度は、望ましい場合、溶解度増強剤例えば洗浄剤及び乳化剤を取込むことによって増強され得る。
【0072】
所望の作用部位まで徐放されるよう、注入部位又はその近傍にグルカゴン類似体を貯留させるのに役立つ量のゼラチンと共に、注入物質としての使用のために水性担体又はビヒクルを補足することができる。ヒアルロン酸といったような代替的ゲル化剤も、デポー剤として使用可能である。
【0073】
本発明のグルカゴン類似体は、グルカゴンペプチド類似体の長時間及び持続型投与のための徐放性移植デバイスとして調合されてもよい。かかる持続放出調合物は、体外で体の上に位置づけされるパッチの形をしていてよい。持続放出調合物の例としては、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、シアル酸、ケイ酸塩、コラーゲン、リポソームなどといったような生体適合性あるポリマーの複合材料が含まれる。持続放出調合物は、本発明のグルカゴン類似体の高い局所的濃度を提供することが望ましい場合に特に有利であり得る。
【0074】
グルカゴン類似体は、単位用量又は複数回用量のいずれかの量で薬学的に充分な量のペプチドを含有する無菌充填バイアル又はアンプルの形で利用されてよい。バイアル又はアンプルは、直ちに投与できる調合物として、グルカゴン類似体及び所望の担体を含んでいてよい。代替的には、バイアル又はアンプルは、無菌水又はリン酸緩衝生理食塩水などの適切な担体中での再構成に適した、凍結乾燥形態といった形でグルカゴンペプチドを含んでいてよい。
【0075】
注入可能な調合物の代替案として、グルカゴン類似体をその他の経路による投与向けに調合してもよい。錠剤、カプセルなどといった経口剤形を、標準的な薬学的実践方法にしたがって調合することができる。
【0076】
エンハンサ例えばキトサン又は洗浄剤例えばTween20、Tween80、ポロキサマー例えばPluronic F-68、Pluronic F-127、Brij 35、Brij 72、Cremophor ELの添加を伴って、経鼻剤形を調合することができる。
【0077】
患者の治療に最も適した治療用投薬及び投薬計画は、当然のことながら、治療すべき疾病又は身体条件に応じて、及び患者の体重及びその他のパラメータにしたがって変動する。いずれかの特定の理論によって束縛されることを望まずに、μg/kg範囲で表わした用量及び治療の持続時間の長短又は頻度が、治療上有用な結果を生み出し得ると予想されている。一部のケースでは、治療用投薬計画には、初期治療の停止の後に起こる組織退行を予防するのに適した維持用量の投与が含まれていてよい。ヒトでの用途に最も適した投薬量サイズ及び投薬計画は、本発明によって得られた結果を指針としてよく、適切に設計された臨床試験において確認されてよい。
【0078】
有効投薬量及び治療プロトコルは、実験動物における低用量から出発して次に効果を監視しながら投薬量を増大させ、系統的に投薬量投薬計画を変動させて、従来の手段によって決定されてよい。所与の対象についての最適な投薬量を決定する場合、臨床医は数多くの因子を考慮に入れてよい。かかる考慮事項は、当業者にとって公知である。
【0079】
本発明にしたがったグルカゴンペプチドのヒト用量は、1つの実施形態において、一日体重1kgあたり約0.1μgから約10mg又は10μg〜10mgであってよい。
【0080】
医学的身体条件
本発明のペプチドは、体重増加を予防するか又は体重低下を促進するための薬剤として有用である。したがって、これらのペプチドは、病的肥満を含めた過剰体重又は肥満、メタボリック症候群、インスリン非依存性糖尿病、高血圧、アテローム性動脈硬化、動脈硬化及び冠状動脈性心臓病を患う個体を治療するために有用である。
【0081】
結合アッセイ
hグルカゴン−R又はhGLP−1−Rのいずれかを発現する細胞から調製された膜を、100μlの結合緩衝液(25mMのHEPES、2.5mMのCaCl2、1mMのMgCl2、及び0.1%のBSA、pH7.4)中の漸増濃度(10-12〜10-8M)のテストペプチドの存在下又は不在下で、30〜100pMの[125I]GLP−1、[125I]グルカゴンと共にインキュベートする。1μMのグルカゴン又はGLP−1で、非特異的結合を定義する。37℃で30分間、アッセイ混合物をインキュベートし、その後、使用前に少なくとも120分間0.5%のポリエチレニミン中に予備浸漬されたUnifilters(GF/C)上で高速ろ過する。フィルタを緩衝液で3回洗浄し、60℃で90分間乾燥し、シンチレーションカクテルの存在下でTop Countシンチレーションカウンタ内で計数する。IC50値を、コンピュータ支援曲線適合法によって推定する。
【0082】
ヒトグルカゴン及びGLP−1受容体を発現する細胞系統の生成
ヒトグルカゴン受容体(グルカゴン−R)(一次受入番号P47871)又はヒトグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP−1R)(一次受入番号P43220)のいずれかをコードするcDNAを、それぞれcDNAクローンBC104854(MGC:132514/IMAGE:8143857)又はBC112126(MGC:138331/IMAGE:8327594)からクローニングした。グルカゴン−R又はGLP−1−RをコードするDNAを、サブクローニングのために末端制限部位をコードするプライマを用いるPCRにより増幅させた。5’末端プライマはさらに、効率の良い翻訳を確保するため近コザック(near Kozak)コンセンサス配列をコードした。グルカゴン−R又はGLP−1−RをコードするPCR産物を哺乳動物発現ベクター内へサブクローニングさせた。DNA配列決定によって、グルカゴン−R及びGLP−1−RをコードするDNAの忠実度を確認した。哺乳動物発現ベクターはさらにG418耐性についてコードすることから、トランスフェクションを受けた細胞を、G418を用いて選択圧力を加えることによって選択してよい。G418耐性を示す細胞は、グルカゴン−R又はGLP−1−Rを発現する確率が最も高い。
【0083】
グルカゴン−R又はGLP−1−Rをコードする哺乳動物発現ベクターを、標準的リン酸カルシウムトランスフェクション方法によってHEK293細胞内にトランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後に、限定希釈クローニングのために細胞を播種し、培地内で1mg/mlのG418を用いて選択した。3週間後に、グルカゴン−R及びGLP−1−Rを発現する細胞の12の存続するコロニーを採取し、増殖させ、以下で記述する通りグルカゴン−R及びGLP−1−R効能アッセイにおいてテストした。化合物プロファイリングのために、1つのグルカゴン−R発現クローンと1つのGLP−1−R発現クローンを選択した。
【0084】
グルカゴン受容体及びGLP−1受容体効能アッセイ
0.01%のポリ−L−リジンをコーティングした96−ウェルのマイクロタイター平板中1ウェルあたり40,000個の細胞の割合で、hグルカゴン−R又はhGLP−1−Rを発現するHEK293細胞を播種し、100μMの成長培地内での培養において1日成長させる。分析の日に、成長培地を除去し、細胞を200μlのTyrode緩衝液で一回洗浄する。漸増濃度のテストペプチド、100μMのIBMXそして6mMのグルコースを含有する100μlのTyrode緩衝液の中で最高15分37℃で細胞をインキュベートする。25μlの0.5MのHClを添加することによって反応を停止させ、60分間氷上でインキュベートする。cAMP含有量を、Perkin-Elmer製のFlash Plate(登録商標)cAMPキットを用いて推定する。コンピュータ支援曲線適合法により、EC50及び相対的効能を推定する。
【0085】
我々は、
H−HSQGTFTSDYSKYLDRARADDFVAWLKST−NH2(化合物3)
をテストし、GluR:7.3pM(SD1.9)及びGLP1R:9.3pM(SD1.5)というEC値を得、その比は1.27であった。
【0086】
ヒトグルカゴンについて得られた対応する値は、GluR:0.0905nM及びGLP1R:2.5nMであり、0.038というEC50[Glu]/EC50[GLP−1]比を得た。
【0087】
ヒトオキシントモジュリンについて得られた対応する値は、GluR:0.7759nM及びGLP1R:2400nM(SD1.5)であり、0.32というEC50[Glu]/EC50[GLP−1]比を得た。
【0088】
化合物3の再試験の時点で得られたEC50値は、GluR:0.49nM及びGLP−1R:0.23であり、2.13というEC50[Glu]/EC50[GLP−1]比を得た。
【0089】
食餌性肥満(DIO)マウスにおける食物摂取及び体重に対するグルカゴン/GLP−1コアゴニストの効果
効果的なグルカゴン/GLP−1受容体アゴニストを、高脂肪食(HFD)、すなわち60%の高脂肪食(Cat. No. D12492:タンパク質20%、炭水化物20%及び脂肪60%、5.2kcal/g;Research Diets, New Jersey, USA)に保った9〜15週令の40C57BI/6J雄マウスについて、4週間テストする。高脂肪食は、大豆油(25/773.85g)及びラード(245/773.85g)を含んでいる。
【0090】
DIO−マウスを、一日2回ボーラス投与(皮下)により2〜4週間ビヒクル又はコアゴニストで処置する。実験全体を通して毎日体重を監視する。実験期間の終りで、動物を屠殺し、食欲、食物摂取、体重及びエネルギー収支の調節に関与した一定範囲のホルモン及びペプチド及び糖化ヘモグロビンの分析のため、血液を収集する。さらに、副睾丸/生殖腺周囲脂肪体(perigonodol fat)及び後腹膜脂肪(WAT)ならびに、肩甲骨内褐色脂肪組織(BAT)を切除し、秤量した。
【実施例】
【0091】
グルカゴン/GLP−1コアゴニストH−HSQGTFTSDYSKYLDRARADDFVAWLKST−NH2(化合物3)及び対照ペプチドエキセンディン(Exendin)−4(化合物1)及びオキシントモジュリン(化合物2)の、食餌性肥満(DIO)マウスにおける体重に対する効果
化合物3、エキセンディン−4及びオキシントモジュリンを、高脂肪食(HFD)、すなわち60%の高脂肪食(Cat. No. D12492:タンパク質20%、炭水化物20%及び脂肪60%、5.2kcal/g;Research Diets, New Jersey, USA)に保った11〜14週令の10C57BI/6J雄マウスについて、4週間テストした。高脂肪食は、大豆油(25/773.85g)及びラード(245/773.85g)を含んでいた。全てのペプチドは、例えば国際公開第98/11126号(WO 98/11126)及び国際公開第99/46283号(WO 99/46283)中で記述されている通り、固相ペプチド合成にしたがって製造された。実験中で使用したペプチドは、以下のような分析データを有する。
【0092】
【表1】

【0093】
2週間、一日一回100μlのビヒクル(PBS)で環境順化処置を施した後、DIOマウスを、一日2回ボーラス投与(皮下)により4週間ビヒクル、対照ペプチド、又は化合物3で処置した。実験全体を通して毎日体重を監視した。実験期間の終りで、動物を屠殺し、食欲、食物摂取、体重及びエネルギー収支の調節に関与した一定範囲のホルモン及びペプチド及びグリコシル化ヘモグロビンの分析のため血液を収集した。
【0094】
薬物処置を開始する前に、動物を、類似の平均体重(BW)をもつ各々10匹ずつの複数のグループに動物を分け、眼の血液試料(1ml(EDTA))を全ての動物(10週令)から得た。7、8、9及び10週目に(11、12、13、及び14週令)、マウスをエキセンディン−4、オキシントモジュリン、化合物3又はビビクルで毎日2回皮下で処置した。非肥満/非糖尿病対照グループとして役立つように、1つの動物グループを普通食に維持した。動物の取扱いストレスを他のグループに匹敵するものにするため、これらの動物を、試験対象のペプチドと同じ投薬計画においてPBSで処置した。研究全体を通して、体重を毎日獲得し、これらを用いて薬物の用量を計算した。注入すべき全ての溶液を、PBS中で同じpHレベル(pH6.5)に調整した。日々の注入は、同日に調製した新鮮な溶液を用いて、午前8時〜8時30分の間と午後16時〜16時30分の間に行なった。屠殺に先立ち、眼の血液試料(1ml(EDTA))を得た。全ての動物を実験の終了時点で、麻酔(Hyprorm(登録商標)−Dormicum(登録商標))下での頸椎脱臼により屠殺した。
【0095】
図1は、28日間ビヒクル、エキセンディン−4アミド(1〜39)(化合物1、H−HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS−NH2)、オキシントモジュリン(化合物2、H−HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIA−OH)及びペプチド化合物3を用いて皮下で処置した高脂肪食の補給を受けた(DIO)マウスにおける体重増加を示す柱状図表である(食物を摂取する動物が比較のため含み入れられる)。この図は、化合物3の一日2回の500nmol/kgの皮下ボーラス投与が、オキシントモジュリン治療に匹敵する体重増加の減少をもたらすことができる(*ビヒクルHFDに比べP<0.05(チューキー事後試験)ということを示している。図2は、化合物3(図1中と同じ対照ペプチド)の体重削減効果が、オキシントモジュリン処置に匹敵しかつExendin-4での処置とは著しく異なって経時的に持続することを示す図表である。
【0096】
上述の例示的実施形態と併せて本発明について記述してきたが、この開示が与えられた場合に、当業者には数多くの等価の修正及び変形形態が明らかになるであろう。したがって、ここで記された本発明の例示的実施形態は、一例であって限定的な意味がないものであるとみなされる。記述された実施形態に対するさまざまな変更を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行なうことができる。本明細書中に引用されている全ての文書は、参考により明示的に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−Z1−HSQGTFTSDYSKYLDRARADDFVAWLKST−Z2−R2
という式の化合物において、式中
1が水素、C1-4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
2がNH2又はOHであり;
1及びZ2が独立して存在しないか、あるいはAla、Leu、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Asp、Glu、Lys、Arg、His、Met、Har、Dbu、Dpr及びOrnからなる群から選択された1〜20個のアミノ酸単位のペプチド配列である、
化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは誘導体。
【請求項2】
1−HSQGTFTSDYSKYLDRARADDFVAWLKST−R2
という式を有し、式中、
1が水素、C1-4アルキル(例えばメチル)、アセチル、ホルミル、ベンゾイル又はトリフルオロアセチルであり;
2がNH2又はOHである、
請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは誘導体。
【請求項3】
H−HSQGTFTSDYSKYLDRARADDFVAWLKST−NH2
という式の請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは誘導体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物をコードする核酸。
【請求項5】
請求項4に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項6】
請求項4に記載の核酸又は請求項5に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項7】
薬学的に許容される担体との混合物において、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、核酸、発現ベクター又は宿主細胞を含む医薬組成物。
【請求項8】
体重増加を予防するか又は体重減少を促進するための医薬の調製における、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、核酸、発現ベクター又は宿主細胞の使用。
【請求項9】
医学的治療方法において使用するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、核酸、発現ベクター又は宿主細胞。
【請求項10】
体重増加を予防するか又は体重減少を促進する方法において使用するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、核酸、発現ベクター又は宿主細胞。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−529849(P2010−529849A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511724(P2010−511724)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002041
【国際公開番号】WO2008/152403
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(502453045)ジーランド ファーマ アクティーゼルスカブ (13)
【Fターム(参考)】