説明

グルコース代謝障害のスクリーニング方法

【課題】 グルコース代謝障害のルーチンおよび早期発見のための速やかで、便利な、および経済的な方法を提供すること。
【解決手段】 耐糖能障害および糖尿病のようなグルコース代謝障害のスクリーニングの方法は、心臓血管疾患、網膜症、および主な臓器と系の他の障害のような糖尿病の合併症の予防、または早期発見および治療を可能にする。数学的アルゴリズムは、被験者のグルコース・プロフィールの形を評価し、および各クラスタが、正常状態、またはいくつかの異常状態の1つの何れかに対応する、いくつかの予め決められたクラスタのうちの1つにそのプロフィールを分類する。グルコース耐性曲線を構成する血中グルコース値のシリーズは、侵襲性、最小侵襲性、および非侵襲性のタイプを含む任意のグルコース・アナライザを使用して測定されることが可能である。この方法は、この方法のステップを実行するようにプログラムされた処理デバイス上で実行される。スクリーニングの結果に従い、被験者には、彼らの健康状態に関して更なる情報が提供され、および/または、更に彼らの医療提供者と相談するように助言されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に血液および組織検体の測定に関する。特に本発明は、グルコース代謝障害のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、体が、インスリンを作り出さない、または適切に使用しない慢性かつ不治の疾患である。インスリンは、グルコースが体の細胞に入り、かつエネルギーのために利用されることを可能にするホルモンである。糖尿病の原因は、まだ知られていないが、遺伝的要因と肥満および運動不足のような環境要因との両方が関係していると思われる。糖尿病のある人は、心臓血管疾患並びに網膜症および神経疾患のリスクが高い。糖尿病患者人口においてグルコース・レベルを正常血糖またはわずかな高血糖レベルに厳しくコントロールすることは、網膜症、腎症、および神経疾患の遅発性発症および遅い進行に結果としてなることが、示された。(非特許文献1参照)
インスリンが充分に利用されないと、グルコースは、細胞内に運ばれる代わりに、血流中で高まる。体は、血液中で循環しているグルコースのレベルが増加しているにもかかわらずエネルギーのためにグルコースを使用することができない。初期のグルコース上昇は、症状を引き起こさない可能性がある。後で、上昇は、疲労、過剰な渇き、利尿、および空腹感の症状を引き起こす可能性がある。これらの症状は、漠然としたものであり、かつ医療提供者に報告されないことが多い。現行の診断用試験手順が、整っていない、または医療外来では都合が悪いので、多くの人々は、その疾患の適切な処置なしで、何年も、血糖値の上昇を知らないままである。
【0003】
糖尿病には、3つの主要なタイプがある:(タイプI、タイプII、および妊娠性)
タイプI−インスリン依存性糖尿病(IDDM)-若年発症糖尿病としても公知である
タイプIの糖尿病は、体自身の免疫系が、インスリンを作り出す膵細胞を破壊する自己免疫性疾患である。この疾患は、あらゆる年齢で発症する可能性があるが、多くの場合30歳未満の人々に発症する。タイプIの糖尿病は、全ての糖尿病患者の約10パーセントを占める。症状は、通常、重症であり、かつ急速に進展する。この状態の人は、生きている状態を保つために、毎日インスリンの服用を必要とする。タイプIの糖尿病の正確な原因が知られていないにもかかわらず、遺伝的特質、膵臓を傷つけるウイルス、および体の免疫系によるインスリンを作る細胞の破壊が、原因的な役割を果たす可能性がある。
【0004】
タイプII−インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)−成人発症糖尿病としても公知である
タイプIIの糖尿病は、通常、相対的なインシュリン欠乏と組み合わされたインスリンを適切に使用することができない、インスリン抵抗性として知られる代謝異常に起因して発症する。この型の糖尿病は、ケースの約90パーセントを占める、もっとも一般的な糖尿病である。以下のカテゴリの人々は、タイプIIの糖尿病を発症する、より高いリスクにある:
・45歳を超えている;
・糖尿病の家族歴;
・過体重;
・定期的運動の不足;
・低いHDLコレステロール
・高い中性脂肪;
・或る人種および民族集団;および
・妊娠糖尿病にかかった女性。
【0005】
妊娠糖尿病
米国糖尿病協会によれば、妊娠糖尿病(GDM)は、この状態が、妊娠の後、持続するか否かにかかわらず、妊娠中に発症または最初の認識を伴うグルコース不耐性として定義される。それは、認識されないグルコース不耐性が、妊娠に先だち、または同時に始まったかもしれないという可能性を除外しない。(非特許文献2参照)
GDMに対するリスク判定は、以下のリスクが高い人に対して妊娠24〜28週に行われる検査により、最初の出産前小児保健指導で行われるべきである:
・年齢>25歳;
・過体重または肥満;
・GDMの高い罹患率を有する人種集団のメンバー;
・糖尿病の家族歴;
・死産または高出生体重児の経歴;または
・過去の妊娠糖尿病。
【0006】
糖尿病罹患率および傾向
全ての妊娠の約7パーセントは、GDMを併発し、毎年20万を超える患者が発生する。罹患率は、研究される人口および使用される診断検査に応じて、全ての妊娠の1〜14パーセントの範囲にわたる可能性がある。
【0007】
世界保健機構は、糖尿病が世界中で現在1億5400万の人々を悩ませており、その人のうちの5400万人は先進諸国に住んでいると推定している。彼等は、また、糖尿病をもつ人々の数が2025年までに世界中で3億人に増えると予測している。
【0008】
1,570万人ものアメリカ人、または人口の5.9%は、糖尿病であり、これらの人々のうちの約540万人が、診断未確定である。糖尿病をもつアメリカ人の数は、1年につき9パーセントの割合で増えていると最近推定された。
【0009】
米国において、診断された糖尿病の成人の罹患率は、1999年に、6パーセントだけ増加し、および全国的に1990年と1998年の間、33パーセント上昇した。アメリカでは、毎年、新患が約80万いる。
【0010】
タイプIIの糖尿病に対するリスクは、年齢と共に増加する。65歳以上のアメリカ人口の推定18パーセントが糖尿病を有する。
【0011】
糖尿病を患う何百万ものアメリカ人に加えて、更に2000万〜3000万のアメリカ人が耐糖能障害(IGT)を患うと推定される。65歳以上のアメリカの人口の約25パーセントが、IGTを患う。
【0012】
耐糖能障害
アメリカ国民の11パーセントがこの状態を有すると推定される。耐糖能障害は、正常なグルコース代謝およびタイプIIの糖尿病の間の中間の状態として見られる可能性がある。耐糖能障害、別名糖尿病前症は、血糖値が正常なものより高いが、糖尿病の診断基準を満たさない状態である。IGTのある人は、5年以内で糖尿病を発症する5倍のリスクを有する。しかしながら、Diabetes Prevention Studyは、早期発見および介入が、糖尿病の発症を遅延、または防ぐ可能性があることを示した。また、最近、IGTの人が心臓血管疾患および死に対してより高いリスクであることがわかった。このリスクは、Whitehall Study、Paris Prospective StudyおよびHelsinki Policeman Studyにおいて評価され(非特許文献3参照)、かつ糖尿病のある人におけるより、より大きいことがわかった。IGTの早期発見および治療によって、心血管リスクを軽減する戦略並びに糖尿病予防策が、遂行されると仮定することは、合理的である。糖尿病の予防策または早期治療は、腎疾患、神経疾患、失明、糖尿病性ケトアシドーシスおよびより短い寿命のような、糖尿病合併症を減らす追加された利点を有するであろう。これらの理由により、IGTの早期発見は、我々人口の公衆衛生にきわめて重大である。
【0013】
高インスリン血症(食後の反応性低血糖症)
食後の反応性低血糖症は、症状が、空腹時状態に対する食事刺激への反応として、食事の後、発生する医学的状態である。血糖値は、通常、約90〜110 mg/dLであるが、低血糖症の場合、それらは、通常、50 mg/dL未満であり、および35 mg/dLもの低さになる可能性がある。
【0014】
この症状には、2つの原因がある:(1) アドレナリン放出、および(2) 神経系のグルコース欠乏。低血糖は、アドレナリンの放出を刺激し、それによって不安定、発汗、空腹感苦痛、神経過敏、および過敏性が生じる。脳は、充分な糖を受けとらず、および一般に報告された症状は、頭痛、精神的倦怠、および疲労である。もし血糖値があまりに低く低下するならば、人は、混乱し、視力の問題をかかえ、発作を起こし、または意識不明にさえなる可能性がある。
【0015】
異常な反応の原因は、膵臓における第1相対第2相インスリン放出機序から生じることが理論づけられている。第1相放出は、血中グルコース・レベルの速やかな増加を可能にして減少する。その後に、低血糖レベルまでグルコースの劇的な低下を引き起こす過剰反応の第2相放出が続く。反応性低血糖症をもつ一部の人々は、進行して糖尿病を発症する。
【0016】
糖尿病および耐糖能障害の悪い臨床効果
多くの人々が、彼らがその致命的な合併症のうちの1つを発症するまで、彼らが疾患を有することを知らないので、糖尿病および耐糖能障害は、「サイレントキラー(silent killer)」と呼ばれている。糖尿病の合併症は、網膜症、神経疾患、および心臓血管性の問題を含む(非特許文献4)。
【0017】
心疾患および発作:
糖尿病をもつ人々は、心疾患を有する、または発作を受ける可能性が2〜4倍多い。加えて、心疾患は、糖尿病が関係する死の75パーセントに存在する。
【0018】
腎疾患:
長期の高血糖症は、過剰な血液をフィルタリングしている腎臓に帰着する。この余分の働きは、小さいリークになる。タンパク質は、尿に失われる。尿の少量のタンパク質は、ミクロアルブミン尿症であり、一方、より高濃度は、タンパク尿症またはマクロアルブミン尿症である。過労もまた、腎臓のフィルタリング能力を減弱させ、末期腎疾患に最終的に導く。糖尿病を有する誰でもが腎疾患を発症するというわけではない一方、糖尿病は、末期腎疾患の主要な原因であり、毎年新患の約40パーセントを占める。全ての糖尿病患者の10から20パーセント間では、糖尿病性腎障害に起因する腎疾患を発症し、かつ生きている状態を保つために、透析または生体腎臓の移植を必要とする。
【0019】
神経障害(神経疾患および切断):
糖尿病の共通の合併症は糖尿病性神経障害である。それは、末梢神経、特に指先および足指の末梢神経に影響を及ぼす神経疾患のグループである。糖尿病患者のおよそ3分の2は、足の感覚の損失から気づかれない感染症に起因する下肢切断に及ぶ症状を伴うある形の神経障害を有する。毎年、5万6000のアメリカ人は、糖尿病ために下肢を失う。
【0020】
網膜症:
網膜症は、糖尿病によって生じる網膜の、小さい血管の全ての異常を含む。大部分の糖尿病患者は、彼らの糖尿病に関連した軽度の目の疾患を有するだけである。しかしながら、糖尿病は、20〜74歳の人の失明の新患の主要な原因であり、毎年、糖尿病性網膜症に起因する1万2000〜2万4000の新たな失明患者が発生している。全体として、糖尿病をもつ人々は、失明のより高いリスクを有する。糖尿病の早期発見および治療は、多くの患者の失明のリスクを減らすことができる。
【0021】
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA):
充分にコントロールされていない糖尿病の最も深刻な結果の1つ、DKAは、尿のケトンに加えて高い血中グルコース・レベルによりマークされ、およびタイプIの人に主に発生する。DKAは、45歳より下の人の糖尿病に関連した死の約10パーセントの原因である。
【0022】
皮膚病:
糖尿病は、また、皮膚に影響を及ぼす可能性がある。糖尿病患者の3分の1までが、彼らの寿命のある割合の間、皮膚疾患を有する可能性がある。糖尿病患者に伴い主に発生する皮膚問題は、皮膚症、糖尿病性リポイド類壊死症、糖尿病性の疱疹、および発疹性黄色腫症である。
【0023】
歯周病:
糖尿病患者には、歯周疾患を発病するリスクの増加がある。過剰な循環のグルコースは、細菌プラーク形成の原因となる。
【0024】
短い寿命:
糖尿病をもつ人々の寿命は、疾患のない人々より平均で15年短い。糖尿病は、米国の7番目主要な死因であり、年に約20万人の死の原因となる。
【0025】
インポテンツ:
男性は、末梢神経系(神経障害)または血管妨害物における変化または妨害に起因するインポテンツを経験する傾向が強くなる。インポテンツは、タイプIの糖尿病をもつ男性の約13パーセントおよびタイプIIの糖尿病をもつ男性の8パーセントに影響する。
【0026】
胎児性合併症:
妊娠性糖尿病の母親の乳児は、胎児異常、例えば先天性異常、巨人症、より高い出生時体重、産後の低血糖症、および呼吸障害症候群のリスクがより高い(非特許文献4)。
【0027】
上記記載を鑑みて、従来技術において、グルコース代謝障害のルーチンおよび早期発見のための速やかで、便利な、および経済的な方法が強く求められている。
【0028】
グルコース代謝障害の現行のスクリーニングテストは、不十分である。スクリーニングテストは、空腹時または食後2時間のような幾つかの選択された時間でのグルコース測定をしばしば利用する。これらの離散的試験は、糖尿病、IGT、またはインスリン抵抗性症候群さえ診断することにしばしば失敗する。インスリン抵抗性症候群の人々は、非糖尿病のグルコース・レベルを維持するのに十分なインスリンを作り出すことが可能であるが、なお心臓麻痺または発作の重大なリスクがある。2つのグルコース耐性検査プロフィールは、図1において示される。第1の被験者グルコース・プロフィール101は、それぞれ、134 mg/dLの2時間後グルコース濃度を有する。グルコース・チャレンジ後(post-glucose challenge)120分に対する現行のAACE(American Association of Clinical Endocrinologists)ガイドラインの下で、この被験者は、210 mg/dLのピークのグルコース濃度を有するにもかかわらず、糖尿病患者である、IGTである、またはインスリン抵抗性症候群であるとしても分類されない(非特許文献5)。同様に、第2の被験者グルコース・プロフィール102は、127 mg/dLの2時間濃度を有する。今回も、この被験者は、178 mg/dLのピークのグルコース濃度に基づく明白なIGTを有するにもかかわらず、インスリン抵抗性症候群にさえ関するAACEガイドラインに添わない。空腹時血漿グルコース・レベルも、また、90%のIGTおよび62%の糖尿病患者を識別することに失敗したことが報告された(非特許文献6)。
【0029】
【非特許文献1】DCCT study group, The New England Journal of Medicine, 341:1306:1309 (1993)
【非特許文献2】http://care.diabetesjournals.org/cgi/ content/full/25/suppl_1/s94
【非特許文献3】Diabetes Care, 21:360-367 (1998)
【非特許文献4】http://www.diabetes.org:80/main/application/commercewf?origin=*.jsp&event=link(B1)
【非特許文献5】http://www.aace.com/pub/BMI/findings.php
【非特許文献6】Constantine Tsigo et. al. Poster 880-P, ADA 61st Scientific Sessions, PA, June 22-26, 2001
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は、耐糖能障害および糖尿病のようなグルコース代謝障害のスクリーニングの方法を提供し、このことにより病の早期治療、およびおそらく予防を可能にし、または心臓血管疾患、網膜症、および主な臓器と系の他の障害のような共通の合併症の早期発見および治療を可能にする。
【0031】
数学的アルゴリズムは、グルコース・チャレンジの前後で被験者の血中グルコース・プロフィールの形を評価し、および各クラスが、正常状態、またはいくつかの異常状態の1つの何れかに対応する、いくつかの予め決められたクラスのうちの1つにそのプロフィールを分類する。プロフィールの形の評価は、プロフィールの1つ以上のパラメータの検査によって完成される。本発明の一実施例は、パラメータをさまざまな状態に対して確立された閾値および範囲と直接比較する単純なアルゴリズムを提供する。本発明の別の実施例は、グルコース濃度または値の連続体を特徴づけるアルゴリズムを提供する。例えば、連続体アルゴリズムは、スクリーニング・ファクタを計算する。スクリーニング・ファクタは、次に、共通の診断用基準から決定される閾値と比較される。グルコース耐性曲線を構成している血中グルコース濃度の時系列は、非侵襲性のグルコース・アナライザを使用して測定されることが好ましいが、最小侵襲性および侵襲性デバイスを含むグルコース・アナライザの任意のタイプは、本発明の実行に適している。本発明が、相対値に基づいて識別可能であるプロフィールの形を評価するので、値は、実測値である必要はなく、相対値もまた、適切である。加えて、パラメータが存在していない場合であっても、連続体アルゴリズムは、プロフィールを評価することができる。さらに、欠損データは、履歴データから供給されることができる。
【0032】
代替実施例において、パターン認識システムは、グルコース代謝の障害をスクリーニングするために、特定の患者のOGTT(経口グルコース負荷試験)と関連しているグルコース・プロフィールの分析に対して使用される。
【0033】
この方法のステップを実行するように特にプログラムされた処理デバイスが、評価および分類を達成する。スクリーニングの結果に従い、被験者には、彼らの健康状態に関して更なる情報が提供され、および/または、更に彼らの医療提供者と相談するように助言される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
グルコース負荷試験は、周知であり、および様々なグルコース代謝障害およびホルモン分泌源障害のテストをするために使用されることが可能である。基本的に、グルコースは、高グルコース濃度飲料の形で、または炭水化物が豊富な食品として摂取される。次に、グルコース濃度は、推測される診断のエンドポイントに依存して、3〜5時間の間隔で、(しばしば毎時間)周期的にモニタされる。次に、結果データ・セットのグルコース・プロフィールの形は、更に医学的状態を識別するために利用されることが可能である。例えば、糖尿病は、初期の空腹時状態、およびグルコース濃度が80〜120 mg/dLの正常な生理的グルコース濃度に低下するのに必要とされる時間から、グルコース濃度の全体の増加に基づいて診断される。本発明によると、グルコース・チャレンジと関連する時間の関数としてのグルコース反応プロフィール形は、最初にプロフィールを評価し、およびそれを分類するアルゴリズムへの入力データとして利用され;次に、テストされている被験者が、糖尿病、IGT(耐糖能障害)、正常な生理反応、または異常な低グルコース耐性(LGT)の何れかを有することを示すスクリーニング反応を出力する。入力濃度は、10〜60分ごとに一回、収集される血中グルコース測定の濃度とすることが可能である。便利な、安価なスクリーニング法を提供する目的に合わせて、グルコース測定が、非侵襲性のアナライザで成されることが好ましいが、最小侵襲性および侵襲性デバイスは、本発明の実行に全く適している。図2は、糖尿病患者201、IGT を有する被験者202、正常な生理的グルコース反応を有する被験者203、および低グルコース反応204に対する、時間の関数としての代表的なグルコース濃度プロフィールを示す。アルゴリズムは、従来のプログラミング技術を使用して、適切にプログラムされた処理デバイス上で実行される。
【0035】
典型的な糖尿病のプロフィール形201は、より高い空腹時グルコース濃度から始まることがしばしば観察され、しばしばより速い割合でより高い濃度(一般的に、180 mg/dLを超える)に上昇し、より長い間、より高いグルコース濃度を維持し、および80〜120 mg/dLの正常な生理的グルコース濃度へ戻るのにより長くかかる。ピークの後、グルコース濃度の減少の割合は、IGT、または正常な生理的グルコース反応を有する被験者に対して最小である可能性がある。
【0036】
IGTプロフィール形202は、正常な空腹時グルコース・レベルで始まり、140〜200 mg/dL間のレベルにすばやく上昇し、および次に、正常へと減少する反応を有する。しかしながら、正常なグルコース濃度への戻りは、一般的に、正常な生理反応と比較して、より遅い負の変化率で生じる。
【0037】
正常なグルコース反応プロフィール203は、グルコース・レベルの<140 mg/dLまでのわずかな増加を示し、および一般に正常レベルに2時間以内で戻る形を有する。形は、正常なインスリン機能を示す極めて速い割合のグルコース変化によって、非常にとがっている可能性がある。プロフィールの最後の部分は、通常、正常な範囲内でフラットである。
【0038】
低グルコース耐性204(LGT)または高インスリン血症は、正常な空腹時グルコース・レベルに対して低く始まる形またはプロフィールを作り出す。形は、次に、グルコース反応で急な増加を示す。グルコース・レベルが高い範囲にめったに残らないので、形のピークは通常劇的である。2時間でのピークを有する形は、3〜4時間でのピークのそれとは異なる相の2つのインスリン反応を示すかもしれない。減少は、一般的に、60 mg/dLより低い血中グルコース・レベルまで正常な範囲を通り過ぎて続く。低血糖症は、反応の形を正常な範囲に再び上昇させるアドレナリン作動の反応を引き起こす。
【0039】
本発明の第一実施例では、被験者のプロフィールから選択されたパラメータをさまざまな健康状態に対する予め定められた閾値と比較する単純な比較アルゴリズムが提供される。閾値は、さまざまな健康状態の標準診断基準から決定されることができる。例えば、糖尿病患者は、140 mg/dL以上の空腹時血漿グルコース・レベル、または200 mg/dL以上の2時間後チャレンジ・グルコース・レベルを有する。耐糖能障害を有する被験者は、126 mg/dLより低い空腹時血漿グルコース・レベル、および/または140 mg/dLと200 mg/dLとの間の2時間後チャレンジ・グルコース・レベルを有する。正常な生理的耐性のある人は、140 mg/dL未満の空腹時血漿グルコース濃度、および/または140 mg/dLより低い2時間後チャレンジ・グルコース濃度を有する。LGTを患う人は、一般的に、85 mg/dLより低い空腹時血漿グルコース・レベル、および/または140 mg/dLと200 mg/dLとの間の2時間後チャレンジ・グルコース・レベル、および70mg/dLより低い3〜4時間後チャレンジ・グルコース・レベルを有する。別の具体例は、グルコース負荷試験中、80 mg/dLの正常なベースラインより上の面積(時間を乗じたグルコース濃度)とすることが可能である。1つの種(species)は、60分〜3時間のような規定時間の間、グルコース摂動の下、かつ80 mg/dLベースラインより上の面積を積分することによって定まる面積である。別の具体例は、ピークのグルコース濃度が得られた後で、グルコース濃度の負の変化率に基づく。正常な生理反応が100 mg/dL/hourである可能性がある一方、糖尿病患者は、20 mg/dL/hourのみの減少となる可能性がある。アルゴリズムは、被験者のプロフィールからのこれらのパラメータの1つ以上の値を予め定められた閾値と比較し、およびこの比較に基づいて、正常、糖尿病、IGT、またはLGTとしてプロフィール(したがって、被験者)を分類する。上記パラメータは、単に例示的である。当業者は、本発明の精神および範囲と一致した他のパラメータおよび組み合わせを理解するであろう。
【0040】
一旦、分類(糖尿病、IGT、正常)がなされると、関連した糖尿病疾患/症状に関する情報は、被験者に示されることが可能である。例えば、被験者が耐糖能障害を有するとして分類されるならば、被験者は、彼らが、心疾患、発作、腎疾患、神経障害、網膜症、糖尿病性ケトアシドーシス、皮膚病、歯周病、インポテンツ、および/または短い寿命のリスクがあることを認識させられる。被験者は、彼らの保健医療専門家のアドバイスを求めるように助言されることが可能である。
【0041】
代替の実施例の場合、時間の関数としてのグルコース濃度値は、値の範囲が、被験者を、糖尿病として、IGT、正常な生理機能、またはLGTを有するとしてスクリーニングするかを決定するために、連続(series)を評価する連続体数学的アルゴリズムに入力される。多数のパラメータは、この決定をするために、個々にまたは共に利用されることが可能である。いくつかのこれらのパラメータは、図2において識別される。更なるパラメータは、図3において識別される。
【0042】
第1のパラメータ301は、初期のグルコース濃度(図3:Initial)である。増加した初期のグルコース濃度は、糖尿病の診断である。ADA(米国糖尿病協会)は、126 mg/dLを超える初期の空腹時グルコース濃度が糖尿病の指標であると述べる。ADAは、また、体外からのインスリン注射がない場合、123 mg/dLより少ない空腹時グルコース濃度が、正常な生理機能の指標であるが、また、IGTでもありえると述べる。しかしながら、この連続体アルゴリズムにおいて、0から1の重みの範囲が中間レベルに割り当てられることができるように、より極端な数字は、糖尿病および正常状態に割り当てられる。例えば、>140 mg/dLの空腹時グルコース濃度は、糖尿病の極めて強い指標であり、かつ140 mg/dLを超える全ての空腹時グルコース濃度として、1の値を割り当てることができるであろう。80 mg/dLの空腹時グルコース濃度は、正常な生理機能の指標であり、かつ80 mg/dLより低い全てのグルコース濃度として、0の値を割り当てることができるであろう。次に、線形または非線形スケールが、2値間に適用可能である。したがって、線形スケール上で、120のグルコース濃度には、0.66の重みを割り当てられる。これは、IGTの合理的な尤度を示し、一方、1の重みは、糖尿病を示し、および0の重みは、正常な生理機能を示す。
【0043】
LGTスクリーニングに対して、50 mg/dLより低い空腹時グルコース濃度は、LGTの指標であり、かつ0の値を割り当てられる。次に、線形または非線形スケールは、<50 mg/dLおよび80 mg/dLの値間に適用されることができる。線形スケールの場合、65 mg/dLの値は、0.55の値を割り当てられる。LGTの評価の前に、更なるパラメータが、必要である。これに代えて、単一のスケールは、全ての健康状態を診断するために使用されることができる。この場合、LGTを示す50 mg/dLの空腹時グルコース濃度は、0の重みを有し、80 mg/dLの正常な血中グルコース濃度は、.33の重みを有し、および140 mg/dLの糖尿病値は、なお1の重みを有する。
【0044】
第2のパラメータ302は、グルコース濃度が上昇する(図3:m1)割合である。一般に、より大きな傾きは、糖尿病を示し、一方、より小さい傾きは、IGTを示し、およびさらに小さい傾きは、正常な生理反応を示す。糖尿病を示す初期の傾きは、1〜7 mg/dL/minにわたることができる;一方、正常な生理機能は、0〜2 mg/dL/minの変化率になる。中間の変化率は、IGTを示す。各クラスタからの変化率が重なる事実に起因して、より極端な値のみが、変化率の評価に基づいて、正確な分類に導くことができるであろう。上記したように、(3 mg/dL/minを超える)大きな傾きは、1の重みを割り当てられることができ、一方、(0.5 mg/dL/minより少ない)小さい傾きは、ゼロの値を割り当てられることができる。再び線形スケールを使用して、2.5 mg/dL/minの傾きには、0.8の重みを割り当てられ、かつ糖尿病に対する陽性のスクリーニングとして解釈されるであろう。
【0045】
第3のパラメータ303は、最大のモニタされたグルコース濃度である(図3:max)。220 mg/dLを超えて最大になるグルコース・レベルは、糖尿病の指標であって、かつ1の重みを割り当てられることができる。120 mg/dLの正常なグルコース濃度の高い端より上のわずかな増加のみが、正常な生理活性を示す。したがって、120 mg/dL以下のグルコース濃度は、0の重みを割り当てることができる。上昇したが、はなはだしく高くないグルコース濃度(160〜220 mg/dL)は、IGTを示し、かつ次に中間の重みを割り当てられる。正相関は、正常、IGT、または糖尿病の診断とモニタされたピークのグルコース濃度との間に存在することが知られている。この相関は、周知であり、かつ認められている;したがって、このパラメータには、より大きい重み関数を与えられることができる。
【0046】
第4のパラメータ304は、グルコース濃度が上昇したままの持続時間である(図3:duration)。所定の閾値を超える持続時間が長いほど、データは、糖尿病をさらに強く示す。例えば、200 mg/dLを超える15分は、IGTを示し、一方、上述の200 mg/dLを超える一時間は、糖尿病を示す可能性がある。
【0047】
第5のパラメータ305はピーク・グルコース濃度後のグルコース濃度の減少率である(図3:m2)。一般的に、減少が急であるほど、データが連続体上でより多く正常な生理機能近くにある。図2において観察されるように、正常から糖尿病にわたる被験者に対するピーク・グルコース濃度の後の変化率に相当の広がりが存在し、このことが、このパラメータを、糖尿病、またはIGTに対する特に感度が高いインジケータとする。したがって、このパラメータは、次に、より大きい重み関数を与えられることができる。
【0048】
第6のパラメータ306は、最大値の後で得られた最小のグルコース濃度である(図3: final)インスリンの服用なしで120 mg/dLより低く減少するグルコース値は、正常な生理反応を示す一方、150 mg/dLより高く保つグルコース濃度は、糖尿病を示す。80 mg/dLより低く減少するグルコース値は、LGTを示すことがあろう。第1のパラメータと同様に、50 mg/dLより低い値は、0の値、および150 mg/dLでは、1の値を割り当てられるであろう。
【0049】
これらのパラメータの1つ以上は、式1に従って、被験者が糖尿病である、耐糖能障害を有する、正常な生理反応を有する、または低グルコース耐性を有するかを決定するために利用されることができる。ここで、SFは、スクリーニング・ファクタであり、P(1-6)は、パラメータであり、およびW(1-6)は、重みである:

(1)
パラメータの1つ以上を、スクリーニング・ファクタを計算するために利用することができ、および各パラメータに対する重みは、0〜1にわたることができる。基本的に、スクリーニング・ファクタは、個人の測定されたパラメータの加重平均である。平均または加重最終スコアは、個人の1つまたは複数のスコアから計算されることができる。閾値は、その時、3つのクラスタのうちの1つに被験者を分類するように決定されることができる。糖尿病または非糖尿病を定義している任意の数の制限は、確立されることができる。同様に線形または非線形軸は、任意のスコアに対して確立されることができる。これらのパラメータは、例えば、米国糖尿病協会のような団体により提供された最新の診断基準に基づいて確立されることができる。
【0050】
第7のパラメータ401は、グルコース・チャレンジの後、時間によるグルコース偏位を表している曲線下面積である。曲線下面積は、グルコース・インテークの時に、またはその後の最初の30分以内の或る時に始まることができ、かつグルコース・チャレンジの終了まで、またはプロフィールの終了前の1時間以上の期間まで続く。一般的に、グルコース・チャレンジは、3〜5時間の間続く。具体例として、図3に示されるグルコース・プロフィールを利用すると、観察されたグルコース濃度と80 mg/dLのベースラインとの間の観察された差の合計により計算される曲線下面積は、正常、障害性、および糖尿病性プロフィールに対して、それぞれ、293、1204、および2020である。もし300と2000の制限が、正規化される連続体スケールのゼロと1の制限として利用されるならば、1204は、0.53として読みとられ、かつIGTとして解釈される。
【0051】
第8のパラメータは、時間内のエンドポイントまでのピーク・グルコース濃度の後の曲線下面積である。この領域の曲線下面積間の差は、ピーク・グルコース濃度の後で観察されるグルコース濃度の異なる負の変化率305に起因して、糖尿病、IGT、または正常な機能の診断に、より感度が高いことが、認識される。具体例は、図3に示されたグルコース・プロフィールから得られ、観察されたグルコース濃度と80 mgの/dLベースラインとの間の差の合計を再び計算する。120〜300分の観察された曲線下面積は、正常、IGT、および糖尿病プロフィールに対して、それぞれ、41、866、および1573である。これらの面積間の大きい広がりは、グルコース耐性の分類において感度が高い測定基準を可能にする。この感度は、正規化で失われない。ここで、ゼロおよび1の制限と関連している曲線下面積に対して100および1500を使うと、示されたIGTプロフィールに対して、値0.55となる。
【0052】
式1は、図2において導入されるパラメータのみを利用する。式2のように、パラメータ7および8に対する類似の式が、図3において導入されるパラメータから作り出されることができるであろう。ここで、SF2は、スクリーニング・ファクタであり、P(7-8)は、パラメータであり、およびW(7-8)は、重みである:

(2)
多数の更なるパラメータが、より早い段階のパラメータの数学的操作または比較を介して容易に構成されることができることは、認識される。例えば、式3のように、代表的な第9のパラメータは、全曲線下面積(第7のパラメータ)に対する所定のポイントの後の曲線下面積(第8のパラメータ)の比率であることが可能である。

(3)
例えば、一連のこのようなパラメータは、比率または差によって作ることができる。これらのパラメータが独立していない一方、それらの一部は考慮中の診断の問題に、より感度が高い。パラメータの組み合わせの、より高い精度および感度が、必ずしも、より優れた診断とならないことは、更に認識される。例えば、もし試験がIGTに対して決定的であるならば、IGTに対する、より感度が高い検査は必要とされない。
【0053】
同様に、式4のように、図2および3からのパラメータの組み合わせは、数学的に作り出されたパラメータと組み合わせられる、または組み合わせないことが可能である。ここで、SF3は、スクリーニング・ファクタであり、P(1-n)は、パラメータであり、およびW (1-n)は、重みである:

(4)
閾値スクリーン制限の具体例は、以下の通りである

(5)

(6)
ここで:
SF4 < 0.25 および SF5 < 0.1は、正常なグルコース耐性を示す;
0.25 < SF4 < 0.5 および 0.1 < SF5 < 0.16は、LGTを示す;
0.5 < SF4 < 0.75 および 0.16 < SF5 < 0.325は、IGTを示す;
および、SF4 > 0.75 および SF5 > 0.325は、糖尿病を示す。
【0054】
任意の更なる組み合わせは、インスリンに関連した医学的状態の尤度を示し、およびグルコース耐性は、存在するが、個人の最新の生理的状態において容易に定義されない。このような結果は、更なるテストおよび個人の保健医療プロバイダによる評価の必要を提案する。
【0055】
同じ情報を提供するための他のアルゴリズムは当業者に見出され、かつ全ては完全に本発明の範囲内である。糖尿病および糖尿病スクリーニングの理解が増すにしたがって、ADAおよびWHOにより示される基準が、変わることは、予想され、したがって、最新の診断基準を満たすために閾値を調整することが必要となる。
【0056】
完全なグルコース・プロフィールは、このアプローチが機能することを必要としないことは、ここで、留意されたい。データポイントが互いから独立していないので、欠損データポイントは解決されることができる。したがって、各パラメータからのいくつかのデータは、不在であることが可能である。実際、もしあるパラメータからのデータの全てが不在であるならば、アルゴリズムは、そのパラメータに対する重み関数をゼロにセットすることにより、なお機能することができる。グルコース・プロフィールが日々再現する傾向があるので、各日からの部分的データが、代わりとして、関数で利用されることができる。スクリーニング・ファクタの精度が減少するにもかかわらず、グルコースまたは食事負荷試験の代わりに履歴データを使用することは、痛み、および侵襲性と最小侵襲性のグルコーステストに伴う不便をかなり最小限に抑えるのに役立つ。ある場合には、例えば、被験者が食事、グルコース濃度、および/またはインスリン投与量の良い記録を保持したとき、このデータは、入力データとして利用されることができ、したがって情報収集時間を最小限に抑える。
【0057】
グルコース濃度の全てが診断の前に収集されることができると認識されるべきである。したがって、パラメータは、データを適合するために調整されることができる。例えば、図3において、糖尿病、IGT、および正常なグルコース反応は、炭水化物インテーク・イベントから異なる経過時間でピークに達する。データの全てが診断の前に利用可能であるので、ピーク後の曲線下面積のようなアルゴリズムは、特定の時間で始まることに制限されず、正常、障害性、または糖尿病性プロフィールの何れかに対するピーク・グルコース反応として始まることができるが。
【0058】
グルコース・プロフィールの範囲内で、個人のデータポイントは、独立していなく、このことは、外れ値を決定することを可能にする。単一の個人のグルコース表示のみを利用することは、全体の外れ値のみが検出されることを可能にする。例えば、自覚している被験者の20のグルコース表示は、明らかに、外れ値である。しかしながら、複数のデータポイントがあれば、小さい外れ値が、決定可能である。例えば、20分間隔で行われる一連のグルコース読み取りが、80、100、120、140、160、180、142、220、および240 mg/dLであるならば、データポイント142は、外れ値であることが容易に決定される。もし空腹時および2時間での従来の2つのポイント試験が使用されるならば、80 mg/dLは、空腹時値であり、および142 mg/dLは、2時間値である。したがって、実際には、彼または彼女が実は糖尿病であったとき、外れ値であった値に起因して、被験者は、正常な生理的グルコース反応を有するとして、スクリーニングされた。このように、アルゴリズムは、劣ったスクリーニングの危険の多くに対する組み込まれた予防手段を有する。
【0059】
式1のスクリーニング・アルゴリズムは、IGTの早期発見を可能にする。したがって、糖尿病と関連している合併症が、より早く発見され、早期治療の開始を可能にする。主に環境要因および体脂肪のようなパラメータに起因する健康状態を認識させられることは、個人が将来の糖尿病に関連した合併症を緩和、または防ぐことを可能にする。血液に運ばれる病原菌がリスクである環境、例えばHIVクリニックにおいて、スクリーニングしている患者へのこの低リスク、無血のアプローチは、薬物療法治療に対する反応として、グルコース異常を発症する人をスクリーニングするために使用されることができる。職場の環境は、グルコース障害または合併症の相対危険度の何れかに対して定期的な従業員へのスクリーニングを使用することができるであろう。
【0060】
熟練した専門家は、本明細書に記載されるアルゴリズムへの入力が、グルコース・プロフィールの形を決定するパラメータの値であることを認識する。プロフィール形の意味ある評価が、実質的に定量的プロセスであり、およびプロフィールの形が、パラメータおよび対応する値の関数であることは、留意されるべきである。
【0061】
上記実施例は、血中グルコースの実測値を得ることを取り扱った。前述のように、相対的な血中グルコース値に基づくスクリーニングも、また、可能である。有利には、もし相対的なグルコース濃度が利用可能であるならば、実際のグルコース濃度は必要とされない。それがスクリーニングにおいて利用される反応の形であるので、グルコース濃度の差は、スクリーニング・ファクタを得るために利用することができる。例えば、もし非侵襲性、または最小侵襲性のグルコース試験手順が、空腹時レベルと最大濃度との間のグルコース濃度における相対的な増加を示すならば、パラメータ1(空腹時)および3(最大値)は、実際のグルコース濃度を伴わないスクリーニング・ファクタを決定するために利用することができる。
【0062】
パラメータ1は、減少させることができる(すなわち、予定値、例えば100 mg/dLに標準化される)、一方、Parameter 3は、最大値ではなく、血中グルコース値の範囲に焦点をあてるように調整される。通常、正常なグルコース耐性を有している個人は、60 mg/dLより大きい変化を経験しない、一方、IGTまたはLGTを患う誰かは、60 mg/dLより大きい変化を認めるであろうが、100 mg/dLより大きい変化を経験しそうにない。糖尿病を患う人は、しばしば、100 mg/dLより大きい変化を経験する。したがって、ファジィ論理は、<60 mg/dLの値の範囲に0の重みファクタ、100 mg/dLより大きい値の範囲に1の重みファクタ、および60と100 mg/dLとの間のグルコース濃度に対して01から1にわたる値を適用する。
【0063】
パラメータ6は、その時、LGTを説明するために変更されることを必要とする。これは、標準化された値から>-30 mg/dLの範囲値に0の重みファクタおよび負荷試験の3〜4時間のマークで標準化された値から>30 mg/dL範囲値に2の重みファクタを割り当てることにより達成される。
【0064】
被験者は、妊娠糖尿病に対する早いスクリーンとしてグルコース濃度の相対的な変化に対して産科の環境でテストされることができる。反応または形が、容易に障害性の反応のそれであるとして識別されるので、実際の数字は必要とされない。初期に障害を検出する結果として、グルコースの食事の調整および自己監視のような介入は、より効果的である可能性がある。妊娠がすでに相対的に進んだステージにある可能性があるので、診断法を予定に入れる更なる時間は、貴重である可能性がある。
【0065】
本発明の別の実施例は、グルコース代謝の障害に対してスクリーニングするために、特定の患者のOGTT(経口グルコース負荷試験)と関連しているグルコース・プロフィールの分析に対するパターン認識系を使用する。
【0066】
このシステムは、不確かまたは欠損のデータに関して高感度および頑強性(robustness)の利点がある。本発明の前述の実施例のために説明される測定ステップに加えて、最新の実施例は、必ずしも必要ではないが、処理、特徴抽出、および分類のためのステップを含むことが好ましい。
【0067】
処理
前処理は、スケーリング、正規化、平滑化、微分、フィルタリングのようなオペレーションを含み、および、他の変換は、バリエーションのノイズまたは不必要なソースを減らすように、および興味がある信号を強化し、かつさらにアクセス可能にするOGTTプロフィールに補正を実行するように設計される。前処理された測定値

は、次式に従って決定される

(7)
ここで、

は、前処理関数であり、

は、グルコース測定値であり、および

は、各グルコース測定値と関連している時間のベクトルである。有効な処理ステップは、次の任意のものを含む:
・プロフィールのプロパティを利用する統計およびモデル・ベースの方法による外れ値の検出;
・自動相関;
・プロフィールの非因果的フィルタリング;
・時系列分析および最適フィルタリング技術(例えばカールマン・フィルタリング(Kalman filtering));
・測定されたプロフィールと参照グルコース測定値との間の公知の誤差分布に関連した相および大きさ補正;
・中央平均化(mean-centering);
・ベースライン補正;
・正規化;
・多変量の信号補正;
・標準の正常な変化量変換;
・プロフィールの1次および2次微分の一方または両方の計算;および
・状態変換。
【0068】
複数の処理ステップが、通常、実行され、および或るアプリケーションにおいて、処理されたデータは、主成分、ウェーブレット・ベース成分、およびフーリエ係数のようなアブストラクト特徴(abstract feature)への分解により、更に処理される。
【0069】
或るアプリケーションにおいて、プロフィールは、医師または医療プロバイダによる分析より前に、外れ値分析、フィルタリング、および大きさ/相補正の何れかにより強化される。しかしながら、特徴抽出および分類のステップは、OGTTプロフィールの処理に続くことが好ましい。この場合、1次および2次微分ステップの使用は、分類目的に有益である。
【0070】
特徴抽出
特徴抽出は、解釈のためのサンプル測定の質または面を強化する任意の数学的変換である。特徴抽出の目的は、分類アルゴリズムのアプリケーションより前に最も単純かつ最もアクセス可能な型において、データの情報コンテンツを簡潔に表すことであり、このことによりさまざまなクラスの間で最も大きい選別を提供する。特徴は、

(8)
によって処理されたOGTTプロフィールから決定されるベクトル

で表される。ここで、

は、計測空間から特徴空間への対応付けである。分解(decomposing) f(&middot;)は、特殊な特徴を決定するための特殊な変換、

を生成する。次元(Mi)は、i番目の特徴がスカラーまたはベクトルであるかを示し、および全ての特徴の集合は、ベクトルzである。特徴がベクトルまたはパターンとして表されるとき、それは根底にある物理的現象を示す或る構造を呈する。
【0071】
個人の特徴は、2つのカテゴリに分割される:
・アブストラクト;および
・シンプル。
【0072】
アブストラクト特徴が、物理的システムに関連した特殊な解釈を必ずしも有するというわけではない。具体的には、それらの物理的解釈が必ずしも知られないにもかかわらず、主成分分析のスコアは有効な特徴である。シンプル特徴を、処理されたプロフィールに直接関連づけることが可能である。例えば、主要な時点での1次および2次微分の大きさ、およびさまざまな時点間の持続期間は、OGTTプロフィールの性質およびタイプを分類するための有益な特徴であるように決定された。
【0073】
更に、特徴は、年齢、糖尿病の病歴、体重、身長、肥満度指数、性、民族性、食事および運動パターン、HbA1cレベル、およびインスリン/c-ペプチド・レベルのような、プロフィールに無関係な公知の情報から導き出されることができる。
【0074】
アブストラクトおよびシンプル特徴のコンパイルは、M次元の特徴空間を構成する。特徴のセット全体の情報の冗長性に起因して、最適特徴選択および/またはデータ圧縮は、分類器(classifier)の頑強性を強化するために適用される。特徴抽出は、中央平均化、微分変換、平滑化、乗法信号補正、およびハイおよびローパス・ディジタルフィルタリングのようなデータ前処理にしばしば続く。
【0075】
分類
OGTTプロフィールおよび他の電子および人口統計学的情報に基づく被験者の分類またはカテゴリ化は、多種多様なアルゴリズムを使用してアプローチ可能である。ほとんど前の情報を仮定しないノンパラメトリック・ニューラル・ネットワーク分類器に対して統計的分布情報の知識を仮定するベイジアン分類器(Bayesian classifier)により、多様な分類器は、個人の内分泌系機能をグループに分類するために利用されることができる。決定ルールは、クリスプ(crisp)またはファジイ(fuzzy)機能により定義されることができ、および決定ルールを定義するために使用される分類アルゴリズムは、単一の決定点から各層上の進行性の決定メカニズムを有するツリー構造へ変化することができる。
【0076】
特徴抽出が分類に関連する測定の顕著な特性を決定する一方、分類ステップの目的は、グルコース代謝の特定の障害に関連した被験者分類を決定することである。このステップにおいて、患者は、「正常な」指定、または多数のグルコース代謝障害の1つを割り当てられる。分類は、一般に2つのステップ:マッピングおよび決定エンジンを含む。マッピングは、予め決められたクラスに特徴の類似性を測定し、および決定エンジンは、クラス・メンバーシップを割り当てる。このセクションにおいて、分類の2つの一般的な方法が、提唱される。第1のものは、排他的なクラスを使用し、したがって、1つのクラスに各測定値を割り当てる。第2の方式は、同時に1つ以上のクラスのクラス・メンバーシップを可能にするファジイな分類システムを利用する。両方法は、続いて説明されるように、前のクラス定義を必要とする。
【0077】
クラス定義
分類システムの開発は、人口の代表的なサンプリングから典型的特徴(exemplar feature)のデータ・セットを必要とする。クラス定義は、探索データ・セット(exploratory data set)における測定値のクラスへの割当てである。クラス定義の後、計測値およびクラス割当ては、特徴からクラス割当てへのマッピングを決定するのに用いられる。
【0078】
クラス定義は、管理された、または管理されないアプローチによって実行される。管理された場合、クラスは、データにおける公知の差によって定義される。この方法におけるアプリオリな情報の使用は、クラス割当てが公知のとき、分類モデルを作成する管理されたパターン認識の第一ステップである。
【0079】
管理されない方法は、特徴空間におけるデータのクラスタまたは自然なグルーピングを調べ、かつ作成するために、単に特徴の例示的なセットだけに依存する。このような分析は、クラスタ範囲内均質性(within cluster homogeneity)およびクラスタ間隔たり(between cluster separation)を最適化する。物理的意味を有する特徴から形成されるクラスタは、特徴空間のバリエーションを引き起こす公知の根底にある現象に基づいて解釈されることができる。
【0080】
2つのアプローチの組み合わせは、アプリオリな知識および自然に生じているスペクトル・クラス(spectral class)に対する特徴空間の探索を利用するのに用いられる。このアプローチの下に、クラスは、管理された方法で特徴から、最初に定義される。特徴の各セットは、2つ以上の領域に分割され、およびクラスは、特徴分割の組み合わせにより定義される。クラスタ分析は、データ上で実行され、および2つのアプローチの結果は、比較される。クラスタは、組み合わせられることができるクラスのグループを決定するために系統的に用いられる。集積の後、最終的なクラス定義の数は、データの自然の分割に従って、かなり減少する。
【0081】
クラス定義に続いて、分類器は、管理されたパターン認識により設計される。モデルは、特徴の測定されたセットを推定された分類に変換するクラス定義に基づいて作成される。分類器の究極の目的が、確固たる、かつ正確な患者判定を作成することであるので、クラス定義が、測定システムの仕様を満たすために最適化される反復的アプローチは、続かれなければならない。
【0082】
統計分類
統計分類法は、バリエーションが統計学的に説明されることができる排他的なクラスに適用されられる。一旦、クラス定義が例示的なサンプルのセットに割り当てられると、分類器は、誤分類の数を最小限に抑えるクラス推定へ特徴空間から最適のマッピングまたは変換を決定することにより設計される。マッピングの型は、「最適」の定義を行う方法により変化する。既存の方法は、線形判別分析、SIMCA、k最近傍法(k nearest-neighbor)、および人工ニューラルネットワークのさまざまな型を含む。結果は、

(9)
に従って特徴をクラスcにマップする関数またはアルゴリズムである。ここで、cは、間隔[1,P]に関する整数であり、およびPは、クラスの数である。
【0083】
ファジイな分類
統計学的に基づいたクラス定義がクリスプ・クラスのセットを提供する一方、OGTTプロフィールの患者間(patient-to-patient)および日々の変化(day-to-variation)は、値の連続体にわたって変わり、およびクラス・オーバラップになる。したがって、特定の特徴セットが、所定のクラスに関連づけられる範囲に関連した計測を提供することは、有益である。更に、明白なクラス境界が存在しない、および多くの計測値が、クラスの間で減少する可能性があり、かついくつかのクラスの何れにおいてもメンバーシップの統計学的に等しい可能性を有する。したがって、「ハード(hard)」クラス境界および排他的なメンバーシップ関数は、ターゲット人口の性質に反して現れる。
【0084】
クラス割当てのより適切な方法は、ファジイ集合論に基づく。一般に、ファジイ集合のメンバーシップは、グレードの連続体および特徴空間を各クラスに対して間隔[0,1]にマップするメンバーシップ関数のセットにより定義される。割り当てられたメンバーシップグレードは、「1」が最高の度合いに対応する、クラス・メンバーシップの度合いを表す。したがって、サンプルは、同時に、1つ以上のクラスのメンバーであることができる。
【0085】
特徴空間からクラス・メンバーシップのベクトルへのマッピングは、

(10)
により与えられる。ここで、k=1,2,...P、fk(・)は、k番目のクラスのメンバーシップ関数であり、全てのkに対して

およびベクトル

は、クラス・メンバーシップのセットである。メンバーシップ・ベクトルは、各々の予め決められたクラスのメンバーシップの度合いを提供する。
【0086】
メンバーシップ関数の設計は、あらかじめ記述された方法と類似のファジイなクラス定義を利用する。ファジイなクラスタ分析は、適用されられることができ、および構造と最適化アプローチに従って異なるいくつかの方法は、ファジイ分類器を作成するために使用されることができる。全ての方法は、サンプルの人口にわたるクラス・メンバーシップの推定エラーを最小限に抑えようとする。
【0087】
本発明は、保健医療施設に利用できるが、次に限定されるわけではない:医務室、病院、クリニックおよび長期の保健医療施設。これに代えて、この技術は、ショッピングモールおよび職場のような公の環境において、または被験者の自宅のような私的環境において利用されることができるであろう。本発明が或る好適な実施例を参照して本明細書に記述されたにもかかわらず、当業者は、他の応用が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に示されるそれらと置換されることができることを容易に理解するであろう。
【0088】
したがって、本発明は、添付した請求の範囲のみにより制限されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、糖尿病の現行の診断基準がどの様にまぎらわしい可能性があるかを示す;
【図2】図2は、正常なグルコース耐性、耐糖能障害、糖尿病、および高インスリン血症に対する血中グルコース濃度曲線を示す;
【図3】図3は、本発明に従うプロフィールを評価するために使用される血中グルコース・プロフィールに関する様々なパラメータを示す;
【図4】図4は、正常なグルコース耐性、耐糖能障害、および糖尿病に対する血中グルコース濃度曲線を示す。
【符号の説明】
【0090】
201 糖尿病のグルコース濃度プロフィール
202 耐糖能性障害のグルコース濃度プロフィール
203 正常のグルコース濃度プロフィール
204 高インスリン血症のグルコース濃度プロフィール
301 INITIAL
304 DURATION
306 FINAL

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコース代謝の障害に対して被験者をスクリーニングする方法であって、
当該プロフィールが、少なくともグルコース・チャレンジ後の複数の血中グルコース値を有するグルコース・プロフィールの少なくとも一部を測定するステップ;
分類アルゴリズムの適用の前に当該プロフィールの情報コンテンツをその最もシンプルな形で表すために、少なくとも1つの数学的変換を適用することにより、特徴が、分類に関連する当該プロフィールの当該少なくとも一部の特性を有する、特徴を当該プロフィールの当該少なくとも一部から抽出するステップ;および
グルコース代謝の特定の障害に関連した被験者分類が決定される当該特徴に基づいて当該被験者を分類するステップを有する方法。
【請求項2】
当該グルコース・プロフィールの当該少なくとも一部を処理するステップを更に有し、興味がある信号が強化され、かつ分析のためにアクセス可能とされるように、少なくとも1つの変換が、干渉を除去、または減らし、かつ当該プロフィールの当該少なくとも一部を補正するために適用される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該少なくとも1つの変換が:
前記プロフィールの前記プロパティを利用する統計およびモデル・ベースの方法による外れ値の検出;
自動相関;
前記プロフィールの非因果的フィルタリング;
時系列分析および最適フィルタリング技術;
測定されたプロフィールと参照グルコース測定値との間の公知の誤差分布に関連した相および大きさ補正;
中央平均化;
ベースライン補正;
正規化;
多変量の信号補正;
標準の正常な変化量変換;
前記プロフィールの1次および2次微分の一方または両方の計算;および
状態変換の何れかを有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
処理された測定値

が、

に従って決定され、ここで、

は、前処理関数であり、

は、前記グルコース測定値であり、および

は、各グルコース測定値と関連している時間の前記ベクトルである請求項2に記載の方法。
【請求項5】
特徴を抽出する当該ステップが、処理されたデータをアブストラクト特徴に分解することを有し、アブストラクト特徴が:
主成分;
ウェーブレット・ベース成分;および
フーリエ係数の何れかを有する請求項2に記載の方法。
【請求項6】
当該グルコース・プロフィールの当該少なくとも一部を処理する当該ステップが:医療プロバイダによる分析より前に、
外れ値分析、
フィルタリング、および
大きさ、および/または相補正の何れかにより当該グルコース・プロフィールの当該少なくとも一部を強化することを有する請求項2に記載の方法。
【請求項7】
当該グルコース・プロフィールの当該少なくとも一部を処理する当該ステップが、当該グルコース・プロフィールの当該少なくとも一部の1次および2次微分の何れかを計算することを有する請求項2に記載の方法。
【請求項8】
特徴を抽出する当該ステップが、

により前記処理されたプロフィールから決定されるベクトル

における当該特徴を表すステップを有し、ここで、

は、計測空間から特徴空間へのマッピングである請求項2に記載の方法。
【請求項9】
分解f(・)は、特殊な特徴を決定するための特殊な変換、

を生成し、
かつ
次元(Mi)は、i番目の特徴がスカラーまたはベクトルであるかを示し、および全ての特徴の前記集合は、前記ベクトルzである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ベクトルまたはパターンとして表された特徴が、根底にある物理的現象を示す構造を呈する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
特徴が、アブストラクトまたはシンプル特徴の何れかである請求項9に記載の方法。
【請求項12】
アブストラクト特徴が、前記物理的システムに関連した特殊な解釈を必ずしも有するというわけではない請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アブストラクト特徴が、主成分分析のスコアを有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
シンプル特徴を当該処理されたプロフィールと直接関連づけることが可能である請求項11に記載の方法。
【請求項15】
当該シンプルな特徴が:
主要な時点での1次および2次微分;および
さまざまな時点間の持続期間の何れかを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アブストラクトおよびシンプル特徴のコンパイルが、前記M次元の特徴空間を構成する請求項11に記載の方法。
【請求項17】
特徴の前記セット全体の情報の冗長性に起因して、最適特徴選択および/またはデータ圧縮が、分類器の前記頑強性を強化するために適用される請求項11に記載の方法。
【請求項18】
特徴が、当該プロフィールに無関係な公知の情報を更に有する請求項2に記載の方法。
【請求項19】
当該プロフィールに無関係な当該公知の情報が:
年齢;
糖尿病の病歴;
体重;
身長;
肥満度指数;
性;
民族性;
食事および運動パターン;
HbA1cレベル;および
インスリンおよび/またはc-ペプチド・レベルの何れかを含む請求項18の方法。
【請求項20】
当該特徴に基づいて当該被験者を分類する当該ステップが:
クラスを定義すること;
当該特徴を当該クラスにマップすること;および
決定エンジンによりクラスのメンバーシップを割り当てることを有する請求項1に記載の方法。
【請求項21】
当該クラスが、正常状態、またはグルコース代謝の複数の障害のうちの1つの何れかに対応する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
クラスを定義する当該ステップが、
探索データ・セットからクラスに計測値を割り当てることを有し、当該データ・セットが被験者人口の代表的なサンプリングからの典型的特徴を有する請求項20に記載の方法。
【請求項23】
クラスが、管理された、および管理されない方法の何れかで定義される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
管理された方法でクラスを定義する前記ステップが、前記データの公知の差によりクラスを定義するクラスを有し、クラス割当てが公知のとき、アプリオリな情報の使用が、分類モデルを作成する請求項23に記載の方法。
【請求項25】
管理されない方法でクラスを定義する前記ステップが、前記特徴空間における前記データのクラスタまたは自然なグルーピングを作成するために、前記典型的特徴を使用することを含み;
クラスタ範囲内均質性およびクラスタ間隔たりは、最適化され、および物理的意味を有する特徴から形成されるクラスタは、前記特徴空間のバリエーションを引き起こす公知の根底にある現象に基づいて解釈される請求項23に記載の方法。
【請求項26】
管理された、および管理されないアプローチが、アプリオリな知識および自然に生じているスペクトル・クラスに対する前記特徴空間の探索を利用するために組み合わせられる請求項23に記載の方法。
【請求項27】
特徴の各セットを複数の領域に分割するステップ;および
当該領域の組み合わせによりクラスを定義するステップを更に有し;
クラスが、管理された方法で特徴から定義される請求項23に記載の方法。
【請求項28】
クラスタ分析を前記データ上で実行するステップ;
当該クラスタ分析の結果を管理された方法において特徴から定義された当該クラスと比較するステップ;および
組み合わせられることができるクラスのグループを決定するためにクラスタを使用するステップを更に有し;
最終的なクラス定義の数が、前記データの自然の分割に従って減少する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
管理されたパターン認識に基づいて分級器を設計するステップを更に有する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
管理されたパターン認識に基づいて当該分級器を設計する当該ステップが:
推定された分類に特徴の測定されたセットを変換するクラス定義に基づいてモデルを作成するステップ;および
測定システムの仕様を満たすために反復的アプローチを使用してクラス定義を最適化するステップを有し、
当該分級器が、確固たる、かつ正確な被験者判定を作成する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
当該クラスが、排他的であり、かつ当該特徴を当該クラスにマップする当該ステップが、1つのクラスに各計測値を割り当てることを有する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
当該排他的なクラスのバリエーションが、統計分類法の適用で統計学的に説明される請求項31に記載の方法。
【請求項33】
分級器を設計する当該ステップが、前記特徴空間から誤分類の数を最小限に抑えるクラス推定へ最適マッピングまたは変換を決定することを有する請求項31に記載の方法。
【請求項34】
当該マッピングが:
線形判別分析;
SIMCA (soft independent modeling of class analogies);
k最近傍法;および
人工ニューラルネットワークの何れかに基づく請求項33に記載の方法。
【請求項35】
当該分級器が、関数、または前記特徴を、

に従うクラスcにマップするアルゴリズムを有し、ここで、cが、間隔 [1,P] に関する整数であり、およびPが、クラスの数である請求項33に記載の方法。
【請求項36】
ファジイな分類が、同時に、1つ以上のクラスにおけるクラス・メンバーシップを可能にする請求項30に記載の方法。
【請求項37】
特定の特徴セットが、所定のクラスに関連づけられる範囲に関連した計測を提供するステップを更に有する請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ファジイ集合のメンバーシップが、グレードの連続体および前記特徴空間を各クラスに対して間隔[0,1]にマップするメンバーシップ関数のセットにより定義される請求項36に記載の方法。
【請求項39】
割り当てられたメンバーシップグレードが、クラス・メンバーシップの前記度合いを表し、値1が最高の度合いに対応し;
サンプルが、同時に、1つ以上のクラスのメンバーであることができる請求項38に記載の方法。
【請求項40】
特徴空間からクラス・メンバーシップのベクトルへマップすることが、

により与えられ、ここで、k=1、2、..P、fk(・)は、前記k番目のクラスの前記メンバーシップ関数であり、全てのkに対して

および前記ベクトル

は、クラス・メンバーシップの前記セットであり;
前記メンバーシップ・ベクトルが、前記予め決められたクラスの各々におけるメンバーシップの前記度合いを提供する請求項36に記載の方法。
【請求項41】
グルコース・プロフィールの少なくとも一部を測定する当該ステップが、グルコース・プロフィールの少なくとも一部を測定することを有し、当該プロフィールが、グルコース・チャレンジの前後から複数の血中グルコース値を有する請求項1に記載の方法。
【請求項42】
グルコース・プロフィールに基づいて被験者を分類する方法であって:
分類に関連する当該プロフィールの当該少なくとも一部の特徴を有する、特徴を当該グルコース・プロフィールの少なくとも一部から抽出するステップ;
被験者人口の代表的なサンプリングから典型的特徴を有する、探索データ・セットから計測値をクラスに割り当てることによりクラスを定義するステップ;
分類のために当該特徴をマップするステップ;および
クラス・メンバーシップを割り当てるステップを有し、
グルコース代謝の特定の障害に関連した被験者分類が決定される方法。
【請求項43】
当該クラスが、正常状態、またはグルコース代謝の複数の障害のうちの1つの何れかに対応する請求項42に記載の方法。
【請求項44】
クラスが、管理された、および管理されない方法の何れかで定義される請求項42に記載の方法。
【請求項45】
管理された方法でクラスを定義する前記ステップが、前記データの公知の差によりクラスを定義するクラスを有し、クラス割当てが公知のとき、アプリオリな情報の使用は、分類モデルを作成する請求項44に記載の方法。
【請求項46】
管理されない方法でクラスを定義する前記ステップが、前記特徴空間における前記データのクラスタまたは自然なグルーピングを作成するために、前記典型的特徴を使用することを含み;
クラスタ範囲内均質性およびクラスタ間隔たりは、最適化され、および物理的意味を有する特徴から形成されるクラスタは、前記特徴空間のバリエーションを引き起こす公知の根底にある現象に基づいて解釈される請求項44に記載の方法。
【請求項47】
管理された、および管理されないアプローチが、アプリオリな知識および自然に生じているスペクトル・クラスに対する前記特徴空間の探索を利用するために組み合わせられる請求項44に記載の方法。
【請求項48】
特徴の各セットを複数の領域に分割するステップ;および
当該領域の組み合わせによりクラスを定義するステップを更に有し;
クラスが、管理された方法で特徴から定義される請求項44に記載の方法。
【請求項49】
クラスタ分析を前記データ上で実行するステップ;
当該クラスタ分析の結果を管理された方法において特徴から定義された当該クラスと比較するステップ;および
組み合わせられることができるクラスのグループを決定するためにクラスタを使用するステップを更に有し;
最終的なクラス定義の数が、前記データの自然の分割に従って減少する請求項48に記載の方法。
【請求項50】
管理されたパターン認識に基づいて分級器を設計するステップを更に有する請求項49に記載の方法。
【請求項51】
管理されたパターン認識に基づいて当該分級器を設計する当該ステップが:
推定された分類に特徴の測定されたセットを変換するクラス定義に基づいてモデルを作成するステップ;および
測定システムの仕様を満たすために反復的アプローチを使用してクラス定義を最適化するステップを有し、当該分級器が、確固たる、かつ正確な被験者判定を作成する請求項50に記載の方法。
【請求項52】
当該クラスが、排他的であり、かつ当該特徴を当該クラスにマップする当該ステップが、1つのクラスに各計測値を割り当てることを有する請求項51に記載の方法。
【請求項53】
当該排他的なクラスのバリエーションが、統計分類法の適用で統計学的に説明される請求項51に記載の方法。
【請求項54】
分級器を設計する当該ステップが、前記特徴空間から誤分類の数を最小限に抑えるクラス推定へ最適マッピングまたは変換を決定することを有する請求項53に記載の方法。
【請求項55】
当該マッピングが:
線形判別分析;
SIMCA (soft independent modeling of class analogies);
k最近傍法;および
人工ニューラルネットワークの何れかに基づく請求項54に記載の方法。
【請求項56】
当該分級器が、関数、または前記特徴を、

に従うクラスcにマップするアルゴリズムを有し、ここで、cが、間隔 [1,P] に関する整数であり、およびPが、クラスの数である請求項54に記載の方法。
【請求項57】
ファジイな分類が、同時に、1つ以上のクラスにおけるクラス・メンバーシップを可能にする請求項51に記載の方法。
【請求項58】
特定の特徴セットが、所定のクラスに関連づけられる範囲に関連した計測を提供するステップを更に有する請求項57に記載の方法。
【請求項59】
ファジイ集合のメンバーシップが、グレードの連続体および前記特徴空間を各クラスに対して間隔[0,1]にマップするメンバーシップ関数のセットにより定義される請求項57に記載の方法。
【請求項60】
割り当てられたメンバーシップグレードが、クラス・メンバーシップの前記度合いを表し、値1が最高の度合いに対応し;
サンプルが、同時に、1つ以上のクラスのメンバーであることができる請求項59に記載の方法。
【請求項61】
特徴空間からクラス・メンバーシップのベクトルへマップすることが、

により与えられ、ここで、k=1、2、..P、fk(・)は、前記k番目のクラスの前記メンバーシップ関数であり、全てのkに対して

および前記ベクトル

クラス・メンバーシップの前記セットであり;
前記メンバーシップ・ベクトルが、前記予め決められたクラスの各々におけるメンバーシップの前記度合いを提供する請求項57に記載の方法。
【請求項62】
当該グルコース・プロフィールの少なくとも一部を処理するステップを更に有し、
興味がある信号が強化され、かつ分析のためにアクセス可能とされるように、少なくとも1つの変換が、干渉を除去、または減らし、かつ当該プロフィールの当該少なくとも一部を補正するために適用される請求項42に記載の方法。
【請求項63】
グルコース代謝の障害に対して被験者をスクリーニングする方法であって、
グルコースまたは食事チャレンジの少なくとも後からの複数の血中グルコース濃度を有する、グルコース・プロフィールを測定するステップ;
当該複数の血中グルコース値の少なくとも一部を使用し、当該1つ以上のパラメータの各々に対する重みを決定することにより当該プロフィールの形を評価し、および当該パラメータの実際または相対的な値と当該重みに基づいて1つ以上のスクリーニング・ファクタを計算するステップ;および
グルコース代謝の特定の障害に関連した被験者分類が決定される、当該形の評価に基づいて少なくとも1つの予め定められたクラスに当該被験者を分類するステップを有する方法。
【請求項64】
当該複数の血中グルコース値が、時系列を有する請求項63に記載の方法。
【請求項65】
当該血中グルコース値が、実測値である請求項63に記載の方法。
【請求項66】
当該血中グルコース値が、相対値である請求項63に記載の方法。
【請求項67】
当該パラメータが:
初期の空腹時グルコース濃度;
最大グルコース濃度;
予め定められた時間的間隔の経過後のグルコース濃度;
前記グルコース・プロフィールの前記曲線下面積;および
定義された期間にわたる前記グルコース・プロフィールの前記曲線下面積の何れかを含む請求項63に記載の方法。
【請求項68】
当該評価ステップが:
正常状態、または複数の異常状態のうちの1つの何れかを示す、対応している予め定められた値、および/または値の範囲と当該パラメータの何れかと比較する請求項67に記載の方法。
【請求項69】
当該予め定められたクラスが、当該健康状態に対応し、当該クラスが:
正常;
耐糖能障害;および
糖尿病を有する請求項68に記載の方法。
【請求項70】
重みを決定することが、当該パラメータの値に従って、各パラメータに線形または非線形スケールで値を割り当てることを有し、当該割り当てられた値が、当該重みを有する請求項63に記載の方法。
【請求項71】
当該スケールの最小および最大が、それぞれ、正常状態および糖尿病状態に対する予め定められた閾値に対応する請求項70に記載の方法。
【請求項72】
当該スケールの最小および最大が、それぞれ、低グルコース耐性および正常状態に対する予め定められた閾値に対応する請求項70に記載の方法。
【請求項73】
当該スケールの最大が、糖尿病状態に対する予め定められた閾値に対応する請求項70に記載の方法。
【請求項74】
当該スケールにより表される値の範囲が、標準診断基準に従って確立される請求項70に記載の方法。
【請求項75】
欠損パラメータには、ゼロの重みが割り当てられる請求項70に記載の方法。
【請求項76】
欠損データが、履歴データから供給される請求項70に記載の方法。
【請求項77】
スクリーニング・ファクタを計算することが:

に従って当該加重パラメータの加重平均を計算する前記ステップを含み、ここで、SF=当該スクリーニング・ファクタである請求項63に記載の方法。
【請求項78】
スクリーニング・ファクタを計算することが:

に従って当該加重パラメータの加重平均を計算する前記ステップを有し、ここで、SF2 =当該スクリーニング・ファクタである請求項63に記載の方法。
【請求項79】
スクリーニング・ファクタを計算することが:

に従って当該加重パラメータの加重平均を計算する前記ステップを有し、ここで、SF3 =当該スクリーニング・ファクタである請求項63に記載の方法。
【請求項80】
スクリーニング・ファクタを計算することが:

に従って選択された加重パラメータの第1のセットの加重平均を計算し、ここで、SF4 =第1のスクリーニング・ファクタであるステップ:および

に従って選択された加重パラメータの第2のセットの加重平均を計算し、ここで、SF5=第2のスクリーニング・ファクタであるステップを有する請求項63に記載の方法。
【請求項81】
当該スクリーニング・ファクタに基づいて制限をスクリーニングする閾値を確立するステップを更に有する請求項63に記載の方法。
【請求項82】
当該パラメータが:
初期の空腹時グルコース濃度;
当該グルコース・チャレンジに続くグルコース濃度の上昇率;
ピークのモニタされたグルコース濃度;
上昇したままの持続時間;
当該ピーク濃度に続くグルコース濃度の減少率;
当該ピーク濃度に続く最小グルコース濃度;
前記グルコース・プロフィールに対する前記曲線下面積;および
前記グルコース・プロフィール時のサブセットの間の前記曲線下面積の何れかを含む請求項63に記載の方法。
【請求項83】
スクリーニング結果を当該被験者に助言する前記ステップを更に有する請求項63に記載の方法。
【請求項84】
被験者の状態から生じる可能性がある合併症からの健康リスクを当該被験者に助言する前記ステップを更に有する請求項63に記載の方法。
【請求項85】
当該値が:
非侵襲性の血中グルコース・アナライザ;
最小侵襲性の血中グルコース・アナライザ;および
侵襲性の血中グルコース・アナライザの何れかを使用して得られる請求項63に記載の方法。
【請求項86】
そのようにプログラムされた処理デバイスが、当該ステップを実行する請求項63に記載の方法。
【請求項87】
当該プロフィールが、グルコースまたは食事チャレンジの前後からの複数の血中グルコース濃度を有する請求項63に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−517426(P2006−517426A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507109(P2005−507109)
【出願日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2003/035547
【国際公開番号】WO2004/043230
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(503016164)センシス メディカル インク (9)
【Fターム(参考)】