説明

グループ演奏練習支援機能を備える音響システム

【課題】本発明は、音響システムに関し、演奏グループの各メンバーに対する楽器の指定作業を強いることなく、グループの演奏練習を好適に支援することを目的とする。
【解決手段】複数の利用者IDで構成するグループID別に、楽曲毎に、当該各利用者IDと当該楽曲で担当する楽器の楽器IDとを関連付けて登録された演奏者管理テーブル57(25)を備え、無音楽器判定手段49がグループIDに基づいて選曲された楽曲が演奏される際に当該楽曲に割り当てられた総ての楽器のうち、演奏者管理テーブル57を参照して、ログインにより取得した各利用者IDの担当する楽器を無音楽器と判定し、楽器音量制御手段50が当該判定された無音楽器の演奏音をスピーカ35からの出力状態で無音とさせる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカより出力される演奏音を利用してグループで演奏練習を行わせるグループ演奏練習支援機能を備える音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケ装置が設備されているいわゆるカラオケボックスは防音室であり、当該防音を利用して複数の演奏メンバーからなるグループ演奏を練習する行為が増えてきている。カラオケ装置は、歌唱音声を基本的に発せずに演奏音がスピーカより出力されることが一般的であり、グループ演奏を効率的に練習させる練習支援の手法が望まれる。
【0003】
従来、カラオケシステムにはシンセサイザ音源が内蔵されており、各種デジタルデータにより多彩な演奏が可能となっている。すなわち、一の楽曲につき、演奏を構成する各種の楽器毎に振り分けられた多チャンネルの演奏用データトラックと称される楽器割り当てデータを有しているため、所望のチャンネル別に演奏音をスピーカより出力させることができる。
【0004】
上記のようなカラオケシステムにおいて、演奏練習を行わせる技術として以下の特許文献で提案されているものがある。下記特許文献では、予約データに基づく楽曲の演奏時、その利用者IDにつき、利用者別指定楽器登録部に楽器IDが登録され、かつ、当該楽曲の演奏データを構成する楽器ID毎に対応する複数の音源データをそれぞれ保持する複数チャンネルの何れかに当該登録された楽器IDが割り当てられていた場合、その対応する音源データの再生を行わずに演奏データを再生させることが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−193273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献では、楽曲の予約が個人で行われることから、複数の演奏者がいる場合には、例えば演奏練習の都度、現に参加しているメンバーを確認したり、それぞれの担当楽器を一々指定したりすることとなり、複数で演奏練習する場合には煩雑な作業が必要となるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、演奏グループの各メンバーに対する楽器の指定作業を強いることなく、グループの演奏練習を好適に支援する音響システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、楽曲が複数の楽器で割り当てられるデータで構成され、選曲された楽曲の当該割り当てられた楽器の演奏音を当該楽曲のデータに基づいて音楽演奏制御部がスピーカより出力させるものであり、複数の利用者の各利用者IDで構成するグループのグループID別に、楽曲毎に、当該各利用者IDと当該楽曲で使用される楽器のうち担当する楽器の楽器IDとを関連付けて登録された演奏者管理テーブルを備えるグループ演奏練習支援機能を備える音響システムであって、無音楽器判定手段及び楽器音量制御手段を有し、前記無音楽器判定手段は、前記演奏者管理テーブルを参照し、本システムに、現にログインしている利用者IDで特定される前記グループIDに基づいて選曲された楽曲が演奏される際に、当該楽曲に割り当てられた総ての楽器のうち、当該ログインしている各利用者IDが担当する楽器を無音楽器と判定し、前記楽器音量制御手段は、前記判定された無音楽器の演奏音を前記スピーカからの出力状態で無音とさせるべく前記音楽演奏制御部を制御する、構成とする。
【0009】
請求項2及び請求項3の発明では、「前記無音楽器判定手段は、前記無音楽器と判定した楽器の他に、演奏される楽曲に割り当てられた総ての楽器のうち、前記演奏者管理テーブルにグループとして登録された総ての利用者IDに関連付けられた楽器以外の楽器を無音楽器と判定する」構成であり、
「前記演奏者管理テーブルに登録された楽曲に対して演奏のキー及びテンポの少なくとも何れかが関連付けて登録され、当該楽曲の演奏の際に、前記音楽演奏制御部が前記無音楽器と判定された楽器以外の楽器の演奏音を、当該関連付けられたキー及びテンポの少なくとも何れかに対応させて前記スピーカより出力させる」構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の利用者IDで構成するグループID別に、楽曲毎に、当該各利用者IDと当該楽曲で担当する楽器の楽器IDとを関連付けて登録された演奏者管理テーブルを備え、グループIDに基づいて選曲された楽曲が演奏される際に、当該楽曲に割り当てられた総ての楽器のうち、演奏者管理テーブルを参照して、現にログインしている各利用者IDの担当する楽器を無音楽器と判定し、当該判定された無音楽器の演奏音をスピーカからの出力状態で無音とさせる構成とすることにより、少なくともログインした各利用者の担当する楽器の演奏音が演奏の際に指定作業を必要とせずに無音とされることから、演奏グループの各メンバーに対する楽器の指定作業を強いることなく、また、グループ全員が揃っていなくともあたかも全員で演奏しているような練習形態とさせてグループの演奏練習を好適に支援することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の最良の実施形態を図により説明する。以下の各実施形態では、本発明の音響システムをカラオケシステムに適用させた場合を示すが、カラオケに限らず、ボーカル音声や映像が出力されない音楽再生システムにおいても適用することができるものである。
【0012】
図1に、本発明に係るカラオケシステムの系統構成図を示す。図1(A)は通信ネットワークを使用して本システムを構成させた場合のネットワーク模式図、図1(B)はホスト装置の概要ブロック構成図、図1(C)は演奏者管理テーブルの登録内容の説明図である。
【0013】
図1(A)において、ホスト装置11はカラオケシステムの一部を構成するものとして、通信ネットワーク12を介して所定数のカラオケ演奏端末13(13A〜13N)を管理するものであり、相互にデータ授受自在に接続されたものである。上記通信ネットワーク12としては、例えば、一般公衆電話回線やこれを用いたADSLや光通信回線或いはインターネット、さらにはLANがあるが、インターネット上に構築されるVPNが好ましい。
【0014】
ホスト装置11は、図1(B)に示すように、少なくとも送受信手段21、制御手段22、グループ登録更新手段23及び演奏者管理テーブル24を備える。上記送受信手段21は、各カラオケ演奏端末13(13A〜13N)との通信(データ授受)を行うために、通信ネットワーク12の通信方式と整合性をとるための例えば物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成される。
【0015】
上記制御手段22は、当該ホスト装置11を統括的に制御するもので、例えば物理的なCPUであり、図示しないROMに格納されているプログラムのアルゴリズム処理を行う。上記グループ登録更新手段23は、所定のカラオケ演奏端末13より複数の利用者IDに基づいてグループ名、グループIDを指定して、楽曲(楽曲ID)毎に、当該各利用者IDに各担当の演奏楽器(演奏楽器ID)のデータが送信されてきたときに、演奏者管理テーブル25に、新規の場合には新規登録し、既に登録されている場合には、例えばグループのメンバーや担当楽器の変更、追加、削除を行う。
【0016】
すなわち、上記演奏者管理テーブル25は、図1(C)に示すように、複数の利用者の各利用者IDで構成するグループのグループID別に、楽曲毎に、当該各利用者IDと当該楽曲で使用される楽器のうち担当する楽器の楽器IDとを関連付けて登録されたものである。
【0017】
次に、図2に本発明のカラオケシステムにおけるカラオケ演奏端末に係るブロック構成図を示すと共に、図3に図2の楽曲演奏楽器管理テーブル及び楽器ID管理テーブルの説明図を示し、図4に図2における予約待ち行列の説明図を示す。図2において、カラオケ演奏端末13は、主要装置としてのカラオケ演奏装置31に有線又は無線で外部接続されるものとして、表示部32、ミキシングアンプ33、マイク34、スピーカ35を備える。また、有線又は無線で遠隔入出力端末36が接続される。
【0018】
上記表示部32は、通常の楽曲選曲表示やカラオケ演奏時の映像、歌詞テロップを表示するもので、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、その他種々のディスプレイを採用することができる。上記ミキシングアンプ33は、カラオケ演奏装置31より送られてくる後述する楽器毎の多チャンネルのアナログ演奏データをミキシングすると共に、これにマイク34からの音声信号をミキシングし、増幅してスピーカ35より出力する。
【0019】
遠隔入出力端末36は、図示しない端末送受信部により、カラオケ演奏装置31に対して有線方式ないし無線方式(IR方式やブルートゥース(登録商標)機構のピコネット接続方式など)を利用してデータ授受を行うためのもので、楽曲検索選曲手段37、グループ演奏登録更新手段38及び端末表示部39を適宜備える。
【0020】
上記楽曲検索選曲手段37は、後述するユーザインタフェース機能により利用者ID又はグループIDに基づいて、楽曲を検索させ、選曲させるプログラムである。これら選曲された楽曲は、後述の予約待ち行列(58)に適宜選曲者(利用者ID又はグループID)が付帯されて登録される。
【0021】
上記端末表示部39は、液晶ディスプレイ(LCD)とタッチセンサとを積層して入出力用とし、表示されるアイコン等に対応して当該タッチセンサにより楽曲の選択などのデータを入力することができるGUIのユーザインタフェース機能を有するものである。なお、この遠隔入出力端末36には、図示しない利用者を特定する手段が搭載され、ログイン要求の利用者より利用者IDを取得して当該利用者を特定する。当該利用者の特定は、例えば、利用者の所持するICカードからの利用者IDの取得、ユーザIDやパスワードの入力、声紋、指紋などの生体認証等による。この利用者を特定する手段をカラオケ演奏装置31に備えさせてもよい。
【0022】
上記カラオケ演奏装置31は、バス41、中央制御部42、ROM43、RAM44、記憶部45、映像再生制御部46、音楽演奏制御部47、グループ別演奏者情報取得手段48、無音楽器判定手段49、楽器音量制御手段50及び送受信部51,52を適宜備える。また、上記記憶部45には、楽曲DB53、映像DB54、楽曲演奏楽器管理テーブル55及び楽器ID管理テーブル56が記憶され、RAM44には、グループ別演奏者管理テーブル57及び予約待ち行列58の記憶領域が形成される。なお、上記各構成について、本発明の要旨と直接関連しない要素部分であっても、従前のカラオケ装置においても大部分が適用可能であることを示すために、装置全体を説明する。
【0023】
上記中央制御部42は、このシステムを統括的に処理制御する物理的なCPUであり、ROM43に記憶されているプログラムに基づくアルゴリズム処理を行う。上記RAM44は、グループ別演奏者管理テーブル57及び予約待ち行列58の記憶領域が形成される他に、上記種々のプログラムを展開、実行させるための作業領域としての役割をなすもので、例えば半導体メモリで構成され、仮想的にハードディスク上に構築される場合をも含む概念である。
【0024】
上記映像再生制御部46は、演奏時に、映像DB54より抽出された所定数のシーン映像データ及び楽曲コードで楽曲DB53より抽出された歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を当該楽曲の音符データに同期させて表示部32に出力する電子回路である。
【0025】
上記音楽演奏制御部47は、楽曲コードで楽曲DB53より抽出された音符データを楽器の上記割当データによる割り当てられた楽器毎に多チャンネルでデジタル再生し、アナログ変換してミキシングアンプ33に出力する電子回路である。この音楽演奏制御部47には、上記デジタル再生した楽器毎の多チャンネルの音符データを、それぞれデジタルボリウムを介してアナログデータに変換するコンバータが設けられ、当該デジタルボリウムに対して後述の楽器音量制御手段50が無音制御を行う。変換された楽器毎の多チャンネルのアナログデータは上記ミキシングアンプ33でミキシングされる。
【0026】
上記グループ別演奏者情報取得手段48は、ログインした利用者の利用者IDに基づいてホスト装置11に当該利用者IDが含まれるグループ(グループID)の総ての楽曲における担当楽器が登録された演奏者情報を取得し、グループ(グループID)別にRAM44のグループ別演奏者管理テーブル57に記憶するプログラムである。
【0027】
上記無音楽器判定手段49は、ここでは、演奏者管理テーブル25より取得されてRAM44に記憶されたグループ別演奏者管理テーブル57及び記憶部45の楽曲演奏楽器管理テーブル55を参照し、ログインしている利用者IDで特定されるグループIDに基づいて選曲されてRAM44の予約待ち行列58に登録された楽曲が演奏される際に、当該楽曲に割り当てられた総ての楽器のうち、当該現にログインしている各利用者ID、すなわちその場にいる利用者の利用者IDが担当する楽器を無音楽器と判定する処理を行うプログラムである。
【0028】
また、上記無音楽器判定手段49は、他の処理形態として、上記無音楽器と判定した楽器の他に、演奏される楽曲に割り当てられた総ての楽器のうち、上記グループ別演奏者管理テーブル57にグループとして登録された総ての利用者IDに関連付けられた楽器以外の楽器を無音楽器と判定する処理を行う。
【0029】
上記楽器音量制御手段50は、無音楽器判定手段49で判定された無音楽器の演奏音を上記スピーカ35からの出力状態で無音とさせるべく当該楽器の演奏チャンネルを音楽演奏制御部47のデジタルボリウムを無音制御するプログラムである。上記送受信部51は、遠隔入出力端末36との間で有線方式ないし無線方式(IR方式やブルートゥース(登録商標)機構のピコネット接続方式など)を利用してデータ授受を行うためのもので、そのための電子回路及びプログラムである。上記送受信部52は、上記ホスト装置11と上記通信ネットワーク12を介してデータ授受を行うためのもので、通信方式と整合性をとるための例えば物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成されるものである。
【0030】
上記記憶部45に記憶されている楽曲DB53は、楽曲毎に、音符データ及び歌詞データを格納するもので、当該音符データには複数の楽器(楽器ID)を割り当てる割当データが含まれる。演奏に関して、具体的には、楽曲ID、曲名及びアーチストID(アーチスト名)が関連付けられた楽曲テーブルを有し、楽曲毎に、楽曲IDで管理される所定データ形式のカラオケ楽曲の上記音符データ(例えば、MIDI(登録商標)形式の音符データ)及び歌詞データ(歌詞テロップデータ)が同期されて構成される楽曲データ(ファイル)について楽曲コードをファイル名としてそれぞれ格納したデータベースであり、映像DB54に格納された当該楽曲毎の背景映像を表示するための所定数のシーン映像を割り当てる割当データが関連付けられる。
【0031】
上記記憶部45に記憶されている当該映像DB54は、背景映像表示のための所定数のシーン映像データを所定数格納するデータベースである。なお、この楽曲DB53及び映像DB54を、カラオケ演奏装置31ではなく、上記ホスト装置11に備えさせることとしてもよい。
【0032】
上記記憶部45に記憶される楽曲演奏楽器管理テーブル55は、図3(A)に示すように、楽曲毎に、当該楽曲演奏で使用されている総ての楽器を演奏楽器IDとして関連付けたテーブルである。また、上記記憶部45に記憶される楽器ID管理テーブル56は、図3(B)に示すように、上記楽器の割当データに使用される楽器IDと楽器名とが関連付けられたテーブルであり、例えば、利用者が上記演奏者管理テーブル25への登録、更新に際して表示したり、指定された楽器を楽器IDで特定したりするためのものであり、一方で、演奏時に、利用者IDに基づく利用者名又はニックネームと担当する楽器名を表示部32に適宜表示される際に参照される。
【0033】
そして、RAM44に記憶される予約待ち行列58は、図4に示すように、演奏する楽曲が予約順の楽曲IDに、その選曲者(単独の利用者ID又はグループID)が付帯されて登録されるものである。一例として、図4において、演奏番号1,5,8は単独の利用者(利用者ID)で選曲されたもので、演奏番号2〜4,6,7がグループ(グループID)で選曲された場合を示している。
【0034】
なお、カラオケ演奏端末13をスタンドアローンのカラオケシステムとして適用させる場合には上記ホスト装置11のグループ登録更新手段23及び利演奏者管理テーブル25を備えさせる構成とすることにより実現することができる。
【0035】
そこで、図5に、演奏支援における無音楽器判定手段の説明図を示す。図5において、予約待ち行列58の例えば演奏番号2(実際的には、前曲の演奏番号1の終了時には登録が消去されることで、演奏番号1となる)が演奏される際、無音楽器判定手段49は、選曲者であるグループ(グループID)に基づいて、グループ別演奏者管理テーブル57を参照し、現にログインしている利用者IDを特定する。例えば、登録されている利用者(利用者ID)のうち、何れがログインしているかを特定する。
【0036】
続いて、例えば図に示すように3名の利用者(利用者ID)がログインしていれば、当該ログインしている利用者IDの担当する楽器(楽器ID)を特定する。適宜、ログインにしている利用者(利用者ID)が担当する演奏楽器の楽器名を、楽器ID管理テーブル56を参照して特定する。この楽器名は、例えば上記のように表示部32に利用者名(ニックネーム)と楽器名を表示させる。
【0037】
そして、演奏楽曲で演奏される総ての楽器のうち、特定した楽器IDをスピーカ出力状態で無音とさせる判定を行う。例えば、無音とさせる楽器IDにフラグを付帯させた場合、他の楽器についてはスピーカ出力状態とさせるフラグが立つことになる。
【0038】
また、他の処理形態では、上記ログイン者(利用者ID)による無音楽器を判定した他に、当該演奏される楽曲に割り当てられた総ての楽器(図3(A))のうち、演奏者管理テーブル25から取得したグループ別演奏者管理テーブル57にグループとして登録された総ての利用者IDに関連付けられた楽器以外の楽器を無音楽器と判定する。例えば、図に示すように、楽曲ID[***a−03]で使用される総ての楽器IDのうち、グループ登録した総ての利用者が担当する楽器以外の楽器ID[***23]、[***16]においても無音楽器とさせる判定を行うものである。
【0039】
上記のような無音楽器判定手段49の無音楽器の判定に対して、楽器音量制御手段50が、音楽演奏制御部47に対して、上述のように、対象楽器のチャンネルのデジタルボリウムを無出力として制御することで、当該音楽演奏制御部47から当該チャンネルの音符データがミキシングアンプ33に出力されず、その結果、スピーカ35の出力状態が無音となるものである。
【0040】
このように、現にログインした各利用者の担当する楽器の演奏音が演奏の際に指定作業を必要とせずに無音とされることから、演奏グループの各メンバーに対する楽器の指定作業を強いることなく、また、グループ全員が揃っていなくともあたかも全員で演奏しているような練習形態とさせてグループの演奏練習を好適に支援することができるものである。また、グループ登録した総ての利用者が担当する楽器以外の楽器をも無音とさせることで、グループ内だけの音合わせなどをし易くさせることができるものである。
【0041】
図6に本発明のカラオケシステムにおけるカラオケ演奏端末の他の実施形態に係る演奏者管理テーブルの説明図を示すと共に、図7に図6の演奏支援に係る説明図を示す。図6において、ホスト装置11の備える演奏者管理テーブル25に、利用者が新規にグループ登録する際、又は更新する際に、楽曲毎にキー及びテンポの少なくとも何れかを登録しておくもので、グループ別演奏者情報取得手段48がこれをも含めて取得し、グループ別演奏者管理テーブル57に記憶するものである。
【0042】
一方、カラオケ演奏装置31の音楽演奏制御部47は、図7(A)に示すように、キー・テンポ調整部61を備える。すなわち、無音楽器判定手段49による無音楽器の判定に応じて楽器音量制御手段50による無音とされた楽器(音符データの当該楽器のチャンネル)以外の楽器(他のチャンネル)を、当該キー・テンポ調整部61に応じたキー及びテンポの少なくとも何れかとしてミキシングアンプ33に出力させるものである。
【0043】
例えば、図7(B)において、予約待ち行列58には、グループIDで選曲された楽曲が登録される際にグループ別演奏者管理テーブル57の該当楽曲のキー及びテンポの少なくとも何れかの程度が付帯される。そして、図7(C)に示すように、無音楽器判定手段49において、無音されたと所定の楽器ID以外の楽器ID、すなわち、スピーカ35から出力させる楽器(楽器ID)に対して登録されたキー及びテンポの少なくとも何れかが反映されるものである。
【0044】
このように、無音とされた楽器以外の、スピーカ35から出力させる楽器については、楽曲毎に毎回キーやテンポを設定する操作を不要として、予め登録したキーやテンポで演奏練習をさせることができ、グループの演奏練習を好適に支援することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のグループ演奏練習支援機能を備える音響システムは、カラオケの基本的機能を備えるカラオケ装置の分野や、ボーカル音声や映像が出力されない音楽再生システムの分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るカラオケシステムの系統構成図である。
【図2】本発明のカラオケシステムにおけるカラオケ演奏端末に係るブロック構成図である。
【図3】図2の楽曲演奏楽器管理テーブル及び楽器ID管理テーブルの説明図である。
【図4】図2における予約待ち行列の説明図である。
【図5】演奏支援における無音楽器判定手段の説明図である。
【図6】本発明のカラオケシステムにおけるカラオケ演奏端末の他の実施形態に係る演奏者管理テーブルの説明図である。
【図7】図6の演奏支援に係る説明図である。
【符号の説明】
【0047】
11 ホスト装置
13 カラオケ演奏端末
25 演奏者管理テーブル
31 カラオケ演奏装置
47 音楽演奏制御部
48 グループ別演奏者情報取得手段
49 無音楽器判定手段
50 楽器音量制御手段
55 楽曲演奏楽器管理テーブル
56 楽器ID管理テーブル
57 グルーブ別演奏者管理テーブル
58 予約待ち行列
61 キー・テンポ調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲が複数の楽器で割り当てられるデータで構成され、選曲された楽曲の当該割り当てられた楽器の演奏音を当該楽曲のデータに基づいて音楽演奏制御部がスピーカより出力させるものであり、複数の利用者の各利用者IDで構成するグループのグループID別に、楽曲毎に、当該各利用者IDと当該楽曲で使用される楽器のうち担当する楽器の楽器IDとを関連付けて登録された演奏者管理テーブルを備えるグループ演奏練習支援機能を備える音響システムであって、
無音楽器判定手段及び楽器音量制御手段を有し、
前記無音楽器判定手段は、前記演奏者管理テーブルを参照し、本システムに、現にログインしている利用者IDで特定される前記グループIDに基づいて選曲された楽曲が演奏される際に、当該楽曲に割り当てられた総ての楽器のうち、当該ログインしている各利用者IDが担当する楽器を無音楽器と判定し、
前記楽器音量制御手段は、前記判定された無音楽器の演奏音を前記スピーカからの出力状態で無音とさせるべく前記音楽演奏制御部を制御する、
ことを特徴とするグループ演奏練習支援機能を備える音響システム。
【請求項2】
請求項1記載のグループ演奏練習支援機能を備える音響システムであって、前記無音楽器判定手段は、前記無音楽器と判定した楽器の他に、演奏される楽曲に割り当てられた総ての楽器のうち、前記演奏者管理テーブルにグループとして登録された総ての利用者IDに関連付けられた楽器以外の楽器を無音楽器と判定することを特徴とするグループ演奏練習支援機能を備える音響システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のグループ演奏練習支援機能を備える音響システムであって、前記演奏者管理テーブルに登録された楽曲に対して演奏のキー及びテンポの少なくとも何れかが関連付けて登録され、当該楽曲の演奏の際に、前記音楽演奏制御部が前記無音楽器と判定された楽器以外の楽器の演奏音を、当該関連付けられたキー及びテンポの少なくとも何れかに対応させて前記スピーカより出力させることを特徴とするグループ演奏練習支援機能を備える音響システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−85739(P2010−85739A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255168(P2008−255168)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】