説明

ケトロラクの鼻腔内投与のための治療用組成物

【課題】鎮痛活性および抗炎症活性を有する、鼻腔内投与に適した治療用組成物を提供することであって、ここで、この組成物は、活性成分としてのケトロラクもしくは薬学的に受容可能なその塩、および刺痛の感覚を減じ、効力を向上させるための局所麻酔薬を提供すること。
【解決手段】患者へ鼻腔投与するための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸、その光学活性形態、ラセミ混合物、もしくは薬学的に受容可能なその塩を、薬学的に受容可能な希釈剤および4% w/v〜10%(w/v)の局所麻酔薬と組み合わせて含む、組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、鎮痛活性および抗炎症活性を有する、鼻腔内投与に適した治療用組成物に関連しており、ここで、この組成物は、活性成分としてのケトロラクもしくは薬学的に受容可能なその塩、および刺痛の感覚を減じ、効力を向上させるための局所麻酔薬を含む。本発明は、痛みを処置するために本組成物の鼻への投与を被験体に提供する治療方法にも関連しており、ここで、この被験体は刺痛の感覚が減じられ、そしてこの効力は既知の組成物に比べて向上している。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ケトロラク、すなわち5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸は、以下の式(I)を有する:
【0003】
【化2】

これは、ここ数年にわたって、トロメタミン塩で鎮痛薬および抗炎症薬として公知であり(特許文献1)、そしてヒトの治療において使用されている。特許文献1は、本明細書中に参考として援用される。
【0004】
本化合物のラセミ形態ならびにそれぞれのD型およびL型の異性体の両方が公知である。多くの薬学的に受容可能な塩(最も一般的に使用されるのはトロメタミン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)塩である)もまた公知である。本明細書中の以下では、ケトロラクという名前は、ラセミ混合物もしくはいずれかの光学活性化合物を個々にもしくは集合的に包含するものとし、そして遊離酸およびトロメタミン塩もしくは前述のいずれかの任意の他の薬学的に受容可能な塩を包含するものとする。
【0005】
ケトロラクに関する充分な文献が入手可能である(例えば、非特許文献1)。これは、多くの他の非ステロイド系の抗炎症剤と比べてかなり高い鎮痛活性を有する薬剤として記載されている。最も重要なことに、これはアヘン剤(例えば、モルヒネ)の鎮痛活性に匹敵する鎮痛活性を、後者の周知の副作用なしで有する。
【0006】
ケトロラクは、鼻へと投与可能な組成物として処方され得ることが公知である。Recordatiに対する特許文献2を参照。しかしながら、いくつかの被験体において、刺痛もしくは刺激の感覚を生じる有害な局所反応が鼻腔内で起こることが見出されている。ケトロラクの鼻への組成物はRecordatiの特許文献内で検討されたような多くの利点を有しているが、一方、患者による受け入れを促進するためには、鼻への処方物の薬物動態プロフィールに悪影響をおよぼさない事と同時に、あらゆる刺痛感覚は最小限にされるべきである。
【0007】
多数の物質が局所麻酔薬として公知であり、痛みの感覚を弱めるために様々な状況において局所的に適用される。これらの局所麻酔薬は、一般的に溶液中では活性ではないことは公知であり、ゆえにこれらは一般的に懸濁剤として、もしくはこの活性麻酔薬が溶解していないある種の局所処方物中に適用される。驚いたことに、ケトロラクが鼻に投与された際に刺痛を感じる特定の人々の刺痛感覚を最小限にするために、局所麻酔薬の溶液がケトロラクとともに使用され得ることが今や見出された。
【0008】
特許文献3は、局所麻酔薬と組み合わせたcGMP PDE V阻害因子の組み合わせである、鼻への投与のための組成物を記載している。この刊行物で論じられているように、PDE V阻害因子(例えば、Viagra(登録商標))を投与しようとする際に、特定の問題がある。このPDE V阻害因子は血管拡張薬であり、鼻への投与は鼻粘膜の脈管の多数の拡張を起こし、そしてこれは特定の患者にかゆみ、刺痛、なみだ目、もしくは他の刺激をもたらすと主張されている。この投薬形態において使用される局所麻酔薬の量は、表面麻酔を行なうのに必要な量よりも一般的に明らかに少ない。特に、特許文献3の段落[0072]中で、「組成物は・・・表面麻酔用に市販されている表面調製物中の標準の量より低い濃度、すなわち4%(m/v)よりも低い濃度の局所麻酔薬(単数/複数)を含む。」と教示されている。この米国特許公報の教示に反して、我々は、ケトロラク(血管拡張薬ではないケトロラク)の投与によって起こる刺痛は、母集団中の特定のメンバーによって感じられるような刺痛の問題を減じるために、溶液としての組成物中に4% w/v(すなわち、重量/容積で、これは質量/容積(m/v)と交換可能であり、溶液の容積リットル(「L」)で除算した物質の質量グラム(「g」)に100%を掛けたもの(%/g/L)と定義される)よりも多い量を使用することにより、減少し得ることを見出した。
【0009】
特許文献4は、局所麻酔薬および5−HT1Dアゴニストを鼻腔内に投与することによる片頭痛の処置に注意をひいている。これは、5−HT1Dアゴニストの吸収は局所麻酔薬の存在によって強化されるという仮説に基づいており、これは血管拡張の効果があると考えられている。吸収の増加は5HT1Dアゴニストのより速い分布および活性の開始を引き起こすに違いないと主張されている。この仮説を支持するデータは提供されておらず、5HT1Dの最大濃度に達する時間に関する記載はなされていない。驚くことに、本発明の好ましい処方物において、ケトロラクがその最大、すなわちピークの濃度(Cmax)に達する時間(Tmax)が短くされ、ゆえによりよい痛みの軽減を提供することが今や見出された。
【特許文献1】米国特許第4,089,969号明細書
【特許文献2】米国特許第6,333,044号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0022894号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第2315673号明細書
【非特許文献1】「Ketorolac−A review of its pharamacodynamic and pharmacokinetic properties and its therapeutic potential」、Drugs 39(1):86−109、1990
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明の一つの局面は、鼻への投与のための組成物であって、この組成物は、有効な量の式(I):
【0011】
【化3】

の化合物5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸、その光学活性形態、ラセミ混合物、もしくは薬学的に受容可能なその塩を、薬学的に受容可能な希釈剤および4%〜10% w/vの局所麻酔薬(例えば、塩酸リドカイン)との組み合わせで含む組成物である。好ましくは、この化合物は、約2.5〜22.5%(w/v)のレベルで存在するケトロラクトロメタミンであり、麻酔薬は、5%〜10% w/vのレベルで存在し、組成物は、噴霧可能な水溶液である。
【0012】
本発明の別の局面は、ヒト被験体の鼻腔へと噴霧するための組成物であって、この組成物は、
(a)水;
(b)化合物5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸、その光学活性形態、ラセミ混合物、もしくは薬学的に受容可能なその塩(例えば、トロメタミン)であって、ここで、この化合物が、痛みもしくは炎症を処置するために被験体によって吸収されるに充分なレベルで水に溶解している、化合物;
(c)被験体へこの化合物を単独で鼻へ投与することで起こる任意の刺痛感覚を軽減するのに充分なレベルの、このに水に溶解した局所麻酔薬(例えば、塩酸リドカイン);および
(d)必要に応じて、他の薬学的に受容可能な賦形剤
を含む。
【0013】
本発明の別の局面は、痛みもしくは炎症を処置する処置が必要な被験体の痛みもしくは炎症を処置するための方法であり、この方法は被験体へと本発明の組成物を鼻腔内投与する工程を含む。
【0014】
本発明の別の局面は、患者の鼻腔内に組成物を噴霧する装置を備えた容器内の本発明の組成物である。
【0015】
本発明の別の局面は、痛みもしくは炎症を処置するために被験体に鼻腔内投与するための組成物を調製するための、化合物5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸、その光学活性形態、ラセミ混合物、もしくは薬学的に受容可能なその塩と局所麻酔薬との組み合わせの使用である。
【0016】
本発明の全ての局面の重要な特徴は、この麻酔薬がケトロラクの血漿薬物動態(PK)に有害な影響を及ぼさないレベルで存在するように選択されることである。
本発明により、以下が提供される:
(項目1)
患者へ鼻腔投与するための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の式:
【化1】

の化合物5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸、その光学活性形態、ラセミ混合物、もしくは薬学的に受容可能なその塩を、薬学的に受容可能な希釈剤および4% w/v〜10%(w/v)の局所麻酔薬と組み合わせて含む、組成物。
(項目2)
前記化合物がラセミ混合物としてのケトロラクトロメタミンである、項目1に記載の組成物。
(項目3)
1mLあたり25mg〜225mg溶解した前記化合物を含み、ここで、前記希釈剤は水であり、該組成物が液体であって、噴霧可能である、項目2に記載の組成物。
(項目4)
1mLあたり50〜200mgの前記化合物を含む、項目3に記載の組成物。
(項目5)
キレート剤が存在する、項目2に記載の組成物。
(項目6)
水である前記希釈剤に溶解した2.5〜22.5% w/vの前記化合物を含む、項目1に記載の組成物。
(項目7)
15% w/vの前記化合物を含む、項目6に記載の組成物。
(項目8)
1人の患者に対して投与するための単回投与量の形態である、項目1に記載の組成物であって、ここで、該組成物は噴霧可能な液体であり、前記希釈剤は水である、組成物。
(項目9)
複数回投与量の処方物である、項目1に記載の組成物であって、ここで、該組成物は噴霧可能な液体であり、前記希釈剤は水である、組成物。
(項目10)
水溶液の形態である、項目1に記載の組成物。
(項目11)
前記麻酔薬が塩酸リドカインである、項目1に記載の組成物。
(項目12)
項目11に記載の組成物であって、ここで、前記麻酔薬が5%〜10% w/vのレベルで存在し、前記希釈剤が水であり、そして該組成物が噴霧可能な溶液である、組成物。
(項目13)
前記麻酔薬が5%〜6% w/vのレベルで存在する、項目11に記載の組成物。
(項目14)
項目1に記載の組成物であって、該組成物が被験体の鼻腔内に該組成物を噴霧するための装置を備えた容器内に含まれ、ここで、該組成物が水溶液である、組成物。
(項目15)
項目14に記載の組成物および容器であって、ここで、該容器が約50〜2000マイクロリットル(μL)を保持している、組成物および容器。
(項目16)
pHが6〜7.5である、項目1に記載の組成物。
(項目17)
ヒト被験体の鼻腔へと噴霧するのに適した組成物であって、該組成物が
(a)水;
(b)化合物5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸、その光学活性形態、ラセミ混合物、もしくは薬学的に受容可能な塩で、ここで、該化合物が、痛みもしくは炎症を処置するために該被験体によって吸収されるに充分なレベルで水に溶解されている、化合物;
(c)該被験体へ該化合物を単独で鼻へ投与することで起こる刺痛感覚を軽減するのに充分なレベルの、該水に溶解した局所麻酔薬;および
(d)必要に応じて、他の薬学的に受容可能な賦形剤
を含む、組成物。
(項目18)
項目17に記載の組成物であって、ここで、
(a)水が単独の希釈剤であり;
(b)前記化合物が、2.5〜22.5% w/vで溶解したラセミ体のケトロラクトロメタミンであり;
(c)前記局所麻酔薬が、5〜10% w/vで溶解した塩酸リドカインであり;そして
(d)該組成物のpHが7.2に調整され、キレート剤が存在する、
組成物。
(項目19)
前記化合物が15% w/vのレベルで存在し、前記局所麻酔薬が5〜6% w/vのレベルで存在し、リン酸カリウムがpH調整剤であり、そして前記キレート剤がナトリウムEDTAである、項目18に記載の組成物。
(項目20)
痛みもしくは炎症の処置が必要な被験体の痛みもしくは炎症を処置するための方法であって、項目1〜19のいずれかに記載の組成物を鼻腔内投与する工程を包含する、方法。
(項目21)
前記方法が痛みを処置するためである、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記痛みが前記被験体の受けた外傷の結果である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記痛みが前記被験体の受けた医療手術の結果である、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記痛みが病理学的痛みである、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記痛みが神経障害性の痛みである、項目21に記載の方法。
(項目26)
前記痛みが片頭痛もしくは他の頭痛の痛みである、項目21に記載の方法。
(項目27)
痛みもしくは炎症を処置するために被験体へ鼻投与するための組成物を調製するための、化合物5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸、その光学活性形態、ラセミ混合物、もしくは薬学的に受容可能なその塩の、局所麻酔薬と組み合わせての使用。
(項目28)
前記化合物が2.5〜22.5% w/vで存在するケトロラクトロメタミンであり;前記局所麻酔薬が4〜10% w/vで存在する塩酸リドカインであり;そして前記組成物が6〜8.5のpHを有する水性の噴霧可能な組成物である、項目27に記載の使用。
(項目29)
前記化合物が15% w/vで存在し、前記局所麻酔薬が5〜6% w/vで存在し、前記pHが7.2であり、そしてナトリウムEDTAがキレート剤として存在する、項目28に記載の使用。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
引用した全ての特許および文献は、その全体が参考として援用される。
【0018】
我々は、ヒト被験体の痛みおよび/もしくは炎症を処置するためのケトロラクを活性成分として含む鎮痛/抗炎症処方物を調製することが可能であることを今や見出した。この処方物は、被験体に対して治療上有効な量の鼻腔内投与に適しており、その結果、このように投与されたケトロラクは素早くそして全体にわたって吸収され、いくつかの被験体によって感じられる刺痛を軽減して、以前に記載された鼻腔内処方物から得られる治療上の効果と等しいかもしくはより良い効果を与える。この処方物は、刺痛の感覚を軽減する量の麻酔薬を、鼻への投与の際にこの麻酔薬が使用されなければこのような感覚を感じ得るような患者にしびれの感覚を生じずに使用するように設計されている。重要なことに、ケトロラクのPKは、麻酔薬の存在によって悪影響を受けないように思われる。つまり、血漿ケトロラク濃度対時間は、麻酔薬の存在によって悪い様式では大きく変更されない。驚くことに、この麻酔薬の存在(例えば、5〜6% w/vの好ましいレベルの塩酸リドカイン)は、ケトロラクが被験体の血漿内でそのCmaxに達するTmaxを実際に短縮する。これは、Cmaxに達するより速い時間は一般的に被験体により良い痛みの軽減を提供するという点で、塩酸リドカインのないケトロラクの鼻への処方物をしのぐ予想外の利点を提供する。
【0019】
本発明の鼻腔内処方物は、最終処方物を基準として2.5%〜22.5%の範囲(例えば5%〜20%、好ましくは約15% w/v)の濃度のケトロラクを含む。あるいは、これは1ミリリットル(mL)あたり25〜225ミリグラム(mg)、好ましくは50〜200mg/mL、そして最も好ましくは、150mg/mLとして表され得る。もちろん、個々の賦形剤の選択は、望ましい処方物の投薬形態に依存し、すなわち、点滴剤中もしくは噴霧剤(エーロゾル)として使用される溶液が望まれるか、もしくは鼻腔に直接適用される懸濁剤、軟膏剤もしくはゲル剤が望まれるかに依存する。いずれの場合にも、本発明は、単回投与量もしくは複数回投与量の投薬形態の調製を可能にし、これは適量の薬剤の適用を確実にする。一般的に、被験体は、一つもしくは両方の外鼻孔に約25〜200マイクロリットル(好ましくは50〜100マイクロリットル)の噴霧可能な本発明の水性処方物が投与される。例えば、100μLの15%(pH 7.2)w/vのケトロラク溶液をそれぞれの外鼻孔に投与すると、被験体の血漿中での30mgまでのケトロラクとなる。一般的にはこの組成物は1日に4回投与されるが、一方特定の状況では、適切であれば、より少ない頻度で投与され得る。0.5ミリグラム(mg)/キログラム(kg)/日と4mg/kg/日との間の範囲の量の本発明による組成物の鼻腔内投与は、ケトロラクの血漿レベルを0.3〜5mg/L血漿の範囲内で生じ、病理的起源のものであるか神経障害性の起源のもの(例えば、外傷を受けた痛み、術後の痛み、片頭痛など)であるかにかかわらず、これは一般的に中程度から重篤な痛みを処置する際に効力がある。一般的に、18〜65歳の被験体は、1日に4回15% w/vのケトロラク溶液を外鼻孔1個あたり100マイクロリットル鼻腔内投与することによって1日当たり120mgまでのケトロラクを受け得る。青年期もしくは65歳より年をとった被験体は、1日に4回15% w/vのケトロラク処方物を外鼻孔1個あたり50マイクロリットル鼻腔内投与することによって1日当たり60mgを受け得る。12歳およびそれより年下の小児は、適切により少なく受ける。
【0020】
本発明による処方物に対して好ましい希釈剤は水であり、望むのであれば、他の賦形剤が加えられ得る。好ましい15% w/vケトロラク処方物は、高張性であり、すなわち、生物学的流体の浸透圧よりも高い浸透圧を示す。ケトロラクの濃度がより低い場合、製剤で一般的に使用されているものの中から選択された等張剤を加えることは有用であり得る。この目的で使用される物質は、例えば、塩化ナトリウムおよびグルコースである。等張剤の量は、処方物の望ましい浸透圧に依存する(活性成分の浸透圧効果を考慮する)。一般的にこれは約150〜約850ミリオスモル(mOsm)の範囲内である。
【0021】
溶液の代わりに懸濁剤もしくはゲル剤が望まれた場合には、適切なオイル状もしくはゲル状のビヒクルが使用され得るか、または1つ以上の重合体物質が含まれ得、望ましくは、これがこのビヒクルに生体接着性の特徴を与え得るべきである。
【0022】
製剤においてゲルを調製するためにいくつかの重合体が使用される;非限定的な例としては以下が記載され得る:ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL(登録商標))、ヒドロキシエチルセルロース(NATROSOL(登録商標))、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(BLANOSE(登録商標))、アクリル系重合体(CARBOPOL(登録商標)、POLYCARBOPHIL(登録商標))、キサンタンガム、トラガカントガム、アルギネートおよび寒天。括弧の部分は、開放市場で入手可能な製品の商用名を提供する。
【0023】
これらのうちのいくつか(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(しばしばナトリウムCMCと省略される)およびアクリル系重合体)は、著しい生体接着性の特性を有し、生体接着性を望むのであれば、これらは好ましい。
【0024】
ケトロラクの鼻腔内投与に適した他の処方物は、温度に関連して組成物の流動学的挙動を変え得る水性のビヒクル重合体に加えることで、獲得され得る。
【0025】
これらの重合体は、例えば鼻への噴霧によって適用され得、そして体温によって粘度が上昇して粘性液体を生じ、鼻粘液膜とのより長い時間の接触の可能性を上げる、室温では低粘度の溶液を得ることを可能にする。このクラスの重合体としては、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体(POLOXAMER(登録商標))が挙げられるが、これに限定しない。ポリオキシエチレンはしばしばPOEと省略され、一方ポリオキシプロピレンはPOPと省略される。
【0026】
水性、油性、もしくはゲル状の希釈剤に加えて、本発明による組成物中で使用され得る他の希釈剤は溶液系(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、これらの混合物もしくは1つ以上の前述の物質と水との混合物を含む)を含む。
【0027】
いずれの場合にも、生成物の安定性および耐性の両方にとって最適なpHの条件(約4〜約8の範囲のpH;好ましくは約6.0〜7.5)にするために薬学的に受容可能な緩衝剤が存在すべきである。適切な緩衝剤としては、tris(トロメタミン)緩衝剤、リン酸緩衝剤などが挙げられるが、これらに限定しない。好ましくは、リン酸カリウム NFが、pHを7.2に調整するために使用される。
【0028】
他の賦形剤としては、化学的エンハンサー(例えば、吸収促進剤)が挙げられる。これらのエンハンサーとしては、脂肪酸、胆汁酸塩、および他の界面活性剤、フシジン酸、リゾホスファチド(lysophosphatides)、環式ペプチド抗生物質、保存剤、カルボン酸(アスコルビン酸、アミノ酸)、グリチルレチン酸、o−アシルカルニチンが挙げられる。好ましい促進剤は、特に活性が高いと証明された、アジピン酸ジイソプロピル、POE(9)ラウリルアルコール、グリココール酸ナトリウム、およびリゾフォスファチジル−コリンである。
【0029】
本発明の組成物中に存在し得る別の賦形剤は、キレート剤、すなわち活性成分の安定性または活性を妨害し得る2価もしくは3価の原子価の金属イオン(例えば、カルシウム)に主に結合する物質である。キレート剤は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」の最近版を参照して、当業者には公知である。好ましいキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTAナトリウム)、USPである。
【0030】
最後に、本発明の組成物は、好ましくは、活性成分の微生物学的安定性を確実にする保存剤を含む。適切な保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)、安息香酸ナトリウム、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウムおよびクロロブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
好ましくは溶液の形態である液体のケトロラク処方物は、点滴剤もしくは噴霧の形態で機械製のバルブを装備し、および市販されているタイプの推進剤(例えば、ブタン、N、Ar、CO、亜酸化窒素、プロパン、ジメチルエーテル、クロロフルオロカーボン(例えば、FREON)など)をおそらく含んだアトマイザを使用して、投与され得る。噴霧投与に適した希釈剤(例えば、溶媒)は、水、アルコール、グリコール、グリセロール、およびプロピレングリコールであり、これらは、単独でもしくは2つ以上混合して使用される。好ましくは、水が単独の溶媒として使用される。
【0032】
本発明によって使用され得る局所麻酔薬は、それ自体が公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1990、pp.1048〜1056中に列挙されている。局所麻酔薬は、感覚神経終末の興奮性もしくは痛みのニューロン伝導性、または身体の限定された領域内の他の感覚性刺激を、恒久的な害を起こさずに可逆的に阻害する化合物である(J.L.McGuire(編集者)、Pharmaceuticals、volume2、Wiley−VCH、Weinheim 2000、pp.539以降を参照せよ)。本発明の意味内での局所的麻酔薬は、好ましくは、Index Nominum 2000、International Drug Directory、Scientific Publishers Stuttgart 2000中に「local anesthetic」という治療カテゴリーで列挙されている物質を意味することが意図される。使用される特定の麻酔薬および患者の感受性に依存して、この麻酔薬は4〜約10% w/vのレベルで存在する。
【0033】
本発明による好ましい局所麻酔薬は、式(II):
【0034】
【化4】

の化合物であり、
ここで、
は、H、NH、NH(C1−6アルキル)、O−C1−6−アルキルもしくはCHOPhを表し;
は、O−C1−6−アルキルを表し、O−C1−6−アルキルは、NH(C1−6−アルキル)、N(C1−6−アルキル)、または飽和した5員もしくは6員の複素環からなる群からのラジカルを必要に応じて有し得、この複素環は、少なくとも1つの窒素原子を含み、後者を通して結合しており、そして必要に応じてN、O、Sからなる群からの1つもしくは2つのさらなるヘテロ原子を含み、そして必要に応じて1〜3個のさらなるC1−6−アルキルラジカルを有するか;あるいは
は、(CH1−6−Hetを表し、ここで、Hetは飽和した5員もしくは6員の複素環を表し、該複素環は、少なくとも1つの窒素原子を含み、後者を通して結合しており、そして必要に応じてN、O、Sからなる群からの1つもしくは2つのさらなるヘテロ原子を含み、そして必要に応じて1〜3個のさらなるC1−6−アルキルラジカルを有し;そして
は、H、ハロゲンもしくはO−−C1−6−アルキルを表す。
【0035】
他の有用な化合物としては、式(III):
【0036】
【化5】

の化合物が挙げられ、
ここで、
は、HもしくはOHを表し;
は、架橋アルキル鎖が1つ以上のC1−6−アルキルラジカルを必要に応じて有し得るC1−6−アルキル−N(C1−6−アルキル)を表すか、または飽和した5員もしくは6員の複素環を表し、この複素環は、少なくとも1つの窒素原子および必要に応じてN、O、Sからなる群からの1つもしくは2つのさらなるヘテロ原子を含み、そして必要に応じて1〜3個のさらなるC1−6−アルキルラジカルを有し、
は、C1−6−アルキル、ハロゲンもしくはCOOC1−6−アルキルを表し;そして
nは、1もしくは2を表す。
【0037】
他の有用な化合物は、
【0038】
【化6】

およびポリドカノールおよびベノキシネート(benoxinate)、ならびに生理学的に受容可能なこれらの塩および/もしくは水和物からなる群から選択される。
【0039】
本発明による特に好ましい局所麻酔薬は、上記の式(II)の麻酔薬であって、ここで、
は、H、NH、NH−n−C、O−n−C、O−n−CもしくはCHOPhを表し;
は、OC、O−n−C、O−(CHN(C、O(CHN(CH、もしくは、
【0040】
【化7】

からなる群からのラジカルを表し;そして
は、H、Cl、O−n−CもしくはO−n−Cを表す。
【0041】
他の好ましい化合物は、上記の式(III)の化合物であって、ここで、
は、HもしくはOHを表し;
は、CHN(C、CHCHNH−n−C、CHNH−n−C、もしくは
【0042】
【化8】

からなる群からのラジカルを表し;
は、CH、ClもしくはCOOCHを表し;
nは、1もしくは2を表し;
ならびにベノキシネート、および生理学的に受容可能なこれらの塩および/もしくは水和物である。
【0043】
本発明に従って特に好んで使用され得る局所麻酔薬は以下である:ベンゾカイン、ブタンベン(butambene)、ピペロカイン、塩酸ピペロカイン、プロカイン、塩酸プロカイン、クロロプロカイン、塩酸クロロプロカイン、オキシブプロカイン、塩酸オキシブプロカイン、プロキシメタカイン、塩酸プロキシメタカイン、テトラカイン、塩酸テトラカイン、ニルバニン(nirvanin)、リドカイン、塩酸リドカイン、プリロカイン、塩酸プリロカイン、メピバカイン、塩酸メピバカイン、ブピバカイン、塩酸ブピバカイン、ロピバカイン、塩酸ロピバカイン、エチドカイン、塩酸エチドカイン、ブタニリカイン(butanilicaine)、塩酸ブタニリカイン(butanilicaine hydrochloride)、アルチカイン(articaine)、塩酸アルチカイン(articaine hydrochloride)、シンコカイン、塩酸シンコカイン、オキセタカイン(oxetacaine)、塩酸オキセタカイン(oxetacaine hydrochloride)、プロピポカイン(propipocaine)、塩酸プロピポカイン(propipocaine hydrochloride)、ジクロニン、塩酸ジクロニン、プラモカイン(pramocaine)、塩酸プラモカイン(pramocaine hydrochloride)、ホモカイン(fomocaine)、塩酸ホモカイン(fomocaine hydrochloride)、キニソカイン(quinisocaine)、塩酸キニソカイン(quinisocaine hydrochloride)、ベノキシネート、およびポリドカノール。これらの化合物は、市販されているか、もしくは当業者に公知である方法(例えば、J.L.McGuire(編集者)、Pharmaceuticals、volume2、Wiley−VCH 2000、pp.539以降に記載されているように)によって調製され得る。
【0044】
本発明に従って好んで使用され得る局所麻酔薬は、ベンゾカイン、リドカイン、テトラカイン、ベノキシネート、ポリドカノール、もしくは薬学的に受容可能なそれらの塩である。リドカイン、塩酸リドカイン、およびメタンスルホン酸リドカインが特に好ましい。本発明によれば、局所麻酔薬は、4〜約10% w/vのレベルで、好ましくは約5〜6% w/vのレベルで存在する。4〜10% w/vが一般的範囲ではあるが、この範囲を狭く調整することは有用であり得、例えば、5〜10%、5〜9%、5〜8%、5〜7%などである。
【0045】
実例となる処方物は、ケトロラク、水および麻酔薬に加えて、以下の成分
および量(w/v)を含み得る。
【0046】
【表1a】

(1)例えば、EDTAナトリウム
(2)例えば、パラオキシ安息香酸メチルもしくはパラオキシ安息香酸プロピ
ルまたはそれらの混合物
(3)例えば、グリココール酸ナトリウム
(4)例えば、ナトリウムCMC
(5)例えば、グリセロール。
【0047】
成分(例えば、ナトリウムCMCおよびCARBOPOLと称される重合体)が粘度の異なる多くのタイプで存在することは、当業者によって理解される。これらの量は、適宜に調整されるべきである。それぞれの処方物に対する別の調整(例えば、いくつかの任意成分の省略、および他の成分の添加が挙げられる)も必要となり得る。ゆえに、それぞれの成分についての全てを包含する量の範囲を示すことは可能ではないが、本発明によるそれぞれの調製物の最適化を最も効果的に活用することは、当該分野の範囲内である。
【0048】
ケトロラクベースの組成物の鼻腔内投与の別の代替物は、推進剤中またはオイル状のビヒクル中もしくは薬剤が不可溶である別のビヒクル中に細かく微粉化された(一般的に、1〜200マイクロメートル、好ましくは5〜100マイクロメートル)ケトロラクの懸濁液を含む。このビヒクルは、この推進剤と混合されるかもしくはこの推進剤で乳化される。この代替物に適したビヒクルは、例えば、植物油および鉱油ならびにトリグリセリド混合物である。製剤における使用に適した適切な界面活性剤、懸濁化剤および希釈剤は、これらのビヒクル中に加えられる。界面活性剤としては、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン(量:約0.25%と約1%との間)が挙げられるが、これらに限定されず;懸濁化剤としては、イソプロピルミリステート(量:約0.5%と約1%との間)およびコロイド状シリカ(量:約0.1%と約0.5%との間)が挙げられるが、これらに限定されず;そして希釈剤としては、ステアリン酸亜鉛(約0.6%〜約1%)が挙げられるが、これに限定されない。
【0049】
本発明の組成物は、患者の鼻腔と、患者が感じる痛みおよび/もしくは炎症を軽減するために患者によってケトロラクの吸収をもたらすに充分な組成物量との接触によって、それを必要とする患者に投与される。これは、好ましくは、本明細書中で述べたように、患者の鼻腔内に、噴霧(例えば、噴霧された粒子)を生産するための装置(例えば、アトマイザー)を備えた容器から溶液を噴霧することにより行なわれる。この装置は、患者(男性もしくは女性)によって患者の鼻腔内に吸引される細かい液体粒子の霧もしくは懸濁液を生産し、鼻腔からこの粒子は血流中に素早く吸収され、この麻酔作用および抗炎症作用を発揮する。適切な容器および噴霧装置は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」を参照することにより、当業者にとって入手可能である。このような容器の一つの入手元は、Ing.Erich Pfeiffer GmbH、Radolfzell、Germanyである。別の入手元は、Valois、50 avenue de l’Europe、78164 MARLY−LE−ROI、Franceである。
【実施例】
【0050】
ケトロラクの鼻腔内投与のための処方物の以下の実施例は、本発明を、その範囲を限定することなく説明することに役立つ。
【0051】
(実施例1)
本実施例は、本発明に従って鼻腔内投与のための組成物を作製するための説明を提供する。表1に示す比に従って溶液を調製した。この溶液に塩酸リドカインを加え、表2に示す本発明の組成物を得た。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

(実施例2)
本実施例は、特に、鼻腔内投与されたケトロラク処方物中の塩酸リドカインの存在がケトロラクのPKプロフィールに何らかの有害な影響を及ぼすかどうかを決定するために行なわれる第I相臨床研究(二重盲検、無作為化四元クロスオーバー)の説明を提供する。この結果は、好ましい処方物中(5〜6% w/t)では麻酔薬塩酸リドカインの存在によって、PKの特徴が向上し、そうでなければ、有害な影響を受けないことを示す。さらに、この処方物の安全性および耐性のデータを評価した。
【0054】
この臨床研究は、本研究のために募られた16人の健康なボランティアを含んだ。この研究において、それぞれのボランティアは4つの鼻腔内投与される噴霧処方物を受けた。その中の3つは、本発明の一局面を表す組成物である。それぞれの服用の間に3〜7日間の洗い流し期間があった。この4つの水性の噴霧組成物を、以下のように調製した:
【0055】
【表3】

(1)ケトロラクトロメタミン、USP
(2)塩酸リドカイン、USP
(3)ナトリウムEDTA、NF
(4)リン酸水素二カリウム、NF
(5)注射用水、USP。
【0056】
処方物Aは公知であり、これは比較目的のために含まれた。処方物B〜Dは、本発明の組成物であり、CおよびDが好ましい。
【0057】
それぞれの参加者から、以下のように血液が採血された;投薬前(時間(t)=0HR)、0.25、0.50、0.75、1、1.5、2、4、6、8、12、15、および24時間。1ミリリットル(mL)あたりのナノグラム(ng)単位でケトロラクおよびリドカインの血漿濃度を決定するために、血液サンプルをケトロラクおよびリドカインのレベルに関して分析した。その後、これらの値を統合して、参加者集団中の平均濃度の時間プロフィールを得た。ケトロラクの結果を図1(直線)および図2(半対数)に示し、一方リドカインの結果を図(直線)および図4(半対数)に示す。それぞれのプロットで、「SE」は、標準誤差である。それぞれの被験体は、期間1の21日間の薬剤投与研究中に医学的スクリーニングを受けた。本研究にくみ込むのに適任の被験体は、4期間参加した。被験体は、それぞれの期間の1日前にユニットに入れられ、2日目の朝まで滞在し続けた。それぞれ期間の間に3〜7日間の洗い流しが行なわれた。最後の処置期間の7日間の投与中に、研究後医療が行なわれた。
【0058】
図1および図2から、ケトロラクのPKは、4%リドカインの存在から本質的に影響を受けず、一方好ましい処方物はCmaxに達する時間を短縮したことは明らかである。
【0059】
それぞれの患者を、鼻腔の水腫、紅斑、潰瘍、しびれおよび刺痛のレベルを決定するために、臨床家によって評価した。この結果は、被験体が刺痛感覚の軽減を感じることを示す傾向があるが、評価のプロセスの難しさのために、これらは決定的ではなかった。
【0060】
(実施例3)
本実施例は、術後の患者に関して、鼻腔内(IN)ケトロラクトロメタミンの3つの処方物の安全性、耐性および薬物動態(PK)を比較する研究を記載する。
【0061】
本研究は、術後患者における二重盲検の並行研究である。被験体は、3つの処方物のうち1つのINケトロラクトロメタミン30mg、もしくはプラセボを受ける。この処方物のうち2つは、本発明による好ましい処方物である。本研究は、それぞれのグループに登録した15人の被験体、総数で60人の被験体を含む。それぞれの処方物が、それぞれの被験体の鼻腔内に投与される(それぞれの外鼻孔に1回噴霧)。
【0062】
本研究に適した術後患者は、年齢が18歳から60歳で、男性および女性のMetLifeの身長および体重の表(1999年版)による理想体重の20%以内の体重の患者を含む。
【0063】
被験体は、以下のいずれかを受けるように無作為に割り当てられる:
□処置A(当該分野で公知の化合物)−30mgのケトロラクトロメタミンの単回鼻腔内投与量(それぞれの外鼻孔内に100μLの15%(pH7.2)溶液を1回噴霧)。
【0064】
□処置B(本発明の好ましい組成物)−5%塩酸リドカインを伴う30mgのケトロラクトロメタミンの単回鼻腔内投与量(それぞれの外鼻孔内に100μLの15%(pH7.2)溶液を1回噴霧)。
【0065】
□処置C(本発明の好ましい組成物)−6%塩酸リドカインを伴う30mgのケトロラクトロメタミンの単回鼻腔内投与量(それぞれの外鼻孔内に100μLの15%(pH7.2)溶液を1回噴霧)。
【0066】
□処置D−プラセボの単回鼻腔内投与量(それぞれの外鼻孔内に100μLのビヒクル溶液を1回噴霧)。
【0067】
(手順)
【0068】
【表4】

(データ分析)
鼻の刺激の評点および有害事象のデータを、処置グループおよび身体的所見によって表にし、そして実験テストの結果を、被験体によって列挙する。
【0069】
(製品の名称および市販元の例の付録)
【0070】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、24時間にわたる血漿ケトロラク濃度の平均直線プロフィールおよび半対数プロフィールを示す。
【図2】図2は、24時間にわたるリドカイン濃度の平均直線および半対数を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者へ鼻腔投与するための組成物であって、該組成物は、治療上有効な量の式:
【化1】

の化合物5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸、その光学活性形態、ラセミ混合物、もしくは薬学的に受容可能なその塩を、薬学的に受容可能な希釈剤および4% w/v〜10%(w/v)の局所麻酔薬と組み合わせて含む、組成物。
【請求項2】
前記化合物がラセミ混合物としてのケトロラクトロメタミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1mLあたり25mg〜225mg溶解した前記化合物を含み、ここで、前記希釈剤は水であり、該組成物が液体であって、噴霧可能である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
1mLあたり50〜200mgの前記化合物を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
キレート剤が存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
水である前記希釈剤に溶解した2.5〜22.5% w/vの前記化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
15% w/vの前記化合物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
1人の患者に対して投与するための単回投与量の形態である、請求項1に記載の組成物であって、ここで、該組成物は噴霧可能な液体であり、前記希釈剤は水である、組成物。
【請求項9】
複数回投与量の処方物である、請求項1に記載の組成物であって、ここで、該組成物は噴霧可能な液体であり、前記希釈剤は水である、組成物。
【請求項10】
水溶液の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記麻酔薬が塩酸リドカインである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物であって、ここで、前記麻酔薬が5%〜10% w/vのレベルで存在し、前記希釈剤が水であり、そして該組成物が噴霧可能な溶液である、組成物。
【請求項13】
前記麻酔薬が5%〜6% w/vのレベルで存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物であって、該組成物が被験体の鼻腔内に該組成物を噴霧するための装置を備えた容器内に含まれ、ここで、該組成物が水溶液である、組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の組成物および容器であって、ここで、該容器が約50〜2000マイクロリットル(μL)を保持している、組成物および容器。
【請求項16】
pHが6〜7.5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
ヒト被験体の鼻腔へと噴霧するのに適した組成物であって、該組成物が
(a)水;
(b)化合物5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸、その光学活性形態、ラセミ混合物、もしくは薬学的に受容可能な塩で、ここで、該化合物が、痛みもしくは炎症を処置するために該被験体によって吸収されるに充分なレベルで水に溶解されている、化合物;
(c)該被験体へ該化合物を単独で鼻へ投与することで起こる刺痛感覚を軽減するのに充分なレベルの、該水に溶解した局所麻酔薬;および
(d)必要に応じて、他の薬学的に受容可能な賦形剤
を含む、組成物。
【請求項18】
請求項17に記載の組成物であって、ここで、
(a)水が単独の希釈剤であり;
(b)前記化合物が、2.5〜22.5% w/vで溶解したラセミ体のケトロラクトロメタミンであり;
(c)前記局所麻酔薬が、5〜10% w/vで溶解した塩酸リドカインであり;そして
(d)該組成物のpHが7.2に調整され、キレート剤が存在する、
組成物。
【請求項19】
前記化合物が15% w/vのレベルで存在し、前記局所麻酔薬が5〜6% w/vのレベルで存在し、リン酸カリウムがpH調整剤であり、そして前記キレート剤がナトリウムEDTAである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
痛みもしくは炎症の処置が必要な被験体の痛みもしくは炎症を処置するための方法であって、請求項1〜19のいずれかに記載の組成物を鼻腔内投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
前記方法が痛みを処置するためである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記痛みが前記被験体の受けた外傷の結果である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記痛みが前記被験体の受けた医療手術の結果である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記痛みが病理学的痛みである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記痛みが神経障害性の痛みである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記痛みが片頭痛もしくは他の頭痛の痛みである、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
痛みもしくは炎症を処置するために被験体へ鼻投与するための組成物を調製するための、化合物5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸、その光学活性形態、ラセミ混合物、もしくは薬学的に受容可能なその塩の、局所麻酔薬と組み合わせての使用。
【請求項28】
前記化合物が2.5〜22.5% w/vで存在するケトロラクトロメタミンであり;前記局所麻酔薬が4〜10% w/vで存在する塩酸リドカインであり;そして前記組成物が6〜8.5のpHを有する水性の噴霧可能な組成物である、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記化合物が15% w/vで存在し、前記局所麻酔薬が5〜6% w/vで存在し、前記pHが7.2であり、そしてナトリウムEDTAがキレート剤として存在する、請求項28に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−1586(P2009−1586A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206448(P2008−206448)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【分割の表示】特願2007−548354(P2007−548354)の分割
【原出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(507194464)ロックスロ ファーマ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】