説明

ケモカイン受容体結合性化合物

ケモカイン受容体、特に、CCR5の活性を調節する化合物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2005年12月6日に申請された、米国暫定出願番号第60/873,121号の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に援用される。
技術分野
本発明は、概して、新規化合物、医薬組成物、およびその使用に関する。より具体的には、これらの新規化合物は、ケモカイン受容体活性のモジュレータ、特に、ケモカイン受容体CCR5のモジュレータであり、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による標的細胞の感染に対する予防効果をさらに示す。別の態様において、本発明の化合物は、様々な炎症および自己免疫疾患の治療および予防に有用である。
【背景技術】
【0002】
複合体を調節すること、ならびにリンパ系細胞および血管外遊出の運動、および白血球の組織浸潤に重要な一連の複雑で重複する生物学的活性を調節することにより、少なくとも部分的に機能する約40のヒトケモカインが説明されてきた。(Ponath,P.,Exp.Opin Invest.Drugs(1998)7:1−18を参照のこと)。これらの走化性サイトカイン、またはケモカインは、炎症部位にマクロファージ、T細胞、好酸球、好塩基球、および好中球を誘引するために、広範な様々の細胞により放出される、約8〜10kDaの大きさのタンパク質のファミリーを構成し、免疫系の細胞の熟成における役割も果たす。ケモカインは、三次構造の維持に関与する4つの保存システインから成る、共通の構造モチーフを共有すると考えられる。「CC」またはβ−ケモカインおよび「CXC」またはα−ケモカインの2つの主要なケモカインのサブファミリーがあるが、最初の2つのシステインは、単一のアミノ酸、すなわち、CXCにより分離されるか、または隣接、すなわち、CCであるかに依存する。
【0003】
これらのケモカインは、「ケモカイン受容体」と称されるGタンパク質結合7膜貫通タンパク質のファミリーに属する細胞表面受容体に特異的に結合し、これらの受容体を通して生物学的活性を媒介する。ケモカイン受容体は、受容体の天然リガンドを構成するケモカインに基づき分類される。β−ケモカインのケモカイン受容体は、「CCR」と名付けられ、α−ケモカインのそれらは、「CXCR」と名付けられる。これらのケモカイン受容体は、CCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CXCR3およびCXCR4を含むが、これらに限定されない(完全な論評については、Murphy,et.al.Pharmacol.Rev.(2000)52:145−176を参照のこと)。
【0004】
ケモカインは、炎症の開始および維持において、主要な介在物質であると考えられる(Chemokines in Disease;Humana Press(1999)出版、C.Herbert編集;Murdoch,et al., Blood(2000)95:3032−3043を参照のこと)。より具体的には、ケモカインは、損傷後の血管形成および再内皮化中の増殖、移動、分化を含む、内皮細胞機能の調節に重要な役割を果たすことが発見された。(Gupta,et al.,J.Biolog.Chem(1998)7:4282−4287)。ケモカイン受容体CXCR4およびCCR5の双方は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染の原因に関与している。
【0005】
大抵の場合、HIVは、標的細胞のCD4受容体に、gp120外被タンパク質を介して、最初に結合する。立体構造変化は、CCR5等のケモカイン受容体への後続の結合を生じる、gp120で起こると考えられる(Wyatt,et al.,Science(1998)280:1884−1888)。感染で続いて生じるHIV−1分離株は、CXCR4ケモカイン受容体に結合する。CD4受容体に最初に結合する必要がなく、ケモカイン受容体への別の関連するレトロウイルスであるネコ免疫不全ウイルスの観察された結合は、ケモカイン受容体が、免疫不全レトロウイルスに対する根本的で絶対的な受容体であり得ることを示唆する。
【0006】
HIVによるCD4への最初の結合後、異なるメンバーが、HIV−1のマクロファージ向性(M向性)およびT株細胞(T向性)分離株の融合補助因子として作用する、ケモカイン受容体ファミリーのメンバーにより媒介される、ウイルス−細胞融合が生じる(Carroll,et al.,Science(1997)276:273−276;Feng,et al.,Science(1996)272:872−877;Bleul,et al.,Nature(1996)382:829−833;Oberlin,et al.,Nature(1996)382:833−835;Cocchi,et al.,Science(1995)270:1811−1815;Dragic,et al.,Nature(1996)381:667−673;Deng,et al.,Nature(1996)381:661−666;Alkhatib,et al.,Science(1996)272:1955−1958)。患者内の感染経過中、大部分のHIV粒子は、M向性からより攻撃的な病原体のT向性ウイルス表現型に変化する(Miedema,et al.,Immune.Rev.(1994)140:35;Blaak,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(2000)97:1269−1274;Simmonds,et al.,J.Virol.(1996)70:8355−8360;Tersmette,et al.,J.Virol.(1998)62:2026−2032;Connor,R.I.et al.,J.Virol.(1994)68:4400−4408;Schuitemaker,et al.,J.Virol(1992)66:1354−1360)。M向性ウイルス表現型は、CCR5受容体の結合後、細胞に侵入するウイルスの能力と相関するが、T向性ウイルス表現型は、CXCR4受容体と結合および膜融合した後の細胞へのウイルス侵入と相関する。臨床的に、知見は、CCR5またはCXCR4において遺伝的な変異を所有する患者は、HIV感染に抵抗性があるまたは感受性が低いと考えられることを示唆する(Liu,et.al.,Cell(1996)86:367−377;Samson,et al.,Nature(1996)382:722−725;Michael,et al.,Nature Med.(1997)3:338−340;Michael,et al.,J.Virol.(1998)72:6040−6047;Obrien,et al.,Lancet(1997)349:1219;Zhang,et al.,AIDS Res.Hum.Retroviruses(1997)13:1357−1366;Rana,et al.,J.Virol.(1997)71:3219−3227;Theodorou,et al.,Lancet(1997)349:1219−1220)。
【0007】
そのような多数のケモカイン受容体が細胞へのHIV侵入を媒介することが報告されているにもかかわらず、CCR5およびCXCR4が、広範な様々のHIV−1菌株により使用される唯一の生理的に適関連性のある共受容体であると考えられる(Zhang,et al.,J.Virol.(1998)72:9307−9312;Zhang,et al.,J.Virol.(1999)73:3443−3448;Simmonds,et al.,J.Virol.(1988)72:8453−8457)。CXCR4を使用するT向性ウイルスの融合および侵入は、天然のCXC−ケモカイン間質細胞由来因子1(SDF−1)により阻害される。一方、CCR5を使用するM向性ウイルスの融合および侵入は、天然のCCケモカイン、つまり、正常T細胞が発現分泌すると調節される物質(RANTESまたはCCL5)、およびマクロファージ炎症タンパク質(それぞれ、MIP−1αおよびMIP−1βまたはCCL3および4)により阻害される。SDF−1は、CXCL12またはプレB細胞刺激因子(PBSF)として知られる。
【0008】
しかしながら、ケモカイン受容体のそれらの天然リガンドへの結合は、HIV感染の介在物質としてのみ以上の、より進化的で中心的な役割を果たすと考えられる。天然リガンドであるPBSF/SDF−1のCXCR4ケモカイン受容体への結合は、重要なシグナル伝達機構を提供する。CXCR4またはSDF−1欠損マウスは、小脳、心臓および消化管異常を示し、子宮内で死亡する(Zou,et al.,Nature(1998)393:591−594;Tachibana,et al.,Nature(1998)393:591−594;Nagasawa,et al.,Nature(1996)382:635−638)。CXCR4欠乏マウスは、造血欠損も示す(Nagasawa,et al.,Nature(1996)382:635−638)。さらに、白血球および造血前駆細胞を発現するCXCR4のSDF−1への移動は、骨髄におけるB細胞系列およびCD34+前駆細胞の局在性を維持するために重要であると考えられる(Bleul,et atl.,J.Exp.Med.(1998)187:753−762;Viardot,et al.,Ann.Hematol.(1998)77:195−197;Auiti,et al.,J.Exp.Med.(1997)185:111−120;Peled,et al.,Science(1999)283:845−848;Qing,et al.,Immunity(1999)10:463−471;Lataillade,et al.,Blood(1999)95:756−768;Ishii,et al.,J.Immunol.(1999)163:3612−3620;Maekawa,et al.,Internal Medicine(2000)39:90−100;Fedyk,et al.,J.Leukocyte Biol.(1999)66:667−673;Peled,et al.,Blood(2000)95:3289−3296)。
【0009】
CXCR4に結合するとSDF−1により提供されるシグナルは、腫瘍細胞増殖および腫瘍成長に付随する血管形成の調節に重要な役割も果たし得る。(Chemokines and Cancer,Humana Press(1999)出版、;B.J.Rollins編集;Arenburg,et al.,J.Leukocyte Biol.(1997)62:554−562;Moore,et al.,J.Invest Med.(1998)46:113−120;Moore,et al.,Trends Cardiovasc.Med(1998)8:51−58;Seghal,et al.,J.Surg Oncol.(1998)69:99−104を参照のこと)。既知の血管形成成長因子VEG−FおよびbFGF、内皮細胞のCXCR4の上方調節、ならびにSDF−1は、生体内での血管新生を誘発し得る(Salcedo,et al.,Am.J.Pathol.(1999)154:1125−1135)。さらに、CXCR4を発現する白血病細胞は、SDF−1を発現するリンパ節および骨髄間質細胞に移動して癒着する(Burger,et al.,Blood(1999)94:3658−3667;Arai,et al.,Eur.J.Haematol.(2000)64:323−332;Bradstock,et al.,Leukemia(2000)14:882−888)。
【0010】
SDF−1のCXCR4への結合も、アテローム性動脈硬化の病原(Abi−Younes,et al.,Circ.Res(2000)86:131−138)、腎同種移植片拒絶(Eitner,et al.,Transplantation(1998)66:1551−1557)、ぜんそく、およびアレルギー性気道炎症(Yssel,et al.,Clinical And Experimental Allegy(1998)28:104−109;Nagase,H,et al.,J.Immunol(2000)164:5935−5943;Gonzalo,et al.,J.Immunol.(2000)165:499−508)、アルツハイマー病(Xia,et al.,J.Neurovirology(1999)5:32−41)ならびに関節炎(Nanki,et al.,J.Immunol.(2000)164:5010−5014)に関与している。
【0011】
血小板も、活性化によりケモカインRANTESを分泌することを示し、内皮上のANTESの存在は、内皮下層でのマクロファージの泡沫細胞変換がアテローム形成において中心的な工程であるため、アテローム発生の重要なステップである、炎症性内皮上の単球の抑止を促進する(Tan,et al.,Expert Opin.Investig.Drugs(2003)12:1765−1776)。したがって、直接的または間接的なCCR5受容体へRANTESの結合の阻害または抑制は、アテローム性動脈硬化の発生を潜在的に激弱する可能性がある。例えば、Met−RANTESも、活性内皮下層への単球の結合を阻害することを示している(Tan、et al.,上記)
ケモカインとその受容体との間の関係をより理解するために、CXCR4ケモカイン受容体を介してHIVの融合、侵入および複製を遮断する最新の実験が、有用な治療方針を示唆すると考えられるモノクローナル抗体または小分子の使用を通して実施された(Schole,et al.,J.Exp.Med.(1997)186:1383−1388;Schole,et al.,Antiviral Research(1997)35:147−156;Bridger,et al.,J.Med.Chem(1994)42:3971−3981;およびBridger,et al.,“Bicylam Derivatives as HIV Inhibitors” in Advances In Antiviral Drug Desigh,Volume 3,p.161−229,JAI press(1999)出版、E.De Clercq編集)。バイサイクラム等の小分子は、CCR5ではなく、特異的にCXCR4に結合すると考えられる(Donzella,et al.,Nature Medicine(1998)4:72−77)。これらの実験は、生体外の標的細胞へのHIV侵入および膜融合に干渉することを実証した。
【0012】
バイサイクラムは、侵入にCXCR4を使用するネコ免疫不全ウイルス(FIV)の融合および複製を阻害することも示した(Egbering,et al.,J.Virol(1999)73:6346−6352)。CCR5遮断薬は、モノクローナル抗体を含み、それらのいくつかは、ケモカイン結合ではなくHIV共受容体活性、RANTES、Met−RANTESおよびAOP−RANTES等のケモカイン誘導体の切断片、およびウイルス性ケモカインKSHVvMIP−IIを選択的に遮断し、全てが、選択的ではなく、ケモカインおよびHIVの双方がCCR5との干渉を遮断する(Murphy,et al.,Pharmacol.Rev.(2000)52:145−176により概説)。
【0013】
さらなる実験は、バイサイクラムは、SDF−1に応答して、125I標識SDF−1のCXCR4への結合およびシグナル伝達(細胞内カルシウムでの増加により示される)を用量依存的に阻害することを示した。したがって、バイサイクラムも、天然ケモカインである間質由来因子またはSDF−1αのCXCR4への結合から生じるシグナル伝達に対し、アンタゴニストとして機能した。バイサイクラムは、非HIV感染細胞でHIVgp120(外被)アポトーシス誘発も阻害した(Blanco,et al.,Antimicrobial Agents and Chemother.(2000)44:51−56)。
【0014】
抗MIP−1αとの受動免疫は、マウスでのコラーゲン誘発関節炎(CIA)の発現を遅延し、重症度を低減することを示したが、CIAモデルは、ヒト関節リウマチを表す確立されたマウスモデルである(Szekanecz,Z.,et al.,AP,Seminars in Immunology,15(2003),p.15−21)。他の研究も、CCR5受容体を遮断する薬剤が多発性硬化症の治療の合理的なアプローチを提供し得ることを示している。抗MIP−1α抗血清の投与は、多発性硬化症のゲッ齒類モデルである、実験的アレルギー脳脊髄炎を有するマウスでのPBMCによるCNS浸潤を予防することを示している(Balashov,K.E.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999)96:6873−6878)。
【0015】
移植心臓の慢性拒絶反応または心臓同種移植片脈管障害(CAV)および急性腎臓同種移植片拒絶反応を含む他の研究は、CCR5等のケモカイン受容体の遮断は、このような疾患の治療または予防の独特の治療アプローチを提供し得ることを示している(Yun,J.J.,et al.,Circulation(2004)109:932−937、Panzer,et al.,Transplantation(2004)78:1341−1350)。例えば、Met−RANTESを有するケモカイン受容体CCR1およびCCR5の拮抗作用は、移植心臓への単核細胞補充を削減することによりCAV発生を減弱した。Met−CCL5、CCR1のアンタゴニストおよびCCR5がテストされ、乳腺腫の成長を阻害することを示した(Robinson,S.C.,et al.,Cancer Res.(2003)63:8360−8365)。
【0016】
上述の通り、ケモカインは、重要な役割を果たし、自己免疫疾患、同種移植片拒絶反応、感染、アレルギー、腫瘍、および血管異常等での広範な様々のヒト疾患で示された。HIV感染での寄与的役割に加え、ケモカイン受容体CCR5は、多発性硬化症および実験的自己免疫性脳脊髄炎、関節リウマチ、腸炎症、同種移植片拒絶反応、ぜんそく、および循環器疾患を含む、中枢神経系の炎症性脱髄疾患等の疾患に関与している(Gerard,et al.,Natl.Immunol.(2001)2:108−115およびLuster,A.,N.Eng.J.Med.(1998)338:436−445で概説)。CCR5受容体は、Tリンパ球、およびマクロファージ上に発現し、神経細胞、星状細胞、毛細血管内皮細胞、上皮、血管平滑筋、および線維芽細胞上のCCR5の報告が発表されている。RANTESおよびMIP−1α/βに加え、CCR5受容体に結合する天然リガンドは、単球走化性タンパク質2(MCP−2またはCCL8)である。
【0017】
参照により、その全体が本明細書に援用される、米国特許第5,583,131号、第5,698,546号、第5,817,807号、第5,021,409号、および第6,001,826号は、生体外テストで、HIV−1およびHIV2に対して活性である環状化合物を開示している。これらの化合物は、免疫系のある細胞の表面上に発現するケモカイン受容体CXCR4および/またはCCR5に結合することにより、抗HIV活性を示すことが後に発見され、PCTWO02/34745号にさらに開示された。この競合的結合は、これによって、侵入にCXCR4を利用するHIVによる感染から、これらの標的細胞を保護する。さらに、これらの化合物は、ケモカイン間質ケモカイン由来因子1α(SDF−1)のCXCR4に対する天然リガンドの結合、伝達および走化作用を拮抗する。さらに、これらの化合物は、生体外でCCR5受容体に結合することにより、標的細胞のHIV感染に対して保護作用を実証する
さらに、米国特許第6,365,583号は、上述の特許/特許出願に記載されるこれらの環状ポリアミン抗ウイルス剤が、白血球(血液細胞)の保護を強化するだけでなく、抗ウイルス性質も示す作用を有することを開示している。したがって、これらの薬剤は、化学療法の副作用の制御、骨髄移植成功の強化、創傷治癒の強化、および火傷治療だけでなく、白血病の細菌感染との闘いに有用である。
【0018】
PCTWO00/56729号、PCTWO02/22600号、PCTWO02/22599号およびPCTWO02/34745号は、免疫系のある細胞の表面に発現するケモカイン受容体CXCR4およびCCR5に結合することにより、抗HIV活性を示す一連の複素環化合物を記載する。この競合的結合は、これによって、侵入にCXCR4またはCCR5を利用するHIVによる感染から、これらの標的細胞を保護する。さらに、これらの化合物は、ケモカイン間質ケモカイン由来因子1α(SDF−1)のCXCR4に対する天然リガンド、および/またはケモカインRANTESのCCR5に対する天然リガンドの結合、伝達および走化作用を拮抗する。
【0019】
ケモカイン受容体であるCXCR4は、消化管の血管新生(Tachibana、et al.,Nature(1998)393:591−594)だけでなく、造血発生および小脳発生(Zou, et al.,Nature(1998)393:591−594)と関係していることが発見された。プレB細胞成長刺激因子/間質由来因子(PBSF/SDF−1)のCXCR4ケモカイン受容体への結合により供給されるこれらの重要な機能のいずれかとの干渉は、血管発生、造血発生および心発生において、致命的な欠損を生じる。同様に、胎児小脳発育は、神経細胞移動におけるCXCR4の効果的な機能および中枢神経系におけるパターン形成に依存すると考えられる。このGタンパク質結合ケモカイン受容体は、小脳原基の顆粒細胞の移動の必要なパターンを確実にするために重要な役割を果たすと考えられる。
【0020】
本明細書において、独特な化学特質を有し、ケモカイン受容体CCR5に結合することにより標的細胞のHIV感染に対して保護作用を示す化合物を開示する。さらに、これらの化合物は、ケモカインRANTESのCCR5に対する天然リガンドの結合、伝達および走化作用を拮抗する。
【0021】
上記の文書の引用は、前述のいずれかが関連先行技術であるという承認として意図されるものではない。日付に関する全ての記載、またはこれらの文書の内容に関する説明は、本出願者に利用可能な情報に基づいており、日付の正確さおよびこれらの文書の内容に関するいかなる承認にも相当しない。さらに、本出願を通して参照される全ての文書は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第5,583,131号
【特許文献2】米国特許第5,698,546号
【特許文献3】米国特許第5,817,807号
【特許文献4】米国特許第5,021,409号
【特許文献5】米国特許第6,001,826号
【特許文献6】WO02/34745号
【特許文献7】米国特許第6,365,583号
【特許文献8】WO00/56729号
【特許文献9】WO02/22600号
【特許文献10】WO02/22599号
【特許文献11】WO02/34745号
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Ponath,P.,Exp.Opin Invest.Drugs(1998)7:1−18
【非特許文献2】Murphy,et.al.Pharmacol.Rev.(2000)52:145−176
【非特許文献3】Chemokines in Disease;Humana Press(1999)出版、C.Herbert編集
【非特許文献4】Murdoch,et al., Blood(2000)95:3032−3043
【非特許文献5】Gupta,et al.,J.Biolog.Chem(1998)7:4282−4287
【非特許文献6】Wyatt,et al.,Science(1998)280:1884−1888
【非特許文献7】Carroll,et al.,Science(1997)276:273−276
【非特許文献8】Feng,et al.,Science(1996)272:872−877
【非特許文献9】Bleul,et al.,Nature(1996)382:829−833
【非特許文献10】Oberlin,et al.,Nature(1996)382:833−835
【非特許文献11】Cocchi,et al.,Science(1995)270:1811−1815
【非特許文献12】Dragic,et al.,Nature(1996)381:667−673
【非特許文献13】Deng,et al.,Nature(1996)381:661−666
【非特許文献14】Alkhatib,et al.,Science(1996)272:1955−1958
【非特許文献15】Miedema,et al.,Immune.Rev.(1994)140:35
【非特許文献16】Blaak,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(2000)97:1269−1274
【非特許文献17】Simmonds,et al.,J.Virol.(1996)70:8355−8360
【非特許文献18】Tersmette,et al.,J.Virol.(1998)62:2026−2032
【非特許文献19】Connor,R.I.et al.,J.Virol.(1994)68:4400−4408
【非特許文献20】Schuitemaker,et al.,J.Virol(1992)66:1354−1360
【非特許文献21】Liu,et.al.,Cell(1996)86:367−377
【非特許文献22】Samson,et al.,Nature(1996)382:722−725
【非特許文献23】Michael,et al.,Nature Med.(1997)3:338−340
【非特許文献24】Michael,et al.,J.Virol.(1998)72:6040−6047
【非特許文献25】Obrien,et al.,Lancet(1997)349:1219
【非特許文献26】Zhang,et al.,AIDS Res.Hum.Retroviruses(1997)13:1357−1366
【非特許文献27】Rana,et al.,J.Virol.(1997)71:3219−3227
【非特許文献28】Theodorou,et al.,Lancet(1997)349:1219−1220
【非特許文献29】Zhang,et al.,J.Virol.(1998)72:9307−9312
【非特許文献30】Zhang,et al.,J.Virol.(1999)73:3443−3448
【非特許文献31】Simmonds,et al.,J.Virol.(1988)72:8453−8457
【非特許文献32】Zou,et al.,Nature(1998)393:591−594
【非特許文献33】Tachibana,et al.,Nature(1998)393:591−594
【非特許文献34】Nagasawa,et al.,Nature(1996)382:635−638
【非特許文献35】Bleul,et al.,J.Exp.Med.(1998)187:753−762
【非特許文献36】Viardot,et al.,Ann.Hematol.(1998)77:195−197
【非特許文献37】Auiti,et al.,J.Exp.Med.(1997)185:111−120
【非特許文献38】Peled,et al.,Science(1999)283:845−848
【非特許文献39】Qing,et al.,Immunity(1999)10:463−471
【非特許文献40】Lataillade,et al.,Blood(1999)95:756−768
【非特許文献41】Ishii,et al.,J.Immunol.(1999)163:3612−3620
【非特許文献42】Maekawa,et al.,Internal Medicine(2000)39:90−100
【非特許文献43】Fedyk,et al.,J.Leukocyte Biol.(1999)66:667−673
【非特許文献44】Peled,et al.,Blood(2000)95:3289−3296
【非特許文献45】Chemokines and Cancer,Humana Press(1999)出版、;B.J.Rollins編集
【非特許文献46】Arenburg,et al.,J.Leukocyte Biol.(1997)62:554−562
【非特許文献47】Moore,et al.,J.Invest Med.(1998)46:113−120
【非特許文献48】Moore,et al.,Trends Cardiovasc.Med(1998)8:51−58
【非特許文献49】Seghal,et al.,J.Surg Oncol.(1998)69:99−104
【非特許文献50】Salcedo,et al.,Am.J.Pathol.(1999)154:1125−1135
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【発明の概要】
【0024】
発明の開示
本発明は、ケモカイン受容体、特に、CCR5受容体を調節し、その天然リガンドの結合と干渉する新規化合物を提供する。
【0025】
本発明の化合物は、HIV感染からの標的細胞に保護作用を示す薬剤として有用である。本発明の化合物は、炎症および自己免疫疾患の治療および予防に有用である。本発明化合物は、ケモカイン受容体のアンタゴニストまたはアゴニストとして働き、CD4細胞のレベルの増加により免疫系の再構成を可能にする薬剤として、CD8細胞および神経細胞等の免疫細胞のアポトーシスのアンタゴニストとして、およびヒト骨髄B系統細胞の間質由来因子1への移動のアンタゴニストとして有用である。
【0026】
一態様において、本発明は、式(1)
【0027】
【化1】

【0028】
の化合物もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体(コンジュゲート:conjugate)を提供し、
式中、ArおよびArは、独立して、任意に置換された炭素環式または複素環式芳香族系であり、
各Yは、独立して、О、S、またはCHCNであり、
Z=Hまたはアルキル、またはXに結合されるCHであり、
X=Оであり、kは0または1であるか、あるいは
X=NまたはCHであり、kは1〜2であり、
X=Оであり、Zが、Xに結合されるCHである場合は、k=0であり、
X=NまたはCHであり、Zが、Xに結合されるCHである場合は、k=1であり、
は、Hまたは非干渉置換基であるが、1つのRのみがHまたはアルキル以外の非干渉置換基であり、
〜Rは、H以外の非干渉置換基であり、
各mまたはlは、独立して、0〜4の整数であり、
jは0または1であり、
各nは、独立して、1〜2である。
【0029】
〜Rの定義に含まれる任意の置換基は、直鎖、分枝鎖またはその環状形態を含むアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり得る、またはそれぞれがO、NおよびSから選択され、ハロおよび/または他の無機置換基により任意に置換される1つ以上のヘテロ原子を含む、および/またはカルボン酸、カルボン酸エステル類、カルボン酸アミド類、置換されたアミノ基等の有機官能基を含む、芳香族系であり得る。無機置換基は、=O、=NOH、NHおよびその酸化形態、SHおよびその酸化形態等を含む。記述されたように、RもHであり得る。
【0030】
ArおよびArは、複素環式環員を含む、5〜12環員の芳香族系である。ArおよびArも、上述の通り、非干渉置換基により置換され得るが、1つ以上の追加芳香族系を含むことはできない。非干渉置換基自体は、OH、NHおよび/またはその酸化形態、SHおよび/またはその酸化形態、またはリンの酸化形態等の無機部分であってもよい。
【0031】
〜Rに含有される非干渉置換基自体も、上に定義する通り、アリールまたはヘテロアリール系を含み得る。含まれる系は、それ自身が、上に要約する通り、付加的な芳香族系を含有する以外の置換基を有し得る。
【0032】
「非干渉置換基(non-interfering substituents)」は、少なくともCCR5ケモカイン受容体を調節するために化合物の能力を破壊しない置換基を意味する。CCR5受容体を調節するための測定方法は、当該分野において周知であり、任意の所定の一連の非干渉置換基を含有する化合物は、容易にテストされ得る。
【0033】
本発明は、式(1)を有する1つ以上の化合物、および薬剤として許容される担体を含有する医薬的組成物も提供する。本発明は、式(1)を有する1つ以上の化合物を、系と接触させることにより、CCR5介在疾患を治療するステップを含む、細胞、組織または臓器のCCR5介在疾患を治療するための方法も提供する。本発明は、対象に式(1)を有する1つ以上の化合物を投与することにより、CCR5介在疾患を治療するステップを含む、ヒトまたは動物対象におけるCCR5介在疾患を治療するための方法も提供する。
【0034】
本発明の化合物を使用して治療され得るCCR5介在疾患の例としては、HIV、中枢神経系の炎症性脱髄疾患、自己免疫疾患、多発性硬化症、実験的自己免疫脳脊髄炎、乾せんまたは関節リウマチ、腸炎症、同種移植片拒絶反応、ぜんそく、循環器疾患、アテローム性動脈硬化、アレルギー性疾患、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、結膜炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏、間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、関節リウマチと関係するILD、全身性紅斑性狼瘡、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性アナフィラキシー、重症筋無力症、若年性糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫甲状腺炎、移植片拒絶反応、同種移植片拒絶反、応移植片対宿主病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、脊椎関節症、強皮症、乾癬、炎症性皮膚症、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、蕁麻疹、好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎、腫瘍または癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
式(1)の化合物は、水和物または溶媒和を形成し得、あらゆる立体異性形態およびその立体異性形態の混合物であり得る。ラセミ体化合物は、既知の分離および精製方法を使用して、個々の異性体に分離され得る。個々の光学異性体およびその混合物は、本発明の範囲に含まれる。本発明の化合物はペグ化された形態等の薬剤として許容される塩または共役体の形態、または標的薬剤またはさらなる所望する部分に結合される形態で提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0036】
一態様において、本発明は、ケモカイン受容体のモジュレータである、上述の式(1)を有する化合物を提供する。
【0037】
さらに詳細には、化合物は、ケモカイン受容体を結合し、その天然リガンドの結合に干渉し、HIV感染からの標的細胞で保護作用を示し得る。該化合物は、アンタゴニストまたはケモカイン受容体のアゴニストとして有用であり、よって、CD8細胞および神経細胞等の免疫細胞のアポトーシスのアンタゴニストとして、およびヒト骨髄B系統細胞の間質由来因子1への移動のアンタゴニストとして、CD4細胞のレベルの増加により免疫系の再構成を可能にする。
【0038】
ケモカインの受容体への結合に干渉するケモカインアンタゴニストは、CD8細胞等の免疫細胞のアポトーシスのアンタゴニストとして(Herbin,et al.,Nature(1998)395:189−193)、および神経細胞のアポトーシスのアンタゴニストとして(Ohagen,et al.,J.of Virol.(1999)73:897−906;およびHesselgesser, et al., Curr. Biol. (1998) 8: 595-598)、CD4細胞のレベルの増加により免疫系の再構成するために有用である(Biard−Piechaczyk,et al.,Immunol.Lett.(1999)70:1−3)。ケモカイン受容体アンタゴニストは、ヒト骨髄B系統細胞の間質由来因子1への移動も阻害する(例えば、Fedyk,E.et al.,J of Leukocyte Biol.(1999)66:667−783を参照のこと)。
【0039】
本発明は、少なくとも1つの賦形剤とともに、治療有効量の式(1)の1つ以上の化合物を含有する医薬的組成物、およびこのような組成物を用いてヒトの体または他の動物の体の疾患を治療するための方法を含む。本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医により探求される、細胞、組織、臓器、系、動物またはヒトの所望する反応を引き出すであろう、式(1)の1つ以上の化合物の量を指す。
【0040】
本発明は、ケモカイン受容体を、有効量の式(1)の1つ以上の化合物と接触させるステップを含む、ケモカイン受容体による天然リガンドとの結合を阻害または干渉するための方法を提供する。本発明は、治療有効量の式(1)の1つ以上の化合物を含有する医薬組成物を哺乳類対象に投与するステップを含む、病原体への結合が疾患または病理を生じるケモカイン受容体を有する標的細胞を保護する方法も提供する。
【0041】
本発明は、ケモカイン受容体の天然リガンドとの結合を阻害または干渉することが有利である疾患の治療のための薬物の製造における、式(1)の化合物の使用を提供する。該化合物は、式(1)の化合物の治療有効量に対応する量で、組成物に調製される。
【0042】
本発明の化合物
本発明の化合物を式(1)に記載する。式(2)〜(5)は、式(1)の特定の実施形態を表す。
上述する通り、式(1)の化合物は、構造
【0043】
【化2】

【0044】
を有し、
式中、各ArおよびArは、独立して、任意に置換される炭素環式または複素環式芳香族系であり、
各Yは、独立して、О、S、またはCHCNであり、
Z=Hまたはアルキル、またはXに結合されるCHであり、
X=Оであり、kは0または1、あるいは
X=NまたはCHであり、kは1〜2であり、
X=Оであり、Zが、Xに結合されるCHである場合は、k=0であり、
X=NまたはCHであり、Zが、Xに結合されるCHである場合は、k=1であり、
は、Hまたは非干渉置換基であるが、1つのR1のみがHまたはアルキル以外の非干渉置換基であり、
〜Rは、H以外の非干渉置換基であり、
各mまたはlは、独立して、0〜4の整数であり、
jは0または1であり、
各nは、独立して、1〜2である、
または薬剤として許容される塩またはその共役体である。
【0045】
本明細書で使用される通り、用語アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、これらが非置換の時、CおよびHのみを含有する、直鎖、分枝鎖、および環状一価のヒドロカルビル遊離基、およびその組み合わせを含む。実施例は、メチル、エチル、イソブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルエチル、2−プロペニル、3−ブチニル等を含む。典型的には、これらの置換基は、最大10個の炭素原子、または最大8個の炭素原子、または最大6個の炭素原子、または最大4個の炭素原子を含む。
【0046】
アルキル、アルケニルまたはアルキニル基が「任意に置換される」として記載される場合、非置換であるか、または、これらに限定されないが、OR、NR、NROR、NRNR、SR、SO、SOR、SOR、SONR、NRSO、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CONR、OOCR、COR、NO、=Oおよび=NOR(各Rは、独立して、Hまたはアルキル(1−8C)である)からなる群から選択される置換基を含む1つ以上の置換基と置換されることが可能である。
【0047】
ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニルは、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基の1つ以上の炭素原子の場所にN、O、よびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むことを除き、アルキル、アルケニルおよびアルキニルと同様に定義される。2つの近接した炭素原子のみが、ヘテロ原子により置換される。Nが存在する場合、Nは三価であり、一般的に理解される化学安定性の原理に従い適切に置換されなければならないことを理解されたい。
【0048】
ハロは、典型的には、F、Cl、BrおよびIを含む、あらゆるハロゲンを指す。
【0049】
芳香族という用語は、環員としてヘテロ原子を有しない、少なくとも1つの芳香族環を含有する多価不飽和の芳香族炭化水素置換基、または環員として少なくとも1つのヘテロ原子を含有する芳香族基であるヘテロ芳香族置換基のいずれかを指す。2つ以上の近接する環原子がヘテロ原子の場合、1つ以上のヘテロ原子は、ヘテロアリール基の環員として存在し得る。芳香族構造は、単環式、二環式、または複数の環系を有する化合物を包囲し、よって、これらは、アリールの混合物およびヘテロアリール基を含んでもよい。少なくとも1つの環系は、芳香族またはヘテロ芳香族でなければならない。環員の数は、典型的には5〜12である。
【0050】
芳香族またはヘテロ芳香族系の非限定的な置換基の例は、環状または非環状アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、CN、CHO、CF、OCF、NO、OH、NHC(O)(C1−6非環状またはC3−6環状アルキル)、NHC(O)CF、NHSO(C1−6アルキル)、NHC(O)NH、NHC(O)(C1−6アルキル)、C(O)NH、C(O)NHC、C(O)CC(O)OH、C(O)N(OC1−6アルキル)(C1−6アルキル)、C(O)NHCHC(O)O(C1−6アルキル)、C(O)(C1−6アルキル)、C(O)O(C1−6アルキル)、C(O)(非芳香族複素環式環)、OC(O)(C1−6アルキル)、O(C1−6アルキル)、O(C1−6アルキル)O(C1−6アルキル)、O(C1−6アルキル)C(O)OH、OCC(O)OH、OCC(O)NH、O(C1−6アルキル)C(O)O(C1−6アルキル)、O(C1−6アルキル)C(O)NH、O(C1−6アルキル)C(O)NHNH、OSO(C1−6アルキル)、OC(O)O(C1−6アルキル、OC(O)N(C1−6アルキル)、OC(O)(ヘテロアリール)、COOH、C(O)NH(C1−6アルキル)、C(O)N(C1−6アルキル)、S(C1−6アルキル)、CH=NOH、CH=NO(C1−6アルキル)、CH=N(C1−6アルキル)、(C1−6アルキル)C=NOH、(C1−6アルキル)C=NO(C1−6アルキル)、(C1−6アルキル)C=N(C1−6アルキル)、(C1−6アルキル)CC(O)OH、(C1−6アルキル)NHC(O)(C1−6アルキル)、CH=CHC(O)O(C1−6アルキル)、CH=CHC(O)OH、SOを含み、式中、nは1または2である。
【0051】
「無機置換基」という用語は、炭素を含有しない置換基を意味する。無機置換基の例は、酸形態、またはたとえば、ホスホン酸ジメチル等の単純なC1−C4エステルのいずれかで、ニトロ、ハロゲン、アジドおよびスルホン酸、スルフィン酸、リン酸、およびホスホン酸を含むが、これに限定されない。
式(1)の特定の実施形態は、式(2)〜(5)
【0052】
【化3】

【0053】
により表わされる。
【0054】
式(2)〜(5)において、X、Y、Z、Ar、ArおよびR〜Rは、式(1)に対して定義され、j〜nも同様である。
【0055】
式(2)または(3)の好適な形態において、XがNの時、Rは、H、アルキルまたはシクロアルキルであり、任意に、単一の置換基に置換され、jが1の時、Rは、アルキル、好ましくは、メチルである。特に好ましくは、lおよびmが0であり、Arが非置換フェニルである、式(2)または(3)の化合物である。
【0056】
式(4)および(5)の好適な形態は、式中、Rがアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アルコキシアルコキシ、または酸化5員環であるものである。Rのより好適な実施形態は、メチル、メトキシ、2−オキソ−オキサゾリジン、2−メトキシエトキシ、およびシクロプロピルである。Rが上述の通りの場合、式(4)または(5)における、Rの残りの実施形態は、XがN、またはCHがH、あるいはアルキル、好ましくはHである時、可能である。Xの好適な実施形態は、NまたはCH、およびYがOまたはCHCNである。好ましくは、Rは、アルキル、好ましくは、メチルであり、jは、0または1である。Arは、好ましくは、一価のチオフェンである。式(3)および(4)において、好ましくは、1つのnが1であり、他が2であるが、双方のnが1である実施形態も、本発明の範囲内に含まれることを強調する。
【0057】
例示的な実施形態のArおよびArは、フェニル、ピリジニル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリミジニル、インドリル、インドリニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、テオフェリン、イソインドリニル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンソフラニル、2,3−ジヒドロキシベンゾフラニル、フサラニル等を含む。
【0058】
本発明化合物の例示的な実施形態を表1に記載する。
【0059】
【表1−1】

【0060】
【表1−2】

【0061】
【表1−3】

【0062】
【表1−4】

【0063】
【表1−5】

【0064】
【表1−6】

【0065】
【表1−7】

【0066】
【表1−8】

【0067】
【表1−9】

【0068】
【表1−10】

【0069】
本発明の化合物は、非毒性の薬剤として許容される塩の形態で投与されてもよい。本明細書で使用される「薬剤として許容される塩」という用語とは、特に、塩が、遊離型活性成分または他の以前に開示された塩の形態と比較して、薬物動態学特性を改善した活性成分を与える、その塩の形態で使用される本発明の化合物を含有する活性成分を意味する。「薬剤として許容される塩」という用語は、酢酸、ラクトビオン酸、ベンゼンスルホナート、ラウリン酸、安息香酸、リンゴ酸、炭酸水素塩、マレイン酸、重硫酸塩、マンデル酸、酒石酸水素塩、メシル酸、ホウ酸、臭化メチル、臭化物、亜硝酸塩メチル、カルシウムエデト酸、メチル硫酸、カンシル酸、粘液酸塩、炭酸、ナプシル酸、塩化物、硝酸、クラブラン酸、N−メチルグルカミン、クエン酸、アンモニウム塩、二塩酸塩、オレイン酸、エデト酸、シュウ酸、エジシル酸、パモ酸(エンボネート)、エステレート、パルミテート、エシレート、パントテン酸、フマル酸、リン酸、二リン酸、グルセプト酸、ポリガラクツロ酸、グルコン酸、サリチル酸、グルタミン、ステアリン酸、グリコリルアルサニレート、硫酸、ヘキシルレゾルシン酸塩、ジ酢酸塩、ハイドラアミン、コハク酸、臭化水素酸、タンニン酸、塩酸塩、酒石酸、ヒドロキシナフトエート、テオクル酸、トシレート、イソチオネート、ヨウ化、トリエチオジド、乳酸塩、パモ酸、吉草酸等を含むが、これらに限定されず、全ての許容可能な塩を包囲する。
【0070】
本発明の化合物の薬剤として許容される塩は、溶解度および加水分解特性を調節するための用量として使用され得る、または徐放またはプロドラッグ形態で使用され得る。また、本発明の化合物の薬剤として許容される塩は、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛等のカチオンから、およびアンモニア、エチレンジアミン、N−メチル−グルタミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチル−アミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、および水酸化テトラエチルアンモニウム等の塩基から形成されるものを含み得る。
【0071】
本発明の化合物の全ては、少なくとも1つのキラル中心を含有する。本発明は、立体異性体、個々の立体異性体、および鏡像体混合物の混合物、および複数の立体異性体の混合物を含む。つまり、化合物は、あらゆる所望する程度のキラル純度で供給され得る。しかしながら、式(2)および(3)の化合物の好適な形態は、ArがS構成のキラル炭素で置換されるものである。
【0072】
該化合物は、例えば、PEG、PEO、受容体または他の標的に特異的な抗体またはリガンド等の標的化剤に結合して供給され得る。
【0073】
有用性および投与
一態様において、本発明は、ケモカイン受容体活性を調節する式(1)の化合物を対象とする。ケモカイン受容体は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CXCR3、およびCXCR4を含むが、これらに限定されない。
【0074】
一実施形態においては、本発明は、特異的にケモカイン受容体に結合し、よって、標的細胞のCCR5および/またはCXCR4への天然リガンドの結合に影響を与えることにより、HIV感染から標的細胞に保護作用を示し得る、式(1)の化合物を提供する。
【0075】
別の実施形態においては、本発明の化合物は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CXCR3、CXCR4等のケモカイン受容体に影響を与える薬剤として有用であり得、このようなケモカイン受容体は、多くの炎症だけでなく免疫調節疾患の重要な介在物質と相関している。
【0076】
介在物質としてケモカインとも関係する他の疾患は、血管形成、脳等の腫瘍形成、および乳腺腫を含む。したがって、このようなケモカイン受容体の活性を調節する化合物は、このような疾患の治療または予防に有用である。
【0077】
本明細書で使用される「介在物質および/または調節」という用語は、アンタゴニスト/拮抗作用、アゴニスト/受容体活性化作用、部分アンタゴニスト/部分拮抗作用、および/または部分アゴニスト/部分受容体活性化作用、すなわち、阻害剤および活性化剤を包囲する。本明細書に記載される式(1)の化合物は、CCR5ケモカイン受容体活性、およびCCR5受容体およびその天然リガンドにより続いて媒介される結果的または関連する発病過程を調節できるように、生物学的活性を有し得る。
【0078】
一実施形態においては、式(1)の化合物は、CCR5および/またはCXCR4等の標的細胞のケモカイン受容体へのHIVの結合を阻害することにより、感染に対する保護作用を示す。このような調節は、ケモカイン受容体へのウイルスの結合を阻害する有効量の化合物と、標的細胞とを接触させるステップを含む方法により得られる。本明細書に使用される「調節および/または調節」という用語は、標的細胞が発見される特定の患者のあらゆる組織、および標的細胞が位置し得るこれらの細胞を含むあらゆる細胞成分で、標的細胞のCCR5受容体の全てのタイプおよびサブタイプにおける活性の調節を包囲する。
【0079】
ケモカイン受容体活性および機能を阻害する化合物は、ぜんそく、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏、アテローム性動脈硬化、間質性肺疾患(ILD)(例えば、特発性肺線維症、または関節リウマチに関連するILD、全身性紅斑性狼瘡、強直性脊椎炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、多発性筋炎またま皮膚筋炎)等の炎症またはアレルギー性疾患;全身性アナフィラキシーまたは過敏性反応、薬物アレルギー、昆虫刺傷アレルギー;関節リウマチ、乾せん性関節炎、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、若年性糖尿病等の自己免疫疾患;糸球体腎炎、自己免疫甲状腺炎、同種移植片拒絶反応または移植片対宿主病を含む、移植片拒絶反応;クローン病および潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患;脊椎関節症;強皮症;乾癬(T細胞介在乾癬を含む)および皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、蕁麻疹等の炎症性皮膚症;血管炎(例えば、壊死、皮膚および過敏性血管炎);好酸球性筋炎、好酸球性筋膜炎;ならびに癌を含むが、これに限定されない、炎症に関連する疾患の治療に使用され得る。
【0080】
さらに、ケモカイン受容体機能を活性または促進する化合物は、化学療法、放射線療法、増強創傷治癒および熱傷治療、自己免疫疾患のための療法、または他の薬物療法(例えば、副腎皮質ステロイド療法)、または自己免疫疾患の治療で使用される既存の薬物と移植片/移植拒絶反応との連結を受ける個人等での免疫抑制、または受容体機能の先天性欠損あるいは他の原因による免疫抑制と関係する疾患の治療のために使用される。ケモカイン受容体機能を活性または促進する化合物は、非限定的に、線形動物(回虫)等の蠕虫感染;鞭虫症、蟯虫症、回虫症、鉤虫症、糞線虫症、旋毛虫病、フィラリア症;吸虫症;内臓寄生虫症、内臓幼虫移行症(例えば、トキソカラ)、好酸球性胃腸炎(例えば、Anisaki spp.,Phocanema ssp.)、皮膚幼虫移行症(Ancylostona braziliense、Ancylostoma caninum);マラリア起因の原虫Plasmodium vivax、ヒトサイトメガロウイルス、Herpesvirus saimiri、およびヒトヘルペスウイルス8として知られるカポジ肉腫ヘルペスウイルス、およびポックスウイルスMoluscum contagiosumを含む、寄生虫症等の感染疾患の治療のためにも使用され得る。
【0081】
本発明の化合物は、このような組み合わせの療法がケモカイン受容体活性を調節することにより炎症および免疫調節疾患を予防し治療するために有用である場合、いかなる他の活性剤または医薬組成物と組み合わせて使用され得る。
【0082】
さらに、該化合物は、HIVの予防または治療において有用である1つ以上の薬剤と組み合わせて使用され得る。このような薬剤の例には、
(1)テノホビルジソプロキシルフマル酸塩等のヌクレオチド逆転写酵素阻害剤;ラミブジン/ジゾブジン;アバカビル/ラミブジン/ジドブジン;エムトリシタビン;アムドキソビル;アロブジン;DPC−817;SPD−756;SPD−754;CGS7430;ACH−126,443(β)−L−Fd4;ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、アデフォビル、アデフォビルジキピボキシル、フォジブジンチドキシル等;
(2)ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、ロビリド、イムノカム、オルチプラズ、TMC−125等の非ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(イムノカム、オルチプラズ等の抗酸化活性を有する薬剤を含む);DPC−083;カプラビリン;カラノリドA;SJ−3366系列等;
(3)サキナビル、ピナビルロ/リトナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、チプラナビル、TMC−114、DPC−684、インジナビル、ネルフィナビル、アンプリナビル、パリナビル、ラシナビル等のプロテアーゼ阻害剤;
(4)T−20等の侵入阻害剤;T−1249;PRO−542;PRO−140;TNX−355;BMS−806系列;および5−ヘリックス;
(5)Sch−C(またはSCH351125)等のCCR5−受容体阻害剤;Sch−D(またはSCH350634);TAK779;UK427,857およびTAK449;またはT22、T134、T140、ポリフェムシンIIの18アミノ酸類似体、ALX40−4C、ALK40−4C、AMD3100およびAMD070等のCXCR4−受容体阻害剤;
(6)L−870、810等のインテグラーゼ阻害剤;GW−810781(S−1360);および
(7)AP−344等の出芽阻害剤;およびPA−457
を含む。
【0083】
HIV薬剤と本発明の化合物との組み合わせは、上の例に限定されず、HIVの治療に有用なあらゆる薬剤との組み合わせを含む。本発明の化合物とHIV薬剤との組み合わせは、別々に、または併用して投与され得る。1つの薬剤の投与は、他の薬剤の投与の前、同時、または後であり得る。
【0084】
本発明による化合物は、経口、筋肉内、腹腔内、静脈内、嚢内注入または輸注、皮下注射、経皮または経粘膜投与、または移植片により投与され得る。化合物は、吸入スプレー、鼻、膣、直腸、舌下、または局所経路により投与され得、各投与経路に適切な従来の非毒性の薬剤として許容される担体、補助剤、およびビヒクルを含有する適切な用量単位製剤で、単独でまたは一緒に調製され得る。
【0085】
本発明の化合物は、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、およびサルを含む動物を治療するために使用され得る。しかしながら、本発明の化合物は、鳥類(例えば、ニワトリ)等の他種でも使用され得る。本発明の化合物は、ヒトでの使用にも効果的であり得る。「対象」または代替的に「患者」として本明細書で称される用語は、動物、好ましくは、哺乳類、最も好ましくは、治療、観察または実験の対象である、ヒトを指すことを意図する。しかしながら、本発明の化合物、方法および医薬組成物は、動物の治療に使用され得る。
【0086】
本発明は、薬剤として許容される担体または希釈剤を含有する医薬組成物、および有効量の式(1)の化合物にも関する。該化合物は、単独で、または薬剤として許容される担体(例えば、錠剤、カプセル、顆粒、粉末等;シロップ、注入等の液状製剤)との混合物として投与され得る。該化合物は、経口または非経口的に投与され得る。非経口製剤の例は、注入、液滴、座剤、膣座剤を含む。
【0087】
ケモカイン受容体調節を必要とする症状の治療または予防において、適切な用量レベルは、一般的に、約0.01〜500mg/kg/対象者の体重/日であり、単一または複数用量で投与され得る。好ましくは、用量レベルは、約0.1〜約250mg/kg/日であろう。ある患者のある用量レベルおよび投与頻度は、異なり、使用されるある化合物の活性、その化合物の作用の代謝安定性および長さ、年齢、体重、全体的健康、性別、食事、投与形態および時間、排泄速度、薬物連結、ある状態の重症度、および患者の治療経験を含む、様々な要因に依存することを理解する。
【0088】
本発明の別の態様において、式(1)の化合物は、ケモカイン受容体、好ましくは、CCR5受容体の活性を調節する化合物のスクリーニング試験法で使用されてもよい。gp120およびCD4/CCR5依存性細胞−細胞融合を阻害するためのテスト化合物の能力は、当該分野で周知の細胞融合を使用して測定され得る。
【0089】
本明細書に開示される式(1)の化合物は、受容体変異体の分離に有用であり得、これは、本明細書に記載される工程および当該分野に周知の工程に従う、さらに強力な化合物の発見のためのスクリーニングツールになり得る。式(1)の化合物は、例えば、争奪阻害により、式(1)以外の化合物を含む他のリガンドの部位のケモカイン受容体への結合を確立または特徴づけるのに有用であり得る。本発明の化合物は、さまざまなケモカイン受容体の推定上のある介在物質の評価にも有用であり得る。当該分野において理解される通り、うえのケモカイン受容体のあるアゴニストおよびアンタゴニストの完全な評価は、これらの受容体に高い結合親和性をもつ非ペプチジル(代謝的に耐性)化合物の有効性の欠損により妨害されている。したがって、本発明の化合物は、これらの目的のために販売される商業製品である。
【0090】
本発明は、実施例を用いてさらに記載されるが、限定する意味はない。
【0091】
実験
以下の実施例は、本発明を限定するものではなく、説明するものである。
【0092】
本発明の化合物は、しばしば、既知の方法で容易に調製される。本発明の化合物および中間体を生成するいくつかの方法は、2006年8月16日に出願された米国第11/505,669号、Bridger,et al.,による同時係属中出願に記載される。
【0093】
一般工程
一般工程A:NaBH(OAc)を用いた還元的アミノ化
室温で、CHClのアミン(1等量)の攪拌溶液に、カルボニル化合物(1〜2等量)、氷AcOH(0〜2等量)およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(NaBH(OAc))(約1.5〜3等量)を添加し、得られた溶液を室温で攪拌した。標準的な後処理において、反応混合物を飽和NaHCO水溶液または1N NaOHのいずれかに注いだ。相を分離し、水溶液をCHClで抽出した。混合された有機抽出物を乾燥(NaSOまたはMgSO)させ、濾過して減圧下で濃縮した。粗製物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、または再結晶により精製する。
【0094】
一般工程B:TFAを用いたBOC脱保護
BOC保護アミンをCHCl(約4mL/mmol)に溶解し、トリフルオロ酢酸(TFA)(約2mL/mmol)を添加した混合物を0.5〜5時間、室温で攪拌した。標準的な後処理において、反応混合物を飽和NaHCO水溶液または1N NaOHで中和した。相を分離し、水溶液をCHClで抽出した。混合された抽出物を乾燥(NaSOまたはMgSO)させ、濾過して減圧下で濃縮した。粗製物をそのまま次の反応に使用するか、またはシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製する。
【0095】
一般工程C:EDCI結合
CHClまたはDMF(濃度約0.05〜1.5M)中の第1級または第2級アミン(1等量)、カルボン酸(1.1〜2.0等量)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(HOBT)(1.1〜2.0等量)、およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)またはN−メチルモルホリン(NMM)(1.5〜3等量)の攪拌溶液に、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)(1.1−2.0等量)を添加した。溶液を1〜3日間、室温で攪拌して減圧中で濃縮した。標準的な後処理において、混合物をCHClまたはEtOAcで希釈し、飽和NaHCO3水溶液および鹹水で継続的に洗浄した。有機層を乾燥(NaSOまたはMgSO)させ、濾過して減圧下で濃縮した。粗製物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーまたはラジアルクロマトグラフィーにより精製する。
【0096】
中間体
【0097】
【化4】

【0098】
【化5】

【0099】
【化6】

【0100】
【化7】

【0101】
【化8】

【0102】
実施例1
【0103】
【化9】

【0104】
化合物1:
4−[4−((R)−3−シクロヘキシル−2−オキソ−5−フェニル−イミダゾリジン−1−イル)−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボニル]−安息香酸メチルエステル
MeOH(2.5mL)中の(R)−1−シクロヘキシル−4−フェニル−3−ピペリジン−4−イル−イミダゾリジン−2−オン(172mg、0.53mmol)、1−Boc−4−ピペリドン(210mg、1.05mmol)、NaBHCN(100mg、1.59mmol)および氷AcOH(8滴)の溶液を、16時間、60℃で攪拌した。標準的な後処理および精製で、対応する4−ピペリジノール(285mg)との混合物として、4−((R)−3−シクロヘキシル−2−オキソ−5−フェニル−イミダゾリジン−−1−イル)−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを得た。
【0105】
一般工程Bの後、上の材料は、オフホワイトの固形の(R)−3−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル−1−シクロヘキシル−4−フェニル−イミダゾリジン2−2−オンを得た(2ステップにより89.6mg、42%)。
【0106】
一般工程Cの後、DMF(1.5mL)中のピペリジン(89.6mg、0.22mmol)、mono−メチルテレフタレート(49mg、0.27mmol)、EDCI(58mg、0.30mmol)、HOBT(45mg、0.33mmol)およびNMM(50μL、0.45mmol)を19.5時間、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製で、オフホワイトの泡状物の化合物1を得た(69.6mg、56%)。H NMR(CDCl) δ0.93−1.09(m,1H)、1.14−1.54(m,8H)、1.59−1.93(m,9H)、2.03−2.29(m,2H)、2.41−2.52(m,1H)、2.66−2.81(m,2H)、2.87−3.00(m,2H)、3.03(dd,1H,J=8.3,7.1Hz)、3.59−3.82(m,3H)、3.64(t,1H,J=9.3Hz)、3.93(s,3H)、4.57(dd,1H,J=8.9,6.7Hz)、4.66−4.77(m,1H)、7.24−7.36(m,5H)、7.42(d,2H,J=8.3Hz)、8.05(d,2H,J=8.3Hz);ES−MS m/z 573 (M+H)。
【0107】
実施例2
【0108】
【化10】

【0109】
化合物2: 4−[4−((R)−3−シクロヘキシル−2−オキソ−5−フェニル−イミダゾリジン−1−イル)−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボニル]−安息香酸
MeOH(2.0mL)中の化合物1(57mg、0.10mmol)および10M NaOH(0.20mL、2.0mmol)の溶液を、3時間、60℃で攪拌した。冷却後、反応をH2O(10mL)で希釈し、pHを5に調節し、得られた混合物をCHCl(25mLx3)で抽出した。有機溶液を乾燥(NaSOまたはMgSO)させ、濾過して減圧下で濃縮し、淡黄色の個体の化合物2を得た(52mg、94%)。H NMR(CDCl) δ 1.04−1.19(m,1H)、1.27−1.50(m,4H)、1.55−2.19(m,12H)、2.26−2.42(m,1H)、2.73−3.00(m,3H)、3.04−3.50(m,4H)、3.11(dd,1H,J=8.7,7.2Hz)、3.55−3.83(m,3H)、3.77(t,1H,J=9.2Hz)、4.68−4.80(m,1H)、4.73(dd,1H,J=9.5,7.1Hz)、7.28−7.40(m,5H)、7.43(d,2H,J=8.1Hz)、8.03(d,2H,J=8.1Hz);ES−MS m/z 559(M+H)。
【0110】
実施例3
【0111】
【化11】

【0112】
化合物3: (R)−1−シクロヘキシル−3−[1’−(4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−4−フェニル−イミダゾリジン−2−オン
CHCl(2mL)中の(R)−1−シクロヘキシル−4−フェニル−3−ピペリジン−4−イル−イミダゾリジン−2−オン(302mg、0.922mmol)および1−Boc−4−ピペリドン(184mg、0.923mmol)の溶液に、チタニウム(IV)イソプロポキシド(0.27mg、0.92mmol)を添加し、混合物を48時間、室温で攪拌した。ジエチルアルミニウムシアニド(トルエン中1.0M、1.1mL、1.1mmol)を添加し、混合物をさらに20時間攪拌した。標準的な後処理で、淡黄色の個体を生成した(510mg)。
【0113】
0℃に冷却したTHF(5mL)中の上のニトリルの溶液に、MgMeBr(エーテル中3.0M、16mL、4.8mmol)を滴下で添加した。混合物を1時間、0℃で攪拌して、一晩、室温で、攪拌した。反応を飽和NHCl水溶液でクエンチし、標準的な後処理後、精製し、4−((R)−3−シクロヘキシル−2−オキソ−5−フェニル−イミダゾリジン−1−イル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(2ステップで260mg、54%)
一般工程Bの後、上のカルバメート(260mg、0.496mmol)で、(R)−1−シクロヘキシル−3−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−4−フェニル−イミダゾリジン−2−オンを生成した(180mg、85%)。
【0114】
一般工程Cの後、CHCl(2mL)中の上のアミン(60mg、0.14mmol)、4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボン酸(30mg、0.20mmol)、EDCI(33mg、0.17mml)HOBT(23mg、0.17mmol)、およびDIPEA(0.09mL、0.5mmol)を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製で、白い泡状物の化合物3を生成した(55mg、70%)。H NMR(CDCl) δ 0.84(s,3H)、0.98−2.12(m,19H)、2.40、2.43、2.44、2.45(s,6H)、2.55−2.61(m,1H)、2.71−2.98(m,3H)、3.02−3.52(m,4H)、3.62(td,1H,J=9.3,1.8Hz)、3.75(br t,1H,J=11.1Hz)、4.12−4.25(m,1H)、4.52−4.58(m,1H)、7.28−7.35(m,5H)、8.92、8.93(s,1H);ES−MS m/z 559 (M+H)。
【0115】
実施例4
【0116】
【化12】

【0117】
化合物4: (R)−3−[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4]ビピペリジニル−4−イル]−1−シクロヘキシル−4−フェニル−ミダゾリドン−2−オン
一般工程Cの後、CHCl(2mL)中の(R)−1−シクロヘキシル−3−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−4−フェニル−イミダゾリジン−2−オン(実施例3を参照のこと)(60mg、0.14mmol)、6−クロロ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(34mg、0.15mmol)、EDCI(33mg、0.17mmol)、HOBT(23mg、0.17mmol)、およびDIPEA(0.09mL、0.5mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製で、白い泡状物の化合物4を生成した(60mg、72%)。H NMR(CDCl) δ 0.83(s,3H)、0.94−2.11(m,19H)、2.18、2.21、2.22、2.23(s,3H)、2.37、2.41、2.42、2.43(s,3H)、2.52−2.61(m,1H)、2.70−2.94(m,3H)、3.02−3.52(m,1H)、3.58−3.64(m,1H)、3.74(br t,1H,J=11.4Hz)、4.08−4.22(m,1H)、4.50−4.57(m,1H)、7.00−7.02(m,1H)、7.28−7.33(m,5H);ES−MS m/z 592 (M+H)。
【0118】
実施例5
【0119】
【化13】

【0120】
化合物5: (R)−3−[1’−(4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニルl−4−ylイル]−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン
CHCl(40mL)中の1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン(2.99g、20.9mmol)および1−Boc−4−ピペリドン(4.16g、20.9mmol)の溶液に、チタニウム(IV)イソプロポキシド(6.1mL、20.8mmol)を添加し、混合物を20時間、室温で攪拌した。ジエチルアルミニウムシアニド(トルエン中の1.0M、25mL、25mmol)を添加し、混合物をさらに20時間攪拌した。標準的な後処理で粗ビピペリジンを生成した。
【0121】
0℃に冷却されたTHF(90mL)中の粗ニトリルの溶液に、MgMeBr(エーテル中に3.0M、35mL、105mmol)を滴下した。混合物を1時間、0℃で攪拌し、一晩、室温で攪拌した。反応は、飽和NHCl水溶液でクエンチされ、標準的な後処理後に精製され、4−(1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]dec−8−イル)−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(2ステップ、5.88g、82%)。
【0122】
THF(20mL)中の上のカルバメート(5.88g、17.3mmol)および濃縮された塩化水素の溶液を20時間、室温で攪拌した。標準的な後処理で、BOCO(3.72g、17.0mmol)で続いて処理された中間体アミンを生成した。標準的な後処理および精製により4’−メチル−4−オキソ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(2ステップにより2.49g、49%)。
【0123】
一般工程Aの後:CHCl(3mL)中の(R)−2−アミノ−2−フェニル−エタノール(88mg、0.64mmol)、上のケトン(190mg、0.64mmol)およびNaBH(OAc)(157mg、0.74mmol)の混合物を一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により4−(R)−2−ヒドロキシ−1−フェニル−エチルアミノ)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(165mg、62%)。
【0124】
0℃に冷却されたCHCl(3mL)中の上のアミノ−アルコール(165mg、0.395mmol)およびピリジン(0.08mL、0.99mmol)の溶液に、トリホスゲン(59mg、0.20mmol)を添加し、混合物を30分、0℃で攪拌し、2時間、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により4’−メチル−4−((R)−2−オキソ−4−フェニル−オキサゾリジン−3−イル)−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(160mg、91%)。
【0125】
一般工程Bの後、上のカルバメート(160mg、0.360mmol)により(R)−3−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オンを生成した(120mg、97%)。
【0126】
一般工程Cの後:CHCl(2mL)中の上のアミン(60mg、0.17mmol)、4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボン酸(90%、33mg、0.20mmol)、EDCI(41mg、0.21mmol)、HOBT(29mg、0.21mmol)およびDIPEA(0.11mL、0.63mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い個体の化合物5を生成した(30mg,37%)。
H NMR(CDCl) δ 0.85(m,3H)、1.13−1.41(m,3H)、1.52−2.12(m,7H)、2.40、2.43(s,6H)、2.59−2.64(m,1H)、2.74−2.95(m,2H)、3.10−3.50(m,3H)、4.05−4.22(m,2H)、4.57(td,1H,J=9.0,2.1Hz)、4.76−4.82(m,1H)、7.30−7.39(m,5H)、8.91,8.92(s,1H);ES−MS m/z 478 (M+H)。
【0127】
実施例6
【0128】
【化14】

【0129】
化合物6: (R)−3−[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン
一般工程Cの後:CHCl(2mL)中の(R)−3−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−4−フェニル−オキサゾリジン−2−オン(実施例5を参照のこと)(60mg、0.17mmol)、6−クロロ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(43mg、0.19mmol)、EDCI(41mg、0.21mmol)、HOBT(29mg、0.21mmol)およびDIPEA(0.11mL、0.63mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い個体の化合物6を生成した(26mg、30%)。H NMR(CDCl) δ 0.83(s,3H)、1.05−2.13(m,10H)、2.19、2.22(s,3H)、2.37、2.42(s,3H)、2.57−2.65(m,1H)、2.74−2.96(m,2H)、3.05−3.55(m,3H),4.05−4.18(m,2H)、4.57(td,1H,J=8.4,1.5Hz)、4.76−4.82(m,1H)、7.01−7.03(m,1H)、7.30−7.39(m,5H);ES−MS m/z 511(M+H)。
【0130】
実施例7
【0131】
【化15】

【0132】
化合物7: (R)−1−tert−ブチル−3−[1’−(4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−4−フェニル−イミダゾリジン−2−オン
CHCl(2mL)中の(R)−1−tert−ブチル−4−フェニル−3−ピペリジン−4−イル−イミダゾリジン−2−オン(200mg、0.663mmol)および1−Boc−4−ピペリドン(133mg、0.668mmol)の溶液に、チタニウム(IV)イソプロポキシド(0.20mL、0.68mmol)を添加し、混合物を48時間、室温で攪拌した。ジエチルアルミニウムシアニド(トルエン中1.0M、0.8mL、0.8mmol)を添加し、混合物をさらに20時間攪拌した。標準的な後処理により、中間体ニトリルを生成した。
【0133】
0℃に冷却されたTHF(3mL)の上のニトリルの溶液にMgMeBr(エーテル中、3.0M、2.0mL、6.0mmol)を滴下した。混合物を1時間、0°で攪拌し、一晩、室温で攪拌した。反応を飽和NHCl水溶液でクエンチし、標準的な後処理および精製により、4−((R)−3−tert−ブチル−2−オキソ−5−フェニル−イミダゾリジン−1−イル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(2ステップにより250mg、76%)。
【0134】
一般工程Bの後:上のカルバメート(250mg、0.501mmol)により、(R)−1−tert−ブチル−3−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−4−フェニル−イミダゾリジン−2−オンを生成した(150mg、75%)。
【0135】
一般工程Cの後:CHCl(3mL)中の上のアミン(80mg、0.20mmol)、4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボン酸(90%、41mg、0.24mmol)、EDCI(46mg、0.24mmol)、HOBT(33mg、0.24mmol)およびDIPEA(0.12mL、0.69mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物7を生成した(47mg,44%)。
H NMR(CDCl) δ 0.82(s,3H)、1.06−2.09(m,10H)、1.33(s,9H)、2.38、2.42(s,6H)、2.54−2.59(m,1H)、2.69−2.92(m,2H)、3.03−3.49(m,4H)、3.63(td,1H,J=9.0,1.8Hz)、4.07−4.22(m,1H)、4.43−4.49(m,1H)、7.27−7.35(m,5H)、8.90、8.91(s,1H);ES−MS m/z 533 (M+H)。
【0136】
実施例8
【0137】
【化16】

【0138】
化合物8: (R)−1−tert−ブチル−3−[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−4−フェニル−イミダゾリジン−2−オン
一般工程Cの後:CHCl(3mL)中の(R)−1−tert−ブチル−3−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−4−フェニル−イミダゾリジン−2−オン(実施例8を参照のこと)(74mg、0.19mmol)、6−クロロ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(45mg、0.20mmol)、EDCI(43mg、0.22mmol)、HOBT(30mg、0.22mmol)およびDIPEA(0.11mL、0.63mmol)の溶液を一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物8を生成した(50mg、46%)。H NMR(CDCl) δ 0.82(s,3H),0.99−2.11(m,10H)、1.34(s,9H)、2.19、2.22、2.23(s,3H)、2.37、2.41、2.42、2.43(s,3H)、2.53−2.60(m,1H)、2.70−2.95(m,2H)、3.03−3.56(m,4H)、3.60−3.67(m,1H)、4.05−4.21(m,1H)、4.43−4.50(m,1H)、7.00−7.03(m,1H)、7.27−7.35(m,5H);ES−MS m/z 566(M+H)。
【0139】
実施例9
【0140】
【化17】

【0141】
化合物9: (R)−1−[1’−(4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−5−フェニル−イミダゾリジン−2−オン
一般工程Aの後:CHCl(20mL)中の2−((R)−2−アミノ−2−フェニル−エチル)−イソインドール−1,3−ジオン(1.35g、5.07mmol)、4’−メチル−4−オキソ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.503g、5.070mmol)およびNaBH(OAc)(1.32g、6.23mmol)の混合物を一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、第2級アミンを生成した。標準的な後処理および精製後、EtOH中のヒドラジン水和物(0.25mL、5.1mmol)を伴うジアミンの後の治療により、4−((R)−2−アミノ−1−フェニル−エチルアミノ)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(2ステップにより810mg、39%)を生成した。
【0142】
DMF(3mL)中のジアミン(176mg、0.422mmol)の溶液に、CDI(76mg、0.47mmol)を添加し、混合物を一晩、室温で攪拌した。混合物を減圧下で濃縮した。標準的な後処理および精製により、4’−メチル−4−((R)−2−オキソ−5−フェニル−イミダゾリジン−1−イル)−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(194mg、量子)。
【0143】
一般工程Bの後:上のカルバメート(100mg、0.226mmol)により(R)−1−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−5−フェニル−イミダゾリジン−2−オンを生成した(65mg,84%)。
【0144】
一般工程Cの後:CHCl(2mL)中の上のアミン(30mg、0.088mmol)、4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボン酸(90%、18mg、0.11mmol)、EDCI(20mg、0.10mmol)、HOBT(14mg、0.10mmol)およびDIPEA(0.06mL、0.3mmol)の溶液を一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物9を生成した(24mg、57%)。
H NMR(CDCl) δ 0.85(s,3H)、1.07−2.15(m,8H)、2.39、2.43(s,6H)、2.56−2.64(m,1H)、2.74−2.94(m,3H)、3.10−3.57(m,4H)、3.71−3.78(m,1H)、4.05−4.19(m,1H)、4.69−4.84(m,2H)、7.29−7.38(m,5H)、8.91、8.92(s,1H);ES−MS m/z 477(M+H)。
【0145】
実施例10
【0146】
【化18】

【0147】
化合物10: (R)−1−[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−5−フェニル−イミダゾリジン−2−オン
一般工程Cの後:CHCl(2mL)中の(R)−1−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−5−フェニル−イミダゾリジン−2−オン(実施例9を参照のこと)(30mg、0.088mmol)、6−クロロ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(24mg、0.11mmol)、EDCI(20mg、0.10mmol)、HOBT(14mg、0.10mmol)およびDIPEA(0.06mL、0.3mmol)の溶液を一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物10を生成した(35mg、78%)。H NMR(CDCl) δ 0.85(s,3H),1.12−2.13(m,9H)、2.20、2.24、2.25(s,3H)、2.39、2.44、2.45(s,3H)、2.55−2.93(m,3H)、3.06−3.63(m,4H)、3.71−3.78(m,4H)、3.71−3.78(m,1H)、4.05−4.22(m,1H)、4.37−4.41(m,1H)、4.70−4.77(m,1H)、7.02−7.04(m,1H)、7.30−7.40(m,5H);ES−MS m/z 510 (M+H)。
【0148】
実施例11
【0149】
【化19】

【0150】
化合物11: (R)−3−[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−1−メチル−4−フェニル−イミダゾリジン−2−オン
0℃に冷却されたDMF(2mL)中の4’−メチル−4−((R)−2−オキソ−5−フェニル−イミダゾリジン−1−イル)−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例9を参照のこと)(92mg、0.21mmol)の溶液に、NaH(60%,17mg,0.42mmol)を添加した。5分間攪拌した後、MeI(0.03mL、0.5mmol)を添加し、混合物を30分以上、室温に温め、さらに60分、室温で攪拌した。水溶液の後処理および精製により、4’−メチル−4−((R)−3−メチル−2−オキソ−5−フェニル−イミダゾリジン−1−イル)−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(85mg、0.89mmol)。
【0151】
一般工程Bの後:上のカルバメート(85mg、0.19mmol)により、(R)−1−メチル−3−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4―イル)−4−フェニル−イミダゾリジン−2−オン(55mg、81%)を生成した。
【0152】
一般工程Cの後:CHCl(3mL)中の上のアミン(55mg、0.15mmol)、6−クロロ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(42mg、0.19mmol)、EDCI(37mg、0.19mmol)、HOBT(26mg、0.19mmol)およびDIPEA(0.10mL,0.57mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物11を生成した(50mg,64%)。
H NMR(CDCl) δ 0.82(s,3H)、1.03−2.12(m,10H)、2.19、2.22(s,3H)、2.37、2.41、2.42、2.43(s,3H)、2.53−2.62(m,1H)、2.71−2.96(m,5H)、3.02−3.56(m,4H)、3.62(t,1H,J=9.0Hz)、4.07−7.21(m,1H)、4.53−4.60(m,1H)、7.01−7.02(m,1H)、7.28−7.35(m,5H);ES−MS m/z 524 (M+H)。
【0153】
実施例12
【0154】
【化20】

【0155】
化合物12: 1−[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素
一般工程Aの後:CHCl(3mL)中のC−チオフェン−3−イル−メチルアミン(74mg、0.65mmol)、4’−メチル−4−オキソ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(176mg、0.594mmol)およびNaBH(OAc)(158mg、0.745mmol)の混合物を一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、4’−メチル−4−[(チオフェン−3−イルメチル)−アミノ]−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(240mg、量子)。
【0156】
CHCl(3mL)中の上のアミン(240mg、0.610mmol)、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)メトキシルアミン(155mg、0.731mmol)およびDIPEA(0.13mL、0.75mmol)の溶液を90分間、溶液で攪拌した。標準的な後処理および精製により、所望する中間対を生成した。一般工程Bの後:中間体により3−メトキシ−1−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素を得た(2ステップにより88mg、39%)。
【0157】
一般工程Cの後::CHCl(2mL)中の上のアミン(44mg、0.12mmol)、6−クロロ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(40mg、0.18mmol)、EDCI(35mg、0.18mmol)、HOBT(25mg、0.18mmol)およびDIPEA(0.08mL,0.46 mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物12を生成した(50mg、78%)。
H NMR(CDCl) δ 0.92,0.93(s,3H)、1.18−1.97(m,8H)、2.16−2.27(m,5H)、2.41、2.44(s,3H)、2.79−2.85(m,1H)、2.93−3.00(m,2H)、3.21−3.32(m,1H)、3.39−3.48(m,1H)、3.63(s,3H)、4.05−4.27(m,2H)、4.30(s,2H)、6.96(d,1H,J=4.8Hz)、7.02(d,1H,J=4.8Hz)、7.09−7.11(m,2H)、7.35(dd,1H,J=5.1,3.0Hz);ES−MS m/z 534 (M+H)。
【0158】
実施例13
【0159】
【化21】

【0160】
化合物13: N−[1’−(6−シアノ−2,4−ジメチル−1−オキシ−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−2−(2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−N−チオフェン−3−イルメチル−アセトアミド
一般工程Cの後:DMF(10mL)中の4’−メチル−4−[(チオフェン−3−イルメチル)−アミノ]−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例12を参照のこと)(266mg、0.677mmol)、(2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−酢酸(108mg、0.745mmol)、EDCI(143mg、0.746mmol)、HOBT(100mg、0.740mmol)およびDIPEA(0.20mL、1.1mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、所望するカルバメートを生成した。一般構成Bの後、上のカルバメートにより、N−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−2−(2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−N−チオフェン−3−イルメチル−アセトアミドを生成した(2ステップにより170mg、60%)。
【0161】
一般工程Cの後:DMF(6mL)中の上のアミン(59mg、0.14mmol)、6−シアノ−2,4−ジメチル−1−オキシ−ニコチン酸(30mg、0.16mmol)、EDCI(30mg、0.16mmol)、HOBT(21mg、0.16mmol)およびDIPEA(0.04mL、0.2mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物13を生成した(31mg、37%)。
H NMR(CDCl) δ 0.98(brs,3H)、1.25−2.31(m,14H)、2.43(s,3H)、2.80−3.06(m,2H)、3.27−3.59(m,2H)、3.67−3.80(m,2H)、4.00−4.17(m,3H)、4.32−4.55(m,5H)、6.96−7.01(m,1H)、7.10(br s,1H)、7.23、7.36(br s,1H)、7.40(br s,1H);ES−MS m/z 595(M+H)。
【0162】
実施例14
【0163】
【化22】

【0164】
化合物14: N−[1’−(6−シアノ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−2−(2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−N−チオフェン−3−イルメチル−アセトアミド
一般工程Cの後:DMF(6mL)中のN−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−2−(2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−N−チオフェン−3−イルメチル−アセトアミド(実施例13を参照のこと)(48mg、0.11mmol、6−シアノ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(22mg、0.13mmol)、EDCI(24mg、0.13mmol)、HOBT(17mg、0.13mmol)およびDIPEA(0.033mL、0.19mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物14を生成した(27mg、41%)。
H NMR(CDCl) δ 0.97 (br s,3H)、1.29−2.34(m,14H)、2.50(s,3H)、2.81−3.07(m,2H)、3.22−3.58(m,2H)、3.67−3.80(m,2H)、3.99−4.17(m,3H)、4.33−4.55(m,5H)、6.98−7.00(m,1H)、7.11(br s,1H)、7.23、7.36(br s,1H)、7.40(br s,1H);ES−MS m/z 579 (M+H)。
【0165】
実施例15
【0166】
【化23】

【0167】
化合物15: N−[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−1−オキシ−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−2−(2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−N−チオフェン−3−イルメチル−アセトアミド
一般工程Cの後:DMF(6mL)中のN−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−2−(2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−N−チオフェン−3−イルメチル−アセトアミド(実施例13を参照のこと)(57mg、0.14mmol)、6−クロロ−2,4−ジメチル−1−オキシ−ニコチン酸(30mg、0.15mmol)、EDCI(29mg、0.15mmol)、HOBT(20mg、0.15mmol)およびDIPEA(0.039mL、0.22mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物15を生成した(10mg、12%)。
H NMR(CDCl) δ 0.96(br s,3H)、1.26−2.54(m,17H)、2.76−3.59(m,4H)、3.68−3.84(m,2H)、4.00−4.19(m,3H)、4.34−4.58(m,5H)、7.00(s,1H)、7.11(s,1H)、7.22−7.38(m,2H);ES−MS m/z 604 (M+H)。
【0168】
実施例16
【0169】
【化24】

【0170】
化合物16: 1−[1’−(2,6−ジクロロ−4−メチル−1−オキシ−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−3−(2−メトキシエトキシ)−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素
DMF(18mL)中のN−ヒドロキシフタルイミド(4.50g、27.6mmol)およびEt3N(7.7mL、55mmol)の溶液に2−ブロモエチルメチルエーテル(3.9mL、41.5mmol)を添加した。混合物を72時間、室温で攪拌した。標準的な後処理によりフタルイミド中間体を生成した。
【0171】
CHCl(30mL)中の上の中間体の溶液にメチルヒドラジン(1.47mL、27.6mmol)を添加し、混合物を、一晩、室温で攪拌した。混合物を濾過し、個体をEtOで洗浄し、混合濾過物を減圧下で濃縮し、所望のアミンを生成した。
【0172】
CHCl(15mL)中の4−ニトロクロロギ酸(5.82g、28.8mmol)の溶液にNaHCO(15mL)を添加し、混合物を0℃に冷却した。上のアミンを添加し、混合物を30分間、0℃で攪拌し、30分間、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、(2−メトキシエトキシ)−カルバミン酸4−ニトロ−フェニルエステルを生成した(3ステップにより4.24g、60%)
CHCl(6mL)中の4’−メチル−4−[(チオフェン−3−イルメチル)−アミノ]−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例12を参照のこと)(190mg、0.483mmol)、上のニトロフェニルギ酸(149mg、0.581mmolおよびDIPEA(0.126mL、0.723mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理により、粗ギザンを生成した。一般工程Bの後、ギ酸により3−(2−メトキシエトキシ)−1−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素を得た(2ステップにより183mg、92%)。
【0173】
一般工程Cの後、DMF(8mL)中の上のアミン(91mg、0.22mmol)、2,6−ジクロロ−4−メチル−1−オキシ−ニコチン酸(54mg、0.24mmol)、EDCI(47mg、0.25mmol)、HOBT(33mg、0.24mmol)およびDIPEA(0.064mL、0.37mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、淡黄色の泡状物の化合物16を生成した(27mg、20%)。 H NMR(CDCl) δ 0.97−2.41(m,19H)、2.95−3.15(m,2H)、3.29(s,3H)、3.31−3.48(m,1H)、3.53−3.57(m,2H)、3.96−4.00(m,2H)、4.28−4.39(m,3H)、6.96−6.97(m,1H)、7.10−7.11(m,1H)、7.32−7.36(m,2H)、7.43(br s,1H);ES−MS m/z 614(M+H)。
【0174】
実施例17
【0175】
【化25】

【0176】
化合物17: 1−[1’−(6−シアノ−2,4−ジメチル−1−オキシ−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−3−(2−メトキシエトキシ)−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素
一般工程Cの後:DMF(8mL)中の3−(2−メトキシエトキシ)−1−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素(実施例16を参照のこと)(92mg、0.22mmol)、6−シアノ−2,4−ジメチル−1−オキシ−ニコチン酸(47mg、0.25mmol)、EDCI(47mg、0.25mmol)、HOBT(33mg、0.24mmol)およびDIPEA(0.064mL、0.37mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物17を生成した(65mg、50%)。
H NMR(CDCl) δ 0.97−2.44(m,22H)、2.92−3.03(m,2H)、3.28−3.39(m,4H)、3.53−3.56(m,2H)、3.96−3.99(m,2H)、4.22−4.35(m,3H)、6.95−6.98(m,1H)、7.09−7.11(m,1H)、7.33−7.40(m,3H);ES−MS m/z 585 (M+H)。
【0177】
実施例18
【0178】
【化26】

【0179】
化合物18: 1−[1’−(2,6−ジクロロ−4−メチル−1−オキシ−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素
一般工程C:DMF(6mL)中の3−メトキシ−1−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素(実施例12を参照のこと)(79mg、0.20mmol)、2,6−ジクロロ−4−メチル−ニコチン酸(55mg、0.25mmol)、EDCI(47mg、0.25mmol)、HOBT(33mg、0.24mmol)およびDIPEA(0.086mL、0.49mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物18を生成した(8mg、7%)。 H NMR(CDCl) δ 0.96 (br s,3H)、1.25−2.04(m,10H)、2.29(br s,3H)、2.80−3.05(m,3H)、3.34−3.47(m,2H)、3.66(s,3H)、4.04−4.27(m,2H)、4.33(br s,2H)、6.98(d,1H,J=5.1Hz)、7.07−7.17(m,2H)、7.31−7.38(m,2H);ES−MS m/z 570 (M+H)。
【0180】
実施例19
【0181】
【化27】

【0182】
化合物19: 1−[1’−(6−シアノ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素
一般工程Cの後:DMF(15mL)中の3−メトキシ−1−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素(実施例12を参照のこと)(350mg、0.956mmol)、6−シアノ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(190mg、1.08mmol)、EDCI(210mg、1.10mmol)、HOBT(150mg、1.11mmol)およびDIPEA(0.29mL、1.7mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物19を生成した(87mg、17%)。 H NMR(CDCl) δ 0.88−0.94(m,3H)、1.17−2.24(m,10H)、2.28、2.32(s,3H)、2.48−2.53(s,3H)、2.72−2.77(m,1H)、2.86−2.96(m,2H)、3.23−3.48(m,3H)、3.65、3.69、3.83(s,3H)、4.24−4.30(m,3H)、6.97、7.04(d,1H、J=4.8Hz)、7.07、7.17(br s,1H)、7.33−7.40(m,2H)、7.26−7.29(m,1H);ES−MS m/z 525 (M+H)。
【0183】
実施例20
【0184】
【化28】

【0185】
化合物20: 1−[1’−(6−シアノ−2,4−ジメチル−1−オキシ−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素
一般工程Cの後:DMF(8mL)中の3−メトキシ−1−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素(実施例12を参照のこと)(100mg、0.273mmol)、6−シアノ−2,4−ジメチル−1−オキシ−ニコチン酸(60mg、0.31mmol)、EDCI(60mg、0.31mmol)、HOBT(42mg、0.31mmol)およびDIPEA(0.082mL、0.47mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物20を生成した(31mg、21%)。
H NMR(CDCl) δ 0.95(br s,3H)。1.20−1.98(m,8H)、2.20−2.27(m,5H)、2.41、2.43(s,3H)、2.79−2.98(m,3H)、3.28−3.46(m,2H)、3.64(s,3H)、4.07−4.29(m,2H)、4.31(s,2H)、6.97(d,1H,J=4.8Hz)、7.11(br s,2H)、7.35−7.40(m,2H);ES−MS m/z 541 (M+H)。
【0186】
実施例21
【0187】
【化29】

【0188】
化合物21: 1−[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−1−オキシ−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素
一般工程Cの後:DMF(8mL)中の3−メトキシ−1−(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−yl)−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素(実施例12を参照のこと)(100mg、0.273mmol)、6−クロロ−2,4−ジメチル−1−オキシ−ニコチン酸(63mg、0.31mmol)、EDCI(60mg、0.31mmol)、HOBT(42mg、0.31mmol)およびDIPEA(0.082mL、0.47mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物21を生成した(17mg、11%)。
H NMR(CDCl) δ 0.94(br s,3H)、1.70−2.01(m,9H)、2.20−2.28(m,4H)、2.47−2.48(m,3H)、2.79−3.01(m,3H)、3.25−3.50(m,2H)、3.65(s,3H)、4.03−4.28(m,2H)、4.32(s,2H)、6.97(d,1H,J=4.8Hz)、7.08−7.12(m,2H)、7.34−7.37(m,1H);ES−MS m/z 550 (M+H)。
【0189】
実施例22
【0190】
【化30】

【0191】
化合物22: 5−[4−(3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−ウレイド)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボニル]−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸イソプロピルアミド
MeOH(4mL)中の化合物19(55mg、0.10mmol)の溶液と10N NaOH(1mL)を2時間、100℃で加熱した。混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラム上で乾燥充填(8:1:1、CHCN/MeOH/NHOH)し、5−[4−(3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−ウレイド)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボニル]−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸を生成した(31mg、54%)。
【0192】
一般工程Cの後:DMF(3mL)中の上の酸(31mg、0.057mmol)、イソプロピルアミン(0.008mL、0.09mmol)、EDCI(12mg、0.063mmol)、HOBT(8mg、0.06mmol)およびDIPEA(0.015mL、0.086mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物22を生成した(19mg、57%)。
H NMR(CDCl) δ 0.94 (s,3H)、1.24−1.98(m,14H)、2.18−2.32(m,5H)、2.47−2.50(m,3H)、2.80−3.01(m,3H)、3.21−3.30(m,1H)、3.41−3.53(m,1H)、3.65(s,3H)、4.07−4.32(m,5H)、6.96−6.99(m,1H)、7.07(s,1H)、7.12(s,1H)、7.37(dd,1H,J=4.8,2.7Hz)、7.82−7.88(m,2H);ES−MS m/z 585(M+H)。
【0193】
実施例23
【0194】
【化31】

【0195】
化合物23: 5−{3−[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−3−チオフェン−3−イルメチル−ウレイド}−ペンタン酸メチルエステル
一般工程Bの後、4’−メチル−4−[(チオフェン−3−イルメチル)−アミノ]−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例12を参照のこと)により、(4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル)−チオフェン−3−イルメチル−アミンを得た。
【0196】
一般工程Cの後:CHCl(20mL)中の上のピペリジン(360mg、1.23mmol)、6−クロロ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(250mg、1.35mmol)、EDCI(260mg、1.36mmol)、HOBT(180mg、1.33mmol)およびDIPEA(0.35mL、2.0mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−イル)−{4’−メチル−4−[(チオフェン−3−イルメチル)−アミノ]−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル}−メタノンを生成した(400mg、71%)。
【0197】
2,2−ジメトキシプロパン中の5−アミノ吉草酸(235mg、2.00mmol)および濃縮HCl(数滴)の溶液を、一晩、還流した。混合物を減圧下で濃縮し、粗エステルを生成した。0℃に冷却したCHCl(13mL)中の上のアミンおよびDIPEA(0.70mL、4.0mmol)の溶液に4−ニトロフェニルクロロホルメート(363mg、1.80mmol)をゆっくり添加した。混合物を1時間攪拌し、室温に温めた。水溶液で後処理および精製し、5−(4−ニトロ−フェノキシカルボニルアミノ)−ペンタン酸メチルエステルを生成した(2ステップにより157mg,26%)。
【0198】
CHCl(5mL)中の上のフェニルカルバメート(95mg、0.33mmol)、上のアミド(121mg、0.263mmol)およびDIPEA(0.069mL、0.40mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物23を生成した(70mg、43%)。 H NMR(CDCl) δ 0.93,0.94(s,3H)、1.18−1.82(m,10H)、1.95(br d,1H,J=13.5Hz)、2.18−2.27(m,7H)、2.42、2.46(s,3H)、2.80−2.84(m,1H)、2.94−2.99(m,2H)、3.12−3.18(m,2H)、3.23−3.35(m,1H)、3.41−3.50(m,1H)、3.65(s,3H)、4.07−4.15(m,1H)、4.26−4.40(m,4H)、6.98(d,1H,J=4.8Hz)、7.03(d,1H,J=4.2Hz)、7.11−7.12(m,1H)、7.34(dd,1H,J=5.1,3.0Hz);ES−MS m/z 618 (M+H)。
【0199】
実施例24
【0200】
【化32】

【0201】
化合物24: 5−{3−[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−3−チオフェン−3−イルメチル−ウレイド}−ペンタン酸
MeOH(4mL)中の化合物23(52mg、0.084mmol)と1N NaOH(1mL)の溶液を、2時間50℃で加熱した。混合物を減圧下で濃縮し、pHをHClで約3に調節した。水溶液をCHCl(6×15mL)で抽出し、混合有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮し、白い泡状物の化合物24を生成した(36mg、71%)。H NMR(CDCl) δ 0.91−3.68(m,30H)、4.41−4.96(m,6H)、6.91−7.11(m,3H)、7.27−7.32(m,1H)、11.97(br s,1H);ES−MS m/z 604 (M+H)。
【0202】
実施例25
【0203】
【化33】

【0204】
化合物25: 3−{[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−チオフェン−3−イルメチル−アミノ}−3−メチルアミノ−アクリロニトリル
DMF(5mL)中の(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−イル)−{4’−メチル−4−[(チオフェン−3−イルメチル)−アミノ]−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル}−メタノン(実施例23を参照のこと)(55mg、0.12mmol)、5−メチルN−シアノ−N’−メチル−カルバイミドチオレート(31mg、0.24mmol)およびEtN(0.083mL、0.60mmol)の溶液にAgOTf(61mg、0.24mmol)をゆっくり添加した。混合物を3時間、室温で攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、CHClを添加し、混合物を超音波処理し、黄色い沈殿物を濾過した。濾過物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、CHCl(3×30mL)で抽出した。混合有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過して減圧下で濃縮した。粗製物を精製して、白い泡状物の化合物25を生成した(25mg、38%)。
H NMR(CDCl) δ 0.95、0.96(s,3H)、1.21−1.97(m,7H)、2.19−2.30(m,5H)、2.42、2.45(s,3H)、2.80−2.88(m,1H)、2.94−3.02(m,2H)、3.08(d,3H,J=4.8Hz)、3.21−3.33(m,1H)、3.44−3.55(m,1H)、4.03−4.10(m,1H)、4.35−4.44(m,3H)、4.75−4.80(m,1H)、6.96(d,1H,J=4.8Hz)、7.03(d,1H,J=5.4Hz)、7.09−7.11(m,1H)、7.41(dd,1H,J=4.8,3.0Hz);ES−MS m/z 542 (M+H)。
【0205】
実施例26
【0206】
【化34】

【0207】
化合物26:
3−{[1’−(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−4’−メチル−[1,4’]ビピペリジニル−4−イル]−チオフェン−3−イルメチル−アミノ}−3−シクロプロピルアミノ−アクリロニトリル
DMF(5mL)中の(6−クロロ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−イル)−{4’−メチル−4−[(チオフェン−3−イルメチル)−アミノ]−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル}−メタノン(実施例23を参照のこと)(68mg、0.15mmol)、5−メチルN−シアノ−N’−シクロプロピル−カルバイミドチオレート(46mg、0.30mmol)およびEtN(0.10mL、0.74mmol)の溶液に、AgOTf(76mg、0.30mmol)をゆっくり添加した。混合物を3時間、室温で攪拌した。混合物を真空中で濃縮し、CHClを添加し、混合物を超音波処理し、黄色い沈殿物を濾過した。濾過物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、CHCl(3×30mL)で抽出した。混合有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過して減圧下で濃縮した。粗製物を精製して、白い泡状物の化合物26を生成した(72mg、84%)。
H NMR(CDCl) δ 0.32−0.37(m,2H)、0.81−0.88(m,2H)、0.95(s,3H)、1.17−1.95(m,7H)、2.17−2.29(m,5H)、2.41−2.45(s,3H)、2.80−2.88(m,1H)、2.94−3.03(m,3H)、3.21−3.31(m,1H)、3.43−3.51(m,1H)、4.03−4.10(m,1H)、4.31−4.47(m,3H)、5.10(br s,1H)、6.90−6.92(m,1H)、7.03(d,1H,J=6.6Hz)、7.06−7.08(m,1H)、7.39(dd,1H,J=4.5,2.7Hz);ES−MS m/z 568 (M+H).
実施例27
【0208】
【化35】

【0209】
化合物27: 1−{1−[1−(6−シアノ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−アゼチジン−3−イル]−ピペリジン−4−イル}−3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素
EtOH(5mL)中の3−アミノ−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(800mg、4.64mmol)およびN−メチル−エチルピペリジンヨウ化塩(2.50g、9.29mmol)とHO(5mL)の溶液を3時間、還流で加熱した。標準的な後処理および精製により、3−(4−オキソ−ピペリジン−1−イル)−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(806mg,68%)。
【0210】
一般工程Aの後:CHCl(10mL)中の上のケトン(800mg、3.15mmol)、3−アミノメチルチオフェン(339mg、3.00mmol)およびAcOH(0.17mL、3.0mmol)の溶液に、NaBH(OAc)(890mg,4.20mmol)を添加し、混合物を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理により、3−{4−[(チオフェン−3−イルメチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを生成した(1.09g、量子)。
【0211】
CHCl(8mL)中の上のアミン(580mg、1.65mmol)、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)メトキシルアミン(420mg、1.98mmol)およびDIPEA(0.57mL、5.9mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理により、所望する粗カルバメートを生成した。THF(20mL)中のカルバメートと4N HCl(7mL)の溶液を2時間、室温で攪拌された。混合物を減圧下で濃縮し、HO(10mL)で希釈して、EtO(2×30mL)で抽出した。水溶液を、10N NaOHでpH約13に塩基性化し、CHCl(4×30mL)で抽出した。混合有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過して減圧下で濃縮し、1−(1−アゼチジン−3−イル−ピペリジン−4−イル)−3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−尿素を生成した(2ステップにより480mg、90%)。
【0212】
一般工程Cの後:DMF(10mL)中の上のアゼチジン(237mg、0.731mmol)、6−シアノ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(150mg、0.852mmol)、EDCI(154mg、0.803mmol)、HOBT(109mg,、0.807mmol)およびDIPEA(0.25mL,、1.4mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物27を生成した(165mg、47%)。 H NMR(CDCl) δ 1.60−1.85(m,4H)、1.92−2.06(m,2H),2.35(s,3H)、2.54、2.55(s,3H)、2.71(br d,1H,J=10.8Hz)、2.87(br d,1H,J=11.1Hz)、3.19−3.26(m,1H)、3.56−3.77(m,5H)、3.98−4.03(m,1H)、4.22−4.38(m,4H)、6.94−6.96(m,1H)、7.08−7.12(m,2H)、7.36−7.39(m,2H);ES−MS m/z 483 (M+H)。
【0213】
実施例28
【0214】
【化36】

【0215】
化合物28: 5−{3−[4−(3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−ウレイド)−ピペリジン−1−イル]−アゼチジン−1−カルボニル}−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸イソプロピルアミド
EtOH(8mL)中の化合物27(162mg、0.336mmol)の溶液と10N NaOH(1mL)を、45分間、100℃で攪拌した。精製により、5−{3−[4−(3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−ウレイド)−ピペリジン−1−イル]−アゼチジン−1−カルボニル}−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸を生成した(138mg,82%)。
【0216】
一般工程Cの後:DMF(4mL)中の上の酸(43mg、0.086mmol)、イソプロピルアミン(8μL,0.09mmol)、EDCI(18mg、0.094mmol)、HOBT(13mg、0.096mmol)およびDIPEA(0.025mL、0.14mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物28を生成した(23mg、49%)。 H NMR(CDCl) δ 1.27、1.29(d,6H,J=3.0Hz)、1.61−1.83(m,4H)、1.90−2.04(m,2H)、2.34(s,3H)、2.51、2.52(s,3H)、2.69(d,1H、J=10.5Hz)、2.87(d,1H,J=10.5Hz)、3.16−3.24(m,1H)、3.53−3.72(m,5H)、3.96−4.02(m,1H)、4.19−4.38(m,5H)、6.95(d,1H,J=4.5Hz)、7.10(brs,2H)、7.35−7.38(m,1H)、7.83(d,1H,J=8.4Hz)、7.87(s,1H);ES−MS m/z 543 (M+H)。
【0217】
実施例29
【0218】
【化37】

【0219】
化合物29:
5−{3−[4−(3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−ウレイド)−ピペリジン−1−イル]−アゼチジン−1−カルボニル}−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸イソブチル−アミド
一般工程Cの後:DMF(4mL)中の5−{3−[4−(3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−ウレイド)−ピペリジン−1−イル]−アゼチジン−1−カルボニル}−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸(実施例28を参照のこと)(45mg、0.090mmol)、イソブチルアミン(10μL、0.10mmol)、EDCI(19mg、0.099mmol)、HOBT(13mg、0.096mmol)およびDIPEA(0.026mL、0.15mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物29を生成した(25mg,50%)。
H NMR(CDCl) δ 0.98(d,6H,J=6.6Hz)、1.57−2.04(m,7H)、2.35(s,3H)、2.52(s,3H)、2.70(br d,1H,J=11.1Hz)、2.87(br d,1H,J=11.1Hz)、3.17−3.36(m,3H)、3.54−3.74(m,5H)、3.96−4.03(m,1H)、4.22−4.38(m,4H)、6.95(d,1H,J=5.1Hz)、7.08−7.11(m,2H)、7.37(dd,1H,J=4.8,2.7Hz)、7.88(s,1H)、8.10(t,1H,J=6.0Hz);ES−MS m/z 557 (M+H)。
【0220】
実施例30
【0221】
【化38】

【0222】
化合物30: 5−{3−[4−(3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−ウレイド)−ピペリジン−1−イル]−アゼチジン−1−カルボニル}−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸(3−メチル−ブチル)−アミド
一般工程Cの後:DMF(4mL)中の5−{3−[4−(3−メトキシ−1−チオフェン−3−イルメチル−ウレイド)−ピペリジン−1−イル]−アゼチジン−1−カルボニル}−4,6−ジメチル−ピリジン−2−カルボン酸(実施例28を参照のこと)(45mg、0.090mmol)、イソペンチルアミン(12μL、0.10mmol)、EDCI(19mg、0.099mmol)、HOBT(13mg、0.096mmol)およびDIPEA(0.026mL、0.15mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物30を生成した(26mg、51%)。
H NMR(CDCl) δ 0.95(d,6H,J=6.9Hz)、1.49−1.56(m,2H)、1.62−1.83(m,5H)、1.91−2.04(m,2H)、2.34(s,3H)、2.51(s,3H)、2.70(br d,1H,J=11.4Hz),2.87(br d,1H,J=10.2Hz)、3.16−3.25(m,1H)、3.40−3.73(m,7H)、3.96−4.02(m,1H)、4.22−4.38(m,4H)、6.95(d,1H,J=5.1Hz)、7.09−7.12(m,2H)、7.36(dd,1H,J=4.5,3.3Hz)、7.87(s,1H)、7.97(t,1H,J=5.7Hz);ES−MS m/z 571 (M+H).
実施例31
【0223】
【化39】

【0224】
化合物31: N−{1−[1−(6−シアノ−2,4−ジメチル−ピリジン−3−カルボニル)−アゼチジン−3−イル]−ピペリジン−4−イル}−2−(2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−N−チオフェン−3−イルメチル−アセトアミド
一般工程Cの後:DMF(6mL)中の3−{4−[(チオフェン−3−イルメチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例27を参照のこと)(156mg,0.444mmol)、(2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−酢酸(71mg、0.49mmol)、EDCI(94mg、0.49mmol)、HOBT(66mg、0.49mmol)およびDIPEA(0.13mL、0.75mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理で、粗カルバメートを得た。一般工程のBの後:カルバメートで、N−(1−アゼチジン−3−イル−ピペリジン−4−イル)−2−(2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−N−チオフェン−3−イルメチル−アセトアミドを得た(2ステップにより、67mg、40%)。
【0225】
一般工程Cの後:DMF(6mL)中の上のアミン(67mg、0.18mmol)、6−シアノ−2,4−ジメチル−ニコチン酸(34mg、0.19mmol)、EDCI(37mg、0.19mmol)、HOBT(26mg、0.19mmol)およびDIPEA(0.051mL、0.29mmol)の溶液を、一晩、室温で攪拌した。標準的な後処理および精製により、白い泡状物の化合物31を生成した(45mg、47%)。
H NMR(CDCl) δ 1.66−1.97(m,7H)、2.33−2.37(m,3H)、2.53−2.56(m,3H)、2.70(br s,1H)、2.83−2.90(m,1H)、3.22(br s,1H)、3.57−3.79(m,4H)、4.02−4.35(m,8H)、6.95−6.99(m,1H)、7.09(br s,1H)、7.22、7.36(br s,1H)、7.39(br s,1H);ES−MS m/z 537 (M+H)。
【0226】
実施例32
細胞融合測定法
本測定法は、gp120およびCD4/CCR5依存性細胞−細胞融合を阻害するためのテスト化合物の能力を測定する。本測定法は、1)ウイルス(JR−FL)を使用するR5由来のウイルス性gp120およびHIVtatタンパク質を発現するCHO−tat細胞株、2)表面にヒトCD4およびCCR5を発現し、レトロウイルス性プロモータLTRの制御下のβ−ガラクトシダーゼコンストラクトを保有するP4−CCR5細胞株、の2つの細胞株を使用する。一度、これらの2つの細胞株の融合が生じると、CHO細胞株からのtatタンパク質が、P4−CCR5細胞株のレポータ遺伝子のβ−ガラクトシダーゼをトランス活性化する。96ウェルフォーマットに、各細胞株の1×104細胞を、テスト化合物の存在または不在下で、ウェルごとに植えつけた。細胞は、次に、18〜24時間、37o、5%のCO2でインキュベートされた。各ウェルのβ−ガラクトシダーゼ活性は、発光基質(Galスクリーン基質、Applied Biosystem)の追加、およびVictorIIプレートリーダ(Wallac)で監視された発光により測定された。融合を阻害するためのテスト化合物の能力は、β−ガラクトシダーゼ活性の減少により表わされる。結果は、テスト対照で50%のβ−ガラクトシダーゼ活性の阻害を必要とするテスト化合物の濃度として報告される。
【0227】
上述の測定法でテストされる場合、本発明の多くの化合物は、0.01nM〜100nMの範囲のIC50を示した。
【0228】
実施例33
HEK293F.CCR5細胞に結合するRANTESの阻害測定法
競合的結合研究において、アンタゴニストの濃度範囲は、室温で、45分間、結合緩衝液中(50mM HEPES,5mM MgCl、1mM CaCl、0.2%BSA、pH7.4)で、8μgのHEK293F.CCR5細胞膜および50pMの125I−RANTES(Perkin Elmer、81400GBq/mmol)と共にMilipore GF−Bフィルタプレート中でインキュベートされた。非結合の125I−RANTESは、コールドの50mM HEPES、0.5M NaCl pH7.4で洗浄することにより除去された。化合物は、10,000〜0.6nMの濃度範囲でテストされた。50%阻害濃度(IC50値)は、テストされなかった対照に対して50%のRANTES結合の阻害に必要とされるテスト化合物の濃度として定義された。
【0229】
上述の測定法でテストされる場合、本発明の多くの化合物は、1nM〜500nMの範囲のIC50を示した。
【0230】
実施例34
PBMCおよびR5を使用したHIV−1の阻害測定法
文献の記載に従い、実施された(Inhibition of T−tropic HIV strains by selective antagonization of the chemokine receptorCXCR4. Schols,D., et al., J. Exp. Med.(1997)186:1383−1388)。
【0231】
方法は以下の通りである。
【0232】
健康なドナーからのPBMCを、密度勾配遠心法により分離し、37℃で3日間、1μg/ml(Sigma Chemical Co.、Bornem,Belgium)でPHAを用いてシミュレーションした。活性された細胞(PHA刺激芽球)をPBSで3回、洗浄し、ウイルス感染が実施された。細胞を48ウェルプレート(200μL培地のウェルごとに5×10個の細胞)に植えつけ、異なる濃度で化合物を用いて、15分間、事前にインキュベートした。次に、CCR5使用ウイルスの500pg p24ウイルスAg/ウェルを添加した。HIV−1 R5系BaL、SF−162、ADA、およびJR−FLは、全て、医学研究審議会位AIDS試薬品プロジェクト(Herts、UK)を通して得られた。
【0233】
HIV感染または偽感染PHA刺激芽球は、次に、25U/mlのIL−2の存在下でさらに培養され、上澄みは、8〜10日で回収され、培養された上澄みのHIV−1コア抗原は、DuPont−Merck Pharmaceutical Co.(Wilmington,DE)のp24 Ag ELISAキットにより分析された。
【0234】
上述の測定法でテストされる場合、本発明の多くの化合物は、0.01nM〜50μMの範囲のIC50を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物であって、
式中、各ArおよびArは、独立して、任意に置換された炭素環式または複素環式芳香族系であり、
各Yは、独立して、О、S、またはCHCNであり、
Z=Hまたはアルキル、またはXに結合されるCHであり、
X=Оであり、kは0または1、あるいは
X=NまたはCHであり、kは1〜2であり、
X=Оでであり、Zが、Xに結合されるCHである場合は、k=0であり、
X=NまたはCHであって、Zは、Xに結合されるCHの場合は、k=1であり、
は、Hまたは非干渉置換基であるが、1つのRのみがHまたはアルキル以外の非干渉置換基であり、
〜Rは、H以外の非干渉置換基であり、
各mまたはlは、独立して、0〜4の整数であり、
jは0または1であり、
各nは、独立して、1〜2である、化合物、もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体。
【請求項2】
式:
【化2】

または
【化3】

である化合物であって、
式中、X、R〜R、Ar、Arおよびj〜nは、請求項1に定義される通りである、請求項1に記載の化合物、もしくはその薬剤として許容される塩または共役体。
【請求項3】
式(2)
【化4】

である、請求項2に記載の化合物、もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体。
【請求項4】
XはNである時、Rは、H、もしくは単一の置換基により任意に置換されたアルキルまたはシクロアルキルであり、
jが1である時、Rは、アルキルであり、
lおよびmは0であり、
Arは、非置換型フェニルである、請求項3に記載の化合物、もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体。
【請求項5】
式(3)
【化5】

である、請求項2に記載の化合物、もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体。
【請求項6】
XはNである時、Rは、H、もしくは単一の置換基により任意に置換されたアルキルまたはシクロアルキルであり、
jが1である時、Rは、アルキルであり、
lおよびmは0であり、
Arは、非置換型フェニルであり、
1つのnは1であり、他は2であるか、双方のnが1である、請求項5に記載の化合物、もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体。
【請求項7】
式(4)または(5)
【化6】

または
【化7】

である化合物であって、
式中、XおよびYは、請求項1に定義される通りであり、
ZはHまたはアルキルであり、Ar、Ar、R〜R、およびj〜nは、請求項1に定義される通りである、請求項1に記載の化合物、もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体。
【請求項8】
式(4)
【化8】

である、請求項7に記載の化合物、もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体。
【請求項9】
XはNまたはCHであり、1つのRは、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アルキルオキシアルキルオキシまたは酸化5員環であり、他のRは、Hまたはアルキルであり、
Arは、一価のチオフェンであり、
jが1の時、Rは、メチルであり、
1つのnは1であり、他のnは2であるか、あるいは双方のnが1と等しく、
Yは=OまたはCHCNである、請求項8に記載の化合物、もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体。
【請求項10】
式(5)
【化9】

である、請求項7に記載の化合物、もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体。
【請求項11】
XはNまたはCHである時、1つのRは、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アルキルオキシアルキルオキシまたは酸化5員環であり、他のRは、Hまたはアルキルであり、
Ar1は、一価のチオフェンであり、
jが1の時、Rは、メチルであり、
Yは=OまたはCHCNである、請求項10に記載の化合物、もしくはその薬剤として許容される塩またはその共役体。
【請求項12】
表1の式(1)〜(31)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物と、少なくとも1つの薬剤として許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項14】
CCR5受容体により調節される状態を治療するための方法に使用するための薬物を調製するための、請求項1〜12のいずれかの化合物の使用。
【請求項15】
前記状態は、HIVである、請求項1に記載の使用。

【公表番号】特表2010−512340(P2010−512340A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540468(P2009−540468)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/086588
【国際公開番号】WO2008/070758
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(391018536)ジェンザイム・コーポレーション (13)
【氏名又は名称原語表記】GENZYME CORPORATION
【Fターム(参考)】