説明

ケラチン物質を化粧処理するための、求電子性モノマー及び非−シリコーン系ポリマーを主成分とする非−粘着性組成物の使用

【課題】その場で重合できるモノマー、化粧学的に許容される媒体、及び特定の非-シリコーン系ポリマーを主成分とする非-粘着性組成物の、ケラチン物質、特に毛髪等のケラチン繊維を処置するための使用、及び対応する化粧処置方法を提供する。
【解決手段】ケラチン物質を化粧処理するための化粧処理組成物の使用であって、該組成物が、使用化粧学的に許容される媒体中に、少なくとも1種の求電子性モノマー及び少なくとも1種の非-シリコーン系ポリマーを含み、該非-シリコーン系ポリマーを、該組成物が、乾燥後に、1ニュートンを越える最大剥離力を持つフィルムを生成するように選択することを特徴とする。また、ケラチン物質を処置する方法であって、該ケラチン物質に、少なくとも1種の請求項1記載の非-シリコーン系固定ポリマーを適用する工程と、少なくとも1種の求電子性モノマーを、該ケラチン物質に適用する工程とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その場で重合できるモノマー、化粧学的に許容される媒体、及び特定の非-シリコーン系ポリマーを主成分とする非-粘着性組成物の、ケラチン物質、及び特に毛髪等のケラチン繊維を化粧処置するための使用、及び対応する化粧処置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用語「ケラチン物質」とは、好ましくはケラチン繊維及びより好ましくは毛髪を意味する。
ケラチン物質、特に毛髪に対して高いアフィニティーを持つシリコーン又はポリマーを主成分とする化粧料組成物は、一般的に該物質の表面特性を改善し、特にこれらをコンディショニングし、かつこれらに光沢を与えるために使用される。
一般的には、これらのコンディショニング剤が、特にシャンプー処理した際に、除去されてしまう傾向を持つ限り、これらの処理を再度行う必要がある。
理論的には、該毛髪上で直接、ある種のモノマーのフリーラジカル重合を行うことによって、該ポリマー堆積物の残留性を高めることが可能である。
しかし、このように行われる処理は、化粧学的には許容されない。一般に、恐らく重合開始剤と関連すると思われる、該繊維の大幅な劣化が観測され、また処理された毛髪は、解きほぐすことが難しく、そのために今日では、毛髪に柔軟性と持続性の高い光沢を与えることのできる、化粧料組成物を得るべく、努力がなされている。
さらに、毛髪を処理するための化粧品、及び特に形状維持及びスタイリング効果を得るための化粧品は、毛髪上に粘着性のフィルム(表面接着性を持つ)を生成する組成物を使用している。一般に、このようにして処理した毛髪の感触は、とりわけ粗悪で、不快なものである。ユーザーが、その毛髪に手を通した場合、該ポリマーの幾分かが、その指に付着する可能性がある。この移動現象は、毛髪が汚れているとの印象を残す。さらに、この粘着性の被覆は、洗髪した際に、即座に排除されてしまう。従って、各シャンプー洗浄後に、該製品を再度適用する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、毛髪に適用した後に、指に付着せず、粉末化せず、しかも該毛髪に良好な耐洗浄性の化粧特性を付与する、組成物に対する需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願人は、驚いたことに、特許出願FR 2,840,208号に記載されているような求電子性モノマー、化粧学的に許容される媒体及び特定の非-シリコーンポリマーを含む混合物を用いることによって、上記目的を達成できることを見出した。
さらに詳しくは、本出願人は、このようなモノマー、化粧学的に許容される媒体及び特定の非-シリコーンポリマーを主成分とする組成物を、ケラチン繊維に適用することによって、その場で、滑らかで、光沢に富んだ、柔軟な残留被膜が形成されることを観測した。
さらに、本出願人は、驚いたことに、該毛髪が完全にばらばらな状態に維持され、何の問題も無くスタイリング可能であり、しかも該繊維のコンディショニング及び光沢が、シャンプー処理に対して堅牢であることをも観測した。
従って、本発明は、ケラチン物質、及び特に毛髪等のケラチン繊維を化粧処理するための、化粧処理組成物の使用に係り、該組成物は、化粧学的に許容される媒体中に、少なくとも1種の求電子性モノマー及び少なくとも1種の非-シリコーン系ポリマーを含み、該非-シリコーン系ポリマーは、該組成物が、乾燥後に、1ニュートンを越える最大剥離力を持つフィルムを与えるように選択される。
本発明の主題は、この処理において使用した組成物を使用する方法でもある。
本発明の主題は、さらに第一の組成物及び第二の組成物を含むことを特徴とするキットでもあり、ここで、該第一の組成物は、少なくとも1種の求電子性モノマー(該第一の組成物の全質量基準で、0.5〜50質量%なる範囲の含有率で存在)及び場合により少なくとも1種のアニオン及び/又はフリーラジカル重合阻害剤(該第一の組成物の全質量基準で、10ppm〜5質量%なる範囲の含有率で存在)を含み、また該第二の組成物は、化粧学的に許容される媒体中に、少なくとも1種の上で定義したような非-シリコーン系ポリマー(該第二の組成物の全質量基準で、0.001〜5質量%なる範囲の含有率で存在)を含む。
最後に、本発明の主題は、少なくとも1種の求電子性モノマーと、少なくとも1種の非-シリコーン系固定ポリマーを含む、化粧料組成物である。
その他の本発明の主題は、以下の説明並びに例を読むことによって、明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明によれば、用語「最大剥離力(maximum peel force)」とは、伸び計を用いて測定した、相互に対向して配置された、2つの剛性の、不活性な非-吸収性支持体(A)及び(B)の38mm2の各表面を剥離するに要する最大引張力を意味し、ここでこれら表面は、519μg/ mm2なる割合で、該組成物で予め被覆し、相対湿度50%にて22℃にて24時間乾燥し、次いで3ニュートンで20秒間圧縮し、最後に20mm/分なる速度にて、30秒間の牽引に付される。
この測定のために、伸び計、例えばロイドモデル(Lloyd Model) LR5K等の装置を使用することができる。
該剛性の、不活性な非-吸収性支持体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、金属合金及びより好ましくはガラスからなる支持体から選択することができる。
該伸び計のジョーを介して取り付けるのに必要な、ロッド上に載せられたガラスディスクからなる一対のポールを、好ましくは支持体として使用する。該ガラスディスクは、好ましくは該ポールの持つサイズのものであり、アラルダイト(AralditeTM)型の接着剤によってこれに取付けられる。テストすべきスタイリング組成物は、各ガラスディスク表面上に、できる限り均一に分配し、該表面が平坦になるように乾燥させる。
該伸び計を用いて測定される、これら2つのディスクの各表面を剥離するに要する引張力に相当する、Fmaxを測定することによって、剥離プロフィールを決定する。この方法は、好ましくは以下のプロトコールに従って行われる:6対のポールを調製する。ポール対各々について、テスト1に関して上記した手順に従って、剥離テストを行う。ポール対各々について、該スタイリング物質が、該対のポールの一方から剥離した場合を除いて、実施したこれら6例の剥離プロフィールについて得た結果を選択する。各残された剥離プロフィールについて、上記のFmaxを測定する。これら測定値の平均を算出する。
【0006】
好ましくは、該非-シリコーンポリマーは、上で定義した該組成物に、300μJ未満の分離エネルギーEs(M/V)を与えるように選択される。
本発明によれば、用語「Es(M/V)」とは、相互に対向して配置された、2つの剛性で、不活性な非-吸収性支持体(C)及び(D)の38mm2の各表面の「分離」を行うために、該伸び計によって供給されたエネルギーを意味する。該支持体の一方は、研磨したガラスからなり、かつ該支持体の他方は、上で定義した支持体(A)及び(B)と同等な特性を持つものであり、該支持体表面は、519μg/ mm2なる割合で、上で定義した該組成物で被覆され、相対湿度50%、温度22℃にて24時間乾燥され、次いで3ニュートンで20秒間圧縮され、最後に30mm/分なる速度にて、30秒間の牽引に付されている。
該伸び計によって供給されたこのエネルギーは、F(x)dxのXs1+0.05からXs2まで積分することにより決定される仕事量であり、ここでF(x)は変位(x)を発生させるのに要する力であり、Xs1は、該最大引張力によって生じる変位(mm単位で表される)であり、かつXs2は該2つの表面を完全に分離するために、該引張力により引起こされる変位(mm単位で表される)である。
【0007】
Es(M/V)の平均に係る手順:相互に対向して配置された、2つの38mm2の、剛性で、不活性な非-吸収性支持体の各表面の「分離」を行うために、該伸び計によって供給されたエネルギーを測定する。これら支持体の一方は、研磨したガラスからなり、かつ該支持体の他方は、上で定義した支持体と同等な特性を持つものであり、該支持体表面は、上記した第一の手順と同様な条件下で、被覆され、かつ処理され、さらに先に使用したのと同じ型の伸び計を使用する。好ましくは、この方法は以下のプロトコールに従って行われる:6対のポールを調製する。ポール対各々について、上記した手順に従って、剥離テストを行う。ポール対各々について、該スタイリング物質が、該対のポールの一方から剥離した場合を除いて、実施したこれら6例の剥離プロフィールについて得た結果を選択する。各残された剥離プロフィールについて、上記のEs(M/V)を決定する。これら測定値の平均を算出する。
該非-シリコーン系ポリマーは、デンドリマー状、直鎖又は分岐鎖状、櫛状、ブロック状又は星型状であり得る。これは、1又はそれ以上の型の繰返し単位を含むことができ、従ってランダム、交互又はブロックホモポリマー及びコポリマーから選択することができる。用語「ポリマー」とは、共有結合を通して相互に結合された少なくとも5つの繰返し単位を含む化合物を意味する。これは、特に両親媒性のブロック、鎖状コポリマーから選択することができる。
【0008】
本発明の目的にとって、用語「非-シリコーン系(non-silicone)」とは、如何なる-SiOSi-結合をも含まないポリマーを意味する。
このポリマーの主骨格はC及びH原子を含み、また1又はそれ以上のO、N、P及びS等のヘテロ原子によって分断されていても良く、また連鎖末端官能基又は側鎖官能基を含むことができる。
該ブロックコポリマーは、直鎖又は星型のジ-、トリ-又はマルチ-ブロックコポリマーであっても良い。これらは、水溶性、水-分散性又は油溶性であっても良い。
これらが自発的に又は中和によって、水に溶解又は分散する場合、該ブロックコポリマーは、少なくとも一つの親水性のブロックと、少なくとも一つの前記ブロックとは化学的組成の異なる、親水性のブロックとからなるものであり得、あるいはまた該ブロックコポリマーは、少なくとも一つの親水性のブロックと、少なくとも一つの疎水性のブロックとからなるものであり得る。これらは、アニオン性、カチオン性、ノニオン性又は両極性のものである。
これらブロックコポリマーが、無水媒体中に、自発的に溶解又は分散する場合、該ブロックコポリマーは、少なくとも一つの疎水性のブロックと、少なくとも一つの前記ブロックとは化学的組成の異なる、疎水性のブロックとからなるものであり得、あるいはまた該ブロックコポリマーは、少なくとも一つの疎水性のブロックと、少なくとも一つの親水性のブロックとからなるものであり得る。これらは、アニオン性、カチオン性、ノニオン性又は両極性のものである。
【0009】
上記用語「水溶性、水-分散性又は脂質(油)-分散性ブロックコポリマー」とは、25℃にて、水中又は無水溶媒中で、活性物質濃度0.1%において、自発的に又は酸又は塩基で中和した後に、巨視的に均一な、透明又は半透明な溶液又は懸濁液、即ち少なくとも70%及び好ましくは80%なる、波長500nmにおける、厚さ1cmのサンプルの透過率値を持つ、溶液又は懸濁液の生成に導く、コポリマーを意味する。
用語「親水性のブロック」とは、少なくとも75質量%の、水溶性及び/又は中和によって水に溶解し得るモノマーからなるブロックを意味する。この親水性のブロックは、従って25モル%までの1又はそれ以上の水-不溶性モノマーを含むことができる。この割合は、好ましくは10モル%に等しく及び理想的には5モル%以下である。
用語「疎水性のブロック」とは、少なくとも75質量%の、水-不溶性モノマーからなるブロックを意味する。この親水性のブロックは、従って25モル%までの1又はそれ以上の水溶性モノマーを含むことができる。この割合は、好ましくは10モル%に等しく及び理想的には5モル%以下である。
本発明のポリマーにおいて使用できるモノマーの例としては、特許出願FR 2,840,205に記載されているものを挙げることができる。
【0010】
本発明において使用できる該ジブロックコポリマーの、該親水性ブロックを形成する、水溶性のモノマーは、アニオン性、ノニオン性又はカチオン性のものであり得、また単独で、あるいは2種又はそれ以上の異なるモノマーを含む混合物として使用することができる。
列挙できるアニオン性水溶性モノマーの例は、エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、クロトン酸、マレイン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びビニルホスホン酸を含む。
ノニオン性水溶性モノマーは、特にアクリルアミド、C1-6N-アルキル又はC1-3N,N-ジアルキルアクリルアミド、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、N-ビニルアセタミド、N-メチル-N-ビニルアセタミド、N-ビニルホルムアミド、N-メチル-N-ビニルホルムアミド、炭素原子数4〜9の環式基を含むN-ビニルラクタム、ビニルアルコール(酢酸ビニルと共重合され、次いで加水分解された)、エチレンオキシド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレートを含む。
【0011】
最後に、カチオン性水溶性モノマーは、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリド、メチルビニルイミダゾリウムクロリド、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、N-(C1-4アルキル)-4-ビニルピリジニウムハライド、例えばN-メチル-4-ビニルピリジニウムアイオダイド、ビニルアミン及び以下の式で表されるモノマー:
H2C=CR'1-CO-X2
ここで、R'1は水素原子又はメチル基を表し、X2は少なくとも一つの一級、二級又は三級アミン官能基、又は少なくとも一つの四級窒素原子を持つ、直鎖又は分岐のC1-6炭化水素を基本とする基、又は式:NHR'2又はNR'2R'3で表される基(ここで、R'2及びR'3は相互に独立に、少なくとも一つの一級、二級又は三級アミン官能基、又は少なくとも一つの四級窒素原子を持つ、直鎖又は分岐C1-6炭化水素を基本とする基を表す)を表す。
【0012】
該ジブロックコポリマーの疎水性ブロックを形成する、該水-不溶性モノマーは、好ましくはビニル芳香族モノマー、例えばスチレン及びそのアルキル誘導体、例えば4-ブチルスチレン、α-メチルスチレン及びビニルトルエン、ジエン、例えばブタジエン及び1,3-ヘキサジエン、及びジエンのアルキル誘導体、例えばイソプレン及びジメチルブタジエン、クロロプレン、C1-10アルキル、C6-10アリール又はC6-10アラルキルアクリレート、及びC1-10アルキル、C6-10アリール又はC6-10アラルキルメタクリレート、例えばメチル、エチル、n-ブチル、2-エチルヘキシル、t-ブチル、イソボルニル、フェニル又はベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、式:CH2=CH-O-R''で示されるビニルエーテル及び式:CH2=CH-CH2-O-R''で示されるアリルエーテル(ここで、R''はC1-6アルキル基を表す)、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、カプロラクトン、エチレン、プロピレン、フッ素化されている、あるいはパーフルオロ鎖を含むビニルモノマー、例えばフルオロアルキルアクリレート又はメタクリレート、又はアルキルα-フルオロアルキレートから選択される。
【0013】
本発明による非-シリコーン系ポリマーは、最も特定的には非-シリコーン系の固定ポリマーから選択される。
本発明において適当な該非-シリコーン系の固定ポリマーは、特にカチオン性、アニオン性、両極性又はノニオン性の非-シリコーン系の固定ポリマー及びその混合物から選択される。
本発明に従って使用することのできる、該カチオン性非-シリコーン系の固定ポリマーは、好ましくはポリマー鎖の一部を構成する、あるいはこれに直接結合した、一級、二級、三級又は四級アミノ基を含み、かつ500〜約5,000,000なる範囲の、及び好ましくは1,000〜3,000,000なる範囲の数平均分子量を持つポリマーである。
これらポリマーとして、より特定的なものは、以下のカチオン性ポリマーを列挙することができる:
(1) アミン官能基を持つアクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドから誘導され、かつ少なくとも一つの以下の式で表される単位を含む、ホモポリマー又はコポリマー:
【0014】
【化1】

【0015】
ここで、R1及びR2は、同一でも異なっていても良く、各々水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し;
R3は、水素原子又はCH3基を表し;
Aは、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基を表し;
R4、R5及びR6は、同一でも異なっていても良く、炭素原子数1〜18のアルキル基又はベンジル基を表し;
Xは、メトサルフェートアニオン又はハライド、例えば塩素又は臭素原子を表す。
該群(1)のコポリマーは、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素原子において低級(C1-4)アルキル基、アクリル酸又はメタクリル酸若しくはこれらのエステルから誘導される基で置換されているアクリルアミド及びメタクリルアミド、ビニルラクタム、例えばビニルピロリドン又はビニルカプロラクタム、及びビニルエステルからなる群から選択することのできる、コモノマーから誘導される、1種又はそれ以上の単位をも含む。
このように、上記群(1)のコポリマーとしては、以下に列挙するものを挙げることができる:
【0016】
- アクリルアミドとジメチル硫酸又はジメチルハライドで四級化された、ジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、例えばハーキュルス(Hercules)社によって、ハーコフロック(HercoflocTM)なる名称で市販されているもの;
- アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、例えば特許出願EP-A-080 976に記載されており、またチバガイギー(Ciba Geigy)社によってビナカット(Bina Quat) P 100なる名称の下で市販されているもの;
- アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェートとのコポリマー、例えばハーキュルス(Hercules)社によって、レテン(Reten)なる名称で市販されている製品;
- 四級化された又は四級化されていない、ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマー、例えばISP社から「ガフカット(GafquatTM)」なる名称の下で市販されている製品、例えば「ガフカット(GafquatTM) 734」及び「ガフカット(GafquatTM) 755」あるいは「コポリマー(CopolymerTM) 845、958及び937」として知られている製品。これらポリマーは、フランス特許第2,077,143号及び2,393,573号に詳しく記載されている;
【0017】
- ビニルピロリドン単位を含む、脂肪鎖ポリマー、例えばISP社からスチレーゼ(Styleze) W20及びスチレーゼW10なる名称の下で市販されている製品;
- ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー、例えばISP社によって、ガフィックス(GaffixTM) VC 713なる名称の下で市販されている製品;及び
- 四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、例えばISP社によって、ガフカット(GafquatTM) HS 100なる名称の下で市販されている製品。
(2) 好ましくは四級アンモニウムを含む、カチオン性多糖、例えばUSP Nos. 3,589,578及び4,031,307号に記載されているもの、例えばトリアルキルアンモニウムカチオン性基を含む、グアーガム。このような製品は、特にメイホール(Meyhall)社によって、ジャガー(Jaguar)C13S、ジャガーC15及びジャガーC17なる商品名で、市販されている。
(3) ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの四級コポリマー;
(4) キトサン又はその塩;使用可能な該塩は特にキトサンアセテート、ラクテート、グルタメート、グルコネート、又はピロリドンカルボキシレート。
これらの化合物としては、脱アセチル化度90.5質量%を持ち、アーバーテクノロジー(Aber Technologies)社によって、キタンブルットスタンダード(Kytan Brut Standard)なる名称の下で市販されているキトサン、及びアマーコール(Amerchol)社によって、キタマー(KytamerTM)なる名称の下で市販されているキトサンを挙げることができる。
【0018】
(5) カチオン性セルロース誘導体、例えばセルロース又は四級アンモニウムを含む水溶性モノマーでグラフト化したセルロース誘導体、特にUSP No. 4,131,576号に記載されているもの、例えば、特にメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム又はジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフト化した、ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-又はヒドロキシプロピルセルロースのコポリマー。
この定義に従う市販の製品は、より具体的には、ナショナルスターチ(National Starch)社によって、「セルカット(Celquat) L 200」及び「セルカットH 100」なる名称の下で市販されている製品である。
一般に使用される、該アニオン性非-シリコーン系固定ポリマーは、カルボン酸、スルホン酸又はリン酸から誘導される基を含むポリマーであり、また凡そ500〜5,000,000なる範囲内の数平均分子量を持つ。
該カルボキシル基は、以下の一般式に相当するもの等の、不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸モノマーによって与えられる:




【0019】
【化2】

【0020】
ここで、nは、0〜10なる範囲の整数であり、A1は、場合により飽和基の炭素原子と結合した、又はnが1より大きい場合には、酸素又は硫黄等のヘテロ原子を介して、隣接するメチレン基に結合した、メチレン基を表し、R7は水素原子又はフェニル又はベンジル基を表し、R8は水素原子又は低級アルキル基又はカルボキシル基を表し、R9は水素原子、低級アルキル基又はCH2-COOH、フェニル又はベンジル基を表す。
上記式において、低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜4の基、及び特にメチル及びエチル基を表す。
本発明において好ましい、カルボキシル基を含む、該アニオン性非-シリコーン系固定ポリマーは、以下の通りである:
A) アクリル酸又はメタクリル酸のホモ-又はコポリマーあるいはその塩、及び特にアライドコロイド(Allied Colloid)社によって、バーシコール(VersicolTM)E又はKなる名称の下で市販されている製品及びバスフ社によって、ウルトラホールド(UltraholdTM) なる名称の下で市販されている製品、ハーキュルス(Hercules)社によって、レテン(Reten) 421、423及び425なる名称でナトリウム塩、即ちポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩として市販されている、アクリル酸とアクリルアミドとのコポリマー。
【0021】
B) アクリル酸又はメタクリル酸と、モノエチレン系モノマー、例えばエチレン、スチレン、ビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸エステルとのコポリマーであって、場合によりポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール上にグラフトされ、また場合により架橋されている該コポリマー。このようなポリマーは、特にフランス特許No. 1,222,944号及びドイツ特許出願No. 2,330,956号に記載されており、この種のコポリマーは、特にルクセンブルグ特許出願Nos. 75,370号及び75,371号に記載されており、かつアメリカンシアナミド(American Cyanamid)社によってコドラマー(Quadramer)なる名称の下で市販されているような、連鎖内に場合によりN-アルキル化及び/又はヒドロキシアルキル化アクリルアミド単位を含む。同様に列挙できるものは、アクリル酸とC1-C4アルキルメタクリレートとのコポリマー及びビニルピロリドン、アクリル酸及びラウリル等のC1-C20アルキルメタクリレートのターポリマー、例えばISP社によって、アクリリドン(AcrylidoneTM) LMなる名称の下で市販されている製品及びメタクリル酸/エチルアクリレート/t-ブチルアクリレートターポリマー、例えばバスフ(BASF)社によって、ルビマー(LuvimerTM) 100Pなる名称の下で市販されている製品である。
同様に、アマーコール(Amerchol)社によって、アマーホルド(AmerholdTM) DRなる名称の下で市販されている、水性分散物としての、メタクリル酸/アクリル酸/エチルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマーを挙げることもできる。
【0022】
C) クロトン酸コポリマー、例えばその連鎖内にビニルアセテート又はプロピオネート単位、及び場合により他のモノマー、例えばアリル系エステル又はメタアリル系エステル、ビニルエーテル又は長い炭化水素鎖、例えば少なくとも5個の炭素原子を含む長い炭化水素鎖を持つ、直鎖又は分岐鎖飽和カルボン酸のビニルエステルを含むもの。これらのポリマーは、場合によりグラフトされ、又は架橋されていても良く、あるいはまたα-又はβ-環状カルボン酸の、その他のビニル、アリル又はメタアリルエステルモノマーを含む上記コポリマー。このようなポリマーは、特にフランス特許第1,222,944号、同第1,580,545号、同第2,265,782号、同第2,265,781号、同第1,564,110号、同第2,439,798号に記載されている。この群に含まれる市販の製品は、ナショナルスターチ(National Starch)社によって市販されている、レジン(resin)28-29-30、26-13-14及び28-13-10である。
D) 以下に列挙するものから選択される、C4-C8モノ不飽和カルボン酸又はその無水物のコポリマー:
- (i) 一種又はそれ以上のマレイン酸、フマール酸、イタコン酸又はこれらの無水物、及び(ii) 少なくとも1種の、ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルハライド、フェニルビニル誘導体、アクリル酸及びそのエステルを含むコポリマー。これらコポリマーの無水物官能基は、場合によりモノエステル化又はモノアミド化されている。このようなポリマーは、特にUSP Nos. 2,047,398、2,723,248及び2,102,113、及びGBP No. 839,805に記載されており、また特にISP社によりガントレッツ(GantrezTM) AN又はESなる名称で市販されているものである。
【0023】
- (i) 一種又はそれ以上のマレイン酸、シトラコン酸又はイタコン酸無水物単位及び(ii)場合により連鎖中に一種又はそれ以上のアクリルアミド、メタクリルアミド、α-オレフィン、アクリル酸又はメタクリル酸エステル、アクリル酸又はメタクリル酸又はビニルピロリドン基を含む、アリル系又はメタアリル系エステルから選択される、一種又はそれ以上のモノマーを含むコポリマー。これらコポリマーの無水物官能基は、場合によりモノエステル化又はモノアミド化されている。
これらのポリマーは、例えば本出願人によるフランス特許FR 2,350,384及びFR 2,357,241に記載されている。
E) カルボキシレート基を含むポリアクリルアミド。
スルホン酸基を含む上記ホモポリマー及びコポリマーは、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアクリルアミドアルキルスルホン酸単位を含むポリマーである。
これらのポリマーは、特に以下に列挙するものから選択することができる:
- 約1,000〜100,000なる範囲の分子量を持つ、ポリビニルスルホン酸塩、並びに不飽和コモノマー、例えばアクリル酸又はメタクリル酸及びそのエステル、並びにアクリルアミド又はその誘導体、ビニルエーテル及びビニルピロリドンとのコポリマー;
- ポリスチレンスルホン酸塩、例えばナショナルスターチ社によって、フレキサン(FlexanTM) 500及びフレキサン130なる名称で市販されているナトリウム塩。これら化合物は、特許FR 2,198,719に記載されている;
- ポリアクリルアミドスルホン酸塩、例えば特許USP No. 4,128,631に記載されているもの、及びより詳しくは、ヘンケル(Henkel)社によりコスメディアポリマー(Cosmedia Polymer) HSP 1180なる名称で市販されている、ポリアクリルアミドエチルプロパンスルホン酸。
【0024】
本発明において使用できる、他のアニオン性非-シリコーン系固定ポリマーとして列挙できるものは、ノベオン(Noveon)社によりフィクセート(Fixate) G100なる名称で市販されている、分岐したアニオン性ブロックポリマーである。
本発明によれば、このアニオン性非-シリコーン系固定ポリマーは、好ましくはアクリル酸コポリマー、例えばバスフ社によってウルトラホルドストロング(UltraholdTM Strong)なる名称で市販されている、アクリル酸/エチルアクリレート/N-t-ブチルアクリルアミドターポリマー、クロトン酸から誘導されるコポリマー、例えば酢酸ビニル/t-ブチル安息香酸ビニル/クロトン酸ターポリマー及びクロトン酸/酢酸ビニル/ビニルネオドデカノエートターポリマー、特にナショナルスターチ社によって、レジン(Resin) 28-29-30なる名称で市販されているターポリマー、マレイン酸、フマール酸又はイタコン酸又はその無水物と、ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルハライド、フェニルビニル誘導体及びアクリル酸及びそのエステルとから誘導されるポリマー、例えばISP社によって、ガントレッツ(GantrezTM)[ラクナ(lacuna)]なる名称で市販されている、メチルビニルエーテル/モノエステル化無水マレイン酸コポリマー、ロームファーマ(Rohm Pharma)社により、ユードラジット(EudragitTM) Lなる名称で市販されている、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー、バスフ社により、ルビマー(LuvimerTM) MAEX又はMAEなる名称で市販されている、メタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー、バスフ社により、ルビセット(Luviset) CA 66なる名称で市販されている、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、バスフ社により、アリストフレックスA(Aristoflex ATM)なる名称で市販されている、ポリエチレングリコールによってグラフとされた、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、及びノベオン社によりフィクセートG100なる名称で市販されているポリマーから選択される。
【0025】
上記アニオン性非-シリコーン系固定ポリマーとしては、本発明に関連してより一層好ましくは、ISP社によって、ガントレッツES 425なる名称で市販されている、メチルビニルエーテル/モノエステル化無水マレイン酸コポリマー、バスフ社によってウルトラホルドストロングなる名称で市販されている、アクリル酸/エチルアクリレート/N-t-ブチルアクリルアミドターポリマー、ロームファルマ社により、ユードラジットLなる名称で市販されている、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー、ナショナルスターチ社によって、レジン(Resin) 28-29-30なる名称で市販されている、酢酸ビニル/t-ブチル安息香酸ビニル/クロトン酸ターポリマー及びクロトン酸/酢酸ビニル/ビニルネオドデカノエートターポリマー、バスフ社により、ルビマーMAEX又はMAEなる名称で市販されている、メタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー、ISP社によって、アクリリドンLMなる名称の下で市販されている、ビニルピロリドン/アクリル酸/ラウリルメタクリレートターポリマー、及びノベオン社によりフィクセートG100なる名称で市販されているポリマーである。
本発明により使用することのできる、両極性非-シリコーン系固定ポリマーは、ポリマー鎖中にランダムに分布する単位B及びCを含むポリマーから選択することができ、ここでBは少なくとも1種の塩基性窒素原子を含むモノマーから誘導される単位を表し、かつCは一種又はそれ以上のカルボン酸基又はスルホン酸基を含む、酸性モノマーから誘導される単位を表し、あるいはまたB及びCはカルボキシベタイン又はスルホベタイン双極性モノマーから誘導される基を表すことができる。
【0026】
B及びCは、また一級、二級、三級又は四級アミノ基を含む、カチオン性ポリマー鎖を表すこともでき、ここで該アミノ基の少なくとも一つは、炭化水素基を介して結合した、カルボン酸基又はスルホン酸基を有し、あるいはまたB及びCは、α,β-ジカルボキシルエチレン単位を含むポリマー鎖の一部を構成し、ここで該カルボキシル基の一つは、一又はそれ以上の一級又は二級アミノ基を含むポリアミンに対して反応性とされている。
より一層好ましい、上記定義に対応する該両極性非-シリコーン系固定ポリマーは、以下に列挙するポリマーから選択される:
(1) 酸性ビニル及び塩基性ビニル単位を含むコポリマー、例えばカルボキシル基を持つビニル化合物から誘導されるモノマー、例えばより特定的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、α-クロロアクリル酸と、少なくとも一つの塩基性原子を含む置換ビニル化合物から誘導される塩基性モノマー、例えばより特定的にはジアルキルアミノアルキルメタクリレート及びアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド及びアクリルアミドの、共重合によって得られるコポリマー。このような化合物は、特許USP No. 3,836,537に記載されている。
(2) 以下に列挙するモノマーから誘導される単位を含むポリマー:
a)窒素原子においてアルキル基で置換されている、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選択される、少なくとも1種のモノマー;
b) 一種又はそれ以上の反応性カルボキシル基を含有する、少なくとも1種の酸性コモノマー;及び
c) 少なくとも1種の塩基性コモノマー、例えばアクリル酸及びメタクリル酸の一級、二級、三級及び四級アミン置換基を含むエステル及びジメチルアミノエチルメタクリレートを、ジメチル又はジエチルサルフェートで四級化した生成物。
【0027】
本発明においてとりわけ好ましい、N-置換アクリルアミド及びメタクリルアミドは、そのアルキル基が2〜12個の炭素原子を含む化合物であり、またより特定的には、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-t-オクチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-デシルアクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド及び対応するメタクリルアミドである。
該酸性コモノマーは、より特定的にはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、及びフマール酸及び炭素原子数1〜4の、マレイン酸又はフマール酸若しくはその無水物のアルキルモノエステルから選択される。
好ましい塩基性コモノマーは、アミノエチル、ブチルアミノエチル、N,N'-ジメチルアミノエチル及びN-t-ブチルアミノエチルメタクリレートである。
特に、CTFA(第4版、1991)名が、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、例えばナショナルスターチ社によって、アンホマー(AmphomerTM)又はロボクリル(LovocrylTM) 47なる名称で市販されている製品である、上記コポリマーを使用する。
【0028】
(3) 以下の一般式で表されるポリアミノアミドから、部分的に又は完全に導かれる、架橋された、かつアシル化されたポリアミノアミド:
-(CO-R10-CO-Z)- (II)
ここで、R10は飽和ジカルボン酸、エチレン性二重結合を含む脂肪族モノ-又はジカルボン酸、これら酸と、1〜6個の炭素原子を含む低級アルカノールとのエステルから誘導される二価の基、又は該酸の何れかをビス(一級)又はビス(二級)アミンに付加することにより導かれる基を表し、またZはビス(一級)、モノ-、又はビス(二級)ポリアルキレン-ポリアミンから導かれる基を表し、また好ましくは以下に列挙する基を表す:
a) 60〜100モル%なる比率の、以下の式で表される基:
-NH-[(CH2)x-NH]p- (IV)
ここで、x=2及びp=2又は3、あるいは又はx=3及びp=2である。この基はジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン又はジプロピレントリアミンから導かれる。
b) 0〜40モル%なる比率の、上記式(IV)で表される基であって、x=2及びp=1であり、またこの基はエチレンジアミンから誘導され、又は以下の式で表されるピペラジンから誘導される基:
【0029】
【化3】

【0030】
c) 0〜20モル%なる比率の、ヘキサメチレンジアミンから誘導される基:-NH(CH2)6-NH-であり、これらポリアミノアミドは、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物及びビス-不飽和誘導体から選択される二官能性架橋剤の、該ポリアミノアミドのアミノ基当たり、0.025〜0.35モルの架橋剤を使用して、付加反応させることにより架橋され、またアクリル酸、クロロ酢酸又はアルカンスルトン、又はこれらの塩の作用によって、アシル化されている。
該飽和カルボン酸は、好ましくは炭素原子数6〜10の酸、例えばアジピン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸及び2,4,4-トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、エチレン性二重結合を含む酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸から選択される。
このアシル化において使用される該アルカンスルトンは、好ましくはプロパンスルトン又はブタンスルトンであり、これらアシル化剤の塩は、好ましくはナトリウム又はカリウム塩である。
(4) 以下の一般式で表される、双極性単位を含むポリマー:
【0031】
【化4】

【0032】
この式において、R11は、重合性の不飽和基、例えばアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミド基を表し、y及びzは1〜3の整数であり、R12及びR13は、水素原子、メチル、エチル又はプロピル基を表し、R14及びR15は、水素原子又はこれらの基R14及びR15中の炭素原子の総数が、10を越えないようなアルキル基を表す。
このような単位を含む該ポリマーは、また非-双極性モノマー、例えばジメチル-又はジエチルアミノエチルアクリレート又はメタクリレート又は酢酸ビニルから導かれる単位を含むこともできる。
例として、メチルメタクリレート/メチルジメチルカルボキシメチルアンモニオエチルメタクリレートのコポリマー、例えばサンドツ(Sandoz)社からジアフォーマー(Diaformer) Z301なる名称で市販されている製品を挙げることができる。
(5) 以下の式で表されるモノマー単位に対応する、モノマー単位を含むキトサンから誘導されるポリマー:
【0033】
【化5】

【0034】
該単位(D)は、0〜30%なる範囲の割合で存在し、該単位(E)は、5〜50%なる範囲の割合で存在し、また該単位(F)は、30〜90%なる範囲の割合で存在し、この単位(F)において、R16は以下の式で示される基を表す:
【0035】
【化6】

【0036】
ここで、q=0である場合、R17、R18及びR19は、同一又は異なっており、各々水素原子、メチル、ヒドロキシ、アセトキシ又はアミノ残基、モノアルキルアミン残基又はジアルキルアミン残基を表し、これらは場合により一種又はそれ以上の窒素原子によって分断されており、及び/又は場合により一種又はそれ以上のアミン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルチオ、又はスルホン酸基、アルキル基がアミノ残基を持つアルキルチオ残基により置換されており、該置換基R17、R18及びR19の内の少なくとも一つは、この場合水素原子を持ち;
あるいはq=1である場合、R17、R18及びR19は、各々水素原子、並びに塩基又は酸と共に、これらの化合物によって形成される塩を表す。
(6) 例えば、フランス特許第1,400,366号に記載されているような、一般式(V)に対応するポリマー:
【0037】
【化7】

【0038】
ここで、R20は水素原子、CH3O、CH3CH2O又はフェニル基を表し、R21は水素原子又は低級アルキル基、例えばメチル又はエチル基を表し、R22は水素原子又はC1-6低級アルキル基、例えばメチル又はエチル基を表し、R23はC1-6低級アルキル基、例えばメチル又はエチル基又は式: -R24-N(R22)2に対応する基を表し、ここでR24は-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、又はCH2-CH(CH3)-基を表し、またR22は上記の意味を有し、
(7) キトサンのN-カルボキシアルキル化により誘導されるポリマー、例えばジャンデッカー(Jan Dekker)社によって、「エバルサン(Evalsan)」なる名称で市販されている、N-カルボキシメチルキトサン又はN-カルボキシブチルキトサン。
(8) 以下に列挙するものから選択される、-D-X-D-X-型の両性ポリマー:
a) 以下の式で表される少なくとも一つの単位を含む化合物に、クロロ酢酸又はクロロ酢酸ナトリウムを作用させることによって得られるポリマー:
-D-X-D-X-D- (VI)
ここで、Dは以下の式で表される基を表し:
【0039】
【化8】

【0040】
また、Xは、記号E又はE'を表し、E又はE'は同一又は異なってもよく、各々主鎖中に7個までの炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖を含むアルキレン基である、二価の基を表し、該基はヒドロキシル基で置換されていても、置換されていなくてもよく、また酸素、窒素及び硫黄原子以外に、1〜3個の芳香族及び/又はへテロ環式リングを含むことができ、該酸素、窒素及び硫黄原子は、エーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホン、スルホニウム、アルキルアミノ又はアルケニルアミノ基、ヒドロキシル、ベンジルアミノ、アミンオキシド、四級アンモニウム、アミド、イミド、アルコール、エステル及び/又はウレタン基として存在する。
b) 以下の式で表されるポリマー:
-D-X-D-X- (VI')
ここで、Dは以下の式で表される基を表し:
【0041】
【化9】

【0042】
また、Xは、記号E又はE'を表し、かつ少なくとも一回E'を表し、Eは上に与えられた意味を有し、かつE'は、主鎖中に7個までの炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖を含むアルキレン基である、二価の基を表し、該基は一又はそれ以上のヒドロキシル基で置換されていても、置換されていなくてもよく、また一又はそれ以上の窒素原子を含み、該窒素原子は、場合により酸素原子によって分断されている、アルキル鎖により置換されており、かつ必ず一又はそれ以上のカルボキシル官能基又は一又はそれ以上のヒドロキシル官能基を含み、かつクロロ酢酸又はクロロ酢酸ナトリウムとの反応によって、ベタイン化されている。
(9) N,N-ジアルキルアミノアルキルアミン、例えばN,N-ジメチルアミノプロピルアミンによる半アミノ化することにより、あるいはN,N-ジアルキルアミノアルカノールによる半エステル化によって、部分的に変性された、(C1-C5)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー。これらコポリマーは、また他のビニルコモノマー、例えばビニルカプロラクタムを含むことができる。
【0043】
上記した両性非-シリコーン系固定ポリマーとしては、本発明において最も好ましい特定的なものは、上記第(3)群のポリマー、例えばCTFA名がオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、例えばナショナルスターチ社から、アンホマー(登録商標)、アンホマー(登録商標) LV 71又はロボクリル(登録商標) 47及び上記第(4)群のもの、例えばメチルメタクリレート/メチルジメチルカルボキシメチルアンモニオエチルメタクリレートコポリマー、例えばサンドツ(Sandoz)社からジアフォーマー(登録商標) Z301なる名称で市販されている製品である。
本発明により使用できる、該ノニオン性非-シリコーン系固定ポリマーは、例えば以下に列挙するポリマーから選択することができる:
- ポリアルキルオキサゾリン;
- 酢酸ビニルホモポリマー;
-酢酸ビニルコポリマー、例えば酢酸ビニルとアクリル酸エステルとのコポリマー、酢酸ビニルとエチレンとのコポリマー、酢酸ビニルとマレイン酸エステルとのコポリマー、例えばジブチルマレエート;
- アクリル酸エステルのホモポリマー及びコポリマー、例えばアルキルアクリレートとアルキルメタクリレートとのコポリマー、例えばローム&ハース(Rohm & Haas)社によって、プリマール(PrimalTM) AC-261 K及びユードラジット(EudragitTM) NE 30 Dなる名称で市販されている製品、バスフ社によって、8845なる名称で市販されている製品、又はヘキスト(Hoechst)社によって、アプレタン(AppretanTM) N9212なる名称で市販されている製品;
【0044】
- アクリロニトリルと、ブタジエン及びアルキル(メタ)アクリレートから選択されるノニオン性モノマーとのコポリマー、その例としては、ローム&ハース社によって、CJ 0601 Bなる名称で市販されている製品を挙げることができる;
- スチレンホモポリマー;
- スチレンコポリマー、例えばスチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー、例えばヘキスト社によって市販されている製品、モビリス(MowilithTM) LDM 6911、モビリスDM 611及びモビリスLDM 6070、及びローヌプーランク(Rhone-Poulenc)社によって市販されている製品、ロドパス(RhodopasTM) SD 215及びロドパスDS 910、スチレン、アルキルメタクリレート及びアルキルアクリレートのコポリマー、スチレンとブタジエンとのコポリマー、又はスチレン、ブタジエン及びビニルピリジンのコポリマー;
- ポリアミド;
- ビニルピロリドンホモポリマー以外のビニルラクタムホモポリマー、例えばバスフ社によって、ルビスコールプラス(LuviskolTM Plus)なる名称で市販されているポリビニルカプロラクタム;及び
- ビニルラクタムコポリマー、例えばバスフ社によって、ルビテック(LuvitecTM) VPC 55K65Wなる商品名で市販されている、ポリ(ビニルピロリドン/ビニルラクタム)コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル)コポリマー、例えばISP社によってPVPVA S630Lなる名称で市販されているもの、及びバスフ社によって、ルビスコール(LuviskolTM) VA 73、VA 64、VA 55、VA 34及びVA 28、及びポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル)ターポリマー、例えばバスフ社によって、ルビスコール(LuviskolTM) VAP 343なる名称で市販されている製品。
【0045】
上記ノニオン性ポリマーのアルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む。
官能化された又は官能化されていない、カチオン性、ノニオン性、アニオン性又は両性ポリウレタン又はその混合物も、非-シリコーン系固定ポリマーとして使用することができる。
本発明が、特に意図する該ポリウレタンは、本出願人が所有権者である、特許出願EP 0,751,162、EP 0,637,600、EP 0,648,485及びFR 2,743,297、並びにバスフ社によって出願された特許出願EP 0,656,021及びWO 94/03510及びナショナルスターチ社によって出願されたEP 0,619,111に記載されているものである。
本発明において特に好ましいポリウレタンとしては、バスフ社によってルビセットピュアー(Luviset PurTM)なる名称で市販されている製品を挙げることができる。
該非-シリコーン系ポリマーは、本発明の組成物中に、該組成物の全質量を基準として、0.05〜99質量%なる範囲、好ましくは0.1〜95%及びより好ましくは0.2〜30質量%なる範囲の含有率で存在し得る。
上記用語「求電子性モノマー」とは、求核試薬、例えば水中に含まれるヒドロキシルイオン(OH-)の存在下で、アニオン重合により重合できるモノマーを意味する。
用語「アニオン重合」とは、書物:「最新有機化学(Advanced Organic Chemistry)」第3版, Jerry March, pp. 151-161において定義されているメカニズムを意味する。
本発明の組成物中に存在する該求電子性モノマーは、以下に列挙するモノマーから選択することができる:
- Sayyah, J. Polymer Research, 2000, p.97に記載されているベンジリデンマロノニトリル誘導体(A)、2-(4-クロロベンジリデン)マロノニトリル(A1)、エチル2-シアノ-3-フェニルアクリレート(B)、及びエチル2-シアノ-3-(4-クロロフェニル)アクリレート(B1):
【0046】
【化10】

【0047】
- メチリデンマロネート誘導体、例えば
・Hopff, Makromoleculare Chemie (Macromolecular Chemistry), 1961, p.95, De Keyser, J. Pharm, Sci., 1991, p.67; Klemarczyk, Polymer, 1998, p.173による、ジエチル2-メチレンマロネート(C):
【0048】
【化11】

【0049】
・Breton, Biomaterials, 1998, p.271及びCouvreur, Pharmaceutical Research, 1994, p.1270によるエチル2-エトキシカルボニルメチレンカルボニルアクリレート:
【0050】
【化12】

【0051】
- イタコネート及びイタコンイミド誘導体、例えば
・Bachrach, European Polymer Journal, 1976, p.563によるジメチルイタコネート(E):
【0052】
【化13】

【0053】
・Wanatabe, J. Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, 1994, p.2073による、N-ブチルイタコンイミド(F)、N-(4-トリル)イタコンイミド(G)、N-(2-エチルフェニル) イタコンイミド(H)、N-(2,6-ジエチルフェニル)イタコンイミド(I):
【0054】
【化14】

【0055】
ここで、R=Bu(F)、4-トリル(G)、2-エチルフェニル(H)、2,6-ジエチルフェニル(I)。
- Gipstein, J. Org. Chem., 1980, p.1486による、誘導体:メチルα-(メチルスルホニル)アクリレート(K)、エチルα-(メチルスルホニル)アクリレート(L)、メチルα-(t-ブチルスルホニル)アクリレート(M)、t-ブチルα-(メチルスルホニル)アクリレート(N)及びt-ブチルα-(t-ブチルスルホニル)アクリレート(O);及び
- ShearerのUSP No. 2,748,050による、誘導体:1,1-ビス(メチルスルホニル)エチレン(P)、1-アセチル-1-メチルスルホニルエチレン(Q)、メチルα-(メチルスルホニル)ビニルスルホネート(R)及びα-メチルスルホニルアクリロニトリル(S):
【0056】
【化15】

【0057】
- Boor, J. Polymer Science, 1971, p.249による、メチルビニルスルホン(T)及びフェニルビニルスルホン(U):
【0058】
【化16】

【0059】
- Kanga, Polymer preprints (ACS, Division of Polymer Chemistry), 1987, p.322による、フェニルビニルスルホキシド誘導体(V):
【0060】
【化17】

【0061】
- Bonner, Polymer Bulletin, 1992, p.517による、誘導体:3-メチル-N-(フェニルスルホニル)-1-アザ-1,3-ブタジエン(W):
【0062】
【化18】

【0063】
- アクリレート及びアクリルアミド誘導体、例えば以下に列挙するもの:
・Kobayashi, Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry, 2005, p.2754による、N-プロピル-N-(3-トリイソプロポキシシリルプロピル)アクリルアミド(X)及びN-プロピル-N-(3-トリエトキシシリルプロピル)アクリルアミド(Y):
【0064】
【化19】

【0065】
・Rozenberg, International Journal of Plastics Technology, 2003, p.17による、2-ヒドロキシエチルアクリレート(Z)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(AA):
【0066】
【化20】

【0067】
・Schmitt, Macromolecules, 2001, p.2115によるN-ブチルアクリレート(AB);
・Ishizone, Macromolecules, 1999, p.955によるt-ブチルアクリレート(AC):
【0068】
【化21】

【0069】
本発明において有用な、該電子求引性モノマーは、環式又は直鎖の何れであっても良い。これが環式である場合、該電子求引性基は好ましくは環外基であり、すなわちこの基は、該モノマーの環状構造の必須部分を形成しない。
一特定の態様によれば、これらモノマーは、少なくとも2つの電子求引性基を含む。
少なくとも2つの電子求引性基を含むモノマーの例として、以下の式(I)のモノマーを挙げることができる:
【0070】
【化22】

【0071】
上記式において、R1及びR2は、夫々独立に、僅かに電子を吸引する基又は非-電子求引基(僅かに又は非-誘導性求引)、例えば水素原子;1〜20個の、さらに良好には、1〜10個の炭素原子を含み、及び場合により1又はそれ以上の窒素、酸素又は硫黄原子を含み、また場合により1又はそれ以上の、-OR、-COOR、-COR、-SH、-SR、及びOH基及びハロゲン原子から選択される基で置換されている、飽和又は不飽和で、直鎖、分岐又は環式の、炭化水素を基本とする基;変性又は未変性のポリオルガノシロキサン残基;及びポリオキシアルキレン基を表し、
R3及びR4は、夫々独立に、好ましくは-N(R)3+、-S(R)2+、-SH2+、-NH3+、-NO2、-SO2R、-C≡N、-COOH、-COOR、-COSR、-CONH2、-CONHR、-F、-Cl、-Br、-I、-OR、-COR、-SH、-SR及びOH基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基、C1-C4モノ-又はポリフルオロアルキル基、及びアリール、例えばフェニル基、又はアリールオキシ基、例えばフェノキシルオキシ基から選択される、電子求引(又は誘導性求引)基を表し、
Rは、1〜20個の、さらに良好には、1〜10個の炭素原子を含み、及び場合により1又はそれ以上の窒素、酸素又は硫黄原子を含み、また場合により1又はそれ以上の、-OR'、-COOR'、-COR'、-SH、-SR'及びOH基、ハロゲン原子から選択される基で置換されている、飽和又は不飽和で、直鎖、分岐又は環式の、炭化水素を基本とする基、又はポリマー残基を表し、R'は、C1-C10アルキル基を表し、ここで該ポリマーは、フリーラジカル重合、重縮合又は開環により得ることができる。
【0072】
該用語「電子求引基又は誘導性吸引基(-I)」とは、炭素よりも電気陰性度の低い、任意の基を意味する。これについては、刊行物P.R. Wells, Prog. Phys. Org. Chem., 1968, 6:111を参照することができる。
該用語「僅かに電子を吸引する基又は非-電子求引基」とは、電気陰性度が炭素原子のそれと等しいか、あるいはそれ以下である任意の基を意味する。
該アルケニル又はアルキニル基は、好ましくは2〜20個の、またさらに良好には2〜10個の炭素原子を含む。
好ましくは1〜20個の炭素原子、さらに良好には、1〜10個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和で、直鎖、分岐又は環式の、炭化水素を基本とする基としては、特に直鎖又は分岐アルキル、アルケニル又はアルキニル基、例えばメチル、エチル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ブテニル又はブチニル基;シクロアルキル又は芳香族基を挙げることができる。
列挙できる置換された炭化水素を基本とする基の例は、ヒドロキシアルキル及びポリハロアルキル基を含む。
特に列挙することのできる未変性のポリオルガノシロキサンの例は、ポリアルキルシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン、ポリアリールシロキサン、例えばポリフェニルシロキサン、及びポリアリールアルキルシロキサン、例えばポリメチルフェニルシロキサンを含む。
【0073】
特に列挙することのできる変性ポリオルガノシロキサンとしては、ポリオキシアルキレン及び/又はシロキシ及び/又はシラノール及び/又はアミン及び/又はイミン及び/又はフルオロアルキル基を含む、ポリジメチルシロキサンである。
特に列挙することのできる該ポリオキシアルキレン基としては、好ましくは1〜200個のオキシアルキレン単位を含む、ポリオキシエチレン基及びポリオキシプロピレン基である。
特に列挙することのできる、モノ-又はポリフルオロアルキル基としては、-(CH2)n-(CF2)m-CF3又は(CH2)n-(CF2)m-CHF2等の基であり、ここでn=1〜20かつm=1〜20である。
上記置換基R1〜R4は、場合により化粧学的活性を持つ基で置換されていてもよい。特に有用な化粧学的活性は、着色、酸化防止、UV-遮断及びコンディショニング機能を持つ基から得られる。
着色機能を持つ基の例としては、特にアゾ、キノン、メチン、シアノメチン及びトリアリールメタン基を挙げることができる。
酸化防止機能を持つ基の例としては、特にブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)又はビタミンE型の基を挙げることができる。
UV-遮断機能を持つ基の例としては、特にベンゾフェノン、シンナメート、ベンゾエート、ベンジリデンカンファー及びジベンゾイルメタン型の基を挙げることができる。
コンディショニング機能を持つ基の例としては、特にカチオン性の基及び脂肪エステル型の基を挙げることができる。
上記モノマーの中で、好ましいものは、以下の式(II)で表される、シアノアクリレート群のモノマー及びその誘導体である:
【0074】
【化23】

【0075】
上記式において、XはNH、S又はOを表し、R1及びR2は上記したものと同様な意味を有し、R'3は、水素原子又は式(A)に関して定義した基Rを表すことができる。
好ましくは、XはOを表す。
列挙し得る式(B)の化合物は、以下のようなモノマーを含む:
a) C1-C20ポリフルオロアルキル2-シアノアクリレート群に属するモノマー、例えば以下の式で表されるエステル2,2,3,3-テトラフルオロプロピル2-シアノ-2-プロペノエート:
【0076】
【化24】

【0077】
又は以下の式で表されるエステル2,2,2-トリフルオロエチル2-シアノ-2-プロペノエート:
【0078】
【化25】

【0079】
b) C1-C10アルキル又は(C1-C4アルコキシ)(C1-C10アルキル)シアノアクリレート。
より詳しくは、該モノマーとして、エチル2-シアノアクリレート、メチル2-シアノアクリレート、n-プロピル2-シアノアクリレート、イソプロピル2-シアノアクリレート、t-ブチル2-シアノアクリレート、n-ブチル2-シアノアクリレート、イソブチル2-シアノアクリレート、3-メトキシブチルシアノアクリレート、n-デシルシアノアクリレート、ヘキシル2-シアノアクリレート、2-エトキシエチル2-シアノアクリレート、2-メトキシエチル2-シアノアクリレート、2-オクチル2-シアノアクリレート、2-プロポキシエチル2-シアノアクリレート、n-オクチル2-シアノアクリレート及びイソアミルシアノアクリレートを挙げることができる。
本発明に関連して、上記モノマーb)を使用することが好ましい。
最も好ましい特定的な該モノマーは、以下の式IIIで表されるモノマー及びその混合物である:
【0080】
【化26】

【0081】
上記式において、Zは-(CH2)7-CH3、-CH(CH3)-(CH2)5-CH3、-CH2-CH(C2H5)-(CH2)3-CH3、-(CH2)5-CH(CH3)-CH3、-(CH2)4-CH(C2H5)-CH3である。
本発明において使用される該モノマーは、ポリマー、オリゴマーあるいはデンドリマー等の支持体と共有結合していても良い。該ポリマー又はオリゴマーは、直鎖、分岐鎖、櫛型形状又はブロック形状であり得る。該ポリマー、オリゴマーあるいはデンドリマー構造上での本発明のモノマーの分布は、ランダム状、末端部分又はブロック形状であり得る。
用語「化粧学的に許容される媒体」とは、毛髪等のケラチン物質と相溶性の媒体を意味する。
この化粧学的に許容される媒体は、好ましくは無水状態にある。この用語「無水媒体」とは、本発明の組成物の全質量に対して、1質量%未満の水を含む媒体を意味する。
【0082】
該化粧学的に許容される媒体は、好ましくは有機オイル;シリコーン、例えば揮発性シリコーン、アミノ又は非-アミノシリコーンガム又はオイル及びこれらの混合物;無機オイル;植物オイル、例えばオリーブオイル、ヒマシ油、ナタネ油、ココナツオイル、小麦胚芽油、アーモンド油、アボカド油、マカデミアナッツ油、アプリコット油、サフラワー油、キリ(ククイノキ)油(candlenut oil)、カメリア油、タマナ(テリハボク)油及びレモンオイル;ワックス類;あるいはまた有機化合物、例えばC5-C10アルカン、アセトン、メチルエチルケトン、C1-C20酸とC1-C8アルコールとのエステル、例えば酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、及びミリスチン酸イソプロピル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、C10-C30脂肪アルコール、例えばラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール;C10-C30脂肪酸、例えばラウリン酸及びステアリン酸;C10-C30脂肪アミド、例えばラウリン酸ジエタノールアミド、及びC10-C30脂肪アルキルエステル、例えばC10-C30脂肪アルキルベンゾエート、及びこれらの混合物から選択される。
好ましくは、該有機化合物は、温度25℃及び105Pa(760mmHg)において液体の、化合物から選択される。
本発明に従って使用される該組成物は、一般に、この組成物の全質量を基準として、0.001〜80質量%なる範囲、より好ましくは0.1〜40質量%なる範囲の、及びさらに一層好ましくは1〜20質量%なる範囲の、本発明による求電子性モノマーの濃度を持つ。
【0083】
重合阻害剤及びより詳しくはアニオン及び/又はフリーラジカル重合阻害剤を、本発明の組成物の経時安定性を高めるために、該組成物に配合することもできる。非-限定的な例として、以下のような重合阻害剤を挙げることができる:二酸化硫黄、一酸化窒素、ラクトン、三フッ化ホウ素、ヒドロキノン及びその誘導体、例えばヒドロキノンモノエチルエーテル、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ベンゾキノン及びその誘導体、例えばズロキノン、カテコール及びその誘導体、例えばt-ブチルカテコール及びメトキシカテコール、アニソール及びその誘導体、例えばメトキシアニソール、ヒドロキシアニソール又はブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール、2,4-ジニトロフェノール、2,4,6-トリヒドロキシベンゼン、p-メトキシフェノール、ヒドロキシブチルトルエン、アルキルサルフェート、アルキルスルフィット、アルキルスルホン、アルキルスルホキシド、アルキルスルフィド、メルカプタン及び3-スルホネン、及びこれらの混合物。これらのアルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む基を表す。
無機又は有機酸を使用することも可能であり、後者は、0〜6なる範囲のpKaを持つカルボン酸又はスルホン酸、例えばリン酸、塩酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、硫酸、カルボン酸、フッ化水素酸、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、安息香酸、モノ-、ジ-又はトリクロロ酢酸、サリチル酸及びトリフルオロ酢酸の一種又はそれ以上を含む。
【0084】
阻害剤の量は、該組成物の全質量を基準として、10ppm〜20質量%なる範囲、より好ましくは10ppm〜5質量%なる範囲及びより一層好ましくは10ppm〜1質量%なる範囲内であり得る。
本発明の組成物は、化粧品中に通常使用される薬剤、例えば還元剤、脂肪物質、可塑剤、柔軟剤、消泡剤、モイスチャライザー、顔料、クレー、無機フィラー、UV-遮断剤、無機コロイド、解膠剤、可溶化剤、香料、保存剤、アニオン性、カチオン性、ノニオン性又は両性界面活性剤、固定性ポリマー又は非-固定性ポリマー、ポリオール、タンパク質、ビタミン、直接又は酸化染料、真珠光沢剤、プロペラントガス、及び無機又は有機増粘剤、例えばベンジリデンソルビトール、及びN-アシルアミノ酸の、少なくとも1種をも含むことができる。これらの薬剤は、場合によりカプセル化されていてもよい。該カプセルは、ポリシアノアクリレート型のものであり得る。
本発明のヘアートリートメント法は、上記組成物をケラチン物質に適用する工程からなり、また特に加熱しつつ又は加熱せずに、求核試薬の存在下で、上記組成物をケラチン物質に適用する工程からなる。
【0085】
好ましくは、この求核試薬は、水である。この水は、予め湿潤させることによって与えることができる。
また、反応速度を改善する目的で、塩基、酸又は酸/塩基混合物を用いて、pHを調節した水性溶液を用いて、予め該ケラチン物質を湿潤させることも可能である。該酸及び/又は塩基は、無機又は有機酸及び/又は塩基であり得る。
これら2つの操作は、また該組成物の適用後に行うことも可能である。
該ケラチン物質を、予め求核試薬で含浸しておくことにより、該アニオン重合速度を変更することも可能である。該求核試薬は、そのまま、溶液として、あるいはエマルションとして使用でき、あるいはカプセル化することもできる。
該アニオン重合を開始できる該求核試薬は、それ自体公知の系であり、水中に含まれるヒドロキシルイオン等の求核試薬と接触した際に、カルボアニオンを発生し得る系である。該用語「カルボアニオン」とは、「最新有機化学(Advanced Organic Chemistry),第3版」Jerry March, p. 141において定義されている化学種を意味する。
該求核試薬は、求核性の官能基を含む分子状化合物、オリゴマー、デンドリマー又はポリマーからなるものであり得る。非-限定的な例として列挙できる求核性の官能基は、以下に挙げる官能基を含む:R2N-、NH2-、Ph3C-、R3C-、PhNH-、ピリジン、ArS-、R-C≡C-、RS-、SH、RO-、R2NH、ArO-、N3-、OH-、ArNH2、NH3、I-、Br-、Cl-、RCOO-、SCN-、ROH、RSH、NCO-、CN-、NO3-、ClO4-及びH2O(ここで、Phはフェニル基を表し、Arはアリール基を表し、かつRはC1-C10アルキル基を表す)。
【0086】
好ましくは、該求核試薬は水である。この水は、予め湿潤させることによって与えることができる。
また、反応速度を改善する目的で、塩基、酸又は酸/塩基混合物を用いて、pHを調節した水性溶液を用いて、予め該繊維を湿潤させることも可能である。該酸及び/又は塩基は、無機又は有機酸及び/又は塩基であり得る。
該繊維を、予め水以外の求核試薬で含浸しておくことにより、該アニオン重合速度を変更することも可能である。該求核試薬は、純粋な状態で、溶液として、あるいはエマルションとして使用でき、あるいはカプセル化することもできる。
該アニオン重合速度を変更するために、該ケラチン物質の化学的な転化を介して、該繊維の求核性を高めることも可能である。
列挙可能な例は、本発明の組成物の適用前に、ケラチンを部分的に構成するジスルフィドブリッジをチオールに還元することを含む。ケラチンを部分的に構成するジスルフィドブリッジ用の還元剤の、非-限定的な例としては、以下に列挙する化合物を挙げることができる:
【0087】
無水チオ硫酸ナトリウム、粉末化メタ重亜硫酸ナトリウム、チオウレア、亜硫酸アンモニウム、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオ乳酸アンモニウム、グリセリルモノチオグリコレート、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリセロール、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、ジチオグリコール酸ジアンモニウム、チオグリコール酸ストロンチウム、チオグリコール酸カルシウム、亜鉛ホルモスルホキシレート、チオグリコール酸イソオクチル、dl-システイン及びモノエタノールアミンチオグリコレート。
該アニオン重合速度を変更するために、及びより具体的には本発明のモノマーの重合速度を減じるためには、該組成物の粘度を高めることが可能である。そのためには、本発明によるモノマーとの反応性を持たない、1種又はそれ以上のポリマーを、本発明の組成物に添加することができる。これに関連して、非-限定的に、特許USP 6,224,622号に記載されている、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、あるいはまたシアノアクリレートを主成分とするコポリマーを例示することができる。
特に、その場で生成されるポリ(シアノアクリレート)の接着性を改善するために、該繊維を、任意の型のポリマーで予備処理し、あるいは本発明の組成物を適用する前に、例えば直接染色又は酸化染色処理、パーマネントウエーブ処理、又は縮毛矯正処理等の毛髪処理を行うことができる。
【0088】
この方法は、該ケラチン物質に、少なくとも1種の上記の如き非-シリコーン系ポリマーを適用する工程、及び該ケラチン物質に少なくとも1種の求電子性モノマーを適用する工程を含み、これら2つの工程の順序は重要ではない。
一特定の態様によれば、該非-シリコーン系ポリマーの適用は、該求電子性モノマーの適用前に行われる。
本発明によれば、これらのモノマーは、好ましくはケラチン繊維上で、化粧学的に許容される条件下で、重合することの可能なモノマーから選択される。特に、該モノマーの重合は、好ましくは80℃以下、好ましくは10〜80℃なる範囲及び優先的には20〜80℃なる範囲の温度にて行われ、これは、該適用を、フード下での乾燥、送風乾燥、又はコテ又はカールゴテによる処理によって完了するのを妨害することはない。
【0089】
以下の例は、本発明を全く限定すること無しに、例示するためのものである。
以下の例において、「%」は、活性物質の質量基準の%として表されている。
例1
以下の組成物を調製した。





【0090】
【表1】

(1) シュマンス(Chemence)社によって市販されている、ライトロック(Rite Lok) CON895
【0091】
上記の様に測定した最大剥離力は、4Nであり、また分離エネルギーは200μJである。
本発明の組成物は、数回のシャンプー洗浄後にも、該組成物の再度の適用を必要とすることなしに、柔軟性、光沢を維持し、かつ髪形を保持することを可能にする。
例2
以下の組成物を調製した。
【0092】
【表2】

(1) シュマンス(Chemence)社によって市販されている。
【0093】
例3
以下の組成物を調製した。
【0094】
【表3】

(1) トンシェン(Tong Shen)社によって市販されているEO 460。
【0095】
例4
以下の組成物を調製した。
【0096】
【表4】

(1) トンシェン(Tong Shen)社によって市販されているB 60。
【0097】
例5
以下の組成物を調製した。

【0098】
【表5】

(1) トンシェン(Tong Shen)社によって市販されているO-60。
【0099】
例6
以下の組成物を調製した。
【0100】
【表6】

(1) シュマンス(Chemence)社によって市販されている。
(2) トンシェン(Tong Shen)社によって市販されているO-60。
【0101】
例7
以下の組成物を調製した。
【0102】
【表7】

(1) シュマンス(Chemence)社によって市販されている。
(2) トンシェン(Tong Shen)社によって市販されているB-60。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質、及び特に毛髪等のケラチン繊維を化粧処理するための、組成物の使用であって、該組成物が、使用化粧学的に許容される媒体中に、少なくとも1種の求電子性モノマー及び少なくとも1種の非-シリコーン系ポリマーを含み、該非-シリコーン系ポリマーを、該組成物が、乾燥後に、1ニュートンを越える最大剥離力を持つフィルムを生成するように選択することを特徴とする、上記使用。
【請求項2】
該非-シリコーン系ポリマーが、非-シリコーン系固定ポリマーから選択される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
該非-シリコーン系固定ポリマーが、カチオン性、アニオン性、両性及びノニオン性非-シリコーン系固定ポリマー、及びこれらの混合物から選択される、請求項2記載の使用。
【請求項4】
該カチオン性非-シリコーン系固定ポリマーが、アクリル酸又はメタクリル酸エステル若しくはアミノ官能基を含むアミドのホモポリマー又はコポリマー、カチオン性多糖類、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの四級コポリマー、及びキトサンから選択される、請求項3記載の使用。
【請求項5】
該アニオン性非-シリコーン系固定ポリマーが、アクリル酸及びメタクリル酸又はその塩のホモポリマー又はコポリマー、クロトン酸コポリマー、C4-C8モノ不飽和カルボン酸又はその無水物のコポリマー、カルボキシレート基を含むポリアクリルアミド、スルホン酸残基を含むホモポリマー又はコポリマー、及びアニオン性ポリウレタンから選択される、請求項3記載の使用。
【請求項6】
該両性非-シリコーン系固定ポリマーが、酸性ビニル単位及び塩基性ビニル単位を含むコポリマー、架橋されかつアシル化されたポリアミノアミド、両性イオン単位を含むポリマー、キトサンを主成分とするポリマー、変性(C1-C5)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー及び両性ポリウレタンから選択される、請求項3記載の使用。
【請求項7】
該ノニオン性非-シリコーン系固定ポリマーが、ポリアルキルオキサゾリン、酢酸ビニルホモポリマー及びコポリマー、アクリル酸エステルホモポリマー及びコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、スチレンホモポリマー及びコポリマー、ポリアミド、ビニルピロリドンホモポリマー以外のビニルラクタムホモポリマー、ビニルラクタムコポリマー及びノニオン性ポリウレタンから選択される、請求項3記載の使用。
【請求項8】
該求電子性モノマーが、以下の式で表される化合物に対応するものである、上記請求項の何れか1項に記載の使用:
【化1】

上記式において、R1及びR2は、夫々独立に、以下に列挙するものから選択される、僅かに電子を吸引する基又は非-電子求引基:水素原子;1〜20個の炭素原子を含み、及び場合により1又はそれ以上の窒素、酸素又は硫黄原子を含み、また場合により1又はそれ以上の、-OR、-COOR、-COR、-SH、-SR、及びOH基及びハロゲン原子から選択される基で置換されている、飽和又は不飽和で、直鎖、分岐又は環式の、炭化水素を基本とする基;変性又は未変性のポリオルガノシロキサン残基;ポリオキシアルキレン基、
R3及びR4は、夫々独立に、-N(R)3+、-S(R)2+、-SH2+、-NH3+、-NO2、-SO2R、-C≡N、-COOH、-COOR、-COSR、-CONH2、-CONHR、-F、-Cl、-Br、-I、-OR、-COR、-SH、-SR及びOH基、直鎖又は分岐アルケニル基、直鎖又は分岐アルキニル基、C1-C4モノ-又はポリフルオロアルキル基、及びアリール及びアリールオキシ基から選択される、電子求引基を表し、
Rは、1〜20個の炭素原子を含み、及び場合により1又はそれ以上の窒素、酸素又は硫黄原子を含み、また場合により1又はそれ以上の、-OR'、-COOR'、-COR'、-SH、-SR'及びOH基、ハロゲン原子から選択される基で置換されている、飽和又は不飽和で、直鎖、分岐又は環式の、炭化水素を基本とする基、又はフリーラジカル重合、重縮合又は開環により得ることのできるポリマー残基を表し、R'は、C1-C10アルキル基を表す。
【請求項9】
該求電子性モノマーが、以下の式で表される化合物から選択されるものである、請求項8記載の使用:
【化2】

上記式において、XはNH、S、Oを表し、R1及びR2は請求項6において定義した通りであり、R'3は、水素原子又は請求項6において定義した基Rを表す。
【請求項10】
該モノマーが、C1-C20ポリフルオロアルキル2-シアノアクリレート及び(C1-C10)アルキル又は(C1-C4アルコキシ)(C1-C10アルキル)シアノアクリレートから選択される、請求項9記載の使用。
【請求項11】
該モノマーが、エチル2-シアノアクリレート、メチル2-シアノアクリレート、n-プロピル2-シアノアクリレート、イソプロピル2-シアノアクリレート、t-ブチル2-シアノアクリレート、n-ブチル2-シアノアクリレート、イソブチル2-シアノアクリレート、3-メトキシブチルシアノアクリレート、n-デシルシアノアクリレート、ヘキシル2-シアノアクリレート、2-エトキシエチル2-シアノアクリレート、2-メトキシエチル2-シアノアクリレート、2-オクチル2-シアノアクリレート、2-プロポキシエチル2-シアノアクリレート、n-オクチル2-シアノアクリレート及びイソアミルシアノアクリレートから選択される、請求項10記載の使用。
【請求項12】
該求電子性モノマーが、以下の一般式(III)で表されるモノマーに相当するものである、請求項9記載の使用:
【化3】

上記式において、Zは-(CH2)7-CH3、-CH(CH3)-(CH2)5-CH3、-CH2-CH(C2H5)-(CH2)3-CH3、-(CH2)5-CH(CH3)-CH3、-(CH2)4-CH(C2H5)-CH3である。
【請求項13】
該モノマーが、該組成物の全質量を基準として、0.001〜80質量%なる範囲、好ましくは0.1〜40質量%なる範囲及びより一層好ましくは1〜20質量%なる範囲の含有率で、該組成物中に存在する、上記請求項の何れか1項に記載の使用。
【請求項14】
該モノマーが、ポリマー、オリゴマー又はデンドリマー等の支持体と共有結合している、上記請求項の何れか1項に記載の使用。
【請求項15】
該化粧学的に許容される媒体が無水状態にある、上記請求項の何れか1項記載の使用。
【請求項16】
該化粧学的に許容される媒体が有機オイル、シリコーン、無機オイル、植物オイル、ワックス、C5-C10アルカン、アセトン、メチルエチルケトン、C1-C20酸とC1-C8アルコールとのエステル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、C10-C30脂肪アルコール、C10-C30脂肪酸、C10-C30脂肪アミド及びC10-C30脂肪アルキルエステル、及びこれらの混合物から選択される、請求項15記載の使用。
【請求項17】
該組成物が、重合阻害剤を含む、上記請求項の何れか1項に記載の使用。
【請求項18】
該阻害剤が、アニオン及び/又はフリーラジカル重合阻害剤である、請求項17記載の使用。
【請求項19】
該重合阻害剤が、二酸化硫黄、一酸化窒素、ラクトン、3フッ化ホウ素、ヒドロキノン及びその誘導体、例えばヒドロキノンモノエチルエーテル、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ベンゾキノン及びその誘導体、例えばジュロキノン、カテコール及びその誘導体、例えばt-ブチルカテコール及びメトキシカテコール、アニソール及びその誘導体、例えばメトキシアニソール、ヒドロキシアニソール又はブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール、2,4-ジニトロフェノール、2,4,6-トリヒドロキシベンゼン、p-メトキシフェノール、ヒドロキシブチルトルエン、硫酸アルキル、亜硫酸アルキル、アルキルスルホン、アルキルスルホキシド、アルキルスルフィド、メルカプタン及び3-スルホネン、及びこれらの混合物から選択される、請求項17記載の使用。
【請求項20】
該重合阻害剤が、該組成物の全質量を基準として、10ppm〜20質量%なる範囲、好ましくは10ppm〜5質量%なる範囲及びより好ましくは10ppm〜1質量%なる範囲の量で存在する、請求項17〜19の何れか1項に記載の使用。
【請求項21】
該非-シリコーン系ポリマーが、該組成物中に、その全質量を基準として、0.05〜99質量%なる範囲、好ましくは0.1〜95質量%なる範囲及びより好ましくは0.2〜30質量%なる範囲の含有率で存在する、上記請求項の何れか1項に記載の使用。
【請求項22】
該組成物が、また還元剤、脂肪物質、可塑剤、軟化剤、消泡剤、モイスチャライザー、顔料、クレー、無機フィラー、紫外線遮断剤、無機コロイド、解膠剤、可溶化剤、香料、保存剤、アニオン性、カチオン性、ノニオン性又は両性界面活性剤、固定性ポリマー又は非-固定性ポリマー、ポリオール、タンパク質、ビタミン、直接又は酸化染料、真珠光沢剤、噴射剤ガス、及び無機又は有機増粘剤から選択される少なくとも1種の薬剤をも含む、上記請求項の何れか1項に記載の使用。
【請求項23】
該薬剤が、カプセル化されている、請求項22記載の使用。
【請求項24】
該ケラチン物質が毛髪、睫毛又はツメである、上記請求項の何れか1項記載の使用。
【請求項25】
該組成物の形状が、ローション、スプレー又はムースである、上記請求項の何れか1項に記載の使用。
【請求項26】
化粧学的に許容される媒体中に、請求項6〜11の何れか1項において定義した少なくとも1種の求電子性モノマー、及び少なくとも1種の非-シリコーン系固定ポリマーを含むことを特徴とする、化粧料組成物。
【請求項27】
該非-シリコーン系固定ポリマーが、カチオン性、アニオン性、両性及びノニオン性非-シリコーン系固定ポリマー、及びこれらの混合物から選択される、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
ケラチン物質を処置する方法であって、該ケラチン物質に、少なくとも1種の請求項1記載の非-シリコーン系固定ポリマーを適用する工程と、少なくとも1種の求電子性モノマーを、該ケラチン物質に適用する工程とを含むことを特徴とする、上記方法。
【請求項29】
該非-シリコーン系ポリマーの適用を、該求電子性モノマーの適用に先立って実施する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
ケラチン物質を処置する方法であって、請求項1〜25の何れか1項において使用した組成物を、求核性薬物の存在下で、該ケラチン物質に適用することを特徴とする、上記方法。
【請求項31】
該求核性薬物を、以下に列挙するものから選択される、求核性官能基を含む分子間化合物、オリゴマー、デンドリマー又はポリマーから選択する、請求項30に記載の方法:R2N-、NH2-、Ph3C-、R3C-、PhNH-、ピリジン、ArS-、R-C≡C-、RS-、SH-、RO-、R2NH、ArO-、N3-、OH-、ArNH2、NH3、I-、Br-、Cl-、RCOO-、SCN-、ROH、RSH、NCO-、CN-、NO3-、ClO4-及びH2O(ここで、Phはフェニル基を表し、Arはアリール基を表し、及びRはC1-C10アリール基を表す)。
【請求項32】
該求核性薬物が水である、請求項30記載の方法。
【請求項33】
pHが塩基、酸又は酸/塩基混合物で調節されている、水性溶液を用いて、予め湿潤されている、該ケラチン物質に、該組成物を適用する、請求項30〜32の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
該ケラチン物質が、水以外の求核性薬剤を用いて、前もって含浸されている、請求項30〜32の何れか1項に記載の方法。
【請求項35】
該ケラチン物質を、該組成物の適用前に、還元する、請求項30〜32の何れか1項に記載の方法。
【請求項36】
該組成物の適用が、濯ぎを伴う、請求項30〜35の何れか1項に記載の方法。
【請求項37】
該ケラチン物質が、毛髪である、請求項30〜36の何れか1項に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1種の求電子性モノマー及び場合により少なくとも1種のアニオン及び/又はフリーラジカル重合阻害剤を含む第一の組成物、及び化粧学的に許容される媒体中に、少なくとも1種の請求項1記載の非-シリコーン系固定ポリマーを含む、第二の組成物を含むことを特徴とする、キット。

【公開番号】特開2006−348015(P2006−348015A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−326674(P2005−326674)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】