説明

ケラチン繊維の表面状態を改善することを意図した少なくとも一の脂肪鎖ポリリジンを含有する化粧品用組成物

本発明は、化粧品的に許容可能な媒体中に、少なくとも一種の脂肪鎖ポリリジンを含有してなる化粧品用組成物に関する。本発明の組成物を使用して、ケラチン繊維の表面状態を改善することができる。本発明はまた脂肪鎖ポリリジンを得るための方法及び新規な化合物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維の表面状態を改善することを意図した、少なくとも一の脂肪鎖ポリリジンを含有する新規な化粧品用組成物、並びに脂肪鎖ポリリジンを製造するための合成方法に関する。
【0002】
ダメージを受けた毛髪を保護し又は修復することを意図した多くの化粧品用組成物が知られている。しかしながら、そのような組成物は、しばしば不十分である様々に異なる結果をもたらす。よって、ケラチン繊維の表面状態を改善するための新規な組成物を開発する必要があると思われる。
【0003】
細菌性乳化剤としての食品工業における脂肪鎖N-ε-ポリリジン類(アミド接合)の使用については、特許出願JP05246963に記載されている。殺菌洗浄剤としての脂肪鎖N-ε-ポリリジン類(アミド接合)の使用については、JP2001-191521に開示されている。ウレタン類似体は、特許出願JP2002-147360に記載されている。最後に、アミド官能基誘導体の調製、並びに界面活性剤としてのそれらの利点については、JP11255892に記載されている。
【0004】
驚くべきことに、本出願人は、少なくとも一の脂肪鎖ポリリジンを含有する組成物により、ケラチン物質の表面状態を改善することができることを見出した。
【0005】
よって、本発明の主題は、化粧品的に許容可能な媒体中に、次の式(I):
【化1】

[上式中:
(a)Rは、H、又は次の式(II)、(III)、(IV)又は(V):
【化2】

(上式中、Rは、N、S又はOが挿入されていてもよく、一又は複数のヒドロキシル基(類)及び/又は一又は複数のフッ素原子(類)で置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC5からC30の炭化水素鎖を表し、Rは、H、又は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC1からC8のアルキル基を表す)
のいずれかの部分を表し、
(b)nは2〜10000、好ましくは5〜1000である]
の少なくとも一の脂肪鎖ポリリジン、並びにその塩及び異性体で、但し、式(I)のポリリジンにおいて、少なくとも一のR基はH以外であるもの
を含有してなることを特徴とする、ケラチン物質を保護し及び/又は修復することを意図した組成物を提供することにある。
【0006】
ここで使用される場合、ケラチン物質とは、皮膚付属器、特に毛髪、睫、及び爪を意味することを意図している。好ましくは、ここではケラチン物質はヒトのケラチン物質、好ましくは毛髪のことである。
【0007】
上述の化粧品用組成物により、親水性になっているダメージを受けたケラチン物質に、疎水性コーティング又はシース形成をもたらすことができる。このような疎水性シース形成により、ダメージを受けた繊維が、天然の毛髪に似通った疎水性の表面状態を永続的に回復するようにすることができる。例えば、毛髪の外観は、本発明の組成物で処理された場合に、より良好に見える。また、本発明の組成物で処理された毛髪は、滑らかな感触があり、より光沢があり、もつれをほぐしたり、スタイリングするのが容易である。
【0008】
好ましい実施態様では、式(I)の脂肪鎖ポリリジンにおいて、R基は、H又は上述した式(II)又は(IV)のいずれかの部分を表し、ここで、R1は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC5からC24炭化水素鎖を表し、R2は水素原子を表し、少なくとも一のR基はH以外であると理解される。
【0009】
好ましくは、式(I)の脂肪鎖ポリリジンにおいて、R基は、H又は次の式(VI)、(VII)、(VIII)又は(IX):
【化3】


のいずれかの部分を表し、少なくとも一のR基はH以外であると理解される。
【0010】
また本発明は、化合物(I)の無機又は有機塩にも関し、ここで、リジン単位はラセミ又は異性体的に純粋なタイプであってもよい。
一般的には、本発明で適切に使用される有機又は無機塩は、式(I)の化合物の生理学的に許容可能な塩である。
【0011】
酸付加塩は、例えば塩酸、又は臭化水素酸、又は硫酸、又はクエン酸、又はコハク酸、又は酒石酸、又は乳酸、又はパラトルエンスルホン酸、又はリン酸、又は酢酸の塩、もしくはリノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸及び18-メチルエイコサン酸等の脂肪酸の塩である。
塩基付加塩は、例えばナトリウム及びカルシウムの塩、及びヒドロキシアルキルアミン塩、例えばN-メチルグルカミン又はアミノプロパンジオールである。
【0012】
次の一般式(X):
【化4】

[上式中:
(a)Rは、H、又は次の式(IV)又は(V):
【化5】

(上式中、Rは、N、S又はOが挿入されていてもよく、一又は複数のヒドロキシル基(類)及び/又は一又は複数のフッ素原子(類)で置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC5からC30炭化水素鎖を表し、Rは、H、又は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC1からC8アルキル基を表す)
のいずれかの部分を表し、
(b)nは2〜10000、好ましくは5〜1000である]
を有する新規化合物、並びにその塩又は異性体で、但し、式(X)のポリリジンにおいて、少なくとも一のR基はH以外であるものを提供することが本発明のさらなる目的である。
【0013】
特定の実施態様によれば、式(X)の脂肪鎖ポリリジンにおいて、R基は、H又は上述した式(IV)又は(V)のいずれかの部分を表し、ここで、R1は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC5からC24炭化水素鎖を表し、R2は水素原子を表し、少なくとも一のR基はH以外であると理解される。
より好ましくは、式(X)の脂肪鎖ポリリジンにおいて、R基は、R2が水素原子を表し、R1がCH3-(CH2)-CH=CH-(CH2)-鎖を表す式(IV)の基を表す。
【0014】
本発明の化粧品用組成物は、組成物の全重量に対して0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜20重量%の脂肪鎖ポリリジンを含有しうる。
【0015】
本発明の化粧品用組成物は、式(I)の化合物に加えて、生理学的に許容可能な媒体、特に化粧品的に許容可能な媒体、すなわち上述したケラチン物質と適合性のある媒体を含有する。
例として、前記生理学的に許容可能な媒体は、毛髪等のケラチン繊維の処理に伝統的に使用されている様々な成分を含有し得、なかでも、水又は有機溶媒、例えばエタノール又はベンジルアルコール等のアルコール類、又は香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、酸性化剤、アルカリ性化剤、UV吸収遮蔽剤、顔料、真珠光沢剤、フィラー、着色剤、式(I)の化合物とは異なるポリマー、増粘剤、アニオン性又は両性又は非イオン性の界面活性剤、乳化剤、共乳化剤、ガム類、コンディショニング剤、微量元素、抜毛に抗するための薬剤、抗フケ剤、セラミド類、毛髪を再成形するための薬剤、ロウ、極性又は無極性で、鉱物性、有機又は植物性の油、揮発性又は非揮発性のシリコーン類、ビタミン類又はプロビタミン類、抗フリーラジカル剤、酸化防止剤、酸化剤、並びにそれらの組合せを挙げることができる。
もちろん、当業者であれば、本発明の組成物の有利な特性が影響を受けないか実質的に受けないように留意して、この又はこれらの任意の成分(類)及び/又はその量を選択できるであろう。
【0016】
特定の実施態様によれば、本発明の脂肪鎖ポリリジンを含む化粧品的に許容可能な媒体は、
− 水、及び/又は
− 脂肪族又は芳香族アルコール類、好ましくはエタノール、ベンジルアルコール、脂肪アルコール類、変性又は未変性ポリオール類、例えばグリセロール、グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ブチルジグリコール、及び/又は
− 揮発性又は非揮発性シリコーン類、及び/又は
− 鉱物性、有機又は植物性の油、及び/又は
− オキシエチレン化又は非オキシエチレン化ロウ、パラフィン、アルカン類、好ましくはCからC10のアルカン類、及び/又は
− 脂肪酸、脂肪アミン類、脂肪エステル、特に脂肪アルコールベンゾアート又はサリチラート、及び/又は
− アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、
− 及びそれらの混合物、
を含む。
【0017】
本発明の組成物のpHは、当該分野でよく知られている酸性化剤又はアルカリ性化剤により、期待される値に調節され得る。
アルカリ性化剤の適切な例には、アンモニア、アルカリ炭酸塩、アルカノールアミン類、例えばモノ-、ジ-及びトリエタノールアミンとそれらの誘導体、ヒドロキシアルキルアミン類、及びオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン類、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及び次の式(XI):
【化6】

[上式中、Rは、C-Cアルキル基又はヒドロキシル部分で置換されていてもよいプロピレン残基であり;R、R、R及びRは同一又は異なっており、水素原子、C-Cアルキル基又はC-Cヒドロキシアルキル基を表す]
の化合物が含まれる。
酸性化剤に適切な例には、伝統的に無機酸又は有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、カルボン酸、例えば酒石酸、クエン酸、乳酸、又はスルホン酸が含まれる。
【0018】
化粧品的に許容可能な媒体は、そのままで、又は乳化もしくはカプセル化した形態で存在していてもよい。
【0019】
上述の化粧品用組成物は、すすがれてもすすがれなくてもよく、様々なガレノス形態で存在してよい。
特に、化粧品用組成物は、ローション、スプレー(エアゾール又は非エアゾール)、フォーム、ゲル、クリーム、スティックとして、毛髪に適用される組成物であってもよい。この組成物は、シャンプー、アフターシャンプー、一時的又は永続的な毛髪着色組成物、又は例えば毛髪のパーマ化又は縮毛矯正又はストレート化用の毛髪を成形するための組成物であってもよい。
【0020】
例えば以下に記載するような、式(I)の脂肪酸ポリリジンを製造するための合成方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
よって、本発明は、
(i)次の式:
【化7】

の化合物と、
(ii):
a)上述した式(II)の化合物を得るために、次の式:
【化8】

[上式中、Rは、N、S又はOが挿入されていてもよく、一又は複数のヒドロキシル基(類)及び/又は一又は複数のフッ素原子(類)で置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC5からC30炭化水素鎖を表し、Rは、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC1からC8アルキル基を表す]
の化合物;
b)上述した式(III)の化合物を得るために、次の式:
【化9】

[上式中、R1は、a)で定義されたものである]
の化合物;
c)R2=Hである、上述した式(IV)の化合物を得るために、次の式:
【化10】

[上式中、R1は、a)で定義されたものである]
の化合物;
d)上述した式(IV)の化合物を得るために、次の式:
【化11】

[上式中、R1は、a)で定義されたものであり、R2はH、又は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC1からC8アルキル基を表す]
の化合物;
e)上述した式(V)の化合物を得るために、次の式:
【化12】

[上式中、R1は、a)で定義されたものである]
の化合物;
から選択される化合物を反応させることからなる、式(I)の脂肪鎖ポリリジンを製造するための合成方法に関する。
【0021】
N-ε-ポリ-リジンのグラフト化のための一般的手順:
N-ε-ポリリジンを、アルコール等のプロトン性溶媒に、20〜80℃で可溶化させた。THF等の有機溶媒における溶液中の活性種(a、b、c、d又はeにおいて上で定義した式の化合物)を反応媒体に滴下して加え、1〜48時間、室温にて攪拌下に保持し;ついで、溶液を濃縮乾固させるか、又は濃縮して、水で抽出し、式(I)の化合物を回収した。場合によっては、得られたパウダーを有機溶媒を用いて数回洗浄することができる。
本発明は、決して限定するものではない以下の例示的な実施例により、さらに容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0022】
実施例1:次の式:
【化13】

の少なくとも一のR基を有する式(I)の脂肪酸ポリリジンの合成
混合無水物の合成
0.74gのオレイン酸(tech.)と0.24gのトリエチルアミンを、5mlのTHFに希釈した。この溶液を、非常にゆっくりと滴下して、0.27gのクロロギ酸エチルと2mlのTHFの溶液に添加し、−10℃まで冷却した。添加は、温度が−10℃〜−5℃の範囲になるようにして行った。このようにして生成された塩酸トリエチルアミンは、即座に沈殿した。添加が完了した時点で、混合物を室温に戻した後、溶液を濾過した。混合無水物を含む濾液を、次の工程でそのまますぐに使用した。
【0023】
混合無水物のグラフト化
10gのN-ε-ポリ-L-リジン(チッソ)を、100mlの96%エタノールに、60℃で溶解させた。混合物を放置して室温まで戻した。混合無水物の調製が完了してすぐ、それを含む溶液をそこに滴下して加えた。添加が完了したところで、混合物を15分攪拌した。ついで、反応媒体を濃縮し、次に90mlの水に希釈した。遊離の残留酸を300mlの酢酸エチルで3回抽出した。ついで、水相を蒸発乾固させた。得られた化合物を2D NMR、GC、及び機能分析によって特徴付けした。それは予想した生成物と一致した。
得られた重量:7g。外観:黄色粉末。収率:65%。グラフト化率:N-ε-ポリ-L-リジン1モル当たり1モルのグラフト鎖。
ポリリジン脂肪鎖率は、[混合無水物]/「N-ε-ポリ-L-リジン」のモル比を変えることにより調節され得る。
ベヘン酸鎖を有するポリリジン類と、18-メチルエイコサン酸鎖を有するポリリジン類は、同じ手順に従い調節することができる。
【0024】
実施例2:次の式:
【化14】

の少なくとも一のR基を有する式(I)の脂肪酸ポリリジンの合成
10mlのCHClに0.6gのオレイルアミン酸(2.36mmol 1当量)が入った溶液を、5mlのCHClに0.47gのカルボニルジイミダゾール(2.88mmol 1.22当量)が入った溶液に滴下して加えた。カルボニルジイミダゾール除去を、SiO(溶離液:90/10のCHCl/MeOH)での薄層クロマトグラフィーによりモニターした。
この反応媒体を、100mlの95%EtOHに10gの無水N-ε-ポリ-L-リジン(チッソ)(2.13mmol 0.9当量)が入った溶液に滴下して加え;ついで、得られた媒体を室温で48時間攪拌した。
ついで、減圧下、ロータリーエバポレータにおいて、反応媒体を濃縮乾固させた。得られた淡黄色の粉末を100mlのCHClに懸濁させ、1時間30分還流し、ついで濾過した。操作を2回繰り返した。淡黄色の粉末(9.69g)として、最終生成物が収率90%で得られた。
グラフト化は、2D NMR(H-13C)により確認し、H NMRにより測定した(N-ε-ポリ-L-リジンの1モル当たり1モルのグラフト脂肪鎖)。
H NMR(400MHz、DO)δ(ppm):0.758(m)、1.07(m)、1.43(m)、1.53(m)、2.83(t)、3.11(m)、3.22(t)、3.44(m)、3.53(q)、7.01(s)、7.66(s)。
【0025】
化粧品用組成物の実施例
実施例3:
シャンプー耐性ブラッシング用組成物
実施例1の化合物 10g
水 全体を100gにする量
シャンプーで洗い流した後、タオルで乾かした湿った毛髪に、上記ローションをスプレーした。
ローションのスプレー後、毛髪を櫛でとかし、直接ブラッシングを実施した。
この手順を行うことにより毛髪がよりスタイリングし易くなった。毛髪のストレート化はより顕著であり、シャンプーに対して耐性があった。
【0026】
実施例4:
シャンプー耐性ブラッシング用組成物
実施例1の化合物 8g
エタノール 2g
ダウ・コーニング(Dow Corning)245フルイド 9g
ダウ・コーニング1501フルイド 9g
水 全体を100gにする量
シャンプーで洗い流した後、タオルで乾かした湿った毛髪に、上記ローションをスプレーした。
ローションのスプレー後、毛髪を櫛でとかし、直接ブラッシングを実施した。
この手順を行うことにより毛髪がよりスタイリングし易くなった。毛髪のストレート化はより顕著であり、シャンプーに対して耐性があった。
【0027】
実施例5〜10
シャンプー
以下のようなシャンプー組成物を調製した。
【表1】

[1]テキサポン(Texapon)N702(コグニス社(Cognis))
[2]デハイトン(Dehyton)AB30(コグニス社)
[3]テゴ(Tego)ベタインF50(ゴールドシュミット社(Goldschmidt))
[4]ユーカー(Ucar)ポリマーJR400LT(アメルコール社(Amerchol))
[5]実施例1の化合物
[6]ジャガー(Jaguar)C13S(ローディア社(Rhodia))
[7]ベルシル(Belsil)DM300000(ワッカー社(Wacker))
[8]ミラシル(Mirasil)DM500000(ローディア社)
[9]エンピラン(Empilan)CIS(ハンツマン社(Huntsman))
実施例5〜10の組成物の一つで毛髪をシャンプーした後、水ですすいだ。このようにして処理された毛髪は、優れた化粧品特性(柔軟性、ナチュラルな感触)を示した。
【0028】
実施例11から14
アフターシャンプー
以下のようなアフターシャンプーを調製した。
【表2】

[7]ベルシルDM300000(ワッカー社)
[10]ラネッテ(Lanette)O OR(コグニス社)
[11]ミラセチ(Miraceti)(レーザーソン社(Laserson))
[12]ゲナミン(Genamin)KDMP(クラリアント社(Clariant))
[13]ダウ・コーニング939エマルション(ダウ・コーニング社(Dow Corning))
毛髪をシャンプーし、水ですすいだ。ついで、実施例11〜14の組成物の一つを毛髪に塗布し、その後水ですすいだ。このようにして処理された毛髪は、優れた化粧品特性(柔軟性、ナチュラルな感触)を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品的に許容可能な媒体中に、次の式(I):
【化1】

[上式中:
(a)Rは、H、又は次の式(II)、(III)、(IV)又は(V):
【化2】

(上式中、Rは、N、S又はOが挿入されていてもよく、一又は複数のヒドロキシル基及び/又は一又は複数のフッ素原子で置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC5からC30の炭化水素鎖を表し、Rは、H、又は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC1からC8のアルキル基を表す)
のいずれかの部分を表し、
(b)nは2〜10000、好ましくは5〜1000である]
の少なくとも一の脂肪鎖ポリリジン、並びにその塩及び異性体で、但し、式(I)のポリリジンにおいて、少なくとも一のR基がH以外であるもの
を含有してなることを特徴とする、ケラチン物質を保護し及び/又は修復するための化粧品用組成物。
【請求項2】
R部分が、式(II)又は(IV)の部分から選択される請求項1に記載の化粧品用組成物。
【請求項3】
が直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC5からC24の炭化水素鎖を表し、Rが水素原子を表す請求項1又は2に記載の化粧品用組成物。
【請求項4】
R基が、次の式(VI)、(VII)、(VIII)又は(IX):
【化3】


のいずれかの部分を表す請求項1から3のいずれか一項に記載の化粧品用組成物。
【請求項5】
組成物の全重量に対して0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜20重量%の式(I)の脂肪鎖ポリリジンを含有する請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧品用組成物。
【請求項6】
化粧品的に許容可能な媒体が、
− 水、及び/又は
− 脂肪族又は芳香族アルコール類、好ましくはエタノール、ベンジルアルコール、脂肪アルコール類、変性又は未変性ポリオール類、例えばグリセロール、グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ブチルジグリコール、及び/又は
− 揮発性又は非揮発性シリコーン類、及び/又は
− 鉱物性、有機又は植物性油、及び/又は
− オキシエチレン化又は非オキシエチレン化ロウ、パラフィン、アルカン類、好ましくはCからC10のアルカン類、及び/又は
− 脂肪酸、脂肪アミン類、脂肪エステル、特に脂肪アルコールベンゾアート又はサリチラート、及び/又は
− アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、
− 及びそれらの混合物、
を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の化粧品用組成物。
【請求項7】
化粧品的に許容可能な媒体が、そのままで、又は乳化もしくはカプセル化形態で存在している請求項1から6のいずれか一項に記載の化粧品用組成物。
【請求項8】
一又は複数の揮発性又は非揮発性シリコーンを含有する請求項1から7のいずれか一項に記載の化粧品用組成物。
【請求項9】
UV吸収遮蔽剤、抗フリーラジカル剤、酸化防止剤、ビタミン類、プロビタミン類、並びにそれらの混合物からなる群から選択される毛髪繊維保護剤を含有する請求項1から8のいずれか一項に記載の化粧品用組成物。
【請求項10】
組成物が毛髪に適用されるものであり、ローション、スプレー(エアゾール又は非エアゾール)、フォーム、ゲル、クリーム、スティック、シャンプー、アフターシャンプー、一時的又は永続的な毛髪着色組成物、又は毛髪のパーマ化又は縮毛矯正又はストレート化用の毛髪再成形組成物である請求項1から9のいずれか一項に記載の化粧品用組成物。
【請求項11】
次の一般式(X):
【化4】

[上式中:
(a)Rは、H、又は次の式(IV)又は(V):
【化5】

(上式中、Rは、N、S又はOが挿入されていてもよく、一又は複数のヒドロキシル基及び/又は一又は複数のフッ素原子で置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC5からC30の炭化水素鎖を表し、Rは、H、又は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC1からC8のアルキル基を表す)
のいずれかの部分を表し、
(b)nは2〜10000、好ましくは5〜1000である]
を有する化合物、並びにその塩及び異性体で、但し、式(X)のポリリジンにおいて、少なくとも一のR基はH以外である化合物。
【請求項12】
R基が、H又は上述の式(IV)又は(V)のいずれかの部分を表し、ここで、R1が直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC5からC24炭化水素鎖を表し、R2が水素原子を表し、少なくとも一のR基がH以外であると理解される請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
R基が、R2が水素原子を表し、R1がCH3-(CH2)-CH=CH-(CH2)-鎖を表す式(IV)の基を表す請求項11又は12に記載の化合物。
【請求項14】
(i)次の式:
【化6】

の化合物と、
(ii):
a)次の式:
【化7】

[上式中、Rは、N、S又はOが挿入されていてもよく、一又は複数のヒドロキシル基及び/又は一又は複数のフッ素原子で置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC5からC30炭化水素鎖を表し、Rは、H、又は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC1からC8アルキル基を表す]
の化合物;
b)次の式:
【化8】

[上式中、R1は、a)で定義されたものである]
の化合物;
c)次の式:
【化9】

[上式中、R1は、a)で定義されたものである]
の化合物;
d)次の式:
【化10】

[上式中、R1は、a)で定義されたものであり、R2はH、又は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC1からC8アルキル基を表す]
の化合物;
e)次の式:
【化11】

[上式中、R1は、a)で定義されたものである]
の化合物;
から選択される化合物を反応させることからなることを特徴とする、式(I)の脂肪鎖ポリリジンの製造のための合成方法。
【請求項15】
ケラチン物質を処理するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化粧品用組成物の使用。
【請求項16】
ケラチン物質の表面状態を改善するための、請求項15に記載の使用。

【公表番号】特表2009−503043(P2009−503043A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524559(P2008−524559)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050780
【国際公開番号】WO2007/017610
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】