説明

ケーブルの固定構造、ケーブルの固定構造の製法及び光モジュール

【課題】ケーブルの接着作業工程が煩雑であり、また、硬化時間がかかるという課題がある。
【解決手段】の課題を解決するために、本発明のケーブルの固定構造は、樹脂の被覆を有するケーブルと、ケーブルの外周部に樹脂をアウトサート成形することにより設けられ、アウトサート成形の際に、被覆と溶着するグリップと、ケーブルの軸方向と直交する方向からグリップが嵌合される凹部と、ケーブルが通る溝部を有するレセプタクルと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを別部品に固定する構造に関し、特に光ファイバケーブルを別部品に固定する構造、その製法及びその固定構造を有する光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルを光モジュール等の別部品に固定する方法として、(1)光ファイバケーブルの被覆をそのまま別部品に固定する方法がある。しかし、接着作業工程が煩雑であり、また、硬化時間がかかるという問題がある。また、(2)光ファイバケーブル外周にフェルールを固定し、フェルールを用いて固定する方法がある。しかし、フェルールを光ファイバケーブルに接続する際に(1)と同様の問題がある。また、フェルールを光ファイバケーブルにカシメて固定する場合には、光ファイバに圧力がかかり、光損失が発生する可能性がある。(3)光ファイバケーブルの被覆部を加工し、その形状を用いて固定する方法がある。しかし、被覆厚が加工可能な厚さの光ファイバケーブルしか選択できないという問題がある。(4)光ファイバケーブル外周に留め部を設け、別部品と係合することにより光ファイバケーブルを固定する特許文献1が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−114357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は(4)の場合には、光ファイバケーブル外周の留め部は、別部品に対し遊嵌されることを特徴とする。そのため、光ファイバケーブルと光部品の光軸を一致させるために接着剤での固定を必要とする。よって、(1)と同様、接着作業工程が煩雑であり、また、硬化時間がかかるという課題がある。
【0005】
また、ケーブルの固定構造の製法において、ケーブル外周にグリップ部分を設けることが考えられるが、その場合、ケーブルとグリップ部分の固着強度が低く、引張強度が低くなるという課題がある。また、固着強度を高めようとすると、グリップ部分の寸法が大きくなるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のケーブルの固定構造は、樹脂の被覆を有するケーブルと、ケーブルの外周部に樹脂をアウトサート成形することにより設けられ、アウトサート成形の際に、被覆と溶着するグリップと、ケーブルの軸方向と直交する方向からグリップが嵌合される凹部と、ケーブルが通る溝部を有するレセプタクルと、を有する。特に、ケーブルが光ファイバケーブルである場合には、本発明のケーブルの固定構造の製法において、アウトサート成形する際の成形温度と時間は、被覆内の光ファイバの光損失が増加しない温度と時間である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ケーブルの外周部に樹脂を成形することにより設けられるグリップとレセプタクルが嵌合することにより、接着剤を用いずにケーブルをレセプタクルに対して位置決め、保持、固定等することができるという効果を奏する。また、被覆厚が薄くともケーブルを加工することができるという効果を奏する。
【0008】
また、本発明のケーブルの固定構造の製法は、小型グリップが成形可能であり、かつ、十分な固着強度及び引張強度を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ケーブル110及びグリップ130の構成例を示す図。
【図2】アウトサート成形のケーブル及び金型配置図。
【図3】図2のA−A’断面図。
【図4】(A)は、グリップ130がレセプタクル150に嵌合する方向を、(B)は、グリップ130がレセプタクル150に嵌合している状態を示す斜視図。
【図5】ケーブル110の引張方向を示す図。
【図6】導入部157を有するレセプタクル150に、グリップ130が勘合している状態の例を示す図。
【図7】は、図6のA−A’断面図。
【図8】図8(A)は、ケーブル110及びグリップ130Aの構成例を示す図、(B)は、(A)の背面図。
【図9】グリップ130Aがレセプタクル150に嵌合している状態を示す斜視図。
【図10】グリップ130Aがレセプタクル150に嵌合している状態を示す平面図。
【図11】(A)は、ケーブル110及びグリップ130Bの構成例を示す図、(B)は、(A)の背面図。
【図12】レセプタクル150Aの平面図。
【図13】レセプタクル150Aにグリップ130Bが嵌合し、カバーによって抑えている状態のケーブル軸方向の断面図。
【図14】(A)は、グリップ130がレセプタクル150Bに嵌合する方向を、(B)は、グリップ130がレセプタクル150Bに嵌合している状態を示す斜視図。
【図15】グリップ130がレセプタクル150Bに嵌合している状態を示す平面図。
【図16】(A)は溝部152が略U字状の場合の図15のA−A’断面図、(B)は溝部152が略V字状の場合の図15のA−A’断面図。(C)は溝部152が略U字状であって、貫通する孔159を有する場合の図15のA−A’断面図。
【図17】(A)は、グリップ130がレセプタクル150Cに嵌合する方向を、(B)は、グリップ130がレセプタクル150Cに嵌合している状態を示す斜視図。
【図18】グリップ130がレセプタクル150Cに嵌合している状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
実施例1に係るケーブルの固定方法を説明する。
<ケーブルの固定構造100>
本発明のケーブルの固定構造100は、ケーブル110と、グリップ130と、レセプタクル150を有する。
【0012】
<ケーブル110>
図1は、ケーブル110及びグリップ130の構成例を示す図である。ケーブル110は、樹脂の被覆113を有する。例えば、ケーブル110は、光ファイバケーブルである。ケーブル110は、光ファイバ111及びその被覆113を有する。なお、本発明において、被覆がないコアとクラッドのみの状態を単に「光ファイバ」と呼び、光ファイバの表面をシリコーン樹脂で被覆したものを「光ファイバ素線」、光ファイバ素線をナイロン繊維で被覆したものを「光ファイバ芯線」、光ファイバ芯線を高抗張力繊維と外皮で被覆したものを「光ファイバコード」と呼び、光ファイバ素線、光ファイバ芯線、光ファイバコード及び複数の光ファイバ芯線に保護用のシースと呼ばれる被覆をしたものを、まとめて「光ファイバケーブル」と呼ぶものとする。
【0013】
例えば、光ファイバ111はプラスチック光ファイバ(以下「POF」という)であり、例えば、そのコアはポリメタクル酸メチル樹脂(以下、「PMMA」という)、クラッドはフッ素系樹脂である。また、例えば、被覆113の材料は、ナイロン12であり、厚み約0.1mmである。
【0014】
なお、本実施例は発明の内容を限定するものではない。ケーブル110は、光ファイバケーブルでなくともよく、他のケーブルでもよい。例えば、ツイストペアケーブル、同軸ケーブル、電力ケーブル等でもよい。光ファイバ111はプラスチック光ファイバでなくともよく、他の光ファイバ(石英系光ファイバ、ガラス系光ファイバ等)でもよい。
【0015】
<グリップ130>
グリップ130は、ケーブル110の外周部に樹脂をアウトサート成形することにより設けられる。アウトサート成形の際に、グリップ130と被覆111は、溶着する。
グリップ130は、ケーブル110の先端側にケーブル110と直交する平面131を設けてもよい。このような形状とすることで、平面131を基準面として、基準面からの距離を一定にして、ケーブル110の切断や研磨を容易に行うことができる。
【0016】
例えば、グリップ130の形状は、扁平状の直方体とする。このとき、例えば、ケーブル110の軸方向に直交する面の中心を、ケーブル110の軸心が通る。なお、この直交する面の距離をcとし、ケーブル110の軸方向と並行する2組の平面(全4面)の距離は、扁平上の厚さ方向の距離をa、他方向の距離をbとし、ケーブル110の径をdとすると、d<aの関係にある。扁平上の厚さ方向の距離aが、ケーブル110の径より大きいことで、グリップ130の樹脂がケーブル110の外周を覆う。距離bが大きくなりすぎると、グリップ自体に破損の恐れが生ずる。また、距離cが大きくなりすぎると、ケーブル110の柔軟性が損なわれる。本実施例においては、グリップ130をアウトサート成形により成形するため、グリップ130の小型化が可能である。
【0017】
<グリップのアウトサート成形方法>
光ファイバケーブルにアウトサート成形する際の成形温度と時間は、被覆内の光ファイバの光損失が増加しない温度と時間である。なお、アウトサート成形する際の成形温度が、高すぎたり、成形時間が長すぎる場合には、光ファイバが熱変形し、光損失が増加する。アウトサート成形は以下のように行う。金型にケーブルを配置する。金型内に樹脂を流し込む。樹脂の形状が安定したら、グリップ付ケーブルを取り出す。冷却する。例えば、光ファイバ110がPOFであり、そのコアがPMMA、クラッドがフッ素系樹脂、被覆113及びグリップ130の樹脂がナイロン12、被覆が厚さ約0.1mmの場合には、成形温度の範囲は250度〜270度であり、最適温度は260度である。なお、PMMAの熱成形温度が260度前後であり、耐熱温度は低い。そのため、一般的には、高温となるアウトサート成形は用いないが、本実施例では、ケーブル110表面の被覆113上で行われる成形の際の熱が、ケーブル110内部の光ファイバ111に伝わり熱変形を生じる前に、アウトサート成形を完了する。このとき、アウトサート成形の時間は、適宜設定すればよい。また、種類の異なる光ファイバ等を用いる場合には、光ファイバ、被覆、グリップの材料、熱伝導率、被覆の厚さやグリップの形状、大きさ等からアウトサート成形時間を適宜設定すればよい。なお、他のケーブルでも、内部の媒体の伝送特性に影響を与えない範囲になるよう成形の温度と時間を決めれば、同様の効果が得られる。
【0018】
また、このように被覆113とアウトサート成形するグリップ130の材料に同系の樹脂を用いて成形することにより、グリップ130と被覆113は溶着し十分な固着強度を得られる。なお、被覆113及びグリップ130の材料は他の樹脂でもよい。被覆113及びグリップ130の他の樹脂としては、例えば、ホットメルト接着剤として使用されている樹脂等がある。アウトサート成形の成形温度と時間は、材料により適宜設定する。
【0019】
また、被覆113とアウトサート成形するグリップ130の材料は必ずしも同系である必要はない。但し、材料が異なる場合、インサート成形条件等により熱による溶着が十分に得られず、固着強度が不足することがある。このような場合には、予めケーブル110の被覆113の表面にブラスト処理、または、プライマー処理をしておくことで、被覆113とグリップ130の固着強度を増加させることができる。ブラスト処理により、ケーブル表面をザラつかせ、溶着が十分に得られなかった場合にも、グリップを引っ掛からせ固着強度をあげることができる。また、プライマー処理等の表面処理を行うことにより、異種材料間の固着強度をあげることができる。
【0020】
グリップ130の形状をケーブル110に対して左右対称とする場合には、アウトサート成形時の樹脂射出口20A、20Bをケーブル110の両側面に配置し、グリップ130を形成するための樹脂を樹脂射出口20A、20Bを通り、図1の矢印10方向へ均等に流れ込む金型構造とする。図2は、アウトサート成形のケーブル製品図を、図3は、図2のA−A’断面図を示す。本実施例では、ケーブル110がグリップ断面の中心に位置するように製品設計を行っており、アウトサート成形時に、樹脂がほぼ同時に同じ成形圧力でケーブル110の左右から接して流れ込み、製品性能を阻害することなくグリップを形成するように金型構造を設計している。即ち、このようなアウトサート成形を行うことにより、ケーブル110及び光ファイバ111に加わる射出成形時の圧力は左右均等に加わるため、ケーブル110及び光ファイバ111に負荷をかけることなく、左右対称な形状を容易に作製することができる。なお、射出成形圧が左右均等でない場合には、グリップ130内でケーブル110及び光ファイバ111が「くの字」となる場合があり、光伝送能力を著しく阻害することになる。
【0021】
アウトサート成形により成形したグリップ130の形状及び寸法は、金型加工精度に依存するため、高精度の金型を使用することで、その寸法精度でのケーブル110の位置決め、固定等を容易に行うことができる。また、アウトサート成形時にケーブル110の被覆113の周囲に樹脂が流れる隙間があればよいため、ケーブル径+0.2mm〜3mm、ケーブル長手方向1mm〜3mm程度の小型グリップが成形可能であり、かつ、十分な固着強度及び引張強度を得ることができる。他の方法(例えば、特許文献1)により、グリップ130に代わる何らかの形状(以下、「グリップ形状」という)をケーブル外周に作成したとしても、同等の固着強度及び引張強度を得るためには、グリップ形状の寸法が大きくなる。また、アウトサート成形以外の方法により、グリップ形状を成形した場合、グリップ形状を成形したのち、ファイバへ接着する必要があり、従来技術同様、接着作業工程が煩雑であり、また、硬化時間がかかるという問題が残る。
【0022】
<レセプタクル150>
図4(A)は、グリップ130がレセプタクル150に嵌合する方向を、図4(B)は、グリップ130がレセプタクル150に嵌合している状態を示す斜視図、図5は、ケーブル110の引張方向を示す図である。レセプタクル150は、ケーブル110の軸方向と直交する方向からグリップ130が嵌合される凹部151と、ケーブルが通る溝部152を有する。凹部151にグリップ130を嵌合することで、レセプタクル150に対し、ケーブル110の位置決めを行うことができる。また、ケーブル110の軸方向、かつ、レセプタクル150から離れる方向にケーブル110を引っ張った場合に、レセプタクル150からのケーブル110の抜け止めとすることができる。例えば、被覆113とグリップ130に同系の材料を用いた場合には、その引張強度は、被覆113の破断強度と同等となる。溝部152の深さはケーブル110の径よりも深く、溝部152はケーブル110を遊嵌する。例えば、レセプタクル150は、樹脂製であり、射出成型により生成される。
【0023】
また、グリップ130を圧入により嵌合することで、ケーブル110及びグリップ130を確実に固定できる。また、光ファイバ111の先端面の位置決めをすることもでき、3次元の光学的アライメントも同時に行うことができる。
【0024】
例えば、グリップ130の形状を直方体とし、レセプタクルの凹部151も直方体とする。但し、グリップ130と凹部151が嵌合する形状であれば、他の形状であってもよい。例えば、円筒状、三角柱状また、グリップ130に基準面133を要しない場合には、球状等であってもよい。また、例えば、圧入により嵌合する場合には、グリップ130の面取りを行ってもよい。
【0025】
なお、レセプタクル150は、凹部151の開口部周辺に傾斜状の誘導部157を有していてもよい。図6は、導入部157を有するレセプタクル150に、グリップ130が勘合している状態の例を、図7は、図6のA−A’断面図である。このような形状とすることにより、グリップ130がレセプタクル150に挿入しやすくなる。特に、圧入により勘合する場合に有効である。
【0026】
[変形例1]
実施例1と異なる部分のみ説明する。
<グリップ130A>
図8(A)は、ケーブル110及びグリップ130の構成例を示す図、(B)は、(A)の背面図、図9は、グリップ130Aがレセプタクル150に嵌合している状態を示す斜視図、図10は、グリップ130Aがレセプタクル150に嵌合している状態を示す平面図である。
【0027】
グリップ130Aは、側面において、凹部嵌合方向に伸びるリブ135を備える。例えば、グリップ130Aの形状を直方体とし、リブ135をケーブル110と直交する面に備えた場合について考える。グリップ110の軸方向の長さを、リブを含まない場合をeとし、リブを含む場合をfとし、凹部151の対応する辺の長さ(ケーブル軸方向の長さ)をgとすると、e<g<fとなるように設計する。このようにリブ135を設けることで、リブのないグリップの軸方向の長さが凹部151の対応する辺よりも大きい場合に比べ、圧入により嵌合することが容易となる。また、例えば、ケーブル110の先端側とは反対の面132Aにリブ135を設ける。このような構成とすることで、ケーブル110の先端側の面131Aが、レセプタクル150に圧接され、ケーブル軸方向に比較的強く固定される。但し、ケーブル110の先端側の面131Aにリブ135を設け、反対の面132Aをレセプタクル150に圧接しても同様の効果を得ることができる。また、ケーブル110と平行する面にリブ135を設け、レセプタクル150と圧接し、ケーブル軸方向と直交する方向に比較的強く固定する構成としてもよい。また、本変形例は、グリップ130Aの形状を限定するものではなく、リブ135は、グリップ130Aの側面において、凹部嵌合方向に伸び、圧入を容易にするものであればよい。
【0028】
[変形例2]
変形例1と異なる部分のみ説明する。
<グリップ130B及びレセプタクル150A>
図11(A)は、ケーブル110及びグリップ130Bの構成例を示す図、(B)は、(A)の背面図、図12は、レセプタクル150Aの平面図である。
グリップBは、レセプタクル150Aに対抗する面に凸部137Aを、反対面に凸部137Bを有する。
【0029】
レセプタクル150Aは、凹部151内の凸部137Aまたは137Bに対応する位置に、凹部151を有する面とは反対面に貫通する貫通孔158を有する。このような構成とすることによって、貫通孔158に凸部137Aまたは137Bが引っかかり、ケーブル軸方向及び嵌合方向に直交する方向、及び、ケーブル軸方向にグリップ130Bがぶれないようにすることができる。なお、凸部を137A、137Bの2つ設けることによって、上下を限定せずにグリップを挿入することができ、かつ貫通孔158により凸部137Aまたは137Bの何れかはつぶれず、凹部底面153と138Aまたは138Bが押しつけられ凹部底面153よりケーブル110の中心を一定にすることができる。また、ケーブルの固定構造にカバー10等を設ける場合には、カバー10によって、凸部137Aまたは137Bが潰れ気味に抑えられ、グリップが嵌合方向にぶれないようにすることができる。図13は、レセプタクル150Aにグリップ130Bが嵌合し、カバーによって抑えている状態のケーブル軸方向の断面図である。但し、凸部は、どちらか一面に設ける構成としても、ケーブル軸方向及び嵌合方向に直交する方向、及び、ケーブル軸方向にグリップ13Bがぶれないようにすることができる。
【実施例2】
【0030】
<光モジュール290>
光モジュール290は、ケーブルの固定構造200と光素子163を有する。なお、本発明においては、ケーブルの固定構造と光素子を有するものを光モジュールという。本実施例では、ケーブルの固定構造200は、ケーブル110と、グリップ130と、レセプタクル150Bを有し、レセプタクル150Bが光素子163を備える。
【0031】
実施例1と異なる部分のみ説明する。図14(A)は、グリップ130がレセプタクル150Bに嵌合する方向を、図14(B)は、グリップ130がレセプタクル150Bに嵌合している状態を示す斜視図、図15は、グリップ130がレセプタクル150Bに嵌合している状態を示す平面図である。
【0032】
<レセプタクル150B>
レセプタクル150Bは、ケーブル110の軸方向と直交する方向からグリップ130が嵌合される凹部151と、ケーブルが通る溝部152を有する。また、レセプタクル150Bは、光素子163を有する。例えば、レセプタクル150Bは、樹脂製であり、インサート成型によって生成される。例えば、金型に光素子163を配置する。金型内に樹脂を流し込む。樹脂の形状が安定したら、光素子付レセプタクルを取り出す。冷却する。これにより、光素子163は、レセプタクル150Bに対し固定される。グリップ130を嵌合することで、光ファイバ111と光素子163の光軸が一致する。また、圧入により嵌合することで、光ファイバ111の先端面の位置決め、固定することができ、3次元の光学的アライメント行うことができる。
【0033】
なお、レセプタクル150Bの溝部152は、ケーブルがケーブル軸方向、及び、凹部嵌合方向に直交する方向にぶれないように保持する形状であってもよい。例えば、溝部152は、略U字状、または、略V字状であってもよい。図16(A)は溝部152が略U字状の場合の図15のA−A’断面図を、(B)は溝部152が略V字状の場合の図15のA−A’断面図を示す。このような構成とすることにより、ケーブル110が、ケーブルの軸方向及び凹部嵌合方向に直交する方向(つまり、図16の矢印方向)にぶれないようにすることができ、光軸の位置決めをより確実に行うことができる。なお、溝部152は、グリップ130から突出したケーブル110の先端部に対応する溝部152だけを上記形状にしてもよいし、溝部152全てを上記形状にしてもよい。また、溝部152は、凹部を有する面とは、反対面に貫通する孔159を有してもよい。図16(C)は溝部152が略U字状であって、貫通する孔159を有する場合の図15のA−A’断面図を示す。なお、実施例1及びその変形例の場合にも同様に溝部の形状を変えても同様の効果が得られる。
【0034】
[変形例1]
<光モジュール390>
光モジュール390は、ケーブルの固定構造300と光素子163Aを有する。本変形例では、ケーブルの固定構造300は、ケーブル110と、グリップ130と、レセプタクル150Cを有する。実施例2と異なる部分のみ説明する。図17(A)は、グリップ130がレセプタクル150Cに嵌合する方向を、図17(B)は、グリップ130がレセプタクル150Cに嵌合している状態を示す斜視図、図18は、グリップ130がレセプタクル150Cに嵌合している状態を示す平面図である。
【0035】
<光素子163A>
光素子163Aは、例えば、嵌合部165や端子部167を備える。例えば、嵌合部165は、樹脂製であり、インサート成型等により成型される。光素子163Aは、後述するレセプタクル150Cから着脱可能である。
【0036】
<レセプタクル150C>
レセプタクル150Cは、ケーブル110の軸方向と直交する方向からグリップ130が嵌合される凹部151と、ケーブル130が通る溝部152を有する。さらに、レセプタクル150Cは、光素子163Aが嵌合する第二凹部155を有する。グリップ150及び光素子163Aは、それぞれ凹部151及び第二凹部155に嵌合し、レセプタクル150Cに対し固定され、光ファイバ111と光素子163Aの光軸が一致する。例えば、第二の凹部155は、凹部151と同一面に形成され、グリップ150が凹部151に挿入される方向と、同じ方向から光素子163Aを挿入される。
また、グリップ150及び光素子163Aの圧入により嵌合することで、変形例1と同様の効果を得ることができる。また、このような構成とすることで、光素子163Aのみの交換も可能となる。
【0037】
なお、光素子163Aの嵌合部165は、グリップ130と同様にリブ135や凸部137A、凸部137B等に対応する形状を有してもよい。また、レセプタクル150Cの第二凹部155は、誘導部157等に対応する形状を有してもよい。
【符号の説明】
【0038】
100 ケーブルの固定構造
110 ケーブル
130、130A、130B グリップ
150、150A、150B、150C レセプタクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂の被覆を有するケーブルと、
前記ケーブルの外周部に樹脂をアウトサート成形することにより設けられ、アウトサート成形の際に、前記被覆と溶着するグリップと、
前記ケーブルの軸方向と直交する方向から前記グリップが嵌合される凹部と、前記ケーブルが通る溝部を有するレセプタクルと、
を有するケーブルの固定構造。
【請求項2】
請求項1記載のケーブルの固定構造であって、
前記被覆及びグリップは、同系の樹脂である、
ことを特徴とするケーブルの固定構造。
【請求項3】
請求項1または2記載のケーブルの固定構造であって、
前記グリップは、側面において、凹部嵌合方向に伸びるリブを備え、圧入により嵌合する、
ことを特徴とするケーブルの固定構造。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のケーブルの固定構造であって、
前記溝部は、前記ケーブルがケーブル軸方向、及び、凹部嵌合方向に直交する方向にぶれないように保持する形状である、
ことを特徴とするケーブルの固定構造。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載のケーブルの固定構造であって、
前記レセプタクルは、凹部151の開口部周辺に傾斜状の誘導部を有する、
ことを特徴とするケーブルの固定構造。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載のケーブルの固定構造であって、
前記ケーブルは、光ファイバケーブルであり、
前記光ファイバケーブルの光ファイバはプラスチック光ファイバであり、そのコアはポリメタクル酸メチル樹脂であり、
前記光ファイバケーブルの被覆及びグリップの樹脂はナイロン12である、
ことを特徴とするケーブルの固定構造。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載のケーブルの固定構造と、光素子を有し、
前記ケーブルは、光ファイバケーブルであり、
前記レセプタクルには、前記光素子が固定され、前記グリップが圧入により嵌合すると、光ファイバと光素子の光軸が一致する、
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項8】
請求項7記載の光モジュールであって、
前記光素子は、前記レセプタクルから着脱可能であり、
前記レセプタクルは、前記光素子が嵌合される第二の凹部を有する、
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項9】
請求項1から6の何れかのケーブルの固定構造の製法であって、
前記ケーブルは、光ファイバケーブルであり、
前記アウトサート成形する際の成形温度と時間は、被覆内の光ファイバの光損失が増加しない温度と時間である、
ことを特徴とするケーブルの固定構造の製法。
【請求項10】
請求項6記載のケーブルの固定構造の製法であって、
前記成形温度は、温度範囲が250度〜270度であり、最適温度は260度であり、成形時間は、被覆内の光ファイバの光損失が増加しない時間である、
ことを特徴とするケーブルの固定構造の製法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−190917(P2010−190917A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32014(P2009−32014)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】