説明

ケーブル保持構造及びケーブル保持方法

【課題】太さや電線の本数が異なるケーブル及びコネクタを保持することができるケーブル保持構造及びケーブル保持方法を提供する。
【解決手段】筐体3内面に立設された複数個のリブ51(52)を有し、ケーブル41、43を保持し、リブ51(52)は、筐体3内面に形成された閉じた図形上に、隣り合うリブ51(52)と所定幅の間隙(50)をあけて配列されているケーブル保持構造5。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビジョン受像機等の内部に配置された基板及び電子部品に接続されたケーブルを安全に保持するためのケーブル保持構造及びケーブル保持方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の一例であるテレビジョン受像機の内部には、複数の基板、スピーカ、センサ及びLED等の部品が配置されている。複数の基板同士や基板とスピーカ、センサ及びLED等の部品とは、離れた位置に取り付けられ、ケーブルで接続されている場合が多い。
【0003】
前記ケーブルには、振動、衝撃等の大きな力が作用することで引張られ、破損、断線してしまう場合がある。また、前記ケーブルが接続されている前記基板、前記部品等が強い力で前記ケーブルに引張られ、破損してしまう場合もある。
【0004】
そこで、前記ケーブルは弛んだ状態(ケーブルの長さに余裕を持たせた状態)でテレビジョン受像機内に配置されている。前記ケーブルが弛んだ状態で配置されているので、前記ケーブルが引張られたとき、前記ケーブルが弛んだ状態から張った状態となることで力を分散し、ケーブル自体及び(又は)ケーブルが接続されている前記基板及び(又は)前記部品に作用する力を低減している。
【0005】
前記テレビジョン受像機の内部には金属板(いわゆる板金)をプレス加工にて切り曲げて形成した部材が複数備えられていることが多く、前記金属板の切断面は尖った断面(シャープエッジ)となっている場合がある。前記ケーブルは長さに余裕があるので、前記テレビジョン受像機を搬送したり、移動させたりするときに、前記ケーブルが前記テレビジョン受像機の内部で移動する場合が多い。前記ケーブルは、シャープエッジにこすり付けられるように移動する場合もある。
【0006】
前記ケーブルが前記シャープエッジにこすり付けられると、前記ケーブルが破損し、ショート、漏電等の電気的な不具合が発生したり、前記ケーブルが切断されたりする場合がある。また、前記テレビジョン受像機の内部には、高温に達する電子部品が搭載されている場合もあり、その高温の電子部品に前記ケーブルが接触すると、前記ケーブルの外部を被覆している絶縁被覆がはがれ、ショート、漏電の原因になる場合もある。前記ケーブルがショート、漏電及び断線すると、前記テレビジョン受像機の動作に支障が出る。
【0007】
そこで、特開2005−130097号公報や、実用新案登録第3107003号公報に記載されているように、テレビジョン受像機のキャビネット内部にはケーブルを係止しておくための係止部を備えている。前記キャビネット内部に備えられている係止部に前記ケーブルを係合させ、前記ケーブルの移動を抑制することで、前記ケーブルが移動することによる、断線、漏電、ショート等の不具合が発生するのを抑制している。
【0008】
また、前記テレビジョン受像機は、前後キャビネットをそれぞれ別々に製造され、製造場所とは別の場所(最終組立工場)に運搬される。そして、別途運搬されてきた画像表示装置(LCD、PDP等)とともに、組み立てられテレビジョン受像機が完成する。前記前後キャビネットにはそれぞれ、異なる基板、部品等が取り付けられている。
【0009】
前記前後キャビネットを搬送するとき、前記基板及び(又は)前記部品に取り付けられたケーブルは先端部分は自由に移動することが可能となっている。前記前キャビネット及び(又は)前記後キャビネットを運搬するときに、前記ケーブル及び(又は)前記ケーブルの先端に取り付けられたコネクタが暴れ、前記前後キャビネットの外面の化粧面に傷をつけてしまったり、基板、部品等を破損してしまったりする場合がある。
【0010】
そこで、半組状態の前後キャビネットの運搬を行うときは、特開2005−130097号公報や、実用新案登録第3107003号公報に記載されているような、係止部を設けておき、前記ケーブルを前記係止部に係止した状態で運搬する方法や、粘着テープを用いて、前記ケーブル及び(又は)前記コネクタを前記前後キャビネットに固定して運搬する方法がとられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−130097号公報
【特許文献2】実用新案登録第3107003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記テレビジョン受像機では、共通のキャビネットを用いていても、取り付けられる基板や電子部品が異なる場合があり、前記基板や前記電子部品にあわせて前記ケーブルの電線の本数や太さが異なる場合がある。異なる種類(太さ、本数)のケーブルが用いられると、特開2005−130097号公報や、実用新案登録第3107003号公報に記載されている係止部では係止できないケーブルが存在する場合があり、搬送時、組立て時両方或いはいずれかの場合で、ケーブルの保持ができなくなる場合がある。
【0013】
また、特開2005−130097号公報や、実用新案登録第3107003号公報に記載されている係止部は、テレビジョン受像機内部であまったケーブルを押えておくためのものである。前記係止部が形成されているキャビネットに取り付けられた基板及び(又は)部品に接続されたケーブルとは、異なるケーブルが係止される場合もある。このとき、キャビネットに取り付けられた基板や部品に取り付けられているケーブルと係止部で係止されるケーブルとが異なる種類であると、係止部ではキャビネットに取り付けられた基板や部品に取り付けられているケーブルを係止することができず、係止部での係止をあきらめるか、別途、搬送時に用いる係止部を備えなくてはならず、手間と時間がかかる。
【0014】
粘着テープで貼り付けるものの場合、前記粘着テープの貼り付け方法によって、調整することが可能であり、ケーブルやコネクタ自体が破損したり、ケーブルやコネクタが接触することで他の部品が破損したりするのを抑制することが可能である。しかしながら、粘着テープで貼り付けると、粘着部が部材に残ってしまうことがあり、汚れ等の原因になる。
【0015】
上記の課題をかんがみて本発明は、太さや電線の本数が異なるケーブル及びコネクタを保持することができるケーブル保持構造及びケーブル保持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、電子機器の筐体内面に立設された複数個のリブを有し、前記筐体内部に配線されたケーブルを保持するケーブル保持構造であって、前記複数個のリブは、筐体内面に形成された閉じた図形上に、隣り合うリブと所定幅の間隙をあけて配列されている。
【0017】
この構成によると、前記複数個のリブが所定の間隙をあけて閉じた図形上に配置されるので、ケーブルの延伸方向の異なる複数のケーブルを、ケーブルにストレスをかけることなく保持することが可能である。また、閉じた図形上に前記複数個のリブが配置されるので、前記複数個のリブで囲まれた空間が形成され、その空間にケーブルを押し込んで保持させることも可能であり、ケーブルの保持、取り外しを容易に行うことができる。
【0018】
このことよりケーブル及びケーブルの先端に取り付けられたコネクタが移動(暴れて)ケーブル及び(又は)コネクタ自体が破損したり、筐体の化粧面が傷ついたり、基板、部品等を破損してしまったりする不具合を抑制することができる。
【0019】
さらに、延伸方向にかかわらずケーブルを保持することができるので、筐体の移動時に保持するケーブルと、電子機器の最終組立て時に保持するケーブルとが異なる場合でも、1つのケーブル保持構造を共有することができる。また、複数個のリブを備え隣り合うリブ同士の間隙も複数個備えられていることより、同時に複数種類のケーブルを共通のケーブル保持構造で保持することも可能である。前記ケーブル保持構造を用いることで、無駄を少なくすることができ、製造にかかる時間、手間及びコストを低減することができる。
【0020】
上記構成において、前記閉じた図形は少なくとも1箇所の直線部分を備えており、前記複数個のリブのうち少なくとも前記直線部分に配置されるリブは、前記閉じた図形の外側の壁面と交差し、前記筐体の内面より突出した補強リブを備えていてもよい。
【0021】
直線状のリブは、その構造上倒れやすく、前記保持されるケーブルの引張力で折れてしまったり、曲がってしまったりしやすい。そこで、補強リブを形成することで、折れや曲がりを抑制することができ、前記ケーブル保持部にケーブルを強固に巻きまわしても安定して保持することが可能である。
【0022】
上記構成において、前記閉じた図形が四角形であり、前記複数個のリブは少なくとも、4個の角に配置された角リブを含んでいてもよい。また、前記角リブ同士の間に配置された中間リブを少なくとも1個含んでいる構成であってもよい。さらに、前記四角形は長方形であり、前記長方形の少なくとも長辺の両方に配置され、対向して形成された一対の中間リブを備えていてもよい。さらに、前記4個の角リブがすべて同じ形状であってもよい。
【0023】
前記リブとして角リブを備えており、角リブの断面形状はL字状である。L字状のリブを備えていることで、曲げや折れに強く形成することが可能であり、強固なケーブル保持部とすることが可能である。また、中間リブを含んでいることで、リブ1つの大きさを小さくすることができ、リブの曲げ、折れに対する強度を高めることができる。また、リブの個数が増えることで、隣り合うリブ同士の間隙の個数が増え、ケーブルを取り付けるときの巻きまわし方法を多くすることができるとともに、同時に保持できるケーブルの数を増やすことが可能である。さらに長方形状に形成されていることで、ケーブルの取り付けの法則をつかみやすく、ケーブルの取付作業を行いやすい。
【0024】
上記構成において、前記閉じた図形が円形状であり、前記複数個のリブは同一形状を有し、同一円周上に円周方向に等間隔をあけて配列されていてもよい。
【0025】
上記構成において、前記隣り合うリブの間の間隙は、少なくとも2種類の幅を有していてもよい。ケーブルは流す電流或いは信号によって太さが異なる場合がある。この場合、前記ケーブルが前記間隙よりも細いと、ケーブル保持構造は前記ケーブルをしっかり保持することができないし、ケーブルが太いとケーブルが圧迫されて着脱時に傷つく恐れがある。そこで、少なくとも2種類の幅の間隙を有することで、前記ケーブルの太さにあわせた間隙に取り付けることができ、容易に且つ安全にケーブルを保持することができる。
【0026】
上述したケーブル保持構造をフロントキャビネットの備えた電子機器として、例えば、液晶テレビジョン受像機を挙げることができる。
【0027】
前記複数のリブの間に形成されている間隙に前記ケーブルを挟んで保持するようにしてもよい。このとき、前記ケーブルをジグザグ状に前記リブに沿わせて保持させてもよく、前記ケーブルを前記閉じた図形の外側で折り返すように前記間隙に挟んでもよい。
【0028】
前記ケーブルを折り曲げて折り曲げ部を形成し、前記折り曲げ部を前記複数のリブで囲まれた空間に収容して保持させてもよい。
【0029】
前記ケーブルの先端に備えられているコネクタを前記複数のリブで囲まれた空間に収容することで、前記ケーブルを保持させてもよい。また、前記コネクタは少なくとも一部が前記複数のリブで囲まれた空間の外部に配置されるように保持されていてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、太さや電線の本数が異なるケーブル及びコネクタを保持することができるケーブル保持構造及びケーブル保持方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】液晶テレビジョン受像機のフロントキャビネットとリヤキャビネットとを分解した状態の斜視図である。
【図2】本発明にかかるケーブル保持構造が形成されたフロントキャビネットの一部を拡大した斜視図である。
【図3】ケーブル保持構造の形状を示す拡大図である。
【図4】図3に示すケーブル保持構造の平面図である。
【図5】図(A)〜(F)は図3に示すケーブル保持部が異なる方法でケーブル保持している状態を示した図である。
【図6】本発明にかかるケーブル保持構造の他の例を示す図である。
【図7】本発明にかかるケーブル保持構造の他の例を示す図である。
【図8】図(A)〜図(C)はケーブル保持構造の例の一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は液晶テレビジョン受像機のフロントキャビネットとリヤキャビネットとを分解した状態の斜視図である。
【0033】
図1に示すように、液晶テレビジョン受像機Aは、液晶表示ユニット1と、液晶表示ユニット1の背面側をカバーするリヤキャビネット2と、液晶表示ユニット1の正面側をカバーするフロントキャビネット3とを有している。また、図示を省略しているが、リヤキャビネット2には、スタンドが取り付けられている。フロントキャビネット1及びリヤキャビネット2はそれぞれ、樹脂の成型品である。
【0034】
液晶表示ユニット1は、液晶パネルを含む画像表示装置であり、液晶パネルを囲む直方体形状の金属製のフレーム10を有している。フレーム10は正面に画像表示部を備えており、背面に液晶テレビジョン受像機Aの動作を制御するための配線基板PBが取り付け固定されている。
【0035】
リヤキャビネット2は、長方形状の背面を有しており、長方形状の外縁より正面側に立設された側壁20を備えている。また、背面には、配線基板PBに備えられている外部接続端子(不図示)の先端を外部に露出させるための端子孔21が複数個形成されている。
【0036】
フロントキャビネット3は正面視横長の長方形状であり、外縁から背面に向かって立設された側壁30を備えている。フロントキャビネット3の中心部には、長方形状の開口31が形成されており、液晶表示ユニット1は開口31から画像表示部が見えるように配置固定される。フロントキャビネット3は下部に余裕があり、背面側の下部中央に基板32が、また、下部の左右両端部に、2個のスピーカ33がそれぞれ取り付けられている。基板32にはスイッチ、表示LED、センサが実装されている。
【0037】
そして、基板32には液晶表示ユニット1の背面に取り付けられた配線基板PBと接続し、信号を送受信するためのケーブル41が取り付けられており、ケーブル41の先端にはコネクタ42が備えられている。また、スピーカ33にも同様に、配線基板PBと接続しスピーカの駆動電力が供給されるケーブル43が取り付けられており、ケーブル43の先端にはコネクタ44が備えられている。
【0038】
図1に示すように、フロントキャビネット3の背面側には、フロントキャビネット3と一体形成されたケーブル保持部5が備えられている。ケーブル保持部5は、基板32とスピーカ33との間に形成されているがそれに限定されるものではなく、フロントキャビネット3の空きスペースで、ケーブルを容易に取り付けることができる位置に形成されていればよい。また、図1に示すテレビジョン受像機Aにおいて、ケーブル保持部5がケーブル43を保持しているが、それに限定されるものではなく、ケーブル41或いは図示を省略しているその他のケーブルを保持してもよい。
【0039】
液晶表示ユニット1及びフロントキャビネット3の配置について図面を参照して説明する。図2はフロントキャビネットに液晶表示ユニットを取り付けた状態の背面側から見た図である。図2に示すように、液晶表示ユニット1はフロントキャビネット3の上部にずれて配置されている。液晶表示ユニット1はねじ止めでフロントキャビネット3に固定されている。液晶表示ユニット1はフロントキャビネット3に形成されている複数の位置決めリブに側壁を当接させることで位置決めされる。液晶表示ユニット1がフロントキャビネット3の適切な位置に位置決めされることで、使用者はフロントキャビネット3の開口31を介して液晶表示ユニット1の映像表示部に表示される映像を鑑賞することができる。
【0040】
液晶表示ユニット1の背面に配置された配線基板PBには、ケーブルCb1、Cb2が備えられており、ケーブルCb1、Cb2の先端にはそれぞれコネクタCn1、Cn2が取り付けられている。フロントキャビネット1の背面に液晶表示ユニット1が配置された後、フロントキャビネット3に配置されている基板32に配置されたケーブル41の先端のコネクタ42と、ケーブルCb1の先端のコネクタCn1、スピーカ33に配置されたケーブル43の先端のコネクタ44とケーブルCb2の先端のコネクタCn2とが接続される。
【0041】
ケーブル41、43とケーブルCb1、Cb2とは遊び(たるみ)ができるように接続されている。これにより、ケーブル41、43、Cb1、Cb2が引っ張られたとしても、ケーブルが張るように変形することで、コネクタ42、44、Cn1、Cn2や基板32、スピーカ33及び配線基板PBに大きな力が作用するのを抑制することが可能である。
【0042】
図2に示すように、フロントキャビネット3の背面側には、ケーブル41は配線基板PBのケーブルCb1と接続するときにねじらなくても取り付けできるので、スピーカ33のケーブル43に比べて短くできる。一方、スピーカ33は側壁31に下側に向けて取り付けられており、ケーブル43とケーブルCb2とを接続する場合、ねじる必要がある。そこで、ケーブル43及びケーブルCb2はねじれても負担小さくなるように、十分な長さを有している。
【0043】
再度図1を参照する。図1に示すように、液晶表示ユニット1が取り付けられたフロントキャビネット3の背面側にはリヤキャビネット2が取り付けられる。フロントキャビネット3の側壁30とリヤキャビネット2の側壁20とが前後に重なるように、そして、液晶表示ユニット1の背面側に取り付けられた配線基板PBに実装された外部接続端子が端子孔21から露出できるようにリヤキャビネット2は取り付けられる。なお、フロントキャビネット3とリヤキャビネット2との固定は、容易に着脱でき、しかも、強固に固定できる方法が用いられる。ここでは、ねじによる固定が行われている。
【0044】
リヤキャビネット2をフロントキャビネット3の適切な位置に配置した後、ねじ止めにてフロントキャビネット3に押さえつけて固定する。このとき、リヤキャビネット2には液晶表示ユニット1を押えるリブを備えている。このリブにはケーブル41、43及び(又は)ケーブルCb1、Cb2を避けるための隙間が形成されている。
【0045】
ケーブル41とケーブルCb1とはねじられることなく接続されているので、中心がずれにくく、リブのケーブルを避けるための隙間から外れることは少ない。一方、ケーブル43とケーブルCb2とはねじれて取り付けられているので、ねじれによってケーブルの中心が曲がり、ケーブルを避けるための隙間からずれてしまうことがある。リヤキャビネット2の取り付け方によっては、ケーブルがフロントキャビネット3の側壁30とリヤキャビネット2の側壁20とに挟まれてしまったり、リヤキャビネット2のリブと液晶表示ユニット1との間に挟まれてしまったりする可能性がある。
【0046】
そこで、リヤキャビネット2の取り付け時にリヤキャビネット2の一部にケーブル43及び(又は)ケーブルCb2が挟まれる不具合が発生するのを抑制するために、ケーブル43をケーブル保持部5で保持させている。ケーブル43がケーブル保持部5に保持されていることで、ケーブル43及びケーブルCb2を所定の範囲内に収めることができ、ケーブルがリブに挟まれる不具合を抑制することができる。また、ケーブル保持部5に保持されているケーブル43は引っ張られるとケーブル保持部5より容易に外れることができるので、ケーブル43及び(又は)ケーブルCb2が引っ張られたときの応力を低減することが可能である。
【0047】
液晶テレビジョン受像機が複数の製造工程を経て製造されており、複数の半組立て状態のものが最終組立て地(工場)に搬送され、搬送されてきた半組立て状態のものを組み合わせて組み立てて完成させる。例えば、初期工程の組立て地は、各部品の入手性や組立てコストで決められており、最終組立て地は出荷される市場の近くとされることが多い。
【0048】
本発明にかかる液晶テレビジョン受像機Aの場合、液晶表示ユニット1、リヤキャビネット2、フロントキャビネット3、スタンドが初期工程の組立て地より別々に搬送される。フロントキャビネット3では、初期工程の組立て地において、基板32とスピーカ33とが組みつけられた状態で搬送される。
【0049】
フロントキャビネット3に基板32とスピーカ33を取り付けることで、基板32に備えられているケーブル41及びコネクタ42、スピーカ33に備えられているケーブル43及びコネクタ44もフロントキャビネット3と一体的に取り付けられる。フロントキャビネット3だけを搬送する場合、ケーブル41、43及びコネクタ42、44はフリーな状態となり、ケーブル41、43及びコネクタ42、44が移動し(暴れ)やすい。
【0050】
ケーブル41、43及びコネクタ42、44が移動する(暴れる)ことで、フロントキャビネット3の正面側と接触し、傷つけてしまうことがある。また、フロントキャビネット3を固定するための冶具等にケーブルが引っかかり、被覆がはがれたり、断線したりする不具合が発生する場合もある。そこで、フロントキャビネット3に設けられているケーブル保持部5でケーブル41、43を保持し、ケーブル41、43及びコネクタ42、44の暴れを抑制することができる。
【0051】
フロントキャビネット3に備えられたケーブル保持部5の詳細について図面を参照して説明する。図3は本発明にかかるケーブル保持構造の一例を示す拡大斜視図であり、図4は図3に示すケーブル保持構造の平面図である。
【0052】
図3、図4に示すように、ケーブル保持部5は、四隅に配置されたL字状断面を有する4個の角リブ51と、平板状の形状を有し、対向して配置された一対の中間リブ52とを備えている。角リブ51は、長方形の四隅となる位置に配置されており、長方形の短辺となる部分では、角リブ51同士が隣り合うように配置されている。また、長辺となる部分には、角リブ51同士の間に中間リブ52が配置されている。さらに、中間リブ52には、他方の中間リブ52と対向する面と反対側の面と一体に形成され、フロントキャビネット3と一体形成された補強リブ53が形成されている。なお、角リブ51はすべて同じ形状を有しており、一対の中間リブ52も同じ長さを有しているが、これに限定されるものではない。
【0053】
そして、角リブ51同士及び角リブ51と中間リブ52との間は、隙間(スリット50)が形成されている。ケーブル保持部5には4個の角リブ51と一対の中間リブ52で囲まれた直方体形状の保持部54が形成されている。なお、ケーブル保持部5のスリット50の幅はすべて同じ幅であり、その幅はケーブルを配置したときに、ケーブルを外から覆っている樹脂製の被覆を挟持し、摩擦により保持することができる程度の幅である。
【0054】
なお、以下の説明において、上側の角リブ、中間リブ、上側のスリットにはu、下側の角リブ、中間リブ、スリットにはd、中央のスリットにはcの添え字をつける。さらに、左側にはL、右側にはRの添え字をつける。そして、例えば、左上の角リブは51uL、左の中央のスリットは50cLである。以下、同様のルールで符号に添え字をつける(図3、図4参照)。
【0055】
以下に、ケーブル保持構造によるケーブルの保持方法の例について図面を参照して説明する。図5は本発明にかかるケーブル保持構造の一例であるケーブル保持部がケーブルを保持した状態を示している。図5(A)〜(F)は図3に示すケーブル保持部が異なる方法でケーブル保持している状態を示した図である。
【0056】
図5(A)に示すケーブル保持部5は、1本(1束)のケーブルCdを保持している。なお、ケーブルCdは基板32に取り付けられたケーブル41、スピーカ33に取り付けられたケーブル43及び配線基板PBに取り付けられたケーブルCb1、Cb2のいずれかであってもよく、それ以外の不図示のケーブルであってもよい。
【0057】
ケーブルCdはケーブル保持部5の左上の角リブ51uLと上側中間リブ52uとの間のスリット50uLを下方に向かって通過し、左下の角リブ51dLと下側中間リブ52dの間のスリット50dLを下方に向かって通過する。そして、下側中間リブ52dの下側で折り返し、右下角リブ51dRと下側中間リブ52dとの間のスリット50dRを上方に向かって通過し、右上の角リブ51uRと上側の中間リブ52uとの間のスリット50uRを上方に向かって通過する。
【0058】
以上のようにしてケーブルCdはケーブル保持部5に保持される。ケーブルCdの折り返しでの長さを調整し、コネクタCmがケーブル保持部5の右上の角リブ51uRと上側中間リブ52uと近接して配置されている。このように、コネクタCmをケーブル保持部5と近接配置されることで、フロントキャビネット3を搬送するときに、振動、衝撃が入力されたとしても、コネクタCmが暴れるのを抑制することができ、コネクタCm自体の破損や、コネクタCmが接触することで発生する傷、破損等の不具合を抑制することができる。なお、図5(A)に示した例では、ケーブルCdの折り返しが下側中間リブ52dの下側に配置されるものが示されているが、それに限定されるものではない。ケーブルCdを上下反転させ、上側の中間リブ52uの上方で折り返すように配置していてもよい。
【0059】
図5(B)を参照して、異なるケーブルの保持方法を説明する。図5(B)に示すように、ケーブル保持部5は、1本(1束)のケーブルCdを保持している。ケーブルCdは、左上の角リブ51uLと左下の角リブ51dLとの間のスリット50cLと、右上の角リブ51uRと右下の角リブ51dRとの間のスリット50cRとを左から右に通過するように配置されている。そして、ケーブル保持部5の右側で上側に折り返し、コネクタCmがケーブル保持部5に近接して配置されている。ケーブルCdが一直線上に配置されるので、ケーブルCdをケーブル保持部5に取り付けやすく、手間を減らすことができる。
【0060】
また、ケーブルCdの折り返しから先端側の部分を、右上角リブ51uRと上側中間リブ52uとの間のスリット50uR、左上角リブ51uLと上側中間リブ52uとの間のスリット50uLに取り付け、角リブ51uR、51uL、中間リブ52uを縫うように通過させてもよい。ケーブル保持部5を用いることで、ケーブルCd先端側の余っている部分をさらに保持することができ、これによって、ケーブルCd及び(又は)コネクタCmが暴れるのを効果的に抑えることができる。なお、ケーブルCdの配置は左から右でもよく、折り返しが下向きに折り返すものであってもよい。
【0061】
一直線上に配置されたスリット50cL、50cRにケーブルCdを通過させるので、ケーブルCdのケーブル保持部5への取り付けの手間と時間を削減することが可能である。
【0062】
図5(C)を参照して、さらに異なるケーブルの保持方法を説明する。図5(C)に示すように、ケーブル保持部5は、1束のケーブルCdを保持している。ケーブルCdは途中で折り返すように折りたたまれており、折り返しがケーブル保持部5の4個の角リブ51及び一対の中間リブ52で囲まれた保持部54に押し込められて保持されている。そして、ケーブルCdの先端に取り付けられたコネクタCmは、ケーブル保持部5の外側に配置される。角リブ51及び中間リブ52は弾性変形可能な部材であり、ケーブルCdを押し込むことで、各リブが押され弾性的にケーブルCdを締め付ける。これにより、ケーブルCdがケーブル保持部5から抜けないようにしっかり保持される。
【0063】
このように、スリット50にケーブルCdを引っ掛けずに、ケーブル保持部5でケーブルCdを保持することで、ケーブルCdをケーブル保持部5から外すときに、ケーブルCdが角リブ51及び(又は)中間リブ52に絡まって、取れにくくなるのを抑制することができる。このことによって、ケーブルCdを無理に引っ張ることによる、ケーブルCd自体が断線したり、ケーブルCdの取付部に無理な力が作用し、破損してしまったり、ケーブル保持部5が破損してしまったり等の不具合の発生を抑制することができる。
【0064】
ケーブル保持部5は、フロントキャビネット3及びフロントキャビネット3に取り付けられた部材だけを搬送するときと、完成品とでケーブルの保持方法をかえることが可能である。すなわち、フロントキャビネット3を搬送するときは、ケーブルCdを確実に保持できるとともに、容易に且つ安全に取り外せることが好ましい。そこで、図5(C)に示すように、ケーブルCd折り曲げケーブル保持部5の保持部で保持する。そして、最終組立てのときは液晶テレビジョン受像機内部でケーブルが暴れないように、多少の力ではケーブルが外れないことが好ましい。そこで、図5(A)、(B)に示すようにケーブルCdをスリット50に配置して保持することで保持する。
【0065】
このように、ケーブル保持部5を用いることで、一時的な保持及び長期的な保持のいずれの場合でも、適切な保持方法でケーブルCdを保持することが可能である。
【0066】
図5(D)を参照して、さらに異なるケーブルの保持方法を説明する。図5(D)に示すように、ケーブル保持部5は、ケーブルCdの先端に取り付けられたコネクタCmを保持している。4個の角リブ51と一対の中間リブ52とで囲まれた保持部54にコネクタCmが嵌合されて配置されている。コネクタCmは角リブ51及び(又は)中間リブ52によって抜けないように保持される。
【0067】
このように、コネクタCmをケーブル保持部5で直接保持することで、コネクタCmの暴れを確実に抑えることができる。コネクタCmの暴れは、フロントキャビネット3の搬送中に発生する破損、傷をつける原因となることが多く、これを抑制することができるので、効率よく破損、傷等の不具合の発生を抑制することができる。なお、液晶テレビジョン受像機の組立て時には、ケーブルCbが暴れないようにスリット50を通過させ、角リブ51及び(又は)中間リブ52に絡めて保持することが可能である。なお、図5(D)に示すように、コネクタCmを保持部54に完全に嵌め込んで保持させてもよく、コネクタCmの長手方向がフロントキャビネット3と所定の角度(ここでは、直角)をなすように配置してもよい(図5(E)参照)。
【0068】
また、図5(F)に示すように、コネクタCmがスリット50Rに挟まれ、一部が保持部54内部に配置されていてもよい。このように、コネクタCmの一部をスリット50に係合させることで、コネクタCmをケーブル保持部5で安定して保持することができる。これにより、フロントキャビネット3の運搬時にコネクタCmが暴れにくく、コネクタCm自体が破損したり、フロントキャビネット3及びフロントキャビネット3に取り付けられている部品と接触して傷つけたり破損したりする不具合の発生を抑えることができる。なお、コネクタCmを挟持するスリットとして、右上の角リブ51uRと右下の角リブ51dRの間のスリット50Rを採用しているが、それに限定されるものではない。また、コネクタCmを挟持するために、ケーブル保持部5に備えられたスリット50のうち少なくともひとつ(本実施形態では50cR)の幅を他のものよりも大きくして、コネクタCm保持用のスリットとしてもよい。なお、図5(D)−図5(F)のようにコネクタCmを保持することでケーブルCdの先端を保持することができる。結果として、ケーブルCdも保持している。
【0069】
本発明にかかるケーブル保持構造の他の例について図面を参照して説明する。図6は本発明にかかるケーブル保持構造の他の例を示す図である。図6に示すケーブル保持部6は、液晶テレビジョン受像機のフロントキャビネットの背面側に取り付けられているものであり、スリットの幅が、図4等に示すケーブル保持部5とは異なる。それ以外は、実質上同じ構造を有するものであり、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0070】
図6に示すケーブル保持部6は、4隅に配置された角リブ(左上角リブ61uL、右上角リブ61uR、左下角リブ61dL、右下角リブ61dR)と、上下に対向して配置され上側の角リブ61u(左上角リブ61uL、右上角リブ61uR)及び下側の角リブ61d(左下角リブ61dL、右下角リブ61dR)の間に配置された中間リブ62(上側中間リブ62u、下側中間リブ62d)とを備えている。
【0071】
上側の両角リブ61uL、61uR及び上側中間リブ62uとの間には、スリット60uL、60uRが形成されている。同様に、下側の両角リブ61dL、61dR及び下側中間リブ62dとの間には、スリット60dL、60dRが形成されている。そして、左上角リブ61uLと左下角リブ61dL及び右上角リブ61uRと右下角リブ61dRとの間には、スリット60cL、60cRが形成されている。
【0072】
以下に、各スリットについて詳しく説明する。ケーブル保持部6は、フロントキャビネット3の搬送時、上側に基板32に備えられたケーブル41を、また、下側にスピーカ33に取り付けられたケーブル43を同時に保持する。また、液晶テレビジョン受像機Aの完成組立てのときには、これらのケーブルを外して或いは保持したまま、別の機器に接続されるケーブル45を保持する。
【0073】
このとき、ケーブル41はスリット60uL、60uRに嵌合され、ケーブル43はスリット60dL、60dRに嵌合され、ケーブル45はスリット60cL、60cRに嵌合されている。ケーブル41、ケーブル43及びケーブル45はそれぞれ異なる目的(異なる信号或いは異なる電流)で用いられるものであるため、ケーブル内に配置される電線の太さ、数もおのずと変わってくる。
【0074】
ケーブル41はフロントキャビネット3に取り付けられて基板32にそなえられている。基板32に配置されたスイッチの操作を伝える信号及びリモートコントローラからの入力を受け付けたことを伝える信号等の信号のやり取り、或いは、消費電力の小さなスイッチ、センサ及びLEDに駆動の電流を流すための電線である。よってケーブル41は径の小さな電線を多数集めて平板状に配置したフラットケーブルが用いられている。
【0075】
一方、ケーブル43はスピーカ33の駆動用の電力(電流)を供給するための電線を内蔵している。スピーカ33を駆動するためには、所定の電力(電流)が必要であり、駆動用の電力をストレスなく流すためにケーブル41と比べて太い電線が内蔵されている。また、電線の数はケーブル41に比べて少ない。
【0076】
ケーブル45は、配線基板PBとその他の部品との間の信号をやり取りするためのものである。ケーブル45は多数の信号を扱うものであるが、スイッチやセンサ等の電子部品を駆動するための電力を供給する電線を有しない。したがって、ケーブル45はケーブル41に比べて細い電線を備えたフラットケーブルである。
【0077】
各スリットは各ケーブルを容易に外れないように保持するものであり、スリット60dL、60dR、スリット60uL、60uR及びスリット60cL、60cRの幅L1、幅L2及び幅L3の関係は次のとおりである。太いケーブルであるケーブル43が嵌合されるスリット60dL、60dRの幅L1は大きく形成されている。細いケーブル45が嵌合されるスリット60cL、60cRの幅L3は小さく形成されている。そして、ケーブル43より細く、ケーブル45より太いケーブル41が係合されるスリット60uL、60uRの幅L2は、幅L1と幅L3との間となるように形成されている。なお、スリット60uL、60uRの幅L2がスリット60dL、60dRの幅L1よりも短く形成されており、その幅が少ない分、上側中間リブ62uの長さが、下側中間リブ62dよりも長い。
【0078】
このように、スリット60の幅をその位置及び取り付けられるケーブルの大きさに合わせて複数の種類備えておくことで、太さの異なるケーブルを1つのケーブル保持部6で保持することが可能である。ケーブル保持部6でケーブル保持する場合、同時に保持されるケーブルは1本であっても、複数本であってもよい。また、同じ幅のスリット60の配置についてはケーブル保持部6では、上側2個、下側2個、中央2個となっているが、それには限定されるものではなく、ケーブルの配置方法に合わせて異なるものであってもよい。また、ケーブルの種類も3種類に限定されるものではなく、2種類或いは3種類よりも多い場合、ケーブルの種類に合わせて幅の大きさの種類が変更されるようにしてもよい。
【0079】
本発明にかかるケーブル保持構造の他の例について図面を参照して説明する。図7は本発明にかかるケーブル保持構造の他の例を示す図である。図7に示すケーブル保持部7は複数形成されたスリット70のうち図中上下或いは左右に対向して形成されたスリットの中心がずれるように形成されている。
【0080】
すなわち、上側中間リブ72uの左側に形成された左上スリット70uLの中心と、下側中間リブ72dの左側に形成された左下スリット70dLの中止とが、図中左右方向にずれている。また、上側中間リブ72uの右側に形成された右上スリット70uRの中心と、下側中間リブ72dの右側に形成された右下スリット70dRの中心とが、図中左右方向にずれている。また、左上角リブ71uLと左下角リブ71dLとの間に形成されたスリット70cLの中心と、右上角リブ71uRと右下角リブ71dRとの間に形成されたスリット70cRの中心とが上下方向にずれている。
【0081】
ケーブル保持部7もケーブル保持部6と同様に異なる種類のケーブル41、43及び45を保持することができるものである。フロントキャビネット3の搬送時、上側に基板32に備えられたケーブル41を、また、下側にスピーカ33に取り付けられたケーブル43を同時に保持する。また、液晶テレビジョン受像機Aの完成組立てのときには、これらのケーブルを外して或いは保持したまま、別の機器に接続されるケーブル45を保持する。なお、図7に示すケーブル保持部7では、各ケーブルを同じ太さで示しているが、実際は、図6に示すように、異なる太さのものであってもよい。
【0082】
ケーブル41は左上スリット70uLと左下スリット70dLとを通過するように、ケーブル42は右下スリット70dRと右上スリット70uRとを通過するように取り付けられている。このように、左右にずれて配置されたスリットにケーブルを取り付けることで、ケーブルが軸方向に引っ張られたとき、ケーブルが角リブ及び(又は)中間リブに引っかかる。これにより、ケーブルが抜けるのを抑制することが可能である。また、ケーブルに作用する引張力はケーブル保持部7に作用し、引張力がケーブルを備えている部材(基板、スピーカ)に作用するのを抑制することが可能である。
【0083】
また、ケーブル45も同様に、スリット70cLとスリット70cRとを通過するように取り付けられていることで、ケーブルが角リブに引っかかる。これにより、ケーブルが抜けるのを抑制することが可能である。また、ケーブルに作用する引張力はケーブル保持部7に作用し、引張力がケーブルを備えている部材に作用するのを抑制することが可能である。なお、ケーブル45は、ケーブル41及びケーブル43を取り外してからケーブル保持部7に取り付けられるようにしてもよく、ケーブル41及び(又は)ケーブル43と交差するように取り付けられていてもよい。
【0084】
なお、図7に示すケーブル保持部7では、左右かかわらず、上側のスリットが下側のスリットに対して左にずれているものを挙げているが、これに限定されるものではなく、逆にずれていてもよい。また、左上スリットが左下スリットの右側に、右上スリットが右下スリットの左側にずれるように形成されていてもよい。向かい合ったもの同士が、引張力をケーブル保持部7で受けることができる程度にずれて形成されているスリットを広く採用することが可能である。また、ケーブル保持部7の対向するすべてのスリットがずれていなくてもよい。また、ケーブルの軸方向に力が作用する可能性が高いケーブルが嵌められるスリットのみずれるように形成されていても良い。
【0085】
本発明にかかるケーブル保持構造のさらに他の例について図面を参照して説明する。図8は本発明にかかるケーブル保持構造の例の概略を示す図である。図8(A)〜図8(C)はケーブル保持構造の例の一部を示す概略図である。図8(A)に示すように、ケーブル保持部8Aは、2対の中間リブを備えており、すなわち、ケーブル保持部8Aは、4個の角リブ81aと、2対の中間リブ82aとを、中央の空間が正方形を形成するように配置されている。このように配置されていることで、ケーブルの位置にかかわらず、ケーブルをスリットに適切に嵌合させることができるので、汎用性が高い。
【0086】
また、図8(B)を参照して、ケーブル保持部の他の例について説明する。ケーブル保持部8Bは、同じ形状の湾曲リブ81bを6個備えており、その湾曲リブ81bを内部の空間が円形状をなすように配置している。このように円形状に形成されたケーブル保持部8Bを備えていることで、ケーブルの位置にかかわらず、ケーブルをスリットに適切に嵌合させることができるので、汎用性が高い。
【0087】
また、図8(C)を参照して、ケーブル保持部の他の例について説明する。図8(C)に示すケーブル保持部8Cは、3個の角リブ81cと、3個の中間リブ82cとを備えており、角リブ81cと中間リブ82cとを交互に、中央の空間が三角形状をなすように配置されている。このように、三角形状に形成されたケーブル保持部8Cを備えていることで、ケーブルの位置にかかわらず、ケーブルをスリットに適切に嵌合させることができるので、汎用性が高い。
【0088】
なお、上述したように、ケーブル保持部のリブによって、長方形状、正方形状、円形状及び三角形状に形成されているものを挙げて説明したが、これらに限定されるものではなく、中央部にリブで囲まれた空間が形成されるものを広く採用することが可能である。リブの形状が複雑になりすぎると、フロントキャビネットの表面にひけが発生しやすくなるので、密集しすぎず、十分な強度を有するような形状に形成されていることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、LCDを用いた液晶テレビジョン受像機等、電子機器の完成品内部に配置された配線を保持するとともに、半組立て状態で搬送するときの組みつけられた物品に備えられた敗戦を保持するケーブル保持構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
A 液晶テレビジョン受像機
PB 配線基板
1 液晶表示ユニット
10 フレーム
2 リヤキャビネット
20 側壁
21 端子孔
3 フロントキャビネット
30 側壁
31 開口
32 基板
33 スピーカ
41 ケーブル
42 コネクタ
43 ケーブル
44 コネクタ
5 ケーブル保持部
51 角リブ
52 中間リブ
53 補強リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の筐体内面に立設された複数個のリブを有し、
前記筐体内部に配線されたケーブルを保持するケーブル保持構造であって、
前記複数個のリブは、筐体内面に形成された閉じた図形上に、隣り合うリブとの間隙が所定の幅となるように配列されていることを特徴とするケーブル保持構造。
【請求項2】
前記閉じた図形は少なくとも1箇所の直線部分を備えており、前記複数個のリブのうち少なくとも前記直線部分に配置されるリブは、前記閉じた図形の外側の壁面と交差し、前記筐体の内面より突出した補強リブを備えている請求項1に記載のケーブル保持構造。
【請求項3】
前記閉じた図形が四角形であり、前記複数個のリブは少なくとも、4個の角に配置された角リブを含んでいる請求項1又は請求項2に記載のケーブル保持構造。
【請求項4】
前記複数個のリブは、前記角リブ同士の間に配置された中間リブを少なくとも1個含んでいる請求項3に記載のケーブル保持構造。
【請求項5】
前記四角形は長方形であり、前記長方形の少なくとも長辺の両方に配置され、対向して形成された一対の中間リブを備えている請求項4に記載のケーブル保持構造。
【請求項6】
前記4個の角リブがすべて同じ形状を有している請求項3から請求項5のいずれか胃に記載のケーブル保持構造。
【請求項7】
前記閉じた図形が円形状であり、前記複数個のリブは同一形状を有し、同一円周上に円周方向に等間隔をあけて配列されている請求項1に記載のケーブル保持構造。
【請求項8】
前記隣り合うリブ同士の間隙は、少なくとも2種類の幅を有している請求項1から請求項7のいずれかに記載のケーブル保持構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のケーブル保持構造をフロントキャビネットに備えたことを特徴とする液晶テレビジョン受像機。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のケーブル保持構造を用いてケーブルを保持するケーブルの保持方法であって、
前記複数のリブの間に形成されている間隙に前記ケーブルを挟んで保持することを特徴とするケーブル保持方法。
【請求項11】
前記ケーブルをジグザグ状に前記リブに沿わせて保持させる請求項10に記載のケーブル保持方法。
【請求項12】
前記ケーブルを前記閉じた図形の外側で折り返すように前記間隙に挟む請求項10に記載のケーブル保持方法。
【請求項13】
少なくとも2本のケーブルを同時に保持する請求項10又は請求項11に記載のケーブル保持方法。
【請求項14】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のケーブル保持構造を用いてケーブルを保持するケーブルの保持方法であって、
前記ケーブルを折り曲げて折り曲げ部を形成し、
前記折り曲げ部を前記複数のリブで囲まれた空間に収容して保持させることを特徴とするケーブル保持方法。
【請求項15】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のケーブル保持構造を用いてケーブルを保持するケーブルの保持方法であって、
前記ケーブルの先端に備えられているコネクタを前記複数のリブで囲まれた空間に収容することで、前記ケーブルを保持させることを特徴とするケーブル保持方法。
【請求項16】
前記コネクタは少なくとも一部が前記複数のリブで囲まれた空間の外部に配置される請求項15に記載のケーブル保持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−29330(P2011−29330A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172247(P2009−172247)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】