説明

ケーブル保護管部材およびそれを用いたケーブル保護管路

【構成】 ケーブル保護管部材10は、その軸方向の端部どうしが継手部材42に接続されることによってケーブル保護管路100を構成するものであり、既設ケーブル202が敷設された既設管200の内部に挿入される。ケーブル保護管部材10は、互いに分離可能な第1管部材14と第2管部材16とを有する本体(12)を備えている。第1管部材14には、第1分割管部(32)が形成され、第2管部材16には、第2分割管部(40)が形成され、この第1分割管部(32)と第2分割管部(40)とが協働して、既設ケーブル202を収容するための第1管路部(20)を形成する。第1止水材28は、第1管部材14と第2管部材16とを接合させた状態において、第1管部材14と第2管部材16との間を止水する。
【効果】 既設管への挿入時の作業性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はケーブル保護管部材およびそれを用いたケーブル保護管路に関し、特にたとえば、内部にケーブルが敷設された既設管に挿入される、ケーブル保護管部材およびそれを用いたケーブル保護管路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のケーブル布設済み保護管補修方法の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1のケーブル布設済み保護管補修方法では、円周方向に湾曲した弾性基材の湾曲内部へケーブルを入れた後、弾性基材の湾曲方向の端部同士を結合手段により結合することによって管状補修材(ケーブル保護管部材)が形成される。そして、その内部にケーブルを通した状態の管状補修材が保護管(既設管)内へ挿入される。
【0003】
また、従来のケーブル保護管部材の一例が、特許文献2に開示されている。この特許文献2のケーブル保護管部材では、外壁と一体的に形成される管壁によって第1管路部が形成される。第2管路部は、少なくともその第1管路部を形成する管壁を用いることによって形成され、たとえば、既設管に挿入される前には開口可能であり、この開口から既設のケーブルが収容される。そして、ケーブルが収容された後、その開口が接着接合などによって水密的に閉じられたケーブル保護管部材が既設管に挿入される。
【特許文献1】特開2007−124795号[H02G 1/06]
【特許文献2】特開2008−118786号[H02G 9/06]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、接続した管状補修材の間の水密性を保持するためには、先に保護管内へ挿入した管状補修材の開口端部へ次の管状補修材の開口端部を接続手段によって接続してから、さらに、先の管状補修材の開口端部と次の管状補修材の開口端部にシーリング剤を塗布する必要がある。つまり、特許文献1の技術では、施工現場での複雑な作業が必要となり、作業性が悪い。
【0005】
また、特許文献2の技術では、その円周方向の一部分を開口させた1つの部材を強制的に断面真円状に変形させるため、ケーブル保護管部材に残留応力が生じてしまう。このため、特許文献2の技術では、残留応力を低減させるために、ケーブル保護管部材を加熱軟化させる等の処理が必要となり、その作業に手間や時間がかかる。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、ケーブル保護管部材およびそれを用いたケーブル保護管路を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、既設管への挿入時の作業性を向上させることができる、ケーブル保護管部材およびそれを用いたケーブル保護管路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
第1の発明は、内部にケーブルが敷設された既設管に挿入されるケーブル保護管部材であって、互いに分離可能な第1および第2管部材を有する本体、第1管部材に形成される第1分割管部、第2管部材に形成されるかつ第1分割管部と協働してケーブルを収容する第1管路部を形成する第2分割管部、第1および第2管部材の少なくともいずれか一方に第1管路部とは独立して形成される少なくとも1つの第2管路部、および第1および第2管部材のいずれか一方に設けられ、第1管部材と第2管部材とが接合した状態で第1管部材と第2管部材との間を止水する第1止水材を備える、ケーブル保護管部材である。
【0010】
第1の発明では、ケーブル保護管部材(10)は、その軸方向の端部どうしが継手部材(42)に接続されることによってケーブル保護管路(100)を構成するものであり、既設ケーブル(202)が敷設された既設管(200)の内部に挿入される。ケーブル保護管部材は、互いに分離可能な第1管部材(14)と第2管部材(16)とを有する本体(12)を備えている。第1管部材には、第1分割管部(32)が形成され、第2管部材には、第2分割管部(40)が形成され、第1管部材と第2管部材とを接合させた状態において、この第1分割管部と第2分割管部とが協働して、既設ケーブルを収容するための第1管路部(20)を形成する。また、たとえば、第1管部材には、既設ケーブル以外の新たなケーブルを挿入するための第2管路部(22a,22b)が第1管路部とは独立して形成される。さらに、たとえば、第1管部材には、合成ゴムまたはエラストマ等からなる第1止水材(28)が設けられる。この第1止水材は、第1管部材と第2管部材とを接合させた状態において、第1管部材と第2管部材とに接触して、これらの間を止水する。
【0011】
第1の発明によれば、施工現場で接着剤やシーリング剤を塗布する等の面倒な作業を行わなくても、第1管部材と第2管部材とを接合させるだけで、ケーブル保護管部材の水密性を保持することが可能である。したがって、既設管への挿入時の作業性を向上させることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、全体として短管形状を有し、軸方向の端部どうしが水密的に接続されることによりケーブル保護管路を構成する。
【0013】
第2の発明では、ケーブル保護管部材(10)は、短管形状を有しており、このケーブル保護管部材の軸方向の端部どうしを突き合わせ、その端部どうしを継手部材(42)を用いて水密的に接続することにより、ケーブル保護管路100が構成される。このため、たとえば継手部材の内部で突き合わせているケーブル保護管部材をそれぞれ傾ければ、ケーブル保護管路を曲げることが可能となる。つまり、既設管(200)に曲線部分があっても、その曲線部分に応じてケーブル保護管路を曲げることで、ケーブル保護管路を既設管内へ円滑に挿入することができる。
【0014】
第3の発明は、第1または2の発明に従属し、第1および第2管部材は、互いに分離可能な第1および第2管壁をそれぞれ含み、第1分割管部は、第1管壁の内面側に形成され、第2分割管部は、第2管壁の内面側に形成され、第2管路部は、第1および第2管壁の少なくともいずれか一方の内面側に形成され、さらに第1止水材は、第1および第2管壁のいずれか一方の周方向両側縁に設けられて、第1管部材と第2管部材とが接合した状態で第1管壁と第2管壁との間を止水する。
【0015】
第3の発明では、第1管部材(14)および第2管部材(16)は、互いに分離可能な第1管壁(26)および第2管壁(36)をそれぞれ含み、たとえば、第1分割管部(32)は、第1管壁の内面側に形成され、第2分割管部(40)は、第2管壁の内面側に形成される。また、第2内管部(22a,22b)は、たとえば第1分割管部と第1管壁との間に形成される。第1止水材(28)は、たとえば第1管壁の周方向の両側縁に設けられて、第1管壁の周方向の側縁と第2管壁の周方向の側縁との間を止水する。
【0016】
第4の発明は、第3の発明に従属し、第1管壁の内面側に形成される第1嵌合部、第2管壁の内面側に形成されるかつ第1嵌合部と嵌まり合う第2嵌合部、および第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合した状態で第1嵌合部と第2嵌合部との間を止水する第2止水材をさらに備える。
【0017】
第4の発明では、第1管壁(26)には、第1嵌合部(30)が形成され、第2管壁(36)には、第1嵌合部と嵌まり合う第2嵌合部(38)が形成される。また、たとえば、第2嵌合部には、合成ゴムまたはエラストマ等からなる第2止水材(34)が設けられる。この第2止水材は、第1嵌合部と第2嵌合部とを嵌合させた状態において、第1嵌合部と第2嵌合部とに接触して、これらの間を止水する。
【0018】
第4の発明によれば、互いに分離可能な第1管部材と第2管部材との間を、第1止水材と第2止水材とによって二重に止水することとなり、より確実にケーブル保護管部材の水密性を保持することができる。
【0019】
第5の発明は、第2ないし4のいずれかの発明に従属し、本体の軸方向の端面は、その中央側が周縁側と比べて突き出す形状に形成される。
【0020】
第5の発明では、ケーブル保護管部材(10)の本体(12)の端面は、その中央側が周縁側と比べて突き出す形状に形成される。
【0021】
第5の発明によれば、隣り合うケーブル保護管部材の本体の端面のどうしの間に隙間が生じるため、ケーブル保護管部材を容易に傾けることができるようになる。したがって、曲線状のケーブル保護管路を形成し易い。
【0022】
さらに、ケーブル保護管部材を傾けても、本体の端面の周縁部が局部的に接触することがないため、隣り合うケーブル保護管部材の接触箇所が破損したり変形したりしてしまう恐れを低減することができる。
【0023】
第6の発明は、第5の発明に従属し、端面は、その中央側から周縁側に向かって下り勾配となる傾斜面を有する。
【0024】
第6の発明では、ケーブル保護管部材(10)の本体(12)の端面には、所定角度(θ)で傾斜する傾斜面(72)が形成される。傾斜面は、本体の端面の中央側から周縁側に向かって下り勾配となっており、実施例では、各管路部(20,22a,22b)の開口端面に1つずつ、合計3つの傾斜面が形成される。
【0025】
第7の発明は、第6の発明に従属し、傾斜面の傾斜角度は、ケーブル保護管路における1つのケーブル保護管部材が分担する曲げ角度に応じて設定される。
【0026】
第7の発明では、傾斜面(72)の所定角度(θ)は、ケーブル保護管部材(10)に必要とされる曲げ角度、つまりケーブル保護管路(100)において1つのケーブル保護管部材(10)が分担する曲げ角度に応じて設定される。
【0027】
第8の発明は、第5の発明に従属し、端面は、その中央側が周縁側よりも上がる段差面を有する。
【0028】
第8の発明では、ケーブル保護管部材(10)の本体(12)の端面には、端面の中央側が周縁側よりも上がる段差面が設けられる。
【0029】
第9の発明は、第1ないし8のいずれかの発明に従属し、本体の外周面に設けられる移動補助部をさらに備える。
【0030】
第9の発明では、本体(12)の外周面には、移動補助部(24)が形成される。たとえば、移動補助部は、外管部(18)の外周面からその全周に亘って環状に突出し、その最大外径は、既設管(200)の内径より小さく設定される。このため、ケーブル保護管部材を既設管内に挿入するときに、既設管の内面と接する面積を小さくして、ケーブル保護管部材の移動に対する摩擦力を低減することができる。
【0031】
第9の発明によれば、ケーブル保護管を既設管内に挿入するときの挿入抵抗を小さくすることができ、また、たとえ既設管路の内面が凸凹している場合であっても、ケーブル保護管を既設管路内にスムーズに挿入することができる。
【0032】
第10の発明は、第1ないし9のいずれかの発明に従属し、第1管路部および第2管路部のそれぞれは、断面略真円状に形成される。
【0033】
第10の発明では、第1管路部(20)および第2管路部(22a,22b)のそれぞれは、断面略真円状に形成される。このため、既設ケーブル(202)の収容スペースとして用いられる第1管路部においては、ケーブル保護管部材(10)を既設管(100)内に挿入するときの挿入抵抗を小さくすることができる。また、新たなケーブルの敷設スペースとして用いられる第2内管においては、その新たなケーブルを第2管路部に挿入するときの挿入抵抗を小さくすることができる。
【0034】
第11の発明は、第1ないし10のいずれかのケーブル保護管部材を継手部材を用いて軸方向に接続したケーブル保護管路であって、継手部材は、互いに隣接するケーブル保護管部材の軸方向の端部を包含する弾性部材を含み、弾性部材は、本体の外周面を全周に亘って被覆し、弾性部材と第1止水材とが互いに接触する、ケーブル保護管路である。
【0035】
第11の発明では、ケーブル保護管路(100)は、ケーブル保護管部材(10)の軸方向の端部どうしを突き合わせ、その端部どうしを継手部材(42)を用いて接続することによって形成される。継手部材は、弾性部材(44)を備えている。弾性部材は、合成ゴムまたはエラストマ等によって筒状に形成され、互いに隣接するケーブル保護管部材(10)の軸方向の端部を包含する。弾性部材は、ケーブル保護管部材の本体の外周面をその全周に亘って被覆し、第1止水材(28)に接触する。これにより、弾性部材とケーブル保護管部材の本体との間が止水されるとともに、この弾性部材とケーブル保護管部材の第1止水材との間が止水される。
【0036】
第11の発明によれば、ケーブル保護管部材の軸方向の端部どうしを継手部材によって接続するだけで、ケーブル保護管路の水密性をその全長に亘って保持することができる。
【0037】
さらに、たとえば継手部材の内部で突き合わせているケーブル保護管部材をそれぞれ傾ければ、ケーブル保護管路を曲げることが可能となる。したがって、既設管に曲線部分があっても、その曲線部分に応じてケーブル保護管路を曲げることで、ケーブル保護管路を既設管内へ円滑に挿入することができる。
【0038】
第12の発明は、第1ないし10のいずれかのケーブル保護管部材を継手部材を用いて軸方向に接続したケーブル保護管路であって、継手部材は、互いに隣接するケーブル保護管部材の軸方向の端部を包含する弾性部材、および吸水性繊維によって形成され、弾性部材の外周面を全周に亘って被覆するとともに、本体の外周面を全周に亘って被覆する第3止水材を含み、第3止水材と第1止水材とが互いに接触する、ケーブル保護管路。
【0039】
第12の発明では、ケーブル保護管路(100)は、ケーブル保護管部材(10)の軸方向の端部どうしを突き合わせ、その端部どうしを継手部材(42)を用いて接続することによって形成される。継手部材は、弾性部材(44)、および第3止水材(76)を備えている。弾性部材は、互いに隣接するケーブル保護管部材(10)の軸方向の端部を包含する。第3止水材は、吸水性繊維によってたとえばシート状に形成され、弾性部材の外周面をその全周に亘って被覆するとともに、互いに隣接するケーブル保護管部材の本管(12)の軸方向の端部の外周面をその全周に亘って被覆し、さらに、ケーブル保護管部材の第1止水部材(28)に接触する。このように、本管の軸方向の端部の外周面と弾性部材の外周面とを第3止水材によってオーバーラップすることにより、第3止水材とケーブル保護管部材の本体との間が止水されるとともに、この第3止水材とケーブル保護管部材の第1止水材との間が止水され、さらに第3止水材と弾性部材との間が止水される。
【0040】
第12の発明によれば、ケーブル保護管部材と継手部材との連結部の止水性を向上させることができる。
【0041】
第13の発明は、第11または12の発明に従属し、継手部材は、弾性部材の外周面を覆うかつ互いに分離可能な第1および第2片部を有する短管をさらに含み、短管は、第1片部に形成される2つの第3嵌合部、および第2片部に形成されるかつ第1嵌合部と嵌まり合う2つの第4嵌合部を含み、第1方向において、一方の第3嵌合部と一方の第4嵌合部とが嵌まり合い、第1方向と直行する第2方向において、他方の第3嵌合部と他方の第4嵌合部とが嵌まり合う。
【0042】
第13の発明では、継手部材(42)は、弾性部材(44)と当該弾性部材の外周面を覆う短管(52)とを備えている。短管は、互いに分離可能な、たとえば略半割り短円筒状の第1片部(54)および第2片部(56)を有しており、第1片部には、第3嵌合部(58a,58b)がそれぞれ形成され、第2片部には、第4嵌合部(60a,60b)がそれぞれ形成される。第3嵌合部(58a)は、第1片部の周方向の一方の側縁に形成され、第4嵌合部(60a)の内部に鉛直方向に嵌め込まれる。また、第3嵌合部(58b)は、第1片部の周方向の他方の側縁に形成され、第4嵌合部(60b)の内部に水平方向に嵌め込まれる。
【0043】
第13の発明によれば、第1片部と第2片部との接合時において、寸法公差を吸収して接合することができる。したがって、短管を断面略真円状に形成することができる。
【0044】
第14の発明は、第11ないし13の発明に従属し、ケーブル保護管部材の軸方向の端部には、外側へ突出する突起部が設けられ、突起部と弾性部材とが互いに係止する。
【0045】
第14の発明では、ケーブル保護管部材(10)の軸方向の両端部のそれぞれには、突起部(66)が設けられる。実施例では、突起部は、管路部(20,22a,22b)の管壁として機能している壁面部(70)の外周面から外側に向けて突出する。また、実施例では、弾性部材(42)の内周面には、ケーブル保護管部材に設けられた突起部に対応する位置に、窪み部(68)が形成され、継手部材の内部で突き合わせているケーブル保護管部材のそれぞれの突起部が1つの窪み部に嵌め込まれることで、突起部と弾性部材とが互いに係止することとなる。
【0046】
第14の発明によれば、ケーブル保護管部材と継手部材との間に離脱力が作用しても、ケーブル保護管部材の突起部が弾性部材に係止されることによって、ケーブル保護管部材および弾性部材の互いに離れる方向の動きが規制される。したがって、ケーブル保護管部材と継手部材との離脱が極めて生じにくい。
【発明の効果】
【0047】
この発明によれば、互いに分離可能な第1管部材と第2管部材との間が第1止水材によって止水されるため、ケーブル保護管の既設管への挿入時の作業性を向上させることができる。
【0048】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の一実施例のケーブル保護管部材を用いたケーブル保護管路を既設管内に形成した様子を簡略的に示す図解図である。
【図2】図1のケーブル保護管路を模式的に示す図解図である。
【図3】図1のケーブル保護管部材を示す平面図である。
【図4】(a)は、図3のIVa―IVa線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図であり、(b)は、図3のIVb―IVb線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図であり、(c)は、図3のIVc―IVc線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図であり、(d)は、図3のIVd―IVd線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図である。
【図5】図1の継手部材を示す断面図である。
【図6】(a)は、図5のVIa―VIa線における継手部材の断面を示す断面図であり、(b)は、図3のVIb―VIb線における継手部材の断面を示す断面図である。
【図7】ケーブル保護管部材の第1止水材を示す図解図である。
【図8】ケーブル保護管部材に既設ケーブルを収容した様子を示す図解図である。
【図9】ケーブル保護管路を曲げる様子を示す図解図である。
【図10】この発明の別の一実施例のケーブル保護管部材の第1止水材を示す図解図である。
【図11】この発明のさらに別の一実施例のケーブル保護管部材を用いたケーブル保護管路を模式的に示す図解図である。
【図12】図11の継手部材を示す断面図である。
【図13】(a)は、図12のXIIIa―XIIIa線における継手部材の断面を示す断面図であり、(b)は、図12のXIIIb―XIIIb線における継手部材の断面を示す断面図である。
【図14】この発明のさらに別の実施例のケーブル保護管部材を示す平面図である。
【図15】図14のXV―XV線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図である。
【図16】図14のケーブル保護管部材を接続する継手部材を示す断面図である。
【図17】(a)は、図16のXVIIa―XVIIa線における継手部材の断面を示す断面図であり、(b)は、図16のXVIIb―XVIIb線における継手部材の断面を示す断面図である。
【図18】この発明のさらに別の一実施例のケーブル保護管部材を用いたケーブル保護管路を模式的に示す図解図である。
【図19】図18のケーブル保護管部材を示す平面図である。
【図20】(a)は、図19のXXa―XXa線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図であり、(b)は、図19のXXb―XXb線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図であり、(c)は、図19のXXc―XXc線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図であり、(d)は、図19のXXd―XXd線におけるケーブル保護管部材の断面を示す断面図である。
【図21】図18のケーブル保護管部材の軸方向の端部を示す図解図である。
【図22】図18のケーブル保護管部材の軸方向の端部の傾斜面を示す図解図である。
【図23】図18のケーブル保護管部材の軸方向の端部の傾斜面を示す図解図である。
【図24】図18のケーブル保護管部材の第1止水材を示す図解図である。
【図25】図18の継手部材を示す断面図である。
【図26】図25のXXVI―XXVI線における継手部材の断面を示す断面図である。
【図27】図18の短管を示す断面図であり、(a)は、第1片部と第2片部とを分離した状態を示す正面図であり、(b)は、第1片部と第2片部とを接合させた状態を示す正面図である。
【図28】継手部材の変形実施例を示す図解図である。
【図29】(a)は、図28のXXIXa―XXIXa線における継手部材の断面を示す断面図であり、(b)は、図28のXXIXb―XXIXb線における継手部材の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1および図2を参照して、この発明の一実施例であるケーブル保護管部材10は、その軸方向の端部どうしが継手部材42に接続されることによってケーブル保護管路100を構成するものであり、通信線や電力線などの既設ケーブル202が敷設された既設管200の内部に挿入される。
【0051】
ケーブル保護管部材10は、たとえば、ポリエチレンやポリ塩化ビニルやABS(アクリロニトリル・ブタジエンゴム・スチレン)などの合成樹脂からなり、射出成形等によって短管形状に形成される。
【0052】
ただし、ここでいう「短管形状」とは、一般的なパイプのような長尺の管体ではなく、たとえば、複数の構成材を軸方向に接続することによって長尺となる程度の長さを有する管体の形状を意味する。
【0053】
図3および図4に示すように、ケーブル保護管部材10は、互いに分離可能、すなわち開閉可能な第1管部材14と第2管部材16とを有する本体12を備えており、この第1管部材14と第2管部材16とを接合した状態において、本体12の断面形状が略真円形となる。
【0054】
本体12は、管壁として機能する外管部18を含む。外管部18は、第1管部材14の管壁(後述する、第1管壁26)と第2管部材16の管壁(後述する、第2管壁36)とによって構成され、その軸方向の長さは、たとえば230mmであり、その外径は、たとえば72mmである。
【0055】
外管部18の内面側には、3つの管路部、具体的には、1つの第1管路部20と2つの第2管路部22a,22bとが形成されている。図3および図4(a)に示すように、この実施例では、第1管路部20および第2管路部22a,22bは、断面三角形の各頂点のそれぞれに配置され、それらの開口端部は、外管部18の開口端部よりも外側に位置している(図2参照)。
【0056】
第1管路部20は、詳細は後に説明するように、第1管部材14の第1分割管部32と第2管部材16の第2分割管部40とを組み合わせることによって構成され、その断面は略真円形状である。
【0057】
第1管路部20は、第1管部材14と第2管部材16とを分離させることによって、たとえばその中央部付近で開口可能となっており、既設管200にケーブル保護管部材10を挿入するときに、既設ケーブル202の収容スペースとして用いられる。換言すると、第1管部材14の第1分割管部32と第2管部材16の第2分割管部40とを協働させることにより、既設ケーブル202を収容する第1管路部20が形成される。第1管路部20の内径は、たとえば35mmである。
【0058】
また、図3および図4(b)に示すように、第1管路部20と第1管部材14の管壁との間には、2つの第2管路部22a,22bが形成される。この2つの第2管路部22a,22bは、それぞれ第1管路部20とは独立して形成され、その断面は略真円形状である。第2管路部22a,22bは、ケーブル202以外の新たなケーブルを挿入することができる新たな管路として用いられる。たとえば、第2管路部22a,22bの内径は、それぞれ28mmである。
【0059】
さらに、図3および図4(c)に示すように、外管部18の外周面には、外管部18の軸方向の両端部のそれぞれに、移動補助部24が形成される。移動補助部24は、外管部18の外周面の全周に亘って径方向の外側に向けて環状に突出し、その最大外径は、既設管200の内径より小さく設定される。
【0060】
図3および図4に示すように、第1管部材14は、断面が略半円弧状の第1管壁26を含み、第1管壁26の周方向の両側縁には、合成ゴムまたはエラストマ等からなる第1止水材28が設けられている。第1止水材28は、第1管部材14の軸方向に沿ってその全長に亘って連続して設けられており、詳細は後に説明するように、第1嵌合部30と第2嵌合部38とを嵌め合わせたときに、第1管壁26の周方向の側縁と第2管壁36の周方向の側縁とに接触して、これらの間を止水する。
【0061】
また、第1管壁26の周方向両側縁には、第1止水材28よりも内側の位置に、第1嵌合部30がそれぞれ形成されている。そして、その2つの第1嵌合部30を結ぶように、断面が半円筒形の第1分割管部32が形成される。
【0062】
第1嵌合部30は、詳細は後述する、第2管部材16の第2嵌合部38と嵌合する部位であり、第1管部材14の軸方向に沿ってその全長に亘って連続して形成される。第1嵌合部30は、たとえば突起状の第2嵌合部38と略等しい大きさを有する窪み状に形成され、その窪みの底面には、合成ゴムまたはエラストマ等からなる第2止水材34が設けられている。第2止水材34は、薄い板状または円筒状に形成され、第1嵌合部30と第2嵌合部38とを嵌め合わせたときに、第1嵌合部30と第2嵌合部38とに接触して、これらの間を止水する。
【0063】
また、第2管部材16は、断面が略半円弧状の第2管壁36を含み、第2管壁36の円周方向両側縁には、第2嵌合部38がそれぞれ形成されている。そして、その2つの第2嵌合部38を結ぶように、断面が半円筒形の第2分割管部40が形成される。
【0064】
第2嵌合部38は、第1管部材14の第1嵌合部30と嵌合する部位であり、第2管部材16の軸方向に沿ってその全長に亘って連続して形成される。第2嵌合部38は、第1嵌合部30と略等しい大きさを有する突起状に形成され、第1嵌合部30の内部に嵌め込まれる。
【0065】
図5および図6に示すように、継手部材42は、弾性部材44と当該弾性部材44の外周面を覆う短管52とを備えており、上述したように、ケーブル保護管部材10の軸方向の端部どうしを接続する。
【0066】
弾性部材44は、たとえば、水膨張ゴムやSBR(スチレン・ブタジエン・ゴム)のような合成ゴムまたはエラストマ等によって筒状に形成され、その軸方向の長さは、たとえば40mmである。
【0067】
図5および図6(a)に示すように、弾性部材44の略中央部には、ケーブル保護管部材10の管路部20,22a,22bの全体の外形、つまり管路部20,22a,22bの管壁として機能している壁面部の外形と略同形状を有する空間である貫通部46が形成されている。貫通部46は、弾性部材44を軸方向に貫通しており、ケーブル保護管部材10の軸方向の端部どうしを継手部材42によって接続した状態では、この貫通部46によって、互いに隣接するケーブル保護管部材10の管路部20,22a,22bの開口端部が包含されることとなる。
【0068】
また、図5および図6(b)に示すように、弾性部材44の軸方向の両端部は、外管部18の外径と略等しい内径を有する円筒状に形成されており、そこに被覆部48が形成される。被覆部48は、互いに隣接するケーブル保護管部材10の本管12の軸方向の端部の外周面をその全周に亘って被覆し、さらに、図7に示すように、ケーブル保護管部材10の第1止水部材28に接触する。これによって、弾性部材44の被覆部48と本体12の外管部18との間が止水され、さらに、この被覆部48とケーブル保護管部材10の第1止水材28との間が止水される。
【0069】
さらに、図6(a)に示すように、弾性部材44の周方向の一部には、軸方向に延びるスリット50が形成されており、このスリット50を開閉することによって、弾性部材44をケーブル保護管部材10に着脱させることが可能となる。
【0070】
なお、弾性部材44によってケーブル保護管部材10の軸方向の端部を包含した後で、このスリット50に両面テープ(図示せず)を貼り付けることによって、スリット50を閉じるようにしてもよい。こうすることにより、弾性部材44の周方向の止水性が向上される。
【0071】
図5および図6に戻って、短管52は、ポリエチレンやポリ塩化ビニルやABS(アクリロニトリル・ブタジエンゴム・スチレン)などの合成樹脂からなり、その軸方向の長さは、たとえば40mmである。
【0072】
短管52は、互いに分離可能、すなわち開閉可能な、略半割り短円筒状の第1片部54および第2片部56を有し、この第1片部54と第2片部56とを接合して弾性部材44の外周面を覆うことにより、弾性部材44のスリット50が閉じた状態に保持される。つまり、この実施例では、短管52は、弾性部材44を締め付けることにより、弾性部材44のスリット50を閉じた状態に保持する締め付け部材として機能する。
【0073】
第1片部54の周方向両側縁には、第3嵌合部58がそれぞれ形成されている。第3嵌合部58は、第2片部56の第4嵌合部60と嵌合する部位であり、第4嵌合部60と略等しい大きさを有する突起状に形成され、第1片部54と第2片部56とを接合するときに、第4嵌合部60の内部に嵌め込まれる。
【0074】
第2片部56の周方向両側縁には、第4嵌合部60がそれぞれ形成されている。第4嵌合部60は、第1片部54の第3嵌合部58と嵌合するための部位であり、たとえば突起状の第3嵌合部58と略等しい大きさを有する窪み状に形成される。
【0075】
このようなケーブル保護管部材10と継手部材42とを用いて、ケーブル保護管路100を既設管200の内部全体に形成する方法を以下に示す。
【0076】
なお、既設管200は、土中に埋設されている鋼管等であって、その管径は、70−90mmである。既設管200の両端部には、マンホール(図示せず)が形成されている。
【0077】
先ず、マンホールの内部で、既設管200の端部開口である挿入口付近の既設ケーブル202にケーブル保護管部材10を取り付ける。具体的には、第1管部材14の第1分割管部32と第2管部材16の第2分割管部40とで既設ケーブル202を挟み込み、第1嵌合部30と第2嵌合部38とを嵌合させることによって、図8に示すように、ケーブル保護管部材10の第1管路部20の中に既設ケーブル202を収容する。
【0078】
続いて、上述したのと同じ要領で、既設ケーブル202にもう1つケーブル保護管部材10を取り付ける。
【0079】
次に、既設ケーブル202に取り付けたケーブル保護管部材10の軸方向の端部どうしを、継手部材42によって接続する。
【0080】
具体的には、互いに隣接するケーブル保護管部材10の軸方向の端部どうしを突き合わせて、各ケーブル保護管部材10の第1管路部20および第2管路部22a,22bの開口端部を弾性部材44によって包含するとともに、各ケーブル保護管部材10の外管部18の外周面を弾性部材44の被覆部48によって被覆する。そして、その弾性部材44を短管52の第1片部54と第2片部56とで挟み込み、第1片部54の第3嵌合部58と第2片部56の第4嵌合部60とを嵌合させることによって、弾性部材44のスリット50を閉じた状態に保持する。
【0081】
それから、既設ケーブル202に取り付けた2つのケーブル保護管部材10、ならびにそれらのケーブル保護管部材10の軸方向の端部どうしを接続している継手部材42によって構成されたケーブル保護管路100を、後方側、つまり挿入方向の反対側に配置されているケーブル保護管部材10の後方側の端部を残して、既設管200の挿入口に挿入する。
【0082】
次に、ケーブル保護管路100の後方側に、新たなケーブル保護管部材10を取り付ける。そして、そのケーブル保護管部材10と、既設管200に挿入せずに外部に残したケーブル保護管路100の後方側の端部とを、継手部材42を用いて接続し、そのまま新たに既設ケーブル202に取り付けたケーブル保護管部材10の長さ分だけ既設管200内に押し込む。
【0083】
そして、ケーブル保護管路100の先端が既設管200の端部開口である引出口に到達するまでこれを繰り返し、作業を終了する。
【0084】
このように、この実施例では、互いに分離可能な第1管部材14と第2管部材16との間が、第1止水材28によって止水される。このため、施工現場で接着剤やシーリング剤を塗布する等の面倒な作業を行わなくても、第1管部材14と第2管部材16とを接合させるだけで、ケーブル保護管部材10の水密性を保持することができる。したがって、この実施例によれば、ケーブル保護管路100の既設管200への挿入時の作業性を向上させることができる。
【0085】
また、この実施例では、ケーブル保護管部材10の内部に、第2管路部22a,22bが設けられるため、第1管路部20に既設ケーブル202を収容しても、第2管路部22a,22bを既設ケーブル202以外の新たなケーブルを挿入することができる新たな管路として用いることができる。つまり、既設ケーブル202の収容スペースとは別に、新たなケーブルの敷設スペースを確保することができる。
【0086】
さらに、第1管路部20および第2管路部22a,22bが断面略真円状に形成されるため、ケーブルに対する摩擦力を低減させることができる。つまり、既設ケーブル202の収容スペースとして用いられる第1管路部20においては、ケーブル保護管路100を既設管200内に挿入するときの挿入抵抗を小さくすることができる。そして、新たなケーブルの敷設スペースとして用いられる第2管路部22a,22bにおいては、その新たなケーブルを第2管路部22a,22bに挿入するときの挿入抵抗を小さくすることができる。
【0087】
さらにまた、この実施例では、ケーブル保護管部材10の本体12の外周面に移動補助部24が形成される。このため、ケーブル保護管路100を既設管200内に挿入するときに、既設管路100の内面との接触面積を小さくして、ケーブル保護管路100の移動に対する摩擦力を低減することができる。したがって、ケーブル保護管路100を既設管200内に挿入するときの挿入抵抗を低減させることができ、しかも、たとえ既設管路100の内面が凸凹している場合であっても、ケーブル保護管路100を既設管路100内にスムーズに挿入することが可能である。
【0088】
さらに、この実施例では、第1嵌合部30と第2嵌合部38との間が、第2止水材34によって止水される。したがって、互いに分離可能な第1管部材14と第2管部材16との間を、第1止水材28と第2止水材34とによって二重に止水することとなり、より確実にケーブル保護管部材10の水密性を保持することができる。
【0089】
また、この実施例では、本体12の外管部18は、互いに分離可能な第1管壁26と第2管壁36とを接合することによって断面略真円状に形成される。ここで、上述したように、特許文献2のケーブル保護管部材のように、円周方向の一部分を開口させた1つの部材を強制的に断面真円状に形成する場合には、部材に残留応力が生じてしまい、この残留応力を低減させるためには、その部材を加熱軟化させるための処理が必要となる。しかしながら、この実施例によれば、ケーブル保護管部材10の外管部18に残留応力が生じることがないため、部材を加熱軟化させるための処理も不要となる。
【0090】
さらにまた、この実施例では、ケーブル保護管部材10の軸方向の端部どうしを突き合わせ、その端部どうしを継手部材42を用いて接続することにより、ケーブル保護管路100が構成される。そして、ケーブル保護管部材10の本体12の外管部18の軸方向の端部の外周面がその全周に亘って弾性部材44の被覆部48に被覆されることで、本体12の外管部18と弾性部材44との間が止水され、さらに、この被覆部48がケーブル保護管部材10の第1止水材28に接触することで、弾性部材44の第1止水材28との間が止水される。
【0091】
つまり、この実施例によれば、ケーブル保護管部材10の軸方向の端部どうしを継手部材42を用いて接続するだけで、ケーブル保護管路100の水密性をその全長に亘って保持することが可能である。
【0092】
さらに、図9に示すように、継手部材42の内部で突き合わせているケーブル保護管部材10をそれぞれ傾けることにより、ケーブル保護管路100を曲げることが可能であるため、既設管200に曲線部分があっても、その曲線部分に応じてケーブル保護管路100を曲げることで、ケーブル保護管路100を既設管200内へ円滑に挿入できる。
【0093】
また、この実施例では、継手部材42の弾性部材44に、ケーブル保護管部材10の管路部20,22a,22bの全体の外形と略同形状を有する貫通部46が形成される。そして、ケーブル保護管部材10の軸方向の端部どうしを継手部材42によって接続した状態では、この貫通部46に、互いに隣接するケーブル保護管部材10の管路部20,22a,22bの開口端部が包含される。したがって、ケーブル保護管部材10どうしを、周方向に捻れを生じさせることなく、各管路部20,22a,22bどうしを軸方向に連続させて接続することが可能である。
【0094】
なお、上述の実施例では、ケーブル保護管部材10を既設管200の挿入口60側から押し込む方法によって、ケーブル保護管路100を既設管200の内部に挿入したが、これに限定される必要はない。たとえば、既設管200の引出口側からロープ等で牽引する方法によって、既設管200の内部へケーブル保護管部材10を挿入することもできる。また、これらの方法を併用するようにしてもよい。以下、同様である。
【0095】
さらに、図10に示すように、第1管壁26の外面に、第1管壁26の外面から下方向に向けて突出する止水材保持部62を設けるようにしてもよい。止水材保持部62は、第1管壁26の軸方向に沿って設けられ、第1管壁26と協働して第1止水材28を挟み込むことで、第1止水材28が外れないようにする。たとえば、止水材保持部62は、第1止水材28と弾性部材44の被覆部48との接触を阻害しないように、一方の移動補助部24と他方の移動補助部24との間の長さ範囲内に形成される。
【0096】
さらにまた、継手部材42の締め付け部材として、弾性部材44の外周面を覆う短管52ではなく、ステンレスバンド64を用いるようにしてもよい。たとえば、図11に示すように、継手部材42は、弾性部材44とステンレスバンド64とを備えており、弾性部材44の周方向にステンレスバンド64を巻いて締め付けることによって構成される。図12および図13に示すように、たとえば、2本のステンレスバンド64を用いて、互いに隣接するケーブル保護管部材10のそれぞれの管路部20,22a,22bを包含した状態の弾性部材44に巻き付ける。そして、ステンレスバンド64を留めることによって、弾性部材44をそのスリット50が閉じた状態に保持することができる。たとえば、弾性部材44の外形をやや楕円筒状(扁平筒状)に形成し、その扁平させている部分にステンレスバンド64の留め具等を配置するようにすれば、ステンレスバンド64における留め具等がケーブル保護管部材10の移動補助部24よりも外側に突出することもなくなる。
【0097】
図14−図17に示すこの発明の他の一実施例であるケーブル保護管部材10では、ケーブル保護管部材10の軸方向の端部に突起部66が設けられる。以下、図1に示すケーブル保護管部材10と共通する部分については同じ番号を付して、重複する説明は省略する。
【0098】
図14および図15に示すように、ケーブル保護管部材10の軸方向の両端部には、複数、この実施例では3つの突起部66が設けられる。突起部66は、管路部20,22a,22bの開口端面と同一面上に設けられ、管路部20,22a,22bの管壁として機能している壁面部の外周面から外側に向けて突出し、詳細は後に説明するように、弾性部材44の窪み部68に嵌め合わされる。この実施例では、第1管路部20と第2管路部22aとを跨ぐように1つの突起部66が設けられ、第1管路部20と第2管路部22bとを跨ぐように1つの突起部66が設けられ、第2管路部22aと第2管路部22bとを跨ぐように1つの突起部66が設けられる。
【0099】
また、図16および図17に示すように、弾性部材44の内周面には、その軸方向の中央部に、突起部66と略等しい形状を有する窪み部68が形成される。そして、継手部材42の内部で突き合わせているケーブル保護管部材10のそれぞれの突起部66を窪み部68に嵌め込むことによって、突起部66と窪み部68とが、つまりケーブル保護管部材10と弾性部材44とが互いに係止される。
【0100】
この実施例によれば、ケーブル保護管部材10と継手部材42との間に離脱力が作用しても、ケーブル保護管部材10の突起部66が弾性部材44の窪み部68に係止されることによって、ケーブル保護管部材10および弾性部材44の互いに離れる方向の動きが規制されるため、ケーブル保護管部材10と継手部材42との離脱が極めて生じにくい。
【0101】
なお、この実施例では、管路部20,22a,22bの開口端面と同一面上に突起部66が設けられ、弾性部材44の内周面の軸方向の中央部に窪み部68が形成されたが、これに限定される必要はなく、突起部60は本管12の軸方向の端部に設けられているのであればよい。たとえば、図示は省略するが、管路部20,22a,22bの管壁として機能している壁面部の外面の任意の位置に突起部66を設け、その突起部66の位置に対応させて弾性部材44の内面に窪み部68を形成するようにしてもよいし、ケーブル保護管部材10の外管部18の外周面に突起部66を設けるようにしてもよい。
【0102】
さらに、この実施例では、弾性部材44の内周面に窪み部68が形成され、ケーブル保護管部材10の突起部66と弾性部材44の窪み部68とが互いに係止されたが、これに限定される必要はない。たとえば、図示は省略するが、外管部18の外周面に突起部66を設け、その突起部66を弾性部材44の被覆部48によって覆い、それよりも奥側で弾性部材44の被覆部48をステンレスバンド64で締め付けることによって、突起部66と弾性部材44とを互い係止させるようにしてもよい。要は、ケーブル保護管部材10の突起部66を弾性部材44に係止できるのであればよい。
【0103】
さらにまた、本管12と突起部66とは、工場において一体に形成するようにしてもよいし、個別に形成したものを現場で接着剤等により接合するようにしてもよい。
【0104】
図18−図25に示すこの発明の他の一実施例であるケーブル保護管部材10では、管路部20,22a,22bの開口端面に傾斜面72が形成される。以下、図1に示すケーブル保護管部材10と共通する部分については同じ番号を付して、重複する説明は省略する。
【0105】
図18に示すように、ケーブル保護管部材10は、その軸方向の端部どうしが継手部材42に接続されることによってケーブル保護管路100を構成するものであり、射出成形等によって短管形状に形成される。
【0106】
図19および図20に示すように、ケーブル保護管部材10は、互いに分離可能、すなわち開閉可能な第1管部材14と第2管部材16とを有する本体12を備えている。本体12は、管壁として機能する外管部18を含み、外管部18は、第1管壁26と第2管壁36とによって構成される。
【0107】
外管部18の内面側には、1つの第1管路部20と2つの第2管路部22a,22bとが形成されている。図21に示すように、第1管路部20および第2管路部22a,22bは、断面三角形の各頂点のそれぞれに配置され、それらの開口端部は、外管部18の開口端部よりも外側に位置している。
【0108】
また、図22および図23に示すように、管路部20,22a,22bの開口端面、つまり管路部20,22a,22bの管壁として機能している壁面部70の端面には、所定角度θで傾斜する傾斜面72が形成される。傾斜面72は、本体12の端面の中央側から周縁側に向かって下り勾配(つまり、本体12の先端側から奥側に向かう勾配)となっており、この実施例では、各管路部20,22a,22bの開口端面に1つずつ、合計3つの傾斜面72が形成される。
【0109】
なお、傾斜面72の所定角度θは、ケーブル保護管路100の全長、曲率半径、交角などの条件に対応させて設定するとよく、ケーブル保護管部材10に必要とされる曲げ角度、つまりケーブル保護管路100において1つのケーブル保護管部材10が分担する曲げ角度と同じ或いはほぼ同じに設定することが好ましい。
【0110】
たとえば、管長が230mmのケーブル保護管部材10を用いて、全長150m、曲率半径2.5m、交角60°のケーブル保護管路100を形成する場合には、傾斜面50の角度θを4.6度に設定するとよい。
【0111】
図19および図20に戻って、壁面部70の外周面には、管路部20,22a,22bの開口端面と同一面上に、3つの突起部66が設けられ、弾性部材44の突起部68に嵌め合わされる。この実施例では、第1管路部20と第2管路部22aとを跨ぐように1つの突起部66が設けられ、第1管路部20と第2管路部22bとを跨ぐように1つの突起部66が設けられ、第2管路部22aと第2管路部22bとを跨ぐように1つの突起部66が設けられる。
【0112】
また、本体12の外管部18の外周面には、軸方向の両端部のそれぞれに、移動補助部24が形成される。移動補助部24は、ケーブル保護管路100を既設管200内に挿入するときに、既設管路200の内部で移動補助部24が引っ掛かることがないように、本体12の先端側から奥側に向かって下り勾配となるテーパ状に形成されており、その最大外径は、既設管200の内径より小さく設定される。
【0113】
第1管壁26の周方向の両側縁には、第1止水材28が設けられており、この第1止水材28の外側には、止水材保持部62が形成されている。図24に示すように、止水材保持部62は、第1管壁26の外面から下方向に向けて突出し、第1管壁26と協働して第1止水材28を挟み込むことによって、第1止水材28が外れないようにする。
【0114】
また、第2管壁36の周方向の両側縁には、第1止水材28に対応する位置に、突条74が形成される。突条74は、第2管部材16の軸方向に沿ってその全長に亘って連続して形成されており、第1嵌合部30と第2嵌合部38とを嵌め合わせた状態において、第1止水材28を第1管壁26側に押圧する。これによって、第1管部材14と第2管部材16との間の止水性が向上される。
【0115】
図25および図26に示すように、継手部材42は、弾性部材44と当該弾性部材44の外周面を覆う短管52とを備えており、上述したように、ケーブル保護管部材10の軸方向の端部どうしを接続する。
【0116】
弾性部材44の略中央部には、壁面部70の外形と略同形状を有する空間である貫通部46が形成されており、ケーブル保護管部材10の軸方向の端部どうしを継手部材42によって接続した状態では、この貫通部46に互いに隣接するケーブル保護管部材10の管路部20,22a,22bの開口端部が包含される。
【0117】
また、弾性部材44の周方向の一部には、軸方向に延びるスリット50が形成されている。スリット50は、弾性部材44の径方向に対して傾斜して形成されており、この傾斜部分50aによって弾性部材44の周方向の止水性が向上される。また、両面テープを貼り付けてスリット50を閉じる場合にも、その傾斜部分50aに貼り付けた両面テープは接着させ易いため、作業性を向上できる。
【0118】
図27に示すように、短管52は、互いに分離可能、すなわち開閉可能な、略半割り短円筒状の第1片部54および第2片部56を有している。
【0119】
第1片部54の周方向の両側縁には、第3嵌合部58a,58bがそれぞれ形成され、第2片部56の周方向の両側縁には、第4嵌合部60a,60bがそれぞれ形成される。第3嵌合部58aは、第1片部54の周方向の一方の側縁に形成され、第4嵌合部60aの内部に縦方向、つまり第1管部材14と第2管部材16との接合方向と同じ方向に嵌め合わされる。また、第3嵌合部58bは、第1片部54の周方向の他方の側縁に形成され、第4嵌合部60bの内部に横方向、つまり第1管部材14と第2管部材16との接合方向と直交する方向に嵌め合わされる。
【0120】
また、短管52の内面には、第3止水材76が設けられる。第3止水材76は、吸水性繊維によってシート状に形成され、短管52の内面に貼り付けるようにして設けられる。吸水性繊維の具体例として、たとえば市販品では、東洋紡績(株)製のランシールF(商品名)等が用いられ得る。
【0121】
第3止水材76は、図25および図26に示すように、弾性部材44の外周面をその全周に亘って被覆するとともに、互いに隣接するケーブル保護管部材10の本管12の軸方向の端部の外周面をその全周に亘って被覆し、さらに、ケーブル保護管部材10の第1止水部材28に接触する。このように、本管12の軸方向の端部の外周面と弾性部材44の外周面とを第3止水材76によってオーバーラップすることにより、第3止水材76とケーブル保護管部材10の本体12との間が止水されるとともに、この第3止水材76とケーブル保護管部材10の第1止水材28との間が止水され、さらに第3止水材76と弾性部材44との間が止水される。
【0122】
なお、本願発明者等が、吸水性繊維で形成した第3止水材76によって本管12の軸方向の端部の外周面と弾性部材44の外周面とをオーバーラップして、ケーブル保護管部材10と継手部材42との連結部の水密性の実験を行ったところ、0.1MPaでも漏水がおこらないことが確認されている。
【0123】
このように、この実施例では、管路部20,22a,22bの開口端面に、所定角度θで傾斜する傾斜面72が形成される。このため、ケーブル保護管部材10を継手部材44の内部で突き合わせたときに、隣り合うケーブル保護管部材10の管路部20,22a,22bの開口端面どうしの間に隙間が生じるため、ケーブル保護管部材10を容易に傾けることができるようになる。したがって、曲線状のケーブル保護管路100を形成し易い。
【0124】
さらに、ケーブル保護管部材10を傾けても、管路部20,22a,22bの開口端どうしが局部的に接触することがないため、その接触箇所が破損したり変形したりしてしまう恐れを低減することができる。
【0125】
また、この実施例では、短管52の内面に、本管12の軸方向の端部の外周面と弾性部材44の外周面とをオーバーラップする第3止水材76が設けられる。このため、ケーブル保護管部材10と継手部材42との連結部の止水性を向上させることができ、さらに弾性部材44の周方向の止水性も向上させることができる。
【0126】
その上、第3止水材76を吸水性繊維で形成することにより、水膨張ゴム等を素材として用いた場合と比較して、第3止水材76を薄くすることができるため、その分だけ継手部材42の径を小さくすることが可能である。
【0127】
さらにまた、この実施例では、第1片部54の第3嵌合部58aと第2片部56の第4嵌合部60aとを縦方向に嵌め合わせ、そして第1片部54の第3嵌合部58bと第2片部56の第4嵌合部60bとを横方向に嵌め合わせるようにした。このように、一方の嵌合部(第3嵌合部58a、第4嵌合部60a)と、もう一方の嵌合部(第3嵌合部58b、第4嵌合部60b)とで嵌め合わせ方向を直交させることにより、第1片部54と第2片部56との接合時において、寸法公差を吸収して接合することができる。したがって、短管52を断面略真円状にすることが可能となる。
【0128】
さらに、第3嵌合部58bと第4嵌合部60bとを横方向、つまり第1管部材14と第2管部材16との接合方向と直交する方向に嵌め合わせるようにしたため、第3嵌合部58bを第4嵌合部60bの内部に押し込むときに、第4嵌合部60bが弾性部材44に当たってそこから反力を受けることで、押し込み力を適切に伝えることができる。つまり、安定して効率よく、第3嵌合部58bと第4嵌合部60bとを嵌め合わせることが可能である。
【0129】
これに対し、第3嵌合部58aを第4嵌合部60aの内部に押し込むときには、第4嵌合部60aがどこにも当たらず反力を受けることができないので、押し込み力によって第2片部56に反り等の変形が生じてしまう恐れがあり、第3嵌合部58aと第4嵌合部60bとを嵌め合わせることが難しい。
【0130】
したがって、先ず、第1片部54の第3嵌合部58aを第2片部56の第4嵌合部60aに縦方向に嵌め合わせておき、その後で第1片部54の第3嵌合部58bを第2片部56の第4嵌合部60bに横方向に嵌め合わせるようにすれば、第1片部54と第2片部56との接合時において、寸法公差を吸収しつつ、作業性を向上させることができる。
【0131】
しかも、この場合には、第3嵌合部58aと第4嵌合部60aとを縦方向に嵌合させているので、その嵌合部分に外側からマイナスドライバーを差し込んでこじ開ける等することにより、第3嵌合部58aと第4嵌合部60aとを簡単に外すことができる。したがって、先ず、第1片部54の第3嵌合部58aと第2片部56の第4嵌合部58aとの嵌め合わせを外し、その後で第1片部54の第3嵌合部58bと第2片部56の第4嵌合部58bとの嵌め合わせを外すようにすれば、万が一の場合にも、簡単に第1片部54と第2片部56とを分離させることが可能である。
【0132】
なお、この実施例では、管路部20,22a,22bの開口端面に、中央側から周縁側に向かって下り勾配となる傾斜面72を形成したが、これに限定される必要はない。これは、あくまで管路部20,22a,22bの開口端面が外管部18の開口端よりも外側に位置しており、管路部20,22a,22bの開口端面が本体12の軸方向の端面に相当したからであって、たとえば、外管部18の開口端が管路部20,22a,22bの開口端よりも外側に位置している場合には、その外管部18の開口端面に傾斜面72を形成するようにしてもよい。
【0133】
また、傾斜面72に限定される必要もなく、本体12の軸方向の端面に、中央側が周縁側よりも上がる段差面を形成するようにしてもよいし、本体12の軸方向の端面の中央部に、たとえば先端面を曲面状に形成した突起状の当たり部を形成するようにしてもよい。
【0134】
要は、本体12の軸方向の端面を、その中央側が周縁側と比べて突き出す形状に形成すればよい。
【0135】
また、この実施例では、第2管部材16には、第1止水材28に対応する位置に、突条74が形成され、この突条74によって第1止水材28が第1管壁26側に押圧されたが、これに限定される必要はない。たとえば、図示は省略するが、第1管部材14の周方向の側縁に突条74を設けて、この突条74によって第1止水材28を第2管壁36側に押圧するようにしてもよい。
【0136】
さらにまた、この実施例では、2つの第3嵌合部58のうちの1つの第3嵌合部58aを縦方向、つまり第1管部材14と第2管部材16との接合方向に嵌合させ、もう1つの第3嵌合部58bを横方向、つまり第1管部材14と第2管部材16との接合方向と直交する方向に嵌合させるようにしたが、これに限定される必要はなく、一方の嵌合部(第3嵌合部58a、第4嵌合部60a)と、もう一方の嵌合部(第3嵌合部58b、第4嵌合部60b)とで嵌合方向が直交していればよい。一例を挙げると、一方の第3嵌合部58aを第1管部材14と第2管部材16との接合方向から45°傾けた方向に嵌合させ、もう一方の第3嵌合部58bを第1管部材14と第2管部材16との接合方向から135°傾けた方向に嵌合させるようにしてもよい。ただし、この実施例における「直交」とは、嵌合方向が厳密に直交しているか否かを定義するものではなく、嵌合方向がほぼ直交している場合を含む。
【0137】
また、一方の嵌合部(第3嵌合部58a、第4嵌合部60a)と、もう一方の嵌合部(第3嵌合部58b、第4嵌合部60b)とを、それぞれ横方向、つまり第1管部材14と第2管部材16との接合方向と直交する方向に嵌め合わせるようにしてもよい。この場合には、第1片部54と第2片部56との接合時において、寸法公差を吸収して接合することはできないが、上述したように、第3嵌合部58と第4嵌合部60とを安定して効率よく嵌め合わせることが可能であるため、作業性がより向上される。
【0138】
なお、上述の各実施例ではいずれも、弾性部材44は、その周方向の一部にスリット50が形成された断面略C字形状を有しており、このスリット50において弾性部材44が開閉されてケーブル保護管部材10に着脱可能となったが、これに限定される必要はない。たとえば、図28および図29に示すように、弾性部材44に2つのスリット50を形成し、このスリット50において弾性部材44を2つに分割することで、弾性部材44をケーブル保護管部材10に着脱可能としてもよい。ただし、図28および図29では、図10の実施例におけるケーブル保護管部材10によって図示したが、図14の実施例におけるケーブル保護管部材10や、図18の実施例におけるケーブル保護管部材10でも同様である。
【0139】
さらに、上述の各実施例ではいずれも、ケーブル保護管部材10の外管部18内面側に、2つの第2管路部22a,22bを設けたが、これに限定される必要はない。既設ケーブル202の外径等に応じて、すなわち既設管200内の余剰スペースの大きさ等に応じて、第2管路部22の数は適宜変更可能である。
【0140】
さらにまた、上述の各実施例ではいずれも、本管12の外管部18の外周面の全周に亘って移動補助部24を形成したが、これに限定される必要はなく、外管部18の周方向に間欠的に移動補助部24を形成するようにしてもよい。また、外管部18の外周面に部分的に移動補助部24を形成するようにしてもよく、たとえば、第1管壁26のみに移動補助部24を形成してもよく、第2管壁36のみに移動補助部24を形成してもよい。さらに、外管部18と移動補助部24とは、工場において一体に形成するようにしてもよいし、個別に形成したものを現場で接着剤等により接合するようにしてもよい。
【0141】
また、上述の各実施例ではいずれも、第1管部材14の第1嵌合部30と第2管部材16の第2嵌合部38とを嵌合させることによって、第1管部材14と第2管部材16とが接合されたが、これに限定される必要はない。第1管部材14と第2管部材16との接合構造は、係止、係合などの適宜な接合構造を採用することができ、たとえば、図示は省略するが、ステンレスバンド等の締め付け具によって、第1管部材14と第2管部材16とを接合するようにしてもよい。
【0142】
さらに、上述の各実施例ではいずれも、管路部20,22a,22bの管壁として機能する壁面部と外管部18との間が空洞となっていたが、これに限定される必要はない。ケーブル保護管部材10の成形の際にこの空洞を埋めて成形するようにしてもよい。この場合には、ケーブル保護管部材10の偏平剛性が高くなる。
【0143】
さらにまた、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0144】
10 …ケーブル保護管部材
12 …本管
14 …第1管部材
16 …第2管部材
18 …外管部
20 …第1管路部
22a,22b …第2管路部
24 …移動補助部
26 …第1管壁
28 …第1止水材
30 …第1嵌合部
32 …第1分割管部
34 …第2止水材
36 …第2管壁
38 …第2嵌合部
40 …第2分割管部
42 …継手部材
44 …弾性体
50 …スリット
52 …短管
54 …第1片部
56 …第2片部
58 …第3嵌合部
60 …第4嵌合部
66 …突起部
100 …ケーブル保護管
200 …既設管
202 …既設ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にケーブルが敷設された既設管に挿入されるケーブル保護管部材であって、
互いに分離可能な第1および第2管部材を有する本体、
前記第1管部材に形成される第1分割管部、
前記第2管部材に形成されるかつ前記第1分割管部と協働して前記ケーブルを収容する第1管路部を形成する第2分割管部、
前記第1および第2管部材の少なくともいずれか一方に前記第1管路部とは独立して形成される少なくとも1つの第2管路部、および
前記第1および第2管部材のいずれか一方に設けられ、前記第1管部材と前記第2管部材とが接合した状態で前記第1管部材と前記第2管部材との間を止水する第1止水材を備える、ケーブル保護管部材。
【請求項2】
全体として短管形状を有し、軸方向の端部どうしが水密的に接続されることによりケーブル保護管路を構成する、請求項1記載のケーブル保護管部材。
【請求項3】
前記第1および第2管部材は、互いに分離可能な第1および第2管壁をそれぞれ含み、
前記第1分割管部は、前記第1管壁の内面側に形成され、前記第2分割管部は、前記第2管壁の内面側に形成され、前記第2管路部は、前記第1および第2管壁の少なくともいずれか一方の内面側に形成され、さらに前記第1止水材は、前記第1および第2管壁のいずれか一方の周方向両側縁に設けられて、前記第1管部材と前記第2管部材とが接合した状態で前記第1管壁と前記第2管壁との間を止水する、請求項1または2記載のケーブル保護管部材。
【請求項4】
前記第1管壁の内面側に形成される第1嵌合部、
前記第2管壁の内面側に形成されるかつ前記第1嵌合部と嵌まり合う第2嵌合部、および
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが嵌合した状態で前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間を止水する第2止水材をさらに備える、請求項3記載のケーブル保護管部材。
【請求項5】
前記本体の軸方向の端面は、その中央側が周縁側と比べて突き出す形状に形成される、請求項2ないし4のいずれかに記載のケーブル保護管部材。
【請求項6】
前記端面は、その中央側から周縁側に向かって下り勾配となる傾斜面を有する、請求項5記載のケーブル保護管部材。
【請求項7】
前記傾斜面の傾斜角度は、前記ケーブル保護管路における1つのケーブル保護管部材が分担する曲げ角度に応じて設定される、請求項6記載のケーブル保護管部材。
【請求項8】
前記端面は、その中央側が周縁側よりも上がる段差面を有する、請求項5記載のケーブル保護管部材。
【請求項9】
前記本体の外周面に設けられる移動補助部をさらに備える、請求項1ないし8のいずれかに記載のケーブル保護管部材。
【請求項10】
前記第1および第2管路部のそれぞれは、断面略真円状に形成される、請求項1ないし9のいずれかに記載のケーブル保護管部材。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のケーブル保護管部材を継手部材を用いて軸方向に接続したケーブル保護管路であって、
前記継手部材は、互いに隣接する前記ケーブル保護管部材の軸方向の端部を包含する弾性部材を含み、
前記弾性部材は、前記本体の外周面を全周に亘って被覆し、前記弾性部材と前記第1止水材とが互いに接触する、ケーブル保護管路。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれかに記載のケーブル保護管部材を継手部材を用いて軸方向に接続したケーブル保護管路であって、
前記継手部材は、
互いに隣接する前記ケーブル保護管部材の軸方向の端部を包含する弾性部材、および
吸水性繊維によって形成され、前記弾性部材の外周面を全周に亘って被覆するとともに、前記本体の外周面を全周に亘って被覆する第3止水材を含み、
前記第3止水材と前記第1止水材とが互いに接触する、ケーブル保護管路。
【請求項13】
前記継手部材は、前記弾性部材の外周面を覆うかつ互いに分離可能な第1および第2片部を有する短管をさらに含み、
前記短管は、
前記第1片部に形成される2つの第3嵌合部、および
前記第2片部に形成されるかつ前記第1嵌合部と嵌まり合う2つの第4嵌合部を含み、
第1方向において、一方の前記第3嵌合部と一方の前記第4嵌合部とが嵌まり合い、前記第1方向と直行する第2方向において、他方の前記第3嵌合部と他方の前記第4嵌合部とが嵌まり合う、請求項11または12記載のケーブル保護管路。
【請求項14】
前記ケーブル保護管部材の軸方向の端部には、外側へ突出する突起部が設けられ、前記突起部と前記弾性部材とが互いに係止する、請求項11ないし13のいずれかに記載のケーブル保護管路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−101583(P2011−101583A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225475(P2010−225475)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【Fターム(参考)】