ケーブル及びノイズ低減構造
【課題】電磁波ノイズの対策を有効かつ低コストで実現することが可能なケーブル及びノイズ低減構造を提供する。
【解決手段】フラットケーブル1は、接合部14を介してノイズ源17を有する基板16とノイズ源を有しない基板18とを互いに電気的に接続するためのものである。フラットケーブル1は、複数の導線を並列配置して保護被覆で帯状に束ねて一体に構成されたフラットケーブル本体11と、フラットケーブル本体11の長さ方向に沿って配設された付加線12と、を有する。付加線12の一方の端部12aが接合部14を介してグランドGNDに接続され、付加線12の反対側の端部12bは開放状態である。
【解決手段】フラットケーブル1は、接合部14を介してノイズ源17を有する基板16とノイズ源を有しない基板18とを互いに電気的に接続するためのものである。フラットケーブル1は、複数の導線を並列配置して保護被覆で帯状に束ねて一体に構成されたフラットケーブル本体11と、フラットケーブル本体11の長さ方向に沿って配設された付加線12と、を有する。付加線12の一方の端部12aが接合部14を介してグランドGNDに接続され、付加線12の反対側の端部12bは開放状態である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば基板間又は基板内の配線に用いられるフラットケーブル等のケーブル及びノイズ低減構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にデジタル機器等の機器間をフラットケーブルで接続した場合、この電気的接続により疑似的なアンテナが形成され、電磁波ノイズが発生し機器セットから漏れ出てしまうことがある。このような電磁波ノイズの対策として、従来から種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
この特許文献1には、高いノイズ吸収率を持たせることができる主にフラットケーブル用フェライトコアが開示されている。すなわち、特許文献1は、フェライトコアに、ケーブルを挿通するための複数の挿通孔を所定間隔で穿設して成り、ケーブルの複数の挿通孔への挿通は、挿通孔の穿設方向一端から他端に向かう方向への挿通と、挿通孔の穿設方向他端から一端に向かう方向への挿通とが順次交互に繰り返されている構造を開示している。
【0004】
また、特許文献2には、電磁波シールド性に優れ、全体厚さを薄くできて柔軟でかつ屈曲性に優れ、かつ、機器へ接続する耐ハンダ性がある電磁波シールド付きフラットケーブルが開示されている。すなわち、特許文献2は、複数の導体を同一平面内で配列した導体列を、両面より接着剤層を有する帯状被覆材にて被覆してなるフラットケーブルにおける、該フラットケーブルの少なくとも一方の面へ、基材、必要に応じて剥離層、耐熱保護層、導電層、熱接着層が、順次積層されている電磁波シールド転写箔を用いて、耐熱保護層、導電層、熱接着層からなる電磁波シールド層を転写して一体化したことを特徴とする電磁波シールド付きフラットケーブルを開示している。
【0005】
【特許文献1】特開平11−214222号公報
【特許文献2】特開2006−286318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、電磁波ノイズの対策としてフェライトコアを用いたとしても、約300MHz〜1GHzの範囲でのシールド効果を期待できるものの、それよりも高周波の領域ではシールド効果を期待することが難しい。また、フェライトコアを用いると、より高速な伝送信号の波形がなまり動作に支障をきたすおそれがある。
【0007】
また、別の電磁波ノイズの対策としてシールド材を用いる場合には、シールド材を含むケーブル全体がアンテナとして作用することになり、十分な電磁波ノイズの対策を期待することが難しい。また、シールド材として用いる材料は高価なことからコストの低減を図ることが困難になる。
【0008】
本発明は、電磁波ノイズの対策を有効かつ低コストで実現することが可能なケーブル及びノイズ低減構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が適用されるケーブルは、複数の被接続部同士を互いに電気的に接続するのに用いられるケーブルであって、複数の導線を保護被覆で束ねて一体に構成されたケーブル本体と、前記ケーブル本体の長さ方向に沿って配設され、グランドに接続される一端部と開放状態の他端部とを有する付加部材と、を含むものである。
【0010】
ここで、前記付加部材を複数含み、前記複数の付加部材の中の第1付加部材の前記一端部は、前記ケーブル本体の端部に位置し、前記複数の付加部材の中の第2付加部材の前記一端部は、前記第1付加部材の前記一端部が位置する前記ケーブル本体の前記端部とは反対側の端部に位置することを特徴とすることができる。また、前記ケーブル本体は、複数の導線を保護被覆で帯状に束ねて一体に構成されたフラットケーブルの本体であり、前記第1付加部材と前記第2付加部材との間に前記ケーブル本体を構成する前記複数の導線が位置していることを特徴とすることができる。また、前記付加部材は、前記ケーブル本体が備える前記複数の導線の中の導線を途中で切断して形成されていることを特徴とすることができる。
【0011】
本発明が適用されるノイズ低減構造は、ノイズ源を有する基板と、複数の導線を保護被覆で束ねて一体に構成され、前記基板に端部が接続されるケーブルと、を含み、前記ケーブルは、当該ケーブルの長さ方向に沿って配設され、グランドに接続される一端部と開放状態の他端部とを有する付加部材を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、前記付加部材の前記一端部は、前記基板に接続される前記ケーブルの前記端部又は当該端部の反対側の端部に位置していることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電磁波ノイズの対策を従来よりも有効かつ低コストで実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1の(a)は、第1の実施の形態に係るケーブルを用いた接続例を示す概略構成図であり、(b)は、(a)の等価回路図である。
図1の(a)では、本実施の形態に係るケーブルの一例としてのフラットケーブル1を示している。本実施の形態に係るケーブルを、平型のフラットケーブル1以外の例えば横断面丸形の丸ケーブルについても同じく適用することができる。この適用については、第1の実施の形態以外の実施の形態でも同様である。
【0015】
図1に示すフラットケーブル1は、図示しない複数の導線ないし芯線を並列配置して保護被覆11a(図2参照)で帯状に束ねて一体に構成されたフラットケーブル本体11を有する。このフラットケーブル本体11は、所定の幅を有し、厚さが薄いために柔軟性があり、そのために、フラットケーブル1を、幅方向(フラットケーブルの長さ方向に交差する方向)に折り目が延びるように折り曲げないし屈曲が可能である。すなわち、このフラットケーブル1は、いわゆるフレキシブルフラットケーブル(Flexible flat cable)である。
【0016】
このフラットケーブル1には、シールド材が用いられていない。すなわち、フラットケーブル本体11を構成する複数の導線の全体をシールド材で覆っておらず、また、フラットケーブル本体11の複数の導線の各々をシールド材で覆っていない。しかしながら、後述するように、フラットケーブル1には、EMC(Electro-Magnetic Compatibility)の対策が施されている。
【0017】
フラットケーブル本体11を構成する複数の導線としては、単線とより線のどちらか一方に限定されるものではなく、どちらでも良い。また、フラットケーブル本体11の複数の導線を、単層とフラットケーブルの厚さ方向に積層する複数層のどちらか一方に限定されるものではなく、どちらでも良い。
【0018】
フラットケーブル本体11の各端部には、複数の導線の各々と電気的に接続される接合部14,15を有する。フラットケーブル1は、この接合部14,15を介して、2つの基板(被接続部)16,18の各々に取り付けられてこれらの基板16,18同士を電気的に接続する。ここにいう接合部としては、圧着等の接合手段により接合されるコネクタないしプラグを挙げることができる。
【0019】
図1に示すフラットケーブル1は、フラットケーブル本体11の長さ方向に沿って配設された付加線(付加部材、ノイズキャンセルアンテナ)12を有する。この付加線12は、途中で切れている。すなわち、付加線12の一方の端部(一端部)12aが接合部14を介してグランドGNDに接続され、付加線12の反対側の端部(他端部)12bは開放状態である。
【0020】
図2の(a)及び(b)は、付加線12を形成する一つの方法を説明する図である。すなわち、この付加線12としては、フラットケーブル1を製造する段階で形成することも考えられ、また、他の形成方法として、フラットケーブル1を構成する複数の導線の一つを利用することも考えられる。図2は、後者の形成方法を説明するためのものである。
具体的に説明すると、図2の(a)に示すように、一般的なフラットケーブルを用意し、その幅方向での最も外側の1本の導線を、一般的な工具を用いて保護被覆11aを含めて部分的に切除する。図2の(a)では切除領域を斜線で図示している。このように、1本の導線を所定の中間位置にて切除することで、付加線12が形成される。かかる加工によって、一端がグランドGNDに接続されると共に他端に開放端を有する付加線12を形成することができる。
【0021】
また、付加線12を形成する他の方法としては、図2の(b)に示すように、一般的なフラットケーブルの1本の導線を所定の中間位置にて切除すると共に、接合部15の付近も切除することで、付加線12が形成される。図2の(b)では、2箇所の切除領域を斜線で図示している。
【0022】
こうして、フラットケーブルの後加工によって付加線12を形成することで、製造コストの低減が可能になる。したがって、図1の(a)に示すフラットケーブル1は、フラットケーブル本体11と付加線12とで構成されているが、この付加線12がフラットケーブル本体11の一部を構成する場合もあり得る。
なお、本実施の形態では、付加線12として1本の線の場合について説明したが、フラットケーブルのいずれか片面ないし両面を覆うような付加部材を用いることも考えられる。
【0023】
図1に戻って説明を続ける。図1に示すフラットケーブル1は、RF(Radio Frequency)(高周波)用グランドが無いタイプである。すなわち、フラットケーブル本体11内にグランド線がない。そして、このようなフラットケーブル1の一端は、接合部14を介してノイズ源17を有する基板16に接続され、フラットケーブル1の他端は、接合部15を介してノイズ源を有しない基板18に接続されている。更に説明すると、フラットケーブル1の付加線12は、基板16側にグランドGNDに接続される端部12aが位置し、基板18側に開放端である端部12bが位置する。
【0024】
図3は、本実施の形態に係るフラットケーブル1についてのEMC対策の効果を示すグラフである。すなわち、上側のグラフは、本実施の形態に係るEMC対策のフラットケーブル1の特性を実線で示すと共にその比較例として、付加線を有しないEMC未対策のフラットケーブルの特性を破線で示したものであり、縦軸は受信レベル(dB)であり、横軸が周波数(MHz)である。また、下側のグラフは、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性を示すものであり、縦軸はVSWR値、横軸は周波数(MHz)である。
図3に示すように、EMC対策のフラットケーブル1の場合(実線参照)には、未対策の場合(破線参照)よりも受信レベルが低下しており、フラットケーブル1からの輻射の量が減少していることが分かる。
なお、図3に示すグラフは、フラットケーブル1の長さが12cmで、付加線12の長さが11cmの場合のEMC対策の効果を示すものである。付言すると、付加線12の長さは、EMC対策を施したい周波数帯により決定することができる。
【0025】
このように、フラットケーブル1を用いると、電子機器のEMC向上を図ることが可能になり、特にケーブル周辺のEMI(Electromagnetic Interference)の対策を図ることも可能になる。この意味で、フラットケーブル1を用いる構造をノイズ低減構造ないしEMI低減構造ということもできる。
【0026】
図4は、測定条件を説明するための概略構成図である。図4に示す構成例によって図3に示す測定結果を得た。すなわち、図4に示す構成例は、電気的高周波・マイクロ波回路、デバイスの高周波特性(インピーダンスなど)を測る計測器としてのネットワークアナライザ6と、ネットワークアナライザ6からの高周波が送られるフラットケーブル1と、フラットケーブル1と所定距離離間して配置され、フラットケーブル1から輻射される高周波を受信する受信アンテナ7と、を備えている。受信アンテナ7で受信された高周波はネットワークアナライザ6に入力される。ネットワークアナライザ6は、出力した高周波と入力された高周波とを用いて所定の解析を行うことにより被測定物の特性を計測する。
【0027】
このネットワークアナライザ6は、図示しない信号源と、この信号源で発生した高周波を出力する出力ポート61と、出力ポート61から出力されて被測定物を経由した高周波が入力される入力ポート62と、所定の演算を行う図示しない演算部と、演算結果を表示ないし印刷する図示しない表示印刷部と、を少なくとも備えている。そして、ネットワークアナライザ6の出力ポート61には、本実施の形態に係るEMC対策のフラットケーブル1又は未対策のフラットケーブルが接続される。また、ネットワークアナライザ6の入力ポート62には、受信アンテナ7が接続される。
【0028】
〔第2の実施の形態〕
図5の(a)は、第2の実施の形態に係るケーブル(フラットケーブル2)を用いた接続例を示す概略構成図であり、(b)は、(a)の等価回路図である。
図5に示すフラットケーブル2は、図1に示すフラットケーブル1と基本的な構成が共通するものであり、その説明を省略することがある。図5に示すフラットケーブル2は、図1に示すフラットケーブル1と同様に、フラットケーブル本体21と、一端がグランドGNDに接続されて他端が開放端の付加線22と、を有する。すなわち、この付加線22は、端部22bがグランドGNDに接続されると共に端部22aが開放状態である。そして、図5に示すフラットケーブル2は、RF用グランドが有るタイプであり、すなわち、コモンモードタイプである。
【0029】
そして、フラットケーブル2の一端は、接合部24を介してノイズ源27を有する基板26に接続され、他端は、接合部25を介してノイズ源を有しない基板28に接続されている。すなわち、フラットケーブル2の付加線22は、基板26側に開放端である端部22aが位置し、基板28側にグランドGNDに接続される端部22bが位置する。
【0030】
図6A〜図6Cは、本実施の形態に係るフラットケーブル2についてのEMC対策の効果を示すグラフである。図6A〜図6Cの上側のグラフは、本実施の形態に係るEMC対策のフラットケーブル2の特性を実線で示すと共にその比較例として、付加線を有しないEMC未対策のフラットケーブルの特性を破線で示したものであり、縦軸は受信レベル(dB)であり、横軸が周波数(MHz)である。また、下側のグラフは、VSWR特性を示すものであり、縦軸はVSWR値、横軸は周波数(MHz)である。
図6A〜図6Cは、フラットケーブル2の長さが24cmの場合であり、付加線22の長さを変えて測定した結果を示している。具体的に説明すると、図6Aでは付加線22の長さが24cmの場合、図6Bでは付加線22の長さが17cmの場合、図6Cでは付加線22の長さが13cmの場合をそれぞれ示している。図6A〜図6Cに示すように、EMC対策のフラットケーブル2の場合(実線参照)とEMC未対策のフラットケーブルの場合(破線参照)とで周波数特性が変化している。すなわち、EMC対策のフラットケーブル2の場合には、局所的に受信レベルが低下している。このため、受信レベルを低下させたい周波数が予め明確になっている場合に効果的である。付言すると、従来の技術によるフェライトコアを用いたりシールド材を用いたりする電磁波ノイズの対策では、コモンモードタイプのフラットケーブルに対しては効果的ではないので、そのような場合のEMC対策として、本実施の形態が有利である。
【0031】
図7は、第2の実施の形態に係るケーブル(フラットケーブル3)の一変形例を説明するための図であり、一変形例のフラットケーブル3を用いた接続例を示す概略構成図である。
図7に示すフラットケーブル3は、フラットケーブル本体31及び付加線(第1付加部材、第2付加部材)32,33を有する。そして、このフラットケーブル3は、接合部34を介してノイズ源37を有する基板36に接続され、かつ、接合部35を介してノイズ源39を有する基板38に接続される。このフラットケーブル3は、RF用グランドが有るタイプであり、すなわち、コモンモードタイプである。
【0032】
更に説明すると、フラットケーブル3は、2本の付加線32,33を有する。2本の付加線32,33は、フラットケーブル本体31の幅方向の両端に位置している。そして、2本の付加線32,33のうち付加線32は、基板38のノイズ源39に対するEMC対策用のものであり、基板36側にグランドGNDに接続される端部32aが位置し、基板38側に開放端である端部32bが位置する。また、もう一方の付加線33は、基板36のノイズ源37に対するEMC対策用のものであり、基板38側にグランドGNDに接続される端部33bが位置し、基板36側に開放端である端部33aが位置する。
【0033】
〔第3の実施の形態〕
図8は、第3の実施の形態に係るケーブル(フラットケーブル4)を用いた接続例を示す概略構成図である。
図8に示すフラットケーブル4は、図1に示すフラットケーブル1と基本的な構成が共通するものであり、その説明を省略することがある。図8に示すフラットケーブル4は、フラットケーブル本体41及び付加線42,43を有する。そして、このフラットケーブル4は、ノイズ源47A,47Bを有する基板46の異なる場所に接続される。すなわち、フラットケーブル4は、ノイズ源47Aの近傍に接合部44を介して接続され、かつ、ノイズ源47Bの近傍に接合部45を介して接続されている。したがって、本実施の形態に係るフラットケーブル4は、第1ないし第2の実施の形態と異なり、1つの基板46の異なるパターン同士を電気的に接続するものに用いられている。
このフラットケーブル4は、図1に示すフラットケーブル1と同じく、RF用グランドが無いタイプである。したがって、フラットケーブル4は、図5に示すフラットケーブル2及び図7に示すフラットケーブル3と異なり、コモンモードタイプではない。
【0034】
更に説明すると、フラットケーブル4は、2本の付加線42,43を有する。2本の付加線42,43は、フラットケーブル本体41の幅方向の両端に位置している。2本の付加線42,43のうち付加線42は、ノイズ源47Bに対するEMC対策用のものであり、ノイズ源47A側にグランドGNDに接続される端部42aが位置し、ノイズ源47B側に開放端である端部42bが位置する。また、もう一方の付加線43は、ノイズ源47Aに対するEMC対策用のものであり、ノイズ源47B側にグランドGNDに接続される端部43bが位置し、ノイズ源47A側に開放端である端部43aが位置する。
【0035】
図9A〜図9Bは、本実施の形態に係るフラットケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。図9A〜図9Bの上側のグラフは、本実施の形態に係るEMC対策のフラットケーブルの特性を実線で示すと共にその比較例として、付加線を有しないEMC未対策のフラットケーブルの特性を破線で示したものであり、縦軸は受信レベル(dB)であり、横軸が周波数(MHz)である。また、下側のグラフは、VSWR特性を示すものであり、縦軸はVSWR値、横軸は周波数(MHz)である。
図9Aは、フラットケーブルの長さが11cmの場合であり、付加線の長さも同じく11cmである。図9Bは、フラットケーブルの長さが24cmの場合であり、付加線の長さも同じく24cmである。
図9A〜図9Bに示すように、EMC対策のフラットケーブルの場合(実線参照)には、未対策の場合(破線参照)よりも受信レベルが全体的に低下しており、フラットケーブルからの輻射の量が減少していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は、第1の実施の形態に係るケーブルを用いた接続例を示す概略構成図であり、(b)は、(a)の等価回路図である。
【図2】(a)及び(b)は、付加線を形成する一つの方法を説明する図である。
【図3】第1の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【図4】測定条件を説明するための概略構成図である。
【図5】(a)は、第2の実施の形態に係るケーブルを用いた接続例を示す概略構成図であり、(b)は、(a)の等価回路図である。
【図6A】第2の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【図6B】第2の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【図6C】第2の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【図7】第2の実施の形態に係るケーブルの一変形例を説明するための図である。
【図8】第3の実施の形態に係るケーブルを用いた接続例を示す概略構成図である。
【図9A】第3の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【図9B】第3の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0037】
1,2,3,4…フラットケーブル、11,21,31,41…フラットケーブル本体、11a…保護被覆、12,22,32,33,42,43…付加線、14,15,24,25,34,35,44,45…接合部、16,18,26,28,36,38,46…基板、17,27,37,39,47A,47B…ノイズ源
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば基板間又は基板内の配線に用いられるフラットケーブル等のケーブル及びノイズ低減構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にデジタル機器等の機器間をフラットケーブルで接続した場合、この電気的接続により疑似的なアンテナが形成され、電磁波ノイズが発生し機器セットから漏れ出てしまうことがある。このような電磁波ノイズの対策として、従来から種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
この特許文献1には、高いノイズ吸収率を持たせることができる主にフラットケーブル用フェライトコアが開示されている。すなわち、特許文献1は、フェライトコアに、ケーブルを挿通するための複数の挿通孔を所定間隔で穿設して成り、ケーブルの複数の挿通孔への挿通は、挿通孔の穿設方向一端から他端に向かう方向への挿通と、挿通孔の穿設方向他端から一端に向かう方向への挿通とが順次交互に繰り返されている構造を開示している。
【0004】
また、特許文献2には、電磁波シールド性に優れ、全体厚さを薄くできて柔軟でかつ屈曲性に優れ、かつ、機器へ接続する耐ハンダ性がある電磁波シールド付きフラットケーブルが開示されている。すなわち、特許文献2は、複数の導体を同一平面内で配列した導体列を、両面より接着剤層を有する帯状被覆材にて被覆してなるフラットケーブルにおける、該フラットケーブルの少なくとも一方の面へ、基材、必要に応じて剥離層、耐熱保護層、導電層、熱接着層が、順次積層されている電磁波シールド転写箔を用いて、耐熱保護層、導電層、熱接着層からなる電磁波シールド層を転写して一体化したことを特徴とする電磁波シールド付きフラットケーブルを開示している。
【0005】
【特許文献1】特開平11−214222号公報
【特許文献2】特開2006−286318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、電磁波ノイズの対策としてフェライトコアを用いたとしても、約300MHz〜1GHzの範囲でのシールド効果を期待できるものの、それよりも高周波の領域ではシールド効果を期待することが難しい。また、フェライトコアを用いると、より高速な伝送信号の波形がなまり動作に支障をきたすおそれがある。
【0007】
また、別の電磁波ノイズの対策としてシールド材を用いる場合には、シールド材を含むケーブル全体がアンテナとして作用することになり、十分な電磁波ノイズの対策を期待することが難しい。また、シールド材として用いる材料は高価なことからコストの低減を図ることが困難になる。
【0008】
本発明は、電磁波ノイズの対策を有効かつ低コストで実現することが可能なケーブル及びノイズ低減構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が適用されるケーブルは、複数の被接続部同士を互いに電気的に接続するのに用いられるケーブルであって、複数の導線を保護被覆で束ねて一体に構成されたケーブル本体と、前記ケーブル本体の長さ方向に沿って配設され、グランドに接続される一端部と開放状態の他端部とを有する付加部材と、を含むものである。
【0010】
ここで、前記付加部材を複数含み、前記複数の付加部材の中の第1付加部材の前記一端部は、前記ケーブル本体の端部に位置し、前記複数の付加部材の中の第2付加部材の前記一端部は、前記第1付加部材の前記一端部が位置する前記ケーブル本体の前記端部とは反対側の端部に位置することを特徴とすることができる。また、前記ケーブル本体は、複数の導線を保護被覆で帯状に束ねて一体に構成されたフラットケーブルの本体であり、前記第1付加部材と前記第2付加部材との間に前記ケーブル本体を構成する前記複数の導線が位置していることを特徴とすることができる。また、前記付加部材は、前記ケーブル本体が備える前記複数の導線の中の導線を途中で切断して形成されていることを特徴とすることができる。
【0011】
本発明が適用されるノイズ低減構造は、ノイズ源を有する基板と、複数の導線を保護被覆で束ねて一体に構成され、前記基板に端部が接続されるケーブルと、を含み、前記ケーブルは、当該ケーブルの長さ方向に沿って配設され、グランドに接続される一端部と開放状態の他端部とを有する付加部材を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、前記付加部材の前記一端部は、前記基板に接続される前記ケーブルの前記端部又は当該端部の反対側の端部に位置していることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電磁波ノイズの対策を従来よりも有効かつ低コストで実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1の(a)は、第1の実施の形態に係るケーブルを用いた接続例を示す概略構成図であり、(b)は、(a)の等価回路図である。
図1の(a)では、本実施の形態に係るケーブルの一例としてのフラットケーブル1を示している。本実施の形態に係るケーブルを、平型のフラットケーブル1以外の例えば横断面丸形の丸ケーブルについても同じく適用することができる。この適用については、第1の実施の形態以外の実施の形態でも同様である。
【0015】
図1に示すフラットケーブル1は、図示しない複数の導線ないし芯線を並列配置して保護被覆11a(図2参照)で帯状に束ねて一体に構成されたフラットケーブル本体11を有する。このフラットケーブル本体11は、所定の幅を有し、厚さが薄いために柔軟性があり、そのために、フラットケーブル1を、幅方向(フラットケーブルの長さ方向に交差する方向)に折り目が延びるように折り曲げないし屈曲が可能である。すなわち、このフラットケーブル1は、いわゆるフレキシブルフラットケーブル(Flexible flat cable)である。
【0016】
このフラットケーブル1には、シールド材が用いられていない。すなわち、フラットケーブル本体11を構成する複数の導線の全体をシールド材で覆っておらず、また、フラットケーブル本体11の複数の導線の各々をシールド材で覆っていない。しかしながら、後述するように、フラットケーブル1には、EMC(Electro-Magnetic Compatibility)の対策が施されている。
【0017】
フラットケーブル本体11を構成する複数の導線としては、単線とより線のどちらか一方に限定されるものではなく、どちらでも良い。また、フラットケーブル本体11の複数の導線を、単層とフラットケーブルの厚さ方向に積層する複数層のどちらか一方に限定されるものではなく、どちらでも良い。
【0018】
フラットケーブル本体11の各端部には、複数の導線の各々と電気的に接続される接合部14,15を有する。フラットケーブル1は、この接合部14,15を介して、2つの基板(被接続部)16,18の各々に取り付けられてこれらの基板16,18同士を電気的に接続する。ここにいう接合部としては、圧着等の接合手段により接合されるコネクタないしプラグを挙げることができる。
【0019】
図1に示すフラットケーブル1は、フラットケーブル本体11の長さ方向に沿って配設された付加線(付加部材、ノイズキャンセルアンテナ)12を有する。この付加線12は、途中で切れている。すなわち、付加線12の一方の端部(一端部)12aが接合部14を介してグランドGNDに接続され、付加線12の反対側の端部(他端部)12bは開放状態である。
【0020】
図2の(a)及び(b)は、付加線12を形成する一つの方法を説明する図である。すなわち、この付加線12としては、フラットケーブル1を製造する段階で形成することも考えられ、また、他の形成方法として、フラットケーブル1を構成する複数の導線の一つを利用することも考えられる。図2は、後者の形成方法を説明するためのものである。
具体的に説明すると、図2の(a)に示すように、一般的なフラットケーブルを用意し、その幅方向での最も外側の1本の導線を、一般的な工具を用いて保護被覆11aを含めて部分的に切除する。図2の(a)では切除領域を斜線で図示している。このように、1本の導線を所定の中間位置にて切除することで、付加線12が形成される。かかる加工によって、一端がグランドGNDに接続されると共に他端に開放端を有する付加線12を形成することができる。
【0021】
また、付加線12を形成する他の方法としては、図2の(b)に示すように、一般的なフラットケーブルの1本の導線を所定の中間位置にて切除すると共に、接合部15の付近も切除することで、付加線12が形成される。図2の(b)では、2箇所の切除領域を斜線で図示している。
【0022】
こうして、フラットケーブルの後加工によって付加線12を形成することで、製造コストの低減が可能になる。したがって、図1の(a)に示すフラットケーブル1は、フラットケーブル本体11と付加線12とで構成されているが、この付加線12がフラットケーブル本体11の一部を構成する場合もあり得る。
なお、本実施の形態では、付加線12として1本の線の場合について説明したが、フラットケーブルのいずれか片面ないし両面を覆うような付加部材を用いることも考えられる。
【0023】
図1に戻って説明を続ける。図1に示すフラットケーブル1は、RF(Radio Frequency)(高周波)用グランドが無いタイプである。すなわち、フラットケーブル本体11内にグランド線がない。そして、このようなフラットケーブル1の一端は、接合部14を介してノイズ源17を有する基板16に接続され、フラットケーブル1の他端は、接合部15を介してノイズ源を有しない基板18に接続されている。更に説明すると、フラットケーブル1の付加線12は、基板16側にグランドGNDに接続される端部12aが位置し、基板18側に開放端である端部12bが位置する。
【0024】
図3は、本実施の形態に係るフラットケーブル1についてのEMC対策の効果を示すグラフである。すなわち、上側のグラフは、本実施の形態に係るEMC対策のフラットケーブル1の特性を実線で示すと共にその比較例として、付加線を有しないEMC未対策のフラットケーブルの特性を破線で示したものであり、縦軸は受信レベル(dB)であり、横軸が周波数(MHz)である。また、下側のグラフは、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性を示すものであり、縦軸はVSWR値、横軸は周波数(MHz)である。
図3に示すように、EMC対策のフラットケーブル1の場合(実線参照)には、未対策の場合(破線参照)よりも受信レベルが低下しており、フラットケーブル1からの輻射の量が減少していることが分かる。
なお、図3に示すグラフは、フラットケーブル1の長さが12cmで、付加線12の長さが11cmの場合のEMC対策の効果を示すものである。付言すると、付加線12の長さは、EMC対策を施したい周波数帯により決定することができる。
【0025】
このように、フラットケーブル1を用いると、電子機器のEMC向上を図ることが可能になり、特にケーブル周辺のEMI(Electromagnetic Interference)の対策を図ることも可能になる。この意味で、フラットケーブル1を用いる構造をノイズ低減構造ないしEMI低減構造ということもできる。
【0026】
図4は、測定条件を説明するための概略構成図である。図4に示す構成例によって図3に示す測定結果を得た。すなわち、図4に示す構成例は、電気的高周波・マイクロ波回路、デバイスの高周波特性(インピーダンスなど)を測る計測器としてのネットワークアナライザ6と、ネットワークアナライザ6からの高周波が送られるフラットケーブル1と、フラットケーブル1と所定距離離間して配置され、フラットケーブル1から輻射される高周波を受信する受信アンテナ7と、を備えている。受信アンテナ7で受信された高周波はネットワークアナライザ6に入力される。ネットワークアナライザ6は、出力した高周波と入力された高周波とを用いて所定の解析を行うことにより被測定物の特性を計測する。
【0027】
このネットワークアナライザ6は、図示しない信号源と、この信号源で発生した高周波を出力する出力ポート61と、出力ポート61から出力されて被測定物を経由した高周波が入力される入力ポート62と、所定の演算を行う図示しない演算部と、演算結果を表示ないし印刷する図示しない表示印刷部と、を少なくとも備えている。そして、ネットワークアナライザ6の出力ポート61には、本実施の形態に係るEMC対策のフラットケーブル1又は未対策のフラットケーブルが接続される。また、ネットワークアナライザ6の入力ポート62には、受信アンテナ7が接続される。
【0028】
〔第2の実施の形態〕
図5の(a)は、第2の実施の形態に係るケーブル(フラットケーブル2)を用いた接続例を示す概略構成図であり、(b)は、(a)の等価回路図である。
図5に示すフラットケーブル2は、図1に示すフラットケーブル1と基本的な構成が共通するものであり、その説明を省略することがある。図5に示すフラットケーブル2は、図1に示すフラットケーブル1と同様に、フラットケーブル本体21と、一端がグランドGNDに接続されて他端が開放端の付加線22と、を有する。すなわち、この付加線22は、端部22bがグランドGNDに接続されると共に端部22aが開放状態である。そして、図5に示すフラットケーブル2は、RF用グランドが有るタイプであり、すなわち、コモンモードタイプである。
【0029】
そして、フラットケーブル2の一端は、接合部24を介してノイズ源27を有する基板26に接続され、他端は、接合部25を介してノイズ源を有しない基板28に接続されている。すなわち、フラットケーブル2の付加線22は、基板26側に開放端である端部22aが位置し、基板28側にグランドGNDに接続される端部22bが位置する。
【0030】
図6A〜図6Cは、本実施の形態に係るフラットケーブル2についてのEMC対策の効果を示すグラフである。図6A〜図6Cの上側のグラフは、本実施の形態に係るEMC対策のフラットケーブル2の特性を実線で示すと共にその比較例として、付加線を有しないEMC未対策のフラットケーブルの特性を破線で示したものであり、縦軸は受信レベル(dB)であり、横軸が周波数(MHz)である。また、下側のグラフは、VSWR特性を示すものであり、縦軸はVSWR値、横軸は周波数(MHz)である。
図6A〜図6Cは、フラットケーブル2の長さが24cmの場合であり、付加線22の長さを変えて測定した結果を示している。具体的に説明すると、図6Aでは付加線22の長さが24cmの場合、図6Bでは付加線22の長さが17cmの場合、図6Cでは付加線22の長さが13cmの場合をそれぞれ示している。図6A〜図6Cに示すように、EMC対策のフラットケーブル2の場合(実線参照)とEMC未対策のフラットケーブルの場合(破線参照)とで周波数特性が変化している。すなわち、EMC対策のフラットケーブル2の場合には、局所的に受信レベルが低下している。このため、受信レベルを低下させたい周波数が予め明確になっている場合に効果的である。付言すると、従来の技術によるフェライトコアを用いたりシールド材を用いたりする電磁波ノイズの対策では、コモンモードタイプのフラットケーブルに対しては効果的ではないので、そのような場合のEMC対策として、本実施の形態が有利である。
【0031】
図7は、第2の実施の形態に係るケーブル(フラットケーブル3)の一変形例を説明するための図であり、一変形例のフラットケーブル3を用いた接続例を示す概略構成図である。
図7に示すフラットケーブル3は、フラットケーブル本体31及び付加線(第1付加部材、第2付加部材)32,33を有する。そして、このフラットケーブル3は、接合部34を介してノイズ源37を有する基板36に接続され、かつ、接合部35を介してノイズ源39を有する基板38に接続される。このフラットケーブル3は、RF用グランドが有るタイプであり、すなわち、コモンモードタイプである。
【0032】
更に説明すると、フラットケーブル3は、2本の付加線32,33を有する。2本の付加線32,33は、フラットケーブル本体31の幅方向の両端に位置している。そして、2本の付加線32,33のうち付加線32は、基板38のノイズ源39に対するEMC対策用のものであり、基板36側にグランドGNDに接続される端部32aが位置し、基板38側に開放端である端部32bが位置する。また、もう一方の付加線33は、基板36のノイズ源37に対するEMC対策用のものであり、基板38側にグランドGNDに接続される端部33bが位置し、基板36側に開放端である端部33aが位置する。
【0033】
〔第3の実施の形態〕
図8は、第3の実施の形態に係るケーブル(フラットケーブル4)を用いた接続例を示す概略構成図である。
図8に示すフラットケーブル4は、図1に示すフラットケーブル1と基本的な構成が共通するものであり、その説明を省略することがある。図8に示すフラットケーブル4は、フラットケーブル本体41及び付加線42,43を有する。そして、このフラットケーブル4は、ノイズ源47A,47Bを有する基板46の異なる場所に接続される。すなわち、フラットケーブル4は、ノイズ源47Aの近傍に接合部44を介して接続され、かつ、ノイズ源47Bの近傍に接合部45を介して接続されている。したがって、本実施の形態に係るフラットケーブル4は、第1ないし第2の実施の形態と異なり、1つの基板46の異なるパターン同士を電気的に接続するものに用いられている。
このフラットケーブル4は、図1に示すフラットケーブル1と同じく、RF用グランドが無いタイプである。したがって、フラットケーブル4は、図5に示すフラットケーブル2及び図7に示すフラットケーブル3と異なり、コモンモードタイプではない。
【0034】
更に説明すると、フラットケーブル4は、2本の付加線42,43を有する。2本の付加線42,43は、フラットケーブル本体41の幅方向の両端に位置している。2本の付加線42,43のうち付加線42は、ノイズ源47Bに対するEMC対策用のものであり、ノイズ源47A側にグランドGNDに接続される端部42aが位置し、ノイズ源47B側に開放端である端部42bが位置する。また、もう一方の付加線43は、ノイズ源47Aに対するEMC対策用のものであり、ノイズ源47B側にグランドGNDに接続される端部43bが位置し、ノイズ源47A側に開放端である端部43aが位置する。
【0035】
図9A〜図9Bは、本実施の形態に係るフラットケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。図9A〜図9Bの上側のグラフは、本実施の形態に係るEMC対策のフラットケーブルの特性を実線で示すと共にその比較例として、付加線を有しないEMC未対策のフラットケーブルの特性を破線で示したものであり、縦軸は受信レベル(dB)であり、横軸が周波数(MHz)である。また、下側のグラフは、VSWR特性を示すものであり、縦軸はVSWR値、横軸は周波数(MHz)である。
図9Aは、フラットケーブルの長さが11cmの場合であり、付加線の長さも同じく11cmである。図9Bは、フラットケーブルの長さが24cmの場合であり、付加線の長さも同じく24cmである。
図9A〜図9Bに示すように、EMC対策のフラットケーブルの場合(実線参照)には、未対策の場合(破線参照)よりも受信レベルが全体的に低下しており、フラットケーブルからの輻射の量が減少していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は、第1の実施の形態に係るケーブルを用いた接続例を示す概略構成図であり、(b)は、(a)の等価回路図である。
【図2】(a)及び(b)は、付加線を形成する一つの方法を説明する図である。
【図3】第1の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【図4】測定条件を説明するための概略構成図である。
【図5】(a)は、第2の実施の形態に係るケーブルを用いた接続例を示す概略構成図であり、(b)は、(a)の等価回路図である。
【図6A】第2の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【図6B】第2の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【図6C】第2の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【図7】第2の実施の形態に係るケーブルの一変形例を説明するための図である。
【図8】第3の実施の形態に係るケーブルを用いた接続例を示す概略構成図である。
【図9A】第3の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【図9B】第3の実施の形態に係るケーブルについてのEMC対策の効果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0037】
1,2,3,4…フラットケーブル、11,21,31,41…フラットケーブル本体、11a…保護被覆、12,22,32,33,42,43…付加線、14,15,24,25,34,35,44,45…接合部、16,18,26,28,36,38,46…基板、17,27,37,39,47A,47B…ノイズ源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被接続部同士を互いに電気的に接続するのに用いられるケーブルであって、
複数の導線を保護被覆で束ねて一体に構成されたケーブル本体と、
前記ケーブル本体の長さ方向に沿って配設され、グランドに接続される一端部と開放状態の他端部とを有する付加部材と、
を含むケーブル。
【請求項2】
前記付加部材を複数含み、
前記複数の付加部材の中の第1付加部材の前記一端部は、前記ケーブル本体の端部に位置し、
前記複数の付加部材の中の第2付加部材の前記一端部は、前記第1付加部材の前記一端部が位置する前記ケーブル本体の前記端部とは反対側の端部に位置することを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記ケーブル本体は、複数の導線を保護被覆で帯状に束ねて一体に構成されたフラットケーブルの本体であり、
前記第1付加部材と前記第2付加部材との間に前記ケーブル本体を構成する前記複数の導線が位置していることを特徴とする請求項2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記付加部材は、前記ケーブル本体が備える前記複数の導線の中の導線を途中で切断して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項5】
ノイズ源を有する基板と、
複数の導線を保護被覆で束ねて一体に構成され、前記基板に端部が接続されるケーブルと、
を含み、
前記ケーブルは、当該ケーブルの長さ方向に沿って配設され、グランドに接続される一端部と開放状態の他端部とを有する付加部材を備えていることを特徴とするノイズ低減構造。
【請求項6】
前記付加部材の前記一端部は、前記基板に接続される前記ケーブルの前記端部又は当該端部の反対側の端部に位置していることを特徴とする請求項5に記載のノイズ低減構造。
【請求項1】
複数の被接続部同士を互いに電気的に接続するのに用いられるケーブルであって、
複数の導線を保護被覆で束ねて一体に構成されたケーブル本体と、
前記ケーブル本体の長さ方向に沿って配設され、グランドに接続される一端部と開放状態の他端部とを有する付加部材と、
を含むケーブル。
【請求項2】
前記付加部材を複数含み、
前記複数の付加部材の中の第1付加部材の前記一端部は、前記ケーブル本体の端部に位置し、
前記複数の付加部材の中の第2付加部材の前記一端部は、前記第1付加部材の前記一端部が位置する前記ケーブル本体の前記端部とは反対側の端部に位置することを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記ケーブル本体は、複数の導線を保護被覆で帯状に束ねて一体に構成されたフラットケーブルの本体であり、
前記第1付加部材と前記第2付加部材との間に前記ケーブル本体を構成する前記複数の導線が位置していることを特徴とする請求項2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記付加部材は、前記ケーブル本体が備える前記複数の導線の中の導線を途中で切断して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項5】
ノイズ源を有する基板と、
複数の導線を保護被覆で束ねて一体に構成され、前記基板に端部が接続されるケーブルと、
を含み、
前記ケーブルは、当該ケーブルの長さ方向に沿って配設され、グランドに接続される一端部と開放状態の他端部とを有する付加部材を備えていることを特徴とするノイズ低減構造。
【請求項6】
前記付加部材の前記一端部は、前記基板に接続される前記ケーブルの前記端部又は当該端部の反対側の端部に位置していることを特徴とする請求項5に記載のノイズ低減構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2009−193796(P2009−193796A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32372(P2008−32372)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(504259030)株式会社エーディープラン (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(504259030)株式会社エーディープラン (21)
【Fターム(参考)】
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