説明

ケーブル接続構造及び内視鏡装置

【課題】ケーブルと回路基板との間の接続の確実性を維持できるケーブル接続構造を提供する。
【解決手段】ケーブル接続構造100は、芯線10及び該芯線を覆う外部被覆層13を有する同軸ケーブル1と、同軸ケーブル1の接続端面14において芯線10が電気的に接続される電極21aが形成された基板20と、同軸ケーブル1の周囲に取り付けられ、該同軸ケーブル1の長手方向の一部を該同軸ケーブル1の径方向に圧縮するカシメ部材30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを基板に接続するケーブル接続構造、及び該ケーブル接続構造を適用した内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用および工業用の内視鏡が広く用いられている。医療用の内視鏡としては、例えば、体内への挿入部の先端にCCD等の撮像素子を内蔵した撮像装置を備えたものがある。この挿入部を体内に深く挿入することにより、病変部を観察することができ、さらに、必要に応じて処置具を併用することにより、体内の検査や治療をすることもできる。
【0003】
このような内視鏡においては、画像をモニタに映し出すために、撮像素子が撮像した画像情報を電気信号に変換し、信号線を介して信号処理装置に伝送し、この信号処理装置において伝送信号を処理する。そのため、内視鏡内の撮像素子と信号処理装置とは、画像信号の伝送、クロック信号の伝送、撮像素子への駆動電源の供給等のため、複数本のケーブルを束ねた集合ケーブルによって接続されている。
【0004】
集合ケーブルの接続に関連する技術として、特許文献1には、複数の同軸ケーブルから成る集合ケーブルを、電極が設けられた回路基板に一括接続する技術が開示されている。この技術では、まず、各同軸ケーブルの先端部を配列ブロックによって固定し、各同軸ケーブルの電線の先端面と配列ブロックの先端面が一致するように研磨処理を施す。そして、この電線の先端面と、電極が設けられた回路基板とを対向させ、異方性導電性シートや接続バンプ等を介して両者を接続する。さらに、補強のため、この接続部周辺にエポキシ系の接着剤を塗布して固める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3863583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、ケーブルの端面と回路基板とを対向させて接続し、さらにその周辺を接着剤で補強することにより、通常の使用状態における接続の確実性を維持することはできる。しかしながら、ケーブルと基板との接続部から離れた位置であっても、同軸ケーブルを著しく変形させたり、同軸ケーブルの他端をストリップ加工したりして、ケーブルに大きな力を加えると、同軸ケーブルの芯線に、該芯線を回路基板から引き剥がす方向の負荷が発生し、芯線と電極との間の接続が損なわれてしまうおそれがあった。このため、ケーブルと回路基板との間の接続の確実性を維持することができなかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ケーブルと回路基板との間の接続の確実性を維持できるケーブル接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るケーブル接続構造は、芯線及び該芯線を覆う外部被覆層を有するケーブルと、前記ケーブルの端面において前記芯線が電気的に接続される電極が形成された基板と、前記ケーブルの周囲に取り付けられ、前記ケーブルの長手方向の一部を該ケーブルの径方向に圧縮する圧縮部材とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記ケーブル接続構造において、前記圧縮部材の外径は、前記圧縮部材が取り付けられていない領域における前記ケーブルの径以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るケーブル接続構造は、芯線及び該芯線を覆う外部被覆層を有するケーブルを、互いに外周の一部が接するように並べた複数のケーブルと、前記複数のケーブルの端面において前記芯線が電気的に接続される複数の電極が形成された基板と、前記複数のケーブルの周囲に取り付けられ、前記複数のケーブルの長手方向の一部を、該複数のケーブルの径方向に圧縮する圧縮部材とを備えることを特徴とする。
【0011】
上記ケーブル接続構造において、前記圧縮部材は、前記複数のケーブルの外周に沿って取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
上記ケーブル接続構造において、前記圧縮部材は、前記外部被覆層に形成された溝に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
上記ケーブル接続構造において、前記圧縮部材は、前記ケーブルの前記基板側端部に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
上記ケーブル接続構造において、前記ケーブルは、前記芯線の周囲に形成された内部絶縁層と、前記内部絶縁層の周囲且つ前記外部被覆層の内側に形成された外部導体層とを有する同軸ケーブルであることを特徴とする。
【0015】
上記ケーブル接続構造において、前記圧縮部材は、前記外部被覆層が除去された領域に取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
上記ケーブル接続構造において、前記圧縮部材は、導電性材料によって形成されていることを特徴とする。
【0017】
上記ケーブル接続構造において、前記圧縮部材は、絶縁性材料によって外周側表面に形成された被膜を有することを特徴とする。
【0018】
上記ケーブル接続構造において、前記圧縮部材は、絶縁性材料によって形成されていることを特徴とする。
【0019】
上記ケーブル接続構造において、前記圧縮部材は、カシメ部材であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る内視鏡装置は、上記ケーブル接続構造と、前記基板に形成された電極に接続された撮像素子とを備えることを特徴とする。
【0021】
また、上記内視鏡装置は、少なくとも前記撮像素子と前記基板と前記圧縮部材とを収容する先端硬質部と、前記先端硬質部から突出した前記ケーブルを収容する、可撓性を有する収容部とをさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、圧縮部材によってケーブルを径方向に圧縮するので、この圧縮部分において、他の層(外部被覆層等)に対する芯線の相対的な動きを制限することができる。そのため、ケーブルの芯線に引っ張り負荷が作用しても、圧縮部材による圧縮部分においてこの引っ張り負荷の伝達を遮断することができる。即ち、圧縮部分よりも基板側には引っ張り負荷が伝達しないので、基板に設けられた電極とケーブルの芯線との間の接続の確実性を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係るケーブル接続構造を示す断面図である。
【図2A】図2Aは、同軸ケーブルにカシメ部材を取り付けた様子を示す断面図である。
【図2B】図2Bは、同軸ケーブルを基板上の電極に接続した様子を示す断面図である。
【図2C】図2Cは、補強用樹脂を充填した様子を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2に係るケーブル接続構造を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3に係るケーブル接続構造を示す断面図である。
【図5A】図5Aは、同軸ケーブルに溝部を形成してカシメ部材を取り付けた様子を示す断面図である。
【図5B】図5Bは、カシメ部材によって同軸ケーブルをかしめた様子を示す断面図である。
【図5C】図5Cは、かしめられた同軸ケーブルを切断した様子を示す断面図である。
【図5D】図5Dは、カシメ部材の近傍まで同軸ケーブルを研磨した様子を示す断面図である。
【図5E】図5Eは、かしめられた同軸ケーブルを基板上の電極に位置合わせする様子を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態4に係るケーブル接続構造を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態5に係るケーブル接続構造を示す断面図である。
【図8A】図8Aは、かしめる前の集合ケーブル及びカシメ部材を示す断面図である。
【図8B】図8Bは、かしめた後の集合ケーブル及びカシメ部材を示す断面図である。
【図9】図9は、内視鏡装置の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係るケーブル接続構造の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るケーブル接続構造を示す断面図である。図1に示すケーブル接続構造100は、同軸ケーブル1と、該同軸ケーブル1の端面に電極21a及び21bを介して接続された基板20と、同軸ケーブル1の周囲に取り付けられて同軸ケーブル1の一部を径方向に圧縮する圧縮部材としてのカシメ部材30とを備えている。
【0026】
同軸ケーブル1は、導体によって形成された芯線10と、芯線の周囲に絶縁体によって形成された内部絶縁層11と、内部絶縁層11の周囲に導体によって形成されたシールド層(外部導体層)12と、シールド層12の周囲に絶縁体によって形成されたジャケット層(外部被覆層)13とが同心円状に配置された構造を有している。
【0027】
基板20は、撮像素子等の種々のデバイスが配置される回路基板である。基板20の主面上の芯線10に対向する位置には、これらのデバイスに電気的に接続された電極21aが形成されており、シールド層12に対向する位置には電極21bが形成されている。
このような同軸ケーブル1と基板20とは、同軸ケーブル1の接続端面14において、半田や金(Au)等によって形成された接続バンプ22a及び22bを介して電気的に接続されている。さらに、接続端面14と基板20との間にはエポキシ樹脂等の補強用樹脂23が充填されており、両者の接続をさらに確実にしている。
【0028】
カシメ部材30としては、同軸ケーブル1に対して外側から圧縮力を加えることができれば、C型や、鞍型や、O型(リング型)等、どのような形状のものを用いても良い。また、カシメ部材30の断面形状としても、図1に示す長方形の他、台形や、三角形や、半円や、半楕円形等、様々な形状のものを用いることができる。例えば、カシメ部材の厚さt(同軸ケーブル1に取り付けた状態で、同軸ケーブル1の長手方向と平行な方向における大きさ)が、ケーブルの外周側よりも内周側の方で小さくなっているカシメ部材(例えば、断面が台形の部材)を用いる場合には、カシメ部材を同軸ケーブル1に向けて押し込み易くなると共に、圧縮力が集中し、より高い圧縮効果を得ることができる。
【0029】
カシメ部材30を取り付ける位置は、同軸ケーブル1上の任意の位置で構わないが、なるべく、同軸ケーブル1と基板20との接続部付近に配置することが望ましい。これは、接続部とカシメ部材30との間において芯線10に対する引っ張り負荷が発生するのを回避するためである。さらに、望ましくは、接続部とカシメ部材30との間で同軸ケーブル1が変形(湾曲)しない程度に、カシメ部材30を接続部に近付けると良い。
【0030】
次に、実施の形態1におけるカシメ部材30の作用を説明する。カシメ部材30は、同軸ケーブル1を圧縮することにより、ジャケット層13、シールド層12、及び内部絶縁層11を芯線10に向けて押し付けている。それにより、この圧縮部分において、芯線10の他の層(内部絶縁層11〜ジャケット層13)に対する相対的な動きが制限される。そのため、カシメ部材30よりも遠い位置で同軸ケーブル1の変形や加工等を行うことによって、芯線10に引っ張り負荷を作用させたとしても、この引っ張り負荷の伝達は、同軸ケーブル1の圧縮部分において遮断される。即ち、芯線10を接続バンプ22aから引き剥がそうとする引っ張り負荷は、圧縮部分よりも基板20に近い側には伝わらないので、芯線10と電極21aとの間の接続の確実性を維持することができる。
【0031】
次に、図1に示すケーブル接続構造の形成方法を、図2A〜2Cを参照しながら説明する。まず、図2Aに示すように、同軸ケーブル1の表面(ジャケット層13の外周)にカシメ部材30を取り付ける。そして、カシメ工具等を用いてカシメ部材30をかしめることにより、同軸ケーブル1の径方向に圧縮力を加えつつ、カシメ部材30を固定する。そして、同軸ケーブル1の端部に研磨処理等を施すことにより、芯線10〜ジャケット層13を同一平面上に露出させる。なお、芯線10やシールド層12の接続効率を高めるため、この平面(接続端面14)に露出した芯線10及びシールド層12の端面に、めっきやスパッタリング等により同心円状の導電膜を形成しても良い。
【0032】
次に、図2Bに示すように、接続バンプ22a及び22bを介して、芯線10及びシールド層12を電極21a及び21bにそれぞれ接続する。さらに、図2Cに示すように、接続端面14と基板との間に補強用樹脂23を充填することにより、同軸ケーブル1と基板20との接続を補強する。それにより、図1に示すケーブル接続構造100が形成される。
【0033】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るケーブル接続構造について説明する。図3は、実施の形態1に係るケーブル接続構造を示す断面図である。
図3に示すケーブル接続構造200においては、ジャケット層13の厚さ方向の一部を除去することにより溝部31を形成し、この溝部31内にカシメ部材30を配置して同軸ケーブル1を圧縮している。それにより、カシメ部材30がジャケット層13の表面から突出しないようにしている。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
【0034】
溝部31の深さは、カシメ部材30で圧縮した状態で、少なくともカシメ部材30の幅w(同軸ケーブル1に取り付けた状態で、同軸ケーブル1の径方向における大きさ)以上となるようにする。溝部31を形成した段階で、その深さがカシメ部材30の幅w以上となるようにすれば、カシメ部材30を溝部31に配置してかしめることにより、カシメ部材30の突出を確実に防ぐことができるので、より好ましい。なお、この溝部31は、刃物やレーザ加工等により形成することができる。
【0035】
このように、実施の形態2によれば、カシメ部材30によって同軸ケーブル1を圧縮することにより、同軸ケーブル1の芯線10と電極21aとの間の接続の確実性を維持しつつ、カシメ部材30付近の径の増加を抑制することが可能となる。
【0036】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係るケーブル接続構造について説明する。図4は、実施の形態3に係るケーブル接続構造を示す断面図である。
図4に示すケーブル接続構造300においては、同軸ケーブル1の接続端面14近傍に、カシメ部材30を配置している。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
【0037】
先にも述べたように、カシメ部材30の取り付け位置が同軸ケーブル1と基板20との接続部から離れていると、この接続部とカシメ部材30との間で同軸ケーブル1が変形等して、芯線10に作用した引っ張り負荷が接続部まで伝達してしまうおそれがある。そこで、実施の形態3においては、カシメ部材30を、同軸ケーブル1の接続端面14の近傍、望ましくは、カシメ部材30の基板側端面が接続端面14に一致するように配置している。それにより、カシメ部材30と接続端面14との間において引っ張り負荷が発生するのを防ぎ、同軸ケーブル1の芯線10と電極21aとの間の接続の確実性をさらに向上させている。
【0038】
なお、図4においては、ジャケット層13に形成された溝部32内にカシメ部材30を配置しているが、ジャケット層13の表面にカシメ部材30を配置しても良い。
【0039】
ここで、図4に示すケーブル接続構造300の形成方法を説明する。
まず、図5Aに示すように、同軸ケーブル1のジャケット層13上の2箇所に、刃物やレーザ加工等によって溝部32を形成する。
【0040】
次に、図5Bに示すように、各溝部32内にカシメ部材30を配置し、カシメ工具等を用いてかしめることにより、カシメ部材30を同軸ケーブル1に固定させる。次に、図5Cに示すように、2箇所に配置されたカシメ部材30の間を、刃物やレーザ加工等によって切断する。そして、図5Dに示すように、カシメ部材30の近傍まで、望ましくは、カシメ部材30の端面に至るまで同軸ケーブル1の切断面を研磨することにより、芯線10〜ジャケット層13を同一平面上に露出させる。ここでは、カシメ部材30の端面に至るまで研磨した図を示す。なお、芯線10やシールド層12の接続効率を高めるため、芯線10及びシールド層12の端面に、めっきやスパッタリング等によって同心円状の導電膜を形成しても良い。
【0041】
次に、図5Eに示すように、同軸ケーブル1の端面と、電極21a及び21bが設けられた基板20とを対向させ、位置合わせを行う。なお、電極21a及び21bが同軸ケーブル1をかしめた状態での芯線10及びシールド層12の位置に対応するように、予め電極の配置を決定しておく。そして、接続バンプ22a及び22bを介して、芯線10及びシールド層12を電極21a及び21bにそれぞれ接続する。さらに、同軸ケーブル1の端面と基板20との間に補強用樹脂23を充填して、同軸ケーブル1と基板20との間の接続を補強することにより、図4に示すケーブル接続構造300が形成される。
【0042】
なお、以上の説明においては、同軸ケーブル1の切断箇所の両側にかかる負荷を均等にして切断し易くするために、同軸ケーブル1の2箇所にカシメ部材30を取り付けているが、カシメ部材1を1箇所にのみ取り付け、その近傍において同軸ケーブル1を切断するようにしても構わない。
【0043】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係るケーブル接続構造について説明する。図6は、実施の形態4に係るケーブル接続構造を示す断面図である。
図6に示すケーブル接続構造400においては、同軸ケーブル1のジャケット層13を除去することにより溝部33を形成し、この溝部33内にカシメ部材30を配置して同軸ケーブル1を圧縮している。その他の構成については、図1に示すものと同様である。
【0044】
このように、カシメ部材30による圧縮部分においてジャケット層13を完全に除去することにより、カシメ部材30と芯線10との間の介在物が減るので、カシメ部材30による圧縮力が芯線10に対してより伝わり易くなる。従って、他の層に対する芯線10の相対的な動きをより確実に制限できるようになるので、芯線10と電極21aとの間の接続の確実性をさらに向上させることが可能となる。
【0045】
この場合に、カシメ部材30の材料として絶縁性材料を用いることにより、除去されたジャケット層13の代わりに、カシメ部材30によってシールド層12を保護することができる。
【0046】
また、実施の形態4の変形例として、実施の形態3と同様に、接続端面14近傍に溝部33を形成し、カシメ部材30の端面を接続端面14に略一致させても良い。この場合には、カシメ部材30の材料として導電性材料を用いることにより、シールド層12の接続端面としてカシメ部材30を利用できるようになる。それにより、シールド層12と電極21bとの位置合わせを簡単にすることができる。
さらに、この場合には、カシメ部材30の外周側表面を絶縁性材料によって被覆しても良い。それにより、カシメ部材30を、シールド層12の保護部材及び接続端面として利用することができる。
【0047】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係るケーブル接続構造について説明する。図7は、実施の形態5に係るケーブル接続構造を示す断面図である。
図7に示すケーブル接続構造500は、複数の同軸ケーブル1を互いに外周の一部が接するように並べた集合ケーブル2と、集合ケーブル2の端面に電極41a及び41bを介して接続された基板40と、集合ケーブル2に取り付けられて集合ケーブル2の一部を径方向に圧縮するカシメ部材50とを備えている。
【0048】
基板40は、撮像素子等の種々のデバイスが配置される回路基板である。基板40の主面上の各同軸ケーブル1の芯線10に対向する位置には、これらのデバイスに電気的に接続された電極41aが形成されており、各同軸ケーブル1のシールド層12に対向する位置には電極41bが形成されている。各芯線10と電極41aとは、接続バンプ42aを介して電気的に接続されており、各シールド層12と電極41bとは、接続バンプ42bを介して電気的に接続されている。なお、接続バンプ42a及び42bは、半田や金(Au)等によって形成される。また、集合ケーブル2の端面44と基板40との間には、エポキシ樹脂等の補強用樹脂43が充填されている。
【0049】
本実施の形態5のように、複数の同軸ケーブル1を束ねた集合ケーブル2については、1つのカシメ部材50により一括して圧縮しても良い。それにより、各々の同軸ケーブル1内において、他の層に対する芯線10の相対的な動きを制限することができるので、芯線10に対して引っ張り負荷が作用したとしても、その引っ張り負荷の伝達を、カシメ部材50による圧縮部分において遮断することができる。
【0050】
このようなケーブル接続構造500は、次のようにして形成される。即ち、図8Aに示すように、複数の同軸ケーブル1を束ね、それらの周囲にカシメ部材50を配置する。そして、カシメ工具等を用いて、ケーブル同士の接触部近傍に生じる隙間51に向けて荷重を加えることにより、カシメ部材50をかしめる。それにより、図8Bに示すように、カシメ部材50が同軸ケーブル1の外周に沿うように変形し、変形部分が隙間51に入り込む形状で固定される。
【0051】
ここで、カシメ部材50をかしめる際に、上述のように荷重を加える理由は次のとおりである。カシメ部材50に荷重を加える位置や方向は、上記の方向以外にも、図8Aの上下方向や左右方向等、様々な方向が考えられる。しかしながら、そのいずれの方向であっても、荷重を加えることによりカシメ部材50がつぶれ、変形した分だけカシメ部材50の寸法が増加してしまう。しかしながら、隙間51に向けて荷重を加えると、カシメ部材50の変形部分が隙間51に収まるので、カシメ部材50の取り付け領域における寸法の増加を抑制することができる。また、カシメ部材50が隙間51まで入り込むことにより、各同軸ケーブル1は、ケーブル同士の接触部を除く外周の広い範囲から圧縮力を受けることになるので、他の層に対する芯線10の相対的な動きを効率良く制限することが可能となる。
【0052】
なお、実施の形態5においては、カシメ部材50をジャケット層13の表面に配置しているが、実施の形態2又は4と同様に、ジャケット層13に溝部を形成し、この溝部内にカシメ部材50を配置して複数の同軸ケーブル1を一括して圧縮するようにしても良い。また、実施の形態3と同様に、カシメ部材50を、集合ケーブル2の端面44近傍に配置しても良い。
【0053】
以上説明した実施の形態1〜5においては、圧縮部材としてカシメ部材を用いているが、同軸ケーブルを圧縮可能な部材であれば、どのような部材を用いても良い。そのような部材として、例えば、チューブクリップや、圧着スリーブやスプライス等が挙げられる。
【0054】
また、実施の形態1〜5においては、カシメ部材を同軸ケーブル1上の1箇所にのみ取り付けているが、複数箇所に取り付けても良い。例えば、1つ又は1束の同軸ケーブルに対し、間隔を空けて複数のカシメ部材を取り付けることにより、芯線10に対する引っ張り負荷の伝達を、より確実に遮断することができる。
【0055】
また、実施の形態1〜5においては、同軸ケーブル1の芯線10及びシールド層12を電極21a及び21b、又は41a及び41bにバンプ接続しているが、例えば、ACP(anisotropic conductive paste)やACF(anisotropic conductive film)等の異方性導電材料を用いることにより、両者を電気的に接続しても良い。
【0056】
さらに、以上の説明においては、同軸ケーブルと基板との接続構造について説明したが、ケーブルの種類は同軸ケーブルに限定されない。例えば、電力供給用の単線ケーブルや、複数の芯線を有する複芯ケーブルや、単線ケーブルを複数束ねた集合ケーブル等についても本発明を適用することができる。
【0057】
以上説明した実施の形態1〜5は、例えば、ケーブルの先端に撮像モジュールが設けられた内視鏡装置等に適用することができる。以下に、図1に示すケーブル接続構造100を、被検体内に導入されて体腔内を撮像する医療用内視鏡装置に適用した例を説明する。
【0058】
図9は、内視鏡装置の概略構成を示す図である。この内視鏡装置61は、細長な挿入部62と、この挿入部62の基端側であって内視鏡装置操作者が把持する操作部63と、この操作部63の側部より延伸する可撓性のユニバーサルコード64とを備える。ユニバーサルコード64は、ライトガイドケーブルや電気系ケーブルなどを内蔵する。
【0059】
挿入部62は、CCDなどの撮像素子を有する撮像モジュールを内蔵した先端硬質部65と、撮像モジュールに接続されるケーブル等を収容する、可撓性を有する収容部とを備える。この収容部は、複数の湾曲駒によって構成され湾曲自在の湾曲部66と、この湾曲部66の基端側に設けられた長尺であって可撓性を有する可撓管部67とによって形成されている。
【0060】
ユニバーサルコード64の延伸側端部にはコネクタ部68が設けられており、コネクタ部68には、光源装置に着脱自在に接続されるライトガイドコネクタ69、CCDなどで光電変換した被写体像の電気信号を信号処理装置や制御装置に伝送するための電気接点部70、先端部5のノズルに空気を送るための送気口金71などが設けられている。なお、光源装置は、ハロゲンランプなどが内蔵されたものであり、ハロゲンランプからの光を、ライトガイドコネクタ69を介して接続された内視鏡装置61へ照明光として供給する。また、信号処理装置や制御装置は、撮像素子に電源を供給し、撮像素子から光電変換された電気信号が入力される装置であり、撮像素子によって撮像された電気信号を処理して接続する表示装置に画像を表示させるとともに、撮像素子のゲイン調整などの制御および駆動を行なう駆動信号の出力を行なう。
【0061】
操作部63には湾曲部66を上下方向および左右方向に湾曲させる湾曲ノブ72、体腔内に生検鉗子、レーザプローブ等の処置具を挿入する処置具挿入部73、信号処理装置や制御装置あるいは送気、送水、送ガス手段などの周辺機器の操作を行なう複数のスイッチ74が設けられている。処置具挿入口に処置具が挿入された内視鏡装置61は、内部に設けられた処置具挿通用チャンネルを経て処置具の先端処置部を突出させ、たとえば生検鉗子によって患部組織を採取する生検などを行なう。
【0062】
図1に示す同軸ケーブル1の一方の端部は、操作部63においてスイッチ74の電極に接続されている。また、同軸ケーブル1のもう一方の端部は、可撓管部67及び湾曲部66を通って先端硬質部65に到達し、先端硬質部65内において、ケーブル接続構造100により、撮像素子が配置された基板20に形成された電極21aに接続されている。このようにケーブル接続構造100を適用することにより、可撓管部67及び湾曲部66に収容された同軸ケーブル1の変形によって同軸ケーブル1内の芯線10に引っ張り負荷が発生しても、この引っ張り負荷の伝達をカシメ部材30において遮断し、芯線10と電極21aとの間の接続の確実性を維持することができる。
【0063】
このとき、少なくとも基板20からカシメ部材30までを含む端部領域60を先端硬質部65内に収容することが好ましい。この先端硬質部65は、湾曲部66や可撓管部67のように変形することがないので、先端硬質部65で端部領域60を保護することにより、端部領域60内における同軸ケーブル1の変形を防止し、芯線10に対する引っ張り負荷の発生を抑制できるからである。それにより、芯線10と電極21aとの間の接続をより確実にすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、ケーブルと基板回路との間で高い接続確実性が要求されるケーブル接続構造において利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 同軸ケーブル
2 集合ケーブル
10 芯線
11 内部絶縁層
12 シールド層
13 ジャケット層
14 接続端面
20、40 基板
21a、21b、41a、41b 電極
22a、22b、42a、42b 接続バンプ
23、43 補強用樹脂
30、50 カシメ部材
31、32、33 溝部
44 端面
51 隙間
60 端部領域
61 内視鏡装置
62 挿入部
63 操作部
64 ユニバーサルコード
65 先端硬質部
66 湾曲部
67 可撓管部
68 コネクタ部
69 ライトガイドコネクタ
70 電気接点部
71 送気口金
72 湾曲ノブ72
73 処置具挿入部
74 スイッチ
100、200、300、400、500 ケーブル接続構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線及び該芯線を覆う外部被覆層を有するケーブルと、
前記ケーブルの端面において前記芯線が電気的に接続される電極が形成された基板と、
前記ケーブルの周囲に取り付けられ、前記ケーブルの長手方向の一部を該ケーブルの径方向に圧縮する圧縮部材と、
を備えることを特徴とするケーブル接続構造。
【請求項2】
前記圧縮部材の外径は、前記圧縮部材が取り付けられていない領域における前記ケーブルの径以下であることを特徴とする請求項1に記載のケーブル接続構造。
【請求項3】
芯線及び該芯線を覆う外部被覆層を有するケーブルを、互いに外周の一部が接するように並べた複数のケーブルと、
前記複数のケーブルの端面において前記芯線が電気的に接続される複数の電極が形成された基板と、
前記複数のケーブルの周囲に取り付けられ、前記複数のケーブルの長手方向の一部を、該複数のケーブルの径方向に圧縮する圧縮部材と、
を備えることを特徴とするケーブル接続構造。
【請求項4】
前記圧縮部材は、前記複数のケーブルの外周に沿って取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載のケーブル接続構造。
【請求項5】
前記圧縮部材は、前記外部被覆層に形成された溝に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブル接続構造。
【請求項6】
前記圧縮部材は、前記ケーブルの前記基板側端部に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のケーブル接続構造。
【請求項7】
前記ケーブルは、
前記芯線の周囲に形成された内部絶縁層と、
前記内部絶縁層の周囲且つ前記外部被覆層の内側に形成された外部導体層と、
を有する同軸ケーブルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のケーブル接続構造。
【請求項8】
前記圧縮部材は、前記外部被覆層が除去された領域に取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載のケーブル接続構造。
【請求項9】
前記圧縮部材は、導電性材料によって形成されていることを特徴とする請求項8に記載のケーブル接続構造。
【請求項10】
前記圧縮部材は、絶縁性材料によって外周側表面に形成された被膜を有することを特徴とする請求項9に記載のケーブル接続構造。
【請求項11】
前記圧縮部材は、絶縁性材料によって形成されていることを特徴とする請求項8に記載のケーブル接続構造。
【請求項12】
前記圧縮部材は、カシメ部材であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のケーブル接続構造。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のケーブル接続構造と、
前記基板に形成された電極に接続された撮像素子と、
を備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項14】
少なくとも前記撮像素子と前記基板と前記圧縮部材とを収容する先端硬質部と、
前記先端硬質部から突出した前記ケーブルを収容する、可撓性を有する収容部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−238458(P2011−238458A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108673(P2010−108673)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】