説明

ケーブル接続部

【課題】接続部全体の小型化を図ることができ、電柱を長くする必要もなく、ケーブルの接続作業をも容易なものとし、作業効率を著しく向上させることのできるケーブル接続部を提供する。
【解決手段】内部導体2と、この内部導体2の周りに絶縁材料にて一体に成形されたブッシング3とを備え、内部導体2の接続孔とブッシング3の受容孔とにて形成される二つの接続受容孔にそれぞれ架空ケーブルの接続材料100A、100Bが装着される、支持物上に取付けて使用するためのケーブル接続部1において、各接続受容孔が上方向に開口して形成され、各架空ケーブルの接続材料100A、100Bを上方より装着可能とし、架空ケーブルの接続材料における端末処理されたケーブルの先端導体部に固着されたプラグと、端末処理されたケーブルの絶縁体端面との間に、ケーブルのケーブル接続部からの引き抜けを防止するための引留め装置を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの接続部に関するものであり、特に、絶縁体で被覆された架空送電ケーブルをコンクリート柱(電柱)などの支持物上にて接続するためのケーブル接続部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気設備技術基準の変更により都市部において77KVケーブルによる架空送電が可能となった。
【0003】
架空ケーブルの布設は、例えばコンクリート柱間に延線されたメッセンジャワイヤに架空ケーブルをラッシングして取り付けるなどの様々な方法にて行われているが、架空ケーブルは、コンクリート柱上にて接続することが必要となる。従来、架空ケーブルの接続は、直線接続部にて行われており、直線接続部の一例を図10に示す。
【0004】
つまり、本例にて、直線接続部1Aは、内部にスリーブ状の内部導体2を一体に成形した、通常エポキシ樹脂などの絶縁材料で作製されたブッシングモールド3を有する。
【0005】
CVケーブルのような架空ケーブル4A、4Bの通電接続部、即ち、ケーブル接続材料(オス側)100A、100Bは、直線接続部1Aの軸線方向に対向して配置された接続受容孔に両側より装着される。各ケーブルの接続材料100A、100Bは、当業者には周知のプレハブ構造とされ、ケーブルの先端部に形成された接続端子(プラグ10、11、マルチラムバンド13及び引留め装置14など)、ストレスコーン44、押し金具43、圧縮装置42、ケーブル保護金具41などの接続部品により構成され、スリーブ状内部導体2に接続される。直線接続部1Aの外周には外ケース15が配置されている。
【0006】
上記構成の直線接続部1Aは、図11に示すように、コンクリート柱などの支持物Sに概略水平状態にて取り付けられる。三相ケーブルの場合には、直線接続部1Aは、3個並置して設けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の直線接続部1Aを使用してCVケーブル4A、4Bを接続する場合には、コンクリート柱上に配置されている諸々の取付け装置との関係から、メッセンジャーワイヤに沿って延線されているケーブルを直線接続部1Aへと導入するためには、図11に一点鎖線にて示すように、各ケーブルは、直線接続部近傍にて円弧部R1、R2が二つ形成される、所謂、二次円弧状に湾曲させて各ケーブルの接続材料100A、100Bを直線接続部1Aの接続受容孔へと装着することが必要とされる。直線接続部1Aへの接続のためにCVケーブル4A、4Bを二次円弧状に曲げるには、水平及び垂直方向の作業領域L1、L2が大となり、接続部全体が大型化する。又、垂直方向の作業領域L2が大となることは、地上高さの制約から電柱をも長くする必要が生じてくる。しかも、直線接続部1Aに対するケーブル4A、4Bの接続作業も困難となり、作業効率が悪いという問題をも有していた。
【0008】
従って、本発明の目的は、接続部全体の小型化を図ることができ、電柱を長くする必要もなく、ケーブルの接続作業をも容易なものとし、作業効率を著しく向上させることのできるケーブル接続部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は本発明に係るケーブル接続部にて達成される。要約すれば、本発明は、内部導体と、この内部導体の周りに絶縁材料にて一体に成形されたブッシングとを備え、前記内部導体の接続孔と前記ブッシングの受容孔とにて形成される二つの接続受容孔にそれぞれ架空ケーブルの接続材料が装着される、支持物上に取付けて使用するためのケーブル接続部において、
前記各接続受容孔が上方向に開口して形成され、前記各架空ケーブルの接続材料を上方より装着可能とし、
前記架空ケーブルの接続材料における端末処理されたケーブルの先端導体部に固着されたプラグと、前記端末処理されたケーブルの絶縁体端面との間に、前記ケーブルのケーブル接続部からの引き抜けを防止するための引留め装置を設けたことを特徴とするケーブル接続部である。
【0010】
本発明の一実施態様によると、前記プラグは、前記先端導体部に固着された内プラグと、前記内プラグに装着され、前記内部導体の接続孔に電気的に接触する外プラグとにて形成され、
前記引留め装置は、
(a)前記内プラグと前記ケーブル絶縁体端面との間に配置された概略円筒状の内側引留め具と、前記内側引留め具の先端に取り付けられた外側引留め具と、前記内側引留め具と前記外側引留め具とにて形成される環状空間部に配置された中間引留め具と、を有し、
(b)前記内側引留め具は、前記先端導体部外周部に取付けられ、前記外側引留め具を取付けた前記先端とは反対側に、外周に突出して止めフランジが形成されており、
(c)前記外側引留め具は、前記内側引留め具に取付ける取付け部と、前記取付け部に一体に形成され、前記内側引留め具と概略同心的に延在する円筒状部とを有し、前記円筒状部には複数個の係止孔が形成され、係止ボールが移動自在に配置されており、
(d)前記外側引留め具の下方端面は、前記ケーブルを前記ケーブル接続部に接続した際に、前記内部導体の前記接続孔に形成された小径部と大径部との肩部に当接し、外周面が前記接続孔の大径部に嵌合し、
(e)前記中間引留め具は、前記係止ボールに係合し、前記係止ボールを前記係止孔内へと案内するガイド部と、前記ガイド部に一体に形成され、前記ケーブル絶縁体の外径より大きな内径とされるばね受け部とを有し、前記ばね受け部の上方に前記ばね受け部と対向して前記ケーブルの外周部に押しリングが配置され、
(f)前記ガイド部と前記外側引留め具の取付け部との間、及び、前記ばね受け部と前記押しリングとの間に、それぞれ圧縮コイルばねが配置され、前記ガイド部と前記外側引留め具の取付け部との間に配置した前記圧縮コイルばねは、前記ばね受け部と前記押しリングとの間に配置した圧縮コイルばねより弱いばね力とされる。
【0011】
本発明の他の実施態様によると、前記架空ケーブルの接続材料が装着される前記二つの接続受容孔の間に位置して、前記接続受容孔とは反対側に下方向に延在して他の接続受容孔を形成し、この接続受容孔に検電器が装着可能とされる。
【0012】
本発明の他の実施態様によると、前記ケーブル接続部を3個並置し、3相架空ケーブル接続用として使用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のケーブルU形接続部は、内部導体と、この内部導体の周りに絶縁材料にて一体に成形されたブッシングとを備え、内部導体の接続孔とブッシングの受容孔とにて形成される二つの接続受容孔にそれぞれ架空ケーブルの接続材料が装着される、支持物上に取付けて使用するためのケーブル接続部において、各接続受容孔が上方向に開口して形成され、各架空ケーブルの接続材料を上方より装着可能とし、架空ケーブルの接続材料における端末処理されたケーブルの先端導体部に固着されたプラグと、端末処理されたケーブルの絶縁体端面との間に、前記ケーブルのケーブル接続部からの引き抜けを防止するための引留め装置を設けた構成とされるので、接続部全体の小型化を図ることができ、電柱を長くする必要もなく、ケーブルの接続作業をも容易なものとし、作業効率を著しく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るケーブル接続部を図面に則して更に詳しく説明する。
【0015】
実施例1
図1に本発明のケーブル接続部1の一実施例を示す。本実施例にて、接続部1はU形接続部として説明するがこれに限定されるものではない。
【0016】
本実施例にて、U形接続部1は、内部導体(埋込電極)2を備え、この内部導体2の周りにはエポキシ樹脂などの絶縁材料にて形成される絶縁体のブッシング3が一体に成形されている。
【0017】
U形接続部1には、接続される架空ケーブル4A、4Bのそれぞれの接続材料(接続先端部)100A、100Bが装着可能な接続受容孔が上方に開口して形成される。
【0018】
つまり、本実施例ではU形接続部1には、互いに平行に二つの接続受容孔が形成され、図1にて、U形接続部1の左側の接続受容孔には一方側の架空ケーブル4Aの接続材料(接続先端部)100Aが装着可能とされ、又右側の接続受容孔には他方側の架空ケーブル4Bの接続材料(接続先端部)100Bが装着可能とされる。
【0019】
各接続受容孔は、内部導体2に形成された接続孔20と、該接続孔20と連通してブッシング3に形成された上方に開口を有する受容孔30とにて形成される。内部導体2の接続孔20は、図2に示すように、小径部20Aと大径部20Bとを有する。
【0020】
U形接続部1に接続されるケーブル接続材料100A、100Bの構成をその一実施例について説明する。本実施例によると、ケーブル接続材料100A、100Bは同様の構造とされるので、ケーブル4Aの接続材料100Aについてのみ説明する。
【0021】
図2を参照すると、端末処理され露出されたケーブル4Aの先端導体部40には、内部導体2と電気的接触を行うためのプラグが装着される。プラグは、先端導体部40の先端からほぼ半分の領域において導体部40に嵌着される、外周上にスリットが形成された傾斜円筒状の内プラグ10と、この内プラグ10に装着される外プラグ11とを有する。外プラグ11は、内プラグ10の外周と相補形状の傾斜内面を有し、内プラグ10に嵌合してくさび作用をなし、内プラグ10を先端導体部40に圧縮固着させる。外プラグ11の外周面には、環状の溝12が形成され、そこに、多数のリボン状の板ばね集合体を環状に配置して構成されるマルチラムバンドのような接触子13が配置されている。ケーブル4AをU形接続部1に接続した際に、このマルチラムバンド13が内部導体2の接続孔20の小径部20Aに適合され、電気的接触をなす。
【0022】
本実施例によると、先端導体部40にて、上記先端導体部40に固着された内プラグ10と、ケーブル絶縁体端面46との間に、ケーブル4Aの接続部1からの引き抜けを防止するための引留め装置50が配置される。
【0023】
引留め装置50は、図3をも参照するとよりよく理解されるように、内プラグ10とケーブル絶縁体端面46との間に配置された概略円筒状の内側引留め具51と、この内側引留め具51の先端、即ち、内プラグ10側に形成された螺子部52に螺合して取り付けられた外側引留め具53とを有する。内側引留め具51は、Oリング54を介して導体部外周部に取付けられ、又、螺子部52と反対側には外周に突出して止めフランジ55が形成されている。Oリング54は、内側引留め具51が、導体部40に対して同一軸線にて導体部外周部に自動調心にて位置決めする作用をなす。
【0024】
又、外側引留め具53は、内側引留め具51に螺合する取付け部56と、この取付け部56に一体に形成され、前記内側引留め具51と概略同心的に延在する円筒状部57とを有する。円筒状部57には等間隔にて複数個、例えば4〜8個の係止孔58が形成され、係止ボール59が移動自在に配置される。又、外側引留め具53の下方端面60は、ケーブル4AをU形接続部1に接続した際に、内部導体2の接続孔20の小径部20A及び大径部20Bとの肩部21(図2)に当接し、外周面が内部導体2の接続孔20の大径部20Bに嵌合する。
【0025】
引留め装置50は、更に、中間引留め具61を備えている。中間引留め具61は、上記内側引留め具51と外側引留め具53とにて形成される環状空間部62に位置して係止ボール59に係合し、係止ボール59を係止孔58内へと案内するガイド部63と、このガイド部63に一体に形成され、ケーブル絶縁体47の外径より大きな内径とされるばね受け部64とを有する。ばね受け部64の上方にばね受け部64と対向してケーブル外周部に押しリング65が配置される。又、ガイド部63と外側引留め具53の取付け部56との間、及び、ばね受け部64と押しリング65との間に、それぞれ圧縮コイルばね66、67が配置される。圧縮コイルばね66は、圧縮コイルばね67より弱いばね力とされる。この点については、後で更に説明する。
【0026】
次に、上記構成とされる本発明のU形接続部1に対するケーブル接続材料100Aの着脱手順について説明する。
【0027】
先ず、ケーブル接続材料100Aが、図4に示すように、組み立てられる。つまり、U形接続部1に接続されるケーブル4Aは、保護金具41、圧縮装置42、押し金具43、ストレスコーン44などを端末処理されたケーブル端末部に引き通し、その後、導体部40に引留め装置50が装着される。このとき、引留め装置50の中間引留め具61は、ばね66、67により付勢され、ガイド部63が内側引留め具51の止めフランジ55に当接している。従って、係止ボール59は、係止孔58より半径方向内方へと移動自在とされ、内方へと落下するボール59は圧縮コイルばね66にて担時される。次いで、先端導体部40に接続プラグ、即ち、内プラグ10及び、マルチラムバンド13を備えた外プラグ11が、上述したようにして固着される。
【0028】
次いで、図5に示すように、ケーブル4Aの接続材料(接続先端部)100Aを接続受容孔に挿入すると、マルチラムバンド13を備えた外プラグ11が内部導体2の接続孔20の小径部20Aに適合され、電気的接触をなす。引留め装置50の外側引留め具53は、内部導体2の接続孔20の大径部20Bに適合して挿入される。更に、ストレスコーン44を受容孔30へと押入すると、ストレスコーン44の端面44Aが押しリング65に当接し、この押しリング65を内部導体2側へと押圧する。
【0029】
このとき、上述のように、圧縮コイルばね67の方が圧縮コイルばね66よりばね力が大とされるので、圧縮コイルばね67により圧縮コイルばね66はより多く圧縮され、従って、中間引留め具61は、圧縮コイルばね66のばね力に抗して内方へとプラグ側に移動する。
【0030】
これにより、係止ボール59は、ガイド部63により係止孔58内を半径方向外方向へと移動され、係止ボール59を、内部導体2の大径部20Bに形成された環状凹溝22内に押入させる。従って、ケーブル4Aは、U形接続部1にロックされた状態となり、U形接続部1からの引き抜きが防止される。この状態にて、ケーブル4AをU形接続部1から引き出す方向に力を加えることにより、ケーブル4AがU形接続部1に確実にロックされたか否かを確認することができる。つまり、上述のように、圧縮コイルばね67の方が圧縮コイルばね66よりばね力が大とされるので、ケーブル4AをU形接続部1から引き出す方向に力を加えても、圧縮コイルばね66は圧縮コイルばね67により圧縮されており、係止ボール59は、ガイド部63により係止孔58内を半径方向外方向へと移動された状態を保持する。
【0031】
ケーブル4AがU形接続部1に確実にロックされたことを確認した後、更に、ストレスコーン44は、押圧金具43、圧縮金具42により接続部側へと押圧され、保護金具41がブッシング3の端面に固定される。更に、図2に示すように、防水カバー48が接続部1の金属ケース49にボルトなどにて固定される。
【0032】
U形接続部1に接続されたケーブルを接続部から除去する場合には、上記接続したときの作業手順を逆に実施することとなる。
【0033】
つまり、先ず、防水カバー48を除去し、保護金具41、圧縮装置42、押し金具43を所定位置までずらす。
【0034】
次いで、ストレスコーン44をブッシングの受容孔30から引き抜き、後退させる。押しリング65及び中間引留め具61は、コイルばね66、67により後退するストレスコーン44と共に移動され、内部導体2の環状凹溝22内に押入されていた係止ボール59との係止状態が解放される。これにより、ケーブル4AのU形接続部1に対するロックが解除され、ケーブル4AのU形接続部1からの引き抜きが可能となる。
【0035】
このように、本実施例によれば、ケーブル分離時のストレスコーン44の移動は、内部導体2の環状凹溝22内に陥入していた係止ボール59と、中間引留め具51のガイド部63との係止状態が解放される程度でよい。
【0036】
ケーブル接続材料100Bに関しても、上述したように、ケーブル接続材料100Aと同様に構成され、又、同様に作用する。
【0037】
以上のように構成される本発明のU形接続部1によれば、図6に示すように、ケーブルの接続材料100A、100Bは、U形接続部1に対して上方から装着可能とされる。
【0038】
つまり、メッセンジャーワイヤに沿って延線されているケーブル4A、4Bは、図6に一点鎖線にて示すように、実質的に一つの円弧部R1にて湾曲され、その後、各ケーブルの接続材料100A、100Bは、CVケーブル4A、4Bを一つの円弧部Rを形成した一次円弧状に湾曲させた状態にてU形接続部1の接続受容孔へと装着される。従って、ケーブル4A、4Bの曲げに必要な水平及び垂直方向長さL1、L2は、従来の直線接続部1Aにケーブルを接続する場合の長さL1、L2に比較すると大幅に短縮することができる。このことは、作業領域範囲を作業に好適な長さに設定することができ、作業効率の向上を図ることができるという利点がある。
【0039】
上記本発明のU形接続部1を三相用架空ケーブルの接続に使用した場合には、図7に示すように、各相(R、S、T)の入力及び出力ケーブル4A、4BごとにU形接続部1が必要となり、そのために三個のU形接続部が並置して使用される。所望により、三個のU形接続部を一体的に成形することも可能である。
【0040】
実施例2
実施例1では、ケーブル接続部1は、垂直に且つ互いに平行に二つの接続受容孔が形成されたU形接続部であるとして説明したが、図8に示すように、ケーブル接続部1は、二つの接続受容孔が角度αでV字状に上方へと拡開した、即ち、V形接続部とすることも可能である。V字状の拡開角度αは、通常、90°程度とされる。
【0041】
本実施例のV形接続部も実施例1のU形接続部と同様に構成されるので、詳しい説明は省略する。
【0042】
本実施例においては、実施例1と同様に、各ケーブルの接続材料100A、100Bは、CVケーブル4A、4Bを一つの円弧部Rを形成した一次円弧状に湾曲させてV形接続部1の接続受容孔へと装着することができる。
【0043】
従って、本実施例においても、ケーブル4A、4Bの曲げに必要な水平及び垂直方向長さL1、L2は、従来の直線接続部1Aにケーブルを接続する場合の長さに比較すると大幅に短縮することができる。このことは、作業領域範囲を作業に好適な長さに設定することができ、作業効率の向上を図ることができるという利点がある。
【0044】
実施例3
図9に本発明のケーブル接続部1の他の実施例を示す。本実施例にて、接続部1はY形分岐接続部とされる。
【0045】
本実施例にて、Y形分岐接続部1は、概略Y形形状とされる内部導体(埋込電極)2を備え、この内部導体2の周りにはエポキシ樹脂などとされるとされる絶縁体のY形ブッシング3が一体に成形されている。
【0046】
Y形分岐接続部1の一方側には、一方の架空ケーブル4Aの接続材料(接続先端部)100Aが装着可能とされ、又他方側には、他方の架空ケーブル4Bの材料(接続先端部)100Bが装着可能とされる。この構成は、実施例1のU形接続部と同じ構成であり、これ以上の説明は省略する。
【0047】
本実施例のY形接続部1においては、架空ケーブル4Aの接続材料100Aが装着される接続受容孔と、架空ケーブル4Bの接続材料100Bが装着される接続受容孔との間に、検電器200を装着するための第3の接続受容孔が形成される点において相違している。保守時に送配電系統における課電の有無を外部から検知できる検電器200の構成については当業者には周知であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0048】
検電器200のための第3の接続受容孔は、架空ケーブル4A及び架空ケーブル4Bのための接続受容孔とは反対方向に下方へと延在し開口している。この第3の接続受容孔も又、上記内部導体2に形成された接続孔20と、該接続孔20と連通してブッシング3に形成された受容孔30とにて形成される。内部導体2の接続孔20は、図9に示すように、小径部20Aと大径部20Bとを有する。この接続受容孔は、図9に示すように、検電器200が装着され、円筒状カバー201にて被覆される。
【0049】
勿論、本実施例にて説明した検電器200のための第3の接続受容孔は、実施例2のV形接続部にも同様に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るケーブル接続部の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1のケーブル接続部の部分拡大図である。
【図3】引留め装置の構成を説明する断面図である。
【図4】ケーブル接続材料の組み立て手順を説明するための図である。
【図5】ケーブル接続材料の組み立て手順を説明するための図である。
【図6】本発明に係るケーブル接続部を使用したケーブルの接続態様を説明する図である。
【図7】本発明に係るケーブル接続部を使用して3相架空ケーブルを接続するためのケーブル接続部の斜視図である。
【図8】本発明に係るケーブル接続部の他の実施例を示す断面図である。
【図9】本発明に係るケーブル接続部の他の実施例を示す断面図である。
【図10】従来のケーブル直線接続部の断面図である。
【図11】従来のケーブル直線接続部を使用したケーブルの接続態様を説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ケーブル接続部
2 内部導体(埋込電極)
3 ブッシング
4A、4B ケーブル
10 内プラグ
11 外プラグ
13 接触子(マルチラムバンド)
20 接続孔
30 受容孔
40 先端導体部
41 保護金具
42 圧縮装置
43 押し金具
44 ストレスコーン
50 引留め装置
100A、B ケーブル接続材料
200 検電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体と、この内部導体の周りに絶縁材料にて一体に成形されたブッシングとを備え、前記内部導体の接続孔と前記ブッシングの受容孔とにて形成される二つの接続受容孔にそれぞれ架空ケーブルの接続材料が装着される、支持物上に取付けて使用するためのケーブル接続部において、
前記各接続受容孔が上方向に開口して形成され、前記各架空ケーブルの接続材料を上方より装着可能とし、
前記架空ケーブルの接続材料における端末処理されたケーブルの先端導体部に固着されたプラグと、前記端末処理されたケーブルの絶縁体端面との間に、前記ケーブルのケーブル接続部からの引き抜けを防止するための引留め装置を設けたことを特徴とするケーブル接続部。
【請求項2】
前記プラグは、前記先端導体部に固着された内プラグと、前記内プラグに装着され、前記内部導体の接続孔に電気的に接触する外プラグとにて形成され、
前記引留め装置は、
(a)前記内プラグと前記ケーブル絶縁体端面との間に配置された概略円筒状の内側引留め具と、前記内側引留め具の先端に取り付けられた外側引留め具と、前記内側引留め具と前記外側引留め具とにて形成される環状空間部に配置された中間引留め具と、を有し、
(b)前記内側引留め具は、前記先端導体部外周部に取付けられ、前記外側引留め具を取付けた前記先端とは反対側に、外周に突出して止めフランジが形成されており、
(c)前記外側引留め具は、前記内側引留め具に取付ける取付け部と、前記取付け部に一体に形成され、前記内側引留め具と概略同心的に延在する円筒状部とを有し、前記円筒状部には複数個の係止孔が形成され、係止ボールが移動自在に配置されており、
(d)前記外側引留め具の下方端面は、前記ケーブルを前記ケーブル接続部に接続した際に、前記内部導体の前記接続孔に形成された小径部と大径部との肩部に当接し、外周面が前記接続孔の大径部に嵌合し、
(e)前記中間引留め具は、前記係止ボールに係合し、前記係止ボールを前記係止孔内へと案内するガイド部と、前記ガイド部に一体に形成され、前記ケーブル絶縁体の外径より大きな内径とされるばね受け部とを有し、前記ばね受け部の上方に前記ばね受け部と対向して前記ケーブルの外周部に押しリングが配置され、
(f)前記ガイド部と前記外側引留め具の取付け部との間、及び、前記ばね受け部と前記押しリングとの間に、それぞれ圧縮コイルばねが配置され、前記ガイド部と前記外側引留め具の取付け部との間に配置した前記圧縮コイルばねは、前記ばね受け部と前記押しリングとの間に配置した圧縮コイルばねより弱いばね力とされる、
ことを特徴とする請求項1のケーブル接続部。
【請求項3】
前記架空ケーブルの接続材料が装着される前記二つの接続受容孔の間に位置して、前記接続受容孔とは反対側に下方向に延在して他の接続受容孔を形成し、この接続受容孔に検電器が装着可能とされることを特徴とする請求項1又は2のケーブル接続部。
【請求項4】
前記ケーブル接続部を3個並置し、3相架空ケーブル接続用として使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のケーブル接続部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−50157(P2009−50157A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257874(P2008−257874)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【分割の表示】特願平11−23162の分割
【原出願日】平成11年1月29日(1999.1.29)
【出願人】(306013120)昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Fターム(参考)】